宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会(第25回) 議事録

1.日時

平成29年5月19日(金曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.議題

  1. 調査・安全小委員会について(設置目的,委員名簿等)
  2. H-ⅡAロケット33号機の打上げに係る安全確保業務の結果について
  3. H-ⅡAロケット35号機の打上げに係る安全対策について
  4. その他

4.出席者

委員

主査  山川 宏
専門委員  門脇 直人
専門委員  木村 真一
専門委員  中西 美和
専門委員  野口 和彦
専門委員  古橋 智久
専門委員  馬嶋 秀行
臨時委員  松尾 亜紀子
専門委員  渡邉 篤太郎

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課企画官  山之内 裕哉
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  佐々木 裕未

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 第一宇宙技術部門
  鹿児島宇宙センター所長 藤田 猛
  打上安全評価ユニット長 鳥井 義弘
  宇宙輸送安全計画ユニット長 川畑 広文
  鹿児島宇宙センター射場安全グループ長 船川 隆

5.議事録

【事務局(山之内企画官)】  では,ただいまから,宇宙開発利用部会の調査・安全小委員会の第25回会合を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様には御多忙のところお集まりいただき,本当にありがとうございます。本日は,第9期の宇宙開発利用部会において,調査・安全小委員会が設置されてから最初の会合となりますので,議事進行につきましては,主査にお渡しするまでは事務局で進めさせていただきたいと思います。
 まずは,最初の会合ですので,本日,御出席いただいております委員の皆様のお名前を五十音順で紹介させていただければと思います。
 門脇直人委員,木村真一委員,中西美和委員,野口和彦委員,古橋智久委員,馬嶋秀行委員,松尾亜紀子委員,山川宏委員,渡邉篤太郎委員の皆様でございます。よろしくお願いいたします。
 なお,本日は御欠席されていますが,飯田光明委員が小委員会の構成員として御所属いただいております。
 続きまして,事務連絡として3点御説明させていただきます。
 1点目は,本日の会議の成立についてでございます。
 宇宙開発利用部会運営規則の第2条第10項において,「小委員会は,その小委員会に属する委員等の過半数が出席しなければ,会議を開くことができない」と定められているところでございます。
 当小委員会には,10名の先生方を構成員として御所属いただいておりまして,本日は9名の委員の方に御出席いただいておりますので,定足数を満足しております。
 2点目は,本日の会合の公開・非公開について御報告申し上げます。
 宇宙開発利用部会運営規則の第3条では,部会及び小委員会の会議及び会議資料は,公開することを原則としております。ただし,例外規定の一つとして,「ロケットの打上げ等に係る機微情報を含むと考えられる案件」が挙げられておりまして,非公開とすることができるとされているところでございます。
 本日予定しております3件目の議題は,この例外規定に該当しているため,3件目の議題の一部は非公開にて実施させていただきたいと考えております。委員の先生方並びにプレスを含む一般傍聴者の方には御理解と御協力を頂きますよう,お願い申し上げます。
 最後,3点目でございます。本日の資料についてでございますが,お手元の議事次第の4ポツにあるとおりでございます。ただし,下線を引いている資料の別添につきましては,非公開資料とさせていただいておりますので,現在はお配りしておりません。資料の過不足等ございましたら,適宜事務局までお申し付けいただければと思います。
 それでは,議事に入りたいと思います。

(1)調査・安全小委員会について(設置目的,委員名簿等)

【事務局(山之内企画官)】 より資料25-1-1,-2に基づき説明を行った。
資料25-1-2は,先ほど紹介させていただきましたが,小委員会の委員名簿となります。主査と主査代理に丸と二重丸がついてございますが,宇宙開発利用部会の運営規則第2条第5項に従って,部会の白石部会長から山川委員を主査として御指名いただいており,山川委員には快諾を頂いております。
 また,この運営規則の第2条第9項に従って,山川主査から,第一主査代理に渡邉委員を,第二主査代理に木村委員を御指名いただいております。御快諾も頂いているところでございます。
 以上で事務連絡と(1)の議題となりますが,御質問などございますでしょうか。

【野口専門委員】  小委員会の調査事項に書いている安全対策の定義は何ですか。

【事務局(山之内企画官)】  打上げ等に係る安全対策という意味でしょうか。

【野口専門委員】  (a),(b),(c)に3つとも安全対策と書いてあるのですが,この安全対策というのはどこの範囲を指すのでしょうかという確認なのですが。

【事務局(山之内企画官)】  ここについては,8期からも続いているところであり,次のページに記載あるとおり安全対策にはそれぞれ評価基準というものがございます。それと基本指針ですね。こういったものについて沿っているかという確認を行うのを安全対策としているところでございます。

【野口専門委員】  前回まで,どちらかというと安全対策というのは地域の住民の方等へ,若しくは落下してくるところの地域の安全という意味で使われていて,故障とか,いわゆる機器の事故自体は扱わないというようになっていたのですね。それで,そのときに,(b)のところで,「こうのとり」のISS近傍での運用に係る安全対策というときは,少なくともISSの近傍だというのは,特に地上の安全にはあんまり関係するとは思えないので,これが入っているというのは安全対策の定義が変わったのかという,そういう確認です。

【事務局(山之内企画官)】  いいえ,変更ございません。打上げ安全対策の評価基準としては,この中に射点近傍というか,地域住民の話もございました。それで,その指針に従うということです。また,(b)については,また別に基本指針の対象が異なっており,この小委員会で基本指針に基づき議論させていただいております。それぞれの指針・基準に従って議論を進めさせていただいております。

【野口専門委員】  はい。分かりました。

【事務局(山之内企画官)】  よろしいでしょうか。そのほかの御質問ありますでしょうか。
 それでは,以降の議事進行は主査にお渡しさせていただきたいと思いますので,山川主査,よろしくお願いいたします。

【山川主査】  それでは,白石部会長より御指名を頂きましたので,主査として,本日の以降の議事進行を務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(2)H-ⅡAロケット33号機の打上げに係る安全確保業務の結果について

【山川主査】 早速ですけれども,本日の2番目の議題に入りたいと思います。議題は,H-ⅡAロケット33号機の打上げに係る安全確保業務の結果についてでございます。
 このH-ⅡAロケットの33号機は,先日3月17日に打上げに成功しております。本日は,その実施結果について,JAXAから説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【JAXA(藤田)】  より資料25-2に基づき説明を行った。

【山川主査】  ありがとうございます。それでは,ただいまの御説明につきまして,御意見,御質問等ございましたら,よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

【野口専門委員】  どうも御苦労さまでした。何か細かいことばかり言っているようになりますが,委員として聞きたいのは,その安全監理終了審査を実施して,次号機以降への反映事項を抽出したと書いてあるのですが,その中身が知りたいのですよね。それを知らないと,次の審査するときに何がどう反映されているかというのが分からないので,そこを教えていただけますか。

【JAXA(藤田)】  毎回のように御質問いただいている事項ではあるのですけれども,そのたびごとに大きな話から細かい話がございまして,こちらの中で,委員会に御報告すべき中身としては今回ございませんので,具体的な中身は文章上,割愛させていただいてございますけれども,今回,一つ,次号機への反映ということでありましたのが,2年ほど前ですかね。一昨年の11月に29号機を打上げてございますけれども,そのときに海上警戒区域に船舶が進入して,打上げ時刻を少しずらした経緯がございます。その後,警戒の時間帯とか運用の方法を工夫するということを,トライアルも含めていってきておりまして,これまで幾つか実績を重ねてきてございますので次号機に向けてその効果をちゃんと評価して,どうするかということをきちんと計画を作ろうということをアクションにしてございます。

【野口専門委員】  ありがとうございました。事故とかトラブルが起こると詳しい分析が行われて,公開されるというのは当たり前なのですけど,やはりこういう先端技術のものというのは,うまくいっているときほどより慎重に,結果としてうまくいったけど,どういう可能性があったかということをちゃんと議論しておくことがとても大事だと思っています。それを今までどおりやっていただいているということは信用しているのですけど,やはりそのやっていますよということも含めてきちっと御報告いただいた方が,お互いその状況が把握できると思いますので,そこは今後も参考にしていただければと思います。
 以上です。

【山川主査】  ありがとうございます。成功したとき,うまくいったときほど慎重に見直していただくと。非常に重要な御指摘かと思います。ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。はい,どうぞ。

【古橋専門委員】  今のお話と少し関連するお話になるかもしれないのですけれども,逆に,以前の事柄が反映されて,それを受けて,取り組まれたことですね。そのトレースの中でうまくいったこと,また,残った課題があったようなこと。そういったことというのはこの中にあるのでしょうか。報告されるレベルかどうかは別としてです。要は,反映されたことが,しっかりとそれが実際やってみて,それが実際正しかったのかどうかというトレースみたいなことはされているのでしょうかという,そういう趣旨です。

【JAXA(藤田)】  打上げの安全監理業務をJAXAが行っている中で,各所にゲートを設けてございます。準備がちゃんとできているかというのを2回ぐらいやると,最後この打上げが終了した後,結果がどうであったか。次に反映することは何かという,いわゆるPDCAサイクルを回すようなことで,審査会のゲートを設けておりますので,その時点で,その前のときの反映事項なりがどう処置されていて,それが妥当であるかという審査を行って,進めてきております。

【古橋専門委員】  それは過去のものからずっと蓄積されて,少しずつブラッシュアップされている。そういった形で整理はなされていると理解してよろしいですか。

【JAXA(藤田)】  具体的なアクションがアップデートされれば,それはそれで反映されたものはその形で進みますので。その都度アップデートされるようなことになるかと思いますけれども。

【古橋専門委員】  分かりました。ありがとうございました。初めてでございますので,確認をさせていただきました。

【山川主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ,馬嶋委員。

【馬嶋専門委員】  これだけの技術の蓄積がありまして,それから,当然ながら,やっぱりリスクに通じるようなこともあったと思うのですけど,その全てがどこかの部署で蓄積されて,保管されていますか。いつもそういう対処をなさったというのをお聞きするのですけれども,例えば病院ですと,リスクマネジメントという部署があって,全てのファイルがそれで上がってきたら全部保管しているのですね。だから,前に起こったこともどうであったかというのを後で振り返ることができるのですけれども,いかがでしょうか。

【JAXA(藤田)】  この打上げ安全監理業務,JAXA全体を取り仕切るといいますか,事務局的に仕切っていく部署がきちんとございますので,そこは過去の審査会の資料から何から,アクションの結果,フォローですとか,そういうもの全て,文書もデータもまとめて,そこが保管しているといいますか,持っております。

【山川主査】  ありがとうございました。
 ほかにございませんか。よろしければ,この議題についてはこれで終わりたいと思います。ありがとうございます。

(3)H-ⅡAロケット35号機の打上げに係る安全対策について

【山川主査】 それでは,次の議題に移ります。議事に入る前に,この議事の進め方について2点申し上げたいと思います。
 1点目は,先ほども少し御説明ありましたけれども,会議の公開と非公開についてでございます。議題の(3)において御審議いただきます「飛行安全計画」と,それから,「地上安全計画」の中には,情報セキュリティや妨害行為などへの対応の観点から,公開することが好ましくない,そういった情報がございます。従いまして,まずは公開することが可能な部分を本日もですけれども,御審議いただきまして,後ほど非公開にて機微な情報を含む部分を,そこについては御審議いただくという流れで進めていきたいと思いますので,御了承をお願いいたします。
 それでは,議題(3)H-ⅡAロケット35号機の打上げに係る安全対策についてに,まずJAXAからミッションの概要と,飛行安全計画並びに地上安全計画に基づき,ロケットによる人工衛星等の打上げに係る安全対策の評価基準に対する評価結果について,説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【JAXA(鳥井,船川,川畑)】  より資料25-3-1,35-3-2,35-3-3に基づき説明を行った。

【山川主査】  ありがとうございました。参考資料の1,2,3については特によろしいですか。

【JAXA(鳥井)】  はい。これにつきましては適宜御覧ください。

【山川主査】  分かりました。それでは,ただいまの説明につきまして,御意見,御質問等よろしくお願いいたします。今回は初めての方もいらっしゃいますので,時間を取って議論できればと思います。よろしくお願いします。

【木村専門委員】  では,済みません。初めてなので,幾つか。既に議論になっていることなのかもしれないのですが,確認させてください。
 先ほど軌道上に投入した後のデブリ対策のところで,指令破壊装置の破壊用火工品の誤動作防止という話がありました。その点について,二つ質問したいのが,受信装置の電源遮断を行うことで,これを実現するとありましたが,その遮断装置そのものの信頼度の確保というのはどのように実現されているのかというのが1点と,それから,この誤動作が通常シーケンスの場合,どのように作動しないように,信頼度を確保されているかという点について,教えていただけますか。

【JAXA(川畑)】  まず指令破壊受信機の遮断につきましては,誘導計算機を介して,ある時間になったら電源を遮断するというような制御をすることになっています。それから,二つ目ですけれども,指令破壊受信機そのものの設計としましては,誤出力をしないような論理ロジックと,もう一つは,作動するときには確実に作動するというような論理ロジックを,内部で厳重な論理ロジックを組んで設計されております。

【木村専門委員】  そこはあんまり具体的なところはオープンにしにくいということでしょうか。具体的にどのような方法で実現されているのかなという点が,今の御説明では分からないかなと思います。誤動作が通常シーケンスの場合作動しないようにする方策としては,時間によって管理されているということでよろしいですね。

【JAXA(川畑)】  はい。打上げ後の時間で遮断するように設定しております。構成の方は,,内部冗長による論理ロジック構成になっているということです。

【木村専門委員】  要するに,論理ロジックを冗長構成にすることで,その信頼度を上げるという作戦をとられているという理解でよろしいですか。

【JAXA(川畑)】  ええ。そういうことです。

【木村専門委員】  はい。分かりました。

【山川主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。はい,どうぞ。

【馬嶋専門委員】  資料25-3-1の図6のガス拡散通報連絡範囲についての質問です。万が一の時は,確実に連絡が行き届くようになっていると思いますが,かなり広い範囲ですので,通報は放送などを行うのでしょうか。例えば,今は地震などが発生したらテレビでいきなり流れるみたいなのがあります。本件はどのようにされるのでしょうか。非常に緊迫した状況だと思いますので,どういうふうになっているのか,の質問となります。

【JAXA(船川)】  おっしゃるとおり,範囲は広うございます。この中でも,割と山も結構ございまして,この市街地というか,人が住んでいるところと山のところとございまして,人の住んでいるところのそれぞれの幹線道路に車を何台か配置しまして,宣伝車と申しますか,スピーカーで連絡して回る車も配置しており,事が起こったときには,それぞれルートが決まっていまして,何分以内に,ヨーイ,ドンで走りなさいということを,手順書を作って訓練をしてございます。

【JAXA(鳥井)】  あと,町で防災無線を持っておりまして,家であるとか,あるいは外にいる人に対して連絡が入るようなことを町に協力を頂いて,行うような体制になっています。

【山川主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。はい。古橋委員。

【古橋専門委員】  中身がよく分からないので,済みません。素人の質問となり恐縮です。まずこの打上げの体制ですね。どのぐらいの人が関わって,打上げの実際の運用が行われているのかということですね。図でいうと,図-5の体制です。執行体制になるのですかね。現地の実施体制として実際関わっている人はどのぐらいになりますか。それからあと,体制の中で作業される方において,いろいろな計画に基づいたその内容の打合せは,どのぐらい密に行われているのか。その頻度のようなものについて,教えていただければと思います。

【JAXA(鳥井)】  実施体制といいますと,どこの範囲によるかによりますが,安全に関する人ですかね。要は,打上げというのは,いろんな人がたずさわりますので。

【古橋専門委員】  当日,実際の打上げの実行場面になると,打上げの執行責任者がいらして,その指揮下で多くの方が関わっているわけですね。その後のつながりとしては,要は,いろんな対策といいますか,立てられているのですけれども,それを実際に関わる人がしっかりと遵守するといいますか,その対応,決められたことをしっかりと実施するということが大事だと思うのです。いわゆる,その体制下でどのぐらいの人が関わっているのかということを知りたいのですけれども。

【JAXA(藤田)】  大まかな数字でいえば,この図で言うJAXAの打上げ安全監理側ですと約100名になります。

【古橋専門委員】  100名ぐらいですか。

【JAXA(藤田)】  三菱重工さんは,その時々といいますか,実際に打上げの当日,打上げ直前までということになりますと,ブロックハウスという直近の地下。20mほどのところで遠隔で操作を行うので,そこが,号機によりますけど,100名から130名の方々が入られると思います。

【古橋専門委員】  そうしますと,JAXAさんを含め,この所長の下で100名ぐらいの方が,その打上げに関わっていると言うことですね。

【JAXA(藤田)】  そうですね。

【古橋専門委員】  ですから,そういう方に対して教育をされていると考えてよいですか。

【JAXA(鳥井)】  例えばその100名の下で,例えば,3kmに幾つか警戒所を設けておりまして,そこに要員を配置して,これもまた結構な人数になるのですけど,あと,例えばガス拡散の対応チームであるとか,これも数十名。あるいは……。

【古橋専門委員】  数十名。100名のほかにですか。

【JAXA(鳥井)】  はい。海上警戒で船を雇っていますけど,船というのは,七,八隻掛ける……。

【JAXA(船川)】  そのときによって隻数は違いますけど,1隻の船に三,四人乗っています。

【古橋専門委員】  そうすると,今言った対応のためにそれぞれチームがあると言うことですか。

【JAXA(鳥井)】  そうですね。例えばガス拡散対応の人であれば,さっき申し上げましたような連絡ルートがあるわけですよね。そこを実際に走って確認するような訓練であるとか,船であれば,そこの運用を行う訓練であるとか行いますから,結構な人数になります。今,藤田が申し上げました以外に,実際に下にいて働く人というのは結構な人数になります。

【古橋専門委員】  それぞれのチームごとに,いわゆる対応のマニュアルといいますか,手順が決められていると考えてよいですか。

【JAXA(鳥井)】  はい。そこはJAXA側で,例えば海上警戒であれば,海上警戒の担当者がいますので,マニュアルを作って,その人間が実際に船を操る人たちを集めて,訓練というか,座学から始まって,あと実際にオペレーションを行って,やりとりの訓練であるとかそういったことを行うようなことを毎号機やっています。

【古橋専門委員】  それはJAXAの職員の方。あと,関係する方ですね。

【JAXA(鳥井)】  そうですね。JAXA側の職員が担当者ということになっていまして,そこからまた契約で人に集まってもらって,そういう運用を行っております。

【古橋専門委員】  それぞれその方々は専門の技術屋さんで構成されているのですか。

【JAXA(鳥井)】  専門の技術屋さんといいますか,警備の専門の人であるとかです。

【古橋専門委員】  そういう方も含めてということですね。

【JAXA(鳥井)】  ええ。あるいは船の関係の方であるとか。

【古橋専門委員】  分かりました。先ほどの結果の評価の話に,またつながる話ですけれども,そういった人たちをしっかりと統制される中においての課題というものは,毎回しっかりとフィードバックをされて,次に生かされていると,そういう理解でよろしいですか。

【JAXA(鳥井)】  はい。毎回いろいろな細かい問題はやはり起こりますので,それは常に手順に反映したりであるとか,訓練に反映したりであるとか,そういったことを行っております。
【古橋専門委員】  分かりました。繰り返しになりますけど,そういった具体的なお話でそういう取組として,こういう成果を挙げられているみたいな話を聞けると,きょう初めてですけれども,非常に実感として湧くと正直思いましたので,是非また御検討お願いできればなと思います。

【JAXA(鳥井)】  かなり細かい話になってしまいますけれども。

【山川主査】  先ほどの人員の話ですけれども,種子島以外にもスタンバイされている方や,作業されている方はいらっしゃると思いますが,そのあたりの御説明,補足していただけますか。ほかの局という意味です。

【JAXA(藤田)】  地上局として,海外にもレーダ局,整備局ありますので,そちらにも人がおります。危機管理の対応としても東京側ですね。JAXAの方で,役員も含めてになりますけれども,詰めるという体制はとっております。

【山川主査】  ありがとうございます。
 それでは,野口委員,お願いします。

【野口専門委員】  2点あります。1点目は,地上安全対策の防災対策ですけど,通常時と地震時では,できること,できないことは随分変わってくると思います。地震時に事故が起きたときの事故対応の在り方とか,まあ,可能性は非常に少ないですけど,事故が起きて対策しているときに地震が起きたとか,そういう地震時の事故対応ということに関しては,何か評価,訓練されていますか。

【JAXA(船川)】  鹿児島宇宙センターで,防災時の対策ということで,地震津波の総合防災訓練というのを実施しております。

【野口専門委員】  それは,地震が来たとき,どうするかという話ですよね。

【JAXA(船川)】  はい。

【野口専門委員】  確認したいのは,事故が起きているときに地震が起きた場合です。若しくは地震が起きたときに事故が起きたときの事故対応です。普通の事故対応というのは,何にもないときに事故だけ起きて対応するという訓練ですけれども。地震の中で,そういう事故処理ということの訓練をされたことがありますかという,そういう質問です。

【JAXA(船川)】  ケースとしては,地震が起こりました,そのときに避難誘導するのですけど,そのところで別の事故が発生しましたという想定は,訓練はしております。

【野口専門委員】  そうですか。

【JAXA(船川)】  はい。

【野口専門委員】  この標準の中に,荒天等の対策で,地震についての警報が発令された場合と書いてありますけど,地震についての警報の発令というのはどういうことをお考えですか。

【JAXA(船川)】  地震の場合は,鹿児島宇宙センターの中で計測している点が何点かございまして,そこで地震が発生しましたという警報を出すようになっております。

【野口専門委員】  これはそういう意味ですか。

【JAXA(船川)】  済みません。何ページですか。

【JAXA(鳥井)】  実際に地震が起こったときに,今の揺れがどの程度であるとかというのは今…。

【野口専門委員】  分かりますよね。

【JAXA(鳥井)】  ええ。もう一つ,遠くで発生した地震が種子島に伝わってきて,大きな地震が来るかもしれないというのは契約していまして,それは自動的に放送が入るようなシステムに今なっています。

【野口専門委員】  そうですよね。私が前も申し上げたと思うのですけど,ロケットの場合は空を飛びますので。ここも荒天等の対策というふうに今までずっと処理されてきているわけですよ。どちらかというと,大雨とか雷とか台風とか,そういうことに対してどうやるかという話が中心になっていて,台風とかは警報が出てくるのですけど,その流れの中で,地震等の警報等を書いてあるのですね。だから,本当の意味での地震というもののリアルに対する話というのが,実は少し抜けているのではないかということの心配です。
ロケットを打上げているときに急に地震が来るとか,事故があるときに地震が来るというのは確率的にすごく小さいとは思いますが,検討は必要だと思います。逆に大きな地震に見舞われたときに事故になるという可能性はかなりあるので,そうしたときに事故対応の中のかなりの部分は,地震の原因による事故ということがあり得るわけですよね。だから,当然,そうすると,通常時でできると思っていたことができなくなることが結構あるので,そこの点に関しては大丈夫ですかという意味も含めて,やっぱり今まで,空を飛ぶロケットだから,地震ということに関しては,台風等と一緒に扱っていたものが,そろそろ地震対応という巨大な災害に対してきちっと別立てしておかないと難しいのではないですかという質問と意見です。これが1番目です。

【JAXA(船川)】  今おっしゃった地震のときの併せた災害という意味では,先ほど申し上げたとおり,地震が発生した場合に,一緒にどういう事故があったというのを想定した訓練も実施しておりまして,情報としては,先ほど話が出たとおり,気象情報と一緒に地震の情報も全部流れるようにはなっております。ということでよろしいでしょうか。

【野口専門委員】  分かりました。後でよいのでJAXA内部でもう一回きちっと考えてみてください。それが1点です。
 2点目は,7ページのその他の安全対策の実施に当たっての留意事項というところです。7.1.1の(1)から,細かいことで5つぐらい書いてあるのですけど,地上安全計画の中で書いてあるのですが,この項目というのは,前回,前々回の打上げと何か項目が変わっているところはありますか。分かりやすいのは,資料の25-3-1のⅥです。

【JAXA(鳥井)】  最後の9ページ目ですか。

【野口専門委員】  はい。そこです。そこに,右側に7.1.1(1)から7.1.5(8)と書いてあります。この項目というのは,前回,前々回と何か項目自体の変化というのはありますか。

【JAXA(鳥井)】  項目の変化ですか。

【JAXA(船川)】  変化は書いてないと思います。

【野口専門委員】  そうですか。今までの審査を見ていると,やはりこの表に出ているように,評価基準に対しこうなっていますという説明で審査をしています。いろんな事故を見て分かるように,規則や評価基準を満足していれば事故が起きないということが保証されているわけではないので,そろそろその評価基準に対して,それは全部やっていますという報告だけで,分かりましたというのはやめないと,本当の安全審査になっていないじゃないかと僕は思っています。
説明の際に,こういう場合の対応としては「その他」というのがあって,評価基準は満足することは当然ながら,そのほかにもこういう観点できちんとやっていますというところで,担保していくことになると思います。そうして見ていると,その6番目に「その他」とちゃんと書いてあるんですけど,「その他」ということ自体がもう標準のループの中で処理されているとすると,本来の意味での「その他」になってないですよね。
 「その他」というのは,そういうことの要求が書いてあって,安全確保のために万全を期することと書いてあって,この「万全を期する」ということは早々,いつも同じことを繰り返しているわけにはいかなくて,毎回,今まで議論になっていますけど,前のトラブルの経験であるとか,反省点だとか,新たな知見だとかということであって,本来ここでずっと,ここをブラッシュアップすることによって,その安全対策の評価基準というものの基本的なものにプラスアルファで,そこをちゃんと担保していくということをやらないと難しいかなと思っています。きょうの発表の多くのように,評価基準を満足していますという報告は,できれば事前に事務局で満足しているかどうかをチェックしておいて,この件に関しては満足していますという,もう10秒で話が終わる話なので,本来はきちっと審査をしなきゃいけないというのは,それプラスアルファ,どういうところに新たな知見があって,変えたところはどうなのか,なぜこれを変えなくていいのかという,そういうところにしないといけないのではないかと思うのですけど,いかがですかね。

【JAXA(鳥井)】  我々の中では,打上げを行うごとにいろいろと地上安全計画であるとか,飛行安全計画に反映するほどではなくて,我々の中のいろいろな手順であるとか要領であるとか,レベルで変更しなくてはいけないようなことというのは起こっています。そこは先ほど最初に藤田が申し上げましたような審査プロセスの中で,確実に拾い上げて,フォローがなされていますが,なかなかこのレベルでは目に見えて,地上安全計画というのはこのレベルで書いてありますので,例えばちょっと船の配置を変えようとかそういったことというのはなかなか出てこないのですよね。

【野口専門委員】  おっしゃることはよく分かります。ただ,本小委員会としますと,「内部できちっとやっているから信用してくれ」という一言で,「はい,分かりました」では,小委員会にならないではないですか。やっぱりそこはお互いに工夫をして,JAXAとしてこういうところに力を入れて,さらによくしたとか,若しくは,このところは心配だけど,本当にこれでいいかどうかという,逆に我々に諮問をかけてくれるとか,本格的な意味での調査体制としておかないといけないのではないかなと思いますし,成功実績もH-ⅡAに関しては,JAXAはありますからね。だから,そういう意味で,そういう信頼と併せて調査をしているのですけど,でも,やっぱりそういう信頼しているところだから,小委員会としても,「大丈夫だと思っていました」じゃ済みませんので,そこら辺はやっぱり調査のポイントをなるべくきちっとクリアにして,今後の調査ができればと思います。以上です。

【山川主査】  補足の発言をしますと,きょうは初めての方も何人かいらっしゃいましたので,冗長になっている部分はあったかもしれませんけれども,丁寧な説明をしていただきました。

【野口専門委員】  はい。了解です。

【門脇専門委員】  今の件でよろしいですか。例えば私は衛星開発の方は経験がありますので,いろんなフェーズでの審査会,やっぱり衛星開発でも起こりますけれども,その際に審査会,やっぱり情報そのものは,生の情報そのものはもうファイルが何冊も並ぶわけですよね。審査会そのものも実は結構長い時間掛けてやっていて,半日ぐらい掛けてやるのはざらで,1日掛かることもあるのですけれども,それでも全部は網羅できなくて,ただ,衛星に関する詳細資料は後ろにずらっと並んでいるのですね。そういうものがあって,必要に応じて情報が確認できるということがもしできるのであれば,今,野口先生がおっしゃったようなことに関しての,何がしかの回答が得られるような気もするのですが,ただ,毎回それをここでやるというのは非常に難しいと思うので,そういう機会がどこかであるといいのかなという気もします。

【野口専門委員】  済みません。これは昔からの課題で,おっしゃるとおり,毎回,1から10まで調査はとても行うことができないのですけど,そうすると,やっぱり何を今回重点的に見るかということをちゃんとやっておかないといけないと思います。今日は,最初の委員の方がいらっしゃいますから,基本をやられたというのは大変結構だと思います。でも,いつもこういう格好ではないですか。特にきょうが特別なわけじゃなくて,そうすると,やっぱり少しでもこの時間を有効に活用しようと思うと,このやり方を毎回同じことを踏襲しているのもなあという気がするわけですよ。だから3時間掛けろという話をしているのではなくて,同じ2時間の中に,何をお互いに議論すれば,本当の意味で,より安全性が高まるかということはそろそろ工夫をしないと,やっぱり厳しいのではないかと思います。

【事務局(山之内企画官)】  事務局でございますが,今のお話踏まえて,確かにループというか,繰り返しとなるところがありましたので,やっぱり強調すべきところ,ポイントとかですね。そういったところを絞ってやるように,主査及びJAXAさんとも相談させていただければと思います。

【山川主査】  ほかの観点で。はい,どうぞ。

【門脇専門委員】  これは前にもお聞きして,お話伺ったことがあるのですけれども,当然のことながら,打上げに関連して,いろんな計算機等があるという状況の中で,サイバーセキュリティに関しても,例えば外部のネットワークとは遮断されているとか,記録媒体に関しても徹底した管理をされているというお話は以前から伺っていますが,ここ1週間ぐらい,猛威を振るっている問題があります。そういうことがあったときに,万が一のことが起こっていないかどうかというような確認をされるような,そういうプロセスというのはあるのでしょうか。内部の計算機が,例えばマルウェアに侵されていないかというのを改めてどこかのフェーズで確認されるというようなプロセスですね。

【JAXA(鳥井)】  打上げに使っている計算機という意味ですよね。我々かふだん使っている計算機。

【門脇専門委員】  ええ。そうです。本来なら,ロケットの中にもプロセスはあるので,そこまで気になるところですけど,それはここの範疇じゃないと思いますけど,いわゆる打上げに関連するものが対象です。

【JAXA(鳥井)】   例えば飛行安全であるとかで使っているものを対象とすることですね。

【門脇専門委員】  定期的にやられているのですか。

【JAXA(鳥井)】  定期的というか,かなりの頻度でコンフィギュレーションのチェックを行っていまして,サイズが増えているとか,減っているとか,そんなことがないというふうな,確実に意図したソフトが使われているということは確認しています。それは御報告を以前したと思います。

【門脇専門委員】  はい。今回のような事象が起こったからといって,特別に何かされるということはないということですか。

【JAXA(鳥井)】  今回のようなケースですよね。ランサムに関しては,当然,社内でのソフトウエア部門から対策が指示されていて,適切にアップグレードをされるというのがあるのですが,細かいことは申し上げられないですけれども,我々が使っている計算機については変わった構成になっていまして,万一それに感染していても流出が起こらないような形になっていまして,ある意味,対策をとらなくても大丈夫ということが今言われています。

【門脇専門委員】  とらなくても大丈夫というのが本当かどうかは別ですけど。

【JAXA(鳥井)】  それは一緒ではないというような。ただ,一律ある時間を決めて,アップグレードはされているところですね。

【門脇専門委員】  是非そこのところは,昨今,非常に問題が多発している例もあるので,是非しっかりとお願いしたいと思います。

【山川主査】  よろしいでしょうか。どうぞ。渡邉委員。

【渡邉専門委員】  単なる質問です。参考資料2と3を見ると,過去にこういう類似の計画が行われておりますという比較表ですが,地上安全計画は31号機で,飛行安全計画の方と違う機体をリファレンスしているというのが,どうしてなのかなと思いました。問題を感じているわけではないのですけど,どうしてこうしたのかなというふうに思いましたので,教えていただきたいと思います。29号機の方がSRBは4本ですし,それだけ能力の大きいロケットが必要だったということは,衛星も大きい衛星で,衛星に搭載されている推進薬も量が多かったであろうというふうに想像するのですけれども,あえて号機を分けたのは意図的なことなのかなと。

【JAXA(鳥井)】  分けた理由に関して言えば,飛行安全は,類似の飛行経路をとっているもの比較ということです。地上安全に関しては極力近くの号機で,要は,組織名称が変わったりとか,そういったのも含めて,全部変更と扱われてしまいますので,その煩雑さを避けるために近くの号機を選んでいます。残念なことに,最近,IGSであるとか,防衛省の衛星であるとか,比較として数字などを出すことができないミッションが続いていますので,離れた号機になっています。そういう考え方になっています。

【渡邉専門委員】  推進薬量などで類似のものを探したということじゃないということですね。

【JAXA(鳥井)】  推進薬で近くではなくて,極力近くの号機です。

【渡邉専門委員】  分かりました。

【JAXA(鳥井)】  34号機が飛んでいれば,34号機が比較ということで出ていたのですが,まだ飛んでおりませんので。

【渡邉専門委員】  分かりました。

【山川主査】  よろしいでしょうか。はい,どうぞ。

【木村専門委員】  すごくまた細かいことで申し訳ないのですけれども,飛行中断とか指令破壊システムの検証について質問させてください。打上げを行うに当たり,指令破壊システムについて,これまで検証されるというようなプロセスは踏まれてきていますか。というのは,ここまで成功がずっと続いてきていて,指令破壊システムについては恐らくこれまで試すことがなかったのではないかと思いました。幸いにして試すことがなかったと思われるのですけれども,うまく行っているときに何か試していくというか,検証していくようなプロセスというのは考えられていますか。

【JAXA(川畑)】  検証は積み上げ方式で実施しています。まず,打上げ前に地上システムとして,遠隔制御で,コマンド局と指令破壊受信機の模擬装置を介した試験を実施。さらに,機体とのかみ合わせは,打上げ前に2回ほど,実際にコマンドを打ちまして試験します。これは当然,火工品が効かないような安全処置はした上で,2回ほど所定の制御コマンド信号を局から送信して,END TO ENDで働くかというのを検証し,それが問題ないというのを確認して,打上げるということにしております。

【山川主査】  ありがとうございます。
 それでは,そろそろ予定していた時刻に近付いてきましたので,ここで一度,質疑に関しては中断したいと思います。

(4)その他

【山川主査】 次に,非公開の審議に移りたいと思いますけれども,プレスの方及び一般傍聴者の方に御退席いただく前に,先に4番目の議題のその他を行いたいと思います。そのほかの報告事項としましては,6月1日に打上げ予定としておりますH-ⅡAの34号機の地上安全計画と飛行安全計画の一部変さらについて,JAXAより報告がありますので,よろしくお願いいたします。

【JAXA(藤田)】  より資料25-4に基づき説明を行った。

【山川主査】  ありがとうございます。本件については特に御質問はないと思いますので,これについては終わりたいと思います。
 それでは,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【事務局(山之内企画官)】  事務局です。会議資料と議事録の公開について申し上げます。
 宇宙開発利用部会の運営規則に基づいて,本日の会議資料は,非公開部分を除いて公開となります。また,議事録についても,この後の非公開部分を除いて公開となりますので,委員の皆様に御確認いただいた後,文科省のホームページに掲載させていただきますので,よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【山川主査】  それでは,非公開審議に移りたいと思いますので,プレスの方及び一般傍聴者の方については御退席をお願いいたします。


(プレス・一般傍聴者退室)


以上


(発言者については敬称略)

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