原子力科学技術委員会 原子力施設廃止措置等作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成29年5月29日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. 原子力施設廃止措置等作業部会の設置について
  2. 日本原子力研究開発機構 施設中長期計画について
  3. 日本原子力研究開発機構が保有する原子力施設等の廃止について
  4. その他

4.出席者

委員

岡本主査、織委員、児玉委員、佐藤委員、新堀委員、藤本委員、柳原委員、横山委員

文部科学省

増子研究開発局審議官、西條原子力課長、北郷原子力研究開発調査官、小川原子力課長補佐、三野原子力課長補佐、亀田原子力課長補佐

オブザーバー

日本原子力研究開発機構長谷川バックエンド研究開発部門副部門長、日本原子力研究開発機構門馬戦略企画室次長

5.議事録

(三野補佐) それでは、定刻となりましたので、第2回原子力施設廃止措置等作業部会を開催させていただきます。
 本日はご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず初めに、本年5月に本作業部会委員の任期が更新されております。主査につきましては、本作業部会の親委員会であります原子力科学技術委員会の山口彰主査より引き続き岡本委員が主査にご指名されておりますことをご報告申し上げます。
 ここからは岡本主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
(岡本主査) ありがとうございます。
 それでは、議事に入る前に、参考資料2、原子力科学技術委員会運営規則をご覧ください。
(三野補佐) 資料の一番下でございます。
(岡本主査) 一番下ですね。原子力科学技術委員会運営規則第2条第7項の規定に基づき、引き続き新堀委員に主査代理をお務めいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、これから議事に入らさせていただきます。
 本日の議題は、お手元の議事次第に書かれておりますとおり、第1議題として、原子力施設廃止措置等作業部会の設置について、第2議題として、日本原子力研究開発機構施設中長期計画について、第3議題として、日本原子力研究開発機構が保有する原子力施設等の廃止について、第4議題として、その他となっております。
 会議は17時まで時間をとっておりますが、議論がスムーズに進んだ場合は早めに散会としたいというふうに思います。
 それでは、まず最初に、事務局より出欠と配付資料の確認をよろしくお願いいたします。
(三野補佐) 本日は、8名の全委員の先生方にご出席いただいております。
 横山先生は少し遅れて来られているようですけれども、ご出席のご連絡をいただいております。定足数を満たしております。
 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 資料1-1、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会、原子力科学技術における作業部会について、資料1-2、原子力施設廃止措置等作業部会委員構成員、資料2-1、日本原子力研究開発機構施設中長期計画の概要、資料2-2が同計画の本体でございます。資料3-1、第1回作業部会における主なご意見について、資料3-2と資料3-3が原子力機構が保有する原子力施設等の廃止について(1)と(2)でございます。参考資料1、科学技術・学術審議会組織図(抜粋)、参考資料2、原子力科学技術委員会運営規則でございます。
 資料の欠落等ございましたら事務局までお知らせください。また、議事の途中でもお気づきの点等ございましたら申しつけください。
 資料の確認は以上でございます。
 また、報道の方で撮影をされる方はここまででお願いいたします。
 以上でございます。
(岡本主査) ありがとうございます。
 それでは、本日の最初の議題である原子力施設廃止措置等作業部会の設置についての報告に入ります。
 事務局より説明をよろしくお願いいたします。
(三野補佐) まず、資料1-1をご覧ください。
 本部会の設置につきましては、今年の2月に第1回目を開催させていただいたところでございます。その際にも説明をさせていただいたものですが、この間に科学技術・学術審議会が第8期から第9期になりましたことを踏まえ、再度説明をさせていただきます。
 資料1-1でございます。
 本年5月8日に本作業部会の親委員会であります原子力科学技術委員会が開催され、そこで決定された第9期作業部会での調査検討事項についてお示ししております。
 本原子力施設廃止措置等作業部会につきましては、表の一番下にございますように、原子力機構が保有する原子力施設の廃止措置等について、安全を確保しつつ、着実に廃止措置等を行わせる制度の構築等について調査検討を行うこととなっております。
 また、参考資料1に組織図がございますが、本作業部会は科学技術・学術審議会の研究計画評価分科会の下にあります原子力科学技術委員会の作業部会の1つとして位置づけられております。
 次に、資料の1-2をご覧ください。
 当作業部会の第9期の委員名簿でございます。委員の構成につきましては、第8期から引き続き岡本主査をはじめといたしまして、この分野の専門家及び有識者の8名の先生方にご就任をいただいております。今期もご審議のほどよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
(岡本主査) ただいまのご説明に対してご質問、ご意見等がありましたらよろしくお願いいたします。
 基本的には第1回のときに説明いただいている内容と同じという認識でございますので、よろしいでしょうか。
 はい、どうもありがとうございます。
 それでは、この形で作業部会を設置させていただいて進めさせていただきます。
 それでは、議題2、日本原子力研究開発機構施設中長期計画についての報告に入ります。
 前回ご説明いただいた原子力機構施設中長期計画案について、本年4月1日に正式に取りまとめられたとのことですので、改めて簡単にご紹介いただきたいと思います。
 まずは、原子力機構より資料の説明をお願いいたします。その後、委員の皆様にご質問、ご意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
(門馬次長) よろしくお願いいたします。原子力機構の門馬の方から説明させていただきます。
 今ご紹介ありましたとおり、前回の第1回部会においては、去年の10月に公表した案をご説明させていただきました。そこから変わった点、それから廃止措置に関係するところをざっとご説明させていただきます。
 こちらの資料2-1の概要版、ツーアップになってございます。まず、上のほうですね、概要のマル1 基本的な内容は変わってございませんが、主に背景として3つの点、原子力施設が非常に老朽化が進んでいる。それから震災以降見直された厳しい規制基準への対応、それからバックエンドをしっかりと進めていかなければならないという、こういった特に規制基準対応という新たな事象に対応するためには、これまでどおりの施設運用が非常に困難な状況にあるということで、今後しっかりと安全強化をし、さらにバックエンド対策を着実に進めて研究開発機能を維持発展させるためには、三位一体の計画を作らなければならないという背景でございます。
 この三位というのは、施設の集約化・重点化によって使っていく継続利用施設をぐっとしぼりこんで、そういったしぼりこんだ施設にしっかりと限られた資源の中で安全対策を進める。また、利用しない施設については、計画的にバックエンド対策を進める。これら3つのことをいかにバランスを見て資源配分をしていくかという視点で作った計画でございます。
 下のほうに、2つ注記書いています。1つ目は、まさに繰り返しになりますが、10月に案を公表しました。平成29年度の予算決定などを受け、日付としては4月1日の日付に合わせてございますが、施設中長期計画を策定しました。
 次のポツですけれども、今後さまざまな要因、これは例えば私ども機構の中長期目標の変更ですとか、今後の予算の状況などを踏まえて計画を更新していきますとしています。今の計画ですと、基本的には年度末に計画を最新のものに毎年改めていくということを想定しております。
 下のほうの計画の概要ですが、三位一体ということでそれぞれ3つの枠をくくってございますが、変わったところは施設の集約化・重点化方針のところの赤字の数字がちょっと変わっています。以前は継続利用施設が46、廃止が42、新たに廃止10施設を含むというのが前回でしたが、「もんじゅ」の件と一部廃棄物の保管庫について、やはり耐震化に非常に高コストがかかるということで、そこの変更があってこのような内容に変わってございます。
 具体的には次の裏のページを見ていただきたいんですけれども、この別表1に全施設マップということで示してございます。左側が継続利用施設、右側が廃止施設ですが、敦賀、廃止施設のほうの一番左列ですね、「もんじゅ」が、前回は継続側に位置づけておりましたが、政府の方針を受けて廃止側に位置づけたというのが1点。
 それから、この廃止施設のちょうど中間ぐらいにPu廃棄物貯蔵施設(PWSF)というのがあります。これは以前は左側の継続利用施設のやはり真ん中ぐらいにある、ここでは第2Pu廃棄物貯蔵施設(PWSF-2)というのがあります。これと合わせてPu廃棄物貯蔵施設ということで一括で継続利用施設側に位置づけてございましたが、その後の検討で非常に耐震強化の費用がかかるということと、廃棄物の貯蔵能力的に問題がないということがあって、核サ研のほうで廃止側にしたいということがあって、こちら側に移動しております。それは研究施設ではございませんが、原子力施設として位置づけております。
 集約化のほうは、主な変更点はこのようになっています。
 本体の資料のほうで特に廃止措置に関係するところをざっと説明したいと思います。
 資料2-2、施設中長期計画です。
 2枚めくっていただきまして、ページが下に1ページとなっております。
 「1.はじめに」のところで、こちらでこの計画の趣旨とポイントを書いているんですが、この一番最後の段落になお書きが書いてございます。施設中長期計画は、ある予算を念頭に作ってございまして、なお書きのところで「平成29年度の計画は政府予算に基づくものとし、また、平成30年度以降については、平成28年度予算額に対する平成29年度の概算要求額の比率を平成29年度の政府予算額に乗じた予算で推移するものとして策定した。」と、ちょっと長々書いてございますが、いわゆる要求実績をベースに平成30年度以降は前提にしているということでございます。ですので、我々としてあるべき姿を計画にしたというふうに見ていただければと思います。
 次のページ以降に三位一体の話がありますが、ちょっと時間の都合上バックエンドのところに移りたいと思います。
 6ページまでちょっと飛んでいただきます。
 (3)、6ページの中段からバックエンド対策ということで、そのうちのマル1 が廃止措置に関するところでございます。基本的に前回と内容趣旨は変わってございませんが、もう一度簡単にリファーしますと、まず廃止措置の重要性ということで、非常にリスクを抱える原子力施設ですので、しっかりと廃止措置を進まなければならないということを書いてございます。いずれ、必要となる措置を遅らせれば遅らすほどトータルのバックエンド費用がかさんでいきますということを書いています。
 では、具体的に廃止措置を進めるための対応方針というのが、この後段から書いてございます。限られた経営資源を使ってリスクの低減、それから維持管理費の削減を効果的に進めるため、以下の方針で進めると。原則として、管理区域解除までを当面の目標とした廃止措置を可能な限り進める。ただし、地元との約束等で一部「ふげん」などの施設については、建屋撤去までを前提としております。
 いわゆる廃止措置スケジュール、この後ご説明するスケジュールについては、以下を総合的に考慮して決めております。まず1番優先すべきは施設のリスクの低減効果、それから費用対効果も合わせて順位づけをします。ここでいう施設のリスクというのは、環境に大きな影響を与える放射性物質の保有量が大きな施設、築年数が長い施設、それから非固定性の汚染設備を有する施設など。あと実際に解体に着手して、中途半端な状態にあるものを早く終わらすというものも、この視点で優先順位を上げております。
 ただし、その次のページの頭のほうに、B)その他の考慮事項というのがあります。
 拠点の廃棄物処理能力や保管能力上の制限、それから保有核燃料物質の移管先の制限、それから予算の制限というのがあります。
 例えば拠点の能力という意味では、今原科研の焼却炉が新規制基準対応のために一時ちょっととまってございますので、そういった拠点については、今積極的にごみを発生する廃止措置を進めることができないのでちょっとスローダウンしている。そういった状況もあり、そういったもの全て総合的に考慮して今の計画を作っております。
 その結果として、廃止措置計画で廃止措置44施設のうち19施設を第3から第4期中長期目標期間中、これ平成40年まで、今回のこの中長期計画の該当期間ですが、それまでに終わらすという計画ですということを言っています。
 こちら10月の時点では廃止施設は42だったんですが、そのうち20施設だったんですけれども、平成29年度の予算が見えて若干の下方修正となっております。
 具体的にこの廃止措置計画については、別表に、12ページ以降、9枚ものの線図がついてございますが、こちらに具体的な計画として落とし込んでおります。
 ざっと見ていきたいんですが、12ページからなっています。基本的に先ほどの別表1の全ての施設ごとに平成40年までの計画を記載しております。前回の案から比べると少し内容を充実化させております。
 例えばこの最初のページですと、黄色にハッチングされているのが廃止措置対象なんですけれども、ちょうど中間ぐらいに放射性廃棄物処理場、これは原科研の汚染除去場、それから液体処理場、それから圧縮処理建家、処理場の中の3つの建屋をちょっと別にここでは書いてございますが、ただ、備考のところで現時点での計画上での管理区域を解除する時期を明記しております。これは前回書いていなかった点でございます。
 同様に、13ページはホットラボという施設が原科研にあるんですが、そのうちの解体部と書いております。これはホットラボのうち一部を未照射核燃料物質の保管エリアとして再利用するという計画がございまして、これちょっと特殊なんですが、その施設の一部を解体し、切り離して一部を生かすというようなそういった計画をしているところでございます。ということで、「解体部」という書き方をしております。
 次の14ページにまいりますと、これはずらっと原科研の大小さまざまな施設の廃止対象の施設が主体に載っております。個別にはご説明いたしませんが、それぞれ廃止措置の時期、それから終了予定時期等を内容に記載しております。
 15ページは、大洗研の燃研棟とJMTR、JMTRホットラボ、青森の関根施設です。JMTRホットラボにつきましては、10月公表後、いろいろニーズのある話等もございまして、研究開発の期間を10月の案からは1年延長して、平成31年まで、当面は今の状態で使用するというような、少し使用期間の延長を行っております。
 それから、16ページ以降が今度は特別会計主体の施設になります。まず「もんじゅ」、「ふげん」ということで敦賀の施設です。「もんじゅ」は今回新たに記載しております。
 それから、その下に核サ研の東海再処理施設(TRP)、こちらはご存じかと思いますが、原子力規制庁のほうで監視チームが立ち上がってございまして、そこでこのTRPの安全監視をいただきながら計画どおり進めるということで、そちらのほうに細かい情報を挙げておりまして、その内容を反映しております。前回の資料だとここはもっとシンプルな書き方だったんですが、そういった監視チームへの対応情報を合わせて記載しているというところです。
 それから、PWSF、廃棄物貯蔵施設ですが、廃止側に持ってきた施設です。それからCPF。
 17ページに移って、こちらも核サ研の施設がずっと並んでございます。ちょっと個別には割愛させていただきます。
 18ページにまいりますと、今度は特別会計のほうの大洗研の施設でございまして、照射材料試験施設(MMF)、それから照射燃料試験施設(AGF)、こちらは先ほど説明を割愛しましたが、この上のハッチがかかっていないFMFという施設に、今回の平成40年までの期間で機能を集約化するということで、そういった集約化のスケジュールも合わせてこの線表の中に記載してございます。
 19ページ、こちら同じ大洗の重水臨界実験装置(DCA)等、既に廃止措置が進められている施設、この情報を記載しております。
 最後の20ページにまいりまして、人形峠の濃縮工学施設、ウラン濃縮原型プラント、製錬転換施設の廃止措置の計画を示しております。
 一番下に参考と書いてございますのは、これ基本的には原子炉等規制法とRI法、いわゆる原子力施設という視点でまとめてございますが、鉱山法のほうの範囲で管理しております人形峠の鉱山施設も予算を充てておりますので、参考までにそちらのほうの計画も合わせて末尾に記載しているという内容でございます。あくまでも平成30年度以降の予算がある程度我々の要求が叶うという前提での計画になってございます。
 あと関連する情報として、最後に添付3、添付4というのが、バックエンド関係の資料がついてございまして、ページで41ページから添付3ということで、各拠点で保管中の放射性廃棄物一覧ということで15枚組のものがついています。ちょっとPDFで字が少しつぶれて見づらくて恐縮なんですが、前回の案に比べて内容を少し充実化させております。これは各拠点ごとにどういった建屋にどんな廃棄物が現状保管されていて、今後どのように処理して、最終的にどんな処分体になっていくかというのを現時点の想定として記載しておるものでございます。廃止措置とは直接はかかわりませんが、廃棄物の行方という意味で関連する情報として紹介させていただきました。
 簡単ですが以上となります。よろしくお願いします。
(岡本主査) ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関してご質問、ご意見、委員の皆様からよろしくお願いいたします。
(柳原委員) 福井大学の柳原です。
 簡単な質問ですけれども、廃止措置の最終目標を管理区域解除というふうにおっしゃったんですが、廃止措置を終了することは目標にしないんですか。
(門馬次長) 最終的には終了まで持っていきたいんですが、今我々としては非常に少ない予算の中で、当面安全対策とバックエンド対策をどうバランスさせてしのいでいくかということを考えた際に、いわゆる管理区域解除まで持っていきますと、施設の安全対策等がぐっと減りますので、まずはそこまでを目標にしつつ、予算の状況を見ながら最終段階まで持っていきたいなという計画です。
(柳原委員) 予算を考えると、管理区域解除まで持っていったら、あとは壊すだけなのか、別に利用するだけなのかなって、そんなに予算的には大きな違いがないんじゃないかと思うんですね。これはちゃんと調べないとわからないかもしれないですけれども。
 管理区域解除までいったら廃止措置を終了する、あるいは施設を残すとしたら、目的を明確にして次に進むことを考えたほうが、廃止措置を実施するインセンティブも上がるような気がします。
 廃止措置を終了するという方向でインセンティブを上げることを考えることも重要ではないかなと思いました
(岡本主査) よろしいですか。
 廃止措置の終了確認の方法は事故前には大分議論はしていたんですけれども、いろいろなオプションが取り入るというのが事故前の議論でした。今現在どうなっていくかはまた別の議論だと思いますけれども、こういう施設ですので、さまざまなオプションがあってもいいのかなというふうには思います。
 そのほかいかがでしょうか。はい、お願いします。
(藤本委員) 藤本でございます。
 ご説明ありがとうございました。今の柳原委員のご意見と関連しますけれども、あとで恐らく出てくるかと思いますが、やはり廃止措置の予算を考えるときに、どこまでを当面の目標にするかによってどれぐらいコストが変わってくるのかというところを懸念しているといいますか、どれぐらい、その後どういうステップがあって、どういう作業が生じて、どういうコストが考えられるかということも踏まえた上で、どこを当面の目標にするかというのを決めていかれたほうがいいのかなというふうに考えました。
 以上でございます。
(門馬次長) ありがとうございます。
 この後の説明でございますけれども、その廃止措置費用を算出するやり方を我々今後整理していきたいと思うんですが、その中で例えば管理区域解除までと、建屋を壊すまでの全体とではどのぐらいの比率なんだというのははじけるようになりますので、そういったところで最終的にまた検討したいと思います。
(岡本主査) ありがとうございます。
 そのほか。よろしいでしょうか。
 今回のご説明は、前回案がついていたものが取れて、これが決定されたという形でご紹介いただいたというところですが、そう大きな変化はないというふうに認識してございますが、これらをいかに安全に廃止措置していくかということを今後しっかり議論できればというふうに思っております。
 それでは、本日のメーンの議題になってくるんだと思いますけれども、原子力機構が保有する原子力施設等の廃止についてという形で、議題3に入らさせていただきたいというふうに思います。
 まず、事務局及び原子力機構より当該資料について説明いただいた後、質疑、意見交換に移りたいと思います。
 それでは、まず事務局及び原子力機構より説明のほどよろしくお願いします。
(北郷調査官) 事務局でございます。ご説明させていただきます。
 まず、資料3-1でございますが、こちらに前回ご議論いただいた中で出された主な意見をまとめさせてございます。私どもも至らないところもあると思いますが、これに書かれた意見が本意ではない等ありましたら後でご議論いただきたいと思いますが、私ども認識しておりますのは、原子力施設の原子力の研究開発を引き続き推進するに当たっての集約化・重点化という観点から、廃止措置がネガティブなものでないことを位置づけ・説明していくべきということとか、それから目標が変更しうる研究開発と異なり、廃止措置は着実な実施が目標であるということで性格が異なるとか、それからそのことを踏まえて研究開発と廃止措置のマネジメントや予算の分離も含めて検討するべきでないか。
 それから廃止措置に適したマネジメント・組織については、イギリスNDAなどの諸外国の例を参考に検討すべきですとか、実際の作業に当たるのが受注する民間業者であるところ、その力が不可欠であって、調達マネジメントの能力を引き上げるべきであるとか、早期に短期間で解体したほうがよいのか、放射線量を一定程度低下してから措置すべく、あえて長期間かけて解体したほうがいいのかなど、コストの観点からも戦略などを検討したほうがよいのではないかとか、それから廃止措置は廃止措置の完了までに年限が長くかかることから、将来的に予測できない事態が生じ追加でコストがかかることがあり得るなど、見積り等に当たっては不確実性がある業務であることに留意すべきであるとか、放射性廃棄物の処理・処分等に密接に関係するので、相互に連携しつつ業務を行うべきではないかといったご意見が出されていたと認識しております。
 これらを踏まえまして、私どもご指摘された宿題事項を踏まえつつ、またさらなるご議論をいただくための材料といたしまして資料を用意いたしましたのが、資料3-2と資料3-3でございます。
 私のほう、事務局のほうからは資料3-2を、それからJAEAのほうから、機構のほうからは資料3-3をご説明申し上げます。
 まず、資料3-2をご説明申し上げます。
 めくっていただきまして、検討対象とする原子力施設廃止業務の範囲及び性質についてマル1 とありますけれども、この下にある図は「ふげん」の廃止措置の例、廃止措置計画を整理して図にしたものでございますけれども、典型事例におきまして、狭義の原子力施設の廃止措置は、規制法に基づいて認可された廃止措置計画に従って行われる終了確認に至るまでの工程を指すと考えられます。
 他方、事業管理の観点からは、使用済み燃料の搬出、廃止措置の過程で生ずる放射性廃棄物の貯蔵、処理、処分などが廃止措置と密接に関連していることから、これらも廃止措置の一環として捉えることができます。
 廃止措置の中で、また廃止措置技術に関する実証試験、構造材の調査研究等の研究開発も実施されております。
 下をご覧いただきますと、「ふげん」の例におきましても、廃止措置計画中に研究開発が位置づけられております。
 他方、また、原子力規制法の基づく廃止措置計画の段階には入っていませんが、使用許可等の下で施設の除染、解体など合理的な廃止措置のための準備を進めている事例もありまして、これらは人形峠の濃縮工学施設などは事業方針としては廃止でございますが、そのような状況でございます。
 こういった点を踏まえますと、今回検討対象といたしましては、規制法上の範囲に限らず、実質的な意味での廃止措置等を検討対象とせざるを得ないかと思います。
 また、廃棄物の貯蔵、処理などの密接に関連するプロセスを含めて扱う必要があるかと存じます。
 他方、処分につきましては、JAEA機構法の中で一応既に業務規定が立っているので、そこの点はご留意いただきたいと思います。
 また、廃止措置と研究開発との関連につきましては、整理する必要がございます。
 次のページに進めまして、前回のご議論を踏まえまして、また、ご指摘を踏まえまして行いました海外調査を踏まえまして、運転中と廃止措置中の業務の特徴を比較することによりまして、廃止措置業務の特徴を把握できるよう一応整理してみました。
 運転中につきましては、原子炉施設の安全を確保しつつ、研究開発成果最大化のための運営を追求するというところがあります。また、運転施設の管理では定常的・反復的業務が多く、定められた手順に従った運転ということになります。また、施設の条件が安定的であるため、過去の運転により安全運転のための知見が蓄積しやすいということがございます。
 核燃料物質等保持しておりますので、高いレベルの核セキュリティ対策が必要です。
 これに対しまして、廃止措置中になりますと、長期にわたって内容の異なる多数の工程を計画的に実施する。また、廃止措置の各工程を着実に完遂するための運営が必要になる。合理的かつ着実に廃止措置をすることが目標だからでございます。
 また、施設の建設工程と同様外注する作業が多くなりますが、汚染環境下の作業となりますので、施設の管理、運転経験を有する事業者の知見・技術も不可欠でございます。事業者と申しますのは、施設の運営者のことです。JAEAです。
 工程には相互のつながりのない単発の作業が多くなります。その都度最適な方法を、工法、手法を選択していきます。
 また、既存技術の活用が基本となります。他方で、研究施設は既存の規格による施設ではないため、合理的な廃止のために研究開発が必要な場合もございます。
 後続作業や関連作業との密接な関連性もございます。と申しますのは、安全管理上不安定な状態になることがありまして、その後の措置が着実に行われないと、封じ込め機能の維持等に支障が生ずる場合があるからです。
 また、関連作業と申しますのは、廃棄物の処理処分ですとか、核燃料物質等の搬出等でございます。
 それから、廃止を通じて得られました知見の蓄積・活用は、ほかの施設の廃止措置において高い価値を有すると言われております。そして核燃料物質の搬出後は、核セキュリティ対策のレベルは低下いたします。
 こういった点を踏まえまして、業務の重点事項として指摘されておりますところは、運転中につきましては、原子力施設の安全を確保しつつ、施設を適切に利用して研究開発を推進すること、そして施設の安全運転を行うこと、それから原子力施設の適切な維持・管理による安全機能を維持するということになりますが、廃止措置中になりますと、長期にわたる着実・計画的な工程管理を行うこと、廃止工程の進捗段階に応じた動的な安全確保対策の構築。これは放射性物質等に係る封じ込め機能の維持のみならず、作業工程の労働安全などを含むということでございました。
 また、発生する放射性廃棄物等の計画的な管理・処理・処分が必要でございます。
 また、廃止状況の最終確認、そして得られた知見の蓄積活用ということが業務の重点事項になるかというふうに整理いたしました。
 めくっていただきまして、4ページは、今回検討対象となっております機構の施設の一覧でございます。施設数におきまして、このうち廃止施設とあるのが、先ほど説明がありました施設中長期計画により廃止が経営方針とされているものでございます。
 めくっていただきまして、次に、5ページでございます。
 廃止措置に関する財務等に関してでございますが、原子力施設の廃止に関しての経費の見積もり等に関するご質問が前回多数ございましたので、過去公表された見積もりをご説明させていただきます。
 こちらは原研機構、旧日本原子力研究所とそれから核燃料サイクル開発機構を統合する際に、事前に行われた検討に際して取りまとめられたケーススタディでございます。これは統合後の法人の経営基盤を確認するという趣旨でタスクフォースを作り、その当時保有していた施設全てを廃止する。ただし、一時期に集中しないように、平準化した上でプランを立てるとどのようなことになるかということで試算したものでございまして、総費用2兆円、実施期間約80年ということで結論が出ております。
 また、その費用の推移でございますけれども、設立後10年間は100から150億円で推移いたしまして、その後、約30年間、300億円程度で推移し、その後は徐々に150億円程度まで減少するということが報告されてございました。
 これにつきましては、おおむね次の理由からこれら廃止措置費用の措置は可能であると評価されています。
 まず、廃止費用が約100から300億円/年程度で推移するところ、これは当時の両法人の全事業費が2,300億円程度であったところ、約5から15%におさまるということ。
 また、その後の10年以降の原子力施設の廃止措置が300億円、高い水準になる時期には、基礎・基盤研究について従来と同様のスクラップ・アンド・ビルドが想定されることですとか、核燃料サイクル関係の大型既存事業が終了していくということを想定し、判断されたのが当時の報告でございます。
 めくっていただきまして、現在の機構経費配分の枠組みについて申し上げますと、原子力研究開発機構は国立研究開発法人でございますので、主務大臣から交付される運営費交付金については、特別会計と一般会計の予算上の会計区分に対応する会計区分の枠内において、理事長は機構内での経費配分に裁量を有しまして、国はその成果を中長期計画の期間ごとにパフォーマンスして評価する。これは7年ごとになります。
 また、廃止措置に関する費用についても、財務諸表上の処理でございますけれども、独立行政法人会計基準においては、平成23年の改正において企業会計に取り入れられました「資産除去債務」の考え方を採用いたしました。この資産除去債務というのは、有形固定資産の取得、建設、開発、通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれらに準ずるものということになりまして、一応解説によりますと、原子力施設については、その解体費用についてこれに当たるというふうに一般的には言われております。
 これらにつきましては、機構の場合既に施設はあるわけでございますが、これを帳簿額にその解体費用を見積もった上で計上するわけでございますけれども、ただ、合理的にこの費用を見積もることができないときは、これを計上しないですとか、幾つか計上についての考え方がございまして、現在においては、会計基準の示された条件に従い、機構においては、これすみません、中期計画とありますが、中長期計画の期間内において廃止措置を完了する施設等の撤去費用に限って資産除去債務を計上するという措置をしてございます。
 ということで、引き続き、現在、機構の施設の大部分は、資産除去債務としては計上されておりません。
 他方、このたびこの間、4月ですけれども、成立いたしました原子炉等規制法の一部改正によりまして、原子力事業者は廃止措置の段階に至らないもの、この施設全てにつきまして、事業開始段階から廃止措置を実施するための方針をあらかじめ作成して公表するように義務づけられるようになりまして、その中で、廃止措置に要する費用の見積もり及びその資金調達の方針も示すことが義務づけられました。これは公布後1年6カ月後に施行されますので、またそのあたりそれに対して猶予期間もございますけれども、これによりまして原子力機構におきましても、その保有する原子力施設全てにつきまして、廃止措置に要する費用の見積もりとその調達方法を含む廃止措置実施方針を作成・公表することになります。
 めくっていただきまして、海外の事情につきましては、また後ろで細かく書いてございますけれども、財務の処理につきまして、フランスのCEA及び英国NDAにおける処理例をご紹介いたします。
 フランスのCEAにおきましては、これは2006年の法律によりまして、そもそも運転中のもの、現存する施設全てにつきまして、廃止措置費用の積み立て義務が定められておりまして、基金を形成しなければできないわけでございますけれども、ただ、これは既に多数の施設の保有している国の研究機関であるCEAにつきましては、2010年に政府とCEAで協定を結びまして、協定締結時以前から存在している施設につきましては、その廃止措置に基づく費用について予算措置の請求権を認めまして、それを資産計上いたしました。
 他方、施設の解体費用につきましては、見積もった上でこれを割引処理をした上で債務項目に計上して処理をしています。これによって、一応廃止措置に関する費用については、財務上資産とバランスしているということになっています。
 イギリスNDAの例でございますけれども、イギリスNDAにおきましては、これは少々わかりにくくて申し訳ないんですけれども、原子力施設の解体費用の見積もり額は、この非流動負債の中の原子力というところに入っています。これも割引後の額ではあるんですが、これに対しましてNDAが持っている施設の資産価値が資産項目にあり、不足額を制度上は純負債として位置づけています。
 ただ、NDAの場合は、その活動費を政府がファンドするという位置づけの機関でございますので、将来的にファンディングしなければならない費用について会計上明記しているということにとどまるものでございます。
 めくっていただきまして、今回、宿題をいただきまして私どものほうで調査させていただきました海外の組織体制・資金確保の状況等につきましてまとめた表でございます。
 調査いたしましたのは、現地調査、現地の訪問によるインタビュー調査を行いましたのはイギリスとフランス、アメリカと日本について、アメリカについてはインターネットとか文献情報のもの、国内については通常の聞き取り等による調査でございます。
 イギリスにつきましては、NDA、廃止措置機関が廃止措置/運転の全体戦略を作成し、SLC、これはサイトの安全許可を受けている事業者に当たるわけですが、運転と廃止措置を担当し、そのSLCの親会社としてPBOというのが置かれまして、SLCを統治し、戦略的な指導を行って運転を最適化すると。費用は政府が出すと。
 CEA側につきましては、CEAは国のファンドと商業活動の収入で成り立っておりますけれども、CEA内部に本年1月より廃止措置を専門に担う組織を設置して、研究開発から管理を分離していますが、資金管理については、先ほどご説明したとおりの枠組みをとられています。
 アメリカDOEにつきましては、廃止措置を専従する局、環境管理局がございまして、環境管理局専門の予算が設けられています。そういう意味では、組織と予算が完全に分離されています。
 日本原電、こちらは東海第一原子力発電所、廃止措置中でございまして、戦略的に廃止措置を重視しているわけでございますけれども、廃止措置を専従する室を一部に設けております。
 JAEAについては、近年、「バックエンド統括部」、4月1日より設けておりますが、これらにつきまして詳細、次のページ以降でご説明申し上げます。
 送っていただきまして、9ページでございます。
 まず、英国についてでございます。
 現在もあるんですけれども、英国原子力公社により建設されました初期の原子力施設につきましては、段階的にBNFL等において民営化されたもののその採算が悪いということになりまして、経営状況が悪化し、最終的には2004年エネルギー法に基づきまして、その将来の廃止措置負担を処理すべく、所有権が全てNDAに移管され、その施設運営会社はNDAの子会社となりました。また、SLCを支援するPBOを加えた3者により役割を分担する体制を構築しています。ただし、このPBOというのはセラフィールドサイトには置かれていません。
 NDAは、サイト、資産、運転・廃止措置責任、全ての職の責任者、所有者であって、運転廃止措置の全体戦略を示す責任を有していますけれども、SLCとの間では、所有サイトの運転と廃止措置に関する契約を締結して事業全てを委託します。また、その費用もファイナンスすることになります。
 また、PBOは競争プロセスで選定することになって、選定されたPBOに対して株式を、貸し株としてPBOは借りた株によって親会社となっているわけでございます。PBOは出向、コンサルティング等によってSLCを統治いたしまして、新たな技術を投入しつつSLCのミッションというものを指導していくと、こういうことになります。
 こういう仕組みでございますけれども、このNDAの枠組みは特に初期に作られた原子力施設、採算の悪いと言われた原子力発電施設、マグノックス、それから再処理施設など廃止措置費用が特に問題になるようなものを対象としているものです。そのほかのものについては、別途民間に基金を設けて廃止措置を行うことになっています。
 めくっていただきまして、10ページでございますが、申し訳ございません。1点訂正がありまして、下から2行目のところで、廃止措置に関する研究について900万ポンドとありますが、失礼いたしました、これは85百万ポンドでございます。ここで訂正させていただきます。
 こちらのNDAの業務のあり方などを調査するために、それを所管するビジネス・エネルギー・産業戦略省及びNDAの担当者からインタビューを行いましたところ、ポイントは以下のとおりです。
 NDAの仕組みというのは、全ての原子力施設に対応できるものではなくて、商業用の施設とかは一般的には違っていて、経済性に欠ける初期のものだけが対応でありますと、こういうことであります。
 また、NDA、PBO、SLCといった制度設計は、あくまでNDA設置時のニーズに対応すべく創設されたもので、既にセラフィールドサイトのPBOが廃止されるなど、絶対的な制度ではないということを強調していました。
 また、NDAは戦略の担い手としての役割が最も重要であって、ほかの施設における廃止措置の経験を他の施設に応用することが可能な、そういうところが価値があるのだというふうなことをおっしゃっていました。
 また、PBOが設置された経緯でございますけれども、従前より施設の運営業務に従事していたSLCの廃止措置に向かうメンタリティーの変化をもたらすことが、これが一番必要性が高かったということでありますが、これに加えて新たな世界の市場におけるアイデア、すぐれたアイデアを導入するために、アメリカのDOEにおけるプライム方式を参考にしたところ、ただ、イギリスの規制制度に照らしプライム方式が困難であるため、このような形を考え出したということだとの説明もありました。
 また、特に強調されていましたのがミッションを施設の運営・管理から廃止措置の着実な実施に切り替えるのは、従事者のメンタル管理でかなり難しい部分があって重要視しています。こういうことでございました。
 資金の確保策でございますけれども、現在はマグノックスの一部の商業運転の売り上げが計上されていて、これが収入になっているわけですけれども、また、再処理施設の廃棄物の管理費用等の商業収入がございます。これらが低下してくると、現在の予算事業費の確保は、現在の水準でも事業費の確保は困難で、それは今後の課題であるということで、彼らも予算措置については、高額な廃止措置費用がかかるところ困難な取り組みを続けているというような説明でございました。
 予算につきましては、予算措置の柔軟性と長期的な財政保障が重要である。また、廃止措置の資金需要については、施設ごとに廃止措置費用が高くなるピークが存在していることに留意する必要があって、複数施設を同時に、またかつ同じように廃止措置することは効率的ではないので、優先順位をつける必要があるということでございました。
 そして長期間かかるプロジェクトであるため、中長期的な人材確保が重要であるですとか、それでそのような観点から、大学と連携したプログラムを運営しているとかということがございました。
 また、研究開発につきましては、今数字は訂正させていただきましたけれども、NDAからファンディングをしてSLCに行っているものがほとんどで、85百万ポンド。このほか外部の者に直接ファンディングして行っているものが5百万ポンドということでございます。
 めくりまして、次はフランスについてでございますけれども、組織図を見ていただきますと、フランスについては先ほど予算措置についての枠組みは先ほどご説明したとおりでございます。その組織図を見ていただきますと、廃止措置事業本部というのがございます。こちらが本年1月に設立されています。彼らの説明によりますと、廃止措置業務の業務の違い、性格の違いとともに、また、廃止措置の経験と技術を積み重ねてほかの施設に広げていく観点から、このような専従組織を設けたとのことでございました。
 めくっていただきまして、CEA及びフランス環境・エネルギー・海洋省からの聞き取った結果の報告がポイントでございます。原子力部門の廃止措置分が約4分の1の職員が従事していて、研究と廃止措置の業務の性格の違いを強く認識しているということ。知見の蓄積などを期待しているということ。
 また、廃止措置に関しては、CEAはプロジェクト管理、廃棄物管理などを担うけれども、具体的な作業は下請け企業の作業員が担うことになりますので、実際上その廃止措置関連の予算の費用80%以上がそうした企業に流れているということです。
 資金確保につきましては、先ほど申し上げたとおりの枠組みで政府との協定に基づいた請求権という形で中長期的な予算要求件が一応確保されています。
 また、マネジメントの重要性が強調されていたこと、それから廃止措置が一部の研究者にとっては魅力的でない部分もあって人材を惹きつけることが課題であるとか、また、研究施設については、商業炉などと異なり、オーダーメイドの廃止措置手法が必要で、研究開発も重要であるなどの指摘がありました。
 次めくっていただきますと、アメリカのDOEの組織図でございます。
 組織図の中にあります環境管理局は従前環境回復廃棄部管理局だったところで、これを改称したものでございます。この局が廃止措置を担っておりまして、廃止措置のための予算を確保し、廃止措置の専従組織として機能しているということでございます。
 14ページの国内に入りまして、電力会社の中で廃止措置のほうに割と焦点を当て、戦略をとっております日本原電さんの組織図でございます。日本原電さんからの話を伺わせていただきましたけれども、日本原電さんにおいては、廃止措置を積極的に位置づけた経営戦略をとっておりまして、廃止措置を扱う組織の分離を図っておりますけれども、必ずしも全ての業務の整理がついておらず、完全な分離は行われていないということでございました。
 なお、日本原電さんは電気事業者でございますので、制度に基づき原子力施設の解体費用をあらかじめ見積もり、これを引き当てて積み立ててきた資金がございます。
 めくっていただきまして、15ページでございまして、こちらはJAEA、原子力開発機構の組織図でございますけれども、本年4月1日付で複数部門、例えばバックエンド対策を一元化する観点から、バックエンド統括部を、いわゆる本部組織に、運営管理組織に設けております。
 めくっていただきまして、他方で施設の側における廃止措置の設置例でございますけれども、「ふげん」の事業所であります原子炉廃止措置研究開発センターでございますけれども、こちらは施設全体の廃止措置を行っているわけでございますけれども、技術開発部ということで、その中に開発実証課と設備保全課が置かれ、それらの課が廃止措置を担当しているということでございました。
 他方、旧原研でありますが、原子力科学研究所では下部組織に廃止措置施設もございますけれども、こちらはバックエンド技術部の中の廃止措置課が担当しているということでございます。
 それでは、続きまして、JAEAさんお願いします。
(長谷川副部門長) 続きまして、原子力機構の長谷川のほうから資料の3-3に基づきまして説明させていただきます。
 内容的には、原子力施設廃止に係る見積りの方法についてということで、先ほど話題に挙げた件と、また、安全確保に向けた取組、それから必要な研究開発、その他ということで4項目順を追って説明させていただきます。
 次の2ページ目でございますけれども、廃止措置費用の見積り方法でございますけれども、下のほうにマル1 マル2 マル3 と示しましたこの3つの方法が存在すると思っております。
 1つ目の類推見積り法ということでは、過去の類似したプロジェクトに基づいて相対的に見積もりを行う方法、これは概念検討のところで使うということ。利点は、コストや時間がかからない、欠点として見積もり精度が低いという、こういう欠点があります。
 2つ目の係数見積り法ということでは、過去の情報とそれらの関連する変数をもちまして、統計的に関連づけて導き出すという方法でございます。これは予算の管理とかフィジビリティスタディ等に使われております。利点としては、モデルとか組み入れるデータ、これに応じて精度を高めることは可能だということでございますけれども、欠点としてやはり時間と手間がかかるというところでございます。
 3番目はボトムアップ見積り法ということで、これは積算法とも呼ばれていると思いますけれども、作業全体を幾つかの項目に分けて、その各項目ごとに詳細な見積もりを立てた上、それを合計するという手法でございます。入札、見積り確認に使われています。精度の高い見積りが可能ではありますけれども、欠点としては、大変な時間とコストがかかるということでございます。
 上の2つ目の丸でございますけれども、原子力機構においては、実際に廃止措置のときには精度の高い見積もりを行っているということでございますけれども、その前の段階、つまり情報が乏しい段階においては、やはり費用の規模感を把握する必要があるということで、マル2 の方法に相当するもので進めているところでございますが、これの解体実績をもとにして開発したコード、原子力施設廃止措置費用簡易評価コード、DECOSTと呼んでいますけれども、これを用いて機構内では進めております。
 次のページの3ページ目でございますけれども、ボトムアップの見積例ということで挙げさせていただきましたけれども、例えばここでは給排気設備の撤去の工事でございますが、直接人件費とか、間接人件費、諸経費等に分けてそれぞれ見積もって足していくという方法でございます。
 次の4ページ目でございますけれども、DECOSTの概要について簡単にご説明しますと、DECOSTはSimplified Decommissioning Cost Estimation Code for Nuclear Facilitiesということで、DecommissioningのDeとCostの単語をつなげてDECOSTと呼んでいるものでございます。
 概要としましては、施設の解体費用を短時間で算出できるということと、あと複数の種類の施設、原子炉の発電系の炉だけでなくて再処理とか核施設ごとの特徴を考慮した評価算出ができるということでございます。
 やり方としては、下のほうに流れ図がありますけれども、一番右のところの出力データがあります14の費用評価項目を作りまして、これの費用を算出するために入力側では施設の機器、構造の重量、面積などの数値を入力して、それで計算して出していくという方法でございます。
 5ページ目にいきまして、開発の経緯でございますけれども、このDECOSTというのが旧原子力研究所でJPDR、日本最初の発電を行った試験炉でございますけれども、これは原科研のサイトにあって、もう既に解体しておりますけれども、それの解体実績、これを用いまして原子炉用の廃止措置費用評価ソフト、当時はCOSMARDと呼ばれたものでございます。これを開発していったという経緯でございます。これは2002年までやっています。
 これをベースにしまして、核燃料施設の解体コードを加えた評価ソフトとしてDECOSTの開発を進めているということでございます。
 特にこのDECOSTについては、2法人統合時にサイクル機構関係の施設からのデータを入れ、再処理関係の施設、それからMOX施設、これを入れまして、評価範囲を広げて強化しているというところでございます。
 現在はコード性能と精度の向上を図っていくために、現在廃止措置を進めている施設のデータを入力しながら精度を上げていくという方法をとっています。
 目的でございますけれども、先ほど申しましたとおり、多種多様かつ複雑な原子力施設の概略の廃止措置費用を簡単に評価するということを目的としまして、用途としては全体の廃止措置計画の策定とか、施設の廃止措置の計画、それから長期的な解体計画等の概略の見積もりに使われているというのが現況でございます。
 次の6ページ目でございますけれども、DECOSTの廃止措置の費用の評価方法でございますけれども、簡単に言いますと、ベースとなるのは主に重量、それから面積、解体するところの重量と面積でございます。これらから係数をかけまして、例えばマル4 マル5 の機器解体費、建家解体費を出します。その重量、面積から出てきます、マル4 マル5 マル3 マル6 マル7 とありますけれども、これをまたベースにしまして、ほかの例えば設備費を出していくということで、それらの出てきた費用にまた係数に出していくという方式で、それをトータルして最終的に廃止措置のコストを算出しております。
 7ページ目でございますけれども、DECOSTを用いた廃止措置のケーススタディということで、どの程度の精度があるのかという1つの例として示させていただきました。
 1つ目は、核燃料サイクル工学研究所のG棟、S棟というもの、これは廃止措置してもう既にありません。この施設でございますけれども、ウラン濃縮試験、使用済みの遠心機処理に係る技術開発を行った施設でございますけれども、建設から46年、建設費が3億円、設備の解体は平成21年から25年までやっています。解体費が約5億円となっていますけれども、これをDECOSTで現在評価しますと、廃止措置は約4.3億円ぐらいということで、大体似たような数字にはなってきているんじゃないかということでございます。
 8ページ目は、今度は既に廃止措置が済んでいる、先ほど申し上げましたJPDRを評価してみようということで、これは建設費45億円、運転終了が昭和51年に終わっていますが、設備解体が昭和61年から平成7年までかかっています。解体を進める上で、科技庁さんの委託を受けて研究開発の項目を含めまして進めてきました。トータルが、解体の技術開発の予算が90億円、それから設備の実際の解体が140億円で230億円かかっていますけれども、実際の解体にかかった費用として140億円ということがございます。
 ちょっとこれに記載が漏れていますけれども、DECOSTで評価しますと約100億円程度ということで、100億円と140億円ということで若干差が出ているところもありますけれども、程度としてはこの程度の精度ということでございます。
 9ページ目でございますけれども、これまでの原子力機構の事例、それから米国の廃止措置事例を見ますと、やはり除染作業とか解体作業の段階で費用負担、それから作業行員のピークが発生しているという状況であります。安全かつ合理的に作業を進めるためには、封じ込めて進めるということでグリーンハウスで作業を行いますけれども、この状態は最小期間にとどめてコストをなるべく抑えるということであれば、解体費用がピークが発生するということになるということでございます。
 今後、複数の施設を廃止措置する場合には、もちろん安全・合理的に進めるということでございますけれども、国費の負担投入、それから人員の確保、この必要性を考えれば、ピークの発生時期を調整しながら複数のものを、複数の施設を廃止措置するためには、費用と作業工員を平準化するということが必要となってくると思います。
 10ページ目でございますが、安全確保の取り組みということで、1つ目の丸でございますけれども、廃止措置に当たっての安全確保でございますけれども、もちろん規制基準を厳守することはもちろんでございますけれども、廃止措置までの間には長期間を要するということで、廃止措置を担う人材の育成をどうするか、教育訓練や安全文化の醸成、これに取り組んでいくことが重要と考えております。
 原子力機構においては、施設の建設・運転に携わる豊富な知見を有する人材ですけれども、高齢化していることもありますので、その知見とか経験をこれから廃止を担う人材に継承していく取り組みが必要だということと、もう1つは、内外の知識をデータベース化してこれを取り組んでいくということが大きいと思います。
 下のほうに1つの事例としまして、経験の伝承の事例ということで、若手実務者とベテラン経験者が直接のコミュニケーションによる知識の継承を図る意見交換会などを開催しながら、取り組んでいるという状況がございます。
 11ページ目でございますけれども、データベースに係ることでございますが、機構内の知識、例えば手順書とか、図面とか、あとは職員の経験ですね、等々のデータ、それから外部からの知識としては、経験成果等のデータを分類とか関連づけて体系化して、廃止措置に係る知識データのデータベースを構築していくことを現在進めているところでございます。このデータベースを活用して廃止措置に活用することはもちろんでございますけれども、実は教育訓練にも活用できるということで、これも進めているところでございます。
 12ページ目でございますが、必要となる研究開発についての事例の幾つかを挙げさせていただきました。原子力機構の原子力施設は商用発電炉と異なり、一部の施設については特殊性があるということで、円滑な廃止措置を進めるためにはやはり研究開発が必要というところもあります。
 研究開発の成果、それから廃止措置の経験というのは、機構内でのほかの施設に活用することはもちろんですけれども、内外の原子力施設にもこれらを活用していくことも可能と考えています。
 1つの事例でございますけれども、JPDRの技術開発の例ということで示させていただきました。一番下に四角で囲まれていると思いますけれども、JPDRにおける廃止措置には解体実地試験ということで、ちょっと上の方に示していますプラズマのアーク切断装置の開発とか、アークソー切断装置の開発というような新たな技術開発を行ってきています。これの実証試験における当該技術の有用性の確認も、実際に廃止措置をしながら確認をしているということでございます。これら得られた知見は、国内外の原子力施設の解体に現在も有効活用されております。
 次の13ページ目でございます。2つ目の事例は、人形峠の遠心機の中にあります残留していますウランの回収技術でございます。ウランが残っているというところでございますけれども、このまま機器を解体すると作業管理とか移動管理が大がかりになるということと、汚染レベルが高いということで廃棄物の発生量も多くなるというところでございます。これを防ぐためにも、機器を解体する前にウランを、化合物を回収するという技術を開発してきています。
 下ほうの3つ目の事例でございますけれども、「ふげん」の原子炉本体の解体する手法の開発でございますが、実際に原子炉の本体は複雑狭隘な構造を持っておりまして、炉心については放射能レベルが高いということで、被曝の観点を考えると水中での遠隔で解体することを考える必要があると思います。その水中の解体の中でやはりいろいろと評価していきますと、レーザーによる切断技術が一番確実性が高いということで、現在この開発を進めているところでございます。
 下のほうにちょっとまとめてありますけれども、廃止措置に係る技術開発は、現在進行中の廃止措置の合理化とか、安全確保等に資するとともに、今後の国内外における原子力施設の廃止措置に活用できるようになることが期待されるということでございます。
 4つ目の事例でございますけれども、原子炉の建屋の内側では構造材である金属、コンクリートが放射化されているということで、原子炉施設の廃止措置計画の立案とか、構造物の処分検討ということでは放射化評価が必要でありますけれども、これのもととなるデータというものは我が国にはないということで、米国のデータを活用しているところでございます。これらを「ふげん」では廃止措置を進めているということで、「ふげん」からは広範囲に試料を採取してこのようなデータベースを作るベースにしたらどうかということがございます。
 下のほうにちょっと書かせていただきましたけれども、廃止措置中にしか行えない研究開発を通じて、今後の国内外における原子力施設の廃止措置に活用できる成果となることが期待されているということで考えております。
 次に15ページ目でございますけれども、地元への情報公開と地元とのコミュニケーションでございます。
 廃止措置を実施している「ふげん」では、立地地域をはじめとする国民に対して広く廃止措置の状況等について周知・理解を求めるということで、原子力機構のホームページに廃止措置の状況の提供を行っているということ、それから地元自治体、企業、各種団体への事業内容の紹介も行っております。
 また、別な取り組みとして、民間事業者との連携ということで、廃止措置ニーズの高まりを踏まえて、平成28年度から福井県等とともに、協力企業者等の参加を得て廃止措置に関します基礎基盤研究から産業展開までのプロセスを確立することを目的としたセンターを機構内に設置するということで進めております。
 センターの中には、下のような3つのフィールドを設けて今後整備していくということで、関連の民間業者と現在準備しているところでございます。
 最後になりますけれども、放射性廃棄物との関連性ということでまとめさせていただきました。今後、機構の原子力施設が廃止措置に進展することに伴いまして、大量の放射性廃棄物が発生していきます。当該廃棄物の処理処分が最も重要な課題の1つと考えておりまして、特に放射性廃棄物の処分に関しましては、低レベル放射性廃棄物の処分を確実に実施するために、平成20年に機構法の改正を行っております。
 その機構法の改正の内容としましては、下のほうのところに書いてありますけれども、1つは、機構自ら及び他者の放射性廃棄物と合わせて処分するということを原子力機構の本来の業務に位置づけたということ、2つ目は、長期間にわたり埋設処分業務の確実性・合理性を担保するために、国の基本方針に即して実施計画を作成して国が認可するということ、3つ目は、独立性、透明性を担保するということで、以下の3つでございます。
 1つは、研究開発業務と区分して経理する勘定を新設する。それから、埋設処分に必要な額を毎年度研究開発業務に係る勘定から埋設処分業務の勘定に繰り入れる。それから、埋設処分業務勘定の資金については、翌事業年度に繰り越しを可能とするという、こういうシステムを持って今進めているところでございます。
 以上でございます。
(岡本主査) ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明、どちらでも構いませんが、この2つのご説明に関して委員の皆様からご質問、ご意見をお願いします。どのようなことでも構いません。
 それでは、お願いいたします。
(横山委員) 恐れ入ります。ご説明ありがとうございます。
 原研のほうでお伺いしたいんですが、今のスライドの10ページ目のマインドを少しお伺いできればと思いました。
 安全確保に向けて若手実務者にベテラン職員の方からコミュニケーション活動をされているという、それは大変よいことだなというふうに拝見した。士気を高めるのにもよい効果があるように思いました。先ほどの事務局のご報告で、海外の事例では実務者、研究者の士気を保つことにかなり苦労されて、そのマネジメントが非常に重要であるというふうなご指摘もございましたが、原研のほうはこの他にどのような取り組みで士気を保っておられるのか、何か実例がありましたら、教えていただければと思いました。
(長谷川副部門長) 1つは、「ふげん」というサイトについては、どちらかというと廃止措置という単独業務でくくられているところもありまして、研究開発という側面というよりか技術開発という側面、例えば先ほどご説明しましたレーザーの開発という面はありますけれども、その目的はやはり廃止措置、バックエンドということで、ある面、士気的には皆様関係する職員の方は高い意識を持ってやっていらっしゃると思います。若手だけでその意識を高めることは難しいということで、このように意見交換会で特にベテランの方が指導しながらいろいろなことを教えていくということを、特に作業の中にベテランとそれから若手を組み合わせてやりながらやはり指導していくというやり方をとっています。それが功を奏しているかどうかわかりませんけれども、「ふげん」においてはまあまあのモチベーションを持って進めていると私は見ております。
(岡本主査) よろしいでしょうか。恐らく「ふげん」のほうは、既に10年以上にわたってその廃止措置業務をメーンの業務として進められてきているというところがありますので、これから新たに廃止措置が始まろうとしている施設については、またいろいろこの「ふげん」の事例をベースに考えていかなければいけないんだろうなというふうには思います。非常に重要なご指摘だと思います。
 それでは、そのほか。
 お願いいたします。
(織委員) 今の案件とかかわることなんですけれども、やはり10ページのところの話なんですけれども、今まで「ふげん」の建設、運転にかかわっていた人材が廃止に係るノウハウというものがそれを若手に伝承するほどの今の10年の経験の間に蓄積されたという理解でよろしいんでしょうかということが1点と、それからいわゆる暗黙知と言われているようなものを見える化するための手法としては、今おっしゃったようなコミュニケーションという手法にのみなのかというあたりなんですね。
 というのは、結局「ふげん」が10年間やってきたことであれば、その暗黙知がある程度見える化されていれば、ほかの施設に応用、何らかの文書なり何なりで応用することは可能なのかどうかというか、そのあたりを教えていただければなと思います。
(長谷川副部門長) まず最初に、ベテランのところの10年間のお話でございますけれども、全てがデータベース化されてというところではないと思います。ただ、そういう意味で、若手が作業していくときにわからないところが発生すると、それはマニュアルにも書いていないと。そこはやはりベテランの方が指導しながら、そこを受け継いでいくというところでこういう意見交換会ということで有効な機会になっていると思います。
 それから、暗黙知というところで、もちろんデータベースできるところはデータベースにして、暗黙知じゃなくてちゃんとしたオープンな形にできると思うんですけれども、やはり委員がおっしゃったとおり、1つは、こういう意見交換会の取り組みを行いながら、ベテランとしては暗黙知ということをどういうところで意識するかということで指導の仕方というか、教育の仕方を工夫していかなきゃならないと思うんです。そこを一緒に考えていきながら進めていくということが、廃止措置には重要かなと感じています。
(岡本主査) よろしいでしょうか。
 JPDRのご経験は……。
(柳原委員) 僕はJPDRの廃止措置の仕事していたんですけれども、経験が大切なんですね。経験をどんどん引き継いでやらなきゃいけない。
 ただ、JPDRの廃止措置が終わったらもうその人たちは要らないといって、別のところに配置しちゃったりするんですね。廃止措置を経験した人たちを大切にする風土というか文化というか、それはちゃんと作っていかなきゃいけないということを思いましたね。
 ただ、1つ言えることは、原研にしろ、今のJAEAにしろ、機構法では組織の目的は研究なんです。先ほどの研究所廃棄物は本来業務になったけれども、廃止措置は附帯業務なんです。ですから、廃止措置が本来の仕事なんだということを制度的にもきちんと位置づける必要があるような気もします。そのためには予算を別にするとか、場合によっては組織も別にするとか、少し制度も考える必要もあると感じているところです。
(岡本主査) 本質の議論にだんだん近づいてまいったんですけれども、先ほどのJPDRの予算のご紹介がありましたが、140億円の廃止措置に90億円の研究費という、まさにJPDRの場合は研究のための廃止措置だったというふうに言ってもいいと思うんですけれども、これを「ふげん」、「もんじゅ」に対して倍の金額を研究費だという形に注ぎ込むというのは多分あり得ないと思いますので、そのあたりについては、また、いろいろ皆様のご意見を聞きながら議論をしていく形になるのかなというところでございます。
 今の話に関連して、もしくは新しい話でもよろしいですが、いかがでしょうか。
 新堀委員。
(新堀委員) ありがとうございます。最初の資料の3-2ですか、10ページ目にイギリスのNDAの事例がございまして、その真ん中あたりに「現在、予算の大部分は廃止措置費用に充てられておらず、施設の維持・運営費に充てられている」という話がございました。これはいろいろな示唆を含んでいるのかなというふうに思っていまして、他方、こういった廃止措置においては、ピークを持ってしまうというような話があるということで、平準化しなきゃいけませんねという話があるという話があって、そうすると、結果的には積分すると高どまりというか、より多くの人が必要で、より多くの予算が必要だというふうなことが出てくると思うんですね。むしろ少しこれを長期的だということをあらかじめわかっているんであれば、その予算措置も単年度単年度で見ていくという話ではなくて、これはもちろんピークが来ることがわかっていて、それがあるときそれを乗り越えていかないとものが進んでいかないんだという事業ですから、それがわかっているんであれば、そういうような仕組みをぜひとも考えるべきだろうというふうに思っています。その中でどうしてもこれは戦略的にやっていかなきゃいけない、研究というものをしっかり出して、それは進めていくというようなことを考えていく必要があるのかなというのが、このイギリスの事例からも示唆されているのかというふうに私のほうは思いました。
 以上です。
(岡本主査) コメントありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っておりますけれども、よろしいですか、児玉委員お願いします。
(児玉委員) ありがとうございます。
 今の話にもありましたけれども、インセンティブ設計がすごく重要かなと思っておりますと、モチベーションを高めるとか、そういった活動は地道なものとして必要なんですけれども、仕組みとしてそれがインセンティブが働くような構造にするということ。それがすごく重要かなと思います。
 暗黙知の伝承みたいな話は、日本の組織が今まで得意としていたところでありますが、組織がどうしても今後それを大きくふくらむ方向ではないとするならば、その伝承というのは難しくて、やはりそれをいかに仕組み化するか、同じように仕組み化するかというのが非常に重要だと思います。その仕組みかどうか、インセンティブ設計という意味では官ではやはり限界があると思っていまして、民の活力というか、ノウハウとか、そういう知見を生かしていかに仕組み化するのかということが重要なのかと思います。
 こういった要するにいかに効率を高めるかという観点からは、いろいろな委託の事例というのはこの原子力の分野以外でもあるわけで、そういった仕組みを今回のケースに当てはめてどういうふうに生かせるのか、ちょっとたまたま後ろにホワイトボードがあるので使わせていただいてもよろしいですか。
 世の中にいろいろな包括委託、いわゆるBPOですね、ビジネスプロセスアウトソーシングみたいな仕組みがあり、幾つか大手の事業者さんとかがやられたりしますと、本ケースに当てはめた場合、単年度で予算を請求した場合のその総予算というのがこの一番外の箱だとしますと、一方で、ある民間業者と契約した場合、この包括委託をした、仮に全部を包括委託したとした場合に、Aのところで仮に契約したとしますと、このある業者さんに契約をしたとした場合に、実発生コストというのがBだとしますと。このマル1 の斜線を引いたところ、ここは当初業者さんが多少損を、負担して努力するところで、一方で、そのノウハウの蓄積等によってマル2 のところでもうけていく。それで最終的には、仮に単年度の予算でコストが発生した場合と、仮にある業種さんに包括委託した場合とでかなりコストが下がるといった、単純化するとこういった仕組みで世の中のBPOと言われるものは行われているわけで、その源泉となるのがこの斜線を引いたところ、ここがもうけになるということですよね。そこがもうけの源泉になり、あるいはノウハウが蓄積され、長期間に当たって総体として見ればコストが下がっていくという仕組み、こういったのは1つ、こういった仕組みの中で活用できないのかなというふうには思っています。
 ただ、政府も単年度予算だったり、そういった限界がある中でどういうふうにやっていくのか、あるいはイギリスとかの事例でここら辺、サイトライセンスカンパニーなんかを絡めてどういうふうにやっているのか、そこの辺はぜひまだ興味があるところではございます。
(岡本主査) ありがとうございます。非常にわかりやすい講義であるんですけれども、これを見ていてまず最初に感じたのが、アメリカの商業炉なんですけれども、エナジーソリューションというところに、例えばザイオンとか、一括で廃炉を渡してしまって間もなく2年来年終わるんですけれども、エナジーソリューションという会社はまさにこの包括で契約して、あちら側のマル2 のほうになろうという形でやられています。
 これは商業炉ですけれども、このエナジーソリューションとか、フロアーとか、いろいろアメリカのほうはハンフォードとかも含めてサバンナリバー、国の研究機関の廃止措置ですけれども、比較的進んでいるような気がしますし、そのインセンティブの考え方等もぜひそちらのほうを、DOEのほうがまだホームページというお話だったんですが、ぜひそういう現場の声もこういうところに非常に参考になると。今の児玉委員のお話もありましたが、どういう形でハンフォード、サバンナリバーが、それから通常のザイオンとか、サンオノフレとか、通常の商業炉も含めてどういう形でインセンティブを確保しようとしているか、こういうのは非常に参考になるような気がしますので、またぜひ調べてきていただけるとありがたいな。
 はい、お願いします。
(北郷調査官) 児玉委員のただいまのインセンティブのご指摘がありました。申し訳なかったんですが、パワーポイントの説明から割愛させていただいたんですけれども、児玉委員からのご指摘もありまして、インセンティブのことについて聴取してまいりました。イギリスはNDAがSLCに対して廃止措置の進捗に応じて、予想以上に早くやったとか、そういったときには、報酬的なフィーを支払う仕組みがあります。これはもちろん株式会社で利益があれば株主のものにもなるわけですが、他方で、給与の引き上げ財源とか、そういうふうな条件を通じて支払っているということです。
 また、PBOにつきましても、その廃止措置を効率化すること等により配当という、配当の増加というインセンティブを受けるような仕組みにしているということでございました。
(岡本主査) ありがとうございます。今のお話はまさに国の予算でありますけれども、そこにいかに効率的に税金を効果的に使うかという視点が入ってきて、民活の視点が非常にわかりやすく入っている事例ということなのかなというふうに理解いたしました。
 NDAのほうも非常に一筋縄ではいけないということはよくわかるんですけれども、我々としても制度設計に非常に参考になるということかなと思います。
 ほかに、今の件に関して何かご意見ありますでしょうか。
(柳原委員) 1990年にアメリカのEM計画が始まったんですね。それは当時環境の問題が大きく取り上げられ、EM計画はもともとはマンハッタン計画のサイトを修復しようという話ですね。1990年から始まり少し作業が進捗しなかった時期がありまして、どうしたら進捗できるか考え、よく言われるようになったのがプロジェクトマネジメントです。
 プロジェクトマネジメントのプロジェクトというのは、最終目的が明確なんだと、それに向かってやらなきゃいけないんだということを明確にしました。もちろん技術開発はやっているんですが、その観点は何かというと、どれだけコストが安くなるかということですね。いろいろな技術開発に、装置を作るのは幾らかかるか、それをやることによって幾ら削減できるかを、技術開発の内容と一緒に報告書に書かせることをやっています。
 それから、技術開発ももちろん必要だとは思いますけれども、プロジェクトを目標に向かって進めるかという観点が必要な気がします。
 以上です。
(岡本主査) はい、ありがとうございます。
 はい、お願いします。
(織委員) 私も全く同意見で、そのプロジェクトマネジメントがすごく重要だということで、資料のほうの3ページのほうで、運転中と廃止措置中の比較をしていらっしゃるんですけれども、これはすごく重要な観点だなというふうに思っているんです。この中にどういう視点をこれから入れ込んでいって、それぞれに合ったマネジメント手法を考えていくかということなんですが、私は1つやはり忘れてはいけないなと、マネジメントで忘れてはいけないなと思ったのは、人事評価とのかかわりなんですよね。今までの研究開発における人事評価と、ミッションが決まっていてミッションコントロールの人事評価というのは当然違ってくるはずなんです。それが1つの組織内の中でうまくどうやっていくのかというのはかなり難しい問題があるんではないかな。それこそ先ほどおっしゃったメンタルも違うので、インセンティブ的なところ、モチベーションという意味でいくと、なかなかミッションコントロールに人事評価が今までのところとなじまない中でどうやってやってってもらうのかというのは、私自身も実は今まで独法の監事を、今もやっているんですよ。業務執行型法人になってしまってというか、業務施行型法人になったときに、今までの長期目標から単年度目標に変わってきた中で、あるいはその中で業務執行だけやっていればいいんだと、それより最低限やってB評価の中でどうやってA評価を出すのかという、正直そういうところにどうやってスタッフのモチベーションを上げるかってすごく直面しているので、同じようなことがこれは出てくるんではないかなという気がしております。
(岡本主査) ありがとうございます。
 はい、お願いします。
(藤本委員) 先ほど予算をあちらにあったように、ある程度長期的に見ていく必要があるのではないかというところに関しては私も全く同意見でございまして、廃止措置というのは、先ほど施設ごとにピークが異なるという話もありましたけれども、どういう形で平準化していくというのは、単年度で決めていく話ではなくて、ある程度中長期的な計画の中で、どのタイミングでどこを重点的にどういう作業を行って、そのピークを平準化していくかということの検討は必要なのではないかなと感じております。
 あともう1つは、先ほどのNDAにもありました予算の大部分が廃止措置費用に充てられていなくて、維持管理のほうに充てられているということでした。もともと前回の議論の中でもその研究開発と廃止措置をどのように分けていくのか、組織的に分けるのが本来わかりやすいけれども、なかなかそういうのは難しいというお話もあった中で、そこをどのように切り分けながらやっていくのかは、非常に重要な問題なのかなと思います。
 今お話ありました人事評価も、恐らくそこに絡んでくるのかなと思いますので、その点の今のお考えなり教えていただけたらと思います。
(長谷川副部門長) 原子力機構、僕、人事担当じゃないんでお話はちょっとできませんけれども、個人的な感想ということで、評価という観点では、やはり研究開発のほうに光が当たっているというようなところはあります。ただ、廃止措置、バックエンドというところの光の当て方をどうするかというところによって随分モチベーションが変わってくるんじゃないかと思うんです。今、廃止措置を進めている人材が全部モチベーションが低いということでは全然なくて、逆に原子力をどうしていくかという観点で見た場合には、やはり廃止措置を進めないと次の原子力が見えてこないだろうという、そういうみんな気持ちになって、ぜひそれは早くやらなきゃならないというモチベーションになっています。
 そういう意味で、それを人事評価に反映してうまくそれを組み合わせて、さらなるモチベーションを上げる方法ができればいいのかなというちょっと個人的な感想です。
(柳原委員) 原子力機構というのは研究機関ですので、レポートを書いて点数が上がるというのが基本なんです。先ほど長谷川さんのお話あったように、バックエンド関係の仕事をやっている人の、モチベーションは決して低くなく一生懸命やっています。ただ、研究している人とバックエンド関係の仕事をしている人を見た場合に、どっちに日が当たるかというと、やはり研究者のほうが日が当たっているような気がします。バックエンドの仕事をちゃんとやっている人たちに日を当てるような仕組みが必要かなという気がします。
 以上です。
(佐藤委員) この廃止措置に係る研究開発、技術開発に関してなんですけれども、本来はその技術開発というのは、たまたまここに書かれた経費を下げるために開発する。またはその開発がなければ解決できない問題が存在する。そういうために行うわけですね。ということは、この費用の中でやる研究開発は、その目的に使われない時期に終わってはしようがないわけです。また、実際に使われない、知見を得たけれども実際に使われない、これもまた評価上問題になるわけですね。
 ですから、その辺を僕はこの計画を今後出していくときにはっきりされたほうがいいんじゃないかな。この費用でやる研究開発は一体いつまでに成果があって、それはどう評価されるべきかということをきちんとしないと、解体作業が終わったときに研究開発が終わりました。極端な例ですよ、こういうことはないと思いますが、そういう形は例えペーパーで評価されても余りよくないんではないかな。本来廃止措置というのは確実にやっていくんだと、そのためにこの技術が必要だ。だから、いつまでに、例えば切断するまでにこの切断を開発する。それはわかる。それは使えたのか使えないのか、いろいろなそういう評価軸を僕は取り入れていくべきではないか。今後ですね。これまでは試験的にやっていたので、それはいろいろな試験がたまったということでしょうけれども、これからはそういう考え方を取り入れるべきだと思います。
 それから、先ほど第2点目なんですが、いろいろなノウハウの蓄積、若い人にノウハウの蓄積というのがございましたけれども、この費用が非常に大きいことからもわかるとおり、いわゆる一緒にやる業者といいますか、解体する会社と一緒に組んでやっているわけですね。ですから、ここにかかわる人たちの役目、ミッションをはっきりさせないと、一体何のノウハウを引き継いでいかなきゃいけないのか、本来の機構の役割は何なのか、それを僕は明確にして技術伝承だとか、先ほどのモチベーション、評価の問題も全部そうですが、それをはっきりしないと、実は業者がやったことを評価項目に挙げているようなことを私は本来ではないような気がします。それをうまくマネージしたということは評価ですよ。
 ですから、その評価の仕方も含めて役割をもっと、ミッションをきちんとさせるべきではないか。そうすれば先ほども言いましたように、研究開発と実際の解体作業と評価だとか、そういうものを僕はもっと機構としてうまくハンドリングできるような気がします。いかがでしょう。
(長谷川副部門長) ありがとうございます。非常にいいコメントをいただいたと思います。
 研究開発ということでお話しましたけれども、どちらかというと技術開発で新しく開発するということよりか、現状技術をどう改良して応用していくかというところだと思います。
 ちょっと表記が研究開発と書かさせていただいたということなんですけれども、その上でコストの面どのぐらいコストを削減されるかというところは、やはりちょっと機構の職員自身の意識が低いような気もします。目的は、コスト削減なんです。コスト削減なんですけれども、どのくらいを目標にしてやるかという目標のところがぼやっとしているところがあるので、それは明確にすれば、さらなるモチベーション上げる効果があると思います。
 もう1つは、やはり技術開発のスケジュール管理、それはどちらかというとマネジメント管理というところがあると思います。それは技術開発と廃止措置と一緒くたにマネジメント管理して、それで反映できるような時期を目標としてやらなきゃならならないとそう思っています。
 それから、機構の役割の話を2つ目にされましたけれども、確かにそうだと思います。機構だけでできるわけじゃなくて、ステークホルダーを交えて廃止措置を進めていくということで、それぞれのステークホルダーと機構との役割、それを整理した上でやることが将来の廃止措置に向けての対応しては重要かなと思っています。コメントありがとうございます。
(岡本主査) ありがとうございます。
 では、お願いします。
(横山委員) 今のお話に少し関連するかもしれせんが、最初の会議で発言させていただいたことと今のご発言が絡んだものですからちょっと気になりまして補足させていただきます。宇宙開発などのほかの分野の現場のマネジメントを見ていると、やはり研究開発と実務がマネジメントが一緒に動いていくときには、どうしても研究開発のほうが優先されるんですね。そうすると、予算にしろ、時期にしろ、当然押し押しになってきて、目標までには目標にしていたことができないということが実際起こるわけです。
 宇宙開発はそれが深刻な事故に発生して、その衛星が運用停止になるような事態になりましたので、もうこれはいかんということで、はっきりと運用のトップと研究の責任者を分けようということになりました。その結果として、全てのプロジェクトのトップは今までは研究者だったんですが、それにも限らず実務者がトップに立つようなプロジェクトも出てきております。それくらい真剣にマネジメントに力を注がないと、恐らく目標は達成できないということであって、ここはちょっと辛いところでもあるかもしれませんが、JAEAは研究組織と先生のお言葉もありましたけれども、やはり国全体として取り組むミッションを掲げてやるからには、その辺はきっちりけじめをつける必要があるのかなというふうに発言しております。
(岡本主査) 非常にクリアなコメントありがとうございます。
 何となく方向性が見えてきたんじゃないかなという気もするんですけれども。
 ちょっと私から細かい質問を2点ばかりお願いしたいんですけれども、これ資料3-2のほうの書類ですけれども、統合当時に2兆円で、当時2300億円の5%、15%という話が書いてあるんですけれども、これ今、QST分離してしまいまして、核融合がいなくなってたりするので、今の予算規模というのはちょっと気になるんですけれども、どのくらいなんでしょうか。概算でいいです。
(小川補佐) 本当に概算ですけれども、運営費交付金が大体1500億円程度ございましたが、そのうち200~300億円抜けましたので、そのぐらい減っていると。
(岡本主査) 大体2000億円ぐらいの……。
(小川補佐) いや、1500億円から200~300引いたので1200億円と、そのぐらいです。概算ですけれども。
(岡本主査) ということは、1000億円で、そうするとここが5から15%というのは、10から30%という、単純計算ではそういう話になるという形で、ちょっとそれお金の額を少し気にしているのは、次のページ、7ページにあるCEA、フランスが1.4兆円とか、同じぐらいの規模なんですが、NDAはいろいろな経緯があって20兆円とか25兆円とか桁が随分違うような額も書かれているんですけれども、やはりこういう大きな額になってくると、国の予算の中でも非常に大きな話になってきて、そう簡単にいくものではないというのは頭の隅に置いとかなきゃいけないのかなと思いつつ、しかしながら、先ほどから出ています研究開発とマネジメントの部分をどういうふうに区分けをしていくかというのは、今後制度設計をしっかり考えていかなきゃいけないのかなという気がしたという形でございます。
 やはり前回からいろいろなコメントをいただいてきておりますけれども、簡単にまとめますと、やはりこの廃止措置というのはプロジェクトマネジメントであって、研究開発ではないんだということをしっかり認識するということが、今の委員の皆様からの1つの大きなコメントであるかなというふうに思います。
 その意味で、やはり人と予算ですね、組織と予算、人事評価も含めた組織をJAEAの内部でも外部でも構わないんですけれども、やはりイメージ的に分割してそれぞれの人事評価に含めた形で考えてはいかなくてはいけないということかなと思います。
 一番わかりやすいのは、イギリスのNDAのように、マネジメントする部署とそれから実際に廃止措置を行う、ある意味民間企業のような、そうすると民間企業ですとインセンティブ、それから人事評価のあり方も全然変わってくる。研究開発ではないということがイメージ的に示されると思いますので、そういう形。
 フランスのように、同じ組織の中でありながら、廃止措置をしっかりとやるという、そこをどういうふうに人事評価をやられているのか、いま1つまだはっきりしませんけれども、そういうようなやり方もまだあると。こういうオプションありますけれども、いずれにせよ、しっかり組織を分けていくということが重要かな。この1つのいい例としては、宇宙の事例があるということで、これはもう文科省さん傘下の機構もありますので、そういうところでの事例をうまく活用していくということかなと思います。
 それから、予算については、これはもう皆様からでこぼこがあるんだというお話、これはマネジメントのあり方とも直結していると思うんですけれども、そういうことからすると、国の単年度予算というのには全くなじまないだろうというお話があったかと思います。
 そういう意味では、長期的な何らかの基金のような形がとれればいいわけですけれども、そのあたりは国の仕組み等といろいろ変わってくるので国ごとに協会は違うと思うんですが、1つ参考になるのは、最後にJAEAさん、最後にありましたこの埋設処分の既にある種基金化のような形でされている事例もあるという形であるのかなというふうに思います。
 今まで見てきますと、そういう意味では、日本初かもしれませんけれども、海外での事例、それから原子力以外の分野を含めたさまざまな事例をうまく国の中の組織としても活用することで、これらの人と組織、それから予算といったような話が1つの提言ができていくといいんじゃないかなというふうに思っている次第でございます。
 やはりこれ、事務局のほうで現場へ行って現場の情報いっぱい取ってきていただいたというのはすごく参考になりますし、日本がそのまま活用するというわけにいかないものも多々あるわけですけれども、それをうまい具合にこの議論の中で集約していくことが今後できたらいいのではないかなというふうに思っている次第です。
 何か途中で、皆さんのご議論の途中なんですけれども、まとめかけたんですが、はい、よろしくお願いします。
(藤本委員) 先ほどの埋設処分勘定のような廃止措置にかかわるコストにつきまして、今回、資産除去債務の概念を使って見積もりをしていくことを検討されているということですが、企業会計における民間の会社と同様のやり方をするということは、より適切な対応だと考えています。
 見積もりの方法も3つほど挙げていただきまして、よりその精度が高い見積もりをすべきだという認識をしておるんですけれども、そこは当然実務的な対応というのもあるだろうと思いますので、今後詰められていく必要があると認識しています。
 資産除去債務というのは、資産を取得したときから計上して、それを償却の中で取り込んでいくということで、入り口の段階から計上していくべきところを、従前は廃止措置の計画が固まってからということで少し計上のタイミングが遅かったと認識しています。埋設処分勘定なのか、別の基金のやり方なのかというのはわかりませんが、別建てで管理をしていくことが望ましいですし、組織がなかなか分けづらいと言っても、やはり資産に紐付いて見積もりをしなければならないので、そこはきちっとルールというかやり方を決めていかれて、できれば何らか分けた形で管理をしていくのが望ましいのかと考えております。
(岡本主査) ありがとうございます。
 予算関係の話を非常にクリアにまとめていただきましてありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。お願いします。
(新堀委員) やはり若い方がこういった分野に入っていただくと、そのときに一生この分野で活躍したいという人もいるかもしれませんけれども、ある人はある時期はこういうこともやるんだけれども、ある時期は今度研究をやってみたいだとか、いろいろな形になっていくと思うんですね。そういったことにある程度柔軟に対応できるような仕組みを持ってないと、そもそもこの入り口に入りたくないという話になっちゃうと、いろいろな知識を伝達しよう、伝承しようとしても、伝える側がないというようなことになってしまうので、やはり若い人たちの意見を形はどうあれ、聞いて、それで本音ベースで意見をくみ上げて、そこでよりいい技術伝承ですね、そういったことで実のある部分を作っていくというふうなことが大切なのかなと。
 宇宙ですと、何となく格好がいいからみんなやりたいなという感じですよね。廃止措置だというと、ちょっとあれというふうな感じになっちゃうと、また様子がちょっと違う部分もあるかなと思いますので。
 以上です。
(岡本主査) ありがとうございます。
 日本の場合、もう1個大きな廃止措置として福島という、今日の議題の範囲外なんですけれども、―がありまして、あちらのほうは6兆円という基金で、それから組織も東京電力の中に廃炉カンパニーという組織を別会社として作って、ある意味組織も、つまり人事評価も、それから予算も別建てでやられているという形になっているかと思います。あそこは額が大きいのでありますけれども、その中でやはり研究開発ということが1つ大きなものに彼らもなっていると。
 福島の事例をちょっと出したいのは誤解を招くかもしれないですけれども、言いたかったのは、イギリスのNDAに一時期原子炉の研究開発部門が変わってしまったわけですけれども、今そのNNLという研究炉、主に廃止措置中心ですけれども、研究開発をする部署というのを、研究機関を新たに作っていて、そこで研究開発したものを明確化に廃止措置に適用していくと。先ほど佐藤委員のほうからもありましたけれども、研究開発とそのマネジメントが非常に1対1でリンクしているような形、そこは実は若い人がいっぱいインボルブされていますので、そういう意味では、JAEAという組織を別としたとしても、マネジメント組織を別にしたとしても、そういうようなNNL、イギリスのようなやり方というのも当然あり得るのかなというふうに思います。
 変な話です。逆に看板を掛け変えたほうが学生は集まるかもしれないので、そのあたりはちょっと今後の議論の中で、今後のこれ、実は先ほど80年、2兆円とかという話もありましたが、これも実は息の長い話になってまいりますので、ノウハウの伝達、それから人材育成、そういったことも含めて、将来的にはこの中で議論できればというふうに思っている次第でございます。
 何か事務局のほうからお願いします。
 佐藤委員。
(佐藤委員) よろしいですか。ちょっと今のお話で気になるところは、これが除去債務でされるといったときに、研究開発をどう位置づけるか、その技術開発を。それをしっかりしませんと、単にずるずるの問題ではなくて、費用の取り扱い上の問題が出るんではないかと。それを目的に使われない研究をしていいのかということにもなりますし、それは本来、例えば研究開発が本来の機構の研究開発であって、それを分けるのか等々について事務方、それから機構のほうでしっかり議論されたほうが私はよろしいかと。後々日本で議論が出てこないためにもされたほうがいい。よろしいかと思います。結論を出すのではなくてですね。
(岡本主査) ご注意ありがとうございます。組織を変えるという観点からの話だったんですけれども、繰り返しになりますが、廃止措置は研究開発はもうほぼJPDRで終わっていて、あとは技術開発というか、実際にマネジメントとして適用していく形になりますので、私の理解はほぼマネジメントの中でやっていくべき話、一部研究開発、福島は研究開発だらけなんですけれども、通常炉の場合は、ほぼマネジメントというふうに理解はしているところであります。
 ただ、やはりJAEAがやるということがありますので、そこの部分をごっちゃにすると多分そこばかりふくらむ形になりますので、しっかり考えていければと思います。
 ほぼ時間になりましたが、何か言い忘れたとか、ぜひ言っておきたいとか、長谷川さんのほうから何かありますか。
(長谷川副部門長) いや、特にないです。
(岡本主査) よろしいですか。
 では、事務局から特に今までの議論の中でよろしいですか。
(北郷調査官) ありがとうございました。
 今日いただきましたご意見についてまた整理させていただいて、次回の資料に用意させていただきます。
(岡本主査) はい、よろしいでしょうか。
 それでは、本日予定しておりました議事は以上で終了いたします。
 その他、最後にご意見よろしいですか。
 では、事務局から連絡事項のほどよろしくお願いいたします。
(三野補佐) はい、次回部会の日程等につきましては、調整後改めてご連絡をさせていただきたいと思います。
 また、本日の議事録につきましては、でき次第メールにて確認のお願いをさせていただきます。
 以上でございます。
(岡本主査) はい、それでは、第2回原子力施設廃止措置等作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

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研究開発局 原子力課 放射性廃棄物企画室

(研究開発局 原子力課 放射性廃棄物企画室)