原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第38回) 議事録

1.日時

平成26年2月24日(月曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省15F1会議室

3.議題

  1. 原型炉開発のための技術基盤構築の中核的役割を担うチームの中間報告
  2. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、牛草委員、海老塚委員、岡野委員、小川委員、尾崎委員、金子委員、笹尾委員、佐藤委員、髙津委員、東嶋委員、伴委員、堀池委員

文部科学省

田中研究開発局長、磯谷研究開発局審議官、坂本研究開発戦略官、飯嶋核融合科学専門官、門学術調査官

5.議事録

【小森主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第38回核融合研究作業部会を開催いたします。
 まずは出欠等です。本日は大島委員より御欠席との連絡をいただいております。
 それから、事務局に異動がございましたので、御紹介願います。

【飯嶋専門官】  それでは、御紹介をいたします。昨年の10月より大臣官房審議官(研究開発局担当)に就任してございます磯谷でございます。

【磯谷審議官】  磯谷です。よろしくお願いします。

【飯嶋専門官】  田中研究開発局長につきましては、所用でおくれてまいりますので、到着次第、御紹介をいたしたいと思います。
 それでは、磯谷審議官から一言お願いいたします。

【磯谷審議官】  本日は、核融合研究作業部会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。昨年の10月に大臣官房審議官(研究開発局担当)を命ぜられました。私、初めての出席になりますので、一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
 現在の我が国の核融合研究開発につきましては、皆様御案内のとおり、国際協力として進められておりますITER計画、あるいはBA活動が非常に大事な局面に差しかかっているところでございます。ITER計画におきましては、特に我が国の超伝導トロイダルコイルの製作が本格化しております。BA活動におきましても、JT-60SAとIFMIF/EVEDAの原型加速器の組立が開始されているところでございます。
 また、学術研究におきましても、核融合科学研究所のLHDにおける重水素実験に向けた自治体との協定締結を受けまして、実験準備が着実に進められておりまして、プラズマ研究の飛躍が期待されているというところでございます。
 また、大阪大学のレーザーエネルギー学研究センターのレーザー核融合研究は引き続き目標に向かって進展していると認識しております。
 一方、世界に目を向けますと、EUにおきましては、核融合の発電実証、あるいは原型炉開発に向けたロードマップが昨年の11月に作成されました。これに基づきまして、今後の核融合研究開発の道筋が立てられつつあります。ポストBA活動の検討にもその考え方が盛り込まれようとしていると考えられます。あるいは、中国、韓国も原型炉開発に向けた活動を活発に展開しつつあるところであります。
 このような状況の中で、我が国といたしましても、核融合原型炉開発に向けて、重要課題をしっかり特定しまして、その解決のためのシステム作りについて議論を進める時期に来ているのではないかと考えております。第6期の作業部会においてとりまとめていただきました核融合原型炉開発のための技術基盤構築の進め方については、このような取組のベースとなる重要な考え方が示されていると認識しているところでございます。
 本日の作業部会は、重要課題を解決するための方法論に関するコミュニティの俯瞰的な検討の中間報告を核融合研究所の山田先生からしていただきまして、委員の先生と意見交換を行っていただきたく思っております。この検討は、我が国が将来原型炉開発のロードマップを築くための基礎となることから、コミュニティの総意としてしっかりと取組んでいただければと思います。
 世界のエネルギー問題というのは非常に大変な課題でありまして、こうしたことについて、是非新しいエネルギーの時代を切り拓くという気概を持って、日本として国際貢献、あるいは我が国の発展につながるような形で研究開発をしっかりと進めていただきたいと思ってございます。
 文部科学省といたしましては、本作業部会における議論を踏まえて、核融合原型炉開発に向けた政策検討を行ってまいりたいと思っております。
 最後に、このような重要なテーマについて委員の皆様の活発な議論をお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小森主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事に移らせていただきます。本日は、「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の中核的役割を担うチームの中間報告」について、「その他」について御審議いただく予定です。
 それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【飯嶋専門官】  それでは、確認をさせていただきます。議事次第に配付資料が記述してございます。資料1といたしまして、「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の中核的役割を担うチームの中間報告」でございます。参考資料1といたしまして「第13回ITER理事会の概要」、参考資料2といたしまして「第13回BA運営委員会の概要」、参考資料3といたしまして「平成25年度補正予算及び平成26年度予算案について」でございます。
 以上です。過不足等ございましたら、事務局まで連絡お願いいたします。

【小森主査】  ありがとうございました。本日の議題は、「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の中核的役割を担うチームの中間報告」です。まずは、本チームにつきまして、立上げの経過とこれまでの動きをおさらいしたいと思いますので、事務局より御説明願います。

【飯嶋専門官】  御説明いたします。本日、委員の皆様には机上ファイル、ピンク色のフラットファイルをお配りしておりますけれども、そのインデックスの7番に資料がございます。「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の中核的役割を担うチームの構築について」という資料でございます。この資料につきましては、昨年の7月3日に開催されました第38回の本作業部会におきまして、第6期の報告書を踏まえた取組が必要ではないかということで、このような中核的役割を担うチームを構築するように依頼したペーパーでございます。その後、核融合研の小森先生、JAEAの森部門長のお二人が相談いたしまして、本日の中核的役割を担うチームを結成いたしまして、そのリーダーとして山田先生が選出され、本日御説明をいただくものでございます。
 以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の中間報告は、チームリーダーの核融合科学研究所の山田先生よりお願いいたします。資料1を御覧ください。説明時間30分、その後30分程度、御意見、御質問を頂戴したいと思います。
 それでは、山田先生、よろしくお願いいたします。

【山田教授】  御紹介ありがとうございます。資料1にございます「核融合原型炉開発のための技術基盤構築の中核的役割を担うチーム」。これから、略称として「合同コアチーム」と呼ばせていただきますが、合同コアチームを代表して中間報告について御説明いたします。
 まず、中間報告という位置付けでありますので、全ての事柄について「何々ではないか」という終わり方をしております。これについては、当然自明と思われるものについても、一旦この核融合研究作業部会、あるいは、この合同チームの立上げの支持をいただきました機関の長、小森核融合科学研究所長、森日本原子力研究開発機構核融合研究部門長へ一旦お諮りするという次第でこういう文章としております。作業部会で、ここで議論するまでもなく自明である、当然であるということについては、御支持いただければ、合同コアチームの方で引き取って、作業を進めますし、あるいは、まだ時間をかけて議論をすることについては、十分この作業部会等で議論を尽くしていただきたいと思います。
 それでは、中間報告の構成についてまずお話をしておきますが、まず最初のページに概要がございまして、1枚めくっていただきまして、「はじめに」というところがあります。これについては、今、飯嶋専門官から御説明ありました前回の作業部会の御指示について記述したものです。
 それから、めくっていただきまして、4ページ目が、「検討の前提となる核融合原型炉概念について」と、これは検討事項のまず柱の一つです。
 それから、8ページにあります3ポチ、「原型炉の構成要素の技術課題について」、これは各々、原型炉を支える技術課題の構成要素について議論したものでありまして、二つ目の検討の柱です。
 この3章の部分が1番長いわけですけれども、しばらく進んでいただきまして45ページに行きますと、4ポチの「炉設計活動の在り方について」と、これについて議論しております。
 その後、めくっていただきまして、こういった検討は我が国のことについて議論しているわけですけれども、海外の動向についても検討すべしということがありましたので、海外の原型炉に向けた取組についてということで簡単にまとめさせていただいております。
 最後、48ページに、「次回報告に向けた合同コアチーム活動の今後の予定」ということで、今回はあくまで中間報告ということでございますので、甚だ未熟な点、あるいは数値等に代表されるような形で具体性が欠けているというところもありますので、こういったところを今後強化していきたいと考えております。
 それでは、個々について御説明申し上げます。まず1ページ目の概要のところでございます。繰り返しになりますけれども、核融合研究作業部会で決定された要請に応えるべく活動を開始したということであり、そのもととなるものとして、平成17年10月に原子力委員会核融合専門部会がとりまとめた「今後の核融合研究開発の推進方策について」があり、その後、核融合研究作業部会で数年来議論を続けておりますので、そういった検討に加えて、我々のチームで、研究開発の進展、実績、見込み等を併せて議論したものです。
 まず一つ目の柱であります「原型炉概念について」ということでまとめさせていただきますと、原型炉は核融合エネルギーが他のエネルギー源と競合可能な経済合理性と社会的合理性を達成できる見通しを示すことを目的とし、核融合エネルギーの実用化に備え、数十万キロワットを超える定常かつ安定な電気出力、実用に供し得る稼働率、燃料の自己充足性を満足する総合的なトリチウム増殖を実現することを目標としたうえで、マイルストーンを定めた計画、ロードマップを構想すべきではないかとしております。
 次に、「原型炉段階への移行判断を目指した研究開発の在り方」として、課題解決を図るために、原型炉設計と原型炉に必要な技術の研究開発計画の管理に全日本体制で取組む炉設計活動組織を速やかに立上げる必要があるのではないか。これについては、今あるものを強化していただきたいという思いです。
 原型炉の目標に照らして、まずトカマク方式をもって原型炉段階への移行条件を満足させ得るための技術課題を共通目標として定め、ITER計画の遂行と並行してその課題解決にあたる必要があるのではないか。
 三つ目の丸にございますように、核融合エネルギーの早期実現のためのロードマップとその中核となる原型炉開発に対する現行の研究開発のコミットメントを明らかにするために、原型炉段階(第4段階)への移行判断、及びその前に行われる中間チェック・アンド・レビューに向け、それまでの共通目標と課題解決のために強化すべき取組を提示する必要があるのではないか。
 さらに中間チェック・アンド・レビューをITERのファーストプラズマが得られる2020年ごろ、これを受けての第4段階への移行判断をITERにおけるDT燃焼実証が行われる2027年ごろに想定したうえで、特に決定的となる科学技術上の課題の解決に必要な研究施設と人材の資源を十分たらしめるための判断と実行が必要ではないか。
 本中間報告では11の構成要素に関する研究開発において技術課題を挙げて議論を進めている。これらをもとに中間チェック・アンド・レビューと移行判断の時期までに、それぞれ段階に応じた説得力ある根拠と具体的な数値を含めた評価基準を提示できるよう、研究開発計画を策定し、実施し、成果を評価し、再検討していく必要があるのではないか。
 ここまでは重要でありますので、全部読ませていただきました。
 次の丸からは、キーポイントとしましては、炉設計活動組織は複合的な視点を持った多様な人材から成る必要があるのではないか。その次で、セクター間の関係強化が必要ではないか。その次には、社会的判断基準の醸成には十分配慮を向けられるべきではないか。最後になりますけれども、革新的な成果の加速も並行して担保すべきではないかということを論じております。
 これがこの報告全体の概要でございます。
 それでは、それぞれの詳細について御説明いたしますが、まず1の「はじめに」については、飯嶋専門官から御説明がありましたとおりですので、めくっていただきまして、4ページ目の上に、これまでの活動については以下の巻末資料のとおりということで、メンバー、会合実績、ヒアリング実績、活動報告実績について、この報告書の最後にまとめてございますので、後で御覧になっていただければと思います。
 それでは、一つ目の柱となります2ポチ、「検討の前提となる核融合原型炉概念について」でございます。これについては、繰り返しになりますけれども、平成17年の原子力委員会の推進方策と呼んでおります報告書に記述がありまして、そこでいろいろな提示がされております。それを踏まえて検討を進めているわけでございます。
 そこではまず、2-1、「エネルギー調整と社会的要請の変化」にございますように、平成17年以来8年余りがたちまして、エネルギー情勢、あるいは福島原発事故に代表されるような安全に関わる考え方等の変化がございましたので、それについて2-1でまとめてございます。
 まず経済的なこと、それとCO2の削減の問題、あるいは、シェールガス等の新しいエネルギー源が手に入るようになってきた背景、そして、最後の方から二つ目のポチにありますように、原子力安全神話の崩壊と国民の科学技術に対する信頼感の喪失等、こういったものの背景について考えるべきだということで、まずここでおさらいをしております。
 次、2-2、「基本的進め方」から具体的な原型炉の概念の考え方と、及び、それに対する技術課題について洗い出しを行っておりまして、「基本的進め方」の二つ目の丸にございますように、これも重要な点ですので、繰り返させていただきますけれども、中間チェック・アンド・レビューを2020年ごろ、移行判断を2027年ごろに想定したうえで、原型炉開発に関わるマイルストーンを定めた計画を構想すべきではないか。これが大事な点でございます。その中では、現在見直しが進められておりますエネルギー基本計画や科学技術基本計画などの政策に適切に位置付けられるよう、産官学が協力してあたる必要があるのではないかとさせていただいています。
 だんだん具体的に入っていきますけれども、2-3、「開発戦略」。まず核融合エネルギーが外部性を含めた経済的な競争力を持つことが必須であること。めくっていただきまして、社会的合理性に対する世論の支援を得る戦略が必要であること。
 そういった中、目標としましては、実用化に備え、数十万キロワットを超える定常かつ安定な電気出力、実用に供し得る稼働率、燃料の自己充足性を満足する総合的なトリチウム増殖を実現することを目標とすべきではないか。
 原型炉においては、目標達成に至るまでの開発運転期では、マイルストーンを定めた計画が重要ではないか。実用段階へ向けた課題解決のため、フレキシブルに対応できる炉内機器設計が必要ではないか。
 これについても、原型炉というのは、運転開始から最終目標の達成まで、ある時系列的な発展を遂げるわけでありますので、そういったところにもマイルストーンを定めた計画が必要ではないかということです。
 次に、重要な観点として、ITERと並行して行うということでございます。その中で、相乗して進めることが必要であり、ITER建設に関わる試験・製造においては、ITERに求められる要求を満足することだけでなく、その機会を利用して、今後の性能向上や製造コストの軽減につながるような技術開発に取組むべきではないか。
 次の丸でございますけれども、こういった目標に照らして、まず、現在最も開発段階の進んだトカマク方式によって、原型炉段階への移行条件を満足させるための技術課題を共通目標として定めて取組むべきではないか。
 最後にありますけれども、革新的な成果を加速するために、様々な取組を密接につなげて進める必要があるのではないかとさせていただいております。
 次が2-4、「原型炉に求められる技術仕様」ということでございます。平成17年の推進方策においては、100万キロワット程度の発電能力を持つことが想定されるとあります。これについては、さらに技術的な見込みを考慮いたしまして、数十万キロワットを超える定常で、かつ安定な電気出力を達成し、実用化に備えることを目標とすべきではないか。
 次に、推進方策にある「1を超える総合的なトリチウム増殖率が必要」の実現は必須であるということを再確認したうえで、この「総合的な」ということが意味することについて議論を深める必要があるのではないか。
 次に、メンテナンスシナリオのことを指摘しております。ここでも何度も指摘になっておりますけれども、目標に至るまでの運転開発期においては、マイルストーンを定義していかないといけないのではないか。
 そういった中で、最後にありますけれども、合同チームの今後の作業といたしましては、今申し上げましたようなことに対して、数値目標を評価し、これを満足する機器開発計画を構想していく必要があるのではないかと考えております。
 次、2-5、「段階の移行に向けた考え方」でございます。これにつきましては、その下に、平成17年度の原子力委員会の推進方策で挙げられている表を挙げさせていただいております。ここは、別添21ということで、「今後の核融合研究開発におけるチェック・アンド・レビュー項目(案)」でございますけれども、左側が中間段階。この報告書では2020年ごろを想定しているものです。右側が原型炉段階への移行判断。これはこの報告書では2027年ごろを想定しているものでありますけれども、こういった指摘が既に案として指摘されております。これについて、再検討、あるいは理解の深化を図っているということでございます。
 まず移行に向けた考え方として、一つ目の丸にありますように、何度も、3度目になりますかね、まずトカマク方式をもって研究開発を総合的に進める必要があるのではないか。
 次が、2027年ごろの移行時期を想定して、具体化を図る中、この作業部会の昨年1月の報告書には、本作業部会は原型炉段階への移行条件について議論の深化を図りつつ、本報告書の見直しをしていくとありますので、こういった議論に付すために、この下にある表の内容を精査し、あるいはその判断基準の根拠に立ち返って再考していきたいと考えております。
 今申し上げた移行判断でございますけれども、中間段階のチェック・アンド・レビューというのが数年先にはやってくるわけでありまして、この中で特にということは、この表の中の1番下の6に「原型炉の概念設計」でございますけれども、原型炉の概念設計の中の1番上のポチ、「原型炉の全体目標の策定」。ここではこうとしか書いてありませんので、これをこれから数年、あるいは10年ぐらいのタイムスケールで実現していかないといけないということでございます。
 最後の丸は、他の方式に関する検討、あるいは民間事業者の参画を得ることが重要であるという指摘をいただいておりますので、その意義を引き続き検討していくということでございます。
 ここまでが検討の前提となる核融合の原型炉概念についての検討でございます。
 次が、そういった概念的なものを実際作らないといけないわけでございまして、そういったものを作るという観点から、「原型炉の構成要素の技術課題について」検討を重ねましたのが3ポチでございます。8ページからですね。ここでは、第6期報告書で整理された10項目、「超伝導コイル開発」から「稼働率と保守性」まで10項目ございましたけれども、これに加えて、合同チームでは「計測・制御開発」というものを一つ加えて、11項目について検討を進めました。
 これからこの11項目について別々に御説明いたしますけれども、いずれの項目においても、その下の丸にございますように、まずは作業部会の報告、これは2年以上の作業を踏まえて報告書をまとめていただいたものでございますので、そこでの指摘の再確認をし、そのうえで、2)「課題の分析」を、ここでは課題の整理、コア課題の抽出、優先度付け等を行いまして、原型炉に向けたコミットメントを明らかにすべく、数年のターンアラウンドで研究開発のPDCAを構成できるようにということを鑑みながら、3)にございますように、「喫緊の対応が必要と考える事項」、4)にございますように、この作業部会において検討いただき、中間チェック・アンド・レビューが想定されるまでの期間の計画としてとりまとめていただきたいと考えているものについて、別々に記述をさせていただきました。
 では、まず3-1「超伝導コイル開発」でございます。1)については、作業部会で既に指摘されている内容をかいつまんでまとめたものでございます。
 次のページの2)の「課題の分析」のところでは、こういった課題の構造、関係を十分分析をいたしまして、いずれの構成要素についても、これから同じ扱いをしておりますけれども、超伝導コイル開発における課題の構造は、トロイダル磁場コイル、TFCを例とすると、図1のように整理できるのではないかということで、10ページにございますような課題の構造を議論しながらまとめまして、こういった構造に基づいてコア課題の抽出、優先付けを行っています。
 それで、これから3)と4)については、ここで議論していただきたい点でございますので、かなり内容に踏み込んで御説明したいと思います。
 3)「喫緊の対応が必要と考えられる事項」。ここでは、原型炉全体の設計と整合した超伝導マグネットシステムへの要求仕様の見直し、明確化に対応するために、原型炉概念設計チームの体制充実・強化を行う必要があるのではないか。
 原型炉マグネット設計チームを創設して、概念設計に着手する必要があり、これらの実施を可能とする施策が必要ではないか。
 技術課題の再評価に対応するために、ITERの要求性能を満足していることの検証にとどまらず、限界性能試験による設計マージンの確認など、原型炉の技術課題評価に資するデータ取得もするべきではないか。また、既存設備強化などを可能とするための施策も必要ではないか。
 次の4といたしまして、人的資源の活用計画が必要ではないか。これについてはITERとJT-60SAが並行して進められているということが背景にあります。
 4)「作業部会において検討の上、計画としてとりまとめていただきたい事項」といたしまして、1、今主案でありますNb3Sn以外の、それ以外の超伝導線材に関しては、例えば核融合以外の研究開発、産業分野の開発との連携等を考えて、開発項目を決定するべきではないか。
 2といたしまして、こういった計画にあたっては、技術開発の結果と詳細設計がお互いフィードバックする関係にならないといけないということを指摘させていただいております。
 この3)、4)について、実際に、取組む担い手と施設についてということで、表1にまとめてございます。いずれも、これから11の構成要素について同じような表が出てきますけれども、1番左のカラムが項目ということで、3)と4)、すなわち喫緊に取組むべき対応が必要と考えられる事項3)と、本作業部会である程度時間をかけて議論をしていただきたい4)についてまず書かれておりまして、それに対する取組、あるいは担い手、既存施設、必要施設について記述してございます。
 次は3-2、「ブランケット開発」でございます。1)、2)については省略させていただきまして、14ページに図2として「ブランケット開発における課題の構造」が述べてあります。こういったことに基づいて、コアの課題の抽出、優先付けを行い、3)にございます「喫緊の対応が必要と考えられる事項」につきましては、まず原型炉の要求仕様とブランケットシステムへの要求の明確化が必要ではないか。特に筐体の耐圧確保に関する指針は、システムの安全確保の方針に関係することから、早期に明確にする必要があるのではないか。こういった設計活動に携わるチームの活動強化が必要ではないか。そういった中には、要素技術開発を担当しているチームも活動に参加することが必要ではないか。次に、ITER-TBMの開発試験につきましては、各セクターの連携を伴いつつ活動を強化することが必要ではないかとさせていただいております。
 4)につきましては、1、ITER-TBMの性能評価装置群及び原型炉ブランケットの総合性能評価装置群の整備、開発計画をレビューし、プロジェクト化することが必要ではないか。先進ブランケットについても、2、3という形で取上げさせていただいております。
 表の2が、今申し上げました取組と担い手とそれに必要と考えられる施設、あるいは稼働している施設でございます。
 3-3、「ダイバータ開発」。これについても、進んでいただきまして17ページ目にあります「喫緊の対応が必要と考えられる事項について」から御説明いたしますが、1、ダイバータ部での熱バランスを成立させ得る熱流束に合わせた核融合出力仕様の見直しの必要があるのではないか。
 2、中性子環境下でも十分な特性(寿命)を有する高熱伝導材料の開発が必要ではないか。メンテナンスサイクル等は炉設計の根幹に影響を与えるので、早期に使用可能な材料を選定する必要があるのではないか。
 その後、キーワードといたしましては、5で、排気特性の確保が重要であるが、検討が不十分であるので、真空排気装置の使用条件等を明らかにしたうえで、研究開発の具体化が必要ではないかと指摘させていただいております。
 4)では、ダイバータに使用される材料に求められる性能の総合的な評価を行って材料を決めること。2、ダイバータの使用環境を支配する物理現象を精密に明らかにすること。3、フルデタッチメント放電を実験において実証すること。4、包括的なシミュレーション研究を発展させる必要があるということ。5、原型炉条件で使用可能な真空排気装置の研究開発が必要ではないだろうかということを指摘させていただいております。
 3-4に参りまして、「加熱・電流駆動システム開発」です。これについては、NBIとECHについて取り上げまして、21ページ、3)にございますように、喫緊の対応が必要と考えられる事項として、原型炉に要求されるNBIとECHの役割とそれぞれの技術仕様を明確にする必要があるのではないか。具体的なR&D計画を策定する必要があるのではないか。
 4)といたしまして、NBIの実機性能試験施設がITER建設終了まで必要ではないか。これについては、イタリア・パドヴァのNBTFのことを記述させていただいております。
 また、NBIにつきましては、要素技術開発に関して、国内体制構築と役割分担を明確にする必要があるのではないか。
 こういった構成機器の耐中性子照射試験施設が必要ではないかとまとめさせていただいております。
 続きまして、22ページ、3-5、「理論・計算機シミュレーション」でございます。これについて、24ページの3)「喫緊の対応が必要と考えられる事項」といたしましては、役割分担の明確化と原型炉のスケジュールと整合した具体的なマイルストーンの設定が必要ではないか。ここではキーワードが一つ抜けていて申し訳ございませんが、プロジェクト化することが必要であるということでございます。また、こういった研究開発を進めるための人材確保計画が必要ではないかということ。
 4)といたしましては、集中的にコードを開発すべき領域を設定する必要があるのではないか。2、人材育成、計算機資源確保の方策が必要ではないか。
 3-6、「炉心プラズマ研究」でございます。これについても、同様の分析を進めまして、27ページにございます3)「喫緊の対応が必要と考えられる事項」といたしまして、1、原型炉に向けたデータベース拡充等を、ITPAを活用し取組む必要があるのではないか。JT-60SA稼働、これは2019年に予定されておりますが、それまでの間にコアの課題の解決のために、海外の実験を利用し、JT-60SA研究計画に反映させる必要があるのではないか。
 4)に行きますけれども、1、国内プラズマ実験装置の原型炉に向けた役割分担・連携を明確にする必要があるのではないか。2、特に高ベータ化に起因する課題については、JT-60SAでのみ可能であるということ。3、高熱流束によるダイバータ長時間特性での課題については、LHDでの実施。次に、4、5については、ダイバータ、タングステン材料についての記述でございまして、5にございますように、タングステンを含むプラズマ壁相互作用に関しては、基礎データを整理し、その獲得を共通目標としてLHD、GAMMA10、QUEST等の国内プラズマ実験装置の固有の特徴を行かした取組を組織すべきではないか。6といたしまして、制御シミュレータの開発の点。7は、また違った観点でございますけれども、ITER及びJT-60SAの実験と原型炉設計とのフィードバック、フィードフォワードの関係を強化するために、人材の交流・流動化を戦略的に計画する必要があるのではないか。これは、ITERの設計・製造を行っている方、JT-60SAで実験を行っている方、原型炉の設計を行っている方というのが、別々ではなくて、いろいろ経験しながら進めていただきたいということでございます。

【飯嶋専門官】  申し訳ございません。山田先生の御説明の途中ですけれども、田中局長が到着いたしましたので、御紹介をしたいと思います。昨年の7月に研究開発局長に就任されました田中研究開発局長でございます。田中局長、お願いいたします。

【田中局長】  遅れて参加させていただき、恐縮でございます。研究開発局長、田中でございます。内容は、既に磯谷の方から御挨拶申し上げたと思いますけれども、私自身も、20年も前でしょうか、サンディエゴにあるDIII-Dで1年間勉強した経験もございます。今、山田先生のお話を聞いて、ダイバータとかをお聞きすると、ああ、あのころはああいうことやったなと思いますし、私もITERのまさに概念検討をサンディエゴで少しやっていたときに、一緒に研究者の方々と意見交換をさせていただいたという思いがございます。
 そういう意味で、別に今の職に就いたというわけではないのですけれども、ずっと核融合のことは文科省の職員として大変応援をし、是非実現に向けて進めていきたいと思ってございます。先生方には、多分これからもいろいろなところで御指導いただくと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

【小森主査】  どうもありがとうございました。

【山田教授】  では、引き続き、29ページ、3-7、「核融合燃料システム開発」からでございます。ここでも、31ページに飛んでいただきますけれども、3)「喫緊の対応が必要と考えられる事項」につきましては、燃料供給シナリオと整合したシステム仕様の決定が必要であること、燃料インベントリの定量評価が必要であることを指摘させていただいたうえで、4)といたしまして、機器開発計画、リチウム6の濃縮技術の検討、大量取扱い試験施設の仕様検討、設計、建設が必要ではないかということを指摘させていただいております。
 続きまして、32ページ、3-8、「核融合炉材料開発と規格・基準策定」でございます。これにつきましても、34ページになりますけれども、3)といたしまして、1、設計チームや関連学協会の対話により、必要な中性子照射データの明確化が必要ではないかと。2では、こういった課題に対して、IFMIFあるいは代替手段の位置付けはどのようなものになるかについて、以下のポチであるような観点を検討すべきではないかと指摘させていただいております。
 4)、作業部会において検討のうえ、計画としてとりまとめていただきたい事項としましては、1、材料規格策定に必要な中性子照射データの明確化を受けて、多数のサンプルを同時に取扱い可能な比較的大規模な照射後試験施設が必要ではないか。2、原型炉においてTBMを設置するという考え方について。3では、産業界側の受け入れ態勢を整える必要があるのではないか。例えば低放射化スペックを達成可能な原材料と溶解炉の確保等を指摘させていただいております。
 続きまして、3-9、36ページ、「核融合炉の安全性と安全研究」についてでございます。38ページに参りますけれども、3)では、特に1にあります安全検討と材料データなどの取得を加速し、概念設計の裏付けを強化する必要があるのではないかということで、その報告を受けて、以下の2から5までを記述させていただいたうえで、チームの体制は、他分野の研究者にとっても参画する意義のあるものにする必要があるのではないかという点です。
 4)では、材料データ取得、安全コード開発、いわゆる妥当性の検証ですね、Verification & Validation実験に必要な施設の整備。こういったものをプロジェクト化する必要があるのではないか。3になりますけれども、安全設計ガイドラインの整備が必要ではないかと。ここでは、既存の規制や設計基準を参考にしつつ、核融合炉固有の安全性を考慮して合理的なものとする必要があるのではないか。これを受けまして、規制と許認可の手続の在り方について検討することが重要ではないか。さらに、社会的受容性を判断するべきではないかという点でございます。
 続きまして、3-10、「稼働率と保守性」でございます。進んでいきまして、41ページ目、3)1、早期に保守概念の構築と稼働率見通しの提示ができるよう、原型炉設計の全日本的な体制強化が必要であろうと。2、ダイバータの開発及び寿命予測研究の重点化を図る必要があるということ。
 4)、大型構造物の着脱・輸送、遠隔保守等の技術研究開発を行うための施設が必要ではないか。2、耐放射線機能材料・機器開発のため、Co-60ガンマ線照射が可能な外部施設の長期確保が必要ではないか。42ページ目に参りますが、3、保守方式について基本概念を固めていく必要性。4といたしまして、バックエンド、特に再処理・処分、及び、その際の遠隔保守の在り方について検討すべきではないかということでございます。
 構成要素といたしましては、最後の3-11、「計測・制御開発」でございます。これについては、第6期の報告書では独立した議論ではなかったのですけれども、関連する課題が幾つか指摘されておりましたので、ここでまとめております。計測器・アクチュエータの技術開発や原型炉の総合的な運転シナリオ概念を構築するうえで、独立した技術課題項目として検討することが重要と判断いたしましたので、ここで一つ加えさせていただいた次第です。
 進んでいただきまして、44ページ、3)でございます。ここではダイバータを含む炉心プラズマ、シミュレーション、計測器、アクチュエータの専門家で構成する計測・制御検討活動を強化すべきではないか。4)といたしまして、既に述べました炉心プラズマ研究計画と整合して位置付ける必要があるのではないか。2といたしまして、ガンマ線及び中性子による重照射試験施設の検討が必要ではないかという点でございます。
 ここまでが原型炉を構成する技術要素の検討でございまして、4ポチといたしまして、「炉設計活動の在り方について」ということで検討いたしました。こういった構成要素に立った設計を行うということでございます。
 まず丸のところで、炉設計活動の1番の在り方について述べさせていただいておりまして、一つ目の丸で、21世紀中葉までの核融合エネルギーの実用化のめどを得ることに照らして、商用炉までの唯一のステップである原型炉について、現在の技術知見の延長上に構想可能であり、かつ社会の要請を満足し得る概念を提示することが要は仕事であるということでございます。
 二つ目の丸といたしまして、概念設計の初期段階から産業界の製造技術ポテンシャルを取込み、原型炉技術基盤を構築することが不可欠である。
 三つ目の丸といたしまして、社会の要請、受容までを統合的視座に立って満足させるものでなければならないという点。このためには、様々な問題に対して造詣の深い有識者の英知を集約することが必要ではないか。そのための人材交流と組織が必要ではないか。
 四つ目の丸といたしまして、新規の技術開発を逆に提言していくことが求められるのではないかという点。
 五つ目の丸といたしまして、発電システムとしての信頼性をまず実証する、運転実績を積むということがあります。これに加えて、先進ブランケット試験、これは、原型炉にテストブランケットモジュールを持ち込むという考え方でございますけれども、これを実施し、高効率エネルギー利用へ向けた技術開発を行う必要があるのではないか。ここでは、バックエンドコストの見通しも併せて検討する必要があるのではないかという点です。
 次に中間チェック・アンド・レビューまでの完成度ということでは、最初の方で、申し上げましたように、平成17年度の推進方策にあったあの表ですね、そこで原型炉の全体目標というのが策定されないといけないということでございますので、46ページの上にありますように、原型炉の全体目標という点、次にシステム全体の整合性という点、それと実機製作の見通しを裏付ける技術検討、この三つが全て矛盾なく成り立つ必要があるという点でございます。
 こういったことを全体に取組むために、最後の丸としまして、全日本で取組む炉設計活動組織を速やかに立ち上げる必要があるのではないかとさせていただいております。
 次は、「海外の原型炉に向けた取組」ということで、これは先般来、この作業部会等でも部分的に報告がされておりますので、ごく簡単に申し上げますと、EUでは、2012年、ロードマップというものができまして、それに沿って、附属書、ワークプランというふうにブレークダウンをされまして、そこでの作業計画をヨーロッパ内で分担、担当するということになっております。このために、先生方御存知だと思いますけれども、EFDAという組織がEuro Fusionと呼ばれるコンソーシアムに今年の1月に改組されました。
 韓国におきましては、核融合エネルギー開発促進法という法律の法的根拠のもとに、K-DEMOと呼ばれる原型炉の研究開発活動が進められているということ。
 中国においては、2011年に、ITER規模ではありますけれども、そこで発電実証を行う中国核融合工学試験炉というものを2025年に稼働させるべく、2015年までにその概念設計を終えるという体制で現在検討が進められています。
 米国、ロシアについては省略させていただきます。
 それらの検討を時系列上に表し並べたものが図の12でございます。
 最後に、6ポチ、「次回報告に向けた合同コアチーム活動の今後の予定」ということでお示しさせていただきます。
 一つ目の丸、検討の前提となる核融合原型炉概念について、構成要素の概念と構成要素の技術課題の整合を図る検討を進めてまいります。
 二つ目の丸、チェック・アンド・レビュー項目を決定的な技術課題に照らして精査いたしまして、目標の詳細化と具体的な数値を含めた判断技術の具体化を図っていきます。
 三つ目の丸、統合的視座に立った時系列上への計画への展開を検討する。現段階では、課題ごとの構造の分析はされておりますけれども、これを時系列上に並べたものがまだ実現できておりませんので、そういった形、時系列上の計画に展開を図っていきたいと考えております。
 四つ目の丸といたしまして、この報告書でも述べさせていただきましたけれども、炉設計活動組織の在り方についてさらに検討を進めてまいりたいと思います。
 五つ目、核融合コミュニティの総意を踏まえた検討となるよう、合同コアチーム活動のコミュニティへの浸透を図ってまいります。
 六つ目、産業界との意見交換を進め、これは、昨年モナコでITERのフォーラムがありまして、そこでキーワードとして掲げられたものでありますけれども、産業的健全性、industrial soundnessというものについてどのように担保していくかについて、産業界の方々と一緒に検討してまいりたいと思います。
 その次、安全基準の在り方、その裏付けとなる安全研究について検討していきたいと考えております。
 最後から二つ目の丸といたしまして、関連分野の学会や産業界などのセクター間の関係強化を図っていきたいと。
 最後になりますが、人材の育成とその育成に求められる人材ネットワークの形成の見通しについて、意見を求めて、まとめていただきたいと考えております。
 ここまで、甚だまだ未熟な段階で具体性を欠いておりますが、この作業部会等でも議論いただきまして、御支持いただければ、今後の作業、進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまの中間報告に対して、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。どうぞ、小川先生。

【小川委員】  それでは、平成17年度の原子力委員会の核融合専門会合の報告書を受けて、それを発展させたという形で、非常によくまとめられたと思いますので、平成17年、この報告書にコミットメントしたものとして、感想を含めまして、まずしゃべらせていただきたいと思います。平成17年度の推進方策を具現化したという意味では、非常によくまとまっていると思います。感想という意味の点もありますけれども、数点述べさせていただきます。
 まず1番最初に、原型炉の概念のところで、経済合理性と社会的合理性。福島の事故等を考えますと、やっぱり安全性ということを考えました社会的合理性というのがキーワードとして入ってきている点は非常にそのとおりだと思います。経済的合理性ということもキーワードとして入ってきてよろしいのですけれども、実は、平成17年のときに議論になった一つの大きなポイントが、原型炉と実証炉を一つにしましょうよと。それが核融合の戦略ではないでしょうかと。というので、平成17年度の報告書を見ますと、第4段階の原型炉のミッションとしては、技術的実証と経済的実現性、この二つがキーワードとなっていますね。それに今回の社会的合理性が加わるのは、それは良いと思います。印象としては、技術的実証というキーワードが全体的に薄く書かれているかなと。具体的なところでは、最後のところで述べましたように、現在の技術の延長としてとか、そういう意味で技術的実証を踏まえてというのは、中身は良く見えているのですけれども、トーンとして、技術的実証というのがちょっと弱く見えているかなと。
 例えばですけれども、ここの1枚目の1ページ目の最初の丸で、「原型炉は核融合エネルギーが他のエネルギー源」云々というところに、例えば私だったら、「原型炉は技術的成立性の実証を踏まえて、核融合エネルギーが他のエネルギー」云々とするかと思います。例えばそういう形でまず技術的成立性というキーワードを入れたいなという希望があります。具体的な文言、技術的成立性をもちろん、それをやっていくのだというので見ているということは良いのですけれども、言葉として明確に記した方が良いですね。
 例えばですけれども、これで全てを言うわけではないのですけれども、6ページ目の下から三つ目の丸で、「実用に供しうる高稼働率実現を目標とする」となっていますが、稼働率を見通せることを目標とするくらいでいいのかなと。つまり、どこまで技術的経済性を見るのかというので、ちょっと気になっているので、技術的実現性というのをもうちょっとキーワードとして中に入れていただければというのが1点目です。
 それから、2点目が、中間チェック・アンド・レビューを2020年ごろのITERのファーストプラズマ、それからあと、移行をDT実験のというのは、まあ、リーズナブルな一つの考え方だとは思いました。ただ、歴史的に見ますと、第3段階というのが1992年にできて、実はITERは1988年にCDAがスタートしているわけです。だから、第4段階をスタートするのが、それを待つとしても、もうITERというものは第3段階がスタートする前にある意味ではスタートしていたようなものですので、私の個人的な印象としては、チェック・アンド・レビューが、つまり、ITERを作ろうという発想になったのは、60とかJETとか、あの辺の装置ができ上がって、運転し始めたころかと思います。プラズマがだんだん良くなっていきそうだというのが見えた段階でゴーになったのであって、60が正確なミッションを達成するまで待ってから正式にはゴーになったのかもしれないけれども、ITER自身はそれでもうできるのではないかとなったので、チェック・アンド・レビューが済んだ段階で、私だったら、原型炉、第4段階の前段階がスタートというぐらいを言いたいなと思います。正式には、第4段階というのは、ITERの結果を待ってもいいのかもしれませんけれども、第4段階の前段階がスタートしたというぐらいのことを言って、コミュニティとして原型炉に向かっていくのだという気運を高めたいなというイメージは持っています。
 それから、最後は、これは「てにをは」ですけれども、山田先生も言ったように、「まずはトカマク」というのを、何回か出てきています。途中では、トカマクが主案であるのに対して、ヘリカルとか、革新的なもののバランスを取る必要があるとも言っています。まさにこのとおりだと思いますので、そう書いてありますから、「まず、トカマク方式」ということを言わないで、「主案であるトカマク方式をもって」と言っても、例えば1ページ目なんかは良いのではないのかなと思いました。革新的概念や相補的な概念とのバランスをちゃんと進めなさいというのが書いてありますので、言葉尻ですけれども、このくらい入れても良いのかなと思いました。
 最後に、そこにあります炉設計活動に対する速やかな組織を立上げるべきだと、これは是非とも、そのとおりだと思います。以上でございます。

【小森主査】  山田さんが答えるのですか。

【山田教授】  答えてよろしいですか。御質問では別にないと思うので、どうもありがとうございます。

【小川委員】  はい、感想です。

【山田教授】  特に小川先生がプリ第4段階とおっしゃった点については非常に大事だと思っていまして、この7ページにございますチェック・アンド・レビューの表ですね。ここで、原型炉の概念設計については、中間チェック・アンド・レビューの原型炉の全体目標の策定ですね、右側にいくと、設計の完了となっていますので、この間にかなり飛びがあります。これについて、設計の完了というのは、まさにできるということですので、おっしゃったように、プリ第4段階に当たる原型炉の製造に関わるものについては、中間チェック・アンド・レビューを待たずに、進められるものについては今から進めるべきだと考えます。

【小森主査】  ほかに何かございますか。

【髙津委員】  全体的なコメントで。大変な御尽力をなされたチームにまず敬意を表したいと思います。今後まだ作業が続くということで、今後の作業に役に立てばと思って、総合的なコメントをさせていただきます。
 一つは、ITER計画で行うべきことに対する言及が非常に少ないように感じまして、もうITER計画はちゃんといくのであるという想定があるのかもしれないけれども、ITERにどう関わっていくかということは非常に大事な視点で、例えばトカマクプラズマのところを見ても、こういうテーマでITERで大きく貢献していくためにこういうことを準備しましょうというのがあるはずだと思うのですけれども、それはもう当然のこととして議論されていないのか、やはりそれも含めて書かれるべきではないかなと思いますし、そういう議論を是非コアチームでやっていただきたいということで。例えばブランケットのところを見ますと、TBMをしっかりやっていきなさい、そのための技術開発と書かれていて、時間スケジュールと装置、ITERの計画というものに対する貢献というのもよく読めるのですけれども、多くのところではそういう視点があまり触れられていなくて、プラズマが1番大きいのだろうと思いますけれども、例えば加熱・電流駆動のところを読ませていただいても、ITERの延長にあると書かれていまして、その先のことは書かれているのですけれども、ITERでどういうふうに加熱・電流駆動の技術を日本として蓄積していくのかというのがあまり言及がないので、是非ITER計画に向けた戦略、関わり方、何をコンピテンシーとして保っていくかということを是非議論して触れていただきたいなと思うのが1点です。
 それから、二つ目に国際協力という視点が非常に触れておられるところが非常に少なくて、全て我が国で、全て国内でやるのですというふうにも読めなくもない。若干SAに向けて、外国の装置でやった方が良いと触れておられるところがあるのですけれども、それ以外にも、せっかくいろんな協力を結んでやらせていただいているので、国際協力を有効に利用して、我が国の知見として蓄えていくべきものがいろいろあると思う。1例として、ダイバータのところで、国内の装置を3種類使ってと今御説明ありましたけれども、大型トカマクの協力なんかを使って、タングステンダイバータを使っている外国の装置に積極的に乗り込んでいけば、いろんなデータを得られると思うので、そういう視点、国際協力という視点を是非含めていただいた方が良いのではないかなと思います。
 三つ目は、先ほど小川先生が触れられたところで、私もちょっと奇異に感じるのですけれども、1ページ目の「まず、トカマク方式をもって」、「共通目標として定め」というくだりが本文にも何箇所か出てくるのですけれども、これはやはり小川先生が言われたように、共通目標というのは、ヘリカルでも、レーザーでも、全て共通なのだけど、トカマクをまず代表としてという、そういうふうに理解するのでしょうか、この文章。

【山田教授】  三つ目につきましては、全日本の取組としての共通目標としてという意味です。

【髙津委員】  ということで、トカマクの……。

【山田教授】  トカマクが、今おっしゃったように主案であり、まずトカマク方式による原型炉を共通目標として全日本で取組もうということですね。

【髙津委員】  そういうことであれば、もうそのとおりだと思うのですね。今、推進方策で挙げられている移行条件、7ページに書かれている移行条件というのが、トカマク型ではこういうチェック・アンド・レビュー項目を設けましょうということで、相当な議論をしていただいて、掲げているので、これをトカマク型で原型炉に行くための共通の国の目標だ、そういうふうに理解すればよろしいのですか。

【山田教授】  はい。

【髙津委員】  分かりました。

【小森主査】  平成17年10月の見直しで、第3段階を見直し、トカマクを前提として、炉工を進めなさいとしましたので、その文章のとおりであれば良いと思います。

【髙津委員】  そうですね。だから、7ページのところのここの移行条件とか目標というのが、当然ヘリカルとかレーザーは違ってくるでしょうから。ヘリカルは多分かなり同じだと思いますけれども、そういうのは別にまた新たにチェック・アンド・レビュー項目を議論しなきゃいけない、そういう理解でよろしいでしょうか。

【山田教授】  はい。それはチェック・アンド・レビュー項目の中身を詰めていく段階で当然出てくる議論だと考えています。

【髙津委員】  例えば非誘導定常運転なんて、ナンセンスというか、リレバントじゃないですから、そういうのは別に違うわけですね。

【山田教授】  はい。

【小森主査】  平成17年10月の見直しは、原型炉としてトカマクを前提として進めなさいということです。チェック・アンド・レビューで、どうするのかを決めることになっていると思います。

【髙津委員】  どうするかというよりも、他の方式の進展も見て、次の原型炉を本当にトカマクでいくのかどうかはまたチェックをしましょうということですね。

【小森主査】  そうですね。

【坂本戦略官】  今、髙津委員のお話があったところ、2点、非常に重要なところで、我々行政の立場からも、是非このコアチームはじめ、コミュニティの先生方と一緒に考えたいと思っているところを今おっしゃったので、我々の見解としてもお伝えをしたいと思います。
 まずITERがどこまで成果を出そうとしているのか、あるいは、それを出すために何をすべきなのかというところは、これはITERだけではなくて、幅広いアプローチ活動もそうですし、あるいは、NIFSで行われているLHDの研究、あるいは炉工学の研究、これも主要なところは全てそうでして、今、山田先生が中心におまとめいただいた中間報告というのは、オールジャパンのコミュニティの主要な部分の活動を体系化する第1歩となっているのかなと思います。
 これをもっと、今、はっきりとどういう活動が行われている、あるいは、そこで見えてきている課題というのをずらっとまず並べていただいたと。疎密はあるのかもしれませんけれども、やっとこういう俯瞰的な議論ができるようになったと。問題は、その中で、今やっているものが一体どこまで今の計画の中でできるのかと。その次を目指すためには一体何が要るのかというのを、ここからさらに議論を深めていただく必要があるのかなと。これはどんどん将来計画を具体化する。先ほど山田先生がおっしゃった、時系列に落とし込んでいくというお話ありましたけれども、そのために必要不可欠な作業になると思います。そういったところの作業は、これはもう相当幅広い、裾野の広い議論を行わないとできないかと思いますので、是非先生方、御指導をお願いできればと思います。
 その中で、国際協力、これもスコープに、当然コアチームのスコープの中に入っていると思いますけれども、なかなかまだ突っ込んで議論できていないのは、多分そこも我が国で持てる技術というのはどういうところがあって、で、国際協力に求めなければならない、これはインフラという意味でのリソースもあるでしょうし、あるいは人材という意味のリソースもあると思います。そういったものをどう特定して、そこは競争関係でありつつも、補完しなければいけないと。これは日本だけではなくて、ほかの国も同じような状況にあるというものを、ここをいかに戦略的にやっていくかというところの議論も、これは相当深い議論が必要だと思っておりますので、そういったところも時系列に落とし込んでいく。その時系列に落とし込むのは、自ら日本ではこうやります、国際的な協力の枠組みではこうやりますというのをトータルで見なきゃいけないというところを今御指摘いただいたと思いますので、そこの問題意識は十分、コアチームの先生方、お持ちだと思いますので、是非そういったところを煮詰めていただければと。それは今後の核融合政策の展開にとって非常に重要な部分ですので、是非議論を引き続きお願いしたいと思います。

【小森主査】  ありがとうございます。ほかに、疇地先生。

【疇地委員】  私も髙津先生と同じように、こういう短い時間の間にここまでまとめ上げられたことに、山田先生をはじめとするチームに敬意を表したいと思います。
 ざっと読んだ感想を、三つぐらい言わせていただけたらと思います。一つは、原型炉概念が技術的にも社会的にも説得力を持つためには、科学精神というのか、アカデミズムに基づいたものであることが必要です。言い換えると、ほかの人が、科学のトレーニングを受けた方々が読んで理解したり批判したりできるような、そういう書かれ方が必要ではないのかと思います。炉設計が含まれるので、かなり特殊性があって、仕方がない面があるのですけれども、普通の科学なり物理の言葉で読み解くことができるような、そういう報告書であってしかるべきではないかと。かなり大変だと思うのですけれども、そうして初めてたくさんの人の理解なり賛同が得られると思います。何年か前のITERの誘致のときに、科学界からもかなりの批判を浴びたりとか、そういうことがありましたけれども、そういうことが今度はないようにしたい。それが1点です。
 それから、二つ目が、計画の全体構想といいますか、先ほどちょっと議論になりましたけれども、トカマクを中心にしつつも、重層的にヘリカル、レーザーを含めた、そういう戦略を日本としては立てたわけで、そこがやっぱり今度の原型炉開発の中にも一定程度インクルードされる必要があるのではないかと思います。そういう重層性を持たせたりするということで、計画全体の強靱性、ロバストネスを担保することができます。トカマクでディスラプションがなかなか抑えられなかった場合にどうするか、あるいは、環状系でどうしても問題が解決されなかったときにはこうするのだという、そういうことの2の手、3の手がちゃんと計画全体の中で持っているという、そこが分かるような形で出していくということが必要と思います。
 三つ目は、さっき国際協力の話が出ましたけれども、それが十分書かれていないというお話でしたが、もう一つ、人材育成は、いつも問題になりますけれども、これもそんなに十分には書かれていないような印象を受けて、一般的な人材育成というのは随分されましたけれども、原型炉開発を進めるためには、ある一定のクリティカルマスを持った人たちを生み出していくことが必要だと思われるので、そこは是非報告書の中に書き込まれるようにお願いしたいと。その3点でございますけれども。

【小森主査】  1点目と3点目はともかく、2点目は、レーザーの炉が入っていないことで御指摘されたのかもしれませんが、先ほどから議論されているように、平成17年10月の報告書で、トカマクを前提として炉工学を進めることにしましたので、特に問題はないと思います。
 ほかにございますか。

【堀池委員】  立派な中間報告、まとめていただいて、山田先生と、それから、今日傍聴に来ておられる若手の先生方にお礼を申し上げたい。これからも頑張っていただきたいと思います。
 ちょっとこれ、全体を見させていただいて、チームの構成員の得手、不得手をわりあい正直に書いてある報告かなと思いまして、特に炉工学関係の記述が少し、トリチウムとか、安全性、それから、規格・基準にどうやって落とし込んでいくのかというふうなことに関して、更なる検討を継続してお願いしたいと思います。
 もうちょっと工学開発の進め方と設計全体のシステンシーの確保なんかにどうやって全体として取り組んでいくのかなということに関して、まだそこまで深まっていないような気もしますので、それはこれからお願いしたいと思います。
 今山田先生の方から時系列に落とし込んでいくという御説明がありましたけれども、大体これが原型炉に向けたある程度そういう手順の基礎を規定する重要な資料となる可能性が大きいところから、やっぱり手順としてどうやっていくのかなというふうなのが、時系列のイメージも含めて、ある程度分かる、ほんわかと分かるようなものにしていく必要があるのかなと思います。
 それからもう一つは、実施主体についてあまり踏み込んでおられないのですけれども、例えばITERは実施機関が日本原子力研究開発機構であるとかいうふうに決まっているとかいうようなことも考えますと、その次のステップは、どういうチームを作って、どういう構成にするのかというふうなことの、今すぐには決められないと思うのですけれども、それをどういうふうにしていくのかなというのが、ちょっとイメージとしてわきにくい報告になっていると思いました。
 それから、ちょっとここで申し訳ないことは、この報告が核融合コミュニティの中での閉じた作文になっているというのは否めないと思うのです。前々回の作業部会でも私コメントさせていただいたように思うのですけれども、JT-60にしろ、ITERにしろ、全て原子力工業の基盤の上に建設されているものでありまして、そういう意味で、原子力工学の発展とその分野での人材育成ということに関して我々は無縁ではおられないと思うのです。そういう意味で、もうちょっと打って出るようなニュアンスが欲しいなと。簡単に言いますと、学会的に言いますと、プラ核学会はなぜ原子力学会を乗っ取りに来ないのかというふうなイメージを私はずっと前から持っておりまして、そういう意味で、例えば原子力の分野には放射線の専門家もおられるし、トリチウムの専門家もおられるし、こういう工学的な建設の専門家もおられるし、リスクコミュニケーション、あるいは、産業力評価とか、いろんな分野が含まれておりまして、そういうものを、どういうのですかね、主体的なコミュニケーションの中から原型炉の将来というのは切り拓かれていくのだと思うので、そういう意味でいうと、打って出るようなもうちょっとイメージが欲しいなというのが私の希望でございます。
 そういう意味でいうと、もう少しこれから、もっと若手の方に自信を持っていただいて、どんどんITERということを言っていただくというふうな、そういう雰囲気を我々としてもできるだけ作っていくように努力しなくてはいけないと考えております。
 以上です。

【小森主査】  担い手については、この表の中に書いてあります。

【堀池委員】  どこの表ですか。

【小森主査】  第5表とか、各問題ごとに表がありますけれども、表の中の2段目が担い手となっています。一応示してあります。

【堀池委員】  これからそういうふうにもう少し議論を深めていっていただきたい。それに関しては、できるだけお手伝いしたいと思います。

【小森主査】  どうぞ。

【海老塚委員】 大変よくまとめられており、ポイントがいろいろ盛り込まれていると思います。これからまとめが大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。
 1ページと6ページに出力の話が書いてあります。例えば、6ページの「原子炉に求められる技術仕様」のところでは、推進方策における「100万キロワットレベルの発電能力を持つことが想定される」を引用し、これについて「数十万キロワットを超える定常でかつ安定な電気出力を達成し、実用化に備えることを目標とするべき」としております。出力については、ある程度どうするかを決めなければならないと思いますが、私はここに示された考え方で良いのではないかなと思います。ただし、規模を小さくすることにより、経済性等を含め色々な課題が出てきますので、実用化への備えについてはしっかり見ていただきたいと思います。
 技術的成立性と実用化という二つの観点がありますが、実用化の面では、総合的なトリチウムの増殖性や稼働率も当然のことながらある程度見ておかなければ実用に供せないということになります。従い、その辺もしっかり見たうえで、どのような検討の進め方をしていくのかを御提示いただければと思います。
 もう一点、時系列とともに、大体どの程度の費用が開発費用としてかかるのかについても、あまり誤解を恐れずに目安を示して頂ければと思います。設備としても大変必要だと思いますし、人工も大変かかると思います。以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございます。ほかにございますか。どうぞ。

【岡野委員】  私も中間報告の作成時の議論に参加させていただいているので意見ではないのですが、見落としていた箇所が一つあって、48ページの図12ですね。このヨーロッパの発電実証が随分後ろにずれているのは、発電実証という言葉の定義が違うだけだと思うので、発電開始時期とかに名前を変えて、位置を日本とあまり変わらぬ時期にそろえた方が良かったと思います。

【小森主査】  ほかにございますか。

【坂本戦略官】  すいません。事務方なのであまりしゃべっちゃいけないかもしれませんが、先ほど堀池先生からお話があった実施主体のイメージの話、ここだけちょっと我々の理解、共有させていただければと思うのですけれども、先生方もよく御理解いただいているように、この原型炉のための技術基盤というものは段階的に作っていかなきゃいかんと。そういったために、チェック・アンド・レビューというのも一つ大きな節目として存在するわけですけれども、組織論というのは、やっぱり何をやるべきかと、それをどのように出すべきかというところが見えてきてから組織論というのは議論されないと、ともすると、組織論というのは、それだけでいろいろ関心を呼ぶようなところもあって、私は今の時点ではまだ早いと正直思っています。やっぱり何をなすべきか、どうすべきかと。その中に、先ほど報告書の中にありましたけれども、あるいは疇地先生のお話にもありましたけれども、主案となる、どんどん今、技術目標を定めて作っていくというものと、革新的アイデアについても、ある目標を定めて、それがものになりそうであればどんどん取込んでいくというような、そういうシステムとしてどういうものがあるのかということもよく考えたうえで、最適な原型炉開発主体と組織というものを考えていく必要があると。そこは、技術基盤というものをもうちょっとしっかり作ってから議論がなされるべきであろうと行政側としては考えています。
 以上です。

【小森主査】  ありがとうございます。堀池先生、何かございますか。

【堀池委員】  すいません。反論するわけではないのですけど、やっぱり技術の継承とか発展とか、人材育成と言うとちょっとおこがましいのですけど、研究者の養成とか、そういうものは、やっぱり今のITER、BAに続いて継続してやっていくというのが大事で、そのためには、よって立つべきバックボーンは要りますというような意味で申し上げました。
 それで、人材の話について言うと、ちょっとついでにコメントしておきたいのですけど、日本の社会というのは人材流動性が低いので、ある程度積極的に産業界、電力、研究機関、大学というふうなところを積極的に交流させるような仕組みを作っていかないとうまくいかないというのがありまして、実はちょっと原子力の方でもそういうのが今問題になっておりまして、今、非常に頭の痛いところなのですけれども、やっぱり核融合でも、海外との技術交流が増えるに従って、ITERでも、ブロードアプローチでも、結構欧米式のプロジェクトマネジメントシステムに組込まれるというような傾向が強くて、そういうものでは、わりあい去年まで大学の先生をしていた人が、NRCのライセンシングの部門にいるとかいうふうなことを前提としたシステムになっているわけですよね。
 そういう意味で、日本の社会というのは、一つそういう意味で、人材の育成とそういう技術情報のコミュニティとしての共有という意味で、欧米ではない特殊な、日本は特殊な方だと思うので、そういう意味で、我々としてもそういうのを克服するような積極的なモデルというのは作っていく必要があるのだろうと。これなんかも、これからの規制庁と原子力委員会の取組とか、そういったものを含めて、そういうものに対する日本の社会の次なる発展を示すための大事なステップだと思うので、是非後ろにおられる若手の先生方も、そういうことも含めて、これからこのプロジェクトをどういうふうに進めていくのがベストかということを考えていただきたいと思います。そういうことが大事だと思います。

【坂本戦略官】  ありがとうございます。非常に重要なポイントですね。私、基本は、先生と全く同じ気持ちです。考えているタイムスケールは違うかもしれませんけれども。そういう意味では、アグレッシブに、今先生がおっしゃった人材をどう育てていくのか、あるいは、はっきり言うと、私の目から見ると、もっと幅広い分野からいかに核融合に人材を取込んでいくかと。育てていくことも大事ですけれども、これが今問われていると。まずは、先生さっきプラ核学会が原子力学会をなぜ乗っ取りに来ないのだというような、非常に分かりやすい表現で、ありがたいと思いましたけれども、正直言うと、学会運営の仕方とか、あるいは、プロジェクトの運営の仕方、あるいは、共同研究制度の運営の仕方、全てにおいて、我々はもっとそういう機会を見つけることが、広げることができるのではないかなと考えています。
 例えば、これは先生方に御報告をさせていただく機会がなかったですけれども、超伝導の分野について、JAEAと物質材料研究機構、つくばのNIMSの共催で超伝導のワークショップを開いていただきました。これは、今の超伝導材料の開発の動向がどうであって、今後核融合材料に適用するにはどういう課題が考えられるのかというのを、今の両機関と、それから関係する大学の先生、それから超伝導材料の重立ったメーカー、経産省からも声をかけてもらって、そういうワークショップを開きました。はっきり言うと、ワークショップは1回切りですので、そのときは情報を共有するというところがまず第1歩だったわけですけれども、そういったものを例えばプラ核学会でどんどん進めていくと。それは何かというと、産業界の方々を含めて、核融合の世界に、今様々な超伝導開発が行われているものを、その成果を、あるいは見通しというものを持込んでくると核融合の世界は何が変わるのかというのを考える機会を与えることになると思うのですね。我々、そういう機会を十分作り切れているかというところをですね。これはほかにもダイバータの開発であるとか、あるいはブランケットの開発であるとか、いろんなところでそういう機会作りはできると思います。産業界の方にももっと入っていただきたい。はっきり言うと、論文にもしていただきたい。そういう形で、論文の審査の基準も、新たな、いわゆる旧来のディシプリンの知識蓄積だけではない新しい価値を生み出すような研究についても、どんどんその意義を認めていただきたいと。そういったことで、学会が広がりを見せる、人材の層が厚くなっていくということを是非御検討いただけないかと。これはプロジェクトの運営でも、また別のような形でそういったことはできるのではないかと思います。研究制度もそうですが、そういったところを是非先生方に議論を深めていただければと。で、この作業部会で方針を出していただくのは、当然それぞれのプロジェクト運営組織、あるいは、学会の方々にも、それは課題となって、宿題となって落ちていくでしょうし、行政側にもそれを進める宿題が落ちてくると思います。協働でその宿題をこなしていくということをやらせていただきたいと思っています。

【小森主査】  大事な議論が続いておりますが、時間がかなり超過してきましたので、是非これはというのを一つだけお願いします。

【金子委員】  すいません。時間超過した中で、事務局を務めさせていただいて得た感想をいくつか述べさせていただきますが、まず第1に、1番最初に皆さんが集まられたときに、開発研究を行っている方は、原型炉の形がよく見えないから開発できないとおっしゃるんですね。一方、原型炉を設計されている方は、具体的なコンポーネントの寿命なり仕様がよく分からないので設計できないと言うのですね。これだと全く進まないですよね。それを、一応皆さん集まって議論していくと、わりと落としどころというか、見えてくるのですね。そういったことがこの合同チームの中で進んできたと思います。
 ですから、この段階で、やはり具体的にこれをやろうというものをもう少し明瞭に、今少しずつ出てきていますので、これを出す。そしてそれをコミュニティで共有する。すると、コミュニティの力、一丸となって力が出てくるのですね。そうすれば、外のコミュニティに対しても発信ができます。ですから、今おっしゃったようなことは、まず我々の中で、合同チームの活動を中心にして、核融合炉という、原型炉というものをどういう形にしようかというのをしっかりと議論する。それを早急にする。それを具体的な形にする。そうすると、それを外にも発信できる。そのことをこの半年ぐらいですかね、是非やっていくべきじゃないかと感じました。
 以上です。

【小森主査】  ポジティブな御意見ありがとうございます。

【牛草委員】  私も事務局からという形で少し意見といいますか、感想を述べさせていただきたいと思うのですけれども、この半年、コアチームの方々、非常に大変な作業をやっていただきました。事務局で見ていて、まあ、よくやるなと思いましたね。作業部会の委員の先生方の非常に高い視点に立った御指摘だとか、ITERの中が書いていないだとか、国際協力の視点が抜けているだとか、実施主体が明確になっていないだとか、そういう御意見よく分かります。よく分かりますが、多分コアチームのメンバーは、まず何をせなあかんかというのをはっきりさせて、時間スケールもはっきりしたうえで、これを実現するには、誰が、さっきお金の話も出ましたが、いつ、どこで、というのを出そうかというふうな感じで進んでいます。たった半年なので、網羅的にするのはかなり難しい面があって、そういった意味では、この中間報告というのはある程度整理されてきているのかなと思います。事務局としては、是非この活動をさらに続けていただいて、より実りあるものにしてほしいと思いますし、それに作業部会の委員の先生方が積極的に入ってこられるべきだと思います。

【小森主査】  最後、よろしいですか。

【髙津委員】  先ほどは総論だけだということだったので、どうしても2点だけ、各論触れさせていただきたいのですけれども。ダイバータの部分は、ちょっと私の思っているイメージと違うのでコメントさせていただきたいのですけれども、原型炉も最も難しいのがおそらくダイバータとメンテナビリティだと思うのですけれども、ダイバータについて、例えば核融合出力仕様の見直しの必要があるとか、材料を早く決めろとかという提言がされているのですけれども、私の思っているのは、熱負荷を下げる。これ、出力仕様を見直せということは、出力を下げる設計にしろという意味だろうと思うのですけれども、必ずしもその方向に行くだけではなくて、レイを長くしたり、磁場配位を工夫して、ダイバータに行く熱負荷を下げる工夫をこれから10年もかけてやっていくべきではないかと思っているので、熱負荷を下げる工夫に対するエフォートというのはどういうのがあるのかという議論を是非お願いしたいということと、材料を早期に決めろというのは、私、ちょっとこれはいいアイデアではないと思って、非常にエキゾチックな材料を含めて、まだ開発すべきだと思っていましたので、そういう議論がなされたのかどうか。なされていないのであれば、材料の開発というのも含めて、高熱負荷機器ですね、その辺の材料も含めて議論をしていただければと思います。
 メンテナビリティが非常に難しいのですけれども、結局ここで書かれているように、炉設計と非常に強くリンクするので、炉設計の進展をメンテナビリティを考えながらやっていかなきゃいけないというのはそのとおりだと思うのですけれども、是非ともこの辺、産業界がお強いので、全般的に産業界の意見をもっと強く伺っていかなきゃいけないと思うのですけれども、特にメンテナビリティについては、産業界の経験とかノウハウというのが大きいと思うので、できもしないメンテナビリティではなくて、ちょっとチャレンジングだけど、まだリアリスティックなシナリオというのが考えられるような検討を、産業界の方も、専門家も含めて是非やっていただければと思います。この二つ。

【小森主査】  ありがとうございます。
 それでは、牛草委員のような御意見もございますが、ここの委員会の委員の先生方の御意見を考慮いただいて、さらにまとめに向かって検討いただくことでよろしいでしょうか。
 それでは、本日の御意見も踏まえまして、引き続きコアチームに検討をお願いしたいと思います。
 それでは、本日の中間報告に対する本作業部会としての対応につきまして、事務局より御説明願います。

【飯嶋専門官】  山田先生、本日はありがとうございました。また、それに対する委員の先生方、いろいろな重要なコメント、ありがとうございました。本日の山田先生からの中間報告を受けまして、作業部会として今後どう対応するかでございますけれども、多くの技術課題をクリアしていくためには、科学、工学、製造技術をしっかりと連結する必要があると考えております。それには、報告書にも書かれていましたけれども、全日本体制でしっかりと取組んでいく必要があるということが重要ではないかなと思っております。先ほど坂本戦略官が言われておりましたけれども、そのためには、プロジェクトの実施機関とか大学などで行われています共同研究というものをしっかりと核融合発電の実証に向けてどうマネジメントをしていくのか。あるいは、研究活動の指向性を強化していくための活動、具体的方策がどうあるべきかということが求められているのではないのかなと感じております。
 したがいまして、コアチームで検討された内容につきましては、今後コミュニティにおいてどう感じているかということを議論していただきたいなと思っているのですけれども、例えば国家プロジェクトを推進しておりますITERとか、BA活動をやっておりますJAEA、あと、大型ヘリカル装置とか双方向型の研究活動をしておりますNIFS、核融合科学研究所ですけれども、あと、関係組織や個人の集まりであります核融合エネルギーフォーラムとか、コミュニティの主要なプレーヤーが自らプロジェクトの実施、運営、活動の在り方を共通の目標としてどう実現に向けていくのかという率直な意見をお聞きしたいなと思っております。
 しかしながら、組織を代表してコメントするとなると、なかなか述べづらい部分もあるかと思いますので、個人的見解ということでいろいろと、研究活動はこうあるべきではないか、今後の共同研究はこうあるべきではないかというコメントを、個人的意見になりますけれども、いただきたいなと思っております。JAEA、NIFS、核融合エネルギーフォーラム、あとは、いくつかコミュニティございますけれども、そういったところから出ていただきまして、個人的見解を述べていただきたいと思っておりますが、事務局として今後の進め方の一つとして提案させていただきますので、委員の先生方のコメントを賜ればと思っております。
 以上です。

【小森主査】  今の御提案は、中間報告に対して、各コミュニティと、組織に属する委員の先生方の御意見を次回に伺ってから、さらに議論を進めようという御提案です。何か御意見ございますか。

【小川委員】  我々としてはぜひそれで頑張りたいと思いますけれども、この資料自身は、いつの段階で公にしてもいいものなのか。または、文科省からアップされますよね。だから、それはなるべく早めに核融合コミュニティの方に見せて良いものになれば、例えばネットワークとかフォーラムなんかでできるだけ出したいと思いますので。

【坂本戦略官】  ありがとうございます。重要な点で、この情報は、是非全国の核融合コミュニティの皆さんと共有をして、これは合同チームの方で、先ほど牛草委員からお話ありましたように、本当に御苦労されて作っていただいたものですので、その情報発信を是非これからやっていただきたいと。我々、さらに行政も含めて議論をさせていただく機会を作りたいと思っています。まず、この内容については、この作業部会の資料は全て公開ですので、もうきょうの時点からお使いいただいて結構です。さらに、来月、青森から九州まで、このコアチームの中間報告の説明、それから、我々行政からも参加をいたしまして、行政からの期待を述べさせていただくために、各地の研究者の方と議論する機会を設けたいと思います。また、これについては、学会、核融合フォーラム等で御案内をさせていただきますけれども、今その日程調整中でございます。そういった形で、議論する機会も積極的に作っていきたいと思いますので、是非先生方、御協力をお願いしたいと思います。

【小森主査】  よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問等ございますか。よろしいですか。
 それでは、御同意いただいたということで、今の御提案を、次回の本作業部会で実施したいと思います。御意見は、JAEA、NIFS、核融合エネルギーフォーラム、核融合ネットワーク、プラズマ・核融合学会において指導的役割を果たされている方々にお願いするということで、よろしいでしょうか。
 ということですけれども、実際には、本委員会で御意見を述べられる方で、指導的役割を果たされている方から意見をいただくのが望ましいと思いますので、本作業部会に参画していただいている該当組織の先生方に発表していただくことにしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、JAEAは牛草委員、NIFSは金子委員、核融合エネルギーフォーラムは堀池委員、核融合ネットワークは小川委員にお願いしたいと思います。プラズマ・核融合学会は、二宮会長にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

【飯嶋専門官】  プラ核学会の二宮先生には事務局より連絡させて頂き、御相談をさせていただきます。

【小森主査】  よろしくお願いいたします。それでは、お忙しいところ、申し訳ありませんが、次回、よろしくお願いいたします。
 続きまして、「その他」としまして、事務局より報告案件がいくつかございます。まず、本日お配りしております参考資料の1、第13回ITER理事会の概要、参考資料2、第13回BA委員会の概要について、事務局より御報告願います。では、よろしくお願いいたします。

【坂本戦略官】  第13回ITER理事会の開催結果と、それから第13回BA運営委員会の結果概要につきましては私の方から説明させていただきます。
 まず参考資料1ですけれども、ITERの理事会でございます。第13回のITERの理事会、1ページ見ていただきますと、11月20日、21日とITER機構本部で、フランスのカダラッシュですね、開かれたと書かせていただいております。
 出席者は、通常どおり、各国の代表団のメンバーでございます。あと、髙津委員に議長をやっていただきまして、あと、ITER機構から本島機構長ほかの方々が出席をされました。
 2ページを御覧いただきますと、ここに御覧いただいたような議題でございます。議論のポイントだけ御説明させていただきますと、3ページを御覧いただければと思います。まずITER機構からの活動報告ですけれども、二つ目の丸ですが、現地で、左下の写真を御覧いただければ分かりますとおり、トカマク装置ですね、2万トン以上の装置が置かれる床の、今、鉄筋が写真に写っておりますけれども、こういった形で、トカマク装置の建屋、あるいはそれに隣接する建屋の建設が着々と進んでおります。更には、今年の夏からいよいよ大型の機器の搬入が始まります。最初はアメリカの冷却系の機器だと聞いておりますけれども、マルセイユの港からカダラッシュまで104キロの行程を超大型の構造物が輸送されます。その試験輸送ということで、800トントラックに非常に重いレプリカを積んで、これはタイヤが300数十個ある車ですけれども、4日間かけて耐久性などを調べるための試験輸送が行われました。この試験輸送は無事済んだということで、いよいよ大型機器の搬入も始められるという状況でございます。
 次、4ページ御覧いただきますと、プロジェクトの進展と課題ですけれども、まず最初の丸に、理事会の議論の結果として、ITERの建設及び組立てが進展しています。計画が前例にない技術的に複雑で挑戦的な段階を迎えたことに留意をすると。これははっきり申し上げますと、我が国が作っている超伝導トロイダル磁場コイルをはじめ、多数の機器が、これまでに作ったことのない大きさ、あるいは精度で作られようとしているといった中で、各極とも、試行錯誤、モックアップを作って、製造技術そのものも確認しつつ、今製造を進めているところでございます。そういった中で、各極が並行してそういった試作、製造作業を進める。その中には設計の変更というものも当然伴います。そういったところは、ITERは、各極が重要機器を分担して作りますので、それぞれの設計変更というのはそれぞれはね返ってくるいます。ここのシステムエンジニアリングが非常に難しいというところは、段階が進めば進むほど認識されているところでございます。それがスケジュールがどうしても遅れがちになるというところの原因にもなるわけでございますけれども、そういったところ、システムエンジニアリングの難しさというものを理解して、それをいかに効率的に進めていくかというところの組織、体制、あるいは作業フローの在り方というものも見直すことを含めて、今、改革がITERのプロジェクトの中でも、ITER機構ももちろんですが、各極、実施機関を含めて行われているところでございます。それが複雑で挑戦的な段階を迎えたというところの意味でございます。
 あと、ITERについて、二つ大きな技術的な提案が行われて、承認をされました。一つは、もともとダイバータについては、炭素繊維を用いた複合材料を使うことにしておりましたけれども、これは当初からタングステン製ダイバータを使おうと。これはタングステンダイバータについての研究開発の成果が非常に良いものが出てきて、これを設計に組込むことが可能になってきたという状況を反映したものでございます。これは、もともと最初のダイバータを不要にするということもありますので、コスト削減にもつながるということで、各極とも承認をしたところでございます。
 あと、次ですけれども、もう一つ、プラズマの安定性の改善ということで、真空容器内のコイルも設置します。これを設計の中に含めるということも、ITER機構の提案が承認された。これも、これまでの研究開発の成果が出てきたことから可能になったというところでございます。
 最後、2年に1度実施しているITER機構運営の内部評価というものでございますけれども、これは先ほど申し上げましたシステムエンジニアリングの問題を中心に、今のスケジュールの遅延の問題をどのように改善していくかというところを、様々な取組を同時並行的に進めていく必要がございますので、そういったことを、この運営評価の結果に基づいて改革を進めていこうということが確認されたところでございます。
 ここに、本件対応としての行動計画を来年1月半ばまでに作成し、2月初めの臨時理事会にて評価されることを決定と書いてございます。この2月初めの臨時理事会というのは、先々週理事会が、1日だけですけれども、カダラッシュで開かれました。そこで、ITER機構、あるいは各極との調整という意味では、ITER機構のガバナンスをしっかりと変える、要は、いかに各極の利害が絡む問題を迅速に意思決定できるかという、そういうガバナンスの問題を含めてどう改善するかという行動計画が議論されました。組織改革であるとか、先ほど申し上げましたITER機構と実施機関との間の調整のメカニズム、作業工程の問題でありますとか、そういったことの改善計画が議論されて、今、修正が加えられて、修正されたものから順次こういった行動計画が進められていくということになっております。
 次の5ページ御覧いただきますと、理事会、補助機関の人事についてですけれども、ここに御覧いただいたような人事が承認をされております。このときには、候補者がまだ出されておりませんでしたので、決定されておりませんでしたが、ITER理事会の議長にはアメリカからリチャード・アイオッティ氏が、もともとずっと運営諮問委員会の議長をされ、また委員もされておりましたけれども、今回アメリカから議長として候補として出されて、承認をされております。日本からはJAEAの鎌田さんが科学技術諮問委員会の副議長として選出されたところでございます。
 最後に、6ページでございますけれども、第14回の理事会につきましては、今年の6月にロシアのサンクトペテルブルクで開かれるということ、更には、第16回の理事会については、また日本において、来年の6月になりますけれども、開催することが提案をされて、この方向で調整が進められることになっております。
 ITERについての御報告は以上でございます。
 もう一つ、BAの運営委員会でございますが、BAにつきましても、昨年の12月、パリのCEAの本部で開かれました。日本からは官房審議官の磯谷が代表として出席いたしまして、先方からは、欧州委員会の研究イノベーション総局のエネルギー局長のシーグラーさんが出られたというところでございます。
 議題はここに書かれてあるとおりで、各活動の進捗報告、それから、作業計画の承認といったところが行われたところでございます。
 内容を簡単に御説明いたします。まず2ページを御覧いただきますと、1として、IFMIF/EVEDA事業でございますけれども、IFMIFにつきましては、中間工学設計報告書が昨年の6月末に完成しましたので、この運営委員会で採択をされたところでございます。さらに進捗としましては、IFMIF/EVEDAの原型加速器の入射器の使用機器が、六ヶ所サイトへの搬入が始まっております。据付け作業も始まっておりまして、いよいよ加速器が着々と作られていくという状況でございます。
 次に、国際核融合エネルギー研究センター、IFERCでございますけれども、今年、スーパーコンピューター「六ちゃん」の性能が今増強されつつあるところでございます。さらに、原型炉R&D施設、放射性物質を扱うことのできるラボでございますけれども、そこでイギリスのJETのダイバータのタイルの解析を今年行う予定でございます。
 さらに、サテライト・トカマクにつきましては、2019年3月が初プラズマの予定でございますけれども、日欧の機器調達が着実に進んでいるということで、今年は、ポロイダル磁場コイルの一部が装置基礎部分に、もう据付が行われております。更には真空容器の組立にも入るということでございます。
 その他ということで、青森県の、あるいは六ヶ所村の方から、佐々木副知事、あるいは古川村長、パリにお出でいただきまして、外国人研究者の生活、あるいは、その家族の生活支援、更には国際学校を開設するという教育支援の報告をしていただきまして、ヨーロッパ側から特にこういった多大な御努力に感謝するという旨の発言がございました。
 第14回のBA運営委員会は、今年の4月に六ヶ所村にて開催する予定でございます。
 私からの説明は以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明に対しまして、何か御質問とか御意見がございましたらお願いします。

【東嶋委員】  御説明ありがとうございました。東嶋です。今御説明を伺いますと、すごく大きなものも搬入されたり、基礎ができたり、フランスの方ではそういうことが進んでいますし、六ヶ所でも、かなり見るべきものもたくさん出てきているなという印象を受けたのですけれども、今日報告をいただきましたようなことは、こちらにいらっしゃる先生方は、皆さん既に御存知なのでしょうか。私は、具体的にこういったものがここまでできたという情報を知らなかったので、できましたら、こういった大型機器の搬入だとか、基礎工事が始まったとか、大型トラックがどうだとか、こういったものはITERで撮影VTRなどをお持ちでしょうけれども、そういったものがなければ、独自に撮影するなどして、是非日本国民に見せるというか、説明の責任が、これだけの予算を使っていますので、あると思うのですね。
 ですから、フランスの状況と六ヶ所の状況を逐一全国民に向かって、写真や動画を交えながら、ITERとはどういうものか、そして、先ほど来の原型炉の話もありましたけれども、ITERの進捗状況と併せて、原型炉ではこういうことを計画しているというようなことを、これからコミュニティの中で議論の機会があるということもございましたけれども、そういった中で、コミュニティの中で議論するだけではなく、同時に一般向けのシンポジウムなども企画していただいて、是非このような状況にあるという報告会などを作っていただくと、先生方も、一般向けに説明する訓練の機会にもなりますし、また、リアルタイムでものを見ていただくという貴重な機会になると思いますので、一緒にやっていただくのはいかがかなという印象を持ちました。
 以上です。

【小森主査】  ありがとうございます。

【坂本戦略官】  ありがとうございます。今、すいません、東嶋先生のお話を伺って、是非、1度作業部会の先生方に、その那珂、それから六ヶ所、それから、ITERの関係ですと、超伝導トロイダル磁場コイル、いよいよ実機製作が始まりました。予算もかなり、後で説明ありますけれども、かなり伸びてきておりますが、それは三菱重工の神戸造船所が今生産ラインを立ち上げつつありますけれども、そういったメーカーの生産現場を含めて、御覧いただく機会。実は、各地でマスコミ向けに報告会やっているのですけれども、ローカルのところでは取上げられているのですが、なかなか全国的に取り上げられていないのが正直なところでございます。ですから、先生方にも御覧いただく機会を作らせていただければと。牛草委員、是非御協力いただければと思いますが、そういったことをさせていただければと思いますとともに、あと、先ほど報告会については、これ、すいません、正直、私、失念していたかもしれないですけれども、先生方に御案内を、昨年の11月ですね、実は昨年、一昨年と2回これまでITER、BAの成果報告会をやっておりまして、マスコミの方はちょこちょこ来ていただくのですけれども、一般の方まではなかなか入っていただけないのですが、それでも500人規模の方々、集まっていただくシンポジウムになっております。そういったものをもうちょっと積極的に、作業部会の委員の先生方含めて、御案内をさせていただきたいと思います。
 あと、そういった成果報告会でも流れたのですけれども、今おっしゃった現地でどういうことが行われているか、ビデオとかございますので、1度、こちらの作業部会で、そういったビデオを見ながら御説明いただくのも良いかなと思いましたので、そういったところ、こういった会議の報告ではなくて、本当の事業の進捗自体の御報告もさせていただければと思います。そこは工夫させていただきますので、よろしくお願いします。

【小森主査】  よろしいでしょうか。ほかにございますか。
 それでは、続きまして、平成25年度補正予算及び平成26年度予算案と、参考資料3につきまして事務局より御説明をお願いいたします。

【飯嶋専門官】  参考資料3を御覧ください。ITER計画等の実施ということで、資料を作成させていただきました。平成26年度予算案につきましては、247億4,800万円の要求をさせていただいております。まさに今、予算委員会で審議中でございます。
 ITER計画とBA活動に分かれてございまして、ITER計画でございますけれども、平成26年度予算案が217億2,500万円の要求をさせていただいております。その下の平成25年度補正予算につきましては、今月の2月6日に国会を通りまして、約58億200万円が予算として計上されました。具体的には、TFコイルなどの大型構造物の予算が計上されてございます。
 BA活動につきましては、平成26年度予算案で34億2,400万円を計上させていただいております。平成25年度補正予算額につきましては、1億5,600万円が決定してございます。こちらは、那珂サイトのJT-60SAや六ヶ所サイトの活動経費などが計上されてございます。
 以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明に対して、何か御質問等ございますか。
 よろしいでしょうか。本日予定していました議題は以上となります。そのほかに何かございますか。
 よろしいでしょうか。それでは、次回の予定につきまして、事務局からお願いいたします。

【飯嶋専門官】  次回の開催予定ですけれども、4月頃を予定してございます。本日御了承いただきましたコミュニティ各組織からの個人的見解を述べていただく場にさせていただこうかなと思っておりますので、後日、日程調整表をお送りさせていただきますので、御協力よろしくお願いします。以上です。

【小森主査】  どうもありがとうございました。
 本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

齊藤
電話番号:03-6734-4163
ファクシミリ番号:03-6734-4164

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))