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原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第32回) 議事録

1.日時

平成24年7月31日(火曜日)14時~17時

2.場所

文部科学省17階研究振興局会議室

3.議題

  1. 今後の核融合研究開発の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、石塚委員、岡野委員、小川委員、尾崎委員、金子委員、笹尾委員、髙津委員、東嶋委員、平山委員、堀池委員、森委員

文部科学省

坂本研究開発戦略官、中田補佐、飯嶋核融合科学専門官、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

【小森主査】  それでは、東嶋先生がまだのようですが、時間ですので、ただいまから第32回の核融合研究作業部会を開催させていただきます。

 本日は、大島先生から御欠席との連絡をいただいております。

 本日の議事についてですが、本日は今後の核融合研究開発の在り方について、その他について御審議いただく予定になっております。

 続きまして、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【飯嶋専門官】  議事次第を御覧ください。4.の配付資料としてございます。資料1から参考資料1まで、六つの資料を用意させていただいております。

 なお、本日はマイクセットを用意しようと思ったのですが、接続が悪く、音声を拾っていただけないということで、残念ながら用意できませんでしたので、ちょっと説明者の皆様方には申しわけございませんが、少し大きめの声でお話をしていただくようにお願いしたいと思います。以上です。

【小森主査】  最初の議題は、今後の核融合研究開発の在り方についてです。本日は、超伝導コイル用新素材開発、核融合燃料システム開発と環境安全性評価、核融合材料開発と規格・基準・信頼性、最後に加熱・電流駆動システム開発の4項目について議論する予定になっております。各項目を説明していただくために、NIFS、今川先生、京大、小西先生、JAEA、谷川先生、NIFS、室賀先生、竹入先生に有識者としてお越しいただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速、最初の超伝導コイル用新素材開発について、今川先生から御説明願います。15分でお願いいたします。

【今川教授】  それでは、超伝導コイル新線材開発というタイトルで、2ページ目、1ページをめくっていただきたいと思います。2ページ目のところに、核融合用超伝導マグネット開発の歴史というタイトルで1枚グラフを作っておりますが、この示すところは、今建設中のITERがいかに大きいマグネットであるかということを示しておりまして、今、現有、NIFSに稼働しておりますLHDが、現時点では核融合用で世界最大でございまして、ITERはそれに対して50倍くらい大きな磁気エネルギーを持った装置でございます。この磁気エネルギーというのが構造物の大きさと応力を掛け算したようなものでございますので、ほぼ構造物の重量に比例するようなものと考えてください。ですから、ITERは、これまでに建設したことのあるものに比べて、50倍くらい大きな装置を今建設中です。さらに今これから議論になります原型炉は、設計はいろいろバリエーションがございますけれども、約2倍くらい大きなマグネットを必要とし、しかも磁場が高くなるということが言われているわけです。

 このような大きな核融合マグネット用の導体として、近年2000年以降はすべてケーブル・イン・コンジットというCIC導体と言われるものが採用されています。3ページ目を御覧ください。CIC導体の説明でございます。特徴としては、核融合装置用に開発された大電流に適した撚り線構造の導体でございます。交流損失が少ないということのほかに、撚り線の周りに液体ヘリウムを強制的に流すことによって冷却をしておりますので、約1ミリぐらいの素線を撚り線しているわけですけれども、素線の表面に冷媒があるということで、冷却安定性が高いということがもう一つの大きな利点でございます。もう一つ利点としては、高強度のコンジット、外側のケースのことなのですが、撚り線の外側に強度の高い金属材料を使うということで、機械強度も高いということが特徴として挙げられます。

 課題ということですが、この後少し説明させていただきますけれども、コンジットは金属ですので、それに比べて超伝導素線の方の熱収縮率が小さいというのがありまして、コンジットによって超伝導線材が圧縮の残留ひずみを受けます。そのことによって、これは超伝導の特性なのですけれども、ひずみによって臨界電流、超伝導に流せる電流値が下がってしまう。もう一つは、撚った構造のために、電磁力で局所的に曲げ応力が生じて臨界電流密度(Jc)が低下するということが、今、ITERの導体で課題となっております。

 次のページ、4ページ目ですけれども、CIC導体のJc低下の要因ということでまとめてまいりました。左側にITER-TFコイルの場合と書かれておりますが、Nb3SnがITERでは採用されておりまして、Nb3Snというのは、横軸がひずみなのですが、ひずみに対してJcの変化が大きい線材でございます。ITERの場合に、もともと製造することによって圧縮ひずみが生じ、さらに冷却によっても圧縮ひずみが大きくなるという特徴がございまして、0.77%ぐらいの圧縮ひずみのところで使用するというのがITERの動作点でございます。ですから、もともと素線の持っている臨界電流密度としては800というような数字があるのですけれども、使用するときには半分以下、300くらいで使用するというのがITERの設計になっています。

 これに加えまして、ITERで現在問題となっておりますのは、電磁力によって素線が撚ってありますので、撚っている素線そのものに電流が流れますので、電磁力が素線にかかることによって、さらに曲げひずみが加わって、素線のJcが低下するということが観測されております。

 次のページに、これも導体試験の例なのですけれども、ITERの導体はスイスのSULTANという装置で試験をしております。右上のところにグラフがございます。これは繰り返し励磁数、導体に定格までの通電を繰り返し励磁をすると、縦軸が分流開始温度という名前になっておりますが、Jcに対応するものというふうに御理解ください。Jcが繰り返し励磁によってだんだん低下しています。ITERの場合にはCS導体なのですが、6万回で5.2ケルビン以上の分流開始温度が求められているので、この途中で終わっているものについては、この時点で不合格というふうになったものでございます。

 この原因についてはほぼ解決しているというふうに理解しておりますけれども、SULTANの場合には、SULTAN試験装置の磁場分布、導体試験装置ですので、一様空間というのは限られているということがございまして、この磁場分布が影響しているであろうということが言われております。この右下の図は、劣化した導体、断面を切ったものなのですが、劣化した導体を調べてみると、撚った素線が片方に電磁力の方向に寄って、空間ができたところが折れ曲がっているというようなことが観測されておりまして、電磁力によって素線自身が押さえつけられて、そのときにもともと圧縮残留ひずみがある中で空間ができてしまうので、折れ曲がるんだろうということが言われています。

 そのために対策としては、銅比、撚りピッチ、ボイド率の変更ということで、改良導体におきましては、一番新しい導体では特性の改善が大きく見られたということで、ITERであれば採用可能な導体がつくれるのではないかというふうに考えているところでございます。ただし、さらなる高磁場で使う場合においては、やはりこの問題を克服しないといけないというふうに思います。

 もう一つ高磁場化における課題としては、構造材料があるかと思います。6ページ目でございます。これはITERのトロイダルコイルの場合ですけれども、最大の膜応力として600メガパスカルくらいの応力が、このトロイダルコイルのケースにかかります。膜応力の1.5倍の耐力が必要ということですのでITERの場合には一番応力が高いところには1,000メガパスカル以上という耐力を持った特殊なJJ1というJAEAさんの開発された材料ですけれども、それを採用することが決まっています。ステンレスでは残念ながらここまでの強度が出ないということなのですが、それ以外の応力の低いところには、ステンレスの強化材がITERでは採用されるという状況でございます。

 もう一つは、ITERのトロイダルコイルの場合なのですが、重量比でいいますと90%は構造材ということでございますので、ITERよりもより高磁場、なおかつ大型という場合には、構造物のますます占める割合も増えますし、構造物の重量そのものが増えるということですので、構造物の高強度化、なかなか簡単に強度を上げるというのは難しいのですけれども、そういう開発が必要になる。もしくは設計の方で工夫をするということが必要かと思われます。

 7ページ目でございます。7ページ目に、原型炉用導体に求められる特性ということで簡単にまとめてございまして、高磁場という意味におきましては、ITERのTFが11.8テスラに対して、13から16テスラという幅を持った表現をさせていただいております。電流値につきましては、むしろコイルの大きさに依存するものなのですが、ITERの68キロアンペアに対して、それよりも大きくなるだろうということで、100キロアンペア程度の大電流ということを想定しておりまして、単純に磁場掛ける電流値が電磁力ですので、100キロアンペアと16テスラというのを掛け算しますと、ITERのTFコイルのちょうど2倍というような電磁力になるということです。ですから、こういう大きな電磁力に耐える特性としては、高磁界特性のみならず、電磁力によるJcの低下が少ないというようなところの開発が必要になるということです。

 あと、やはりITERでも問題になっておりますが、低コスト、量産性というところも考えて線材開発をする必要があるだろうということになります。候補線材として、高磁場、低磁場と分けて表現していますが、低磁場の方はNbTiでよかろうと思います。もちろん研究としてはMgB2という線材の研究開発が続いておりますけれども、ことさら核融合の分野でMgB2を開発しないといけないという状況にはないと思います。高磁場線材につきましては、今説明をしてきましたように、核融合は特殊な環境下で使われるということで、Nb3Snを改良する方法と、これからこの後説明しますが、急熱急冷Nb3Alと、この急熱というのは2,000℃までいったん温度を上げるという製造工程を通すものなのですが、そういうNb3Alともう一つは、高温超伝導線材というものが可能性があるかと思います。

 8ページの方に、横軸が磁場で、縦軸がJcのグラフです。ちょっと煩雑ですので簡単にいきたいと思いますが、ITERが12テスラから13テスラ程度で800くらいのJcなのですが、それに対して、DEMOはより高磁場側にシフトした導体ということで、Nb3AlのRQHTというのが急熱急冷という意味なのですが、ラピッド・ヒート・クエンチ・アンド・トランスフォームという線材なのですが、それがNb3Alとしては候補になっております。Nb3SnはITERの製造開始でかなり性能が上がってきておりますので、高磁界特性ということにおいては、Nb3SnはDEMOでも使える可能性があるかと思います。もちろん高温超伝導は、高磁界特性に非常に優れているという潜在的なポテンシャルを持っております。

 9ページ目の方に移りまして、こちらにひずみ特性ということをまとめてございます。電磁力の大きな環境で使うということで、ひずみに対して強いということが求められるわけですが、Nb3Snが青色の線でかなりとんがった山になっていますけれども、Nb3Alというのは、それに対してかなりなだらかな山、つまり、ひずみ感受性が小さい、ひずみを加えてもJcの変化が少ないというのが、一つ大きな特徴でございます。

 高温超伝導につきましては、以前はビスマス系という線材の開発が盛んに行われていたわけですが、残念ながら引っ張り強度に対して脆いということがありまして、その後第2世代というYBCOという線材の強度が高いということで、今、高磁場用という意味ではYBCO、最近はイットリウムのかわりにガドリニウムのような別のレアアースを入れても性能が高い線材が出てきておりますので、ここではレアアース系、ReBCOというふうに統一して呼ばせていただいておりますが、ReBCO導体というのがもう一つ候補になるかと思います。

 10ページ、11ページの方が、急熱急冷のNb3Alの縮小導体なのですが、原子力機構さんで開発をされている最近の成果をまとめてございます。10ページ目にありますように、ケーブル・イン・コンジットの素線を急熱急冷法のNb3Alで製作しまして、導体試験を行った結果が11ページにございます。15テスラのマグネットの径としては150ミリぐらいの外部磁場コイルで制限されているので、こういう小さなコイルということになりますが、15テスラの外部磁場中で、素線性能から予測される臨界電流を達成したことと、あと安定性についても予想される、必要とされる安定性が確認できたということで、まだ小さな導体ですけれども、この技術を大型化していくことによって、高磁場導体がつくれるポテンシャルを示したというふうに言えると思います。

 高温超伝導の方につきましては、12ページ目はビスマス系の線材でございます。ビスマス系は2000年ごろ、しきりに核融合用ということで研究開発を進めていて、それが1のBi-2212という丸線がつくれる高温超伝導線材というのがあったので、こういう研究開発が続いていたのですが、現状ちょっとこれは中断しているという状況です。ただし、Bi-2223というテープ線材のビスマス線材につきましては、電流リードにITERでも採用されますし、そのほかJT-60SA、あともろもろの電流リードには採用されている線材で、これは産業化しているというふうに言ってもよろしいかと思います。

 ただし、テープ線材のBi-2223も、そのまま大型導体に使うというのは、現状はなかなか難しかろうと考えられておりまして、13ページにReBCOという、強度が強い高温超伝導線材なんですが、これも今、大電流化の研究開発がようやく本格的に始まったという段階でございまして、(1)というのが単純に積層したもの、これは我々のところで行っている開発なのですけれども、あとそれ以外にヘリカルに撚ったとか、あとドイツではラザフォードにするという、かなり複雑な構造ですけれども、撚ることができるような導体開発、あとアメリカの方ではMITですが、ねじるということで、疑似丸線みたいな開発が、今進んでいるという状況でございます。いかんせんまだまだ導体の電流値も3キロアンペアから10キロアンペアぐらいですし、まだまだアイデアを実証していこうという段階にあるかと思います。

 14ページ目に、この3種類の線材の課題をまとめてみました。Nb3Snの改良という意味においては、やっぱり機械強度を上げるということが必要だろうと思いますし、Nb3Alについては、一つ心配なことは、低コスト化というところが、まだ課題として大きいのかなというところがございます。高温超伝導につきましては、ちょっとまだこの先どこまで製法も含めて進んでいくかというところがございまして、線材の製造技術もあわせて研究開発を進めていく必要があるだろうと思います。

 あと、下のところに補足みたいに書いていますが、既存の大型試験装置が、現状のITERで採用されているものでも12テスラから13テスラが上限ですので、こういう高強度を目指した線材開発を進めるのと並行して、大型の試験設備の整備が必要、さらにITERでも問題になっておりますように、電磁力による性能低下を正しく評価する試験法の確立というのも課題であると思います。

 研究体制につきまして、15ページ目にまとめてみました。Nb3Snにつきましては、現状ITERと、あと加速器用のマグネットで、多くの研究機関、大学も含めて研究が進んでおります。ですので、技術伝承のための開発計画を速やかに具体化するということによりまして、現状ITERとか加速器マグネットで参加している機関が引き続き競争しつつ、研究開発を続けることができるだろうと思います。Nb3Alにつきましては、日本独自の技術ということがございまして、現状メーカーとしては日立電線1社が線材供給メーカーとなっておりまして、複数メーカーが参加できる規模の研究開発が必要ではないかというふうに思います。ReBCOにつきましては、線材開発が進んでいる段階でございますので、核融合研究の中でどういう位置づけをするかということと、具体的な研究開発の策定が必要であろうと、そうすることによって、これは全日本での取り組みが可能ではないかというふうに思います。

 まとめでございます。ITERマグネットは、これまでの装置の数十倍の大きさであり、その製造技術は原型炉用マグネットの基盤となるというふうに考えられます。原型炉用マグネットに向けて、特に重要な開発課題として二つ挙げました。一つは、導体の高磁場化、高Jc化ということで、候補線材としてNb3Snの改良、高性能Nb3Alの開発、長期的な視点での高温超伝導線材の開発。二つ目の視点としては、巻線構造・冷却構造・支持構造の高強度化ということが必要だと思われます。構造材料や絶縁材料の強度向上、簡単ではないですが、そういう研究開発が必要であるというふうに思われます。

 それに加えまして、高磁場・大型試験設備の設備等、今、ITERで超伝導線材、導体そのものの研究開発もぐっと進みましたし、これから巻線技術というのが進んでいくわけなのですが、そういう技術をちゃんと伝承し、発展させるということに配慮した、具体的な開発研究というのを速やかに策定し、着実に実施していく必要があろうかと思います。以上であります。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、御質問や御意見がございましたらお願いします。

【金子委員】  日本での開発を中心にまとめられたと思いますが、世界的に見て、その他の候補材があるのでしょうか。

【今川教授】  はい。先にNb3Alの話をさせていただくと、Nb3Alは正直日本独自の状況にございます。Nb3Snについては国際的に競争していて、ヨーロッパ、アメリカも進んでおりますし、日本も負けていないという状況だと思います。高温超伝導線材について言いますと、線材メーカーとしては、今日本とアメリカが進んでいる状況です。

【金子委員】  それ以外の候補材というのは、ほかの国は考えてないのでしょうか。

【今川教授】  核融合マグネットということですね。

【金子委員】  ええ。

【今川教授】  私の知る限り、Nb3Snの改良でどこまでいけるかというのが一つの流れだと思います。Nb3Alについては興味を示す研究者は多いのですけれども、線材の供給ができないということが、今、共同研究をやろうとしてもネックになっているかと思いますが、最近中国の方がNb3Alに非常に高い興味を示していて、ちょっと別の展開が出てくるかもしれません。

【金子委員】  分かりました。ありがとうございます。

【小森主査】  供給できないというのは、今、日立電線一社しかできないので、しかも高価だから、なかなか研究には回らないという意味ですか。

【今川教授】  Nb3Alの場合に、急熱急冷というのに、2,000℃までいったん上げて急冷するという製法が必要なのですが、それが液体ガリウムを使って、通電で温度を上げて、その後すぐガリウムに漬けることによって冷やすという、非常に特殊な製法をしています。それが実は物材機構(NIMS)が開発した技術でして、先ほど紹介した原子力機構さんの研究も、物材機構(NIMS)との共同研究で成立しているというところがございまして、まだ日立電線さんは供給していただけるのですけれども、技術的には物材機構の技術を使わないと最高性能が出ないという状況にございます。

【堀池委員】  いいですか。超伝導で、送電とかSMESとかリニアモーターカーとかいろいろございまして、そういうのに任せておいていい開発と、やっぱり電磁力関係とかいうのは核融合が中心になって開発しないといけない部分と混ざっていると思うのですけれども、その辺の、DEMOに向かって、どこを核融合コミュニティーとしては主にやっていかなければいけないかという、その辺はどうなのでしょう。

【今川教授】  非常に的確な質問だと思います。電力応用を考えたときに、なかなか核融合ほどの高磁場というのはないのです。

【堀池委員】  SMESでもそうなのですか。

【今川教授】  SMESでもそこまでの高磁場というのは、設計ではあるかもしれませんけれども、そこまで高磁場にする必要がそもそもないというところがございます。研究開発段階ということでいいますと、高磁場マグネットという、20テスラとか25テスラとかを目指す研究がございまして、高強度線材、もしくは高磁場線材ということにおいては、我々情報交換もしておりますし、今ここで私が説明したような線材も、彼らも使って研究開発を進めています。もう一つは加速器の、そういう意味で、やっぱり研究開発段階にある加速器、高磁場マグネット、核融合というのは、それぞれちょっと違うところもございますけれども、共通のところが多いので、足並みをそろえてといいますか、連携しながら進めていくことができると思います。

 核融合特有というと、大電流というところが特殊です。大電流というところは、核融合以外のところでは必要としないので。そういうことからいうと、ケーブル・イン・コンジットという形になると、核融合特有というところがございます。ですから、核融合特有の研究開発というのは、要するに、きちんと技術が伝承できるようにしっかり柱を立てて、もちろん一緒にできるところは共通に進めていくというような研究のスタイルがよろしいのではないかと思います。

【小森主査】  どうぞ。

【小川委員】  代表的なDEMO炉として第1回のときに紹介ありましたようなSlimCSやDEMO-CRESTが候補となっておりますが、これらの装置では大体16テスラくらいの強磁場コイルが必要となります。ヨーロッパの設計だと13テスラくらいですが、そうすると装置が大型化します。そこで、16テスラをターゲットとすると、我々としてはNb3Alを期待しています。その一方で、Nb3Snでも16テスラというのが、今後のR&D次第ではねらえるターゲットなのでしょうか。もしねらえるターゲットとして見れるのでしたら、どういうR&DをNb3Snで今後していかなければいけないのでしょうか。それとも、やっぱり16テスラをねらうのだったら、Nb3Sn系はあきらめて、Nb3Alに開発の軸足を大きく振るべきだと思われるか、その辺はどうですか。

【今川教授】  そこは多分意見が二つに分かれるというほどでないにしろ――分かれるほどでないにしろというのは、つまり、Nb3Snでどこまでいけるかは、正直分からないです。ITERの導体試験で、ああ、もうだめかなと思ったのですけれども、これは導体試験特有ではないかという解釈もあって、今度ITERの方では、実際にインサートコイルという、コイル状の試験をすることになっておりまして、そこでNb3Snの劣化というのが心配しているほど大きくないということになると、Nb3Snの改良というのはある程度、16テスラが達成できるかと言われると、そこはもちろんはっきりしたことは言えませんけれども、もう少し高磁場までNb3Snでいけるかもしれないということは、可能性として出てくると思います。ただ、それほど楽観的な評価ができることではないので、やはり少なくともバックアップとしては、Nb3Alというのはポテンシャルを持っておりますので、Nb3Alをちゃんと本筋に据えて研究開発を進めるということは必要だと思います。

【小川委員】  バックアップじゃなくて、そちらをメインにするのかどうかという点に関しては如何ですか。

【今川教授】  Nb3Alについては、まだ正直線材そのものの製法が確立していないということがございまして、そこだけに絞るということが逆にできるかというところもございますね。

【小川委員】  そういうことですか。

【今川教授】  つまり1社、しかも物材機構さんの研究開発の技術でしか今できないという状況を、核融合のように大量に使用するようなところまで育てるというのは、そうたやすい道のりではないので。そこはですから、私が思いますには、Nb3Snというのは、今マーケットとしてございますので、そこの改良はしかるべき体制で進めて、Nb3Alをちゃんと育てていくのが必要ではないか。あともう一つ、炉設計の方がまだ動くわけですね。

【小川委員】  ええ、もちろん。

【今川教授】  その範囲の中で、やはり高磁場という選択肢がないというときには、やっぱりNb3Alというのをちゃんと短期間で立ち上げられるように、ポテンシャルを上げるということが必要ではないか、つまり、ITERの製造を見ても、1社だけではとても供給できないと思われますので、ある程度技術として標準化するというようなところまでは、しっかりやっていく必要があると思います。Nb3Alについてはですね。高温超伝導は、正直言ってちょっと分かりません。これからの展開によっては、DEMOに間に合うのかもしれないというところかと思います。

【高津委員】  1点よろしいでしょうか。14ページに、開発課題をまとめていただいて分かりやすいのですけれども、Nb3Snで、今、小川委員の御質問とも関連するのですけれども、課題として、線材の方でJcの向上、機械強度の向上と挙げられていますけれども、今まさしく今川先生お話しされた、ITERで苦労しているのはひずみ依存性なのですね。そうしますと、9ページの非常にシャープなひずみ依存性というのが、かなりITERで苦しんでいる大もとの原因だというふうに思っていますので、こういう特性が改善されるのであれば、Nb3Snというのも使いやすくなると思うんですけれども、そういった方面。原型炉に向かえば向かうほど、その辺の条件というのは厳しくなってくると思うのですが、線材の改良の目標として、こういったものは目標にもならないのでしょうかね。超伝導の専門家ではないので分からないのですけれども。それを目標に掲げて、開発の道筋は見えるなら、見通しがある程度あるような気もするのですが、いかがでしょうか。

【今川教授】  対策としては、おそらく今のは二つ考えられると思います。例えば、8ページのところのJcのグラフがございますが、もちろん急熱急冷のNb3AlというのはJcが非常に高い特徴がございますけれども、Nb3Snも加速器用の線材ではありますが、現在のITER用の線材に比べると、3倍ぐらいJcの高い線材そのものは一応あります。それがそのままCICに使えるかというのはまだ問題があるのですけれども。Nb3Snの場合には、Jcそのものを上げること自身はできているので、ここの9ページ目のマイナス0.8%ぐらいのところで使っているというのを、どう設計で逃げられるか。一つは、コンジットの材質を、ITERでもありましたように、インコロイのように、熱収縮の小さなものにする。もしくは、チタン合金にするという逃げ方はありますので、それはコストが上がるということに向かっていくのですが、現状の急熱急冷Nb3Alとコスト比較をすると、多分そういうことをやってもNb3Snの方が安いのですね。

【髙津委員】  コンジットの材質を変えても、結局今起こっている問題は非常にローカルな、ミクロなひずみなわけですよね。それはコンジットと撚り線との間の問題ではなくて、撚り線そのものが、撚ってあることによるこういう局所的なひずみが問題になるので、そのひずみに対する感受性というのは、やはり全体がJcが上がっても、非常にシャープだとものすごく使いにくいように思うのですね。

【今川教授】  そこは私自身は、ちょっと個人的な意見なのですが、Nb3Alにしても、そこの部分は同じ問題が起きると思います。Nb3Alも、残念ながら引っ張り強度そのものはそれほど強くありませんので。今言っているように、素線の電磁力に曲げひずみ、曲がってしまうということによるJcの劣化というのはNb3Alでも起きます。なので、Nb3Alだったら解決するという考え方は、多分正しくなくて。

【髙津委員】  ただ、この9ページで見られているように、非常に感受性が緩やかなのですね。

【今川教授】  いや、でも折れてしまいますので。Nb3Snでも、実際折れているのですね。

【髙津委員】  折れるというのは、断線してしまうという?

【今川教授】  ええ。断線、折れ曲がってしまうということなので。

【小森主査】  負荷ひずみの範囲でも折れてしまう?

【今川教授】  ええ。非可逆になっているのです。可逆範囲で変化しているのではなくて、劣化というのは非可逆範囲に入っていますので、素線そのものが損傷を受けているという状況なのですね。だから、ひずみが大きくても切れなければ、また元に戻るはずなのですけれども、戻ってないので、どんどんどんどん劣化していっているというのがITERの問題です。それはNb3Alにかえても、同じ問題が起きるのではないかというふうに思っております。なので、やはりそこの部分は、ケーブル・イン・コンジットの問題として、何かしら対策をしないといけない。ただ、その対策については、今ITERでかなり分かってきました。

 もう一つ我々が期待するところは、これは導体試験装置の、磁場分布があるがゆえに強調されている現象だということであると、要するに、コイル形状になれば、全体一様に引っ張りが生じるというのがいい方向に働くということを期待しておりまして、そうではないかというふうに思っております。なので、Nb3SnだからITERのような劣化が見えていて、Nb3Alに変えれば解決するということではないと思います。

【小森主査】  よろしいですか。では、尾崎委員、どうぞ。

【尾崎委員】  11ページのNb3Al急熱急冷というのは、巻く前に熱をかけるのですか。それとも巻いてから熱処理するのか、どちらですか。

【今川教授】  2,000℃の熱処理は、線材の段階で熱処理をします。

【尾崎委員】  撚り線の前ですか。

【今川教授】  撚り線の前です。その状態では、過飽和固溶体という、巻線もできるような可とう性を持っておりますので、巻線をしまして、最後はやはり700℃から800℃くらいのトランスフォーム、転移熱処理が必要なのですが、それは巻線の後に行います。

【尾崎委員】  その700℃から800℃の熱処理というのは、そんなに特殊な、さっきの液体ガドリがどうのという……。

【今川教授】  それはNb3Snの導体と同じような設備で可能です。

【尾崎委員】  ちょっと温度が高いということですね。

【今川教授】  そうですね。少し温度が高いですね。

【尾崎委員】  分かりました。ありがとうございました。

【小森主査】  よろしいですか。

 では、次に進ませていただきます、続きまして、核融合燃料システム開発と環境安全性評価について、小西先生からお願いします。30分でお願いします。

【小西教授】  質疑込み30分ということですか。

【小森主査】  質疑の時間は別にとってありますので、30分しゃべっていただいて結構です。

【小西教授】  分かりました。それでは、お手元の資料を御覧ください。いただきました課題が、何分にもかなり範囲が広くて、かつ重大でしたので、いただいた課題設定に沿って、まずとりあえず文字で資料をつくらせていただきました。それが大体約10ページほどございます。それの参考資料として後ろに図をつけているという形になっておりますので、すみませんがめくりながら御覧ください。

 核融合燃料システムの開発と環境安全性評価と、実は二つ束ねられて、もちろん相互に密接に関係はしているわけですが、さらに実はこの課題は、炉設計及びブランケットともかなり密接な関係がございます。そういうことで、前回のブランケットに関しての御報告及び2回前の炉設計についての第1回の飛田さん始め専門家の方々の御発表も思い出して、ちょっとお考えいただきたいのですが、実はここでは全くトカマクであるとかヘリカルとかレーザーで、炉型の話が出てまいりません。エネルギーとしての核融合開発ということでお話をさせていただきますのが、まず2ページにございます。

 エネルギーとしての核融合開発として見たときに、今の超伝導なんかは、ある意味では対極にあるわけですが、確実に進めていって、目標を達成しなければいけないというたぐいの研究開発と、ちょっと燃料システムは性格が違います。安全性というのは、ある意味エネルギーとして絶対の要求といっていい状況がありますので、そもそもこれは見込みがなければ、開発に着手さえさせてもらえないというところがあります。実は、エネルギー資源、あるいは燃料の供給の問題もそうです。

 そこで、核融合の安全性につきましては、エネルギーとしての、あるいは原子力との比較においても見なければいけない部分がございます。特に核融合のエネルギー源としての燃料供給というのは、端的にいって、このトリチウムという燃料が買ってこれないという性格を持っているために、トリチウムが自給できない限りは、核融合というのはそもそも開発しようとしても無駄である。あるいは、原型炉というものを構想する段階で、使う燃料が手に入らなければ、そもそも構想ができないというところがあります。

 3ページ目、ちょっと下の数字が飛んでいますけれども、御覧いただきたいのですけれども、核融合の燃料系の特徴としていくつか挙げておりますが、まず極めて少量の燃料しか必要としないというところがあります。これはもちろん原子力と同じように、非常に燃料の消費量が少ないという利点は持っているわけですが、にもかかわらず核分裂の原子炉が3年分ぐらいの燃料を炉内に持って、動き出せば運転が可能であるのに対して、核融合トリチウムの場合は、炉内にプラズマで燃えている部分は、磁場核融合であれば1秒分、約1グラム以下です。レーザーの場合にはさらに小さくなります。ということで、次に燃えるべき燃料をすぐに炉心に供給できなければ運転できませんので、燃料サプライチェーンの要求が非常に厳しくなっております。この燃料をアクティブに生成して、製造して、炉心に供給するというシステムが、炉本体と連動して動いてなければ、全く稼働ができないということがあります。

 次に、初期装荷トリチウムの問題ですけれども、これはそもそもなければ原型炉をつくる、あるいは実験炉をつくろうといったときに、運転計画が立たないわけです。原型炉に関して言いますと、ITERで今、国際的に入手可能であると言われているカナダのトリチウムをほぼ使い切ってしまいますので、初期装荷トリチウムの入手方法が、確実に何らかの形で入るという確信がなければ、そもそも原型炉の設計をしても、全く画餅に終わるということになります。

 実は、リチウム6の濃縮技術。これはリチウム資源そのものと若干混同されるきらいがありますので申し上げますが、リチウムは6と7の同位体がございますが、このうちの6のみを濃縮するという技術が、どうしても必要になってまいります。これはトリチウムの親物質になるのは、事実上リチウム6の同位体だけであって、これが全リチウム中7%しか入っていないという問題があります。これも他国からのリチウム6自体も、あるいは濃縮技術も、供給が期待できる状況にございませんので、これがなければエネルギー源になりません。これはそれぞれの国が独自に開発技術を持っていて、それを国外に供給していないということがあります。少量のサンプル量のリチウム6であれば、我々も入手することが可能なのですが、事実上今は国際市場が存在しないと言ってよろしいかと思います。

 それから、燃料系の安全性と安定稼働につきましては、運転の初日から、あるいはもっと運転前から、切れ目なく確実に動いていて、かつその信頼性がほぼ100%に近いものでなければならないということがあります。核融合炉は、今考えられているのはITERのような実験炉であり、あるいは原型炉であっても、まだ研究開発段階ということで、少々トラブルがあって止まってしまうとか、さらに課題を運転しながら開発するということが許されるわけですが、殊このトリチウムと燃料系、その安全性に関しましては、何しろ失敗すれば事故とか環境放出に結びついてしまいますので、どうしても長期の経験とかノウハウの蓄積が不可欠であるということになります。これは図面、あるいは設計図書にして移植可能である技術もある一方、どうしてもノウハウであるとか経験に頼る部分がございます。

 以後、4ページ目から、いただきました課題につきまして、先に答えの方で説明させていただきます。まずリチウム資源につきましてなのですけれども、リチウム資源そのものは、実は私は、資源経済学から見ても問題はないと考えています。というのは、核融合で必要とされるよりはるかに多くのリチウムが、現在既に国際市場で取引されているからです。もちろんリチウム自体は、それ自身、例えばバッテリーの材料として使われているわけで、これが供給が途絶すると、我が国としても大変困ることになるわけですけれども、核融合に固有の問題ではありません。ところが、リチウム6の濃縮は、我が国に全く存在しないし、これを自力で開発する以外に、多分方法がないということがあります。

 実は、例えばアメリカではリチウム6の濃縮工場は、過去において運転していた。ほかのいくつかの国もそうなのですけれども、アメリカはこれの運転を止めてしまっていまして、今は残ったものしか供給ができないという状況にあります。いくつかの国は、潜在的にリチウム6を供給することは可能ですが、ブランケットの設計によりますけれども、核融合炉で必要なのは100トンオーダーです。これが大体、これもブランケットの設計によりますが、2、3年に1度は必要になるという量です。これに関しましてはそういうことで、原型炉をつくるときに、まずこの100トンオーダー。それから継続して運転するのであれば、継続的に数年置きに100トンオーダーが供給できる状態になければ、入手できる状態でなければ、残念ながら核融合というものはエネルギー源になりません。プロセス自体は、ケミカルにはいろいろな方法が可能です。そんなに難しいものではありません。実験室レベルでは山ほど可能な候補はありますが、現実にプラントレベルになれるものが、今、我が国にはどこにもありません。アメリカで使っていたものは、実は水銀を大量に使うために、環境問題で閉めてしまったもので、この問題の解決のめどが、アメリカでも立っていないために動いていないわけです。

 そういうことで、もし核融合をエネルギーとしようというのであれば、リチウム6を分離する技術の、直ちに研究開発を。基礎的な候補はいくつかあるわけですが、これは要はスケールアップのための工学開発をする必要があります。にもかかわらず、リチウム6は多少特殊な入手経路を考えれば、国際的に分配したり管理したり共有したりということは可能ではあります。いくつかの非公式ながらの供給源も分かってはおります。

 次のページにまいります。トリチウム燃料サイクルなのですけれども、これは主燃料系というのでしょうか、プラズマからの排出ガスを処理して、またプラズマに戻すまで、燃焼率が約数%、たかだか5%以内ですので、大部分のトリチウムは、実は未燃焼で炉心から出てまいります。レーザーの場合は数10%までで、大分ましなのですけれども。いずれにしても、この燃料循環技術というものは、実はITERで共有される技術です。これは我が国としては入手できるし、そもそもITERの技術のための開発チームとして、我が国が世界の最先端レベルを持っておりました。そういうこともありまして、この技術については、実は問題ないと思っております。つまり、燃料の生成であるとか回収であるとか、そこの部分については問題がないと。プラントと施設に装備するような安全技術につきましても、これはITERのトリチウム除去系を我が国が請け負っていることから見ても、我が国に技術はあるし、さらにITERでの経験で共有がされるものと考えられます。ブランケットのトリチウム回収系。これはTBMを我が国が開発をきちんとして、それを全うすれば、当然その技術が我が国に確立されるわけです。

 問題は、動力炉のためのトリチウム技術ですが、これは未着手です。トリチウムを含有する媒体で、なおかつ発電なりエネルギー利用なりをしなきゃいけない。これは高温であり高圧であり、あるいは大量の熱媒体にトリチウムが含まれている。炉本体ほど大きくはないのですけれども、十分大きい。場合によっては同位体分離が必要である。これらの技術は、ITERでも、あるいは他の産業技術でも開発されません。だから、これも今から独自技術として開発しなければ、どこからも手に入らない技術です。これは熱交換器とか蒸気発生器、これも当然産業用にはいくらでもある技術ですが、ここにトリチウムという物質が絡んでまいりますと、ほとんど未知の技術となってしまいます。

 トリチウムの初期装荷につきましてですが、これは先ほど申しましたように、入手できない限り、原型炉計画は存在できませんので、これについては何らかの入手の手だてを考える必要があります。実は、ここにおられる岡野委員と私どもの共同研究ですが、重水素運転は、どうせ原型炉ではいたしますので、この重水素運転での、DD起動シナリオと申しておりますけれども、初期装荷トリチウムなしでも、ある程度の時間をかけて十分増殖性能の高いブランケットを使えば、原型炉の運転開始が可能であるというシナリオを提案してはおります。こういった計画というか検討は、もちろん机上でできる部分と、技術開発を伴う部分とありますが、これがなければ初期装荷のトリチウムはつくれません。これができれば、逆に言うとある程度の量があれば、当然それを増倍していくことも可能でありますし、実は同じようにトリチウムにつきましては、国際市場が存在しないものの、かなり多くの、キログラムオーダー、正直言って10キロか100キロか、そのぐらいのオーダーのトリチウムは、この地球上には管理されているものとして存在してはいますので、入手できる可能性はあります。

 ここまでのところで、ちょっと参考資料で御覧いただきたいのですけれども、まず12ページを御覧いただきたいのですけれども、研究施設と動力プラントと書いております。実は、トリチウムとその安全性に関しまして、非常に簡単に書きますとこういう図のようになりまして、核融合炉があったとすると、あるいはタービンがあったとすると、それを囲う建物があって、そこに除去設備がついていると。基本的にはこれだけです。これだけで核融合炉に含まれるトリチウムは閉じ込め、かつ除去するということで、安全を確保します。ここのタービンと書いてあるものがつくかつかないかというのが、実験炉と動力炉の違いです。ということで、事実上ほとんど違いがありません。動力炉では、この熱交換器、発電プラントの部分があるのですが、トリチウムの管理、安全技術については、ほぼ共通であると思ってください。

 13ページに、過去あったトリチウム施設をいくつか挙げておりますが、我が国にも、当時の日本原子力研究所ですが、最大級のものがありました。

 その次のページ、14ページを御覧いただければ分かるのですが、トリチウムの保有量と1日当たり、1時間当たりの処理量で、ITERレベルと過去の技術を比較しておりますが、カナダの右下の重水炉のトリチウム回収施設というのが、キログラムオーダーのトリチウムを使うという意味ではITERレベルの量を使っていますが、1日当たり、1時間当たりの処理量ということでは、ITERレベルに一番近いものは、日米協力で運転をいたしましたTSTAという施設があります。これは役目を終えてシャットダウンしております。次に大きい処理量レベルを持っておりますのが、我が国のTPLというトリチウム試験施設です。このほかにトカマクを使ったトリチウムの使用経験は、アメリカのTFTR及び欧州のイギリスのカラムにあるわけですが、JETという二つの装置があります。

 こちらを御覧いただければ分かると思いますが、核融合炉の主燃料系としてのトリチウムの取り扱いにつきましては、ITERレベル、あるいは動力炉レベルではないにしても、それに十分ステップアップの可能な技術開発は順調に進んできたということは、御覧いただけるかと思います。

 そこで、今度は安全性の問題に移りますけれども、6ページを御覧いただきたいのですが、トリチウムの安全技術はそういうことで、トリチウムの生成、回収技術そのものは、さらに安全系も含めまして、ITERでまずこれは開発され、かつ我が国の技術としては入手できると。基本的には原子力施設と同じ核分裂、あるいは放射性物質の取り扱いと全く同じ方法論を使います。要は公衆の被曝を可能な限り少なく制限するというロジックを使いますので、その意味においては特段の、原子力安全と違うところがありません。ただ、その安全確保のための方法論で、若干いわゆる核分裂の原子力とは違うところがあります。核融合炉は、放出された場合の放射性物質によるハザード、つまり仮想上のではなくて、最大限保有する放射性物質がたとえ全放出されたとしても、そのハザード、被害は、核分裂に比べると大きいものではありません。核分裂はそういうことで、その放出リスクを可能な限りというか、相当小さく抑えるという形での確率論的安全論で主に事故対策をすることが、安全の基本になっています。

 これに対して核融合炉では、通常時の運転で大量の放射性物質を、そもそもプラントとして扱っています。これにつきましては、若干違う考え方が必要かもしれません。例えば、原子力の施設というと、ある意味では、例えば再処理工場であるとか、放射性物質を扱うプラントとしての見方が必要になってまいります。

 これはどういうことかというと、6ページの下に書いていますが、核融合安全性の問題は、いわば能動的なトリチウムの制御技術。能動的に機械的な処理をして、トリチウムの放出をおさえこむ。わずかな量でも漏れてきたら、それを回収するという形で、安全に関与して、かつ決められた以上の環境放出を行わないということをやります。

 この技術は、研究施設と動力炉ではほとんど違わないわけですが、どうしても経験による部分というものが必要になってまいりますので、これは残念ながらITERという施設が国内にまいりませんでしたので、核融合装置でトリチウムを使うという経験は、我々はITERに行って研究したものを日本に移植するということをやらなければいけないということがあります。しかもそれにつきまして、十分に安全に管理されているという実績を積み、かつそれを周辺公衆であるとか、あるいは社会に十分認知して理解していただくという、我々、例えばリスクコミュニケーションなどといって、現に福島であり、あるいはほかの原子力地域でその重要性が改めて今認識されているわけですが、核融合に対してこのような実績を積むという時間が、今のところとることができないという問題はあります。

 4番目の問題にまいりますが、トリチウムインベントリと材料の話なのですが、これは実は申しわけございません、私、いただいた課題がどうもよく理解できないでおります。プラント内のトリチウムインベントリは確かに重要な問題ではあるのですが、これは材料の選択に大きく依存するために材料の問題でもあるのですけれども、インベントリそのものは核融合の成立要件、あるいは性能要求になりません。小さい方が望ましいというだけで、いくつであれば良いとか、いくつであったらだめとか、そういうことが一切ありませんので、あまり技術課題として開発する目標にするには、ちょっと課題設定ができないでおります。ブランケットの選択、あるいは材料の選択によって、排気とか廃液とか、固体廃棄物の形でのトリチウムの放出される濃度であり、量であり、あるいはケミカルな、あるいは物理的な性状は異なってまいります。金属に入っていたり、セラミックに入っていたり、化合物であったり、ガスであったり、液体であったり、何で出てくるか実は分からないのですが、それは材料の選択によります。

 例えば、前回ブランケットで御紹介があったと思います、水冷却のブランケットを使えば、当然水の形でのトリチウムの排出というのが出てまいります。この場合には、例えばトリチウムが水の中に入るのを防ぐ、あるいは水に入ってしまったトリチウムを同位体分離で除去をする、こういったようなテクノロジーが必要になってまいります。これは水冷却の場合です。ほかの冷却媒体を使えば、全く別の技術になります。ということで、材料選択というのは、インベントリの問題ではなくて、どのようにしてトリチウムの排出を抑えるか、あるいは出てくるものを管理するかという問題になってまいります。次のページにまいります。

 トリチウムの環境、生体挙動の話。実はここが一番悩ましいところです。誤解を恐れずに申し上げることが非常に難しいのですが、核融合炉では、十分安全に管理して、十分低いレベルの濃度で、十分少ない量のトリチウムを放出するように、テクノロジーで制限することはできます。が、基本的にそれは定量的な話でして、施設からいくら放出してもいいというわけではなく、以下にしなければいけないというガイドラインがあると、それに対して1けた2けた十分少ない量、少ない濃度で、あるいは少ない確率で放出するというロジックをとりますが、通常時にトリチウムを回収しているという施設です。これが十分大きな能力を持っています。

 ということで、事故時のことと通常時のことでいうと、通常時の運転が、かなり重要な安全上のファクターになってまいります。定常放出はゼロではありません。あります。これは検出可能です。また福島のことを引き合いに出すのはなかなか気が引けるんですが、核分裂で出てくるセシウムは、全く天然には存在しない核種ですので、ゼロであるか、存在しているかどうかは分かるのですが、トリチウムは天然に存在します。それが若干増えたとか減ったとか、まあ、減ることはないのですけれども、そういう定量的な問題になります。これが核融合施設からわずかずつ出てきて、最近の計測器は非常に高感度で高性能ですので、社会からは見えることになります。それについてちゃんと御理解いただかなければ、核融合は残念ながらエネルギー源となることはありません。

 また、福島のことをどうしても引き合いに出さなければならないのですが、ICRPでは現存被曝という概念を最近持ち込んでいます。これは環境中に既にある放射性核種によって、公衆が被曝を受ける、あるいは環境がそもそも放射性物質を持っているという、そこについて理解をするということになります。これを定量的に十分許容範囲内でやる、受容範囲内でやる、あるいは無視できるけれども、影響があり得る。あるいは、そもそもそれは許容できない。そういったような定量的な理解をする必要が出てまいります。これはそういうことで、今現在我が国が持っている課題です。

 これと同じものが、もっと小規模ではあろうと思いますが、仮に燃料でトリチウムを使うエネルギー源として、例えば我が国で軽水炉相当で50基レベル、世界でいって数百基持って、これが定常的に運転している場合に、単年度幾らトリチウムを放出しますというのを、多年度にわたり、かつ数百基が継続して運転を続ける。それでなおかつトリチウムを環境中で評価し、制御し、それを理解して、それを同意してもらえる状態でなければ、我々としても管理できなければ、核融合をエネルギー源として十分納得して制御して使うということが、実はできないという問題があります。潜在的に明らかにトリチウムはほかの核種に比べて、相対的に危険性は少ないので、十分テクノロジーで管理できるようなものではあります。かつあってはならない事故事象を考えても、核融合は十分確率は低く抑えられる上に、そのハザードもかなり小さいという利点はありますが、その上でなおかつ核融合について、リスクがゼロでないということは、一般公衆、社会から十分認知していただいて、かつ御理解をいただかなければならないという課題があります。

 まとめます。核融合エネルギーの成立性には、そういうことで燃料系に重大な課題があります。これは直ちに着手する必要のある課題を含んでいます。エネルギーとしての成立性について、核融合はまだ十分な分析をしておりません。まだまだテクノロジーとしての開発段階として見られているわけで、我が国のエネルギー問題と直結した検討を、まだ残念ながらしておりません。これを我が国としてやるときには、ほかの国とは明らかに違う立ち位置にありますので、これは我が国の独自の戦略としてつくる必要があります。特に未来のエネルギーシステムとして、これは2回前に、必ずしも発電だけではなくて、ほかの核融合エネルギーの使い方も検討するべきであるという話は、飛田さんの方から御紹介があったかと思いますが、このようなことも含めて、これはすべてトリチウムの環境放出量とか、あるいは、様態に関わってまいります。これについて検討する必要があると思っております。そういうことで、核融合の安全性と環境トリチウムの問題は、十分な検討と対策が必要です。

 解決のための手段というのを最後の10ページに挙げてありますけれども、これは既にこの委員会で一度提出されております、その9項目の課題の中に入っているから、ここでこうした発表をさせていただいているのだと思いますが、具体的な解決策が提示されておりますが、この一部は原型炉設計及びR&Dの中で見ることができますし、あるいは初期装荷トリチウムとリチウム濃縮についても記載されています。これらは直ちに着手する必要のある技術です。

 それから、環境安全性評価につきましては、実は環境における放射性核種の挙動という意味で、トリチウムだけが特有なのではないと、今現在考えざるを得ません。方法論がある程度同じですので、環境核種の影響の理解というのは、十分今認識されておりますので、これについての検討をする必要があると思います。

 ここのところの資料を簡単に、また後ろの方の図で紹介させていただきますけれども、これは原子力機構さんの当時の御理解をいただいて、今回改めて許可をとっていないのですが、17ページに、既に10年古い実績で、今もう少し増えているかと思いますが、原子力機構さんの施設から放出されたトリチウムの記録ですが、検出可能なのですね。ちゃんと増えたら増えたと分かるのですが、これがいわゆる許認可で、許容されていますけれども、放出していいというガイドラインから見ていただくと、100分の1くらいです。こういう実績があります。こういうことが、多分核融合施設をつくって運転していれば起きます。あってはならないことと言いながら、これが事故を起こすと、例えばこの100倍であるとか1,000倍であるとかの放出はあり得ることかもしれません。それでいてなおかつ、法定限度から比べて十分低いか、ちょっと低いか、あるいは危ないかというところになる程度だとお考えいただければいいのではないかと思います。現実に定量的に管理できるレベルが、そういうレベルだということです。

 18ページに核融合プラントのトリチウムシステムが書いてありますが、細かいところを見ていただく必要はないのですけれども、要は燃料系として、我々は大量のトリチウムを扱うので見ているのは、左側のプラズマと書いているところです。でも実際には、トリチウムの出てくる経路って、大きな1、2、3と書いてありまして、3番目まで出て、やっと環境放出です。ここまでの間に、何段階もトリチウムの除去とコントロールをやることになります。発電系というのが、そういう意味で今後の核融合開発では非常に重要なトリチウムの課題になります。

 ITERのところは飛ばしますけれども、最後の21ページのところで御覧いただきたいのですが、核融合施設をつくると、トリチウムを含む排気というのは、排気塔から出てまいります。これが十分管理された量で出ていって、かつそれが環境で十分少ない被ばく量に抑えられるということを証明して、かつ納得していただくという。この十分少ないというのは、例えば、自然放射線であるとか、あるいは事故時、通常時のそれぞれの評価値であるとか実測値であるとか、そういうもので複雑な数字をとってまいりますけれども、要はこれがゼロではないけれども、十分に小さいという量に抑えるということを、まず納得していただく。技術者としては、これを実証するということが必要になってまいります。

 このときにトリチウムというのが、最後ですけれども、その次のページを御覧いただきたいのですが、単純に人体までいきません。左上がトリチウム施設で、右下が健康影響ですけれども、その間にいろいろなルートをとります。このそれぞれのルートについて、全部調べる必要はありません。我々は既にというか、世界中の専門家が何人かやっておりますけれども、主要なルートをもう見出していますので、主要なルートを十分コントロールすればいいというふうに考えております。最終的にはトリチウムは体内に入って、体内の、それもDNAを傷つける形の放射線被曝を起こして初めて健康影響の可能性を持つわけです。環境にあるからといって、直ちに恐れる必要はないのですけれども、その環境挙動というのは、ただ単に出ました、検出されましたというのではなくて、大変複雑な経路をたどるということだけ御理解いただければと思います。これには膨大な分野の、関連する研究者の努力が必要になります。我々はそういう意味で、ごくごく一部分に着手したにすぎません。この辺の研究テーマというのは、はっきり言ってほとんど核融合研究とは縁遠いものとして、かなり地道な基礎研究としてしかやられていないということを、御理解いただければと思います。

 私からの報告は以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、御説明のありました件につきまして、御質問、御意見ございましたらお願いします。

 21ページは、被ばく量で評価されていますが、この5ミリシーベルトとか0.1ミリシーベルトという値は、何かを仮定して出されたのか、それともこれは希望する値ですか。

【小西教授】  すみません、私、ここの説明で重要なことをはしょってしまいました。ここにおられる大部分の核融合専門家の方はというか、最終的に左側のトリチウムとか核融合施設の方の関係者というか技術者なのですね。核融合研究をする人は、施設の管理者として、施設から何ベクレルのトリチウムを出していい、あるいは以下にしなさいということでやります。出すところまでです。施設から出るところまでです。そこから先については、それが十分被爆量で小さいということを証明するというプロセスが、十分に小さいということでしかやっていないのです。我々は実際に放出したものを、あとは環境をモニターして、十分小さいですねということを言っているわけで、それをフィードバックしているわけではないです。

【小森主査】  それはまあ、また別の問題だと思います。ここに書いてある数字は、これならば許されるという数字か、何か事故を想定して計算された数字かという質問です。

【小西教授】  事故時、平常時ともに、法律もありますし、ガイドラインもありますし、地元協定もありますので、必ずしもそこで決まっている数字ではないと思いますが、こういうガイドラインがITERの場合には使われました。

【小森主査】  これはITERの場合ですか。

【小西教授】  はい。

【小森主査】  ほかに何かございますか。

【東嶋委員】  すみません、今の質問の関連でいいですか。今おっしゃったのは、目標値ということですか。実際の想定値ではなくて、事故が起きたときに。例えば、この21ページに敷地境界というのがありますけれども、敷地境界あたりでここに1年間いたとしたら、事故時5ミリシーベルトが予測されるということですか。

【小西教授】  これを絶対に超えないように、施設側では放出量を制限しますということです。そのように設計をするし、そのようにつくるわけですが。

【東嶋委員】  つまり、例えば日本の原子力発電所のことでいったら、例えば年間線量目標値は0.05ミリシーベルトとかありますよね。それで実際の値は、平常時ですともっと低いわけですけれども……。

【小西教授】  これは目標値です。

【小森主査】  そうすると、これは二つとも目標値ですか。事故後の目標値?

【小西教授】  ここは絶対超えないというガイドラインだというふうに御理解いただければ。

【小森主査】  これを超えなければ良いという、一応の目標値ということですか。

【小西教授】  まあ、そうですね。法定限度はもうちょっと高かったり。

【小森主査】  150万キロワットくらいの核融合炉か、発電所を想定して……。

【小西教授】  そうです。実は我々、例えばITERの安全解析をしたときに困ったのですけれども、現実の原子力施設の放出量がすごく少ないのですね。要するに、今御指摘いただきましたように、シーベルトでいうとすごく低いのです、原子力発電所の近くでも。それに比べて核融合の目標値の方が高いというのはどうしてだと大変怒られたのですが、やれば低いだろうと思っても、実績がないので言えないし、それより1けた下を目標値とすると、それはやっぱり達成できないかもしれないとか、そういうジレンマがありますね。

【小森主査】  ただ、その達成できないというのは、何段かトリチウムの除去設備を重ねていくとき、今の重ね具合では達成できないということですね。もっと設備を重ねればとれるのに、それを否定するのはちょっと変な気がするのですけれども、その辺はどうなのですか。

【小西教授】  いわゆるALARAという考え方があります。問答無用でトリチウム除去施設にもう1段つければ、何百億円か余分にかかるのですけれども、もう1けたくらいトリチウムの放出量が減るかもしれないというようなことはあると思います。ただ、もともと十分ゼロに近いというか、十分少ないというものを、さらにもう1段下げるのに、何百億円がリーズナブルかという問題になってしまうのだと思うのですね。

【小森主査】  ただ、こういう数字が出てくると、技術的に、もうこれ以上はとれないという印象を与えてしまうのではないかと危惧します。ですから、こういう条件ではこうだと明記しておく必要があるのではないでしょうか。

【小西教授】  例えば、水を使って水を放出しますと、水の中にはトリチウムが入っております。それがもとの水に対して、トリチウムが増えているかどうかというと、実はもともと入っているのでゼロにするということができないのですね。

【小森主査】  まあ、それは分かりますけれど。

【小西教授】  だから、希釈することで基準をクリアできるのではないかというところがあるのですけれども。

【小森主査】  逆に言うと自然にありますから、さっき言っていた、どのレベルまで許されるかという問題に、結局なるのではないかと思います。

【小西教授】  例えば、天然水で10倍に希釈すれば、大体天然水とほとんど違いがないというレベルにまで薄めることなんて、そんなに難しくないわけですよ。だから、どこが意味があるかということなのですね。もっとプラクティカルな話を言いますと、実はこういうことというのは、カナダでは重水炉で発電しておりますので、その重水炉はもう少したくさんのトリチウムを環境に出しています。それは十分納得して受容していただけるレベルで出しているのですけれども、技術的にはかなりぎりぎりのところですね。かつ法定限度からして十分余裕があるとはいいながら、正直言って結構高い。我々の感覚からいうと。

【平山委員】  この値というのは、トリチウムの場合には、内部被ばくだけですね。

【小西教授】  はい。

【平山委員】  どういう仮定に基づく評価になっているのですか。例えば、0.1マイクロシーベルト/年という数値は、水に含まれるトリチウムを体内に取り込んだシナリオとかが考えられます。出されている数値は、放出された排水を飲料水として常に飲み続けるというシナリオで出した数値なのでしょうか。直接的な外部被ばくと違って非常に複雑なので、例えばITERの場合、一体どういうふうにして数値を出しているのかという説明がないと、なかなか理解が難しいのではないかなと思います。総量や濃度についての法定の数値があって、それ以下にしますというのは分かりやすいのですが、実際の被ばく線量ということになると、トリチウムの場合にはものすごく難しいように思います。

【小西教授】  すみません、それが実はここの図のメッセージなのです。結局のところいろいろな解析をして、代表例を解析して、この施設から、例えば何ベクレルのトリチウムを排気塔から、何ベクレルのトリチウムを排水に出していいですよ、それ以下に抑えなさいという基準をいただいたときに、例えばその10分の1を目標値にして放出しましょうということを、まず技術者側はやるわけです。それに対して、実際に何が起こるかというのは、置いてつくって運転してみなければ分からないところがあります。ITERの場合は、まだ動いていないので分からないのですが。敷地境界にどんと住んで、そこの井戸水ばかり飲んでいる人がいたとして、井戸水が現にどれぐらいのトリチウムを含むことになるかというのは、実は排水が全然そこを通ってなければ全くいかないわけですね。そういうことってすごくサイトスペシフィックなのです。

【平山委員】  それは分かりますが、具体的に値が出ているときには、一体どんなシナリオに基づいているのかという説明が必要なのではないでしょうか。

【小西教授】  ですから、環境で人が取り込むトリチウムの取り込み量、それによる被曝というところまでは、シナリオを置きません。余りに仮定が大き過ぎるからです。だから、そこのプロセスも含めて、我が国で置くとしたらどこの地点でどういう人が周りに住んでいて、どういう生活をしていてということまで考えれば、そのデータを入れて評価することはできるのですが。

【平山委員】  シーベルトで評価しているということは、あるシナリオがあって出てきた数値と考えると思いますが、そもそもそんなに簡単に出せる数値ではないと思います。今の法令では、排水中の濃度というのは、それを飲料水として飲み続けたときの評価になっているのではないでしょうか。

【小西教授】  おっしゃるとおりです。

【平山委員】  そういう仮定で出された数値なのですか、それともまた別なシナリオに基づいてこの値を超えていませんよということで出された数値なのでしょうか。

【小西教授】  だからここは目標値と書いたわけで、例えば、こういう目標に決めましょうといったときに、あるかなりエクストリームな仮定で、例えばそういう環境シミュレーションコードを動かして、例えばITERのときにやったのは、ドイツの大陸の真ん中で、ほかにどこにも排水としてトリチウムがいかないような状態で評価をして、こういう数字というのが例えば出ています。例えば、実際日本でつくろうとしたら、日本の固有の風土を考えたコードで、実際評価しなければ分からないのです。ですから、そういう環境挙動を含めた研究を今からしておかなければ、日本のどこに置くとしたら、実際どのくらいの被ばく量に抑えられますという評価そのものができないということなのですね。

【小森主査】  すみません、ちょっとこれに集中しましたが、ほかに質問はありますか。お願いします。

【平山委員】  初期のトリチウムは、結局どういう方法でつくると考えておられるのでしょうか。

【小西教授】  まず買ってくるのが一番です。売ってくれれば、どこからか。

【平山委員】  買ってこれるかどうかが問題ですよね。

【小西教授】  買ってこられない場合の例として、定性的なお話をいたします。前回の委員会で、ブランケットという機械があって、必ず消費したトリチウムに対して、それよりも少しだけ多いトリチウムを製造する能力を持っているということが、ブランケットの必須条件であるという話をされたと思います。そういうブランケットをもし仮に原型炉が持っていると、多少種となるトリチウムを持っていれば、必ず運転していれば、少しずつ増えていくということが起きます。原型炉もそうですけれども、核融合装置というのは、大体において重水素でまず運転をして、性能を高めていって、それから実燃料を入れるという運転シナリオになるであろう。いきなり実燃料でフルに動かすということは多分ないであろうと考えられておりますので。そういうことで、重水素で運転していれば、必ずわずかながらのトリチウムができてまいりますので、それを我々の試算では、大体数百日からせいぜい1年くらいなのですが、運転を続ければ、トリチウムは十分所定量には達するはずであるということは、そういうブランケットがあれば可能ではあります。

【小森主査】  韓国の研究者は、韓国に新しいCANDU(キャンドゥ)が2基ぐらいありますから、原型炉が2、30年後であれば、そこから供給できると言っています。

【小西教授】  多分足りないでしょう。

【小森主査】  足りないですか。

【小西教授】  それでも1キロはできないはずです。今、カナダで大体20数キロありますかね。カナダが持っているのは何基だったかな、今CANDU(キャンドゥ)が動いているのは。はるかに多いです。それも過去40年間運転して、それだけためたので。

【堀池委員】  すみません、それは多分、ITERのエンジニアリングフェーズまでで大体使い切ってしまうはずであると。

【小西教授】  はい。

【堀池委員】  そういうことなのですね。だから、原型炉に残されたトリチウムはありませんと。

【小西教授】  はい。しかも原型炉をつくろうという国は、日本だけではありませんから。

【坂本戦略官】  すみません、質問というよりも、行政の我々の理解なのですけれども、環境安全性の問題、今後ますます重要になると思います。ITERでも当然今、施設の規制というのは、施設の許認可、それから、これから工事とか、そういったさまざまなチェックが行われていくでしょうし、日欧のブローダーアプローチでも安全性研究というのをやっていこうという話になっているわけですけれども。

 今、被ばくについても、目標値であるとか規制値というのは非常に重要な問題なのですけれども。これはいわゆるトリチウムを大量に扱う施設を規制するという段階になったときには非常に重要な問題で、そこは規制当局が真剣に考えるとともに、装置を開発する者も、どうやって安全確保をするかということをみずからきちっと考えると。ただここの問題は、我々の理解は、全く新しい問題ではなくて、既に発電所であるとか、あるいは核燃料サイクル施設も、トリチウムの問題は常に出てきていますから、そこでの被ばく評価というのは、別にこれはトリチウムに限らず、さまざまな核種、フィッションプロダクトを始めとして、それについて内部被ばく、外部被ばくの状況というものはいろいろ推定されて、排出基準が定められていると。空気中の排出、あるいは排水ですね。だから、その知見というものが、当然ITERの規制にも多分反映されているだろうと。

 実際の環境条件、気象条件というのは国によって違うだろうと思いますけれども、基本的な部分ですね。移行の経路であるとか、人体にどういう割合で蓄積するかとか、そういった基本的なパラメーターはそんなに変わらなくて、あとはある程度外形的なことで違うような部分をどう組み込むかということで、多分対応できるのだろうと、規制についてはですね。そういうふうに理解しているのですが、そういう理解でよろしいですか。多分フランスも、規制当局はそうやっているのではないかと思うのですけれども。

【小西教授】  戦略官のおっしゃることは、原則としてというか、正しいです。各論になりますと、多少違うところが出てまいります。例えば、安全性という評価をしますので、どうやってもこのトリチウムは、人体にまでは到達しないといったものについては、とりあえず見ないということをやります。青森の再処理工場に関していいますと、まず排水は沖合の海中で放出しますので、通常において、それが陸上に住んでいる人に達することはありません。それから、トリチウムは再処理工場の排出核種としては比較的重要な方ではありますが、一番重要な核種では必ずしもないです。

 そういうことで、陸上に核融合施設を置いて、エアボーンのトリチウムを放出したときに、それが農作物、あるいは降雨、降水を通して人体にどのくらいやってくるかというのは、正直言ってデータがありません。まあ、やれば分かること。だから、方法論としては全く戦略官のおっしゃったとおりなのですが、それをそれぞれの土地のそれぞれの土地利用、それぞれの農業、あるいは産業、それぞれの人の住み方に合わせて計算しないと、答えが出ないのですね。例えば、我々が導入したドイツのコードは、周りに川も海もなくて、住民は、牛乳を飲んでいるかジャガイモを食べていたので、水田で米をつくって食べている日本人のデータと全然合わない、そういうことがあります。そういうことで、これはかなり個別的な分析が必要になります。

 例えば、今回の福島のセシウムの例でも、セシウムが環境中でどのような挙動をして人体に達するかというのは、実はそれまでそういうことがあると思っていなかったから、十分な研究がなされていなかった。トリチウムについては、やはり同じように、今までそれが人体に到達するということをほとんど想定していなかったので、そういうことがあまり考慮されていないということがあります。そういう個別のデータを集めるということを、まずやらなければいけないということがあります。

【小森主査】  ほかに。どうぞ。

【髙津委員】  燃料システムと環境安全性という問題を今御紹介いただいたのですけれども、炉内機器の冷却システム、高温熱媒体が水の場合とヘリウムの場合と、今世界で提案されているのは、溶融塩の場合とか液体金属、そういうものの冷却媒体とこの問題というのは、どのようにリンクすると考えればよろしいのでしょうか。それともあまり強くリンクしなくて、個別の個々に課題があるだけであって。

【小西教授】  すみません。そこのリンクが大変強く、かつ技術的な詳細にわたるので、今日ははしょってしまっております。必ず冷却媒体というのは、冷却というぐらいなので高温で使いますので、トリチウムという物質は金属であろうと何であろうと材料を透過する性質がありますので、高温の媒体を使っている限り、トリチウムというのはある程度熱と一緒に伝わってまいります。数けたずつ下がっていって、何段階で処理しても、必ずある一定の量はトリチウムは媒体に混じってしまうということがあります。これが水であるか、ガスであるか、液体金属であるか、溶融塩であるかで、それぞれ溶解度が全然違います。

 それから、除去の難易度も全然違います。それはだから、一概には言えない。例えば、水であれば水素が――水というのは、要するに水素と酸素でできていますから、その水素にトリチウムが混じってしまうと、同位体分離ということをやらなきゃいけないので、水だけはちょっと面倒くさいです。ヘリウムというようなガスであると、トリチウムは実は結構入りやすいのですけれども、取り除くのはそんなに難しくないということがあります。溶融塩とか液体金属というのは、そもそもトリチウムが溶け込む量が少ないので、そういう意味では、トリチウム管理上は一番易しいということがあります。しかし、トリチウムで汚染した溶融塩であるとか金属というのは、水とかガスに比べると、扱いがテクノロジーとしては難しいということがあります。個別のことを言うと切りがないのですけれども、それをそれぞれの選択ごとに、やはり開発をしなければいけないし、評価をしなければいけないという問題があります。

【髙津委員】  親和力が強いと、すぐ溶け込んじゃう、だから厄介だというのもあるけど、外に出にくいというのはありますよね。親和力が弱いと、取りやすいけど、すぐ配管に流れている間に出ていくとか、そういうプラスマイナスがあると思うので、どのように考えればいいのかなというふうに。

【小西教授】  だから、一長一短です。液体金属は大体において親和力がないので、我々の言葉でいうと、トリチウムの分圧が高いということが起きます。量は少ないのですけれども、出てきやすい。出てきたものは、また回収しやすいというところがあるのですけれども、そういう特徴はあります。

【髙津委員】  ありがとうございます。

【小川委員】  よろしいですか。この一番最後のページ、22ページの、放出された後、人体にどう入るかという図に関して質問があります。小西先生のお話ですと、どういう移行過程でどういうようなプロパビリティーかというデータがないから、キチンとしたことが言えないという話で、確かにそうだと思います。ところで私の記憶だと、10年か20年前、カナダで大気中へのトリチウム放出実験をやりましたね。あのような実験に対して、小西先生含めた色々な方々が研究されている大気中の拡散コードとの検証研究(いわゆるV&V)はどの程度進んでいるのでしょうか。それから、この中のクリティカルなプロセスがどこかというのは、どの程度分かっているのでしょうか。

【小西教授】  何と説明したものでしょうか。実はカナダでのトリチウムの環境中放出実験というのは、日本、カナダの協力でやっていまして、日本人研究者が参加しています。ですので、日本固有の作物というので、わざわざコマツナの種を持っていって生やしてやったり、コマツナへの取り込みなんていうのも測定しています。ということで、個別のデータはあります。

【小川委員】  あるのですか。

【小西教授】  残念ながら、水田でのデータはありません。茨城大学の先生が、重水を使って稲の取り込みを実験したりとかそういうことで、個別のデータがかなり努力して集められています。ただ、こういう検討って網羅性が必要とされますので、個別に科研費レベルでちびちびやっていたのではとても足りないというところがあります。つまり、大きなパスを見落としてしまうと元も子もないので。

 それから、ここで書いてありますけれども、わずかでも、重要でなくてもと言っては語弊があるのですけれども、被ばく量として大きくなくても重要であるもの。ここでわざわざ赤でつけちゃいましたけれども、飲料水と農作物というのは、トリチウムが検出されちゃいますので、これは量の多寡にかかわらず、特に重要なパスであると考えています。これについても小規模の実験はされていますけれども、とても十分というにはほど遠いです。

【小川委員】  その辺の実験データを、もうちょっと積み上げるべきだというのが意見なのですね。

【小西教授】  はい。

【小森主査】  アメリカ、サウスカロライナか何かに、軍事用の核の処理施設か何かがあって。

【小西教授】  サバンナリバーというのがありますね。

【小森主査】  ええ。そこでトリチウムを放出していると聞きました。しかし、世界的に見たらアメリカしかないのかもしれませんが、探すと結構事例があるような気もします。

【小西教授】  まず最初に申し上げたことなのです。十分管理されて、許容範囲内の放出をしているということだと思います。例えば、ミスオペレーションで、いつも思っていたよりも2倍出してしまったというようなことは、実は結構あるかと思います。というか、トリチウムを扱っていれば、漏れちゃったとか、どこかでスピルがあったというのは日常茶飯事です。それも含めて、だからその変動分よりもはるかにずっと上に管理基準があって、それよりさらに上に法定限度があってというふうにしていますので。水道でパッキン締まらないねと言っているのと同じレベルの話でも、トリチウムの放出量がちょっと増えたりします。そういうものはすべてトリチウムの放出量を若干増やす、あるいはかなり増やすということは起こします。だから、環境にいったときに、これはシーベルトで見たときに、十分無視できるという量を、それでも放出しているはずなのですが、とにかく毎日放出した量が、逆に言うとはかれるというのが、このトリチウム施設の特徴ではあります。 

【笹尾委員】  ちょっと今までの御議論を聞いていて、普通の住民の立場に立つと、飲料水や、あるいは食物に入っているものがはかられると。それが今、自然界にもこれくらいはあるとか、1965年くらいまでの大気実験で残った分がこれくらいあるとか、そういうことを言われても、やはりそれが我々の生活や、あるいは子孫に対して本当に安全だということを、周りの人も含めて、あるいは国民全体が納得してもらわないといけないわけで。多分そのあたり、そういう活動がとても大事ではないかなと思うのですね。そういう意味で、今日のお話はすごく大事な点をついていると思うので。いくら安全ですよとか言っても、やはりこれから実際にDEMO炉をつくるまでまだ時間があるので、そういう活動をどうやってこれから我々の活動の中の一部分として考えていくかということも、大事なのではないかなと思いました。

【小西教授】  はい。60年代我々が飲んでいた飲料水というのは、実は今、問題となっている一部東北、あるいは東京での水道水の持っている放射能よりは、かなり高いものを実は60年代に飲んでいるわけです。そういう飲料水中のトリチウムというのは、これからも測定は可能です。当然それは今、我々の日本のいくつかの地域で観測されている有意の放射能の上昇と、ある意味同じで見ざるを得ないと思います。ですから、それをオール・オア・ナッシング、安全、危険でゼロリスクで表現している限り、実は核融合というのはどうやってもゼロリスクです、ゼロトリチウムですということはできませんので、笹尾先生のおっしゃるとおり、これは定量的な理解が、今この国で、これからの5年、10年でできなければ、やはり核融合では同じことが起きるでしょう。逆にそれが成功すれば、核融合についても同じように理解していただけることにはなると思います。そういう意味で、まさしく今現在の課題だと思います。

【金子委員】  よろしいでしょうか。こういう社会的許容に関する議論をしていると、技術面へのフィードバックがよく分からなくなってしまいます。それでお尋ねしたいのは、現在の技術レベルで、例えばこの部分はまだまだ除去という意味では問題ですよとか、先ほど高熱の部分でいろいろお話がありましたけれども、私どもとしては逆に、そういった社会的な許容性が一方で醸成されていく間に、要求されたことを実現すべく技術レベルを上げていかないといけない訳ですから、そういう意味で、今、このトリチウムの除去系に関して問題点となって、我々技術屋としてのやるべきことというのは何があるのかということを、もう一度まとめていただけないかなと思うのですけれども。

【小西教授】  ある程度といいますか、実はこの9項目の課題の中の大もとの原本の方に、実はほぼすべて列挙されておりまして、ここで改めて口頭で繰り返すのも申しわけないのですけれども、大まかに分けまして、まず材料開発の方はまた別途これで対応されるとすると、あとはトリチウムの一つは計量管理であり、モニタリングであり。あるいは、初期装荷のトリチウムとリチウム6の問題は、先ほど申し上げました。それから、冷却媒体へのトリチウムの混入というか透過を防ぐことと同時に、冷却媒体からのトリチウム除去、あるいは閉じ込めという技術は、特に重要な課題だと思います。

【金子委員】  計量管理もモニタリングも、かなり技術レベル的にはしっかりできていて、やれていると思っているのですけど、そちらの方はいいですよね。

【小西教授】  残念ながら違います。

【金子委員】  違いますか。では何が問題でしょう。

【小西教授】  ここにトリチウムがあって、これがいくらあるか測りなさいと言われたら、かなり完璧に正確に測ることができます。核融合炉という全体のシステムで、どこにトリチウムがいくらあるか測れと言われたら、申しわけないですが、事実上お手上げです。

【金子委員】  例えば、炉内でトリチウムがどこにあるかとか、そういう話ですね。

【小西教授】  はい。ましてやブランケットといったようなもので、このどこでトリチウムがどれくらいできて、今いくらある。それを今どこにいくらあるというのを当てなさいと言われたら、これをどうやったらいいか全く分からない。実はインベントリというのは、数字で何キロとかいうことはできるのですけれども、実は施設全体でどのくらいあるか、実はだれにも分からない。実際に動いている施設があった場合に。残念ながら、そういう問題です。

【小森主査】  ありがとうございました。時間が詰まってきましたので、次に進ませていただきます。

 次は、核融合材料開発と規格・基準・信頼性についてということで、先ず谷川先生から御説明をお願いします。谷川先生が15分で、続きまして室賀先生から15分で、お願いします。

【谷川グループ長】  まず、タイトルが「核融合材料開発と規格・基準・信頼性」でございますが、いただいたときの検討事例として、安全性と、それに対する規格というお話だったのですが、何か誤解がなければいいのですが、決して安全性とか規格を材料が担保するわけではないというのか、安全性議論が材料だけでできるわけではないということを、当たり前のことですが、まず確認させていただきます。

 それで本日私に御指名があったということで、内容としては、核融合ブランケット構造材料について、低放射化フェライト鋼の場合を例にとってお話しさせていただきます。始める前に、当たり前のことを再確認させていただきますが、材料開発は独立したものではないと。規格検討であって、設計があって、設計規格、構造技術基準というものがあって、それに対して材料規格というものが決まっていくものであって、そもそも開発自体が、特に核融合の場合には過去の例のない、要するに、実環境試験が難しいような環境下で使用される装置でございますので、こういった設計と連携しながらやっていかなければいけないというものであって、現在のフェーズというのは、そういうものが特に求められている状況であるというのを御理解いただいたうえで、話を進めさせていただきます。

 2ページ目にまいりますと、まず核融合炉の安全性とブランケットという形で定義させていただきますと、当然構造技術基準というものに求められるのは、こういった核融合システムが安全性を確保しつつ、一定の機能を一定の経済性をもって発揮できることというのを定めなさいということになると思います。ブランケットというのは、一応念のために申し上げますと、プラズマを囲むように真空容器内に配置される装置でございます。ここで、後で述べる性能とか機能を求められるわけですけれども、この核融合炉の安全性確保というものの考え方を改めて定義させていただきますと、核融合の安全上の特徴に基づいた安全確保の基本的な考え方がまず定められて、この基本的な考え方に沿って、安全上の目標を達成するために必要な安全設計・評価の基本方針及び技術基準が定められて、この技術基準に沿って構造設計基準や耐震設計基準等が定められて、それに対して材料というものが定義されていくわけです。

 特に安全確保というものに対してのブランケットの課題というのは何かといいますと、これがプラズマの最前面のところに配置されるということで、ブランケットを構成する構造材料というのが過去にないぐらい重照射を受けて、必ず何かしらの特性劣化が起きることが前提になる。つまり、回避することができないという点が、これを考える上で重要な課題になっております。

 3ページにまいります。まず改めて、ブランケットに求められている機能・性能と要求仕様とは何かというのを提起させていただきます。左の図はかなり簡略化させていただいておりますが、ブランケットというものには、まずプラズマからの輻射熱と、それから、エネルギーとして当てられる14MeV中性子が当たります。かつディスラプション時に電磁力がかかるということが想定されるわけです。それに対して、ブランケットに求められる機能というのは、この中性子を遮蔽して、かつ先ほどまでありましたトリチウム増殖、燃料を生産する機能、そして最終的には14MeVの中性子の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して、熱を取り出すといったものが機能として求められます。それに対して性能というのは、トリチウムを最低限使った分だけプラス全体のプラントを考えますと、ちょっと余分の、TBRと呼んでいますが、このトリチウム増殖をすることが求められており、かつそれが想定寿命、例えばSlimCSというJAEAでの設計の場合には、2年で100dpaぐらいの間、想定されるいろいろなDEMOの運転モードで、この構造とか機能を維持することが求められます。プラス低放射化性能が求められるのは当然のことではあるのですが。

 ですので、結局核融合炉の安全確保の基本的な考え方に基づいて定められた構造設計基準と整合するように、こういったブランケット及び要求仕様が定められます。それに並行して、当然ブランケット構造材料への要求仕様が定められると。この材料に対する要求仕様を保証するために、材料規格というものが定められるわけです。

 こういうような重照射で使われるわけですので、この材料規格を定めるには、材料特性変化、その特性の評価と劣化機構の理解に加えて、原型炉における安全性確保の基本指針と、それに対応した構造設計基準が必要であります。それによって、この求められるレベルというのは変わります。

 4ページの方に移らせていただきます。そういった意味で、ブランケット構造状況で、材料開発戦略というのはどのようなものになるかといいますと、まず現状を確認させていただきますと、核融合のプラント全体の規格・基準の制定方針というのが、今のところ定まっていないと言ってもよろしいかと思います。これはITERではなくて原型炉です。ですから、ひいてはブランケットに対する要求仕様、さらにはブランケット構造に対する要求仕様というのがはっきりとは明示されておりません。

 その一方で、核融合中性子重照射を受ける構造体、これは要するに、ブランケットというのは人間の棺桶ぐらいの代物なんですが、その蓋の部分が重照射を特に受けるわけです。そういったものの構造体の設計技術、デザインルールが存在しません。これは既存の圧力容器とか原子力機器とは大きく異なるところです。かつ先ほど申し上げたトリチウム増殖比、TBRを確保する観点からは、それほど十分な設計裕度をとることはできないというのが背景にあります。ましてこういった14MeVの重照射を受けますので、構造材料開発、特に材料照射研究というのは時間がかかります。例えば、例で20dpaぐらいの照射のデータをとりなさいと言われると、最低でも4年間ぐらいはかかります。かつ一番肝心なことなのですけれども、14MeV中性子照射施設が現存しないわけですので、我々は現在のところいろいろな形で推測はしておりますけれども、がちっとした14ミリオンの中性子照射データというのは持っていないという状況です。

 こういう状況でどうやっていくかということになります。当然ながら、まず設計チームとの綿密な連携をしながら、核融合炉設計、ひいてはブランケット設計を分析して、こうやって明示されていないから何もできないというわけじゃなくて、このように時間がかかりますので、現状での要求というのを設計を見ながら分析して、我々がこれだけの目標値を出しなさいとかと与えられていないわけですけれども、その状況でもそれを分析したうえで、材料に関わる重要な課題を見出して、仕様の確定及びデータ取得を進めていこうとしております。

 その一方で、核融合中性子源がないということで、開発は二段階に分けて考えています。初期の設計段階は、後ほど詳しく説明しますが、核融合中性子に特有の照射効果が発現しないと予想される条件範囲を考えています。後期になると、こういうものがだんだん顕著になってくるという範囲に分けています。この初期設計範囲というのは、模擬照射、イオン照射とかサイクロトロン照射とかいろいろな模擬照射手段、それから、モデリング・シミュレーション等によって機構論的理解を得て、これに基づいて予測し、そして実際の設計では、原子炉照射データを根拠としてやるべき範囲になります。当然国際核融合中性子源として開発が進められているIFMIFの最初の段階のデータというのは、こういった初期設計範囲でのデータを保証するものが期待されます。それに対して後期設計範囲というのは、IFMIF照射がどんどん進展していって、どんどんそういったデータが出てくると。そういったものに基づいて、裕度評価、今の設計はどのぐらい裕度があるのか。逆にどのぐらい材料劣化が裕度を食いつぶしているのかというのを強化していく。そして、かつDEMO炉を段階的に運転範囲を拡張していって、そのブランケット設計の改良が進められるという考え方になります。

 次の5ページ目に移らせていただきます。初期ブランケット設計範囲というのを、もう少し詳しく説明させていただいています。まず、核融合中性子照射データがないということですけれども、ただいろいろなイオン照射とかの、そういった我々の今までの、過去のいろいろな先生方の研究も含めて、すぐに核融合中性子だからといって、端から見ている原子炉とは違うわけではないというのは、大体感覚的に、定性的には理解されています。それにはおそらく原子炉照射データと大きく変わらない範囲があるだろうと、今のところ予想しています。初段階では、現状を見ると14MeVの核融合中性子照射手段はございませんので、この大きく変わらないと考えられる範囲での設計になる。つまり、最初現時点で我々が原型炉に向けて設計を考えていくときには、この範囲の照射データの整備が非常に重要であり、この範囲での設計技術開発ということになります。

 もう少し具体的に説明してみますと、下の図に書いていますのは、横軸は概念的な照射量、縦軸が、一番後で申し上げますが延性であります。延性はどんどんどんどん照射されるに従って劣化していきます。例えば、我々は原子炉は、今、日米協力で、米国のハイファーを利用して、重照射データを蓄積させていただいているわけですが、こういったものでどんどんデータはとっていけると。その一方で、模擬照射やモデリング・シミュレーションから、この赤線の実線で書いているような、おそらくこんな感じで変わっていくだろうということを、多分予測はできると考えています。そのときに、こういった原子炉照射データとは明らかに違ってくるであろうと予期される条件が、それを今、ここではヘリウム効果発現臨界条件と書かせていただいておりますけれども、こういった核融合の中性子照射効果が顕著に出てくる、そういった発現臨界条件というのが、おそらく予測できるだろうと、今考えております。

 ここまでの発現臨界条件までの条件の間、これが最初の初期段階での原型炉に向けた設計活動ができる照射範囲になると考えております。こういったものは、当然IFMIF初期でのデータ、あるいはちょっと括弧で書かせていただいていますが、DEMOフロンティアとかで計画しているような、そういったところでの照射手段によってデータが取得されていって、保証されていくということを考えております。

 次にまいります。ではこういったものを含めて、原型炉ブランケット開発戦略というのはどういうものになるかということになります。このロードマップというのは、平成20年度のロードマップと検討委員会での報告のところから、少々改訂させていただいているものです。基本的に、今想定している予期というのは、21世紀中ごろに実用化のめどを立てるということからでございますが、これに対して、おそらく10年ぐらいの運転を考えると、2030年前後には建設判断をして、建設に取りかかりたいということになるというのが、バックグラウンドの前提です。ですから、20年代の半ばくらいには、製造設計、詳細な製造に向けた設計検討に入っていかなければいけないといったところがポイントになります。

 この前提で考えますと、まず一番上にあるITERの運転で、テストブランケットモジュールというのを試験することになっていますけれども、こういったテストブランケットモジュールの運転というのは、貴重な実環境試験であり、こういったもので実績が上げられて、その中で照射後の試験によって、どれくらい設計裕度が残っているのかといった評価によって、建設判断に資するものと期待されます。

 その一方で、製造設計段階、2025年前後に期待されておりますこういった段階の開始においては、そういった段階で大体DEMOの、あるいは当然ブランケットの最終仕様が決まっている必要があります。この最終仕様というのは、当然TBMの情報もプラスありますけれども、例えば、ここで書いてありますようなJT-60SAを使ったような炉内試験とか、あるいはDEMOフロンティアでの炉内試験、あるいはプラスIFMIFの照射といったデータでもって、その最終仕様が固められると考えられます。

 ですので、ここから戻していきますと、この最終設計段階にいくには、工学設計活動がいるわけですけれども、ですから、当然2020年ごろには、遅くとも仕様原案というものがなければいけないと。この仕様原案というのは、ここで見ていきますと何でできるかというと、この段階では当然IFMIFというのはまだできていませんので、バックグラウンドとして使えるのは原子炉照射のデータだけということになります。また後で申し上げることになりますけれども、できるだけ早期に、原子炉照射だけではなくて、その原子炉照射データが、我々が予測しているように、大きく核融合環境下での照射とは違わないといったものを証明していく、そういった参照データは取得する必要がありますので、基本的には構造照射データというのは、原子炉照射によって蓄積されますし、それから、IFMIF照射によって実証されますけれども、さらにプラスこういったできるだけパイロットIFMIFというのか、ポストIFMIF-EVEDAなんかで計画させていただいていますような、低フラックスでの初期設計範囲での参照データの取得というのが、非常に重要になってくるだろうと考えております。

【小森主査】  すみません、あと10分でお願いします。

【谷川グループ長】  ああ、そうですか。すみません。7ページに移ります。

 ディファクトスタンダード戦略について述べよということが御要求にありましたので、それについて簡単に申し上げますと、まず材料というのは、ともかく実績重視です。性能が高性能かどうかというのではなくて、いろいろな製造、あるいは実機利用に対する実績があるかないかというのが、利用される、あるいはディファクトスタンダード化の上で重要です。ですから、TBMの構造材料とか、あるいはIFMIFとかに使われることも当然ですけれども、耐熱鋼とか、その他の照射環境の高速炉とかいったところでの利用が重要になります。また、データベースが充実されるのは当然のことから必要です。これは原子炉データもそうですし、IFMIFとしても必ず照射されるということが大事になります。

 ここの図に書いてある横の図というのは、どれくらい原子炉データと核融合環境が違うかということを示しているものですけれども、横軸dpa、縦軸がヘリウムの生成量をとっておりますけれども、原子炉のデータが青で記しているものに対して、ヘリウムというのは2けたくらい違う量が必要です。ですから、かなり大きなギャップがあって、このギャップの差を埋めるものは、当然予測でやろうとしていますけれども、そこを証明するものというのが必要であり、ここを最初に証明していって、こういったデータを示していくものが、当然ディファクトスタンダード化された材料になると考えられます。

 あと2ページ、これは時間がないということで簡単に、現状を示させていただいています。我々のJAEAで開発しているF82Hの現状でございますけれども、これは基本的に耐熱鋼ベースでつくっていますので、製作課題とかは大きな問題はないと。ただ、タンタルというのは新しい通常鋼では使われていない元素でございますので、こういったものはある程度解決していかないといけないとは思っていますけれども、データとしては今のところ、1次設計検討には十分なものがあると。ただ、照射データとしては、結局何が必要なのかというものが、設計側からも明確に提示されていませんので、過不足が判断できない状況が正直なところです。またデータ数も、予算とかの関係上、非常に限られているというのが現状です。

 9ページ目にまいります。今までの照射データでも、特に何が問題になっているのかというのを、できるだけ簡単にここで最後に申し上げます。基本的には引っ張り強度とか衝撃の劣化というのが、皆さん普通に認識されている問題ではございますけれども、硬化自体というのも、大体臨界するのも見えておりますし、基本的に1次応力に対しては安全側にしかシフト、かたくなっていますので十分大丈夫と見えます。一方で、DBTT劣化、要するに衝撃特性の劣化というのも、大体30dpaくらいで飽和する傾向が見られています。というように見えるのですが、真ん中の図にありますように、引っ張り強度、引っ張り特性を見てみますと、かなり簡単な低い照射量で一様延性が失われる傾向が見えています。実は既存の設計技術というものは、一様延性が十分に確保できているというのが大前提になっています。これはITERのSDC-ICなんかでの規格でも同じことです。これをどう扱うのかというのが、重要な課題になります。

 さらにクリープというのも、本来クリープにならない温度でも照射クリープというのが起こってくるというのが分かっておりますので、こういったものをどうやって扱うのかというのが構造の難しいところで、データがあるだけではなくて、こういったものが必ず起こりますので、そういったものを使った構造設計技術というのはどういうものになるかというのが、検討が必要になります。

 最後に人員育成・確保と産学連携について述べよという話だったので、こちらについても書かせていただいております。基本的には、現状では核融合炉構造材料研究をしている大学の研究室は非常に減っております。一応今、BA活動なんかで共同研究を実施していただいている大学研究室でも、ほとんどがいろいろな他分野をカバーしつつ、その一部をあててくださっている状況です。ですから、大体大学で優秀な人材が出てきて、この子はいいなという修士の学生さんがいても、たいがい優秀な子ほど、今は就職していきます。なかなか博士課程まで来てくれません。この主な原因というのは、結局大きなキャリアアップのラインというのが見えないので、彼らに対してこうなるよと、きっとこれから発展するからぜひ残ってくれと言おうにも、彼らにとってはそれを決心するほどのものではないというのが現状です。我々も確信を持って言えません。

 ですから、ちゃんと原型炉開発プロジェクトに対する国家レベルの長期的戦略提示というのが必要です。これは下の方に書いていますけれども、産業界と話しても、一体これはどういう状況であなたは開発しているのですかと。我々はどこまで頑張ればいいか、判断できる材料を示せと、材料を注文しにいくたびに言われることです。ですので、こういったものをぜひ国として固めていく必要がある、提示する必要があると思われます。

 最後に、まとめの方はざっくり書かせていただいていますけれども、赤字のところだけが重要と考えていますのでそれを申し上げますと、まず材料開発というのは、設計技術開発と連動してやらなければいけないものになっています。特に核融合炉の場合には、そういったものであるということを御理解いただきたい。それから、基本的に今、我々が原型炉を設計しようと思ったら、先ほど申し上げた初期ブランケット設計範囲の中で、原子炉照射のデータでやることになります。IFMIF照射というのは、それを実証するという意味では非常に重要であることには変わりありません。そして、原子炉照射、フロンティア、それからIFMIF照射というのが、設計技術開発や材料開発の根拠になっていくということになります。以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、引き続き室賀先生お願いします。

【室賀教授】  今、谷川さんの方から包括的なお話をいただいたのですけれども、特に規格・基準、信頼性の方についてはかなりお話しいただきましたので、私の方は、大学、NIFSの方の立場としまして、材料開発戦略、特に先進材料の話と、それから、IFMIFに長く関わってきた者として、IFMIFの必要性なり最近の議論に対しての私の考え方を申し上げたいと思います。

 最初2枚目ですが、大学の核融合炉材料をどうやってきたかというのは、これに対しての方向を大きく決めたのが、今から10年前の核融合会議の計画推進小委員会のこの報告で、これを大体バイブルとして我々の方向を考えてきたというのがこの10年間です。ここにありますように、当時の原子力研究所は第一候補材料についての中核的役割、あるいは連携・協力、IFMIF計画の推進。大学は、広範な知見を生かした先進候補材料の研究。それから、その下のことは、大洗の施設とか、あるいはネットワークの整備ということを書いております。第一候補材料というのは、低放射化フェライト鋼で、今谷川さんが話されたとおり。先進材料は、バナジウムとSiCというものを出しておりました。

 3枚目に、先進材料のことを書いてあるわけですけれども、フェライト鋼と先進材料、どれも低放射化構造材というものでありまして、左の図は炉をシャットダウンした後に、どれだけアクティビティーが残っているかと書いていますが、そうしますと数十年から100年の冷却で、ほぼリサイクル。このリサイクルというのは一つの目安として出しましたけれども、可能なところまで落ちると。これはSUS316鋼との違いであります。

 先進材料の特徴ということでいいますと、右の方に、これは熱応力因子というのが縦軸です。これは熱伝導と引っ張り強度、線膨張率などで決まる特性値で、簡単に言いますと、熱負荷をかけたときに、熱応力にきちんと構造強度が耐えられるかということのメジャーになります。これはSUS316鋼が大変低いのは熱伝導が低いからで、そういうことでオースナイトはどうも構造設計が成り立たないということは、随分前に結論づけられました。フェライト鋼はいいのですが、高温になると急に強度が落ちてきますので、550℃くらいと言われていますが、その上は厳しくなります。一方、SiCやバナジウムは、高温は大変得意なわけです、こういう物理的な特徴から。ただ、ここに吹き出しがありますけれども、それぞれある種のアキレス腱を持っていまして、フェライト鋼は御存じのように強磁性材料という問題をまだ持っています。それから、SiCは何といいましても脆性な材料で、これが構造材になるかどうか。バナジウムは活性材料といいまして、いわゆる不純物との反応が厳しくて、そういうことのコントロールが大変。開発段階は遅れているけれども、高温に使えるということはあるのですけれども、それぞれ非常に大きな問題を持ちながら進めているというのが現状でございます。

 大学はこの10年間どうやってきたかといいますと、大学はいろいろな材料系のアクティビティーがありまして、広範な知見を生かして、低放射化フェライト鋼にもいろいろなコントリビューションをしていまして、例えば、9CrのJLF-1の製作とか、あるいは接合法、被覆法、液体ブランケットに関してはそれぞれの腐食試験などで、今ではこれはBAの協力研究として、大学のフェライト鋼の研究は大きくコントリビュートしているわけです。

 それから、バナジウムとSiCは、書き出したら切りがないというか、書きたいことはいっぱいあるので、これは後に参考資料として述べましたので、御参照いただきたいと思いますが、この10年間共通しまして、製造法、特に大量につくれるというところにつながる方向の製造法と、部材の加工技術を大学とNIFSでやってきまして、バナジウムとSiCに関しては、素材と部材は日本が一番いいものをつくっていると自信を持つようになりました。それに加えまして、照射の基礎研究とかブランケットの基礎データベースを、今整備しているというところです。そのほか広範な基礎研究、それから、ブランケットや炉設計の貢献となっています。

 次の5ページにロードマップが書いてあるのですが、谷川さんが書いたのと基本的に同じなのですが、少し分かりやすくというか、自分の強調したいところを大きく書いたわけですけれども、材料ブランケットのオプションとして、低放射化フェライト鋼を使った第1世代のブランケット。それからさらに高温化し、あるいは高効率化した先進材料を使ったブランケットの開発というものを、赤と青の線で示したもので、IFMIFとITERのTBMというのがここに入っております。

 先ほど谷川さんのお話にありましたように、赤線の方ですが、なるべく早く初期段階のIFMIFの機会を使いまして、原型炉の工学設計に資するためのデータをとると。例えば、30dpaとかそういう値ですね。これで工学設計、あるいは建設判断を可能にしたいと。さらに照射を続けまして、DEMOがどこまで運転を続けるかということを確認したい。これは赤の線であります。それに対して青の実線の方ですが、これは先進材料はさらにその後に高度化のブランケット、高度化のシステムをねらっていくというのを大きな目標にしていますので、初期にはこれまでの知見が大きく間違っていなかったことを確認する試験を行いますが、その後はフェライト鋼の試験の後にたくさんの試験を行いまして、特にDEMOのところで高機能ブランケット試験を行いまして、さらにDEMOのアドバンスをしたものをねらうという、そういう可能性を明らかにしたいと思います。

 ここに点線の青がありますが、これはいわゆるバックアップ戦略でして、もしフェライト鋼の強磁性の問題が解決されないとか、簡単に言いますとこけた時のために、その後のバックアップということで、それほど遅らせないために何とかこれをつなげるという考え方であります。

 次のページに、IFMIFがなぜ必要かということを1枚で書いておきました。IFMIFの原理とかは皆さん御存じと仮定しまして、ここではそもそものことは割愛させていただきました。後で比較しますが、簡単に言いますと、プラズマの中性子源では寿命を含めた材料の特性評価が不可能ということ。それで核分裂にずっと使っているのですが、ヘリウム効果の確認がどうしてもできないということです。時々よく使う図ですけれども、左上に中性子エネルギーとn,αの断面積で、多くのケースのn,α反応は5ミリオンを超えてから高くなります。核分裂ではほとんどない中性子ということで、結果としまして、左下にありますように、横軸にdpa、縦軸にヘリウムで、赤い領域が核融合となります。IFMIFというのはD-Li反応でここをカバーできるようになっていますが、高速炉、あるいは普通の原子炉ではこのような下の方になります。

 右にある図は大変古いものなのですが、いまだにその時の影響が大きいのでちょっと御紹介いたしますが、昔、鉄ニッケルクロムというオーステナイト鋼が候補材でありまして、これはニッケルを含みます。ニッケルといいますのは、中性子の中でも熱中性子と反応して、結局α線を出してヘリウムをつくるというので、ニッケルを含ませるとヘリウムを出すことができるのです。それは以前いろいろ研究しました。それで特にニッケルの同位体なんかも使ったりしたわけですけれども、そうしますとヘリウムオーバーdpa、1dpa当たりのヘリウム発生量をこういうふうに大きく変えることができると。核融合条件と見なして、ここに調整してヘリウムを出したところ、そこのところが一番ボイドが大きくて、材料の劣化が一番進んだということは、その当時ショッキングだったわけです。つまり、核融合程度のヘリウムが出るのが材料に一番悪いということがでまして。ただ、ニッケルというのは、その後の候補材には使われておりませんで、これはもう使えないのですね。

 ですから、この後どうしたかといいますと、下に書いていますが、ホウ素添加、ボロン10でヘリウムをつくるとか、いろいろなトリチウムを含ませることなんかもやったのですけれども、原子炉照射内でヘリウムを発生させる方法をいろいろやりまして、我々も日米協力などでも大きなテーマだと。ただ、核融合環境での信頼できるヘリウム効果の理解というのは得られておりません。これはいろいろ苦労しているところは、最後のページに載せましたので、これはもしお時間ありましたら、いろいろやってきたということを御参考にいただきたいと思います。

 それで、IFMIFはこのように大変大事だといっているのですが、IFMIF以外のものでも何とかなるのではないかという話はよく聞きますので、それについて若干前のめりでありますが、私の意見を述べさせていただきます。

 まず核破砕中性子源ですが、これはオークリッジやロス・アラモス、あるいはスイスのPSIなどで使われていますし、J-PARCもこちらの方に発展していく可能性があると思いますが。ちょっと見にくいですが左の上の方にありますのは、1GeV近くのプロトンビームを重いターゲット、例えば水銀とかタンタルとかタングステンとかそういうところに当てますと、核破砕中性子が発生しまして、それをリグを用いまして、そこで中性子照射をするという、核破砕による中性子により調整する。左下にそのスペクトルがありますが、ブルーにありますのがピークであります。これが14MeVにピークになる、核融合の典型的なスペクトルでありまして、そしてちょっと見にくいですが、IFMIFと書いてある空色のと黄土色の、これはIFMIFでありまして、そこにちゃんとステップが、ピークがくるように調整してあります。しかし、MTSというのはスポレーションなのですが、スポレーションはだらだらとスペクトルがテールを引きまして、数百MeVまでいってしまうということです。これが何に影響するかといいますと、先ほど言いましたヘリウムの発生量に影響します。

 確かに高いところになるのでヘリウムは出るのですが、右の上の方の図を見ていただきますと、各照射リグにおけるヘリウムオーバーdpaになっていまして、左上の各MTSの照射リグに対応するのですが、場所によりましてヘリウムオーバーdpaがどんどん変わってしまいます。IFMIFでは、少なくとも強照射領域ではすべて同じ核融合条件に合わせることができるようになっていますが、核破砕中性子がこのようにずれてしまって、ほんとうに核融合相当のヘリウムを出せるのは、ほんの一部ということになります。この辺が限界であるということ。

 それからその下に、今までの設計の中ではどうしても照射量はIFMIFやDEMOの10分の1程度にしかならないということ。この辺が限界です。ただ、こういうものも使いようがあるということを、次の8ページに出しておりまして、これは谷川さんの図にもありましたけれども、左の図は横軸dpaのルートで、縦軸はDBTTの変化です。この線がありますのは、原子炉と書いてありますが、低放射化フェライト鋼の場合は、最近のいろいろなデータで、ヘリウムが出ない原子炉で照射しますと、DBTTはこのように上がってきますが、途中で大体サチュレートするのではないかということが、共通認識として、データとしてまとまりつつあります。ただこれに、ここに核破砕中性子源のデータをとりまして、いろいろなところのデータがありまして、非常にDBTTの高いものであります。これはヘリウムの影響なのですが、見てお分かりのとおりに、核破砕中性子源というのは、温度とヘリウムの発生量、それから照射量をコントロールすることが難しいので、ばらばらのデータになってしまうということです。

 ただしこういうものから、核分裂中性子、それからイオン照射とかモデリングをいろいろやってきました結果、ある程度の予想がつくようになってきまして、それが右のように書いてあります。これは現在、このようになるのではないかと考えられている、低放射化フェライト鋼のDBTTの上昇でありまして、まずある程度まで上がったところでサチュレートする。ただしだんだんヘリウムがたまってきて、それが界面にたまってきて、界面が大体もろくなっているということで、再びDBTTが上がり出すのではないかと、このように考えられているわけです。

 そうしますと、ここに赤い四角を書いておきましたが、こういうところで本当に上がるかと。あるいは、ここまでは上がらないのかという、そういうところを調べたら、このモデルというのは相当検証できるわけで、そういう意味では全部がなくても、ある程度のところをポイントを調べれば、このモデルが使えるかどうかというのは、結構早く検証できるということで、この核破砕中性子源が役に立つか役に立たないかということの議論のときに、このように原子炉や核破砕中性子源を使うと、将来IFMIFで試験すべき、検証すべき項目を絞ることができる。効率よく材料開発ができるという意味があるということで、意義があります。ただ、これは役割を逆転させることはできないということです。

 もう一つは、これもプラズマ中性子発生装置で材料試験をしろというのは、よく出てきます。特に今、アメリカではFNSF提案という、これも球状トカマクとか普通のトカマクとかいろいろな案が出ていますが、とにかくコンポーネント試験プラス材料試験ということが言われております。もちろんプラズマ中性子源をつくって、そこで中性子を当てれば、IFMIFでは難しいコンポーネント統合試験ができる。例えば、溶接材、つけ合わせ溶接材を切り出さないでそのままの大きさの試験ができるとか、そんなこともできるので、意義があることは確かなのです。ただ、この先は私見になりますが、プラズマ中性子発生装置がこの目的のために最適化されていませんで、プラズマ実験のためにつくりますと、こういうところにはなかなかうまく適用できないということになりますので、その辺のところの議論もあると思います。

 それで、さらに過激な議論がありまして、材料開発はこの装置があればいいという議論が、アメリカで最近だんだん耳にするようになりました。極端に言いますと、これでIFMIFのかわりになるという。例えば、中性子をたくさん出そうと思ったら、どんどんエネルギーを投入して中性子を出すということになるのですけれども、そうしますとプラズマ中性子発生装置の構造材そのものが問題になるので、このプラズマ発生装置を建設して運転するのにIFMIFが必要になるということで、ちょっと自己矛盾に陥るというのが一つ。

 それから、それではなくて、弱い装置で時間をかけていけばいいというのが次でありまして、例えば10dpa程度だったら、先ほど初期は30dpaくらいは大丈夫だろうと、IFMIFで確認すると言いましたが、10dpaだったらIFMIFの確認も要らないのではないかという考えもあるのです。現在のデータで担保できるだろうと。そのときに、10dpa程度の構造材のプラズマ中性子源をつくりまして、その前面に試験体を置いて、もっと中性子をたくさん当てると。そういうことで先を見通して、それで運転を続けていくということをやろうという案が出ていまして、これはbootstrap approachといいまして、自分で自分のためのデータをとっていくという意味なのですけれども。

 これは右下にありますが、軽水炉の圧力容器のサーベイランス試験と全く同じ考え方で、ここにあります圧力容器の10センチくらい内側に監視試験片を置きまして、そして2、3倍フラックスの高いものを試験をして、それで圧力容器が将来どうなるかというのをちゃんと予測して、担保して運転を続けるということであります。これは見てお分かりのとおり、水という減速材がありますので、10センチも前にすれば2、3倍フラックスが増えるし、この場所と圧力容器の温度とかスペクトルはほとんど変わらないわけです。ところが、プラズマ発生装置の第一壁から前の方に近づけて、フラックスを何倍にするということは、同じ条件にするということはとても無理であります。

 それから、このような圧力容器の鋼材も、実はもともと材料試験炉の炉心で高い照射量までのデータをとった上で、こういうサーベイランスをしているということでありますので、そういう高い照射量までのデータをとるということが必要で、それはやはりIFMIFが必要ということになります。こういうことで、プラズマ中性子源でIFMIFを要らないというのは、ちょっとそれは乗れないだろうと。

【小森主査】  あと2分でお願いします。

【室賀教授】  あと2分。はい。

 次はまとめになります。この表があります。これはかなり私見が入っていますが、今までの四つのものを、候補材の絞り込み、モデル検証、寿命評価、コンポーネントテストの点で比較しました。大事なことは、モデル検証と材料の寿命評価は、IFMIF以外はほとんど使えないということで、◎がついていますが、ほかのところで代用ができないということを申し上げたいと。あと私の私見も入っていますので、御批判いただけたらと思います。

 IFMIFの仕様ですが、先ほどありました、日米でもう少し小さくできないかという話が出ています。いろいろな予算とかあるのですけれども。今の議論でお分かりになりますように、いくらIFMIFを小さくしても変更できない仕様というのは中性子スペクトルでありまして、ヘリウムオーバーdpaがずれてしまったら、これは何にもならない。例えば、小さくしますと、例えば試料の表と裏で温度が違うとかフラックスが減衰するとかいって、だんだん制御性が落ちてくるわけですね。そうするとデータの質が落ちますので、そういうデータというのは材料のバリデーションに使えないということで、変更できないのは、中性子スペクトルと、温度、雰囲気の制御性であります。

 一方、照射量と照射体積はマージンを見直すとか、先ほどありました材料の規格をはっきりさせることによって、想定マトリックスを絞っていくということができますし、先ほど30dpaで工学設計の建設判断ということを言いましたが、これはもしかしたら20dapでもできるかもしれないと。こういうところが調整可能と。

 いずれにしましても、EVEDAの期間はあと5年あるわけですけれども、こういうところをもしIFMIFの仕様とかでもっと議論したいのならば、微小試験片の規格整備をどういうふうにしていくかという方針を決めて、その方針に基づいてテストマトリックスとか試験計画の具体化を行うと。これによって、仕様についていくつかのオプションも考えられるようになるということで、やはり微小試験片でやっている限り、規格整備というのを進める努力をしなければいけないと思います。

 規格、基準、安全は、私はそれほど専門でもないということを申し上げましたが、何か話してくれということでしたので、少し飛ばしますが、2番目のブランケットの安全上の位置づけですけれども、ブランケットというのは何であるかという、昔からの議論があったのですけれども、安全障壁であるかと。これは原子力の圧力容器に相当します。あるいは少し壊れても、若干壊れても使ってもいいのではないかと。これは被覆管ですね、まさに。じゃあブランケットはどこかというと、多分1にはしたくない、だれも。2ということは多分許されないということで、多分3で、安全障壁ではないが、破損は容認されないということだと思うのです。そうしますと、資産保全上は1と同じなのですけれども、そういう点ではインパクトはちょっと違うと。

 これをいろいろ議論したいのですが、我々のような材料研究者にとっては、これがどういうふうに位置づけられるかというのが大きく影響するのは二つありまして、一つは、脆性材料をブランケット構造部材に使用できるかということで、これはSiCの研究者も、構造材に使われることを夢見てやっているわけです。今は機能材の方も大きくクローズアップされていますけれども。そうしますと、破損が決して容認されない。あるいは、それが安全の問題にまでなるとなりますと、脆性材料を使うということに対して、非常に困難を感じるわけですね。その辺のことがどうなるか。それから、DBTTの上昇はどこまで許されるか。先ほど何℃まで上がったとありましたけれども、これも室温なのか、100℃なのか、あるいはブランケット温度の少し下なのか。この辺というのは、上のどういう役割であるかということによって決まってくるわけです。

 下に書いたのは、これはホームページからコピーしたもので、あまり私は責任持って言えないのですけれども、簡単に言いますと、監視試験のDBTTから、原子力の基準によりまして安全領域を決めまして、そのときに事故で水を入れたときにどれだけ応力がかかるかと。そのときは応力がかかっても許容限界に抵触しない、これだけ安全であるということでいっていまして、サーベイランス試験で安全が担保されているということです。これは安全障壁として使ったときの安全の説明の仕方なのですけれども、ブランケットはこういうふうな説明は多分したくないので、じゃあどういうふうな説明をして破壊を防ぐことを担保しているかということをいったらいいか。そのためにはDBTTはどこまでという基準が出てくるわけですね。それを我々は知りたいということで、この辺のことに関して、材料研究者として大変関心を持っています。

 それでは、まとめさせていただきます。赤いところだけ読みますけれども、大学では広範な基礎研究と先進材料の高度化を目指した研究開発を進めています。IFMIFというのは、DEMOの工学設計材料データベースを得るということで必ず必要なのですが、先進材料というオプションをとっても、IFMIFは非常に重要な役割を果たしています。原子炉と核破砕中性子は、IFMIFの試験領域を絞り込むのに大変有用で、これから使っていくべきだと思いますけれども、その役割にとってかわることはできない。プラズマ中性子源はコンポーネント試験としてももちろん意義があるわけですけれども、それ用にちゃんと設計されなければいけないということと、照射量としてはやっぱり不十分なところがあると。EVEDAの残った期間に、今からIFMIFを、これから仕様についてどう見直すかなんてこともありますので、材料試験の規格基準の整備方針というのを明らかにして、テストマトリックス、それから試験計画を具体化していくと。こういうようなことを、残ったEVEDAで力を入れてやっていくべきではないかと思っています。以上です。 

【小森主査】  お二人とも1時間あっても足りないようなお話を、短時間でしていただきましてありがとうございました。御質問、御意見がございましたらお願いします。

【小川委員】  谷川さんの方に質問ですけれども、5ページ目と7ページ目の図で、何を聞きたいかというと、DEMOフロンティアのパイロットIFMIF、これがどの程度の意義があるのかという点です。7ページの方から見ると、ヘリウムの生成量、原子炉に比べてやっぱり2けたくらい違うから、明らかにこれは意義があるという事ですね。5ページの方は30から50dpaくらいで効果がでてくるようですが、原子炉照射データのグリーンのプラスというのは、実験測定値なのですね。

【谷川グループ長】  はい。

【小川委員】  IFMIFデータの方の点線は、こうなるのではないかという数値なのですね。

【谷川グループ長】  そうです。最終的にはこういうところに。

【小川委員】  それで、IFMIFでやってみないと分からないと。

【谷川グループ長】  はい。

【小川委員】  そうすると、5ページの方の図だと、30から50dpaでは、まだ原子炉照射データと差が出てこない領域のように見えます。そのため、DEMOフロンティアのデータの意義というのがよく見えなくなっていますが如何でしょうか。

【谷川グループ長】  これはですから、タイミングですね。それを説明するのは6ページの図で、要するに、いつどういうデータがあって、どこまで証明するか。それでその設計とか材料信頼性のリスクをどこまでとるかという話になります。例えば、フロンティアなしでIFMIFでやりましょうといった場合には、工学設計活動、それから製造設計段階に入る段階では、いわゆる14MeVの中性子照射データなしで、我々の模擬照射とか、研究成果での予測と、原子炉データでやることになります。ですから、そこに伏兵がいるかもしれない。

 例えば、20dpaとか30dpaの範囲で、原子炉データで使いますと、僕らは予測すると思います。これで原子炉データで、こういう設計構造でやりましょうという話までつくると思います。だけどそこには、例えばなかなか追いきれない複雑な現象、疲労になったときとかの複合負荷とか、もっと実際には複雑な負荷がかかっていくわけですけれども、そういったときに、結局ヘリウム効果というのは本当に出ないのかとか、そういったことは回答なしで、だから、ある意味予測はしますけれども、かなりリスクが高い状態で製造設計に入ります。

 ですから、製造設計をやっているときに、当然IFMIFは動いて、データが出てきたときに、製造設計が終わりました、建設判断します。IFMIFのデータもそろいましたという段階になって、実はというふうにちゃぶ台をひっくり返されるリスクは出てくると。だから、このリスクを含めてやることはできるけれども、そのリスクを下げるという意味では、できるだけ早くデータ、そういったものを、20dpaの範囲とかでもいいから、とっていった方が良いと。あとはディファクトスタンダード化という意味で、そのデータを最初に出したものが、かなり材料としては有利になるというのはございますけれども。

【小川委員】  分かりました。

【小森主査】  ほかにございますか。どうぞ。

【森委員】  今の5ページの図でいいのですけれども、ヘリウムの効果というのが出てくるのは、少ない線量、dpaではあまり出てこなくて、途中から出てくるという予想を今立てているわけですね。それは先ほど室賀先生の方でお話しされた、核破砕のデータから予想しているということですか。

【谷川グループ長】  はい。それとイオン照射とかいろいろあります。

【森委員】  このような予想は持っているけれども、最終的にはDEMOフロンティアの研究活動で、確認をしないといけないという考えですか。

【谷川グループ長】  リスクはあると思っているということです。僕らは限られた、イオン照射だったら、すごい狭い領域から予測する。核破砕中性子源だと、いろいろな核破砕中性子スペクトルというもののアンノウンの部分というのが、例えば全部安全側に、ですから、全部データが悪い方向に効いていれば問題ないのですけれども、例えば、ニッケルができる、チタンができる、核破砕の高エネルギーの反応によってできていくのですけれども、それってたまに危険が、要するに、特性としてはよくする特性が入っていってしまうのですね。ですから、そこで絶対にデータが安全側の評価になっているという確証があれば、僕らはそのままでできるかもしれないですけれども、それは分からない部分はあります。そのリスク込みで、どう判断するかということに尽きます。

【森委員】  分かりました。

【小森主査】  ほかにございますか。どうぞ。

【平山委員】  IFMIFが重要だというのは良く分かるのですけれども、もしこれがもうちょっとこの仮定よりも遅れたら、全体が遅れるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

【谷川グループ長】  同じリスクのとり方、どれくらい我々がその時点で緊急に核融合炉を動かさなければいけないかという考え方によると思います。

【平山委員】  逆に言うと、そういうことがはっきりしない段階でつくることは可能なのでしょうか。

【谷川グループ長】  それは原子炉の開発の段階を見てみると、例えば、最初に原子炉が何dpaまで、どこまで運転するというのを、材料データを全部持って開発が進んでいくかといったら、答えはノーなわけですよね。原子炉、原型炉の場合でも、例えば材料、IFMIFの照射内というのも、原型炉の原子炉照射データをもとに設計して、あとはステップ・バイ・ステップで50dpaや10dpaで確認しては次に進む、確認しては次に進むというふうに進むというやり方に変わると思います。

【室賀教授】  原型炉の許認可をとるときに、このぐらいの、どのデータが必要かというのはもちろん基準がないので分からないわけですね。だから、それらの基準づくりと両方やっていかなければいけないのですけれども、我々は最低このぐらいは必要だろうと今のところで考えているのが、20dpaとか30dpaというデータなわけです。それが遅れるとなりますと、そのデータがそろわないで許認可がとれるかという、そちらの方の問題になってしまうので、その議論というのは、我々としては想像の世界に入ってしまいますね。だから、そういうリスクを、つまり、せっかくあったものを原子炉データ、フロンティアのデータを持っていっても、それでは許認可がとれない。それでは世の中に納得してもらえない可能性があるということで、同じリスクで考えたら遅れますよというふうに言っております。

【小森主査】  ほかにございますか。

【堀池委員】  一ついいですか。室賀先生の7ページですかね。核破砕中性子源の利用可能性というやつね。これは多分、昔IFMIFのEVEDAの発足のころに、IFMIFの重要性を考えるときにはなかった新しい……。

【室賀教授】  いや、そうではありません。これはありました。

【堀池委員】  ファクターになってきていると思うのですよ。それでこういうMTSとかJ-PARCの新しいニュートロンソースと、どういうのですかね、もうちょっと割り振ることによって、もう少し先進的な研究ができるとか、IFMIFの性格が変わるとか、その検討はちょっと必要なのかなと思うのですけれども、その辺は検討されているのですか。

【室賀教授】  核破砕中性子には非常に古い歴史がありまして、私が20代のときから実はやっているので、これは高エネルギーテールがあるからだめだという話は前からあったのですね。ところが、だんだん具体的なデータが出てきて、ヘリウムオーバーdpaの分布とか、それによってさすがにどこまでいけるか分かってくる。また具体的なスポレーションの重照射のデータも出てきたのですね、10dpaオーダーの。そういうことで位置づけがはっきりしてきて、モデリングのベースという位置づけができるようになったので、前よりはポジティブなとらえ方をして、IFMIFに対してこれだけのことをまず押さえれば、さっき言った許認可――まあ、許認可と言えませんけれども、30dpaのところまで一つ押さえればいいのではないかというのが出てきた。そういう意味では、既に核破砕中性子のコントリビューションは大きいわけです。大きいわけですけれども、最初に言ったとおりで、その役割をひっくり返すことはできないということは、ますますはっきりしていると言ってもいいと思います。

 以前は試料を破砕中性子源にちょっと差し込んで取り出して電子顕微鏡で調べるとか昔やっていたのだけれども、こういうステーションとかがしっかりできるようになりますと、そういう意味では材料評価に使えるデータがとれてきているということで、そういう意味ではスポレーションの位置づけが、むしろきっちりしてきたというのが、この10年くらいのことではないかと思います。

 ヘリウムの効果がないのではないかと、極端にはそういう意見もあったのです。フェライトの非常に楽観主義者の方がですね。さすがにこれを見ると、ヘリウムの効果があるということを認めざるを得ないというのが10年くらい前に起こりました。それからこういうふうに。

【小森主査】  ありがとうございました。

 申しわけありませんが時間がありませんので次にいかせていただきます。次は加熱・電流駆動システム開発について、竹入先生からお願いします。15分でお願いします。

【竹入教授】  加熱・電流駆動システム開発について報告させていただきます。この資料の1ページ目にありますように、この報告はJAEAの坂本先生、井上先生、筑波大学の今井先生、東北大学の安藤先生の御意見等も参考にして、私の責任と私の考えをもとにまとめさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 この加熱・電流駆動に関しましては、検討すべき項目として三つ与えられています。原型炉に向けた加熱・電流駆動機器の工学的・技術的基盤体制の確立をどう図るのか。二つ目に、連続運転を可能とする高効率の加熱・電流駆動機器の実現をどう図るのか。三つ目に、保守・メンテナンスの方法はどうあるべきかという三つの課題を与えられまして、そこら辺を踏まえまして、ここに述べています四つの内容について報告させていただきます。

 まず2ページ目でございますけれども、簡単に、原型炉における加熱・電流駆動機器への要求をまとめました。既に御存じの内容ですけれども、原型炉における加熱機器の役割としましては、プラズマ点火。これは自己点火、イグニッションにおける役割。それから、電流駆動の役割。そして、燃焼中のプラズマの制御という三つの役割があるかと思います。プラズマ点火に関しましては、非常に大きな電力が必要であるということ。電流駆動に関しましては、1年365日の連続運転、それに伴うシステムの非常に高い効率が必要であるということ。プラズマ燃焼制御では、高い信頼性が必要になるということが挙げられるかと思います。

 代表的な加熱・電流駆動機器としましては、NBIとECH。NBIでは原型炉におけるプラズマ点火と電流駆動のメインの役割が期待されておりまして、ECHでは、この点火と電流駆動に対する補助的な役割とともに、特にECHはローカルな制御ができる、局所制御ができるということで、燃焼制御、電流分布制御を通じた燃焼制御に期待されているところであります。いずれにしましても、こうした大電力機器の連続運転、高効率運転並びに高信頼性運転が、中性子照射環境下で求められるということが、原型炉における加熱・電流駆動機器への要求になっているわけです。

 3ページ目に、原型炉で想定される加熱・電流駆動機器の仕様をまとめさせていただきました。NBIとECHについてまとめていますけれども、まずNBIについては、入射エネルギーとしましては、1から2メガ電子ボルトということですが、最近のここら辺の原型炉の仕様は、非常に原型炉の設計とかシナリオに強く依存しています。数字は非常に大きな幅を持っていますけれども、最近の先進型トカマクの設計におきましては、入射エネルギーは、例えば1.5メガ電子ボルトとか、1メガ電子ボルトという設計も出ていますので、少し大きな幅を持った想定になっています。入射電力は、イグニッションに関しましては100メガワット程度と考えられますけれども、カレントドライブ、電流駆動に関しましても、最近の設計では100メガワット程度で十分である。100メガワット以下の設計も大分進んでいるようですので、ここでは100から200と書きましたが、実質的には100メガワット程度であるというふうに考えられます。そうなってきますと、いわゆる自己点火に必要なパワーと電流駆動に必要なパワーは、ほぼ100メガワット程度をターゲットに据えておけばいいのかなという感じになっております。

 機器として重要なのは、むしろポート当たりの入射電力という観点で、1ポート当たりの入射電力が、非常に幅がありますけれども、20から60メガワット程度を想定しておけばいいのかなと。パルス幅としましては、イグニッションに関しては、シナリオに依存するところがありますけれども、1時間程度を見ておけばいいのですけれども、カレントドライブに関しましては、1年間の連続運転が要求される。したがいまして、1年間の連続運転の要求に対して、高いシステム効率が必要であるということで、ここでは60から70%を想定しています。

 ECHに関しましては、原型炉の磁場強度にも依存するのですが、170から220ギガヘルツ程度の周波数。特にローカルな加熱を可能にするために、周波数可変という概念が取り入れられています。入射電力に関しましては先ほどと同じように、当面は100メガワット前後を想定しておくという形で、ポート当たりの入射電力を、40から60メガワットを想定しています。ECHに関しましては、ジャイロトロンの本数でパワーを積算する形になりますので、ジャイロトロン出力としては1から2メガワット程度。パルス幅とシステム効率に関しましては、NBIと同じような考え方になっております。

 4ページ目になりまして、特に連続運転という観点から、原型炉に向けた課題をまとめてみました。電流駆動・制御のためには、非常に長寿命な連続運転が必要とされています。信頼性の高い1年以上の連続運転が必要という形で、長寿命の連続運転が課題として挙げられています。もう一つ連続運転に伴い、還流電力の低減に必要という観点から、高いシステム効率。60から70%程度が必要とされているのがあります。さらに連続運転という形で、常に中性子照射環境下に加熱の機器がさらされるということから、中性子照射環境下での機器の寿命、信頼性の向上が求められるということが、連続運転を可能とするために求められる課題かと考えられます。

 ここに述べましたシステム効率というのは、電気入力に対するプラズマ入射電力の割合を、システム効率と述べさせていただいています。例えばECHの場合は、ジャイロトロン発振管の効率を70%としましても、伝送・入射効率を90%としますと、大体63%程度の全体のシステム効率になりますし、NBIの場合には、例えば中性化効率が非常に大きなポイントになってきまして、光中性化を採用しましても、もろもろの効率を考えますと、やはり6割から7割程度の効率という形が上限になってくるかと思います。このシステム効率は、非常に大事なポイントになってくるかと思います。

 5ページ目には、保守・メンテナンスの方法ということに関連しまして、三つ目に先ほど挙げました、中性子照射環境下における状況について、ちょっとまとめてみました。NBIに関しましては、電源が建屋の外にありますので、中性子照射環境下にはないのですけれども、直接の運転に関しましては、ポートを介してイオン源が直接プラズマに対するということで、イオン源が中性子に直接照射されるという状況になっています。したがいまして、運転時の性能劣化についての検討の必要がありまして、また同時に定期保守時には、イオン源の取り外し、解体、点検、保守等は遠隔リモートで行う必要が出てきます。またビームラインも、入射ポートから直接中性子に照射される部分と影になる部分があるわけですけれども、同様に中性子に直接照射される部分があるということで、それに対する構造検討、性能検討と遠隔の保守の必要が出てくるというのがあります。

 それに対しまして、ECHに関しましては、ジャイロトロン、電源はトーラス建屋外に設置されるということで、中性子の影響もないということと、伝送系自身は基本的にメンテナンスフリーということで、また単位としては1から2メガワットの単位で構成されるということから、比較的運転中の保守・メンテナンスが楽な状況になってきます。もっともECHに関しましては、プラズマに対向する部分がランチャーの部分、いわゆるプラズマに入射する部分になってくるわけですけれども、現在の設計では、運転時のメンテナンスフリー化を目指して、ミラーを使わないミラーレスの導波管入射型を中心とした設計になっております。定期保守時にはランチャーの交換・保守を遠隔で行うことになるのですけれども、基本的にそれのみになってきまして、マイターベンドに関しましてもプラズマから離して、定期保守時に交換・保守を行えば済むという基本的な設計になっているところが、ECHの特徴になっています。

 以上が全体的な話になっていますけれども、個別の課題として、繰り返しになりますが、6ページに、原型炉に向けたNBIの開発課題をまとめさせていただいております。原型炉に求められるNBIの仕様としましては、入射エネルギーとしましては1から2メガ電子ボルト。入射電力は、先ほど申しましたように100メガワット程度を想定しておけばよろしいかなと。むしろポートを通過する1基当たりのパワーとして、20から60メガワット。入射時間としては、点火に1時間、電流駆動には1年以上の連続。システム効率としては60から70%という、そうした想定される仕様に対して、開発課題としましては、長寿命・メンテナンスフリーという観点から、イオン源としてはRF負イオン源の開発が挙げられると。それから、高エネルギービームという観点から、1から2メガ電子ボルトの静電加速を実現するための高エネルギービーム加速。それから、長寿命の連続運転という観点では、熱負荷の軽減という観点。そして、大事な項目としての高効率のビーム中性化という観点で、光中性化セルの開発。それから、中性子の照射環境下での機器の寿命、信頼性の向上といったあたりが、原型炉に向けたNBIの開発課題になってきています。

 ECHに関しましては、7ページ目にそこら辺をまとめております。繰り返しになりますけれども、ECHの仕様に関しましては、170から220ギガヘルツの周波数可変の周波数に対しまして、入射電力がトータルで100メガワット前後を想定しておいて、1ポート当たり40から60メガワットの入射システム。ジャイロトロン1本という観点では1から2メガワットの発振出力ということになります。入射時間、システム効率等々に関しましては、NBIとほぼ同じような形ですけれども、ECHの開発課題としましては、元となるジャイロトロンの開発がメインになってきまして、高周波数化、特に周波数高速可変化のジャイロトロンの開発が重要になってきます。あと70%以上の高効率化、連続運転に向けた高信頼性・長寿命化といった観点でのジャイロトロンの開発。それから、入射システムとしましては、ランチャーシステムの耐高中性子負荷、耐高熱負荷に対する開発としまして、ミラーレスの導波管入射型ランチャーシステムの開発といったものが、主要な項目として挙げられています。

 これをどういう形で工学的・技術的基盤、体制を確立しながら実現していくのかというところで、一つ大事なポイントとして、ITERにおける開発が挙げられています。8ページ目に、ITERにおける加熱・電流駆動機器の仕様と、原型炉における要求の比較を表にまとめました。入射エネルギー、ITERは1メガ電子ボルトになっております。先ほど申しました原型炉では、現実的な設計では1.5メガ電子ボルト程度を想定しておけばということで考えますと、NBIでは、ITERでの1メガ電子ボルトの実証が非常に重要になってきています。入射電力に関しましても、例えばITERでは3ポートを使って50メガワットというようなアップグレードの仕様になっていますので、その延長線上に100メガワットというのも見えてくる形になってきています。パルス幅に関しましては、ITERは1時間3,600秒を規定していますので、それに対して1年間というのは非常に大きなステップになってくる。あるいは、システム効率に関しましても、40%を60%に上げるというのも、ちょっと大きなステップになってきています。

 ECHに関しましては、周波数に関しましては、周波数可変というポイントがありますけれども、周波数帯そのものに大きな変更はありません。それから、入射電力に関しましても、現状のジャイロトロン出力が1メガワット管の1,000秒が既に実証されていますので、出力パワーに関しては、その延長線上にあるということが言えます。ここでも同じように、パルス幅に関しましては、1時間連続の3,600秒は既にITER用に開発されておりますけれども、1年間に対するステップは、ちょっと大きなところがあるということ。システム効率に関しましては、着実にジャイロトロンの効率アップが、現状でも進んでいるという状況になっています。

 ということで、9ページ目には、ITERにおけるNBI、10ページにはITERにおけるECHシステムがちょっとまとめられていますけれども、ここでは割愛させていただきます。

 そうしたITERの仕様に向けた内容と、原型炉での要求仕様を比較したときに、一つ大きなポイントとして11ページ目にまとめましたけれども、ITERへ向けた機器の開発・実証を通じて、原型炉へ向けた工学的・技術的基盤を確立することが可能であるということです。大事なポイントは、基本的にITERで開発した技術の多くは、原型炉へ適用が可能であるということです。例えば、NBIに関しましては、ITERで開発した技術の多くは原型炉へ外挿可能ということで、例えばITERで採用されますRF負イオン源の開発は、その延長線上に原型炉のRF負イオン源がありますし、それから、先ほど申しましたように、ITERで1メガボルトの高エネルギービーム加速の実現の延長線上に、原型炉における、例えば1.5メガ電子ボルト前後のシステムが見えてくる。

 しかしながら、光中性化する技術に関しましては、ITERでは採用されていませんので、新たな技術開発が必要であるということで、そうした事柄を、ITERに向けた技術開発という観点で、NBI開発の工学的試験設備が、既にここにありますように、稼働中のLHD-NBIシステム、あるいは実質稼働中のJAEAのメガ電子ボルト級のイオン源の試験設備。あるいは、今後稼働が予定されているJT60SA-NBIシステム等を用いて、そうした開発試験装置を活用しながら行っていくことができるということがあります。

 ECHに関しましても、ITERで開発した技術の多くは原型炉での使用が可能であるということで、特にジャイロトロン開発は、ITER技術の延長線上にもありますし、ランチャーシステムについてもITER技術の延長線上にあります。それに向けたECHの工学的・技術的基盤確立に向けた試験設備も、既に稼働中のLHD等の設備、それからJAEAの工学試験設備等を活用することができるということがあります。

 そうしたことを前提に考えますと、原型炉に向けて、例えば12ページにまとめましたように、NBIの開発体制と開発シナリオを二つに分けて考えますと、ITER課題を解決するためのITER建設期からITERの運転開始までのところで、国内における工学的・技術的基盤の維持・確立を求めながら、ITER課題に対応した開発を進めていく。そして、それをスムーズに原型炉課題につなげていくということで、原型炉課題の解決に向けては、例えばJAEA、NIFS、大学等による国内プロジェクトによる新たな開発研究体制を確立することが重要ではないかということで、例えば、各課題において、負イオン源、あるいは高エネルギー加速、連続運転、高効率化、光中性化セルの開発といったものを、試験装置の開発とともに、プロジェクト体制を組みながら、原型炉課題に対応していくという体制づくりと試験設備の建設が必要になってくるかと思います。最終的には、一番下の行にありますように、原型炉NBIシステム開発のためのDEMOのテストスタンドの建設も必要になってくるかと思います。

 13ページ目に、そこら辺のところをちょっと絵にまとめましたけれども、内容的には同じになっています。ITERの運転開始までに、ITERに向けた開発を行うことで、国内プロジェクトを立ち上げながら、原型炉に向けた課題を解決していくという体制と開発シナリオの提案になっているわけです。

 ECHに関しましても同様のことが言えまして、14ページにありますように、ITERに向けた開発の課題。既にECHは、ITERのアップグレードに向けた開発を進めております。ジャイロトロンのさらなる高出力化、周波数可変化についての技術開発に既に着手していまして、そこら辺をスムーズに、原型炉の課題解決に向けて、同様に国内プロジェクトによる開発、研究体制の確立を目指しながら、ジャイロトロンの開発、ランチャーシステムの開発等々に結びつけていくという形で進めていくことが必要になってくるかと思います。

 同様に15ページのところに、そこら辺のところを少し時系列的に絵にまとめさせていただきまして、ITERに向けた、特に先進ITERジャイロトロンのシステムの開発をどう、DEMOのジャイロトロンシステムの開発に結びつけていくか。その中で、国内体制を確立させながら、試験設備の建設を進めていくというあたりが、原型炉に向けたECHシステムの開発シナリオとして提案されているところです。

 最後のページにまとめとしまして、原型炉の加熱・電流駆動機器は、電流駆動のために1年以上の連続運転が必要だということで、機器の長寿命化、高システム効率化、耐中性子負荷が主要な課題となっています。NBI、ECHともにいくつかの個別の課題がありますけれども、大きなステップとしては、やはり1年以上のCW運転、連続運転が大きな課題となってきまして、そのための高効率化が必要になってきています。

 ITERに向けて開発された、あるいは今後されるであろう技術の多くというのは、原型炉のシステムに外挿することができて、大学も含めた既存設備を活用したITER技術開発の実施を通じて、国内における工学的・技術的基盤を確立することが可能である。原型炉に向けた加熱機器の開発は、国内、JAEA、NIFS、大学等が共同した開発プロジェクトを立ち上げて、人材育成を図りながら実施することが必要であろう。連続運転・高効率運転に関しましては、非常にハードルが高いということもありまして、原型炉の成立性は、その設計と電流駆動機器の成立性に深く関わっているため、それらと非常に連携をとりながら、開発に向けた取り組みをきちっとすることが必要であると。一応本日の報告では、連続運転を主眼に掲げましたけれども、なお書きとしましては、ヘリカル型原型炉では電流駆動が不要という形で、少なくとも連続運転に関する条件は緩和される方向にあるというのは、ちょっとコメントとして最後に一言述べておきます。以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、御質問や御意見がございましたらお願いいたします。

【髙津委員】  連続運転が、この加熱・電流駆動機器で非常にチャレンジングだというのは、私もそのように思うのですけれども、今御紹介いただいたNBIとECHを比較すると、どうしてもNBIは大パワーのイオン源が、限られた数のポートを通して入っていく。ECHの場合に、ジャイロトロンの数がたくさんできて、かなり離れた場所にある。そういうことを考えると、多少ECHの方がリダンダンシーみたいなのをもって、どれかジャイロトロン1個ダウンしても、パワーは維持し続けられるという意味で、連続運転の方ではメリットがあるのかなというふうに思うのですけれども、NBIの方は、イオン源がブレークダウンを起こしてとまったら、例えば、ITERの場合だと半分とまってしまうとかそういう状況になっちゃうので、そういうものを克服していかないと、なかなかシステムとして1年間というのは難しいなというふうに直感的に思うのですけれども、NBIの御専門、竹入先生として、そういったものを克服していくアイデアなりはお持ちなのでしょうか。

【竹入教授】  非常に難しいところだと。本当に私もNBIの人間であるという立場を離れると、少なくともECHの方が、システムとしては組みやすいなというのは正直なところです。ただ、ITERから原型炉になりますと、非常にプラズマの閉じ込め時間が長くなりますので、NBIのブレークダウンによる、多少入射パワーが途切れることが、プラズマなり燃焼プラズマに対してどういう影響を与えるのかというのは、少し物理的にも検討してもらって、どこまで許容できるのかというあたりを検討してもらえればいいのかなと。それを考えると、今の非常に大電力でありますけれども、NBIの制御技術というものは、ミリ秒オーダーで制御できますので、プラズマそのものに対する影響は最小限に抑えられるのではないかなと。前提となる高信頼性なシステムをつくる必要があるのは当然のことですけれども、そういう方向では考えています。

【髙津委員】  ありがとうございました。

【小森主査】  ほかにございますか。どうぞ。

【岡野委員】  高効率化という意味では、NBIで光中性化セルが強調されているように思ったのですが、耐中性子照射という点からは大丈夫でしょうか。つまり、私のイメージでは、レーザーダイオードが中性化セルの回りに並んでいるようなイメージしか持てないのですが、それをプラズマの一番近いところに置かざるを得ないわけですね。イオン源だったら磁場で曲げてプラズマを直視しない設計などの可能性があります。しかし、中性化した後はプラズマに真っ直ぐ向かって入るしかないのですが、それも考慮した上でいけそうだということでしょうか。

【竹入教授】  いや、まだそこまで具体的な設計が進んでいる段階ではなくて、これから原理検証的な、理想論としての95%の中性化効率であって、例えば、光の実際の反射率とかそういったものを含めたときに、本当に実現する中性化効率がどこまでかとか、そういう基礎研究を、ある意味今すぐでも始めなきゃいけない段階かなと。ヨーロッパなどでも、そうした検討が今、本当にDEMOを見据えた研究が進められ、既にスタートしていますので、そういったことも早急に立ち上げていく必要があるかなと思います。おっしゃるとおり、実際のシステムとしてはまだまだ検討すべきことがあると思いますけれども、まずは光中性化セルの実現可能性をきちっと見る必要があるかなとは考えております。

【小森主査】  どうぞ。

【金子委員】  光中性化セルのイメージは、ダイオードがずらっと並ぶよりも、ミラーがずらっと並ぶというイメージで、ダイオードはそんなに数は多くないと考えています。だから、耐中性子照射は設計の仕方で担保します。それから、今おっしゃったことで一番重要なのは、やっぱりイオン源が直接中性子を浴びてしまうというのが、むしろいろいろな問題を起こす。絶縁耐圧にしろですね。だから、できればイオンビームをちょっと曲げてやりたいというのが、昔から設計であるのですけれども、その辺のところがうまくやれればいいかなと思っています。イオン源としては、10メガワットくらいのものを10台くらい並べてと思っていますけれども。

【堀池委員】  いずれにしろ、今のガス中性化セルでは、ちょっと総合効率が不足しますよという、そういうことですね。

【竹入教授】  はい。最高でも40%になりますので。

【堀池委員】  それだと全部ECHになっちゃう。

【竹入教授】  今の到達値で比較すると、ECHになっちゃいますね。

【金子委員】  だから、電流駆動をどう考えるかですよね。ECHでどういうふうにやれるか。プラズマ回転駆動をどうするかとか、その辺の役割分担、機能分担だと思います。

【小森主査】  ECHだと、カップリングがどのくらいになるかですね。

【竹入教授】  今物理的には、ECHの電流駆動効率は、NBIの半分ですか。ですから、効率的には……。

【金子委員】  理論的にはいいはずなのですけれども、なかなか。

【竹入教授】  実際の効率としては、NBIの半分くらいしかないというのが報告されている値なので、そこをECHはどこまで高められるかがポイントだと思います。

【笹尾委員】  すみません。イグニッションまでECHだけで持っていける可能性は十分あるのですか。

【竹入教授】  いかがでしょうか。

【笹尾委員】  シナリオ的に十分あり得るのですか。それができなかったら、スタートができないですね。

【金子委員】  そうですね。密度限界がありますから。密度を低いところから、どうやって上げていくかというシナリオが要ると思いますね。

【笹尾委員】  ですから、そういう意味では、NBIというのは、やはり重要な機器であるということは間違いないとは思うのですけどね。

【金子委員】  はい。現時点ではそう考えます。

【笹尾委員】  バランスがこの程度かどうかというのは、また別の問題だとは思いますけれども。

【金子委員】  そうですね。

【竹入教授】  正直なところ、技術的にはECHの方が、今先行しているところはありますけれども、実績的にはNBIの開発を加速しないと、原型炉に向けた成立性という観点では厳しいのではないかなという気がします。

【小森主査】  ITERの効率40%というのは、目標値ではなくて、達成値ですか。

【金子委員】  まだまだ。

【竹入教授】  40ぐらいでしたら。45ですか。

【小森主査】  40%と書いてありましたが。

【竹入教授】  40……、ああ、そうですね。テストスタンドを建設して実証しないと、最終的には分からないと思いますけれども。

【小森主査】  そういう意味では目標値?

【金子委員】  ガスセルを使うか、LHDの経験を生かせば、まずいけるでしょう。

【竹入教授】  まずいけると思います。

【金子委員】  イオンビームさえ出れば、ですが。

【竹入教授】  LHDでも40近くいってますので、個別の要素技術が今、各個別のR&Dでは達成していますから。ITERのNBIでも。ですから、その積み重ねで考えれば、達成はできると思います。

【小森主査】  最後に一つ。

【笹尾委員】  最後、すみません。NBIのところで、書いてあったのかな。やっぱり連続運転のためには、セシウムフリーの負イオン源というのが不可欠なので、これは多分、光中性化セルよりも前に必要になってくる可能性があると思いますけれども。

【竹入教授】  課題はあります、いっぱい。

【小森主査】  どうもありがとうございました。

 これまで参考資料の1に書かれています1番から9番につきまして、有識者の先生方にお話を伺ってきました。今後これをもとに案をつくっていくことになります。中間報告書(案)をつくって、それを審議することになりますが、その前に、次回以降の進め方につきまして御意見がございましたら、どうぞ。

【疇地委員】   こういう審議、あるいは中間報告を出す際には、さまざまな可能性を包括的に検討して出していくということが大変重要だと思います。それともう一つは、ここにも書いてありますけれども、これまでの審議を踏まえて出していくということが2番目に重要です。これまでの審議というのは、原子力委員会の核融合専門部会の答申であり、科学技術・学術審議会の核融合ワーキングの答申であるわけで、そこのところの精神というのは、トカマク、ヘリカル、レーザー、炉工学への重点化だったと思います。

 これらの答申が出てから7年、8年経っているわけですから、状況の変化などがあれば、ちゃんと記述するなり審議をして、新しいジャッジメントを経て次のステップに話を進めるということが必要です。7年前の状況から、ぱっと思いつくことで何が変わったのか。それは、ITERの建設が始まったこと、核融合研で大変プロミシングなデータが出ていること、それからレーザーの方ではNIFが2年前から点火実験を始めたことと、FIREX-1が、少なくとも結合効率の面では10−20%という非常に有望な値を出していること、そういうことだと思います。

 ITERの建設が始まり、NIFSでの研究の進展を踏まえて、おそらくこの原型炉で、JAEAとNIFSが協力をして原型炉の設計をやりますというようなことが書かれていると思うのですけれども、一方、レーザー核融合について、NIFやFIREXの時代になって、今後も学術研究という位置づけでやるべきなのか、あるいは、開発研究へ転換するのか、はたまた第3の道を歩むべきであるというふうにするのか。そういうことをここで書かれて、それで原型炉の総合的な審議をするべきだと思うのですね。今ぱっと見たところ、少なくともレーザーについては、具体的なところでは一言も書かれていないので、審議会の答申の説得力という観点からすると、これまでの議論を踏まえて、それで何が変わってどのように新しい判断をしたかという、そういうことを審議事項の中に入れていくべきではないかと思います。

 【小森主査】  それはどこ……。ちょっと長いので、要点が分からなかったのですが、要するに、今の段階で、ジャッジメントを行うべきだという御提案ですか。

【疇地委員】  ジャッジメントはしないというのも一つの考えなのですよ。それも含めて。もうちょっと言うと、トカマク、ヘリカル、レーザーとあって、トカマクについて原型炉の設計を開始をしましょうという、それは一つのジャッジメントですよね。その中で、ヘリカルもそのチームの中に加わってやりますという、それもジャッジメントだと思うのです。レーザーについては、まだしばらくNIFも点火時間がかかるようだからとか、FIREX-1もまだあとしばらくかかりそうだから、その次のジャッジに先送りしましょうとか、何かそういうことが審議の中にないと、今までの話とジャンプがあるように思います。

【小森主査】  この会議は3年前から始まっていまして、今は、炉工学、炉設計を日本としてどの方向に向けていくのかということを議論しています。今までその問題点について、有識者の方から御説明、御報告をいただいたということです。

 ですから、ここでトカマク、ヘリカル、レーザーの現在の進捗状況を判定しましょうというのは、唐突な気がしますが、皆さんいかがですか。レーザー関係の炉設計とか炉材料に関することで、何か御意見があるというのであれば、また別ですが、実験結果の進展に対する判定をしましょうという話ですね。

【疇地委員】  それはもう少し先でお願いしたいとは思っていますけれども、こういう新しい展開を図るときに、総合的な審議というのは必要なのではないかと、そういうことを申し上げているのです。

【小森主査】  どうぞ。

【山田科学官】  参考資料の1がお手元にございます。そこに今回の検討についての観点が述べてありまして、要点を言いますと、第3段階の、今の基本計画の枠内で、次の工学設計活動を開始するための課題や実施体制について検討しましょうということなので、特に炉工学についての議論をしているわけです。ですので、今おっしゃったようなジャッジメントということではなくて、例えば、慣性核融合炉をつくるということに向けて、ここに書いてある観点から、炉工学、炉設計について一定の話を伺うというのが適切だと思います。

【小森主査】  そう思いますが。

【山田科学官】  例えば次回か、次々回になるかもしれませんけれども、どこかで。

【疇地委員】  そういう全体をちゃんと審議をして、それである一定の方向を出していくということが必要だと思います。

【小森主査】  今は、レーザー関係の炉工学とかで、さらに言うべきことがあるということであれば、発表していただければ良いと思います。

 どうでしょう。何か御意見を。どうぞ。

【石塚委員】  その点ですけれどもよろしいですか。参考資料の1のところの具体的な検討事例の中の1の(1)の4番目のポツのところに、原型炉概念設計活動での設計作業を通じ、将来のエネルギー利用の多様性も考慮に入れて、設計の幅を検討すべきではないか。発電だけの設計概念で十分なのかという問題意識が書いてありますけれども、これに関してちょっとコメントを申し上げたいのです。現在ユーザー、日本の電力会社、これは多分国際的にも同じだと思いますけれども、核融合に対する関心は極めて薄い。ほとんどないかもしれないというような状況だと思うのですね。日本では3・11がありましたので、今の状況でいくと、電力会社はそれどころではないというところはあるのだと思いますけれども、これが安定化に向かっても、かつてのように、つまり、JJ60をやっていたころの関心にはいかないのではないかと思うわけですね。

 言うまでもなく、発電用のエネルギーというのは核融合に限ったわけではなくて、既にシェールガスが出てきたことも含めて、さまざまなエネルギーの中で選ばれるものであって、核融合もやっぱりそのうちの一つに選ばれるものだというふうに考えざるを得ないところがあると思うのですね。優れたエネルギーだからといって、必ずしも選ばれるわけではなくて。そういうことを考えると、今現状のままで進んでいくところに若干の不安みたいなものがあるわけです。どうすれば核融合は選ばれるのかということだと思うのですね。

 それで、ここにある、1に書かれているような問題意識があるのだと思います。つまり、単に発電用だけではなくて、他のエネルギー源も考え、あるいは発電だけではない設計概念も入れながら考えていくべきではないかということを書いてある。ついては、将来の事業主体も、発電だけはなく、もっと多様性のある事業主体も含めて検討していくことが必要なのではないかと思うのですね。そうなると、なかなかここの場だけでは検討できない部分があるのですけれども、将来的には、今回というか今年というわけではなくて、やはり将来的な核融合の利用のあり方といったものを視野に入れるような検討をしていく必要があるのではないかと思います。

【小森主査】  そういう御意見はもっともだと思います。

【山田科学官】  今おっしゃったことについてよろしいですか。高温ガス炉であるとか、高速増殖炉については、5者協議とかいろいろなマーケット、ユーザー側からの意見を聞くという場が、文部科学省も入られてやられていますので、その辺を参考にしながら、考えさせていただければ。

【石塚委員】  そうですね。なるべくユーザーの関心を、電力会社の関心を呼ぶようには考えておるのですけれども。いろいろな検討の場にも出ていただける、誘っていただけるようにしているのですけれども、今のところなかなかないということです。少しイノベーティブなユーザーのあり方を考えていかないと、このままの延長線上ではなかなか考えられないのではないかという気もいたします。

【小森主査】  ほかに何かございますか。ここでは、今までの議論をまとめていくために、具体的な問題がありましたらお願いしたいと思います。今おっしゃったようなことは、今後検討していくということでいかがでしょうか。このような観点で、山田先生、何かございますか。

【山田科学官】  最後に横串を通す形で、安全と保守、もっと言えば遠隔保守ですね、個別に言えば。そういったことを議論したらどうかということを最初にお話ししていました。例えば、小川先生が学会でいろいろ安全のことを検討されているとか、そういったところのヒアリングをここでするのはどうでしょうか。あと、保守の問題をどう扱うかというのは、髙津委員から御意見を伺いたいのですけれども。

【小森主査】  小川先生、夏にまとまるということでしたが。

【小川委員】  はい。学会の方でまとめている話、報告書としてまとまるのを待つということもあるでしょうけれども、大体皆さんからの意見というか素案は出ていますので、ここで御報告するというのは、秋口くらいだったらできると思いますので、やらせていただいてもよいと思います。

【小森主査】  では、その辺でお願いします。

【岡野委員】  BA活動の方で、今、安全研究を立ち上げています。現時点ではまだヨーロッパと合意ができていないのではありますが、秋口であれば、合意形成も済んでいると思いますので、どんな計画であるかは御紹介できると思います。

【小森主査】  先走って申しわけありませんが、次回は9月25日の14時~16時です。お二人の先生、間に合えば次回にお願いできないでしょうか。

【小川委員】  私の方は大丈夫です。

【小森主査】  大丈夫ですか。それでは、安全のことを、次回、お願いしたいと思います。先ほどもトリチウムの問題がありましたが、安全は非常に重要ですので。

【山田科学官】  いくつか御意見をいただいたので、また。

【小森主査】  では、少し検討していただくことにして。 ほかに何かございますか。

【髙津委員】  今おっしゃったメンテナンス。特に申し上げることは多くはないのですけれども、炉設計の紹介をしていただいて、大体イメージを御紹介いただきましたよね。炉内からやるのでは、かなりメンテナンス上、フィージビリティーは乏しいと。それでセクター方式がいいのだという紹介があって。私たちがその辺の話をもう少し詳しく聞くのと、技術のレベルがどうなのか。そういう一括方式のメンテナビリティーというのが、シナリオ上はフィージビリティーが非常にあっても、技術上どうなのかというのは、どなたがいいのか分からないですけれども、幸いITERは炉内方式がブランケットで、どちらかというとセクター方式みたいなのがダイバーターなのですよね。環境は大分違いますけれども、両方の方式をITERはひな型のようなものを使おうとしているのですよね。その辺両方分かっている人がいれば、技術の見通しとしてどうなのかというのは、だれかができるかもしれないし、詳しい方、メーカーの方が詳しいかもしれないし、その辺適切な方を選んでいただければ、概念側と技術側でどういう方向を目指せばいいかという議論ができるのかなと思います。

【小森主査】  その辺も含めて検討させていただいて、次回に決めさせていただきたいと思います。最後に、事務局の方から何かございますか。

【飯嶋専門官】  特にございませんが、先ほどの疇地先生の御意見、多分核融合研究を進めるうえでは当然の御意見だと思うのですけれども、基本的にこの報告書をまとめるに当たりましては、確かにレーザーも重要なのですが、やはり今、核融合の研究者の皆様のやる気を起こさせるためには、まず何を書かなきゃいけないのか。それはやはりITERが実際に始まっていて、JT-60SAも一生懸命つくられているという状況の中で、まずは磁場の部分をしっかりと集中的にここで議論して、当然レーザーも、今後発展性がありますので、そのときに議論するというような形にしていかないと、報告書はまとまりがつかなくなってしまうのではないかなと。

 当然この報告書から完全に排除するということではありませんけれども、ちゃんとそれなりのものは書き込みますけれども、やはり中心は、今回は磁場という部分に置かせていただかなければいけないのかなとは思っておりますので、ちょっとその点は御理解いただく必要があるのかなと思っております。またそこはいろいろと御相談をさせていただきたいなと思っております。

【坂本戦略官】  今、飯嶋専門官が言われたこと、すみません、私はちょっと言いかえることになりますけれども、要はこの検討の目的というものは、核融合について、今後進める上での研究開発課題及びその実施体制と。私、バックキャスティングという言葉を使わせていただきましたけれども、オンゴーイングの活動に対して、将来解決すべき課題というのを見て、今何をやらないといけないかということを考える、そういうことだと思っています。そういう意味では、さっきちょっと判断というお話がございましたけれども、この審議をどういうとらえ方をするかというのを、審議を通じてちょっと共通の認識というのをまた深めさせていただいた方がいいかもしれませんけれども、レーザーについては、今目標とされているところをしっかりと着実に達成していただいて、その後考えるということで、技術戦略をどうしていくかということ、その選択を行うという場ではないというふうに、私は理解をしていますので、今はっきりとやるべきことというのは、いろいろな選択肢、可能性がある中で、どういう課題を我々は解決していくべきか。それを考えると、今やるべきことは何かと。それは人材育成も含めて、どういう分野の人材、どういう課題に取り組むべき能力を持つ人材かというところは、また必要な議論というのはレーザーについてもあるかと思うのですけれども、本格的なレーザー核融合についての技術戦略議論というのは、多分目標達成をしていただいたときに、本格的にやると、先生方に議論をお願いするということだと……。

【小森主査】  そういう意味では、もともと、トカマクを念頭に原型炉の開発を進めるということで決まっていますので、その方向でまとめたいと思います。

【笹尾委員】  今、戦略官の言われたことはとても大切で、私もそういう立場で議論に加わっていたのですけれども。ですから、ヘリカル方式とレーザー方式に関しては、今回は推進体制のあり方の議論、あるいは審議の中で、ある意味横にパラレルに走らせたまま、こちらの方向の課題を抽出するということを、多分主査を中心に、前書きか後書きにきちっと書いていただいて、今戦略官が言われたように、ヘリカル、レーザーに関しては、これこれの今の状況は、何年間か前から、この点で大きく進歩していると。だから、改めて考えるということを、後書きか前書きかに書いていただくというのでいかがでしょう。先生、それでいかがでしょうか。

【小森主査】  よろしいでしょうか。ちょっと時間が長くなって申しわけありませんでした。今日はこれで終了したいと思います。

【坂本戦略官】  はい。ありがとうございます。

【小森主査】  次回は、先ほど申し上げました9月25日です。議題につきましては、検討の上、お知らせしますので、よろしくお願い致します。どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

小野
電話番号:03-6734-4163
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-- 登録:平成24年10月 --