資料1-1 進捗状況について-炉工学(日本原子力研究開発機構)

 1.計画名    

炉工学

 2.実施機関名   独立行政法人 

日本原子力研究開発機構

 3.計画の概要 

  第三段階核融合研究開発基本計画(原子力委員会、平成4年)における、2.(2)炉工学技術に基づき、
(1)実験炉の開発に必要な主要構成機器の大型化・高性能化とともに、原型炉の開発に必要な炉工学技術の基盤の形成を諮る。
(2)核融合炉の実用化に必須であり、その実現に長期を要する技術については、早期に研究開発に着手・展開する。具体的には、ブランケットの開発と核融合炉材料の開発を、「核融合炉ブランケットの研究開発の進め方」(原子力委員会 平成12年)、「中期的展望に立った核融合炉第一壁構造材料の研究開発の進め方」(原子力委員会、平成12年)に基づいて展開する。

 4.主な研究計画及び達成目標  

  ITERでのトリチウム増殖・発電ブランケット機能試験に向けて、大型モックアップによる機能試験に着手し、除熱特性等の評価を行う。低放射化フェライト鋼等について中性子重照射条件での材料特性等のデータを蓄積するとともに、機能材料の製造技術や先進機能材料の開発を実施する。また、核融合エネルギー実現に必要な炉工学技術の基盤の形成や炉システムの研究を実施する。
(1)TBM(テスト・ブランケット・モジュール)計画:
  ITERの核融合環境を利用して、モジュール規模のブランケットを取りつけて、トリチウム増殖・発電ブランケットの機能試験を実施し、原型炉のブランケット設計に必要な基盤技術の確立を図る。
(2)核融合炉材料開発:
  ブランケット構造材料の中性子重照射を実施して材料特性のデータベースを構築するとともに、トリチウム増殖材料などの機能材料の大量製造技術を含む製造技術の確立を図る。
(3)核融合エネルギー実現に必要な炉工学技術の基盤
  先進超伝導技術やトリチウム回収技術・安全技術、加熱・電流駆動技術など炉工学技術の高度化、基盤形成を図るとともに核融合炉システム設計技術の確立を図る。

5.期待される成果  

(1)TBM計画:
 原型炉用発電ブランケットの製作に必要な技術基盤を確立するとともに設計手法を確立する。
(2)核融合炉材料開発:
 原型炉の構造設計基準策定に向けた構造材料の中性子照射データを含む材料データベースを確立するとともに、機能材料の大量製造技術を確立する。
(3)核融合エネルギー実現に必要な炉工学技術の基盤
 原型炉に向けて先進超伝導技術やトリチウム回収・安全技術など炉工学技術の高度化および技術基盤を確立するとともに、原型炉実現に必要な炉システム設計技術を確立する。

 6.進捗状況及び主な研究成果  

 (1)TBM計画:
 TBMの開発では、TBM実規模の第一壁やトリチウム増殖材を充填する容器、側壁等を試作して溶接部の構造健全性ならびに除熱性能を確認して、製作性に見通しを得た。これら大型モックアップの試験に加えて、TBMに関する除熱特性、健全性、安全性の特性評価を実施し、予備安全評価報告書案をとりまとめてITER機構に提出した。
(2)核融合炉材料開発:
 核融合炉材料の開発では、これまでに構造材料重照射試験を50dpaまで完了し、引き続き照射を継続した。また、5dpa 300℃で照射した低放射化フェライト鋼F82HのTIG溶接部の引張特性データを取得し、熱影響部の照射後強度は非照射母材部並であることを明らかにした。
(3)核融合エネルギー実現に必要な炉工学技術の基盤
 先進超伝導技術では、ニオブアルミを用いた核融合炉用大型超伝導コイルの開発を目的として、母材をタンタルに改良することにより高強度化したニオブアルミ線材の開発に成功するなど、炉工学技術の高度化および技術基盤の確立をすすめた。

 7.今後の主な予定(今後の課題)   

(1)TBM計画:
 ITERでのTBM試験では、ITER機構が実施する概念設計レビューや最終設計レビューに合格する必要があり、これらの設計レビューに向けて実機大のTBMプロトタイプを製作して製作技術を実証するとともに、TBMプロトタイプを用いて除熱性能やパージガス流動性能など基本性能を評価する。
(2)核融合炉材料開発:
 低放射化フェライト鋼の重照射試験を継続するとともに、照射後疲労データ、照射下クリープデータ、先進材料重照射データ等の取得を図る。
(3)核融合エネルギー実現に必要な炉工学技術の基盤
 先進超伝導技術やトリチウム回収技術・安全技術、加熱・電流駆動技術など炉工学技術の高度化、基盤形成を図るとともに核融合炉システム設計技術の確立を図る。

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

小野
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ファクシミリ番号:03-6734-4164

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