第7期 環境エネルギー科学技術委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成26年10月24日(金曜日)9時30分~11時30分

2.場所

文化庁第2会議室

3.議題

  1. 環境エネルギーをめぐる最近の状況について
  2. 環境エネルギー分野における社会実装に向けた研究開発に関する今後の検討の方向性について
  3. その他

4.出席者

委員

安井主査、橋本委員(主査代理)、三村委員(主査代理)、岩船委員、江守委員、河宮委員、杉山委員、関委員、館山委員、林委員、原澤委員、安岡委員、山地委員

文部科学省

磯谷大臣官房審議官、松尾環境エネルギー課長、木下環境科学技術推進官、山村課長補佐、鏑木課長補佐、西川地球観測推進専門官

オブザーバー

独立行政法人科学技術振興機構 鈴木フェロー、独立行政法人物質・材料研究機構 室町理事

5.議事録

【安井主査】  おはようございます。それでは、環境エネルギー科学技術委員会の第7回の会合を開催させていただきたいと思います。
 御多忙中のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、出席者の確認を事務局からお願い申し上げます。
【鏑木課長補佐】  それでは、出席の御報告について申し上げます。
 御出席の委員の数は13名でございます。したがいまして、本委員会は過半数に達しましたので、委員会は成立しております。
 また今回、議題2に関する議論の参考とするために、お2人の方に御出席いただいております。お1人目は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)の鈴木フェローでございます。
【鈴木フェロー】  鈴木でございます。よろしくお願いします。
【鏑木課長補佐】  それから、独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)の室町理事でございます。
【室町理事】  室町でございます。
【鏑木課長補佐】  以上でございます。
【安井主査】  よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に入ります前に、資料の確認をお願い申し上げます。

(配布資料の確認)

【安井主査】  よろしゅうございましょうか。それでは、何かありましたら事務局にお願いいたします。議事につきましてはお手元をごらんください。
 前半の議題1は、どちらかといいますと、後半の議題2のための準備とお考えいただきまして、議題2では、30分プラス40分、合計、うまくいけば70分間ぐらいで皆様の御意見を伺うといった方向でやりたいと思っています。
 それでは早速でございますが、議題1は、皆様の情報のレベル合わせみたいな感じでございますので、お聞きいただければと思いますが、環境エネルギーをめぐる最近の状況についてということでございます。主として4点の御報告をさせていただきまして、さらに、先ほど御紹介いただきましたお2人のゲストスピーカーにお話を頂くと、そういった形でございます。
 それでは初めに、事務局から、環境エネルギー分野に係ります平成27年度の概算要求の御説明を頂きたいと思います。お願い申し上げます。
【木下環境科学技術推進官】  それでは、資料1-1を御覧ください。科学技術関係予算概算要求の概要ということでございます。めくっていただきますと、予算のポイントがありますけれども、該当部分だけ簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 めくっていただきまして、左上に8ポツ、クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現というところ、ここにまず先端的低炭素化技術開発(ALCA)という事業が環境エネルギー課分としてはございますし、隣の9ポツ、世界に先駆けた次世代インフラの整備の中、下から2つ目のところに気候変動適応技術社会実装プログラム新規という形で反映させていただいていますけれども、これの具体的なところは、補足説明資料、めくっていただきましたパワーポイントのところに明記させていただいております。パワーポイントの資料を御確認ください。
 順番が逆になりますけれども、最初のところですと「社会とともに創り進める科学技術イノベーション政策の展開」、ここでは、3つ丸があるうちの真ん中です。社会技術研究開発のところで、フューチャー・アースの要求がここに含まれております。次のページも、この詳しい御紹介ですけれども、右下にフューチャー・アース構想の推進というのを紹介させていただいております。
 先ほどの8ポツ、それから9ポツに該当しますのが、その次のページでございます。8ポツ、クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現というところで、ここに当課関係の事業がリストアップされておりますけれども、左端にALCA、次世代蓄電池であるとか、バイオマスから化成品等を製造するホワイトバイオテクノロジー、これを省庁連携によって推進したいというふうに考えてございます。また、真ん中のコラムの一番下のところに、革新的環境・エネルギー技術研究開発ということで、物性科学等の分野での研究開発というのも推進してまいりたいふうに考えております。
 次のページは、ALCAの詳しい御紹介のページでございます。特別重点プロジェクトが、文部科学省と経済産業省の合同検討会を開催しながら議論を進めているということを御紹介させていただいておりますし、また、下の方で、実用技術化プロジェクトというところで、要素技術等を統合しつつ、明確な目標の下、実用技術化の研究開発を加速するというところを御紹介させていただいております。
 それから、めくっていただきまして9ポツ、世界に先駆けた次世代インフラの整備ということでございますと、左下の地球環境問題への対応というところが当課担当分でございまして、多様なリスクのマネジメントを可能にする基盤情報の創出の推進であるとか、環境変化への対応のための社会実装の促進というのを載せさせていただいております。その具体的なところが次のページ、地球環境問題への対応ということで、1ポツ、気候変動リスク情報創生プログラム、それから2ポツの(1)で新規の気候変動適応技術社会実装プログラムであるとか、DIASと呼ばれる地球環境情報統融合プログラムというのを掲載させていただいております。
 めくっていただきまして次のページは、そのうちの、先ほど御紹介いたしました新規として要求しております気候変動適応技術社会実装プログラムの御紹介でございます。背景の上から3つ目のポツで、ポイントとしては、適応策は地域それぞれの特色を生かして新たな魅力を発現できるような、そんなプロジェクトとして進めてまいりたいと、そういう形で次年度要求を進めております。
 報告は以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。御質疑、御議論に関しましては、議題の2の方でまとめてさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして2番目でございますけれども、第4期科学技術基本計画期間における環境エネルギー分野の取組状況についてということで、御説明をお願いいたします。
【木下環境科学技術推進官】  それでは、資料1-2と、続いて資料1-3に基づきまして、今期、第4期科学技術計画、今の主要な計画と、それから、それに対応する主な取組状況について御報告させていただきたいと思います。
 まず資料1-2ですけれども、現在の計画を御紹介させていただきます。
 第4期科学技術基本計画ですけれども、めくっていただきまして2ページ目ということで、ライフイノベーションとの2本立てで、グリーンイノベーションの推進という形でこの計画には盛り込まれてございます。(2)にございますとおり、課題解決のための研究開発推進という観点で計画は盛り込まれています。具体的には、安定的エネルギー供給、低炭素化の実現であるとか、次のページですけれども、エネルギー利用の高効率化及びスマート化、社会インフラのグリーン化というふうに挙げてございます。そしてさらに、それを実現するためのシステム改革というのを目指していくという計画になってございました。
 それから4ページ目ですけれども、こちらは、それを踏まえまして策定いたしました環境・エネルギー領域における研究開発方策のポイントを御紹介させていただきます。文部科学省として進めるべき研究開発課題ということで、先ほどの科学技術基本計画を踏まえて策定したものでございますけれども、そこでは、1ポツで再生可能エネルギーの普及、エネルギー供給の低炭素化、2ポツで分散エネルギーシステムの革新を目指した研究開発、3ポツ、省エネルギーに資するエネルギー利用の高効率化、4ポツで低炭素社会に向けた社会シナリオ研究、実証研究の推進といったものを挙げてございます。
 また、次の5ページ目では、人文・社会科学分野との連携であるとか、産学連携、関係機関との連携、人材育成、そしてリスク情報の提示とリスクに配慮した研究開発の実施、こういったものを研究開発方策として平成24年度にまとめて、取り組んできたというところでございます。
 おめくりいただきまして6ページ目、7ページ目でございますが、これは直近、今年制定された計画でございまして、1つ目はエネルギー基本計画でございます。そしてもう1つが科学技術イノベーション総合戦略2014ということでございまして、エネルギー基本計画ですと、低コスト化、高効率化など多様な用途の開拓であるとか、水素の製造から貯蔵といった話。それから、下の方になりますけれども蓄電池、水素などのエネルギーの貯蔵能力の強化等、材料・デバイスまでさかのぼっての高効率化、そして最後、エネルギーマネジメントシステムの高度化、製造プロセスの革新などというのが、取り組むべき技術課題として掲げられております。
 そして、イノベーション総合戦略2014の方でございますけれども、こちらでは再生可能エネルギーの供給拡大、革新的発電・燃焼技術の実現、エネルギー源・資源の多様化等々、(1)から(8)まで重点的取組として掲げられているところでございます。
 これに対応いたしまして、我が課としてどのような形で取り組んでおるかというのを資料1-3にまとめてさせていただいております。資料1-3をごらんください。
 まず気候変動研究に関連してですけれども、我が国の気候変動に関する研究というのは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の議論に大きく貢献して、例えば日本人論文の採択率の向上というような形で表れておりますし、次のページでございますけれども、我が国の気候モデルの引用回数が世界一であったと、こういった実績を着実に出しているというところでございます。4ページ目には新しい知見として、どんな画期的成果を上げたかと、例えば温暖化の停滞現象の再現に成功したであるとかを4ページ目に御紹介させていただいております。それから5ページ目は、そういった気候変動研究の成果をリスクマネジメントに生かすということで、基盤情報の創出に向けた取組を行っているということを御紹介させていただいております。
 これらの研究成果を広く社会に役立てていくという観点でのデータシステムの整備というのを行っております。それが6ページ目以降のDIASの御紹介になりますけれども、DIASの高度化、拡張というのを着実に進めておりまして、ユーザー数の拡大、保有データ数の増加という形で実績を着実に残しておりますし、7ページ目のように幾つかの成功事例というのも出てきているところでございます。また、こういったグローバルな環境変動のモニタリングの成果の具体的な気候変動適応策への反映ということで、気候変動適応研究推進プログラム(RECCA)というプロジェクトを推進してまいりました。それを8ページ目以降に御紹介させていただいております。このような富山県の例であるとか石川県の例、それから9ページ目のような漁業への適用、都市環境への適用といったような形で反映、成果を出しつつあるというところでございます。
 おめくりいただきまして、10ページ目はフューチャー・アースの御紹介、フューチャー・アース構想を推進しているということ。それから11ページ目は、地球観測。こちらは、地球観測推進部会という別の部会でも議論を進めておりますけれども、その御紹介も11ページ目にさせていただいて、GEOSSの構築というのが進んでいること。そして12ページ目をごらんいただきますと、地球観測、世界的な議論としては、新しい10年実施計画というのを策定しようということで、本年1月から動いてございます。その議論は地球観測推進部会で進めておりますけれども、そこでは、12ページ目の下から3つ目の丸、平成26年9月というところですけれども、課題対応の取組は利用者との連携で進めるといったような指摘を頂いているというところでございます。
 それから、13ページ目は人材育成の観点で、環境人材の育成というのを積極的に推進してまいりました。事業としてはほぼ終わりになっておりますけれども、一番下にありますように、博士課程教育リーディングプログラム等々に成果を引き継いでいるという状況を御紹介させていただいております。
 14ページ目は、関係省庁との連携を促進しているということの御紹介をさせていただいております。1つ目は環境研究分野でございますけれども、環境省・文部科学省の連携懇談会というのを開催している。それから、RECCA、温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究(S-8)での連携も進めているということの御紹介をさせていただいております。
 15ページ目は、ALCA、経済産業省との連携でございますけれども、こちらは平成23年から合同検討会を開催して、文部科学省ではALCAという形でそれを推進して、基礎研究から市場に送り出すところまで一貫してやるというプロジェクトを進めてございます。その具体例としては、16ページ目に府省連携による一気通貫型の研究開発を推進ということで、もう少し詳細に、次世代蓄電池であるとか太陽電池の研究の状況を御紹介させていただいております。また、17ページ目には、エネルギーキャリアという形で、新しい経済産業省とともにスタートしたプロジェクトの御紹介をさせていただいております。
 こちらの特徴は、18ページ目にありますように、厳格なステージゲート評価という管理で厳しいマネジメントをしているというのが特徴であるということで、そちらを御紹介させていただいております。19ページ目には、同じように、このALCAのプロジェクトマネジメントの特徴として、積極的なプロジェクトマネジメントということで、採択課題の統合とかボトルネック課題の抽出、そして実用技術化プロジェクトへの移行という形で積極的なプロジェクトマネジメントを実施して、成果の創出の拡大を進めているということを御紹介させていただいております。
 そのほか、21ページ目、こちらも人材育成でございますけれども、産学連携のコンソーシアムを形成して研究開発を推進していることの御紹介です。育種であるとか、そういったもので進めているという御紹介です。それから、22ページ目はエレクトロニクスの分野です。創発物性科学研究センターの発足と革新的な研究成果の創出ということで、平成25年に独立行政法人理化学研究所に創発物性科学研究センターを設置して、世界最先端の画期的な基礎研究を展開するということで進めていることの御紹介。それから次のページでは、同じように設置いたしました環境資源科学研究センターの取組を御紹介させていただいております。
 最後に、24ページ目には、低炭素社会づくりのための社会シナリオの作成というのを進めていることを御紹介させていただいております。
 説明は以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、3番目でございますけれども、お2人のゲストスピーカーに御報告いただきたいと思いますが、最初はJST・CRDSの鈴木フェローから、検討の状況について御説明をお願いします。
【鈴木フェロー】  ありがとうございます。JST・CRDSの鈴木でございます。
 それでは、資料1-4を御説明させていただきます。タイトルは非常に仰々しく書いてございますけれども、現在、私どもCRDSでの議論の状況というのを簡単に御紹介させていただきます。
 1枚おめくりいただきますと2ページ目でございますが、CRDSにおける検討体制と関係機関との相関ということで、下半分のところにCRDSの環境・エネルギーユニットというところがございまして、そこでは、四角い囲みに環境・エネルギー研究戦略会議というのがございますが、こういった会議体を設けまして、その周辺に4つの専門会議、エネルギー供給、利用、環境、原子力という専門会議を置いて、そこで私どもは環境・エネルギーの研究戦略について検討を進めてございます。私ども、こういった検討結果は文部科学省さんですと環境エネルギー課さんですし、その他、経済産業省や関係府省の方へ相互連携、協力という形で政策の形成に有用な科学的助言ですとか報告書などを提供しているということでございます。
 3ページ目は、その環境・エネルギー研究戦略会議の今年度の委員でございます。本日お見えになっていらっしゃる先生も、橋本先生にも御参画いただいて、このようなメンバーで検討を続けてございます。
 それで、4ページ目以降、4、5、6ページでございますが、この会議で6月に一度、第9回というのを開いたのですが、そのときに第5期科学技術基本計画の策定に向けてということで、環境エネルギーの会議ではあったのですが、必ずしも特定技術に関する議論ではなくて、かなり大きな枠組み、あるいは断片的なこともございましたが、各委員の考えをフランクに御紹介いただいた会議、議論をいたしました。もちろん個々の先生からは、個別の技術についてこういったものを進めていくべきというお話もございましたが、ここでまとめさせていただいているのは、少し大きな枠組みでのまとめでございます。
 余り長くございませんので、ぱっとお読みいただければと思うのですけれども、どこでも言われているようなことが書かれてございますが、4ページ目ですと、1ポツ目は、原理・原則に基づいて目標技術を見極めることが必須であるというようなことですとか、2つ目のポツですと、今、3本目の矢としてのイノベーション、それを創出する原動力としての科学技術に大きな期待を現政権はされているということです。それから3つ目のポツは、第5期を語る前に、まず十分、現在の4期を見届けて、特にイノベーションというのはどのような効果と結果を生んだのかというのを見極める必要があると。それから、5ページ目に行きますと、1つ目のポツでは、大学改革ですとか産学官の人と資金の実質的な乗り入れが非常に重要であるというようなコメントがありましたり、より長期的な展望を持って科学技術政策、基本計画を立案していく必要があって、特に、先ほども人材育成という話が出てございましたけれども、若い世代が希望を持ってこの科学技術分野に入ってきてくれるというようなことを考える必要があると。それから3つ目のポツですと、この成果が社会に還元される道程というのを当初から想定した基礎研究をいかにして実現するかが大きな課題であって、またイノベーションの成果を国際的に展開することも重要だということです。
 6ページ目に行っていただきますと、1つ目のポツ、オープンイノベーションを基盤として技術開発で我が国は負けるわけにはいかないというコメントがございましたし、2つ目、エネルギー分野の政策立案も含めた統合的なナショナルセンターを構想する必要があるのではないかというような声もございました。供給者、需要者の接近というのが今進んでいるという中で、エネルギーの新しい需給システム、マネジメントシステムが重要になってくると。それから、最後のポツですが、政策オプション選択においては公正で論理的なプライオリティー付け、集団的意思決定を行うという方法論が必要である等々、御議論いただいた結果を御紹介いたしました。
 それから、7ページ目でございますけれども、そもそも国が公的な資金を使ってなぜ研究開発に投資をしなくてはならないのかということで、幾つかのケースがあると思うんですが、国策として研究開発すべき課題として5点、挙げさせていただいております。研究投資が巨額で民間が着手しにくいとか、社会ビジョンから要請されるのだけれども、やはり経済性が見通せない技術ですとか、あるいは国境を越えた地球規模の人類共通課題の解決、とても一私企業が正面から取り上げて努力するのは難しいような、こういったことも考えて検討していく必要があるということの御紹介でございます。
 それから、8ページ目でございますけれども、現在、我々CRDSの環境・エネルギーユニットで、この環境・エネルギー分野全体の俯瞰(ふかん)調査というのを行ってございます。最終的には報告書として今年度末にまとめる予定でございますが、その分野俯瞰(ふかん)に当たっての基本的な考え方でございまして、社会的期待をどう捉えるかということでございますけれども、これはもうよく言われてございますエネルギー・環境問題の基本骨格ということで、エネルギー安定供給、環境性、経済性、安全性、いわゆる3EプラスSというのを同時に克服していくということでいいますと、暮らしの豊かさであったり、人間活動の省エネ・省資源、脱化石資源といったようなことを、いかに同時に満たしていくかということを考えていくと。本質的にはエネルギーの高効率化と低炭素化と、それから平準化ということになるであろうということをスタンスとして考えてございます。
 それで、9ページ目のところですが、我々が今、分野俯瞰(ふかん)をして検討している状況でございますけれども、俯瞰(ふかん)報告書は3章構成になっておりまして、その3章のところでは研究開発領域という、1つずつの研究開発のくくりをもって報告書をまとめて書こうとしているわけですが、今回、環境・エネルギー分野を大きく、エネルギー供給区分、利用区分、原子力区分、環境区分と4つに分けまして、それぞれの下にどういった研究開発領域があるかというのをまとめてございます。全部で92の研究開発領域が今のところ考えられているわけですが、区分ごとに、技術でくくるのではなくて、社会的期待で、サブ区分というふうに呼んでいますけれども、例えば3.1.1というところですと、化石資源を効率よく電力に変えるというような視点ではどういった技術があるかというような形で、それぞれ各区分の下に20とか16とかといった研究開発領域があるだろうというのを、今考えて、まとめているところでございます。
 それから、10ページ目に行っていただきますと、そういうエネルギー分野において今後取り組むべき技術ということで、基本的な考え方ですとか、現在進行しています俯瞰(ふかん)の検討結果を踏まえて、大きな方向性としましては、まずやはり量的インパクトが大きい目標技術に取り組むべきであろうということと、それから将来的に我々の生活スタイルを大きく変えていくような技術、こういったものに取り組むべきではないかということでございます。例えばということで四角の囲みの中に幾つか書かせていただいておりますが、その下に書きましたように、もう一部は既に経済産業省さんですとか独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)さんなどで取り組まれているものもございますけれども、文部科学省さんとしてはこれをどうやって位置付けていくかということが必要かなと思ってございます。
 11ページ目は、今度は環境分野の俯瞰の方でございますけれども、私ども環境分野の俯瞰をするに当たっての基本的な考え方として、環境は人の健康を含む生命の持続性の基盤であるという、すなわち、この俯瞰では次世代のための環境、何度も出てきます人材育成とか次の世代ということをよく考えて、次世代のための環境を前提として俯瞰をしようと。そして今後は環境設計・創造という視点が必要であると、つまり環境への影響を及ぼす事象を予測し、先手を打つという考え方、それから対策が事後対応的であった異常気象や自然災害も対象としようということでございます。
 それで、ポツでいいますと5つ目でございますが、いろいろそういった考え方の下、今後顕在化する社会的課題は分野を超えた総合的な課題になるであろうということで、丸の1から4、これが環境分野の大きなくくりになってくるかなというふうに我々は考えております。人間の居住の可能性、生態系サービスの適正管理、持続可能な生産と消費、災害による環境影響の減少と環境の再創造、それから加えて、観測・計測、データ収集というのは、将来顕在化し得る環境問題を事前に捉えて環境管理を実現することで課題解決に寄与する必要があるということで、5つ目としまして、観測・計測とその情報に基づく環境管理という観点も重要だと考えてございます。
 12ページでございますが、そういった環境・エネルギー分野俯瞰結果に基づいて、特に優先的に取り組むべきものの重点研究開発領域ということにしまして、各区分、ちょっと原子力だけは抜いておりますけれども、エネルギー供給、エネルギー利用、それから環境の技術としましては、そちらに挙げましたような領域を優先的に取り組んでいくべきではないかということの、現段階はまだ案でございますけれども、御紹介でございます。
 特に環境につきましては少し議論が進んでおりまして、次の13ページのところに、それぞれの環境の重点研究開発領域の具体的な内容を書かせていただいてございます。中は細かくは読みませんけれども、人間居住の持続可能性を高めるコンパクトシティの実現ですとか、生態系サービスの持続的利用のための評価と管理ですとか、動脈側と静脈側を統合したマテリアルフローマネジメント、災害環境研究など、4つが重点的に進めるべきところではないかと考えてございます。
 それから、最後の14ページ、15ページでございますけれども、私ども、俯瞰活動とは別に、戦略プロポーザルという提言書を別途まとめるという活動をしております。特定のテーマについて深掘り調査をして、報告書をまとめているというものですが、本日事務局の方から参考資料2ということでお配りいただいたのですが、今年の4月に、1年半ほど掛けてまとめた「都市から構築する我が国の新たなエネルギー需給構造」という提言がございます。これは、エネルギーに関する課題解決型の研究開発で、特に我が国の都市におけるエネルギー利用・消費の高効率化を課題とした研究開発の在り方について提案したものでございます。
 都市におけるエネルギー問題に取り組む基本的な方針としましては、高効率化、低炭素化、平準化、これが重要であるということで、左下の囲みにございますけれども、比較的大きな寄与が期待される9つの方策というのを抽出しまして、それを実施するために、特に中長期的観点から5つの研究開発領域、右の緑の囲みのAからE、これらを主体的に取り組んでいく必要があるのではないかというものでございまして、その概要、概観図、イメージ図のようなものが最後の15ページでございます。
 簡単ではございますけれども、以上でございます。
【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、NIMSから、室町理事に御発表をお願いいたしています。
【室町理事】  室町でございます。それでは早速、資料1-5に基づいて御説明をいたします。1ページめくっていただきます。
 私ども物質・材料研究機構、NIMSと呼ばせていただきますが、NIMSは2001年に発足いたしました。今年で14歳になります。物質・材料を総合的に研究する公的機関としては日本で唯一の研究機関でございます。右側の図に我々の立ち位置が書いてありますけれども、材料というのは様々な出口を持つ横串的な科学技術でございまして、この非常に重要な共通技術に関して、我々日本のハブ機関としての役割を果たしていくと、そういう立ち位置を持っております。
 次に行っていただきます。概略を御説明いたします。人員構成といたしましては、トータルで1,500名強の人員がおります。そのうち550名程度がパーマネントの職員であります。そのうち400名程度がパーマネントの研究職員、その程度の規模の研究所でございます。非常に特徴的なのは外国人の比率が高いことでして、全体で20%が外国人、研究者に限りますと3割が外国人という研究所でございます。
 右側に予算額の推移が書いてあります。運営費交付金はこのように右肩下がりで、それを補うものとして公的な資金及び企業からの外部資金を積極的に取りに行っておりまして、それを含めると200億円の大台を何とかキープしていると、そういう状況にあります。
 次に行っていただきます。NIMSの組織の概要を書きました。これは1つ1つ説明すると時間が掛かりますので、本当に簡単に御説明いたします。真ん中の緑のところ、ここに研究の関係の部門があります。我々、3つの大きな部門と1つのセンターを持っております。研究者は全てここに本籍を置きまして、右側のピンクの部分、これは拠点であります。この拠点の多くは文部科学省からの委託費でサポートされている、そしてハブ的な機能を持った、オールジャパンで、かなり限られた課題に関して研究を行うという組織でございます。そして研究者はこの部門に籍を置きまして、拠点の方に併任をするという、ある種の二重構造をとって研究をしております。
 今回の課題でありますグリーンイノベーションに関係するという意味では、全ての研究部門、研究拠点が関係いたしますが、特に直接関係するものとしては、グリーンの部分としては環境・エネルギー材料部門というのを作っております。これは一番大きな部門でして、200名近い研究者、定年制研究者が所属しております。それから、右側の方のナノ材料科学環境拠点、あるいは構造材料研究拠点、このようなところは直(じか)にグリーンイノベーションに関係する組織、拠点ということになっております。
 次に行っていただきます。まず、私ども、運営費交付金でどんな取組をしているかということで、運営費交付金を使いまして、先ほど述べました環境・エネルギー材料部門の中で、ここに書いてあるような様々なプロジェクトを実施しております。向かって左側に列挙してありますものはグリーンイノベーションに関連した機能性材料でございます。例えば次世代環境再生材料、これは光触媒でありますとかセシウムの吸着剤でありますとか、それらの研究開発を行っております。超伝導、発電・蓄電材料、太陽電池、ワイドギャップ半導体、磁性材料等々、省エネに関係する材料の開発、その中でも基礎、基盤に係る研究をここで行っております。右側には構造材料の関係のプロジェクトが並んでおります。例えば低炭素化社会を実現する耐熱・耐環境材料の開発、温度を上げると効率が増しますので、そういうものに耐えるような材料の開発、ハイブリッド材料あるいは元素戦略に基づく先端材料というような構造材料系のプロジェクトも実施しております。
 次に行っていただきます。研究ハイライト、幾つか選んでまいりました。特にグリーンイノベーションに関係するものを選んでまいりました。1つ目は磁石であります。今いろいろなところで磁石が使われておりまして、磁石というのは実は省エネに対して非常に重要な役割を果たします。磁石がないとプリウスは走りません。ところが困ったことに、ディスプロシウムという非常に希少な材料、元素を使わないと磁石ができないということで、これを使わなくても高性能磁石ができると、そういう研究がまさに今進展しております。かなりいいところまで行っておりまして、七、八割方のところには来ているというふうに考えております。
 右側は単結晶の耐熱材料でございます。この材料、非常に私ども長い間研究してまいりましたが、2012年からは、ついにボーイング787のジェットエンジンの一番温度が上がる部分に使われました。日本ではANAが採用している787にこの材料が入っております。これは温度を上げることで効率が上がりますので、この材料を使いますと、ジェット機1機当たり1億から2億、年間燃料費が節約できるというようなことも聞いております。
 次に行っていただきます。サイアロン蛍光体、これはノーベル賞に輝きました青色LEDと合わせて使って、白色光を出す、あるいは自由自在にいろいろな光を出すということで、私どもの特許の稼ぎ頭です。多分年間4億円くらいの多額の特許料がこれで入ってきております。これは省エネという意味でも非常に大事でして、LED電球の発光効率は通常の電球に比べてはるかに高いですから、そういう意味でも非常に大事な材料だというふうに思っております。
 こういう材料だけではなくて、信頼性の向上みたいなことも着実に進めておりまして、これによって火力発電所の温度を、安全を見つつ最大のところまで上げることができると、そういうようなことで、これも省エネに非常に役立つと思っております。
 次に行っていただきます。今はどちらかというと部門を中心にお話をしてきましたけれども、幾つかの拠点があります。これは御説明したとおりですが、グリーン関係で一番大事な拠点としてはナノ材料科学環境拠点、これは文部科学省の委託費でサポートされているものですが、主として次世代の蓄電池の研究をしております。ALCAの次世代の蓄電池の受皿という組織でもございます。それから、この環境拠点には蓄電池プラットフォームというのが併設されております。そこには例えばドライルームのような、なかなか普通には使えないような装置、施設を完備しておりまして、オールジャパンの研究者にオープンにしていると、そういうプラットフォームを持っております。
 3番目の低炭素のハブ拠点、これは、補正予算で入れていただいた様々な装置を、全国の大学と一緒になって、オールジャパンの研究者に使っていただくような、そういうシステムでございます。
 次に行っていただきます。つくばイノベーションアリーナという、つくばの4つの研究所、ここに書いてありますけれども、私どもと独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)、筑波大学、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)、これらが一緒になって、今、非常に重要な材料の開発をしていこうということで非常に活発に続けておりますけれども、私どもはナノグリーン領域というのをまさに担当しております。その1つの試みとしまして、次に行っていただきますとNIMSオープンイノベーションセンター、NOICというのを立ち上げて、これはもう既に2年くらいになると思いますが、ここに12社、それから4つの公的機関に会員になっていただきまして、非常にオープンな場で、電池材料でありますとか熱電材料でありますとか、磁気冷凍技術でありますとか、そういうものを一緒になって研究するという試みを続けております。いろいろ大変なこともあるんですけれども、日本で多分初めての、非常にオープンな場での企業連携ができるのではないかというふうに期待しております。
 次に行っていただきます。機能性材料というのはよく省エネに関係するということがあるのですが、構造材料も実は省エネに非常に関係していると思っております。その観点から、私ども10月1日付けで、ハブ的な機能を持つ構造材料研究拠点というのも設置をいたしました。このために補正予算を付けていただきまして、それを使って建物等を造っております。
 11ページに行っていただきます。このハブ拠点では、もう最先端の装置で、オールジャパンの研究者を集めて、社会インフラですとか産業インフラ、輸送機器、こういうものに使う構造材料の開発を進めます。特に産業インフラ、先ほどお話ししましたように、非常に高い温度で使える材料を開発すると、即火力発電の効率が上がるというようなことがございます。それでこれは環境エネルギーに非常に関連をしているわけです。あるいは輸送機器、これは、キーワードは軽量化でして、軽くすればとにかく効率が上がる。特に自動車などの軽量化は非常に求められております。そこに使えるような材料の開発ということで、構造材料研究拠点を立ち上げて、そこでグリーンイノベーションに貢献をしたいと。そこは我々だけがやるのではなくて、日本全国から研究者に集まっていただいて、いろいろな、オープンな雰囲気の場でやっていきたいというふうに思っております。
 次に、同じものを是非機能性材料について立ち上げたいと思っております。できれば来年度に、この機能性材料に関するハブ的な拠点を立ち上げたいと、是非それを思っております。今、予算要求もしております。日本はこの機能性材料、非常に強い分野でございます。最終的な液晶等ではもう全く難しい状況にありますけれども、液晶で使われる材料については依然としてかなり高いシェアを誇っておる。しかし、ここが負けると、もう日本はおしまいだというふうに思っております。是非この部分の日本の強さを維持できるような、そういう拠点にしたいと思っております。
 次の13ページに行っていただきます。この機能性材料に関してどのくらいの実力を持っているかということでベンチマークしたものです。このFWCIというのはフィールド・ウエーテッド・サイテーション・インパクトということで、分野の違いを考慮した論文の平均引用回数です。世界平均が1になっております。NIMSは1.63、水色の部分で、日本では多分一番だと思います。しかし外国の一流どころに比べると、まだ差があります。それに対してNIMSの中のナノテクの部門、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)という部門だけを取り出してきますと2.5くらいになっておりまして、世界の一流どころに負けないということで、是非この基盤はもう負けないところになっていますので、これを出口につなげると、そういう形での拠点の運営をしていきたいなと。既にいろいろな大学、いろいろな企業等と、この機能性材料について様々な共同研究を実施しておりますので、そういうものの受皿としても、この拠点を活用していきたいと思っております。
 次にめくっていただきます。時間がないので詳しいことは省略いたしますが、このような光、熱、水素、水、電子・電場等々に関して、オールジャパンでの研究ユニットを形成して研究を進めたいと、それによってグリーンイノベーションに貢献したいというふうに思っております。
 以上でございます。
【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、4番目の情報と相成りますけれども、事務局から、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会につきまして御報告をお願いしたいと思います。
【山村課長補佐】  失礼いたします。資料1-6について、簡単に御説明させていただきます。
 御案内のとおり、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会におきまして、第5期の科学技術基本計画に向けた議論が進められており、その内容について、本日の御議論と非常に密接に関係しておりますので、簡単に御紹介させていただきます。
 11ページをごらんいただければと思いますが、特に環境エネルギー科学技術委員会で御審議いただきたいという事項に一番関係するのは、このコア技術という概念でございます。これは10月3日の総合政策特別委員会の資料でございますが、1枚おめくりいただきまして、12ページ目です。
 基本的な考え方としまして、最初のところ、イノベーション基盤力の強化が国の重要な役割となるという、これは言うまでもないところなのですけれども、一方で社会還元の結果としての経済的対価が得られない場合、技術開発のリスクが大きくなる場合など、民間主導での研究開発を進めることが困難というものもございます。そこで、国としての重要性が高くて、民間主導でも進めることが困難な研究開発については国主導で進めていくことが重要ということが書かれてございます。
 下の方に行っていただきまして、その中で、第4期ではどうだったかと申しますと、国主導で研究開発を行うプロジェクトの創設というものが掲げられました。しかし、当該プロジェクトについては実現に至っていないということで、改めて、長期的かつ継続的に研究開発を推進し、成果を蓄積していく取組が必要なのではないかということでございます。
 次のページでございます。参考ということで、国主導で取り組むべき研究開発ということで、第3期はどうだったかといいますと、御案内のとおり国家基幹技術というものがありました。そこで下の5技術が精選されて、書かれておりました。これが第4期になりますと、課題解決というところがクローズアップされたところなのですけれども、その中で国家安全保障・基幹技術の強化というものが規定されたところです。それが何かと申しますと、その下に書かれています有用資源の開発というような海洋探査及び開発、宇宙輸送や衛星利用技術、地震や津波等の早期検知に向けた陸域、海域における稠密(ちゅうみつ)観測、監視、災害情報伝達の技術、その他としまして新エネルギーとかスーパーコンピューターというようなものが書かれておりました。また繰り返しになりますが、この中で国家安全保障・基幹技術プロジェクト(仮称)というものの創設が掲げられたが、未実施という状況でございます。
 1枚おめくりいただきまして次のページ、この中で、関連する社会経済の状況・変化ということで、以下の事項が挙げられるのではないかということで、まず1点目が安全保障環境の変化ということです。安全保障についての概念ですが、ここでは、下の米印のところにありますとおり、資源・エネルギー、国民の生命・財産など、幅広い国の安全や存立基盤を確保することという意味で用いられてございます。2点目として、グローバルな環境での競争激化ということがございます。これらを踏まえまして、下の枠囲みのところですけれども、こうした変化を踏まえると、国の持続可能な成長の基盤であって、かつ安全保障の基盤となる基幹技術というものを「コア技術(群)」と命名し、国の主導による重点的な研究開発を行っていくべきではないかという議論がなされているところです。
 次のページでございます。要件として以下が考えられるのではないかということでございます。後ほど御説明させていただきますが、この要件は、あくまで今、文部科学省の事務局側から提示された要件ということでございまして、今後総合政策特別委員会の中で更に議論が深められていくという前提でお聞きいただければと思います。
 まず1点目が国の自立性・自律性を確保することに不可欠な技術、2点目が、研究開発に長期間を要する、大きな開発リスクを伴う技術ということでございます。この2つが基本的な要件ということでして、更に具体的な技術を選定するに当たりましては、高い競争優位性ですとか、様々な分野への波及効果の高い技術ということで要件が提示されてございます。こうした観点から、中長期戦略ということで、コア技術(群)に連なるどういった技術開発をやっていくのかということを中長期的に考えていくということでございます。
 下の方の点線の枠囲みの中に、「例えば」ということで、これはあくまで「例えば」でございます。どういうものがイメージとして考えられるかということで、自然災害観測・予測技術、海域監視・観測技術、海洋資源調査技術、宇宙探査技術、ハイパフォーマンス・コンピューティング技術などが想定され、これもまた御議論していただくということでございます。
 次のページでございます。最後に、こういうものを推進するに当たり、以下の状況・変化ということで、研究開発法人制度の発足ですとか、諸外国では産学官が協働で人材育成、研究開発、実用化、新産業創出に取り組む動きが加速というものでして、それに研究開発法人はどう対応していくかということで、最後に、以下を基本的な考え方として今後具体化を図っていくべきではないかということで、国としての戦略性の発揮、国立研究開発法人の役割の明確化で、最後にイノベーションハブという言葉もございますけれども、コア技術の特性を踏まえた推進体制の構築ということでございます。
 最後のページで、資料5でございますが、今後の総合政策特別委員会の議題ということで、今御説明申し上げたのは第4回、10月3日の議論の内容でございます。次の第5回が30日に予定されていまして、インターネットですとか資源エネルギー関係の議論がされるということで、最終的には、当面の予定としましては12月19日に、中間取りまとめが審議、決定される予定と聞いてございます。
 以上でございます。
【安井主査】  ありがとうございました。
 議題1の4つの報告がございましたが、ここで、質問をとらない予定だったのですけれども、非常に包括的な御質問、個別に関しましては後ほどでよろしいかと思いますけれども、もし何かございましたら、ここでやはり一つ疑問を解消しておいた方がいいかなと思いますので、何かございますでしょうか。
 どうぞ。
【林委員】  疑問とは違うんですが、意見なのですけれども、先ほどのをいろいろ聞いていて、GDPに対してエネルギーの投入はどれぐらいかという指標で見ておられるのですが、これはいわゆるエフィシェンシーという話なんですが、そうではなくて、やはり今日的にはGDPではなくてウェルビーイングとかクオリティー・オブ・ライフという、最終帰着効果で見るということに大きく方向転換をしなくてはいけないのではないかと思います。脇坂さんなんかはエフィシェンシーからサフィシェンシーへなんて言っているんですが、そういうことではないかということで、それによって随分違ってくるのではないかと思いますので、そういう意見であります。
【安井主査】  そのあたりは、例えば橋本先生、何か。
【橋本主査代理】  いえいえ、特にありません。
【安井主査】  特に、よろしいですか。
【橋本主査代理】  どういう指標にするのか、軸をどういうふうに付けるのか、という課題なのかなと思いますが。
【安井主査】  はい。どうぞ。
【江守委員】  ありがとうございます。イノベーションとか、そういうのは全然専門ではないのですけれども、最近よく聞くのは、インクリメンタルなイノベーションとディスラプティブなイノベーションというのを区別して考えた方がいいという話があって、ALCAの説明とか、ゲームチェンジングとか、そういうキーワードを見ていると、一部のプロジェクトはかなり明示的にディスラプティブな方向というのを意識してやっていらっしゃるのではないかなという気がするんですけれども、そのときに、イノベーションで成長につながるとかというのは、もちろん結果的にそういうことなのかもしれないのですが、そのディスラプティブの場合は、ものによって大規模に成長してしまった場合は、非常に既存の産業構造とかそういうものを大きく変えて、市場の勝ち組、負け組みたいなものをもたらして、相当大きな変化で、人によっては非常に苦労して対応しなくてはいけない変化をもたらすものだと思うんですけれども、そういう議論というのはどれぐらい、こういった検討の中でなされているのかというのをちょっと伺いたいなと思ったので。
【橋本主査代理】  答えさせていただきます。多分ここの議論ではそういう議論は全くされていなくて、それは労働シフトの問題なんです。国全体の政策の中では、新しい産業を興す方向に、要するに今までの、衰退していく産業を衰退していかないようにどんどん政策的なツールを投入するということから、衰退していくところは衰退させていくというふうに変わってきています。それをさせていくというのではないのですけれども、新しく伸びてくるところに投資をして、そこが労働の受皿になるような、そういうような方向に大きく今、政策転換しているんですね。これは国全体のことで、私が今申し上げたように、実は私が入っている産業競争力会議でそういうことを議論をしております。ですのでそういう位置付けの中では、今おっしゃったようなことの御懸念は、この中で決めることというよりは、もう少し違った、大きな枠組みの中で十分議論されているというふうに私は認識しております。
【安井主査】  余計なことですけれども、『イノベーションのジレンマ』なんて本があるぐらいで、要するにイノベーションというのはもうそういうものだと、要するにある意味でディスラプティブであると。その性格をゼロにしたらイノベーションではないというのが多分共通理解なので、もうある意味でしようがない。というのは、我々がやらなくても、どこかの国がやってしまえば同じことだということかと思いますけどね。
【三村主査代理】  中身ではなくて、純粋な質問なんですけれども、きょうの議論はどこにターゲットを絞っている、何にインプットするのかという話なんですが。
【安井主査】  これからの議題がそれです。
【三村主査代理】  そうなんですか。それならばいいんですけれども、というのは、今お話を聞いたのが、科学技術基本計画という話もあれば、日本再興戦略とか科学技術イノベーション総合戦略というのもあれば、それからエネルギー総合戦略ですか、そういうのもあれば、どこがベースになって、短期的なもの、長期的なもののどの部分に我々の議論をインプットしようとしているのか、ちょっと整理してもらった方が議論がしやすい。
【安井主査】  はい。では、ちょうどつなぎによろしい質問が出ましたので、それでは議題の2に参りますけれども、この検討の方向性。今のお答えを含めた格好で、次に参りたいと思います。お願いします。
【山村課長補佐】  失礼いたします。資料2でございます。今、三村先生から御質問ございましたこれからの議論というものは、第5期の科学技術基本計画を検討するということで御議論いただきたいというのが、まず答えでございます。具体的には、やはり総合政策特別委員会で、次回、資源エネルギーというものもございますので、きょうの御議論もその中にインプットしていきたいと考えております。次の基本計画は次の5年、更にその10年先を見据えたような感じになっていくのだと思いますけれども、その中で文部科学省の環境エネルギー政策としてはどういうものにフォーカスしていくのかということで、その中で、先ほどのコア技術という概念も含めて御議論いただければと考えてございます。
 資料2でございますけれども、これが今後の検討の方向性ということで、これまでの環境エネルギー科学技術委員会での御議論ですとか、江守先生の今後の地球環境研究の検討会ですとか、また先週、エネルギーの関係の先生方に集まっていただいて、事前打合せという形で意見交換をさせていただいたのですけれども、その議論などを踏まえまして、安井主査とも御相談申し上げて、このような感じではないかということで、一応事務局の方で方向性としてをまとめさせていただいて、この資料2が出来上がっているというような内容でございますので、本日は、この内容について皆様から御議論いただいて、案をとっていきたいと。それからさらに、今後、年明け以降の環境エネルギー科学技術委員会でも御議論いただきたいと考えてございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。国主導による重点的な研究開発プロジェクトの位置付けをどうするかということで、学術研究というものとはある意味意を異にしまして、研究プロジェクトとしてやっていくにはどうしたらいいかということをまず考えてございます。
 最初に環境分野の方について御説明させていただきますと、これはもう言うまでもありませんが、2002年の人・自然・地球共生プロジェクト以降、文部科学省としましては、気候変動予測技術の高精度化というものを一貫して推進してまいりました。その中で、IPCCの第1作業部会、自然科学的根拠を中心に、国際貢献という文脈でプロジェクトを進めてまいったところでございます。
 その中で、IPCCにつきましては、御案内のとおりですけれども、第5次評価報告書(AR5)というものが間もなくまとめられる予定でございますが、温暖化の原因は人為起源による増加にあるとほぼ特定されたという状況になってございまして、以前、高村委員からも御報告いただいたのですが、今後の国際議論というものは、いわゆる3つの作業部会、自然科学的根拠、影響適応・ぜい弱性、気候変動の緩和の3作業部会を横断した取組の必要性が重要ではないかということが気候変動枠組条約(UNFCCC)などを中心に言われているということ。更に国際的要因としまして、適応計画の策定に向けた取組というのが、環境省中心に御議論が進められているということ、また先日、9月の国連気候サミットにおいて、安倍総理から適応イニシアチブの立ち上げというものが表明される状況になってございます。
 このような状況を踏まえますと、最近の議論のキーワードというものは、例えば適応、そのための人材育成など、途上国支援も含めたという形での適応。それと、その3作業部会を横断した取組というものが考えられるのではないかということでございます。また、これもこの委員会でも度々御議論いただいておりますが、フューチャー・アース構想というものが国際科学会議(ICSU)を中心に提唱されているということで、コデザインというものが一つキーワードとして、地球環境研究を進めるという動きが加速化しているところでございます。
 また、先ほどの資料でもありましたけれども、この4期の期間を振り返ってみますと、特に気候変動リスク情報創生プログラムというもので、全球規模のリスク情報創出ということを踏まえて、RECCAによりそれを地域規模で活用し、適応策導入につなげるための基盤的技術の開発ということに我々は重きを置いて研究開発を進めてきたという認識でございます。
 1枚おめくりいただきまして、これらを踏まえますと、第5期というものですと、今、RECCA、次のものも要求してございますけれども、環境科学技術に関する研究開発プロジェクトは、関係省庁、環境省さんとも今、連携会議とかも立ち上げてございますけれども、そういったものが推進する適応政策への直接的貢献というものも見据えまして、ステークホルダーとのコデザイン、日本語で「協働」と暫定的に書かせていただいておりますけれども、そういったものを通じて社会実装へとつなげるイニシアチブを推進するということで、そうしたものに必要な科学的知見、技術、人材、システム等の基盤力を構築することを重点とする方向で検討すべきであるというふうにまとめさせていただいております。このほか、こうした研究を支える意味で低炭素化ですとか低環境負荷というものを実現する環境技術に関する基礎研究にも引き続き取り組む必要があるということでございます。
 次に、エネルギー分野ということでございまして、エネルギー分野は、やはり何といいましても、科学技術とも連携しまして、エネルギー基本計画というものが今年の4月に閣議決定されました。その中で、エネルギー政策の要諦というもので、いわゆる3EプラスSというものが提唱されているところでございます。こうしたものを第5期の科学技術基本計画の期間においても、エネルギー科学技術の研究開発プロジェクトの推進に当たっては、要素技術が持つ個別のシーズ力のほかに、そういう3EプラスSという観点を踏まえてプロジェクト設計を行うことが必要であるというふうに書かせていただいております。
 また、基礎研究から実用化まで着実につなげるという観点から、文部科学省と経済産業省さんで合同検討会というものを運営してきたところでございますけれども、これも第4期の期間の実績を基に、今、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)というものが立ち上がるなど、府省連携が非常に強化されているところでございますが、その中で研究開発を更に強化していくべきであると。加えて、先ほどNIMSからもプレゼンがございましたけれども、物質・材料科学技術というのは非常に関係の深い分野でございますし、植物科学をはじめとしましたライフサイエンスというものもやはり、こういうエネルギー科学技術以外の分野のところも俯瞰(ふかん)しつつ施策の検討を、連携しながら進めていく必要があるということでございます。
 特に第4期期間で重点的に推進してきた取組のうち、再生可能エネルギーの大量導入や水素社会の実現の核となるエネルギー貯蔵・輸送技術、次世代蓄電池とかエネルギーキャリアなどについては、引き続き重点的に取り組むべきではないかということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、さらに、技術シーズ基盤が強化されてきたというところもありますので、バイオマスを用いた二酸化炭素の資源化、今、ALCAで要求させていただいておりますホワイトバイオテクノロジーはこの一部であると思いますけれども、こういうものについても、シーズ力とニーズのマッチング状況を踏まえて、重点的にやっていく方向でプロジェクト化を検討するべきではないかと考えております。
 2ポツめでございますけれども、これが先ほどのコア技術ということで、その中でコア技術というものをどういうふうに考えるかという議論になるのですけれども、コア技術(群)としましては、今まで御説明しましたような基盤としまして、環境分野では、重点事項を実現するために、気候変動による異常気象、自然災害に関する観測・予測・対策技術というものが考えられるのではないかということでございます。それを研究開発プロジェクトとして推進するに当たっては、個別技術の高度化自体が目的というわけではなくて、もちろんそれも重要なのですけれども、DIASにより基盤を形成してきたICT技術とか、いわゆる社会技術、JST・社会技術研究開発センター(RISTEX)などでされている部分もあるのですけれども、そういったものと連携して、いわゆるコデザイン、協働というものを実現していくようなシステムの構築を重要な観点とすべきではないかということでございます。
 次にエネルギー分野ということですけれども、エネルギー分野についてはビッグデータのICT分野の急速な普及や発展とか、社会・産業における新たな潮流というものも踏まえまして、1つは分散型電源というものを、エネルギー貯蔵・輸送技術などを使って、そういったものを情報ネットワークで接続し、ICT分野、社会技術を用いて、エネルギーの需給制御というものをコア技術(群)として位置付けるべきではないかという議論が出てございます。
 また、この概念の中核として、新たなサービスの創造とかエネルギーセキュリティーの強化というものを進めるとともに、これは具体的にどう訳せばいいのかというのは、まだ確たるものがないので是非御意見を頂きたいのですが、エナジーエフィシェンシーというものを革新していくという方向で検討を行うべきではないかということでございます。
 最後に3ポツ目としましては、これは当たり前といえば当たり前なのですが、こういった方向性を踏まえて、今後この委員会でもコア技術(群)というものを中心に、具体的な研究開発の推進方策について速やかに検討を行っていくべきではないかということでございます。
 以上でございます。
【安井主査】  ありがとうございました。
 これからの進め方でございますけれども、今のこの資料2に基づきまして御議論いただくのですが、まず1つは、環境分野とエネルギー分野は分けて、先に環境分野をやって、それからエネルギー分野をやろうと。その前に、もし、例えば全体的な話、コア技術(群)というのを先ほど御説明いただいているのですが、先ほどの資料1-6の4ページにございますが、ここのコア技術(群)の要件は、まだ文部科学省レベルですね、検討が。
【山村課長補佐】  はい、おっしゃるとおりです。
【安井主査】  ですから、これが変わってしまうということがあり得るのかどうかというのが、まず1つ考えなければいけないことなんですけれども、そのあたりは橋本先生に聞くと答えが出るのかな。
【橋本主査代理】  いえ、何も答えられないんですけれども、ちょうど第5期に関しては総合科学技術会議でも検討を始めたところであります。ちょっとだけその情報だけを申し上げますと、第4期までの延長上、第4期と同じような構造では第5期はやらないでおこうというような方向で行っています。今は、イノベーション総合戦略というのを毎年作るというふうに決まっておりまして、それが既に2回出ているわけですけれども、それとオーバーラップして、同じようなことをやってもしようがない。今まで、第4期までは、長期的な戦略と比較的具体的な中身と、両方併記されていたわけですけれども、毎年作られるイノベーション総合戦略にはかなり具体的なことが書き込まれているので、第5期に関しては、その具体的なことはそちらの方に譲ることによって、もっと長期的な、5年、10年、10年先を見越した5年間の方向性をしっかりと位置付けるということをするべきではないかと、そういうような議論がなされています。それが1点目です。
それから、環境エネルギーの重要性は、言わなくてもみんな分かっているので、これが抜けることはどんなことがあってもないと思います。そうすると、これも重要だ、これも重要だ、これも重要だと言われると、多分何も言っていないと同じになるというふうに思うのです。かといって、各論ではないわけです。だから、どういうように入れていくのかということを、少し戦略的に考えられた方がよろしいのではないかなと思うのです。
 キーワードは、ここから先は私の個人の思いですけれども、1つは、先ほど山村課長補佐から説明あったように、今、国としては非常に省庁連携に力を入れています。これは非常に重要だからでして、ものすごく省庁連携にこだわっています。この環境エネルギーというのは、ある意味で入り口の方だけやっても、出口の方だけやっても駄目で、全体で見ていかなければいけないので、当然省庁連携が大変重要になってくるんだと思うのです。そういう視点をどのようにしっかりと入れ込むのかというのが2点目です。
 3点目は、コア技術という概念をここに入れようというふうに文部科学省の方でされていて、これはまだ、このエネルギー、環境に対して市民権を得ているという段階ではないと思います、多分。しかし、エネルギー、環境はコア技術ですよ、元々。それをあえてコア技術として位置付けることによって、何を打ち出したいのかということです。
 1つは、私は、ここに書いている中のICTを使った、そういうトータルな意味でのエネルギー・環境技術という位置付けをすることが必要だということを言っておられるのではないかなと思うんです。そういう意味で、それはすごく視点はよくて、これも私の予想ですが、やはりICTがいろいろなものの横串を刺していくというか、ドライブを掛けていくための手段として、第5期とかは非常に浮かび上がってくると思うんですね、当然ながら。そうすると、そういう概念をしっかりと入れていくというのがポイントなのかなというような感じがしております。
 以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。どうぞ。
【松尾環境エネルギー課長】  済みません、1つ、補足を。
 事務局の中での検討状況でございますけれども、資料1-6の、縦にしたときのページ数、通し番号で15ページです。先ほど先生が4ページと表現されたところですけれども、コア技術(群)の在り方のところの要件です。この要件についての議論は、この前の総合政策特別委員会で、いろいろな御質問、議論はありましたけれども、根本的に、ここはこうではない、ここはこうすべきだというところの議論まではなくて、事務局としては、一応ここに書かれていることを引き続き、総合政策特別委員会に、このベースで、これを要件として引き続き御提案しようという状況に、今、事務局はございます。
【安井主査】  なるほど。そのあたり、やはり、実を言うと、どうもコア技術というのは旧来の巨艦巨砲主義というか、何かそういうところにどうもまだコンセプトがあるみたいなんだけれども、今、橋本先生がおっしゃったICTが横串刺しているみたいなやつは、どっちかというと軽い。その軽さでもって勝負みたいな、そういう技術なので、恐らくコア技術というのは、民業を圧迫してはいけないというネガティブな表現ではなくて、やはりある意味で日本の民間活力をどうやってあげるかというふうに切り替えるべきではないかと私は思うんだけどね。そのあたりどうなのかなという、皆さんの御意見も後で伺いたいというような気がいたします。
 それでは、お手元の資料2の4ページにございます、コア技術(群)としてどのようなものが考えられるかというところの環境分野に関しまして御議論を頂き、それから、あと50分しかないから、2対3ぐらいに時間を分けたいかなという気がいたしますが、まずはその環境分野について何か御意見がございましたら、名札を立てていただければと思いますが、いかがでございましょう。
 安岡委員が最初のようです。
【安岡委員】  この委員会でずっと議論してきました、例えば人・自然・地球共生プロジェクトからの大きな流れがあって、そして地球を予測するという流れから、今、社会実装にというふうに方針が変わってきていると。私は、これは非常にいい流れで、これは環境エネルギーのこの委員会でなかったら、こういう発想は出てこないのではないかなというぐらいの大きな課題だと思うんですね。
 そことコア技術がどうつながるかという部分がまだ見えないので、もしこのコア技術というのを展開するとして、しかも社会実装へということを考えると、コア技術の要件の、例えば国としての自立性の確保とか、大きな開発リスクというようなところと、社会実装の部分をつなぐ論理をやはりきちんと作らないと非常に難しいという気がしています。私は、社会実装というのは非常に重要な概念なので、それは全面的に押し出すべきだと思いますけれども、繰り返しになりますが、そことコア技術をどうつなぐかということは、是非議論していただきたいと思います。
【安井主査】  ありがとうございました。それでは、原澤委員。
【原澤委員】  ありがとうございます。2点、1つは、先ほどの前の資料で、技術開発で非常に長期間を要するということと、大きな開発リスクを持っているということで、5年単位で何年行くかということで、その辺がちょっと。そのコア技術の在り方みたいな話というのは、勢い、1期、2期、3期、4期で挙げられたものが、引き続きやはりコア技術になっていくのかなと思ったんですが、そうでもないということなので、ちょっとその辺がクリアでなかったというのが1点で、質問です。
 適応計画、まさに来年の夏を目指してやっていて、ポストRECCAという形で、適応技術という形でそちらを新しくプロジェクトをやっていただけるということで、非常に期待してはいるんですけれども、適応イニシアチブという、国際的に展開するという話よりも以前に、国内的になかなか展開できていないということがあったりするものですから、その辺を是非、RECCA、あるいはフューチャー・アースにも関わると思うので、そういったプロジェクトを少し幅広に設定いただければと思ったりしています。
 まさに気候変動リスク情報創生プログラムに若干関わっているんですけれども、やはりまだまだ、特に温暖化の影響とか適応とか、比較的新しい分野ということもあるんですけれども、なかなかやはり科学的な知見として、実装に結び付くようなところまでまだ行っていないので、そういう意味では、もう少し気候変動リスク情報創生プログラムとかRECCA、ポストRECCAみたいな話をしっかりやっていただきたいと。多分それが次期の基本計画の実装につながるような話になっていくのではないかと思います。
 以上です。
【安井主査】  はい、ありがとうございました。林委員、お願いします。
【林委員】  きょうのお話で入っていない視点なんですが、途上国への移転というか、トランスファーによって日本の価値を出していくという、そこのところが全然視点がないので、日本から途上国へとか、場合によったら途上国から途上国という、そこも含めて、日本が信頼を得ていくというか、回復すると言った方がいいかもしれませんが、だんだん日本の価値がなくなってきているわけですね。国の自立とか何とか言っているんですが、そこのところは私は非常に大事だと思いますので、日本の中を繁栄させると同時に、そういうことをやると。そのときに、日本の中のGDPを上げるということだけではなくて、先ほどのクオリティー・オブ・ライフを上げるという話もしましたし、それから、途上国の環境で非常に困っているところ、そういうところに価値を提供するとか共有するという、そんなことです。
【三村主査代理】  環境分野のこの位置付けという話なんですけれども、これは見てみると、必ずというか、ほとんど気候変動の話から始まってIPCCが出てきてということなんですけれども、もうちょっと視野を広げた方がいいのではないかなというのを感じています。というのは、これは今日、JSTの方からお話ししていただいて、非常に参考になったのですけれども、その資料の11ページに1から4まで、例えば人間の居住の持続性、居住環境みたいな話ですよね。それから生態系の話だとか、あるいは災害環境というか、非定常のときでの環境問題をどう考えるか。あるいは災害と環境保全との関係をどう考えるかとか、幅広い視点から問題が立てられていると。やはり環境は、長期的に、大きな目で見れば人類の生存基盤であるということなので、そういうような視点の中の1つの非常に重要な問題として気候変動を位置付けて、そのほかの問題との関係も探るとか、そういうような視点が非常に重要なのではないかというのが1つです。
 実際に気候変動、影響予測、適応とやってきているわけですけれども、自治体なんかに入れようとすると、気候変動だけだとなかなか入らないんですね。実際の問題では、農業をやっている人は農業生産をどうやって安定的に、いい物を安全に作るかとか、そういう話から入ってくるし、防災をやっている人は、どうやって洪水だとか土砂崩れに対して自分たちの地域を守るかみたいなところから入ってくるし、つまり、コデザインというのが書いてありましたけれども、自治体レベルから更にコミュニティーなんかに入ってコデザインしようと思ったら、その人たち自身が生活の中で感じているものと一緒に合わせて気候変動の適応というようなものを考えないと、なかなか気候変動の適応自体もデザインできないと。逆に言うと、適応という概念を、気候変動に適応するのではなくて、環境のより幅広い適応、変化に対する適応だとか、あるいは地域が困っていることに対する適応だとかという視点でやった方が、結局は気候変動の適応も全体として入ってくるというようなことになるのではないかと思うんですね。
 だから、そういう意味では環境分野という名前のところを考えて、別に気候変動の問題を相対化してくださいということを言っているわけではないんですけれども、僕自身はそういうことをずっとやってきたわけだから、そこを重点でやるというのはいいと思うんですけれども、そのほかの社会経済的な変化が地域社会にどういう影響をもたらしているか、その中で環境変化がどう起きていて、そういう問題全体に対してどう解決するのかというような視点というのが重要なのではないか。
 そうすると、3番目ですけれども、先ほど林先生が言われた途上国の問題というのも、まさにそういう視点の中に入ってくるかなと。特に都市化の問題とか、途上国の都市化というのはすごい勢いで進んでいますから、あれをあのまま放置しておくと、それこそ気候変動に対する適応ができない途上国の社会ができてしまうというようなことになるので、そういうものに対して日本の支援ができるというような気は非常にします。
【安井主査】  ありがとうございました。
 先ほど橋本先生から頂いたキーワードで省庁連携なんていうのがあるんですけれども、例えば江守先生。そのあたりと、それからあと、今の気候変動リスク情報創生プログラムの次あたりどうするかみたいな話で、もし御意見があれば。
【江守委員】  直接ではないのですけれども、最近考えなくてはいけないので考えていることの1つとしては、先ほどのお話の中にありました国連気候サミットで首相が言った適応イニシアチブというのがあって、これは先ほどの林さんの途上国というお話ともつながるんですけれども、日本の技術を使って途上国の適応計画策定に協力する、人材育成をするということを進めなくてはいけないことになったんですよね。これをどうやってやるかというのはすごく考えていて、今の省庁連携とも関連して、気象庁の気象研究所でかなりそういうことを実際やっていたノウハウがあって、彼らの計算結果を持っていったり、モデルの使い方を教えたりとか、そういうことを幾つかの国に対してやっていたんです。
 そういう実績を生かしながら、関係しているところでちょっと、これまでにどういうことがやられていて、それを組み合わせるとどこまで行けて、更にどんなことが必要なのかという認識共有をやるぐらいのところから、そのことを始めなくてはいけないかなと思って。それがこの話にどう位置付けられるのかと、現時点では僕はまだ余り見えていないんですけれども。
【安井主査】  ありがとうございました。それでは、杉山委員、お願いします。
【杉山委員】  先ほど安井先生の与えていただいたお題とはちょっと違うんですけれども、さっき三村先生がおっしゃったことに私は全く賛成します。おっしゃったその視点について考えるために、私がこれを今拝見していて思ったのは、やはり将来のシミュレーションとか将来に向けての計画にすごく重みがあるんですけれども、特に2030年とか50年とか考えると、そんなに遠い将来では実はもうなくなっていて、15年先とか35年先とかなんて、今から15年前とか30年前とかを考えると2000年とか1980年で、我々、その歴史のデータが結構あるわけで、では、そこの環境変化というのはどう再現できて、そこで人間はどうやってそれに適応してきたかということを調べるというのが、過去をよく知ることが将来を知るために非常に重要だと思っていて、それなくして自治体の方に将来のことを語りましょうといっても余り説得力がないのではないかと、そういう心配をするわけです。
 なので、方向性としてさっき三村先生がおっしゃったことに賛成で、私から付け加えたいのは、その将来のシミュレーションももちろん必要で、将来へのデザインも必要なんですけれども、過去についてのデータベースというのをがっちり固めて、欲を言えば過去を再現できるぐらいのことがやれればいいんですけれども、なかなか人間社会のことはそこまでは難しいんですけれども、ただ、過去を理解する作業、温暖化に関する適応であれ、ほかの環境変化に対する適応であれ、そこをきちんとやった方がいいのではないかなと思っています。
【安井主査】  ありがとうございました。では、河宮委員、お願いします。
【河宮委員】  今の杉山委員の意見に引き続きましてという感じなんですけれども、過去のデータをそろえるということは非常に大事であるという認識は進んできておりまして、もちろんデータを集めるのも大事なんですけれども、過去であってもデータを作るということが技術的にできるようになってきております。数少ないデータから、シミュレーションモデルを使ってそれなりに過去のものと近いデータを作るという技術が発展してきていまして、いわゆるデータ同化の応用の一部ではあるんですけれども、技術的にはできるというのは前から分かっていたんですが、これを本当にやってみると、結構本当に過去のデータ、思ったより再現できるというようなことがRECCAでなってきております。この辺は杉山委員の意見を聞いて、我が意を得たりという感じだったんですけれども、この先力を入れていく技術かなというふうに思います。
 あと、省庁連携ということに関しまして、今まで御説明いただいた資料ですと、環境省とは話が進んでいるようですが、もちろん私が言わなくても、皆さん当然意識なさっていると思うんですけれども、防災、国土交通省でありますとか、あとは適応の話がいろいろありましたけれども、緩和抑制という話になると経済産業省という話もありますし、その辺、省庁レベルではなくて研究者レベルでは、比較的やろうと思えばできる話ですので、話が始まっておりますので、その辺はこれから文部科学省の皆さんが進めていくに当たって、我々も協力できるところはしたいと思います。
 以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。関委員、お願いします。
【関委員】  先ほどから国際的な視野、グローバルな視野もすごく大事だという話が出ていて、私もそれは同感です。今年から来年に掛けていろいろなことが起こる中で、例えば国連のポスト・ミレニアム開発目標(MDGs)あるいは持続可能な開発目標(SDGs)があります。来年には国連総会で、持続可能な開発に関する国際社会としての目標合意がなされる。あるいは気候変動の交渉も恐らく、今年より、むしろ来年のパリでの気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が山場になると言われています。
 というようなことを考えると、当然国益を考えて政策を作るべきだとは思いますが、同時に、やはりそういった地球益に国としてどう貢献するか。特に、ポイントはやはり科学技術、技術力を日本として世界のために使って、それがひいては自国の発展につながるという、そういうロジックで考えた方がいいと思うんですが、若干その辺が希薄というか、弱いという気がしました。
 関連して、産業界の話をすると、私もWBCSD、持続可能な開発のための世界経済人会議の活動に関わっていまして、来月また年次会議があるのですけれども、そこでも、もう来年のSDGsとか、それから気候変動のパリ会議ですとか、そこにどんなふうに世界の産業界全体として提言をインプットをしていこうかという議論をずっとしているんですね、去年あたりから。ですから、国は国として、やはり日本の立ち位置としては科学技術をそういった世界のために使うというところを、もう少し太く、強く、打ち出してもいいのではないかという気がいたしました。
【安井主査】  ありがとうございました。また再び、どうぞ。
【三村主査代理】  さっき言ったことをもうちょっと、具体的なことを言っておきたいと思うんですが、このコア技術についてなのですけれども、この間、気候変動リスク情報創生プログラムなどのモデル開発というのはすごい威力を発揮してきて、それでRECCAでどういうふうに生かされてきているかというのですけれども、過去を再現するということだと、例えば東京の超微細予測プロジェクトというのがあって、江戸時代の土地利用とか植生とか屋敷を全部再現してモデルの中に入れて、5メートルのメッシュで再現したというのをやった。独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の高橋先生がやったんですけれども、それと石川さんが一緒になって、それを現在の気候条件で再現して、それで将来を予測するということにつなげたわけです。
 そうすると何が分かるかというと、昔、東京にはどんな風が吹いていて、今はどんな気温で風が吹いていて、もしも室町のところに川を通したら、どの程度それを抑制することができるかというので、だからRECCAのそのプロジェクトに対しては、江戸から東京でどんな風が吹いていて、将来どんな風を吹かせたいと思ったらどこを変えればいいんだということが分かるところまでやってくださいというのが、その課題。だからシミュレーション技術というのは、15年先、50年先、100年先を見るだけではなくて、我々の環境の変遷をたどって、きちんと理解するツールとしても非常に有効で、そのベースがあって将来を見るという話だと思うんですね。
 さらに、さっき言った同化という話で、きょう文部科学省で準備していただいた1-3という資料の9ページ目にアカイカの話があるんですけれども、これは時々刻々の海況を研究センターの方で解析していて、ある条件であればアカイカがどこに集まっているかを分かるというのを、JAMSTECと京都大学のチームが作ったんですね。それならというので、ちょうど震災直後だったから、アカイカ漁協の人たちにiPadを持ってもらって、リアルタイムでその情報をどんどん送って、ここ、捕れるぞというところをなぞっていくと。そうすると、何がもうかるかというと、うろうろしなくていいから、すごく燃料代が助かるんですよね。それで、実際捕れたかどうかというデータもフィードバックしてもらう、そうすると、それを入れてまた再計算する、ある種のデータ同化ですけれども、その開発しているデータ同化システムというのはそういうふうに提供されている。東北のいもち病の予測だとか、福井県の稲の作柄の予測なんかについても、そういうデータ同化の技術がどんどん生かされていますから。
 だけど、今の話は、さっき私が言ったことの文脈から言うと、気候予測をトリガーにして環境の変化を予測して、何が起こるかを考えるというストーリーなんだけれども、実際の地域で起きていることというのはそれだけではなくて、例えば人口も変わるとか、土地利用も変わるとか何とかということがあるから、きょう出た話の中では社会技術という話なんですけれども、そういう社会技術的なもの、人口の予測だとか土地利用の予測だとか、そういうものも組み合わせてやると、今RECCAでやっているようなことがもっと違う範囲で、ずっとそれぞれの地域で役に立つようなことができるのではないかと、そういうようなイメージなんですね。それがどの程度、どういう形で更に世の中の役に立つかはちょっとあれですが、イメージとしてはそういうようなことを言いたかったということです。
【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、林委員、お願いします。
【林委員】  2点、省庁連携のことで、たまたま私も関わっていることなんですが、DIAS、グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)で、私は環境情報技術を用いたレジリエントな国土のデザイン(GRENE-City)というのをやらせてもらっていますが、国土交通省が災害アセスメントといいますか、防災アセスメントということをやろうとし始めまして、実は私が、何人かで提案していたものをやり始めるんですが、そこへ、このDIASのデータを使って我々が分析している、資料でいいますと、さっき三村先生が言った資料1-3の7ページ、右の真ん中の絵がちょうどやっているところですが、例えばフラッドとか津波とか、あるいは地震の危険度とかいうのを500メーターメッシュぐらいでやったりしていますが、それだけではなくて、いろいろなものを、もろもろ考えて、そういうものを防ぐための費用、市街地維持費用と言っていますが、そういうものを計算して、どこが非常に守りにくいところかというのを出すわけです。
 そのときに、当然、災害とかそういうことだけではなくて、それに対して、そこで生活したときのクオリティー・オブ・ライフがどのぐらいのレベルになるかという、経済学でいう効用水準みたいなものですね。それを計測するというような方法を出して、そういうものを国土交通省で応用してもらうということを、たまたま私が二重人格になっているものですから、やり始めております。その研究会がちょうど始まったところです。
 それから、途上国のことをさっき、もう1つ申し上げましたが、先ほどのそちらの発表で次世代交通システムとかというのが出てきましたけれども、そこは次世代交通-土地利用システムとか空間システムにしていただきたいと思います。交通だけやったのではもう全然駄目でありまして、それをペアでいつもやっていただく。
 どういうことが起きたかといいますと、バンコクがもう絶望的な、20年前には往復8時間も掛かるような通勤時間だったのが、とうとう鉄道が入って、非常にいいモデルができたわけです。そういうものによって土地利用と交通のシステムが変わったので、べらぼうなエネルギー消費とかCO2排出というところから回復する方に、もうターンしているわけです。鉄道予算が道路予算の5倍になったという、世界の歴史上、多分初めてでありまして、多いというだけでも世界中ないんですが、そんなことが途上国で起こった。そんなもののいろいろな計算も含めて、制度も含めてなんですが、どうやって今度はジャカルタへ移転するかとか、日本がそういうところに貢献していくというのも、例えばですけれども非常に重要なことでして、バンコクなんかですと、我々のところでやっているのは、それとまたフラッドの関係とかで、交通だけよければよろしいのではなくて、土地利用から見ると交通も必要だし、災害のリスクも必要だというそっちからも見るという、そんなことも例えばやっておりまして、先ほどからいろいろな分野の経験というかがあるので、是非途上国に貢献して信用を獲得していくという、信用ばかり言っていますが、それをやりたいと思います。
【安井主査】  ありがとうございました。
 以上ぐらいで、環境はよろしゅうございますか。
【磯谷大臣官房審議官】  済みません、最初の方に私、発言すればよかったのですが、コア技術についていろいろ御指摘があったものですから、もう少し整理して申し上げると、安井先生が巨艦主義はやめた方がいいのではないかと、実は我々もそういう意識でこれを是非打ち出したいと思っていまして、要件の中に、自立性ですとか長期性とか不確実性、これは当然のことで、国がやるわけですから、予見不可能性。特に、ここで発展性といいますか、様々な分野に波及効果の高い技術ということを書かせていただいたのは、あたかも、例えば宇宙なんかですと、ロケット造りを国が丸抱えでずっとやるというイメージではなくて、当然、例えばH2Aロケットだって自立して、三菱なり、あるいは場合によっては、イプシロンもそうですけれども、様々な企業がそれを継承し、自立的にやっていくと。だけど、その先にあるものをまた更に国として組織的にやっていくということを、今までの、ある固有のプロジェクトにしがみつくのではなくて、国としてやはり継続的にやることによって民間も非常に活性化するし、国際的にも日本の技術力みたいなものが保たれて、様々なプロジェクトを、より進んだプロジェクトを継続することによって人材育成も図られていくというような、そういうものを模索したいということで、ある意味ではちょっとチャレンジングなんですけれども、そのきっかけになるのは、1つは来年の4月から研究開発法人制度というのが導入されるので、まさに研究開発法人というのは、そういう今までの事業団的な話ではなくて、進化するような研究開発プロジェクトを国としてどこまで責任持って組織的にやっていくのかと。
 そういったものをコア技術(群)、及びイノベーションハブというものでやっていこうという、そういう意味ではまだまだ、先生方から御指摘がまさにあったように、定義的にも少し甘いところがあったりとか、では一体全体どこまで入るのかと。先ほどおっしゃったように、環境技術みたいなものを全部それに入れてしまうと、また矛盾が生じてくるんですね。ですから国として、組織としてきちんとやるべきものを精選して、その中で環境イノベーションなり環境技術の中でどの部分をやっていったらいいでしょうかというのが、松尾課長のきょうの問い掛けだったというふうに御理解いただけたら。
【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、エネルギーに参りたいと思います。山地委員からお願いします。
【山地委員】  先ほど安井座長がおっしゃった重い、軽いという話は、私の頭の中にもあります。これはエネルギー分野でのイノベーションで、国が、国でなければならないことをやるという点から考えて、通常は重たいものです。しかし国が持っている予算も限られているわけだから、新しいものをやるときに、重たいものもやはりチェンジしていかなければいけないということです。
 このエネルギー分野の重たいものというと、今までですと高速増殖炉とか核融合とか、こういう重たいやつがある。それを吸い上げていって変化を求めたいのですが、この4ページに書いてある内容はいいんだと思うんですけれども、集約したコンセプトを表すネーミングがないように思う。何かそれを考えないといけないのではないかと。
 しかし、マスコミだとか何か言いますけれども、ちょっと軽くてね、やはり。フォーカスされない。むしろ、だから従来の重たい国家基幹技術みたいなものを取り替えていくというのであれば、間にあるもの、例えば宇宙太陽発電システム(SPS)とかワイヤレス送電とか、JSTのCRDS部門の中に入っていましたが、ああいうものが従来の重いやつに似ているんですが、少しずつ変化していく1つのきっかけを作り得ると思います。その行き着く先に、ここに、ぼやっとした概念だけれども、社会技術を用いたエネルギー需給の制御とか、あるいはエナジーエフィシェンシーの革新とかいうところに持っていけるのではないか。
 ただ、内容について大事なところは、エネルギーと情報通信技術との統合であり、エネルギーの供給サイドと需要サイドの統合だという方向性はきちんとしておけば、この方向の社会技術というのは、先ほどの府省連携というところにはぴったりマッチするものだと思う。ただ、いかんせん、ちょっといい名前がないんですね、経済産業省がやっている次世代エネルギー社会システムというのも長過ぎるし、何かそこを考える必要があるかと思っております。
【安井主査】  ありがとうございました。杉山委員どうぞ。
【杉山委員】  私は、このエネルギー分野のところは、これは国がやることではないと思っていまして、ICTでエネルギーって、いかにも狭いんですね、この範囲が。これから我々が見ることは何かと、2030年とかいうともう想像もできないというのが正直なところですけれども、現状でも写真屋さんというのは昔と全然違うものに既になっていて、まちじゅうの本屋はなくなって、アマゾンに置き換わっているわけですね。私の住んでいるまちは、駅前に本屋が1軒もなくなってしまったんですけれども、それよりもっとすごい変化がこれから起きてくると、医療分野でも起きるし、政府、行政も電子化するし、車は自動で運転するしと、あちこちにセンサーが付いて、プライバシーの問題とかいっぱい出てくる。
 そういう中で、エネルギーの制御というのは社会全体の民生部門とか運輸部門が変わっていく中で、その中の余り面白くない一部分としてエネルギーが扱われて、そこではもちろん省エネルギーもあるんですけれども、効率はものすごく上がると思うんですね。ただ、私は、全体としては多分増エネルギーになると思っていて、というのは、利便性の向上のためにエネルギーがより使われるようになると、お年寄りの部屋はいつも快適、赤ちゃんの部屋はいつも快適、家に帰ったら風呂が沸いていると、何かそういう世界だと思うんです。
 そういうのを思うと、もうこれは明らかに民間がずっと先導していく分野であって、ここまで応用的なところを、しかもエネルギーという小さい切り口だけで切り出してやるというのは、私は余りよくないと思う。国の役割というのは、もっと、特に文部科学省の役割というのはもっと基礎的なところであるはずだと私は思っていて、それですと割とこれまでどおりの話になってしまうんですけれども、材料を新しくどんどん作っていくとか、それから、ワイヤレス給電とかもぎりぎりそうなのかもしれないけれども、要素技術を作っていくと。余り社会の応用に近いところを国がやるというのは、多分、全然うまくないやり方で、もっと基礎的な材料を作るとか、そういったところの方がいいと。
 あとは、今申し上げたのは全部エネルギー需要の側(がわ)です。エネルギー需要の側(がわ)というのは、こういうふうにそもそもの消費とか生産の構造自体が物すごく変わっていくということを全体に考えなくてはいけないので、国の役割というのは割と引いたところになると思うんですね、材料を作るとかそういうところに。発電部門、エネルギー供給の側(がわ)については、まだ、今ある発電技術というのは、CO2が少なくて、安くて安定しているものという点でいうと、それを全部クリアしているものというのは原子力がどうかというところだけですけれども、ほかの技術はどれも合格ではないので、ここがブレークスルーで、それはやはり、これまでもそうでしたけれども、これからも国の果たす役割というのはすごく大きい。そんなような仕分なのではないかなと私は思っています。
【安井主査】  館山委員、お願いします。
【館山委員】  大体杉山委員と同じような意見だったんですけれども、基本的にこのICT技術に関しては、私も、まずは、多分長期性はないし、予見も大体できると。この10年のインターネットの発展を考えますと多分民間で十分に対応できるという、民間含めて対応できるということを感じまして、国のやるべき方向ではないのではないかなというふうに感じております。もしかして全国的に何かネットワークを張りめぐらせてというのは考えていらっしゃるかもしれないんですけれども、多分それは実際無理で、地域に分けて、ある程度ローカルなところでハブを作ってやるという、よくスマートグリッドの描いている絵をまさしくそのままやればいいだけの話に見えまして、そういう意味では、いずれにしてもこのコア技術という定義には余りそぐわないかなというふうに考えました。
 もうまさしく本当に杉山委員と同じなんですけれども、やはりこれはエネルギーの平準化というか、分散してうまく供給するというところの観点ですが、生成の方がやはり私も大事なのではないかなというのがありまして、多分、4期の続きの中の蓄電、ないしキャリア、移動というところが当然入ってくるかと思うんですけれども、やはりどうしてもここは譲れないところなのではないかなと、外せないところなのではないかなというふうに私も感じた次第です。
 以上です。ありがとうございます。
【安井主査】  今の御意見は大体想定されているところで、実を言うと、さっきの山地委員のお話、要するに何かキーワード、違うコンセプトというところで、多分何かクリアしないと、このままだとちょっとねという感じはするんですね。だから、そういうところがあるかどうか。今の話でも、とにかくそれではやめようかという話には多分ならなくて、これをうまく組み替えることにより、あるいは表現の方法を変えることによって、何か、全く抜けている、例えば情報とヒューマンビヘイビアみたいなものが、もう少しエネルギー分野でしっかり分かるといろいろなものができますけれども、これはますます軽いんですけれども、そういうようなものも、例えば国がどんと金を出すのではないんだけれども、要するにある方向として示すという意味でコア技術を考える。さっきの巨艦型というのは、予算はでかいというふうに考えればいいかと思うんですけれども、そうではないみたいなところで何かがないかという発想を是非していただきたいと思うんです。
 だからここで、今はICTで、民間がやっておけばそれで行ってしまうんだと、それは行くんだけれども、それをある程度リードすることで何か若干の方向性が変わらないだろうかというようなことがあり得ないかという議論かなと私は理解しているということですが、次、そちらでお願いします。岩船先生。
【岩船委員】  今のコメントの続きを引き受けるにはちょっと荷が重過ぎるんですけれども、私も、ここを拝見した限り、先ほどの杉山委員の御発言とちょっと似たことを思って、やはり根幹はもう少し、供給とか、私はどちらかというと需要サイドのことをやってきた人間なんですが、やはり国のやる政策としては少し、ここをフォーカスするというのはどうなのかなと。何となくはやり廃りのはやりの部分を押さえているような気が少ししたというのが印象でした。
 ただ、そうはいっても、例えばさっきのシステム的な評価みたいなところは、環境省でも経済産業省みたいところでもなかなか予算的に付きにくい部分であって、いろいろな技術が、皆さんそれぞれいいといって、自分のやっている研究分野はいいとおっしゃるんですけれども、それの費用対効果みたいなところの評価というのを少しトータルとしてやる。それが社会システムなのかどうかという部分はあると思うんですけれども、そういうシステム的な評価という視点は1つ残していただけたら、先ほどのヒューマンビヘイビアみたいな部分ですとか、ICTを使ってうまくどうするみたいな話も、すくい上げることはできるのではないかなと思いました。確かに水素社会は、一見すごくすてきな感じがするんですけれども、費用対効果的にどうなのかみたいな評価をする部分というのを少し残していただいたらどうなのかなと思いました。
 以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。
 その下の方のエナジーエフィシェンシーなんていうことに関しましても、さっきは材料うんぬんの話がございましたし、材料も新しいセンシングの材料とか、いろいろなものが確かに、ないわけではないので、杉山委員、関連して、どうぞ。
【杉山委員】  さっき安井先生のおっしゃったことにちょっと反応しておきたいんですけれども、私は、このICT分野とエネルギー需給の結び付きというのはすごく大事なものだと思うし、必然的にやってくるものだと思っています。ただ、ちょっと私もよく聞いていなかったのかもしれないですが、コア技術というと巨艦大砲的、国家プロジェクトでやりますというイメージを持っていたものですから、それは違うだろうなと。
 国がやるべきことはものすごくたくさんあるはずで、それは多分、文部科学省に全然とどまらない話だと思うんです。例えば情報通信のインフラを一生懸命、常に最先端の高速大容量通信網をできるだけ日本中に張りめぐらせますなんていう、そんなのは公共事業でやった方がいいかもしれませんし、それから、日本は1つ1つの部品はすばらしいものをいっぱい作っているんですけれども、アップルやグーグルみたいなそういう会社がないと。ああいうものを作るためにはどうか、そういう事業の環境を整えるためにはどうするかと、そんなような話もありますし、それから既存の法制度で、技術上はもう十分できることで既存の法制度にそぐわないものは、国の方の法制度が技術に追い付いていかないと普及しないという側面があって、自動車の自動運転だとか電子図書館だとか、電子政府だとかそういうのがいっぱいあると。そういうところの周辺的な整備、法制度の整備というのは、これは実はものすごく大変な仕事だと思うんですね。
 そういう方向性をここでコア技術として、エネルギー分野でこれを挙げるのであれば、そういう了解の下に挙げるというふうにしていくと、そういうことであればいいと思うんですが、やはりどうしても心配なのは、コア技術というと巨艦大砲的な、国家プロジェクトになってしまうのではないのかなという気はして、そこは懸念として持っております。
【安井主査】  江守委員。
【江守委員】  1つ思ったのは、環境の方にステークホルダーとの協働が書いてあるんですけれども、エネルギー分野にも書いたらどうかなということです。僕は常々、フューチャー・アースの話でエネルギーのことを余り正面から議論していないのが違和感があって、フューチャー・アースの3つの研究の柱の1つはtransformation towards sustainabilityなんですけれども、それでエネルギーの話を避けてどうやって通るんだという話だと思っていますので、今の御議論にずっとありました、実際どれぐらい基礎的なところをやった方がいいのか、もっと需要側に、どれぐらい国がちょっかい出すのかという議論にももちろんよるのですけれども、やはり社会がエネルギー技術をどう選択するかとか、それによって社会が変わっていったときに人々はどのように社会で振る舞うかとか、そういうことを含めてインタラクティブに議論するという姿勢をここでも見せた方がいいのではないかと、僕は思います。
【安井主査】  ありがとうございました。どうぞ、安岡委員。
【安岡委員】  環境分野とエネルギー分野に分けて議論するというのはもう非常に重要で、例えば文部科学省が基礎をやって、応用の方を例えば環境省とか経済産業省がやるんだという垂直連携的な話というのは僕は重要だと思いますが、一方で、環境エネルギーというふうにつないだ部分でこの環境エネルギー課が、環境エネルギー科学技術委員会が成り立っているわけで、そこの重なった部分で何ができるかというのは、やはり非常に重要なポイントだと思うんですね。
 社会に実装するときの社会は、別に環境問題だとかエネルギー問題って個別に気にしていないわけで、本当に自分たちの身の回りのことが解決すればいいわけですから、まさに環境とエネルギーのアンドを取った、それで何が起きるかということをやはりきっちり議論するということも1つです。僕は決して、環境、エネルギーで分けて議論することが駄目だということを言っているわけではなくて、アンドを取って、若しくはオアと言った方がいいのかな、そういう議論をやはりするのがこの場として非常に重要で、これは省庁連携の前に、この中の委員会で連携できないと話ができないようなところもあると思います。江守さんがおっしゃったフューチャー・アースも、要するに環境だエネルギーだという定義はしているわけではありませんから、フューチャー・アースを進めていく上では環境とエネルギーと両方考えなければいけないわけで、そこの議論はやはりどうしても必要だと。
 そのためのコア技術は一体何があるかというのは、考えてもいいのかもしれません。私は今、その具体的なアイデアがあるわけではないので、答えが出ませんけれども、そこでやはり1つの新しいポイントが出てくるのではないかなという気がしました。
 以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。ほかにどなたかいらっしゃいますか。はい、どうぞ。
【河宮委員】  最後に、環境分野に戻していいですか。
【安井主査】  どうぞ。
【河宮委員】  済みません、環境分野に話を戻させていただきたいのですけれども、ICTとエネルギーに関しては、国のやることかというのが結構議論になってしまいましたけれども、環境分野に関しては国が進めないと絶対に進まない話だと思います。そこへ持ってきてDIASというのが当然キーワードになってくるわけなんですけれども、例えば、先ほど資料1-3の3ページで、温暖化予測データの配信に関して非常に大きな役割を果たしているという、世界の中でもというデータがありましたけれども、これは、DIASと並んでいるほかの機関は全部国家機関でありまして、そこでDIASというとどうでしょう。きちんとした拠点というよりは、コンピューターシステムに付けられた名称、あるいは人的なネットワーク、連携体制に付けられた名称というイメージがあります。DIASに関わっている皆さんと、我々温暖化予測分野に関わっている者が協力して、いい仕事ができたのかなという自負はあるのですが、やはりこの先、きちんとした拠点というイメージのこういうシステムがないと立ち行かないかなというのは日々、やりとりしていて感じるところでございますので、これはICTと環境という切り口で、こういうコア技術といったような政策を進めていく上では、しっかりした拠点としてのDIASというのが絶対必要なというふうに思っておりますので、その辺の検討はよろしくお願いしたいなと思います。
 以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、大体いい時間でございますので、よろしゅうございますか。
 それでは、御議論ありがとうございました。資料2につきましては、本日の議論を踏まえまして、多分かなり修正を加えることになるかと思いますが、それで総合政策特別委員会に事務局からの御報告を頂くという仕組みになっているようでございますので、細かい文章に関しましては一応御一任を頂いて、少し、きょう頂きましたトーンの方向に全体を変えさせていただくというようなことにさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それから、今後の話でございますけれども、資料2に基づきまして具体的な取組の方策に関しましては、環境分野は、今、江守委員を座長といたします、今後の地球環境研究の在り方に関する検討会、ここで御検討いただきまして、また次回、御議論を頂きたいというふうに思っています。
 それから、エネルギー分野でございますけれども、エネルギーの将来像みたいなことに関しましては、本日御欠席なのですが、松橋委員から具体的な検討材料を、低炭素社会戦略センターがやるのかどうか、あるいはJSTと御一緒なのか存じませんが、そのあたりから出していただいて、次回以降、あるいは次回に御検討いただくことになるかと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 というわけでございます。何か事務局、ございますか。よろしいですか。
【山村課長補佐】  では最後に、よろしければ日程の方だけ御連絡させていただきます。
 今後、本日の議事録につきましては、事務局よりメールで委員の皆様に、いつもどおりお送りさせていただきますので、修正等がありましたら御指摘いただければと思います。最終的にはホームページで公表するということにさせていただきます。
 また、旅費、委員手当て等の書類につきましては、記載内容を御確認の上、お帰りの際、事務局に御提出ください。本日の資料、今回も大部でございますけれども、郵送を御希望の場合はお手元の封筒に資料一式を入れておいていただければ、後ほど郵送させていただきます。
 次回の会合につきましては、1月20日の午後2時から4時、場所は未定でございますが、この日程でさせていただければと思います。8月に御議論いただきました中間評価について、各事業者から改善案の報告というものを頂きたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、時間でございますので、これをもちまして第7回の環境エネルギー科学技術委員会を閉会させていただきます。
 ありがとうございました。

―― 了 ――

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