量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第9期~)(第39回) 議事録

1.日時

令和2年11月26日(火曜日)14時00分~15時45分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 次世代放射光施設の整備進捗状況について
  2. 量子ビーム連携プラットフォームの取組について
  3. 我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方について
  4. その他

4.出席者

委員

雨宮委員、伊地知委員、内海委員、岸本委員、鬼柳委員、小杉委員、阪部委員、佐野委員、高橋委員、高原委員、田中委員、山重委員、山田委員

文部科学省

梶原科学技術・学術政策局審議官、仙波研究開発基盤課長、河原研究開発基盤課量子研究推進室長、萩谷研究開発基盤課量子研究推進室室長補佐

5.議事録

【小杉主査】 それでは、ただいまから第39回量子ビーム利用推進小委員会を開催いたします。
 本日も前回に続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインで会議を開催することとしました。
 本日は、16名中13名の委員の皆様に御出席いただいております。石坂委員、近藤委員、宮内委員の3名の委員の方は、御欠席と聞いております。なお、伊地知委員は、会議の途中からの参加ということで連絡を頂いております。
 また、今回は議題(1)に関して、次世代放射光施設の整備進捗状況についてヒアリングを実施いたしますので、量子科学技術研究開発機構、それから光科学イノベーションセンター、東北大学、東北経済連合会、宮城県及び仙台市の皆様に出席及び傍聴いただいております。また、議題(2)として、量子ビーム連携プラットフォームの取組についてヒアリングを実施するために、高エネルギー加速器研究機構及び総合科学研究機構の皆様に出席いただいております。
 説明いただく方のお名前を紹介いたします。議題(1)、次世代放射光施設の整備進捗状況については、量子科学技術研究開発機構次世代放射光施設整備開発センター、内海センター長、それから、光科学イノベーションセンター、高田理事長及び東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター、村松センター長から説明いただきます。議題(2)、量子ビーム連携プラットフォームの取組については、お二人の方、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所量子ビーム連携研究センター、雨宮センター長及び総合科学研究機構中性子科学センター産学連携推進室、宮﨑室長から御説明いただきます。
 それでは、事務局より、文科省の出席者の報告と、オンライン会議における留意事項の説明、配付資料の確認をお願いいたします。
【萩谷補佐】 ありがとうございます。事務局を担当しております、量子研究推進室、萩谷と申します。
 皆様、本日もお忙しいところを御出席いただき、ありがとうございます。
 本日は、文部科学省より梶原審議官、仙波課長、河原室長が出席させていただいております。冒頭、梶原審議官より、一言御挨拶させていただきます。
【梶原審議官】 科学技術・学術政策局審議官の梶原と申します。
 本日はお忙しい中、皆様、会議に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、今、御説明にもありましたように、まずは、この小委員会が開催以来御議論いただいている次世代放射光施設の2023年度の運転開始に向けて、今、官民地域パートナーシップの事業として取り組んでおりますので、その進捗状況等について、国側とパートナー側から御説明いただくことになっておりますので、是非とも御議論いただければと思います。
 さらには、2番目として、この小委員会で議論していただきました、我が国全体を俯瞰した量子ビームの施設の在り方ということについて、量子ビーム連携プラットフォームという取組も含め、お話を今日させていただくことになっておりますので、これについても活発な御議論をいただければと思います。
 そこにもありますように、これまで国、地方自治体及び大学等でそれぞれ整備された量子ビーム設備等について、ある意味、ばらばらに整備されていたり運用されていたことがありますが、海外の量子ビーム施設もどんどん出来上がっていることを考えますと、国全体でこの量子ビーム施設をうまく連携し、協力し合って、しっかりと研究成果を出していくということが重要だと思いますので、是非ともそういった観点で御議論いただければと思います。
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。以上となります。
【小杉主査】 よろしくお願いします。
【萩谷補佐】 梶原審議官、ありがとうございました。
 それでは、オンライン会議の留意事項について説明させていただきます。
 まず、通信を安定させるため、御発言されるとき以外は、可能な限りマイクをミュート、マイクオフの状態にしてください。御発言される際は、ミュートを解除、マイクオンの状態にしてください。
 議事録作成のため速記者を入れておりますので、お名前を言っていただいた後に御発言をお願いいたします。
 会議中、不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号にお電話をお願いいたします。
 なお、本日は会議公開の原則に基づき、報道関係者や一般傍聴者によるWebexの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。Webex上に画面共有させていただいておりますので、御覧ください。画面が見にくい方は、適宜、事前にお送りしている資料を御覧ください。
 こちら、議事次第にございますけれども、配付資料は資料1から資料8、参考資料1をお送りさせていただいております。
 また、本日、ウェブ会議システムの状況によりまして、プレゼンターの方々に画面共有を御自身でしていただくということがちょっと難しい状況になっておりますので、大変恐縮でございますが、この後プレゼンいただく方に関しましては、私の方で画面のページ送りをさせていただきますので、次のページにお願いしますということを、一言お申しつけいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
 何か御不明点はございますでしょうか。会議中、御不明点がございましたら、事務局までお電話ください。
 以上でございます。
【小杉主査】 ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は議題(1)と(2)がありますが、議題(1)を、予定では14時50分ぐらい、スタートが遅れていますのでもうちょっと、15時ぐらいになるかもしれないですが、議論いただいて、続いて議題(2)について30分か40分ぐらい、それから議題(3)、議題(4)で残りを議論いただくという配分で進めたいと思います。
 それでは、議題(1)、次世代放射光施設の整備進捗状況について、始めたいと思います。
 事務局より、趣旨等について説明をお願いいたします。
【萩谷補佐】 事務局より御説明いたします。次世代放射光施設に関しましては、官民地域パートナーシップの役割分担の下、整備を着実に進めていると聞いております。本日は、QSTの内海センター長及び、パートナー側の財団の高田理事長と村松センター長から御説明いただくということで、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【小杉主査】 ありがとうございました。
 それでは、お三方に、続けて説明いただいて、終わった後、皆さんから質問を受けるという格好にしたいと思います。
 まず最初に、QSTの内海センター長よりお願いいたします。
【内海委員】 では、最初に私、内海から御説明させていただきます。(資料1の1ページ)
 前回は昨年の夏に進捗状況をお話しさせていただきましたが、今回は、それ以降の状況についてでございます。
 次のページをお願いします。(資料1の2ページ)
 これは復習でございますが、整備については役割分担が明確に決まっておりまして、ここに書いてありますオレンジの部分、具体的には基本建屋と用地の整備、これはパートナー側でやっていただく。そして、加速器は国側で整備する。それから、ビームラインに関しては、当初は10本を建設するということでございますが、それは国及びパートナーが分担してやっていく。具体的には、国が3本のビームラインを作り、パートナー側が7本のビームラインを作る、こういう役割分担で整備を進めているところでございます。
 次のページをお願いいたします。(資料1の3ページ)
 まず量研の体制図でございます。量研には3つ研究部門がございますが、そのひとつである量子ビーム科学部門に、これまで、高崎量子応用研究所、関西光科学研究所という2つの研究所があったのですが、それに加えて、新しく研究所相当の組織として次世代放射光施設整備開発センターを、2年前の12月に播磨に発足させております。センター長の下に、計画管理グループ、加速器グループ、ビームライングループの3つのグループを置いて、10月1日現在、総勢で52名の体制でやっております。
 加速器グループには、グループリーダーとして、理研から田中副センター長に客員グループリーダーとしてこの加速器グループを率いていただいているほか、クロスアポイントメントの形で、JASRIから多数の方に御協力をお願いしているところでございます。
 センター全体では、理研やJASRI以外にも、KEKや東北大学、東京大学、JAEAから客員やクロアポなどいろいろな形で、多くの方に御参入いただいており、既に量研に転籍いただいている方もおられます。52名のうちの半数26名は、現在フルタイムで次世代放射光業務に従事しており、今後、研究系、技術系、事務系すべてにわたって人数を着実に増やしていきたいと考えているところでございます。
 次、お願いいたします。(資料1の4ページ)
 加速器について、放射光源の性能でございます。横軸が光のエネルギー、縦軸が強さを表しております。濃い紫のところがSPring-8、これに対して、薄い青が次世代放射光でございます。既に皆様よく御承知のとおり、SPring-8がいわゆる硬X線といわれる光エネルギーを得意とするのに対して、この次世代放射光では、軟X線領域と言われるおよそ100エレクトロンボルトより少し低いところから、1キロ、10キロエレクトロンボルトというところまでに光エネルギーのピークを持つような加速器をつくるということでございます。
 加速器の主要パラメーターがここにまとめてありますが、これらは本小委員会で議論され、こういうものを作りなさいと提示されたものにほぼ即した設計となっております。
 エミッタンスといたしましては、1.1ナノミリラジアンを達成するという加速器性能になっております。この1.1ナノミリラジアンという低エミッタンスによって、コヒーレントレシオが非常に高くなります。ちなみに1keVの波長のところにおいては10%ぐらいのコヒーレント性を持ち、更にそれよりも低いエネルギーのところ、軟X線領域では、波長により、50%、60%、70%近くのコヒーレント性を達成できます。
 これは昨年夏にも申し上げたことでございますが、軟X線からテンダーX線領域において、SPring-8の輝度を大幅に凌駕(りょうが)する高輝度光源を周長350メートル以下で実現し、SPring-8と相補的な性能を有する加速器を作るということでございます。また、理研、JASRIの全面的な協力を頂きまして、SPring-8やSACLAで得られた知見・技術を最大限に活用しています。
 次、お願いいたします。(資料1の5ページ)
 加速器に関しては設計が終わりまして、どんどん各コンポーネントの製作を進めております。説明図は、ポンチ絵的なもので恐縮ですけれども、電子銃で発生し、リニアックのCバンド加速管で加速した電子を、蓄積リングに入れる、蓄積リングは、Four bend achromat latticeによる低エミッタンスを実現する、ということを示しております。
 次、お願いいたします。(資料1の6ページ)
 製作と同時に、いろいろなR&Dも並行してやっております。これは1つの例で、最上流側の電子銃の部分です。低エミッタンスを実現させるための電子銃には、レーザーを使うなどのいろいろな手法があるのですが、次世代放射光では、その性能が要求を満たすことは当然として、経済性や何よりも安定性を兼ね備える必要があります。そのために、市販の熱カソードを用いたコンパクトな高性能電子銃というものを開発いたしまして、これが実際に次世代に使えるということを実証いたしました。次世代放射光の電子銃として、これを使っていくということになります。
 繰り返しになりますが、加速器については、令和元年度中に設計が終了し、現在、磁石や電源、真空容器、モニターなど各コンポーネントについて順次契約をし、製作を実施しているところでございます。基本建屋が部分竣工(しゅんこう)いたします2021年12月、ちょうど来年の今頃から、加速器の設置準備作業を開始し、加速器のコンポーネントを現地に順次搬入して、設置作業を進める予定になっております。
 この委員会でも田中副センター長に出ていただいておりますけれども、加速器の詳細については、放射光学会誌に記事が書かれておりますし、デザインレポートに関して和文のもの、英文のものが、次世代放射光のホームページに掲載されておりますので、そちらを御覧ください。
 次、お願いいたします。(資料1の7ページ)
 続いて、ビームラインでございます。ビームラインに関しましては、国側は3本の共用ビームラインを整備するということになっておりまして、1年前の本委員会で、このラインナップが決定したということをお話ししたところでございます。具体的には、QSTが担当するビームラインは、軟X線超高分解能共鳴非弾性散乱のビームライン、いわゆるRIXSと言われるもの、それから、軟X線のナノ光電子分光、ARPESと言われるビームライン、それから、XMCDと言われていますが、軟X線のナノ吸収分光のビームライン、この3つを整備いたします。
 初期に整備する10本のビームライン全体については、東大の有馬先生に委員長になっていただいているビームライン検討委員会で、そのラインナップを決定いただきました。その中の3本の共用ビームラインを決めるに当たっては、外部からの一般公募、意見募集を行って、この3つを決めたという経緯についても昨年お話しいたしました。その後、この3本の共用ビームラインについては、JASRIの雨宮理事長に委員長になっていただいている利用研究検討委員会というのを発足させまして、そこで3つのビームラインについて、どういう研究をやるべきか、そのためにどのような整備を行うべきかとかいうことを議論、検討いただいています。その検討内容やアドバイスを基に、QSTでビームラインを設計・製作しているというのが今の状況でございます。
 次、お願いいたします。(資料1の8ページ)
 この図は、3つの共用ビームラインが、光電子分光、吸収、それから非弾性散乱という、軟X線の3つの基本テクニックをカバーしており、この3本のビームラインをうまく使うことによって、物質の電子状態の詳細の探求に大きく寄与するということを示したものでございます。
 次、お願いいたします。(資料1の9ページ)
 現在の製作状況ですが、上流側から順番に作っているところです。まず最上流側の挿入光源、アンジュレータ、それからフロントエンドの部分については設計が終了いたしまして、製作を開始しているところでございます。挿入光源は2種類で、軟X線ですので、いわゆるAPPLE型と言われるアンジュレータを採用することになりますが、ARPESの方は50から1,000エレクトロンボルトのエネルギーを大体カバーし、RIXS関しては250から2,000エレクトロンボルトぐらいのエネルギーをカバーするアンジュレータを設置いたします。
 一方で、XMCDに関しては、偏光を高速で切り替えるということが必要になってまいりますので、このような周長の短いAPPLE型のアンジュレータを4台並べまして、そこの間に3台のフェーズシフターというものを入れて、高速で偏光が切り替えられるようにする予定でございます。
 ここに、それぞれの直線偏光、円偏光のエネルギー領域というものが描かれております。ここには書いてございませんが、直線偏光では大体178から1,200エレクトロンボルト、それから、左右の円偏光モードに関しては226から3,000エレクトロンボルトというところのエネルギーの利用が、可能になるというような状況でございます。
 次、お願いいたします。(資料1の10ページ)
 次のスライドは、現在集中的にやっております、中流部分、いわゆる光学系のところでございます。ミラーでありますとかスリット、それから回折格子などの設計が最終段階に入っているところでございます。いわゆるレイトレースというのを使って、光学素子パラメーターの最適化をする作業を今やっているところです。次世代放射光はパワーが大きいので、各素子の熱負荷対策というのが極めて重要になってまいります。こういうもののしっかりとした設計をやって、ユーザーに供したいと考えているところです。
 ビームライン光学系は来年度当初の契約開始を目指しており、エンドステーションの機器の詳細については、来年度から本格検討を開始する、そういうスケジュール感でやっているところでございます。
 次、お願いいたします。(資料1の11ページ)
 次に次世代放射光施設における放射線の管理に関する方針についてです。ここはQSTとしてかなり頑張ってやらせていただいているところです。ここに書きましたとおり、「公衆、ユーザー、職員等に対する放射線安全を十分に担保した上で、ユーザーにとっての利便性を可能な限り追及する」ということを方針にしています。
 国内の既存放射光施設では、実験ホール全体が放射線管理区域に設定されているところがほとんどでございます。それは何を意味するかというと、放射光利用をするためには、ユーザーは原則、事前の放射線従事者登録が必要ということです。すなわち、教育を受けて、健康診断を受けてということを、各職場で前もってやってきていただくことがマストになっているということです。
 これに対して海外では、放射光実験施設の実験ホールのほとんどは非管理区域です。もちろん管理区域の定義によるところはありますけれども、日本のような面倒な事前手続は要らずに、実験ができるというところがほとんどです。
 次世代放射光では、ここを何とかすることを非常に大きな目標設定として考えております。そのために東北大学の渡部先生を委員長とする次世代放射光施設放射線安全性検討委員会というのを設置し、委員にはJ-PARCやSPring-8、理研、あいちSR、KEK、PhoSIC、QSTの有識者に入っていただいて、いろいろな検討をしていただいています。
 御承知のようにこの放射線管理に関しては、いわゆるRI法と言われるものと電離則と言われる、この2つの法令で縛られておりますので、これに違反するようなことはできません。法律の許容範囲の中で、最大限利用者の利便性のためにどういうことが実現できるか、ということを模索しているところでございます。
 具体的に、上記の法令の下で、放射線業務従事者でなくても、可能な限り放射光実験に参加できることを目標に、QST内外の関係各署と、もろもろの検討を行っています。原子力規制庁への相談も、既に何度か行っています。
 次のページをお願いいたします。(資料1の12ページ)
 まだ最終決定ではないのですが、おおよそこういう方向で検討が進んでいるという、途中経過の図面をここに示します。最終的には、当然のことながら、原子力規制庁に種々の申請を出し、許可を頂いてからということになりますこれが基本建屋全体の様子で、この赤い部分がライナック、及び蓄積リングの加速器が設置されている部分で、この白い部分が実験ホールです。ごらんいただけますように、加速器が置かれているところは当然ながら放射線管理区域、それから、ビームラインの光学ハッチも管理区域です。それから硬X線の実験ハッチは管理区域にせざるを得ないですけれども、全体として、実験ホール自体は管理区域にしないで済むようにできるであろうというところです。
 もちろんそのためには、法律上の要請であります、実効線量として3か月で1.3ミリシーベルト以下であるということを担保しないといけません。加速器と実験ホールを隔てる壁であるとかハッチであるとか、インターロックであるとかいうのは、全てこれを満たすように、現在設計をしております。それらが十分にできれば、少なくともこの実験ホールの中には、放射線従事者登録をしなくても出入りが可能になって、ユーザーは、来たら簡単な手続で仕事ができるということに、見通しがつき始めてきたというところでございます。
 軟X線のビームラインに関しては実験ハッチはありませんので、放射線従事者登録者でなくとも利用実験ができる。問題は、実験ハッチ内に測定装置のある硬X線ビームラインですが、放射線従事者登録がなくても、一時的な実験ハッチへの立入りを認めていただいてユーザーが硬X線の実験もできるように、制度設計を検討しているというのが、今の状況でございます。繰り返しになりますが、これらはまだ途中経過で、最終確定ではございませんが、現状を少しお知らせさせていただきました。
 次のページをお願いいたします。(資料1の13ページ)
 今、官民地域パートナーシップで本プロジェクトを推進しておりますが、QSTとPhoSIC、それから東北大学の間では、このような会議体をつくって、日頃の業務の打合せなり、物事を決めたりしているという御紹介でございます
 最後の資料をお願いいたします。(資料1の14ページ)
これが整備のスケジュールでございます。昨年御説明したものと、基本的には変わっておりません。現在、2020年度、このあたりですが、それぞれパートナー側とQST側で、やるべきことが粛々と進めております。先ほど申し上げましたように、基本建屋が来年の今頃に一部竣工(しゅんこう)し、加速器トンネルの中に入れるようになりますので、12月ころから加速器の設置作業を開始するということを考えております。その後加速器の設置並びに調整を行って、2023年の12月にファーストビームを出して、2024年度から本格運転を開始するというのが、スケジュールの概略でございます。
 ちなみに、次世代放射光センターは、現在、播磨を活動の主要拠点としておりますが、来年の7月から順次職員が仙台に移動し、パートナーの方々と物理的にも一緒になって、仕事をするということを予定しているところでございます。
 私からの御報告は以上でございます。
【小杉主査】 ありがとうございました。
 では、続きまして、パートナー側のお二人から御説明をお願いいたします。
【高田理事長】 それでは、説明をさせていただきます。(資料2の1ページ)PhoSICの理事長の高田でございます。次世代放射光施設の状況につきましてということで、まず、基本建屋の整備状況、ビームラインの状況、そして地域パートナーの取組状況、この地域パートナーと申しますのは、ここにあります、我々の光科学イノベーションセンター、そして宮城県、仙台市、東北大学、そして東北経済連合会でございます。最後に、コアリション・コンセプトについて説明をさせていただきます。
 完成予想図がこれでございまして、2023年竣工(しゅんこう)でございます。
 次、お願いいたします。(資料2の2ページ)
 基本建屋の整備状況ということで、新築工事の建屋の工事の工程と進捗状況でございます。全体工事が上側で、各部の工事が下側に書いてございます。御覧なって分かりますように、各種工事のところ、感染症対策による中断が2週間少しございましたが、今のところ予定どおり、竣工(しゅんこう)までには済むということで進んでおります。2020年の10月末の進捗状況、進捗率が約14%となっております。2021年の12月の加速器搬入開始時に部分使用ができることを、まず目標としております。
 次、お願いいたします。(資料2の3ページ)
 これは、上空より見た工事の進捗状況でございます。蓄積リングトンネルの基礎部の構築というのが2020年の9月、そして、リング棟の地下ピット、ここが2020年の10月、そのほか地下通路、これは搬入通路でございますけれども、ここの7月、8月の状況が写真で添えてあります。付け替え道路で、そのそばに既にラチェットの構造が見えているのが分かると思います。遠くに見えますのは、東北大学のキャンパスでございます。
 次、お願いいたします。(資料2の5ページ)
 ビームラインの整備状況でございます。地域パートナー側は7本のビームライン、これを我々はコアリションビームラインと呼んでおります。これは、コアリション、すなわち有志連合ということで、学術と産業界が有志連合を組んで、このビームラインを建設するということで進めてまいりました。このコアリションビームライン及び建屋は、地域側、そして産業界からの資金を入れて、造っているものでございます。
 1番から4番まで、4本のビームラインが硬X線のビームラインで、6番から7番までが軟X線のビームラインでございます。
【村松センター長】 5、6、7ですね。
【高田理事長】 すみません、5、6、7でございます。
 オペランド分光とかHAXPES、構造解析XAFS、階層構造、そしてコヒーレントイメージング、軟X線イメージング、電子状態解析、軟X線のオペランド分光といったものになっております。できるだけこれらのビームラインは近くに設置すると、隣り合わせで設置するという形を取っております。
 また、このビームラインは大きな新しい方式を取り入れておりまして、マスター・スレーブ分岐方式ということで、ビームラインの委員会で決定された方針に従いまして、マスタービームラインを整備し、そのほか分岐したスレーブのところでルーチン計測を行っていく、またDX化を行っていくということで、リモート計測などを取り入れるという方式を採っております。
 その右下にありますように、スレーブのところはできるだけ自動化を進めていく。先端計測ステーション、マスタービームラインの方は、いろいろな実験のベンチが入れられるようにするということで、今、設計を進めております。
 活用分野につきましては、左下の方に全てラインナップが出ております。
 次、お願いいたします。(資料2の5ページ)
 このビームラインのデザインは、東北大学の国際放射光イノベーション・スマート研究センターが中心になりまして、村松センター長が中心になりまして、中村先生がワーキンググループのリーダーになりまして、その分岐のデザインを行いました。それには、理化学研究所及びJASRIの協力も頂いております。また、東大物性研の協力も、同様に頂いております。
 分岐のデザインとビームラインの分岐の実例でございますけれども、基本的には、この分岐の技術というのは既存のものを用いるという方針で進めております。左側の硬X線のビームラインの分割方法でございますけれども、分光結晶で行う方式でございまして、振幅分割方式と波面分割方式というものを取り入れておりますけれども、Diamond Light Sourceで既に同種例があるもの、そして、SPring-8のビームラインの12番で実例があるものを取り入れております。
 また、軟X線ビームラインの方も、エッジを使った波面分割方式、これはSACLA若しくはFLASHで実施されている方式を取り入れております。
 次、お願いいたします。(資料2の6ページ)
 ここに国際放射光イノベーション・スマート研究センターが具体的に設計を進めている、分岐技術の詳細な説明を載せております。硬X線の2分岐、軟X線の2分岐、そして、ビームラインの3番は硬X線の3分岐を取り入れております。熱負荷の評価、エネルギー分解能の評価、光量の評価、光量につきましては、SPring-8のベンディングマグネットのビームラインの典型値を約5倍上回るという計算結果も出ております。
 次、お願いいたします。(資料2の7ページ)
 地域パートナーの状況でございます。地域パートナー、光科学イノベーションセンター、東北経済連合会、宮城県、仙台市、東北大学、それぞれのこれまでの取組について、ここに挙げております。
 まず、地域パートナー全体の代表機関である光科学イノベーションセンターは、民間企業からコアリション加入、すなわち建設資金を入れていただく、そういうものに入っていただくということで、今、大体約100口、更に検討中の企業を含めて160口を見込んでおります。1口5,000万円でございます。
 参画予定の企業等の集まるコアリション・カンファレンスを定期的に開催しておりまして、大体年に2回、東京の日本橋でやっております。直近は令和元年9月に開催をしております。東北6県の自治体、大学、経済団体の東北地方の産学官27団体で、平成26年に東北放射光施設推進協議会――これは共同代表、宮城県知事、仙台市長、東北大学総長、東経連会長、大島先生――を設立して、シンポジウム等を定期的に開催しております。また、NTT東日本が仙台市に、次世代放射光施設活用を念頭に置いた研究交流施設の建設を開始しております。これは令和5年に完成予定でございます。
 東北経済連合会でございますけれども、地元中小企業に参画する小口利用のための「ものづくりフレンドリーパーク」を設立しております。現在63社が加盟しております。また、東北電力が次世代放射光に対する寄附を、約6億円でございますけれども、実施しております。
 宮城県は、官民地域パートナーシップに基づく資金を拠出、これは30億円を出していただいております。県内企業の利用促進に向けた補助金を、新規に設立・活用しております。この補助金を活用して、県内の企業に対して、国内放射光施設を利用した技術研修を実施しております。
 仙台市は、「仙台市経済成長戦略2023」の重点プロジェクトとして「光イノベーション都市・仙台」を位置づけておりまして、官民地域パートナーシップ基づく資金拠出を予定しております。リサーチコンプレックス形成及び東北企業の利用促進に向けた委託事業も設立しておりまして、事例を普及啓発に役立てるトライアルユースを実施しております。これは、東北地域全体にわたる企業が参画をしております。また、そのために分析会社2社、日産アーク、日東分析センターと、「放射光の産業利用促進に関する連携協定」を締結しております。
 東北大学でございますけれども、次世代放射光施設を中核に世界最高水準の研究開発拠点を形成する国際放射光イノベーション・スマート研究センターを、昨年の10月に新設しております。学術的、人的支援を強化していただいております。また、東北6県の国立大学による連携・協力体制として、東北7大学次世代放射光利用推進会議を運営していただいております。さらには、昨年から、海外の放射光施設9施設とMoUを締結しております。今年の4月には、COVID-19の克服を目指してということで、世界の放射光施設20か所のディレクターを東北大学が結んで、サミットも開催しております。
 次、お願いいたします。(資料2の8ページ)
 最後に、コアリション・コンセプトについて説明をさせていただきます。これは、次世代放射光を使いこなすための有志連合でございます。学術が、建設資金を出資した企業と1対1でユニットを組んで、製品開発競争の出口イメージを共有する、そして放射光施設を利用するためのものでございます。
 学術と産業界が1対1でやるわけでございますけれども、企業の方は、製品とか品質管理、クレーム処理、こういうものをやっていくと。学術は、そういったものから新しい学術領域、そういったものを見いだしていくということでございます。これは、そこの真ん中の図にありますように、そういう大学、国研等の学術の協調領域と、企業による競争領域を分けて、この放射光を活用していこうものでございまして、コアリションメンバーの学術と企業による組織対組織のオープンイノベーションの構築というものを、最終的には目指しております。
 運用開始まで3年ほどございます。それに向けて、既に加入した企業と学術の間でフィージビリティースタディーを、既存の放射光を活用する形で進めております。また、右下には、先ほど御紹介しましたコアリションメンバーによるコアリション・カンファレンスの参加者の推移のグラフが示してあります。大体1日を設定しておりまして、午前中がオープン、午後が、加入した企業だけのクローズドの会議になっておりますけれども、1回、2回、3回、4回と、回を重ねるごとに、この緑の加入したところの参加者が増えているということが、お分かりになると思います。このように、コアリションを今、学術、産業界とともに広げて、次世代放射光の利活用に準備を進めているところでございます。
 以上でございます。
 村松先生、何か補足ございますでしょうか。
【村松センター長】 私からは特にございません。高田先生にまとめて話していただきました。どうもありがとうございました。
【小杉主査】 ありがとうございました。
【高田理事長】 大学の方の質問は、村松先生にお願いいたしたいと思います。
【小杉主査】 はい。それでは、今の御発表に対しての質問、御意見など、お願いいたします。この次世代の計画の進捗状況を確認するというところでの質疑応答をお願いいたします。何かございませんでしょうか。
【岸本委員】 岸本ですけれども、よろしいですか。
 内海委員の御発表の中で、非管理区域というところがあったと思うのですけれども、これ、利便性という言葉でまとめられていますが、企業にとっては、これまで放射光研究者だけが実験に行けていたところから、純粋に、材料研究者も巻き込んで、チームとして実験しに行けるようになりますので、これは、放射光活用をますます促進するための非常に強いドライビングフォースになると思うのですね。それで、これまでも何回も議論もされていますけれども、非常にハードルが高いと思いますが、是非実現に向けて頑張っていただきたいという思いがありまして、一言コメントさせていただきました。
【小杉主査】 これは、放射光関係者は特に、これが突破できると非常に有り難いというところですが、可能性は、かなり行けそうな感じなのでしょうか。内海委員。
【内海委員】 法律を改正してくださいというような話になると非常に大変なことになってしまうので、今ある法律の中でどこまでできるのかをIR法と電離則をしっかり勉強するところから始めています。ここはこういう法律の解釈で大丈夫でしょうか、というようなことをひとつずつ規制庁の担当者と協議しているところです。まだ詳細については申し上げられないことが多々ありますが、実験ホールは放射線管理区域にしないという原則に関しては、恐らく山を越したのではないかと思っています。
 ただ、そのためには、遮蔽の厳格化だけでなく、施設側で対処しないといけないことが多々出てくるというところはあるのですけれども、ユーザーの方々ができるだけ簡単な手続で実験ホールにアクセスできるようにするということを目指してやっております。また時期を見て、進捗状況などもう少し詳しいことを報告させていただく機会があればと思っております。頑張ります。
【小杉主査】 これ、国内の放射光施設に対する波及効果も非常にありますので、よろしくお願いいたします。
 ほかに何か御質問ございますでしょうか。
【鬼柳委員】 名古屋大の鬼柳ですけれども、今の点ですけれども、これはサンプル交換も、従事者ではない人もできるということになるのですか。
【内海委員】 直球のボールを投げていただきましたね。今、議論の焦点になっているところのひとつなのですが、サンプル交換は放射線業務ではない、という形の整理ができないかなど、種々の検討をしているところです。軟X線ビームラインでは実験ハッチがないので、従事者登録をしていないユーザーが測定をすることに何の問題もない。光学ハッチは原則としてスタッフしか入らず、スタッフは当然ながら従事者登録をしていることが前提です。
 一方で、硬X線ビームラインの測定装置は実験ハッチ内にあるので、ここが問題になります。放射線管理区域の設定上は、実験ハッチを管理区域境界にせざるを得ないのですけれども、御承知のとおり、人がその中に入るときはビームは止まっているわけですね。ですから、光を出したり止めたりする作業は放射線業務だけれども、試料を交換したり、あるいは機器を入れ替えたりすることは、放射線業務ではないというような考え方が成立できないかをなどもろもろの検討をしています。モグラたたきみたいな話ですが、こちらをこういうロジックでやると、こちらが成立しなくなる、というようなことが多々あります。
 もう一つ非常に気をつけていることとして、本件、次世代放射光が突破することによって、既存放射光施設にも良い方向での波及効果が得られるはずと思っていますが、やり方を間違うと、むしろ既存の施設に悪影響を及ぼすことにもなりかねないので、そのようなことには絶対ならないように、注意深くやらせていただいているところです。
【鬼柳委員】 是非うまくやっていただけることを期待しております。岸本さんが言われたように、ユーザーとしては非常にアクセスしやすくなると思うので、大きな進展だと思います。よろしくお願いします。
【小杉主査】 ほかに、別の切り口の質問等ございますでしょうか。
【雨宮主査代理】 雨宮です。よろしいでしょうか。高田先生のプレゼンで、(資料2の)4ページ目に分岐の方式が書かれていたのですが、1つが先端計測、1つがルーチン計測と。それは、当初からで理解しているのですが、その命名がマスター・スレーブ分岐方式となっていることと、何かそれがDX化と関係あるのかどうか。要するに、私は、どちらかが制御してどちらかが制御される側であれば、マスター・スレーブというイメージではぴったりなのですが、先端計測とルーチン計測はそういう関係ではないと思うので、どうしてこういう命名になったのかということの補足説明を、いただければと思います。
【村松センター長】 高田先生、どうしますか。名前の問題というのは余り重要視していなかったのだけれども、どうですか。
【高田理事長】 まず、きちっと検討会議で決まったものを、しっかりとマスターでまずメインにやっていくということ。スレーブのところは、これ、ほぼ同時計測ができるような形を取りますけれども、やはりいわゆる基盤的な計測をそこでやっていくということで、ほとんどルーチンでメールインとかそういうものも取り入れていくという意味で、スレーブでございます。マスターの方は、かなり光源性能のところを狙っております。そういう意味でございます。
【雨宮主査代理】 分かりました。では、必ずしも制御する、若しくは制御をされる側という形ではないのですね。
【高田理事長】 ありません。どちらも大事な計測は行いますけれども、やはりいろいろな応用を広げていく上で、これはどういう計測をやるかということも、かなり産業界、そして学術の非専門家の人たちともいろいろ対話を重ねてまいりましたけれども、そういった点で、しっかりとそういう基盤計測のところもしていくことが、逆にそういう先端計測のところを支えることになるということでございます。
【雨宮主査代理】 分かりました。そうであれば、コメントなのですが、マスター・スレーブ方式というのは、ITのところでよく使われているけれども、それ以外でも広く使われているのですが、英語圏では、それが非常にコントラバーシャルだという話を聞いていて、要するに主人と奴隷という関係で……。
【高田理事長】 ええ、そうですね。
【雨宮主査代理】 であれば、何かもう少し違った命名も、検討してもいいのかなという印象を持ちました。
 以上です。
【村松センター長】 ありがとうございます。実はセンター長の村松も、ちょっとスレーブということは気になっていたのですけれども、それは今まで使っていたとおっしゃっていたので、それでゴーサインを出した次第です。先生の言われたこと、分かりました。ありがとうございました。
【小杉主査】 ほかにございますでしょうか。
【田中委員】 理研の田中です。今の分岐に関して1つ確認というか、どういうふうに利用するのかを伺いたいのですが。これ、上流のアンジュレータが1台で、そこから出てきた光を分岐して、マスターと、それからスレーブに分けると思うのですけれども、私のこのマスター・スレーブの言葉から感じ取ったイメージとしては、ビームラインの光の特性を1つに決めるわけなので、マスター側がそのプライオリティーを持っていると勝手に解釈しておりました。
 でも、そうではないということになると……。
【高田理事長】 いや、マスターがプライオリティーは持っております。
【田中委員】 例えばスペクトルとか放射光の特性をどう決めて、この2つのビームラインがどうシェアしていくのかなというところは、どんなふうに考えていらっしゃるのかを、ちょっとお聞きしたいと思います。
【小杉主査】 (資料2の)5ページ目を出していただくと……。大体イメージが分かると思いますが、御説明をお願いいたします。
【高田理事長】 硬X線のところでもそうでございますけれども、主要な使い方というところはマスターでやっていって、少し分けてそちら側を使うという形になっています。あの……。
【村松センター長】 すみません、次のページの方がいいと思います。(資料2の6ページ)
【高田理事長】 次のページ(資料2の6ページ)、あ、これはあれか。
【村松センター長】 これは今までのダイヤモンド。これですね。
【高田理事長】 ですから、汎用のものと、いろいろなオペランドも含めてやっていくものと、こういう分け方をしてあります。
【小杉主査】 伺った感じでは、既にエスタブリッシュした手法に基づいた分岐であるということですね。
【高田理事長】 そうです。
【小杉主査】 田中委員、よろしいですか。
【田中委員】 はい、ありがとうございました。
【小杉主査】 詳しく説明を聞かないと、本当のところは分からないのですけど、エスタブリッシュしているというところで大丈夫かと思いますが。
 ほかに何かございますか。
 このパートナー側については、人の問題が非常に以前から気になっていたのですけど、今回は東北大学の方で新しいセンターができて、村松センター長がうまく、大きく関与されているというのをお伺いできたので、安心要素が出たなという印象はあるのですけれども、センター側でいろいろ新しい試みや工夫、何かございますでしょうか、今回の件に関して。大学側で。
【村松センター長】 どうもありがとうございます、小杉先生。ビームラインのラインナップのときからずっと携わってきた先生方に協力していただいて、もちろん物性研の先生方にも入っていただいていますけれども、その先生方に最終的にブラッシュアップしていただいて、今ようやくビームラインの発注の手続に入っています。
 田中先生がおっしゃったようなマスターとスレーブに分けるところで、皆さんが気になるのは、やっぱりスレーブに分けることで、マスターがいろいろ劣ってくるのではないかというところを気にしていましたので、そこは、マスターはマスターでちゃんと守ったまま、スレーブの方で自動計測みたいなことにDXも含めてやるということで、そういう意味では、ルーチンな計測ができるようなスタイルにしていくということを念頭に、分岐技術というのは、この2月からずっとセンターで集中的に議論して、あるいは石川センター長とかにお伺いしながらやったところです。
 もちろんダイヤモンドとかFLASHとかいうところのことについては問い合わせながら確立したもので、軟X線の方はまだ完全に技術が確立したとは言えないけれども、今、前進しているところです。
 というわけで、センターを設立したことによって、こういった技術面がかなり進んできたのは確かでして、私も素人ながら関わらせていただいていますけれども、最近は、ビームラインの技術がかなりブラッシュアップして確立してきたなということは感じます。
【小杉主査】 ありがとうございます。最後のページのコアリションのところにも、東北大学としてかなり貢献する予定なのでしょうか。
【村松センター長】 それは、東北大学としても、コアリションのことは念頭に置いて検討しております。
【小杉主査】 今まで専用ラインを持つとか、コンソーシアムを組むとか、いろいろあったのですが、新しい産学連携の形式としてこれがうまくワークするようであれば、ほかの施設にも波及効果があるとは思いますけど。
【高田理事長】 コアリションにつきましては、大学及び国研に関与いただくように、今しております。進めております。
【小杉主査】 既に施設ができる前から、フィージビリティーの研究をされているということですけど、何本ぐらい進んでいるのでしょうか。
【高田理事長】 フィージビリティースタディーというのは研究事例ですので、このビームラインに対してということではなくて、分野に……。
【小杉主査】 ええ、分野ですね、これは。
【高田理事長】 分野についてでございます。大学も含めて、大体今、企業の数で言いますと40社以上、47社が……。
【小杉主査】 あ、もうそれだけフィージビリティーに入っているのですね。
【高田理事長】 学術とマッチングして、進めております。
【小杉主査】 では、かなり需要があるという感触が、もう既にあるというところですね。
【高田理事長】 そうですね。もう成果を上げて、いろいろと発表されているところもございます。また仙台市のトライアルユースでも、いろいろと成果を上げておられます。
【小杉主査】 はい。ありがとうございました。
 ほかに御質問ございますでしょうか。
【佐野委員】 分子研の佐野ですけど、ちょっとよろしいでしょうか。
【小杉主査】 はい、お願いいたします。
【佐野委員】 今のコアリションの話なのですけれども、大学と企業の間に分析会社と書いてありますが、これは、先ほどお話があった日産アークさんとかが、両者の要求を聞いて何かいろいろ面倒を見てくれるような、そういった仕組みということなのでしょうか。
【高田理事長】 実は、必ずしも産学連携という形でない形態を取るユーザーも、出てまいります。そのために、分析会社が7社、既に参画をしております。資金を拠出して参画をするということを決めております。この7社が、それぞれビジネスとしてこの支援をしていくという形で、実際にもうトライアルユースとかフィージビリティースタディーにも関与を頂いております。
 それを踏まえて、仙台市と日産アーク、日東分析センターが協定を結んでいるということでございます。具体的に、仙台市のトライアルユース事業に、こういった分析会社が関わっておられます。いろいろと相談にも乗っておられるようでございます。
【佐野委員】 ありがとうございます。放射光の利用を広げる新しい取組だと感じました。よろしくお願いいたします。
【高田理事長】 はい、ありがとうございます。
【小杉主査】 そろそろ打ち切らないといけないのですが、最後に1つ質問があれば。
新しい施設でいろんな新しい試みをされているので、いろいろ期待するところが大きい感じがしますし、また時間を置いてから進捗状況をお伺いすると思いますので、よろしくお願いします。
【高田理事長】 はい、了解いたしました。
【小杉主査】 御説明どうもありがとうございました。
 では、ちょっと時間の関係で、次に行かないといけないので、申し訳ないですが議題(2)に移ります。
 では、事務局より趣旨等の説明をお願いいたします。
【萩谷補佐】 事務局より御説明させていただきます。議題(2)に関しましては、量子ビーム連携プラットフォームの取組についてということで、2者からプレゼンをしていただくことを予定しております。こちらに関しましては、議題(3)でも、また、今までこの小委員会で議論していただきました、我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方について、様々それに関しまして、量子ビーム施設の連携であったり、産学連携であったり、ユーザー支援の在り方であったり、人材育成であったり、そういった課題に関して、今後どういった施設、どういった取組をしていくのかということで、1つ、そのプラットフォームという形があり得るのではないかと考えておりまして、現行で、そういったプラットフォームや連携の取組を行っている方々から、現行の取組や今後の展望に関してプレゼンを頂きまして、今後の取りまとめに向けて御議論いただくということを予定しております。
 以上でございます。
【小杉主査】 ありがとうございました。それでは、お二人の方にまた続いて説明いただいて、最後に質問時間を取るということで、10分ずつお願いする予定にしています。
 では、まず、高エネルギー加速器研究機構よりお願いいたします。
【雨宮センター長】 量子ビーム連携研究センター、CIQuSと呼んでおります(資料3の1ページ)の雨宮です。よろしくお願いします。光ビームプラットフォームから量子ビーム施設連携へというタイトルをつけさせていただきました。
 次にお願いします。(資料3の2ページ)
 光ビームプラットフォームですが、第1期が2013年に5つの放射光施設、2つのレーザー施設で始まりまして、2016年からは、JASRI・産業利用推進室を加えて、2期目に入っております。
 次のページをお願いします。(資料3の3ページ)
 こちらがメンバーというか、施設のリストになっておりまして、6つの放射光と2つのレーザー、赤いところに書いてありますが、産業利用に主眼を置いた施設間連携による共用促進を進める、そういうことをやっているわけです。1つコメントですが、最後のところ、計画時には、本格的な産業利用がなかった分子研UVSORと広大HiSOR、そちらが除外されているのですが、今の認識としては、学術施設における先導的な開発手法というのは共用に不可欠であるというものになっていると考えております。
 次のページをお願いします。(資料3の3ページ)
 実際、何をやってきたかと。3つあるのですけれども、1つ目が標準化ということです。御承知のとおり、放射光施設の装置というのはそれぞれ独自に作られたもので、ばらばらなわけです。ですが、ユーザーにとっては、そういった異なる施設、装置での測定方法とか試料取扱いの方法の標準化というのが、非常に重要であると。それから、当然ですが、測定データの信頼性が必要ですし、互換性・再現性というのが非常に重要になってくる。これを確保するために、ラウンドロビン実験というのをやりました。
 それが左下に書かれておりまして、同一の試料を各施設・各設備で順次測定していくと。そして、実験データの互換性を比較検証して、必要に応じて較正をする。そして、標準試料データベースとして作っていって、その右下に書いてありますが、DVDに基礎データを収集し配布すると、そういう取組をやってきまして、ラウンドロビン実験は70回以上やっております。
 次のページをお願いします。(資料3の4ページ)
 2つ目の取組というのが、施設連携・情報共有ということで、ユーザーの利便性を高めるというのがもちろん目的なのですけれども、この光ビームプラットフォームのホームページに、国内放射光施設の一元的な情報をまとめて出している、提供しているというわけで、例えば、下の方に施設運転情報などとありますけれども、ここを見ますと、それぞれの施設のホームページに行かなくても、運転スケジュールなんかが分かる、講習会のカレンダーなんかも分かると。
 それから、もう一つ大切なのは、こういう実験をしたいなと、このエネルギーでやりたいなと思ったときに、そういうビームラインを例えば検索したいというときにも、右側の施設横断検索というところで、それぞれのホームページに行かなくてもここで一括して検索ができるということで、ユーザーに大変便利なものになっていっているのではないかと思います。
 次のページをお願いします。(資料3の5ページ)
 最後、人材育成ということですが、まず専門スタッフの育成ということで、これは先ほどのラウンドロビンというのが非常に役立っていまして、それぞれほかの施設に行って一緒に実験をするということを通じまして、スキルアップ、人材交流ということをどんどん深めていったということになります。それから、2番目は新たな施設系職員育成ということ。これは学生とか若手の教員のことを想定していますが、セミナー、シンポジウムなど。それから一番下に、研究のスタートアップのための制度ということになります。
 次のページをお願いします(資料3の6ページ)が、たしか次のページは、そうですね、細かく書かれているので、ちょっとここは説明を省略しまして、その次にお願いします。7ページをお願いします。(資料3の7ページ)
 今のような光ビームプラットフォームから何を学んだかということをまとめておりますが、まず標準化・高度利用に関しましては、1つの理想としましては、どこの施設の装置であっても同じ結果が得られる、これがもちろん理想なわけでして、そうすれば、ユーザーは近くて便利な施設、あるいはそのときに空いている施設というのを利用することができる。ただ、やっぱり同じ手法であっても装置は違うという状況で、標準化というのは非常に時間がかかることでありましたし、装置そのものももちろんですが、試料の扱い方、測定の仕方、解析の仕方まで結構いろいろあって大変であるということ。それから、そういうわけなので、装置の担当者というのは、自分の施設のユーザーの声を聞くのは当然なのですが、ほかの施設の装置と比較の実験をすると、そういうのに参加することで、問題意識と解決動機が非常に大切になってくるということになります。
 最近、青で書いたところですね、新たな課題としてDX、AI導入というのが出てきているわけですけれども、これについては現時点で、結構施設間で温度差があるなと感じております。そういうことなので、実際どうしたらいいかというと、主要施設の連携で技術開発、あるいは人材育成というのを主導していって、それをほかの施設に技術移転、人材輩出していくという機能が重要なのだろうなと考えているところです。
 それから、2番目の施設連携・情報共有に関してです。これは、ある意味もう一つの理想ということなのですが、それぞれの施設に特徴ある装置があると。それで、ほかの施設の装置とは相補的なことになっていると。そうであれば、ユーザーはワンストップサービスを受けて、それぞれ目的に応じて施設を使い分けることができるということです。これ、情報提供は、当然ユーザー目線で見やすくする必要があるのですが、やっぱり情報提供だけしても、その後の相補利用の動きの把握というのはなかなか難しいということが分かってきました。従いまして、やっぱり受け身のワンストップサービスだけではなくて、能動的な仕掛けというのが非常に重要になってくるわけです。
 最後、人材育成ですが、これも1つの理想としましては、施設系のスタッフというのは、それぞれの装置に張りついているわけではなくて、いろんな施設を横断してユーザー支援ができるというのが理想。実際やってみたところで、レーザーと放射光の間では、ユーザーの紹介はできたものの、なかなか横断的なのは進まなかったと。それから、施設全体で利用者は増えているのですが、施設系の人材がなかなか人材難であるというのは、御承知のとおりかと思います。
 また、青で書いたように、今やっぱり光だけでなく、いろんな量子ビームとの併用が重要になってきている。特に放射光と中性子などというところの需要が非常に大きくなってきています。ということですので、そういった異種ビームの利用を促すためにも、新たに量子ビーム連携人材の育成が必要であるということになってきていると思います。
 ということで、次のページ、お願いします。(資料3の8ページ)
 それで、光以外も含む量子ビーム連携へ向けた取組ということで、まず、KEK物構研の4つのプローブですね、その4つの施設の共同利用の中で組織化を進めるということで、この4月から量子ビーム連携研究センターを立ち上げて、進めているところであります。
 次のページをお願いします。(資料3の9ページ)
 ここは、量子ビーム、いわゆるマルチプローブ利用がなぜ必要かというお話ですが、例えばこれは表面科学といいますか、薄膜デバイスなんかの研究を想定しているわけですけれども、縦軸はどこを見るかですね。深さ、表面0.1ナノを見たいときもあれば、もっと深いところも見なきゃいけない、100ナノまで見なきゃいけない場合もあるわけです。右側、横軸の方は何を見るかですけれども、原子配列、化学状態、電子状態、スピン状態です。どれも非常に大切なわけで、こういった多面的な測定をする必要があるわけですが、それを1つのプローブ、1つの装置でできるということはあり得ないわけで、いろんなプローブを、この絵に描いたような形で相補的に使うというのが、非常に重要になってくるというわけです。
 次のページをお願いします。(資料3の10ページ)
 というわけで、量子ビーム連携研究センターですが、主に3つの取組をしております。
 1つ目、これがある意味、一番目玉になるのですが、発掘型共同利用と左上に書いてあります。「待ちの共同利用」からの転換ということで、今、物構研で言えば4つのプローブがあって、それぞれユーザーが研究をしているわけですけれども、その研究内容をしっかり見てみますと、放射光だけを使っているような方でも、それはやっぱり中性子も使った方がいい、そういう、もっといいことがあるというような研究内容というのがあるのですね。それを発掘するという。
 ただ発掘して、それだけで終わりではなくて、そこから支援、助言というのが出てくるわけですね。ユーザーとスタッフで一緒になって、まず、別のプローブを使うのだから申請とかも必要なのですが、それも当然やるのですが、そのほかに、そのプローブに適した試料の調製、それから実験をする、解析をするといったとこまで一貫して支援する、そういう取組になります。
 それから、右上に行きまして、テーマ設定型共同研究ということで、これは、物構研のスタッフが中心になって、イノベーションに貢献できるような、量子ビーム連携研究課題、量子ビームを使っていろいろ研究をする課題ですけれども、それを設定しまして、産学官連携・国際連携、そういった共同研究で課題解決をしていくというものであります。
 それから、最後、マルチプローブ若手人材育成で、先ほども申しましたが、量子ビーム横断利用に対応できるような新たなスタッフを育成していくということが、非常に重要なポイントになっております。
 次のページをお願いします。(資料3の11ページ)
 今、1つ目玉と言いました発掘型共同利用ですが、この半年間、最初から全部の領域でやるのはなかなか難しいので、試行的にやったのが、放射光と中性子の間で共通の手法というのがありますし、相補的な手法であるわけですけれども、その中で一方を使っているユーザーに声をかけて、他方のプローブを試行的に使ってもらう、トライアルユース的なものですね。これを物構研の枠内で、そういう枠を設けてやったわけです。X線から中性子へ、中性子からX線へ、X2N、N2Xと書いておりますが、下にリストを挙げたようなものがこれまでにやられたもので、PF、放射光のビームラインと、MLF、中性子のビームライン、1つミュオンも入っていますが、そういったことをやっておりまして、赤で書いたところが実際この秋までに実験をしたところで、引き続きこれはどんどん増えておりまして、どんどんやっていきたいと思っているところです。
 次のページをお願いします。(資料3の12ページ)
 技術開発といいますか、そういった面から目指しているのは、こちらの統合的なリモート分析システムの構築というところになります。これは、赤字で書いたところがポイントになりますが、1つは試料環境です。これを共通に制御できないかということ、それから、できればリモート制御できないか、それが1つのポイント。それから、解析の方ですね。量子ビーム連携ビッグデータ解析システムと書いていますけれども、いろいろなプローブで測定したデータを統合的に解析するということ。最後、試料搬送ユニット、これは表面とか、そういう大気にさらせない試料などに特に有効なのですけれども、こういったユニットを整備して、例えば大学等でそこに試料を入れて、こちらに送ってもらって、いろんな施設で測定をする、しかもリモートでやると、そういうことができるようにしていきたいということで、順次整備を進めているところです。
 次のページをお願いします。(資料3の13ページ)
 こちら、今のお話のようなときにキーとなるもので、測定の自動化・リモート化、共通化ということになります。これが一番進んでいるのは、やはり構造生物学、たんぱく質の結晶構造解析ですね。こちらに写真が出ていますけれども、KEKの機械工学センター、ここがなかなかすばらしい技術を持っているわけですけれども、そことの共同で進めているものであります。
 下の写真、本来は動画だったのですが、写真ですが、これ、試料料の交換をしてくれるシステムです。ロボットと呼んでいます。こちらが、試料を左のストックのところから取って、右側にある回折計につけてというようなことを自動でやってくれるというわけで、実験ハッチに入る時間が完全になくなるというか、短縮できたわけです。それで、一連の操作、試料セットからデータ処理まで、完全自動化がなされております。
 今、右側に円グラフが出ていますけれども、半数近くは全自動で、もう完全にお任せでやると。それから、半全自動といいますか、リモート実験というのも含めますと、もう7割のユーザーは、KEKに来ないで実験をしているということになります。この一番進んでいる例ですが、これを参考にというかお手本に、ほかの手法、ほかのプローブにどんどんこれを展開していきたいということで、今、徐々に進めているところです。
 次、お願いします。(資料3の14ページ)
 一方で、解析の方です。こちらについても開発を進めておりまして、ここに出しているのは、右上に写真が出ています、私たちのセンターの小野准教授が中心になって、いろんな人と共同でやっているのですけれども、ここに出ているのは、X線結晶構造解析の全自動化ということで、今までだと熟練者でも数日とかかかってしまうものが、市販のノートパソコンで数分でできてしまうというようなことができていますし、ほかのX線吸収ですとかそういった方に関しても、同様のことを進めているところでして、これが非常にいいのは、コンピューターというかAIというのは、手法の壁とかプローブの壁というのをほとんど感じないで、いろんな手法にそのまま適用できてしまうということですので、正にマルチスケール、マルチモードでの解析に展開していくことができるもので、現在、順次拡大を進めているところであります。
 最後のページですが、次をお願いします。(資料3の15ページ)
 この半年間やってきたCIQuSから見えてきた量子ビーム連携の展望ということですけれども、まずは標準化・高度利用に関して、青字で書いてあるのは先ほどお話ししたことなのですが、それを受けて、赤字のところですが、今ちょっとお話ししたように、先行しているDX、AIの取組をほかの手法、ほかの施設、ほかのプローブに展開していくということが、非常に有効になってくると思います。
 また2行目、施設間での役割分担ですね。これは放射光学術基盤ネットワーク、中性子施設ネットワークというのをつないでいくのが大切になってくる。
 それから、そういうのを――今言ったようなことですが、今の現有のスタッフだけではなかなか大変なことですので、やっぱり特定の施設が新たな人材、新たな技術というのを育てて、それでほかの施設に協力していくという形が、現実的なのかなと考えているところです。
 それから、2番目、施設連携・情報共有に関しては、やっぱり能動的な仕掛けが必要ということで、先ほど紹介しました発掘型共同利用、特定ビームの利用者をほかのビームのトライアルユースに導く、これは大変有効であって、どんどん進めていきたいなと考えているところです。それから、もう一つ、テーマ設定型共同研究という名前で言いましたけれども、課題解決をするようなプログラム、これも、量子ビーム利用を先導するという意味で非常に有効であります。
 最後、人材育成ですけれども、こちらもやっぱり1つの装置だけでなくて、いろんな施設を横断できる人材をということなのですけれども、ここで大切なのは、単なるコーディネーターではなくて、試料調製からデータ解析まで一貫して支援ができるということが非常に大切であると。そのために、異種ビームの実験の専門的な経験を持って、特定の装置に拘束されていないような人材を育成していく必要があると考えているところです。
 以上になります。
【小杉主査】 ありがとうございました。
 それでは、次、宮﨑室長、お願いいたします。
【宮﨑室長】 (資料4の1ページ)それでは、総合科学研究機構CROSSの宮﨑から、CROSSの産学連携推進室のユーザー支援と施設間連携活動ということで報告をさせていただきます。
 次のページをお願いいたします。(資料4の2ページ)
 まず、CROSSの産学連携推進室ですけれども、J-PARCの中間評価の論点の1つであった、本格的な産学連携の推進というものを目的に、2年前にCROSSに設置いたしました。主な活動としては、産学施設連携コンソーシアムの設立と運営というものと、さらに、量子ビーム施設間の連携の企画・実施というものです。
 本日は、その中から具体的な活動として、放射光と中性子の連携利用に向けた、JASRI様と行わせていただいております合同研修会の中身と、それからJ-PARC初となります機能性高分子コンソーシアムの活動内容について、御報告をいたします。また最後に、まだ案の段階ではありますけれども、放射光と中性子のさらなる連携に向けた仕組みづくりについても、簡単に述べさせていただきます。
 次のページをお願いいたします。(資料4の3ページ)
 最初に、JASRI様とさせていただいております合同研修会ですけれども、もともとの経緯は、CROSSに産学連携推進室を設置したときに、放射光施設での産業利用の現状を学ばせていただきたいということで、JASRIの産業利用推進室に定期的な打合せをお願いしておりました。その中で議論している中で、放射光と中性子の連携利用を進めるためにどうしたらいいかという話をしている中で、真っ先にできることとして、毎年JASRI様で行っていらっしゃいます研修会の一部を、合同で開催するという案が出まして、昨年度から実施をしております。
 研修会の内容ですけれども、講義と実習からなっておりまして、例えば午前中に外部の講師の先生による講義を受けていただいて、午後から、それぞれのユーザーさんが持ち込んだ試料を使って実験をしていただくと。それをSPring-8とJ-PARC MLFの両方で、同じユーザーさんに経験していただくということです。
 今年度については、ちょうど一昨日にSPring-8の実習が終わりまして、来年の1月25日にJ-PARC MLFでの実習を、同じユーザーさんに受けていただくということになっております。
 それで、ここに書かせていただいておりますとおり、募集要項としては、放射光を使ったことはあるけれども中性子は使ったことがない、あるいは逆のユーザーさんを対象にしておりまして、必ず両方の施設での研修に参加いただける方ということで、参加要項にしております。
 この講習会のポイントの1つは、各施設での実験に、両方の施設の装置担当者が一緒に実験の指導に当たるというところで、こういう機会を捉えて、装置担当者同士がお互いの顔が分かり、お互いの装置やプローブの特徴などを理解し合うということができるという点が、我々マネジメントとしては期待しているところで、こういう装置担当者同士の現場レベルでの連携が、連携利用を促す上でも最も重要なことであろうと思っています。
 次のページをお願いいたします。(資料4の4ページ)
 去年からやり始めたところで、具体的な成果というのはこれからということなのですけれども、例えば中性子の利用実験は経験していたのですけれども、放射光の利用の経験のなかったユーザーさんが、研修会後にSPring-8の課題申請をしたという例とか、あと、装置担当者レベルでの中性子の利用の相談のときに、この相談内容をお聞きして、いきなり中性子で実験するより、放射光で実験した方がいいのではないかという話になりまして、担当者の方を知っているので紹介しますということで、このユーザーさんにまずSPring-8での実験を経験していただきました。今現在そのデータを基に、では、中性子でどういう実験をしましょうかという御相談に乗っているということで、こういった現場レベルでの人材交流というのが連携利用につながっているという例が、ちらほらと出てきていまして、今後こういう例が増えていくことを、非常に我々としては期待をしています。
 今後ですけれども、我々CROSSとしては、この合同研修会を是非とも継続させていただいて、マルチビーム利用ユーザーの拡大をしていきたいと考えています。
 次のページ、お願いいたします。(資料4の5ページ)
 続いて、産学施設連携コンソーシアムですけれども、このコンソーシアムを設立しようとした背景を、簡単に御説明します。J-PARC MLFの産業利用の統計を取ってみますと、こちらのグラフに表れているように、これまで非常に多くの企業様にMLFを使っていただいています。実に170社にも及ぶ企業様に使っていただいているのですけれども、残念ながらその6割が、1回、2回、使ったことはあるのだけど、その後使われなくなってしまっているという企業様で、逆に、1社当たり10課題以上の課題を申請していらっしゃる、いわゆるパワーユーザーの企業様というのは1割にも満たないということがありまして、つまり、J-PARCのMLFの産業利用を促進する上で一番大きな課題というのは、産業界のパワーユーザーを育成することにあると思っています。
 そこで、共通の技術課題を持った産業界のユーザー様をグルーピングさせていただいて、学術や施設が全面的に支援することで、パワーユーザーに育っていただくような仕組みとして、コンソーシアムの設立というのを我々は考えました。
 次のページをお願いいたします。(資料4の6ページ)
 もちろん、こういった仕組みを手弁当でやるというわけにはいかないので、産業界から一定の会費を頂いて、仕組みづくりに使わせていただいています。活動のかいがありまして、昨年、第1号のコンソーシアムとして、機能性高分子コンソーシアムというのを立ち上げることができました。
 次のページをお願いいたします。(資料4の7ページ)
 ターゲットとしては、いわゆる機能性高分子ということで、燃料電池電解質膜や各種輸送機器の軽量化のための有機/無機複合材料の高性能化ということで、時間がないので詳しいことは述べませんけれども、そのためには高分子と水の相互作用の理解が欠かせないということで、それには中性子が非常に役に立つということで、中性子を使って課題解決をしていこうということであります。
 次のページをお願いいたします。(資料4の8ページ)
 具体的な活動としては、頂いたお金を使いまして、実験補助員と事務員を雇いまして、CROSSの経験豊富なコーディネーターが中心となって、コンソーシアムのためのオフィスを立ち上げています。このコーディネーターが、学術の先生方にも御協力いただきながら、各社の研究、何しましょうかというようなお話から実験の内容、あるいは結果、それから結果の解釈、そして産業価値の創出まで一貫して相談に乗っているということと、実験補助員が、試料環境機器の整備等含めて、各社の実験を全面的に支援しているということです。
 こういったコンソーシアムの実験支援体制というのが、実は今年のコロナ禍の中で思わぬ効果を上げまして、つまり、春頃からユーザーさんが来所できなくなってきまして、特に産業界のユーザー様というのは会社の方から出張禁止令が出まして、全く来られないということになりました。もちろんユーザーさんが来られないと、その課題というのはキャンセルになってしまうのですけれども、コンソーシアムの課題については、日頃から実験内容について密に議論している実験補助員を中心に、測定代行を行うことができまして、ほかの課題が次々キャンセルになる中で、コンソーシアムの課題というのは全て、100%実施することができました。これによって、コンソーシアムという仕組みは、産業界から見ると、少しお金は要るのだけれども、このような大型研究施設での利用を安定的に行っていくための有効な仕組みだということを、御理解いただいたと自負をしています。
 そのほかオフィスとしては、事務的な作業に加えて、各社の実験がスムーズに進むように、来所手続の支援とか、来所時の打合せ、あるいは休憩のためのスペースを作ったり、あるいは、各種の決め事とか結果の共有のための、委員会とか研究会の開催を支援させていただいています。
 次のページをお願いいたします。(資料4の9ページ)
 成果ですけれども、こちらも活動し始めて1年半ということなので、本格的な成果が出るのはこれからだと考えておりますけれども、いわゆる当初の目標であった参加企業様のパワーユーザー化については、先ほどの基準である、1社当たり10課題以上申請したという定義でいうパワーユーザーに、コンソーシアムのメンバーが新たに2社加わったということと、もう残りの2社も惜しいところまでいっているということで、運営期間が3年というのを想定していますが、3年内には、全ての企業様はパワーユーザーになっていただけるだろうと考えています。
 また、学術成果についても、J-PARC MLFでのこの手のプロジェクトの中では出ている方かなと自負していまして、残りの1年半で更に上積みをしていきたいと考えています。
 次のページをお願いいたします。(資料4の10ページ)
 また、コンソーシアムで構築しました、高分子と水の相互作用を明らかにするという実験装置は、多くのビームラインでの利用に発展していまして、特にBL17というビームラインにおいては、この装置を使う課題が、全一般課題のビームタイムの半分以上を占めるということで、一般のユーザーさんの拡大にも非常に大きく貢献していると考えています。
 ということで、波及効果も非常に大きいので、我々としては、このコンソーシアムというのは産業利用を促進するための非常に有効なツールだと認識をしていますので、今後とも別の技術分野でのコンソーシアムの設立というものを、積極的に図っていこうと考えています。
 次のページをお願いいたします。(資料4の11ページ)
 最後に、量子ビームの連携利用を促す仕組みについてですけれども、JASRI様とは放射光と中性子の連携利用を促す仕組みについて、具体的な議論を続けています。実は昨日もSPring-8に行かせていただいて、打合せをさせていただいていたのですけれども、その中で、例えば両方のプローブに精通したコーディネーターを中心とした、ワンストップの相談窓口をつくれないかというようなお話とか、あるいは連携利用課題というのを創設できないかというようなことを議論させていただいています。
 このワンストップの相談窓口というのは、連携利用を促進する上で最も重要な仕組みだろうと我々は考えております。といいますのは、当たり前ですけれども、産業界、学術界を問わず、ユーザーさんにとって、どのプローブを使うかということが重要なことではなくて、自分たちの技術課題がどの施設で解決できるのかということが重要な課題です。なので、いろんな施設に聞いて回らなくても、1か所に相談すると、どこを使えばいいのかとか、あるいは、どことどこを連携して使えばいいのかということが一発で分かる仕組みがあると、利便性は飛躍的に上がりますし、利用は拡大すると考えられます。
 それと、この連携利用課題というのは、最初から両方の施設での実験を前提にした課題を新たに募集するということで、具体的に進めようとすると、いろいろ問題は出てくるとは思うのですけれども、できないことはないよねというようなお話をさせていただいています。これをすることによって、もちろん両方のプローブに精通した装置担当者とかも育成できますけれども、それだけではなくて、課題情報なども共有する必要がありますから、ユーザーズオフィスも含めて各階層での連携が促進される、また人材が育成されるというような利点が得られるのではないかということを、我々は期待しています。
 最後のページ、次、お願いいたします。(資料4の12ページ)
 将来的には、全ての量子ビームの連携利用を促進するということが必要だろうと思っていますが、そのためには、まずやはりワンストップの相談窓口というのを開設することが必要だろうと考えておりまして、今後ともこういったことに向けて、関係の皆様と議論はして、進めていければいいかなと思っています。
 本日の報告は以上です。ありがとうございました。
【小杉主査】 ありがとうございました。比較的似たような取組のように伺いましたけれども、御質問ございましたらお願いいたします。今日の議論というのは、最終的にまとめのところに書き込まれると思いますので、そういうまとめる際の観点も含めながら、質問等をお願いいたします。
【山田委員】 山田ですが、よろしいでしょうか。
【小杉主査】 はい、お願いいたします。
【山田委員】 雨宮センター長と宮﨑室長の人材育成に関するお話、かなり共通部分があると思います。異なる施設のプローブに精通した、サイエンスコーディネーター、あるいは施設研究者の養成という非常に重要な観点を挙げられているのですが、このことを具体的に進めていく上で何が一番重要だとお考えになっているかを、お二人にお聞きしたかったのですが。
【小杉主査】 それでは、雨宮さん、まずお願いします。
【雨宮センター長】 やっぱりいろんな施設に実際に行かないと分からないことが当然あるので、先ほど放射光施設内でのラウンドロビンの話はしましたけれども、それは、同じことをほかのビームのほかの施設に対してもやるべきことであって、やはり実際にそれぞれの施設に行く、それで学ぶということが一番重要だと思います。
【小杉主査】 では、宮﨑室長、お願いいたします。
【宮﨑室長】 雨宮先生と同じようなことなのですけれども、私自身は、まず箱を作ってしまって、人をアサインして、実際に活動させることかなと思っていて、当然、勉強してからやるということも重要なのですけど、やりながら勉強してもらうということがやっぱり必要で、失敗、経験を積みながら、若いうちからこういうコーディネーターというのがプロパーになるような人の育成ということが、重要かなと思っています。
【小杉主査】 ありがとうございます。
【山田委員】 ありがとうございます。それをやっていく上で、人材が、特に施設側で足りていないという大問題があり、いろんな施設を訪ねてユーザーと実験を一緒にやるのが理想かもしれないのですが、人材不足が厳しい状況の中で、最後に雨宮さんがおっしゃったのですが、自動測定とかを大いに活用して、少しでもスタッフの時間的な余裕をつくるという、そういう方向に進まざるを得ないのでしょうか。
【宮﨑室長】 私から先に御説明すると、それも非常に重要な視点だとは思うのですけど、もう一つは、もう少し民間の利用というのを考えたいなと思っていて、おっしゃるとおりですけれども、施設のメンバーとか学術のメンバーだけで、なかなかこの量子ビーム施設全体を支える人材をインキュベーションするというのは難しいところもあるので、先ほどの東北の計画なんかにもあったように、民間の、特に分析会社さんなんかを非常に、もう少し有効に活用する仕組みというのが、必要ではないかなと思っています。
 以上です。
【山田委員】 ありがとうございます。
【小杉主査】 雨宮さんから何かありますか。
【雨宮センター長】 ええ。山田先生が最後の方でおっしゃった自動化とかいうのは、実は本当に大切だと思いまして、私も、今でもビームライン担当をしているわけですけれども、そこでちょっと自動化、ちょっとリモート化をしたことによって、ものすごく時間ができたのですね。そういうのは本当にあるので、非常にうまく使っていくのは大切なことだと思います。
【山田委員】 どうもありがとうございます。
【小杉主査】 ほかの切り口は……。今、人材育成も、1つのまとめていく際の大きな視点ですけど、ほかに何かございますでしょうか。
【雨宮主査代理】 JASRIの雨宮ですが、よろしいでしょうか。
【小杉主査】 はい、お願いします。
【雨宮主査代理】 KEKの雨宮健太さんに質問なのですが、CIQuSというのがこの4月に立ち上がって、パートで言えば(資料3の)10ページなのですが、「待ちの共同利用」からの転換ということで、次ページ(資料3の11ページ)にありますけれども、このコロナ禍の中でいろんな事例が結構うまく回っているなと。半年間でかなり功を奏しているなと思ったのですが、ここで具体的に声をかける人材、若しくは、コーディネーター的な人、目利きの役割を果たす人は、誰が担っているのでしょうか。すごくプラクティカルなことなので、そこを聞きたいと思いまして。
【雨宮センター長】 まず、この試行的にやったことに関して言えば、それぞれここに書かれているビームラインの担当者に直接協力を依頼したのです。それぞれ自分のユーザーのことはかなり把握しているので、そこでユーザーと相談して、この人をこちらの別の人に紹介してというようなことをやっておりました。これは飽くまでも試行なので、なかなか皆さん、時間も取れないわけですが、非常によくやってくださいました。実際のところ、今新たにそういう人を公募しているところです。
【雨宮主査代理】 はい、分かりました、物構研は大分前から、マルチプローブということを目指しているわけですが、このCIQuSをつくって意識変換が起きたというところが、重要だと理解してよろしいですか。
【雨宮センター長】 そうですね。協力してくださった方たちも、やっぱりこのセンターの、何というか、目指すところに非常に共感してくださって、それで喜んで協力してくださったというわけですね。
【雨宮主査代理】 理解しました。
【小杉主査】 ほかの切り口はございますか。
【佐野委員】 分子研の佐野ですが、ちょっと今の雨宮主査代理の御質問に関連しての質問なのですけれども、KEKの雨宮先生にちょっとお聞きしたいのですが、(資料3の)2ページ目の説明に産業利用に主眼を置いた取り組みという説明がありますが、先ほど雨宮主査代理からも御質問があった(資料3の)11ページの事例というのは、これはユーザーは産業界の方なのでしょうか。
【雨宮センター長】 産業利用にという話は、光ビームプラットフォームの方の話ですね、今進めている。こちら、CIQuSの方は、産業利用に特に絞っていないので、結果的に、ここに載っているのは全て学術だったと思います。
【佐野委員】 分かりました。ありがとうございます。取組は大変魅力的だと考えています。ありがとうございます。
【雨宮センター長】 ありがとうございます。
【小杉主査】 ほかにございますでしょうか。
【鬼柳委員】 名古屋大の鬼柳ですけれども、よろしいでしょうか。
【小杉主査】 はい、お願いします。
【鬼柳委員】 雨宮先生のところで、DX、AIの人材という話が出ていましたけれども、今これを本当にメインでやっておられる方は少ないと思うのですけれども、そういう人たちを放射光とか中性子で定着させていくという方策は、何か考えておられますか。これが1つ。
 次は、雨宮先生と宮﨑さんのお二人ですけれども、今、中性子と中間子の学会で、量子ビーム科学連携部会というのができています。それから、放射光も若手部会でしたかね――で量子ビーム利用を推進しようという動きがあって、この3者でマルチビームを推進しようという動きがあるのですけれども、そういう学会との連携ということは考えておられるのでしょうか。
 以上2件です。よろしくお願いします。
【小杉主査】 答えられる範囲でよろしいのですけれども、まず最初の雨宮さんに対する質問を。
【雨宮センター長】 そうですね、今確かに、ああいう機械学習であるとかAIということを、そればかりをやる人を、そんなにたくさん物構研なりで抱えることは難しいと思うのですけれども、話をしていますと、やっぱり機械学習とかそういうことをやっている人というのは、非常に日本中にたくさんいらっしゃると。そして、割とデータを欲しがっているという状態、やることを欲しがっているという状態だと聞いております。
 そうすると、今、例えば小野さんが出ていましたけれども、ちょっとアイデアを出してこういうことをやりましょうと言うと、すごく人が集まってくるのですね。自分のところでコアとなる人を抱えることはもちろん重要ですが、それと、ほかの日本中の研究者との連携というのが、非常に重要になってくるのかなと思っています。
【鬼柳委員】 ということは、そういう場を設けることがまず大事だということですね。
【雨宮センター長】 そうですね、はい。
【鬼柳委員】 どうも、ありがとうございました。
【小杉主査】 それから、学会との関係、何かコメントございますか。
【雨宮センター長】 はい、学会との関係は、もちろんどの学会も、非常にこういう、何というか、量子ビームにプロパーな学会ですから、これと協力していかないという話は全くあり得ないことでして、当然やっていきたいと考えております。
【小杉主査】 宮﨑さんはいかがですか。
【宮﨑室長】 CROSSとしても、中性子科学会を始めとして、多くの学会の方々と連携させていただきながら、ユーザー支援、あるいは利用促進業務を行わせていただいておりますので、今回の御紹介させていただきました合同研修会についても、学会を通じた告知等もさせていただいておりますし、今後とも学会の皆様の御意見をお聞きさせていただきながら、連携利用の方向性というのを一緒に議論させていただきたいと思っております。
【小杉主査】 ありがとうございました。よろしいですかね。
 ちょっと時間の関係で、もうかなり超過していますので打ち切らないといけないのですけど、最後にこれだけは聞いておきたいというのがなければ、次に行きたいと思いますが。よろしいでしょうか。
【高原委員】 1つよろしいですか。
【小杉主査】 では、最後に1つです。
【高原委員】 九大の高原ですけれども、宮﨑さんにお聞きしたいのですが、今5社ということで、これがかなり多くなってくると、普通のビームタイムをかなり圧迫すると思うのですけれども、大体適正規模というのはどのくらいになると考えられているのですか。例えばFSBLみたいなたくさんの会社が入ったら、相当な通常のビームタイムが圧迫されると思いますけれども。
【宮﨑室長】 はい、FSBLのように専用ビームラインを建設するというのは、MLFの中ではなかなか難しいので、やはり今、高原先生がおっしゃっていただいたように、今ある仕組みの中でコンソーシアムというのを運営していく必要がありまして、正直言いますと1つ、無理に頑張っても2つぐらいかな。先ほど申し上げた5社ぐらいの規模のコンソーシアム2つぐらいを運用するのがせいぜい。しかも、別の事業分野でというのが、ビームラインがかぶらないという意味でですけれども、2つぐらいが併用できるのがいっぱいいっぱいかなと思っています。
【高原委員】 ありがとうございます。
【小杉主査】 それでは、申し訳ないですけど、次に行きたいと思います。議題(3)です。
 事務局より資料についての説明をお願いいたします。
【萩谷補佐】 事務局より説明させていただきます。時間がもう既に超過してしまっておりますので、簡単に御説明をさせていただきます。ちょっとお待ちください。
 議題(3)といたしまして、我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方ということで、前回に引き続き御議論いただきたいと考えております。資料に関しましては、資料5から7にございますけれども、まず資料5に関しましては、こちらはその取りまとめに向けた素案の概要ということで、こちらの内容に関しましては、前回の量子ビーム小委で出させていただいた資料と変えておりませんので、割愛をさせていただきます。
 資料6につきましては、今回、「とりまとめに向けた素案」ということで、本文を書かせていただいております。前回から、ちょっと細部をブラッシュアップしたりですとか、あと前回、主にデジタルトランスフォーメーションの御議論を頂いておりますけれども、そういったところで、先生方から頂いた御意見を適宜反映させていただいております。先生方におかれましては、細部も含めて御確認をいただけますと幸いでございます。
 特にこちら(資料6の16ページ)に関しましてピックアップをさせていただきますのは、本文がございまして、最後に別紙1という形で、前回御議論いただいたデジタルトランスフォーメーションの取組の方向性という形でまとめさせていただいております。こちらの内容に関しましては、前回、皆様から御意見いただきました内容を、簡単にまとめさせていただいたところでございます。
 その次(資料6の17ページ)に、別紙2ということで、ちょっと白紙になってございますけれども、こちらは、新たな量子ビーム連携プラットフォームの構築に向けてという内容で、これから追記を予定しておりまして、本日、先ほどプレゼンいただいた内容ですとか、御議論いただいた御意見を踏まえて、こちらに追記をさせていただいて、また先生方に御相談をさせていただきたいと考えてございます。
 その後は、適宜補足資料を追加させていただいているところでございます。
 続きまして、資料の7でございます。以上、取りまとめに関しましては、この次の小委員会、来年の1月頃を予定しておりますけれども、そちらで取りまとめをさせていただきたいと考えております。ちょっと先んじてということになりますが、その取りまとめを踏まえて、今後、量子ビーム施設の在り方としてどういうふうに進めていくのかということを、こちらの資料7でまとめさせていただいております。こちらも案でございますので、皆様方の御意見等々を今後いただけたらと考えております。
 左側は具体的な取組ということで、今御議論いただいておりますプラットフォームに関しまして、具体的に進めていきたいと考えております。また、各施設におけるDXの推進であったり、あとは量子ビーム施設の整備計画を策定していくと。一番下は、課題解決型の量子ビームプロジェクトの検討ということです。現在、JSTで戦略プロポーザルを策定しておりまして、そういった内容も踏まえつつ、今後、研究開発プロジェクトの検討を進めていきたいと考えております。
 右側は、今期の量子ビーム小委員会は来年の2月で終了ということになりますけれども、次期小委員会に向けてどういった調査事項を考えているかということを、こちらに簡単にまとめさせていただいておりますが、今回、次回の小委員会で取りまとめさせていただくその取りまとめを踏まえて、施策の具体化ということを、次期の小委員会では御議論いただきたいと考えてございます。
 時間がもうございませんので、資料を最後まで御説明させていただければと思います。
 最後、資料8でございますけれども、こちらは概算要求の状況ということで、こちらに簡単にまとめさせていただいております。次世代放射光施設(資料8の2ページ)、SPring-8(資料8の3ページ)、SACLA(資料8の4ページ)、J-PARC(資料8の5ページ)でございます。
 一番最後(資料8の6ページ)に、こちらは、研究基盤の整備・共用とリモート化・スマート化の推進ということで、概算要求させていただいておりますけれども、この中にプラットフォームプログラムであったり、先端研究設備整備補助事業というところであったり、ただいま概算要求中でございますけれども、こういった施策も含めて、来年度以降、量子ビーム施設の連携であったりDXというところを進めていきたいと考えております。
 駆け足になりましたが、説明は以上になります。
【小杉主査】 ありがとうございました。議題(3)、(4)を御説明いただきました。
 一応、我々のこの委員会の今期のミッション、2月で終わると聞いていますが、まとめを作らないといけなくて、それのたたき台が資料6という位置づけになっています。資料6は、今まで何度か御説明して、委員の方々には、頂いた意見をどういうふうに反映したかという資料も、別途お送りしていると思いますが、今日の議論を踏まえて、最終的に一通りのものがそろうということになります。
 それで、今の委員会の予定としては、年明けにもう1回やったところで、このまとめを作り上げたいという方向性なので、私と事務局でいろいろ、皆さんに意見を頂く前に詰めていかないといけない部分があるのですが、至急そういうのを対応して、委員の方々には意見を頂く形にして、仕上げたいとは思っております。
 そういうことで、資料6、現バージョンを、今日の議論を踏まえた形で最終的なたたき台というか、みんなに見ていただく前のものを作り上げたいと思っておりますけれども、是非資料6を丁寧に見ていただいて、意見を頂きたいとは思いますので、そのあたりは書面審議的に意見を頂くということでやりたいと思います。年明けに開催されるところで、しっかり時間をつくって議論したいと思っております。
 そんな感じで、事務局、よろしいでしょうか。
【萩谷補佐】 はい、ありがとうございます。ちょっと時間がなかったところもございますけれども、本日の御議論も踏まえて、また事務局と小杉主査で修正をさせていただいて、めどといたしましては来月中ぐらいに、またちょっと委員の先生方に意見の御照会をさせていただいた上で、年明け、次回の量子ビーム小委員会で再度御議論いただくというような流れで、進めさせていただければと思います。
【小杉主査】 はい。では、ちょっと時間も超えていますのでそろそろ打ち切りたいのですが、何か今日の議論の中で、まとめの方向へ行くところで是非入れていただきたいとか、何か重要なことがあれば、コメントを1つ、2つ受けますが、いかがですか。
 何もないようですので、意見は別途メール等で頂くということで、進めたいと思います。
 では、今日は以上をもちまして、第10期第39回になりますが、量子ビーム利用推進小委員会を閉会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。
【萩谷補佐】 すいません、事務局でございますけど、最後、ちょっと連絡事項だけお伝えさせていただければと思います。
 次回の量子ビーム利用推進小委員会に関しましては、1月頃の開催を考えておりまして、追って委員の皆様方に日程調整の御連絡をさせていただきます。開催方法につきましても、改めて御連絡させていただきます。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成し次第、委員の皆様にメールにて御確認いただき、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。
 本日の配付資料につきましても、後日、文部科学省ウェブサイトに公開させていただきます。
 以上でございます。
【小杉主査】 どうもお疲れさまでした。
【萩谷補佐】 ありがとうございました。
【小杉主査】 ありがとうございました。
【萩谷補佐】 それでは、Webexの接続を切らせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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