原子力科学技術委員会 原子力人材育成作業部会(第8回) 議事録

1.日時

平成28年7月29日 10時30分~11時40分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. 中間取りまとめ(案)について

4.出席者

委員

山口主査、上坂主査代理、五十嵐委員、可児委員、来馬委員、沢井委員、中島委員、浜崎委員、宮浦委員、森口委員、和佐委員

文部科学省

岡村原子力課長、髙谷研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)、上田原子力課課長補佐、高橋原子力課課長補佐

オブザーバー

中富経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課課長補佐

5.議事録

(山口主査)それでは定刻となりましたので、ただいまから第8回原子力人材育成作業部会を開催いたします。はじめに文部科学省内の人事異動がございましたので紹介させていただきます。7月1日付で高橋課長補佐が着任していらっしゃいます。一言、御挨拶をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
(高橋課長補佐)7月1日付で着任いたしました、高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
(山口主査)どうぞよろしくお願いいたします。それでは、早速、本日の議事に入らせていただきます。本日の議題は、お手元の議事次第のとおり、「中間取りまとめ(案)」となっています。それでは最初に、事務局から出欠状況と配付資料の確認をお願いします。
(上田課長補佐)事務局でございます。本日は木藤委員と長谷川委員が御欠席でありますが、13名中11名の委員出席となっており、定足数である過半数を満たしております。続いて本日の配付資料の確認をさせていただきます。資料1-1として「中間取りまとめ(概要)」、資料1-2として「中間取りまとめ(案)」、資料1-3として「原子力人材育成作業部会における主な意見」、参考資料1として本作業部会の委員名簿、それから机上配付資料として、本日欠席の木藤委員から頂きました御意見を配付させていただいています。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
(山口主査)ありがとうございました。それでは議題に入らせていただきます。前回の作業部会では、中間取りまとめ(案)について事務局から説明を頂き、委員の皆様から様々な御意見を頂戴するとともに、御議論を頂きました。それを踏まえて、事務局から修正案を出していただいているところであります。つきましては本日はその修正案について議論を頂きたいと思います。まず事務局から説明を頂き、その後に御審議を頂きたいと思います。それでは事務局より説明をお願いします。
(上田課長補佐)それでは説明させていただきます。資料については、資料1-1から1-3まで配付させていただいていますが、本日は、前回の取りまとめ(案)の修正案について御審議いただきますので、御指摘を踏まえて修正した部分を中心に、資料1-2に沿って事務局から説明させていただきたいと思います。
まず、1ページ目の「1.はじめに」でございます。前回の御議論を反映させた箇所でございますと、4番目の丸が該当しています。「原子力分野の人材育成の確保は一朝一夕に成果が出るものではなく、学界や産業界等の現場から寄せられる声を踏まえながら、取り組みを継続的に進めることが肝要である」という御意見や、「国内外の優良事例を参考にしながら、引き続き関係機関の連携・協力の上、継続的に議論を進めていくという記載について、具体的な施策にしっかりと繋げていくという旨を書いていただきたい」という御意見を木藤委員より頂きましたので、反映させていただいています。また、「2.原子力分野の人材を取り巻く状況」の2つ目の丸でございますが、「学部入学者数が大幅に伸びている部分等の傾向については、どういう要因で伸びたのかというところを分析できる部分はきちんと分析した上で記載すべきではないか」という御指摘を長谷川委員より頂きました。図1を後ろに添付させていただいていますが、例えば平成21年度から22年度にかけて大幅に学部の入学者数が伸びているところについては、一部の大学において原子力関連学科が新設されたという事実関係がございますので、そこの趣旨を記載させていただきました。また、2ページ目の「3.原子力分野の人材育成に当たっての基本的な考え方 (1)原子力分野で活躍する人材の認識と現状把握」について、「「原子力分野で活躍する人材」の書き方として、エネルギーや原子力発電以外の幅広い分野の人材というのが、原子力の分野で活躍する人材に含まれるということをきちんと認識する必要がある。ただ、この作業部会で議論してきたところというのは、エネルギー基本計画で述べられる人材を喫緊の課題としてとらえて進めてきたという構成にするべきではないか」という御指摘を来馬委員より頂きましたので、御趣旨を踏まえて修正をさせていただいています。それから3ページ目の「 (2)原子力分野の人材育成に関する基本的考え方 ・東電福島第一原発事故後の状況を踏まえ、原子力分野が抱える課題への対処」についてですが、用語の使い方として、「廃炉」ではなく「廃止措置」という言葉を使っていただきたいという御指摘や、「老朽化した原子力発電所」という表現の仕方についても来馬委員より御指摘を頂きましたので、「今後増えていく既設の原子力発電所の廃止措置」と修正をさせていただいています。それから「原子力分野の社会的受容性の確保」についてですが、「原子力分野の人材育成を進めていくに当たっては、原子力について正しく理解し、社会へ伝えていくことができる人材育成を目指すべきであり、このような考え方を追記するべき」という御指摘を長谷川委員より頂きましたので、そのような趣旨の記述を追記させていただいています。それから4ページ目でございますが、産業界が果たすべき役割の部分につきましては、「業務経験を通じたOJTの訓練に加えて、職場内外の体系的な教育も通じて人材を育成するべきだ」という御指摘を和佐委員より頂きましたので、反映させていただいています。それからその下の文章では、産学官の関係機関の連携の重要性について記載させていただいていますが、「欧州のボローニャ・プロセス等の優良事例が海外では実績が挙げられているので、そういうものを紹介したらどうか」という御指摘も上坂委員から頂きました。それから、「我が国の産学官のプラットホームについては、学協会も重要な役割を果たしている」という御紹介も浜崎委員より頂きましたので、修正させていただきました。また、原子力人材育成ネットワークの取り組みについてはここで詳細に紹介させていただいていましたが、「基本的考え方のパラグラフの中で、細かい取り組みの紹介を挙げるのはパラグラフの構成に沿っているのだろうか」という御指摘も可児委員より頂きましたので、原子力人材育成ネットワークのこれまでの取り組みについては、14ページの図7で整理させていただきました。それから、5ページ目の「4.原子力分野の人材育成の課題を踏まえた今後の施策の方向性」の1つ目「将来必要となる原子力分野の人材の見通し(規模等)の明確化」についてですが、「女性の活躍という観点で、しっかりとこういう人材の見通しや全体のニーズの中で女性の活躍というのはどうなのかというところをしっかりと示すことが必要ではないのか」という御指摘も来馬委員よりございましたので、現状課題の中に、「女性の活躍等、今後の施策の方向性に議論に当たっては、将来的な人材のニーズ調査を行う必要がある」という書き方をさせていただきました。それから2つ目の「原子力分野の人材育成に携わる関係機関の連携や分野横断的な取組」については、「分野横断的な取組」を追記させていただきました。前回の御議論の中でも、「原子力以外の分野の教員や学生もうまく巻き込みながら、分野横断的に取り組むことが大切ではないか」という御指摘も森口委員等からありましたので、現状課題の中にも追記させていただきました。また、6ページの上から二つ目の箇条書について、「文部科学省は、「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」等の分野横断的な研究開発をとおして、幅広い分野の研究者等に原子力に関与する機会を提供する」という記載を追記させていただきました。また現状課題の中では、「学生にとって大きなインセンティブに繋がる」という表現をしていましたが、「「モチベーション」という表現の方がなじむのではないか」という御指摘もございましたので、修正をさせていただきました。それから、6ページの一番下の「原子力分野の人材育成で重要な役割を担う施設に関する課題」についてですが、「これは喫緊の課題なので、早急に対策に取り組む姿勢を示すべきだ」という御指摘や、「検討からというわけでなく、新しい施設をどういうふうにしていくのかという戦略をきちんとつくるべきだ」という御指摘も多くの委員からございましたので、今後の施策の方向性については、「研究炉等が人材育成において非常に重要な役割を果たしていることから、原子力機構等の研究炉等を所有する各機関においては、一日も早い再稼働を目指して新規制基準対応に取り組む。また文部科学省は、引き続き各機関に対する必要な支援を行う」ということや、「文部科学省は、我が国で必要とされる人材の量と質のニーズを把握した上で速やかに、既設の研究施設の現状や海外の研究炉等の状況を踏まえながら、中長期的に必要な原子力の研究・教育基盤に関する戦略立案に取り組む」と修正を行いました。また、「5.おわりに」については、今後も引き続き議論するべき課題や論点を記載していますが、2つ目の「原子力以外の分野の人材へのアプローチについて」については、「「原子力関連学科を持たない大学へのアプローチに限定するのではなく、原子力以外の分野の人材にどのようにアプローチしていくかという観点が大切ではないか」という御指摘がございましたので、修正させていただきました。主な修正の箇所については以上でございます。
(山口主査)ありがとうございました。基本的には、前回の作業部会で頂いた意見や資料1-3で記載の意見を反映していただいたところだと思います。それでは、御意見や質問がありましたらお願いします。では森口委員、お願いします。
(森口委員)6ページの5行から10行目で、「文部科学省は、産学官が連携した人材育成の取組を支援する「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」等の人材育成事業を通じて、これこれを進める」と書いてあり、これについては資料1-3の「国が担うべき役割・課題」の中の「国として、人材育成について定常的に支援できるシステムが必要である」という意見とも大きく関係しますが、いわゆる競争資金という公募型資金は、5年や3年という期限を切って行われますので、それが切れたときが研究者らにとってなかなか大変だという議論もあったと思います。今行っている事業で交流を進めるというのは、不十分な気がしており、ある程度の恒常的な支援を検討する必要があると思います。今の記載だと、従来どおりのことをやりますとしか書いてないようであり、どう書くかは課題ですが、予算規模や拡充に触れる必要があるのではないかと思います。加えて、その下の「文部科学省は、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」のところも、内容の質的・量的拡充というものが必要であると思います。それから6ページの「原子力分野の人材育成で重要な役割を担う施設に関する課題」において、「文部科学省は、引き続き各機関に対する必要な支援を行う」と書いており、これについても、資料1-3の「原子力分野の人材育成に必要となる研究教育施設について」の中の「大型施設の維持運営については、経営上苦しい状況にあり、国の支援が必要である」と関連しますが、この支援は、やはり財政的支援だと思いますので、そこの趣旨をもう少しはっきり書く必要があると思います。
(山口主査)ありがとうございます。最初の御指摘の点は、親委員会の研究評価計画で同じ御意見を頂いているところでありますが、こういう事業を実施する際には、3年や5年実施したら終わりではなく、継続的に行っていくための何らかの工夫が必要であるということかと思います。2つ目の御指摘は、大型施設の維持運営について政策的に反映するとすれば、予算措置等の側面の書きぶりが必要ではないのかと思います。その2点の御指摘については、事務局からもお考えを伺いたいと思いますし、他の委員からも何かございましたら、伺いたいと思います。最初に事務局から御説明をいただけないでしょうか。
(上田課長補佐)1点目の御指摘は、今の公募型の取り組みを継続的な取り組みにするべきだということや、事業規模の拡充についてもしっかり書いておくべきだということだと思います。6ページにおける現状課題や今後の施策の方向性のところで、このあたりの指摘については記述させていただいているところではございます。一番良いのは、財政的な支援を定常的に行えればとは思いますが、制度的にも課題があるという状況でございます。ただ一方、今後の施策の方向性のところではまずできるところからということで、これまで実施された優良事例や成果物の抽出を行い、これらが他の機関においても定着するような取り組みをしっかりできるように検討することを書いています。事業規模の拡充の指摘については、表現の書きぶりをまた相談させていただきたいと思っています。それから施設の部分においては、基盤的な支援に加えて、何かしらの財政的支援を行うべきだという御指摘だと思います。今行っている各事業をどこまでできるかということ等を事務的にいろいろと検討しており、反映できればとは思っていますが、「ここまで財政的支援を行う」ということを明記して実際にできるのかというところもありますので、ここも書きぶりについては相談させていただきたいと思いますが、財政的な支援だけではなく、例えば新規制基準対応については、専門家の知見を活かしていただくような支援等、支援の在り方というのは様々あると思いますので、そこら辺全体を含めた形で必要な支援というふうに書かせていただいています。
(山口主査)最初のところは、6ページの17~18行目にある「普及・定着するような取組の検討を行う」というのが一つの答えであるという御説明であったかと思います。ただこの点は、研究計画・評価分科会や原子力科学技術委員会でも多々出されており、せっかくこのような良い事業を実施して良い成果が出ても、それが途中で消散してしまうというのは、非常に残念なことですので、ここはもう少しそういう側面を反映していただいても良いのかなと思います。
それから2つ目の点のところは、私の読み方で良いのか分かりませんが、6ページから7ページにかけての項目は、これは再稼働に向けての支援ということだと思います。先ほどから触れらえている財政的な支援というのは、むしろ2つ目の項目の「原子力の教育・研究基盤に関する戦略立案に取り組む」における戦略立案の中で、財政的支援も含めた立案をするという趣旨で書かれているという理解でよろしいでしょうか。
(上田課長補佐)主査から御指摘がありましたとおり、1つ目の項目は、今まさに近大や京大、原子力機構が保有する研究炉の運転再開に向けた部分での支援というところになりますので、財政面の支援を含めた今後の研究施設の在り方をどうするかについては、2つ目の項目の戦略立案に含めるのが適切かと考えています。
(山口主査)ありがとうございます。1つ目の項目は再稼働に向けた取り組みなので、ここはこれで良いかなと思うのですが、2つ目の項目は戦略立案に取り組むと書いていただいていますので、森口委員がおっしゃったように戦略立案の後、それを実際にどう具体化していくのかというところは、検討事項かなと思います。森口委員、何かございますか。
(森口委員)整理の問題になるので、最初の項目は、そういう趣旨であればそれはそれで良いとは思うのですが、私が言いたいことはいつもこの場でも言っていますが、規制等の問題のため研究炉が動いておらず、そういう中で海外の炉に学生が行って実習を受けざるを得ない状況があるので、当面の具体的な規制対応ということもありますけれども、長期的に見てもやはり人材育成の中での研究炉の重要性は大きいのですから、その辺についてはある程度の財政的支援が必要ではないかという趣旨ですので、ある程度具体的に書く必要があります。そもそもこういう作業部会というのは、外部の先生方が相当な時間をかけて議論しているので、その結論が抽象的な表現だけに終わると申し訳ないと思うので、各委員の思いを反映させながら、国の財政状況から全てが実現するわけではありませんが、具体的に書いていただかないと、何のために時間をかけてやったのかなという思いがあるわけです。
(山口主査)ありがとうございます。研究炉については、これまでもたくさんと御意見が出されているところであり、森口委員からは具体的な取組や財政的な裏づけがないと、戦略立案だけではぼやけてしまうのではないかという御指摘だと思います。このように中間まとめで、戦略立案に取り組むと書くことで、では具体的に次のステップでは何を行うかということについては、もしお考えありましたら、御紹介いただいた上で記載ぶりをフィックスしたらよいかなと思いますが、いかがでしょうか。
(上田課長補佐)今後の戦略立案のところなので具体的にしっかりとしたイメージがあるという状況ではない一方で、我が国にある研究炉の状況については日本原子力学会がいろいろとおまとめいただいているところでもございます。まず、そういった研究炉の状況をきちっと確認し、かつ、今後の人材の量や質のニーズを把握した上で、今後の形はどうなのか、今あるものをどう維持管理していくのか、仮に新しい施設となればそういうような、研究炉の検討を進めることができると思います。そのときに誰がどのような形でつくるかというところまで書くかどうかというのは、またそのときの事項だとは思いますが、そういう我が国全体を俯瞰して見たときに、どういった施設がどういった規模や支援が必要であるかというところが入ってくるだろうと思います。
(山口主査)他にはいかがでしょうか。どうぞ、中島委員。
(中島委員)今のとも少し関係するのですが、この「戦略立案に取り組む」という文言の冒頭には、「必要とされる人材の量と質のニーズを把握した上で」とあり、それを把握できないと進めない、進められないということを記載しているかと思います。これは当然、ニーズなしで設備だけ整備してもしようがないということはごもっともだとは思いますが、そこのところが少し気になるところであります。5ページの一番初めの項目が、「人材見通し(規模等)の明確化」であり、今後、人材の量や質のニーズを把握するということで、これとリンクするのですが、木藤委員からの意見として机上配付資料にもありますように、やはり結構時間はかかると思います。なおかつ、いろんな条件があり、まだグレーなところがたくさんある中でなかなか確定できないところかと思います。そうすると、やはり研究炉等の施設を抱えている人間としては、ニーズ調査だけで何年も過ぎてしまい、その間に施設が老朽化し、もう次がないという状況になることを危惧していますので、そこのところとうまくバランスをとりながら、当然、ニーズは継続的に行う必要がありますが、「ミニマムでこのぐらい」というところが見えてきたら、次のステップへ行くような流れにしていただければ、そこはうまく調整できるのかなと思いますので、そういうところを配慮していただければと思います。
(山口主査)どうもありがとうございます。中島委員がおっしゃったとおりで、ニーズ調査ができ上がった後にさあ次の戦略という話ではなく、非常にダイナミックなものですから、そういうニーズというのはいつも把握をしつつ、戦略は柔軟に具体化していくということかと思いますので、シーケンシャルに書いてあるところは、少し表現を見直す方が良いのかなと思います。特に研究炉については、今の人材育成に係る現状や、老朽化という状況を踏まえ、将来への必要性というのは、多くの方の強い御意見だったと思いますので、人数を把握して戦略立案に取り組むという形よりも、ニーズを把握するというのは定常的に行う上で、将来の研究・教育基盤の在り方の戦略は、直ちに取り組むというイメージかとも思いますけれども、この書き方については事務局と相談させていただきたいと思います。では来馬委員、お願いします。
(来馬委員)このような形で戦略立案という表現が記載されているのは非常に評価はできるのですが、「中長期的」という言葉を記載する時点で先送りのようなイメージもあるので、現状を見れば、速やかに取り組むべき課題ではないかと思います。また、誰がいつこの立案に取り組むのかというのは、主語として「文部科学省は」と書かれていますが、もう少し分かりやすく書いていただきたいと思います。
(山口主査)ありがとうございます。おっしゃるとおりで、戦略立案に取り組んでからの時間もまたかかりますので。では事務局からお願いします。
(上田課長補佐)すみません。ちょっと今のところで、我々の書き方が適切でなかった部分もございますが、ここは研究・教育基盤に関する戦略立案を中長期的に取り組むという趣旨ではなく、先を見据えた戦略立案に取り組むという趣旨で記載しています。来馬委員の御指摘のとおり、先送りをしている印象も受けてしまいますので、記載ぶりについては修正をさせていただきます。
(山口主査)ありがとうございます。これまでは人材育成の事業の継続性や、研究炉を含めた研究基盤についての大きく2つの御議論を頂いたところですが、他に何かお気づきの点や論点について意見等がございましたら、お願いいたします。どうぞ、五十嵐委員。
(五十嵐委員)今の御議論に私も賛成で、どのような人材が必要かというところが一番核になるかと思いますので、「把握した上で速やかに」という表現は少し違うように感じました。また、机上配付資料の木藤委員の御意見にも先ほど触れられましたので、私が感じたことを少し申し上げたいと思います。木藤委員の御意見は全くそのとおりだと思います。人について「量と質」と表現するのは、物を指すようで果たしてどうだろうかという御意見もあろうかと思います。例えば、人材の「材」は木偏ではなく、貝偏の「財」であるべきではないかという声を聞くこともありますので。また、どのような「量」と「質」かを具体的に示す必要もあると思います。ただ、私は「量と質」を「人数と分野」と書き換えてしまうと、また少し意味合いが違うのかなと思いました。量はボリュームということで良いかもしれないですが、質の方は、分野と言ってしまうと、広がりだけになってしまいそうな気がします。この作業部会では広がりももちろん議論してきましたが、その中の深まりの話も出ていましたので、分野とだけになるのはどうだろうかと、ここで御意見を申し上げました。
(山口主査)ありがとうございます。最初の御指摘についてですが、これはいろいろな将来の可能性を秘めるマテリアルとしての人材という意味では、それはそれでよいのかなとも感じました。もう一つの御指摘についてですが、この中間取りまとめの中でも、「今後必要となる分野」という表現がいろいろと出てきます。その分野というものでは広がりという意味合いで読み取れると思いますが、深まりとはどのようなことを表現しているのか教えていただけないでしょうか。
(五十嵐委員)分野というと、広がりという印象を受ける一方、人がいろいろとバラバラにいる印象も受けます。専門性の深まりも重要ですが、社会的な部分なども深めていただきたいということで発言しました。
(山口主査)わかりました。分野というと、A分野は何人、B分野は何人と挙げるのではなく、原子力というのは総合工学であるいう意見もありましたし、他の原子力以外の分野の人材の話もありましたので、そういう横のつながりや連携を深めるということが、少し分野の深みといいますか、層の厚さというものを感じさせるので、各分野を充足させるという視野だけでなく、そういう分野を連携させるというような視点も入れて書くべきだという理解でよろしいでしょうか。
(五十嵐委員)ありがとうございます。分野というと従来の縦割りの印象になってしまいますので、そうではないことをずっと議論してきたかと思いますので。
(山口主査)よくわかりました。それでは中島委員、お願いします。
(中島委員)少し同じことを言っているのかもしれませんが、深まりといったときに感じたのは、例えば同じ原子力発電所というところでも、トップマネジメントに携わる人から現場のエンジニアリングに携わる人、それらの重要性をPRする人という様々なレベルの人が必要ではないかと思いました。ここで何人ということも大切ですが、その中でも現場で実際にオペレーションに携わる人はこの程度とかの縦方向が深まりかなと理解しました。
(山口主査)結局、さっきのところなのですが、7ページの一番上から2行目の「人材の量と質のニーズを把握した上で」の記載をもう少し工夫した方が良いということかと思います。ここの人材の質もそうですが、ニーズというのは各分野を充足させればいいというだけではなく、トップマネジメントに携わる人、現場に携わる人、様々な方が同じ分野でも必要であり、二次元ではなくて三次元的なニュアンスかもしれませんが、7ページの記載について、御指摘の点が読み取れるように、少し工夫してみたいと思います。ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。では宮浦委員、どうぞ。
(宮浦委員)今の点に関連するのですが、5ページにある今後の施策の方向性について、「人材の量と質のニーズの把握を行う」と、「行う」と書いてあることは、「ニーズ調査をやっていないので、これからはニーズ把握を行います」とも読めてしまいます。また、これから調査、把握をするのであれば、後ろに出てくる「人材の量と質のニーズ把握した上で」というと、ニーズ調査が終わらないと次には行けないとも読めてしまいますので、冒頭に出てくる「人材の量と質のニーズ把握を行う」という表現は、少し如何なものかなと思いました。今は全く調査されてないわけでもないと思いますし、「把握を行う」というと、調査自体を全く行っていないとも誤解されてしまいますので、「ニーズ調査を加速する」等、文言を少し工夫した方が、後ろの記載とも連動して読みやすくなると思います。もう一点ですが、6ページに「幅広い分野での研究者等に原子力に関与する機会を提供する」と書かれており、幅広い分野や関連分野専攻の若手を育成するというのは重要だと思うのですが、「関与する機会を提供する」だと、一応機会はありますよという程度に読めてしまいますので、例えば「幅広い研究者等が原子力に関与する仕組みを強化する」等、表現を工夫していただいた方が有り難いかなと思います。
(山口主査)ありがとうございます。1つ目の御指摘についてですが、ニーズの調査は今まで行われたものがあるとは思いますが、今、宮浦委員がおっしゃったような、これまでとは違う新しい視点を入れ、充実させるというニュアンスが必要かと思います。2つ目の御指摘は、森口委員の御指摘と共通すると思いますが、幅広い分野の研究者等といかに連携してやっていくかという意味で、機会を提供するだけではなく、提供した後に連携が具体的に動き出すような仕組みを考えて導入していくことが必要なのではないかという御指摘だと思いますので、表現について工夫をさせていただきたいと思います。では、浜崎委員、どうぞ。
(浜崎委員)先ほどの議論と関連すると思いますが、私はもとはメーカーの技術者であり、現在は事業者に所属していますが、メーカーの仕事の中では、各々の分野の技術を深め、しっかりと支えていくというタイプの技術者と、そういった様々な技術分野をうまくコーディネートやマネージしてプロジェクトをまとめ上げていくというプロジェクトマネージャーがおり、両方の人材が必要とされています。これまでそういう議論が余りされていなかったかなとは思うのですが、実際に仕事を進めていく上では、どちらも欠けては駄目であります。先ほどから出ている総合分野であるとか俯瞰的な話というのは、どちらかというとマネージャータイプになる人たちに非常に強く求められる話でして、先ほどの分野の深まりの中にはそういう視点も含まれるかなと思いますので、文章をまとめる際に、御参考になればと思いました。
(山口主査)ありがとうございます。今の御指摘の点は、今までこの場でも出ていたと思うのですが、もしかしたら少し抜けていたかもしれませんので、人材の量と質のニーズの把握のところで、もう少しどういうところに着眼点を置いてニーズというものを求めるのかというのを書けばよいのか、併せて検討いたします。
(上坂主査代理)関連してですが、少なくともエンジニアリングとマネジメントというのは議論されていたかと思います。ですから、トップマネージャーや現場の方とか、この質にはもう少し階層があるような気がしますね。
(山口主査)他にはいかがでしょうか。では沢井委員、お願いします。
(沢井委員)先ほどから御議論いただいておられる「人材の量と質のニーズの把握」については、原子力人材育成ネットワーク等の関係機関とも連携の上ということになると、私どもも汗をかくべきかなと思っています。ただそのときにお約束をするのに少しヘジテイトするのは、先ほどから指摘がされていますが、終わってから次のステップに移るのではなくてというスピードの問題と、得られるデータの精度のような話と2つございます。精度が足りない足りないと言っていると、スピードが足りなくなり、そこはジレンマだと思っております。先ほど山口主査から「定常的に把握しつつ」という、それをうまく解決するような言葉を頂きましたので、定常的に把握しつつの中に質の向上も入れて、スピードは定常的に把握しつつ解決し、質の方の文言も何か入れ込むような形が落としどころかなというふうに考えます。
(山口主査)ありがとうございます。では来馬委員、お願いします。
(来馬委員)5ページの「人材の量と質のニーズの把握」の所については、枠の中の現状課題の中で、若手教員の育成や女性の活躍というところをいろいろ意見を出させていただいて、取り上げていただいたのだろうなと思います。今も質というのが議論になっていますが、やはりそういうところを考える上では、女性がその分野でどのように活躍できるのかというところにもかかってくるのではないか思いますので意見を出させていただきました。資料1-3の1の中で「今後、学界及び産業界で必要とされる人材について」があり、「女性が活躍できる分野であるかどうかが重要である」という意見を記載いただいておりますが、分かりにくいところもあり、やはりこの原子力にとって今後どう動くかということにかかわる重要なことであるという思いで発言しましたので、「原子力にとって重要である」と追記してほしいなと思いました。質というのは、今ほどもありましたように、いろいろな現場型の技術者や全体を見る人材の中において、女性がどう位置づけられるかというところも、このニーズ調査の中でもはっきりと出してほしいなとは思います。
(山口主査)ありがとうございます。だんだんもうニーズ調査の中身に入ってきたような感じもしますね。人材の量と質のニーズ、分野の連携の話、それから人材育成事業や研究炉の話について御意見を頂いたところですが、他にはどうでしょうか。では上坂委員、お願いします。
(上坂主査代理)研究炉が一つの象徴になっていると思いますが、RI施設や加速器等、放射線関連施設もあります。ですので、研究炉だけではないということがしっかりと見られるといいかなと思います。研究炉というと原子力機構や京都大学、近畿大学になりますが、RI施設や加速器となれば全国の大学にあり、そこに対しても戦略的立案というのはやはり必要だと思います。
(山口主査)7ページの「原子力の研究・教育基盤」という趣旨は、研究炉を含めたいわゆるそういうインフラ全般を指しているところかと思いますが、最初のところで研究炉の再稼働の問題が前面に出ていますので、研究炉について頭にすり込まれているのかもしれません。ここについても非常に重要なところであり、研究炉だけがついついスポットを浴びているのですが、実はその他のこういうRI施設等が人材育成や研究、教育に非常に重要なところなので、改めて6ページから7ページにある今後の施策の方向性の文章を見直した上で、研究炉だけではなく、総合的な視点でそういう基盤が読めるようにチェックをしたいと思います。
(山口主査)ありがとうございます。では五十嵐委員、お願いします。
(五十嵐委員)「5.おわりに」について、書き出しの「本中間取りまとめで示した課題以外にも」の表現がずっと気になっています。挙げられた課題や論点については確かにまだ余り議論は深まっていないかもしれないですが、女性や幅広い分野へのアプローチについては本文で触れていただいていますし、「課題以外にも」ではないのではないでしょうか。さらっと読んでしまうとそのままでもいい気はするのですが。また項目の並び順も、気になっています。
(山口主査)ありがとうございます。「おわりに」というのは、この中間取りまとめのコンクルージョンというよりも、その他付加的事項という感じで書かれているイメージがあります。そういう意味では、「課題以外にも」と書くのではなく、本中間取りまとめで様々な点を議論して取りまとめたというのが1つと、まだ今後引き続き議論していくべき課題としてこういうものがあるというイメージですかね。
(五十嵐委員)タイトルが最初「その他」だったのを、つけ足しのようだから「おわりに」にしてほしいということは私が申し上げたのですが、ここは決してつけ足しではないと思いますので、書きぶりを御検討いただければと思います。
(山口主査)いずれの項目も、ここの作業部会で中心的に議論した点と関連している項目ですね。ただ、こういうトピックスを前面に出して議論はしていないということで、留意すべき事項という趣旨だと思います。項目の順番についておっしゃったのですが、順番について何か御提案はございますか。
(五十嵐委員)順番について指摘しながら、難しいと感じています。例えば「若手教員・研究者の確保や雇用について」と、「教職員の支援について」は、何となく重複するところがあると思いますし、「行政官の専門性の向上について」の場所はやや唐突な印象を受けます。最後は社会的受容性というのところになるのでしょうが、少し組み立て方が違うかなと。こんな指摘しか浮かばず、申し訳ございません。
(山口主査)わかりました。引き続き議論していく項目なので、明確に順序を決めることはできないのですが、少しカテゴリー分けについては考えさせていただければと思います。例えば、社会的受容性の話と若手教員の確保というのは質的に違う課題なので、将来の人材をどうするかというところや、行政や国際化の課題等、幾つかカテゴリーに分けられると思いますので、その点で少し順番を入れ直す工夫はさせていただきたいと思います。それでは森口委員、お願いします。
(森口委員)今の件ですが、「おわりに」というのは通常、こういう内容を書くのではないと思います。この作業部会はまだ続くわけであるのですから、「本ワーキングにおいて検討すべき今後の課題」のようなタイトルとすべきであると思います。「おわりに」というのは、こういうことを議論してきて、これが実現することを期待するとかを書くべきであるので、タイトルが変ではないかと思います。
(山口主査)ありがとうございます。恐らく、最初が「はじめに」でしたので最後は「おわりに」にしたのかと思います。やはり、五十嵐委員が御指摘いただいたように、最初の部分を「本中間まとめで示した課題以外にも」からスタートするのではなく、「中間取りまとめではまずこういうことが議論されて、こういうことがあった」ということを書いた上で、「引き続き議論すべき項目はこういう点がある」というかたちで書いていただければと思います。他にはいかがでしょうか。それでは可児委員、お願いします。
(可児委員)5ページ目の「原子力分野の人材育成に携わる関係機関の連携」の中の現状課題の4行目について、表現の見直しをお願いできればと思うのですが、「我が国では一般的に、学界-産業界間の人材の交流が進んでおらず」という記載については、この作業部会での議論では、人の行き来が余りないという視点と、情報発信の点があったかと思います。企業側とては、学生からの見学希望がありましたら積極的に受入れをしておりますし、夏休みのインターンシップ等についても実際に既に行っていますので、一般的に交流が進んでいないというと、何も行っておらず、大きな壁があるようにも見えてしまいます。学生への発信の機会というのは実際にはございますので、読み取れるような表現に修正していただければと思います。
(山口主査)ありがとうございます。確かに、我が国の人材の交流においては、いろいろと進められていますが、ミスマッチが解消されるに至っていないということから、「人材の交流が進んでおらず」という趣旨であったかと思います。浜崎委員、そういう形ですよね。
(浜崎委員)はい。そうですね。確かに今、御指摘があったように、「人材の交流が進んでおらず」というのは、少し違うかなと思いました。
(山口主査)だから、人材の交流をこれからやりましょうではなく、人材の交流の目的や在り方とかをしっかりと議論しないといけないという指摘ですので、ここの書きぶりは、変更した方がいいですね。他にはいかがでしょうか。森口委員、お願いします。
(森口委員)5ページから6ページにかけて、「文部科学省、経済産業省、原子力規制庁がそれぞれにおいて、原子力分野の人材育成に関する事業を実施している。文部科学省は、政府一体となった人材育成体制の構築を図る観点から、平成29年度から関係省庁とともに事業運営の連携強化を図る」とありますが、この連携強化は今すぐに始めなければと思うのですが、この29年度からという意味は、それぞれの事業予算の中身を調整していくという趣旨であるなら、分けて書いた方がいいと思うのですが、この趣旨が分かりにくいところであります。
(山口主査)これは事務局からお答えいただけますか。
(上田課長補佐)28年度は、既に各省で事業自体がそれぞれ進められていますので、実態上としてそういうアクションをとれる観点からいくと、現実には29年度からが連携を進めやすいという趣旨で記載しています。
(森口委員)そうでしたら、そういう趣旨が分かるように書く必要があると思います。29年度から連携強化を図るだけだと、28年度は何もしないとも読めてしまいます。
(山口主査)ここは今後の施策の方向性を記載するところなので、平成29年度から連携強化を図ると書くことには少し違和感がありますね。具体的な手続の話と方向性の話が混ざっているという御指摘なので、ここも表現を見直しさせていただきます。
他にはいかがでしょうか。議論の中では数個のポイントに集約されていたと思いますし、表現をきちんと明確にすべし等の御指摘を多々頂きましたので、その辺は事務局と相談させていただいて、修正させていただきたいと思います。もし差し支えなければ、本日、私の方で補足したところや、事務局から説明いただいたような形で、主査預かりとして取りまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
(山口主査)ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。非常にしっかりとした中間取りまとめができたと思います。いろいろと御意見を頂きまして、感謝申し上げます。
では最後に事務局から、今後の流れについて説明を頂きたいと思います。
(上田課長補佐)本日も活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。山口主査からもございましたが、本日頂戴した御意見や御指摘を踏まえ、主査とも相談の上、修正作業を進めさせていただきます。最終版については作成次第、各委員にも送付させていただくとともに、弊省のホームページでも公表させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、次回以降の日程についても、また調整させていただいた上で御連絡させていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
(山口主査)どうもありがとうございます。今回は中間取りまとめの「案」が取れたということですが、原子力分野の人材育成については今後も引き続き御審議いただくということですので、事務局から日程調整連絡等については御協力をお願いします。では、以上をもちまして、第8回原子力人材育成作業部会を終了いたしたいと思います。どうもありがとうございました。

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研究開発局研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付

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