第8期 環境エネルギー科学技術委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成29年1月30日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 平成29年度環境エネルギー科学技術関係予算案
  2. 研究開発計画(環境エネルギー分野)案について
  3. 環境エネルギー科学技術を巡る最近の状況について
  4. その他

4.出席者

委員

高村主査代理、市橋委員、江守委員、沖委員、奥委員、加藤委員、河宮委員、小長井委員、関委員、関根(千)委員、関根(泰)委員、館山委員、田中委員、手塚委員、松橋委員、山地委員

文部科学省

田中研究開発局長、藤吉環境エネルギー課長、樋口環境科学技術推進官、石橋課長補佐、小野専門官、直井地球観測推進専門官、森課長補佐、對(つい)崎係長

5.議事録

【高村主査代理】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第8期の科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の環境エネルギー科学技術委員会第8回の会合を開催いたします。
本日は委員の皆様方、お忙しい中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
本日は、当委員会の安井主査が急用のため御欠席と御連絡を頂いておりまして、そのため、本日は研究計画・評価分科会運営規則第4条第7項に基づいて、主査代理の指名を受けております当方高村が議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それではまず、事務局から本日の出席者の確認をお願いしたいと思います。
【對(つい)崎係長】  事務局でございます。おはようございます。本日御出席の委員の数は、20名中16名と過半数に達しておりますので、本委員会は成立となります。
【高村主査代理】  ありがとうございます。
それでは、議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
【對(つい)崎係長】  事務局でございます。本日の会議はペーパーレス会議とさせていただいておりますので、お手元の端末を御操作の上、資料の確認をお願いいたします。資料は、議事次第、座席表に続きまして、資料1が「平成29年度環境エネルギー科学技術関係予算案」というポンチ絵の18ページ程度のものでございます。続きまして資料2が研究開発計画の環境エネルギー分野のものでございまして、こちらは見え消しになっているもののレジュメ形式の資料でございます。続きまして資料3が「持続可能な開発目標(SDGs)について」という資料でございまして、こちらはポンチ絵の資料で6ページ程度のものになっております。続きまして資料4が地球観測推進部会の取りまとめでございまして、3枚程度のレジュメ形式の資料でございます。続きまして資料5が「第9回全球地球観測システム(GEOSS)アジア太平洋シンポジウム開催結果について」という、ポンチ絵が前半に付いておりまして、後半が「Tokyo Statement 2017」というものの英語訳とその日本語訳でございます。続きまして参考資料1としまして、当委員会の親会であります研究計画・評価分科会の研究開発計画の全体版になります。こちらは見え消しになっているもので、御参考までに配付させていただいております。そのほか、机上配付資料といたしまして、松橋委員から今回御説明いただく予定の低炭素社会戦略センター(LCS)の社会シナリオ第3版についてという概要についてまとめた2枚のものと、LCSの報告書28年度総合編、「2050年の「明るく豊かな低炭素社会」実現のための課題と展望」という冊子と、そのほかドッチファイルにとじてございます政策文書等のファイルがございます。
配付資料は以上でございます。
【高村主査代理】  資料について過不足ございませんでしょうか。よろしければ、早速ですが議題に入ってまいります。
本日は、お手元の議事次第にあるとおりの議題を予定しておりますけれども、終了の時刻は12時頃を予定しております。あらかじめでございますけれども、本日は第8期委員会の最後の開催日となっておりますので、最後に本日御出席の委員の皆様から一言ずつ御発言を頂くということを考えておりますので、御準備を頂ければというふうに思います。
それでは、議題1でありますけれども、議題1は平成29年度環境エネルギー科学技術関係予算案についてです。事務局から御説明をお願いいたします。
【小野専門官】  それでは、資料1に基づきまして平成29年度の環境エネルギー科学技術関係の予算案について御説明を申し上げます。資料1を開いていただきまして、3ページ目をごらんいただければと思います。3ページ目がこの環境エネルギーの分野の全体像になっております。我が国が抱えるエネルギー問題や国際社会が直面する地球環境問題を克服し、クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現のための研究開発を推進するということで、大きく分けると三つの柱になっております。一つがエネルギー関係で、いわゆる緩和策と言われるもので、再生可能エネルギーや省エネルギー技術の導入により環境エネルギー問題に対応するという柱になっております。もう1点がいわゆる適応策と呼ばれるもので、地球観測予測情報を活用して環境エネルギー問題に対応するという柱になっております。もう1点は、この委員会では深く議論はいたしませんけれども、ITERなどの長期的な視点で環境エネルギー問題を抜本的に解決するという柱になっております。
まず1点目、再生可能エネルギーや省エネルギー技術の導入により環境・エネルギー問題に対応するという柱をごらんいただければと思うのですけれども、大きく分けると二つになっております。1点目は、革新的な低炭素化技術の研究の推進ということで、2050年の抜本的な温室効果ガス削減に向けて従来技術の延長線にない異次元の革新的エネルギー技術の研究開発を推進するという事業が立っております。もう1点目は、省エネルギーへの貢献ということで、次世代半導体の研究開発の事業が立ち上がっております。もう一つの柱、緩和策の方ですけれども、気候変動適応戦略イニシアチブということで、地球観測・予測情報などのデータ統合・解析システム(DIAS)の構築という事業、また、気候モデルの高度化や高精度な確率的予測等に係る研究開発を行う事業、更にそれらの成果を地域における気候変動適応策の推進に適用する事業という3本の柱になっております。
次のページをごらんいただければと思います。まずはALCAの事業を御説明致します。先ほど御説明いたしましたけれども、世界に先駆けた革新的な低炭素化技術の研究開発を推進するということで、平成22年度から立ち上がっている事業になっておりまして、29年度も前年度と同程度の予算を確保しております。大きく分けると二つの柱になっておりまして、まず文科省と経産省で合同検討会を開催してテーマを設定して、そこに向かってチーム型で研究開発を進めていただく特別重点プロジェクトということで、テーマとしては、蓄電池とバイオテクノロジーが立ち上がっております。蓄電池については25年から、バイオテクノロジーについては27年から立ち上がっておりますので、来年も引き続き研究開発を進めていただくということにしております。
もう1点目は、下の丸の実用技術化プロジェクトというところですけれども、個別に世界に先駆けた革新的な技術シーズを発掘して、ステージゲートなどを経て徐々に育てていって、実用化につなげていくという事業になっております。
次のページをごらんいただければと思うのですけれども、次のページが、来年度力を入れる予定で新規ということで立ち上げている事業になりまして、もともとのALCAというのがターゲットを2030年に置いていたのですけれども、それを昨今のパリ協定ですとかいろいろな情勢を鑑みて、2050年の抜本的な温室効果ガス削減に資する研究開発を進めようということで、新規で、運営費交付金中の推計額ではありますけれども、4億円確保して進めようというふうに考えております。スキームとしてはALCAと似たようなスキームを考えておりまして、ゴールを明確に、ターゲットを明確に設定する。最初はたくさんの課題を公募してスモールスタートで始めて、ステージゲートを経て徐々に大きく育てていく。また、PDやPOに厳しくマネジメントをしていただいて、どんどん研究を加速していただくということを考えております。
研究開発のテーマとしては、エネルギー・環境イノベーション戦略という、パリ協定を踏まえて内閣府で策定している戦略があるのですけれども、そこで特定されている分野も参考に、2050年の温室効果ガス削減に資するテーマというのを設定して研究開発をしていただくということを考えております。
次のページは、御参考ですが、この事業は全体の枠組みとしては、未来社会創造事業というJSTの環境エネルギーに特化しない大きな事業の中の一分野という形になっております。真ん中ぐらいの体制・スキームイメージの探索加速型の重点開発領域というところに環境エネルギーというのが書いてあるのですけれども、これは、この資料の段階では例となっているのですが、もう文科省から重点開発領域というのを指定しておりまして、大きくはこの未来社会創造事業というところの中の探索加速型の重点開発領域の中に環境エネルギーというところが指定されておりまして、この中で先ほど御説明をした研究開発をしていただくということになっております。
次のページ、7ページをごらんいただければと思います。7ページは窒化ガリウムなどを使った次世代半導体の事業になっております。御案内のとおり、28年度からパワーデバイスに特化して結晶を作る拠点とパワーデバイスを作る拠点と、それらを評価する領域ということで、10億円で開始しているところですけれども、29年度は、その応用先にレーザー(光)も加えまして、12.5億円で加速していきたいというふうに考えております。
次のページをごらんいただければと思います。次のページは科学技術振興機構(JST)のLCSの運営に係る経費になっておりまして、低炭素社会実現のための社会シナリオ・戦略を提案するということで、前年と同程度の予算を確保しているところです。
次のページ、9ページ以降は理化学研究所の運営費交付金の事業になっております。十倉先生にセンター長をしていただいている創発物性の事業と、篠崎先生にセンター長をしていただいている環境資源のセンターになるのですけれども、特に来年度力を入れようというふうに考えておりますのが、10ページをごらんいただければと思います。10ページは理研が強みを持っておりますスキルミオンに力を入れようという事業になっております。前回、前々回でしたか、十倉先生に御説明いただいたと思うのですけれども、理研が発見したスキルミオンという現象をいかにメモリーですとか実用化につなげていくかということで、産総研と理化学研究所でタッグを組んで実用化に向けた研究開発を加速しようということになっておりまして、ここは来年度力を入れていくということになっております。具体的には、理化学研究所がやはり学理の探求をして、何が起きているのか、どういう材料が本当にいいのか、どういうふうに駆動を制御したらいいのかということを研究しまして、産総研がそれを評価したりとか、ひな形のデバイスを実際作ってみるですとか、そういったことをやっていくということを考えている次第です。
エネルギーについては以上です。
【石橋課長補佐】  続きまして、環境分野の方の御説明をさせていただきます。気候変動適応戦略イニシアチブの方にページを移していただきまして、当方の方の環境分野の事業といたしましては、まずDIASは昨年度同となっております。それから今年度最終年度となりました気候変動リスク情報創生プログラムを改組いたしまして、統合的気候モデル高度化研究プログラムということで、一応事業的には継続なのですが、予算のルール上は新規計上ということで改めて予算要求をさせていただきまして、5.8億程度でございます。それから最後、SI-CAT(気候変動適応技術社会実装プログラム)として次年度3年目となりまして、事業進展等々を踏まえまして、若干減っておりますけれども、4.3億の要求になっております。
もう1ページおめくりいただきまして、事業のそれぞれの詳細になりますけれども、まずDIASでございます。やはりDIASの中身といたしまして、今年度も取り組んでいるところでございますけれども、次年度も含めSociety5.0への貢献というものと、もう一つは、引き続き学術分野への貢献というものを掲げまして、事業内容を進めていきたいと考えております。
また次のページをおめくりいただきまして、SI-CATの方、気候変動適応技術社会実装プログラムになりますけれども、次年度3年目となりまして、次年度3年目は上流側、要は、気候モデルでございますところの成果を集中的に出して、いかにそれを下流側、影響評価に使うべくデータセットを出していくかというのを次年度の一番の眼目として進めていきたいと考えております。
もう一つ、最後でございますけれども、本委員会でも高村先生に主査をお願いしましてあり方報告書をおまとめいただきましたけれども、その内容に沿いまして気候変動リスク情報創生プログラムを改組いたしまして、統合的気候モデル高度化研究プログラムと、余りキャッチーではない名前にはなっておりますけれども、改めて立てております。本プログラムの実施内容といたしまして、先ほどの報告書の中身にありました全球規模の気候変動予測、それから炭素循環・窒素循環並びに気候感度等の解明、それから統合的な気候変動予測と統合的なハザード予測というものをプログラムして中に組み込んでおります。
続きましてGEOSSでございますけれども、この辺につきましては後ほどAP-GEOSS等の御説明がございますので、またその専門家による御説明もこの委員会でさせていただいておりますので、細かくはいたしませんけれども、GEOSSについてはこのような形になっておりまして、拠出金についても昨年度同のような形で予算要求をさせていただいております。
それから最後、JSTの方に付けておりますフューチャー・アース構想の推進ですけれども、こちらにつきましても事業の中盤でございますので、昨年度同という予算額になっております。
以上でございます。
【高村主査代理】  ありがとうございました。それでは、議題の1について、今ちょうど事務局から資料1の御紹介がありましたけれども、議題の1の関係予算案についてということで御質問、御意見などございましたらお願いできればと思います。いかがでしょうか。コンピューターの画面を見ながら資料を見ていただいていると思うのですけれども。
ありがとうございます、沖先生、お願いいたします。
【沖委員】  高村先生、困られているようなので、質問いたしますが、気候変動関連の研究というのは、私はまだ大事なのではないかと思っておるのですが、そうした中で、統合的気候モデル、高度化研究プログラムや気候変動適応技術社会実装プログラムなどに関して若干減額ぎみ、気候変動適応戦略イニシアチブもそうなのですが、これは環境エネルギー課として、まあこの辺はもう大分やったからいいと思われているのか、文科省全体の中でこれらはもう研究が進んだからというふうに思われているのか、それとも財務省になかなか理解がないのか、その辺いかがでしょうか。
【石橋課長補佐】  御質問ありがとうございます。御説明させていただきますけれども、当然、文科省、当課といたしましても、その重要性は重々感じておりまして、やはり携わっている先生、沖先生も含めてでございますけれども、やはりやっと創生(気候変動リスク情報創生プログラム)において創ったモデルを縦横に活用し、それをかつほかの分野に適用できる、活用できるようになってきたというのが現実です。正直、当課といたしましても、担当はもちろんでございますが、その予算案の額については十分だとは考えておりません。実はこの中にはもうちょっと、例えば研究の環境を整える、要はデータセットが余りに膨大でございますので、できる限り容量の大きいサーバーのディスク容量を確保したかったり、そういうもののアイテムを要求したり、あともう一つ、政策的な、例えばパリ協定を含め、あるいは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)での議論を含め、今までこの研究内容からちょっとはみ出る政策的要求部分、追加でお願いしなきゃいけないような部分の予算が丸ごと落とされてしまっているようなところになりまして、そこは我々もこのまま座して見るというわけではなくて、改めて予算要求させていただきたいと考えておりますので、引き続き我々としても努力いたしますし、諸先生方の御支援を賜りたいと考えております。
【沖委員】  了解いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
【高村主査代理】  ありがとうございます。そのほかに。館山先生、お願いいたします。
【館山委員】  エネルギー側の方のハイリスク・ハイインパクトの研究開発促進ということで、ここにも述べてありますように、ALCAの2030年のターゲットから20年も先の2050年ということで、ちょっとかなり抽象的なところがあると思うのですが、もう少しこれ、例は今、太陽電池で60%等を挙げていますが、具体的な例としてもう少しどういうものを考えてこういう事業を始められているのかというのを、まあ、ここで聞くべきなのかどうかは分からないですけれども、何か追加の情報があれば教えてください。
【小野専門官】  そうですね、具体的な、と申しますが、こちらで議論をしておりましたのは、やはりパリ協定を考えますと、難しいことは重々承知ですけれども、やはり遠い2050年というのを目標に掲げて、そこにどういう研究開発が役に立っていくかということを議論すべきだというところから始まっております。具体の研究のテーマというのは、今のやはりALCAでの議論というのを十分生かしていきたいというふうに考えておりまして、実際今ALCAの公募のときに、あれはもちろんターゲットとしては2030年を考えているのですけれども、2030年の実現を考えたときに、今越えなくてはいけない課題というのがどういうものがあるのかというのをボトルネック課題という形で具体的に提示をしておるのですけれども、それをベースに考えながら2050年はどうかというのを考えていきたいというふうに考えております。もちろん、違うところもあろうかとは思うのですけれども、2030年、2050年と考えたときに、ベースとなるのはやはりそのボトルネック課題というふうに考えているところです。
【高村主査代理】  よろしいでしょうか。
【館山委員】  はい。
【高村主査代理】  ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。最初に申し上げましたように、最後に各委員から今後に向けて、あるいは8期を振り返ってコメントを頂こうと思っておりますので、もしまたそこでお気付きの点が追加でございましたら、お願いをできればというふうに思っております。
沖先生、どうぞ。
【沖委員】  済みません、未来社会創造事業についてですが、この中の4億円分は環境エネルギー課で所掌されて、全体は30億円ということで、それはほかの所掌であるというふうに考えればよろしいのでしょうか。
【小野専門官】  はい、そうですね、6ページ目をごらんいただければと思うのですけれども、本件は運営費交付金の内側ですので、完全に4億円のところでミシン目が入っているというよりは、推計といいますか、目安というふうに考えていただければと思うんですけれども、大きく分けますと、この未来社会創造事業は二つの型がありまして、探索加速型というものと大規模プロジェクト型というものになっておりまして、探索加速型というのは小さい課題をたくさん選んでそれを徐々に育てていくというイメージで、大規模プロジェクト型というのは、ここにもありますけれども、もっと大きく、億円単位で大きい事業を始めて、それを育てていくというような形になっております。環境エネルギーと銘打っているという意味では、探索加速型の中の環境エネルギー分野ということで4億円目安ということになっておりますけれども、例えばその大規模プロジェクト型の中に環境エネルギーに関係するものが絶対ないかといったら、そんなことはありませんで、そこはもうフラットに各分野でどのようなものがハイリスク・ハイインパクトなものと主張できるかということになっていくかと思います。
【沖委員】  6ページ目の重点開発領域について環境エネルギーの部分が低炭素社会だったような気がするのですが、そこはまた別ですか。
【小野専門官】  12月の末に重点開発領域というのを公表しておりまして、文科省のホームページに載っておるのですけれども、環境エネルギーというのは低炭素社会と呼んでいるものと同義でございます。4分の1がその環境エネルギーになるところです。
【沖委員】  同じですか、分かりました。ありがとうございます。
【高村主査代理】  ありがとうございます。追加で何か御質問、御意見はございますか。江守さん、お願いします。
【江守委員】  言うか迷っていたのですけれども。気候の話で、先ほど文科省の方からデータベースの件で御説明が、データベースの予算を要求したのだけれどもという、データベースというか、気候モデルのアウトプットのストレージという話があったので思い出したのですが、先週、IPCCのワーキンググループ1の共同議長がいらっしゃって、その方と話ししているときにも少し話が出たのですけれども、御存じのように、アメリカの政権移行が進んでいて、いろいろなことが起きていて、アメリカが今運営している気候モデルのデータベースがこのままの形で運営されるかどうか、最悪の場合には危ぶまれるみたいな懸念が出ています。じゃあどうしたらいいかというのはよく分からないのですけれども、もしそういうことがあったときに、何か日本が貢献できるようなことがあると、国際的には非常に有り難がられるだろうなという感じはいたします。もちろん、この来年度の予算でどうこうできる話ではないとは思うのですけれども、ちょっと視野に入れていただければと思って、参考までにコメントいたしました。
【高村主査代理】  ありがとうございます。今の発言は、今のアメリカの新しい政権になったことのインパクトについて、何か起こったときにどうするかという話だと思いますけれども、特に事務局からお答えがなければ、ほかの先生方にもし追加で御意見、御質問がありましたら出していただこうと思いますが。事務局はよろしいですか。ありがとうございます。
ほかにございますか。
それでは、随分予算制約がある中で頑張っていただいたというふうに伺っておりますけれども、この気候変動、環境エネルギー分野の研究を推進していただく際の非常に重要な財政的基盤を確保していただいたというふうに思っておりますので、今後具体化を是非よろしくお願いしたいと思います。
それでは、議題の2に入ってまいります。議題の2についてですが、研究開発計画(案)についてです。まずは事務局から御説明をお願いできればと思います。
【對(つい)崎係長】  それでは、資料2をごらんください。こちらは研究開発計画(案)(環境エネルギー分野)となってございますが、本年度にわたりまして第5期科学技術基本計画に基づく環境エネルギー分野の研究開発の方向性ということで、こちらは5年程度を見越した研究開発の方向性というものの取りまとめをいろいろ御審議いただいておるところでございます。こちら資料2は、昨年の研究計画・評価分科会という当委員会の親会に当たる分科会において委員の方々から頂いた御意見を修正しているものを見え消しで示してございます。見え消し箇所を中心に御説明をさせていただきます。
まず、前段の1.基本的な考え方でございますが、こちらに特段修正は入っておりませんが、ほかの委員会で審議されている研究開発計画と比べまして、当委員会の特徴として、約5年程度を標榜(ひょうぼう)しつつ、先ほど予算案の中でも説明させていただきました2050年頃という長期的な視点も持ちつつ、政府全体の動向や政策文書等の動きを見ながら研究開発計画を考えていくところでございます。
2ページ目の2.重点的に推進すべき研究開発の取組でございますが、こちらは三つの目標を掲げて柱にしてございます。一つ目が「創・蓄・省エネルギー等に係る革新的な技術の研究開発の推進」というところで、修正しているところは次のページ、3ページになります。この一つ目の目標に対するアウトカムの指標としてマル2で「論文数、論文引用数」というふうに書いてございました。こちらは、論文は引用されるというファクターでございますので、誤記の修正でございますが、論文の「被引用数」というふうに修正しているところでございます。
続きまして、下の黒丸の「中目標達成のために重点的に推進すべき研究開発の取組」というところの中で、「大学等の基礎研究に立脚した新発想に基づく低炭素化技術の研究開発」というところでございますが、事業に取り組む法人として理化学研究所や物質・材料研究機構というふうに掲げておりましたが、こちらは親会の部会においてオープンサイエンスとかオープンイノベーションといった観点では、この研究開発の計画の中であまり実施する主体というようなものを閉じないような形の記載にしてはどうかという御意見がありまして、文科省の所管するほかの研究開発法人だとか、あるいは他省庁の研究開発法人も含めて意図しているということで、「等」を付けさせていただいております。
続きまして次のページ、4ページになります。二つ目の柱として「最先端の気候変動予測・対策技術の確立」というところでございます。こちらは修正しているのは、5ページの頭からになりますが、こちらの柱の中に、データ統合解析システム(DIAS)についても当然ここに係ってくるものなので記載をしていたところでございますが、三つ目の大目標の柱として「地球環境情報プラットフォームの構築」というのを掲げておりまして、こちらと重複する点があるのではないかというところを親会の方で御指摘がありまして、そちらの統一を図るために一元的に次の「地球環境情報プラットフォームの構築」というところにDIASのみを記載しているような形で修正をしてございます。
続きまして少しページを飛んでいただきまして7ページ目でございます。「3.研究開発の推進方策」のところでございますが、こちらの修正の部分は全て表記上の揺れ等の修正でございますが、オープンイノベーションの推進と知的財産標準化戦略を同じ柱で書いていたところ、研究開発計画全体を取りまとめるに当たってそれぞれの柱を分けて書く必要があったことから、知的財産標準化戦略については別の柱書きで記載しているところでございます。
修正箇所は以上でございますが、すみません、前後してしまうのですが、3ページの創・蓄・省エネルギーのところの指標についてでございますが、こちらは、当委員会で御指摘があったように、個別の研究開発が多岐にわたる項目を実施しているから、ここに掲げているアウトプット、アウトカムの指標というのは内容や特徴に応じて選択、組合せされて総合的に評価する必要があるということを留意事項として書いてはどうかという御指摘だったのでございますが、こちらは当委員会だけではなく全ての委員会の研究開発計画に関わるところであろうというところで、全体版の研究開発計画に統一的に記載をされることになってございますので、全体版のところにおいてはこの部分からの記載は削除される予定になってございます。
説明は以上でございます。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは、ただいま資料2の御説明を頂きましたけれども、前回からの修正点も含めごらんいただきまして、御質問、御意見などがございましたらお願いできればと思います。小長井先生、お願いいたします。
【小長井委員】  では、一つよろしいでしょうか。以前にもちょっと発言したことがあるのですが、私ちょっとナノ材料委員会の方にも出ておりまして、そのときの方が議論になったのでもう一度お尋ねしますが、アウトプット/アウトカム指標のところなのですけれども、一般的に論文の数がどのくらい出たとか、引用回数がどのくらいあるかというのはアウトプット指標の方に本来大学評価でも入っているかと思うのですけれども、今回はほかの委員会との横並びで多分このままになっているのだと思いますが、そこら辺の考え方ですね、これはやはり他の委員会等とも調整されて、今回もこれでいくというふうにされたのかどうかというところをちょっとコメントいただければと思いますが。
【高村主査代理】  事務局からお願いいたします。
【對(つい)崎係長】  御質問ありがとうございます。こちらは小長井先生おっしゃるとおり、正に論文数とか論文引用数というのはアウトプットではないかという指摘は親会の方でもございまして、ただ、その一方で、当委員会のように環境エネルギー分野の施策を通じて直接的に論文数等をコントロールするというものでは必ずしも事業の成り立ちとしてないものもございまして、そういうものはそれぞれの事業の内容に応じてアウトプット・アウトカムを設定するべきではないかというところもまた一方で御意見としてございまして、そのような観点から、特にこの創・蓄・省エネルギーの研究開発については必ずしも論文数や論文引用数でコントロールできない部分というのがあるということから、アウトカムの方に記載しているところでございます。
【高村主査代理】  小長井先生、よろしいですか。ここのところは随分この約1年の議論の中でも議論があった点かと思いますけれども、そのような考え方の整理でよろしゅうございましょうか。
ほかに御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。もしございませんでしたら、約1年にわたって親委員会ともやりとりをしながら議論をしてまとめてきたものかというふうに思いますので、このような形で確認をして構いませんでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日のここでまとめていただいた計画案について、2月8日の水曜日に予定されております研究計画・評価分科会、親委員会の方に安井主査から御報告を頂く予定でおります。特に、先ほど申し上げましたように、約1年にわたって丁寧な御議論を頂きましたので、これをもってお礼を申し上げたいと思います。よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。
それでは、議題の3に移ってまいります。環境エネルギー科学技術をめぐる最近の状況についてという議題でございますけれども、こちらについて事務局から御説明をお願いできればと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  事務局から御説明させていただきます。資料の3・4・5の三つに基づきまして紹介をさせていただきます。
まず資料3をごらんいただければと思います。持続可能な開発目標(SDGs)についてです。1枚おめくりいただきまして、これはSDGsの概要でございます。前身としてはMillennium Development Goals、MDGsと言われていましたものが2001年国連で策定をされておりますが、これが2015年を期限とする八つの目標を設定しておりました。それの期限を迎えるということで、いわゆるポストMDGsとして検討されてきたものというのがこのSDGsになります。2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択をされておりまして、前回のMDGsとの大きな違いは、先進国を含む国際社会全体の開発目標ということで設定されたということでございます。MDGsは開発援助のコミュニティーの中に比較的閉じておったわけですけれども、今回からこういう科学技術の場面というのも関心を持てるような分野になってきております。2030年を期限としておりまして、17の包括的な目標を設定しております。誰一人取り残さないという社会の実現を目指しておりまして、これは日本が提唱してきております人間の安全保障の理念を反映したものというふうに日本ではとられております。それから経済、社会、環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組むということで、全ての関係者、先進国、途上国を問わず、それから民間企業、NGO、有識者も含めた役割を重視しております。
次のページがSDGsの詳細でございます。17項目が並んでおりますけれども、赤で囲んでいるところはこの委員会に一番関係するのではないかと思うところなのですけれども、目標7のエネルギーとしまして、全ての人々の安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。それから目標13に気候変動がございまして、気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じるということでございます。目標自体はそれぞれ連関をしておりますので、個別のところではいろいろ関わるものもございますが、主なものとしてはこの二つかと思います。
次は日本政府のSDGsに対する取組でございます。次のページをおめくりいただければと思います。これは国際社会の議論が本格化する前から、対話の機会を通じて、外務省中心でございますが、積極的に貢献をしてきております。それから、SDGsの交渉過程でも、人間の安全保障という理念の下で積極的に貢献をして、我が国の重視する開発課題というのを盛り込んでいるところでございます。SDGs推進本部の設置ということで、日本全体でこのSDGsの推進、これは先進国も取り組まないといけないものですから、それをどう推進していくかということで本部を設置しました。総理を本部長、それから全閣僚を構成員とする本部でございます。この場で議論をしまして、SDGsの実施指針を昨年12月に策定しております。このSDGsの取組につきましては、伊勢志摩サミットでも議論がされまして、議長国としてSDGsに率先して取り組むという姿勢を日本からも示しております。
次のページでございます。実施指針の概要でございます。ビジョンとしましては、持続可能で強靱(きょうじん)、そして誰一人取り残さない経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指すということで、実施原則を五つ定めております。普遍性、包摂性、参画型、統合性、それから透明性と説明責任です。フォローアップにつきましては、2019年までを目途に最初のフォローアップを実施するというふうにしております。八つの優先課題と具体的施策というのを定めておりまして、マル3のところに科学技術イノベーション全般のことも書いてございますけれども、このマル5が一番関わるのではないかと思います。省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会というのが八つの優先課題に入っております。
次のページ、優先課題について推進される具体的施策等でございますけれども、この実施指針には具体的施策の付表というのが記載されています。ここには各省が推進している施策が書かれているわけなのですけれども、文科省の環境エネルギー科学技術施策、エネルギーの科学技術に関する研究開発を推進する、それから環境科学技術に関する研究開発の推進、先ほど予算の説明もございましたけれども、こういったものを推進していく取組がここに位置付けられております。それから、実施指針のフォローアップ・レビューのところですけれども、我が国におけるSDGsの推進状況を的確に把握するために、今後2030年までの間、統計データや地球観測データを積極的に活用するということで、地球観測データの積極的な活用が盛り込まれているということでございます。
SDGsにつきましては以上でございます。
続きまして、資料4でございますが、地球観測推進部会の取りまとめにつきまして説明をさせていただければと思います。地球観測推進部会は、研究計画・評価部会の下に環境エネルギー科学技術委員会と同様に位置付けられている部会で、大垣先生に部会長をしていただいております。各省連携で地球観測の推進の役割を担っておりまして、平成16年に総合科学技術会議が策定した地球観測の推進戦略に基づく各省連携の推進ということでございます。今回、「Society5.0の実現に貢献する地球観測」を副題としまして取り組むべき事項が取りまとめられましたので、御報告をさせていただきます。
背景のところでございますけれども、ここにつきましては観測部会のこれまでの動きが書かれております。2パラのところで、超スマート社会、これは観測部会では大きな10年実施方針というのを一昨年の8月にまとめたのですけれども、その後に第5期基本計画ができて、この新しい概念が策定されました。他方で、社会的な共通基盤としての地球観測の重要性に関する言及は多くないという問題意識でございます。
この地球観測の必要性につきましては、この部会で2点書いております。1ページ目の下のところから入りますけれども、(1)としまして、Society5.0実現への貢献と民間との連携ということで、地球観測というのは、経済発展と社会課題の解決を両立する、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができる人間中心の社会ということで、この実現に向けて地球観測が貢献することができるということが書いてございます。これは例としまして、民間企業による地球観測データの活用でございますけれども、2ページ目のパラグラフのところから書いてありますけれども、天候インデックスといった保険商品の開発、それから防災・減災対策等の途上国開発支援の新たなビジネス展開、それから地球観測に係る装置の開発や観測そのものの実施にビジネスとして取り組むということで、これは社会課題の解決だけではなくて、新しい市場の開拓にも貢献することが期待できる、こういったものが経済的な貢献になり得るだろうというような例でございます。
もう一つの必要性が、2ページ目の下に書いております(2)の国際的な重要性のところでございまして、先ほど御紹介させていただきましたSDGs、それからパリ協定、仙台防災枠組み、それからG7の共同声明といったところで地球規模課題の解決が挙げられておりますが、これを解決していくためには、地球観測データやこれに基づく予測というのが必要不可欠であるというようなことで書いております。例としましては地球観測に関する政府間会合(GEO)、地球観測衛星委員会(CEOS)、国際海洋データ・情報交換システム(IODE)といった国際的な枠組みの中でのデータの提供、それから我が国がデータを提供することによって諸外国のデータを利用できるようにもなりますので、こういったことを書いております。
特にGEOに関しましては、一番下に書いておりますけれども、第15回の本会合、これは2018年、来年ですけれども、我が国で開催することを決定しております。このGEOSSのビジョンの実現が日本の国益にも資するということを再認識することが重要だというふうになっております。
それから提言でございます。四つの提言項目をまとめております。一つ目が、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)においては、地球観測の重要性を踏まえて、次期の総合戦略に地球観測に関する研究開発や観測の実施、観測データの利用、人材の育成に十分な予算を確保するということを盛り込んでいただきたいということです。二つ目が各省庁、関係機関向けでございますけれども、政策として地球観測に着実に取り組んでいただきたい。それから、それぞれが実施している活動につきまして、貢献をより分かりやすくしまして、国民理解の獲得に努めていただきたい。それからフューチャー・アース構想等も必要に応じて活用しつつ、利用の拡大と開拓に向けた具体的な活動に注力をしていただきたいということです。
三つ目、DIASでございますが、基本計画で定義された11システムの一つであります地球環境情報プラットフォームの中核として、文科省とCSTIは、GEOへの貢献だけではなくオープン化に向けたデータポリシー等の整備、それから他の10システムとの連携推進によって幅広いユーザーによる利用を一層推進されたいということです。
四つ目が、文科省をはじめとする関係省庁は、このGEO本会合の2018年開催に向けてGEOの戦略的活用を一層推進し、我が国の地球観測データの地球規模課題解決への利用、それからDIASを通じた我が国の地球観測データの提供による諸外国データの公開促進などの取組を強化されたい、この4点が提言事項でございます。
事務局ばかり発言が多く、恐縮ですけれども、資料5、次が最後でございます。GEOSSの取組でございますけれども、第9回GEOSSアジア太平洋シンポジウム、これをGEO事務局とともに1月に専門家の先生方の協力も頂いて開催しましたので、結果を御報告させていただきます。ページをめくっていただければと思います。期間としましては、1月11日から13日ということで、2.5日かけて行いました。場所は、お台場にあります東京国際交流館です。目的は、今回第9回ですけれども、ずっと変わっておりませんが、アジア太平洋地域におけるGEOSSの普及及び推進に向けた情報交換の場を提供する、これによってこの地域における研究者コミュニティーを育成し、アジア太平洋地域特有の環境問題等への共通理解を深めるということでございます。主催はGEO事務局、それから日本のは文部科学省でございます。
今回のテーマでございますけれども、アジア太平洋地域におけるSDGsの実施を支援する地球観測ということで、SDGsをテーマにいたしました。参加者は、アジア太平洋地域の各国26か国と、あと八つの国際機関等ということで、合計243名からの参加を頂きました。最初の開会挨拶では、文部科学省から田野瀬政務官に開会挨拶を頂戴したところです。
次のページでございますけれども、プログラムの中身としまして、最初に基調講演が二つございました。一つ目が、サンジャースレン・オヨーン世界水パートナーシップ議長にお越しいただきまして、「アジア太平洋地域における持続可能な開発」に関する基調講演を頂いたというのと、二つ目が岸輝雄外務大臣科学技術顧問に、「SDGsを実現可能とする力である科学技術とイノベーション」というテーマで講演を頂きました。その後、各国からそれぞれGEOSSの実施に関する報告をしていただいております。パネルディスカッションをその後行いまして、「SDGs等の地球規模課題と地球観測の役割」ということで初日の議論をし、翌日2日目に五つの分科会で議論していただいておりますけれども、そこにこの議論をインプットしていただいたということでございます。分科会につきましては、この3ページ目の一番下に書いておりますけれども、GEOSSアジア水循環イニシアティブ、生物多様性観測網ネットワーク、GEO炭素・GHGイニシアティブ、アジア太平洋地域における海洋と社会、それから農業と食料安全保障ということで、我が国研究者、それからほかの国の研究者が一緒になって共同議長という形で議論を牽引(けんいん)しております。
次のページですけれども、これは3日目の議論でございますが、その分科会の共同議長によりまして、分科会での議論を踏まえてパネルディスカッションを行っております。テーマとしては、「アジア太平洋地域の視点からの地球観測と持続可能な開発のための2030アジェンダ」ということで、モデレーターを大竹暁JST研究開発戦略センター特任フェローに務めていただきまして、これにはバーバラ・ライアンGEO事務局長、それから国際協力機構(JICA)の宍戸次長、それから各分科会の共同議長1名ずつ出ていただきました。議論の概要としましては、モデレーターの方からワーキンググループ横断的な課題について、それからGEOの役割につきまして問い掛けがございまして、パネリストからは、次回のシンポジウムでは、やはりワーキンググループ横断的な課題の議論を行うことも必要なのではないかと。それからほかには、各国・機関でSDGsのゴールの優先順位というのは異なるのではないか。それから、国際的な枠組みとしましてIPCCでありますとかフューチャー・アースといったものがありますけれども、こういったものとの連携・貢献の必要性があるのではないかというような言及がございました。
モデレーターからの取りまとめでございますけれども、GEOはSDGsの達成に向けた地球観測の良好事例を創出するとともに、政策決定者へのエビデンス提供のための活動を促進すべきであるというような総括でございます。
それからGEO事務局長からは、観測データの公開・能力強化・観測の統合の重要性について強調がありまして、事務局長の持論でもございますが、地球観測には国境がないということで、SDGsの達成に向けて各国・機関が実施をリードしていただきたいというコメントがございました。
最後に東京宣言2017ということで、次回シンポジウムに向けて各ワーキンググループの関係者がとるべき行動、それからSDGsの実施における地球観測それから開発援助機関の果たす役割とかその重要性、それから地球観測が政策決定を支援するための衛星、海洋、現場観測の統合の重要性、それから地球観測データ・情報を利用した研究活動の促進、それから国連のSDGs実施メカニズムとして、IATTというのがございますけれども、こういったものとの連携といったものを盛り込んでございます。
次回のシンポジウムでございますけれども、2017年にベトナムで開催するということで決まっております。
Tokyo Statementにつきましては、原文の英語のものと、それを仮訳にしたものを一番後ろに付けておりますので、御参考いただければと思います。
以上でございます。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは、ただいま御説明ございました議題3に関わりまして御質問、御意見などございましたら御発言を頂ければと思います。
河宮委員、お願いいたします。
【河宮委員】  ありがとうございます。地球環境の観測・予測に関して、フューチャー・アースが何度か言及されていたのですが、そして最初に指摘、説明のあった今年度の事業に関しても展開されているようですけれども、見ていると、フューチャー・アースの展開に関しては、今のところ、いわゆるステークホルダーの関与をいかに確保するかというところにかなり力点が置かれているようで、地球環境の観測・予測と連携するのであれば、もう少し具体的な連携課題についての議論があってもいいのかなと思うときがあるんですけれども、その辺について、観測・予測との連携の具体的な取組についての見通しというものが文科省側にあればお聞きしたいなと思ったんですけれども。
【高村主査代理】  事務局からお答え、今もしございましたら。あるいは後でまとめてまいりましょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  地球観測との連携というところに特化しているわけではありませんけれども、具体的な研究としましては、予算のところでも説明させていただきましたけれども、JSTさんの方でこのフューチャー・アースの理念を踏まえて、ステークホルダーと連携して課題解決に取り組むというようなものを設定してやっております。最初はそのFS(フィジビリティスタディ)からスタートして、今は社会実装に向けた取組まで始めようというのが1課題継続しておりますけれども 、それを来年度以降、また1課題追加でやっていきたいということを考えております。地球観測直接ということではないのですが、そういうのはございます。
【河宮委員】  今のところ、FSですし、規模も小さいのでステークホルダーの関与というところに結構力点を置いて、それがきちんとできればその後の展開はそれから考えるというふうに理解しましたけれども、そんな感じでよろしいですか。
【石橋課長補佐】  そのように御理解いただいて結構です。なかなかステークホルダーの連携といいましても、実際、例えば特にSI-CATなどで研究開発機関と社会実装機関を組み合わせていますけれども、社会実装機関と技術開発機関の間にも溝があり、更に、研究開発の中でも上流側と影響評価を行う下流側に溝があるという状態で、そこはなかなか難しいのではございますけれども、それをどのような形、まずそういうフューチャー・アース的な概念を持った研究開発の方に少しずつ軸足を移していく、さらに、今、樋口の方から説明ありましたけれども、そのようなFSの結果であるとかというものを盛り込んでという形で今後の予算にも検討していきたいと考えています。
以上です。
【高村主査代理】  江守委員、お願いいたします。
【江守委員】  ちょっと関連してコメントさせていただきますけれども、僕は学術会議のフューチャー・アースの推進に関する委員会に幹事で出ていて、いろいろその議論を聞いているのですが、僕の認識で言うと、フューチャー・アースが国際的に始まった時点と今とで、結構その認識が変容してきている面があるのか、あるいは関係している人たちの間でも認識が何かばらついているような気がしています。フューチャー・アースの最初の頃のイニシャル・デザイン・レポートというのを読んだのですけれども、あるいはそれの頃のフューチャー・アースのいろんな説明のプレゼンテーションなんかを見ると、基礎研究というのがそのフューチャー・アースの大きな傘の中に重要な部分として位置付けられていて、基礎研究は、そのときの言い方で言うとブレッド・アンド・バターであると。フューチャー・アースがあってもなくても基礎研究は大事だし、それをやる人は必要だし、それは各国のそういう研究予算で、日本だったら科研費みたいなものでどんどんやってくださいと。だけど、そのテーマが地球の持続可能性に関わるものであれば、広い意味でそれはフューチャー・アースの傘の下にあって、より直接ステークホルダーと対話をするような研究グループと広く連携して、そういう基礎研究的なパーツも基盤にしつつフューチャー・アース全体が進んでいくみたいな、そういうイメージがあったと思います。ですが、だんだんやっていると、フューチャー・アース全体では特にそんなに大きなお金も付かないですし、お金が付く部分というのは、今御説明があったFSみたいな、割と限定された、特にステークホルダーとの協働に取り組んで、こうデザインしてくださいとかそういう予算であって、そうすると、フューチャー・アースという名前の予算をもらっていなければ自分はフューチャー・アースとは関係ないというような感じにやっぱりどんどんなっていって今に至るのかなという感じがいたします。そういう意味では、そのフューチャー・アースという枠組み自体をどういうふうに考えていくのか、関係者の間でもその認識の再整理がもしかしたら必要なのかもしれないですし、ちょっとそのフューチャー・アース研究を推進する側(がわ)としての文科省にも、いま一度その点を一緒に考えていただきたいなというふうに思っています。
【高村主査代理】  ありがとうございます。フューチャー・アースの、特にステークホルダーとの連携を念頭に置きながら、どうあるべきかと、考え方の整理も含めて問題提起いただいていると思うんですけれども、何か事務局からお答えございますか。
【石橋課長補佐】  事務局からでございますけれども、確かに、いろいろ考え方はあるところでございます。ただ、我々の中では、やはりフューチャー・アースの理念というのは非常に大事であって、いかに例えばこういう枠組みで研究してくださいというだけではなくて、そのフューチャー・アースの理念をどのようにこの研究でアウトプットを出し、アウトカムとして問題解決につなげていくのかという形の実装を政策展開の中で考えていきたいというふうに思っていますので、引き続き江守先生はじめ委員の先生方には御協力をお願いしたいと考えております。
【高村主査代理】  江守委員、よろしいでしょうか。
関委員、お願いいたします。
【関委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。SDGsの実施指針のお話がございまして、ちょっとSDGs実施指針とこの環境エネルギーの研究についての関係を確認しておきたいなと思うのですが、実施指針、本部もいち早く作り、実施指針も昨年末にできたということで、日本としては国際的にもかなり早い対応をしたなというふうに思うのですが、この実施指針の中に実施原則が五つほど書いてありますよね。普遍性、包摂性、参加型、統合性、透明性等ですね。で、もちろんこれまでの研究計画を進めていくというのが基本だとは思うのですけれども、この実施指針に則して、何か新たな視点で取り組むですとか、あるいは新たな手法で取り組むとか、特に実施原則を今後どういうふうに生かしていくのかというあたりについて何かコメントを頂ければというふうに思います。
【高村主査代理】  ありがとうございます。事務局からお答えございますか。
【樋口環境科学技術推進官】  この実施原則というのは、かなり全般に共通するような大きな考え方を多分示していると思っていまして、個別の活動でどれぐらいそれをやっていくのかというのはいろいろあるのかもしれないなと思います。例えば参画型という意味では、外務省さんとか環境省さんが一緒になってNGOさんと対話をするような場を設けるなど、そういったことをやっているのはありますけれども、そこはそういう全体の中でどうやっていくかというのは考えていくということなのかなというふうに思っております。余りちゃんとお答えになっていないかもしれませんけれども。
【関委員】  この環境エネルギー研究について、特に何かそういったものがあるかないかというのはどうなんでしょう。
【樋口環境科学技術推進官】  そういう意味でいきますと、現時点でこれを明確に反映して何かということはないかと思います。ただ、取組自体は環境分野、エネルギー分野とも非常に大事な分野でございますので、これと整合はしていると思いますけれども。
【石橋課長補佐】  もうちょっと補足いたしますけれども、今、関先生の御質問に関しまして、いろいろこのようなフューチャー・アースにしろ、それからSDGsの国際会議等々を拝見いたしますに、やはり実施原則の中で特にいろいろ出てくるのは、キーワードとしてやはり包摂性というのは意外に出てきておりまして、そこに関しては、先ほどフューチャー・アースのところでも申し上げましたけれども、外部の要因であるとか人であるとか、そういうものをいかに取り込んでいく、その過程というものを意味していると私は理解しておりますけれども、特にそういうところについては今もやりつつあり、努力しているところでございますので、ここはもう少し努力していきたいという、事業の中、現場を担当している者としてはありますということでございます。
以上です。
【高村主査代理】  ありがとうございます。議題の3についてほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。済みません、見えませんでした。沖委員いらっしゃいました。
【沖委員】  ありがとうございます。まず、資料3のSDGsについてなんですけれども、解釈の問題ですからいいのですが、SDGsがMDGsの後に据えられたのは、必ずしも最初からそのつもりで作られたわけではなくて、これはやはりリオ+20のときのThe Future We Wantという文書を作る過程でできた文書がSDGsになった。それをMDGsの後継として位置付けるかどうかに関してはかなり熾烈(しれつ)な議論があって、なぜあったかというと、先ほどそれはもうお話がありましたとおり、MDGsは国際社会の中でも開発によって貧しい人々の貧困を減らして世界を豊かにして紛争を減らそうという筋道だったわけですが、SDGsは、どちらかというと当初はリオ+20ですから、地球規模の環境課題を解決することによって世の中をよくしようと。やはりアプローチが違った。それを一緒にしたというところがSDGsで、そういう意味では、そういう二つの流れが一致しているというところが非常に大事かなというふうに思います。
ただ、そういう意味では、その指標について大分もめていたという記憶がございますが、それが現在今どうなっているのか、どういう指標でそれらのターゲットの方、ゴールは17ですが、169のターゲットをどうモニターするかというのがもう決まったのかどうか、教えていただければと思います。
もう一つございまして、その後に地球観測、GEOのお話あるいはGEOSSのお話がございました。非常におっしゃるとおり、GEOSSあるいはGEOのような活動というのがSDGsにもIPCCにもSociety5.0にも大事だというのはよく分かるのですが、何でもGEO、DIAS、GEOSSだというのは、やはり今の予算規模ではとても難しいのではないか。例えば先ほど江守委員からあった、アメリカで地球観測あるいは地球環境変動の予測データがもたなくなるんじゃないかというお話がございましたが、例えばNASAのような機関というのは、今日本でDIASあるいはGEOSS関連に投入されているお金と桁が違うお金が投入されて、全世界にデータ提供して使われている。それを日本も対抗してやるというのではなくて、やはりまず得意なところをやる。それが具体的にSDGsのここのところに役に立つとか、あるいはSDGsあるいはIPCCの温暖化予測だけではなくて、適応策としてのここの部分に非常に役に立つだろうという、やはりまずは得意分野でフォーカスして、成果を上げて裾野を広げていくというのがいいのではないかなというふうに思いますので、その辺今後の検討をしていただければと思います。
以上です。
【高村主査代理】  ありがとうございます。一つ御質問と二つ御意見だったと思いますけれども、いかがでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  インディケーターにつきましては、確認をして情報提供させていただければというふうに思います。
あとは、御指摘につきましては検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【高村主査代理】  ありがとうございます。実はSDGsの指標を私はプロジェクトでやっておりまして、お答えができるのですけれども、昨年の3月に仮の指標採択をされております。ただし、やはりデータのアベイラビリティー、つまりフィージビリティーの点で現在のできる指標としてはかなり制約といいましょうか、不十分だというふうに指摘をされていまして、特に2030年に向けた将来の像にどう近付いていくかを測るということになりますので、やはり戦略的なデータの収集、それから統計制度の構築という能力構築も含めてやる必要があるということを踏まえて、まだここから数年掛けて改善をしていくという状況にあるかと思います。すいません、私の方から答える話ではないかもしれませんが。
ほかにいかがでしょうか。河宮委員、お願いいたします。
【河宮委員】  SDGsの説明のところで、ちょっと説明の仕方が気になったという話なのですけれども、いや、目標が17ある中で関係するのが7、13だということで、これしかないのかというような感じで説明なさっていたので、そこはお分かりかとは思うのですけれども、水・衛生であるとか海洋資源、陸上資源といったところも関連はしてくると思いますし、あと4ページ目にある実施指針というところでも、生物多様性、森林、海洋という項目であるとか、また、科学技術イノベーションということに関してはもう文部科学省全体が関わってくることでもありますし、瑣末(さまつ)なことのようで、環境エネルギー課でこれからどう事業を展開していくかという話にも関わってくるかもしれないので、その辺のところ、割と区切って考えたいのか、たまたま説明をそうしただけだということなのか、その辺の見通しについて説明していただきたいと思います。
【高村主査代理】  お願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  私の説明が十分でなかったのかもしれませんけれども、一番直接関わるところということで、この目標指針にはそれぞれ様々連関があるということは多分様々な先生方が分析をされていて、それは明らかだろうと思います。そういう意味では、これだけに限らず、私たち環境エネルギー課で関わる部分というのはしっかりやっていくことだというふうに思います。ありがとうございます。
【高村主査代理】  河宮委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
ほかに議題の3に関して御質問、御意見ございますでしょうか。
それでは、特段追加の御意見がございませんでしたら、こちらの議題3については終わりまして、議題の4に移ってまいります。本日、事務局から当初予定をしていただいておりました議題というのは議題3まででございますけれども、松橋委員の方から話題提供といいましょうか、御報告を頂けることがあるということですので、お願いをできればと思っております。御存じのとおり、松橋委員はJSTの低炭素社会戦略センターの研究統括をしていただいておりますので、その観点からの御報告だというふうに理解しております。よろしくお願いいたします。
【松橋委員】  どうもありがとうございます。それでは、御説明させていただきます。今、事務局の方から机上に配付していただいている2枚紙がございます。「低炭素社会戦略センター(LCS)社会シナリオ第3版について」ということでございます。以前にLCSの基本的な事業内容については御説明をさせていただいたところでございますが、LCSは、文部科学省の事業の中で低炭素社会のシナリオを策定するというのが主たるミッションとして設立された機関でございますので、ここにありますように、「低炭素社会づくりのための総合戦略とシナリオ」というものを出版しております。この2枚紙の1枚目を見ていただきますと、第1版が平成24年の7月、第2版が平成26年の6月ということでございまして、今般、第3版を出版させていただいたということでございます。それがこのお手元にあるちょっと分厚いA4の冊子でございます。「2050年の『明るく豊かな低炭素社会』実現のための課題と展望」というものでございます。これはさっきも申し上げましたように、文部科学省の低炭素社会作り総合戦略の中のそういうシナリオ策定というミッションに基づいて策定されたものでございます。それで、この中はかなり包括的に、2枚紙のものを1枚めくっていただきますと目次がございますが、まず第1章に低炭素社会実現のための課題と展望というのを概観いたしまして、第2章は主に技術、第3章は主に経済社会システムの観点からのいろんな要素技術とか要素の経済制度について分析を進めておりまして、第4章で技術と経済を統合して低炭素社会システムを構築していくというところを開発しまして、最後に今後の課題というところでまとめているところでございます。
それで、我々の活動は、かなりこのように技術から経済社会に及んで多岐にわたっておりまして、個別の議論としては、もう少し詳しく内容を分析しております。お配りしておりますA4のこの冊子の最後のところ、下のページで見ていただきますと、115ページから118ページに掛けまして、その個別の内容につきましてまとめたものを政策提案書という形、正確に言いますとイノベーション政策立案のための提案書ということで言っておりますが、個別の冊子として仕上げまして、関係する省庁ですとか研究者の方々にお配りしておるものでございます。ですから、この低炭素社会シナリオの第3版をごらんになって、もうちょっと、例えば蓄電池の技術を解析したところを詳しく知りたいとか、実は昨今、電気代そのまま払いというものの社会実装が進んでいるのですけれども、それについてもう少し現状を詳しく知りたいとか、そういうような御要望があります場合は、今言いました115から118ページに掛けて43編の政策提案書をまとめてございますので、LCSの方まで御一報いただければ、皆様のお手元にそれをお送りさせていただきます。また、今でも続々と、今年度も数十編執筆しているところでございますので、随時、技術の内容、経済制度の内容、社会システムにつきましてもバージョンアップといいますか、更新してより新しいものにしておりますので、御関心がございましたら、御一報いただければと思います。このような形で低炭素社会の実現に向かってシナリオの策定と社会実装を進めているということで御紹介までさせていただきました。どうもありがとうございます。
【高村主査代理】  松橋委員、どうもありがとうございました。本委員会の活動にも大変関わりの深い御報告書、シナリオの公表というふうに拝見いたしております。もし皆様の方から御質問ございましたら、先ほど松橋委員からございましたように、お問合せ頂ければというふうに思います。そのほか、この議題の4ですけれども、ほかの委員の皆様から御報告あるいは話題提供していただけるようなことがございましたら、お願いできればと思いますが。よろしいでしょうか。
それでは、冒頭に申し上げましたように、本日は第8期委員会の最後の会合となりますので、本日御出席の委員の皆様から一言ずつ、計算しますと大体2分だと思いますけれども、8期の活動の御感想、あるいは9期に向けて課題の申し送り等々ございましたら、一言いただければというふうに思っております。小長井先生からお願いしてもよろしいでしょうか。こちらからお願いいたします。
【小長井委員】  では、時間厳守で話をさせていただきたいと思います。私はこの環境エネルギー委員会をそんなに長くお手伝いできたわけではないですけれども、この数年の間にどういうふうに太陽光発電が変わったか、ちょっとコメントさせていただいて、その次の考え方というのをお話したいと思うのですけれども、私は太陽光発電の専門家としてここに呼ばれたわけですけれども、最近の世界的な状況を見ると、物すごく値段が下がっていて、一頃は風力にはとてもかなわないなと思ったら、つい最近のデータを見ると、入札の結果を見ると、世界的にいうと1キロワットアワー3セントでというのが出てくるくらいで、しかも100万キロワットの発電所ができているようなことになっていますし、グーグルアースで見ると、どこって別に目星を付けなくても、大体砂漠のあたりを見るとアメリカでも四角に非常にきれいに見えるようなくらいになってきているということで、大変驚いています。そういう意味では、日本ではまだキロワットアワーコストがそんなに下がらないのは問題ですが、世界的に見ると、やっぱり3セントキロワットアワーの衝撃というのは相当なものだと思っています。ただ、安くなったからいいのではなくて、日本ではよく言われているように2050年に80%温室効果ガス削減というふうになりますと、やっぱり太陽電池の変換効率がどこまで上げられるかというのが、世界規模で見ると、最終的にどこまで導入できるかということに直接結び付いてくると思っています。で、今のエネルギー変換効率のままだと5テラワットくらいまでは固いだろうと思われているのですけれども、そうしますとかなり面積の問題が出てきますから、効率が高ければその倍あるいは4倍くらい入るかもしれないので、是非2050年には5テラどころじゃなくて10テラ、20テラくらいを入れると。それにはどういうものを作っていったらいいかという観点で日本は是非取り組んでいっていただきたいなと。またそれがやはり若者に夢というか、研究に対する夢を与えることになると思います。今、トランプさんみたいに、あんな言い方をされると、若者の夢を何か打ち砕くような感じで、日本はそれにもかかわらずやるぞというような何かステートメントを是非出していただきたいと思います。
以上です。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは河宮委員、お願いいたします。
【河宮委員】  私はこの委員会に比較的長く在籍しているのですけれども、ただ、今年度はちょっと出席率が悪くて2回欠席しています。ただ、その2回の欠席とも、次期のIPCC報告書に向けての温暖化予測の枠組みをどうするかということに関する国際会議があって、たまたま2回それに重なったのですけれども、そちらに出ておりましたが、国際的な動向という意味でも気候予測データをどのように社会に役立てていくか、適応策、緩和策を提供していけるかということが大きな話題になっております。日本からもきちんと貢献していきたいなと思っていたところではありますので、来年度からも気候予測の事業を継続していく、更に発展していくという話でしたので、大変心強く思っています。それは私の分野の話なのですけれども、とはいえ、この分野で特に気候緩和策に関わっていらっしゃる人々、委員の方々のお話をいろいろ伺って、大変視野を広げられた思いでおります。こういう貴重な経験を生かして、来期以降もできれば貢献していきたいし、少なくとも研究面では日本を盛り上げるように頑張っていきたいなと思います。ありがとうございます。
【高村主査代理】  加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】  私は今期からここに参加させていただきました。環境、エネルギーという議題はもちろん両方とも重要なので、ここで共通で議論をするということが重要なのですけれども、分野的には非常に広いです。私は化学の立場で仕事をしている者ですが、余り知らないことばかりで、言葉も共通でないこともあるなというようなことを感じながら、取りあえず勉強させていただきましたという部分の方が多くありました。従いまして、余り貢献はできなかったなと思っております。まあでも、この委員会でも関連したお話はもう既にいろいろ出ているので、別に私が言うことでもないかもしれませんけれども、やっぱり重要なのは、長期的展望だと思います。ちまたではやはり非常に短期のことばかりが言われるこの頃でありますけれども、文科省さんの立場としては、是非長期の部分、基礎的な部分、そして人材育成というのは当然長期になってくるのでしょうけれども、そういうところを強く主張していただけるようにずっとお願いできればと思っております。もう少し貢献できればと思っております。よろしくお願いします。
【高村主査代理】  ありがとうございます。じゃあ沖委員、お願いいたします。
【沖委員】  環境エネルギーに関する科学技術政策を皆様方がいろいろお作りになっているのに触れさせていただきまして大変勉強になっています。特にエネルギー分野は、私よく分かっていないものですから、垣間(かいま)見て、門前の小僧のように少しずつ勉強させていただいております。
ただ、昨今、社会の問題を解決するのだということで出口思考、そしてアウトカム思考になっているのですけれども、果たして社会の問題を解決するのに科学技術ができることって何だろうということをよく実は思います。で、自分自身の研究としては結局できることをやってしまうわけですが、「もし持っている道具がハンマーだけだったら全ての問題がくぎに見えるだろう」言葉があります。やはり自分が持っている、できることで全ての問題を解決しようとしてしまうのだろうなと。ただまあ、それが悪いことばかりでもなくて、環境エネルギー分野の研究者が自分たちでできることを提案し、ほかの分野の研究者が自分たちでできることを提案し、それをどこかで幅広く見て、バランスをとってくれる人がいると信じれば、自分たちができることで一生懸命研究提案して社会をよくすればいいのだろうなとは、そういう言い訳を持ってはおりますが、それだけでもなくて、本当に社会から見ると、いや、もっとこういうことをやってくれ、おまえの専門はもうそんなに勉強しなくていいからと言われたらどうしようかなということをこういうところに来るといつも思いながら話を聞かせていただいております。どうもありがとうございました。
【高村主査代理】  ありがとうございます。江守委員、お願いいたします。
【江守委員】  ありがとうございます。僕も環境かエネルギーかでいうと環境の方でありますけれども、環境エネルギーをセットで議論していただいていることで僕も非常によかったと思っています。僕はここ数年、いろんな形でイノベーションということについて何かよく聞くことがあって、自分なりに考えてきたなという感じがしていて、この委員会でも非常に素人っぽい質問を幾つかさせていただいた覚えがあります。最初の頃、イノベーションというのは、僕はよく環境問題の文脈でいうとイノベーションに期待するというのは、今対策をしなくていい言い訳に聞こえることがある、過度な楽観論を生むというような文脈があって、余り積極的にそういう話をしなかったのですけれども、だんだんいろいろ聞いたり考えたりしているうちに自分の考えも変わってきまして、イノベーションというのはむしろ不可避ではないかという、社会のいろんな人がいろんなことを考えていろんなことをやっているうちに、社会というのは、技術もそうですけれども予測不可能な形でどんどん変わっていってしまう。むしろそんな非常に予測も計画も制御も難しい生き物みたいなものなのかなというふうに今は感じていまして、であるとすれば、環境・温暖化対策を考えるときでも、何を考えるときでも、そのことというのはどう考えていくかというのは非常に本質的なところにあるのかなと、今そんなふうに見ています。
その中で、文科省でもそのイノベーション推進に非常に力強くその政策を推進していただいていることは非常によく分かったのですけれども、ここだけではなくて内閣府とかでも議論を聞いていても、二つずっと気になっていることがあって、一つは、技術のイノベーションの話はすごくあるのですけれども、それによって社会がどう変わるかとか、その社会がどうイノベーションを促進していくかとか、社会の側(がわ)の議論が、意識されているのはすごくよく分かるのですけれども、まだ足りていないのではないかなという感じがするのが一つと、もう一つは、いわゆるパブリックファンディングでそのイノベーションを組織していくことというのは大事だとは思うのですけれども、一方でアメリカみたいにスタートアップがごろごろいて、クレージーなアイデアも含めていろんなことを試して膨大な試行錯誤をしながら新しいものが生まれてくるということに対して太刀打ちできるのだろうか、あるいは太刀打ちする気はなくて別のところを目指しているのか、何かその辺のところがいまだにすっきりしないでおります。ちょっと僕はまだそういうことをいろいろこれからいろんな人の話を聞いたり勉強したりして考えを深めていきたいと思っていますけれども、恐らく今後もちょっと素人っぽい意見とか質問を言ってこの問題の議論に貢献できればなと思っています。どうもありがとうございました。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは市橋委員、お願いいたします。
【市橋委員】  まず、このような場で意見を言う機会を頂きまして、また、勉強する機会を頂きまして御礼(おんれい)申し上げたいと思います。ありがとうございます。自治体の意見とかニーズをなるだけ伝えたいなという思いでやってきました。まあ、力不足もあってなかなか思ったように伝え切れなかったかというところもあったかと思いますけれども、皆様方の御協力を頂きまして何とか続けることができたような気がします。
2点ほど言いたいなと思っていまして、一つは、やっとここ、昨年の国の適応戦略を受けて自治体が徐々に適応に関して動き始めています。自治体単位で気候変動予測をやったりとか、そういうことはなかなかできませんので、気候変動予測であったりとか適応策のための影響予測、それからDIASをはじめとした大きな予算の掛かることを文科省さんで精力的にやっていただいていることは是非今後も進めていただいて、私も応援団になりたいと思いますので、よろしくお願いします。
それからあともう一つ、ちょっとこれは余り具体的な話ではないのですが、最近考えているのが、適応策の総合化、統合化というのですか、そこがすごく重要だなというふうに思っていまして、適応だけじゃなくて緩和も含めて、そこの統合をどううまくやっていくかというところがまだまだ何か足らないかなと。モデル的な統合の仕方、モデルを使った統合の仕方もあるだろうし、住民参加であるとかそういったものを使った統合もあると思うのですけれども、そのあたりが今後やっぱり大きな課題の一つになっていくのではないかなと個人的には思っています。本当に勉強させていただきましてありがとうございました。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは山地委員、お願いします。
【山地委員】  山地という名前ですから、アイウエオ順だと大体最後の方なので、終わりの方かと思ったら、ちょっとフェイントでしたね。最近、研究開発というと、江守さんもおっしゃったけれども、イノベーションという言葉が使われますよね。特に今回の資料にもありましたけれども、オープンイノベーションという言い方をしますよね。だから、もともと基礎基盤研究のシーズに当たるところの開発から出口に当たる社会実装まで、これ全体を橋渡ししましょうという、この考え自体は非常にいいことだと思っております。ただ、ということは、オープンイノベーションでそのシーズのところでもいろんな知見を取り入れる、社会実装のところでもいろんな経験を取り入れよう、そういう考えだと思います。
その中で私は、だから最近見ていますと、ここは環境エネルギー分野ということですけれども、実はその分野に今まで関わってきた特化された技術だけじゃなくて、もう少し共通基盤技術、今回もSociety5.0とか超スモール社会の中でも言われますけれども、IoTとかビッグデータ解析とか、あるいはセンシングとか、そういうものも実は環境エネルギー分野のイノベーションに物すごく役立つわけですよね。そういう広さというか、全体を見る俯瞰(ふかん)が必要になってきているなというのは一つ申し上げたい。
ただ一方で、じゃあしかし、いろんな省庁が研究開発を進めるわけですよね。文科省として、じゃあ全体を俯瞰(ふかん)した上でどこにフォーカスしていくのか、やっぱりそういう考えをある程度明確に持っておく必要があろうかと思っています。その点ではやはり私は、文科省の場合には基礎基盤の方に近いというふうに思っています。そこを環境エネルギーの中にどう展開していくのか、そういう観点を、まあ今回、大体そういう芽は出てきていると思うのですが、まだちょっと形式かな、それをやっぱり実体化していく必要があるかなと思います。
それからもう一つは、文科省の場合は人材育成というのが物すごく大事なポイントなので、これも今までも言及はされていると思いますが、是非忘れずに進めていっていただければと思います。
以上です。
【高村主査代理】  ありがとうございました。それでは松橋委員、お願いいたします。
【松橋委員】  文部科学省のこの委員会に呼んでいただいて、どうも知らない間に3期6年という年月が過ぎたようでして、今期で私は退任させていただくということになっております。大変私自身勉強になりまして、これまで経済産業省ですとか環境省とこのような温暖化対策ですとか環境エネルギー政策、いろいろと議論してまいりましたけれども、ほかの省にはない著しい特徴というものが、私は文科省にはあると思っております。それは文部科学という科学という名前、サイエンスという言葉が冠しているということで、私が研究者として、あるいはどなたでもそうだと思うのですけれども、科学をやる上で一番大事なことというのは、結論が先にあって、それをサポートするような情報を集めるというのは最もやってはならないことで、やっぱりデータを見て分析をしてそこから結論を出すというのが科学者の基本だと思うのですけれども、ともすると行政というのは、やっぱりやりたい政策があって、それをサポートする情報を集めてくるという形で論点整理をするとかいうことがよく行われますので、やはり文部科学省、科学を冠しているということで、是非科学の根本原理に従ってこの環境エネルギーという分野でもやっていただくならば、それは経産省とか環境省とはまた違う中立の立場として、非常に信頼できる知見をこれからも提供できるのではないかなというふうに期待しております。
それから、2050年のことが頻繁に議論されまして、小長井先生からは太陽電池がキロワットアワー3セントという話もございました。確かに、発電コストだけとりますと原子力よりも火力よりも安い、そういうコストになってきているのですね。ただ、私は電気ですから、電力システムという観点から見ると、この変動する電源を、単価では安いけれども、これを電力システムの中に受け入れて、更にその量を増やしていくということは、非常に技術としては難しいけれども、ここにこれからチャレンジしていかないといけない。長期的には2050年、80パーセント減を目指すと言っていますけれども、電力システムでは更にゼロを目指していくということをやっていかないといけないと思います。これは大きなチャレンジであって、電力システムもそうですし、ほかのエネルギーシステムも革命的に変わっていかないといけないんですね。そういうときに大事なことは、まず足元のステークホルダーを集めてその調整をやってしまいますと、答えはないです。だからそこもステークホルダーというところからは一旦離れて、やっぱり科学、サイエンスとテクノロジー、そこからまず解を出して、最後に、じゃあ長い期間の上でステークホルダーの利害がごろっと変わることはあり得るわけですが、それは最後にどうするかということを考えるべきで、その意味でもサイエンスが前に出なきゃいけないのですね。ですから、その2050年の長期目標を考える上でも、これから環境エネルギーを考える上でも、是非文部科学省に非常に重要な立ち位置として、ここますますの発展ということを私は強く祈念しております。
以上です。
【高村主査代理】  ありがとうございます。手塚委員、お願いいたします。
【手塚委員】  私も基礎研究をやっているわけじゃなくて、この委員会に来て、特にこの気象観測と地球観測系のデータの話とか、大変勉強させていただきまして、どうもありがとうございました。産業界、ビジネス界の代表ということで座っているということだと認識していましたので、そういう観点からのコメントをできるだけさせていただいてきたつもりですけれども、今日はちょっと毛色の違うところでイノベーションの話をさせていただきます。先ほど江守先生もおっしゃっていたと思うのですけれども、これは結局2050年に向けて物すごく大きなチャレンジをしていくというときにイノベーションが大事だという話があって、この資料の中にもいっぱい書かれているのですけれども、基本的にやっぱりここに書かれているものというのは合目的的な技術開発、つまりいついつまでにこういうことを達成したいというような技術がいっぱい散りばめられていて、うまくいくものもあればうまくいかないものあるという観点ですね。これは当然そういうことになるのだと思うのですけれども、ただ、実際の世の中のイノベーションってどういうふうに起きているかというと、全然目的的に研究されたり開発されたりしたものとは違う用途に使われることで、社会のイノベーションが実現するというようなことが往々にしてあるというか、実はその方が多かったりなんかするわけです。例えばアメリカのシェールガス革命です。実は先進国で最も温室効果ガスの削減にこの10年間寄与しているのはアメリカなのですけれども、その原動力となったのがシェールガスですけれども、そのシェールガス革命の技術って何で出てきたのかというのは、いろいろシンクタンクとかで書かれている論文があるのですが、一つ面白いのは、実はあれは冷戦終了の賜物(たまもの)の一つだというのです。なぜならば、リモートセンシング、地中1000メーター以上深いところにある頁岩(けつがん)層の中のエネルギーの分布を物すごく明解に見られるようにする技術というのは、実はソ連の潜水艦の位置を探査する技術の応用だというようなことが書かれているのですね。全く違う分野で開発されたものがそこに応用されている。
そういう意味で、恐らくここに書かれているようなものは全部要素になってくると思いますけれども、ブレッド・アンド・バター、あるいはねじ・くぎの類いになると思うのですけれども、実はそうでないものもいっぱいあって、あるいは素材技術なり、あるいは情報処理技術なり、あるいはまるで違う目的のために開発されているようなものも含めて、そういうものがいずれ組み合わさることによって本当のイノベーションが起きてくるということがあると思います。そうすると、できるだけ出会いの場と言ってはおかしいですけれども、異分野の人たちが何をやっているかということが見えるようなフォーラムとか場ですね、そういうようなものをどんどん広げていく、つまり知識全体が深まるだけじゃなくて共有されていくというような場を作っていくということも同時に必要なんじゃないのかなという気がします。
一方で、データベースは、特に地球観測等では物すごく大きなすばらしい立派なデータベースができていると思いますし、それを今後企業等に開放して課金システムを考えるとおっしゃっているのは、非常にこれもいいことだと思います。データそのものは多分それ自体に価値があるので、有用だと思う人にお金を払って使っていただければ、それを維持するコストを財務省に文句を言われずに正当化できていくという意味でいいと思うのですけれども、一方で、このデータも専門家だけが使っているのではなくて、これをものすごく広い裾野で使う人、アクセスできる人が出てくると、質的な変化が起きる可能性が出てきます。GPSを使って今やグーグルで皆さんどこにでも行けるようになっているというようなことは、実はサイエンスの世界の人たちがやっているわけじゃなくて、全くその情報技術で携帯電話を例えば価値のあるものにしようと思っている人たちが使っているわけですよね。それと同じように、実は気象データとかの膨大なデータベースをどう使っていくかということはもっとオープンにして、極端な話、中学生とか高校生が理科のテーマで夏休みの宿題にも使えるようにする。そうすると、我々の思いもつかないような使い方をする人が出てくるかもしれないと。そういう人たちが何かアプリケーションの部分で新しい知恵を出してくることによって、あるいはそういうことを夏休みの宿題でやった中学生、高校生が社会人になったときに、いや待てよ、あそこにこういうデータがあって、それにアクセスすれば、自分が今抱えている、企業なり何なりで抱えている問題が解決できるかもしれないと考えるなど、こういう出会いがあるかもしれないと思う訳です。そんなような物すごくベーシックな入り口の窓みたいなものもDIASの世界の中に作ってみるというのも、まあ文部科学省は特に大学だけじゃなくて中学、高校も管轄されていると思いますので、アイデアとしてはあるのかなというような気がいたします。
言いたかったのは、イノベーションというのはいろんなものの組合せなので、組合せを可能にするための場をできるだけ多く用意するということと、一方で裾野を広げることによってその場に入ってくる人数をできるだけ増やすようなことをやっていくのが今後2050年に向けて重要なんじゃないかと思いました。
【高村主査代理】  ありがとうございます。続いて田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  この4年間、本委員会の委員、あるいはほかの文科省関係の委員会に参加させていただきまして、文科省の皆様がこの分野に限らず我が国の研究開発をいかによりよく進めるかということについて様々に工夫されていることを理解させていただきました。そういう意味ではどうもありがとうございました。
そういった中で、それほど申し上げることもないですけれども、二、三申し上げますと、一つは、私自身産業界におりますが、必ずしも文科省においても社会実装型の研究をどんどん増やすべきだというふうに余り考えていなくて、やはりその次の世代の種を作っていくということも文科省の重要な役割だと思いますので、基礎的な研究と社会実装型の研究をどういうバランスでやっていくかということを考えていく必要があるのではないかなというふうに思っています。ところが、そういう中で社会実装型のプロジェクトの評価というのは非常に難しいと私自身思っておりまして、これはイノベーション自身が、俗に言えばお金がどうしても絡んでくることでありますので、必ずしも科学技術がすばらしいから社会で使われるというだけでございませんので、そういった点を今の科学技術を社会実装につなげていく中で、どうやってそういう要素を評価していくかということもあるので、これは非常に難しいことだなというふうに思っています。
一方、産業界から見ると、日本の国家予算としての科学技術への支援というのですか、これは必ずしも多いわけではないので、国の科学技術予算はできるだけ有効に使っていただきたいという観点もありますので、その両方を足しますと、やはり基礎の研究は基礎の研究でやっていっていただきたい。社会実装に関わるものはきちっと評価をして、本質的に次の時代につながるだろうというものをきちっとそこに集中して投資して進めていく、こういったような選別が必要なのではないかなというふうに、ここ4年出させていただきまして感じたところでございます。
あと、今産業界では、Society5.0というもの、第5期科学技術基本計画の影響もありまして、ICTをいかに産業の効率化あるいはビジネスの拡大に使っていくかということをいろいろと考えているわけでございますけれども、今回エネルギー分野でも、太陽電池等の個々の技術に対するテーマがございましたけれども、いかにICTを使ってエネルギーを効率的に使っていくかというようなテーマを是非今後のプロジェクトの中に入れていっていただきたいということ、それからあと、意外と農業にも関心を示しているところがございまして、DIASをICTという意味でうまく使っていかに農業の生産性の向上あるいは農業ビジネスの拡大につなげるかということも考えておりますので、まあ、ちょっと私が考えてもそう簡単でもないかなとは思うところもあるのですけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは館山委員、お願いいたします。
【館山委員】  私、2期務めてまいりまして、私の方は国立の研究開発法人の現場で計算研究をやっている者ですが、こういう場に来てなかなか貢献できたかというと、なかなか素人質問が多く、疑問なところはあるのですけれども、非常に勉強させていただきました。今年度になりまして、いろんなほかの用事ができてやはり欠席も多くなりましたので、今回で卒業とさせていただければと思っております。
私は、エネルギー分野側にいまして、特に材料科学というところで京コンピューターを使ったシミュレーション等をやっていた関係で、こちらに多分環境側のカウンターパートとして最初入ったのではないかと思うのですけれども、4年前はやはりそういうシミュレーションという議論だったところが、多分2年ぐらい前からIoT、ICT、Society5.0というふうにして、ちょうど政策が変わるところにちょうど居合わせまして、ビッグデータ、インフォマティクスというものが出てきたときにちょうどいたのは非常によい経験でした。今、たくさんの方々がビッグデータ、環境側もいっていますけれども、エネルギーあるいは材料側もマテリアルズ・インフォマティクス、データ科学といったところがあって、今はそういうデータという意味では、環境もエネルギーも期せずしてここの委員会では両方とも同じようなテーマを扱っているような形になっているのではないかと。ただもちろん、これは環境エネルギーだけじゃなくて情報もナノ材もそういうところもあると思うので、どこがメーンをとってということはないのですが、やはり今、こういう異分野の中で、異分野融合というのですかね、先ほど手塚委員もおっしゃっていましたけれども、いろんなところで共通技術、基盤技術は実は一緒ということもありますので、そういうところを是非これからもつなげていっていただきたいと思います。
データ科学は、私はやはりちょっと研究所が絡んでおりまして、データがあるような形で言うのですが、材料に関してはデータ自体のクオリティの問題がばらついていて、データがそもそもないというところが、今そこが問題になっていまして、そういう意味では単なる、僕は気象のデータとはまた違った観点もあるかなというところがあって、それは文科サイドでいろんな意味でフィードバックできるかなと。
もう一つデータ化、マテリアルズ・インフォマティクスをやっている上で分かるのは、多分データでやっているうちはどうしても外装にしかならなくて、これで本当にブレークスルーができるのかと。ブレークスルーは、やはり何人かの先生方もおっしゃっていましたように、基礎に立脚した上で、いわゆる何かアイデアから出てきているものが結構これまでも多いのではないかと思うので、やはり両輪が大事かなというふうには私も現場の者として感じております。
いずれにしても、このような環境とエネルギーという異分野の場でこういう政策決定のところに携わらせていただきまして、いろいろ勉強させていただきました。どうも4年間ありがとうございました。
【高村主査代理】  ありがとうございました。それでは、関根委員、お願いいたします。
【関根(泰)委員】  関根の泰の方でございます。2年間お世話になりありがとうございました。私はエネルギーの中でも特に基礎研究の中では非常にニッチな世界であります化石資源、それから水素というところに関しての基礎的な研究を日々行っている人間でございます。エネルギーという中で、どうしても化石資源、水素は今やもう大量に使われている、あるいはこれから使おうとして動いている世界ということで、基礎研究の分野、非常に狭いというか、ニッチな分野というふうに思っております。ただ、きょう現在、日本では1年間に23エクサジュールぐらいの一次エネルギーを持ち込んで使っておりまして、それのそれぞれが化学品になり、そして電力になり、電力というセクターで言うと、大体出口としては4エクサジュールぐらいの電力というのが出ていくわけですが、そういったものになって使われていくということを考えていったときに、この23という大きなエネルギーを今NEDOとエネ庁に全て基礎も含めて投げてしまっていいのだろうかというあたりは、気になるところであります。現状の技術が果たして満足のいくものか、ブリッジング・テクノロジーとしてこれでいいのかというところは、視野の隅に入れておいていただけると、というふうに思います。また、そういう点では、以前アクティブに動いておられた文科・経産の合同の検討会なんていうのも、エネルギー分野、環境分野、これからまた活発になっていくといいなと感じております。
以上です。ありがとうございました。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは関委員、お願いいたします。
【関委員】  ありがとうございます。私は損害保険会社の立場、長く務めておりました損保の立場から、会社としても、それから個人としても気候リスクということについては非常に関心を持って参加をさせていただきました。多くのことを学ばせていただきましてありがとうございました。
最近感じていることといいますか、やや感想めいたことになりますけれども、やはり科学に基づく意思決定ということ、これは必要なことですけれども、なかなか実はできていないのではないかなという感じがしています。これは企業経営においてもそうですし、もちろん政策決定、あるいは最近ですと非常にESG投資ですか、投資家の意思決定も変わりつつありますけれども、まだまだやはり社会全体として科学の成果を生かし、なおかつそれに基づいて意思決定をするということができていないのかなというふうに思います。
昨年、マラケシュの第22回気候変動枠組条約締約国会議(COP22)に参加をしてまいりまして、企業のビジネスフォーラムみたいなものにも参加をしてきましたが、これはグッドニュースだと思うのですけれども、いわばブレーンストーミングみたいな感じですね、一言で言うと。もちろんパリ協定で大きな枠組みが決まり、まだまだ細部については制度設計をしていかなきゃいけない段階ではありますけれども、そういう国際交渉と併せて、並行していかに低炭素あるいは脱炭素社会を作るかという、そのソリューションについての知恵出しといいますか、ブレーンストーミングですね、これを政策決定者や科学者、それから特に産業界ですね、ビジネスフォーラムなので、むしろビジネスとしてこんなソリューションが提供できますよということも提示しながら議論をした3日間というのがあったんですけれども、これは一つのあるべき姿かなというふうに思いました。
最近は、トランプ政権ですとか、あるいはブレグジットとか、世界でどんどん分断が進んでいくということがありますし、それからいわゆる経済環境社会のトリプルボトムラインといいますけれども、実際のところはもう最近は専ら経済のシングルボトムラインで、環境やあるいはサステナビリティーということが語られなくなってきているという中で、やはりこういう分野は非常に大事なことだと思いますので、是非日本として、国として世界に貢献する、こういう分野で貢献をするということを是非更に力を入れていっていただきたいなというふうに思います。
以上です。
【高村主査代理】  ありがとうございました。今、8期委員の先生方からコメント、意見を頂きました。私自身も研究者でありますけれども、同時に、この委員会で所管をしているような気候変動のプログラムから生み出される研究成果を使う側(がわ)のユーザーでもありまして、振り返って見ると、やはりこの分野、気候変動の特に予測の分野で、これまでの国際的な政策決定も随分科学研究に牽引(けんいん)をされてきたなという感じがいたします。昨年のところで気候変動研究の在り方検討会で、いわゆるポスト創生も見据えた今後の気候変動研究の在り方について、こちらの委員でも江守さん、あるいは沖さん、河宮さんなどに参加していただいて議論いたしましたけれども、先ほど途中で事務局からありましたように、適応策が典型的でありますけれども、プログラムから生み出される情報そのものが政策形成ですとか、あるいは社会の中で活用されるということが目に見える形になってきたというのも、これまでの御努力の中で見えてきたところではないかというふうに思っております。是非来期のところで、個人的に思っておりますのは、先ほどCOP22の話を関委員がおっしゃいましたけれども、JAXAさんと国環研さんでしょうか、サイドイベントをされておりましたが、やはりそのモデルの高度化のためにも観測との連携、特に今回もございましたのは、衛星の活用等々を含めた観測とモデルの高度化というのを手と手をとって進めていくような、そうした課題というのを是非次期には期待をしたいと思いますし、そこに途上国を含めた適応策、科学技術外交の一つの道というのがあるのではないかというふうに思っております。
もう一つは、これまでの議論の中でございましたが、科学技術研究とステークホルダーあるいは社会との関係というのを何人かの委員から御指摘を頂いたというふうに思っております。フューチャー・アースに見られるように、これまでの科学技術研究の在り方というのをやはり研究者そのものが問い直すという、そういう問題提起を受けているのだというふうに理解をしておりまして、もちろん個人としての研究者の姿勢、努力もそうだと思うのですが、フューチャー・アースあるいはSDGsといったものから見たときに、科学技術研究はどうあるべきか、あるいは研究者がどうあるべきか、これをどういうふうに制度として問題提起をし、在り方を考え直していくかというそういうところにまた次期の課題というのを検討課題としておきます。
以上、頂きました御意見、9期への申し送りというふうに理解をして事務局の方にこちらをお渡ししたいと思っております。
終了の予定時刻が近付いておりますので、本日はこれで終了としたいと思っておりますけれども、事務局から御連絡をお願いできればと思います。
【對(つい)崎係長】  どうもありがとうございます。それでは、最後になりますので、事務局を代表して研究開発局長の田中から一言御挨拶を申し上げます。
【田中研究開発局長】  研究開発局長の田中でございます。これまで2年間にわたりまして委員の皆様方に御指導賜りました第8期の環境エネルギー科学技術委員会は本日が最終回ということで、事務局を代表いたしまして一言御挨拶と御礼(おんれい)を申し上げたいと思います。
本委員会では環境エネルギー分野におきます研究開発を評価いただきますとともに、パリ協定の採択や政府適応計画を踏まえた我が国における今後の気候変動研究のあり方についての検討報告書、あるいは第5期科学技術基本計画を踏まえた環境エネルギー分野の実施計画であります研究開発計画を策定いただくなど、精力的に御審議を頂きましたことを改めて御礼(おんれい)を申し上げたいと思います。きょうも少し議論が出ておりましたけれども、この時期にアメリカでトランプ政権が発足いたしまして、そもそも炭酸ガスによる地球温暖化そのものに対して懐疑的な態度をとられるということも聞いております。今後、米国自身が再生可能エネルギー、省エネルギーに対する取組が大幅に減退していくのではないかとか、あるいは地球環境変動予測研究に対するアメリカの貢献というのが大きく下がっていくのではないか、そういった懸念もあるところでございます。
一方、私実は昨日、ちょうど南極の昭和基地が1957年に設立されてちょうど60周年を記念する式典がございまして、参加してまいりましたけれども、非常に日本がまだ敗戦を少し引きずって国際的な科学技術のコミュニティーの中に参加できるか否かというような時代に、先人の御苦労をもって昭和基地を設立し、以降60年にわたって一貫して取組を進めてまいりまして、今、御承知かもしれませんが、南極の観測の中で日本の役割というのは非常に大きな位置付けを占めてございます。そういう意味ではアメリカの政策が大きく変更されるかもしれないというような中で、むしろ日本としては、きちっとこういう環境エネルギーの分野において一貫して取り組んでいく姿勢を示していくということは非常に大事なんだろうと思ってございます。
現在、ほかの省におきましても低炭素社会実現に向けた緩和策、適応策についての議論が本格化しておりますし、次期第9期の科学技術委員会におきましては、こういった国際的な環境変化でございますとか、あるいは他省の議論、それから今回定めていただきました研究開発計画、そういったものを踏まえながら、引き続き環境エネルギー分野における研究開発の推進方策について御審議をお願いしたいと思ってございます。
最後に、各委員皆様のこれまでの御尽力に改めて感謝を申し上げますとともに、引き続き環境エネルギー科学技術行政の推進に御指導、御支援を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の御礼(おんれい)の言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【對(つい)崎係長】  そのほか事務連絡でございますが、本日の議事録は、後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。御確認いただき、修正等あれば御指摘いただければと思います。最終的には文部科学省のホームページに掲載することで公表させていただきますので、よろしくお願いいたします。
また、旅費、委員手当等の書類につきましては、御確認いただきまして、お帰りの際に机上に置いていただければと思います。
また、資料については、机上に置いておいていただければ、後日郵送させていただきます。
以上でございます。
【高村主査代理】  ありがとうございます。それでは、これをもちまして第8回環境エネルギー科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

── 了 ──

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研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)