核融合科学技術委員会(第28回)議事録

1.日時

令和3年12月24日(金曜日)15時00分~16時30分

2.開催方法

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

(1)「第1回中間チェックアンドレビュー」について(報告書案の審議)
(2)第 29 回 ITER 理事会 および第 28 回 BA 運営委員会 の開催結果について
(3)分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラムについて

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、五十嵐道子委員、植竹明人委員、大野哲靖委員、尾崎弘之委員、岸本泰明委員、栗原研一委員、栗原美津枝委員、小磯晴代委員、兒玉了祐委員、髙本学委員、高梨千賀子委員、中熊哲弘委員、吉田善章委員

原型炉開発総合戦略タスクフォース

笠田竜太主査、坂本瑞樹主査代理

文部科学省

岩渕秀樹研究開発戦略官、田村泰嗣室長補佐、川窪百合子核融合科学専門官、長壁正樹科学官、近藤正聡学術調査官

5.議事録

【上田主査】  本日は御多忙のところご参加いただきありがとうございます。
 定刻になりましたので,第28回核融合科学技術委員会を開催いたします。
 今回も新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにて開催をいたします。
 それでは,議事に入る前に事務局より定足数の確認及び配付資料の確認,よろしくお願いいたします。
【川窪専門官】  本日の委員の御出欠につきましては,吉田朋子委員が御欠席,栗原美津枝委員が遅れてご参加予定で,そのほかの委員の皆様が出席されています。
 本会議の定足数は過半数の8名以上でございます。本日は,14人の委員会委員に御出席いただきますので,定足数を満たしていることを御報告いたします。
 また,今回は,原型炉開発総合戦略タスクフォースから委員会への報告事項がございますが,原型炉タスクフォースの笠田竜太主査は遅れて参加される予定とのことで,坂本瑞樹主査代理から御報告いただきます。
 次に,本日の配付資料についてですが,議事次第の配付資料一覧のとおりです。今回も委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てに事前にメールにて配付資料を送付させていただいております。会議中,遠隔会議システム上では資料を表示しませんので,各自お手元で御確認いただきます。
 以上です。
【上田主査】  ありがとうございます。本委員会は,委員会運営規則に基づき,議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され,ホームページ等で公開されます。
 それでは,議事に入ります。議事1「『第1回中間チェックアンドレビュー』について(報告書案の審議)」に入ります。
 前回の核融合科学技術委員会では,「第1回中間チェックアンドレビュー目標とアクションプラン進捗状況との連関」について審議し,委員会で出た御意見を踏まえて原型炉タスクフォースで再審議いただくようにお願いいたしました。本件につきまして,原型炉タスクフォースでの審議結果を御報告いただきたいと思います。坂本タスクフォース主査代理(以下、「坂本TF主査代理」),御説明よろしくお願いいたします。
【坂本TF主査代理】  第1回中間チェックアンドレビュー目標とアクションプラン進捗状況との連関について,タスクフォースでの審議結果を御報告いたします。
 審議項目は2点で,資料1-1の②と⑥についてです。前回の本委員会で吉田委員から②の「評価軸/視点」の文章にあるJT-60SA研究という言葉のニュアンスについて御意見がありました。上田主査よりタスクフォースにて適切に見直すようにとのことでした。この点について,タスクフォースにて議論し,「評価軸/視点」をより明確にするように,「JT-60SA研究の計画策定が完了し」という表現に修正しました。資料の赤字で書かれている箇所です。
 2点目は,植竹委員から御提案があった⑥の(1)と(2)の「評価軸/視点」の文章の入替えについては,タスクフォースで議論し,御提案のとおり入れ替えるのがよいという結論になりました。
 報告は以上です。
【上田主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして,御質問,御意見等ございますか。
 御指摘の点は適切に御修正いただいていると思います。
 吉田善章委員,よろしくお願いいたします。
【吉田(善)委員】  今コメントいただいたJT-60SAの件です。この文章では,第3のポツのところに「JT-60SAによる研究は開始された」というふうに書いていますけれども,やはりこの表現は状況の認識として正しいのかという点は気になります。やはりアカデミアの常識として,このような状態を「JT-60SAの研究が開始された」と表現していいのかというのは慎重に考えないといけないと思います。「計画策定が完了し」という状態が「研究が開始された」と言っていいのかどうか分からないので,計画策定が完了し,建設が進んで,運転の手前にあるという表現が適切だろうと思います。この状態を「JT-60SAによる研究が開始された」とする表現は,大変違和感があるので,そこはやはり委員会としてできるだけ客観に耐える表現にすべきだと思っています。
【上田主査】  坂本TF主査代理,何かこの点についてタスクフォースでの御議論等について御紹介いただけますでしょうか。
【坂本TF主査代理】  吉田善章委員が言われることはごもっともな御指摘だと思います。特にタスクフォースでその点について深く議論はしていないため,個人的な意見にはなりますが,吉田善章委員が言われたことは,「現状分析」の3ポツ目に書かれております。現状としては,「補修完了後,トカマクプラズマの点火が予定されている」ということで,完成したということではないという趣旨で記載しております。2列目の第1回中間チェックアンドレビュー(以下、「CR1」)までの達成目標というのは,最初の平成29年に書かれたところの目標ですので,それに向かって,それを「評価軸/視点」でどのようにして解釈していくのかということを書いたものになります。現状,点火ができていないという状況で,これをどのような評価軸で見るかということで,JT-60SA研究とすると,まるで完成したかのように見えるというニュアンスの違いがあるということで,現状の「計画策定が完了し」というところを評価軸にして,この達成目標というところを見るというような考え方の下で文章の修正を行いました。
【上田主査】  坂本TF主査代理の方から御説明があったように,吉田善章委員からの御指摘については,タスクフォースでも同じような考えを持っていて,その部分に関しては,赤字の記載をもって表現をされたと理解しております。
 また詳細につきましては,「現状分析」のところに書かれておりますので,正確に状況についてはここに記載されているかと思いますが,いかがでしょうか。
【吉田(善)委員】  3番目の文章ですよね。短く書いてあるところが,常識からずれているのではないかと思います。せっかくこういうプロセスを踏んでいますし,この分野の信用にも関わると思いますので,やはりそこは正確を期した表現にすべきだと思います。
【上田主査】  正確を期したというところではありますが,実験は始まっておらず,トカマクの点火は予定されているということを想定して,飽くまで計画策定の段階までしか到達していないということを,以前の文章に比べて少し明確化しているということなのですが,どうでしょうか。それほど常識から外れていると考えるべきでしょうか。
【吉田(善)委員】  研究が開始されたことは何を意味しているかということです。次のカラムを見ると,何となく説明をしているということだろうと思いますが,そこの表現はもう少し正確な表現をした方が最終的にはこの分野のためになると思います。
【上田主査】  ただ,正確な表現といっても,そこは難しいと思います。開始は確かにされていないけれども,計画策定という部分については少なくともできている状況下で,開始しているか,していないかについて,より正確な表現,正直な表現というのはどうなのでしょうか。例えばどういう記載をお考えでしょうか。
【吉田(善)委員】  例えば赤字に書いてある「計画策定が完了し」ということがチェックポイントであるならば,計画策定が完了したということなのでしょうね。それが要するにハードルであるとするならば,そのハードルを越えたということなのだろうと思いますが,研究が開始されたという文言から普通考えるアカデミアの常識は今の状態ではないと考えています。
【上田主査】  その右側の「現状分析」の1ポツ目の表現に問題があるということですか。具体的に,吉田善章委員はどこの表現に問題があるという御指摘でしょうか。
【吉田(善)委員】  「研究は開始されたか」については,右隣のカラムの3ポツが対応しているということでしょうか。
【上田主査】  そうです。それぞれのポチが対応しているということです。
【吉田(善)委員】  分かりました。それでは「開始されたか」という問いに関しては,点火が予定されているという状況であるということでしょうか。
【上田主査】  そのとおりです。
【吉田(善)委員】  分かりました。表の見方は納得いたしました。
【上田主査】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それ以外に御意見,御質問はございますか。兒玉委員,よろしくお願いたします。
【兒玉委員】  同じような質問になりますが,いわゆる我々が責任を持って言わないといけないのは,一番右側にCR1までの目標の達成状況がこの委員会として達成されたと言い切るかどうかということですよね。そこの中に,研究の開始が目標達成でしたが,策定が完了しても開始したというふうに定義づけられるので,研究の開始は達成されたという御意見ですね。
【上田主査】  はい,そういうことです。
【兒玉委員】  私も吉田委員と同様の懸念があって,その記載が世の中に耐え得ると我々が責任を持って言えるかというと,結構難しい印象を受けます。
【上田主査】  ありがとうございます。その辺の議論は実はこれまでの核融合科学技術委員会で行ってきたと考えています。例えば,今の資料のところで,3カラム目の「アクションプラン進捗状況調査結果」のところです。そこで,どういう経緯で進められてきたか書いてあります。2つ目のポツ,7月原型炉タスクフォースでは,「JT-60SAによる研究開始という目標の達成状況をどう評価するかは委員会の皆様の判断に委ねたい」ということでした。これを踏まえて8月の委員会では,大きな結論としては,「特段の変更は必要ないと考える」という形にしようという議論をさせていただいたということです。
【吉田(善)委員】  この表の見方が今大分分かってきましたが,CR1までの目標の達成状況というのが3つあって,一番右側が11月30日のタスクフォースの結論であるということですね。
【上田主査】  そうです。
【吉田(善)委員】  「現状分析」に基づいて,タスクフォースとしては,「評価軸/視点」の評価軸において達成されているという結論をしたということですね。
【上田主査】  はい,そうです。
【吉田(善)委員】  そうすると,やはり兒玉委員が言われるように,タスクフォースはそういう御結論かもしれませんけれども,私としては,この3番目の「研究は開始されたか」ということに対してこういう現状分析がされて,「点火が予定されている」という現状分析であるとするならば,それを達成したというふうには言えないと思います。少なくとも何らかのコメントをつけるべきだと思います。
【岩渕戦略官】  事務局からよろしいでしょうか。
【上田主査】  お願いします。
【岩渕戦略官】  資料1-3も見ていただければと思います。資料の1-3は,資料1-2の連関表を踏まえて,第1回中間チェックアンドレビュー報告書(案)としてまとめる文書です。こちらの資料1-3については,前回までの委員会で第4章まで案文について御確認を頂いたところです。このうちの第4章,3ページの4ポツにある「CR1時点で求められている目標の達成状況」は, 8月,10月の委員会で2回審議頂いた上で,この文章が固まっているところです。
 4ポツの(3)については, CR1までの目標は達成されていると判断したという結論で,前回まで委員会で審議頂いた結果が書かれています。今回,委員から問題提起があった点については,この委員会でも重ねて議論があり、すなわち8月,10月の委員会では,トカマクプラズマがついておらず,ECRプラズマのみついているという状況を、チェックアンドレビューの報告書に書き残すべきという問題提起を頂いたところです。
 そのことについて,今回,上田主査と事務局で,第5章の部分を検討させていただき,御提示した案文の中に今の委員の思いは十分に込めています。資料1-3の第5章で,この部分を明確に記載しています。
 例えば資料1-3の5ページにある(3)第2回中間チェックアンドレビュー(以下、「CR2」)に向けた課題というセクションにおいては,最後のポツで,JT-60SAについては,トカマクプラズマが達成されておらず,その達成が,今後CR2に向けて非常に重要な課題として残っている点を留意事項として記載しました。このように今の委員の問題意識を踏まえて報告書案を策定しています。
【吉田(善)委員】  了解いたしました。資料1-3のところにそういう注意書きを書いた状態で第1のCR1を通過するということについては,委員会として認めたということですね。そこのところに技術的な問題があるということは明確に指摘してあるのであれば構わないと思います。
【兒玉委員】  話としては,論理的でいいとは思いますが。他方で少し懸念するのは,やはり先ほどの表のところです。普通の人は表を見て判断します。それに対して我々が説明するときに資料1-3を使えばいいということで説明があったと思います。質問をされる方はそれで問題ないと思うものの,質問をされない人たちは,あの表を見てどう思うか少し気になるところです。達成目標を,研究開始としていて,目標が達成されたと書かれてあれば,普通の方はあの表を見て,開始されていると思います。質問されない人たちがどういうふうな御意見を持っていかれるかというのは少し懸念材料です。これ以上特に反対はいたしません。
【上田主査】  坂本TF主査代理が御説明いただいた資料は,その後,岩渕戦略官が御説明いただいた資料1-3の別紙という形でつけられますので,資料1-3がメインの資料であるということは一言申し述べておきたいと思います。再度になるかと思いますが,1-3の資料について,岩渕戦略官から御説明をお願いいたします。その後でまた議論の時間は設けたいと存じます。
【岩渕戦略官】  資料の1-3に基づき,第1回中間チェックアンドレビュー報告書(案)の最新版につき,事務局から御説明いたします。本日御審議いただくのは第5章です。ただし、第5章の前の部分でテクニカルな修正を幾つか入れておりますので,1ページ目から御説明いたします。
 1ページ目中ほど,BA活動という記載が分かりにくいという御指摘がありましたので,初出の記載に「幅広いアプローチ」という日本語を加えました。
 1ページ目の下側,平成29年12月の核融合科学技術委員会において決定したチェックアンドレビュー項目がございますので,それを別紙1として加えました。
 また,1ページ目のその下,読みやすさの観点で修正を入れております。
 次の2ページ目,第3章の核融合を取り巻く国内外の情勢の変化等ですが,「核融合」,「核融合エネルギー」のどちらが日本語として据わりがいいか,「エネルギー」という言葉を入れた方がより政策的な意義が明確になる部分については「エネルギー」という言葉を入れるという修正を入れております。
 資料1-3,3ページ目,別紙1を入れた関係で,別紙1として今まで挙げたものを別紙2に変更しております。
 続いて,第4章(1)の中で,原型炉タスクフォースから今年1月に委員会に御報告していただいたアクションプランフォローアップ結果について記載していますが,こちらを添付するということで「別紙3参照」と加筆しております。
 そして,3ページの下側,4ポツ(3),本日,坂本TF主査代理から御説明いただいた連関表を,この報告書の別紙4として添付するという趣旨を書いております。
 以上が第4章までで,ここからが今日御議論いただくパートです。第5章CR 2に向けた課題という項目です。これまで8月の委員会,10月の委員会,そして11月の原型炉タスクフォースなどで御審議を頂いたものを文章化しています。
 (1)「アクションプラン進捗状況調査結果を踏まえた分析」です。そこで下に赤い字で4つのポツが入れてありますが,こちらは今年1月にタスクフォースから委員会に御報告を頂いたアクションプラン進捗状況調査結果の冒頭で指摘されている重要な論点ということを基本的に書き写す形で4つの事項をここに記載しました。
 1つ目がITERにおける機器開発経験など,これまでに得られた知見を最大限活用していくということ。
 2つ目,人材,資金面のリソースなど充実して,リソース配分の優先順位づけなどを議論していくことが必要ということ。
 そして3つ目のポツは,原型炉という事業の大きさを踏まえて,産学官の協調を深める体制構築が大事であるという指摘。
 そして4つ目のポツで,産学官で構成している原型炉設計特別チームなどが,これまでの概念設計活動の経験を生かして原型炉計画に生かしていくこと。
 こうしたことを, 2021年1月のタスクフォースの報告書から書き写しています。
 4ページ目の下側,(2)「最新情勢を踏まえた分析」です。こちらは,国内外の最新の政策動向を基に論点を分析した結果として記載しております。
 ①技術的側面,②非技術的側面と,今まで,前回の委員会までは便宜的に書き分けた形になっておりましたが,技術,非技術と二分法で分けられるのかという議論もあり,技術,非技術と整理せずに,全体をまとめて記載しています。
 1つ目,米国や英国において,核融合発電の実現時期の前倒しに関する構想が発表されたことの分析結果として,米国,英国の構想自体は,まだまだ不確定な要素が多く,さらなる分析が必要であるものの,これら構想の登場を踏まえれば,日本における核融合発電の実現時期を加速できるのではないか,その可能性を少なくとも検討する価値はあるのではないかという分析を入れています。
 そして2つ目,子細に見れば米国や英国の核融合発電実現構想には,様々な違いがあるものの,共通的に必要になる基幹技術は早期に確保していくことが重要であると述べております。
その上で,3つ目,諸外国で注目されている革新的技術について,仮に原型炉に間に合わないとしても,中長期的に研究開発に取り組んでいくことが大事であると記載しております。
 また,4つ目,米国,英国等における発電の実現時期前倒しに関する検討の中では,核融合関係の企業群の組織化や,立地や安全に関する検討が開始されている点を述べた上で,社会連携活動の進め方についても,こうした国際情勢を踏まえることが必要だと記載しております。
 そして,5つ目,核融合が国民に選択されるエネルギー源となるには,社会との不断の対話が必要であるということで,この委員会の提言を基に,既にアウトリーチヘッドクオーターが設立されて,活動が始まっているわけですが,その発展方策について議論を深める必要があると記載しています。
 その上で,5ページ目の(3)で第2回中間チェックアンドレビューに向けた重要課題について列挙しております。こちらも,技術面の課題,非技術面の課題に分けることなく,一緒に列挙しております。
 1つ目,我が国においても,核融合発電の実現時期の前倒しが可能か,技術的に検討を深めることが重要な課題であると記載しております。また,何らかの前倒しを行う場合,CR2で期待する達成目標自体を見直すことや,原型炉に向けた研究開発に関する優先順位を再検討することも課題であると書いております。
 2つ目,発電実現時期に関する検討について述べております。こちらは様々な観点からの検討を伴うべき複雑な課題であると認識した上で,速やかにこの報告書において取り込むことができれば良いが,この課題の複雑性からして簡単ではないということで,米英の戦略などの情勢なども見極めながら,このCR1の報告書をまとめた後,1年程度をかけて慎重に検討していくべき課題であるという認識を記載しております。また,1年程度かけて行う検討について,※印で2つ補足説明を入れていますが,CR2の達成目標,あるいはアクションプランをどう見直していくのかについては,六ヶ所の原型炉設計特別合同チームにおいてまず検討していくことが重要であると述べております。その上で,原型炉タスクフォースにおいてその見直しの議論を進めていただく。そして,タスクフォースから委員会に対して議論の経過を報告していただいて,特に非常に重要なCR2達成目標,これについて変更等がある場合は,この委員会が最終的に決定をするという原則を改めて明確に記載しております。
 3つ目,先ほどお二人の委員の御指摘です。
 6ページ目に移り,4つ目,アウトリーチ活動については,ヘッドクオーターが設立されていますが,その発展方策を考えることが重要な課題であると指摘しております。
 5つ目,核融合関係の産業界の組織化,あるいはこれまであまり核融合に関わってこなかった企業においても,核融合への重要性の認識を深めていただくことが課題であると指摘しております。
 6つ目,核融合が発電に近づいてくることに従い,立地や安全の議論を深めることも課題であると指摘しております。
 7つ目,以上に挙げた課題は必ずしも文部科学省傘下の審議会である核融合科学技術委員会,あるいは,その傘下にある原型炉タスクフォースの役割に収まらないような課題もあるかもしれないことから,文部科学省傘下の審議会に限らない,より幅広い関係機関による今後の議論の深まりを期待したいと表明しております。
 8つ目,核融合発電時代の到来に備え,核融合が必要な広範な人材の育成・確保重要な課題であると課題を列挙しております。
 以上が第5章として今回御提案しているところです。今回の御議論を踏まえて,第5章の文言を固め,次回の委員会において第6章の結論の部分を固めるというふうに進めていければと考えております。
【上田主査】  ありがとうございます。先ほどの吉田善章委員,兒玉委員の御指摘の部分に対しましては,この報告書の中で,岩渕戦略官から御説明があったように,CR2に向けた課題ということで明確に記載する形の対応をしたということでございます。
 それでは,先ほどの話に戻っていただいても構いませんが,御質問があればお願いします。吉田善章委員,お願いします。
【吉田(善)委員】  今の御説明で基本的な論理はよく分かりました。先ほどの点について,やはり委員会としては十分注意した方がいいというのは,私は決してここのCR1のところでブレーキを踏むべきということを言っているのではなく,それを進めるに当たって,委員会が信頼を得る報告書を出しているということが重要という意味で申し上げます。CR2に向けたという課題というところはもちろん大変いいのですが,私から1つ提案したいと思います。第4章のCR1の時点で求められる目標の達成状況というところで,まず総論としてこれはだいたい満たしているという記述が3ページ目にあります。(1)のところでだいたい順調に推移していると評価しているのはそれでいいと思います。(3)の「CR1目標とアクションプラン進捗状況との連関」では,CR1までの目標は達成していると判断しており,別表として資料1-2の表が参照されるという理解ですよね。そうだとすると,やはりここのところに少しコメントして,JT-60SAについては,ECRプラズマの着火まで進んでいるものの,本格的なトカマク実験には至っていないので,これについてはできるだけ早期に本格的な実験に入ることが期待されるといった記述で,その問題を看過しているのではなく,重要な課題として認識していて,それをできるだけ早期に実現すべきだと委員会としても考えているという表現にしていただくのがいいのではないかと思います。4ポツで,達成状況として評価しているわけですから,そこにそういった記述があるのがいいのではないかと考えています。
【上田主査】  ありがとうございます。事務局からお願いいたします。
【岩渕戦略官】 今の吉田善章委員の御指摘,この委員会として,この点を議論した上で報告書がまとめられたと後世に残るということが大事であると改めて認識しました。具体的な書き方は,主査、主査代理と検討させていただければと思います。あまりブレーキをかけるという趣旨ではないという御指摘もありましたので,それをうまく表現するにはどうすればいいのか,検討する必要があると思いました。
【上田主査】  ありがとうございます。そのようにできれば進めさせていただきたいと思いますが,吉田委員,それから兒玉委員,そのような進め方でよろしいでしょうか。次回の核融合科学技術委員会でその部分に対しては検討された結果をお見せできるという形になりますが,いかがでしょうか。
【吉田(善)委員】  よろしくお願いいたします。
【兒玉委員】  是非よろしくお願いいたします。
【上田主査】  ありがとうございます。それでは,そのように進めさせていただきます。
 それでは,続きまして,五十嵐委員,よろしくお願いいたします。
【五十嵐委員】  御説明ありがとうございます。技術的側面と非技術的側面が今までの議論の中では分かれていましたが,分けないことにしていただいて,私はとてもよかったと思います。これまで核融合に限った技術ということで議論してきたかと思いますが,今後は両方それぞれが連関してくる部分は大きいと思いますので,よかったと思います。
 しかし,そうしたために,全部文章を読まないと分からなくなってしまったので,例えばキーワードや見出しのようなものが必要になるのか,そういうものをつけない方がいいのか,その辺について,皆さんの御意見を伺いたいと思いました。
 例えば,強調したいところを少し太字にするとか,下線を引くとか,そういう工夫があるとよいのか,そういうふうにしない方がいいのかといった点です。全部が同じように記載されているので,それぞれ全部重要だというのは分かりますが,ぱっと見たときに分かりやすくするような工夫があると良いと思いました。
 もう1つは,結論の前のポツの2つ目です。ここに挙げた点は必ずしも文部科学省傘下の委員会に限らないという点は,そのとおりだと思います。こういったことは触れていただけるといいのですが,最後のところが「期待したい」というのが,少し他人(ひと)ごとになってしまっているようなので,やはりこの委員会なども中心となってそういった動きをやっていかなければいけないということで,もう少し積極的な表現がいいと思いました。
【上田主査】  御指摘ありがとうございます。確かにポツが4つ,5つ並んで文章が書かれているときに,そのポイント,あるいは重要な点というのが一見して分かりにくい感じになっていると思います。ただ,どういうふうに対処するかは,私も今すぐお答えはできませんので,最終版に向けて事務局と少し検討させていただきたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。
【岩渕戦略官】  事務局としても,今の御指摘,更に分かりやすくなるように工夫ができないか,考えたいと思います。また,下から2つ目のポツのところの書き方についても御指摘いただきました。もちろん,ここは,文部科学省の諮問機関としての審議会ですので,文部科学省の所掌範囲外のことをどう表現するのが適切か,こうした観点もあるかと思います。そうしたことも踏まえながら検討してまいります。
【五十嵐委員】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【上田主査】  御意見ありがとうございました。それでは,戦略官からお話があったような形で事務局ともよく相談して修正させていただきたいと思います。
 続きまして,植竹委員,よろしくお願いいたします。
【植竹委員】  ありがとうございます。5章(3)の下から4つ目のポツ,若しくはその1つ下のポツですけれども,この2つのポツが文科省さんの所掌に収まらない課題ということで今回顔を出しているのだろうと思います。この2つのうちの1つ目は,2行目に「核融合関連の産業界の組織化などが進みつつある」という言葉があるのですけれども,産業界の組織化とは何かというのが,私には少し明確にイメージができないのですが,少し御説明を頂いた上で,この言葉がいいのかどうか,若しくはほかの言葉がいいのか考えたいと思いますが,いかがでしょうか。
【上田主査】  ありがとうございます。これにつきましては,事務局からお願いいたします。
【岩渕戦略官】  これは前段,英国,米国の動きから出てきた文言です。米国において,フュージョンインダストリーアソシエーションが立ち上がり,産業界として政府の核融合政策に対する提言といったもの,こうしたものを組織的に行っているということが,米国連邦政府の核融合政策を進める上で大きなインパクトを与えている。このような点を意識しながら書かせていただきました。
【上田主査】  植竹委員,いかがでしょうか。
【植竹委員】  そうですね。この報告書は,これ単体で読んで分かることが必要だとは思いますので,実は今の御説明を聞いても,それが組織化と言うのか若干疑問があります。今の書き方だけで,文科省の枠に収まらない課題だといって,ほかの組織の検討課題としてどこかに期待をするということでは,投げられたボールを受けづらい気がしますが,いかがでしょうか。
【岩渕戦略官】  ほかの分野の例を御紹介いたしますと,例えば量子技術のような分野でこうした産業界のフォーラムづくりが行われています。文部科学省の研究開発の行政となってしまいますと若干狭いということで,内閣府における量子戦略の検討の結果として,量子技術の産業界の協議会の設置といった組織化の議論が進んでいるところです。核融合についてはそういう検討がまだないわけでありますが,将来的にそうしたものを期待してもいいのではないかという趣旨です。
【植竹委員】  そうしますと,今存在している核融合エネルギーフォーラムのようなものではなくて,もっと産業として自立的に歩いていけるようなものに橋渡しをするような役割のものということなのでしょうかね。そうすると,産業界に対する産業政策という意味合いを含んでいるということでしょうか。
【岩渕戦略官】  研究開発に関する情報交換などは核融合フォーラムでも行われていますし,六ヶ所の原型炉特別設計チームにも多くの産業界の方に入っていただき概念設計活動しているということで,研究開発については既にそういう取組もあります。その中で,更に一歩進め、産業政策という視点が入ってくると,文部科学省の所掌を超えた議論もあるのではないかといったニュアンスです。これは委員会の議論の中でも尾崎委員から繰り返し問題提起があったことを踏まえながら書かせていただいたものです。
【植竹委員】  イメージは大体分かりました。産業政策という言葉の方が私は分かりやすいと思いますが,組織化だけだと単純な目的になってしまうので,政策的な言葉のニュアンスを持たせた方がいいのではないかと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。今お話に上がった尾崎委員,何かこの辺の書きぶりについて,もし御意見ございましたら,いかがでしょうか。
【尾崎委員】  突然でしたので,いいアイデアが出てくるわけではないのですが,そこは事務局ともお話しして,また意見を述べさせてもらいます。
【上田主査】  分かりました。よろしくお願いします。それでは,少しその辺の表現を含めて事務局と検討させていただきたいと思います。植竹委員,それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
続きまして,吉田善章委員,よろしくお願いいたします。
【吉田(善)委員】  今の論点についてですが,核融合が技術として産業界に入っていくためには産業構造の分析が必要なのだと思います。とりわけ文科省に関わる,更に言うとアカデミアに関わる立場からすると,その問題における人材の育成・確保の問題なのだろうと思います。そういった観点から,産業構造がどのようになっていくのかということに合わせた人材の確保についても,とりわけ文科省に関わる事項として検討していくという記述が必要なのではないかと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。人材の確保という視点,あるいはそれに相当する文言を入れた方が良いという御指摘であると思います。
【岩渕戦略官】  今、委員がおっしゃったことを事務局としても意識をしており,6ページ目の追加をした赤い字の最後のポツ,「以上に加え」というところです。今まで核融合を狭く捉えながら人材育成を行ってきたという批判も一部にあるわけですが,核融合についての広範な人材をいかに育成・確保していくのかについては,CR2に向けた文科省として重要な課題であるという認識を記載したものです。
【上田主査】 人材に関しては,その必要性を書かせていただいていますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【吉田(善)委員】  はい,分かりました。
【上田主査】  ありがとうございます。それでは,髙本委員,お願いいたします。
【髙本委員】  ありがとうございます。冒頭の議論を聞いていますと,やはりCR1については,非常に定量的な目標の設定と達成度の評価というのが非常に難しい部分があると思いました。しかしながら,CR2に向けての目標設定とアクションプランの見直しについては,是非定量的な部分をやはり入れ込んでほしいと思います。それが達成できたか,できなかったかというのはかなり機微なタッチのところではあります。先ほど出ましたように,そこでできないからブレーキをかけるというようなところがない部分もありますので,そこは委員会として評価しながら進めるべきだと思います。
 それともう一つは,目標のデジタル化とともに影響度というのをやはり評価すべきだろうと思います。今回,ECRプラズマはできたけれども,トカマクプラズマができなかったということが,スケジュール的または技術的にどんな影響を及ぼすのかと
いうことです。そういうものが我々委員として評価できない限り,すごく難しい問題,後戻りできないところへ行ってしまうのか,行かないのかも含めた評価が必要だと思いますので,是非そこら辺を検討して頂きたいと思います。コメントです。
【上田主査】  ありがとうございます。ただいま髙本委員からの御指摘の部分は,これまでの議論の中で第4章,CR1時点で求められている目標の達成状況に関する最後のところで,吉田善章委員から御指摘があったような形での修正を加えるということで対応していきたいと思います。
 それから,CR2の目標の部分に関しましては,ただいま御説明いただいた資料5ページ(3)の2つ目のポツのところで,「CR1の後,1年程度をかけて慎重に検討すべき」ということなので,そこの検討の中で,できる限り今の髙本委員のコメントを考慮しながら検討を進めていただくようにタスクフォースにはお願いをしたいと存じます。
 コメントありがとうございました。
【髙本委員】  ありがとうございました。
【上田主査】  ほかにございますか。
 特にないようでしたら,ただいままでの議論の内容を考慮した上で5章までのところを修正させていただきたいと存じます。事務局と相談した上で修正をさせていただきたいと存じます。そして次回の委員会で最終案に近い形で御提示したいと思います。
 それから,その内容を踏まえて,第6章の最後の結論のところ,本日は議論しておりませんが,ここの部分に反映させていきたいと考えております。
 そして,先ほど申し上げましたように,第5章(3)にある発電開始時期についてですが,諸外国の状況を鑑みて,核融合発電の実現時期の前倒しが可能かどうか,技術的に検討を深めるということにつきましても重要な課題と考えています。この辺につきまして,1年程度,追加的に検討をしたいということをそこに書いています。これにつきましては,六ヶ所の原型炉特別設計チームにおいて最初の検討をお願いして,その上で原型炉タスクフォースにおいて御審議を頂きたいと考えております。その上で本委員会にも御報告いただき,本委員会として審議を行うという形で進めていきたいと思います。今後とも御議論,御意見,よろしくお願い申し上げます。
 それでは,次の議事の2「第29回ITER理事会及び第28回BA運営委員会の開催結果について」に移りたいと思います。岩渕戦略官から御説明をよろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】  資料の2-1「第29回ITER理事会の結果について」を御覧ください。
 前回理事会は, 11月17,18日にオンラインで開催されました。日本側からは柳文部科学審議官ほかが出席し,議題としては,ITER計画の進捗報告,そしてITERの建設活動のマネジメントに関する諸課題について議論しました。
 次に結果の概要です。3ページ目には,ITER計画の進捗について確認した結果を記載しています。運転開始までの建設作業は約75%が進捗をしており,様々な主要機器がITERサイトに納入され,組立活動が進展していることを各極が確認しました。日本で作製した超伝導トロイダル磁場コイルも次々と現地に到着をしており,超伝導コイルと真空容器の組立作業等が進んでいることが確認されております。
 他方で,このITERのプロジェクトについて,やはりCOVID-19の影響はあり,その影響は継続しています。今回の理事会では,ITERのゴールである2035年の核融合運転開始について維持することを確認しつつ,そこに至るまでのスケジュールについて,維持していくための必要な対策,例えばサイトにおいて段階的に実施することとしていた作業を同時進行で実施することによってスケジュールをなるべく保っていくといった対策について、検討したところです。
 また2つ目,ITERの運転期の基本方針という議論がございました。ITERの運転期,ファーストプラズマが近づいておりますが,この運転期を,日本として主導していくべく,運転期の基本方針を各極で検討しようと日本から提案しました。日本が議長を輩出し,QST那珂研究所の鎌田副所長を議長として,各極担当者会議を数回開催し,その結果を理事会に報告しています。
 そのレポートを踏まえて,今後ITER機構で運転期の基本方針の具体化を図っていきますが,この日本からの議長の下でまとめた基本方針の一部を御紹介します。運転期におけるITER機構の研究・実験,そして運転・保守という2つのミッションにはそれぞれ異なる組織がフィットするのではないかということ,運転期において特に大事な研究・実験の活動はITER機構のみでは対応困難なので,人材的にも,ITER機構の人間のみがこの活動を行うのではなくて,各極からITER機構に人員を具体的に派遣しながら活動する必要があるということ,こうした基本的な考え方を各極で確認したところです。
 続きまして,資料の2-2,「第28回BA運営委員会の結果について」です。こちらは今月12月16日にオンラインで開催をいたしました。主な議題は,BAにおける3つの事業に関する進捗状況の報告です。
 結果概要です。BA運営委員会においては3つの事業について事業の進捗を確認するとともに,今後の作業計画についての議論を行いました。
 ①IFMIF/EVEDA事業については,長パルスビーム試験運転が開始されたといった進捗について今回報告を受けているところです。
 ②のIFERCの事業については,こちら,IFMIF/EVEDAに対して,ITERの遠隔実験ノウハウ,RECのノウハウを活用していただいて,遠隔実験参加ツールの開発に貢献をしたといった進展を記載しています。
 そして③,先ほども議論がありましたSTPにつきましては,現在の実証の分析結果が報告されるとともに,統合試験運転の再開に向けた取組の進捗状況について確認をしたところです。また,その過程で得られた経験,知識をITER,あるいは原型炉などに生かしていくということの重要性について確認をしています。
 以上の議論がITER理事会及びBA運営委員会で行われました。
【上田主査】  御説明ありがとうございました。それでは,ただいまの御説明に対しまして御質問等ございましたら,よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは,特にないようですので,議題の3「分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラムについて」に入ります。皆様御存じのとおり,核融合科学技術委員会は,科学技術・学術審議会の傘下にある研究計画・評価分科会の下にございます。この分科会では,分野別研究開発プラン(仮称)や分野別研究開発プログラムについて審議をされているということはこれまでもこの委員会で説明させていただいております。このたび,本件について,各委員会でも議論の上,検討結果を提出するように分科会から求められております。本件について御意見などお伺いしたいと思いますが,まず岩渕戦略官の方から御説明をお願いいたします。
【岩渕戦略官】 資料3-1に基づき御説明します。基本的には,今年8月に研究計画・評価分科会の事務局が作成した資料をそのままここに報告させていただいています。
 研究計画・評価分科会の資料1ページ目,これまでの経緯ですが,この分野横断,分野共通的な評価のやり方につき,前期の科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会において試行的な取組を進めてきたという経緯があります。この試行に当たっては困難も様々に伴ったという総括がなされ,そうした経験を踏まえ,新たな仕組みをこの分科会で提案したということです。
 2ページ目が今回新たに研究計画・評価分科会の方から提案があったやり方,基本的な考え方です。こちらについて,分野ごとの委員会からの意見を親分科会としては求めています。このページには,基本的な考え方が,1,2,3とございます。
1ポツ,分野別のまとまりで実施する推進方策,これについて分野別研究開発プラン(仮称)として取りまとめるということが書かれています。
 2ポツ,分野別研究開発プラン(仮称)は,文部科学省政策評価の体系というものがございます。その政策評価の体系に基づいてこのプランを策定するということで,下の方にその政策評価の体系が書かれています。
 下の中でいえば,政策9という体系の中の施策9-2「環境・エネルギーに関する課題への対応」という中に核融合科学技術が位置づけられている。ここを分野別研究開発プランという単位にしてはどうかということです。
 そして,基本的考え方の3ポツ,政策評価の体系ですから,政策評価の体系の中には,達成目標という単位があるわけで,この単位を研究開発プログラム,そしてその単位ごとに評価を行うということが書かれておりました。
 3ページ目には,これまでのプログラム評価に関する議論の対応について書かれています。後づけの評価ではないか,評価に屋上屋を課すのではないか,こうしたことを避けるべきという議論を踏まえた上で今回の提案が行われています。
  このような研究開発プログラムに対する評価を毎年度行う案というものが4ページに示されています。1ポツ,「分野別研究開発プラン(仮称)の策定」ということで,政策評価の体系に基づいて,毎年度,分野別委員会,例えば核融合科学技術委員会において,資料3-2のフォーマットに従って分野別研究開発プラン(仮称)案を策定するといったやり方が書かれています。2ポツ,「研究開発プログラムの評価」とあります。評価軸としては,例えば研究開発プログラムごとに政策評価の中で既に設定されている測定指標,あるいは,予算の評価のために行政事業レビューといった取組を政府では行っておりますが,行政事業レビューにおける成果指標,あるいは活動指標といった既存の指標に基づいて評価を行ってはどうかということが書かれています。
 毎年こうした考え方にのっとって研究開発プログラム評価を分野別委員会で行うという案に対して,分野別委員会としての核融合科学技術委員会の見解を返す必要がありますので,御審議いただきたいと思います。 
【上田主査】  御説明ありがとうございます。こちら側からも分科会に意見として提出していますが,まずは委員の皆様から,ただいまの御説明を聞いた上で,計画評価のこのやり方,細かい内容につきまして,御意見がございましたら,よろしくお願いいたします。幾つか検討すべき部分があるかなと思いますが,いかがでしょうか。吉田善章委員,お願いいたします。
【吉田(善)委員】  核融合の分野は,正にアクションプランで課題が列挙されていて,分野としてのロードマップが示されておりますので,その中で,アクションプランにあるそれぞれの重要課題,とりわけ学術界において取り組んでいくべき重要課題というものがあって,そういうものについてアカデミアを挙げて研究していくことが核融合のエネルギー開発にとって重要でありますので,是非その辺りを明確に分かる形で表現していただきたいと思います。他分野から見たときに,核融合開発,核融合科学の分野がどういう具体的な課題に取り組んで,開発課題に取り組んでおり,また一方,どういう学術的な研究課題に取り組んでいるのかということができるだけ分かりやすく,かつ,とりわけ学際的な研究の広がりということをアピールできるような形で出していっていただきたいという希望を強く持っております。
【上田主査】  御意見ありがとうございます。資料3-2を御覧いただけますでしょうか。実はこれが今提案されているフォーマットで,最初の2ページは赤のところに何か記入するということで,その次の3ページ目は1つのイメージですが,大体記入する内容としてもこのぐらいでございまして,それほど多くはないので,どこまで細かいところが記入できるかということはございますが,まず基本的にはアクションプラン,あるいはロードマップで示された内容をベースに,この表,あるいは項目を埋めていくことになると考えております。
【岩渕戦略官】  今主査から御説明があったとおりですが,資料3-2,基本的に分野ごとの特性に応じて評価を行うということです。先ほど吉田委員から御指摘があったとおり,核融合分野においては,アクションプランもあり,ロードマップもある中で,適切な評価を行いながら研究を行っていくところです。先ほど来、原型炉について議論したこともそういうことですが,研究分野の特性に応じた評価を行うことは大事です。他方で,資料3-2の4ページ目を見ますと,これは他の分野の例なので,これに引っ張られる必要はないわけですが,例えばこちらを見ますと,査読つき論文数が成果指標として書かれています。こうした委員会と,核融合の委員会の評価軸は、違ってきてしかるべきだろうと思います。そういうことも踏まえ,この指標の選び方は分野の個性が出るところで,横並びではない形で考えていく必要があると思います。
【吉田(善)委員】  おっしゃるとおり,核融合エネルギー開発の部分は,技術開発という側面の方にありますけれども,また同時に,大学及び核融合研のようなアカデミア研究機関での学術研究として行っているので,学術研究としての課題の定式化,それが明確に表現されていて,かつ,学術研究としての評価に対しても定量化されていると良いと思います。そういう形で是非もう少し中身が見える,この表を見てもタイムスケールが5年とか10年で書いてあるので,核融合分野における5年10年の学術研究課題が分かって,それがどのようにチェックアンドレビューをされていくのかということも,十分に表現していただきたいと思います。そこの表現がないと学術研究機関としてどのように核融合エネルギー開発にコミットしているのかがほかの分野から見えにくく,学術研究機関としては更に活動しにくくなりますので,そこのところを是非十分に表現していただければと思います。
【上田主査】  事務局の方に確認をさせていただきたいのですが,今日この場で議論すべきことは,ここに何を書くかというよりは,フォーマットに関するところでしょうか。
【岩渕戦略官】  おっしゃるとおりです。今日は,成果指標として何を置くかを議論する場ではありません。むしろ、評価のフレームワークについて,こうした進め方でいいのか,非常に概略的,総論的なコメントが求められているということです。
【上田主査】  ありがとうございます。吉田善章委員,事務局からの御説明のとおり,今日の議論では、中に具体的に何を書き込むかについて御意見をお伺いしたいわけではなく,提案されている評価のやり方等々に関するもう少し総論的なところで少し御意見をお伺いしたいという趣旨です。
【吉田(善)委員】  はい。私も中身の細かいことではなくて,ここに盛り込むべき事項の中に,学術研究としての5年10年というものの具体的な定式化,その実施のありようを盛り込んでいただきたいという意味で申し上げております。
【上田主査】  はい,分かりました。それでは,兒玉委員,お願いいたします。
【兒玉委員】  ありがとうございます。基本的なことを伺いたいのですが,この評価は,政策ごとに評価されるのか,施策ごとに評価されるのかどちらでしょうか。3-1の2ページ目にある表の評価者というのは,どれぐらい横断的に見られるのか,あるいはここだけ特化して見るのか,その辺りはどうでしょうか。
【岩渕戦略官】  資料3-1の2ページ目の表が分かりやすいと思います。右の方に「達成目標:核融合科学技術分野関係」と書かれていますが,この単位が分野別研究開発プランの単位です。そのような原案が示されています。
【兒玉委員】  ありがとうございました。
【上田主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 特にほかに御意見ないようですので,先ほど最初に申し上げました,分科会に対して一応以下の3点について意見を提出したいと考えております。
 1点目は,評価作業の重複・負担軽減の観点から,基本的には政策評価の事前分析表の達成目標と研究開発プランの内容を合わせる形にしたい。その点も含めて,内容については,分野別委員会の裁量に委ねていただきたいと申し述べたいと思います。
 それから2点目は,先ほど説明の中で毎年の進捗状況報告を求められているというような記述があるということでしたが,それが必要なのか。少なくとも我々の分野で毎年の進捗状況を報告するという状況は,例えばアクションプランの場合,5年ぐらいのスパンの中で評価することになっていますので,適当ではないということを考えて,毎年の進捗状況報告が必要かどうかの再検討をお願いしたいという意見を出したいと思います。
 それから3点目,分科会事務局よりお示しいただいた分野別研究開発プログラム(仮称)のフォーマットについては,資料の簡潔性を保つ観点から,各事業の矢印内の記載項目は,事業名と事業年度及び評価実施(予定)年度程度の比較的簡略なものとすることを一応考えておりまして,別のものでよいのではないか。従前の施策マップとほぼ同一の構成ではありますが,別のファイル形式を用いることも含め,より作業しやすく見やすいデザインのものとなるように,その辺の裁量も分野別委員会に委ねてほしいということで,要は,これに完全に沿った形で書くのではなく,こちらのある程度裁量の範囲を認めてほしいということを,分科会に対して意見を提出したいと考えております。
 今の3点について,何かコメント,御意見等ありますでしょうか。
 いかがでしょうか。
 それでは,このように研究計画・評価分科会に意見提出をするということで,基本的にはその内容をどう書くかという部分についても,分野別委員会の裁量ということで,吉田善章委員からの御指摘も広い意味で含んでいると思いますので,このような形で意見を提出させていただきたいと思います。
 それでは,ありがとうございました。そのように進めさせていただきたいと思います。
 本日用意しております議事は以上ですが,このほか特に報告,審議すべき案件がございましたらお願いいたします。尾崎委員,よろしくお願いいたします。
【尾崎委員】  神戸大学の尾崎です。以前この委員会でも御報告したかと思いますが,企業向けのクローズドなウェビナーのセミナーを11月30日に行いました。講師はITER機構の多田副機構長にお願いしまして,11月30日は,登録で43名の方々がおられて,比較的ITER計画やBA活動に今まで関わってきた企業の方々が参加されています。9月と11月,2回これを行いまして,合計100名弱の方々が出ていただいて,これは我々にとっても意外に多い参加数だったと思います。
 このウェビナーの目的は,今まで比較的核融合と距離があった企業,それから基礎研究の方というよりは,経営的な意思決定に近い方々に参加していただくということで行ってきました。
 以上が御報告で,これに関して1つ感じたこととして,御提案いたします。12月17日に核融合エネルギーフォーラム主催でITER/BA成果報告会が行われましたが,恐らく我々が2回のウェビナーで声をかけた方々はフォーラムにあまり参加されていなかったと思います。ところが,このフォーラムの内容が非常に分かりやすくて,恐らく門外漢の人でも十分に状況が理解できるような内容で,非常にもったいないと感じました。ウェビナーに参加されるような方々も是非あのフォーラムには出てもらった方がよかったなという感想を持ちました。
 これは,QSTもすごく準備をされていたと思いますが,是非来年からは,そういった視点で,今まで基礎研究関係,あるいはITER関係で関連していた企業以外も呼び込むような工夫,これはコンテンツ,あるいはサブタイトルの出し方などを,計画の中に入れていいただいたらいいと思います。せっかく年1回のフォーラムがもっと有効活用できると感じましたので,是非それは御検討いただきたいと思います。
【上田主査】  ありがとうございます。非常に有益な御意見を頂いたと思います。是非フォーラムの検討委員会の方に伝えたいと思いますので,どうぞ今後ともいろいろよろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。
 それでは,本日の科学技術委員会はこれで閉会にいたしたいと思います。
 御多忙の中御出席いただきまして,誠にありがとうございました。

 
 

お問合せ先

研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

川窪、鈴木
電話番号:03-6734-4163

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(研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)