資料1-2 「第4期科学技術基本計画」等の概要(環境エネルギー分野関連部分)

平成26年10月24日
文部科学省研究開発局
環境エネルギー課

「第4期科学技術基本計画」(平成23年8月19日閣議決定)のポイント

グリーンイノベーションの推進

 (1)目指すべき成長の姿

  • エネルギーの安定確保と気候変動問題への対応
  • グリーンイノベーションを強力に推進
  • 社会システムや制度の改革
  • 長期的に安定的なエネルギー需給構造の構築
  • 世界最先端の低炭素社会の実現
  • 技術やシステムの国内外への普及、展開を強力に推進し、我が国の持続的な成長を実現
  • 世界に先駆けた環境・エネルギー先進国の実現
  • 持続可能な自然共生社会や循環型社会の実現
  • 豊かな国民生活の実現

(2)重要課題達成のための施策の推進

  • 国として、大学、公的研究機関、産業界との連携、協力の下、これに対応した研究開発等の関連施策を重点的に推進
  • 短期的には、既存技術の改良、導入を積極的に推進
  • 中長期的観点から、新たな革新的技術の創出に向けた研究開発等の取組を重点的に推進

i)安定的なエネルギー供給と低炭素化の実現

  • 再生可能エネルギーの普及の大幅な拡大(太陽光発電、バイオマス利用、風力発電、小水力発電、地熱発電、潮力・波力発電等)、海外展開
  • 分散エネルギーシステムの革新(燃料電池、蓄電池等、製造・輸送・貯蔵にわたる水素供給システム、超電導送電、
  • エネルギーマネジメント、自律分散エネルギーシステム等)、海外展開
  • 基幹エネルギー供給源の効率化と低炭素化(火力発電の高効率化、高効率石油精製、ゼロエミッション火力発電等)
  • 原子力

ii)エネルギー利用の高効率化及びスマート化

  • 製造部門(革新的な製造プロセス、材料の高機能化、グリーンサステイナブルケミストリー、バイオリファイナリー、革新的触媒技術)
  • 民生(家庭、業務)及び運輸部門(住宅及び建築物の高断熱化、家電及び照明の高効率化、高効率給湯器、定置用燃料電池、パワー半導体、ナノカーボン材料、次世代自動車に用いられる蓄電池・燃料電池、パワーエレクトロニクス等)
  • 情報通信技術(次世代の情報通信ネットワークに関する研究開発、情報通信機器やシステム構成機器の一層の省エネルギー化、ネットワークシステム全体の最適制御)

iii)社会インフラのグリーン化

  • 環境先進都市の構築(高効率な交通及び輸送システム)
  • 社会インフラと一体となった巨大ネットワークシステム
  • 高度水処理技術を含む総合水資源管理システム
  • 資源再生技術の革新、レアメタル、レアアース等の代替材料の創出
  • 地球観測、予測、統合解析

(3)グリーンイノベーション推進のためのシステム改革

  • 企業におけるイノベーションに向けた研究開発等の取組を促進する技術的、経済的合理性に立脚した新たな規制や制度
  • 次世代自動車、水素ステーション等の供給インフラ設備、再生可能エネルギー設備等の実用化、普及を促進するための関連法の点検、改革
  • スマートコミュニティ等の新しい社会システムの構築に向けて、研究開発から技術実証、普及、展開までを一体的に実施
  • 社会インフラの整備に関連した、官民が有する先進技術、管理ノウハウ、人材育成等をパッケージ化した総合システムとして海外展開
  • 途上国等への支援促進のため、気候変動対応に関する技術移転とシステム改革を政策と連動させて総合的に推進

「環境・エネルギー領域における研究開発方策」(平成24年8月環境エネルギー科学技術委員会)のポイント

文部科学省が推進すべき研究開発課題(再エネ・省エネ関連部分)

  • 革新的な要素技術の研究開発に加え、社会科学を含むシステム科学等を総合的に推進
  • 新技術の早期の社会実装を目指した研究開発に加え、基礎科学、技術の多様性を重視した研究開発
  • 関係府省と連携しながら、大学・研究機関における様々な分野の研究開発を総合的に進めることが文部科学省の役割

1.再生可能エネルギーの普及とエネルギー供給の低炭素化に向けた研究開発

  • 太陽光、バイオマス、風力、地熱、波力、水力等
  • 熱・振動・電磁波など様々な形態で環境中に存在する未利用エネルギーを活用する技術
  • 二酸化炭素回収・貯留など気候変動への対応技術

2.分散エネルギーシステムの革新を目指した研究開発

  • 低損失で安定な電力供給システム(燃料電池や蓄電池等によるエネルギーの変換・蓄積システム、水素、アンモニア等のエネルギーキャリアの製造・輸送・貯蔵システム、超伝導送電技術等)
  • スマートグリッド等のエネルギーマネジメント、地域特性に応じた自律分散エネルギーシステム

3.省エネルギーに資するエネルギー利用の高効率化のための研究開発

  • 幅広く省エネルギーに関わる材料(電子デバイスの超低消費電力化や化学プラントの低温動作化のための触媒等)
  • ナノカーボン材料、パワー半導体、超電導技術等
  • ナノ構造制御や化学反応制御等の革新技術により反応や精製にかかるエネルギー消費や環境負荷を低減できる画期的な触媒
  • 情報科学技術や都市のデザイン、人間行動の把握等の複合的・融合的課題の研究開発を
  • 航空機(タービン冷却技術等によるエンジンの燃料消費低減化、炭素繊維複合材を用いた機体軽量化技術
  • 電気自動車(搭載される蓄電池、都市のエネルギーシステムの構成要素として把握しマネジメントするための技術)
  • 情報通信・処理機器の高効率化(超低消費電力デバイス・回路等、電力当たり処理性能を向上させるシステム技術等)

4.低炭素社会の実現に向けた社会シナリオ研究と実証研究の推進

  • 「定量的技術シナリオ」に関わる研究開発と「社会・経済シナリオ」に関わる研究開発
  • 両シナリオに基づいた、地域レベルや国レベル等各社会のレベルに応じた社会シナリオ研究
  • 開発された技術の実証研究

研究開発を推進するに当たっての重要事項(再エネ・省エネ関連部分)

1.自然科学の各分野間及び人文・社会科学分野との連携

  • 自然科学と人文・社会科学等の異分野の連携あるいは融合
  • 事業化を見据えて、社会科学の知見も活用し、学際的な体制で新たな産業やビジネスの在り方といった将来展望、出口戦略まで視野に入れる

2.産学官連携及び関係機関間の連携

  • 産学官の連携、関係省庁間の連携が不可欠(太陽電池の効率や蓄電池の容量の大幅な向上に向けた材料研究、新規構造の研究開発、スマートグリッド等のエネルギーマネジメント技術、バイオマス利活用技術、大規模洋上風力等)
  • 基礎研究を担当する文部科学省と、具体的政策・実施を担当する多くの関係省庁との分担・連携
  • 成果を創出するためのマネジメント上の工夫(複数の関係者によって進捗を管理・運営しながら、必要に応じて軌道修正を図る等)

3.環境・エネルギー分野の人材育成

  • 研究者の学際的な連携を促進し、特に国際的に開かれた人材育成環境を構築し、国際的な人材交流を活性化
  • 社会の多様な要請に応え、広く産学官・市民にわたりグローバルかつ分野横断的に活躍するリーダーを育成

4.研究成果の実用化に随伴するリスク情報の提示とリスクに配慮した研究開発の実施

  • 研究開発によって新たに生み出された科学的知見が、必ずしも有用な技術にばかり結びつくものではなく、安全や健康、環境への影響など一定のリスクをもたらす可能性についても配慮が必要
  • 環境・エネルギー領域の科学技術を推進するに当たっては、その成果の有用性を強調するだけでなく、不確実性を含めたリスク情報についても積極的に社会に提供

「エネルギー基本計画」(平成26年4月11日閣議決定)のポイント

戦略的な技術開発の推進(エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するために重点的に研究開発するための施策を講ずべきエネルギーに関する技術及び施策)

【取り組むべき技術課題】

  • 太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマスエネルギー、波力・潮力等の海洋エネルギー、その他の再生可能エネルギー熱利用の低コスト化・高効率化や多様な用途の開拓
  • 再生可能エネルギー発電の既存系統への接続量増加のための系統運用技術の高度化や送配電機器の技術実証
  • 原子力については、過酷事故対策を含めた軽水炉の安全性向上に資する技術や信頼性・効率性を高める技術等
  • 放射性廃棄物の減容化・有害度低減や、安定した放射性廃棄物の最終処分に必要となる技術
  • メタンハイドレートや金属鉱物を商業ベースで開発が進められるようにするための技術開発
  • 水素の製造から貯蔵・輸送、利用に関わる技術
  • 高温ガス炉など、安全性の高度化に貢献する原子力技術
  • ITER計画や幅広いアプローチ活動を始めとする核融合
  • 宇宙太陽光発電システム(SSPS)の宇宙での実証に向けた基盤技術
  • 送配電網を高度化するための系統運用技術や超電導技術などの基盤技術の開発、蓄電池や水素などのエネルギーの貯蔵能力強化等
  • 石炭やLNGの高効率火力発電実現のための技術開発
  • 利用局面において効率的にエネルギーを利活用するための製品について、材料・デバイスまで遡って高効率化を支える技術
  • エネルギー利用に関するプロセスを効率化するためのエネルギーマネジメントシステムの高度化や、製造プロセスの革新を支える技術開発
  • CCSなどに関する技術開発

「科学技術イノベーション総合戦略2014」(平成26年6月24日閣議決定)のポイント

クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現(重点的取組)

  1. 革新的技術による再生可能エネルギーの供給拡大
    発送電、蓄電、熱利用、熱回収に係る機器、システム技術、ネットワーク技術、地域の特性を生かした利用の効率化等
  2. 高効率かつクリーンな革新的発電・燃焼技術の実現
    火力発電・内燃機関の燃焼効率向上や高温化によるエネルギー変換効率の向上、燃料電池発電の効率向上、熱のカスケード利用の高度化、二酸化炭素の回収・貯留技術の実用化、革新的発電・燃焼技術の実現等
  3. エネルギー源・資源の多様化
    メタンハイドレート等海底資源の探査・生産技術やこれに係る通信技術、低品位炭素資源を有効に活用する技術、輸送・貯蔵技術等の技術、革新的触媒技術、微生物やバイオマスによるエネルギー資源の生産技術等
  4. 革新的デバイスの開発による効率的エネルギー利用
    モーターや情報機器等の消費電力を大幅に低減する超低損失パワーデバイス(SiC、GaN等)、超低消費電力半導体デバイス(三次元半導体、不揮発性素子等)、光デバイス等
  5. 革新的構造材料の開発による効率的エネルギー利用
    炭素繊維等炭素系材料、マグネシウム、チタン等金属系材料、革新鋼板等の新材料開発、部材特性に適した設計及び接合技術等
  6. 需要側におけるエネルギー利用技術の高度化
    住宅やビル、コミュニティ単位の需要側におけるエネルギー利用の高度化を促進する技術
  7. 多様なエネルギー利用を促進するネットワークシステムの構築
    基幹エネルギーネットワークと太陽光、バイオマス等の再生可能エネルギー及び熱エネルギー利用システム等の地域エネルギーネットワークを融合した広域エネルギーネットワークの構築
  8. 革新的エネルギー変換・貯蔵・輸送技術の高度化
    電気エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー等の形態で安全かつ経済的にエネルギーを変換・貯蔵・輸送・利用する技術

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(研究開発局環境エネルギー課)