資料2-2 気候変動研究に関する各国関係者との意見交換について

 平成26年11月2日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書統合報告書(AR5・SYR)が公表された。これを受け、現在、第6次評価報告書等の検討に向けた議論が進んでいるところ、今後の研究の在り方について、ワークショップ等を通じて、各国関係者との意見交換を行っている。概要は、以下の通り。 

11月24日:第21回IPCC・TGICA会合(※1) <横浜>

  • 日本(会合のホスト国)の研究紹介として、気候変動リスク情報創生プログラム(創生P)のシナリオイニシアティブ、気候変動適応研究推進プログラム(RECCA)及び検討中の気候変動適応技術社会実装プログラム(平成27年度開始予定)を紹介。

11月27日:創生P国際ワークショップ <横浜>

  • 上記TGICA会合に引き続き、特別ゲストとして参加したTGICA議長から、創生Pが国際的な流れに乗っているとの評価を受け(※2)、下記を初めとした様々な助言を受けた。
  • ステークホルダーとの協働は、地域やグループの固有の状況の把握、研究の正当性・信頼性向上等のために極めて重要。
  • シナリオ研究を行う上では、社会経済シナリオ、時間軸、国・地域の構想、国際比較等の考慮が重要。
  • 適応計画への貢献の観点からは、適応状況のモニタリング評価や、間接的影響の外部状況も考慮した上で、気候変動研究を推進することが重要。

12月1日~12日:第20回気候変動枠組条約締約国会議(COP20) <ペルー・リマ>

  • 閣僚級会合(12月10日)で望月環境大臣が、「日本の環境技術及び環境科学で世界全体の排出削減に貢献」することを宣言。
  • 9月の国連気候サミットで安倍総理が発表した「適応イニシアチブ」(※3)の事例集を発表。その中で、創生P、地球環境情報統融合プログラム(DIAS-P)、GRENE(グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス)環境情報分野、地球観測に関する政府間会合(GEO)も紹介されている。【参照:参考資料1(p.6, p.9)】
  • 文部科学省は欧州連合(EU)と「IPCC AR5で残された課題に対する日欧の研究取組」と題したサイドイベントを共催(12月3日)。創生PとRECCAの若手研究者(渡邉真吾(独立行政法人海洋研究開発機構、以下JAMSTEC)と大楽浩司(独立行政法人防災科学技術研究所、以下NIED))がEU側の研究者とともに登壇(※4)。IPCC事務局長を含む聴衆の前で、IPCC第一作業部会(WG1)技術支援ユニット(TSU)ヘッドや国連世界食糧計画(WFP)のステークホルダー等と、今後の科学的課題や政策のための科学の在り方、日EU研究協力について、活発なパネル・ディスカッションを行った。

1月30日:IPCC WG1/WG2共同議長との意見交換会 <東京>

  • WG1と2の連携分野に携わる創生PとRECCA等の研究者が、ストッカーWG1共同議長及びフィールドWG2共同議長と意見交換を行う予定。

以上

(※1)TGICA:Task Group on scenarios for Climate and Impact Assessment。1996年以来、IPCCの3つの作業部会を横断するデータ、シナリオ、解析方法等に関する検討と支援活動を行っているIPCCの小委員会。

(※2)評価された理由:(1)適応計画が国レベルで策定された後は地域やセクター(例:水、交通、都市、医療、農業)レベルの適応策や適応戦略作りが始まることが想定され、大きな情報への需要が生まれるが、創生Pはそれに応える情報をつくっている。(2)IPCC WG2のリスクの概念に沿ったプログラムになっている。(3)新たな国際的なシナリオ開発(CMIP6)に向けて準備を進めている。

(※3)「適応イニシアチブ」は、気候変動分野における途上国の対処能力向上の包括的な支援策として表明されたもの。

(※4)新たな緩和手法の評価、地域レベルの影響評価及び適応研究、2℃若しくはそれ以上の気温上昇に伴う環境・経済・社会的な影響評価といった、AR5の残した「課題」に焦点を当てたサイドイベント。日EU気候変動研究に関するワークショップの関連イベントとして開催。日EUからの登壇者及び発表内容は、以下の通り:(1)渡邉真吾(JAMSTEC)「最先端の気候変動予測:緩和とリスク評価のための新たな要素」(創生P)、(2)大楽浩司(NIED)「東京都市圏における適応シミュレーション技術の開発」、(3)ラインハルト・メヒラー(国際応用システム分析研究所)「欧州や脆弱(ぜいじゃく)国における2℃の温度上昇の影響とリスク」(IMPACT2C)、(4)リチャード・シュラートン(WFP)「ハイエンドな気候変動:2℃以上の地球温暖化の影響と適応」(HELIX)。

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