量子科学技術委員会(第9期~)(第16回) 議事録

1.日時

平成30年1月31日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 平成30年度光・量子科学技術関係予算について
  2. 新たな軟X線向け高輝度3GeV級放射光源の整備等について(報告)
  3. ロードマップ検討グループ 4研究・技術領域の「重点推進戦略検討のまとめ」について(報告)
  4. J-PARC中間評価作業部会の設置について
  5. その他(研究計画・評価分科会における我が国全体の状況を把握するアウトカム指標について)

4.出席者

委員

飯田委員、岩井委員、岩本委員、上田委員、雨宮委員、大森委員、城石委員、根本委員、早瀬委員、平野委員

文部科学省

松尾審議官(科学技術・学術政策局担当)、勝野科学技術・学術政策総括官、村上研究開発基盤課長、西山研究開発基盤課量子研究推進室長、岸田研究開発基盤課課長補佐、廣瀬研究開発基盤課量子研究推進室室長補佐、大榊研究開発基盤課量子研究推進室専門職、國分企画評価課課長補佐

5.議事録

【雨宮主査】  それでは定刻になりましたので、第16回量子科学技術委員会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。御欠席が美濃島委員と湯本委員ということでございます。
 本日の議題は、資料の1枚目にありますように5つありまして、1番目が平成30年度光・量子科学技術関係の予算、2番目が新たな軟X線向け高輝度3GeV級放射光源の整備等についての報告、3番目がロードマップ検討グループによる4つの研究・技術領域の「重点推進戦略 検討のまとめ」についての報告、4番目がJ-PARC中間評価作業部会の設置、5番目がその他ということでございます。
 まず、事務局に異動があったということですので、一言、御挨拶をお願いいたします。
【松尾審議官】  信濃審議官の後任として、この16日付で着任いたしました松尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【雨宮主査】  はい。それでは、事務局より配付資料の確認等、お願いします。
【廣瀬補佐】  事務局より資料の確認をさせていただきます。
 本日ですが、資料が資料1から資料5-2及び参考資料1から5で、計14種類の資料を配付させていただいてございます。議事の途中でも、資料の不備がございましたら、いつでも事務局まで御連絡を頂ければ対応いたしますので、挙手等で御連絡頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
 また、机上には、いつものように過去の資料をとじたファイルを参考までに置かせていただいてございます。こちらについても御確認いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【雨宮主査】  それでは、早速議題に入っていきたいと思います。
 議題1、平成30年度光・量子科学技術関係予算について、事務局より御説明お願いします。
【廣瀬補佐】  事務局より御説明いたします。資料1及び参考資料1から4を用いまして、説明をさせていただければと思います。
 まず、平成30年度文部科学省科学技術予算の全体に関しまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 参考資料1にございますが、科学技術予算のポイントという資料がございます。こちらの一番上の表に書いてございますとおり、来年度、平成30年度の文部科学省関係の科学技術予算は対前年度比5億円増の9,626億円になってございます。これから御説明申し上げますが、全体で5億円しか伸びがない中で、量子科学技術は、その重要性を認められまして、新しく予算が2つ認められております。
 次に個別の資料に移ります。まず初めに、光・量子飛躍フラッグシッププログラム、Q-LEAPと我々呼んでいるものについて、御説明させていただきます。
 こちら参考資料の2の2枚目に詳細のポンチ絵を用意させていただいてございます。
 こちらですが、量子科学技術委員会で8月に推進方策を取りまとめていただいた報告書を基に概算要求をさせていただいた事業となってございます。昨年の末に、大臣折衝で予算要求の最終的な調整が行われまして、22億円で予算案として計上しております。
 本事業は、中長期にわたる高いインパクトを与え得る技術領域である量子情報処理、量子計測・センシング、あと次世代レーザーを対象とした研究開発を推進することにより、経済・社会的な重要課題に対して、非連続的な解決というものを目指していくプログラムでございます。夏の要求時点では、4つの技術領域として要求させていただきましたが、その中の極短パルスレーザーと次世代レーザー加工に関しましては、その中身に関して親和性が高いということもございまして、1つの領域で統合して、最終的な予算案になってございます。
 領域ごとにネットワーク型の研究拠点を形成し、研究開発をすることになっており、事業期間を通じてTRL6、すなわちプロトタイプ機による実証まで行って、企業等へ橋渡しをするということを目指したプログラムになってございます。
 具体的には、ネットワーク型研究拠点には、Flagshipプロジェクトと呼ばれるプロジェクトと基礎基盤研究と呼ばれるプロジェクト2つを用意して、研究開発をしていくことになっております。今後、公募に向けて調整をしていく予定です。
 特にFlagshipプロジェクトに関しましては、その事業の規模も大きくなってくることが想定されるため、ヘッドクオーターというものを置いて、研究開発のみならず、その研究マネジメントについてもきっちりとやっていただきたいというふうに考えてございます。
 ヘッドクオーターに関する役割に関しましては、おめくりいただいて3ページ目に、Q-LEAPの運営・実施体制の図の案というものがございますが、その右下にHQという四角の横に構成、役割というものが書いてあります。例えば、各研究グループ間での研究の進捗の状況の把握のみならず、その連携の企画・立案、調整するでしたり、先ほど申し上げたとおり、Q-LEAPは事業期間を通じてTRL6を目指していただきますので、例えば、本格的な産学連携に関して、企業との調整であったり、どういった企業とやるべきなのかみたいな企画・調整、立案、あとは知財に関するマネジメント、そういったものというものを一手に引き受けていただきたいと考えております。
 こちらのQ-LEAPでございますが、後ほどまた御説明いたしますが、内閣府が来年度から新たに開始するPRISMという事業に全額登録をしてございます。
 その他、文部科学省の事業といたしまして、最先端大型施設の整備・共用というものがございます。こちらはSPring-8、SACLA、J-PARCに関する予算になりますが、こちらにつきましては、引き続き大型研究基盤の施設としての重要性をしっかりと認めていただくことができました。SPring-8については運転時間の微増、ほかの施設については、今年度と同程度の運転時間を確保した上で、計画的な整備、安定した運転等を推進することによって、研究成果の創出というものを図っていきたいと考えてございます。
 また、議題2で詳細は御説明いたしますが、官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進としまして、その施設の調査費や加速器技術の開発費として、2億円を新しく計上することが認められてございます。
 さらに、光・量子科学技術研究拠点の形成に向けた基盤技術の開発、こちらは今年度で終了する光拠点プログラム等が計上されていたところですが、唯一残っております次世代加速器要素技術開発プログラムを継続して実施する予定となってございます。
 最後ですが、量子科学技術研究開発機構の予算になります。こちらは来年度も平野理事長のリーダーシップの下、生命科学分野での革新をもたらす量子生命科学技術の確立に向けた基盤技術開発でありましたり、量子科学技術に関するイノベーションのハブとしての機能を高めるための研究開発を通じまして、世界トップクラスの量子科学技術研究開発プラットフォームの構築を推進するための費用としまして219億円を、現在、予算案として計上させていただいてございます。
 続きまして、裏にめくりまして、参考1でございます。こちらは量子科学技術そのものではないですが、他の事業におきましても、量子科学技術の研究開発を行っている重要な事業がございますので、御説明させていただきます。
 まず1つ目ですが、JSTの未来社会創造事業でございます。こちらは今年度から新たに開始されたハイリスク・ハイインパクトな研究開発を行う事業で、今年度から、例えば、レーザープラズマ加速技術や量子慣性センサといった量子科学技術の関係する研究開発を行ってございます。
 また、戦略的創造研究推進事業では、引き続き量子科学技術関係では3つの戦略目標が走ってございまして、今年度から量子生命に関するさきがけの領域が始まったことを筆頭に、量子状態の制御に関する領域や、次世代フォトニクスの領域が、来年度も引き続き研究開発が行われていく予定というふうになってございます。
 また最後になりますが、参考2といたしまして、総合科学技術・イノベーション会議の主な予算についても少し御説明をさせていただきたいと思います。
 まず1つ目が、科学技術イノベーション創造推進費です。先ほどQ-LEAPのときに御説明させていただきましたPRISMという官民研究開発投資拡大プログラムが、来年度から100億円で新たに開始する予定になってございます。
 この事業ですが、各省が行う研究開発のうち、官民の投資、民間企業における研究開発投資の誘発効果高いものというのをCSTIが指定をし、その施策に対して研究開発費をアドオンをするという新しい施策の仕組みになっております。Q-LEAP、全額登録をさせていただいている状況になっております。
 今後、文部科学省の予算22億にプラスして、PRISMの方で、どういった加速経費をもらえるのかに関して内閣府と調整をし、Q-LEAPの研究費をもう少し大きくできるかどうか、調整していきたいと考えてございます。
 また、内閣府で行っているSIP325億円と書かせていただいております。これは、今年度の補正予算案で計上されているものになります。現在、現行のSIPが平成30年度で終了予定のため、本来であれば31年度から開始する予定でしたが、こちらを1年前倒しして、来年度から開始をするという新しい動きがございましたので、御参考までに御説明をさせていただきます。
 以上になります。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 今、主に資料1を中心として説明していただきましたけれども、何か御質問等あれば、よろしくお願いします。
 説明がありましたように、予算の厳しい中で新規が2つあり、いずれも本委員会に直結する、Q-LEAPと官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進、です。括弧内が前年度のこと、それとの比較を含めて、何か御質問等ありますでしょうか。
 それでは、次へ進みたいと思います。
 議題の2ですが、新たな軟X線向け高輝度3GeV級放射光源の整備等についてということで、資料2になるかと思いますが、事務局からお願いいたします。
【大榊専門職】  それでは、御説明させていただきます。量子研究推進室の大榊でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、資料2-1が概要でございまして、本体資料は資料2-2です。こちらの報告書を本年1月18日に量子ビーム利用推進小委員会でまとめていただいてございます。まず報告書の御説明をさせていただいた上で、プレス発表の資料、資料2-3について、後ほど御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2-1の概要を御覧いただければと思います。
 、本量子科学技術委員会の下に設置されました量子ビーム利用推進小委員会におきまして、平成28年11月から、本委員会でも主査をしていただいてございます雨宮先生に主査をしていただきまして、昨年の2月に中間的整理を取りまとめていただいたところでございます。その後、整備・運用の方向性等につきまして、量子ビーム利用推進小委員会の方で議論をしていただき、審議の結果、本年1月18日に最終報告書を取りまとめていただいたところでございます。
 まず、資料の上の囲みの「ポイント」のところにつきまして、簡単に御説明させていただきます。
 まず、我が国におきまして、新たな軟X線向けの高輝度3GeV級放射光源、いわゆる次世代放射光施設の早期整備が必要であるということを審議いただいたところでございます。
 それから、国の整備・運用主体でございますけれども、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構が適切であるという見解をいただいたところでございます。
 また、整備・運用に積極的に関わる地域、産業界とともに、財源負担も含め、官民地域パートナーシップにより計画を推進していくことが適当であると結論付けていただいたところでございます。
 それから、整備・運用の項目でございますが、特に重要なところといたしまして、次世代放射光施設をプラットフォームとして、組織対組織で共同研究を行うことなど、本格的な産学連携を実践していくべきと位置付けていただいたところでございます。
 下の報告書の概要のところを少しかいつまんで御説明させていただきます。
 (1)に「次世代放射光施設の科学技術イノベーション政策上の意義」と書かせていただいており、2ページのところに、その具体的な「次世代放射光施設で拓かれる学術・産業」の例を示しておりますけれども、ちょっと割愛させていただきまして、1ページ目の方で御説明させていただきます。最先端の科学技術は、これまでSPring-8等でやってきた硬X線を使った物質の構造解析に加えまして、物質の機能理解が重要であるという方向に向かってございまして、物質表面の電子状態の解析を時間的に行える高輝度の軟X線利用環境の整備が重要になってきたということでございます。実際に2010年代に入ってからは、諸外国におきまして高輝度の軟X線向け放射光施設というのが順次稼働を開始しているところでございますけれども、我が国には、まだ諸外国と互角に競争するための環境が整っていないという状況でございます。学術研究だけでなく、今後、幅広く高い産業利用のニーズが見込まれている次世代放射光施設につきましては、これが我が国の研究力、産業競争力に大きな影響を与えるということから、学術、産業等の各界から高い期待が寄せられており、その早期整備が求められているということでございます。
 それから、(2)にこの施設の規模等を書かせていただいてございますけれども、高輝度な放射光を出せる先端性と、運転時にビーム性能を維持できる安定性を両立して、かつコンパクトな施設を目指す、ということを書かせていただいているところでございます。
 それから、官民地域パートナーシップにより計画を推進していくことが適当であるということ、ここまでは、昨年2月の中間的整理でもお示しいただき、計14回にわたりまして、整備・運用の方向性も含めて御審議をいただいたところでございます。
 (3)に参りますが、国の整備・運用主体としまして、大型プロジェクトの整備・運用経験を有していることや、産学連携活動を積極的に進める将来ビジョンを持っているということで、国立研究開発法人の量子科学技術研究開発機構が適切であるということを御提言いただいたところでございます。
 また、(4)に整備・運用に当たっての基本的考え方やマネジメント方策について、記載させていただいたところでございます。
 1のところを御覧いただきますと、先ほど申し上げましたように、官民地域パートナーシップにより計画を推進することが適当であるとしております。
 また、2でございますけれども、ビームラインの整備・改廃、最先端の研究成果の持続的な創出としまして、今後、次世代放射光施設を整備していくに当たり、ビームラインの整備計画とか改廃の方針とかについて、定期的に策定、改定をしていくべきであると御審議をいただいたところでございます。
 また、そのビームラインにつきましては、利用料収入の一部を装置の高度化とかサポートの充実・強化とかに充てていくということとしまして、ビームラインの開発や高度化について、量子科学技術研究開発機構自らが計画的に行える体制を整備していくということが重要であると御審議いただいたところでございます。
 また、3に参りますけれども、本格的産学連携によるイノベーション創出といたしまして、次世代放射光施設が産業利用、学術利用ともに高い利用が見込まれるという特徴を活かしまして、次世代放射光施設をプラットフォームとした組織対組織の共同研究など、本格的な産学連携を実践するということが重要であると結論付けていただいているところでございます。
 また、4でございますけれども、リサーチコンプレックスの形成加速といたしまして、先ほど申し上げましたように、次世代放射光施設を中核としまして、産・学・官・金融、金が地域にさらに集積して、リサーチコンプレックスの形成を加速することでオープンイノベーションを推進していくということを位置付けていただいたところでございます。
 (5)の整備・運用経費につきましては、資料2-2の25ページをお開きいただければと思います。
 先ほど申し上げましたように、官民地域パートナーシップで、今後、具体化を図っていくという必要がございますので、整備費用につきましては、中段にございます「概算総額」と書かせていただいておりますが、約340億円程度といたしまして、このうち想定される国の分担としましては、約190億から200億円程度。一方、想定されるパートナーの分担としましては、約130億円から約150億円程度に用地の取得、土地造成に係る経費を加えた分担を目指していくという形を想定しているところでございます。下の方に、その内訳、項目を書かせていただいたところでございます。また、運用経費につきましても、下に全体約29億円ということで書かせていただいているところでございます。
 また、26ページに、整備の大まかなスケジュールを書かせていただいているところでございます。仮に整備着手の予算が計上された年度を初年度とした場合、想定されるスケジュールを記載させていただいております。実際に、整備が完了してファーストビームが出るのには、初年度から数えまして5年目程度になるかと思います。そのときにビームラインですとか、研究準備交流棟ですとか、そういったものが整備されて、5年目以降に順次運用がなされていくと、今のところ想定しているところでございます。
 資料の2-3を御覧いただければと思います。
 1月18日に、報告書を取りまとめいただきましたので、1月23日に文部科学省としまして、「官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進について」プレス発表をさせていただいたところでございます。ここにつきましては、別紙のところでございますが、文部科学省において、1月18日に取りまとめいただいた審議会の報告等を踏まえまして、官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の具体化を進めることとしました、と書かせていただいております。以下2点、官民地域パートナーシップ具体化のために、パートナーの募集を行うこと、それから量子科学技術研究開発機構を官民地域パートナーシップによる次世代放射光視察の具体化を進めるため、同施設の整備・運用の検討を進める国の主体とすること、としまして、文部科学省としてプレス発表させていただいた次第でございます。1月23日からパートナーの募集を開始してございまして、今後、パートナーの決定等を含め、パートナーの具体化を進めていくことになろうかと思います。
 簡単でございますけれども、以上でございます。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 今の新たな軟X線向け高輝度3GeV級放射光源の整備等についてということの報告について、何か御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。
 この委員会の下にある量子ビーム利用推進小委員会の主査を仰せつかっていますが、日程の関係で、この親委員会であるところの本委員会の皆さんに、この資料を事前にお渡しして御報告すると同時に、フィードバックの御意見・コメントを頂きました。城石委員からはコメントを頂きましたので、小委員会の中では、それを反映させた形で進めたいと思っているところでございます。
 他に、全体に関係して、何か御質問とかコメントとかありますでしょうか。
 中間報告の中で、3GeV級の光源の早期整備が必要ということは、既に報告していたと思いますけれども、その後、今日御説明ありましたように、QSTが国の主体としては適切ということ、それから、最初からですが、官民地域パートナーシップによって計画を推進するという本格的な産学連携が、この光源計画に関わる際立った特徴かと思っています。
 小委員会を都合14回開いてきまして、3GeV級放射光源の整備ということに関して、かなり煮詰めた議論がされてきたところであります。
 何か御意見ありますでしょうか。QSTの理事長来られていますけど、何かコメント等あれば。
【平野委員】  我々としましては、国の整備・運用主体ということで指定していただきましたので、今年度、予算が調査費が付いて、その後、本格的に付くという予定になっていますけれど、我々としては全力を挙げて、この建設に邁進したいと思いますし、このプロジェクトは、我々が主体ということでございますけど、やはりこれはオールジャパン体制で、いろんな方の協力を仰がなければならないと思いますし、御指導もいただきながら、できた暁には、オールジャパン体制で、官民地域パートナーシップとの連携の下に、我々としては、こういうプラットフォームとしての役割を果たすように全力を挙げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【雨宮主査】  はい。
 よろしいでしょうか。特になければ、次に進みたいと思います。
 それでは、議題3、ロードマップ検討グループ4研究・技術領域の「重点推進戦略検討のまとめ」について、まず事務局より御説明お願いいたします。
【廣瀬補佐】  事務局より、資料3を用いまして、今回の「重点推進戦略検討のまとめ」を行った、その背景、趣旨に関して、まず御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、検討の背景でございますが、量子委員会で昨年8月に、量子科学技術に関する新たな推進方策をとりまとめいただいてございます。同推進方策におきましては、中長期にわたるインパクトが相当程度期待されるともに、5から10年で国民の目に見える進展が期待される研究・技術領域といたしまして、量子情報処理、量子計測・センシング、極短パルスレーザー、次世代レーザー加工の4つの領域というのを示した上で、時間軸とともに、研究・技術がどう進展し、何が実現されていくのかというものを示したロードマップというものを策定していただいてございます。
 この策定したロードマップを踏まえ、現在の社会・産業上の重要な課題というものを非連続的に突破をし、生産性の飛躍的向上をもたらす可能性が高い技術を体系的に構築していくためには、どのような目標を設定をし、開発をどういった形でしていくべきかなどの戦略を具体化していくことが必要であるという認識の下、量子科学技術委員会で策定していただきましたロードマップをさらに深掘りをする形で重点推進戦略というものを検討するためロードマップ検討グループの先生方に御協力をいただきまして、検討状況を取りまとめました。
 まず検討の方法でございますが、先ほど申し上げたロードマップとして示された4領域それぞれに関して、ロードマップ検討グループを開催いたしまして、検討いたしました。
 検討のグループの委員に関しましては、資料の27ページ以降に入っております参考資料のとおりでございます。夏のときにロードマップを作成したときに比べまして、産業界の方や、戦略を検討するためJSTのCRDSの方に新たに委員になっていただき、検討を進めてございます。
 最後に、検討事項になりますが、4つの研究・技術領域ごとに、5つの項目の検討を行いました。まずは、国内外の研究開発動向です。2つ目に、研究開発動向を踏まえた上で、出口志向型のトップダウン研究としては、どういったものの方向性があるのかについて。また、それと相補的に連携・推進すべき基礎基盤研究というものは、どういった方向性があるべきなのか。4つ目は、その出口志向型のトップダウンの研究に関しまして、方向性を示した上で、例えば、5年後、10年後、どういった目標を掲げるべきであるかに関しての検討。最後に、そういった研究開発をするに当たって、産学連携の体制や協調領域・競争領域の在り方、または人材育成の観点で、どういった研究マネジメントを行うべきなのかに関しまして検討をいたしました。
 検討の背景に関しましては以上になります。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、研究技術領域ごとの報告を、説明10分ぐらい、その後、質疑5分程度をもって進めていきたいと思います。
 今説明がありましたように、まず量子情報処理、その次が量子計測・センシング、3番目が極短パルスレーザー、4番目が次世代レーザー加工の順で進んでいきたいと思います。
 それでは、量子情報処理について、ロードマップ検討グループのリエゾンをしていただいている大森委員にお願いいたします。
【大森主査代理】  量子委員会からは、根本委員と私がリエゾンとして参加しておりました。私が代表して報告いたします。
 量子情報処理のロードマップ検討グループでは、汎用量子コンピュータの開発を念頭に、日本のとるべき中長期的な重点推進戦略の検討を行いました。
 別紙1、重点項目ごとにまとめてありますが、まず1番目、国内外の研究開発動向について。
 1点目、材料科学や創薬、AI、最適化問題などへの適用を視野に、海外IT大手を中心に、大規模な投資による研究開発が進行中です。
 2つ飛ばしまして4つ目、研究進捗の過程で可能となる社会実装を随時実現することにより、デファクトスタンダードを確立し、市場ニーズを喚起していくことが重要。圧倒的な性能向上が見込まれるキラー・アプリケーションの開発も鍵となります。
 おのおのの方式ごとにまとめていきます。
 まず1番目、冷却原子・分子系。冷却原子を実現する汎用装置は既に製品化されていまして、国内外のグループがおのおのの強みを武器に研究開発を推進しております。特に日本は国内に独自方式を有し、それを活かした強みを持っております。
 それで、次のページに行きます。
 最後、民間における状況としては、日本には基盤となる光学関連の技術に高い技術レベルを有する企業が多く存在して、既に産学連携に基づく独自技術を用いた量子シミュレータの共同開発が進行中です。
 次に行きまして、半導体量子ドット。IT大手も参画し、大規模な研究開発が進行中。日本は量子ビットの高忠実度に強みを持っています。ここでも、国内で産学の連携に基づく研究協力が進行中です。
 続きまして、イオントラップ。量子コンピュータのプロトタイプが既に完成しています。日本は独自の手法に強みを持っています。民間関係では、米国のベンチャー企業がイオントラップベースの汎用量子コンピュータの商用機を開発中であります。
 7ページ目に行きまして、超伝導量子ビット。IT大手が中心となり、集積化が急速に進展している。日本は量子ビット集積回路技術の独自アプローチに強みを持っております。IT大手以外にも、ベンチャー企業も複数スタートしている状況です。米国を中心に、こういった企業化が進んでおります。
 次に、ソフトウェア開発。ハードウェアに関わる部分からアプリケーションまでソフトウェアが関わる領域は広い。ハードウェアとの一体的な開発が重要である。民間では米国を中心に海外IT大手によりソフトウェア開発や開発環境の提供が進行中で、量子コンピュータ用のアプリケーション開発に特化したベンチャーも多数起業しております。
 8ページ目に参ります。
 このような背景を踏まえまして、項目2、出口志向型トップダウン研究の方向性について、以下のような結論が得られました。複数の要素技術による研究開発が進行中であり、今後の社会要請や研究開発の進捗を注視すべきである。これが総論であります。
 詳細の第1点目。汎用量子コンピュータの実現に向けた複数の要素技術による研究開発が進行中であり、それぞれの特性を活かした着実な推進が重要である。中期的な目標としては量子シミュレータの開発が挙げられ、量子シミュレータには、アナログ型、ゲート型のおのおのが想定される。
 2点目。アナログ型、ゲート型は、それぞれ得意とする領域、つまり物質系が異なるので、重点的に推進する型式については、具体的な出口目標、つまり社会実装と今後の研究開発の進捗を踏まえ判断すべきである。
 3点目。特にアナログ型に関しては、国内に独自の方式を有し、量子多体系の量子シミュレーションに強みを持つ冷却原子・分子方式による研究開発が期待される。一方、ゲート型に関しては、国内に高精度な量子ビットの開発や集積化、素材等に強みを持ち、研究者人材も多く存在する超伝導量子ビットによる研究開発が期待される。
 次、項目3、相補的に連携・推進すべき基礎基盤研究の方向性。
 上記の出口志向型トップダウン研究と相補的に研究を進める基礎基盤研究の方向性について議論しました。おのおのの研究を着実に進めつつ、トップダウン研究との相補的・相乗的な効果を期待する。複数要素技術によるハイブリッド化など、研究進捗に応じた柔軟な対応が重要である。これが総論です。
 こういった基礎基盤研究を進めていくべき研究領域として、1点目、ソフトウェア、2点目、半導体量子ドット、3点目、イオントラップが挙げられます。
 9ページ目に行きまして、その他。光ゲート方式、あるいは光格子時計による高精度な量子制御技術等も重要であるので、こういったことも視野に入れながら、基礎基盤研究を進めていくことが重要である。
 項目4、出口志向型トップダウン研究の目標の例としまして、アナログ型の冷却原子・分子系に関しましては、5年後の目標例、多体電子ダイナミクスシミュレータのプロトタイプの開発。同様に10年後、コヒーレント量子アニーラーや量子化学計算機のプロトタイプ開発等が考えられます。
 一方、ゲート型の超伝導量子ビットに関しては、5年後、近似型量子計算機での量子優位性の実証、10年後、近似型量子計算機の高度化が例として考えられます。
 その下、米印のところが重要でして、上記は現時点で考えられる目標であり、研究進捗や社会的な要請等に応じて、例えば、二、三年で単位細かく見直すべきである。
 最後に、研究マネジメントに関して、項目5です。
 総論といたしまして、社会的ニーズと研究開発を直結させ、出口戦略を見据えた推進が可能となる体制の構築が重要である。産官学の効果的な連携・マネジメントによるスムーズな社会実装を目指しつつ、持続的な研究開発の基盤を構築することが重要である。
 ページをめくりまして、幾つか項目が書いてありますが、下から3番目、最終的な社会実装を見据え、開発に携わると予想される民間企業、例えば、光学機器メーカー、マイクロ波制御エレクトロニクス機器メーカーなどとの早い段階からの連携が重要である。
 次の項目。当該分野の急速な発展状況や社会的要請の変化に柔軟に対応するため、ベンチャーの立ち上げも含めた多様な出口戦略の検討が重要。
 次、具体的な推進に当たっては、社会的ニーズの調査と研究開発の方向性の調整を専門に行う研究マネジメントの人材の活躍が不可欠であると。
 その他、国内外の研究開発との連携や人材育成等も視野に入れつつ研究開発を推進していくことが重要である。
 以上のような結論に至りました。
【雨宮主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、今の御報告に関して、御質問等あれば、お願いします。いかがでしょうか。
 8ページの3行目に、中期的な目標として量子シミュレータ(アナログ型、ゲート型)の開発が挙げられる。この中期的な目標という、その時期に関しては、次の9ページの5年後、10年後とか、あと、例えば、二、三年単位でという定量的なものに。
【大森主査代理】  ここですね。中期的な目標。
【雨宮主査】  ええ。中期的というのは、どのぐらいの年数を想定されているのでしょうか。次のページは5年とか10年とか、例えば、二、三年単位とかって、割と具体的なんですが。
【大森主査代理】  これは、最終的には汎用的な量子コンピュータの開発を念頭に研究開発を進めるわけですが、これに至るまでには、いろいろな技術開発をやっていかなきゃいけないので、それに至る途中の段階という意味で、中期的な目標というふうに、ここに書いてあります。それが量子シミュレータであると。
 それについてさらに深掘りして、5年後、10年後に具体的な目標を掲げるかというのが9ページ目に書いてある。そういった理解でよろしいかと思います。
【雨宮主査】  はい。
 ほかにいかがでしょうか。では、はい、どうぞ。
【飯田委員】  冷却原子を実現する汎用装置は既に製品化とあるんですが、量子コンピュータに関するマーケット1.2兆円のうちのどのぐらいの規模を占められていると考えてよろしいでしょうか。
【飯田委員】  汎用装置は既に製品化ということが書かれてあるんですが、量子コンピュータの市場規模全体に対して、どのぐらいのウエートを占められていると思ってよろしいですかという質問です。
【大森主査代理】  この冷却原子装置のシェアですか。
【飯田委員】  はい。
【大森主査代理】  数値は分からないです。ただ、これは冷却原子を作る装置ですので、これだけだと全く量子情報には使える状態にはない。これを使って、我々が、例えば、研究者たちがこれに上乗せしていって、量子情報のデバイスにするという位置付けです。だから、これはそうですね。冷たい原子を生成するための装置。
【飯田委員】  実際の顧客さんも、もういらっしゃるという状況なんですね。
【大森主査代理】  これのお客さんはいて、ちゃんと市販されています。
【飯田委員】  なるほど。たとえば量子コンピュータを開発されているようなメーカーでしょうか。
【大森主査代理】  いろんな使用方法があると思います。そういった目的の方もおられるでしょうし、純粋に基礎科学研究等に用いられておられる方もいるはずです。ここで言う基礎科学研究が、例えば、量子情報の基礎研究であるとか、あるいは量子多体問題の基礎研究であるとか、そういったものが中心になると思われます。
【飯田委員】  分かりました。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。
 27ページに、この検討グループのメンバーが書かれています。同じくリエゾンを務めていられる根本委員、もし何か補足とかあれば。
【根本委員】  いや、よろしいかと思います。
【雨宮主査】  特にございませんか。
【根本委員】  特にないです。
【雨宮主査】  はい。
 よろしいでしょうか。
【城石委員】  1つだけよろしいでしょうか。
 非常に包括的によくまとめていただいていると思って感心したんですけれども、企業では、ソフトウェアとか、その辺が非常に悩ましいと思っておりまして、この辺の基礎基盤研究の方向性というのはありますでしょうか。
【大森主査代理】  これは根本委員の方から。御専門ですので、よろしいでしょうか。
【根本委員】  分かりました。
 まさにおっしゃるとおりなんですけれども、幾つか分けて考えるのがいいだろうということで、この7ページにあるように、3つの層に分けて考えるという形にしております。
 最もハードウェアに近いところで、システム理論みたいなものを、何かシステムを作っていく上で、アーキテクチャーを立てて作っていくというような意味でのソフト的な面をハードウェア設計に盛り込むというところの部分が最初のところで、多分、一番、ソフトウェアを何に使うかというのから考えると、一番端のアルゴリズム、アプリケーションの方だと思うんですけれども、これはやっぱり段階的にどれが欠けても困って、あと、ここにはないんですけど、もう一つ重要なものとして、作ったシステムを検証する。本当に、ちゃんとその答えが正しい答えを出しているのかというようなものを検証するというような理論というものも必要であろうということで、そういうふうに分けて考えております。
 ただ、やはり最初の念頭にありました、汎用型の量子コンピュータを作るというところから考えますと、アプリケーションというのは、もうちょっとシステムを離れてアプリケーションだけを考えればよいということになるんですけれども、この中期目標のところにあるように、量子シミュレータ、また5年、10年の近似型の量子計算機、または量子シミュレータというようなものを考えるときには、どうしても物理系の特質というものと、そのソフトウェアの目標というものを、うまく合わせていかなきゃいけないということで、そこをうまく、両方のところをうまく取り込んだ開発。だから、今の私たちが思っているコンピュータを使ったソフトウェアの開発とはちょっと違って、もうちょっと特徴を活かす、物理的な特徴を活かしたソフトウェアの開発が必要だろうと。その上で、近似型ですと、やはり近似がどうしてもゼロにはならない、近似的にいくと解けないので、それでも有用性を示せるような、そういったアプリケーションを作っていく必要があるだろう。それをキラー・アプリケーションと呼んでいるんですけれども、そのいい面だけを見れば、当然、古典コンピュータよりも速いので、速く解けるよと言えるんですけれども、こういう、まだそこまで行かない中間目標のシミュレータなり何なりというところで、すごくドローバックがある。それを乗り越えたキラー・アプリケーションというのを目標に掲げていこうというのが、ここでのソフトウェアのまとめになっております。
【城石委員】  ありがとうございます。非常に期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
【雨宮主査】  キラー・アプリケーションというのは、古典計算機に比べて圧倒的に強いアプリケーションということだと思うのですが、具体的にどんなものなのかの議論があったのかと思うんですけど、いかがですか。
【根本委員】  それは議論としては、もちろん、今、言われているような、ここで書かれている多体系の実際のダイナミクスを解明するとか、量子科学計算に応用するとか、または機械学習に使うとか、いろいろなものが、ここに出ているものは2つ、代表的なものなんですけれども、ほかにもそういったもの。あと、またはほかの物理系ですね。例えば、宇宙であるとか、素粒子であるとかというような理論のエミュレーションとかシミュレーションに使うといったようなアイデアというのはあるんですけれども、量子コンピュータがそのものができてくるんであれば、それは当然、早く解けるので、圧倒的な優位性というのは出せるというふうに言うことができると思うんですけれども、ここではやはり中間目標としての量子シミュレータということで、中間目標であっても、まだ汎用コンピュータに至らない段階でも、十分にその性能を引き出せるというところが、このキラー・アプリケーションというのは、そこにフォーカスが当たっているんですね。
【雨宮主査】  量子コンピュータができると、今までの暗号が全部破られてしまう、そのためにも、この開発が遅れると、とても大変なことになるとかという議論があったような気がするのですが、それはキラー・アプリケーションになるのですか。
【根本委員】  そうですね。それは結構昔の議論でして。
【雨宮主査】  昔の議論なんですか、それは。
【根本委員】  それは昔の議論で、量子コンピュータができると、今のインターネットとかに使われているような暗号系は全部破られてしまうので、計算量に依存した暗号というのは難しいだろう、ずっと使い続けるのはちょっと危険である。その情報量に、ちゃんと情報を理論的に安全性が担保できるものを使う必要があるんじゃないかというような議論が昔あったんですね。ただ、それを本当に誤差なく解く、そういう大きな問題を誤差なく解くためには、やはりどうしてもエラー・コレクションが必要なので、それは、そのさきに言った汎用的な量子コンピュータの開発を待たないと、なかなか難しいだろうというふうに考えるわけです。
【雨宮主査】  はい。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に行きたいと思います。量子計測・センシングについての検討グループでリエゾンをしていただいた早瀬委員にお願いいたします。
【早瀬委員】  量子科学技術委員会からは、私と上田先生がリエゾンとして参加させていただきました。数回にわたって会議をして、この報告書をまとめましたので、ポイントを報告させていただきます。
 センサ技術なんですけれども、主に5つの主要技術ですね。固体量子センサ、量子もつれセンサ、スピントロニクスセンサ、量子慣性センサ、量子メカニカルセンサ、この5つの主要技術につきまして、各分野の有識者の方にお集まりいただき、意見交換、議論を進めてきました。
 まず1番、国内外の研究開発動向についてです。
 センサ技術、センサの世界市場というのは非常に大きくて、現在約5兆円ありますけれども、この先もどんどん市場が拡大するということが予測されております。その中にあって、量子計測・センシング技術というのは、従来技術を凌駕する感度や空間分解能を得る技術として非常に注目されておりまして、現在、欧米政府を中心として、非常に投資が拡大しているというようなことになっております。
 以下、各技術について、国内外の研究開発動向についてまとめたものがありますので、御報告させていただきます。
 まず、固体量子センサです。固体量子センサの中でも、特にダイヤモンドセンサに関する国内研究開発動向です。
 ダイヤモンドセンサというのは、ダイヤモンド中にトラップされた電子スピンのコヒーレンスを使った量子センサで、その特徴は、室温・大気中でも、従来技術を凌駕する感度、空間分解能を得る技術として、非常に近年、注目されています。
 特に世界の中では、このダイヤモンドセンサを最初に発見したドイツのシュツットガルト大学、ウルム大学を中心に、米国ではハーバード、MITなどが注力して研究開発を行っています。また、それらの大学と産業界からの参入も非常に大きくて、ボッシュや、その他大企業が非常に大きな投資をして、研究開発を推進しています。
 その中で、国内でも、このダイヤモンドセンサに関する研究開発は非常に進んでおりまして、特に日本の強みというのはどこにあるかというと、日本の非常に高品質な材料技術が世界のトップデータを支えており、強みを有しているということです。現在、世界のドイツやアメリカなどに材料を供給しているのも日本のグループですので、そういったところに強みがあるというところになっております。
 次のページに進みまして、次は量子もつれセンサです。
 現在、応用を見据えた研究として、例えば、アメリカのボストン大が量子OCTの研究開発ですとか、あるいはイギリスのブリストル大学が微量化学計測への応用を見据えた研究が進められています。その中で日本では、世界に先駆け、もつれ格子を使った、非常に高い、光の限界を超えたS/N比を持つ微分干渉顕微鏡を世界初で実現するなどの強みを有しています。また、その他、日本は生物顕微鏡の世界シェアを50%持つなど、産業面でも、この光学機器に強みを有しているというような、そういったことになっております。
 次に、量子スピントロニクスセンサですけれども、こちらは、もうかなり企業が参入して、既に製品化に向けた研究開発が進行しているということになっています。この研究開発というのは、特にMRAMを中心とした製品開発で蓄積された技術を基に、磁気センサを開発しているということです。その他、JSTの戦略的イノベーション創出推進プログラム等で産学連携が推進されているということになっております。
 ということで、かなり応用は進んでいるんですけれども、このスピントロニクスセンサ単体だけではなくて、こういったスピントロニクスセンサで培われた技術というのを、固体量子センサや量子メカニカルセンサの基盤技術として融合して使っていくことが非常に重要であるというような議論がありました。
 次に、量子慣性センサですけれども、こちらは重力加速度、あるいは角速度に関する研究が先行しております。特に重力勾配計については新たな理論提案がされており、実証研究次第では、大きな研究進展が見込まれるということです。
 こちらに関しては、こちらの技術は自動運転の実現ですとか、あるいは資源探査といったような非常に重要なキラー・アプリケーションが提案されておりまして、そちらを推進するべきであろうというような議論がありました。
 そういった研究開発ですけれども、例えば、重力勾配計については、可搬かつ小型を目指した研究が国内で始まりつつあるということです。また、東大のグループが、光格子時計開発に係る技術を重力勾配計に転用可能な理論を近年しておりまして、こういった可搬で小型の重力勾配計開発を大きく進展できる可能性が示されました。
 次に、量子メカニカルセンサですけれども、こちらはどちらかというと非常に基礎研究が現在進行しているということで、極低温物性研究や量子情報のトランスデューサとしての基礎研究がなされています。
 古典的動作原理に基づく手法に関しては実用化の段階にあるものもありますけれども、一方で、量子構造を用いた手法に関しては、極低温においてのみ動作可能であることから、もう少し社会実装に向けてはクリアすべき課題が多い分野であるというような御指摘がありました。ということで、現在、日本では、NTTや東大のグループを中心として基礎実験が進められているといったような状況にあります。
 こういった国内外の状況を踏まえまして、2番ですね、出口志向型のトップダウン研究の方向性として、特に固体量子センサと量子もつれセンサを取り上げて、その方向性について議論しました。
 この出口志向型のトップダウン研究については、やはりセンサということで、どういったところに使うかというところが重要なところなので、そういった具体的な社会実装を適切に見据えながら、特に基礎研究から応用研究まで一気通貫で行う研究開発を実施すべきであるといったような議論がありました。
 その中でも2つありまして、1つは、固体量子センサ、ダイヤモンドセンサです。ダイヤモンドセンサに関しては、磁場のベクトルイメージングが可能ですとか、高い感度、高い空間分解能を持つという、そういった利点を活かして、例えば脳磁計測システムの開発に活かすということが、まず1つ挙げられます。もう一つは蓄電池、パワーエレクトロニクス等のエネルギーデバイス内部の磁場・電場・電流・温度を非接触にモニタリングシステムの開発というのが挙げられております。
 次のページに進みまして、量子もつれセンサに関しては、群速度分散の影響を回避して、深さ方向分解能を極限まで高めた量子OCTですとか、量子相関を用いた高感度吸収計測の開発というのが挙げられております。
 その他、相補的に連携・推進すべき基礎基盤研究の方向性ですけれども、まず、重力センサに関しては、先ほど言いましたけれども、小型で従来精度を上回る重力勾配計を目指した研究開発等が挙げられます。相乗効果としては、光・量子に必要な高度な制御技術の進展が期待されるということです。
 量子スピントロニクスセンサに関しては、先ほどかなり応用研究は進んでいると言いましたけれども、一方で、スピン流といった新しい物理を使った物質、スピン流と物質の各種ダイナミクスの相互変換の研究を進める方向性が考えられますと。さらに、こういった量子スピントロニクスで培われた研究というのは、ほかの技術と組み合わせることで、非常に重要な横糸となる技術となり得るといったような議論がありました。
 量子メカニカルセンサに関しては、極低温超高感度センシングに係る技術を各実用技術で要求される通常環境技術へ水平展開させることを目指した研究ですね。特に、この量子メカニカルセンサはほかの物理系と非常に相性がいい、ハイブリッド化が可能であるといったようなことが示唆されており、それをハイブリッド化によって、量子計測・センサ技術のパフォーマンス向上や多機能化に寄与できるのではないかといったような、そういった議論がありました。
 その他に関しては、高度な量子制御やデバイス化に資する基礎基盤研究ですとか、革新的機能性材料、あるいは新たな量子制御、計測手法を用いた新しい量子計測・センシングの手法に係る研究開発を行うべきであるといったような報告がございました。
 それらを踏まえまして、4番の出口志向型トップダウン研究の目標としては、まずダイヤモンドセンサに関しては、小動物の脳磁のベクトルイメージングを行えるような装置を開発し、5年目を目安にProof of Conceptを達成するということです。
 もう一つのアプリケーションであるパワーデバイス内部の電流・電場・温度を局所的に検出する技術を実証するというのが5年目の目標例となっております。
 それらを踏まえて、10年目の目標例としては、今度は小動物から人間の脳磁のベクトル磁場イメージングを非侵襲で計測するプロトタイプモジュールを開発・実証すること。また、パワーエレクトロニクス、蓄電池の故障などのダイナミカルな状態を、リアルタイムでモニタリングするシステムのプロトタイプ機の開発・実証が挙げられております。
 量子もつれセンサに関しては、5年目をめどに、量子OCTと市販のOCTのハイブリッド型のプロトタイプの実証及び可視光光源・検出器を用いた、高感度長波長赤外分光装置のプロトタイプ機の実証が挙げられております。
 さらに10年目に関しては、さらなる高感度化を達成し、細胞内組織観察や眼科疾患の早期検出を見据えた、3次元超高感度量子OCT装置の開発、また、高感度長波長赤外分光装置のさらなる高感度化や、テラヘルツ等を含む波長域の拡大、プロトタイプの小型化が挙げられます。
 少し補足しますと、量子もつれセンサに関しては、現在、国内で量子もつれセンサと銘打って研究しているグループが非常に少ない状況ではあるんですけれども、その他、量子もつれですとか量子工学の研究をしている研究グループは数多くあるために、潜在的にこういった量子もつれセンサの開発に寄与できるポピュレーションはいるのではないかということで、この出口志向型のトップダウン型研究の1つとして入れようということになっております。
 5番、研究マネジメントに関してです。
 まず、産学連携出口戦略に関しては、やはりセンサということで、社会ニーズが非常に重要ということで、社会ニーズとセンサの共通基盤的な開発が、常に接点を持って研究開発を行う体制の構築の重要性が指摘されています。企業共通のニーズと個別のニーズで協調・競争領域を区別し、スムーズな社会実装を目指すということです。
 次のページに移りまして、こういったことを踏まえて、他の計測センサ技術の動向を把握し、目標を掲げながらも、研究開発目標・計画を柔軟に見直しながら進めていくべきであろうということが指摘されています。
 さらにもう一つ、国内外の研究開発の連携についてですけれども、量子計測・センシングに関する事業としては、例えば、幾つか既に走っているプロジェクトがございます。こういったプロジェクトと連携し、互いに相補的に研究開発を実施して、研究開発を加速することが重要であろうということが指摘されています。
 また一方で、余り予算の集中ですとか研究、ポピュレーションの分散ということを避けるために、こういった他のプロジェクトとの重複等には、ちょっと注視すべきであるというような意見もありました。
 3番、人材育成ですけれども、特にこのセンシングに関しては、産業界の参入というのが非常に重要になってきますので、産学が連携し、量子計測・センシングにおける日本の競争力を高めるための人材育成の場の構築が重要であると。センサそのものに関する技術のほかに、それを取り巻く材料科学ですとか生命科学等の幅広い知識の習得や理論、それからシステム開発まで見渡せる力を持つような人材を育成するということが重要であると。そのためには企業研究者や大学等の若手研究者、学生の知識を共有する場を設けて、専門外の知識の習得や人的ネットワークの構築を研究・開発と並行して実施する必要があるといったような議論がありました。
 以上で報告を終わらせていただきます。
【雨宮主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、御質問等あれば、よろしくお願いします。いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【飯田委員】  よろしいですか。昨年の8月の報告書からすると、大分フォーカスしたようなイメージを持っているんですけども。例えば、当初は血中での微量分子の検出も量子センサの対象になっていたと思うんですけれども、どういう御議論があって、こういうフォーカスした形になったのか教えてください。
【早瀬委員】  まず1つ言っておくと、ここに書いてあることに目標が制限されるわけではなくて、もっといろいろあるべきであるというような、そういった議論はあって、もちろん、そういったことをやるべきであるというふうな議論はありました。
 ただ、こういったところにまとめるに当たって、何か1つ、一番達成すべき目標として、少し分かりやすい形で明確に記すべきであるということで、1つの例として挙げたということです。なので、一応、これは1つ進めるべき目標として書いてありますけれども、特にそこに制限されるものではないということです。むしろ、いろんな可能性を探っていきたいというのが議論の中ではありました。
【飯田委員】  特に、生命関係の応用の部分で気になったのは、世の中の動き的には、point of care testingということで、小型化したシステムで在宅医療とか、若しくは町の小さな診療所で検査ができるシステムなどを目指していると思うんですけれども、ここに書かれている例はどちらかというと大型装置のイメージがあります。
【早瀬委員】  そうですね。ただ、例えば、脳磁計も、今の脳磁計というのは、例えば、Squidとか使っているやつは、本当にガチガチに部屋に設置しないとできないようなものですけれども、例えば、ダイヤモンドであれば、まずはプロトタイプ機は可搬ではないかもしれないですけれども、それを非常に小さくできる可能性があるということで、そういった可搬にできるというところは非常にいいところだと思います。なんで、ここには明確には書いてないですけれども。
【飯田委員】  ええ。いや、多分、書かれた方がいいと思います。
【早瀬委員】  そうですね。
【飯田委員】  あとセンサの世界市場が5兆円とあるんですけど、これはバイオセンサも含めた金額と思ってよろしいんでしょうか。
【早瀬委員】  そこはちょっとフォローしてないですね。
【飯田委員】  恐らくバイオセンサというのは臨床検査だけの市場で7.5兆円既にあります。
【早瀬委員】  じゃあ、もっと大きいと。
【飯田委員】  ほかにもいろんなセンサあると思いますが、そういうものを全て入れると、もっともっと規模が大きいと思いますので。コメントさせていただきます。
【早瀬委員】  大きい方にはいいことなので。はい。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。
 1つ質問ですが、14ページの下から3行目のところで、5年目のところの目標で、局所的に検出する技術を実証。そのときの局所的というのは、大体どのぐらいの大きさのエリアなのでしょうか。
【早瀬委員】  なるほど。
 まず、最初に言っておくと、ダイヤモンドセンサのいいところは、局所も測れるし、非常に大きいところでも、非常にスケーラブルなんですが、なので、一番小さいところでナノメートルで、もっと大きくなれば、別にセンチメートルとか、そういうところも全然いけて、なので、どっちかというと、まずニーズありきで、どういったニーズがあるかというところだと思うんですよね。
 例えば、こういったパワーエレクトロニクスとかデバイスですと、例えば、現在、東工大の波多野先生がやられている研究だと、パワーエレクトロニクス内部のものを、例えば、サブミクロンぐらいで測るというような、そういったことがありまして、あるいは先ほど言った非接触に測るというような、外から非接触に測るというような場合ですと、もうちょっと大きいスケールのところを測るといったような、そういったことになっています。それがニーズに応じていろいろ幅が変えられるというのがダイヤモンドセンサのいいところで、ニーズに応じて、それを達成するというふうに。
【雨宮主査】  そういうニュアンスを込めた言葉表現なんですね。
【早瀬委員】  そうですね。
【雨宮主査】 今お話を聞くと、ズームイン、ズームアウトでできる、そういうところが重要だというニュアンスですか。
【早瀬委員】  そうですね。
 あと、補足しておくと、局所的という意味は、多分、ナノメートルオーダーで測れるというのがダイヤモンドセンサのいいところなので、まさしく局色的というのは、サブミクロンとか、ナノメートルオーダーで測るといったようなことを含んでいるということです。
【雨宮主査】  はい。了解しました。
 はい、どうぞ。
【岩本委員】  先ほどの量子情報のときは何となく技術目標もあって、それに対して、それができる何ができてということになっていたと思うんですけど、センサの方は何となく何ができるかだけになっていて、技術目標もあった方がいいのかなと、ちょっと思いました。
【早瀬委員】  技術目標。感度ですとかということですか。
【岩本委員】  例えば、今の書き方だと、何となく、技術はほとんどできていて、あとはシステムを作るだけみたいな印象をちょっと持ってしまったので、まだ多分、課題はいっぱいあると思いますから、技術目標はこれこれで、それができると脳磁計何とかができるとか、そういう方がいいような印象はちょっと持ちました。
【早瀬委員】  なるほど。中で、例えば、脳磁計であれば、フェムトテスラ測るというような、そういった数値目標みたいのは議論の中ではあったんですけど。
【岩本委員】  何となくそれぞれの分野の報告書の対称性的にいうと、あってもいいかなという気がします。
【早瀬委員】  なるほど。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。
【飯田委員】  今のコメントに関連して、例えば、ナノダイヤでも、結構、市販のものって、まだ数ミリリットルで、NVの数によっては10万円以上してかなり高価です。一方で、ナノダイヤを精製して、大量生産することでもっとコストを抑える手法の開発や、微量でも濃縮して生体内で濃縮して利用する手法の開発なども結構技術的に重要な課題だと思います。そういった、ロードマップの実現に向けた具体的な方策を簡潔に盛り込めないでしょうか。全部は包括できないと思いますが、ご検討下さい。
【早瀬委員】  なるほど。報告書に全部書くとすごい量になるので、議論の中では、例えば、やっぱりコストをダウンするというのは非常に重要で、例えば、大面積にシリコン状にダイヤモンド結晶、成長するとか、そういう技術もやるべきだというような、そういった議論ですとかというのはあったんですけど、それも盛り込んだ方がいいという、そういう御意見ですね。
【飯田委員】  どこまで盛り込むかというところは精査する必要がありますが、重要なものを優先しながらも、その実現のための具体的な技術課題や道筋を、先ほど岩本先生がおっしゃられたような形で盛り込む必要があると思います。
【根本委員】  違うのかもしれないんですけど、多分、この出口のところが応用例での書き方になっているところが多分違うので、分かりにくいか。こっちが先にできたら、きっと量子シミュレーション、量子コンピュータの方は、ちょっと書き方が違うんじゃないかというようになるのかもしれないんですけれども、順番がこうであったので、技術目標としての目標と、何かそれの応用例みたいになっていると、フォーマットがあると分かりやすいということなんじゃないかなと。
【岩本委員】  その次に行くと、違う形で出てくるんですね、きっと。
【早瀬委員】  そうですね。
【城石委員】  よろしいですか。
【雨宮主査】  どうぞ。
【城石委員】  全体の話になってしまうかもしれないんですけど、4ページで、例えば、左側の図では、非常に重要な象限とか、それ以外の象限などと分類してあって、右のストークスの研究の分類では、用途を考慮とか考慮しないという象限の分類になっています。今の根本先生の御質問とも関係すると思うんですけれども、この分類、象限の数値と研究がどう絡んでいて、例えば研究が終わったときに、KPIとして何がどう評価されるのだろうか、と思ったんです。例えば非常に重要と書いてある象限、私たちが今回のロードマップ検討グループで検討する範囲という領域ですが、この15%という数値が、研究が終わったときに20%になることが成功ということになるのかとか、評価と絡んでくるのではないかと。この分類は、私、勉強不足で今回初めて見たんですけれども、これとの関係をどのように整理したらよろしいんですかね、というのが、ちょっと気になりました。全体の話かもしれないので、すいません。
【廣瀬補佐】  事務局から御説明いたします。こちらの資料の説明をせず、検討の背景を説明してしまいましたので、説明いたします。ロードマップ検討グループの検討範囲として、ストークスの4象限というのがございます。具体的な問題解決に資するが、例えば、基礎原理の追求には関係がないものだったり、関係があるものだったりと、いろんなものがあります。今回のロードマップを踏まえた重点推進戦略においては、基礎原理の追求をもちろんした上で、現実的な問題解決に資するようなものというものにフォーカスを当てて研究開発をしよう。そこに当たるものに関して、出口志向型のトップダウン研究として特定していこうという話です。
【城石委員】  ありがとうございます。御趣旨は私も理解しておりまして。
【廣瀬補佐】  はい。すいません。
【城石委員】  ただ、この4ページで、例えば、非常に重要とか、それ以外と書いてあると、それ以外って重要じゃないんじゃないかとか、そういうように読める表現なので、ちょっと気になった次第です。ですから今回のロードマップで、研究成果の評価にこの4ページが使われるのかなと思ったときに、少しすり合わせた方がいいかなと思ったわけです。コメントだけです。すいません。
【廣瀬補佐】  はい。すいません。ありがとうございます。
【雨宮主査】  よろしいでしょうか。
 上田先生もリエゾンですが、何か補足等ありますでしょうか。
【上田委員】  いや、特にもうありません。
【雨宮主査】  そうですか。はい。
 それでは、どうもありがとうございました。次へ進みたいと思います。
 次は、岩井先生に、この極短パルスレーザー、よろしくお願いします。
【岩井委員】  極短パルスレーザーの検討のまとめに関して、岩井の方から御説明させていただきます。
 これはレーザー光源の開発に関する検討なんですが、現在の10フェムト秒ぐらいのレーザーから、さらに短いパルス幅のレーザー、数十アト秒から100アト秒ぐらいのレーザーを作るという話なんですが、これは光源を作るというだけじゃなくて、そういうアト秒の光源を作ることによって、どういうことができるのかという、それもセットで考えていきましょうという、そういう検討であったので、29ページの検討グループのメンバーを見ていただくと分かると思うんですが、もちろん光源開発の方は入っているんですが、それ以外にも、それを使った光科学や光物理、あるいは応用の方も入った、非常に範囲の広い先生方が入って議論を重ねたということです。
 光源を作って、そういう意味からすると、今の量子センサや量子情報に比べると、ややちょっとフォーカスが絞りにくいという面があったので、それはちょっとお聞きいただければ分かると思うんですけれども。
 まず1つは、今までのフェムト秒レーザーでやってきた科学や、あるいはその応用というのがあったと。それをアト秒にすると何がうれしいのかということを、まず考えなくちゃいけない。国際的な競争力を打ち出すために、その応用と、それからアト秒を発生するための技術からも、日本の優位性を出すにはどうしたらいいかという観点から、検討グループでは検討を重ねました。
 用途からすると、例えば、17ページの、図が小さくて見にくいかもしれませんが、それはアト秒光源を開発することによって、どういうことができるのだろうかというのを今の時点で予測した。今までヘムト秒の科学や産業から外挿して、どんなことができるかということを外挿しております。
 その背景には、ただ単にパルス幅が短くなると時間分解能が高くなってというわけではなくて、考えなきゃいけない数字が2つあって、1つは、光と言われているものの電磁波の振動周期が大体1フェムト秒から数フェムト秒ぐらい。一方、分子や固体の中で、電子が原子間を動く時間も数百アト秒から1フェムト秒ぐらいという数字があるので、そこを超えた計測をすることによって、本当の始まりが分かってくるということで、いろいろそこに書きました光スイッチや、あるいは太陽電池、光触媒など、光を使って、身近に使われているものの動作限界みたいなものが分かってきて、新しいイノベーションが生まれるんじゃないかというのが1つです。もう一つは、まだ未知数ですけれども、加工やイメージングなんかにも使えるんではないかというふうに考えています。
 その検討の中で、大きな方針として大事なことは、高繰り返し型と高強度型という2つの方向から検討を進めました。それは2つの理由があって、1つは、用途が高繰り返しと高強度では、かなり分かれるということです。もう一つはテクニカルなことで、高強度型のアト秒X線を作るのと、高繰り返し型のアト秒X線作るのでは、背景とする技術が随分違うので、それは分けて考えた方がいいんではないかという、そういう意見が当初からあったので、そういう方針で進めました。
 ちなみに、ちょっと具体的なことを少しだけ言いますけれども、17ページのここに挙げてある絵は、4つ、それこそ第1象限から第4象限までありますが、これの左側は高繰り返し型を使ってできることであると、右側が高強度型を使ってやることというふうに分けています。
 高繰り返し型を使うというのは、弱い強度で繰り返しを高くすることによって、例えば、光電子分光や光電子顕微鏡など非常に精緻な測定に使うと。そのためには、それが物性測定には必須であるということです。
 一方、高強度型は、もちろん基礎研究としては、ガスフェーズの非線形分光をやるときには高強度が必要なんですが、もう少し応用を考えたときにも、シングルショットでイメージングをする。繰り返し測定ができないようなものをシングルショットで捉えるためには、高強度型のX線がどうしても必要であるということで、用途から考えても、その2つに分けることが妥当であるというのが、そこに描いた絵です。
 めくっていただいて18ページは、もう少しテクニカルなイシューに関して述べていまして、そこには日本を含んで、欧米で今どういう開発状況にあるかということが書いてあります。上の方が全体的に書いてあって、高繰り返し型と高強度型が色で分けてあります。
 下の方は、これは高強度型の検討をすることに使った出力の例です。いずれも高強度型も高繰り返し型も日本が独自技術を持っている面があるので、それを活かすことが大事だと。ただし、今後は光源だけで完結するのでは、この検討の意味がないので、それをいかに測定、計測と、先ほど17ページに書いたような計測と組み合わせた形で成立させるかということです。それには光源の開発の基本的なところまで戻ってやり直さなきゃいけないところもあると思うので、それも含めた形で光源開発をするということです。
 その具体的なところが19ページの高繰り返し型と高強度型というところにある程度書いてあって、例えば、高繰り返し型でいうと、下から3番目のところに、例えば、アト秒レーザーを発生させるための励起光源から開発し、軟X線領域のアト秒パルスレーザーを発生できるのは日本と米国のみ。これは非常に大事なことで、その後使うことを考えたときのインプルーブメントは、初めから作れないとできない話なので、それは非常に活かすべきだということです。
 あるいは、現段階では計測手法の開発研究というのは非常に限られているので、それを今後は本格的に考えて、光源と同期した開発が必要であるという意見がありました。
 高強度型に関しては、5つあるうちの後ろから3つ目と4つ目あたりだと思いますけれども、非常に高強度のパルスを発生させる光源技術が卓越しているということがありますので、これを活かしていこうということです。
 計測手法に関しても、先ほどお話ししたように、イメージングなんかには使える。例えば、X線のMCDをイメージングで取るなんていうことも恐らく可能になるということですので、そういうことを念頭に置いた開発が今後は必要であろうという、そういうことです。
 そういう現状がありますので、出口志向のトップダウン研究の方向性というのは、今申し上げたとおり、そういった計測装置とうまくつなげて使うために、もちろん安定動作が必要ですし、そんなに大きなものでは困るということで、小型・安定的な使用を前提とした光源の開発が必要である。これは高繰り返し型も高強度型も同じです。
 それで、一番初めにお話ししたように、10フェムト、数フェムトから速いところの科学というのは、非常にまだ未知数なところが多いというのが現状です。それを鑑みて、現在、日本では、日本のもう一つのいい強みを言い忘れましたけれども、この17ページの左側で、例えば、トポロジカル絶縁体とか、スピントロニクスとか、あるいは強相関電子系などの高温超電導体などの、非常に物質科学の研究が進んでいる。さらに、その光機能の研究も進んでいる。それを外挿してアト秒でやると、どんなことができるのかということを、真面目に考えていく必要がある。これは国際競争力を考える上でも非常に重要であるということが言えると。
 そういうことで、基礎基盤研究のところでは、出口志向型の、先ほどのほかのテーマでもそうでしたけれども、常にこれからどんどん新しいことが出てくる芽があるので、1年、2年という非常に短期的な時期で、いろいろ見直すことが必要であろうという議論もありました。
 それと、目標としては、そういった出口が見えた光源開発を目標として設定した数値が、そこに書いてあります。高繰り返し型としては、先ほど少しお話ししましたが、光電子顕微鏡や光電子分光などの装置を本格的に稼働させるためには、やはり10キロから100キロというのが最低限必要であろうということで、5年後の数値として挙げています。もうちょっと長期的にはメガヘルツまで到達したいということです。高強度型としては、5年後、1ギガワット、10年後で10ギガワットという数字が入っています。
 最後ですけれども、マネジメントとしては、とにかくアト秒光源と計測装置がプラットフォームとして使えるようになるところまでは、いろんな研究者が協力して作ると。それ以降は、そこでいろんな物質を使った競争を進めていけばいいんではないかというのが大きなグランドデザインです。そこには前のロードマップの検討のときにも話が出ましたが、これだけのことをやるというのは、レーザー光源の、例えば、会社とか、あるいは光学部品の会社も、かなり協力してもらわないとできないということで、あるいは外国のように、大学発のベンチャービジネスみたいなものを立ち上げると、そういう自力の部分をかなり強化しつつ進めていかないと、とてももたない研究なので、そういうところも力を入れていかなくてはいけないんではないかという、そのあたりのことがマネジメントのところの1番目から書いてありますね。そういうことが必要だろうということです。
 以上です。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、御質問等、よろしくお願いいたします。はい、どうぞ。
【大森主査代理】  随分頑張ってまとめられたなと思って感心しているんですけれども。
 多分、17ページの図が一番大事だと思うんですけど、どういった産業につながっていくかということなので。それで、これ4つ挙がっていて、左側の下と右側の2つは、どれもかつてない時間分解能で解析できると書いてあって、これは非常によく分かるんですけど、左の上の光スイッチを高速化できると書いてあるところで、これアト秒って、真空紫外とか極端紫外とか軟X線とかの領域なので、アト秒を当てると壊れちゃうと思うんですけど、スイッチって可逆的じゃないと役に立たないような気がするんですが、何かいいアイデアか何か、議論の上で提案がありましたか。
【岩井委員】  測るのは、X線で測らなくてはいけないんですけれども、その動作自体は、光電場の、例えば、1フェムトとか2フェムトの電場で駆動すれば、ほぼペタヘルツまで行きますし、あるいは非線形分岐を使えば、基本波としては数フェムト秒でも、もっと高速な動作は電子にさせることができるので、あくまで光スイッチとして使うときには、X線を使うという方法もないわけではないですけれども、今、現状で見ているのは、可視光の1フェムトのレベルの電場をそのまま使って電子を動かす。
【大森主査代理】  だからスイッチはアト秒パルスでやるわけじゃないということですね。
【岩井委員】  はい。
【大森主査代理】  それの動作原理を解明したりするときにアト秒を使ったりするという、そういうフェンスでよろしいですかね。
【岩井委員】  そうです。それは実は、ほかの、例えば、太陽電池や光触媒もそうですし、加工のメカニズムを探るというのもまさにそうで、それをやるの、駆動すること自体は基本的には光ということを想定しています。
【大森主査代理】  だから、あえて言うと、超高速光スイッチの動作を非常に高い分解能で解析できると思えばよい。ここも、だから「解析できる」でいいわけですね。
【岩井委員】  そうですね。
【大森主査代理】  分かりました。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。
【岩本委員】  目標値がそれぞれ与えられていて、例えば、10キロヘルツとか何キロヘルツとか、1メガとか10メガですけど、それができると何ができるようになるかというのは、ちょっとよく、私自身分からなかったんですけど。
【岩井委員】  これは、なかなか、こういう数値計算をすると出てくるという話ではないんですけれども、現行で、例えば、フェムト秒とかピコ秒ぐらいのレーザーを使って、光電子顕微鏡をやっているとか、あるいは光電子分光をやっている、角度分解光電子分光をやっている。そのときにはどれぐらいの繰り返しがないと最低限だめですよねというのがあって、それで、実は、テクニカルな話なんですけれども、パルス幅が短くなると尖頭値が高くなるので、要するに、望まない光電子放出がいっぱい出ちゃうので、強度を上げられないんです。強度を下げたままやるということで、どれぐらいの繰り返しだったら、それが可能かという、その目安を大体で見積もっていると、そういう話です。
【岩本委員】  ですが、これだと、光電子放出なんかアト秒X線で光電子分光ができるようになるみたいなイメージじゃないですか。
【岩井委員】  そうです。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。
 この17ページの図、とても重要だと思うんですけど、これ、事務局に聞くべきなのかもしれないですけど、これ、最終的にはこのサイズですか。
【岩井委員】  17ページのやつですね。
【雨宮主査】  17ページの図。これはこのサイズで載せるのは見にくいので、もうちょっと大きくしていただくのがいいのかと思います。
【岩井委員】  いや、ただ、本音を言うと、余り大きくして載せるのは、ちょっと怖いというのもありまして、これはかなり、我々としては、さっきもお話ししましたけど、基礎研究で、ある程度、これはできそうだというものを書いたわけではなくて、余り大きくして載せるのは怖いといったら怖い。
【城石委員】  よろしいですか。
【雨宮主査】  はい、どうぞ。
【城石委員】  今のお答えとはむしろ逆で、申し訳ないんですが、今分かっていることができますよというよりは、今分かっていないことに挑戦できるという方が、良いような気がするんですけど如何でしょうか。今分かっていることが、10年後にそのままでいるとはちょっと思えないので。多分、中間の5年後でも、量子コンピュータとか、先ほどのセンサで、全く画期的なことが出てくると思うんです。ですから、それのフィジックスをちゃんとできるようになるとか、何かそういうのがあって欲しいと。
【岩井委員】  おっしゃるとおりだと思います。
【城石委員】  すいません。ここ、基盤だと思うので。
【岩井委員】  はい。おっしゃるとおりだと思います。
【城石委員】  ですから私も、図は大きくしてもいいのでは、と思いました。
【岩井委員】  ありがとうございます。
【雨宮主査】  どうぞ。
【飯田委員】  細胞の手術などのバイオ応用に関するの技術記述に関してお聞きしたいのですが、従来手法の1,000分の1の時間分解能という記述はありますが、空間分解能とかに関しては、特に記述は必要ないでしょうか。
【岩井委員】  X線なので、それは波長で決まる分解能までは行くということですね。
【飯田委員】  今、この細胞手術とおっしゃられているのは、パルス幅は時間的に非常に短いので、非熱的に細胞内に瞬間的に多数のフォトンを導入することで、反応を起こすことで電子的に結合を切って治療を行う、そういった意味の細胞手術といった理解でよろしいですか。
【岩井委員】  そこのところは、いや、分かりませんが、原理的にはそうだと思います。それは実は加工のところもそうなんですけれども、加工の先生にも、ちょっといろいろお話を伺ったりもしたんですけれども、さすがに手術の方は直接聞いてないんですけれども、非熱的なプロセスで切ると。生物の場合はレーザーメスですよね。それはもちろん30年ぐらい前に100フェムト秒でやるとどうなるという研究は、かなりやられたんですけれども、そこから先、数フェムトから、今、簡単に出せる数フェムトですか。5フェムト。そこがどうつながっているかというのは、ほぼやられてないというのが、多分、現状みたいで、それは加工も含めて、先ほど先生がおっしゃられましたけど、これから多分、種が見つかってくるというのが現状なので、まだ、ここには分からないから書けないというのが現状です。具体的に。これは、だから、今あるキーワードを書いたんですけれども、これ、開けてみたら何が出るかというのはこれからだというのが本音です。
【飯田委員】  最近ではエレクトロポレーションとかフォトポレーションといって、電場や光を当ててあげると、細胞に小さな穴があいて、そこから薬剤投入することができるという研究もあるんですけれども、これらの技術とどのように競合するのかとかも、専門的には気になります。
【岩井委員】  ほとんどの拡散現象よりも早いところで現象が終わるので、つまり電場の1周期のところで非常に強い電場が掛かって電子を動かすというところで現象が終わってしまうので、原理的には、それは加工も全く一緒ですけれども、違うことが起きるんじゃないかって、それはみんなが思っていることなんですね。ただ、それが本格的に、まだできてない。それは検出法をどうするかという問題もあるんで、それを分からないところで書かなきゃいけなかったので無理に書いたというのが、こうなります。だから、そういう意味で、これをでかくするのは、本音を言うとちょっと怖い。
【飯田委員】  分かりました。
【雨宮主査】  ちょっと時間が押してきたので、次へ進みたいと思います。
 次、次世代レーザー加工に係るロードマップの検討ですが、湯本委員が本日御欠席ですので、事務局の方から御説明お願いします。
【廣瀬補佐】  事務局より説明いたします。資料22ページから、重点推進戦略(次世代レーザー加工)の検討のまとめがございますので、22ページをお開きください。
 次世代レーザー加工でございますが、8月の推進戦略の取りまとめのときのロードマップの際から、サイバーフィジカルシステム型の次世代レーザー加工技術に関してロードマップを取りまとめており、今回の戦略においても、サイバーフィジカルシステム型、CPS型というふうに呼びますが、そういったものに関して、どういった研究開発の目標があり得るのかを中心に検討をしてございます。
 まず、1番目でございます。国内外の研究開発動向です。
 レーザー加工市場の現在の市場規模は1.5兆円程度になってございまして、今後も年率5から10%程度で成長を予測されております。その駆動力は、例えば、電気自動車産業におけるマルチマテリアル化による車体の軽量化にレーザー加工の異材接合技術が適用できるのではないのかという期待だったあり、半導体産業におけるEUVリソグラフィの導入等々がございます。
 一方で、ものづくりの分野全体に関しては、サイバーフィジカルシステムによる生産性向上の取組というのが加速してございます。例えば、ドイツではFraunhoferの生産技術研究所が中心になり、デジタルツイン技術という、フィジカル空間の工作機のシミュレーションをサイバー空間で行うことによって、実際に作る前にサイバー空間側で製品のモデルの最適化を行うといったシステムの開発の研究が行われてございます。また、ドイツではレーザー加工に特化した取組というのも、Fraunhoferのレーザー研究所の方ですでに開始されています。
 また、日本におきましても、経産省のNEDOプロにおきまして、高輝度高効率次世代レーザー技術開発プロジェクトが開始されてございまして、このプロジェクトで整備されたレーザーや測定装置というものを配置したレーザー加工プラットフォーム(TACMI)が構築されているところです。NEDOプロでは、様々なパラメータのレーザーを用いた試作加工を行うことによって、加工パラメータのデータベース化を行っていると伺ってございます。
 レーザー加工は、現在、産業界でも使われておりますが、実はレーザーで、なぜ切断や接合、表面加工というものができるのかというところは、いまだによく分からない部分が多いというのが現状でございます。そのため、現状、実際のものづくりの現場では、技術者の経験でしたり勘に基づいて加工のパラメータを決定するということが行われておりまして、例えば、効率の面や、品質の面においても、これが一番、レーザーの長所を100%活かしているものとなかなか言えない状況だと伺ってございます。これらの状況を打破するためには、レーザー加工が、なぜこういった加工ができるのかというところを、学理によって深い理解をすること、また、それを踏まえて加工のパラメータを決定することというのが重要だというふうに言われてございます。そういった指摘もあり、諸外国では、ドイツ、アメリカを中心に、レーザー加工の学理の研究開発を行っている研究グループというのが数多くございます。
 しかしながら、23ページの上の図を御覧いただければ分かりますとおり、これらのレーザー加工というのは、マルチスケールの現象を理解するものになっており、これを全て取り組んでいる研究グループというのは現在いないという状況です。なので、こういったレーザーの加工の学理というのをしっかりと理解するに当たりましては、そのマルチスケールの状況を包括的に学理を解明するチームを、単体で難しければ、しっかりとそれをチームで組んで、それぞれの物理をつなげるというような取組というのをしっかりしていかなければいけないのではないのかといった議論がございました。
 また一方で、CPS型のレーザー加工機を作っていこうと考えた際には、CPSレーザー加工機が高品質な加工パラメータを提案できるようにするために学習するようなシステムも欠かせないというふうな指摘もございます。そのためには、例えば、加工品質を、どういうふう判定するかといったような尺度の特定や、システムが加工品質を評価、分析、最適化するための学習用のデータベースも必要になるのではないのかという指摘がありました。
 おめくりいただき、24ページになります。
 これらの状況を踏まえまして、ロードマップ検討グループの結論といたしましては、加工学理の解明や機械学習を活用したCPS型レーザー加工機というのをいち早く実現することによって、ものづくり分野における生産性革命を実現するような、そういった研究開発というものをしていくべきではないのかという結論に至ってございます。
 そのため、2番目の、出口志向型のトップダウン研究の方向性といたしましては、まず加工のデータベースを用いた深層学習や強化学習を活用したAIによるCPSレーザー加工の開発を、まずは行うべきではないのか。また、それに加え、加工学理の解明によって、サイバー空間のみで加工シミュレーションというのが可能になるような学理CPSレーザー加工の開発というのもあわせて行うべきではないのかといった結論になりました。これら2つのレーザー加工のシミュレータの開発を行い、実際のレーザー加工機への搭載を目指すことにより、生産現場でのスマート生産体制の構築というのを目指すということが、出口志向型のトップダウン研究の方向性として取りまとめられてございます。
 3番目の、相補的に連携・推進すべき基礎基盤研究の方向性につきましては、CPSレーザー加工との研究開発の相乗効果が期待できる分野として、例えば、高輝度・高温状態でのオペランド計測技術や、プラズマの物理、または光と物質の相互作用といったものが挙げられるというふうに指摘を頂いてございます。
 では、出口志向型トップダウン研究の具体的な研究目標ですが、そちらは4番目の項目で書かせていただいてございます。
 まず、5年目の目標でございますが、こちらは機械学習なり強化学習を用いた形でCPSレーザー加工のシミュレータを達成をする、AI CPSレーザー加工のPOCを達成することを目標としてございます。
 5年後、それを達成した後、6から8年後、開発をしたシミュレータを実際のレーザー加工機に搭載をしたプロトタイプ機というものを開発し、実際の生産現場への投入を目指した研究開発目指すことを考えてございます。
 一方で、10年後の研究開発の目標になります。おめくりいただいて、25ページ目になります。こちらは、加工学理の解明というものをしっかりと行って、それに基づいた学理CPSレーザー加工のPOCというのを達成すべきではないかというふうになってございます。
 また、これらの5年、10年の研究開発の結果、出口戦略といたしましては、レーザー加工のシミュレータ技術を核としたベンチャーの立ち上げや、それを用いたレーザー加工機への搭載というのを目指すことを結論になってございます。
 最後に5番目、研究マネジメントですが、こちらの今まで御説明しましたCPSレーザー加工というものの技術開発を行い、それを社会に還元するための研究マネジメントを行う必要があるというふうに取りまとめてございます。
 まず1つ目が、産学連携・出口戦略に関してですが、こちらは協調領域、競争領域をしっかりと区別をして研究開発を行うべきだというふうにまとめてございます。具体的には、協調領域といたしましては、コンソーシアム等を活用しまして、企業の意見を反映しつつも、代表的な材料を対象としたCPSレーザー加工のプロトタイプ機を開発をする。一方で、競争領域では、各社のニーズを用いて、具体的な固有のアプリケーションを用いたシステム化というのを実施し、これを通じて社会実装につなげていきたいというふうに考えてございます。
 また、ほかの領域でも同じく指摘がございましたが、こちらの領域に関しましても、ほかのCPS生産システムについて、先ほど研究開発動向で御説明したとおり、ドイツをはじめ、世界各国で研究開発を行われてございますので、それらの研究開発動向をしっかりと把握した上で、研究開発目標や計画について柔軟に見直していく必要があるというふうに取りまとめてございます。
 また、国内外の研究開発との連携につきましては、NEDOプロの方でレーザー加工に関するプロジェクトが、実際、実施されておりますので、こちらとの連携をしっかりと行うべきだと取りまとめられてございます。
 また、人材育成に関しても、レーザー加工産業は、日本の産業基盤と競争力をさらに強固にしていくために重要な産業基盤と考え、学生はもとより、社会人の受け入れも含めて、研究開発の際に人材育成の観点も重視して行っていくべきだと取りまとめてございます。
 以上です。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 今、事務局の方から説明いただきましたが、何か御質問ありますでしょうか。いかがでしょうか。
 さっきもちょっと議論になりましたけど、図は、この報告書の中でどういうサイズで最終に載るんですか。。
【廣瀬補佐】  基本的には、こちらで掲載している図は、ロードマップ検討グループの際に、各先生から御発表いただいた資料から抜き出しており、基本的に提供という形で、4領域全て書く形にしたいと思っております。
【雨宮主査】  これは最終報告書になるわけですよね。報告書のどこかに載るわけですね。この位置付けは。
【西山室長】  今後の話も含めて御説明させていただきますと、本件はロードマップ検討グループのクレジットで、この親委員会の方に報告をしております。特段の何かしら冊子だとか報告書みたいな形で取りまとめることまでは、事務局の方で、まだ考えていませんで、是非とも、これはホームページ等で掲載をして、広くオープンになる形にはするんですが、量子委員会のクレジットではありませんので、基本的にはホームページ等に公開でとめておきたいかなと。
【雨宮主査】  ホームページで公開されるということですね。
【西山室長】  はい。その際には、できるだけ見やすく、ちゃんと分かるようにしたいと思います。
【雨宮主査】  はい。
 よろしいでしょうか。
【岩本委員】  湯本先生がおられないんで、事務局の方に聞いてもあれかもしれないんですけど、NEDOとの連携という話があるんですが、文科省というか、このロードマップの独自の部分というのがどの辺なのかというのを、ちょっと教えていただければと思います。連携なんで、こっちもあって、こっちもあって、協力するということだと思うんですけど、NEDOプロジェクトにはない議論というのが、この中ではどこに相当するのかなというのが。
【廣瀬補佐】  NEDOプロでは、22ページから23ページにNEDOプロの説明がありますが、レーザーの開発や、開発したレーザーを用いたデータベースの構築をしております。今回、重点推進戦略で取りまとめたのは、そういったデータベースも活用し、どういった加工パラメータで加工すべきなのかといったところをシミュレーションをして提案をするといった、頭脳の部分の研究開発というのを行いたいと思っております。
【岩本委員】  NEDOで集まったデータを使って、それをさらに上を作るという意味。
【廣瀬補佐】  そうです。NEDOのデータベースも活用して、シミュレータというものを開発するというような連携を考えております。
【岩本委員】  分かりました。ありがとうございます。
【雨宮主査】  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。
【城石委員】  一番最初の御説明で、次世代レーザーということで、2つまとめるというお話があったんですけれども、これは例えばアト秒レーザーとか、そういうものをシミュレータで扱えるようにするのか、それとも既存のレーザーに、このシミュレータを組み合わせて、新しいことをやろうとされるのか、どういう視点でやられるのでしょうか。御担当の方に聞かなくちゃいけないのかもしれないですけど。
【廣瀬補佐】  Q-LEAPの話ですね。
【城石委員】  はい。
【廣瀬補佐】  Q-LEAPでは、この次世代レーザー加工と極短パルスレーザーを、最終的には親和性が高いので、1つにまとめたとなってございます。極短パルスレーザーの17ページのところでの図の右上のところで、レーザー加工の初期過程に関して、アト秒パルスレーザーというのは、その現象解明に使えるのではないのかというふうな指摘がありました。加工の学理の解明に関して、極短パルスレーザーとレーザー加工は、連携し強みが発揮できるのではないのかということで、1つの領域として、Q-LEAPとしてはまとめました。
【城石委員】  ありがとうございます。そこは非常にクリアだと思うんですけれども、例えば、私がちょっと分からなくなってしまったのは、18ページに高繰り返し型とか高強度型ってありますよね。例えば、高繰り返し型に対して、そういうシミュレータを組み合わせるのか、高強度型でやるのかによって、多分、そのアプリケーションというかフィジックスも違うような気がしたんですね。そうすると、どういう形のことを構想されているのかというのが本文から余り見えなかったので、そういうのも何か書かれた方が、連携されるんだったらいいかなと思ったんですけれども。
【岩井委員】  しゃべってもいいですか。
【城石委員】  すいません。
【雨宮主査】  どうぞ。
【岩井委員】  極短パルスの方から言わせていただくと、加工というのは、基本的には繰り返し繰り返しする現象ではなくて、1発である程度起こる現象だと思うので、それはやっぱり高強度の方で、シングルショットで、バシャッと捉えるというのが基本なのかなというのを一応想定しています。
 それが一つと、もう一つは、これは最近の計算機科学の方で、そういうシミュレーションがすごく進んでいるという面があって、表面に剝き出しの波動関数が非常に強い電場の中で揺さぶられたときに、どういうふうに脱磁していくのかというメカニズムがいろいろ検査で分かっているので、そういうのとアト秒で解析した結果をうまく組み合わせると、加工の反応が、今までとは違うフェーズで、いわゆる量子的に解けるんじゃないかということは、随分、議論の中で出ました。恐らくそれは、実はこの会の前に湯本先生と、それから量子計測の方々と少し御相談させていただいたんですけれども、それはやっぱり共通認識があって、加工の方でもそういうことをやっぱり考えてらっしゃるということなので、非常にそこはマッチングがいいんではないかということでアグリーしています。
【城石委員】  ありがとうございます。それはごもっともだと思うんですけれども、例えば、この18ページの各国の施設の特徴を分類した絵を見ると、、高繰り返し型が青色と、色で分類されていますよね。世の中は、どちらかというと緑色の高繰り返し型で、高強度型の黄色って、ほとんどない。日本は黄色の高強度型が多く、特技かもしれない。。
【岩井委員】  そうです。
【城石委員】  そうだとしますと、アト秒で何かパッパッパッパッと当てたときの加工の現象というのは何かあるかもしれないと、ちょっと期待していて。
【岩井委員】  アト秒X線自体を加工に使うという話ですね。
【城石委員】  ええ。例えば、そういうことが本当に5年後にないのかというのをシミュレーションでやっていただくと、また、何か違うものが出てこないかなと思ったので。
【岩井委員】  なるほど。それはおっしゃるとおりですね。
【城石委員】  加工の方で、これは先生がご担当された検討じゃないんで申し訳ないんですけど、その辺のスコープがちょっとよく見えなかったので、その辺の検討が何かされているのかなと思って。
【岩井委員】  それは、そっちでは、加工の方では、アト秒X線でというの、入っているんですね。
【廣瀬補佐】  そうですね。基礎基盤研究の方で、P24ページに、相補的に連携すべき基礎基盤研究の方向性のところのマルの3番目になりますが、レーザー加工に使えるかどうかといっても、まずは極限状態でアト秒とかフェムト秒領域というところでの光と物質の相互作用というのをしっかりと学理できちんと基礎研究をして、例えば、新材料とか新プロセスの加工のプロセスですね。そういったものの展開というのも、ここでしっかりやっていくべきではないのかというような議論はありました。
【城石委員】  分かりました。ありがとうございました。
【雨宮主査】  よろしいでしょうか。ちょっと時間が押してきていますので、どうも、それぞれの検討グループの報告ありがとうございました。
 それでは、議題(4)の方に移りたいと思います。J-PARC中間評価作業部会の設置についてということで、事務局の方からお願いいたします。
【大榊専門職】  それでは、資料4-1、4-2について、御説明させていただきます。
 資料4-1でございますけれども、量子科学技術委員会の下に作業部会、大強度陽子加速器施設評価作業部会を設置することにつきまして、お諮りいたします。
 具体的には、資料4-2の方を御覧いただければと思います。
 資料4-2、設置の趣旨を御覧いただければと思います。
 大強度陽子加速器施設(J-PARC)は、日本原子力研究開発機構と大学共同利用機関法人の高エネルギー加速器研究機構で運用しており、整備から10年が経過しております。
 研究開発のプログラムについては、おおむね5年ごとを目安に中間評価を実施することとなっておりまして、前回の評価、平成24年6月からおおよそ5年経過してございますところ、前回の評価の指摘事項の対応状況とか、今後の課題、方向性についての検討とか、評価を行わせていただきたいと考えてございます。つきましては、主な検討事項として、前回の中間評価における指摘事項への対応状況についての評価及び今後の課題と方向性についての検討について評価をするための評価部会を設置したいと考えてございます。
 なお、この評価部会でございますけれども、設置の形態に書かせていただいてございますように、研究計画評価分科会の下の量子科学技術委員会、それから原子力科学技術委員会、また学術分科会の研究環境基盤部会、3つの委員会と部会の合同で設置する形となってございます。これは前回、平成24年と同様の形式でございますが、そういった形で設置をさせていただければと思ってございます。
 当面の予定に書かせていただいてございますけれども、仮に各委員会、部会でそれぞれ御了解をいただけましたら、2月以降、全5回程度を予定してございますが、開催をしていきたいと考えてございますので、この設置について御審議いただければと思ってございます。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 これも5年ごとの中間評価ということですので、この設置についてということですが、特に問題ないかと思います。よろしいでしょうか。
 はい。じゃあ、これは承認ということで、次に進みたいと思います。
 最後、その他ですが、研究計画評価部会における我が国全体の状況を把握するアウトカム事業についてと。この委員会の親委員会のことに関することですが、これは事務局の方からお願いいたします。
【國分補佐】  親分科会の方である研究計画評価分科会事務局の國分と申します。よろしくお願いいたします。
 では、資料5-1、5-2を準備いただけますでしょうか。研究開発計画における指標の再検討についてということで、御説明申し上げます。
 まず、これまでの経緯を申し上げますと、第5期科学技術基本計画を踏まえまして、昨年度、研究開発計画を策定いたしました。量子科学技術委員会におきましては、本年の8月に、資料5-2に付けておりますけれども、こちらの研究開発計画の方に追加させていただいたところでございます。
 こちらの研究開発計画の中の中目標達成状況の評価のための指標ということで、アウトプット指標、アウトカム指標を検討して設定していただきました。この検討過程で、指標に統一性がない等の指摘がございまして、本計画策定後に引き続き検討することとされております。
 1つ飛ばしまして、さらにこの中目標達成状況の評価のための指標につきましては、文部科学省の実施した事業に限定されております。ただし、事業だけではなくて、施策の継続や見直しを検討するプログラム評価というものを今後実施することとしておりまして、このプログラム評価を実施して、PDCAサイクルを効果的に回していくためには、文部科学省の施策の成果、進捗のみではなく、当該分野に関する我が国全体の状況を把握することが必要ではないかという指摘がございました。こういった経緯がございまして、我が国全体の状況を把握する指標を検討するということとなりました。
 1枚おめくりいただけますでしょうか。
 こちらの目的ですけれども、当該分野に関する我が国全体の状況を把握するための指標を設定することで、国際比較ですとか国内の状況を踏まえた施策の評価に資することとしたいというふうに考えてございます。
 研評分科会の方で、事務局の方で、3番でございますけれども、指標の候補を2つ考えてございます。候補の考え方としましては、可能な限り既存の資料で、各分野の研究開発の状況、研究開発による効果等を把握できるものとしたいということで、指標の案を考えました。分野ごとの事情に応じて最適と思われるものを検討いただきたいというふうに考えてございます。
 まず、候補の1番でございます。共通の指標案としまして、各分野の研究内容(サブジェクトカテゴリ)ごとの論文数を1つ候補として挙げさせていただきました。このサブジェクトカテゴリなんですけれども、これはクラリベイト・アナリティクス社、旧トムソン・ロイター社のデータベースであるWeb of Scienceにおける各分野の研究内容、サブジェクトカテゴリの分類ごとの論文数の推移ですとか国際比較といったことをすることによって、それを共通の指標としたいというふうに考えてございます。
 このサブジェクトカテゴリごとの論文数なんですけれども、こちらはさらに2枚おめくりいただいて、右上の方に参考資料2に示してございますけれども、サブジェクトカテゴリごとの論文数は、文部科学省の科学技術学術政策研究所が2年に1回公表しております科学研究のベンチマーキングというものに今年度から追加されているものでございます。こちらを利用したいというふうに考えてございます。
 こちら、科学技術・学術政策研究所のベンチマーキングにつきましては、下の図表の90に示しておりますように、大きな8分野で通常は集計しているんですけれども、その中のサブジェクトカテゴリ上位10のサブジェクトカテゴリについて集計されてございます。こちらにつきまして、このその他に含まれているようなもの。実は、このサブジェクトカテゴリというのは200以上分類がございまして、それを、さらに1枚おめくりいただいて、右肩の方に参考資料3に示してございますけれども、こちらに200以上のサブジェクトカテゴリが記載されてございます。アルファベット順になっておりますので、必ずしも分野ごとにはまとまっておりませんので、非常に見づらいんですけれども、こちらの分野、サブジェクトカテゴリを選んでいただければ、次回のベンチマーキングの集計のときに集計をできるということでございます。この本委員会において、このサブジェクトカテゴリ、どのサブジェクトカテゴリがふさわしいかというものを選んでいただければと考えております。
 もう一つ、候補の2としましては、中目標ごとの特性を考慮した指標案ということで、社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標ということで、関係する論文がWeb of Scienceのサブジェクトカテゴリに広く浅く分散してしまっているというようなことによりまして、サブジェクトカテゴリでは動向を把握できないというような分野もございますので、こちらにつきましては、研究開発の活動自体や、その成果により、社会・経済的に生み出される価値の内容、例えば、産業データベースですとか、温室効果ガスの排出量等による指標を利用することも考えられるのではないかというふうに考えてございます。
 留意点としましては、候補1、2ともに、研究開発の成果・効果となるまでは時差がございますので、必ずしもその評価の時点において、施策の実施の影響が含まれた状況とは異なっている可能性があるということは事務局としても懸念しております。
 また、異分野との融合を積極的に進める分野ですとか、新興領域が次々に生まれる分野などは、関係するサブジェクトカテゴリをあらかじめ決めておくということが難しいということがございます。
 こういった課題はいろいろあるんですけれども、プログラム評価を実施するのに当たりまして、中目標ごとの特性に応じて、我が国全体の状況を把握するためのアウトカム指標を試行的に設定しまして、参考指標として国際比較、あるいは国内の状況を踏まえた施策の評価に活用していくこととしたいというふうに考えておりまして、研評分科会でも、そのような方向で進めようということになってございます。
 指標の活用ですけれども、主な点のみ申し上げます。
 (1)番としまして、サブジェクトカテゴリごとの論文数は、2年に1度公表された際に、全分野の状況を私ども研評分科会の事務局の方から当分科会及び各委員会に報告させていただきたいというふうに考えてございます。
 非常に重要な点としまして、(4)我が国全体の状況を把握する指標候補につきましては、先ほど留意点で申し上げましたような課題があることから、各委員会においては、この指標だけで評価するというのではなくて、ほかの定量的・定性的なデータ、あるいは、皆さん、専門家でいらっしゃいますので、国際的な学会への出席された状況で得られた情報等から、研究開発の特性や規模に応じて、対象となる研究開発の国際水準を踏まえた評価を実施していただきたいというふうに考えております。
 以上で研評分科会の事務局からの説明を終わります。
【雨宮主査】  どうもありがとうございました。
 では、引き続いて、この研究会、委員会の立場から、案をお願いします。
【廣瀬補佐】  事務局から御説明いたします。
 先ほどの國分補佐の方の説明を踏まえまして、量子委員会の方では、資料2枚目の候補1、共通の指針案の各分野の研究内容(サブジェクトカテゴリ)ごとの論文数の分析を行うために、どの分野の論文数を、量子科学技術委員会のプログラム評価に使っていくか、検討する必要がございます。
 3枚目に別紙と右肩にある資料で各分野の研究内容(サブジェクトカテゴリ)ごとの論文数を指標とする場合の例がございます。上から3つ目の丸、量子科学技術分野というのがございます。こちらは研評分科会の方で、昨年、これを議論するに当たり、事務局で、参考資料2、参考資料3を基に、量子科学技術にぴったりとあてはまるサブジェクトカテゴリが実はなかったため、量子科学技術と一部関連するもの何があるのかを、ざっと列挙させていただきました。
 先ほども国分補佐の方から御説明ありましたとおり、参考資料2、3ともに、カテゴリが200以上ございますので、ここですぐに結論を出すということではないかと思っていますが、今後、メール等々で、どのような論文の分野というのを入れていった方がいいのかを御相談させていただければ思っておりますので、その際は御協力お願いできればというふうに考えてございます。
 以上です。
【雨宮主査】  どうも。
 時間も限られているので、今、事務局からありましたように、追加とか不要とか、何かあった場合には、メールベースでの議論にしたいと思っています。
 今、差し当たって決めることは、このサブジェクトカテゴリのことだけですね。
【廣瀬補佐】  はい。
【雨宮主査】  はい。
 以上です。予定の時刻を、もう15分以上過ぎていますけれども、用意した議題、終了しましたので、本日の議題をこれで終了したいと思います。委員並びに参加した皆様の御協力に感謝いたします。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局から何か伝達事項があれば。
【廣瀬補佐】  次回の量子科学技術委員会ですが、日程等々に関しましては、改めて御連絡をさせていただきたいと思ってございます。また、資料につきまして、郵送御希望の方は、封筒に入れた後、机上に置いたままにしていただければと考えてございます。不要な資料やドッジファイルにつきましては、そのまま置いておいていただければと思います。以上です。
【雨宮主査】  はい。
 では、どうも長い間、ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室)