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第9期 環境エネルギー科学技術委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成30年7月2日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 15F特別会議室

3.議題

  1. 「地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム」の進捗状況について
  2. 環境分野(特に気候変動に関する分野)の研究開発の推進について
  3. その他

4.出席者

委員

高村主査、花木主査代理、市橋委員、江守委員、沖委員、奥委員、加藤委員、河宮委員、瀬川委員、関根委員、田中委員、手塚委員、本郷委員、山地委員

文部科学省

大山大臣官房審議官、藤吉環境エネルギー課長、佐藤環境科学技術推進官、三木課長補佐、平田課長補佐、滝沢専門官、森課長補佐、川上地球観測推進専門官、石橋課長補佐

オブザーバー

東京大学 川崎特任教授、東京大学 生駒特任准教授

5.議事録

 【高村主査】  それでは,10時までまだ若干時間がございますけれども,皆様おそろいになりましたので,ただいまから,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の第9期環境エネルギー科学技術委員会の第4回会合を開催いたします。本日は,委員の皆様,お忙しい中お集まりいただきまして,どうもありがとうございます。
 まず,事務局に異動があったと伺っておりますので,御紹介を頂きまして,続けて本日の出席者と資料の確認をお願いしたいと思います。
【三木課長補佐】  はい。では,事務局の人事異動について御報告をさせていただきます。
 環境分野の担当補佐に平田が着任しております。
 地球観測担当の専門官に川上が着任しております。
 続いて,本日出席の委員の皆様の人数でございますが,委員16名中14名,谷口先生と田中充先生,2名御欠席と伺ってございまして,過半数に達しておりますので,委員会は成立となってございます。
 また,本日は,議題(1)で地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム(DIAS)の進捗状況の御発表を頂くため,東京大学,生駒特任准教授,同じく東京大学,川崎特任教授に御出席を頂いております。
 続きまして,資料の確認に移ります。資料ですけれども,今,お手元のタブレットで確認を頂けるかと思いますが,その中に座席表,議事次第,また,資料1から3,1については枝番号で1-1から1-3まで入っておるかと思います。もしお手元のタブレットに不具合等ございましたら,事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。
 それでは,事務局からは以上でございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,本日ですけれども,議事次第にありますように,三つの議題を予定しております。委員の皆様から忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思います。
 本日,会議の終了時刻は12時を予定しております。
 それでは,議事を進めてまいります。
 議題の(1)でございますけれども,「地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム」の進捗状況についてでございます。
 それでは,事務局から御説明をお願いいたします。
【川上地球観測推進専門官】  はい。地球環境情報プラットフォーム(DIAS)の進捗状況について御説明いたします。
 まず,今回,このような御説明をする機会を頂いたのは,今年,DIASが5年間の中の中間評価の年であるからです。評価の前段階として現在の研究の進捗状況を委員の皆様に知っていただきたいということが一つ。それから,本日頂いた御意見などを中間評価に生かしたいということが一つ。そのような趣旨がございまして,本日このような機会を頂きました。
 それでは,私の方から,まず全体の本日の報告の流れについて御説明いたします。1枚めくっていただきましてスライドの1番目,目次になります。まず,DIASの概要を,これは私から手短に御説明いたします。そして二つ目が事業の進捗状況と主な成果を,生駒先生と川崎先生から進捗状況について御説明を頂きます。それから最後に,また私から今後の取組の方向性について簡単に御紹介いたします。
 では,おめくりいただきまして,DIASの簡単な御説明です。背景・課題の二つ目の丸に書いてありますが,地球環境ビッグデータを蓄積・統合解析し,気候変動などの地球規模課題の解決に資する情報システムとして,「データ統合・解析システム(DIAS)」を開発しております。そして,これを学術研究,国際貢献,商業利用などの場において活用することが主な目的となっております。
 左下の絵にありますが,様々な地球観測データ,ビッグデータを蓄積し,そしてそれを統合解析することによって様々な分野へ活用・貢献していくという内容でございます。
 そして右に移っていただきまして,これまでの成果になりますが,DIASのユーザーが3年で約4倍になるなど,非常に利用が拡大しています。それから,DIAS上のデータは国際的に共有・活用が可能となっておりまして,今日,これから先生方からもお話しいただきますが,国際的にも様々な貢献を行っています。
 次,3枚目のDIASの事業の変遷です。今行われているDIASは平成28年からの5年計画で行われている第3期の事業になっておりますが,その前に10年ほどDIASの研究開発を行ってきております。まず,最初の第1期でプロトタイプの開発を行い,第2期にシステムの拡張の推進を行っております。そして今現在の第3期は,民間企業も含めて利用可能なDIASの運営体制を構築することを目標として行ってきております。
 3番目,今期事業の推移に関して御説明します。平成30年度は,DIASの高度化やユーザーの開拓などに取り組んでおります。また,一番民間利用に対して近い存在であり,開発が進んでいるダム管理システムの開発を,今年度中に一定のめどをつけたいと考えております。そして31年度以降は,ダムへのアプリケーションの実装へ向けての試行を行い,また,その試行に必要なストレージなどの更新を計画的に実施したいと考えております。
 以上が私からの簡単なDIASの概要説明となります。
 では,続きまして,まずは川崎先生の方からDIASの水課題アプリケーションの開発について御紹介いただきます。
【高村主査】  それでは,川崎先生,よろしくお願いいたします。
【川崎特任教授】  おはようございます。東京大学の川崎と申します。よろしくお願いいたします。では,私の方では,DIAS水課題のアプリケーション開発の概要を説明させていただきます。
 この課題は大きく四つの研究開発から構成されております。一つは,水力発電のダムを対象としたアプリケーションの開発,二つ目は,リアルタイムかつ高解像度での日本全国で洪水概況を予測するアプリケーションの開発,三つ目は,土砂管理などを含めた河川管理に関するアプリケーションの開発,四つ目は,それらを他分野や海外へ展開することを目指した研究開発を行っております。それらは順番に説明させていただきます。
 まず一つ目の水力発電用アプリケーションの開発です。
 こちらは,東京大学及び土木研究所,日本工営株式会社,そして東京電力,中部電力との共同研究になります。ここで目指していることは,予測降雨を用いた発電ダムの事前放流を最適化することで,洪水に対する安全性の向上を実現すること。そして二つ目は,降積雪・融雪過程のシミュレーションを高度化することで,長期ダム運用の最適化と発電効率の改善を目指しております。
 まず初めに,御存じの方も多いと思いますが,洪水調節機能のあるダムとないダムで操作方法が全く異なるということを説明させてください。例えば,図上部の治水専用ダムなど洪水調節を目的に持つダムというのは,通常期はなるべくダムのポケットを開けておりまして,洪水期には洪水をためながら下流へ水を流すという操作を行います。一方,図下部の発電ダムなどの利水を目的としたダムは,通常期はなるべく水をためておいて,洪水期には洪水をためずに,ダムへ入る洪水をそのまま下流へ流すというのを基本的な操作としております。ということで,このように治水目的を持つダムとそうでないダムでは,ある意味,矛盾をしたというか,相反するダム操作を行っております。
 それに対して,本研究プロジェクトでは,ダム上流域の降雨量やダムへの流入量の予測精度を向上することで,発電ダムの最適運用により激甚水害への対応力を高め,下流の治水安全度を向上するとともに,発電効率を高めることでエネルギー政策等へも貢献することを目指しております。
 研究としては大きく三つありますが,まず一つとしては,レーダーなどの雨量観測データと,気象庁の雨量予測データなどを組み合わせて,降雨量の予測精度を高めます。その際に,衛星から得られる情報や大気のモデルの情報等を同化することで,雨の降る場所,雨域を特定して,ある特定の流域内の降雨分布を精度よく把握することを目指しております。
 今回,技術的な細かいことはお話しする時間はありませんが,アンサンブル予測という技術を用いて,大井川と犀川という流域の降雨予測に関する研究を行っております。やはり実際のダムの運用では予測の空振りというのは許されない。しかしながら,予測には限界がありますので,そのアンサンブル予測のパーセンタイル値,その予測の結果をどう利用することで,実際の空振りを抑えながら,ダム操作に有用な支援情報を豪雨の出現前に提供できるかということを,電力会社と協議しております。
 また,流域内に降る雨の精度よい予測とともに,流域内の土壌水分と河川流量の分布を精度高く予測する必要があり,そのためのモデル(WEB-DHM)の高度化を進めております。しかし,このモデルは非常に複雑で,研究者以外はなかなか使いづらいという問題がこれまでありました。そこで,日本工営と一緒に,GISをベースとして,実務の方でも使いやすい形でこのプログラムを扱えるような汎用ソフトを開発しております。これは,研究成果の全国展開とかを目指す上では必要なことですので,ここも力を入れて研究を進めております。
 また,降水・降雪を考慮した流出モデルの高度化を進めております。今年から,東京電力,中部電力に加えて,DIAS水課題と並行しながら関西電力とも研究を始めることになりました。黒部川の黒部ダムは皆さんも御存じと思いますが,黒部川流域は,降水量よりも降雪量が大きいです。しかし,現在はいつどれぐらいの量の雪が溶けてくるかを予測できませんので,黒部川流域では全ての流水を利用できずに,溢水(いっすい)することもあります。そのようなことからも,降雪と融水のタイミングを予測できる手法に対する期待は高まっており,研究開発により,一定の成果が出てきております。
 そして,それをシステムとしてリアルタイムで活用できるようにするためには,現地の観測データとレーダーの情報等大量のデータをリアルタイムで高速に計算する必要があります。そのためには,DIASのような大容量のシステムが不可欠です。詳細は省かせていただきますが,非常に多様なデータをリアルタイムで処理するというのは,全てのデータが1か所に格納されている必要がありその点で本研究課題はDIASの力を発揮する一つのプロジェクトだと思っております。
 次に,洪水概況予測用アプリケーションの開発ですが,東京大学生産技術研究所の沖研究室と芳村研究室の研究成果になります。これは最新の気象モデルとデータ等を用いて,洪水を39時間前から日本全国で予測するというシステムです。昨年の近畿地方の洪水を高い精度で予測できたことも検証しています。この図は,平成27年の鬼怒川堤防が決壊した,その前日の午後3時の時点で予測した洪水の危険度を示したものになります。赤いバーが高いほど洪水リスクが高いということで,実際にこの次の日のお昼過ぎに洪水が起きていますが,前日の午後3時の時点で高い精度で危険性が高いというのをシミュレーションしております。残念ながら,鬼怒川洪水のときはこのシステムが実装できてなかったので,これを対策に活用することはできませんでしたが,これを今後の洪水対策に活用できるようにDIASに実装するという作業を今進めております。
 そして次になりますが,土砂災害を含めた河川管理のためのシステム開発ということで,これは皆さんも記憶に新しい昨年7月の北部九州豪雨災害の土砂崩れ等を再現したものになります。このときは半日で600ミリという甚大な雨が降り,流域内で大規模な土石流等が発生し,その土石流と流木等が河川の河床を高め,大規模な洪水が発生しました。土石流の発生と,その土石流が河床に与える影響を再現するモデルを,土木研究所ICHARMで作っており,DIAS上に実装する予定です。その際,北海道大学のiRICというリアルタイムで氾濫予測をするシステムDIASに実装して,そのモデルと土石流モデルを結合し,土砂による河川流の影響等をリアルタイムで高精度に分析できるシステムを目指して研究開発を進めております。
 そして最後に,海外への展開ということで,やはり日本は非常に多様なデータが高精度で用意されておりますが,多くの途上国では現地での観測データが限られております。そこで,衛星の観測データや数値モデル,現地調査のデータ等を効果的に融合することで,準リアルタイムで洪水を予測して,更にダム操作を支援するシステムの開発を進めております。
 一つは,ミャンマーを対象にして,JICA,JSTのSATREPS(ODA)事業の一環としてシステムを開発しております。
 それに先行する形で,これも昨年ですが,スリランカで大規模な洪水が5月に起きました。このときは1日で500ミリの雨が降りましたが,スリランカ政府からの要請により,DIASのチームで非常に短時間で,衛星のデータと現地の観測データ,そして様々なモデルを用いて,リアルタイムでどこにどれぐらい雨が降るかを評価できるシステムを作りました。衛星と地上の観測データをバイアスすることで,リアルタイムで今どこでどれぐらい雨が降っているか,そしてその情報を基に,今,洪水がどこで発生しそうかをリアルタイムで見られるシステムを作り,実際にスリランカ政府の方々に見ていただいています。
 最後になりますが,今年度の開発計画ということで,水力発電のシステムに関しては,今年度末の時点の成果を東電と中電の幹部の方々等に見ていただき,評価していただきます。また,日本全国の概況システムはDIAS上で実装を始めていますので,早期に公開することを目指しております。
 では,以上で私の発表は終わらせていただきます。
 次に生駒先生,お願いいたします。
【高村主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,生駒先生,お願いいたします。
【生駒特任准教授】  はい。東京大学の生駒と申します。私の方は,DIASプラットフォーム課題といたしまして,実際のアプリケーションの実装の支援を行っております。その中で,本日,幾つか具体的なアプリケーションの紹介も含めて説明させていただきたいと思います。
 まず,リアルタイム浸水予測システムです。こちらは早稲田大学の関根先生という方が約20年掛けて開発されておられます都市浸水予測モデルS-uiPSというものがあるんですけれども,こちらをDIASの持っている様々なリアルタイムデータと結合させまして,それを活用した「東京23区リアルタイム浸水予測システム」というものの構築を目指しております。ただ,このシステム,現在はオフライン動作のみです。リアルタイムで動いているわけではございません。そして,1時間の予測に6時間以上時間が掛かるという致命的な欠点というものもありまして,その高速化が大きな課題となっております。
 このモデル自体は,私はプラットフォーム側なので余り詳しくはございませんけれども,現在,都市というものは,実在するインフラ,道路や下水道,都市河川など,それらを全て詳細に入力して,それぞれの機能を忠実に再現することによって,仮説とか補正係数とかそういったもの一切なく,力学原理,物理則だけで計算を行うことによって,全ての浸水・氾濫状況予測は理論的には可能だというモデルになっております。
 入力データのリアルタイム降雨情報とその計算能力を与えればよいということになるわけでして,これが実証実験をやっているエリアになります。東京23区の隅田川の西側です。23区の3分の2ぐらいです。左側は道路のマップです。ちょっと細かくて見にくいんですけれども,色の付いているのは高さ,標高だと思っていただければ。右側は下水道のネットワークになります。
 これを,2013年7月23日,1時間で100ミリぐらいの猛烈な雨が降ったときがありますけれども,このときで再現計算を行っております。左側はXRAINのデータです。右側は下水道の満管率,下水管の中にどれぐらい水が体積として入っているかというものを示したものです。左は雨の域が動いていっているのが分かっていただけるかと思いますけど,それとともに右側で下水道がどんどん満管になっていくと申しますか,赤くなっていっています。雨が降っているエリアが広がるに従って徐々に下水道もこうなり,雨が流れた後にしばらくは下水道の中に残っていますけど,徐々に排水されていくという様子が見ていただけるかと思います。
 同じく,今度は道路の浸水深と河川の相対水深です。河川は,護岸の高さに対する水深の比です。これも同じように,左側の雨域の移動と強弱を見つつ,河川の部分ですね,こういう青いところが徐々に増えてきて,道路の辺りの浸水も見ていただけるかと思います。
 このとき,ここに目黒川があるわけですけれども,この目黒川がちょうど16時30分に氾濫警戒情報が出て氾濫したと。このときの水深と計算結果というものを比較したグラフがこれになります。計算値が青で,実測値が赤です。いずれも非常によく合っています。ピークも,その時刻もよく合っていると言えるかと思います。
 そして道路の方ですけれども,道路は水位計みたいなものがございませんので,それはこういう写真から判読すると。最近,SNS等でこういう写真というのは非常にネットによくありますので,そこから判読した値で比較を行っております。これは世田谷区の町なかですけれども,これは自転車のホイールの辺りでこれぐらい水が来ているというので判読を行ったそうです。ほかにも何か所か比較したところ,この判読値と予測値,おおむね合っているというのは見ていただけるかと思います。
 このモデルの高精度化の課題といたしましては,現在,誤差5センチ程度だと。先ほどの数字で見ていただければ5センチ程度と非常によく合ってきておりますけれども,下水道の水位というデータなどもありますので,より高精度化を進めていくというのがこの関根先生のグループの課題になります。
 私どもプラットフォーム側としましては,先ほどお話ししましたけれども,高速化,1時間で6時間ということは6倍必要なんですが,実際にリアルタイムで動かす上では前後の処理というのが必要になります。10倍以上の高速化が必要です。そして,そのリアルタイムにデータを投入する部分は,実際に今はあるデータを投入して動かしているというだけですので,その前後の部分,データ投入と,そして計算結果の視覚化,出力の部分を今後進めていきたいと考えております。この視覚化の部分は早稲田の関根先生と一緒にやっているわけですけれども,例えば,これは3次元的に,あの上の部分が破堤した場合にどういうふうに道路に水が広がっていくかというのを,これをリアルタイムで出せるように進めたいなと思っております。もうちょっとこれを拡大しますと,建物の例えばこの辺り,2階の辺りまでに水が来るのが何分後かと,こういうのが見えるようになるというイメージを持っていただければと思います。
 今後ですけれども,今お話しした四つの課題ですね,これを克服していきまして,2019年度には安定したリアルタイム予測システムというものの構築を目指しておりますし,2020年には実装を完了して,活用できるレベルまで持っていきたいと考えております。
 続いてもう一つ,今度はマラリア感染予警報システムというアプリケーションを紹介させていただきます。
 こちらは1年間で約3億件あるマラリア,感染症の中で非常に深刻なんですけれども,これは撲滅にはまだまだほど遠いと言われております。これに関しまして,長崎大学の皆川先生という方がSATREPSの枠組みで,気候を予測することでマラリアの流行を予測するというアプローチを開始しておられます。これはもう既に,南アフリカの政府であったり現業機関であったりと連携することで患者のデータを集め,さらに,JAMSTECの地球シミュレータによって出された気候変動予測のデータ,これを連携させて,モデルとしてはかなり完成度の高いものになっています。そして昨年,DIASの方にお話があって,今度はそれを運用するプラットフォームの構築というのを進めることになり,我々が支援しているということになっています。
 もう少し具体的に言いますと,この気象観測のデータは現地から入ってきます。先ほどお話ししたJAMSTECの気候変動予測データ,マラリア患者データ,これは後ほどちょっと説明いたします。これらの情報を統合しまして,DIAS上で予測計算を行い,その結果を情報発信します。
 そのモデルなんですけれども,この下,グラフがあります。右側が20年間です。縦方向は患者数です。20年間の南アフリカのリンポポ州というところのデータです。このうちの最初10年間,黒い線が実測といいますか,観測値ですけれども,この10年間のデータをベースにして,気象予測データを加味して予測したデータ,シミュレーションしたデータがこの赤い線です。赤と黒が非常によく合っているということは,それだけモデルがちゃんと再現できているということになります。2016年に大流行があったんですけれども,それもよく表現できていたと。この青い部分,これ,2017年末から18年です。つまり,まだ実際にデータが入ってきていません。でも,かなり上がってきていて,ここ最近,伺ったところによると,流行も出てきているということで,このモデルとしてはかなり再現性が高いのではということです。
 このアプリケーションに関しましても,長崎大の皆川先生のチームでもちろんモデルの高精度化というのを進めていきつつ,我々DIAS側はリアルタイムにデータを入れるところ,あるいは実行環境の構築といったところをサポートしていく予定にしております。
 このリアルタイムのデータなんですけれども,実際に現地で患者数というのは紙で記録されておりまして,それをパソコンに入れています。すると,どうしても時間が遅くなりますけれども,一旦そこのデータベースからDIASに直接とるという仕組みを一つ構築して,更にもう一つ,病院と保健省の間で携帯電話のショートメッセージでやりとりしているというのもありますが,全部はカバーしてないので,カバー率は減るんですけど,すぐ来て,早い。この二つのソースからデータを持ってくるというのを進めておりまして,いずれももう実装はほぼ完了しております。その試験運用中でございます。
 今度,出力側なんですけれども,出力は実際のインターフェースとしまして,ここの左側と右側,これ,実際に動いているシステムなんですけれども,これは一般向けと現業機関,医療機関向けの二つのインターフェースを持っています。この南アフリカの例えばこの地域がどれぐらい感染症が今来ているのか,色で示しています。レベルが1から5までありまして,これが具体的に例えば来週どうなる,再来週どうなるというのを下のグラフの移動とともに見ていけるような,これは現実にはタブレットでお見せしていて,現在地というのがぽんと出ている,今ここの地域はこれぐらい危ないよというのが見られるようになっております。
 もう一つ,これは実際に数字として出しております患者数です。これは医療機関が使うものなんですけれども,これもどんどんズームアップしていくと,地域ごとの傾向と申しますか,増減が分かるように,プラスマイナスというのは,前の週からどれぐらい増えて,翌週どれぐらい減るという数字を示しております。このシステムが現実的に動き始めまして,南アフリカ側にタブレットで実装して試行的に使っていただいているということになります。
 今後の展開ですけれども,今一番大きなところはデータの自動転送ですね,そこが出来上がった時点でDIAS上で統合し,モデルの実行を始める予定です。その結果はリアルタイム予測(マラリア天気予報)ということで現地側にお渡ししていくと。今後の展開といたしましては,周辺の国々,モザンビークなどなどに展開もしつつ,あとは下痢症とか肺炎など,ほかの感染症への応用というものも検討しております。
 今,二つほどアプリケーションを御紹介いたしましたけれども,ほかにも課題解決あるいは産業利用に向けて開発中のアプリというものが幾つかございまして,これもDIASのプラットフォームの上で支援して実装を進めていきたいと。この水アプリ:ミャンマー,フィリピンというのは,先ほど川崎先生がお話しになった部分の横展開といいますか,それぞれJICAのファンドであったり,あと渇水モニタリング,これは世界銀行の方のファンドで,水がないブラジルの渇水のモニタリングと,あとは農業等に適用する上での予測システムというのを構築を進めていく予定です。
 ほか,挙げ出すときりがないんですけれども,DIASの走っているアプリケーションと,SDGsの17項目を対応させた表になります。DIASとしましては,いろんなアプリケーションでそれぞれSDGsには貢献できているかなと考えております。
 最後,プラットフォーム課題といたしましては一番肝になるところですね,基盤システムの維持管理・高度化について簡単に説明させていただきたいと思います。
 こちらは,2017年度に行いました維持管理作業です。この赤いところというのは,実は業者さんにもうお願いができなくて,自分たちでやったというものになります。
 1年間でハードディスクの交換などはしょっちゅうある話でいいんですけれども,ほかのハードウエアの交換,今まで壊れなかったようなネットワークスイッチなどなどがちょっと壊れてきているのが深刻だなと感じておりまして,実際にその作業日数としては16日だったのが37日と倍ぐらい掛かってきました。
 実際に使っていただいている方,ユーザーの数については,最初,川上専門官からも少しありましたけれども,昨年度から1,000名程度,月100名程度のペースで増えてきております。
 ユーザー層も,国で分けますと半分ぐらい日本ですけれども,DIASはやはり日本のデータ,日本周辺のデータが多いのは多いんですが,先ほどのアプリケーションモデルというところで海外からの需要も多くあるというのが分かっていただけると思います。
 データ/メタデータの登録数も拡大してきておりますし,その公開データセット数というのも増えてきております。
 このデータ量の推移ですね,ここまでずっと上がってきて,ここで頭打ちになってきているのは,正直申し上げましてディスクがやや厳しくなってきたというのが現実であります。
 ダウンロードファイル数,これも数字的にはずっと増えていたんですけど,昨年が前年比27倍も増えたということでグラフがいびつになってしまっておりますけれども,この27倍というのは大きく二つ新しい機能を実装したからでして,一つは,今までウエブベースでダウンロードしていたのをスクリプトのような形で一括でダウンロードする機能を提供しました。もう一つはAPIです。APIは,ユーザーが持っているアプリケーションあるいはプログラムから直接たたいてDIASのデータを持ってきます。その二つを提供し始めたことで一気にデータダウンロードという表現でよくないんですけど,利用が増えたということになっております。
 あと,ほかのデータセンターとの連携ですが,これも進めておりまして,これはGEOSSのポータルですけれども,こちらからDIASというので直接検索もできるようになっています。
 以上,駆け足でしたけれども,DIAS第1期以来,長期運用を行っているハードウエアも数多くありますので,年々,障害発生数というのが増えてきております。対応所要時間も増えてきて,膨大な労力と時間・コストが掛かっているのが現状でございます。既に多くの機器は保守可能期間を終了しておりまして,どうしても修理ができない場合は我々の方で別のハードウエアの使い回しなどなどで何とか対応しているのが現状です。また,DIASの認知度が高まるとともに,ユーザー数,データ数というのは劇的に増加してきております。ただ,データストレージ容量というのはほぼ上限に達してきておりまして,なかなかない袖は振れない状況にはなってきているのが現状です。
 したがいまして,今後,更なる需要への対応あるいはハードウエアの更新というのがどうしても必要になり,増強も必須です。現状,このままの運用だとしても,先ほどもお見せしたように,やはり徐々に弱ってきているところがありますので,ちょっとこのままの運用は危ないかなというのが今のところであります。
 駆け足ですが,以上です。
【高村主査】  ありがとうございました。
 それでは,ここまでのDIASの取組の概要について,委員の先生方から御質問,御意見を頂こうと思います。この後,DIASの今後に向けた取組について事務局からも御説明を頂きますので,これまでの報告に関する御質問,御意見ということにできるだけ焦点を絞って御発言いただけると幸いです。
 では,御発言を御希望の先生はネームプレートを立ててお知らせいただけますでしょうか。
 それでは,江守委員からお願いいたします。
【江守委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。二つ教えていただきたいんですけれども,一つはユーザーに関してで,累計登録者4,000人もいらっしゃるというのは,全然知らなかったので,すごいんだなと思っていたんですが,アクティブユーザーがどれぐらいかというのと,その人たちが,特に外国の方とかが,どういうDIASの使い方をしているのかというのをざっと教えていただければと思います。
【生駒特任准教授】  アクティブという定義が,例えば年に1回利用するとか,その辺りでよろしければ,ほぼ100%で,3月末で毎回,1年間使ってなかった人あるいはアカウントが死んでいる人を全部チェックをしております。そのたびに先ほどのグラフでも3月末には若干減るんですけど,4月になってまた一気に増えるということなので,アクティブという意味では4,000。
【江守委員】  4,000。
【生駒特任准教授】  あります。ただ,ダウンロードとして使っている方と,あとアプリケーション,先ほどの川崎先生のアプリケーションなんかで使っているものの比率でいいますと,大体七,八百人が多分アプリケーションで,ダウンロードユーザー的に3,000から4,000の間。そんなイメージだと思います。
 もう一つの海外からということですけれども,具体的にカウントしたわけではないんですけれども,アプリケーションとしてアジア域の方々の先ほどの洪水の予測であったりというところが負荷としては大きいですね。あとは,ひまわりのデータがアジア域をカバーしているというのがありますので,あとGSMaPのデータのダウンロードが多いです。
【江守委員】  なるほど。ありがとうございます。
 もう一つは,防災の,特に洪水なんかのアプリケーションを説明していただいたんですけれども,ビッグデータを使って防災システムみたいなのというのは,民間でも多分取り組んでいて,IBMとかが何かシステムを自治体に入れたみたいな話というのはたまに聞くんですけれども,そういうのとの関係といいますか,例えば協力しているのか,競合なのかとか,全然アプローチが違うのかとか,そういうのを教えていただければと思うんですけど。
【川崎特任教授】  特に我々が今日お見せしたシステムというのは海外でやっているので,なかなか海外の競合との状況はよく分かりづらいのですが,大きな違いは,やはり海外のコンサル等が入れているシステムは,基本,現状のデータに基づくものが多いのですが,我々は予測を入れていることが違いと思っております。研究成果というか,科学的知見に基づくシミュレーション等を元に,予測しているというところです。
【江守委員】  はい。いや,僕もよく分かってないんですけど,IBMとかも予測を何らかの形でやってそういうシステムを使っているのかなとちょっと思っていたものですから。
【川崎特任教授】  そうですね。多分,先端のシステムは入れていると思いますが,我々が対象にしているアジアのミャンマーとかスリランカでは余りそういうのは見る機会がないというか,見てないです。
【江守委員】  はい,ありがとうございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 3人の委員から御質問,御意見を頂く予定ですので,まとめて御質問,御意見を頂いて,お答えを頂こうと思います。
 それでは次に,河宮委員,お願いいたします。
【河宮委員】  はい,ありがとうございます。大変興味深い御報告をどうもありがとうございました。
 質問が一つとコメントが一つという感じなんですけれども,質問の方は,東京でしたっけ,水管理のアプリケーションを示されていましたが,あれを10倍に高速化しなければならない。そこのタイムフレームを見ると来年度あるいは再来年度にはもう結構なシステムが出来上がっているというようなコメントだったので,その辺の高速化のめどはどうなっているのかというのと,律速段階みたいなのがきちんと特定されていれば,それはお聞きしたいと思いました。
 コメントとしては,最後の基盤の報告のところで,いろんなことがひっぱくしているというのは大変危機的な状況かなと思っているんですが,それでも頑張ってほしいというのは,例えば温暖化予測のデータを世界に発信するのでもDIASにはお世話になっていて,いろいろ協力しているんですけれども,その関係で海外のそういう温暖化予測の研究者や,あるいはデータ基盤を担当している研究者とか,話していると,DIASに対する期待は非常に大きくて,是非とも国際的な配信システムの中で大きな役割を果たしてもらいたいという希望を受け取ってDIASの人に伝えると,やっぱりちょっと基盤のところで不安があって,胸を張って言えないというところがあったりするので,そういう意味でやっぱり基盤の充実というのは国際的にも期待されているところだということは,コメントしておきたいと思います。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,この後,田中委員,そして山地委員で,花木委員,お願いいたします。
【田中(加)委員】  御説明ありがとうございます。大変興味深いことばかりで,見入ってしまいました。
 2点ございまして,一つは,川崎先生でしょうか,土地利用,入れているデータについて言いますと,例えば土壌の鉛直方向とか,そういった細かいデータまで入れていらっしゃるということでした。一方,他分野,海外の展開のところで他国への利用もされているわけですが,そのような他地域でも日本と同じようにこれだけ詳細なデータがとれるものなのかという純粋な疑問があります。また,例えば今見ている地域はデータがあるとしても,今後いろいろ展開していくときに,恐らくデータがそこまでそろわない国や地域,だけれども,被害が大変なので今後いろいろ考えていかなければならない地域があると思います。そういったときに,データがないながらも,いろいろ増えてデータが蓄積されていることで,ある程度データがない部分を補完して予測していくように拡充していけるものなのか,あるいは,そういった蓄積を今後,日本の予測システムにまたフィードバックして反映することができるのかという,川崎先生にはその2点をお願いしたい。
 もう一つ,生駒先生でしょうか,マラリアの流行予測についても大変興味深く拝見しました。ただ,これはこの後の役所の方の御説明なのかもしれないのですが,今後の展開について大変興味があります。例えば病気を気候のみで予測できるという非常にシンプルな面白いシステムだと思いますが,一方,では,それを予測できたとして予防措置として何ができるのかと。例えば情報を提供した相手に,それでは注射を急いで打ちましょうとなっても,多分時間的に間に合わないということがあると思います。今後,それを生かす方向ではどういったことを検討されているのかというのをお教えください。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,山地委員,お願いいたします。
【山地委員】  基本的にはコメントなんですけど,非常に実用性が高まってきていて,非常に印象的でございました。
 一つは,ちょっとつまらないところなんですけど,川崎先生が説明されたスライドの方で5枚目のところなんですけれど,発電ダムの発電効率を向上することを目指しているって書かれているんですが,ダムは発電効率というのは大体もう90%ぐらいで非常に高いです。これ,水管理をすることによって設備利用率を高めるという表現が適切だと思うので,これはせっかくいい内容ですので,そんな細かいところでひっかかるのはしゃくだと思うので,今後ちょっと修正しておいていただければと。
 それからもう一つは,洪水とか土砂崩れの話を聞いていて無理かなとも思ったんですけど,つい最近,晴れの日の土砂崩れがありましたよね。だから,地下水とかそういうところの部分も今後カバーできるのかどうか。私,素人ながら難しいとは思うんですけど,そこら辺り,何か展望があるんでしたらお聞かせいただきたい。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,花木委員,その後,沖委員,お願いいたします。
【花木主査代理】  APIのことについてお伺いしたいと思います。非常に緻密で重い計算をするというのもDIASの役割ですけれども,もう一方で,いろんな人がフリーに使えるようにAPIを提供するというのも大事な役割だと思っています。スライドの47枚目にSDGsとの関係でリストが書いてありますけど,その中でどんなAPIが提供されていて,それがいろんな国で場合によってはビジネス目的で使われていることもあると思うので,それはそれでいいと思っています。そうやってビジネスでも使われることによってDIASの存在感がより一般の人に広がっていくというのも戦略かと思うんですが,どんな例があるか,もし御存じなら教えていただきたいと思います。
 以上です。
【高村主査】  沖委員,お願いいたします。
【沖委員】  拝見していまして,皆さん非常に頑張られていて,頭の下がる思いですが,多分ここで議論すべきはアプリの細かいところではなくてDIASそのものだと思います。やはり常に問われているのがDIASの何が特徴なのか。つまり,それが大容量のデータを持っているというハードなのか,今日お示しいただいたように,リアルタイムでデータを収集して,それをモデルを通じて社会に何らかのメッセージに発信するというところなのか。また,その在り方が,次の質問とも関係するのですが,実際にここで実運用するということなのか,あるいはプロトタイピングを行って,それがある程度形になったら,どんどん実際のオペレーション,責任のあるエージェンシーが扱うということなのか。やっぱりそこの見せ方が,今日の一つ一つはいいんだけれども,じゃあそれらが同居しているメリット,例えば東京の浸水の予測というのとマラリアのアフリカにおける予測というのが同じシステム上で動いていることのメリットは何なのか。それぞれを個々にやっても同じことはできないのか,できるのかといったところが,やはり在り方として問われているのではないかと思います。すぐにお返事なくてもいいですが,そこがやはり分かるように見せていただくと,将来のロードマップも描けるのではないかなと思います。
 また,例えば東京都の浸水予測に関しまして,システムは多分今のメンバーで,関根先生と生駒先生と一緒でないとできないという気はしますが,それを未来永劫(みらいえいごう)運用するのが大学関連の仕事なのでしょうか。当然,浸水に責任を持つ行政のような気もします。
 あと,河川の洪水について申し上げると,例えば国総研が河川の水位予測をして避難指示と避難勧告に生かすという報道発表がありましたが,同じ敷地内にある土研とまさか別にやってないでしょうねという確認と,インドに関してはグーグルがやはり洪水予警報を出すというような話が出ていますので,そういう意味では,今,技術レベルとして可能になってきているときに,いかにして独自性を出すのか,やはり研究でいい結果を出したら,そのオペレーションにするのは責任ある官庁が選んでもらって,いざとなったらまた別のことで新しい研究開発するのかというところをやはり戦略を立てていただくのがいいかなと思いました。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 恐らくこの後の今後に向けたDIASの取組についても関わるコメントを頂いていると思いますので,そこで引き続き議論をしていくとして,特にこれまでの取組に関する質問についてここでできるだけ簡潔にお答えいただけると大変有り難いです。
【生駒特任准教授】  はい,ありがとうございます。私の方からは,最初にありました関根先生の件の高速化のめどなんですけれども,現実的に,おっしゃるとおり,なかなか難しいのは難しいです。ただ,実際,コードを全部読ませて20年やっておられるというのは,大体プログラム書いた方は分かると思うんですけれども,どんどんスパゲティー化しているわけですよね。あのモデルの場合は,私も詳しくはないんですけど,川を越えて水が行くということは余りないはずなので,そこの並列化というのはやりやすいはずなんですね。現在,五つの下水道の管轄区に分かれているとおっしゃっているので,そこの5並列プラスその中でのループの組み方を変えていくことで,今のところ,めどとしては何とかいけそうで,並列化がちゃんとできるようでしたら,あとはGPUに突っ込んでいけば何とかなるかなというのがめどとしてはございます。
 あと,マラリアの件なんですけれども,マラリアの今後と申しますか,SATREPSの枠組みで既に,実はマラリアがここに発生しそうだよという場合に,あらかじめそこの水たまりに消毒といいますか,蚊が発生しないようなものを入れるとか,あとお医者さんのローテーションを変えるとか,そういったことは現地側からの提案として出てきておりまして,この予報をベースにその運用をやるという話にはなっておりますので,その辺りが実際に使えていくことかなと思っております。
 あと,APIの役割と申しますか,APIがどういうふうに使われているかということなんですが,ビジネス用途も含めてですけど,やはり一番多いのはデータを切り出して持っていくというところが多いです。例えばひまわりのデータを一つとって見ても,巨大なデータですので,自分たちの地域だけを持ってきたいときに,緯度,経度と時間間隔というのを送ってきて,それでこちら側は返す。特に途上国で使う場合というのはどうしてもネットワークの帯域がないので,そこの極力小さいデータを持っていくという使い方が多いかなと思っております。
 あと,DIASの特徴といいますか,ハードウエア,どういうふうに運用していくのかという話ですけれども,さっきおっしゃったように,私と関根先生の方でモデルというものを作って運用していくと,出来上がるところまでは確かにできると思います。その後ずっと運用できるのかと言われると,そこはつらいところでして,だから,そこはやはりDIASとして,この後もお話があるのかもしれないですけど,事業母体,事業主体として開発というものと運用というものをある程度切り分けていかなきゃいけないかなとは,個人的には思っております。
 私からは以上です。
【川崎特任教授】  では,まず,田中委員から頂きましたデータに関する質問ですが,日本と海外では使えるデータが違っており,海外では主にグローバルデータを使った検討をしております。その目的の一つは,横展開を目指してなるべく汎用的なデータがいいと考え,そういうアプローチをとっております。ただ,システム開発による日本へのフィードバックという点でいうと,日本の研究者と現地の研究者で,日本と問題が異なる自然環境を対象に,一緒に,ゼロからではないですけれども,それこそ観測機器も設置しながらシステムを作っていくという,その経験から能力開発としての意味もあると思います。
 次に,山地委員の方からの言葉の御指摘,どうもありがとうございました。地下水に関しましては,私も専門ではなく分からないので,関係者に伝えさせていただきます。
 そして次に,沖委員からの御指摘に関しましてDIASの何が特徴かを整理した方がいいというのはおっしゃるとおりで,私も海外の学会とかでDIASを説明する機会がありますが,そこは明確な説明が求められるところだと思います。私自身の理解では,世界のeインフラストラクチャーと比べてDIASの特徴は,沖先生もおっしゃったとおり,多様なデータをリアルタイムで処理して,実際の問題解決とか意思決定につなげていく点にあります。ある目的のためにデータ統合を行うシステムというのは余り存在しないので,そこを強調するのは一つのアプローチと思います。あと,実運用というよりも,今はプロトタイプの開発がメインですが,ただ,多様なデータやシステムが同居するメリットは何かというところを我々の方でも明確に答えられるように整理したいと思っております。
 あと,土砂管理研究が土研と国総研が別々か,一緒にというのは,私は把握していませんので,調べさせていただきます。
 ありがとうございます。
【高村主査】  ありがとうございました。
 委員の先生方から御回答への追加の御質問もあるかと思いますけれども,まず,事務局からDIASの今後に向けた取組について御説明を頂いた後で,もう一度,改めて御意見のある委員からは御意見を頂こうと思います。
 では,事務局からお願いできますでしょうか。
【川上地球観測推進専門官】  はい。では,今後の取組の方向性について御説明いたします。
 まず,1枚目のスライドです。DIASのシステムの概要を示したものになりますが,ハードウエアの上にアプリケーション開発あり,そこから生み出された情報・データなどを様々な分野で利用いただくという階層になっております。この中で特に基礎となります一番下のハードウエアの部分が,現在,老朽化で問題になっております。一番大事な,一番根幹となる部分に対して,これから更新などの対策を行っていかなければならないと考えております。
 おめくりいただきまして2枚目のスライドになります。今現在行われている第3期の事業においては,学術研究や課題解決などに加え,民間企業なども含んだ形で,産学官で活用が可能なプラットフォームの構築を進めております。
 まず1番目,これまで活用してきたアプリケーション開発を通じて,様々な好事例の創出を行っております。それから,川崎先生から御説明がありましたダム管理システム,これが一番実用化に近いアプリケーションの一つであると考えておりまして,これを平成30年度中にある程度一定のめどをつけ,31年度から実装へ向けての試行を行っていきたいと考えております。
 次,2番目ですが,安定的な運用環境の整備につきまして,何度もお話ししていますが,ストレージなどの基盤システムの更新や増強に取り組んでまいりたいと考えております。また,三つ目のポツになりますが,民間企業などの利用を促進するため,データポリシー,料金制度,運営体制などについても検討を加速していく所存であります。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,ただいまありましたDIASの今後に向けた取組も踏まえて御意見を頂こうと思います。冒頭にありましたように,本日は,DIASの中間評価に向けた議論のスタートといいましょうか,論点出しという位置付けの会議だと思いますので,忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思います。ネームプレートを立てて,発言を希望される方はお知らせいただければと思います。
 それでは,江守委員,お願いできますでしょうか。
【江守委員】  ありがとうございます。
 まず一つ目は,さっき一つ目に質問したユーザーのことに関係するんですけれども,今御説明いただいた資料の1枚目で,三つレイヤーが描いてあって,その上に丸がちょこちょこっとつながっている絵があるわけですけれども,先ほど4,000人余りのアカウントを持っている方がいらっしゃるというのは,先ほどの説明では,僕のイメージでは,この上にある丸の人たちがそれぐらいいるのかなという,エンドユーザーというかですね。かつ,今後目指しているもの,今の御説明にあった産学官の使えるプラットフォームにしていきたいみたいな話というのは,むしろこの研究開発コミュニティという三つリングが描いてある上のリングのところにもっといろんな人が入っていって,エンドユーザーじゃなくて開発ユーザーというか,それが充実していくような,特に企業がお金を払って使いたいと言ってきて,どんどん入ってくるようなイメージなのかなと思ったんですけれども,それで正しいのかどうかというのをお聞きしたいというのが一つです。
 もう一つお伺いしたいんですけれども,沖さんの先ほどのコメントが正にそうだなと僕も思っていたんですけれども,DIASは何かということです。これは,僕も以前から何となくは,遠くから付き合っていてずっと疑問に思いながらというか,何だろうと思いながらいたところなんですけれども,今日の説明を伺った印象としては,データサーバー・プラス・アプリケーションサーバーなのかなと,現状ですね。それがDIASの本来目指していたものであるのかどうかというのが,僕は余りよく分からないというのが正直な印象です。昔よく,DIASにはたくさんデータを置いてくれるので,河宮さんも今日御発言あったように,気候モデルのアウトプットのデータをたくさん置いてくれるので,「DIASはデータサーバーですね」と言うとDIASの人は怒るということがよくあって,「DIASはデータサーバーじゃありません。そんな,データサーバーだと思ってこんなシステムを使うのはもったいないのであって,もっとすごい使い方をしなくちゃいけないんだ」というふうに言われたので,僕はそう理解していたんですけれども,現状と今後目指す方向がそうなっているのかどうかということを改めてお伺いしたいと思います。
 関連して,参考情報というか,御存じの方は御存じだと思いますけれども,例えば,僕がよく聞くのは,イギリスでJASMINEというシステムがあって,それは気候モデルのデータをたくさん入れていて,基本的にはそこで解析できるようになっているシステムです。今,高解像度のモデルが世界中で出てきて,たくさん実験をするようになって,データが膨大になって,それをダウンロードしてきて手元で解析するというのがどんどん非現実的になっていって,それがデータをたくさん置いてあるところに解析環境があるということがほかの国でも徐々に常識になりつつあって,そういうシステムが外国にもできているので,例えばそういう使い方というのはDIASの今後の使い方にどれぐらいスコープに入ってくるのかなということもちょっと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 御意見を先に頂いてから御回答いただこうと思います。
 関根委員,お願いいたします。
【関根委員】  ありがとうございました。今後の取組のところで好事例の創出とあるんですけれども,恐らくもともといろんなこういったことに使えるとかなり想定してこういったものを創られていると思うんですけれども,ここではそれ以上のものを創らないといけないということなのか,あるいは,もしそうであるとしたら,これはどういう形で創っていこうとしているのかということを教えていただきたいのが一つ。
 それともう一つは,今後,これを運用していくに当たって,やっぱり古いハードを交換したりとか,あるいは運用する上での人とかって,いろいろお金が掛かると思うんですけれども,それらを賄うことと,それからこういった好事例をうまく創っていって,どのくらい創っていくとそういったものが回っていくのか。これで別に利益を上げようとしていることではないと思うんですけれども,やっぱりずっと税金を出し続けるというよりは,そうやってうまく回していくということを考えておられると思うんですが,一体どのような形で進められるかということがもしあれば,教えていただきたいです。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,瀬川委員,その後,加藤委員,お願いいたします。
【瀬川委員】  どうもありがとうございます。このDIASのコミュニティの関係先の中で,例えば研究要素の部分では,防災科学技術研究所であるとか,あるいは実際の運用面であれば,国交省,それから気象庁など,そういったところとの何か連携なり,あるいは成果移転なり,いろいろあるべきじゃないかなと思います。その辺り,どのような構想になっているかというのを教えていただければと思います。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,加藤委員,お願いいたします。
【加藤委員】  ありがとうございます。ちょっと分野外の方からの質問で申し訳ないですけれども,今後の取組ということで,今,好事例を可能な限り出していくということを目標の第一に出されているので,そういうところを見て,既に前の質問にも入っていましたが,例えば,ただ予測をして,予報を出して,合いましたというのではなくて,やっぱりその先というところを含めた好事例が出るといいなと感じました。というのは,例えばマラリアの話でも,蚊が死滅するように出しますとか言いましたけど,そういう小さいところではなくて,余り明瞭には言えないんですけれども,予測をして,その予測が実はこんなに合いましたよではなくて,対策ができたので外れましたでもいいわけですよね。そこが解析できて,そのデータまで入ればこんなふうに変動しましたというようなところまで行くといいなというのは思いました。それは希望的なコメントであります。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,河宮委員,その後,田中委員,お願いいたします。
【河宮委員】  ありがとうございます。2枚目のスライドの安定的な運用環境の整備というところで,一般ユーザーの獲得についてなんですけれども,これ,今後,DIASを維持していくために最重要課題の一つだと思うんですが,今回報告いただいたような,あらかじめ目標がかなりはっきり決まっていて,そこに向かって突き進むという形でのDIASの利用にはいろいろと成果が出てきていると思うんですが,今後やっぱりユーザーを広げていくためには,もうちょっと緩やかなアプローチというのも必要かなと思っていて,大まかにこの分野に興味あります,例えば農業の適用に興味がありますという人がユーザーアカウントを持っていて,そこでいろんなデータにアクセスできて,その中からむしろDIASにアクセスすることで研究課題を見付けていくというような形でのユーザーの募集も必要なんじゃないかなと思います。こうすることで,さっきから言われているDIASとは何か,データが一か所に集まっているメリットは何かというところにもつながっていくと思いますし,ただ,問題として,そういうことをすると有象無象が寄ってたかって来るので,それに耐え切れるかどうかという心配はあると思いますが,それはそれで,さっきの基盤の充実というところが大切になってくるのかなと思います。
 以上,コメントです。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,田中委員,お願いいたします。
【田中(加)委員】  先ほど川崎先生にお答えいただいた件で,少し期待するところといいますか,コメントさせていただきます。海外展開のところで,日本がフィードバックして得るものがあるかについては,まだ模索中のような印象を受けました。確かに今の時点ではキャパビルといったことで貢献したといった事実が広がっていくことは分かりますが,私が思いますのは,キャパビルだけではなくて,本当にそこから実のある,日本にとってメリットのある方向性というのを検討していただければと強く思っています。例えば同じ精度のものが,データ種類が少なくてできるのであれば,つまり,他国の例を積み重ねることで重要なキーとなるデータの種類が明らかになるのであれば,ひるがえって日本についてもデータを絞り込めます。もちろん,ある程度構築するまでは詳細に必要だと思いますが,今後どんどん進めていくのであればコスト削減にもつながるという意味で,要らないところはそぎ落とすというようなこともできると思いますし,あるいは,今後,気象自体,気候自体がいろいろ異常気象も含め変わっていく中で,日本では今までなかったような事象が先に海外でいろいろ見えてきて,日本の気候も大きく変化するときに,海外での知見を生かせることというのは出てくるのではないかと思いますので,そういったところを少し模索していただければ大変有り難いと思います。
【高村主査】  ありがとうございます。
 手塚委員,お願いいたします。
【手塚委員】  どうもありがとうございました。ちょっと私もこの分野は必ずしも専門じゃないんですけれども,懸念というか,コメントをさせていただきます。実際に莫大(ばくだい)なデータベースがあって,それを使って何らかのアプリケーションができて,それが予測と現実と一致しているというところまでは見えてきているということで,海外を含めいろいろ展開するという話なんですけれども,例えば,本当にこれを実装するときにダムの管理システムに使うという話になってくると,セキュリティどうするのかという話が出てくるのではないか。つまり,たくさんの人が一つのデータベースにわっと寄ってたかっていろんなアプリケーションを作っていますとか,いろんな多方面の分野で活用しようとする汎用性があるのはいいんですけれども,一方で,多様な人が多様なアプローチを大元のデータベースなりデータソースなりにアクセスをし,自由に使えるような構造になっているが故にそういうことができていると思うんですけど,一方で,そこにリスクが発生してくる可能性もあるのではないのかと懸念します。特に,御説明にあったように,システムそのものが大分老朽化しているというお話もありましたけれども,そうしますと,世の中,今,特にこういうビッグデータの世界というのは大変セキュリティの問題がうるさくなっていて,企業なんかも持っているデータをいかにしてプロテクトするかというところに物すごいお金と人を掛けているんですが,何となくそちらの部分というのは,今,アウト・オブ・スコープというか,考えずに,いかに広げて使うかというところの展開にリソースを掛けられているような気がするんですけれども,本当にこれをオンラインで実装されたものに,極端な話,エネルギー供給システムであるダムなんかに使おうとしてくると,恐らくもう何階層か上のセキュリティシステムみたいなものを様々なゲートのところに作っていかないとまずいのではないのかなというふうな印象をちょっと持って伺っておりました。
 以上,コメントです。
【高村主査】  ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,幾つか具体的な点についての御質問がございましたので,事務局あるいは川崎先生,生駒先生からもし御回答いただけるところがありましたらお願いいたします。
【川上地球観測推進専門官】  では,事務局の方から幾つかお答えいたします。
 まず,企業に入っていただいてどのように利用いただくのかという点です。DIASは,今まで学術研究をベースとしてアプリケーション開発を行ってきましたので,最先端の学術研究をいきなり企業の皆様に分かりやすく使っていただくというのはちょっと難しい部分もあるかと思います。したがって今後,アプリケーション開発とユーザーの皆様との間に,コンシェルジュ,若しくはコンサルタントのような,間を取り持って上手に交通整理ができる機能の形成を進めていきたいと思います。現在,RESTECにこの機能を担っていただいておりますので,それをますます加速していきたいと考えております。
 あと,そのような形で民間のニーズを拾っていき,料金をどうDIASに入れていくのかという点に関しても,検討を進めております。DIAS自体のハードウエアを民間企業に使っていただき,それによって料金を頂く形も,もちろん今考えられる一つの候補です。一方,開発したアプリケーションを何らかの形で提供し,それを,DIAS本体ではないところで実際には動かしていただくことも今後出てくる可能性もあるかと考えております。企業によっては自前でハードウエアを御用意いただけるところもあるかもしれませんし,若しくは,今,民間企業がデータ提供を行う事業も始まる時代にもなりつつありますので,そのような事業との連携につきましても,検討いたしております。
 あとは,いろいろなところで緩やかなアプローチという河宮委員からの御指摘もありましたように,民間や学術研究などで,ますますDIASを活用していただきたいと考えております。
 あと御指摘のとおり,セキュリティなどについても,非常に頭を悩ませている点であります。堅固なセキュリティが必要であったり,システムの冗長性が非常に重要であるとの御要望の場合は,DIAS以外のハードウエアを使っていただくという選択肢も検討していく必要があると考えております。
 私の方からは以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,川崎先生,生駒先生から何かございましたら,お願いいたします。
【川崎特任教授】  貴重な御意見ありがとうございました。全部は答えられませんが,瀬川委員の方から御指摘がありました他機関との連携等に関しましては,XRAINや河川の監視カメラのデータとか気象系データ等は,国交省や気象庁と協議しながらDIASに格納するということを進めております。防災科学技術研究所とはまだ具体的な取決めは行ってないようですが,防災科学技術研究所が防災に関する日本の研究機関と連携を組む防災減災連携研究ハブ構想というのがあり,その中でDIASも位置付けられており,情報交換はしております。
【生駒特任准教授】  ありがとうございます。私の方からは,最初に江守委員のおっしゃった,DIASはデータベース・プラス・アプリケーションサーバーかという,そこの問い掛けに関しまして,DIASは第1期,第2期と進んでくるにつれて,いわゆるデータセンターからアプリ寄りにといいますか,実運用寄りに移ってきたという経緯がございます。JASMINEもよく存じていますけれども,解析もできるデータセンターと。結局,今はそうなってくるんだと思うんですよね。ある程度のデータ量を転送するのはネットワークがボトルネックになるのはみんな分かっていますので,じゃあ,そこでどこまでできるかと。データを置くだけではないと思うんです。その解析環境であったり,あるいはその発信する環境であったり,あるいは基礎的なツール群であったり,その辺りの整備をDIASとしては今後も進めていって,自分のところでこのデータを使ってサービスを開始したいというユーザーを取り込んでいくと。それが,先ほどほかの質問でも幾つかありましたけれども,そういうユーザー層の拡大というところにつながっていくかと思います。
 それとあと,河宮委員からありました緩やかなアプローチ,いろんな分野のというのは,実はDIASはコミュニティフォーラムとかを開催するときに,分野を幾つか分けまして,そこでかなり自由なディスカッション,例えばDIASはこんなふうに使えるのかと,こういうノウハウ,使ったことある人いますかというような意見交換の場を,最近,積極的に作るようにしております。そこにもちろん我々DIAS関係者も参加しておりますし,DIASを使ったことがある人たちを積極的にお誘いいたしまして,そこで意見交換から新たなニーズあるいは新たなアイデアというのが出てきたら,こちら側にもフィードバックし,使う側にも何かDIASの新しい使い方を提案していただけるような,そういう流れをよく進めてきております。
 あと,セキュリティのところは,私はシステム関係の人間なのでよく分かっているんですけれども,圧倒的にコストが掛かります。これは物すごく掛かります。なので,先ほど川上専門官がおっしゃったように,やはりビジネスも含めて考えていくと,恐らくデータを入れる側,データを預ける側もセキュリティを担保されてないと預けにくいというケースが今後は絶対出てくると思いますので,どうしてもコストの話になってしまうんですけれども,ある程度必要な部分はセキュリティを守る。最初は多分大きくできないと思います。その小さいエリアに本当に重要なところを置いてという,今のDIASのシステムとは少し分かれたシステムというのを別途作っていかなきゃいけないかなと感じております。
 私からは以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたけれども,本日は中間評価を行うに当たっての議論のスタートという位置付けだったと思います。DIASを使って社会的なニーズに応えるようなアウトプットというのが見えてきつつある,そういう意味では大変プロミシングな状況にあるわけですが,同時に,今後,DIASの在り方を考えるときに,何を強みに,何を特徴に,どういう機能を強化していくのかということも委員の先生方から御指摘があった点かと思います。とはいえ,現状の機能を維持するためにも一定の機材の更新が必要というところも改めて御指摘があった点と思いますので,引き続きこの点,DIASの今後に向けてということで議論を進めていきたいと思います。
 よろしいでしょうか。本郷委員,それでは,最後にお願いいたします。
【本郷委員】  私もどちらかというとDIASの運営側の方の立場でもあるので,今までコメントしてこなかったんですけれども,最後に,議論の終わりのところで私なりのコメントというか,アドバイスいただきたいという点を申し上げたいなと思います。
 まず,DIASはデータか,あるいはアプリかという話であれば,生駒先生が説明していただきましたけれども,両方だろうし,それから,できるだけこのアプリのところには民間企業の人たちがどんどん入ってきてやっていただくというのがベストではないかなと考えている。そういう意味では,パイロット事業というか,こういうこともできるんだよというようなことを示すというところが一番のポイントではないかなというところです。
 それからもう一つは,こういうことができるという話と,こういうことに使うというところにやっぱり大きな違いがあるわけで,これは田中委員からも御指摘があった点だろうとは思うんですけれども,いかにこのギャップを小さくしていくか。実際の利用するところとDIASのところでできるといったところ,このギャップを小さくしていくかというのが実際大きな課題になっていて,それで,生駒先生がちょっと紹介しましたコミュニティグループというのがあるんですけど,例えば去年ですね,防災・食料・エネルギー,こういった典型的な社会課題をこちらで想定し,そういうテーマに沿った形でソリューションを提供できるDIAS側の人と実際に使いたい人,この両方が集まって議論すると,そういうようなことをやりました。
 それで,もう一つ,これから課題として,あるいは考えていきたいなと思っているのはSDGsでして,SDGsというのは誰もが否定できない非常に重要な課題ということで,共通としてみんな認識されているわけで,これをどう使っていくか。沖先生が国連大学でいろいろやられているというのはウェブで見ておりますけれども,是非この使い方,恐らくは,どういう点にリソースを配分していくか,それは政策あるいは民間が配分していくかを想定しながらDIASが協力していくと,そういった話ではないのかなと思っています。
 それからもう一つ,最近,課題になっていることがあります。データといいますか,基盤系の話の強化というのは是非お願いしたいところです。これに加えて,著作権とかそういった点の整理なんですね。これを実際に研究以外のところで利用していただこうとなると,あるいは商業的に利用していただくことになるとすれば,著作権の問題とかいろいろ整理していかなきゃいけない。ところが,実際の大学の先生方がずっと長い間研究してきて,それがいろんな形で蓄積してきたものを利用するとなると,そもそもどういう形,所有権があるのか,誰が持っているのかと,こういった点も実は結構大きな問題で,今,悩んでいるところでございます。今日に限らず,是非こういった点についていろいろアドバイスいただければ有り難いなと思っております。
【高村主査】  ありがとうございます。今頂きました御意見は,ユーザー側から見たときに今後活用していく上での課題を御示唆いただいていると思いますので,今後の検討の際に留意を頂ければと思います。
 それでは,次の議題に移ってまいりたいと思います。川崎先生,生駒先生,どうもありがとうございました。
 それでは,議題の(2)でございますけれども,環境分野,特に気候変動に関する分野の研究開発の推進についてでございます。
 まず,最近の環境分野を取り巻く状況変化に応じた気候変動予測研究について,事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【平田課長補佐】  それでは,資料2-1に基づきまして御説明申し上げます。
 スライドの1枚目でございますが,前回の委員会における議論についてまとめさせていただきました。上の囲みでございますが,前回委員会において,「今後留意・検討すべき事項・課題」として御議論いただいた内容でございます。
 気候変動の影響への適応を推進するため,気候変動予測に係る研究成果が実際に地方公共団体や企業等における対策につながり,活用されるため,実際の支援を行う環境省等との密接な連携に取り組むべきではないかと。
 これに対しまして,各委員から頂いた御意見のポイントをまとめさせていただきました。
 まず,気候変動分野の基礎的研究と影響評価の実務に直接役立つ研究,これらのバランスをとった取組,どちらも重要であるということの御指摘がございました。
 それから,文部科学省に対しましては,研究開発という軸で適応への貢献をすることが期待されるということ。
 三つ目ですが,適応に関わる各省との連携によりまして,全体としての効率性あるいは責任の明確化というような視点も重要ではないか。
 四つ目ですが,自治体内部での部局間の連携を促すためには国においても府省間の連携が必要ではないかという点。
 最後に,創生プログラム,統合プログラム,SI-CAT,これらの取組は地方自治体の適応計画や,あるいは民間ビジネスにおける気候変動リスク評価に不可欠な情報であると。社会的ニーズが強いことを踏まえた継続的な取組が必要であるというような御指摘を頂いたところでございます。
 スライドの2枚目でございますが,気候変動対策に関する近年の情勢をまとめさせていただきました。
 まず,世界に目を向けますと,パリ協定の合意,発効,それからIPCCのAR5の報告書公表,それからAR6の報告書の作成プロセスが始まっておりまして,三つの特別報告書,インベントリガイドラインの改訂,各作業部会の評価報告書及び統合報告書の作成作業が始まっております。
 一方,国内でございますが,「地球温暖化対策計画」の閣議決定,それから「気候変動の影響への適応計画」の閣議決定,それから先月でございますが,国会におきまして「気候変動適応法」が成立したところでございます。
 3枚目のスライドでございますが,気候変動対策に関しまして文部科学省としてこのような国際貢献あるいは連携をしているということの御紹介でございます。
 まず上の方ですが,IPCCに関しましては,文部科学省はワーキンググループ1(科学的根拠)を担当してございまして,報告書の作成過程において,文科省の気候変動対策事業の成果である気候モデル,これは世界一利用され,論文引用も急増しているということでございます。それから,先ほども御紹介したとおり,AR6の各種報告書も含めて作成が進行中でございます。2019年にはIPCCのGHGインベントリガイドラインが改訂され,衛星観測データの活用,これの記載が入る可能性がございます。これらIPCCの知見がUNFCCCあるいはCOPに活用されるというようなことでございまして,2023年からグローバル・ストックテイクが開始するというような予定になってございます。
 一方,下の方でございますが,国際的な連携の取組の一例といたしまして,日EU気候変動ワークショップというような取組も進めてございます。これは,日本とEU間の政府レベルの科学技術協力の合意に基づきまして,これまで数年ごとにワークショップを交互に開催しておるものでございます。次回は2019年にベルギーで開催する予定でございまして,第一線の気候モデル研究者との情報交換を通じまして,両国の気候変動予測研究の向上あるいは国際共同論文の増加,今後の研究協力の可能性を探るということが期待されてございます。
 4ページ目でございますが,気候変動適応法でございます。6月に成立いたしましたが,ここでは,国の責務として,気候変動等に関する科学的知見の充実及びその活用,情報の収集・提供の体制確保等。一方,地方自治体におきましては,地域気候変動適応計画の策定努力義務が課されているところでございます。
 5ページ目です。適応策の策定までの流れを簡単にまとめた図でございますが,適応策の策定には,気候変動の実態(観測),それから見通し(予測)を行い,各分野への影響予測・評価,それから適応策の検討という形で検討が行われます。文部科学省は気象庁と協力しまして,気候モデルの開発,観測,予測などを行ってまいりました。この研究成果につきましては,気候予測データセットとして各分野の影響予測評価へ提供してございます。
 6ページ目でございます。文部科学省の取組の例でございますが,文科省は,気候変動適応戦略イニシアチブとして,モデルの開発・高度化,それから適応技術の開発,社会実装,これらの研究開発の基盤でございますDIASによる自治体や企業への情報提供,あるいは地球シミュレータの整備・運用,人工衛星によるリモートセンシングをはじめとする地球観測などを推進してございます。これらの成果がIPCC,GEO,SDGsなどの国際的取組,あるいは国内においては関係省庁や自治体における適応策の検討などの気候変動対策へ貢献してございます。
 7枚目でございますが,ここに挙げました関係省庁の適応への様々な取組に対しまして,文部科学省は科学的知見を充実・提供してございます。例えば,環境省のA-PLATや地域適応コンソーシアム事業に対しまして,文科省のプロジェクトから創出されました気候変動予測情報を提供しまして,自治体や事業者の方々に使っていただくことで,文科省としてもフィードバックを頂きながらニーズの把握に努めているということでございます。
 8枚目でございますが,最後に,気候変動情報に関する主なニーズと課題,今後の取組(案)ということでまとめさせていただきました。
 一番上の三角ですが,国際的には,2023年から5年ごとにグローバル・ストックテイクが実施されます。2019年度中にはIPCCガイドラインが改訂されまして,衛星観測データの活用が明文化される可能性がございます。
 それから二つ目の三角ですが,ここには日本の関係の衛星を挙げてございますが,衛星観測データが充実してきているという状況がございます。これらを踏まえまして,矢印のところでございますが,2023年のグローバル・ストックテイクの開始も見据えまして,新たに衛星観測データの実測値などの地球観測データを地球システムモデルに同化して,将来予測の精度を向上させるための技術開発が重要ではないかということが一つでございます。
 それから三つ目の三角にございますとおり,IPCCやCOPなど,気候変動対策に関する国際貢献・連携が引き続き求められているということを踏まえまして,その下の矢印でございますが,日EU気候変動ワークショップに専門家を派遣し,第一線の気候モデル研究者との情報交換を行っていくということを通じまして,IPCCやCOP等での我が国の発信力強化に向けた取組を継続していくことが重要ではないかということが二つ目でございます。
 9ページ目でございますが,国内におきましては,適応法の成立を受けまして,今後,自治体での適応計画策定の動きが加速する見込みでございます。
 その中で,繰り返しになりますが,国の責務として,気候変動等に関する科学的知見の充実が求められているところでございます。
 文科省では,統合プログラム,SI-CAT,DIASの推進を通じまして,気候モデルの高度化などの基礎的研究,それから予測情報の創出や影響評価手法の研究開発を通じた貢献が期待されているところでございます。
 創生プログラムやSI-CATで作成した予測情報は,環境省の地域適応コンソーシアム事業におきまして,主に気温や降水量につきましては自然災害分野を中心に活用されておりますが,これ以外にも農林水産業や健康被害など幅広い分野で気候変動の影響評価に活用されております。この中で,気温と降水量に加えましてほかの要素,例えば日射,湿度,風速などにつきましても高度化していくということがニーズとしてあるということが分かってきており,文科省に対してこれらに関する技術開発を求める声が上がっております。これらのことを踏まえまして,矢印でございますが,気温,降水量に加えまして,これまでの気候モデルでは必ずしも精度が十分ではなかった日射,湿度,風速などの要素を高度化するためのモデル開発に取り組むということで,各地域や各分野のニーズに応えるということが重要ではないかということが,今後の取組の案でございます。
 説明は以上でございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,ただいまの御説明について,御質問,御意見ございましたら,ネームプレートを立ててお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。ありがとうございます,沖委員,お願いいたします。
【沖委員】  ありがとうございます。ページ番号5枚目で適応策の策定までの流れというところが非常に直線的に書かれていて,これはこのとおりだとは思うんですが,多分,IPCCの第5次評価報告書,第2作業部会の方をごらんいただくと,その適応策というのはリスクマネジメントのフレームワークで考えようとなっております。そういう意味では,流れとしてはこうなのですが,ハザードとそれを受ける社会側の話があって,リスクマネジメントの観点を入れるということは,どういうリスクが考えられて,それに対してどうアクションするかを意思決定してというようなプロセスが入ります。なぜそれが大事かといいますと,例えば気温が上がって農作物がとれなくなるというときに,今と同じものを何としてもとれるような施設の導入に投資するのか,別のものを作って収入が稼げればいいとするのかとか,いろんな選択肢があると。そういうことをきちんと吟味する,あるいは経済合理性を考える。つまり,適応策をする場合としない場合,した場合にどのぐらい便益があって,しなかった場合にどのぐらい損があるかということをきちんと冷静にステークホルダー間で考えるといったプロセスが入ると思いますので,ちょっとその辺も参考にしていただいたらどうかなと思いました。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 山地委員,お願いいたします。
【山地委員】  ありがとうございます。適応についてなんですが,前から何回か申し上げていると思うんですけど,この気候変動適応法に基づけば,やっぱり国内の自治体と協力して国内の対応を打つということは十分理解しておりますけれども,やっぱり今,より緊急性があり,かつ効果が大きいのは途上国を中心とする海外,グローバルな貢献だと思うんですね,適応に関しても。だから,その部分を,もちろん文科省の守備範囲とずれているということなのかもしれませんけど,しかし,先ほどのDIASの話を聞いてもやっぱりそういうところで貢献しているので,国内適応だけ言うんじゃなくて,グローバルな視野を持って適応も役立てる,その中で我が国の貢献を位置付ける,そういうスタンスも必要じゃないかと思います。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,江守委員,お願いいたします。
【江守委員】  ありがとうございます。環境省方面から来ているもので,その観点からの補足を2点申し上げたいと思います。
 一つ目は,今,正に山地さんがおっしゃったところで,例えば7ページ目で関係省庁の取組として,一番上に環境省のA-PLATというのが書いてあるんですけれども,A-PLATは国内向けのプラットフォームなんですが,それに遅れてAP-PLATというアジア・パシフィックのプラットフォームというのも立ち上げていて,途上国をはじめとして海外に貢献していきたいということで取り組んでいると理解しています。
 二つ目に関しては,この同じページの下から3分の1ぐらいのところに環境省の検討チームというのが書いてあるんですが,気候変動予測及び影響評価の連携推進に向けた検討チームというのが書いてありまして,これは僕も参加しているんですが,何をやっているかというと,気候変動の予測の研究プロジェクトだけでも国内にもちろん主に文科省が主導してくださっている気候モデルが複数あって,その中で,国内の影響検討につなげていくためにはその間がどういうコーディネーションがあったらいいかとか,あるいは影響評価のための気候シナリオみたいなものを用意するときに,どういう考え方とか手順とか作業が必要かみたいなことを,気候予測と影響評価の両面から専門家が参加して検討しています。これ,結構大事だと思っているので,先ほど言及されなかったので,補足しておきます。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 河宮委員,お願いいたします。
【河宮委員】  ありがとうございます。この資料では主に適応の観点から気候予測あるいは影響評価の研究の今後ということをお話しされたと思うんですけれども,例えば8枚目にある「地球観測データを地球システムモデルに同化し,」云々(うんぬん)というのは,最近,機運が高まっているのは生態系なんかにもそういうデータを応用して二酸化炭素予測にも生かそうという話で,どちらかというと緩和に近い話かと思うので,そういう観点からの文科省の貢献というまとめもあった方がいいのかなと思いました。
 それで,衛星データとモデルとの連携みたいな話は私の専門に非常に近いところなので,余り大事だと言うのははばかられるんですが,大事ですので,忌憚(きたん)のない御意見をということなので,はばかりなく申し上げてみましたけれども,そういう緩和の観点も入れながら,こういうことの重要性をこれからちゃんと主張していってほしいかなと思います。
【高村主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 私も2点ほど申し上げようと思います。既に書いてはいただいているんですが,今回,適応法が通って,3条の規定にありますが,気候変動の影響に関する適応策もそうですが,気候変動,気候変動の影響に関する知見を充実することが国の責務になっているというのは,非常に重要なところだと思っています。適応計画の前提となる気候変動の影響をそもそも5年に少なくとも1回ぐらいは評価をすることになっており,ここにも書いてくださっているように適応法は非常に重要な規定を置いていると思うんですが,それを支える財政基盤をどうするか,やはり恒常的に評価をしていくということ,知見を充実していくというのをどうするかというのは国として非常に大きな課題ではないかと思っております。
 2点目は,これは山地委員からもあった点でありますけれども,国際的に見るとやはり気候変動にインデュースされた移民,人の移動ですとか,あるいは,これは沖委員が研究していらっしゃるところでしょうか,海外の気候変動の影響によって日本の産業のサプライチェーンに影響があるような場合も考えると,海外の影響評価,リスク評価をどうしていくかというのは,一つやはり大きな課題なんだろうと思います。全てできるとは思いませんけれども,何か重点を明確にしながら進めていくということは有用ではないかと私も思っております。
 それでは,事務局から何かございましたらお願いいたします。なければ次の議題に移ってまいります。
【平田課長補佐】  はい,ありがとうございます。様々な御指摘を頂きました。一つだけ,海外での適応への貢献という視点でございますが,現在,統合プログラムのテーマDの中でもそのような視点で活動していただいておりまして,その点,引き続き努力してまいりたいと考えております。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,続きまして,資料2-2でしょうか,こちら,SDGs達成に向けた研究開発の推進について,事務局から御説明をお願いいたします。
【佐藤環境科学技術推進官】  それでは,資料2-2に基づきまして説明させていただきます。
 1ページおめくりいただきまして,前回委員会において議論いただいたことについておさらいさせていただきたいと思います。
 前回,今年の1月22日ですけれども,委員会において,「今後留意すべき・検討すべき事項・課題」として御議論いただいた内容ということで二つございます。これらの二つに対しまして,各委員からの御意見のポイントをぎゅっと圧縮してまとめますと,3点ありました。一つは,日本政府全体の動きの中で,文科省が果たす役割を意識する必要性があるでしょうというということです。また,トランスディシプリナリー研究そのものと,そこから得られた成果や課題の横展開が重要でしょうというコメントもありました。三つ目については,科学技術の観点からのSDGsへの貢献ということで,様々なレベルでのSDGsへの貢献を念頭に置いた研究開発ですとか,複数課題の同時解決が必要でしょうとか,また,人材育成も大事でしょうといったこと等々の御意見を頂いたところでございます。
 1ページおめくりいただきまして,本年4月17日,文部科学省はSTI for SDGsに関する基本方針を取りまとめました。SDGsを取り巻く国際的な動向ですとか,政府全体の取組ですとか,政府外の取組ということに関しては,皆様御案内のとおりだと思いますので説明を割愛させていただきますが,これらを受けまして,文部科学省の役割・取組方針ということで3点まとめております。一つは,多様な研究機関等を所管しております。主要な科学技術施策を実施していることから,政府全体の取組に積極的に参画し,主体的に貢献していく必要があるということ。また,二つ目ですけれども,既に各種施策を通じてSDGs課題の解決に寄与してきた実績等も踏まえつつ,更に施策を充実するということ。三つ目,特に重要ですけれども,STI for SDGsの取組がSTIの在り方自身に変革を迫る契機であることを踏まえ,創造的・革新的技術シーズの創出とバックキャスト・デザイン思考の効果的な組合せ,多様な専門家が分野等を超えて結集して新たなアイデアの創出を促進する仕組み,各セクターを越境しつなぐ人材の育成等が必要であるという視点を持って具体的に取組を推進していくというのは,これは文科省の役割という基本方針であります。
 これを踏まえて,STI for SDGs推進に向けた文科省の取組についてですけれども,(1)としてSTI for SDGs施策パッケージというものを今策定中であります。これについては二つ目のポツですけれども,STI for SDGsの推進を担う人材育成と,人文・社会科学と自然科学との連携,続いて地方創生への寄与の重要性,これを念頭に置いて検討する必要があるということでございます。
 (2)についても,三つ目のポツをごらんください。STI for SDGsに関する知見や実績を有するJSTと連携するとともに,産業界・大学・研究機関・NPO・国際機関等が参画する各種オープンプラットフォーム等を通じて議論を行うなど,多様なステークホルダーとの連携による共創を推進するということが書かれております。ここで繰り返しますけれども,JSTと連携するということと,多様なステークホルダーとの連携による共創の推進が大事だということを繰り返させていただきます。
 1ページおめくりください。ここで,本日,委員の皆様方に御議論いただきたい,またアドバイスいただきたいポイント,2点御説明したいと思います。これから私は,SDGs達成に向けて文科省及びJSTで検討中の新規プログラム案,これについて説明いたします。このプログラム案のイメージをより明確化するために,例えばの例として想定される関連分野のプロジェクト,これについても説明いたします。そこで,委員の皆様方におかれましては,今,新規検討中のこのプログラムについて,もっとこうしたらいいのではないかというようなコメントを頂ければと思います。もう一つは,例として示すプロジェクトについて,ほかにもこのようなプロジェクトが考えられるのではないかといったコメントを頂ければと思います。それでは,説明させていただきたいと思います。
 まず,検討中の新規プログラム案の背景ですけれども,先ほど説明しましたように,地域社会にはSDGs達成を困難とする様々な社会課題が存在します。例えば,重要性が認識されていない課題ですとか,利害関係の対立があるものですとか,互いに関連し合った複数の課題が同時に存在することによる複雑化したものですとか,また,これらが複合的に絡み合っている課題ですとか,こういった社会課題が存在しております。SDGs達成への貢献には,このような社会課題に対するソリューションの提示・構築が必要と考えられます。このときには,多様なステークホルダーの幅広い知見の融合,科学的根拠に基づく実現可能性の提示,これらが重要になると思います。こういった社会課題に対するソリューションは,これまでの事業を活用しつつ,一つの地域にとどまらず,ほかの地域に展開したり,国際的,グローバルに展開したりするということが重要だろうと思っております。
 こういったことを踏まえまして,新規プログラムの実施内容案について御説明いたします。SDGs達成に向けては,社会課題の明確化からソリューション創出までを一体的に推進する必要があります。具体的には,複数の重点テーマを掲げ,重点テーマごとに複数のプロジェクトを採択する新たな競争的研究資金プログラムの創設を考えています。各重点テーマには,シナジー/トレードオフ関係にあるSDGsの達成を目指すものを設定したいと考えています。そこには,社会課題の明確化からソリューション創出までを多様なステークホルダーを巻き込んだ共創の場を構築し,かつ自然科学のみならず人文・社会科学を統合し活用することで,科学的手法に立脚したソリューションを構築することを考えています。このようなソリューションについては,積極的な水平展開に向けて,科学的な分析等により,適応可能条件や環境設定を提示したいと考えています。一つのソリューションができたらそれで終わりではなくて,ほかの地方自治体や,グローバルに展開するために,適応可能条件や環境設定を提示するということが必要だろうと考えています。
 これをスキームに落とし込んだものが次のページになります。まず,重点テーマを掲げます。その後,社会課題の抽出をし,ソリューションの仮説を行います。その後研究者や多様なステークホルダーとの共創を踏まえた社会実証が行われ,一つのソリューションが構築されます。そのソリューションを一つにとどまらせることなく,ほかに適応可能にするために,ソリューションの適応可能条件や環境設定の提示,いわゆる一般化というものを試みたいと思っています。そうすることによって他地域への展開やグローバルな展開が図られ,社会問題が解決し,SDGsの達成がなされるということを考えています。この一連の流れにおいては,上段のピンクで染めた部分の,科学的手法,具体的には,自然科学研究者のみならず,人文科学研究者,社会科学研究者が参画した科学的手法を用いた課題解決プロセスが重要だと思います。また,下のピンク部分について,これらの一連の流れには,研究者のみならず, NPO,自治体,ソーシャルビジネス,企業等のステークホルダーとのネットワークの構築・拡大が重要だろうと思っています。また,こういった取組については,JST/RISTEXで既に蓄積されたコミュニティ・ノウハウがありますので,これらを十分に活用して推進すべきであると思います。
 さて,このように現在検討中のプログラム案のイメージをより具体化するために,環境エネルギー分野におけるプロジェクト例を三つ御紹介いたします。
 一つは,気候変動に適応した持続可能な農業モデルの構築です。まず,社会課題としては,気候変動が農産物の生産に大きな影響を与えることによる,経済的影響や農業持続可能性の低下や,高齢化や人口減少の進行に伴う農業の担い手の不足,こういった社会課題があります。これに対してソリューションとして考えられるのが,農業分野における気候変動の影響の軽減,適応策のパッケージが考えられます。具体的には,科学的手法として,栽培管理技術等の開発,これは農学ですとか環境学等のディシプリンが必要になると思います。また,リスク管理と水資源・土地利用とのシナジー/トレードオフ分析ということに関しては,農学ですとか環境学,また経済学等のディシプリンが必要になると思います。こういった科学的手法と,行政,地方大学,農研機構,農業協同組合,農家等のステークホルダーとのネットワーク構築・拡大が重要です。こうしたことをすることによって期待される効果として,農業分野における気候変動適応の推進や,持続可能な農業のロールモデルの提示がなされることによって,右下にありますSDGsの2番,11番,13番,15番が達成されるのではないかと,このように考えているところでございます。
 1ページめくりまして,最後のページです。プロジェクト例の二つ目ですけれども,限界集落に適した分散型水資源マネジメントシステムの構築としては,このような二つの社会課題があります。ソリューションとしては,限界集落における安全かつ持続可能な水の供給を実現する分散型水資源マネジメントシステムが考えられ,科学的手法とステークホルダーの巻き込みによって,安全かつ持続的な水供給を実現し,これによってSDGsの6番,11番,13番が達成されるのではないかと考えています。
 最後の三つ目のプロジェクト例ですけれども,持続可能な沿岸海域環境マネジメントシステムの構築ということで,説明は割愛しますけど,社会課題についてはこのような二つの課題があります。これに対するソリューションとして,沿岸海域の生態系保全と産業振興を両立する持続可能な沿岸海域環境マネジメントシステムが考えられ,科学的手法とステークホルダーの巻き込みによって,持続可能な沿岸海域環境を実現し,SDGsの11番,13番,14番を達成していきたいと,こういったことを今考えているところでございます。
 繰り返しになりますけれども,本日,委員の皆様に御議論,アドバイスいただきたいことは二つあります。一つは,先ほど御説明した大きなプログラム,これについてまだ検討中の段階でありますので,是非こうしたらいいんじゃないかというコメントがあったら,是非頂ければと思います。もう一つは,具体的なプロジェクトということで環境エネルギー分野の例を示しましたけれども,これに限らず,例えばこんな社会課題があるので,こんなソリューションが必要だというようなアイデアがございましたら,是非とも御提示いただければと思います。
 私からの説明は以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,ただいま頂きました御説明に御質問,御意見を頂きたいと思いますが,事務局からのリクエストは非常にクリアで,二つの点について是非アイデアを頂きたいということですので,お知恵を頂きたいと思います。重要な議題ですので,できるだけ多くの方に発言をしていただきたいと思いますので,できるだけ簡潔にお願いできればと思います。
 まず江守委員,その後,花木委員,お願いいたします。
【江守委員】  ありがとうございます。一般的な点の方に発言したいと思うんですけれども,基本的には,このような課題に予算が提案されることというのは非常にいいことだなと思って聞いていたんですが,もう既に書かれているRISTEXでアクションリサーチということをやられていて,それに近い部分があって,近い部分に関しては活用していくことになる。僕の理解では,それとの違いは,今回の提案というのはSTIということがそこに加わってきていて,科学技術の手法をより前面に出すような形でそういうことをやっていこうということなのかなと理解しました。そのときに,非常に漠然と思ったことなんですけれども,どういうふうにうまくいくのか,いかないのかというのを想像したときに,STIが入ると,あるこういう課題をこういう科学技術を使って解決しますという提案を研究グループがまず出してくるわけですよね。そうすると,そこにはやっぱり科学技術シーズというか,この道具を使って基本的には解決したいんだというのが最初にあるんだと思うんです。それで,これは課題提案よりも前にどれぐらい練ってあるかにもよるんですけれども,課題を始めていろんなステークホルダーと話をしてみたら,実は問題はそうじゃないと。あなたが使いたがっているその科学技術の道具を使ってやる話というのは非常に二次的であって,本当は違うことが大事なんだというような話になってきたときにちゃんと着地するのかどうかというのが,ちょっと想像したときにそういう問題があるんじゃないかなと思いました。何かそういうことを考えたデザインになるといいなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,花木委員,お願いいたします。その後,瀬川委員,お願いいたします。
【花木主査代理】  それでは,コメントということでちょっと言わせていただきます。このプログラム案として今三つ提示されていまして,いわば従来の文部科学省の領域でないところに入っていくということで,それは賛成であります。とはいえ,このターゲットを見ると,たしかSDGsのコンセプトであるNo one left behindというのをすごく意識されていて,マイノリティーあるいは非常に従事している人が少ないところにターゲットが当たっていると思うんですね。農業も専業でやっている方は非常に少ないと。それから,限界集落,これも非常にマイノリティーであると。三つ目も漁業のことを書いておられて,必ずしも主要ではないと。そこに焦点を当てるのは,それはそれでポリシーとしてはいいんですけど,研究プロジェクトとしてやるときに,やはり社会的な問題として日本が直面している問題がほかにもいろいろあると。高齢社会の問題,それから少子化の問題,それに伴ってそもそもここにある限界集落のようなものができてしまう問題,そういったもう少し大きい問題があるので,それをいわば差し置いて,非常に分かりやすいといえば分かりやすいんですが,マイナーなところに問題のプロジェクトを設定していくという辺りは,やや危ういところも感じると思います。それぞれのこの三つを設定していくのはいいんですが,それぞれに広がりを持たせるような形にできないかとか,限界集落だと,この水に限らず,そもそも限界集落自身をどうしていくかという問題に広げていくとか,その辺があればよりいいかなと思いました。
 これはコメントでございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,瀬川委員,お願いいたします。
【瀬川委員】  大変面白いプロジェクトをお考えいただいて,よろしいと思います。複数課題の同時解決であるとか,あるいは人文・社会科学にも力点を置いているというところは,非常に良いと思います。
 一方,最後の方のプロジェクト例のところで若干心配になったのが,人材育成の観点が少し弱まっているのではないかなという点です。せっかく全体のお話の中で,人材育成,文科省としてどういうふうに取り組むのかという点が強調されていたので,是非そこのところはうまい形で盛り込むようにお考えいただければなと思います。
 それからもう一つ,「地域」といったときに地方に寄り過ぎかなという感じがいたします。都市部の問題などボリュームゾーンの大きいところをもう少し考えていただければよいと思います。例えば企業等との連携も含めてうまく考えられるような仕組みというのは,事例としてたくさんあると思うので,その辺をお考えいただければなと思います。
 【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,本郷委員,その後,市橋委員,お願いいたします。
【本郷委員】  ありがとうございます。SDGsの場合,何が重点課題として自分たちで取り上げるのか,その選定が非常に重要になってくるわけだと思うんですが,そのときに,文部科学省のこのいろんなプログラムというものは,基本的に何かをやるための材料といいますか,ソリューションを提供し,実際にやるのはまた別のところにいるわけです。だとすれば,実際に社会的課題に本当にやる人たちの意向というか,意見,それをよく聞くということが大事になるんじゃないか。これは江守先生がおっしゃったのと全く同じ発想なんですけど,まず需要と供給ということを考えると,需要側をよく聞いて,その上で選ぶ。そのときにどういうやり方をするのがいいのか。余り議論ばっかりしてもしようがないと思うんですけれども,様々な人から意見を聞く。この場も一つですけど,この場に限らず,いろんなグループから聞いて,その中で総合判断していくということが大事だろうと。ただ,一方で,そうした場合に,抜け落ちることもあるわけです。需要側の方ではこう思っているんだけど,やっぱりこちらから見るとこういうところもあるんじゃないかなというところも当然あるわけですので,その二つ。需要側から見た,いわば出口から見た話と,それからこちら側が考えた独自の話というのを,二つに分けて,一緒にしないと。そういう整理をうまくしていかないと,せっかくやっても余り評価されないというか,役に立たなかったということになるんじゃないかなと思うので,是非この二つを分けるという発想,需要と供給,出口側と供給側,分けるということを考えていただいたらどうかなと思います。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,市橋委員,その後,沖委員,お願いいたします。
【市橋委員】  今までほかの先生方が言われたような話とちょっとかぶる部分があるのですけれども,都市課題はやはり一つ大きな重要なポイントだと考えます。今挙げてもらっているマイノリティーの課題と都市課題は,かなり密接に関連していて表裏一体となっていると思います。是非そういう見せ方で都市とそれ以外のマイノリティーの課題を見せていただくと,より整理がしやすいのかなと考えました。
 一方で,都市課題の方は,適応の文脈なんかで考えてもやっぱり人文・社会科学の部分が弱くて,ステークホルダーの意見をどう拾い上げるかというようなところが実はこれからすごく重要になっていく。あと脆弱(ぜいじゃく)性の評価のやり方とか,その辺が適応においてはすごく重要になってくるのですけれども,そういうところがまだまだ弱くて,今後強化が必要だと考えます。これは,当然行き着く先はSDGsに貢献できるところになるので,取り入れていただけると有り難いかなと思いました。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,沖委員,お願いいたします。
【沖委員】  はい,ありがとうございます。
 まず1点目は,SDGs,文書をごらんいただきますと,2030アジェンダにはスポーツに関しては若干言及があり,ターゲットに文化的多様性というのは教育のところで少し,文化的多様性の教育はするというのはありますけれども,文化的な多様性を大事にしようという文言はないのです。スポーツに関してはターゲットに何もないということです。もっと言うと,知的好奇心の充足というのもない。それをよしとするのか,そうではなくて,日本の文科省としてはそういうことも2030年に向けた人類のwell-beingの向上には大事だということで取り組むのだという方向性を打ち出していただくのが良いのではないかと思います。
 適応というのはSDGsと相性がよいので,先ほどの適応の議論と今回のSDGsを分けずに議論した方がよかったのではないかと思っているぐらいですが,都市の問題はAR7,今AR6を準備中ですが,AR7では重点を置くということに,この前,プレナリーで決まっていると思いますので,是非仕込みとしては,都市の気候とアダプテーションというのを前面に考えられてはどうかと思います。ヒートアイランドと温暖化の影響と先ほどの下水のシミュレーションもありますけれども,大気の方も含めての観測やシミュレーションの技術が,どんどん進んでいますので,非常にいい課題ではないかと思います。
 また,例として出ているのが,まず一つは,例えば「Society5.0」で言っているようなIoTとか次世代通信網とか,あるいはエネルギーの話とかとやはりもう少し絡んでいる方が施策としては面白いのではないかと考えます。花木先生がおっしゃったとおり,今並んでいるのは若干コンパクトに見えます。これはああいうメンバーでやればできるなというのがちょっと見えるような施策過ぎる気がします。また,問題解決は「問題が表面化したら何とかしましょう」ですね。そうではなくて,正にこちらにも書いてあるとおり,バックキャスティングで,こうありたい,そのためには今何をしなきゃいけないかと考えるのがSDGsだと思います。ですから,こうありたいというところを一緒に話し合うところが正に一番大事で,それに対して何が足りてないかとか,再度,何が問題であるかをきちんとステークホルダーと話し合う必要があるのではないでしょうか。ただし,御用聞きになってもしようがなくて,「何で困っていますか」,「いや,これで困っています」,「じゃ,それを解決しましょう」ではなくて,前向きに,「どうありたいですか」,「じゃあ,こうしたらいいと思うんです」,「いや,それはこういう事情でうまくいってないんです」というような議論をすること自体に多分物すごく価値があると思いますので,そこも含めたプロジェクトあるいはプログラム提案としていただいたらいいのではないかと思います。
 短く言いますと,既に見えている課題を解決するかしないかは多分行政のやる気の問題であって,科学技術が足りないからできてないというのはほとんどないと思います。そうではなくて,もっと今後顕在化しそうな問題を先に見付けて準備するというのが,やはり学術・科学技術の役割ではないかと思いますので,是非御検討いただければと思います。
【高村主査】  ありがとうございます。
 少し予定時間を超過しておりますけれども,御容赦いただければと思います。
 それでは,田中委員,お願いしたいと思います。ほかにいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
 田中委員,お願いいたします。
【田中(加)委員】  もしかしたら趣旨とちょっと異なってしまうコメントになってしまうかもしれませんが,SDGs,このような取組,非常にすばらしいと思っております。SDGsにこのように進んでいくというのは一つの契機として,こういった今のいろいろな議論を進めていくというのは大変いいと思います。ただ,あくまでも,今,SDGsという中で規定されているような目標,ゴールというものにとらわれ過ぎていないかというのは少し懸念がございます。例えば幾つかの施策の例というのを挙げていらっしゃいますが,今,沖先生からもありましたように,例えば,今後,どうありたいかという議論をしていく中で, SDGsと,SDGsで言われていること以外のことで大きくクローズアップされることというのは出てくると思います。特に経緯を考えますとMDGsからSDGsに変わるに当たって,先進国をより巻き込もうということで新しくできた枠組みであるということで,もちろん途上国よりも先進国の問題に少しフォーカスが出てきたものの,まだ先進国の抱えている問題ですとか,今,先進国の中でも日本の抱えている問題というのをしっかり表しているのかというと,そうではないところというのがあると思います。そうすると,例えばBeyond SDGsというような形で,今後議論をしていく中で,今のSDGsの枠ではこういったところがクローズアップされ,こういうところに対応するけれども,今,SDGsで触れられていないこういう問題こそが,今後もっと重要になってくるということが出てきて,それを洗い出していって,今後のSDGsを見直すようなタイミングとかで日本が積極的に枠組みのところで関わっていけるようなところを蓄積していくというのもいいのではないかと思っております。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,事務局からもし何かお答えがあれば。なければ次の議題に参ります。
【佐藤環境科学技術推進官】  簡単にお答えしたいと思いますが,たくさんありましたので,把握できているか分かりませんけれども,回答したいと思います。
 まず,沖先生のコメントがほとんどの御質問に対する回答になっているのではないかなという気もいたしますけれども,御指摘のありましたように,既に顕在化されていない課題に対してバックキャスティングでやっていく必要があるのではないかということについては,そういった視点も踏まえつつJSTと相談していきたいと思います。
 田中委員からありましたBeyond SDGsについても,そういった視点も踏まえてやっていきたいと思っています。
 また,地方だけじゃなくて都市にクローズアップすべきということについても,御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。いずれにしても,今回のプログラムのポイントは,1個の自治体で終わらせるのではなくて,それを複数に展開していくということをミッションにしていますので,一地域のみならず,できれば都市ですとかそういったところに展開することを前提に検討していきたいと思っています。
 江守先生からありましたけれども,実は研究シーズありきで入ることを我々は非常に懸念しています。そうではなくて,やっぱりSDGsに対してバックキャスティングの考え方でやっていく,だからこそ重点課題というものを明確化し,最初から社会科学者,人文科学者と一緒にやっていくということを条件にこのプログラムは進めていきたいと思いますので,2030年まであと10年ちょっとしかないものですから,SDGsを達成するという視点に着目してデザインしていきたいと思っています。
 大ざっぱになりましたが,以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。大変貴重な御意見を頂いたと思っております。恐らく事務局としては具体的なプロジェクト案をもしもらえたら大変有り難いということだと思いますので,もしお考えがありましたら,事務局の方にお知らせいただけるといいと思います。
【佐藤環境科学技術推進官】  1点補足させてください。
【高村主査】  はい,どうぞ。
【佐藤環境科学技術推進官】  現段階でこのプログラム案の重点テーマは決まっておりません。今後,いろんなプロセスの中で重点テーマが決まっていくわけですけれども,環境エネルギー関連の重点テーマが挙げられることによって環境エネルギー関連のプロジェクトが推進されることになりますので,そういった観点でも,委員の皆様から追加のコメントがありましたら,どんどん事務局に送っていただければ大変有り難いと思いますので,よろしくお願いいたします。
【高村主査】  ありがとうございます。先ほどの意見を聞くと随分アイデアがありそうだと思いますので,是非具体的なプロジェクト案を頂ければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,議題の(3)その他でございますけれども,前回御議論いただいた研究開発計画(環境エネルギー分野)における指標について,事務局から御説明いただいてよろしいでしょうか。
【三木課長補佐】  はい,ありがとうございます。資料については,資料3,プログラム評価における参考指標になります。こちらは4月に研究計画・評価分科会の方で使用された資料になってございます。本件に関しましては前回の委員会でも御議論いただきまして,その後,先生方の御意見を踏まえましてサブジェクトカテゴリーの数を増やした状態で再度御照会をさせていただいて,当委員会としては,サブジェクトカテゴリーを単位として論文数を集計したものを参考指標とすることとさせていただいたところでございます。
 その後,先ほど御紹介した資料に書かれておりますとおり,研究計画・評価分科会で高村主査より御報告を頂きまして,御議論が行われた状態でございますけれども,当日の議論におきまして,参考指標の設定について,我々,サブジェクトカテゴリーをベースにというお話をしておったところなんですが,研究計画・評価分科会の委員の先生方からは,例えば分野によっては特許数ですとか,また,こういったサブジェクトカテゴリーではなくてキーワードを個別に設定して,キーワード検索で論文数を見ていくというようなことも考えられるのではないかというような御意見があったところでございます。
 そうしたことがございましたので,分科会の方からは,各委員会それぞれ特徴あると思うのでということで,各委員会の指標として,今申し上げたような新しい提案を踏まえてどの方法が適切か,再度考えてほしいということで御指示があったものということでございます。
 我々事務局として,環境エネルギー科学技術委員会としては,仮に,先ほど申し上げたような出願特許数を選択した場合,環境分野,エネルギー分野の場合,かなり間口が広うございますので,どういったものを特許として我々として含めていくこととすればいいのかというところ,なかなかここも難しいところでございますし,また,キーワード検索の場合は,例えばenvironmentというのを設定した場合には,○○environment,例えば日本語だと教育環境のような,今ここの委員会で対象にしたいものではないものがかなり含まれるところがあって,キーワードそのものを設定していくためにかなりの御議論いただく時間が必要になってしまうのかなというところもございます。ですので,先日御検討いただいた中で決まりましたサブジェクトカテゴリーをまずは設定して,今後,参考指標とさせていただいた上で,更にその結果が出てきた段階でもし修正等必要であれば,サブジェクトカテゴリーの加除若しくはそれ以外のものの候補というのも適宜見直しの中で検討していくということとして進めさせていただければと考えてございます。
 事務局からは以上でございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 親委員会の分科会の方に出席をして御説明をし,また,議論に参加いたしましたけれども,どの分野の委員会もやってみないと分からないという,かなり悩みながら設定をされている感がございました。もしよろしければ,事務局からもありましたように,適宜運用の中で見直していくということでいかがでしょうか。前回決めていただいたとおりでまず始めてみるということでございます。よろしいでしょうか。
 はい,ありがとうございます。
 それでは,本日予定されている議題は以上となりますが,委員の皆様から何かこの時点で御発言,御希望ございましたら,お願いいたします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,事務局から御連絡をお願いしたいと思います。
【三木課長補佐】  はい,ありがとうございます。
 本日の議事録は,後日,事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。修正等ありましたら,御指摘いただければと存じます。最終的には文部科学省ホームページに掲載することで公表させていただきたいと思います。
 また,旅費委員手当に関する確認の書類については,お配りしておりますので,御確認いただきまして,お帰りの際に事務局に御提出ください。
 次回の会合につきましては,後日改めて日程照会をさせていただきます。こちらの方もよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 少し時間を過ぎて申し訳ございませんでした。これをもちまして,第9期環境エネルギー科学技術委員会の4回の会合を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――


お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)

-- 登録:平成30年09月 --