宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第53回) 議事録

1.日時

令和5年1月25日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向
  2. Gateway利用に係る検討状況について
  3. 月・ポストISSを見据えた無人・有人宇宙探査の在り方について

4.出席者

委員

専門委員 藤崎 一郎【主査】
臨時委員 稲谷 芳文
専門委員 倉本 圭
専門委員 古城 佳子
臨時委員 高鳥 登志郎
専門委員 高橋 忠幸
専門委員 竹森 祐樹
専門委員 中村 昭子
臨時委員 永山 悦子

文部科学省

研究開発局長  千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当)  原 克彦
宇宙開発利用課長  上田 光幸
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  池田 一郎
宇宙利用推進室補佐  橋本 郁也

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事  佐々木 宏
国際宇宙探査センター センター長  筒井 史哉

5.議事録

【藤崎主査】 ただいまより国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第53回会合を開催します。本年第1回の小会合となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは議事に入ります。
 まず、議題1、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道をめぐる最近の動向として、文科省の予算及び海外宇宙機関の予算の最新状況、また、国際宇宙ステーションに関する民間の動き等について、池田室長から御説明いただきます。どうぞよろしくお願いします。
 
【池田室長】 宇宙利用推進室長の池田でございます。本年もよろしくお願いいたします。それでは、早速資料53-1に沿いまして説明させていただきます。
 
<資料53-1に基づき、池田室長が説明>
 
【藤崎主査】 すみません、池田さん、10ページからの予算の、かぎ括弧の数字は何を意味しているんですか。
 
【池田室長】 読みにくくて恐縮です。数字三つ並んでいますけれども、一番左端が令和5年度予算案、真ん中が令和4年度予算で、右側のかぎで入っているのは令和4年度補正です。
 
【藤崎主査】 分かりました。ありがとうございました。一つ確認させていただきたいんですけれども、さっき与圧ローバについて、15億700万円という予算を独立させたということの御説明がありましたね。これは政府の措置という予算ですけど、これに対応する民間の資金というのはどの程度になっているかというようなこともお話しできるんですか。
 
【池田室長】 すみません、そちらに関しては今私手元に情報がございませんので、この場ではすぐはお答えはできません。
 
【藤崎主査】 分かりました。というのは、恐らく大きなプロジェクトなので政府が全体の資金を計画しているわけではないと思うので、ある意味では全体の姿というのも分かっていくといいかなと思った次第です。
 では、次は議題2でゲートウェイ利用に係る検討状況になりますので、どなたかこの今の政府や各国の対応について何か御質問のある方あるいは御意見がある方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
 それでは、議題1は以上といたしまして、議題2、ゲートウェイ利用に係る検討状況についてJAXA、佐々木理事から御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
 
【佐々木理事】 佐々木です。よろしくお願いします。本日説明は、ゲートウェイプロジェクトマネージャの筒井のほうからさせていただきます。
 
<資料53-2に基づき、筒井センター長が説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。今のJAXAの筒井さんの御説明につきまして、御質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。永山さん。
 
【永山委員】 御説明どうもありがとうございました。とても楽しみな今後の青写真だったんですが、一般の国民から見て、いわゆる地球低軌道でやる実験と月周回軌道でやる実験、どんなところが一番違うのかというところを知りたいと思いました。改めてのそもそもの質問になるんですが、教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。では、稲谷さんお願いします。
 
【稲谷委員】 御説明ありがとうございました。私の質問は、御説明あったかもしれないですけど3ページの、実験が4種類あるという説明だったと思うんですけど、これは初期のESAで行う実験の全部が示されていて、そのうちのJAXAが関わるのはこれらとこれ、そういう理解でよろしいかと。といいますのは、全体でいろんなことが行われようとしている中で、日本のコントリビューションはどうかというようなやり方をこの上でしているのかどうかという確認のためです。
 
【藤崎主査】 分かりました。筒井さん、あるいは佐々木さん、何か御説明をいただけますでしょうか。
 
【筒井センター長】 お答えします。まず最初の永山先生の御質問に対してですけれども、ISS等の違いは、環境の違いとしてはまず放射線の環境が全く違うということ、月に近いほうが宇宙環境に近いというのと、それから、宇宙に開かれている場所というのが違うというので、観測計、宇宙の遠くを見るほうの観測ですね、そちらのほうに開けているという点が違うと考えています。というのが答えです。
 
【藤崎主査】 今のことは分かっているんだろうと思いますけど、その上でどういう違った実験をされたりするのかということも含めて、何かございますか。
 
【筒井センター長】 例えば放射線の関係でいいますと、人体に与える影響とか生命に与える影響とか変わってきますので、ISSとゲートウェイで比較してどういう影響があるかということを評価することもできますし、より、人類が外に向かって出ていく、宇宙に向かって出ていくに当たっての宇宙環境を模擬するという観点では、ゲートウェイのほうが近いということになりますので。
 
【藤崎主査】 そうですね。
 
【永山委員】 分かりました。今後も具体的にISSとは違うこういう実験ができるんだと、そこからこういう成果が見えてくるんだということがより見えてくると思いますので、その辺りまた今後の進捗を教えていただければと思います。
 
【藤崎主査】 稲谷さんの質問に対するお答えいただきます。
 
【筒井センター長】 御質問についてですが、表の中にありますのが最初のフライトで打ち上がるペイロードということになります。それが全体です。その全体の中で日本が関わっているのがこの部分ですという、このチャート自体はですので全体を示しています。全体というのは国際的な全体の話です。
 それが最初のフライトで、2つ目のフライトはI-HABという居住棟を打ち上げるフライトがあるんですが、こちらについては質量が非常に厳しいということもありまして、現時点でペイロードを搭載する計画はつくれていません。
 ただ、現在、同じ時期にNASAのほうで別の補給フライトを仕込めないかという検討をしていまして、それが実現しますとペイロードを搭載する余地が生まれる可能性がありまして、その場合には新しい実験装置を搭載するという話が出てくると思います。ただ、今のは予測になりますが。以上です。
 
【藤崎主査】 稲谷さん、いかがでしょうか。
 
【稲谷委員】 ありがとうございました。御質問した動機は先ほども申し上げましたが、例えばISSであれば建設、運用からISSを使ってやる実験などの日本の分担や費用負担の全体像が、こうであると見えるのに対し、その辺りがゲートウェイあるいはアルテミスでは、どうなっているのかというのを明確にして比較したいという観点から、日本のコントリビューションはこうなっているというふうに見えるとより分かりやすいなと思って、御質問させていただきました。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。今の稲谷さんの御質問との関連で、例えばこういうふうな4つの分野のプログラムをやるときには、このゲートウェイ参加国の中で何が必要かということを考えてプライオリティーがあるのがこの4つだと、そのうち例えばNASAはこれをやります、JAXAはこれをやるとか、ESAはこれをやってというふうに決まっていくのか、あるいは、各国がこれは俺が得意な分野だからこれをやりたいといって持っていくのか、どんな感じでそこの意思決定過程は決まっていくんでしょうか、筒井さん。
 
【筒井センター長】 今その意思決定の過程は、定常的にどうしていくかというのは検討中、議論中ということになりますが、最初のERSA、HERMESのあたり、ここについては両方あります。ERSA、HERMESに関しては、ヨーロッパ、それからNASAがそれぞれペイロードを搭載することをやりたいといってやり始めていて、それに対して、ただデータ利用は皆、全極でやれるよねということでAOがなされてそこに日本人の研究者が入っていくという形態になっています。
 一方で、DUSTというペイロード、日本がJAXAが提供しようとしているものについては、こちらはNASA、ESAから求められてこれをやっているんですよね。ということで求められてこれは、別の日本のミッションでダストを計測している衛星のミッションがISASのミッションがありまして、そちらのセンサーを基本的に使って搭載しようとしているということになります。
 
【藤崎主査】 そうするとこれらのプログラムをやると大体、この所用の全体の相当部分をカバーできるということですね。分かりました。ほかに御質問、御意見いかがでございましょうか。もしほかに御意見がなければ議題3に移りますが、よろしゅうございますか。
では、議題3では月・ポストISSを見据えた無人・有人宇宙探査の在り方について、事務局、文科省及びJAXAより御説明をいただきます。
 今年度の議論の中で、前回の12月まではポストISSについての議論でしたが、今回からは月面及びゲートウェイでの活動についての議論をさせていただきます。年度末には本小委員会での議論内容を反映させて中間取りまとめを作成させていただこうということでございます。まず初めに、池田室長より御説明をお願いいたします。
 
【池田室長】 宇宙利用推進室、池田です。
 
<資料53-3-1に基づき、池田室長が説明>
 
【藤崎主査】 分かりました。ちょっと一つだけ初歩的な質問ですけど、今のページで、重力天体という言葉、これはよく使われる言葉なんですけれども、月はもちろん重力天体ですが小隕石なんかでもこの言葉は使うんですか。
 
【池田室長】 小隕石については、基本的に使いません。小隕石とか小天体はそもそも重力がほぼないので。
 
【藤崎主査】 ですからこれを今使っているのは、私どもがやるのは重力天体と言っているときは月からですね。
 
【池田室長】 ええ、月、さらには火星とかになっています。
 
【藤崎主査】 分かりました。だから今まで我々が着陸したのは重力天体じゃないと、隕石なんかは。
 
【池田室長】 はい。「はやぶさ」「はやぶさ2」はそうです。
 
【藤崎主査】 その上で新しい着陸技術を取得していくということですね。
 
【池田室長】 はい。
 
【藤崎主査】 分かりました。では、JAXAのほうで次の御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
<資料53-3-2に基づき、佐々木理事が説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。皆様方、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。挙手を。中村委員、お願いします。
 
【中村委員】 中村です。ありがとうございました。2つあります。
 1つは文科省さんの資料で、月面、ゲートウェイを目指す意義というところで、月に関しては科学のことは全く書かれていなかったんですけれども、JAXAさんの資料では科学について詳しく述べられていたので、そこの何か齟齬を何とかしていただきたいなということと、もう1つ、JAXAさんの資料のほうで9ページになるんですけれども、よろしいですか。これは質問なんですけれども、一番上のほうに、丸6のところに「宇宙科学の成果創出」と書かれていますよね。それと、一番下の3、その他の活動のところで「月面活動利用」というのが書かれているんですけど、この違いについて教えてください。
 
【藤崎主査】 どうぞ、ほかの委員の方々、何かございますでしょうか。
 では、取りあえずまた後でということで、佐々木さんか筒井さんのほうからお答えいただけますか、今の中村委員の御提起につきまして。
 
【佐々木理事】 私のほうから御説明をします。まず科学に関しての関係としては、国際宇宙探査の目的の1つが科学と人類活動の領域拡大、そして民間の発展ということで3本柱で考えていますので、科学も関係するという前提で説明させていただいています。
 それで、8ページのところですけれども、まず丸6にある宇宙科学の成果の創出は、これは目的として、この探査・輸送能力自体は科学をするものではありませんので、それに貢献する能力の整備という観点でここは書かせていただいています。
 一方で、下にあります丸9の月面の科学利用というのは、今度は実際に科学を進めるに当たっていろんな活動がありますので、そこを宇宙科学研究所と連携しながら協力していくと。具体的にはフィージビリティースタディーを国際宇宙探査のスキームを活用しながらやっていただくという取組で、これはこちらのほうはある程度直接的に科学を支えていくといったような観点で書かせていただいています。
 
【中村委員】 ありがとうございます。1点目はどちらかというと、文科省さんの資料のほうに「科学」という言葉がないことを、何かもうちょっと検討いただきたいという意図でお話ししました。
 
【池田室長】 御指摘ありがとうございます。確かに、この4ページ目の資料を見ますと、基本的な考え方のほうには「科学の成果を創出」と書いておきながら、意義のほうで漏らしているところがありますので、盛り込めるように文案考えようと思います。御指摘ありがとうございました。
 
【中村委員】 ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 古城先生。
 
【古城委員】 ありがとうございます。今、文科省の文面と、それからJAXAさんの文面とのちょっと相違が問題になっていたんですけれども、JAXAさんのほうで国際的なプレゼンスの確保というのと、国際協力の中で日本の強みを生かして日本の宇宙開発における立ち位置をきちんと占めるということが書かれておりますので、文科省さんのほうのところはその部分が少し弱いのかなというふうに思いました。
 それから、もう一つ国際協力ということで言うと、質問なんですけれども、資料の4ページのところに、アルテミス合意というののところで、現在のところ23か国が合意しているということですけれども、これは拡大していく可能性というのはあるのかどうかというのが一つの質問と、それからもう一つは、MoonlightのプログラムがESAにあり、日本もそれと協力してやっていくということが今後の取組のところで述べられているんですけれども、これは既に連携の何か協定とかそういうものができているのかどうかということ、それを教えていただきたいと思います。
 
【藤崎主査】 ほかの委員の方々、ございますか。もしあればまとめていたしますが、なければ古城先生にお答えいただきます。
 
【佐々木理事】 では後半の部分の御回答をさせていただきます。アルテミス合意につきましては、もともと2020年に最初に署名したのは8か国で、今23か国ということでかなり拡大しつつあります。これは、特に米国のほうでかなり積極的に、最近はアフリカの国も巻き込んでやられていますので、まだまだ拡大する傾向というふうに思います。ただし、現在署名していないロシア、中国、インドというのは、まだ国連の枠組み等もありますので、その辺とはまだ拡大していくのはなかなか難しいのかなというふうに思っているところです。
 それから、あとMoonlightのほうですが、これは一昨年からかなりいろんな、ハイレベルのも含めて、協力関係について議論を開始しております。まだ協定までは至ってないんですが、技術の担当レベルから機関長レベルまで、認識して協力について議論を今進めているといったところになります。
 
【古城委員】 どうもありがとうございました。
 
【池田室長】 古城先生からの最初の質問についてですけれども、資料のつくり方の都合で、これは最終的に中間報告に向けた文書のパーツを示しながら議論しているというところでございまして、まさに国際的なプレゼンスとか立ち位置といったところは、もう少し全体的な部分で書いているというところもあって、ここだけ抜き書きするとそこが欠落しているように見えるのですが、これはまた次回にお示しする中間報告案の中で、文書の全体の構成の中で受け止められるようにしようと思っております。多分現状の案でもそういうふうになっておりますので、そこが抜けないような形での報告にしたいと思っております。
 
【古城委員】 了解しました。ありがとうございました。
 
【藤崎主査】 永山委員と、倉本委員、続いてお願いいたします。
 
【永山委員】 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。ちょっとどこまで書けるかというのは文科省さんもJAXAさんも悩ましいところかと思うんですけれども、アメリカが火星ということも意識してアルテミス計画を動かしているという点で、文科省さんなりJAXAさんに火星については何か現状で言及できることがあるのか、日本として火星ミッション、有人ミッションにどう関わっていくか、MMXはあるにしても有人に関して何か言えることがあるのか、その辺り教えていただければと思いました。
 
【藤崎主査】 倉本委員、お願いいたします。
 
【倉本委員】 御説明ありがとうございました。先ほど中村委員のほうから、文科省側のその意義について述べたところと、それからJAXA側の説明のところで、若干現時点では齟齬があるのでという話があったんですけれども、ちょっとそれに関連するところなんですが、月、火星を目指す大きな意義というところと、具体的な国の機関としてのJAXAの取組というところの、結びつけがやっぱりちょっと見えにくいなという印象を正直持ったところがあります。特に、将来民間に開いていくというところに関して言うと、例えば月面でどういう民間活動が期待されているのか、複数の民間のプレーヤーが立ってお互いに切磋琢磨していくというような環境を想定しているのかとか、何かその辺りがあまり見えていない感触がありまして、その辺りを少し、これはこの委員会の仕事なのかもしれませんがちょっと整理していく必要があるのかなと思ったところです。
 
【池田室長】 まず、永山委員の御指摘に関してですけれども、確かに現状では火星に関して言うとMMXぐらいしか、プロジェクト化されているものはないというのが現状です。
 ただ、一方やはり火星は非常に地球からもすごく遠いところでございまして、ここに有人をやるとなると相当な技術的なジャンプアップがあると。片道で半年、1年、往復で1年、2年かかるようなレベルですから、持っていけるものも限られている、その間の宇宙飛行士の生活環境だとか身体とか、そういった、地球近傍ですと本当に1日ぐらいで行けるようなところが火星になると年単位になるということで、非常に技術的にも科学的にもジャンプアップが大きいというところなので、なかなか一足飛びに有人でいつまでにやりますといったことは非常に言いにくいところがあるのかなと。
 それがゆえにまず、月、月近傍、この辺りで、放射線環境であるとかある程度長期間往復に時間かかる中での生命維持とか環境制御、そういったものの技術を磨いた上で、狙っていくということにならざるを得ないのかなと思います。ですので現状、火星への有人ということで何か具体的なプロジェクトについて言えるということは、正直難しいところがあるのかなと思っております。
 倉本先生から御指摘いただいた文案の齟齬でございますが、正直文案の齟齬はそんなにあるとは思っておりません。先ほども申し上げましたとおり報告書の内容を切り出しながら御説明しているところがあったので、報告書案全体見ていただければそこはJAXAさんの説明と齟齬がないような形になるように改めて見直して、次回提示したいと思っております。
 また、意義とプロジェクトの結びつきが見えにくいという点については、そこは我々も御説明する責任があると思っておりますので、きちんとその意義に見合ったプロジェクトを進めていくと、また、欠けている部分について順次足していくといったような検討をまさに進めていきたいなと思っているところです。
 
【佐々木理事】 池田室長と同じようなことをお話ししようと思ったんですが、まず火星です。有人探査というのはなかなか厳しいというのは、これはNASAも同様に考えているわけで、そのため、だからこそ月面で持続的な探査を通して、様々な必要な技術を実証していくといったところが大きなポイントかなと思っています。その中で、例えばここであるような多分与圧ローバであるとか、そういうシステムが将来火星に使われる可能性もあるという観点で、我々としてはまずは月でしっかりと有人探査を行うというのが大事かなと。
 一方で、MMXといった科学探査を通して火星の環境を確認して、そこで例えばどこに探査するかとかどこに拠点を置くかとかというところの調査というのは、継続して、ここはある意味科学的な意義が高いところになりますけど、行っているという意味でMMXもそうですし、米国、ヨーロッパでは幾つか、ExoMarsであるとかサンプルリターンの計画をされていますし、我々としては、まだ検討段階ですけれども、国際的なMars Ice Mapperみたいな密氷を探すというようなミッションの検討をしているという状況になります。
 それから、倉本委員からありましたそごの件、我々の書いているところは実は基本は政策的な文書から拾ってきておりますので、元をただせば恐らく齟齬はないので、資料の構成上言葉をちょっと簡略化している中でちょっとずれが生じたのかなと思っていますので、その辺は池田室長がおっしゃるとおり、最終的なきちんと報告書になった段階で再度御確認いただければと思いました。
 意義からそのプロジェクトがというのは、なかなか一足飛びに意義即プロジェクトという、科学の分野と違って、どうしても意義から例えば基盤の整備といったような形で、ワンクッション入るところが多いかなというふうに思っています。我々はそういう意義から、例えば今回御提案しているような今後必要となるシステムというのは、どちらかというと、意義から来て、基盤の整備をしなければいけないと。ではどの基盤の整備をしなければいけないかというと、輸送力と通信、測位ではないかといったような流れで検討させていただいていますので、そういう観点で丁寧な説明を今後心がけたいというふうに思っております。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。稲谷委員、お願いいたします。
 
【稲谷委員】 ありがとうございます。JAXAの御説明で、ISSでの国際協力における日本のコントリビューションを引き続き、月あるいはアルテミス計画の中でも日本のプレゼンスを上げるために皆さん御努力されていることは大変よく分かります。一方、一般の方々、私だけではなくステークホルダーの立場から見たときの、分かりやすさという観点で見ていくと、より理解しやすいのだと思います。大きなスコープで、世界全体ではこういうことに取り組んでいるのだが、その中で日本はこういうことをやっているんだという相対化の論理、あるいは、一番分かりやすいメジャーは、お金であって、資金や経費は世界ではいくらで、日本はいくらなのか、というような分かりやすい比較という感じで、外からマクロに見たときに、こういうふうに取り組んでいることが分かるような情報をいただけたら、費用対効果の観点も含め、理解から支援も進むのでは、と思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。
 
【池田室長】 御指摘ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおり、世界、アメリカや欧州が動く中でじゃあ日本がどういう立ち位置を取るのかというところ、また、NASAやESAに比べて日本の資金投入量は相対的に小さいので、どうその位置取りをしていくかということを、分かりやすく示してほしいという御意見か、と、受け止めました。
 その辺り、まさにおっしゃるとおりで、NASAであればフルスペックでいろんなことに取り組めるのに対して、ESAや我々日本はそれほどの資金力がない中で、例えば有人にしてもやはり米国がかなり引っ張ってきていて、それに対してじゃあESAや日本はどううまくそれに乗って技術を磨いていくかという、その戦略を考えているというような状況でございます。
 どのような形でうまく見せられるかというのは検討は必要とは思っております。そういった彼我の差がある中での全体像というか、位置取りみたいなものがうまく説明できるようなものが、どういったやり方があるかは考えてみたいと思っております。すみません、ちょっと十分な答えになっておりませんが、御指摘ありがとうございます。
 
【稲谷委員】 私自身も宇宙科学の世界でずっとやってきましたが、1990年代くらいのある時期から米欧日を世界の三極と意識して活動するというような時代になりました。資金や人員などのリソースや実力の差が大きくあるところを、知恵を絞って、如何にしてよい考えを繰り出して三極のひとつとして対抗していくか、という観点でやってきた経験もあるので、今日の御発言もそういうところから出ている、とも思いました。是非ともよい発信ができるようにお願いしたいと思い発言させていただきました。ありがとうございました。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。ほかに意見がなければ、この議題3については以上といたしますが、一言私のほうから。これはもう御承知のところでございますけれども、今も議論にございますような宇宙科学のほうと、それからこういう衛星探査のほうとそれぞれ行われているわけでございますが、総合的に日本の今後の宇宙政策の中でどういうふうに結びついていくのかということについては、やはり示していく必要があるという、これは皆様の御議論のとおりだと思います。
 第2点、今のJAXAの資料にもございますし私どもも常にこれまでのレポートでも言ってまいりましたが、日本の優位性や波及効果が見込まれる技術として、深宇宙補給技術、有人宇宙滞在技術、重力天体離着陸技術、重力天体探査技術と、こういうのがございますけれども、実はこの4つ常に並べるということでやっておりますが、それぞれについては随分背景、意味が違って、深宇宙補給技術は、実はまだやっていないけれどもHTV-Xを通じてISS等には随分やってきたのでこれは深宇宙にもつながるであろうという意味、有人宇宙滞在技術につきましては、若田さんが長く今ISSにおられるようにかなり滞在技術はあるし、恐らく医学等で日本が貢献できる分野があるだろうと。重力天体探査技術については、与圧ローバ等を民間と一緒に開発していくので、これはかなり日本の自動車という観点から期待されていると。それから重力天体離着陸技術は、実は日本が今までやっている離着陸は重力のない衛星のような離着陸技術がほとんどでございまして、これからやるというSLIMが一つございますけれども、今後優位性を持たなければいけない技術であって、それほど日本が今まで月やなんかで離着陸を重ねて技術を持っているというわけではございませんから、ばっと並べますと何かいつも同じように開発がされてきているというように思われがちですけど、全くレベルの違うものを4つ並べているというのが実態ではないかと思います。
 これについては、別にここで今議論しようと思いませんが、今後書き方等について少し工夫は必要かなというふうには思っております。
 では、以上で議題3につきまして、皆様方がよろしければ了しまして非公開議題に移りたいと思いますが、皆様方よろしゅうございますか。
 
【事務局】 すみません、それではここで公開部分は終了になりますので、一般の傍聴者の方は御退席いただきます。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課