第9期 環境エネルギー科学技術委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成29年5月8日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 環境エネルギー科学技術委員会の主査代理指名及び議事運営について(非公開)
  2. 環境エネルギー科学技術関連施策等について
  3. 平成29年度研究開発課題の評価の実施について
  4. その他

4.出席者

委員

高村主査、花木主査代理、市橋委員、江守委員、沖委員、奥委員、加藤委員、河宮委員、瀬川委員、関根委員、田中委員、谷口委員

文部科学省

田中研究開発局長、大山大臣官房審議官、藤吉環境エネルギー課長、樋口環境科学技術推進官、亀田課長補佐、石橋課長補佐、小野専門官、直井地球観測推進専門官

5.議事録

【亀田課長補佐】  おはようございます。少し定刻より早いですが,皆さんおそろいですので,これから第9期の環境エネルギー科学技術委員会第1回の会合を開催いたしたいと思います。
 冒頭進行を務めさせていただきます研究開発局環境エネルギー課課長補佐の亀田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は,第9期の第1回の委員会でございますので,運営規則が後ほど制定されるまで,本会議は非公開となります。御承知おきのほど,よろしくお願いします。
 また,お手元に科学技術・学術審議会の臨時委員又は専門委員に御就任いただきました委員の皆様の人事異動に係る発令,また,その委員の指名に係る発令をお手元に置かせていただいております。本来であれば直接お渡しするところではございますが,時間の都合上,このような取扱いとなることを御承知おきいただければと思います。
 それでは,議事に入る前に,まず本日の資料を確認させていただきます。お手元のタブレットに資料が格納されております。議事次第,座席表から始まって,本体資料として,1-1から3-3まで,また,参考資料1から参考資料5まで,計15種類の資料が格納されているかと思います。このほか,タブレットの不具合等ございましたら,議事の途中でも事務局までお申し付けいただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,資料1-1に第9期に環境エネルギー科学技術委員会の名簿がございます。名簿の順に,本日御出席の委員の方々を御紹介させていただきます。
 まず,市橋委員でございます。
【市橋委員】  市橋です。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  江守委員でございます。
【江守委員】  よろしくお願いします。
【亀田課長補佐】  沖委員でございます。
【沖委員】  おはようございます。
【亀田課長補佐】  奥委員でございます。
【奥委員】  奥でございます。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  加藤委員でございます。
【加藤委員】  加藤です。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  河宮委員でございます。
【河宮委員】  河宮です。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  瀬川委員でございます。
【瀬川委員】  瀬川です。どうぞよろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  関根委員でございます。
【関根委員】  関根でございます。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  高村委員でございます。
【高村委員】  高村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  田中加奈子委員でございます。
【田中(加)委員】  よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  谷口委員でございます。
【谷口委員】  よろしくお願いします。谷口でございます。
【亀田課長補佐】  花木委員でございます。
【花木委員】  花木でございます。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  本日の御出席は,以上12名の先生方に御出席いただいております。本日,田中充委員,手塚委員,本郷委員,山地委員におかれましては,御欠席との御連絡を頂いております。
 本日,12名と過半数以上の委員に出席頂いておりますので,本委員会は成立いたしております。
 続いて,文部科学省の出席者を御紹介させていただきます。
 田中研究開発局長でございます。
【田中研究開発局長】  田中でございます。
【亀田課長補佐】  大山大臣官房審議官でございます。
【大山大臣官房審議官】  大山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  樋口環境エネルギー課推進官でございます。
【樋口環境科学技術推進官】  樋口です。どうぞよろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  石橋課長補佐でございます。
【石橋課長補佐】  石橋でございます。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  直井専門官でございます。
【直井地球観測推進専門官】  直井です。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  小野専門官でございます。
【小野専門官】  小野でございます。よろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  なお,環境エネルギー課長の藤吉につきましては,所用のため後ほど参加する予定となっております。
 また,田中研究開発局長と大山大臣官房審議官におかれましては,所用のため,途中で退席させていただく予定となっております。
 次に,本委員会の主査の指名について御報告いたします。
 委員会の主査につきましては,科学技術・学術審議会運営規則第4条第3項に基づき,研究計画・評価分科会長が指名することとなっております。大垣分科会長より,高村委員が指名されておりますので,御報告申し上げます。
 それでは,以降の議事進行を高村主査にお願いしたいと思います。高村主査,よろしくお願いします。
【高村主査】  おはようございます。高村でございます。
 本日は,お手元の議事次第にありますように,4件の議題を予定しております。本日の会議終了時刻は,12時を予定しております。

(議題1について議論)

【高村主査】  
 それでは,運営規則に基づきまして,これから会議を公開といたします。一般傍聴者の入場をお願いできればと思います。

(傍聴者入室)

【高村主査】  それでは,ここで,第9期最初の委員会を開始するに当たりまして,文部科学省から研究開発局田中局長の御挨拶をお願いしたいと思います。田中局長,よろしくお願いいたします。
【田中研究開発局長】  おはようございます。研究開発局長の田中でございます。
 本日は,お忙しい中,御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
 このたびは,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の第9期環境エネルギー科学技術委員会の委員をお引き受けいただきまして,まことにありがとうございます。
 環境エネルギー分野におきましては,昨年11月にパリ協定が発効いたしまして,今後,世界共通の長期目標である2℃目標等の達成に向けた枠組みが構築され,また,2015年に国連サミットで採択されました持続可能な開発目標,いわゆるSDGsに関し,昨年12月に我が国の実施方針が策定されるなど,国内外において大きな政策の転換点を迎えております。
 文部科学省では,このような状況を踏まえまして,環境エネルギー分野に関する課題の解決に科学技術の面から貢献するため,環境分野の研究開発として,全ての気候変動対策の基盤となる気候変動予測モデルの高度化,地球環境ビッグデータの活用による社会課題解決の促進,自治体における気候変動適応策への支援等に取り組みますとともに,エネルギー分野の研究開発として,低炭素社会の実現に向け,経済産業省等とも連携して,革新的な低炭素化技術に係る研究開発を積極的に推進させていただいております。
 本委員会では,このような環境科学技術及びエネルギー科学技術に関する研究開発に関する計画の作成・推進及び評価,並びに関係行政機関の事務の調整の方針に関する重要事項について調査検討することを目的として設置されてございます。
 前期の第8期委員会におきましては,環境エネルギー分野における研究開発を御評価いただくとともに,政府適応計画等を踏まえた,我が国における今後の気候変動研究の在り方の検討や,第5期科学技術基本計画を踏まえた環境エネルギー分野の実施計画として研究開発計画を策定いただくなど,精力的に御審議いただいたところでございます。
 先ほど御紹介いたしましたパリ協定やSDGsに対して,我が国が科学技術の面からより一層の貢献ができるか等の観点から,本第9期の委員会では,第8期での御審議の成果等も踏まえながら,環境エネルギー分野に関する研究開発の推進方策について御審議をお願いしたいと思っております。
 文部科学省といたしましては,環境エネルギー分野の研究開発を今後とも積極的に推進するため,委員の皆様方より大所高所からの忌憚(きたん)のない御意見を賜りたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【高村主査】  田中局長,どうもありがとうございました。
 それでは,議題(2)に移ってまいりたいと思います。議題(2)でありますけれども,環境エネルギー科学技術関連施策等についてということで,事務局から,文部科学省における取組等について御説明をお願いしたいと思っております。
 また,事務局から御説明を頂いた後に,今回,9期第1回ということもございますので,各委員の方々から,5分程度で,自己紹介も兼ねて,今後の抱負なり期待等々,御発言を頂ければと思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
 それでは,早速でございますけれども,事務局の方から御説明をよろしくお願いいたします。
【亀田課長補佐】  まず資料2-1を開いていただければと思います。資料2-1,環境エネルギー分野における主な文部科学省の取組についてというスライドでございます。
 4ページをまず開いていただければと思います。先ほど田中局長からの挨拶にもありましたとおり,「パリ協定」が昨年発効されまして,これに向けて我が国としても取り組んでいく必要があるというふうな状況の下で,5ページ目になりますけれども,科学技術分野におきましては,「エネルギー・環境イノベーション戦略」が平成28年4月に決定されております。こちらにつきましては,「2℃目標」の実現に向けては,世界全体で抜本的な排出削減が不可欠であるということを踏まえ,2050年を見据えた削減ポテンシャル・インパクトが大きい有望な革新技術を特定し,技術課題を抽出する,その上で,研究開発体制を強化し,イノベーションで世界をリードするというふうな目的の下に定められたものでございます。
 具体的には,本スライドの2番,有望分野の特定ということで,エネルギー統合技術,コア技術,省エネ・蓄エネ・創エネ,CO2固定化・有効利用という有望分野を特定した上で,右側,Ⅲでございますけれども,政府一体となった研究開発体制を構築するなどして,これから研究開発を強化していくというふうなことで定められております。
 次のページに行っていただきまして,SDGsでございます。先進国を含む国際社会全体の開発目標として,2030年を期限として包括的な17の目標を設定したもので,2015年に策定されたものでございます。昨年の12月に,本SDGsに関しまして,総理を本部長とする構成員としてSDGs推進本部が設置されておりまして,そこで,我が国におけるSDGs実施指針が策定されております。それが,その下の1から8までの実施指針となっております。特に当課の関連施策といたしましては,5,省・再生可能エネルギー,気候変動対策,循環型社会といったところに大きく貢献していくことが,政府としても期待されているというふうなところでございます。
 また,科学技術基本計画,科学技術イノベーション総合戦略,地球温暖化対策計画,政府適応計画等々におきまして,環境科学技術が7ページ目,8ページ目には,エネルギー科学技術について記載されている政府文書も御紹介させていただいております。
 文部科学省における環境エネルギー分野における施策について,具体的に御紹介させていただきます。10ページ目を御覧いただければと思います。
 まず,環境科学技術分野でございます。気候変動によるリスクが増大する中で,その影響に効果的に対応するため,気候変動の予測結果等を活用する技術等の研究開発やその技術の社会実装の促進によって,気候変動対策,外交におけるプレゼンスの強化,イノベーション等を実現するということを概要といたしております。
 11ページを御覧いただければと思います。「統合的気候モデル高度化研究プログラム」として,本年度から開始しているプログラムでございます。全ての気候変動対策の基盤となる気候モデルの高度化を通じて,国内外における気候変動対策全般に活用できる,気候変動メカニズムの解明や高精度の予測情報を創出するということを,事業の概要といたしております。
 具体的な実施内容といたしましては,本スライドの下の方を御覧いただければと思います。「全球気候モデル」の作製,「地球システムモデル」の構築,日本周辺を中心とした「領域気候モデル」,また,統合的ハザード予測として最大被害や発生確率の情報を創出する,こういったことを主な事業の概要として,今後実施していくこととしております。
 次のページを開いていただければと思います。昨年度まで実施しておりました「気候変動リスク情報創生プログラム」の成果例を御紹介させていただきます。本創生プログラムで開発しております我が国独自の気候モデルの利用数は,世界トップクラスで引用されておるということでございます。また,気候変動対策として,政府の適応計画にもベースとして活用されました。また,途上国支援において,本プログラムで開発した気候変動モデルや計算結果の提供を通じて技術指導を行い,途上国の適応策検討に資する気候変動予測を支援してまいったということを,前身事業の成果として挙げております。
 また,次のページでございます。本事業の成果につきましては,NHKスペシャルをはじめとしまして,地球温暖化に関する報道番組への取材協力等も行っております。これを通じまして,国民への普及も行っているところでございます。
 続きまして,14ページでございます。「地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム」でございます。こちらはデータ統合・解析システムDIASといたしまして,地球環境ビッグデータを蓄積・統合解析して,気候変動等の地球環境課題の解決に資する情報システムを構築していくことを目的としております。これまで約十年やってまいりまして,地球観測に関する政府間会合(GEO)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を通じた国際貢献や学術研究の場面では既に活用が進んでいるところでございますが,本事業期間におきましては,民間企業等のニーズも踏まえた運用体制の構築や具体の課題解決に向けた共同研究等の研究開発を推進するということで,産学官で活用可能なプラットフォームの構築を進めてまいっております。
 具体的なシステムといたしましては,15ページを御覧いただければと思います。データ配信例といたしまして,ひまわり8号ですとかCバンドレーダーなどの情報を配信し,データの活用例ということで,これは一例でございますけれども,気候変動対策,水資源管理・水災害対策,農業,生物多様性といった,データ活用を進めてきております。
 具体例といたしまして,16ページでございます。現在開発中でございますリアルタイム河川・ダム管理システムの実装例を御紹介させていただいております。今ほど申し上げた気象観測データ,若しくは地理情報,ダム管理データといったものを統合解析いたしまして,流域水循環モデル,降雨モデル等を統合いたしまして,ダム及び河川のモデルを構築し,15時間先のダム水位・河川流量に基づき,ダムの資料管理方法を指示するアプリケーションを現在研究開発しております。現在は,利根川,鶴見川,信濃川などで実証しており,幾つかの電力会社と実験的に運用させていただいておるところでございます。
 その次のページを御覧いただければと思います。17ページでございます。昨年度からは,DIASアプリケーションの企業への展開,国際貢献などの具体的な課題解決のための展開,また,その実現可能性の検討をするために,交通,防災,再エネ,健康,農業など8課題についてフィージビリティスタディを実施しております。概要は資料のとおりでございますので,御覧いただければと思います。
 また,DIASの国際貢献事例について,18ページに掲載させていただいております。水資源管理ということで,チュニジアにおける円借款の事業形成に大きく貢献,また,後ほど御紹介いたします全球地球観測システム(GEOSS)の共通基盤としてDIASを接続し,国際社会に情報提供していること,農業支援として,アジア地域における作物収量予測や二毛作の適時判定への応用を担っているということ,また,IPCCへの情報の提供も行ってございます。
 続きまして,19ページ,「気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT)」でございます。こちらにつきましては,文部科学省が行ってきました気候変動研究の蓄積を活かして,適応策の検討に必要な共通基盤となるような技術を,実際に地方公共団体のニーズを踏まえて開発し,地域レベルの適応策の立案に貢献していこうというものでございます。具体的には,先ほど御紹介いたしました統合的気候モデル高度化研究プログラムやその前身事業の成果を活用いたしまして,地方公共団体の防災担当者ですとか人文・社会科学などの多様な研究者が集まって,関係者の協働体制を構築いたしまして,具体的に1から3で書いてございますが,10年後の近未来予測,実際に地域で活用できるような1キロメッシュ程度の超高解像度化,また,実際の政策立案者向けのアプリケーションの開発を実施してございます。
 20ページを御覧いただければと思います。実際に想定される成果例として,防災分野を例に取りまして御紹介をさせていただいております。将来の洪水やヒートアイランド等の状況を予測・数値化して,導き出される適応策による影響を評価する技術を開発し,市町村単位でのきめ細やかな適応策の立案が可能なモデルを作成してまいりたいと考えております。
 続きまして,21ページでございます。21ページにつきましては,本プログラムの前身事業の成果でございます。今般のSI-CATにつきましては,地方公共団体が汎用的に活用可能な成果の創出を目的としておりますが,前身事業につきましては,個別の地方自治体の適応策立案に資するデータを開発しておりました。具体的には,農業生産の最適支援,また,積雪の変化予測,さらに,アカイカを中心とする水産資源の変動といったものを予測して,実際に農業,防災等の自治体関係者に活用されております。
 以上が,主な環境分野の当省における研究開発の概要でございます。
 次に,エネルギー科学技術に関する研究開発について御紹介させていただきます。
 23ページが全体像となっております。エネルギー基本計画や,先ほど御紹介したパリ協定を踏まえたエネルギー・環境イノベーション戦略等に基づいて,低炭素社会の実現に向けて,経済産業省とも連携して,低炭素化技術に係る研究開発を推進しております。
 具体的な事業といたしまして,24ページでございます。「省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発」ということで,こちら,文科省直轄の事業として実施してございます。省エネ社会の実現のために,パワーエレクトロニクス等に活用できる次世代半導体に着目いたしまして,青色LEDの開発成功に代表されるような,窒化ガリウムの我が国に関する強みを活(い)かして研究開発を進めております。具体的には,概要のところにございますように,材料からデバイス化・システム応用まで,次世代半導体の研究開発を一体的に行う拠点を構築いたしまして,基礎基盤研究を実施してございます。
 次のページを御覧いただければと思います。具体的に中核拠点として名古屋大学を指定した上で,パワーデバイス領域,評価基盤領域,さらに,今年度からは,レーザーデバイス領域を加えて,中核拠点も含めて,計4領域で研究開発体制を構築いたしております。
 次のページを御覧いただければと思います。これまでの成果でございます。結晶というレベルにおきまして致命的な悪影響を与える欠陥の種類とその分布を世界で初めて特定し,これらを低減させる結晶成長方法を開発することに現在取り組んでいるところでございます。また,右側でございますけれども,窒化ガリウムの結晶成長において,これまで考えられていた反応過程とは異なる反応ということで,解明した反応過程を実験により検証し,実用的な結晶成長シミュレーションに展開するということで,こういった成果を活用して,より精度のいい結晶開発に現在取り組んでいるというところでございます。
 次,27ページを御覧いただければと思います。次世代半導体研究開発につきましては,当省のみならず,内閣府や経済産業省でも実施されております。そこで,内閣府,経産省と3省合同で関係省庁の合同連絡会議を設置し,研究開発ニーズ・課題をそれぞれ共有するとともに,それぞれの事業の進捗や成果を共有しながら事業をそれぞれ推進しておるというところでございます。
 28ページを御覧いただければと思います。こちらにつきましては,JSTの方で実施しております「先端的低炭素化技術開発(ALCA)」でございます。大きく2つございまして,1つ目は特別重点プロジェクトということで,2030年の社会実装を目指して取り組むべきテーマについて,文科省と経産省が合同検討会を開催して設定した上で,産学官の多様な関係者が参画して共同研究開発を実施しているものでございます。また,もう一つが,実用技術化プロジェクトということで,2030年の社会実装を目指した革新的な技術シーズを発掘,また,実用技術化の研究開発を推進するものでございます。詳しくは,この後御説明いたします。
 次のページを御覧いただければと思います。ALCAの特徴といたしまして,スモールスタートとステージゲート評価による課題の継続というものがございます。本事業の研究開発の採択時には,少額の課題を多数採択し,研究開発開始後にステージゲート評価にて重点化をし,新たな有望課題を持続的に採択し,新陳代謝を促しております。
 次,30ページでございます。このALCAにつきましては,最長10年間の研究開発期間を持つプログラムでございまして,研究開始時には5年間の研究計画を設定いたします。この後,先ほど御説明したように,複数回ステージゲートを実施するわけでございますけれども,5年間終了時にステージゲート評価といたしまして,実用化につながる課題かどうかを判断した上で,その後,実際に実用化につながると判断されたものにつきましては,集約・加速化ということを実施しております。
 次のページを御覧いただければと思います。31ページでございます。ALCAの中の特別重点プロジェクトとして,現在2つの課題に取り組んでございます。一つ目として、「次世代蓄電池研究加速プロジェクト」でございます。概要といたしましては,従来のリチウムイオン電池の10倍のエネルギー密度,10分の1のコストを目指した研究開発を,チーム一体となって推進しておるものでございます。
 その次のページ,32ページが,もう一つのプロジェクトでございまして,「ホワイトバイオテクノロジーによる次世代化成品創出プロジェクト」でございます。下流のターゲットである化成品を起点といたしまして,上流のバイオマス増産までさかのぼって,「原料化」「合成」「プロダクト」の各段階が1つのチームとして一体となって研究開発を推進してございます。
 33ページには,ALCAにおけるこれまでの代表的な成果例を掲載させていただいております。液体燃料を用いて貴金属フリーな燃料電池自動車の開発,また,多用途断熱材の開発,世界最高耐熱のバイオプラスチックの開発,低消費電力ディスプレイの開発などを実施してきております。
 続きまして,34ページでございますが,こちらもJSTで今年度から開始しています,「未来社会創造事業」でございます。こちらにつきましては,制度概要のところにございますように,経済・社会的にインパクトのあるターゲットを明確に見据えた技術的にチャレンジングな目標を設定し,民間投資を誘発しつつ,多様な研究成果を活用して,企業等への引渡しが可能となる技術成熟の到達点を目指した研究開発を実施するものでございます。探索加速型と大規模プロジェクト型のそれぞれのタイプに分かれて今研究開発を開始しようとしているところでございます。こちらにつきましても,その右側にございますように,スモールスタート・ステージゲートといったALCAの制度を,より発展させながら,今後,事業運営を実施する予定としております。
 この中で,探索加速型の一つとして,次のページでございますが,「ハイリスク・ハイインパクトな研究開発の推進」ということで,エネルギー・環境分野における研究開発について分野特定した上で,今後,研究開発を進めるということにしております。施策のポイントとしては,今ほど御紹介したとおり,明確なターゲットの設定ということで,2050年頃の温室効果ガスの削減というゴールを設定,さらに,ALCAの仕組みを活用し,スモールスタート・ステージゲートの導入,また,優秀なPM人材による厳しいプロジェクトマネジメントを実施していくということにしております。
 次のページを御覧いただければと思います。パリ協定で言及された「2℃目標」の実現を目指して,経済産業省と本未来社会創造事業の開始の段階から連携を始めようと考えております。「未来エネルギー・環境コラボチャレンジ:COMMIT2050」としてございますが,文科省・JSTで実施する未来社会創造事業が,アカデミアの発想によって,大学・研究機関によって研究開発を実施するもの,経産省・NEDOで実施されるエネルギー・環境新技術先導プログラム(未踏チャレンジ2050)につきましては,産業界のニーズを踏まえた研究開発を推進するということで,産学連携による研究開発を実施する,この両省の事業につきまして,一体となって事業を推進していこうということで,現在検討を進めております。具体的には,合同のワークショップの開催でありますとか,学術的課題若しくは社会実装に近づいた研究課題の橋渡しが両事業間で円滑にできるように,現在制度を検討中でございます。
 その次に,37ページを御覧いただければと思います。「低炭素社会実現のための社会シナリオ研究事業(LCS)」でございます。人文・社会科学と自然科学の研究者が参画する実施体制を構築して,幅広い分野の関連機関との連携によって社会シナリオ研究を推進しているものでございます。具体的には,右下にございますように,産業構造,社会構造,生活様式等,基礎となる調査・分析を行いつつ社会シナリオ研究を推進するとして,具体的には,低炭素社会の実現に貢献する技術の性能やコスト,CO2排出削減効果などの経時発展を定量的に検討すること,また,2つ目でございますが,低炭素社会構築に向けて導入すべき経済制度,社会制度を分析・設計し,日本全体の経済効果やCO2排出削減量を定量的に検討すること,3つ目でございますけれども,定量的な技術シナリオで試算した技術の性能やコスト等を経済・社会シナリオに導入し,経済性の評価を通じて低炭素社会をデザイン,明るく豊かな低炭素社会像の選択肢を提示するということを進めております。
 続きまして,38ページ目からが,理化学研究所における環境エネルギー分野の取組でございます。
 1つ目として,「創発物性科学研究センター」でございます。具体的な研究内容としては,39ページを御覧いただければと思います。事業概要のところにございますけれども,創発物性という新しい概念の下で,従来科学技術と大きく異なる新しい学理を創出し,具体的には,わずかな電気・磁気・熱刺激から巨大な創発的応答・現象を実現することで,消費電力を革命的に低減するデバイス技術,エネルギーを高効率に変換する技術に関する研究開発を推進してございます。
 こちらにつきましては,次のページ,40ページでございますが,こちらも今年度から,革新的量子技術による省エネルギー社会の実現ということで,理研と産総研が研究コアを形成いたしまして,量子を自在に制御する技術,また,それらを診断・加工する光量子技術の高度化研究開発をスタートしてございます。具体的には,スキルミオンというナノスケールの磁気渦を活用した省エネルギー技術開発を加速し,デバイスの革新を目指すということで,右下にございますが,従来メモリと比して,消費電力が1000分の1,高集積化100倍というふうな革新的なメモリなどの研究開発をこれから推進することとしております。
 続きまして,41ページでございます。「環境資源科学研究センター」でございます。具体的な研究開発内容につきましては,42ページを御覧いただければと思います。事業概要の1つ目の丸に書いてございますように,石油化学製品として消費され続けている炭素,また,窒素,金属元素の各元素を循環的に利活用することを目指して,炭素,窒素,金属に関する体系的な3つのプロジェクトの研究を推進してございます。具体的な研究内容は,右側にあるとおりでございまして,CO2や酸素から化成品原料を合成する新規合成法の開発,また,アンモニアの合成反応の革新,さらに,環境に負荷を及ぼさない効率的な資源回収技術,また,循環資源の探索と利用研究のための研究基盤の構築といったものを進めております。
 また,次,43ページでございますが,こちら,バイオマス工学に関する連携促進事業ということで,植物によるバイオマス増産から,バイオマスの原料化,さらに,バイオプラスチック等の最終製品の創製等,革新的で一貫したバイオプロセスを確立するために必要な研究・技術開発を,同じく環境資源科学技術センターにおいて実施しております。
 その次,44ページからは,国際貢献に関する動向でございます。
 まず,45ページを御覧いただければと思います。JST・RISTEXにおけます「フューチャー・アース」構想の推進でございます。2012年の国連持続可能な開発会議において提唱されましたフューチャー・アース構想を,我が国としても科学技術の側面から推進するため,国際的優先課題に関する多国間共同研究を推進するということで,ベルモントフォーラムにおいて採択された研究課題における我が国の研究者への支援を実施するとともに,ステークホルダーとの協働によるネットワーク型の研究推進ということで,社会学・人文学等の知見を結集し,企業,自治体,市民団体等のステークホルダーと協働するネットワーク型の研究開発を推進してございます。
 46ページにつきましては,フューチャー・アース構想の背景・経緯等が記載されておりますので,御参考にしていただければと思います。
 続きまして,47ページ,「全球地球観測システム(GEOSS)」でございます。G8エビアンサミットにおきまして,全球的な地球観測の重要性が確認され,その後,GEOSSの枠組み文書が採択されて,具体的に地球観測に関する政府間会合(GEO)の設立が承認されておるものでございます。具体的には,右側にございますように,「GEO戦略計画」といたしまして,人類の利益のための意思決定や行動が,より地球観測や適切な情報に基づいて行われるようGEOSSを構築するということにしております。左下を御覧いただければと思いますが,衛星・海洋・地上観測等の実施をした上で,観測データにつきましては,その情報を共有するということで,我が国からは,先ほど御紹介したDIASが接続されているというところでございます。
 続きまして,48ページを御覧いただければと思います。このGEOSS,GEOの最近の動向でございます。GEOにおきましては,毎年1回,本会合を開催しておりますけれども,そういった中で優先すべき連携分野として,今後,SDGsに向けた貢献というものが大きく位置付けられておるところでございます。また,2018年の秋には,第15回本会合及び第11回アジア太平洋シンポジウムが日本で開催されることが既に決まっておりまして,本会合につきましては,2005年に第1回本会合が開催されて以来,初めての日本開催が予定されておるところでございます。
 その次,49ページでございます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でございます。IPCCにおきましては,現在,第6次評価報告書(AR6)の作成に向けた取組が進められております。文部科学省においては,IPCCの中でWG1(自然科学的根拠)というところに気象庁とともに担当し,具体的には,先ほど御紹介申し上げたリスク情報創生プログラムですとか統合的気候モデルの事業をもってこれに貢献していこうと考えてございます。
 以降,50ページ以降につきましては,参考資料として,第5期の科学技術基本計画の概要及び科学技術イノベーション総合戦略2016,地球温暖化対策計画,また,政府適応計画等の概要を付けておりますので,こちらも御参考にしていただければと思います。
 続きまして,資料2-2を御覧いただければと思います。資料2-2は,研究開発計画ということで,前の第8期で策定いただいた,環境エネルギー分野における今後5年間を見通した研究開発計画となってございます。
 1ページ目の1,基本的な考え方につきましては,第5期科学技術基本計画,また,パリ協定の背景等を踏まえたの取組の推進の必要性が書いてございます。
 2ページ目に行っていただきまして,具体的に,重点的に推進すべき研究開発の取組がここから記載されているというふうになっております。
 1点目として,大目標1が,「創・蓄・省エネルギー等に係る革新的な技術開発の推進」。3ページ目の冒頭,大目標1達成のために必要な中目標として,文科省の役割がこちらに記載されております。エネルギーの安定的な確保と効率的な利用,温室効果ガスの抜本的な排出削減を実現するため,目指すべきエネルギーシステム等の社会像に関する検討・議論を見据えつつ,従来の延長線上ではない新発想に基づく低炭素化技術の研究開発を大学等の基礎研究に立脚して推進するとともに,温室効果ガスの抜本的な排出削減の実現に向けた革新的技術の研究開発を推進するとしてございます。
 その後,中目標達成状況の評価のための指標が記載されておりまして,その次に,具体的に,中目標達成のために重点的に推進すべき研究開発の取組として,1つ目,大学等の基礎研究に立脚した新発想に基づく低炭素化技術の研究開発,2つ目として,温室効果ガスの抜本的な排出削減に向けた明確な課題解決のための研究開発が掲げられております。
 その次,4ページ目でございますけれども,大目標2として,「最先端の気候変動予測・対策技術の確立」でございます。大目標2達成のために必要な中目標(文科省の役割)として,国内外における気候変動対策に活用されるよう,地球観測データやスーパーコンピュータ等を活用し,気候変動メカニズムの解明,気候変動予測モデルの高度化を進め,より精確な将来予測に基づく温暖化対策目標・アプローチの策定に貢献する。また,より効率的・効果的な気候変動適応策の立案・推進のため,不確実性の低減,高分解能での気候変動予測や気候モデルのダウンスケーリング,気候変動影響評価,適応策の評価に関する技術の研究開発を推進するということとしております。
 次のページに行っていただきまして,中目標達成のために重点的に推進すべき研究開発の取組として,1点目,国内外における気候変動対策に活用するための気候変動予測・影響評価技術の開発,2点目として,地域レベルでの気候変動適応に活用するための気候変動影響評価・適応策評価技術の開発を掲げさせていただいております。
 続きまして,3つ目の大目標でございます。「地球環境情報プラットフォームの構築」でございます。
 6ページ目,大目標3達成のために必要な中目標(文科省の役割)として,我が国の政府等が収集した地球観測データ等をビッグデータとして捉え,人工知能も活用しながら各種の大容量データを組み合わせて解析し,環境エネルギーをはじめとする様々な社会・経済的な課題の解決等を図るプラットフォーム構築を図ることとしております。
 その下,中目標達成のために重点的に推進すべき研究開発の取組として,地球環境情報プラットフォームの構築,DIASの構築を掲げさせていただいております。
 次のページ以降には,研究開発の推進方策として,人材育成やオープンサイエンスの推進等の方針が記載されております。
 本研究開発計画につきましては,第8期で取りまとめていただきまして,これに基づきまして,我々が今後5年間,おおよそ第5期の科学技術基本計画の期間における研究開発を推進していき,また,ここで掲げられた指標につきましては,毎年度の政策評価等で活用するということになっております。
 長々と,また早口で御紹介させていただきましたが,文部科学省における環境エネルギー分野の取組の御紹介は,以上になります。
【高村主査】  ありがとうございます。
 文科省の政策全般に関して俯瞰(ふかん)をする御報告を頂いたと思います。先ほども申し上げましたように,第9期の第1回の会合でございますので,各委員から,自己紹介も兼ねて,御意見,御質問を頂きたいと思っております。5分程度というふうに申し上げておりますけれども,まだ少し時間も余裕があると思いますので,忌たんのない御意見を頂ければと思います。頂いた御意見,御質問に対しての事務局からの御回答は,後でまとめてお願いしたいと思いますので,そのように御了承いただければと思います。
 それでは,早速でありますけれども,順番で恐縮ですが,市橋委員から順にお願いをしてもよろしゅうございましょうか。
【市橋委員】  東京都環境科学研究所の市橋と申します。主任研究員を務めております。
 私,前期から務めさせていただいておりまして,今まで御説明いただいたことに関しては,今まで意見させていただいてきたと思いますので,特にございません。
 私自身,バックグラウンドが土木工学でありまして,平成元年に東京都に入都して以来,土木技術者として都政に携わってまいりました。それで,8年ほど前に,都への温暖化影響評価を実施することを機会に,気候変動適応策の研究を始めました。影響評価を行った際には,当時最新であった革新プログラムのデータ等を活用させていただいて影響評価を実施した経緯がありまして,その際には,文部科学省の皆様には非常に御協力いただきまして,ありがとうございました。
 昨今,自治体の行政課題は非常に輻輳(ふくそう)化・複雑化してきておりまして,特に温暖化であるとか生物多様性といった課題は,最先端な研究課題と連携が非常に重要になってきていると考えております。我々,自治体の行政であり,あるいは,自治体の研究所の意見をこういった場で表明させていただけるということは,非常に有り難いことだと考えております。我々のニーズであるとか,シーズである,そういったことをきちんと申し上げて,反映していただければ非常に有り難いと考えております。
 2期目になりますけれども,不勉強な点とか勉強不足,力不足の点,多々あると思いますけれども,今後とも是非よろしくお願いいたします。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,江守委員,お願いいたします。
【江守委員】  国立環境研究所の江守です。僕は,研究所の中でのポジションが,気候変動リスク評価研究室長というのと,それから,低炭素研究プログラム総括というのをやっていて,自分はもともとは気候モデル,気候変動予測の専門の研究をしていますけれども,最近,そこそこ幅広いいろいろなことを見る役割をしてきております。今,文科省からの御説明にあった事柄で言いますと,ほかに関わっているのはIPCCでありますとか,それから,フューチャー・アースに関しても,特に国内の活動において少し関係させていただいています。恐らくこの委員会での役割としては,気候モデル,気候変動予測の専門性に軸足を置きながら,ほかのエネルギーとかの分野においても,自分の関心と,いろいろと知っていることの限りにおいて発言させていただきたいなと思っています。
 以上が自己紹介ですけれども,もう少し申し上げると,これは前期の最後にも申し上げたんですけれども,僕は,この委員会,しばらく参加させていただいていて,環境・エネルギーということで,一緒に併せて議論することになっている形が非常にいいと思っていて,自分にとっても非常にいい機会になっているというふうに思っています。委員会のメンバー,委員の方々を見渡してみますと,非常に幅広い研究分野の専門家の方や,研究コミュニティ以外の,いわゆるステークホルダーというか,方々もいらっしゃっていて,面白い機会になっているんだろうと思っています。それを生かしていくために,恐らく自分が専門であるところ,一番よく知っているような発言しやすいところに関して発言していくだけでは,多分,せっかくこういうメンバーが顔をそろえている意義というのが余り生かされないような気がしていて,自分の専門以外のところで気が付いたところに関して,様々な意見が出てくるといいのかなと思っています。
 最近,僕自身,ここ何年か考えていることとしては,そういう多様な主体の対話というか,これはフューチャー・アースに特に関わることですけれども,そういうのを行うときに,自分自身がバイアスを持っているというか,自分が所属するコミュニティのバイアス,あるいは,自分個人の考え方のバイアスみたいなものというのがいつもあると。でも,自分もそうだけど,ほかの人もみんなそうで,それぞれであると。それを自覚しながら,自分はこういうふうに言うけど,それは自分がそういうふうに考えがちであるからであって,ほかの人も別のように考えがちであるので別の意見が出てくると。その上で,それを認識し合って対話を重ねていくということが恐らく大事なのかなと思っています。この機会も,この委員会もうまく使えば,そういう対話ができる機会になるのではないかなと思っています。
 御説明のあった内容に関して,1点,もう少し具体的なことをコメントさせていただくと,エネルギーの分野のことについて,今申し上げたような観点から,エネルギーのよく知らない部分についてあえて申し上げますけれども,様々な技術の開発のプログラムが動いていて,これは個々の技術のことは余りよく分からないんですけれども,重要なことなんだろうと思って見ています。ただ一つ気になるのは,これは以前から何回か似たようなことは申し上げているかもしれませんけれども,例えば,産官学の協働する,産業界のニーズを聞きながら研究開発する,それは重要だと思いますが,あえてそういう形を取ることによって死角があるんじゃないかというか,これは,要するに,今,日本で活躍しているような種類の企業,産業の観点の外にあるような発想というのが,それで出てくるのかどうかというのが心配になるという部分が素人目にあります。
 例えば,今,必ずしも出てきていない分かりやすい例を言うと,環境にいい自動車を作るために必要な技術の開発をするために自動車会社と話をすると,環境にいい自動車をたくさん作ってたくさん売るための必要な技術については議論はできますけれども,例えば,自動車をなるべく売らない,あるいは,別に自動車に乗らなくてもいいという選択肢も含めた上で,人々の移動のニーズをどう満たすかとか,人々の欲求をどう満たすかとか,生活の満足度を上げるかとか,そういう観点というのは必ずしも出てこないかもしれない。だけど,そういうことというのは,もしかしたらそういう産官学のコミュニケーションの外側で,例えば,外国の企業がそういう発想で何かスタートアップをして,それがどんどん成功してしまうと,世の中そっちの方向に行ってしまうかもしれないとか,そういうことが最近は考えなくてはいけなくなっているような気がしています。是非,そういうことも含めて,文科省の研究開発も進めていっていただければいいなと思っています。
 もう少し具体的に言うと,環境・エネルギーという分野の技術開発を考えるときに,分野の主役が,ここで今日の御説明でたくさん出てきたようなエレクトロニクスとかマテリアルのような分野から,ICTとか,AIとか,あるいは,行動科学であるとか,そういう方向に主役が移っているということはないのかどうか。これはもう僕はほとんど新聞レベルの知識に基づいて,素人目で言っているだけですけれども。恐らくそういう分野のことというのも,文科省の中で研究していらっしゃる部門があるのではないかと思いますけれども,是非,そういうところとの協力というか,連携というか,も含めて,この環境・エネルギーの問題を推進していっていただければと思います。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございました。
 沖委員,お願いいたします。
【沖委員】  ありがとうございます。東京大学生産技術研究所の沖と申します。
 水と気候変動に関する研究をしておりまして,環エネ課は,ずっと周りが大変お世話になっていまして,大変感謝しておりますが,私自身は,現在はまず,科学研究費補助金で特別推進研究というのがあるんですが,それで次世代の陸域モデルを作ろうということで,我々,グローバルにも適応可能な陸域の水循環,炭素循環なんかを推計できるモデルを作ってきて,しかも,人間活動をその中に入れるということで世界を牛耳ってきたつもりだったんですが,だんだん追いつかれてきたので,もう一回抜本的にやり直そうということを今やっています。
 また,環境省予算の方で,適応策と緩和策をどうバランスすればいいかというのを一昨年ぐらいからやっておりまして,これはステークホルダーは必ずしも全員入っていませんが,行政のニーズと研究者の先端的な研究をどういうふうにやるかという,構想段階からやらせていただいたのが非常によかったと思っておりまして,今,江守委員がおっしゃったような,例えば,行動経済学的な話,あるいは,幸福度を気候変動研究のバランスの中にどう組み込むか,あるいは,その影響研究の中でLCAの分野は,エネルギー分野の方はよく御存じですが,気候変動影響を見積もるのに非常によく使われてきているんですが,逆に,気候変動研究の中ではLCAは軽んじられてきたところがございますので,それを融合させる。あるいは,提案したときには,かなり都市というのはマイナーであり,しかも,熱帯の都市は温暖化の影響は少ないんだからやってもしょうがないんじゃないかといった専門家の意見も頂いたわけですが,IPCCでは,次の6ではなくて,7になったときには都市にフォーカスを当てようということで既に決まりましたので,そういう意味では,そういう先見性を持って,戦略的に気候変動研究はできているのではないかと思っています。
 また,SATREPSは最初からお世話になりまして,科学技術外交ということで,インドシナ半島,東南アジアの気候変動の適応策の立案支援といったタイトルで,研究を今やらせていただいています。
 実は,それは東大でやっているわけですが,昨年の10月より,国際連合大学(国連大学)の上級副学長ということで,表参道の方にクロスアポイントで通っています。そちらでは,もう研究をする立場ではなくて,組織運営なんですけれども,外交をやり,その中で,やはり国連は今SDGsが一つ大きな柱ですので,そこができないかということでいろいろやっていまして。ただ,その場合,じゃ,国連側かというと,そうでもなくて,外務省,文科省,JSTと一緒に,STI(Science, Technology and Innovation for SDGs)というフォーラムが今度の月・火とあるわけなんですけれども,そこに行って話をする日本人がいないので,何とかおまえ頑張れということで押し込んでいただきまして,行って,一番初めのセッションで話をするということになりました。そういうところで,やはり日本が考えていることを国際社会の中にも打ち込んでいくということをやっていかないといけないだろうと今思っております。そういうのが役目かな。
 逆に,SDGsは非常にインクルーシブなので,誰も文句が言えないというところが良くもあり悪くもあると思います。そうした中で,例えば,東大が全体の組織を見直すに当たって,SDGsの枠組みを利用して,世の中に役に立つ大学になろうということで,SDGsを利用するようなことを今進めておりますし,科学技術も見直しをして,全てが最終的には人類のウェルビーイングを増やすためにやっているんだというのは明らかなわけですが,そういう意味では,ちょっと先走って,先ほどの御説明の中で言うと,アウトプット目標の下にアウトカム目標があって,アウトカム目標がまだ何かその手前になっているような,本当に社会で使われているのか,あるいは,どこがみんながハッピーになったのかというところになっていないな。ただ,私もその文書の作成のときにはコメントを言う立場にあったような気がするので,今ここで言うと非常に自己矛盾なんですが,やっぱりもうちょっとその辺を考えないと,なかなか支援が得られにくくなるのかなと思いました。
 また,そういう意味では,世界へ発信するというのが非常に大事だと私は思います。例えば,NHKに取り上げられる,日本の国内の新聞に取り上げられるのも大事なんですが,やはり本当にストライキングな結果が出ましたら,海外メディアも取り上げていただけるような雑誌に載るとか,そういうことはあり得ると思うので,是非,国内だけではないところへのインパクトを目指すと。やはり科学技術・学術審議会で審議するからには,そういうことかなと思います。
 ただ,気候変動分野で申しますと,やはりモデル開発は継続が非常に大事である。データも蓄積が非常に大事であるという意味では,継続にずっと御苦労いただいているのは本当に有り難いと思っておりますが,逆に,やはり過去にとらわれ過ぎると機動的な研究投資が難しくなるというのも確かで,今回,今日御説明の中で,エネルギー分野ではどういう研究者が今その研究に取り組んでいる,しかも,その人がどういう人であるかというのが,非常に具体的な客観的で数値で研究成果が示されていたように思います。やはり気候変動分野に関しても,そういうものをベンチマーキングして,どういう人がこの研究をやっているんだ,その人はどんな成果を上げたんだ――新しくできた施策でしたらこれからということでいいわけですが,既に5年,10年続いているとしたら,この人は5年でどういうことをちゃんとやった,だから次また5年なんですということをちゃんと説明していただいた方が,説得力はあるんじゃないかと思いました。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 では,奥委員,お願いいたします。
【奥委員】  首都大学東京の奥と申します。専門は,行政法がもともとバックグラウンドですけれども,環境法政策を専門にしております。
 私は,地方公共団体といいましても,特に基礎自治体レベルの環境関連の審議会,環境基本審議会ですとか,あとは都市計画関係の審議会,あとは環境影響評価関係の審査会といったようなところに多数関わっておりまして,自治体レベルの計画改定などにも関わってきております。そういった経験から,少し私の考えるところを述べさせていただきたいと思います。
 今,特に環境基本計画の改定を地方公共団体がしようとする際に,やはり併せて温対計画の方も見直すなり,若しくは,今まで事務事業編の温対計画しか作ってこなかったところは,区域施策編の計画も作ろうということで,やはりパリ協定が採択されて以降は,非常に真摯にそれに取り組む,温対計画の策定に取り組む自治体が増えてきておりまして,そういう気運が今非常に高まっているところなんですね。
 そのときに,削減策については,これまでもある程度基礎自治体レベルでももちろん考えて検討してきていて,事務事業編の中ではしっかりと取り組んできたところ。じゃ,それを区域施策編に広げようというところでは何をしたらいいかということは,大体自治体レベルでも分かってはいるんですけれども,それプラス,では,適応策として何をしたらいいのかというところにいきますと,全くアイデアが出てこないといいますか,まず何から手を着けていいのか分からないというのが,一般の市区町村レベルではそれが現状だと思います。
 市橋委員いらっしゃって,市橋委員の前で恐縮ですけれども,東京都ですら,まだ適応計画はしっかりと作れていないような状況ですので,一般の市区町村レベルになりますと,本当に全く手付かずなんですね。そういう意味では,先ほどの資料2-1のパワポのスライドの19ページ,20ページのSI-CATの説明のところにもございましたけれども,地方公共団体の適応策の立案推進に貢献していく,そのために,しっかりとした情報提供も推進していくということが書かれておりますし,是非,それは積極的にといいますか,余り時間をかけずにやっていただく必要があるのかなと思っているところです。
 ただ,そのときに,この資料の中では,地方公共団体というふうに一括(くく)りになってしまっておりますが,広域自治体と基礎自治体とでは,やはり見るべき視点といいますか,それから,持つべき視野というのは違いますし,それから,基礎自治体と一言に言っても,政令市なのか,中核市なのか,一般の市区町村なのかで,防災分野ですとか,都市計画分野,環境分野で持っている権限が違いますので,実際にそれを社会実装させていくといったときに,やはりどのレベルの自治体がどういう権限を持っているのかということが,大きく,どういう技術を具体的に採用し,計画にも落とし込んで実装させていくのかというところに関わってくると思うんですね。そういう意味で,もう少し,地方公共団体といった場合にも,地方公共団体それぞれの規模ですとか,そういった権限といったようなところをきめ細かく勘案した上で,情報提供であったり,支援であったりというものの在り方を御検討いただきたいと思います。
 ちょっとお願いのようになりますけれども,私の意見は以上でございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,加藤委員,お願いいたします。
【加藤委員】  北海道大学の加藤でございます。私は,専門は化学なんですけれども,その中でも,無機化学・錯体化学の分野で基礎研究をやっている立場であります。従いまして,ここ2期目になりますけれども,去年,前期のときなんかは,この分野としても,環境・エネルギー,非常に直結して私の研究が反映されるとか,そういうところでは全然ないので,かなり分からない状態で務めさせていただいたということで,あんまり貢献できなかったかもしれません。今期は,今お話をずっと眺めさせていただいて,もちろん,細かいところは分からないんですけれども,何かここで,少し離れた立場から見て,意見が言えたらいいかなと思っております。
 特に,エネルギーの方は物質系も出てきますし,重要な観点が幾つかあるかと思います。特に窒化ガリウムの研究だとか,それから,理研の創発物性の研究だとかというのは,やっぱりものというのが重要になってきますので,そこの中で,化学の立場から見て,新しいブレークスルーを起こすためには,ものの開発ということの基礎研究,先ほどの例でも,結晶を作るための成果というのが強調されておりましたけれども,そういう基礎の部分の重要性というのはしっかり見ていきたいと思っております。
 先ほどの研究開発計画の中でも,大目標,中目標,その中でも,基礎研究に立脚して推進するというところがきちっと書かれておりますので,その辺は,特に文部科学省,もちろんゴールは実装ということを今視野に入れて進めるべきなんですけれども,そのブレークスルーを起こすための基礎研究の重要性というところは,常に頭に置いて,その観点から意見を言っていきたいなと思っております。
 基礎研究といいますと,人材育成というところも重要ですので,その辺,私は大学の普通の,いわゆる研究所ではなくて,学部教育にも指導して携わっているところでもあります。なので,人材育成という点で,こういうエネルギー・環境分野にも広く視野を持った学生とかいうところを育てていきたいと考えているわけでありますし,ここでもそういう観点も入れていきたいと思っております。
 学術会議の方の化学委員会も携わっておりますが,そういうところでもやはり人材育成,そうすると,今では大学,大学院,それではもう遅い,もう高校とか,そこら辺から,今だと環境・エネルギーの観点を持った人間,こういうのを育てていくというのが重要なので,そういうところも含めて,ちょうど文科省さんの立場としては,そういうところも重要で,それを総合的に推進していけるのではないかというところを思っております。
 もう一つ,ちょっとだけ感じるところは,先ほども沖委員からもお話ありましたけれども,やっぱりデータに基づいてきちっと正しい認識を,教育にしろ,研究開発にしろ必要ではないかといつも思っているところでありまして,その観点から見ますと,どっちかというと,環境科学の方の分野というのは,イメージがどうも先行するというふうに外から見ると思えるわけであります。中身がちゃんと分からないというのかもしれません。それで,そういうイメージだけで流されないような,データに基づく正しい認識を持った主張をしていくということが重要ではないかなと,こういう話を聞いていて,少し感想として持ちました。
 そんなところを含めて,少しでも貢献していければよいかと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,河宮委員,お願いいたします。
【河宮委員】  ありがとうございます。海洋研究開発機構の河宮です。
 この委員会は結構長く務めていて,何期になるかは数えていないんですけれども,比較的長く務めてきて感じるのは,指摘があったように,環境分野とエネルギー開発部門と2つの話を同時にできるというのは大変勉強になるし,世の中のためにもなるかなと思いますけれども。できればもうちょっとと思うのは,その2つの部門をまたぐような大きな構想があったらいいなとは思います。個別のしっかりした事業を立てるというのが優先度の高いことではあるというのは理解はしていますけれども,例えば,技術開発で,こんなふうに省エネルギーができれば,あるいは,新しい社会をどんどん構築していって,こんなふうに新しい技術を導入していければ地球環境というのはこれぐらい変わるんだ,あれぐらい変わるんだ,こんなに良くなるんだみたいな構想があればいいかなと思っているのですが,自分の方を顧みて,協力してそういう構想を打ち出しましょうと言われると,そこまでのデータがないのかなと。今,加藤委員から御指摘がありましたけど,ちょっとイメージでやっている部分がなきにしもあらずですので,そういう構想をきちんとデータをもって示せるような,専門は温暖化予測と炭素循環予測ということなんですけれども,そういう温暖化予測をしていければいいかなと思っています。
 それで,今,紹介のあった話の中で,IPCCの貢献というところに私は主に携わっているわけなんですけれども,先日までIPCCの会議に出てきていまして,ちょっと印象的だったのは,私が関わっているWG1,主に自然科学的根拠に関するところの会議でも,グローバルストックといった,どっちかというと,国際政治寄りのタームが盛んに飛び交っていまして,多分,これは,これまでのIPCC WG1の議論の中では画期的なことではないかなと思っています。
 そういうわけで,国際コミュニティでも,そういう政策,あるいは,もっと言って,技術がどれだけ展開すれば地球環境はこうなるんだよというようなところを結ぼうという意識が強くなってきていると思いますので,そちらの情報も持ち込みつつ,こちらの委員会で貢献できればいいかなと思っています。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,瀬川委員,お願いいたします。
【瀬川委員】  東京大学の瀬川と申します。自己紹介をさせていただきたいと思います。
 私,もともとは東京大学の先端科学技術研究センターにおりまして,そちらで太陽光発電の研究を主にやっておりました。2009年に最先端研究開発支援プログラム30件の中の1件に選んでいただいて,有機系太陽電池を研究してきました。現在もNEDOプロジェクトで,有機金属ハライドペロブスカイトの太陽電池の研究をやっています。今,低コスト太陽電池の分野では,世界で8割以上の研究者がこの分野に取り組んで,かなり脚光を集めていて,非常にうれしく思います。
 この研究は,私の最先端研究開発支援プログラムから生まれたものなのですが、プロジェクト自体は低評価でした。それはなぜかというと,論文を余り出さなかったからです。数による評価は評価疲れにつながります。今,ゲームチェンジングとか,新しいイノベーションとか,そういう言葉がありますけれども,私のプロジェクトでは,もう論文書かなくていいから面白い研究をやれというのが一番のポイントで,そのおかげで有機金属ハライドペロブスカイトが出てきたという自負があります。一方,私,この委員になる前は,総務省の方の政策評価・独立行政法人評価委員会の臨時委員もやっていて,そちらの方では,評価する側の厳しさも体験しています。無駄な評価はやめた方が良いと思います。
 文部科学省の皆さん方はもう非常に危機を感じておられると思うのですけれども,今,日本の論文数が激減しているんですね。独法化以降,ものすごく激減しています。理由は大きく2つあると思うんですけれども,1つは,やはり評価疲れ。これは,運営費交付金が減る中で,皆さん,いろんな小口のプロジェクトを取りにいかなければいけないうえに,それがステージゲートで,ものすごく評価に時間を取られているんですね。これが非常に大きな理由です。評価の負担の軽減というのは,これから本当に考えなければいけない。もう1点は,定年延長とともに運営費交付金の削減で人員削減ということがあって,若手のパーマネントポストが非常に減っているんです。この2つは非常に危機的で,これは何とかしなければいけないと思います。
 これらの点については,エネルギー・環境分野は,厳しくその影響を受けてしまっているのではないかなと思っております。藤吉課長を始め,人材育成にはこれから力を入れると言っていただいているのは非常に心強い限りなんですけれども,もともとエネルギー・環境分野というのは,分野融合が必要なんですね。私,もともと東京大学教養学部の基礎科学科第二というところにおりまして,その後,広域科学科になり,江守委員と同じところにいたんですけれども,とてもめずらしい文理融合の学科でした。ただし,逆に言うと,環境・エネルギー分野というのは特定学部や学科でカバーできるものでなく、いろんなところに分散しているのがエネルギー・環境分野なので、根っこがないんですね。そういう意味では,広くいろんな分野がカバーしているとはいえ,核になるところがなかなか育たないというのが,エネルギー・環境分野の非常に難しいところではないかなと思います。文系に寄るのか,理系に寄るのか,技術に寄るのか,基礎に寄るのか,そういったところが一番難しいのが,実は環境・エネルギー分野なんですね。そのために人材育成も難しい。今日お集まりの委員の先生方も非常に幅広い分野の先生方で,必ずしも理系の専門でない方もいらっしゃいますし,非常にいいことではないかなと思っています。
 私も,研究開発の中では,太陽光発電だけではなくて,風力,波力にも関わっています。それから,日本学術会議の中では,エネルギー供給問題の検討委員会であるとか,原子力利用の将来像についての検討委員会にも入って,いろいろ意見をさせていただいております。ちょうどこのチームは私にとってもいい勉強の機会になるかなとも思っております。環境エネルギー分野の人材育成は,文部科学省の一番ど真ん中の政策課題だと思いますので,それを是非推進していただきたいと思っています。
 ちょうど今から10 年前NEDOの支援を受けて,東大の生研と,先端研と,教養学部にエネルギー・環境の両方を教育する組織を作り,5年間頑張ってやっていたんですね。それは文理融合で,いろんな分野の方々が集まって,その中から何人かは実際に政府の機関の方にも行かれている方もいると思うんですけれども,残念ながら,それですら,やっぱり5年の時限付きのプロジェクトだったので現在は終了しています。時限付きのプロジェクトというのは,お金も投下されるし,短期間で集中でということはあるんですけれども,実はエネルギー・環境の問題というのは長期課題なんですね。しかも,プロジェクトが解散になってしまって,そのノウハウがみんな散逸してしまうと,後に残らない。これはもう非常にもったいない話です。アメリカの場合には,National Renewable Energy Laboratoryという大きな組織があります。かなり大きな,日本で比べると産総研規模のものですね。その中で,もちろん文系の方もいらっしゃるし,あるいは,環境の研究をされている方もいるという。そういった分野融合の研究機能を何とか日本の中にも作っていって,人材育成を進めることが、パリ協定を達成する,あるいは,SDGsに貢献するカギになると思います。この委員会のミッションは,日本の中でものすごく大きいんじゃないかなと,感じております。私も一所懸命頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,関根委員,お願いいたします。
【関根委員】  住友化学の関根でございます。私,前期に引き続いて,この委員を務めさせていただいております。
 私は住友化学という化学企業におりますけれども,会社の中では研究にいることが非常に多くて,今,研究の本当の実際の現場から少し外れまして,いろんな,正に環境・エネルギーにかなり関わっているんですけれども,やっぱり俯瞰(ふかん)的に広く技術を見たり,あるいは,企業ですので,なかなか事業に結び付けるのにどうするかとか,そういったようなことを会社の中でやりながら,そういった意味もありまして,こちらの委員会に参加させていただくことは,非常に私自身にとっても勉強になりますし,それから,やっぱりここでかなりのお金を掛けて国の方でもいろんな研究をしておりますし,住友化学も,そういった中の幾つかには参加させていただいていますけれども,やはりよく出てきます実装の部分というのは非常に大事かなと思っております。
 これまでも参加させていただいて,私,やっぱり少しずつ変わってきて,良くなってきたなと思った点が2つありまして,1つは,いろんな各省庁で似たようなプログラムがあって,一体どうなっているのというのを参加を始めた頃は思っていたんですが,そういった横の連携というのがすごく表れてきているのかなと。もちろん,まだまだやらないといけないことはあるんだろうと思いますけれども,そういったところが少し見えてきたというところがあるかと思います。
 それと,先ほども申し上げましたように,出口といいますか,技術,作っただけでは中途半端といいますか,それはやっぱり生かされて初めて我々に恩恵が出てくるということですので,そこを非常に意識付けられているということが出てきたかなと思っています。
 瀬川先生の先ほどの発言で,ちょっと言いにくいんですけれども,やっぱり今,ちょっと先を,5年,10年先を予測するといいますか,考えてというのは,毎回もちろんやっているんですけれども,非常に難しいということで。ですので,研究のプロジェクトも,5年,10年というのは,いつももう長いなと思っていたんですが,ステージゲートというのは,そういった意味では,私としては,こういったことが使われるのは非常にいいことかなと。やっぱりピボットのように,状況とか,それから,もちろん技術開発もたくさんの中からどんどん取捨選択していくという方法になっていくかと思いますので,私はそれはすごく大事だなと。企業の方でもなかなかそれはできていないんですけれども,こういったナショナル・プロジェクトでもそういったことがやられているというのは,非常に私はいいことだと思います。
 それに,恐らく,もしかしたら,余りそういう評価というものには工数がかからないのではないかと思われているところが,実は会社の中でもあるんですけれども,そういったところが,実は,ステージゲートという仕組みを作っても,なかなかその継続性というのがうまくいかない。というのは,先ほどの人手不足の問題もあると言いましたけれども,そこはきっちり人を充てて,工数を充ててやっていくということが必要なのではないかなと思っています。
 それで,今まで聞いていたお話で,特に申し上げることはないんですけれども,1つ気になっていることがありまして,先ほどの出口のところに関わるんですけれども。今,このプログラムを見ていますと,国際的なところに関しては,国際貢献とか,そういったところはきっちり出ているんですけれども,出口のところでの国際的なといいますか,今,日本の産業構造も,もちろん御存じのように,すごく変わってきて,今まででしたら,何か出てくるとどこかが拾うといいますか,必ずバリューチェーンが日本国内であったんだと思うんですけれども,今,それが多分変わってきていると思うんですね。だから,企業の側でも,実はここが,作ってくれたものを使いたいんだけれども,作ってくれるところが日本国内になかなかない。でも,国の予算で作り上げた技術を海外の企業にやらせるのかという議論は,時々出てくるような状況になっていまして。ですので,そういったところも少し見ながら,柔軟に,そういった成果を全体の利益になるような形で,国の枠組み,日本国内という,そういった縛りを設けることなくやっていくことが,多分,今後すごく求められるかなと思います。
 特に私自身はICT分野に使われる材料をやっていますので,材料なんかは日本が開発するにしても,それを実際に作ってパーツにしていくというところは,本当に今,日本の,例えば,電機産業がやるかというと,必ずしもそういうことにはなっていないと。じゃ,そこを,パーツができたら使うところはあるんだけれどもという問題にもなってきていますので,そういったところを見ながら,うまく仕組みを進化させていけたらいいかなと思っております。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,田中加奈子委員,お願いいたします。
【田中(加)委員】  皆様,私,今回から参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。科学技術振興機構低炭素社会戦略センターの田中でございます。
 私自身は,こういった政府系の話合いの場には幾つか今まで他で出させていただいておりました。例えば,内閣府のエネルギー戦略協議会ですとか,お話にもありましたエネルギー・環境イノベーション戦略ですとか,あるいは,経産省系の産構審,あるいは,経団連のフォローアップの形で,産業やエネルギーという切り口でやらせていただいていて,このたび初めて文科省の話合いに参加させていただいて,とても光栄にも思っております。今まで内閣府や経産省の会議に出たときに,教育とか科学技術のもっと根本のところで,意見を出したとしても,あまり取り入れられないといいますか,流されてしまうことも多かったので,大変うれしいなと思っております。
 経歴というようなことも含めまして,軽く簡単にお話しさせていただきます。現在,科学技術振興機構低炭素社会戦略センター(LCS)で,将来の低炭素社会構築のシナリオの研究をしております。こちらで特に技術として絡んでくるのが,もちろん省エネ・再エネといった技術で,私自身が工学部化学工学科の出身で,より技術のそういったバックグラウンドを生かしながら業務に当たっております。その前は,フランスにあります,OECDの下の国際エネルギー機関(IEA)で,産業の省エネに特に特化して,グレンイーグルスサミット,洞爺湖サミットへの政策提言の仕事をしておりました。主に,ここは技術というよりは,むしろ政策の分析をして,それを提言に生かしていくというようなことをしておりました。また,IPCCの第3次報告書から第5次評価報告書の執筆で,特に近年は,第3作業部会,緩和の,産業のチャプターで関わって参りました。
 今までは出口に近いところの話合いが多いところにいたと思いますが,特に今回の場は研究のシーズに関わってくるところが多くなるのだと思います。しかし、結局は,社会のニーズをいかに把握するかというところなのではないかというところで,共通で考えていけるところがあると思います。技術の導入先というところを,もちろん,最終的にはシーズをどういうふうに見つけて,それをどういうふうに開発につなげていくかというところが1つの本分だと思いますが,ただ,申し上げたように,そういった社会のニーズとか今後のことを考えると,地球温暖化をどのように緩和していくかというところで考えますと,技術の導入先としては,関根委員も先ほどおっしゃっていましたが,本当に世界,国際的な視野は大変重要になっています。特に大きなポテンシャルを持っているのが,これからもずっと発展していくと見込まれている,成長が予測されているような途上国であると。エネルギーとマテリアル双方の消費が,これからもそういった地域では多大になっていくわけですが,技術の力で,それをそういった理想的な状態に彼らをいかにリープフロッギングさせていくかがこれから重要だと思います。それが先進国,特に日本ですけど,日本の技術力でどうやって彼らを先導していけるのかが極めて重要なのかと思っています。
 それで,国際的に見たときに,そのように日本がどのように貢献できるかです。どのような科学技術開発を真の意味でやっていけるかというところですが,先ほどから少しお話しされているような,例えば,本当の将来,江守さんでしょうか,ICTとか,そういった技術が入ってくるとどうなるかというところとか,将来が,途上国も含め,日本も含め,本当にどんな姿になるのかについて,イメージを構築する部分でも,イノベーティブな,革新的なイメージを構築する方法というのをもう少し検討していかなければいけないと思います。特に,先ほど御紹介ありましたバックキャスティングの方法を採って議論していくところもございました。その際の世界像というのがどういうものかというのを押さえるのが重要だろうと思っています。
 それから,SDGsというキーワードが何回か出てきました。今後,SDGsの議論をすることを考えますと,「しない方がいい」と先ほど瀬川さんがおっしゃっていた「評価」という言葉につながるのかもしれませんが,しかし,評価という観点で,SDGsを掲げるのであれば,何らか見ていかなければいけない。そのときに,「SDGsのこの目標にはこう対応していまう」というやり方は,どこの国もやっているし,研究機関もいろんなところがやり始めています。そこで,この委員会の強みとして多岐にわたってみていることを活かし、気候そのものに加え環境の影響,緩和、エネルギーの使い方など, SDGsの目標を追求するときにトレードオフやシナジーがどこにあるのか、に重点を置くということが挙げられると思います。
 具体的に言うと,再生可能エネルギーを,例えば,途上国に入れていくとなったときに,飢きんの話ですとか食糧問題に関するSDGの目標との絡み合い,あるいは,陸上の生態系の目標との関連などです。そのような新しい技術の利用と持続可能な発展が進むときに,トレードオフ,シナジーがどこで起きるかを見ていくことが面白いのではないかと思っています。
 また,教育というところで少し感じているところを申します。昨年,フロンティア・オブ・エンジニアリング,日米の工学の全く別の分野の若手が集まって話合いをするという会議に出席しました。3Dプリンティング,ビッグデータのコンピュータ科学の専門の方と,交通の専門家など,いろんな方がいらっしゃいました。そこで,エネルギーや環境の話を持ち出すと,日本の専門家の方とかの反応が悪かったのです。一方,米国の研究者は,結構オーバーオールに,温暖化そのものの問題について非常に関心を持って質疑応答に入ってきました。会議外のところで,温暖化などに関係していない研究者の方とお話しすると,
「持続可能な発展とか社会実装,環境問題と関係することを言わないと予算が取れないから無理に関連させるけれど,ふだんはそういう観点を考えない」ということを正直におっしゃっている方がいらっしゃいました。やっぱりそういったところは,もっと広く教育の面で,ある程度多岐にわたって複合的に見る目というのを育てなければいけないと感じました。実際,今の小学生が,2050年にちょうど30代ぐらい,活躍する世代に育つわけですから,今ぐらいからそういった問題を浸透させていくというのは大事だとは思いました。
 すみません,いろいろお話しさせていただいて。以上です。【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,谷口委員,お願いいたします。
【谷口委員】  最後になりました。大阪大学で特任教授をやっております谷口でございます。バックグラウンドは,電子工学科でございまして,今,話題になっています東芝に11年間おりまして,しかも,半導体をやっておりました。大学に戻ってきて,主に半導体の物理とかデバイス,システム,そういったことをやっておりまして,今,NEDO関係のパワーエレクトロニクス人材育成プログラムというふうなところの特任教授をやっているというふうな状況でございます。
 この委員会に関連する仕事としては,文科省の次世代半導体デバイス開発拠点のPDをやっておりまして,ガリウムナイトライド関係のパワーデバイス結晶,それから,先ほど御紹介ありましたように,レーザー,そういったものの開発に対するアドバイスをやっているというようなことでございます。
 そのほか,JST関係では,CREST・さきがけ関係の,いわゆる環境エネルギー発電,そういったものをやっておりまして,それから,ALCA関係も,同じような革新的なデバイスシステムの開発,そういったところを担当しております。
 若干気になるところをちょっとしゃべっていいかなと思うんですけれども,私,ここは初めて参加するわけですけれども,非常に幅広い方々が集まっておられるというふうな意味では,これから私自身にも非常にいい勉強になるのかなというふうな気がしております。
 先ほどから少しお話がありましたように,最近の評価がかなり厳しいというふうなこと,これは我々も非常によく感じておりまして,いわゆる大学の先生自身が自分で研究に専念できない状況になり始めている。これはちょっとゆゆしき状況になってきたなというふうな感じがしております。先生ができなければ,結局はポスドクの人なんかに仕事をしてもらうというふうなことになるわけですけれども,それになるいわゆるドクターコースの学生自身もがさっと減っている。それはなぜかというと,学生にちょっと聞いてみたんですけれども,なぜドクターコースに進まないんだという話を聞くと,先生方に全然魅力がないと。もう朝から晩までずっと走り回って仕事をしているだけで,研究なんか楽しんでやっている様子が全く見えないと。こういう状況を続けていると,日本全体が非常に大変なことになるのではないかなと思いますので,この辺は文部科学省の方でも御議論いただけたらなというふうな気がしております。
 先生方も非常に悪くて,外部資金を獲得するために,自分の目標設定を少し高めにしてしまう。高めにしないと通らないんですね。高めに設定すると,やはり途中での報告とか,評価,そういったところがかなり厳しい状況になってきて,学生に失敗を許せるほどの余裕ができてこないので,学生,特にドクターコースの学生なんかを手足のように使ってしまうというようなことで,これから先,学生自身が自分で考えることをしなくなってくるドクターコースの学生がどんどん増えてくるのではないかなというふうな気がしておりますので,是非,その辺は御検討よろしくお願いしますということ。
 それから,日本全体,今まで見て,特にエレクトロニクス関係ですけれども,材料とか,部品とか,それから,基礎的な理論,そういったところは日本は非常に先行していると思いますが,残念ながら,省エネルギー関係のシステムというふうな,少し大きな目を見るような分野に関しては,やはり後塵(こうじん)を拝しているというふうな感じになります。その辺が私自身もかなり気になりまして,今回の特任教授というふうな形で,NEDOのパワーエレクトロニクスの社会人技術者教育というふうなところで,できるだけこういったエネルギー関係の技術分野に貢献していきたいと思って,今,東京とか大阪では,土曜日ほぼ1年間全部費やして教育の方に従事しております。
 以上です。
【高村主査】  ありがとうございます。
 今,委員の方々から一通り御意見を頂きましたけれども,大変多様な御専門,お立場の御意見を頂いて,9期の活動,大変楽しみになっております。事務局側のおまとめになるのが大変かもしれませんけれども。
 私自身,第8期までのところに関わらせていただきましたが,これまでのところで,研究成果が社会・政策にとって目に見える形になってきたというのが,1つの大きなこれまでの成果だと思っております。ただ,今日御指摘ありましたように,やっぱり,そのためには何かまだ必要なものがあるという御指摘であったかと思いますけれども。特に今回,ポスト創生の議論,フューチャー・アースの議論,ステークホルダーも参加して,その重点分野,それは,ステークホルダーの中には,自然科学,実際に研究に携わる方だけではなく,人文・社会科学の研究者も含めて作っていったプログラム,あるいは,そういう今後の方向性を出してきたということを踏まえて,是非,今日御紹介ありましたけれども,その中に盛り込まれている計画をまず着実にやってきたいと個人的には思っております。
 もう一つは,もう皆様からありました,特に,田中局長が冒頭におっしゃいましたけれども,SDG,パリ協定いったような非常に大きな政策の転換期に,これからの日本の経済的な競争力も維持しながら,どうやってこの分野で研究開発を進めていくかという大きな課題,それはどう評価をするか,どう大学で人材を育てるかという点も含めて,考える点が多くあるということも認識いたしました。
 特に,私自身の専門は法学でありますけれども,開発された技術がどうやって社会に実装されていくか,そのためには恐らく,これは江守委員がおっしゃった点でしょうか,システムの大きな点が必要だと。つまり,技術が変わるだけでなく,それを受け入れる社会の仕組みがどうなるかということが非常に大きな課題にもなっていると思っていまして,この点では,是非,もちろん文科省の所管を超える部分もあるかと思いますけれども,関係する省庁との御協力,経済産業省の御協力の事例というのは今日紹介ありましたが,恐らく政府全体としてシステム転換,そのための技術開発をどう進めていくのか,研究開発を進めていくのかということを検討していく時期になっているのではないかと思っております。
 関根委員がおっしゃった点,最後でございますけれども,私自身はパリ協定を中心に温暖化の政策をこの間見ておりますけれども,途上国を含めて,エネルギー転換と省エネ,それから,特に再生可能エネルギーの市場が大きく広がっているところで,ここにどうやって将来に向けた日本の競争力を確保する技術を生み出していくかということが,先ほどありました日本の競争力確保の上でも非常に重要になっているかと思っております。そういう意味で,この9期の課題というのは大変重いと思っておりますので,是非,活発な御議論を今後も頂ければと思います。
 それでは,事務局の方にお返ししたいと思います。多くは質問ではなく御意見だったかと思いますけれども,もし何かございましたら,お願いいたします。
【藤吉環境エネルギー課長】  環境エネルギー課長の藤吉です。遅れてすみませんでした。
 本当に幅広い御意見を頂きまして,まことにありがとうございます。なかなか全てこの環境エネルギー委員会で取り組めるかどうか、また,文科省での役割も限られておりますので,全てできるかは分かりません。また,パリ協定ですとか,SDGsですとかについても,環境エネルギー分野では我々がやるべきなんですが,それ以外の貧困ですとか教育,そういった他の分野については,他の部署がありますので,そういったところとも協力してやっていきたいと思います。
 ただ,特にSDGs,パリ協定については,当課,環境エネルギー分野がかなり関係が深いと思っていまして,また,STI for SDGs,科学技術イノベーションを使ってSDGsを達成するという点についても,当然,ICTですとか,健康・医療,そういった問題もありますけれども,私どもの課がある程度リーダーシップを発揮していくべきではないかと思っております。その点では,先生方のご支援を頂ければと思います。
 今回頂きましたご意見は,多岐にわたっております。私どもは様々な事業を展開しておりますけれども,個別事業に対する御指摘,また御指導,そういったものもございました。それぞれ各事業の担当と検討して,よりよいものにしていきたいと思っております。
 また,第9期の本委員会におきましては,第8期での第5期の科学技術基本計画を踏まえたこの分野における研究開発計画を策定していただきまして,それに基づいて進めていきますけれども,当然のことながら,今後様々な環境変化,もあると思いますので,柔軟に対応していきたいと思っています。
 また,文部科学省は人材育成を担当しております。先ほどもお話ありましたけれども,この分野については,なかなか簡単ではありません。また,先生方の奔走ぶりを見て学生さんが魅力を感じられずに集まらないという話も聞いておりますので,そういった課題に何ができるのかといということも念頭に置いていきたいと思っています。
 また,研究開発は,やはり内にこもっていてはいけませんし,海外への発信も大事です。また,国際貢献というのもありますけれども,当然ながら,同時に国際競争力の維持・確保もあると思いますので,単なる研究開発にとどまらずに,国際的な視点についても十分念頭に置きながら研究開発を進めていきたいと思っております。
 どうぞ,2年間よろしくお願いいたします。
【高村主査】  ありがとうございます。
 事務局からは,よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,今日は大変有意義な御意見を頂きましたので,今後のこちらの委員会の議論,活動に生かしていただければと思っております。
 それでは,議題(3)でありますけれども,平成29年度研究開発課題の評価の実施についてでございます。事務局から御説明をお願いいたします。
【亀田課長補佐】  資料3-1をまず御覧いただければと思います。本委員会,研究計画・評価分科会の下にある委員会でございますけれども,そちらの方で,既にどういうふうに研究開発課題の評価をしていくのかということが定まっております。資料3-1,1ページです。
 まず評価の区分でございますが,1つ目は,事前評価というものをやるべきと。それは,そこに書いてございますが,総額であれば10億円以上を要することが見込まれるような新規・拡充課題については,あらかじめ事前に評価をしてくださいということ。
 2つ目として,中間評価。事前評価を実施したもののうち,中間評価実施時期,5年事業であれば3年目に当たるものについて,中間評価を実施してくださいということ。
 次のページに参りまして,3番目が事後評価でございます。事後評価時期,事業終了次年度に事後評価を実施すること。
 また,4点目として,追跡評価ということで,国費投入額が非常に大きいもの,若しくは,成果が得られるまでに時間がかかる課題について,特定した上で実施するということにされております。
 具体の評価の進め方ですが,2ポツの1番目でございます。分野別委員会,当委員会もここに当たるわけですが,分野別委員会は,研究開発の特性に応じて評価を行うため当該年度の研究評価計画を策定するとなってございます。その案については後ほど御説明いたしますが,これを今回決定する必要があるということでございます。
 次のページに行っていただきまして,評価の実施方法でございます。まず,分野別委員会,当委員会において評価を実施した上で,2でございますが,計評分科会において評価を実施し,決定するという流れになっております。
 具体的に当委員会の今年度の研究開発課題の評価の案でございますが,資料3-2を開いていただければと思います。資料3-2が,平成29年度環境エネルギー科学技術委員会における研究評価計画の案でございます。
 1ポツは評価の目的でございます。2ポツ目からが,具体的な評価事項でございます。
 (1)事前評価として,現在まだ検討中でございますけれども,平成30年度の新規・拡充予算要求課題があれば,本委員会で審議をしていただくということ。
 (2)中間評価として,本年度はSI-CATプログラムの中間評価時期に当たってございますので,こちらを評価していただくということ。
 また,事後評価といたしましては,東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクト及び気候変動リスク情報創生プログラムの事後評価をしていただく年度に当たってございます。
 次のページに行っていただきまして,評価方法でございます。
 (1)事前評価につきましては,評価のために委員会を開催し,その結果を,先ほど御説明しましたように,研究計画・評価分科会へ報告するということになっております。
 中間評価,事後評価につきましては,委員会主査が指名する者から構成される評価調整グループにおいて原案を作成した後に,当委員会において審議,それを研究計画・評価分科会へ報告するというふうな流れになってございます。
 次のページ,4ポツめでございます。留意事項でございますが,原則として利害関係者が評価に加わらないようにするということで,評価対象課題に参画している者等については,当該評価からは実際には外れていただくということを記載しております。
 また,5ポツ,その他でございますが,特に3ポツ目,議事録については,発表者による学会発表等を考慮し,記載内容,発表時期等について柔軟に対応するものとするとしております。
 以降のページにつきましては,実際の評価の様式になっております。
 また,資料3-3につきましては,実際に第9期の委員会で評価をしていただくことが想定される環境分野及びエネルギー分野の施策マップ及び当該年度,今年度評価をしていただく研究開発課題の概要図を掲載しておりますので,こちらも御参考にしていただければと思います。
 事務局からは,以上でございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 この平成29年度の評価の実施について,これは4月6日の親委員会の決定に基づいての御提案でありますけれども,御意見,御質問ございましたら,お願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは,これを当委員会として承認したということで,取扱いを進めさせていただきます。
 議題(4)その他でございます。本日予定の議題は以上でございますけれども,そのほかの点で,委員の皆様から何か御発言,御質問等ございましたら頂こうと思いますが,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。それでは,事務局から御連絡事項をお願いしたいと思います。
【亀田課長補佐】  本日の公開部分の議事録につきましては,後日,事務局よりメールで委員の皆様に送付させていただきます。その際,修正等ございましたら,御指摘いただければと思います。最終的には,文部科学省のホームページに掲載し,公表させていただくという流れになっております。
 また,旅費・委員手当に関する諸手当の請求に当たっての確認についてという資料をお手元にお配りしております。御確認いただきまして,お帰りの際に事務局に御提出いただければと思います。
 また,第9期より新たに委員に御就任いただいた皆様については,事務手続に関する委任状も併せてお配りしておりますので,併せて御確認,御提出のほど,よろしくお願いいたします。
 最後になりますが,次回の会合につきましては,改めて日程照会の上,また御連絡させていただきますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは,以上でございます。
【高村主査】  ありがとうございます。
 それでは,これをもちまして環境エネルギー科学技術委員会の第1回の会合を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

―― 了 ――


お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)