宇宙開発利用部会 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会(第49回) 議事録

1.日時

令和4年11月8日(火曜日) 13時00分~14時30分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 月・ポストISSを見据えた無人・有人宇宙探査の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

専門委員 藤崎 一郎【主査】
専門委員 向井  千秋【主査代理】
臨時委員 稲谷 芳文
臨時委員 木村 真一
専門委員 倉本 圭
専門委員 古城 佳子
専門委員 高橋 忠幸
専門委員 竹森 祐樹
専門委員 中村 昭子

文部科学省

研究開発局長  千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当)  原 克彦
宇宙開発利用課長  上田 光幸
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室長  池田 一郎
宇宙利用推進室補佐  橋本 郁也

(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事  佐々木 宏
有人宇宙技術部門
 きぼう利用センター センター長  白川 正輝
 事業推進部 参事  宮崎 和宏

5.議事録

【向井主査代理】 国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の第49回会合を開催します。事務局から連絡事項の確認があると思いますので、よろしくお願いいたします。
 
【事務局】 議事に移る前に、前回から始まったポストISSに関する議論の全体像を再度御紹介させていただきます。
 本日はポストISSに関する2回目の議論となります。第48回の資料48-1-2の4ページ、(2)の地球低軌道の利用ニーズのうち、下のポストISSで想定される利用ニーズという部分と(3)の三つの項目につきまして、本日は御議論いただく予定でございます。
 それでは、委員の皆様方、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

【向井主査代理】 どうもありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。
 今回は前回からの続きで、月・ポストISSを見据えた無人・有人宇宙探査の在り方について議論したいと思います。
 初めに、JAXAの佐々木理事から、ポストISSにおける我が国の地球低軌道活動について、現状を御説明いただければと思います。佐々木理事、どうぞよろしくお願いいたします。
 
<資料49-1-1に基づき、佐々木理事が説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。続いて、池田室長から、月・ポストISSを見据えた無人・有人宇宙探査の在り方ということで御報告いただきます。よろしくお願いします。
 
<資料49-1-2に基づき、池田室長が説明>
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。大変大事な今後の方向性についての議論でございますので、まずは各委員の方々から今の時点でどう考えられるか、特に今池田室長から説明された話は今後の私どもの中間報告等にも影響がありますので、今の時点でできる範囲でお考えを述べておいていただいたほうが、今後の委員会の報告を書く上で適当ではないかなと思います。
 どなたでも、今御出席いただいている方でも、オンラインの方でも結構でございますから、順番に挙手をいただければ指させていただきたいと思います。
 今日の御説明は単に事実関係の説明というよりも、どういう方向で進むかについての政策的な提言でございますので、御議論があるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
 向井先生、お願いします。
 
【向井委員】 池田室長が発表された月面・ポストISSを見据えた宇宙探査の在り方に関してですが、藤崎主査の御指摘に賛成で大方針と考え方を示すもので、あまり細かい運用の話に言及しなくてもよいのではと思っています。
 JAXAと池田室長のプレゼンで私が一番懸念するのは、どうしても軸足が宇宙ステーションから抜けていない。今は宇宙ステーションからロー・アース・オービット(LEO)以遠、月・火星に向けた探査に軸足を乗せるべきだと思います。
 既に国がLEOから月のアルテミス計画とかゲートウェイ計画に参加し、日本の宇宙飛行士も月面に降り立つかもしれないとの計画を発表しています。ですから、ポストISSとか月面といった場合には、ISSの利用をこれまでの延長線上でのニーズ拡大やJAXAのサポート体制をどうすればいいのかというような軸足をISSありきで考えるのではなくて、ISSをどう今後のアルテミス計画とかゲートウェイに使っていくのかという視点に移していただけないかなと思います。
 このためには、まず、ポストISSでLEOの施設利用がどのくらいできるのか知る必要があります。国が国プロとして、JAXAを通じて技術検証のテストベッドとしてISSを使えるのかが分からないです。まずはファシリティー・アベイラビリティーをどのくらい確保できるのかの予想をし、国プロとしてアルテミスなりゲートウェイでの技術検証利用の時間見積もりをすることで商業利用の計画がたちやすくなると思います。
 例えば、月面に送る宇宙飛行士を直接初飛行で送るわけにはいかないと思うので、ロー・アース・オービットで訓練してから行くことになると思います。国の予算でファシリティーを使う利用見積もりを割すべきかと思います。
 日本が利用権を持っているもののうち、国プロがやらない残りの部分がどのくらいあるのかを民間に開放する計画見積を早く出してほしい。これにより、民間も、このくらいの利用計画で、このくらいの利用のお金で使えるのだったら、やってみようかなというふうになると思います。
 一つ質問があります。アルテミスやゲートウェイでのJAXAの利用計画、つまり、ISSを技術検証のベッドファシリティーとして使う計画ですが、これはどこかの委員会で議論されているのでしょうか。それとも、この委員会で議論するのであれば、その情報を出していただかないと、なかなか具体的な議論にならないと思います。というのが、まず池田室長のプレゼンに対するコメントです。
 もう一つ、すみません、時間を取って。
 
【藤崎主査】 大事な点ですから、どうぞ全部お話しください。
 
【向井委員】 はい、短くします。
 佐々木理事のご説明に対しての点です。ISSのアクティビティーを高くしようというところはきれいにまとまっているのですけど、前回の会合でも指摘しているのですが、誰が主導で行うのか、JAXAがこれまでの税金を使ったお金で行うのか、行うならどの程度の税金をここに使うのか。
 成果もISSからの社会実装の成果のみでなく、探査のための新技術の開発や人材育成で月面に向かう宇宙飛行士の訓練等での成果を出すことも考えるべきと思います。
 プレゼンの内容はきれいにまとまっていますが、いつまでたってもロー・アース・オービットに税金を投入していくような軸足の計画で、ロー・アース・オービット以遠の、月・火星に向けての胸がわくわくするような新たな計画のもとに宇宙ステーションを使うんだという決意が出ていないように思います。向井は以上の2点です。
 
【藤崎主査】 実は、先生のおっしゃったことのかなりの部分は私も同感でございますが、後でまとめて申します。木村先生、高橋先生の順でお願いいたします。
 
【木村委員】 ありがとうございます。私も向井委員と共通するところが大きいです。今回お話しいただいた内容のタイトルが、「月・ポストISSを見据えた」というところと「無人・有人宇宙探査の在り方」という形で整理いただいていて、お話を伺っていると、どうもポストISSの有人についてはある程度検討されて、これまでの流れで議論が進んでいるような気はするのですが、本来的にここでさらに考えるべきなのは、さらに遠方、月、さらにはその先もあるかもしれないですけれども、そこまでを含めた戦略、そこに対して日本がどういう技術を持ってどうコミットしていくのか、その戦略の中でポストISSをどう考えるかがとても重要だと思います。
 そのときに、せっかくここで無人・有人と書いていただいていて、もちろんこの委員会が有人を中心に議論しているというのは全くそのとおりだと思うのですが、その品質を実現する上での無人を含めた探査戦略が恐らく必要で、あと、無人のところも含めた技術実証といいますか、実際にそういう局面で技術を投入していけるように戦略的に持っていくという姿勢も必要なのかなと思います。
 なので、そのあたりのストーリーも含めた上で、そのプロットの中でポストISSを考えることがとても重要なのかなと思っています。そういうふうに議論することで、逆にポストISSの意味合いといいますか、ここならではというか、ここを使うことの意義みたいなものがむしろ出てくるのかなと思っております。そのあたりの整理が必要かなと思いました。私からは以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。高橋委員、お願いいたします。
 
【高橋委員】 高橋です。私は佐々木理事のお話は非常にきちんとまとまっていて、すごいと思いました。生命科学や物質科学に対して、これまでのアプローチや今後の展望を述べられていたのですが、宇宙科学、特に天文学とか探査についてはどのように整理されているのかが資料の中にはあまり書かれてなかったような気がしていて、少しコメントをいただきたいです。天文学や探査は、高い科学目標を持つがために技術を先導するという性格を持ちますので、そこをきちんと我が国として考えていくのは非常に重要ではないかと思います。
 それから、ちょっと違う観点ですけれども、例えば現在運用している装置の中でX線の全天モニターがあります。これは、急に明るくなるようなX線天体をいち早く見つけて、世界中にアナウンスするという非常に重要な役割を担っていて、それを受けていろいろな衛星が観測に向かうという形で世界への貢献が進んでおり、非常に重要な装置として位置づけられています。こういうものは日本の特徴を出していく上で非常に重要ではないかと思うのですが、こういういわゆるアカデミアで宇宙科学をやっている人たちの意見がどのくらいきちんと取り込まれているのか教えていただけないでしょうか。彼らはまさに自分たちでやるプレーヤーなので、大事な意見が聞けるのではないかなと思っております。
 最後に、向井委員が言われていましたけれども、今後例えば月面天文台とか軌道上天文台という議論が出てくる中で、ISSでそういうものに向けた技術開発とか技術実証とかも十分考えられるのではないかと思います。そういう観点からの将来ビジョンみたいなものをお伺いしたいと思います。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。古城委員、どうぞお願いします。
 
【古城委員】 私も向井委員がおっしゃったように、今日お聞きしていて、ISSにかなりまだとらわれていると、同じように感じました。
 どうしてかというと、まず、政府の考えと、アカデミアの要望と、民間の要望に分けていて、次にこれから民間主体でやっていくというところが盛り込まれているので、それを折衷していると、民間ではISSの活用のほうに引っ張られているという印象を受けました。
 この民間の要望という点については、もう少し政府の方針が決まらないと民間も乗ってこられないという御説明があったのですが、これからの低軌道利用から月・火星に向かうという中で、どう低軌道のところを利用していくかをもう少しはっきり出すと、民間の要望もISSだけにとらわれずに増えてくるのではないかと思います。政府とアカデミアの方針をポストISSの方向にはっきり打ち出したほうが、民間の需要も喚起できるのではないかと感じました。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。倉本委員、お願いいたします。
 
【倉本委員】 私もこれまで委員の先生方がおっしゃってくださったことに同意していまして、特に国際宇宙探査の月・火星を見据えた全体像がまず必要なのではないかと。そして、その中の位置づけとしての低軌道がどうあるべきかという考え方をすべきではないかと考えます。
 その一つの観点としては、全体の目標をもう少し明確にしていく必要がある。それが明確になっていくと、周りの人もそれに向けてやる気が出たり、これまで当事者ではなかった人たちが絡んできたりといううまい循環が生まれる余地があるのではないかと思います。
 それから、もう一つ、大きな目標の中には、全体としてどのくらいお金がかかるのかという観点も必要だと思います。現在は低軌道のところを先に切り出して議論しているので、そこだけある種の最適化をしてしまうと、ほかのところにしわ寄せがすごくあって、非現実的な対応になってしまうことも危惧していまして、全体像をまずしっかり持つことが大事ではないかと思いました。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。中村委員はいかがですか。
 
【中村委員】 ありがとうございます。私も皆さんがおっしゃっているように、ここだけ切り出して議論を最適化するというよりは、もうちょっと全体像でお話ししていただければなと感じました。以上です。
 
【藤崎主査】 竹森委員、お願いいたします。
 
【竹森委員】 竹森でございます。主にディープテクノロジーに対してスタートアップなどの投資をしている金融投資家ですけど、思ったところを述べたいと思います。
 研究機関とか企業の研究所といろいろ付き合いがあって、その中でまさにISSや宇宙事業に対する一定のニーズはあると確信しておるのですが、一方で、事業領域の拡大、活動の拡大、事業としてというふうになると、いまいち盛り上がってないなというのが本音です。大企業が本業とか事業としてやっていくにはあまりにもまだまだなところがあって、一研究の一環としてという観点でしかないと。そんなこんなを考えると、スタートアップやベンチャー企業の事業との親和性が相当あるかなと思います。
 我々は2017年に月面探査のベンチャーの立ち上げを一緒にやったのですけど、スタートアップとか、しがらみ、固定費のないところでまさに自由な発想で始めて、低軌道のみならず、その後の惑星探査も含めて、いろいろなアイデアの中でスタートアップ、ベンチャーを支援し、月面探査の会社を立ち上げたときに、ここに向けていろいろな企業が事業とかアイデアを持ち寄って、このスタートアップを一つの箱として、月面探査のこの事業を、まさに11月に1号機が打ち上がるという話ですけれども、達成してきているんですよね。
 なので、11ページにいろいろな支援策がありますけれども、スタートアップ育成とかベンチャーとの親和性がある事業なので、支援先とか主体を、まさにこの柔軟性とか政府の買取も含めて、何かスタートアップの表現があってもいいのかなと思った次第です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。稲谷委員、お願いします。
 
【稲谷委員】 何点かコメントします.今、竹森さんもおっしゃっていたのですけど、民間による利用を前提にやろうというときに、国が支援せずに独り立ちでこういうことをしていける民間もなかなかいないと思うので、どういう支援をして民間の活動ができている様を描くのか、自主的にマーケットが形成されてビジネスが本当にリターンも出てくるような状況をやるのか、その辺りで民間の方々の取組方は随分変わってくるだろうと思います。国の成果の引き受け手としての民間というトランジションの大きな流れはあるものの、その具体案がなかなか見えてこない感じがします。難しいことではあると思うのですが、国がここまで宇宙ステーションをつくってきた後をどう民間が活動しているかという様が具体的に見えるようにしていくと、この話がもう少し分かりやすくなるのかなと思ったのが1点目です。
 それから、今までの成果で、ライフサイエンスとかマテリアルサイエンスなどの成果や科学のことはメンションすべきというお話がありました。向井さん他の方々がおっしゃっていたように、ISSから次は月・火星といったときに、今までISSで培われてきた、あるいは機会をつくってきたことが、月・火星の土俵でどれぐらいの規模で実行できるかと考えると,ゲートウェイあるいは月面上などの活動になったときに、今のマイクログラビティーとかマテリアルサイエンスなど全般を同じ規模でそこでできるという主張もなかなか現実には難しいという気がするので、やはり地球軌道上でやることと月は分けていくのだろうと思います。
この、地球の軌道上でやることは民間主体でやっていく、月・火星はまだ国中心でやるという大きな流れの中で、日本のプレゼンスがどうやったら一番上るのか、あるいはそのときに、アメリカは国・民間両方合わせてだと思いますけれども、例えばヨーロッパはどうしているのか、中国はどうしようとしているのかというところとの相対化で、こんなやり方だと日本のプレゼンスはこうですよねとか、相対化の下でこんなやり方がいいのではないかとか、よくないのではないかとか、そういう他国との相対化の上での議論についても、何か情報とか,考え方というか戦略のようなものがあると分かりやすいかという気がしました。
 今日のご説明ではその辺りが、日本がアメリカの民間と組んでこうしたいということに限っていたように思いますので、その辺がもう少し見えるとよいと思いました.私のコメントは以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。皆様お話しいただきましたでしょうか。
 
【池田室長】 皆さんいただいております。
 
【藤崎主査】 分かりました。本件について基本的に今日JAXAあるいは文科省からお話しいただいたのは、ISSの寿命が来たときに、2040年までの間に一定の形のLEOがどうしても必要になるだろうと。そして、それは完全に民間主体というわけにはいかないし、外国に委ねるわけにもいかないので、政府がかなりの規模で関与しつつ、民間を支援していくのだろうと。
 その基本的な考え方は恐らくそうだろうと思うのですが、恐らく皆様方の議論でございますのは、第1点に、日本の宇宙予算の関係で、これからアルテミス、月にだんだん比重が移っていく、そしてLEOがあり、時々衛星探査あるいは惑星探査も行われるという全体の姿の中で、どれだけの比重をISS、LEOに置いていくのかということです。
 そのためにはニーズがどの程度あるかを把握しないといけないのですが、実はここで2つ問題があります。
 1つは、このニーズが今まだはっきりしない。どちらかというと湧いてくるニーズではなく、掘り起こすニーズみたいに、民間から掘り起こそうとしているように聞こえますが、ある意味で本当にどれだけエンタメなどというものがあるのかどうかまだ分からない部分がございます。
 もう1つは、実はアメリカが今LEOのほうはかなり民間に任せていくと言っているのは、民間がそれだけやるというよりは、政府はむしろアルテミス・月のほうに進むから、それにどれだけのニーズがあるか知らないけれども、あとは任せたよという動きにも見えないではないわけですね。
 したがって結論的には、その状況からすると、私どもは、今から新しいLEOの規模が今を維持しつつとかいう議論をして、こういう形態であるというよりも、まずはニーズ、どの程度本当に必要なのか、費用対効果をよく見極めながら漸進的に進んでいくという、見極めをしていくことが一番大事です。そのためには、自分が得意な分野であるISSを活用することは大事ですけど、そういうことありきではなくて、もう少し柔軟に全体を見渡して、今各委員がおっしゃったように、各国がどうしているか、アメリカの真意がどこら辺にあるのかということをよく見極めていく必要がある。
 したがって、この組合せでこうであってこうであると、結論を今すぐおっしゃったのですが、もう少しその事前段階として、全体の姿を我々の間でも議論しないといけない。文科省やJAXAの方がアメリカの企業なりアメリカ政府とお話しいただいていることをもう少しシェアしていただいて、それならこうだと分かるような格好にしていかないといけないのではないだろうかと。
 その意味で、皆様方から御提起いただいたのは非常に大事な点だと思いますので、私はここで今すぐ、これはこうですというJAXAあるいは文科省から御説明をいただいても、今は何ページの何とかについてこうであるという議論をしているわけではなくて、もっと根幹的な議論をしているわけですから、1回場を設けて、オンラインで結構ですから、こういうことについての基本的な議論をする。そのための枠組みペーパーを2枚紙くらいで用意していただきたい。これは趣味で申し上げると、図を一切使わない、パワーポイントを使わない、字だけで、文章で書いた考え方の紙を用意していただきたい。3枚でもいいですよ。それを事前に送付して、皆さんのEメールだけでのやり取りでも結構ですし、あるいはオンラインの会議でも結構ですけれども、基本のところを議論した上で、今日みたいな議論に入って、組合せとかの議論に入らないと、まだみんなよくその姿が見えてない。最初にあった、なぜISSありきみたいな議論からだとなるのは、そのとおりだと思います。
 これはナショナルプロジェクトとして考えるべきで、国が基本的に取り組んでいかなければいけないというのはそのとおりなんですけれども、本当にそこにどの程度ニーズがあるのかをよく見極めて、どれだけ費用対効果でやっていくのかをもう少し議論したほうがいい。
 そうでないと、初めにもうこの規模ありきというペーパーを作ろうといっても、なかなか皆が飲み込めない部分があるので、今日の議論についていちいちJAXA様と文科省様から「いやいや、こうなんです」という御説明をいただくよりも、今日、各委員から御指摘がありましたので、その議論を踏まえた上で、今私が申した文章による考え方の説明ペーパーをお願いします。横長パワーポイントではなく、縦長A4の文章のペーパーで、考え方を整理して、それも短い文章で、1ポツ、2ポツという感じの簡単に整理した紙を作っていただきたい。全体の姿がこうである、ニーズの掘り起こしがこうである、アルテミスとの関係はこうであって、例えばアルテミスとか月がもしできていった場合でも、しかしLEOのニーズはそれでカバーされてしまうわけではなくてあるんだとか――私はそれがないのかあるのか知りませんけど、そのあたりをきちんと説明できれば、あと、民間はどの程度まで関心があるのか、それを3枚で書けというのはなかなか難しいのですが、よくございますように、3枚紙くらいでポイントを絞って書いて、各民間から聞いたお話なんかの附属をつけていただいても結構ですから、そういう形で整理して、それを皆さんに投げていただくというのはいかがでしょうか。
 もし、局長でも室長でも、どなたか。こういうことで。今ここで、竹森先生や向井先生や倉本先生がおっしゃったことについて一つずつ議論するよりは、そのほうがいいように思いますが、いかがでしょうか。
 
【池田室長】 室長の池田でございます。先生方の御意見、大変ありがとうございます。
 私自身も不勉強ながら、過去の会等でどういった議論がなされているのかを少しずつ洗って、勉強しているところでございます。
 御意見いただきました全体像とか月・アルテミスとISS・低軌道との関係に関しては、かなりこの小委員会でもこれまで議論され、また、それに沿った提言案や報告、中間まとめ等がなされていると認識しておりましたが、改めてそれを主査がおっしゃるような2,3枚ぐらいの分かりやすい形でまとめてお示しするということでしょうか。
 
【藤崎主査】 はい、そうです。そのとおりです。
 
【池田室長】 分かりました。
 
【藤崎主査】 今日皆様方からこれだけの議論が出たのは、根幹的なところでまたもう1回整理をしていただきたいと、その上で今日おっしゃったような議論に入っていけるということだったと思います。
 
【池田室長】 承知しました。
 
【藤崎主査】 過去の資料を見ていただきながらでもちろん結構ですから、そこでコンセンサスがあった部分については、「これは第2回報告にあり」とか「第3回報告にあり」というふうにリファーしていただければ、そこの部分は既にクリアされているということで結構ですから。ただ、全体としてそういうものを書いたことは一度もないんですね。
 
【池田室長】 承知いたしました。
 
【藤崎主査】 お願いいたします。大体いつ頃いただけると考えてよろしいでしょうか。もちろんオンラインではなくても、メールで、ペーパーができて、それでも結構です。やはり恐らくこういう議論がこれだけ皆様方からかなり同じ方向で議論が出ているというのは、それだけ議論する価値があるのではないかなと私は思います。
 
【池田室長】 承知しました。では、すみません、ちょっとお時間をいただいて、今月中にはお送りできるようにしたいと思います。
 
【藤崎主査】 今の進め方について何か御意見のある委員の方はおっしゃってください。特に異議がなければ、そういうことでお願いしたいと思います。
 
【原審議官】 すみません、審議官の原でございます。
 
【藤崎主査】 はい、どうぞ。
 
【原審議官】 ありがとうございます。御意見を踏まえて資料を整理したいと思います。
 一つ、その議論の発射台になると思うのが、まだ最終セットはされておりませんけれども、2030年までISSの延長に日本が参加すべきかどうかをこれまで御議論いただいておりまして、それがISSのこれから月・火星に向けたテストベッドとしての役割とか、民間企業との関係をどう考えていくのかということの一つの発射台になると思いますので、それを踏まえて事務局のほうで場を調整したいと考えてございます。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございます。私はある段階でこういう根源的な議論をもう1回みんなですることが、前に議論したことがあったとしても大事なことで、その意味で向井さんから御指摘いただいたのは大事だったと思います。私も実は同じようなことを考えていた部分がございますので。
 それでは、もしほかの方々から議論がなければ、そういうことで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
【向井委員】 審議官がおっしゃったように、確かにアルテミスに参加する、ゲートウェイをやるという大きな方針はつくっていると思います。ただ、ISSをどう利用するか、特に2025から30までの間にどう利用するかに関して、現在JAXAから出ているものは、これまでの社会実装させるようなニーズに関しての情報がほとんどで、例えばアルテミス計画やゲートウェイの新技術が必要であれば、それをISSで検証するとか、宇宙飛行士の訓練で使うといったそういうJAXA自体が先に進むためにISSをどのくらい利用したいのかという情報が全くないんですね。そこの情報がないままに民間の意識を何となく高めようとしているので、結局軸足がいつまでたってもISSから抜けてない現状と思います。
 月面の天文台でも何でもいいので、JAXAが主導的にISSをどのくらい新しい技術検証で使いたいのかという洗い出しをして、そういうものがないのであれば、JAXAが使わない分、どのくらいのアロケーションが民間で使えるので、民間どうぞという話になると思います。ぜひそこのJAXAの考えをもう少し明確に出してほしいと思います。以上です。
 
【藤崎主査】 ありがとうございました。今のも踏まえてペーパーを御用意いただければと思います。もし今申しました3枚なり4枚の紙で書けなければ、それは添付にしていただければ結構です。ただ、お願いしますが、ぜひパワーポイントはやめていただいて、文章にしていただきたい。よろしくお願いいたします。
 
【池田室長】 はい、ありがとうございます。主査から御指示いただきましたので、それに沿ってできるだけ早く対応するようにいたします。
 
【藤崎主査】 それをお送りいただいて、委員の方々がその上でやはり会議が必要であると御判断になるか、あるいはもう大体この整理はできて納得されたとするかは、その紙についての委員の御判断を待ちたいと思います。
 
【池田室長】 ありがとうございます。
 
【藤崎主査】 どうも今日はありがとうございました。では、以上で会議を了したいと思います。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課