原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会(第12回) 議事録

1.日時

平成25年9月25日(水曜日) 9時30分~12時30分

2.場所

文部科学省東館15階特別会議室

3.出席者

委員

山名主査、稲田委員、笠原委員、北田委員、黒崎委員

文部科学省

藤木文部科学審議官、戸谷官房長、川上政策評価審議官、田中研究開発局長、田中大臣官房審議官(研究開発局担当)、増子原子力課長、西條核燃料サイクル室長、近藤原子力課長補佐

オブザーバー

弟子丸日本原子力研究開発機構敦賀本部高速増殖炉研究開発センター所長代理、青砥日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発部門長、安部日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発部門副部門長

4.議事録

【山名主査】おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第12回もんじゅ研究計画作業部会を開催いたします。
 本日は御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして誠にありがとうございます。報道の方による撮影はここまでとなっております。それではこれより議事に入ります。本日の議題はお手元の議事次第に書いてありますように、「もんじゅ」等の研究計画の策定について、でございます。最初に、事務局から出欠の確認と配布資料の確認をお願いいたします。

【西條室長】おはようございます。本日は、村上先生、永井先生、山口先生、大島先生から御欠席等の御連絡を頂いておりますが、他の5名の先生方に御出席いただいておりますので定足数を満たしております。
 続いて、本日の配布資料の確認をさせていただきます。お手元の資料ですが、配布資料1といたしまして、もんじゅ研究計画(案)となっております。これは3部構成になっておりまして、研究計画と別紙集と参考資料集、これら全部を併せて資料1とさせていただきます。本日御欠席の4名の先生方からは、この案に対するコメントを事前に頂いております。これを机上配布させていただいておりますので、併せて御確認ください。こちらにつきましては議事の中で御紹介しながら進めていきたいと思っております。資料の欠落等ございましたら、事務局までお知らせください。議事の途中でもお気付きの点がございましたら、遠慮なくお申し付けください。また本日は一般の傍聴者の方から、会合の模様を収録してUstreamを使って配信したいとの御相談がありましたので、もんじゅ研究計画作業部会公開の手続に基づきまして、会の妨げにならないことを条件に固定カメラで録画を許可しております。
 以上でございます。

【山名主査】資料を御確認いただけましたでしょうか。
 それでは本日の議題に入ります。本日の議題は「もんじゅ」等の研究計画の策定でございますが、事実上、本日はもんじゅ研究計画の案、我が作業部会の報告書の案について御審議いただくということでございます。本日の議事の進め方ですが、事務局から様々な参考資料等を用意していただいておりますので、資料を説明していただいた後に、委員の皆さまからの御意見を頂きたいと思っております。なお今日の審議は資料が膨大でございますので、章ごとに分けて議論を進めたいと思っております。
 それではまず、資料1の「もんじゅ研究計画(案)」を開いていただきまして、まず、「1.はじめに」と「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」について事務局から御説明いたします。室長の方からお願いします。

【西條室長】はい、それでは資料1、今、主査の方から御説明がありました、もんじゅ研究計画(案)に基づきまして御説明したいと思います。前回、骨子案を御議論いただきまして、そこで作った構成に合わせて文章化をした形になっております。まずは「1.はじめに」それから「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」のポイントについて本文に則して御説明したいと思います。
 まずは1ページ、「1.はじめに」でございます。冒頭のところは、三つのパラグラフに部会設置に至った経緯を書いてございます。一つ目のパラグラフにつきましては、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた原子力政策の見直しの中での、昨年9月のエネルギー・環境戦略の策定について。二つ目のパラグラフにおきましては、同戦略における「もんじゅ」の位置付けについて。三つ目のパラグラフで、これを踏まえて昨年10月に部会を設置、12月に中間まとめをしたという流れを書いてございます。
 それから、「新たな「責任あるエネルギー政策」の構築に向けて」ということで、新政権における責任あるエネルギー政策の構築に向けた取組の状況。ここにつきましては、今年1月に前政権のエネルギー・環境戦略をゼロベースで見直して、責任あるエネルギー政策を構築すること、といった総理指示がなされたことを受けまして、現在、我が国の中長期的なエネルギー政策の方針となるエネルギー基本計画を、経済産業省の総合資源エネルギー調査会において、年内を目途に取りまとめるべく検討が進められているという現状を書いてございます。
 それを受けた上で、「本研究計画の位置付け」を記載しております。原子力を取り巻く状況が大きく変化する中で、高速炉サイクルを含む核燃料サイクルに係る研究開発の一翼を担う「もんじゅ」の役割、位置付けについて、特に技術的な観点からの再整理が必要という認識の下に、中間取りまとめ以降も検討を行ってきました。その中で、本作業部会で議論を行ってきた検討の結果として、国内外の現状を踏まえた「もんじゅ」を用いた研究開発がいつまでにどのような成果が得られるのか技術的な観点から整理して、「もんじゅ研究計画」を策定するということでございます。特に現状を踏まえて、現在行われているエネルギー政策の議論、特に高速炉サイクルを含む核燃料サイクル政策の議論における検討に資するものとして取りまとめたという位置付けになっております。次のパラグラフでは、今後のエネルギー政策についての議論への打ち込み、注文ということで、こういった計画を踏まえて、今後のエネルギー政策の検討の中で「もんじゅ」の位置付けの明確化を図ることが求められるということ。なお、本研究計画については、今後のエネルギー政策における「もんじゅ」の位置付けや運転再開に向けた具体的なスケジュールの見通しが得られた時点で、再度見直しを行う必要があるということで、なお書きをしております。
 その次でございますが、「運転再開を判断するための前提条件」といたしまして、一つ目のパラグラフでは、昨年11月の機器の点検漏れがあって、原子力機構の改革に着手するという状況になっております。1年間の集中改革期間があります。こういった状況の中で、「もんじゅ」を取り巻く状況を考慮いたしますと、現段階で運転再開の時期を明確に見通せる状況にはないという状況です。二つ目のパラグラフですが、その後の安全基準への適合は当然の条件となっており、そこについてもきっちりとやっていく必要があります。また、今後の規制庁においての議論ということで、2パラグラフ目になりますが、今後、中長期的に検討されるとされている高速炉固有の安全性に関する新規制基準の適合性確認について、前回の骨子での議論でも先生の方から頂きました、高速炉特有の新規制基準の検討に当たっては、原子力機構は我が国の高速炉開発を担う研究機関として、この策定に資する研究データ、それから、そういった蓄積された研究開発成果・知見を最大限に提示することが求められているという御意見を盛り込んだ形にしております。そういったものを勘案いたしまして、最後のところが運転再開に係る最終的な判断でございます。ここについては8月8日に文部科学省の大臣をヘッドとする改革本部から出しました「改革の基本的方向」で示しておりますように、「もんじゅ」の再開に係る最終的判断として、一つ目はエネルギー政策上の「もんじゅ」の位置付け、二つ目は原子力規制委員会による安全確認、三つ目は原子力機構の改革の定着状況、四つ目として国民や立地自治体の理解等の進捗状況を踏まえて行う、という形になっております。これに向けた着実な対応が期待されるという形です。これが「1.はじめに」ということで、主に研究計画の位置付けを書かせていただいております。
 それでは3ページに移りまして、「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」です。報告書は、各章の冒頭で、その章の概要を書かせていただいております。1パラグラフ目と2パラグラフ目の詳細は、後ろの方に書いてありますので、ここについて詳細な説明は割愛いたします。1パラグラフ、2パラグラフ目は国内の状況です。一つは従来のウラン資源、2パラグラフ目に書いておりますが、原子力を取り巻く環境が大きく変化する中での従来のウラン資源の有効利用の観点のみならず、将来のバックエンド対策に有効な廃棄物減容・有害度の低減技術といった観点から高速炉についての取組に着目しているというところを書いております。3パラグラフ目のところは、海外の動向を書いておりまして、4パラグラフ目においては、「もんじゅ」をはじめとする高速増殖炉/高速炉開発を取り巻く現状の動向について、国内外の両面から検証した上で、高速増殖炉/高速炉開発、とりわけ「もんじゅ」の役割、位置付けについて再定義を試みるということで、この章において検討する内容を書いてございます。
 「(1)従来の高速増殖炉/高速炉開発の意義・取組」ということで、元々のスタートした時点、それからその後の進捗、「もんじゅ」のナトリウム漏れの事故を踏まえての研究開発の停滞という流れをこの冒頭に書いてございます。4ページにまいります。4ページの頭になりますが、これは事故前のことではございますが、近年、特に地球規模の温暖化問題への対応の観点からの原子力への期待の高まりといった観点も踏まえて、平成17年に策定された原子力政策大網における位置付け、それから、それも踏まえた平成22年に改訂されたエネルギー基本計画における位置付けを整理してございます。最後のパラグラフにあります、従来の高速増殖炉/高速炉開発の意義については、具体的には以下のとおり整理することができるということで2点整理しております。一つは「エネルギー安全保障」でございます。特に三つ目の・になりますが、高速増殖炉では高速中性子を用いることにより、ウラン資源を有効活用し、準国産エネルギーとして長期にわたり利用可能であること。具体的には、ウラン資源の有効利用年数を今の軽水炉のワンススルーサイクルでの可採燃料100年程度から数十倍の3000年以上に延長が可能だということで、この辺りの内容につきましてはグラフ化したものを参考資料2-1に提示してございます。もう一つの観点といたしまして、「廃棄物の負担軽減」ということで、特に二つ目の・になりますが、高速増殖炉/高速炉は軽水炉では燃えにくいマイナーアクチニド(MA)も高速中性子を用いることで、効率よく燃やすことができるということ。そのサイクルの実現によって、ウランやプルトニウム(Pu)に加えてMAも燃焼し核燃料サイクル内に閉じ込め、廃棄物の減容及び有害度の低減が可能だということ。具体的な内容として、三つ目の・、減容化については参考資料2-2左側の図になりますが、処分体積を7分の1に低減することができるという減容化の有利な点を示した図、その次、四つ目の・は有害度の低減により、高速炉を活用することによって廃棄物が天然ウランと同程度の毒性になるのに、直接処分の場合には10万年必要であるところが、高速炉においては300年程度に短縮できる可能性があるということ。資料では参考資料2-2の右側の図に書かせていただいております。最後のパラグラフでは、技術的には同じ高速増殖炉/高速炉はブランケットの着脱によってPuの増殖・燃焼を調節することができるということ。また、MAの濃度を調節することで、燃焼量を増減させることも可能だという技術的な特徴を書いてございます。これらについても、以前御説明させていただいた資料を参考資料として付けさせていただいております。
 「(2)国内の高速増殖炉/高速炉を取り巻く現状と動向」ということで、現状認識についてです。まず1パラグラフ目、2パラグラフ目につきましては、事故後を踏まえた国内の状況について記載しております。特に8行目以下になりますが、一つは事故を踏まえて原子力が持つ潜在的危険性、国や事業者への不信といった中から、社会的受容性の低下という意味での国民の減原子力願望や原子力の安全性への不信というようなものが起こっているということ。その一方で、原子力の停止に伴う経済・社会への影響など、燃料輸入や電力料金の値上げ等も含めて、原発投資に伴う経済・社会への影響ということで、国家レベルでの経済的・社会的損失の拡大防止という、この二つの問題を現実解で探る難しい作業が求められているという現状を書いております。そのため、「1.はじめに」にありましたが、責任あるエネルギー政策を構築するということで、現在、エネルギー基本計画を年内を目途に取りまとめるべく検討が進められているということ。3パラグラフ目につきましては、海外の原子力の動向、特に事故後の部分について書いております。ドイツなどでは原子力を放棄する方針ということでございますが、フランスや米国は当然安全性の更なる向上を図りつつ、引き続き原子力発電を進めていく方針の国。中国、インドに見られますように、その拡大を図っている国。特にアジアや中東においては、新設などの増加傾向もあるということが書いてあります。それ以降については、エネルギー全体の動向ということで、エネルギー全体に目を向けてもアジアを中心とした需要の増加傾向というところ。また、米国におけるシェールガスの生産の急速な拡大ということで、世界のエネルギーという観点で見ても全体の構造が大きく変化しているという状況が書いてあります。
 こういった中での原子力エネルギー、高速増殖炉/高速炉開発については国内、海外の現状を以下に示すとおり記してございます。
 まず5ページの一番下になりますが、「国内の状況」ということで、「もんじゅ」が60年に建設、着工して、平成6年の4月に初臨界、7年に初送電ということであったのですが、その後のナトリウム漏えい事故、さらに同事故における通報遅れ、虚偽の報告、情報隠しなどの不適切な対応によって、技術的な信頼性のみならず社会的な信頼性を失ったこと、その回復のために非常に長期間にわたり停止する状況になったという現状が書いてございます。次の・では、14年半ぶりに運転を再開して、2か月の電力は起こさない炉心確認試験は終了したものの、その後同年8月に炉内中継装置の落下トラブルが発生し、24年までには復旧したものの、その間に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、運転再開については今行われている見直しの議論を受けて対応することになっているということ。それに加えて、昨年11月の1万点を超える機器点検の問題が明らかになり、現在は原子力規制委員会から準備停止命令を含む措置命令が出されているという現状が書いてございます。最後の・では、「もんじゅ」については技術的な問題のみならず組織的な問題、社会的な問題によって本格運転に向けた工程が進んでいない状況にあること。技術的な問題についても、高速増殖炉そのものが持つ安全性の問題というよりも、その設計、開発のマネジメントの不十分さに起因するというところで、結果として「もんじゅ」の開発の遅れが、我が国の高速増殖炉開発の遅れの主要因となっているという国内の状況について書かせていただいております。
 次に、「国際的な状況」でございます。世界を見ると、先進国において一時的には高速増殖炉開発の停滞等があったものの、近年ではフランス、ロシアといった従来から先行している国に加えて、特にインドや中国といった、将来のエネルギー確保の観点から強力に開発に取り組んでいる国があり、各国の技術優位性をめぐっての競争が激しさを増していること。二つ目の・は各国の状況ということで、その後に書いてございますが、最新の取組状況については、現状の大きな方向性を分析すると、エネルギーセキュリティの観点から増殖を志向する国と、増殖の技術をある程度取得した上で廃棄物対策を中心に取り組んでいる国の二つに大別できるのではないかということで、これについて二つに分けた上で、各国の取組状況を記載しております。この取組状況については参考資料2-5、8ページに記載させていただいております。そのエネルギーセキュリティの観点から増殖を志向する国ということでロシア、中国、インドを挙げさせていただいております。細かい説明は割愛いたします。もう一つ、増殖技術を習得した廃棄物対策を中心に取り組んでいる国ということでフランスは特に、原型炉、実証炉、フェニックス、スーパーフェニックスで、増殖技術は習得済みであること。その次の廃棄物に主眼を置いたASTRIDという新しい実証炉を2025年の運転開始を目指して開発をしているという状況です。米国におきましては、計画自体は核不拡散政策上の変更によって現在は行っておりませんが、技術維持の観点、将来の選択肢確保の観点からは、国際協力をうまく活用して廃棄物対策も視野に入れた研究開発を実施しているということで、この2国を書いております。次の・につきましては、多国間の国際協調の取組の活発化ということで、第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)について、特にナトリウム冷却炉の安全設計クライテリア、安全の標準化、国際標準化に取り組んでいること。これもある程度のドラフトが承認されておりまして、IAEAの規制側との議論が開始されており、更に細かいガイドライン作りという形に動いているという状況を書いてございます。このような状況につきましては、本年4月25日、敦賀におきまして海外の方にも来ていただいたワークショップで確認してございます。ここでは本部会の4人の委員の先生方にも参加いただいて議論をしたという状況を書いてございます。その内容につきましても、資料2-6、9、10ページに参考資料を掲載しております。
 「(3)現状認識を踏まえた高速増殖炉/高速炉技術保有の意義の再定義」といたしましては、現状の我が国の置かれている状況認識、そもそも高速増殖炉サイクルを含む核燃料サイクル自身は各国のそれぞれの原子力利用の長期展望に依存するということではあり、大きな方向性があってどうしていくのかということがあります。一方で、原子力政策を含むエネルギー政策の見直し議論が継続中であることを踏まえると、すぐに我が国の中において、その導入に向けた計画を立てることは困難です。こういう状況の中で、(2)で示した国内外の状況を踏まえて高速増殖炉/高速炉といった技術を保有する意義とはどういうものかということを、国内的な視点と国際的な視点でまとめてございます。
 次に、「国内的な視点からの意義の再定義」でございます。特に原子力の長期展望を含む将来の方向性に不確実性がある現時点において、我々が考慮すべき重要な視点は、将来世代の選択肢をあえて狭めないことが非常に重要ではないか、といった視点を踏まえて二つ目の・になりますが、一つは、エネルギー安全保障の観点について将来にわたって持続的なエネルギーオプションを確保していくことが非常に重要だという点で、エネルギー安全保障の観点からの重要性。三つ目の・につきましては、廃棄物の負担軽減。これは現実的な問題として、使用済燃料のバックエンドに対する社会的な懸念が一層高まっているという現状を踏まえますと、引き続き中長期的な視点に立って取り組むべきものだということで、我が国の置かれている現状として処分場の選定を含め最終処分の方向を明確に示す必要があるけれども、まず最終処分地が決まっていないという状況になっていることを考えますと、将来のバックエンドに対する有効な技術オプションを確保する観点から高速炉システムを用いた廃棄物減容、有害度の低減に資する研究開発を継続する意義があるということでございます。四つ目、五つ目の・については、四つ目の・で高速炉技術の再定義をした上で、特に3行目、高速炉の意義としては、従来劣化ウランをPuに変換することによって利用できる燃料の増殖が特に強調されてきましたけれども、PuやMAを自在に操れるといった考え方も可能であり、こういった観点から、将来の不確実性に対して柔軟性を持った技術という高速炉技術の再定義をした上で、最後、五つ目の・のでは、一つは原子力の利用が長期に続く場合には、この特性を踏まえたエネルギー安全保障という意味と、もう一つは原子力を将来に向け収束させていく場合の廃棄物対策の意義を、再度書いてございます。
 次に、「国際的な視点からの意義の再定義」でございます。当然のことながら、国際的視点では、国際情勢や資源の展望の分析、主要国のエネルギー戦略の分析が必要でありますが、それに加えて、我が国の政策の国際社会への影響の分析についての視点が重要だということ。特に認識すべき点として、そもそもは我が国の高速増殖炉/高速炉を開発していく、推進するか否かは本来国内の問題ではあるけれども、国際社会へも影響を与える問題だということを書いてございます。さらに原子力の情勢、核拡散の問題とは無関係ではあり得ないという点。二つ目の・では、日本では世界のエネルギー問題に対する貢献や発言力を持ち続けるためには、原子力基盤技術を維持することが発言力の保持のためにも非常に重要ということを書いてございます。これを全部まとめて、最後の・に、国際的な原子力開発体制への影響、核不拡散への影響、さらには我が国の国際的発言力の維持などの観点から、国際的に見た「もんじゅ」を含む高速増殖炉/高速炉開発を我が国が保有することの意義は十分にあるという形で書いてあります。それ以降で、世界的にも実存する高速増殖原型炉は貴重な資源であって、「もんじゅ」を持っているというところでいろいろな計画の遅れはあるものの、国際的にもまだ高いレベルにあるということ。現状のレベル認識を1パラグラフ、2パラグラフに書いてございます。10ページ、上から二つ目の・では、「もんじゅ」については、我が国のみならず、国際的な資産、技術資産としての運用の価値が問われており、国際社会への影響を十分に考慮する必要があるということ。それ以降は、例えば具体的な影響分析として、フランス、米国との関係などを書いてございます。最後の・では、これに加えて、非核兵器国として日本がNPT体制の維持に貢献、さらに核燃料サイクル活動を国際的に認められてきたということ。これは我が国の特別な優位性でもあり、国際的な核不拡散への貢献による大きな成果でもあるという現状を踏まえた上で、こういったものを技術的に断念していくことによって、国際的な不拡散の仕組みへの影響を検討すべきであるということを書いてございます。
 これらを踏まえて「(4)実存するプラントとしての「もんじゅ」の位置付け」という形でまとめさせていただいています。(3)で示された国内、国際的な観点からの高速増殖炉/高速炉技術の保有の意義を踏まえて、実存するプラントとしての「もんじゅ」は、国内的な観点、世界的な観点からどう位置付けられるかということです。
 まず、「国内における「もんじゅ」の位置付け」といたしまして、将来の不確実性に備える観点から、エネルギー資源確保、廃棄物対策の両面において技術的実証を行い、我が国としての技術的選択肢を確保する、ということで、一つは高速増殖炉プラントとしての技術成立性確認のための中核的な研究の場、もう一つは高速炉システムによる環境負荷低減の有効性確認のための中核的な研究開発の場、の2点を踏まえて今後を期待しております。加えて、東京電力の福島第一原発事故を踏まえ重要性が高まっているアクシデントマネジメントやリスクマネジメントといったものを実践するに当たって、シミュレーションなど机上で対応するものも当然必要ですが、こういったもののみならず、実存するプラントでの実証が不可欠であること。机上だけでは不十分なところをきちんと補っていくことが必要という観点での、実践の場という位置付け。さらに、最後の・では、さらに原型炉としての「もんじゅ」を適切に管理・運転していくことを通じて、将来の高速炉プラントを適切にマネジメントする手法を確立する、という研究開発のみならずマネジメントの手法を確立する場としての重要性を書いております。
 次に、「世界における「もんじゅ」の位置付け」でございます。これは(3)でも書いたとおり、実存するプラントが少ない中で、特に世界的に貴重な高速増殖原型炉である「もんじゅ」は国際的な協力の場である国際研究拠点として、しっかり位置付ける必要があること。特に国際的な高速炉に係る安全基準の策定といった、GIFのような多国間の協力、特に多国間貢献という観点で、そこでの実証や取得するデータが安全基準を作る上で不可欠であり、国際貢献の観点からも重要であること。さらに、高速炉開発に不可欠な燃材料の開発、廃棄物の減容化における実規模レベルでの照射、世界的な照射の場ということの位置付けを書いてございます。
 三つ目の「スパイラル型研究開発モデル」では、こういった国内、国際的な位置付けとともに、様々なレベルで得られる新技術や新知見、こういった国際協力の成果を互いに効果的に活用することが、大規模プロジェクトの推進に必要となる基礎研究―プラント実証―エンジニアリングの三者がしっかりと研究開発を進めていくスパイラル型モデルの実践の場としても必要ではないかということを書いてございます。
 最後に、これらを踏まえて「(5)研究計画策定における基本的な考え方」をまとめております。これは中間取りまとめで考え方を示していただいたものをブラッシュアップした形になっております。
 「基本的な考え方」は、一つ目の・は、高速増殖炉の成果の取りまとめという観点での記載。二つ目の・は、廃棄物減容及び有害度の低減。加えて三つ目の・で、安全性の強化を踏まえ、「もんじゅ」の役割の3点を担う中核的な研究開発の場として、研究計画を策定する、ということで、12ページにその三つの場を書いてございます。次の・は前回の議論を通じて、少し追記しております。一つは年限を区切ったというところの考え方が書いてございます。ここは効果的、効率的かつ国民にその過程・成果が伝わるような明確な目標を持って研究を推進していくという観点から、年限を区切った目標を掲げ、その評価を行い、その後の研究の継続の可否を決める、という形で基本的な考え方を示させていただいております。これは後で御説明いたします、「5.(2)研究開発プログラムの評価の在り方」において具体的に説明させて頂きます。最後に、国際的な「もんじゅ」の位置付けは前回の中間取りまとめではさらっと書いてありましたが、国際的な「もんじゅ」の位置付けというものの取組を強化する、重視するということで、「4.研究開発プログラムの実施における国際協力の在り方」として新たに章を起こしており、この章との関係で国際を重視するということを書かせていただいております。
 少し長くなりましたが、以上でございます。

【山名主査】ありがとうございます。
 それでは御意見を頂きたいと思います。先に「1.はじめに」の部分だけ御意見を頂きましょうか。いかがでしょう。黒崎委員どうぞ。

【黒崎委員】2ページの最後で、「もんじゅ」の運転再開に係る最終的な判断として四つ挙げられています。ここで少し質問があります。丸1、丸2と丸4については何となくこれで判断できるのかなと思います。丸3の原子力機構改革の定着状況はどう判断されるのか、どういうふうにお考えになっているのか教えていただけますでしょうか。

【山名主査】これは文科省の方から。

【西條室長】はい、丸3の原子力機構改革の進捗状況でございますが、8月8日に大臣をヘッドとした改革本部で出した「改革の基本的方向」の中にも、この旨が書いてございますが、基本的に今、原子力機構の方で具体的なプランを作っておりますが、実際に1年程度の集中改革期間を設けてしっかりと改革を行うように指示を出しております。そういった観点で、集中改革期間においてしっかりとした対応がとられているかというところは、1年を待つということでなく、当然のことながら途中途中も含めて文部科学省としてもしっかりとウォッチをするということになっております。集中改革期間というものがございますし、その節目節目での定着状況の確認ということを念頭に置いてございます。

【黒崎委員】はい、よくわかりました。その辺のことは、この中に特に書かなくても良いようなことですが、改革の定着状況でそのようになることは理解できました。

【西條室長】そうですね。少しここは「改革の基本的方向」を引っ張ってきてしまったものですから、こういう記載にはなっております。上のところで改革の話は書いてありますので、そういった集中期間といったものをどこかに書くということはあるかと思います。後で御説明しますが、体制のところでも、この改革についての論点は書いてございます。そこで必要であれば追記することもあろうかと思います。

【黒崎委員】それなら良いと思います。ありがとうございます。

【山名主査】第5章の35ページにありますので、後でもう一度、議論になるかと思います。
 「1.はじめに」について、他にいかがでしょうか。
 欠席の委員の先生方から、紙媒体で意見を頂いておりますので、事務局から御紹介をお願いいたします。

【西條室長】特に「1.はじめに」については、40ページ、原子力機構改革を含めたところに、不退転の覚悟をもって取り組む必要があるという記載があります。そこについての記載を追記してはどうかという御意見を永井先生の方から頂いております。

【山名主査】今の永井委員の御指摘は、2ページの前提条件、第1パラグラフの最後に、役職員一人一人がしっかりと不退転の覚悟で断行しなければ、その後の研究開発の継続はないという厳しい表現をここに入れてはどうか、という提案です。いかがでしょう。この意見も含めまして。文言は多少預からせていただきたいと思いますが、永井委員のおっしゃっている趣旨はそのとおりでございます。正に原子力機構に組織改革の断行、「もんじゅ」の開発に対して不退転の覚悟で取り組んでいただくということは、今後の一つの大きな前提条件であると思います。私は、永井委員の御指摘の趣旨はここに入れたいと思います。いかがでしょう。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」に移りたいと思います。これが研究計画策定の前提になる認識でございます。今後重要でございます。御意見等ございませんか。笠原委員、お願いします。

【笠原委員】福島第一原発事故の記述について、一つ意見を述べさせていただきたいと思います。5ページ目の「(2)国内外の高速増殖炉/高速炉を取り巻く現状と動向」の冒頭に福島第一原発事故の話が出てきます。ここで事故調のいろいろな結果が出てきていますが、特に教訓として深層防護、第4層、第5層が大事だということが広く認識されている現状も、ここに記載しても良いのではないかと思います。特にこれを受けて10ページの最後に、福島原子力発電所の事故を受けて重要性が高まっているアクシデントマネジメント、リスクマネジメントとありますが、ここは少し唐突に出てくる感じがあって、この対応において今我々は福島からどういうことを学んで重視しているかということを記載してはどうかなと思います。

【山名主査】ありがとうございます。確かに(2)のところでは、潜在的危険性や信頼性のことを書いておりますが、原子力安全の本質の部分については明示していないですね。確かにレッスンズ・ラーンドという意味で、非常に大きなレッスンだったわけですので、安全についても大きな教訓があったということをここに入れるということにいたします。少し考えさせていただきますが、最初の文章の、笠原さんがおっしゃった辺りが良いですね。原子力安全そのものに対する考え方の強化が強く求められる状態になったということは明確に分かっています。同じように10ページの先ほどのアクシデントマネジメントのところにも、深層防護の強化が強く求められる中でアクシデントマネジメントやリスクマネジメントが重要になったという流れを加えようかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。稲田委員、お願いします。

【稲田委員】この研究計画の骨子が10ページ目の「(4)実在するプラントとしての「もんじゅ」の位置付け」のところで大体サマライズされていて、将来に備えるという観点、エネルギー資源確保と廃棄物対策、それを実在するプラントで実証していくというところ、それから国際協力の場、国際研究の拠点とするとか、照射が可能であるとか、そういうところが非常に良くまとめられております。是非これを実現させていただくと良いのではないかと思います。
 1点、実在するプラントでの実証が必要不可欠であるとおっしゃっています。これが正に「もんじゅ」の意義だと思います。その中でいろいろ試験していると現場でいろいろなことが起きて、それを潰していけるところが正に実証ということだと思います。一方、6ページ目の「国際的な状況」に設計等に起因する初歩的なミスが原因で、いろいろな、温度計さや管の問題などが起こった、というような話が記載されております。ここの設計等に起因する初歩的なミスというのを潰していくことがなかなか難しいことであろうと思います。こういうものをどういうふうどのように潰していくか、というような何かがもう一言あった方がよろしいのかなという気もしますが、その辺いかがでしょうか。

【山名主査】例えばどの辺りにどういう記載を入れたらよろしいですか。

【稲田委員】具体的なイメージはないのですが、そういう設計に起因する初歩的なミスは、35ページ目ではいろいろな品証体制などを充実するとおっしゃっていますが、恐らく先ほど議論になった体制の話に類するものなのかなと考えます。ある意味、初歩的なミスだけで納めるのではなく、これもしっかりとやりますということです。

【山名主査】そうだとすると、11ページの「(5)研究計画策定における基本的考え方」の最初の辺りに、「もんじゅ」の経験を通じたときに、そういった設計上のバグ、オペレーション上のバグをしっかりと除くことに注視するということと、スパイラル型研究開発モデル、つまり、実証の場でそういうバグを見つけて、確実にエンジニアリングにフィードバックするというアクションは非常に重要だということです。おっしゃった点はこの11ページ近辺に何かの形で表現させていただくことにいたします。
 同様の意見が紙面で出ておりますか。

【西條室長】今、稲田委員から御指摘いただいた部分に関しましては、村上先生、山口先生、大島先生から同じような御意見を頂いております。特に、村上先生の方から、先ほどの6ページのところに関係して、設計上の問題云々というところのみならず社会的な問題も踏まえたトラブルリスクに対するマネジメントが不十分だった、というところについて書くべきという御意見や、山口先生の方からも、これは稲田先生委員と同じ御意見だと思いますが、設計等に起因する初歩的なミスが原因で生じており、という記載について、それを単にそこだけ書くということは疑問だという御意見をいただいております。ここでのマネジメントとは、トラブルを初歩的なミスと切り捨てることではなく、設計保守における不十分な点を運転経験を積み重ねながら改善させて成熟させることを意味するのであって、研究開発としてトラブルなどの安全上の意味を理解する必要があるという御指摘も出ております。福島第一原発事故の最も重要な教訓の一つは、故障やトラブルフリーは安全確保を意味しないという観点からも、そういったものをしっかりとマネジメントするような形で積み重ねていくことが重要だという御指摘を頂いております。同じように、大島先生の方からも同じような御意見を頂いているというところでございます。

【山名主査】今、違う視点でのコメントが入ったと思うのですが。いずれにしろ稲田委員がおっしゃるように、そういった初期段階でのバグを取るというアプローチが極めて重要だということは間違いないので、それは11ページ辺りに入れるということで考えさせてください。6ページの記載で初歩的なミスを削るということについて、山口先生はどういう指示を出されたのでしょうか。

【西條室長】山口先生は、初歩的なミスが原因で生じたというだけで語ってしまってはおかしいのではないかということで、ここは設計等に起因したものであり、こういったものについて後でしっかりとしたマネジメントを行って集積していくことが重要だということを付言した方が良いのではないか、という御意見だと理解しております。

【稲田委員】よろしいですか。山口先生がおっしゃっている、マネジメントをするということについて、最初に初歩的なミスを潰そうという観点と同時に、起きてしまったときにどうなるかということに対してきちんと備えておくということも含めて、マネジメントとおっしゃっているような気がします。私もそのように思います。

【山名主査】はい、分かりました。それでは、まず設計等に起因したものであるというところで切って、高速炉そのものが持つ安全性の問題というより、というようにいたします。ただし初歩的なミスという言葉を使うかどうかは問題がありますが、実際、設計上の弱さといった初歩的なミスに見えるもので起こっています。温度計、燃料中継装置の落下がそうです。オペレーション的なミスも多少あったということであるので、そういったバグといっては変ですが、エンジニアリング上、やや不足部分があったのは確かなので、そういうものが入っていたということはどこかに表現しなくてはいけない。単なる設計の思想の違いで起こっているのではないと思います。組織的な問題と山口委員がおっしゃっているような辺りに、多少そういう初期段階での問題が起こることに対する問題、起こった後でどう対応するかの問題はあると思います。6ページのところに何らかの形で加えさせてください。
 よろしいでしょうか。笠原委員。

【笠原委員】非常に重要な点なので、ここだけ補強させていただきたいのですが、山口先生の御意見に、重要な教訓の一つは故障やトラブルフリーは安全の確保を意味しないとありますが、これは初歩的なミスをしたのでミスをしないようにしましょうということでは駄目で、福島第一原発事故の教訓として、非常に複雑で大きなシステムになるとそういうことはいくら気を付けても起こり得るということを前提に、起こった後の備えを大事にしなさいという意味ではないかと思います。どう書くかはすぐに思い当たりませんが、先ほど稲田委員がおっしゃった前段にそういうことは起こり得ることを前提にといった表現があっても良いのかなと思います。事故調査関係者の間でもそういうことは随分議論されて、共通認識となっています。最後、外から見た人が分かりやすいように、誤解のないように書いておいても良いかなと思います。

【山名主査】多分二つありまして、エンジニアリング上でできるだけしっかりしたベストなものを尽くすという努力は重要だという話と、それでも工学システムですから何かは起こり得るという、これが工学の宿命です、それに対するマネジメントも含めてきちんとやっておくべきである、という2段階があると思います。そこのところを少しここに入れましょう。文章は考えさせてください。御指摘はよく分かります。
 ほかに、「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」はいかがでしょうか。紙面の意見をもう少し御紹介させてください。

【西條室長】2.について先ほど山口先生、村上先生の御意見の一部を御紹介させていただきました。それ以外のところで、先生方から頂いているものがございます。
 村上先生から、「2.(1)従来の高速増殖炉/高速炉開発の意義」国内の記述のところに、「もんじゅ」の着工と並行して、電力会社が実証炉研究開発を進めてきたということ、その成果が全てではないけれどもFaCTに引き継がれたということをきちんと入れておくべきではないかという御意見を頂いております。その次の矢羽になりますが、高速炉のコスト競争力の将来性ということで、8ページの「国内的な視点からの意義の再定義」のところに、コスト競争力のある大容量電源の将来性も是非盛り込んでいただきたいという御意見を頂いております。電気事業者という観点から見れば、安定供給、コスト的な部分でもある程度の将来性が見込めるというところは、非常に重要な視点ではないかということで、そういった部分を盛り込んではどうかという御意見です。
 また、永井先生からも、何点か細かいところで御意見を頂いております。4ページにあります毒性という表現は議論が必要ではないか、放射能という方が適切ではないかという御意見を頂いております。それから5ページでシェールガスの生産の拡大、エネルギー全般について書いておりますが、ここは本計画の背景として本当に必要なのかという議論も必要ではないかという御意見を頂いております。また、7ページのフランスの実証炉からの撤退判断の根拠について、もう少し詳細に記載してはどうかという御意見を頂いております。
 以上です。

【山名主査】ありがとうございました。
 まず村上委員からの御指摘である、電力会社や民間会社でも開発を進めてきたという歴史的経緯については、5ページの「国内状況」の中に入れようと思います。コスト競争力の話はもちろん大事なことですが、国内的な視点からの意義の再定義の中で最後の方に燃料増殖のポテンシャルを生かすことで、という文章がありますが、将来の電力安定供給に資するコスト競争力のある電源としてという内容も入れておいた方がよろしいでしょう。コスト競争力のないものを開発すべきではないわけでございます。ここに反映したいと思います。
 永井委員の御指摘で、毒性という言葉はどうかということがありましたが、毒性とは正確には放射線毒性、ラジオロジカルトキシティという言葉です。多分日本語では放射線毒性が良いと思います。本来そうです。ただこれは用語集に入れる方が良いと思います。放射能とするのも手ですが、放射能と毒性は多少違います。放射能にある係数をかけないと毒性になりませんので、究極的にはやはりラジオロジカルトキシティを下げるということが趣旨であって、毒性という言葉は残したいと思います。用語集辺りでこれについての解説を加えるということにさせてください。
 次に、永井先生の御指摘で5ページ「(2)国内外の高速増殖炉/高速炉を取り巻く現状と動向」の3パラグラフ後半部分、エネルギー全体に目を向けるとアジアを中心に云々というところは要らないのではないか、ということについてです。「もんじゅ」の話はエネルギー政策の一画に来るのですが、そのエネルギー政策を取り巻く世界のエネルギー状況が今、ものすごく変わっています。シェールガスなどの大きな変革が起こっていて、世界の状況の変革は大きな境界条件として書く必要があると思います。ここは残させていただいた方が良いと思います。永井委員がおられませんが、そういう説明をしたいと思います。
 フランスの実証炉についてより詳細に記載してはどうかというところについては、事細かに書き始めますと各国ともすごく長い文章になってしまいます。スーパーフェニックスの場合は、一言では多分コスト問題があったと思います。そのまま動かしていても良かったのが、ある政治判断で止められたと理解しております。今書かれている表現でそんなには違っていないと思います。詳細にという意味で言えば、また別資料か何かで付ければ良いと思いますので、そのままにしようかと思います。
 以上でよろしいですか。黒崎委員どうぞ。

【黒崎委員】永井委員のおっしゃっていたシェールガスの話と絡むのですが、エネルギー資源全体を見ての話だと思いますが、更に付け加えるとすると、高速炉の一つの目的は、今は廃棄物の低減という話になっていますが、ウラン資源の有効利用ということが一番にあって、ウラン資源について現状や将来展望のような話が見えてこなかったなと思っています。確かに4ページの真ん中辺り、ウラン資源の利用可能年数は約100年から約3000年以上に、という文言や、あるいは8ページの下から15、16行目のところでウラン資源の獲得競争や価格高騰のリスクの話が書かれています。この辺りの背景として書くのであれば、ウラン資源がこのままいくと渇枯してくる、だからこそこういった技術が必要なのだということを、もう少し見せるためにもこの辺りを少し膨らませれば良いのかなと思いました。

【山名主査】わかりました。そうするとそれは8ページでよろしいですか。

【黒崎委員】メインは5ページ「(2)国内外の高速増殖炉/高速炉を取り巻く現状と動向」のシェールガスの書かれているところの前後ぐらいかなと思ったのですが。

【山名主査】わかりました。5ページの下の辺りで原子力発電が増大している国がある中で、ウランの需給に対してもはっきりと見通せない、何も言えない状況にある現状を少し書き足すということでしょうか。ありがとうございます。
 よろしいですか。他の章もありますので、「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」までは一旦ここで切らせてください。
 それでは「3.具体的な研究開発プログラムについて」に行きたいと思います。事務局から手短にお願いします。

【西條室長】はい、それでは次に13ページからの「3.具体的な研究開発プログラムについて」を御説明させていただきます。お手元に別紙集がございますので、こちらも使いながら御説明したいと思います。この章においては、「2.(5)研究計画策定における基本的考え方」の3本柱である、高速増殖炉の成果の取りまとめを目指した研究開発、廃棄物の減容及び有害度の低減を目指した研究開発、高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発のそれぞれについて、基本的な考え方、全体の位置付け、研究開発の分類を示すとともに、それぞれの研究項目における目的、方法、成果及びそれが得られる時期についての詳細な研究プログラムを示してございます。過去の部会で個々にかなり御議論いただいたものを今回ここに取りまとめた形になっております。
 まず1本目の柱になります「(1)高速増殖炉の成果の取りまとめを目指した研究開発」です。
 「基本的な考え方」は中間まとめに検討の基本方針という形で示させていただいているものをほぼそのまま記載しております。特にこの中では、目標の提示ということで、高速増殖炉プラントとしての技術成立性の確認という目標に対して、世界の高速増殖炉/高速炉における「もんじゅ」の位置付けを技術的観点から整理した上で、「もんじゅ」において開発する技術について、高速増殖炉開発における技術の重要性と「もんじゅ」を利用することの優先度の二つの観点によって分類し、技術を抽出した上で、取りまとめに必要となる項目に絞りこむという形になっております。その上で必要となる成果の程度、及び、それを達成するために必要となる研究期間といったものを示した研究計画を策定するという形で基本的な考え方を示しております。
 「研究開発項目の分類」につきましては、高速増殖原型炉として取得すべき技術データを考慮して、技術項目を分類するということでございます。その上で、開発の経緯も踏まえて効果的、効率的かつ国民に研究の過程などが伝わるような目標を持って研究を進めていくという観点から、上記項目の重要度及び優先度の分離を徹底して精査し、別紙1のとおり整理する。特に別紙集の1ページ目と2ページ目は中間まとめのときにかなり御議論いただいて整理した形になっております。まず、「もんじゅ」において研究開発可能な技術項目を整理した上で、高速増殖炉開発における技術の重要度の分類基準、「もんじゅ」を利用することの優先度の分類基準の二つの軸で整理をする。一つは、高速増殖炉における重要度の分類基準としては、高速増殖炉開発において鍵となる技術、ある意味、成立性を確認するために不可欠な技術、国際的に高い評価を得る技術をAという形で整理しております。もう一つは、重要又は補強となる技術、不可欠とまでは言わないものの、技術成立性の確認に係る必要な技術ということで、これをBとしております。最後に、成果の取りまとめには大きく入れる必要がないものをCという分類にしております。「もんじゅ」を利用することの優先度の分類基準は「もんじゅ」でなければ開発できない、「もんじゅ」以外では等価な技術が開発できないものを1。「もんじゅ」で開発することが合理的な技術を2、合理的というのは他のものでも開発は可能かもしれないけれども、時間的、経済的、技術的な観点では適当というものです。それから、代替できるようなものについては3。これを分類したのが、2ページ目になっております。ここで、A1からA2、B1、B2が正に高速増殖炉開発における技術の重要度という意味では鍵となる技術、又は重要、又は補強となる技術と、「もんじゅ」でなければ開発できない技術、又は「もんじゅ」で開発することが合理的な技術として絞り込みを行っております。13ページ「研究開発項目の分類」の三つ目の・になりますが、目標とする成果を達成するために必要な研究期間を設定するに当たって、その前提となる「運転パターン」をここに記載しております。運転パターンは、以前、機構の方から御説明していただきましたが、「もんじゅ」としては、特に故障の克服と経験蓄積を行うということも重要な役割であるという観点から、1サイクル4か月の運転に加えて、8か月程度の点検を行うことを一つのサイクルとするパターンにしております。別紙集の3ページ、別紙2に運転パターンについての説明をより詳細に書いてございます。具体的な各サイクルの特徴、特に成果の達成時期の検討に際して考慮すべき主要な事項ということで、炉心構成のところで性能試験時の炉心である初装荷炉心と、2サイクルから5サイクルで初期炉心、5サイクル目から8サイクルで平衡炉心、最後に高燃焼度炉心についてそれぞれ内容が書いてございます。設備の信頼性(故障発生段階)では、試運転での調整、5年程度の初期故障フェーズ、それから10年程度のランダム故障フェーズ、その後の経年的な故障フェーズという整理をしてございます。これは以前御議論いただいた内容でございます。こういった中での上記の重要度・優先度分類に応じて性能試験完了後や初期炉心における燃料試験が完了する第5サイクル等の一つの区切りを設定して、どのタイミングでどのような成果が得られるかを整理いたしました。この整理は前回御議論いただきましたものを、別紙3で、横軸にサイクル、それぞれA1、A2、B1、B2という形で、抽出した技術について、どの程度でこういったものができるのかということを表としてまとめてございます。これを別紙3という形で付けさせていただいております。
 それ以降につきましては各技術項目ごとに整理をしてございます。
 まずは「丸1炉心・燃料技術」です。こちらにつきましては、第7回、第10回の部会で御議論いただきました。「もんじゅ」の炉心特性を確認して、実機データに基づいた炉心設計手法、及び炉心管理技術を確立する。特に「もんじゅ」の炉心燃料については、照射後試験を行って、実規模燃料の照射挙動を確認する、それから廃棄物の減容・有害度の低減を目指した研究開発の一環として、「もんじゅ」でMA含有燃料の照射試験を実施する、という大きな技術項目を挙げております。この中で各項目について、「目的」、「方法」、「成果」を整理しております。細かい計画は参考資料として、これまで提出されている資料を基に作成しております。
 16ページにまいりまして「丸2機器・システム設計技術」ということで、「もんじゅ」の実機データを用いて、高速増殖炉システムの設計技術や大型ナトリウム機器及びナトリウム炉特有計測設備等の機器設計技術を検証すること、定格運転を通じて、機器・システムの経年特性や健全性を実証すること。この大きな項目について、それぞれプラント系統の設計・評価技術。ホットベッセル原子炉容器等の設計評価技術。17ページの大型機器設計・評価技術。これはA2に当たるものでございます。18ページにナトリウム炉特有の計測設備の設計・評価技術。これはA1とA2のものがございます。例えば炉外核計装設備はA1、遅発中性子法破損燃料検出設備はA2という形で、A1、A2が混ざっているところがございます。それぞれについて目的、方法、成果、どの時点でどういったことが得られるかということをまとめてございます。それ以外に燃料取扱システムや蒸気発生器設計・評価技術はB2になります。18、19ページに、それぞれ目的、方法、成果をまとめてございます。
 20ページ、三つ目の技術項目として、「丸3ナトリウム取扱技術」。これは「もんじゅ」を通じて、ループ型高速増殖炉特有の検査技術、特に原子炉容器のISI技術や1次系主配管用のISI技術、それから世界に例のない蒸気発生器伝熱管のISI技術を開発するということ。運転保守経験を通じて取得したナトリウム関連の管理データを用いて、ナトリウム管理技術を検証・確立すること。ナトリウム取扱技術は元々大きな項目の一つに挙がっておりましたが、それぞれの技術についての目的、方法、成果という形で書いてございます。供用期間中検査(ISI)技術につきましては、例えば原子炉容器や1次系のものはA1に当たります。蒸気発生器はA2、ナトリウム管理技術もA2に分類されておりますが、各サイクルで何ができるのかを成果として取りまとめてございます。
 21ページ、「丸4プラント運転・保守技術」については、運転保守経験を通じて保全計画等の保守管理技術、運転手順等の運転管理技術について成立性確認及び経験蓄積を行う。トラブル対応から得られる知見を集積するということです。ここは特に、トラブル対応から得られる知見の集積による運転・保守技術で、A1技術に当たるもの。22ページに行きまして、高速増殖炉発電プラントの保守管理技術。これは1次系でいえばA1、2次系燃料取扱系でいえばA2になりますが、こういった技術の目的、方法、成果。次に、高速増殖炉発電プラントの運転管理技術。これはA2に当たりますが、これについても目的、方法、成果、どの地点で何が得られるか。全体は表に起こしてございますが、一連の流れとして書いてございます。
 「丸5シビアアクシデント(SA)に関する安全機能確認・評価技術」につきましては、安全の柱のところに記載をしておりますので、後述になっております。これはまた後で御説明いたします。
 もう一つ大きな柱として、「(2)廃棄物減容・有害度の低減を目指した研究開発」。
 これも「基本的な考え方」については中間まとめに示したものを記載させていただいております。特に三つ目の・にあります高速増殖炉/高速炉システムによる環境負荷低減の有効性の確認を一つの目的として、「もんじゅ」において燃料照射試験と分析を行い、データの収集を実施するとともに、これを補強する観点から、「常陽」でも照射試験を実施する。加えてMA含有燃料等の製造・照射・処理の各段階で必要な研究を実施する、ということになります。
 「廃棄物減容に資する研究開発の全体の中での位置付け」は過去の部会で御議論いただきました内容について記載しております。特に24ページになりますが、本研究計画では、準工学研究段階にある高速炉を用いたシステムの有効性を確認する観点から、「もんじゅ」及び「常陽」を用いたAm均質サイクルの有効性確認、及び高次化PuやAm以外のMAの燃焼や燃料サイクルに関する研究開発を加えた範囲について、技術的な検討を行う対象範囲として取り扱う。これは御議論いただいた内容について記載しております。これは別紙4の6ページから8ページに、以前お示ししたものを参考として、それぞれの全体像、対象範囲にするものは何かを付けさせていただいております。
 「研究開発の項目の分類」といたしましては、第8回、第10回の廃棄物の減容・有害度の低減、個別課題を御議論いただきましたが、以下の4種類に分類という形でまとめております。
 「丸1燃料製造技術」は3項目ございます。特に成果はサイクルに合わせてできるものとできないものがありますので、大きなくくりとしては、研究開始後5年と10年を一つの指標として、成果で何ができるのかというところをまとめてございます。まず、燃料製造技術ということで、MOX燃料製造プロセス、簡素化ペレット法の適用性検討、遠隔自動製造設備の高度化の3点でございます。
 「丸2照射試験及び燃料材料開発」は2項目あります。一つ目は「もんじゅ」や「常陽」等での照射試験、照射後試験について。二つ目が長寿命炉心燃料材料の開発等の基盤技術開発についてです。これについても、成果としては5年程度、10年程度で何ができるのかというところを記載してございます。
 「丸3炉特性・炉システム設計技術」としましては、炉特性の確認及び炉心概念の検討を記載しております。ここは1項目だけになってございます。
 「丸4再処理技術開発」は2項目ございます。MA分離プロセスの開発と、MA燃料の再処理試験。特に「もんじゅ」等で照射されたものについての再処理試験についての記載がございます。
 これらが二つ目の柱の主に取り組むべき内容です。
 三つ目の柱、「(3)高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発」はかなり御議論いただいた内容で、中間まとめで示させていただきました「基本的な考え方」をそのまま記載しております。特に28ページ、「もんじゅ」は、実存するプラントとして運転やアクシデントマネジメントの検討・訓練等を通じて、「高速増殖炉/高速炉全体の安全技術体系の構築」のための研究開発の場を提供することができる重要な施設ということで、この安全体系の構築は一つの目標を掲げてやっていくという内容を書いてございます。次に、ここでも全体像の位置付けということで、お手元の資料の別紙で高速増殖炉/高速炉の安全性強化の全体像を載せております。特に「もんじゅ」で実施できているもの、「もんじゅ」以外で行うものを含めて、全体像として安全技術体系を構築していく。世界での取組にも貢献していく、という流れを書いてございます。研究開発項目の分類は28ページから5項目を書いてございます。これは特に第6回、第7回で全体像と個別課題について御議論いただいたものをまとめた形になってございます。
 まず「丸1 SA評価技術の構築と安全性向上策の摘出」は、どのサイクルで何を行うか。先ほどの「3.(1)丸5シビアアクシデント(SA)に関する安全機能確認・評価技術」に当たる部分について、それぞれの技術が各項目、「もんじゅ」の安全性に関する総合評価や、自然循環除熱システムの設計技術・評価技術、設計基準ベースの安全設計・評価技術、これらは全てA1技術に当たります。
 29ページには「丸2 SAM策の充実とその実証的な確認や訓練・運用」。これらは全てA1技術に当たりますが、目的、方法、成果、特に性能試験時、5サイクルなど何年程度で何ができるかというところを記載してございます。
 「丸3損傷炉心燃料等の安定的な冷却手段の多様化のための研究開発」、「丸4炉心損傷時の再臨界の防止と事象の炉容器内終息を図るための研究開発」につきましては、「もんじゅ」以外での取組です。先ほど御説明しました別紙5の分類では下の部分に当たる研究開発について記載してございます。「丸4」の二つ目の矢羽の炉心安全性評価手法の開発と整備は、「もんじゅ」のデータを使うという意味では、「もんじゅ」以外というよりは「もんじゅ」をうまく活用した研究に入ります。
 「丸5高速炉の安全基準に資する研究開発」は前回御議論いただきまして、こういった視点を是非入れるべきだという御指摘がございましたので、今回付け加えさせていただいております。
 技術項目を細かく説明いたしますと時間が多くかかりますので、流れだけざっと御説明させていただきました。以上でございます。

【山名主査】はい、ありがとうございました。
 それでは、この報告書で技術の全体的な中身について語るのはこの部分でありますので、少し御議論をお願いしたいと思います。どなたからでも御意見がありましたらお願いします。北田委員、どうぞ。

【北田委員】確認させていただきたいのですが、それぞれの成果では、年限で区切られる場合とサイクルで区切られる場合が出てくるかと思います。2.のところまでは年限を区切ったという表現で全て書かれております。4か月と8か月ということを想定しているとは書かれていますが、例えば、またトラブルが起こったときの対応が長引いたりすると、サイクルはかなり後ろ延ばしになってしまうということにもなりかねません。そうした場合、年限を区切ったということといかに合わせるのかを少し気にしております。確かに照射されるというのはサイクルがないと話が進みませんので、サイクル数が必要であるということは分かります。サイクル計画をもう少し柔軟に見直すことも踏まえた年限対応をする表現を考えられたら良いのかなと思いました。

【山名主査】事務局からお願いいたします。

【西條室長】今回、特にサイクルという記述をさせていただいているのは、いろいろとトラブルが5年10年と続くような話は別として、数か月単位での動きがあり得るのかなという考えからです。先生から御指摘がありましたように、技術的観点から見ますと、照射をしなければ意味がないということになるので、何もせずに5年が経ったから良いよねという話ではなく、運転させて何サイクル照射させたことによって成果が出てくるという考え方なので、年限という書き方が適切かどうかということであります。考え方としては、基本は照射させている期間がどのくらいあるのかという観点で、サイクルを一つ大きな指標にさせていただいております。書きぶりとしてのサイクルは何年ではなくてサイクルという形であります。ただ安全研究などで「もんじゅ」以外のもので行うところは、サイクルとは視点が違うところもございます。減容化でも例えば「常陽」を使うものでは「常陽」のサイクルもあります。そういった部分については、ある程度年限単位で、大体これくらいの年限、研究を継続した場合にどういった成果が出るか、という整理をさせていただいております。全て年で書き出してしまいますと、照射させている物理的な話に入らないので、そういった意味でサイクルという整理をさせていただきました。実際の目安としては、先ほど運転パターンというところで、4か月、8か月なので、それが基本になるという考え方で整理をさせていただいております。

【山名主査】北田委員、如何でしょうか。

【北田委員】そのとおりだと思ってはいるのですが、ただそれまでのところでは年限という言葉で書かれているので、整合していないのではないかと危惧しております。

【山名主査】恐らく、エネルギー環境戦略から頂いている「年限を区切った」という指示は何月何日までにという限定的なものではないと思います。めりはりの効いた、どこまでで何をやるのかという趣旨であって、時間軸だけで言っていたとは思えない。したがって、技術的に見ればサイクルで考えるのが妥当なのですが、おっしゃるように5サイクル行うのに30年かかると言われてしまうと何の意味もございませんので、あくまで我々がサイクルと言っているのは、この基準のサイクルのパターンを前提にしながら考えているわけです。もちろん多少のずれは当然出てきます。これにおいて非常に長大な停止期間が発生するとか、そうなってきた場合には多少そこでワンクッション判断を入れなくてはいけないことがあり得るわけです。ただ技術的にはサイクルで判断せざるを得なくて、年で決められないものですから、サイクルとして提示させていただいている。ある程度のレファレンスとしてのサイクルの長さを想定しながらのサイクルを言っているということです。

【北田委員】趣旨は理解しているつもりなのですけれど。

【山名主査】他、如何でしょうか。黒崎委員。

【黒崎委員】研究開発の中身については、特段異論はございません。整理の仕方のところで少しコメントがあります。
 今回お示しいただいたのは、取りまとめを目指した研究開発と、廃棄物の減容の話、安全の話の大きく三つだったと思います。このうち研究計画は、「もんじゅ」に関連する研究の計画という観点から見たときに、「(1)高速増殖炉の成果の取りまとめを目指した研究開発」は、丸1から丸5まで研究開発が並んでいます。これらは全て「もんじゅ」を実際に使って行うような研究開発が並んでいると理解しています。それですごく良いかなと思っています。ところが、「(2)廃棄物の減容・有害度の低減を目指した研究開発」のそれぞれの研究開発項目、丸1から丸4までを少し見てみますと、直接的に「もんじゅ」を活用して得られるデータ、「もんじゅ」を活用する研究計画と廃棄物の減容や有害度の低減に有効な技術の開発をするための研究が混ざっているように見えます。
 一つ一つ説明します。(2)の24ページから、丸1、丸2、丸3、丸4のそれぞれの直接「もんじゅ」を利用する研究をAとする。それ以外の直接「もんじゅ」は利用しないけれども、その周辺の技術開発をBとすると、例えば丸1は直接「もんじゅ」を云々というよりは、廃棄物の減容・有害度の低減に関する基礎的な技術開発のBになるのかなと思います。丸2は明確に二つに分かれまして、前半部分は直接「もんじゅ」を使うような研究になっていますが、後半部分は直接「もんじゅ」を使うというよりは、基盤技術開発が並んでいるように見えます。丸3は直接的に「もんじゅ」を使うA。丸4は逆に廃棄物の減容・有害度の低減に有効な技術開発ということでB。丸4の前半はBで、後半のMA燃料の再処理試験は「もんじゅ」を使ってできるということでAです。
 説明が難しいのですが、丸1、丸2、丸3の研究開発の項目を分類すると「もんじゅ」というところと、その周辺の技術というところが一緒くたになっているように見えるので、その辺をうまく整理すれば良いのかなというのがコメントです。

【西條室長】事務局からまとめ方について説明いたします。
 先生から頂いた御意見ですが、御指摘のとおり、特に(2)の廃棄物の減容・有害度の低減につきまして、23ページの「基本的な考え方」の三つ目の・にありますように、「高速増殖炉/高速炉システムによる環境負荷低減の有効性の確認」という目標のためには、「もんじゅ」において行う試験、それを補強するような「常陽」、次の・にありますように、全体を見るためには製造・照射・処理の各段階で必要な研究。特にその次にありますように、全体像をしっかり示していかないと、ただ照射してデータが出てきただけでは駄目ですよ、という御議論があったと理解しております。そのまとめ方として見る軸がどう違うかという御指摘だと思います。今回は全体像を見たときには、燃料製造から照射試験、炉特性、炉システムの設計技術、それから再処理という大きな四つがございます。これは別紙の6ページの全体像が、どういうサイクルになっていくのかという観点で整理させていただいたものでございます。特に燃料製造においては、「もんじゅ」で燃料製造を行うわけではありませんので、そういった意味でも燃料製造のところは先生の御指摘のとおりBに当たるもの。照射のところは、「もんじゅ」、「常陽」を使いますので、最初の部分はAに当たるものになりますが、二つ目の基盤的なものについてはBに当たるものになります。炉システムのところも先生の御指摘のとおりでございます。世の中から見たときに、「もんじゅ」なのかそれ以外なのか、というところについては、軸としては、この全体の流れの中で整理させていただいておりますが、記号なりを付けて、これが「もんじゅ」を中心として、これは違うものという書き方の工夫はできるかと思っています。今回の整理の仕方としては、全体のサイクルという大きな流れの中で必要とされる技術。それは当然「もんじゅ」を使うものもあれば使わないものもある。この一連ができて初めて有害度低減の有効性の確認ができる、という観点から整理させていただいているところでございます。

【山名主査】黒崎委員の御提案は、分類を変えようということでしょうか。

【黒崎委員】このままでも確かにサイクルの形を考えると、流れとしては丸1から丸4の形の方がすっきりしますし、確かに前段のところで書かれてはいますが、ぱっと見たときに直接的に「もんじゅ」を使うものとそれ以外とが少し分かりづらくなっているので、どこかでもう少し追記、これはこういうものだということが分かるようであれば良いのかなと思います。

【山名主査】わかりました。そうしましたら、基本的にこの形で書かせていただきますが、前段の23ページの「基本的な考え方」の四つの・があります。ここで、「もんじゅ」は、あくまで廃棄物減容という大きなサイクルの中の一つであり、中心部分です。「もんじゅ」だけあってもその燃料や処理がないと何の意味もないので、そういった大きな全体システムの中での「もんじゅ」であるということをもう少し分かるように、「基本的な考え方」で強化します。その上で評価すれば、あとは分かると思うので、あえてこれは「もんじゅ」の場ではないなどを書くまでもないかなとは思います。いかがでしょうか。

【黒崎委員】先生がおっしゃるとおり、その前で評価していただければ、今のままでも確かに見れば分かるので良いとは思います。

【山名主査】強いて言うならば、それぞれの項目の目的のところでしょう。例えば、「丸4再処理技術開発」なら抽出剤開発分離フローシートを構築するとありますが、最終的に「もんじゅ」を使った照射減容の技術にこの分離技術を反映するというように追記しましょうか。

【黒崎委員】そうですね、実は26ページの「長寿命炉心燃料材料の開発等の基盤技術開発」のところの目的には、廃棄物の減容・有害度低減に有効な基盤技術を開発すると書かれていますので、そんな形で書いていただければと思います。

【山名主査】わかりました。では目的を多少いじりながら区別がしやすいように変えます。
 いかがでしょうか。

【笠原委員】北田委員から御指摘のあった運転サイクルについて、この前議論しました福島第一原発事故の教訓で、始めからトラブルに対応するということと少し関係しそうなので、もう少し補強させていただきたいのですが。
 具体的には、14ページの冒頭に「運転パターン」というところがあります。3行目から故障の克服とその経験蓄積を行うことは重要で、その結果1サイクル運転の後、8か月程度の点検パターンを想定するとあります。ここをもう少し補強してみてはどうかと思います。例えば、故障の克服とあっさり書かれていますが、そうすると今までどおり故障があってはいけないものというふうにもとられかねないので、例えば研究炉では必然的に想定されるトラブル、経験を蓄積し、改善して安全性向上に役立てることが非常に重要であるとか、8か月の長めの点検運転期間をとったことはもちろん良いのですが、大事な場合には柔軟に改善の期間を充てるとか、少し柔軟性を入れてみてはどうかと思います。

【山名主査】わかりました。そのようにしたいと思います。本日は、原子力機構にお越しいただいているのですが、保守期間の8か月はどういう定義なのでしょうか。

【弟子丸所長代理】「もんじゅ」の場合、3ループありますが、安全を確保しながらという観点から、点検を原則1ループごとにしています。設計のときはもう少し短かったのですが、慎重に点検を重ねるという観点で、現状の1ループごとの点検ということからいきますと半年強の期間がかかるということです。現状では、点検のこういうことを積み上げていくと、この程度になっていく。委員の御指摘のように、これまでのトラブルや経験を踏まえた点検の見直しなどを行いながらやっていくことにはしています。

【山名主査】8か月というのは、ある程度、不調や異常が起こった時の回復措置も入れられるぐらいの余裕を持った期間ですか。

【弟子丸所長代理】そうですね、現状ですと、もう少し長い期間を想定しています。これから経験を積み重ねることで、点検のやり方、期間の見直し、点検の器具の開発等を行いまして、基本的に8か月程度でできるようにする。その中で若干の余裕を見ながら工程を積み上げていきます。何かトラブルがあったときには、この程度で対応できるかなと思っております。

【山名主査】わかりました。いずれにしても、原型炉ですので、笠原委員がおっしゃるように点検は8か月を基準とするものの、ある程度はフレキシブルなのですね。そこを委員の御指摘のような形で強化したいと思います。基本的には1サイクル4か月と8か月の保守点検を基本パターンとするが、試験運転の状況に応じながら、この保守期間については適宜調整を行う。それ自身が研究であるというような論調で書くということでいかがでしょうか。

【笠原委員】遅れというわけではなくて、むしろ改善して技術向上するというニュアンスで書かれると良いのではないかなと思います。

【山名主査】更に安全の確保ですね。あってはならないわけですが、こうしたタイムリミットを設けると、それを守るために時間優先で安全を二の次にする人がいないこともないので。おっしゃる趣旨をここに強化したいと思います。ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。稲田委員、お願いします。

【稲田委員】今の笠原委員の発言にも多少関係する、少し細かい話なのですが、今のところに性能試験は4か月、8か月ということではなくて、かなり複雑な運転パターンで運転されることがあると思います。その辺りはここの文章には何か記載する必要はないのでしょうか。

【山名主査】どうしましょうか。何か特出ししておきましょうか。事務局、何かアイデアはありますか。

【西條室長】性能試験は開始から概ね2年を見込んでいます。そういった意味では、その辺りの記載を考えて、当初の性能試験では概ね2年くらいを見込んでおり、ということを書くことは可能だと思っております。

【山名主査】14ページ、「運転パターン」に、性能試験については約2年程度、起動停止を繰り返しながら、ということを文章として入れましょうか。
 他にいかがでしょうか。よろしいですか。紙面提出の御意見を御紹介いただけますか。

【西條室長】「3.具体的な研究開発プログラムについて」は、山口先生から3点御意見を頂いております。
 「(3)高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発」については、その内容として、「もんじゅ」の継続的安全確保に必要な研究、将来の安全性強化のための研究、国際活動による海外炉の安全確認に対する貢献の三つの側面があることを認識する必要がある。特に海外炉の安全確保については、研究開発並びに規制研究に一日の長がある日本がリーダーシップを執る必要がある。また、安全性の強化は、「もんじゅ」を用いて得られる成果だけではなく、安全性試験炉等により得られる成果、ナトリウム施設を用いて得られる成果、シミュレーション技術の開発により得られる成果を連携させることにより可能となる。よって、「もんじゅ」の計画の中に関連施設、解析コードによる研究を含め、大局的視点により「もんじゅ」の計画を構築する必要があり、この書き物もそのようであると理解している。これは御意見という形で頂いております。
 それから、「もんじゅ」の運転パターンについて、もんじゅ研究計画の特徴の一つとして、長期に停止していた原子炉の稼働ということが挙げられる。炉心特性でPuの高次化などだけではなく、ナトリウム機器などの健全性、規格・基準類のレガシー化なども考えられる。長期停止していた原子炉の特殊な状況の影響の分析と健全性の確認という視点を運転パターンの構築において考慮する必要がある、という御意見を頂いております。起こり得るトラブルというところと、直ではないかもしれませんが、関連がございます。
 「(2)廃棄物減容・有害度の低減を目指した研究開発」については、高速増殖炉/高速炉システムによる環境負荷低減の有効性の確認を目標とするとある。これは、必ずしも「もんじゅ」の計画の中で達成されるものではないこと、「もんじゅ」では燃料の製造、照射、照射後試験などの成果を得ることを第一とし、有効性の確認については、もう一段大きな観点から評価される必要がある、という御意見を頂いております。

【山名主査】最初のものは意見として伺っておくことにしましょう。
 「もんじゅ」の運転パターンについて、長期停止の後であるという趣旨のことは、先ほどの笠原委員の御指摘を多少書くところに入れましょう。長期停止した後であることを考慮し、初期の炉心特性試験においては、2年程度かけて慎重に云々という趣旨を加えるということにさせてください。
 山口委員の有効性の確認は、広い意味での有効性の確認ということとして捉えられていますが、「もんじゅ」でできるのは減損率の確認なわけです。有効性というと、まるで毒性低減の行為の有効性のように聞こえるので、もう少し物理的なものであるということが分かるように書きましょうか。これ以外に言葉が思いつかないですが。多分「もんじゅ」における核変換効果の実規模での確認が有効性の確認になるので、そこはこのままにさせていただきましょうか。こちらは預からせていただきます。広い意味で言えば有効性の確認のために行うので。何か御提案がありますでしょうか。

【北田委員】これは先ほどの黒崎委員の話と近いのかなと思っています。全体像として有害度の低減を目指している、行うという話になっておりますので、全体像として有効性を確認するということは目標としては妥当ではないかなと思っております。「もんじゅ」だけを取り出すと、確かにおかしなことになるのは、山口委員の御指摘のとおりだと思います。

【山名主査】ということで、この言葉で行かせていただこうと思います。
 それ以外はいかがでしょうか。時間が余りございませんので、もしよろしければ、次の国際協力の方に移らせていただきたいと思います。

【西條室長】はい、それでは33ページ、「4.研究開発プログラムの実施における国際協力の在り方」に入ります。国際協力につきましては、第6回、第8回、第10回でいろいろと御議論いただきました。加えて4月25日に開催いたしました国際ワークショップでもいろいろと御意見を頂きました。こういった内容を踏まえた取りまとめになってございます。
 冒頭のところがこの章における考え方です。「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」で触れたとおり、「もんじゅ」は世界に実存する数少ない高速増殖原型炉であり、国際協力・貢献の場としての国際研究拠点として位置付け、活用することが重要であり、真にその国際的な技術資産としての運用の価値が問われるということを記載した上で、国際協力の基本方針を示した上で、具体的な国際協力の在り方について、2国間、多国間、IAEAの取組、更に広く活用した幅広い国際協力についてと整理させていただいております。
 まず「(1)国際協力の基本方針」でございます。戦略策定に当たって、一つ目は、開発リード国として国際貢献に資することが非常に重要だということ。二つ目は、国内単独で実施するよりも費用分担によるコスト削減やリスク分散が見込まれること。これは特に我が国にとって有利に働く視点。三つ目としまして、我が国の設計・技術等の国際標準化に有効であること。特にGIFでの活動などについても、そういったものへの貢献とともに標準化への布石を打てるという観点で検討を行うことが必要だということで挙げております。
 具体的には、その目的に応じて2国間協力や多国間協力等を活用して国際協力に取り組むということで、その全体図を別紙の10ページ、「「もんじゅ」を活用した国際協力について」というピラミッド型で、2国間協力の強化をするもの、共通の目的を共有した多国間の取組である第4世代原子力システム国際フォーラム、それから1番下、更に広い枠組みでの国際協力としてIAEAの枠組み。データの重要度、価値観という意味では、上にいく方が大きくなるということになります。こういった整理をしております。
 具体化を「(2)具体的な国際協力の在り方」で書いてございます。具体的な国際協力の在り方といたしまして、まず2国間協力につきましては、米国、仏国、露国について書いてございます。米国における技術の蓄積を活用した協力は、現在は独自の開発はしておりませんが、過去に大きな蓄積があるという観点です。ここについては、文部科学省と米国エネルギー省で締結された実施取決めがございます。高速炉の技術基盤の高度化を目指した協力の推進。仏国との関係におきましては、本年6月に安倍総理大臣とオランド大統領との談話の中で、高速炉協力を進めることが確認されております。仏国については、御説明いたしました実証炉ASTRID開発に関する協力の項目として、SAシナリオとの共通化や「もんじゅ」を使った照射試験、ループ型/タンク型に共通する技術についての研究開発等について協力を推進する。先行のリード国としての協力を行っていくことによって、両国の開発コストの削減や開発リスクの分散ができるのではないかという視点での協力です。日露間については、本年8月に下村文部科学大臣とロスアトム総裁との間で今後も高速炉の安全性に係る研究協力について具体化を進めていこうという話し合いがございました。ロシアについてはBN-600、30年以上にわたる運転管理能力のノウハウを持っておりますので、こういった観点からの協力ということです。韓国については、コールドの試験にはなりますが、AtheNa施設を用いたナトリウムの研究などへの協力が議論されているところでございます。その他の国として、インド・中国等は相手国の技術力を踏まえて対応という形で書いています。
 丸2はGIF等の多国間協力の更なる深化です。SDC、SDGといった検討に資するということで、共通の目的を共有した多国間で日本としてしっかり貢献できるようにしていくということ。もう一つ違う枠での多国間は、日米仏の3か国の中で、これもGIFの枠組みの中ではございますが、「もんじゅ」や「常陽」を用いてGACIDプロジェクト、アクチニドサイクルの国際実証も推進していきます。安全性の実証という意味ではAtheNaの施設を用いたナトリウムの大型施設等を用いた研究開発にGIF参加国と協力をする。こういった面においては、単なる国際協力としてのみならず、実益としても費用分担というコスト削減も図られるということで、こういった取組をしております。
 一番下にあります、IAEAの枠組みを活用した国際協力につきましては、平成7年に「もんじゅ」を動かすときにデータを用いた共同研究、CRPというものを行っておりますが、これを今後新たなデータを用いて行っていくということについて、「もんじゅ」のワークショップの中でも議論されております。こういったものへの取組を進めていく必要があるということについて、まとめさせていただいております。
 以上でございます。

【山名主査】それでは、御意見をお願いいたします。いかがですか。
 それでは紙面意見を御紹介いただけますか。

【西條室長】山口先生からの御意見で、国際協力については、多国間、2国間の協力が主に記載されるが、安全性、ナトリウム技術、燃料開発、シミュレーション技術などにおいて、日本がリーダーシップを執っていく方針が示されても良いのではないかと考える、という御意見を頂いております。

【山名主査】それを入れるとすると、33ページの基本方針のところ、あるいはそのもう一つ上の段落かもしれません。最初の出だしのところで書くのですが、原子力機構さん、リーダーシップを執っていくということは当たり前だと思いますが、今、国際協力の中でどのようなことを考えておられますか。

【青砥部門長】基本は既に書いてある内容に重複するかもしれませんが、既にいろいろなところに議論をリードするなど、開発リード国としてという言葉が入っております。山口先生が具体的に4項目について更に書けとおっしゃっているのかどうか分かりませんが、基本的に今のスタンスでいくと我々としては安全性の部分についてかなりのところをリードしています。そこについては今の文章の中でも既に書いてあるという認識です。

【山名主査】議論をリードするということは、既に書かれている。黒崎委員。

【黒崎委員】山口委員がおっしゃっていたことに関連するのですが、第1回目の資料にありますが、例えば海外炉と「もんじゅ」の比較というところがあって、海外炉にはない「もんじゅ」の特徴や、誇れるところのリストアップや、「もんじゅ」への海外からの期待などもまとめられているので、そういうものを別紙に付けるというような対応も良いのかなと思います。

【山名主査】わかりました。我々の国際協力の趣旨は、今おっしゃったように、あくまで「もんじゅ」は国際的に見ても意義があり、期待もされていて、きちんと技術成果を挙げるべきだという考えです。リーダーシップとは言いませんが、ある種の期待性があって、海外と協力し、コスト削減や技術の有効利用をしたり、あるいは逆にこちらからあちらに貢献したりということを行っていくことの重要性を言っています。一番困るのは、国際協力を行っておけば良いよ、というメッセージを出していると捉えられることです。そんなことはあり得ないわけです。期待性あっての話です。一番上の段落でそういう趣旨が多少薄いというのは確かにそのとおりです。青砥さんがおっしゃったように、どこかに出てくるのですが、むしろここに主体的に「もんじゅ」を使って進めている中で、国際協力をもっとうまく使って国際貢献するというような、そういう趣旨に少し強化しましょうか。1行くらい入れればできるかと思います。よろしいでしょうか。ではそうさせてください。
 ほかいかがでしょうか。もしなければ最後の結論のところに行きたいと思います。事務局から「5.研究開発プログラムの着実な推進を支える体制・仕組みについて」の説明をお願いします。

【西條室長】それでは、「5.研究開発プログラムの着実な推進を支える体制・仕組みについて」でございます。
 冒頭、サマリー的な形で書いておりますが、具体的な研究開発を着実に進めるためには、これを支える研究開発体制を構築することが不可欠である。特に、「もんじゅ」の運転管理については、原子力規制委員会からの措置命令も踏まえた立て直しが急務であり、加えて今後本研究計画を着実に推進するための研究開発体制の整備が不可欠だ、ということが書いてございます。もう一つは、本研究計画が画餅に帰すことがないよう、その後のプログラムの継続の可否も含めて厳しく評価を行うことが必要。この評価という視点が非常に重要だということを書いております。加えまして、地域の方々をはじめとする国民の信頼を、今回の措置命令もあり、著しく損なっている現状を十分認識して、透明性を持ち、かつ十分な説明責任を果たしながら進めることが不可欠である。そのための仕組み作りや環境整備が前提条件ということで、こういった点について、この章において、この研究開発プログラムの着実な推進を支える上で不可欠な体制・仕組みについて記載している形になっております。
 「(1)我が国の研究開発体制の在り方」ですが、「もんじゅ」の研究開発・運転管理体制の在り方につきましては、原子力機構の改革本部の基本的方向を踏まえた形で記載しております。1万点を超える機器の点検漏れから、5月に原子力機構に対して原子力規制委員会より二つの命令が発出されたことを踏まえて、文部科学大臣を本部長とする改革本部を作り、この中で「もんじゅ」の運転管理の抜本的見直しを含む原子力機構の「改革の基本的方向」が示されております。これに当たっては、「もんじゅ」の研究開発・運転管理体制の在り方について、第9回の作業部会においても御議論いただいた部分がございますので、ここを中心に取りまとめた形になっております。
 特に、その中の三つの視点ということで、一つ目の視点、「運転・保守管理と研究開発のバランスの視点」につきましては、改革本部ではどちらかと言いますと運転管理に着目した議論でございましたが、この部会においては研究開発をいかに進めていくかという観点で御議論いただいております。36ページ、研究開発と運転管理の間でうまくバランスを取るための体制、それを操るリサーチマネジメントが欠けていたのではないか、という御指摘。二つ目は「民間電力並みの安全管理体制の構築の視点」。ここは先生方から御指摘いただいたものも踏まえて、改革の中に入れられている内容でございます。もう一つは、これを運営していく上での「原子力機構職員の規律改善の視点」。厳しい御意見として、組織としてやるべき仕事が完遂できていない、守りの意識が強い、というところ。こういったものに対して、業務の分担と責任を明確化して、自らの責務を各職員が再認識して取り組んでいく必要がある。こういった大きな3点を示しております。
 その中で、この部会での視点ということで、「運転・保守管理と研究開発のバランスの視点」について、具体的な研究開発体制に関して御指摘いただいたことをここに記載させていただいております。
 大きく3点でございます。一つ目の丸として、研究開発の視点から、研究開発と運転管理は二項対立の構図で議論するのではなく、研究開発と大規模プラント運営との両立を目指す体制をしっかり取る必要がある。二つ目の丸におきまして、「もんじゅ」の発電プラントとしての運転業務とその他の高速炉技術の基礎基盤研究や廃棄物減容研究、実証炉設計開発等との有機的連携が必要といった観点では、原子力機構だけではなく、研究の視点から言うと国内の大学や民間企業等との協力関係を強化し、総合的に研究開発を実施することが重要ということ。三つ目の丸、研究開発を進めるに当たっては、柔軟かつ実効性・機動性を持った研究開発マネジメント体制の構築が必要。計画に縛られて、それが目的化しないようにすべきということ。当初設定した計画を所与のものとせず、柔軟な対応が求められる。例えば、「もんじゅ」を活用して得るべき成果やデータについては、国内外の研究開発の進展や新たな知見の創出などに応じて変化するものであることを前提に、本研究計画に対しても、それらの最新の状況を踏まえた新たな提案を技術的な観点から原子力機構自ら積極的に行う形にする必要がある。計画に縛られて計画を進めることが目的とならないような体制が非常に重要という御指摘を頂いております。運転管理の部分について、こういった点も踏まえて、山名先生からタスクフォースに持ち込んでいただいたものが今の「改革の基本的方向」になっています。加えて、運転管理体制のみならず研究開発体制についても、今、原子力機構で全体像をまとめております。そこで着実に実施できるような体制を作ることを提案しております。
 前回の議論で出していただいた、「人材育成・確保及び技術継承の在り方」は中間まとめでナレッジマネジメントの観点から重要だということで記載させていただいております。体制論で示された方向として、運転・保守と研究開発とのバランスを持って行うために、いかなる組織に運転員・保守管理要員・研究者の経験を蓄積するかについて、あらかじめ出口戦略を決めて取り組むことが必要である。具体的には、例えば電力会社や関連会社の知見を最大限活用しつつも、原子力機構が自立的に「もんじゅ」を運転できる人材を育成・確保し、技術継承できる体制を構築すべき。その際、機械的な運転管理にとどまらず、日常的に発生するトラブルに対して即応できる強靭さを内在する現場力を有し、受け身ではなく前に出る人材、主体的な改善提案ができる人材の確保が必要ということを書いてございます。
 「(2)研究開発プログラム評価の在り方」でございます。まず「評価の基本的考え方」ということで整理をしてございます。一つ目の・でございます。これはいろいろと過去にも御議論いただきました。技術的観点から見れば、「もんじゅ」を最大限活用して、本研究計画で定めた「3.具体的な研究開発プログラムについて」で示した開発プログラム全ての項目にわたって成果を得ることが好ましいことは間違いがない。一方で、これまでの「もんじゅ」における取組については、約1兆円もの経費を費やしながらも十分な成果が得られていない現状、これに対して国民がいらだちを感じている現実を踏まえると、まず目指すべき最低限ともいえる目標を明示した上で、その目標を着実に達成できたことを示すことができなければ、その後の「もんじゅ」を用いた研究開発を進めることはできないことを認識すべきということでございます。こういった観点で、「2.(5)研究計画策定における基本的な考え方」の、「これまでの開発経緯を踏まえ、効果的・効率的に、かつ国民にその過程・成果が伝わるよう明確な目標を持って研究を推進していくという観点から、年限を区切った目標を掲げ、評価を行い、その後の研究の存続の可否を決めることとする。」という方針を示しております。その目標となる評価時期を「成果の取りまとめ時期」として定め、その時点での技術的な達成度を厳しく評価し、その技術的な観点からの結果に加えて、その時点でのエネルギー政策上の位置付け、さらには国際的な状況も勘案して、研究継続の可否を判断すべきであるということを「評価の基本的考え方」として定めさせていただいております。こういった観点から、前回御議論いただきました内容も含めまして、どういった形で整理するかということでございます。
 「評価の時期」としまして、本研究計画においては、一つ目は高速増殖原型炉としての技術実証、二つ目は高速増殖炉/高速炉の安全技術の体系的構築、三つ目として同システムを用いた環境負荷低減の有効性確認に必須な最低限の知見を得ることができるということで、「第5サイクル終了後」、先ほどの計算でいくと概ね6年程度、これを「成果の取りまとめ時期」として定めることを提案させていただいております。
 三つの矢羽でございます。一つは、高速増殖炉の成果の取りまとめの観点という意味では、安定稼働の実証や主要機器性能の経時特性把握を含めた発電システム信頼性の確認、設計手法の検証、及び数回の本格点検経験や課題解決に基づく保守技術の整備を示し得る高速増殖原型炉としての経験蓄積がある程度できるという視点。それから廃棄物の減容・有害度の低減の有効性の確認の観点からは、高速増殖炉/高速炉システムの高次化PuやMAを含有する炉心特性(臨界特性、出力特性、燃焼特性)の把握ができるという視点。安全性強化の観点からは、自然循環除熱試験等による安全技術体系の構築に資する基盤的データの取得ができる。こういった三つの項目についての最低限の知見を得るという観点で、ここを評価軸として定めるべきではないかということ。次の・は、その前段階となる性能試験完了後は後で追記させていただきますが、概ね2年程度で100%出力試験が完了して、必要な特性試験を一定の条件下で全て網羅する、ということになりますので、そのまま本格運転に入れるかどうかの重要な成果が取得できる時期であることを考慮しますと、その後の研究計画の見直しも含めて、この後御説明します「評価の観点」も踏まえて、中間的な評価を行うこととするという形にしております。こういった「3.具体的な研究開発プログラムについて」、及び「4.研究開発プログラムの実施における国際協力の在り方」を整理して、概略を示したものが別紙7の「研究計画全体像のイメージ」になります。ここは整理上、色としては分かり易いように「もんじゅ」で行うべきものは青で塗ってある部分になります。赤字の部分は国際協力で実施できる部分です。今、御説明したような、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、廃棄物減容・有害度低減、それから高速増殖炉の安全性強化、この三つの柱について何ができるかということを、横軸で見ていただけるように、まずは性能試験のところで、中間評価をした後に、定格運転の初期炉心、5サイクル程度のところで全体的な成果の取りまとめを行い、評価をした上で、その先の議論を継続すべきかどうかも含めて可否を行うという考え方をまとめております。
 その際に重要となるのが「評価の観点」です。上記の評価を行うに当たっては、技術メリット、コスト、安全性の3点を評価軸として設定する。これは以前御指摘のあったことをここで文書化させていただいております。コストについては、「2.「もんじゅ」を取り巻く現状認識」でも示しておりましたが、技術保有の意義を踏まえれば、経済性で全てが決するものではないものの、不確実な将来の資源見通しとの関係で、目標を達成するために必要となるコストが妥当な範囲であるのか、すなわち合理的に許容できる範囲であるかという観点で、取り得る方向によって将来必要となるコストがどのように変化するのかを分析して評価することは非常に重要だということを記載しております。その上で、丸1は、「3.具体的な研究開発プログラムについて」の中で示した達成度合いを技術的な観点から確認、評価するという視点。丸2は、「成果の取りまとめ時期」以降の技術取得のために必要なコストについて、「もんじゅ」を活用した場合のコストとともに「もんじゅ」による取得と代替手段により取得する場合とのコストの分析をしっかりと評価し、許容できる範囲での考え方での分析をする必要があるということ。丸3は、安全は大前提で、炉心燃料の構成を変更することなどになると、原子力規制委員会による安全確認が前提条件になるということ。技術的メリットのみならずコスト的な視点を十分入れた形での議論が必要であることを評価の観点として挙げさせていただいています。
 続きまして、「(3)研究開発プログラムを着実に推進するための環境整備の在り方」です。骨子の中で、リスクコミュニケーションとリスクマネジメントの御指摘がございました。それについて二つ目の・になります。「もんじゅ」については研究開発段階にある原型炉であるという性質上、商業用軽水炉で想定され得る以上に、トラブル・不具合が発生するリスクを内在している。こういう認識の下に、運転経験の蓄積が少ない中で、今後、運転再開に向けた取組や性能試験を進める中で、様々なトラブル・不具合や課題が発生する可能性がある。これに対して、原子力機構として事前に十分に分析をする、リスクマネジメントをしっかりすることは言うまでもありませんが、加えて想定し得ないことが発生し得ることも含めて、今後生じ得るリスクについても積極的に対外的説明を果たし、外部と共有(リスクコミュニケーション)を行っていくことによって、トラブル・不具合等を抑えこむことが必要でしょうけれど、それが起こったときに、その次に進んでいく上での研究開発を円滑に進める環境を醸成することが非常に重要だということが書いてございます。その後には、例えばということで、各国の高速増殖炉/高速炉でナトリウム漏れを起こしているところで、その深刻度を分析し、どういったレベルで行ってきたのかといった情報を共有した取組が必要ではないかということでございます。
 その後に、「新規制基準による安全規制への対応」ということで、前回御指摘があった部分を追記させていただいています。二つ目の・、適時適確に技術データを権威機関へも提出して、国際水準の安全基準策定に貢献すべきである。三つ目の・、国際的にも重要な既存の高速増殖炉/高速炉としての運転及び継続的な安全性向上のための取組を進めていく。自ら更なる安全性を求める努力をしていくという、単に規制という意味ではなくて、こういったものもしっかりと行っていく。そのデータをきちんと蓄積して貢献していくことが重要だということを書かせていただいております。
 最後に、「地域の方々をはじめとする国民との信頼関係の構築」でございます。原子力活動を円滑に進めていく上では、地元住民の理解と協力を得ていくことは大前提になります。その中で、当然のことながら、地元の皆様をはじめとして、コミュニケーションをしっかり行っていくことの重要性。二つ目の・は、トラブル発生時は当然ながら、それ以外の平常時においても透明性の確保を高めることが重要だということでございます。三つ目の・では、その大前提、基盤となるのが信頼関係。その上で初めて情報を提供する、それを聞いて理解するということが成り立ちます。この部分について、四つ目の・、今回の問題がありました。以前からのトラブルに加えて、今回のようなこともあって、一番基礎となる「もんじゅ」を運営する原子力機構に対する信頼が失墜しているという状況を踏まえ、「もんじゅ」は将来の夢の原子炉ということを言っておきながら、なかなか進まないという状況にあっても、地元では御理解・御協力を頂いているところで、今回のような形になっていったことを重く受け止めて、1日も早くその礎となる信頼回復を図ることが重要であり、そのために、始めにも書くべきということではございましたが、意識改革を自ら一人一人が自らのことと受け止めて不退転の覚悟で断行していく。地域の方々をはじめ、国民に安心して「もんじゅ」の運転管理及び研究開発を任せることができると思えるような組織になっていくことが必要だということを最後に記載させていただいております。
 以上でございます。

【山名主査】それでは、「5.研究開発プログラムの着実な推進を支える体制・仕組みについて」の御意見を頂きたいと思います。稲田委員。

【稲田委員】ここでは、研究全体のイメージというのか、改定の仕組みについてしっかり御説明いただきまして、非常によく書かれていると思います。この中できちんと書かれているので、修正ということではありませんが、私の専門性から見て、特に重要と思われるところについて何点か思うところを述べさせていただきたいと思います。
 まず36ページのリサーチマネジメントの話です。研究開発と運転管理の間のバランスを取るということは非常に難しいと思います。全体から議論して、具体的にどういうところが重要なのかということをずっと考えていたのですが、最初の性能試験のところは「もんじゅ」特有でありまして、普通の軽水炉とは全く違う試験になると思います。こういうところは運転管理の話だけではなくて、研究開発という視点からもきちんと見ていかないと、うまくいかないのかなと思います。それが第1点です。
 2点目は37ページで、「もんじゅ」を運転できる人材を育成し、ということで、原子力機構が自立的に、と書かれております。ここも電力会社や関連会社の知見を活用しつつということで、どういうところが具体的に重要なのかを考えますと、まず普通に運転していくという観点では、電力会社さんの方でもできると思いますが、「もんじゅ」特有の性能試験のところや、ナトリウムを扱っているところは、やはり明らかに原子力機構さんのところに経験がある分野なのかなと思います。この部分はしっかりとやっていただかないといけない部分かなと思います。その下に強靭さという話も書いてありますので、文章としてはこれで十分かと思いますが、そういう人材育成をしていくことが重要だと思います。
 最後の点ですが、39ページ、「リスクコミュニケーションとリスクマネジメントの充実」の二つ目の・です。ここに、リスクを事前に十分に分析、リスクマネジメントすることは言うまでもないと書いてあります。実は、今御説明したことがうまくいくかどうかは、きちんと運転できるかどうかにかかっているわけです。そのときに、ここが実は非常に重要です。リスクコミュニケーションの話も書かれています。文章にしてしまうと、こういうふうこのような形になってしまうと思いますが、どういうことが想定されて、そのときにいろいろ細かい話も大きい話もたくさんあると思います。そういういろいろな事象に対して、きちんと備えておく、こういう場合はこういうふうにするのだということをやっていくということが、この文章の背後後ろにあるのかなと思いましたので、是非その辺をよろしくお願いしたいと思います。

【山名主査】特に修正ということではございませんか。

【稲田委員】修正ということではございません。

【笠原委員】今、稲田委員が冒頭に言われましたように、研究開発と運転管理の調和は大事でありますが、実際にはなかなか難しいことだと思います。特に原子力機構さんはいろいろ外から言われており、受け身になるとなかなか難しいのではないかと思います。具体的には規制との関係です。39ページの下から規制への対応があり、最後はいろいろな知見やデータを蓄積すべきであるというところで止まっています。先ほど室長から説明の中で貢献と付け加えていただきました。これと関連して「1.はじめに」というところで、意見を申し上げようと思っていて申し上げなかったのですが、少し気になる表現がございます。2ページ、下から8、9行目です。原子力機構は、我が国の高速増殖炉開発を担う研究開発機関として、新規制基準策定に資する研究データ等これまで蓄積された研究開発成果・知見を最大限に提示することが求められている。両方とも提示ということです。字面だけ見ると規制委員会の方から求められたら提示すると受け取れます。なかなか難しいことではあると思いますが、できればどこから研究開発、どこから規制かということで随分展開が変わってくると思います。可能であればもう少し貢献などの表現に書いていただけないかなと思うところです。何かトラブルがあったときも、それが始めから想定されたものであって、研究開発の一部であれば、早いPDCAサイクルを回してどんどん改善につながると思います。規則違反となるとそこでまた長いストップがありますし、それからむしろ取替えがしづらくなると思います。決められたとおりに行うことにエネルギーがかかるわけですから、効率が違ってくるのではないかと思います。そういう意味を込めて、提示ではなく、もう少し適している表現にしていただけないかという意見でございます。

【山名主査】わかりました。提示し、安全基準の体系に貢献すべきである、というようにさせていただきます。
 ほかにいかがでしょうか。黒崎委員お願いします。

【黒崎委員】私が最初に研究開発再開のところでコメントさせていただいたところにリンクさせていただきたいと思います。あくまで今御説明いただいたところは、研究開発プログラムの着実な推進、プログラムを研究していくために必要な体制、仕組みということで、もちろんこれはこれでこういう体制が必要だと思います。その前に、そもそも再開するというところが最も重要だと思います。私がぱっと見たときに、再開するときの判断のところでは、2ページの下のところにさらっと書かれているだけで、再開して研究開発を進めるという段階で、こういう体制が必要だというところはかなりしっかり書かれているので、少しバランスが悪いのかなと思っています。まず、こういう体制になって再開した上で、体制を維持し、研究開発を進めていくのが今回の筋なのかなと思います。この観点から見ると、研究開発の再開のところは、ぼやぼやと書かれている。いざ再開してから先の話はかなり詳しく書かれているので、最初に室長が後で書かれているとおっしゃっていましたが、最初の再開のところと推進のところをうまくリンクさせていただくようにしていただければと思いました。それはあくまで体制のところです。
 次は評価のところです。「評価の基本的な考え方」、「評価の時期」、「評価の観点」については特段コメントはございません。ただその評価を誰がするのかというところが抜けているのかなと思います。評価を基に研究継続の可否というかなり大きなことを判断する必要があるので、それではどういったところがどういう責任で研究継続の可否を判断するのか、というところは非常に重要ですが、抜けているのかなという印象を持ちました。

【山名主査】ありがとうございます。まず、再開のウェイトが軽く見えるというのは確かにそのとおりです。35ページに書かれていることは本来再開を含めています。

【黒崎委員】5.のタイトルのところに少し再開と継続、推進など、その程度の修正でも分かりやすくなると思います。

【山名主査】タイトルはそのままにさせていただいて、1段目の文章の中に再開の前の段階も含めてというようなことを明記させていただきます。評価は極めて大事な話です。紙面提出の中にもそれはあったと思います。紹介していただけますか。

【西條室長】永井先生から、「評価の基本的考え方」について、国際機関も含めた第三者的な評価の観点も導入してはどうか、ピアレビューはアカデミアの世界では当然である、という御意見を頂いております。もう一つ、「評価の時期」については、技術的な評価としては5サイクルや性能試験後という整理は理解するが、一方で、サイクル数と連動した評価のみならず、今から5年後などの一定の時期での評価も必要ではないか、という御指摘を頂いております。
 村上先生から、開発プログラムの代替案ということで、「5.(2)評価の基本的考え方」のところで、代替案におけるコストを考えるべきということも書いてあります。先生からは、代替案をこれまで真面目に検討しなかったことが、全てありきでやっているという印象を国民に与えてしまうことがあるというので、代替案の提示時期と方向性についても、具体的な記述を「評価の観点」、コストの辺りに入れることが必要ではないかという御指摘を頂いております。
山口先生から、運転サイクルごとに期待すべき成果の取りまとめがなされたことは、今後の成果の評価において重要な視点だということ。一方で、この計画は現時点の限られた情報に基づくものであり、今後の運転・保守経験や知見の蓄積・反映によって、より実効性の高い研究開発へ進化させることが求められる。研究開発成果の評価においては、評価そのものが目的化しないように配慮する必要がある。また原子力機構においても、三つの研究開発の柱を十分に理解し、計画を遵守することそのものが目的ではないこと。新しい知見や運転の経験を反映させた、より合理的な研究の進め方の提案も含め、硬直的な研究開発計画の運用にならないよう配慮する必要がある、という御意見を頂いております。
 以上でございます。

【山名主査】幾つか意見が出ております。
 まず、評価体制の話です。それはおっしゃるとおりです。ただし、今ここでどういう体制が良いということは言えないので、永井先生が言われているようなピアレビュー的な観点、国際的な評価を受ける、恐らく、中立的というか、外部からの評価を受けるというような体制をもって行うということを評価の観点の38ページの中に書きましょうか。それは書かせていただきます。
 永井委員から、サイクル数で定義した時期ではなくて、5年後くらいに行ったら良いのではないかと書いてあります。技術的に言えばサイクル数連動が良いのですが、何か問題があって5年たってもサイクル数が進んでないということがなきにしもあらず。そういうときには、確かに評価を遅らせるのはおかしいので、恐らく何年後、常識的には6年後くらいだと思いますが、研究開発の進捗に応じては適当な時期に評価を入れることはあり得るということはどこかに書いた方が良いような気がします。そうでないと、どんどん評価が遅れていくという変な現象が起こります。そういう事態が問題であると評価することが評価なので、やはり評価についてはあるポイントを絞ることはそのとおりだと思います。
 山口委員からは評価が目的化しないようにしてほしいということ。しかし、これは微妙でございます。評価は評価を目的にして行うものであって、その評価に耐えられない開発は消えるべきものです。余りに目的云々と書くことは難しいと思いながら、体制のところで書いていただく。事務局の案を聞かせてください。

【西條室長】山口先生から御指摘のあった評価そのものを目的化してしまうということについては、山名主査からありましたように、評価というよりは体制のところ、36ページ、「運転・保守管理と研究開発のバランスの視点」についてなされた御指摘の最後の丸のところに、原子力機構として新しい知見といったものについて、研究計画に対して計画に縛られた目的化をしないことは記載しておりますので、先生のおっしゃるところも踏まえているのではないかと思います。そういった考え方で進めていく。評価のところで評価を変えて良いという話になってしまいますと、評価そのものが何かという話になります。計画全体に対しての柔軟性を持って、しっかりと提案していく体制をとっていくべきではないかというところで記載しました。

【山名主査】ありがとうございます。これは結構重要なところで、原子力機構さんに是非お願いしたいのですが、計画は守るべきものです。しかし計画を守るという目的だけにしてしまえば、計画を守っているように見せることを優先してしまって、技術成果や本質的な部分が失われるケースがあります。それはまた本末転倒で、両方が大事ということでございます。そういう趣旨が明記できるようにしたいと思います。
 他はいかがでしょうか。笠原委員。

【笠原委員】評価について少し引っかかる点があります。村上委員の、開発の遅れの要因というところで、社会的な問題を踏まえたトラブルやリスクに対するマネジメントが不十分であったという点も記述してはいかがというものがあります。これは原子力機構の中だけではなくて、もう少し日本の社会にかかる接点のところであって、ここに書くべきかどうかは分かりませんが、本当はこのくらいの高い視点から評価していかないと研究開発と運転のバランスという非常に高いハードルは超えられない可能性もあるのかなと思います。原子力機構や「もんじゅ」よりもう少し上の広い議論になるので、書いた方が良いとは必ずしも言えませんが気になる点ではあります。

【山名主査】それは、どういうことですか。リスクコミュニケーション自身のもっと大きな話ということですか。

【笠原委員】例えば、この評価の観点で、丸1、2、3とありますが、例えば、今の福島第一原発事故の原因究明、根本原因はどんどん続いて、世の中がリスクを重要視するようになったとしたら、観点自身も随分変わると言えるわけです。そういうことに対しても、この中で書くかどうか分かりませんが、視点が変わるということもあると思います。

【山名主査】事務局の案をお願いします。

【西條室長】ご指摘の点と関連するところかと思います。38ページの一番上、「評価の基本的考え方」の最後の部分です。まず、コストを含めた技術的な達成度は、ここの部分で評価の観点から厳しく評価をします。その技術的な観点からの結果に加えて、その時点でエネルギー政策上の、御指摘にあるような世の中の需要性も含めた位置付け、さらに国際的にどう進めるのかといったことを勘案して、最終的な可否への判断になります。これは技術のみならず、政治的な判断も含めてということになります。その上で勘案すべき観点という意味では、大きな基本的考え方を示させていただいていると考えております。

【山名主査】この問題は意外とセンシティブで、社会との関係をきちんと見ないと成立しない開発なのです、元々にして当たり前の話です。正にそれは要件であるとどこかで言われなければならないわけです。過去には社会の理解とともに研究を進めるという意識が希薄だったのかどうか、情報提供がおろそかだったり、対社会コミュニケーションが不足していたこと自身が自分たちの歩みを遅らせる結果になるという事態になっています。笠原委員がおっしゃるように、社会との在り方を研究開発の当たり前の要件としてきちんとやりなさいよということが大事なのです。そういう意味で、「リスクコミュニケーションとリスクマネジメントの充実」のところで、そういう立場にあるということを書くことが大事だと思います。少し気になったのですが、39ページ、(3)のタイトルが環境整備の在り方となっています。環境整備の在り方としてリスクコミュニケーションと新規制基準と国民の信頼関係となっていますが、環境整備だと考えること自体が、多少独善的なところがあると思います。自分たちがきちんと進めるためには、こういう環境としてあるべきだ、というのは少し失礼な言い方で、ここは言葉を変えた方が良いと思います。社会の理解、安全へのコンプライアンス、信頼関係、全て要件でありまして、そういうような意味で全体のトーンは揃えたいと思います。
 他はいかがでしょうか。時間が押してきましたが、5.が肝でございますので。北田委員、お願いします。

【北田委員】「評価の基本的考え方」で、第三者の評価の体制となっておりましたが、当然のことながら、何よりも自己評価のようなことも少し文章を入れられるべきではないかなと思います。評価の中身と言いますか。

【山名主査】了解しました。恐らく自らを評価する能力を持っていれば良いということですね。どこかに書かせていただきます。
 評価以外でも紙面意見がございましたらお願いします。

【西條室長】御指摘がありました環境整備という点についても、大島委員から2点ほど御意見が入っております。
 環境整備のところでは、リスクアセスメントの研究の重要性。技術的な観点のみならず社会との関係を分析するところが日本は弱い。日本の原子力全体の話ではあるけれども、「もんじゅ」は格好の事例研究の場となる。これが欠けたままでは、「もんじゅ」は絶対受入れられないのではないか、という御意見をいただいております。
 リスクコミュニケーションについては、起こり得たトラブルを未然に防いだというポジティブな発信が重要ということで、例えば、福島第一原発も地震は持ちこたえましたし、女川や福島第二原発は津波も防いだというところで、事故が起こった場合でも、レベル4になり得たものを1に抑えたという、ポジティブなものについてもしっかりと説明することも重要ではないか、という御意見を頂いております。
 以上です。

【山名主査】はい、ありがとうございました。リスクコミュニケーションはネガティブもポジティブも両方本来入っています。良いこと悪いこと全部皆さんと理解し合いましょうということですから。すでにこの文章で良いと思いますが。
 他はいかがですか。それでは大体報告書については議論を尽くせたと思います。事務局、これは本文と別紙と参考資料集の3点セットで報告書になるということですか。

【西條室長】報告書の構成としましては、本日の3点セットを研究計画として一つにまとめたいと思います。参考資料と書いてはありますが、詳細な研究の計画自身を過去に議論いただいたものを集約した形にして記載しております。こういう形で全体像としてまとめさせていただければと思います。

【山名主査】今日、この場で頂きました御意見、また紙面で頂きました御意見も、聴いていておっしゃるとおりだなというものがほとんどだったと思います。報告書の中に、幾つか変更の必要のないものもありましたが、何らかの形で修文することで反映することができると思っております。この後の扱いについては、私の方に修正を御一任いただくということでよろしいでしょうか。メール等で一度御確認いただく機会は持てますか。急ぎになると思いますが、最終的な修文案をもう一度メール等で見ていただくことは可能かと思います。基本的には私の方に、御意見を反映するのは御一任いただくということで御了解いただければと思います。
 それでは以上で報告書としてまとめるという目途がついたと思います。今回の報告書は、一歩進めたところが幾つかございます。一つは「もんじゅ」が持っている技術的な意味付け、意義付け、技術的な内容の意味といったものを一度クリアに定義し直したということは大きなプロセスだったと思います。その中で「もんじゅ」を動かすことの技術的な意義をクリアにしようと努めたということです。二つ目は、これからの「もんじゅ」の目的としてプラント成果をまとめる、放射性廃棄物の減容の研究を重視する、安全を重視するという三つの方針を出しました。これも「もんじゅ」という装置の意義、位置付けとして明確に示したという大きなプロセスだったと思います。三つ目は、我々がこれから文部科学省に提言しようとしている、この報告書は、5サイクルくらいで一つの目途、ホールドポイントを持ち、そこで評価する。性能試験のところでもしっかり見ようという一つの目標を掲げたということです。一つの年限を設定したという理解でおります。これに対して、この報告書に書いたいろいろな体制の改革、あるいは研究に対する取組の姿勢の強化といったものを原子力機構に果たしていただくことを要求するという報告書になっております。そういう意味で我々、作業部会の委員の気持ちは込められたのではないかと思っております。
 これを私の方で文部科学省の上の委員会であります、科学技術・学術審議会 研究計画評価分科会の原子力科学委員会の方に作業部会として答申させていただくということになります。文部科学省の方にお預けしますが、恐らくその中でまたもんでいただいて、先ほどのお話にありました、現在行われているエネルギー基本計画の中の原子力政策の審議の方に、一つのメニューのような形で、「もんじゅ」というものはこういうものだよというものとして提示され、その中で議論されていくと理解しております。
 そういう意味で今日、報告書案が大体まとまったということでありますので、この12回をもって、作業としてはほぼ終了と理解しております。委員の皆様方におかれましては、多大な時間を費やして、この作業に協力していただきましたことを改めて御礼申し上げます。この後どうなるかということを事務局の方から簡単に御説明をお願いいたします。

【西條室長】はい、本日はどうもありがとうございました。先ほど主査からお話がありましたように、本日頂いた御意見を踏まえ、最終的なものを作りまして、またメール等でお送りさせていただきます。会議の議事録案につきましては、出来次第メールで御相談させていただきたいと思います。
 事務局側も至らぬ点が多々ありましたけれども、先生方には御協力いただきましてありがとうございました。
 以上でございます。

【山名主査】それでは、これにて第12回の作業部会を閉会いたします。ありがとうございました。

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