核融合研究作業部会報告書「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方(案)(平成24年12月14日付)に対する若手意見集約について

核融合研究作業部会 委員
(核融合エネルギーフォーラム調整委員会 委員)
堀池 寛 殿


核融合研究作業部会報告書「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方(案)」(平成24年12月14日付)に対する若手意見集約について

平成25年1月15日
社会と核融合クラスター
核融合炉実用化若手検討会幹事団

平成24年12月下旬に依頼のありました、核融合研究作業部会の標記報告書案(平成24年12月14日付)に対する意見集約のため、平成25年1月8日に核融合炉実用化若手検討会 平成24年度 第1回会合を開催し、同報告書案に対する意見交換を行い、幹事団で下記のようにとりまとめました。宜しくご査収くださるようお願いいたします。

以上

記 

核融合炉実用化を志す我々若手は、核融合研究作業部会における議論の動向を注視し、公開される議事録等を拝読しております。今回、同作業部会の報告書案に対し、若手意見集約の機会を与えて下さったことに感謝申し上げます。核融合炉実用化若手検討会において会合を開催し、同報告書案に対する若手意見を以下の4項目に集約しました。 

1.オールジャパン体制の早期構築について
原型炉設計活動を実施するオールジャパン体制の早期構築に関する具体的な記述が望まれる。例えば、報告書案に述べられている各研究開発項目を戦略的に推進する司令塔として、まず原型炉戦略設計コアチームを立ち上げる、などが考えられる。そのメンバー構成として、原型炉を担う若手世代を含めるとともに産業界からの人材登用も核融合コミュニティの実力を向上する上で効果的である。また、継続的な投資と予算の共有化や人材の流動化が可能な仕組みの導入に留意していただきたい。

 2.原型炉概念設計について
原型炉に向けて必要な研究開発項目とは概念設計があって初めて明確になるものであり、「核融合原型炉開発のための技術基盤構築」を行うためには、原型炉のミッションの設定と設計オプションの絞り込みを踏まえた概念設計の確立を最優先事項としていただきたい。その観点から、3.1節「原型炉概念の構築と設計作業」を独立の章立てとするか、他の研究開発項目の節を3.1節の下のレベルに配置するなどの工夫が必要と思われる。

 3.核融合研究開発ロードマップについて
核融合研究開発を強力に推進するためには産業界の積極的な参加による技術力向上が不可欠であるが、今の時代、先行投資だけでは産業界は動けない状況にある。従って、大規模R&Dをいつまでにどの組織が主体的に実施するのかを明確に示すロードマップを早期に策定することを報告書に記述することが望まれる。その際、トカマク方式に加えてヘリカル方式及びレーザー方式のチェックアンドレビューを含む見通しを明らかにすることにも留意していただきたい。

 4.人材確保について
核融合研究は数十年にわたる長期間のプロジェクトであるが、プラズマ・核融合学会員の年齢構成によると、ITER・原型炉世代を担う30代の正会員が大幅に減少するとともに、学生会員から正会員になる人の減少傾向に歯止めがかからない状況が継続している。従って、人材の確保と育成に関する具体的方策の記述が望まれる。特に、数十年後の人員構成を見据えた人材育成・採用計画(博士号取得後の安定したキャリアパス確保)、ITERやJT-60SAの設計・建設に携わる人材の拡充と原型炉設計・建設への流動化(経験や技術の継承)、大学等からITERやJT-60SAに長期滞在しながら研究活動を実施する仕組みの導入、技術の成熟や維持に対する長期的なサポート、等に留意していただきたい。

同報告書案に対する上述の若手意見が、今後の核融合炉研究開発の施策に反映されることを願う次第です。

以上

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

小野
電話番号:03-6734-4163
ファクシミリ番号:03-6734-4164

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))