宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第55回) 議事録

1.日時

令和5年6月12日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3階1特別会議室またはオンライン

3.議題

  1. 主査の選任及び主査代理の指名について(非公開)
  2. 宇宙基本計画(案)について
  3. 国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向
  4. 中間とりまとめを受けた検討状況
  5. その他

4.出席者

委員

専門委員 藤崎 一郎【主査】
専門委員 高橋 忠幸【主査代理】
専門委員 石井 由梨佳
専門委員 植木 千可子
専門委員 金山 秀樹
専門委員 倉本 圭
専門委員 佐藤 智典
臨時委員 高鳥 登志郎
専門委員 竹森 祐樹
臨時委員 永山 悦子
臨時委員 中須賀 真一

文部科学省

研究開発局長  千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当)  永井 雅規
研究開発局宇宙開発利用課長  上田 光幸
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  池田 一郎
宇宙利用推進室補佐  橋本 郁也

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事  佐々木 宏
国際宇宙探査センター センター長  筒井 史哉
有人宇宙技術部門事業推進部 部長  小川 志保

5.議事録

【事務局】 ただいまより第55回国際宇宙探査小委員会を開催いたします。本日はお集まりいただきありがとうございます。
 まずは事務局より資料の確認を行わせていただきます。議事次第を参照の上、資料に不足がございましたら事務局へお申し付けください。資料は55-1-1から4-1までの5種類、参考資料は本小委でまとめていただいた中間報告のまとめです。資料はお揃いでしょうか。
今回は第12回の第一回の会合となりますので、冒頭の千原局長に御挨拶をお願いします。
 
【千原局長】 失礼いたします。改めて研究開発局長の千原でございます。藤崎主査をはじめ先生方におかれましてはお忙しい中、本委員会の委員をお引き受けいただき誠にありがとうございます。
 近年、御案内の通りでございますが、地球低軌道及び月をはじめとする宇宙探査をめぐる世界情勢は大きく変化してきています。地球低軌道につきましては2030年以降の民間主体の活動への移行が見込まれております。また月におきましては持続的な月面活動の実現に向けて国際競争が激化している状況でございます。
 このような状況の中、我が国におきましては昨年11月以降、国際宇宙ステーションISSの2030年までの運用、搭乗機会への参加の決定、あるいはゲートウェイに関する実施取り決めや日米宇宙協力に関する枠組み協定への署名、また新しい宇宙飛行士候補の選抜を行うなど、今後の地球低軌道から月周回、月面、更にはその先の火星を含む深宇宙探査活動に関し様々な決定を行ってまいりました。
 このような中、本小委員会では今後の我が国の地球低軌道活動及び国際宇宙探査の在り方についてご議論いただきまして、本年2月に中間とりまとめを行っていただきました。
 今期はこの中間とりまとめを基に、引き続きポストISSを含む地球低軌道活動の在り方や今後の方向性、そしてアルテミス計画を含む国際宇宙探査の今後の進め方という政策的に極めて重要な課題について御議論いただきたいと思っています。
 文部科学省といたしましては本小委員会における御議論を踏まえてISSさらにポストISSやアルテミス計画をはじめとする国際協力を通じた取組を推進して参りたいと考えております。委員の先生方におかれましてはご専門の観点から忌憚のない御意見を頂戴し、活発な議論を行っていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【事務局】 千原局長どうもありがとうございました。
 
<議題1は非公開>
 
【事務局】 議題2に先立ちまして、まずは事務局より本日のオンライン会議に関する留意事項をお知らせいたします。対面で参加の会員の皆様におかれましてはオンライン参加の委員にクリアに発言が聞こえるよう、なるべく大きな声で御発言いただけますようお願いいたします。
 またオンライン参加の委員におかれましては映像は発言時のみオンとしていただき、お顔の見える状態での御発言をお願いいたします。またマイクは発言時のみミュートを解除していただくようにお願いいたします。御意見や御質問がある場合は押しボタンをご使用いただき、御発言後に解除をお願いいたします。
 本日の会議資料につきましては事前に文部科学省のホームページに掲載しております。事務局からの説明は以上でございます。
 
【藤崎主査】 議題2でございますが、池田室長より宇宙基本計画の概要について説明いただきます。よろしくお願いします。
 
<池田室長より資料55-2-1に基づいて説明>
 
【藤崎主査】 今宇宙基本計画の概要の説明がありましたが、中須賀先生はこちらをやっておられたということで何かご発言はございますか。
 
【中須賀委員】 ありがとうございます。先ほど申し上げた通り、基本計画を作る際、一番最初のモチベーションとして感じていたのは危機感です。世界が目覚ましい勢いで進んでいる。特にアメリカを中心としたスタートアップ企業、これが国と連携して例えば国のアンカーテナンシー(契約)を受けながらすごい勢いで伸びている。そういったところと日本がいかに戦えるか、特に産業等でどうやって戦っていけるのかをしっかりやっていかなければいけない。そのためには政府としてもこれまでにないような新しい施策を打ち出していかなければいけないのではないか、そのような危機感で動いてまいりました。
 例えばどんどんスピードを上げて実証を繰り返す中で技術を伸ばしていくやり方をどのように政府の施策の中に入れていくのか。それからこれまであまりなかったいわゆる真水の将来モノに対しての研究開発をどんどんやっていく。こちらはフロントローディングという言い方をしていますが、それがない限り、いきなり開発をしてそこで初めて研究開発をするのでは全然スピードが間に合わないということで、その先の技術をある種、目利きをし、大事だと決めたものに向かって投資をしていくかを考えなければならないということで、JAXAを一つの結節点という言い方をしていますけれどもそこに情報を集約し、JAXAさんだけではなく様々なステークホルダーと力を携えて日本としての研究開発のあるべき方向を検討していく。こういったことが必要だということで非常に具体的に様々なことを議論してまいりました。
 そういったことがこの中にも入っておりますが、もう一つ大事なことは、先ほど申し上げたスピード感あふれる研究や実証をどんどん繰り返していく、これが何をやるかという項目と縦軸横軸の関係になっており、ここには書いていませんが、そういったことも合わせてやっていくことが大事だと思っております。
 それからもう一つは安全保障との関係で、防衛三文書が新しくなりましたので、この中で宇宙を防衛としても積極的に使っていこうという方向が出てきました。どういう形で日本における防衛において宇宙を使っていくか、これもやはり大きな課題ですので、これから防衛省等々との議論を深めしっかりと方向性を見出していく必要があります。
 まだまだ方向性の検討は不十分でございますので、これからしっかりやっていかなければいけないと意識している、この様な状況でございます。
 
【藤崎主査】 宇宙の低軌道についてはよく民間主体といいますが、今言われたようにアンカーテナンシーやその他の形でしっかりと支えていかなければとてもアメリカなどと競争できる日本の状況ではありません。そこは明確に私たちも議論していきたいと思います。
 他の委員の皆様、いかがでしょうか。今の大事な宇宙基本計画について御意見・御質問があればお願いします。オンラインの先生方も含めましていかがでしょうか。倉本先生どうぞ。
 
【倉本委員】 最近私が感じていることをお話したいと思います。今、投影していただいた資料のところですが、「基盤強化」というところが、私が専門とする分野においても非常に立ち遅れている傾向が顕在化しつつあると思っています。
 具体的には今MMX、SLIM、有人に向けた月の科学探査、そういった準備が進んでいる中で開発を請け負う企業の体力が限界に達してきている印象です。
 そのしわ寄せとしてその次のミッションを検討していく際に今後の検討に割くための余力がなくなり、次のミッションの計画を立てることにやや支障をきたしつつあります。
 そういったところも含め基盤の底上げを真剣に考えなければいけないという印象持っています。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。ほかの先生方、御意見・御質問等ございますか。もしなければ先ほど中須賀先生、倉本先生からお話がありましたことについて、文科省より何か追加で説明等があればお願いします。石井先生、どうぞ。
 
【石井委員】 ありがとうございます。具体的なアプローチの(3)の最後のところで、今のISSが終わった後に日本がどのように関与していくのかという問題提起をされていますが、この中で「国際的・国内的な法的枠組みの検討」が一つ課題になっています。ここでどこまでの事を想定されているのか具体的にお伺いしたいと思いました。例えば日本発の有人輸送というものまで考えうるのでしょうか。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。ほかの委員の方々はございませんか。それでは文科省、あるいはJAXAさんより、今の石井委員の提起についてお願いします。
 
【池田室長】 文科省の池田より回答いたします。こちらに記載している「国際的・国内的な法的枠組み」ですが、現状はISSのIGAがなくなった場合にどういったところに支障が出てくるかはアメリカ側のNASAや民間企業と意見交換をしているところで、まだ具体的に内容があるわけではありません。
 米側、日本側も含めてまだ手探りの状態のため、ここまでやりますといった具体的なことを申し上げるのは難しいと思っております。
 もう一点、有人輸送まで入るのかにつきましては、現状の我々の計画の中ではまだ有人での宇宙空間への到達など具体的なところまでは明記されていません。ただそういった有人活動に必要な技術というのはISSの中でも、またその先の月に向けた技術開発の中でも少しずつ積み上げていこうという方向と思っています。
 
【JAXA佐々木理事】 JAXAとしては今決められている計画の中でどう研究開発をするかということで有人を念頭においた研究開発を行っておりますが、法的な枠組みに関しては我々としてはまだそこまでいっていない状況です。
 ただし、民間の方が有人輸送等を検討されていますので、そういうところで政府の今後の議論となるのではないかと理解しています。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。特に国際的な法的枠組み、本当にあるべきものが全然ない状況で月条約以降その条約も全く批准に達しておらず非常に危ない状況にある中で三文書を作り、これから宇宙をやっていこうという時にやはり日本がリードしていける分野でもあるということはISEFの時にも議論しましたし、こういう分野については充分に重点を置いてこれから議論していただきたいと思っております。
 次の議題3、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向です。池田室長より説明をお願いします。
 
<池田室長より資料55-3-1に基づいて説明>
 
【藤崎主査】 皆様方から色々と御質問、御意見があると思いますが、最初に私から2つほどございます。1つは質問で1つは意見です。質問についてはH3ロケット試験機1号機の話がございましたが、先ほどの説明だと第2段の推進系のところで問題が生じたということでしたが、その次の8ページで見直そうとしているのは先進レーダー衛星を今まで使っていたものに切り替えようということで、30形態ではなく22形態に切り替えようということでした。これは第2段の推進ロケットの問題があったことと関係しているのか、それとも別の話だけどもたまたまこういうふうにしようとされているのか、その点を教えてください。
 もう1つはその関連で、今度は1号機の問題がございまして、日本としての今後アルテミスなどを含めての計画にどのような影響が出てくるのか。それともこれは直ちに対応し、それ程大きな影響があるとは考えていないのか、これが質問でございます。
 最後に意見としては、先ほどの中国の話ですが、私が述べることが適当か分かりませんが、宇宙実験における国際協力で中国は国連加盟国から色々公募しています。これまでの宇宙飛行士は人民解放軍でしたが北京航空航天大学の教授も登場するようになったということで、私はいずれ中国はアジアのほかの国から宇宙飛行士を公募することになれば、日本だけは日本人だけで公募していることになります。
 この度の諏訪さん、米田さんのお二人については非常に立派な方々を選んでよかったと思いますし、一度はこの場に来ていただきたいと思いますが、次の段階においては日本もアジアからも是非宇宙飛行士を公募して一人は入れる方向にしなければ、私どもはアメリカに随分と助けられてきたのに、このままで果たしてよいのだろうかと感じています。
皆様も何か御質問、御意見はございますか。中須賀さん、永山さん、竹森さん、石井さんの順でお願いいたします。
 
【中須賀委員】 アルテミス計画の中で要は先ほど来、議論がありますが日本がどこを取るのか、これは非常に重要だと思います。おそらく全部に張ってしまっては何も取れません。この中で日本が強い技術が本当にあるのかどうかということも含めて議論をして、どこが日本の十八番として月まわり、あるいはその月以遠も含めて世界の中で貢献をしていくのか。たとえばカナダアームのような形で、これは日本だと世界中が思うようなものとはいったい何なのか。これはやはりしっかりと議論をして進めていかなければいけないと思いますが、現在どういうふうに考えておられるのかをお聞きしたいです。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。永山委員お願いします。
 
【永山委員】 先ほどの石井委員、藤崎主査の御発言とも関係しますが、アルテミス合意で今25か国が署名し、ISSのパートナー以外にも広がってきています。この中には、ロシア・中国は入っていません。そうするとアルテミス合意と、中国・ロシアなど合意に入っていない国と、今後の月探査についてどういう形で月利用のルール作りを考えていくのでしょうか。今すぐお答えいただくのは難しいかもしれませんが、例えばアメリカはどういう戦略を考えているのかなど耳にされていることがあれば、また日本として何か検討していることがあるのか、教えてください。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。今、ここで他に竹森委員、石井委員、植木委員から手が上がっております。オンラインの方はいらっしゃいませんね。
 それではここで一回文科省、あるいはJAXAからお答えいただき、次に竹本先生に参ります。上田課長お願いします。
 
【上田課長】 文科省宇宙開発利用課長の上田でございます。私からロケット関係をまず最初にお答えしたいと思います。
 藤崎主査からありました通り、H3について今日は2つスライドが入っています。1つは原因究明ということと、もう1つは2号機以降に何を搭載するかということで、結論からお答え申し上げますと2つは別のことです。
 H3の原因究明はまだ途上でございます。大まかに第2段のところの電気系のショートだということが分かってきていますが、詳細要因まで含めて特定しようと現場のJAXAとメーカーで再現試験含めて鋭意対応しているところです。
 今回7ページ目に記載したのはH-2Aへの影響が出てきてしまったため、H-2Aと同様のロケットエンジンですが、そこに対する影響をきちんと評価をし、切り離せるため切り離そうということになりました。
 7ページ目のこの段階でH-2Aロケットへ水平展開を行っていますが、相対的に軽微と言える対策でこの懸念点が消せることが専門的に評価されたため、この段階でH-2Aは進めるということで、8月以降の打ち上げ再開に向かって進むことになります。
 一方次のページの2号機ですが、2号機はもとより宇宙基本計画工程表において今年度の後半の打ち上げが予定されていました。ペイロードとしてはALOS-4と呼ばれる先進レーダ衛星を乗せる予定でした。現在、原因究明を同時並行で進めなければならない状況ですが、ロケットの準備にはそれなりの相当の期間が必要なため、ペイロードをどう考えるかは政策的に整理が必要と考え、宇宙開発利用部会にも先月末にこの方向性でお諮りし御理解・御承知頂いたということで、ペイロードについては性能確認用ペイロードを乗せて次に進む、打ち上げ時期については原因究明の結果を踏まえて決めていくことになりました。
 ただ全体的に宇宙基本計画工程表で掲げられているような打ち上げ計画への影響をなるべく小さくするように原因究明を頑張っていかなければならない状況ではあります。以上です。
 
【池田室長】 続きまして中須賀先生からご指摘のあったアルテミス関係で、今後日本の発展にあたってはどういうものを考えているのかというところですが、現在ですと有人与圧ローバの開発がまずは第一になると思っております。
 あとはゲートウェイの補給、この二点が強みとして張っていくところだと思っています。ゲートウェイの補給に関してはすでにHTVを通じて補給能力を身につけているので、それをさらに拡張していきます。
 もちろん足りない部分もございますので、そこは補っていきながら技術として確立させていければと思っていますし、有人与圧ローバに関しては、現在やはり車といえば日本という認識であろうと思っておりますし、実際に有人与圧ローバの開発にあたってはどういった仕様で日本に作ってもらうかをNASAと議論しておりますので、その意味では有人与圧ローバに関しては、地球外での初めてのキャビン付きの車ということで、世界初のものを日本の強みを使って開発しているということが、やはり今後日本の十八番に張っていくという点では適切だろうと思います。
 また、永山先生からご指摘のあったアルテミス合意について、月探査と中露等とどう話をしていくかという点については非常に難しい問題でございまして、やはりロシアはISSでは協力している間でございますが、中国に関していうとアメリカの方では、ウルフ修正条項があり、米中間の協力自体が制限されています。
 一方で今後の月を考えた時に各国がそれぞれ思い思いのことをしてはいけないということで、アルテミス合意という政治的な宣言ではありますがこれに賛同する仲間を募り、その間でのルールづくりをすることで今後多くの国がこういうものに同意しているのでそれに一緒に入っていこうよという雰囲気形成をおそらくアメリカは狙っていると思います。
 実際にアメリカの方でもアルテミス合意に関する様々なワーキングチームで検討も並行して進めておりますので、そういった多数の国が参画するような枠組みのようなグループを作り広げていく方向になるのではないかと思っているところです。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。竹森委員の前に、佐々木さんから何かございますか。
 
【JAXA佐々木理事】 池田室長の言われる通りですが、強みというところでいくと元々本小委員会でも御議論いただきましたし、政策委員会でも御議論いただきました4つの技術ということで、有人滞在技術、補給技術、着陸技術、探査技術のうち、もともと強いという意味では前述の2つが挙がっています。
 それ以外にECLSSを中心とした滞在の技術と、それから着陸技術、近々SLIMが打ち挙げられますが、この2つについて我々としては中心としては進めることを考えています。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。では竹森委員お願いいたします。
 
【竹森委員】 ありがとうございます。1つが質問で、1つがそれに基づく意見でございます。
 問題意識は中須賀先生と全く一緒です。質問ですが、15ページのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)とアルテミスの関係を教えてください。アメリカで十何個かに分けて月に持っていくというプロジェクトでしたが、1機あたり数百億のプロジェクトで全体から見ると非常に小さく見えますが非常に大きなプロジェクトです。
 質問の意図としては、先ほどの御議論中で与圧ローバなど力のある大きな企業が宇宙産業に気付いて自分で参入しようとするのは素晴らしいことで、これに対する支援はしっかりやっていく。これも言わずもがなですが、例えば月面にチャレンジしたispaceはCLPSで企業とジョイントベンチャーを作りながらジョイントでやりながらまさにこのCLPSで事業を獲得したりしています。
 要は日本のスタートアップ等が自らの強みの中で、アルテミスやゲートウェイなどの正に入り口になるようなプロジェクト、CLPS等をしっかり掴んでいきながらその足がかりとしてその次にいくようなものは結構芽として出てきていると思います。
 そういうものを日本の強みと、こういう小さな入り口になるようなプロジェクトを繋げて気づかせるような取組をしていかないと、気付いた資金力のある企業だけ来てくれるではなかなか企業が来ないと思います。来ても結構自力でやってしまう。その辺りの問題意識の中で、是非CLPSとアルテミスの関係を教えていただきたいです。
 また、問題意識の中で先ほど日本の強みとして4カテゴリーを教えていただきましたが、そういうこととは違うカテゴリー、例えば「素材」です。私もCLPSの議論で中に入っていた時がありましたが、3Dプリンターの合金のパウダーなどは日本が提供できたりします。
 例えばこういうものを日本の強みを違うカテゴリーの中で見つけていく。いきなりアルテミスとはいきませんが、それの入り口となるプロジェクトにくっつけていくような取組で足掛かりを作っていければいいとに思った次第です。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。石井委員お願いいたします。
 
【石井委員】 先ほどの永山委員の質問に続けて月探査についてもう少しお伺いしたいと思いました。
 資料の15ページの月探査を巡る各国の動向の中にも示されていますように、中国とロシアも月探査、特に極域の着陸探査を予定しています。申し上げるまでもなく、極域は水資源があって太陽光が得られるかなり限られた区域であり、将来的に火星などに行く時に有利な拠点として各国が狙っていると思います。各国が同じ場所を狙っているときに当然ながら取り合いになることが考えられるわけですが、その調整をどうするのかは重要な課題だと思います。
 この点、アルテミス合意には開発を行う場所では安全区域を設定することが記載されています。ただアルテミス合意に中国とロシアが入ってない以上、それに乗ることはおそらくないと思いますので、それらの国との調整が必要になると思います。
 宇宙条約では天体に対する主権の領有はできないと明記されていますが、主権と一定区域をある程度占有することの区別をどうやってつけていくのかも含め、どういう方向で動いていくのかに興味がありましたので御質問できればと思いました。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。植木委員お願いします。
 
【植木委員】 ありがとうございます。永山委員、石井委員の発言に関連付けて規範・ルール作りについてですが、これは私も喫緊の課題だと思っております。
 安全保障に携わる部分、あるいは民間の参入を促すような月探査の部分と分野や内容が少し異なっているものがあるように伺いましたが、進め方の考え方としては各分野でそれぞれの担当の省庁がカウンターパートと一緒に進めていくような形になるのでしょうか。
 また、どのように進めるかということで、先ほど有志国あるいは同盟国からまず対応しそれに各国に参加を促すという形で対応するというお話でしたが、どの分野でもそういった形になりそうなのか、先ほどの繰り返しになりますが各分野それぞれが進んでいくのか、それとも分野横断包括的にオーバーアーチングなものとして進めていくのか、進め方とどことやるのかについてお伺いしたいと思います。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。それでは以上についてお答えをお願いします。
 
【池田室長】 ありがとうございます。お答えするのが難しいところが多いのですが、可能な範囲でお答えします。
 まず竹森先生より御質問のCLPSについて、こちらはご案内の通りですが、米国の民間企業による月への輸送サービスを政府が調達するというプログラムでございまして、ペイロードとしては科学ペイロード以外にも月の探査、商業開発、そういったものも挙げられておりまして、資源開発とそのバリューの促進ということも視野に入っていると承知しております。
 日本の方でそういうベンチャー等をどういうふうに繋いでいくのかですが、宇宙基本計画の中でもこれから官民プラットフォームを作ってという話の中でもございますので、我々としては内閣府を中心として関係省庁が連携したプラットフォームの場において月面の産業の在り方、月面活動の将来像も含めて、月面の輸送などの話が議題となっていくと思いますので、その中で今後しっかりと連携して検討していくことになると思っています。
 あと石井先生、植木先生からはアルテミス合意の関係で、月の利用をどうするのか、あるいは様々なレイヤーで発生するであろう今後の規範・ルール作りについての御質問を追加でいただきました。まず月に関しては、米国主導のアルテミス合意の中で紛争解決の検討が現在進められているところですので、我々もアルテミス合意に参加しておりますので、まずはその中での合意形成に参画をして一定の方向性を模索していくと思っています。
 また地球低軌道に関しては、IGAの枠組みの外になってしまいますので、まずは民民の契約など民民の話がキーになってくるだろうということで、民間企業での議論をこちらでも聞きながら、NASAと対話をしながらどういう形で解決していけるのかを模索していくことになると思います。
 この辺りも全く新しい取組でもあるため、つまびらかにしにくいところがございます。この辺りは意見交換を続けながら進捗具合を報告させていただき、御意見を賜ればと考えております。はっきりと答えられず恐縮です。
 
【藤崎主査】 どなたか追加の御質問等はいかがでしょうか。今、中国とロシアという二つの国の間では特に協力関係は見えないのか確認をさせてください。
 
【池田室長】 日本と中国では協力関係はございません。ロシアに関してはISSでは一応ロシアも含めた枠組みの中で多国間の協力という形ではございますが、直接的な関係はございません。
 
【JAXA佐々木理事】 藤崎主査の御質問は中露の関係だと思います。大枠の協力関係をしようというような言い方はしていますが、具体的に何か一緒にミッションやったかというとそうではないと理解しています。
 
【藤崎主査】 我々から前から見ると大変懸念すべきことのため、引き続き注視していただきたいと思います。ありがとうございます。中須賀先生、どうぞ。
 
【中須賀委員】 先ほどの日本の強みの中には入っていませんが、今内閣府のスターダストの中で月の測位・通信、テラヘルツセンサーによる月の水探索、これが入っています。
 おそらく今後国際協力の中でこれをどうしていくかの検討が始まると思いますが、やはり先走ってある程度の情報や経験を持っていると強いことが言えるようになると思いますので、こういったものは早い段階で実証をして日本が優位に立っておく必要があると思います。
 そのため、せっかく衛星等を開発しているのになかなか打ち上げる手段がないということがありますので、例えばそういう先行実証するためのいくつかのペイロードを載せた月周回のロケットを打ち上げることは一つの案としてはあると思います。その辺の計画はいかがでしょうか。
 
【池田室長】 この点はこの後少し御紹介させていただくと思いますが、月の測位などそういう実証機会が作れないかまさに今検討しているところです。
 基本計画でもやはりそういった月関係の実証機会の確保は検討していますので色々な機会を探してそういったものができればと思っております。
 
【藤崎主査】 各委員より提起されたことにその場で回答できない場合はまた次回でも結構ですので、是非皆様に色々と御提起いただきたいと思います。
 では次に議題4 中間とりまとめを受けた検討状況に移ります。事務局とJAXAから説明をよろしくお願いします。
 
<池田室長と佐々木理事より資料55-4-1に基づいて説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。各委員の方々、御質問、御意見をどうぞ。高橋委員、高鳥委員、永山委員、中須賀委員、金山委員、どうぞお願いいたします。
 
【高橋委員】 2~3ページ目に関わることですが、前半のお話にありましたがここには民間需要の掘り起こしについて記述がございます。本日の前半では日本の強みを生かすという話もありました。例えば我が国の強み掘り起こす作業はどういうことがありうるのでしょうか。
 例えば民の強みもあれば、学の強みもあると思いますが、民の強みと学の強みをどう連携させていくのでしょうか。学というのは人材の宝庫であったり、あるいは宇宙には全然関係なくて気がつきもしない、だけど日本が非常に強い、そういうものも掘り起こしていかないと日本の強みを掘り起こしてさらに発展させることに繋がらないと思っています。そのような試みはどのようにされようとしているのでしょうか、という質問です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。高鳥委員お願いします。
 
【高鳥委員】 私も2~3ページ目についてです。潜在的なニーズに応じた技術開発ということですが、実際に利用を拡大するには潜在的なニーズ、意識されていないニーズをどうやって掘り起こすのかが重要です。2ページ目の黄色の枠にあるフォーラムは初めて見ましたが、こちらではそのようなニーズと、それに対する技術開発をするようなところを合わせたようなコミュニティを作り、ニーズの掘り起こし等の議論をしていく、そのような場所として、このフォーラムを作ると理解したのですが、認識として正しいでしょうか。
 またフォーラムについてはいつ頃どのような形で立ち上げるのかをお伺いしたいです。
 
【藤崎主査】 わかりました。永山委員お願いします。
 
【永山委員】 ありがとうございます。私も2~3ページ目に関して質問です。前回までの議論と重なるところもありますが、すでに「きぼう」の利用については民間に開かれおり、その支援に取り組まれていると思います。宇宙を目指す新規事業の支援にも取り組まれていると思いますが、今回の検討状況は従来のものと何が違うのか、高橋委員、高鳥委員の質問と重なるところもありますが、どのようなところで民間の利用拡大を目指そうとされているのか、もう少し具体的に伺えればと思いました。
 
【藤崎主査】 金山委員お願いします。
 
【金山委員】 私も2~3ページ目の利用拡大についての質問です。実は一つ前の議題のところでNASAの商用低軌道予算というのが年間250億円ぐらい確か使われているとありましたが、250億円を使って何をしているのかに非常に興味があります。何をやるのに250億円ぐらいお金が必要なのかというところが、もしかしたら利用拡大や民間のサポートの仕方への参考になるかと思いますので、ご存知であれば教えていただきたいです。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。それでは以上の4名の先生方の御質問あるいは御意見に対してお答えをいただけますか。
 
【池田室長】 ありがとうございます。まず高橋委員から頂いた民と学の強みをどう連携させるのかですが、まずこの事業で考えようとしているのが民間需要の掘り起こしということで、民間のニーズをどうやって取ってくるかに特化した事業をお願いしようと思っています。
 今JAXAのきぼう利用センターでは民間の商業利用やアカデミアの利用、技術実証、そういった様々な利用の管理しております。そのうち民間企業による商業利用の部分を切り出し、その部分を民間事業者に任せて利用者の開拓や選定を行っていくことを考えております。
 この利用促進の仕組みそのものは民間の新しいニーズを掘り起こしていくものなので、この仕組み自体にアカデミアがダイレクトに入ってくるものではありません。
 ただ、当然様々な民間が宇宙で実験をしたい、実証したいというところにあたってはアカデミアの知識も当然必要になってくるでしょうし、実際に使おうとする民間自体がアカデミアからスピンアウトして出てきたベンチャーであることが多いことも想定できますので、アカデミアの知識が民間利用のニーズの掘り起こしの中で出てきて利用が進んでいくことはありうると想像しています。
 次に高鳥委員からいただきましたフォーラムについてですが、こちらについてはフォーラムでももちろん様々な企業に来ていただきニーズの掘り起こしをできればと思っています。
 ただ、仕組み自体はこのフォーラムの事務局でもありますイメージ図に載っている中央の民間事業者自身が積極的にニーズを掘り起こしていくことも考えております。これはもちろん宇宙に関心が高いところやなんとなく面白そうだから来てみたというところから民間需要を掘り起こしていくアプローチもありますし、この利用促進を担う民間事業者自らが開拓し売り込みをしたり相談を受けたりと、そういった両方の面があるかと思います。
 いつ頃立ち上げるかですが、イメージ図の中央の民間事業者にお願いする業務の一つとしてお願いするつもりですので、その意味ではこの利用促進に関する仕組みができてからという形になろうかと思います。
 続いて永山委員の御質問で、この仕組みの売りは何かというところで、おっしゃる通り現状はJAXAきぼう利用センターの方で民間事業者のSpace BDさんや三井物産さんに一部をお願いして利用の取組みを進めていただいているところです。
 違いは現状ですと一部を少しずつお願いしているだけですが、今回はもう少しパイをお渡しして出来ないかと考えています。現状ですと案件が来た際にこれで良いかということをJAXAと確認をしながら進めているところを、予め自由裁量の範囲を決めてお渡しすることで、事業者の方の自由度が上がることが非常に大きいと思います。
 個々に協議する必要がなくなればその分迅速に動くことができますし、回転が良くなるため民間事業者の自由度が増し、創意工夫がしやすくなります。民間の創意工夫を引き出し、これまではできていなかった潜在的なユーザーになるうる方々に認知してもらえればと考えております。
 次の金山委員の御質問、資料の4ページの予算の具体的な中身についてですが、今、Axiom Space社、あるいはCLD業者に対して、民間ステーション事業を進めるにあたってのNASA側の審査に向けた準備期間が走っているところでございます。この予算の多くは民間宇宙ステーション事業者へのお金が入っていると認識しております。細かい内訳までは今手元になくつまびらかに説明はできませんが、そういった民間宇宙ステーションの建設に向けた審査のために必要なお金が多く含まれているという認識でございます。長くなりましたが、以上でございます。
 
【上田課長】 私より補足説明を行います。高橋委員よりいただいた学の掘り起こしは当然全体のスコープに入っています。ただいま池田室長より説明があった2ページ目のスキーム図で言うと、利用促進する主体は民間事業者、その右側にある利用者としては民間もあるし学もあると普通には思います。
 さらにこの政策についてはこれから検討を深めるためまだ決まっていることは少ないのですが、技術開発要素や、実験装置の開発等が一応謳われております。そういったところにはもちろん学の参加が当然検討対象になると思います。
 池田室長が申し上げたことはこのイメージ図でいうと真ん中の利用促進機関が民間事業者ということでした。以上です。
 
【藤崎主査】 高橋委員、何か追加ありますか。
 
【高橋委員】 御回答ありがとうございます。私がひっかかったのはここに書かれていることはある種の需要の掘り起こしということで非常に良いことが書かれていて、様々な敷居を下げることで参入を促進するという観点だと思いますが、それと日本の強みを掘り起こすことは違う話だと思っています。
 ただ単にフォーラムを開催しても宇宙を全然知らない人が入ってくるわけではありません。積極的に掘り起こすにはどうすればいいのか、あるいはバラバラに入ってくる民と学を繋げる仕組みなどが考えられると思い、質問をしました。
 
【上田課長】 低軌道の環境の利用といった観点では今後考えていくべきところです。私ども文部科学省としての経験はこれまでに一応ありまして、例えば放射光施設の利用は非常にサイエンティフィックな利用ですが民間企業が使うことも開拓されてきています。そういう時の利用の掘り起こしの際、単純に公募枠が空いていますよというだけでは必ずしも利用が促進されないことを私どもとして経験をしてきています。
 そういった時におっしゃったような橋渡しの感覚は必要だったという反省も他分野では経験してございます。今後こういった低軌道についても考えていかなければいけないため、文部科学省としての経験も踏まえて考えていきたいと思います。ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 竹森委員、どうぞ。
 
【竹森委員】 手短に質問します。永山先生の御質問に対する答えに対する気になった点です。「きぼう」の有償利用のところですが、今後セルが限られているところをもう少し自由度を増してやっていくことが新しい施策だという話でしたが、よくある話で今頑張っている人たちにどういうことをしてあげるのかが非常に重要だと思っています。
 逆に現在「きぼう」の有償利用をしている事業者は何か苦労されている、不都合があるというならばむしろそれを解決することが先で、その上でまた新しい政策だと思います。そのあたり「きぼう」の有償利用のところについてもう一度お考えを教えていただければと思います。
 
【池田室長】 ありがとうございます。確かに現状の問題点を洗うことは重要だと思っておりまして、実際に事業者からもちろんお話は聞きながら進めております。
 ただ、やはり2つ制度が走るというのは非常に難しいところがありますので、既存の事業者さんのお話を聞きながら、次はどういった形にすればそこがより良くなっていくのかを考えるというのが今の方向性でございます。
 やはり使えるリソースは限られておりますのでいろんなものが並走するのは難しいところはあると思っております。
 一方で現状に問題点はありますので、そういうところは克服した上で次に進むとことを今考えております。
 
【JAXA小川部長】 JAXAより補足いたします。事業者さんのお話と、実際の個々のユーザーさんがいらっしゃると思いますが、やはり今までJAXAとしてはお客様を逃がしてしまった、いい機会にお客様が来たのにも関わらず実績機会がない、あるいはお金が高い、あるいはプロセスが大変といったところでお客さまを逃してきたところがあるのではないかと思っています。
 まずその点については、実はつい先日こういう民間促進機関ができることも想定しつつ需要を増やすことが大事だろうと考えておりまして、実は、民間企業の方々、あるいは事業を実証したい方々に利用リソースを100%減免し、一番多く言われている安全審査といったプロセスが大変だということに対してはJAXAが伴走するような仕組みに少し変えました。現在お客様や潜在ユーザー様にJAXAの制度が変わっていることを紹介し、民間需要、目の前のユーザーを逃がさない形で将来につなげていく動きをしています。
 それと合わせて今すでに動いている事業者さんに対しても我々が伴走するところはあるのではないかと対話を続け、お客様を少しでも逃がさないような形、事業者さんの支援をするという二つの動かし方を現在目先の直近としては対応しています。
 今回の利用促進機関が立ち上がる頃にはユーザーさんがそちらで動けるような形になればいいなと思っています。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。
 いつも申し上げている点ですが委員の方もだいぶ変わられましたので繰り返します。NASA、アメリカが地球低軌道から離れてアルテミスの方に行くため、NASA自身が地球低軌道をやるわけではないという議論がございますが、アメリカの場合は実は地球低軌道のところにNASAがアンカーテナンシーで入ったり、NIH(国立衛生研究所)のお金が入ったりと様々な形で支援をしながらやっている部分がございます。
 メディアがすぐ民間の時代だといっても日本は馬鹿正直に受け止めてしまわないよう気を付けるべきで、しっかりこれを支えていくべきだといつも言っておりまして、今日の話を伺ってもまさにその通りだと思っております。
 今日は以上で議題は了したと思いますが、その他に何かありますか。それでは石井先生、中須賀先生どうぞ。
 
【石井委員】 4ページの輸送システムの競争力について非常に重要な点だと思います。検討状況としてHTV-Xの多様化の検討を挙げられていますが、これに関して昨年文科省で革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会を実施し、その中でこれ以外にも多岐にわたる様々なシステムが提案されていると理解しています。もちろん昨年の検討会の取りまとめの段階でありますけれども、それらとの関係はどのように捉えられていますでしょうか。
 
【藤崎主査】 中須賀委員、どうぞ。
 
【中須賀委員】 ありがとうございます。先ほど宇宙ステーションの話が多く出ましたが、それに対して一つコメントです。宇宙ステーションに有人がいることのメリットを生かし切れていないと非常に強く感じています。
 例えば我々は超小型衛星を打ち上げますが、結局ロケットで打ち上げるのとそれほど変わりません。例えば(ISSからの)打ち出し直前に宇宙飛行士が少しチェックをして、調子が悪ければ少し治してから打ち出したり、バッテリーが枯渇してきたら充電してくれるなどということがないので、結局は打ち上げロケットのプロセスをたまたま宇宙ステーション経由でやっていることに非常に近い状況です。
 よくテレビで見ているとでてきますが、有人であるから宇宙ステーションの中で色々調整をしたり、あるいは実験をしてきちんと動くようになった状態で放出する、回収したらまた修理して使う、このようなイメージがやはりあります。そういったメリットが生かされていないことも利用が広がらない一つの理由です。
 加えて、やはりクルーのコストが高すぎると思います。これを安くするための手はやはり考えていくことがまずこういう商用化、利用拡大にとって大事なテーマではないかと思います。
 それからもう一つ、後半の月の方であまり意見が出なかったので一つだけ私の意見を述べさせていただきますが、月を使う最大の理由は地球から全てのものを持っていかず、行った先々であるものを使って、次にさらに活動域を伸ばしていくための道具を作ることが大事だと思っています。
 結局アポロ計画はよかったのですが、すべての物を地球からロケットに積んで持っていくので行けるところが限られ、やれることが限られました。それを行った先々でそこにあるもの、例えば月であれば水があったら燃料ができる、それからエネルギーを作れる、レゴリスを使っていろんなものが作れる。こういったことを生かすことで人類の活動圏を広げていくことが僕は月を使う工学の面での大きなテーマだと考えています。
 こういったことを継続して日本としてロングスパンで考えていく。その一つのマイルストーンとしてこのアルテミス計画を有効活用していくことが実はすごく大事だと思っています。そういったことを考えられたらどうかという意見でございます。
 
【藤崎主査】 まさに火星以遠、深宇宙への一つのステップとして月がありアルテミスがあるということですね。他にどなたか御意見、御質問はございますか。なければと今の石井先生、中須賀先生の御発言についてお答えをいただきたいと思います。
 
【池田室長】 ありがとうございます。石井先生からの御質問ですが、今回の4ページ目のHTV-Xの多様化の話は昨年の将来像の話とは全く別のものでございまして、これはどちらかというとISSへの物資輸送を通して獲得したものをいかにいろんな用途で有効活用をしていくかということでございます。
 また中須賀先生御意見ありがとうございます。今後こういった御指摘があった点も含め考えていくとことが大事だと思っております。こちらも宇宙基本計画の中で、今後月に関してもビジョンを作ったり、プラットフォームを作ったりという作業が発生すると思いますので、その中でこういったものを議論してどうやっていくのかを関係省庁、内閣府さんの下で議論をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 以上で議題4は了したいと思います。
 本日予定していた議題は終了しました。事務局より連絡事項があればよろしくお願いいたします。
 
【事務局】 事務局でございます。本日の議事録につきましては、非公開の部分を除き文部科学省のホームページに公開いたします。また配布資料につきましてはすでにホームページに掲載しております。
 次回の小委員会の予定につきましては日程調整し、ご連絡いたします。事務局からは以上でございます。
 
【藤崎主査】 皆様方、非常に活発に御議論をいただきありがとうございました。今後もこのような形で進めて参りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(了)

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