原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第29回) 議事録

1.日時

平成24年1月16日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省5階1会議室

3.議題

  1. 核融合研究開発に関する推進方策の検討について
  2. 今後の核融合研究開発の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、石塚委員、岡野委員、小川委員、尾崎委員、金子委員、笹尾委員、平山委員、髙津委員、二宮委員、堀池委員

文部科学省

片岡研究開発戦略官、西山核融合科学専門官、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

【小森主査】  それでは、時間になりましたので、ただいまから第29回核融合研究作業部会を開催いたします。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 今、原子力政策大綱の見直しが行われておりまして、今年の秋には結論が出るのではないかと思います。本作業部会としましても、核融合についてしっかりと議論を行って、後でもう少し述べますけれども、大綱に我々の意見も載せていただけるようにしたいと思いますので、是非御協力をお願いします。

 本日は、大島委員、東嶋委員から御欠席との連絡をいただいております。

 本日の議事ですけれども、まず、(1)核融合研究開発に関する推進方策の検討について、(2)今後の核融合研究開発の在り方について、(3)その他となっています。議事の順番につきましては、また後で御紹介させていただきます。

 続いて、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【西山核融合科学専門官】  本日の配付資料でございますが、御確認をお願いしたいと思います。議事次第にも記載してございますが、資料1-1が「原子力科学技術の推進方策について(案)」でございます。続いて、資料1-2が「核融合研究開発への今後の取組について」。資料2が「今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について(案)」でございます。それから資料3が独立行政法人日本原子力研究開発機構からの御提供ですが、「原子力機構における核融合原型炉にむけた開発研究の現状と課題」ということで、パワーポイントで22ページのものになってございます。資料4が「国際ワークショップ、『ITER時代における磁場核融合エネルギーのロードマップ作成』」でございます。それから参考資料が1点程ございまして、「第9回ITER理事会及びBA運営委員会について」でございます。資料に漏れ等ございましたら、お申し出をいただきたいと思います。

【小森主査】  よろしいですか。それでは、今日の2番目の議事、今後の核融合研究開発の在り方につきましては、独立行政法人原子力研究開発機構核融合エネルギー工学研究開発ユニット長の秋場さんにお願いしています。秋場さん、今いらっしゃいますけれども、ちょっと遅れて到着ということでしたので、予定を変えさせていただいています。まず初めに、その他としまして、「第9回ITER理事会及びBA運営委員会について」の報告を先にさせていただきます。参考資料1について、事務局から御説明をお願いします。

【片岡戦略官】  それでは、参考資料1に基づきまして、御説明させていただきます。第9回ITER理事会と第9回BA活動運営委員会でございますが、表紙をおめくりいただきまして、2ページ目がITER理事会の日程と場所、出席者でございます。3ページ目に主な議題を記載してございますが、今回は特にプロジェクトのスケジュール及びコスト、それから運営評価というのが通常にはない議題として入ってございます。

 それから、4ページ目、5ページ目がITER機構からの活動報告でございまして、4ページ目の方に体制図が書いてございますが、本島機構長の下の体制がほぼ整ったということでございまして、全職員としては469名という数字になってございます。

 それから、5ページ目が工事その他の進捗状況でございますが、調達取決めにつきましては、7割を超えるものが締結されたということ。それから、トカマク掘削エリアについては、コンクリートの敷設が終了して、免震装置の設置が作業中であること。本部建屋も今年の夏には完成するということでございました。

 その次の6ページ目がプロジェクトのスケジュールとコスト戦略についてですが、前回の理事会、昨年の6月の理事会で日本の震災の影響等によりまして、スケジュールに影響が出るであろうということでスケジュールの見直しを検討するということになりまして、特別検討委員会が設置されております。夏の間に会合を開きまして、その結果として、ITERの最初のプラズマ運転を2019年11月から1年遅らせるというスケジュールが作業スケジュールとして策定されたところでございます。これについて、理事会としては、このスケジュールが従来のベースライン合意の範囲内に入っているということを確認したところでございます。

 それから、コスト戦略については、スケジュールの1年遅れに伴いまして、ITER機構の運営費等が増えるということで、いかにして上限の中に予算を納めるかということで検討されまして、建設期に取りつける予定だった機器の一部を運転期に移行するディファーラル、あるいはITER機構の予備費を作るとか、それからダイバータの交換回数を減らすというようなことでやっていくということで承認されております。

 それから、7ページ目でございますが、運営評価につきましては、2年に1回協定に基づいてやるということになっておりまして、今年はインドの運営評価人が評価を行ったということでございます。さまざまなレコメンデーションがされておりまして、組織運営の在り方についての提案がされたということで、これに対する対応については、次回の理事会でITER機構から報告されるということでございます。

 それから、TBMの取決めについて、いずれ各極とITER機構で取決めを結ぶ必要があるわけですが、その雛形の議論が進んでおりまして、今後TBMをスケジュール通り進めていくために、その雛形を早期に作って最終化する必要があるということでございます。

 それから、8ページ目が理事会及び下部の委員会等の議長、副議長の人事ということで、2年間で各極、7極の中で回していくということになっておりまして、理事会の議長として、日本の髙津JAEAの副部門長が選任された。その他のポストについても選任されたということでございます。

 9ページ目にありますように、次回、今年の6月の理事会はアメリカで初めて開くということになってございます。

 続きまして、BA活動の方ですが、11ページに主な議題が書いてございますが、三つの事業についての進捗状況の報告、それから2012年の作業計画の承認ということが主な議題でございます。12ページ以降に具体的な内容が書いてございますが、まず、IFERC事業につきましては、シミュレーションセンターのスーパーコンピューターの据付けが順調に進んでいるということで、今年の1月から運用を始めるということが報告されてございます。それから計算機資源の配分、あるいは公募プロジェクトの選定のための常設委員会への専門家の任命を承認したということでございます。それから、IFMIF/EVEDA事業につきましては、原型加速器の入射器が初めて陽子ビームを作ったということで、今年の11月までには六ヶ所にそれが移送されるということで報告されておりますが、その後の情報によりますと、これは若干遅れておりまして、2013年になりそうだということでございます。

 それから、震災によりまして、大洗のリチウムループ施設が被災したので計画の遅延が生じる恐れがあるということで、今後の事業計画においては、その震災の影響を加味するように事業長に要求したということでございます。

 それから、13ページの方のサテライト・トカマクですが、欧州のTFコイル調達が遅延したことによりまして、ファーストプラズマを2016年3月としておりましたけれども、これが遅れるということで、2017年までのBA協定期間の外に出そうであるということでございます。このためにBA協定の期間の延長、あるいはその他の方法を検討して、次回のBA運営委員会において検討できるようにということでございます。

 その他、研究所レベルのほかのITER参加極の参加に関する作業グループの進捗状況。それからJT-60SAの共同利用に関する進捗状況、検討の進捗状況等についての報告があったということでございまして、次回は4月に那珂市で開くということになってございます。

 14ページに3事業のスケジュールの表がございますが、先ほど口頭で申し上げましたようなことが表になっているものでございます。

 以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、今の件につきまして、御質問や御意見がありましたらお願いいたします。よろしいですか。では、特にないということで。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。次は、「原子力科学技術の推進方策の検討について」です。資料1-1につきまして、事務局の方から御説明をお願いします。

【西山核融合科学専門官】  「原子力科学技術の推進方策について」でございますが、こちらは第4期の科学技術基本計画を踏まえまして、今後1~2年の間、極めて短期的に推進すべき方策を昨年9月及び10月の本会で審議をいただきました。その結果を11月28日の原子力科学技術委員会におきまして、小森主査から御報告いただきました。その折に原子力科学技術委員会の方からITER計画における安全への取組について質問がなされますとともに、推進方策の姿勢、それから文言について、単に国際協力だから進めるということではなくて、震災の状況などを踏まえた書きぶりにすべきだという御意見が出ました。

 それを踏まえまして、1枚おめくりをいただいた3ページになりますけれども、3ページのゴシックで「マル核融合研究開発」の下線を引いている部分、こちらが親委員会の意見を踏まえて加筆修正したものでございます。こちらでもって確定をさせていただければと考えております。

 なお、全体取りまとめは、最終的には1月24日に研究計画評価分科会が開催されることになっておりまして、この案でよければ、それをそのまま親委員会を通して、同分科会に出ていくという形になります。何か意見がございましたらお願いしたいと思います。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、今の件につきまして、御質問、御意見等ありましたらお願いします。

 これは、次の資料1-2で練っていただいた文章を使ったということですね。

【西山核融合科学専門官】  資料1-2が先生方の総意だというように考えまして、それをできるだけ使ったという形でございます。

【小森主査】  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 続きまして、資料1-2です。「核融合研究開発への今後の取組について」ですけれども、こちらの方は前回の作業部会で議論いただいたものに、さらにメール等で先生方からいただいた御意見を踏まえて取りまとめたものです。昨年の12月半ばに私と小川委員とで近藤原子力委員長のところへ伺いまして説明いたしました。その資料ということになります。その時のことについて報告いたします。議題そのものについての報告という意味では、原子力政策大綱に我々の核融合の意見も反映させていただけないかというお願いをこの資料1-2を使って申し上げました。それに対しまして、近藤先生の方から、今後ヒアリングを行いますので、安全性に加えて、現状についての資料を作ってくださいという御回答がございました。それが公式なものです。それ以外に、今の福島の現状についてとか、核融合の研究について、個人的な御意見をいただきましたけれども、その辺は割愛させていただきます。

 小川先生、何かございますか。

【小川委員】  今、小森先生が言われたとおりでして、私の方はプラズマ・核融合学会の方で進めております核融合の安全性に対するアセスメントに関する活動を紹介してきました。それに対して、近藤委員長からも、核融合の安全性に対してもう一度きちんと科学的に見直す活動をぜひ進めてくださいと、サポートの言葉をいただきました。また、小森先生が言われましたように、政策大綱の議論でも、是非とも核融合のヒアリングをお願いしたいと申し上げましたところ、近藤先生からも当然そのつもりであるという旨、御回答いただきました。その時には、安全性に関する科学的な基礎データをきちんとそろえて持っていく必要があると思っております。

 以上です。

【小森主査】  ということですけれども、何か御質問や御意見がございましたらお願いします。

【髙津委員】  この「安全性の確保が何よりも重要との認識の下」というところは、先程のペーパーでも今のところでも御説明いただいて、それは多分誰しもが同じような認識だろうと思うのですけれども、一方、原子力委員会の推進方策についての中には、安全性も重要であるし、経済性にも一定の配慮を払わなければいけないという、いくつかの項目、技術的なフィージビリティーもそうだということでパラに書かれていて、次の、後で秋場の話にもありますけれども、原型炉を構想するときに「一定の経済性」というのが非常に重い言葉になっているなというように受けとめているのですけれども、そういう原子力委員会の推進方策とこのペーパーの安全確保が何よりも重要というのとはどのように理解すればよろしいのでしょうか。何よりも重要というのは、とりわけ考慮すべきものは安全性であるというようにとれるのですけれども。

【小森主査】  資料1-2の方でしょうか。

【髙津委員】  どちらも同じ様な言葉なのですけどね。すみません、自分で混乱しているので、ちょっとお伺いしたいのですが。

【小森主査】  この資料1-2、それから先ほどのものも、詳しく核融合の現状などを語っているものではなくて、今後どういうことを考慮して進めていくべきかという原則を述べているものと理解しています。そのうえで、もちろん経済性とか、そういうものもありますけれども、それは今後核融合の研究を発展させるうえでもちろん考慮していきますが、現時点では、3.11を受けて、安全性が最も重要という認識を持っているということを表明した文章と考えています。どうぞ御意見をお願いします。

【小川委員】  よろしいですか。私の意見ですけれども、安全ということは何よりもやっぱり優先されるべき事項だと思います。ただし、どこまでのレベルの安全性を課すかという議論において、経済性とのバランスを考えるというものであろうかと思います。安全性というのが何よりも重点的に高いウエートとして配慮されるべきだと思います。ただし、安全性にどこまでリダンダンシーを持たせるかとかいう議論になりますと、経済性とのトレードオフが出てくると感じております。

【髙津委員】  トレードオフが生じた時に安全性に最も価値を置くべきだという意味ではないのでしょうか、この文章。安全性に高いプライオリティーを置くのは当たり前だと思うのですけども。そのトレードオフが出たときに、どちらにウエートを置くかという判断の基準として、こういう考え方があるのかなと今受け取ったのですけど。

【小川委員】  トレードオフがゼロイチだったらば安全性が重視されるべきだと思います。トレードオフというのはゼロイチではないと思っていますので、その時のどこのレベルでトレードオフするかというものだと思います。

【堀池委員】  僕も、突如「安全性の確保が」と出てくるので、できあがった文章だからいいとは思うのですけど、少し言葉が足りないような感じもします。多分、読み方としましては、前も少しお話ししましたけど、核融合といえども、核エネルギーの利用という意味では原子力と同じ工学基盤に立っていて、放射線安全とかいう意味では同じ工学ベースのうえに国民の理解を得て進めなければいけないものであると。そういうのが当然の前提条件としてあって、そのうえに、今回、何も書いていませんけど、東電の事故によりまして、放射線の国民的な影響の評価とか、放射線管理というようなものが非常にクローズアップされてきて、それによる核エネルギー全体の安全性の確保が何よりも重要との認識の下というように読めば、文章としてはつながるのでないかと思います。だから、そういうような解釈であるというふうにここで皆さんの意見を統一しておいていただければ、この文章が生きるというように思います。

【小森主査】  ほかにございますか。

 私は経済性か安全性かということであれば、もちろん安全性でいくという文章だというように理解しています。ただ、小川先生がおっしゃられるように二者択一ではないという場合も確かにあるとは思いますが、経済性を重んじて開発するのではなくて、安全性の方に重きを置きながら開発していくべきだと思います。開発できないという場合はまた別かもしれませんが、今の段階で言えば、経済性というよりは安全性に重きを置いて進めていっても、経済的にも将来的にはうまくいく炉ができるという意識の下にまとまったと思っておりますが、いかがでしょうか。

【小川委員】  今、小森先生が言われたほど私は割り切っていなくて、やはりそこもトレードオフだと思います。例えば非常にコンパクトにして経済性を上げるが、それに対して信頼性が高い安全性を課す機器を付ける、という設計も別にあってもいいと思います。一方、経済性が非常に悪くなるけれども、非常に安全だという設計があってもいいと思います。そのどちらをどう選択するかというのは、社会受容性との兼ね合いで判断されるのだと思っています。

【岡野委員】  安全性というのがどういうものかという定義が分からなくなっているので、こんな議論になってしまうと思うのですが、従来の考え方、核融合に求められた考え方をいうと、国の安全基準を満たしているものは安全であるという話だったはずなのです。核融合炉も軽水炉も同じ安全性である。なぜならば、同じ基準を満たすから。そういう理屈だったと思うのですが、今はそれが、つまり核融合炉も軽水炉も同じ安全基準で同じ安全性だという考え方が変わりつつあるということを意味しているのかどうかをまず議論する必要がありますね。安全性に対する基準が、もちろん福島の事故を受けて変わるのでしょうから、それが変わったら、それに合わせて核融合炉は核融合に求められる安全基準を満たすように設計して、それを満たし得る範囲で経済性を追求するというふうに理解すればよろしいのではないですか。無限の安全性を要求できるはずがないので、安全性というのが何よりも重要というのは、ちょっと言い過ぎかもしれないですけど、これは思いであるというふうに考えれば、バックグラウンドには安全という基準があって、それを満たすというふうに考えればよろしいのではないでしょうか。

【小森主査】  金子先生、いかがですか。

【金子委員】  同じような御意見が出たので結構です。

【小川委員】  私も岡野先生と同じような意見です。

【小森主査】  多少温度差はありますが、大体同じ認識と思います。よろしいでしょうか。

 それでは、次に進ませていただきます。「今後の核融合研究開発の在り方について」という議事(2)です。まず、事務局の方から資料2に基づいて説明をお願いいたします。

【西山核融合科学専門官】  資料2でございますが、こちらは昨年10月の末に第28回の会議を開催しておりますが、その際に配付した資料と変わっておりません。今後の核融合研究開発の在り方と書いておりますが、平たく言うと、原型炉に向けた研究開発をどうやっていくかということ、その中でどんな審議事項があるかという案でございます。原型炉と一口に申しましても、建設までを見通した場合、全体を見通した場合に、それまでに様々な段階があろうかと思います。その中で、今回、今第6期の部会で後半に入ってきておりますけれども、この期のこの部会におきましては、原型炉の中でも、概念設計から、次に工学設計という段階に入ろうかと思いますが、工学設計に入るか否かを判断するうえで、仮に原型炉を作るとした場合に、工学設計に入るか否かを判断するうえで重要となる技術課題がどういったものがあるのか。また、それを解決するとして、どのような手段や方法、体制があるのか。そうしたところに特に焦点を当て、さらにITER、BAを推進しているわけですけれども、ITER、BA以外の活動でなければ、それはなし得ないというような側面があろうかと思います。この辺りに焦点を当てて、是非御議論をいただきたいということで、改めて資料2をお配りしております。

 1ページ目の方には今までフォーラム等からも提言をいただきましたけれども、今後に当たって、1から9までの課題があるのではないかということを考えております。今回第1回目ですので、まず、原型炉概念の構築と設計作業について、今日JAEAからも来ていただいていますけれども、御説明をいただきながら、2以降を、今後2箇月に1回程度作業部会を開催しながら、2項目ずつくらいを取り上げて技術課題を整理しながら、最終的には整合した形のものに仕上げて、来年1月末がこの期の終わりですけれども、その折にはまとまった書き物にしていくということで御審議をお願いしたいと思います。

 今回、特に私の方からは1から9項目挙げてございますけれども、果たして1から9項目、これだけの項目だけで済むのか否か。それから、この項目を考えるに当たり、観点としてどのような観点を持っているべきかということで、御指摘をいただければと思います。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして、御意見と御質問をお願いしたいと思います。

【平山委員】  先程から話題になっている安全性の研究に関して、ここには環境安全性評価しか入っていないのですが、これはそれぞれの中にいろいろ入っているというふうに理解するのでしょうか。それとも、岡野先生が言われたような、実際にやっておられる事項をここに出して議論するようなことが行われるのでしょうか。先程のかなり重たい書きぶりからここを見ると、その以前に出された資料だということを考慮したとしても、ちょっとその辺りが弱いような印象を受けるのですが。

【小森主査】  岡野先生、どうですか。

【岡野委員】  安全性の設計というか検討は概念設計の中に入るのだと思っていて、この1を見ていただいても、「一定の経済性」の下のところに同じように安全性確保とその概念と述べてありますが、先程申していますように、ものすごく大きくてパワー密度が低い核融合炉の方が安全かもしれない。けれども、そういうことは、炉設計で具体的な設計を含めて考えないと示せないので、安全性も経済性も考慮した炉設計を行うことで安全確保の道を探るというのがこの設計作業だと思います。今までは、あまり安全性ということが表には出てきていなかったけれども、核融合は原子力としては潜在的なハザードが基本的に非常に小さいので、言わなくても、当然核融合は安全、と思ってもらっていたからですけれども、今は本当に大丈夫なのかと問い直されています。したがって、確かに安全であるということを証明する原型炉設計をするというのが、この原型炉の概念設計の部分だと考えています。

【堀池委員】  だからそういう意味でいうと、全般的に安全性の研究が必要というように入っていると。

【小森主査】  ただ、言葉として入れておいた方が良いのではないかということですね。今度は。

【堀池委員】  ここの環境安全性評価というのは、フォーラムの提言ベースの話としていいますと、核融合燃料システム開発というのはトリチウム関連技術のことでありまして、そのトリチウムの計量管理技術というものが、従来の核分裂炉にないような新しい技術体系を要求しているものであるという、そういう前提の下に、特に注意事項としてここに列挙したものという、そういう意味です。だからそういう意味でいうと、他にも規格・基準・信頼性とか、ダイバータ開発とか、いろいろなところで安全性というのは当然入ってくるというようにフォーラムの提言を書いた側としては理解しております。

【金子委員】  よろしいですか。やはり平山先生の御指摘は非常に重要だと思うので、小森主査もおっしゃいましたけれども、タイトルとして一つ、それらをまとめて作った方がよろしいのではないかと思います。それぞれの項目の中で当然御検討されていますし、概念設計ではまさにシステムとしての安全性を検討されるわけですけれども、まとめ方としては、1章別立てとしてまとめられた方が、後でいろいろな方に読んでいただくには良いのではないかと思いますので、そういう方向で御検討されたらいかがでしょうか。

【堀池委員】  ちょっと先走った議論になってしまうのですけれど、ペーパーの一番最後のページの7.のところを見ますと、安全ということが(1)から(5)の中にはっきり出てこないので、そういう意味でいうと、少し安全を重点的に核融合の安全性というものをきっちり評価するというのを書き加えておいた方が良いと思います。

【小森主査】  そういう意味で、10番目か何番目かに環境を含む安全性評価とか何かを加える。

【堀池委員】  一応7に入っているはずなのですけど。

【金子委員】  最後のまとめに、そういう形でまとめられたらどうかと思います。

【小森主査】  章立てするというか、立てないでという意味でしょうか。

【金子委員】  ええ。項目の中でそれぞれ検討するというように書かれておりますので。

【小森主査】  まとめ方として、安全性を最後かどこかにまとめて記述するということにしますか。

【金子委員】  強調するような形で記述されたらいかがかと思います。

【山田科学官】  今おっしゃったことと関係しているのですけれども、1から9項目ありますけれども、実際には2から9項目については、いわゆる戦略的課題が個別に書いてあるもので、一方、1番の設計作業というのは、個別の設計のことを言っているわけではなくて、全体を網羅した作業のことですので、少し性格が変わると思います。ですので、2から9の個別の戦略的課題については、もちろん課題解決に向けていろいろ書き込みがあるとは思いますが、1については、横串を通すということが大事だと思いますので、今おっしゃったような安全性であるとか、その後、髙津委員からも御指摘があった経済性とか、あと少し、ちょっとディテールに入りますけれども、私は稼働率というものをもうちょっと前面に出した方が良いかなとか、そういう面での評価の軸についての記述を1の方に書き加えておいて、そういった形でまとめていけばいかがでしょうか。

【小森主査】  頭のところです。

【石塚委員】  同じく横串になる話かと思いますけれども、廃炉、あるいは廃棄物処理処分ですね。このことについても設計の段階の中で考えておくべきことではないかと思いますので、今の話でいくと、1のような横串の中に入るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【小森主査】  はい、どうぞ。

【岡野委員】  廃炉、その他廃棄物処理は一般には原型炉の概念設計の中に入ります。それから安全性を特出しするということに、私は特に反対はないですが、安全性だけの研究というのは実際は難しいとは思います。というのは、現行の軽水炉の安全研究は、今動いている炉の設計が安全かという研究なので特出しできるのですが、核融合炉は、安全な核融合炉の設計ってどんなものだろうというところから考えるので、本来から言えば、概念設計の中に入っているのがスムーズな姿ではないかと思います。ただ、昨今のような状況なので、特にここに項目として出す方がいいということであれば、出すことに反対いたしません。

【堀池委員】  ちょっと補足いいですかね、今の岡野さんの意見に。

【小森主査】  はい。

【堀池委員】  元々、フォーラムの提言の前は、岡野先生が松尾戦略官の時代にロードマップを作ったのが元々のベースになっていまして、その中に、9項目の前提条件としてITERや、ブローダー・アプローチは当然100%成果が出るのだというのが一応ベースになっています。安全性に関しても、この時いろいろ議論があったのは、結局ITERでトリチウム取り扱い技術とか、計量管理を含めた、そういう技術がかなりDT運転とか、TBMなどの開発の中で当然進むはずで、それを日本としてはちゃんと取り込んでくるというのが環境安全性評価とか、8番の規格・基準・信頼性とかいうものの前提条件になっていまして、多分、作業部会で今後こういう話を議論していただくときに、ITERとかブローダー・アプローチでもこういうことをやらなくちゃいけないのだよというのは、この9項目から抜けていますので、そこはちゃんと忘れずに、ここの場でITERではこうあるべきだとかいう話を忘れずに盛り込んでいくのが大事かというように思います。

【小森主査】  質問ですけど、環境安全性評価だけ特出しでここに出ているのはなぜですか。要するに安全性が全部入っているのであれば、ここに入れなくても、みんな入っているということで良いという気もするのですが。

【堀池委員】  トリチウムの計量管理技術を中心とした核融合技術に特有な安全性評価の研究が大事であるという、その意味でしたよね、岡野さん。

【岡野委員】  そうですね。これはトリチウムの安全性評価です。

【笹尾委員】  7の環境安全の前に、「その」とか何とかつく意味だと理解していたのですけど。ですから、この部分は「燃料システム開発とその環境安全評価」となるかと。先ほどから議論にありました廃炉の問題とか、その他の安全性の議論はこの7番には入っていないので、そういう意味では別立てをするか、1番に入れるかという、そのどちらかの案だと思います。トータルとしての安全性ですね。個別のところの議論を踏まえたトータルとしての安全性の議論を新たに展開するのか。あるいはそういう議論をもとに概念設計を今後このように進めていくべきだという、そういう書きぶりにするかですね。それは1に含めるか、10に含めるかを、新たに章立てをするかをここで議論したらよろしいのではないかと思います。

【堀池委員】  両方必要かと思います。個人的には。

【小森主査】  どうぞ。

【門学術調査官】  例えば低放射化材料等の話題はおそらく8番が該当するのではないかと思うのですが。

【堀池委員】  7番では。

【門学術調査官】  いや、8番の(1)、(2)に相当すると思います。(トリチウムと材料との)割り振りを一緒にするのか、どうするのかというところが議論だと思います。そういう理解でよろしいですか。(私は)全部まとめて、例えばトリチウムとか、放射化の問題も含めて扱うのかどうか、ということだと思う。

【堀池委員】  言い訳がましいですが、フォーラムの提言としましては、その時にIFMIFの位置付けというものは、現状でもそうですけれども、少し曖昧なところがございます。それで材料開発のところというのは少しぼかしてというのか、課題を残したような書き方になっていまして、その時、議論の中では、IFMIFは絶対必要で、原型炉の開発のために必要だという意見の方もおられたし、一部の先生のように、フェライト鋼、F82H中心に進めれば、もう少し緩い条件でもできるのではないかというようなことを主張された先生もおられて、その辺は少し今後の研究次第というようなイメージで書いてございます。

 そういうものですから、規格・基準とかいうのも当然どの時点でどういうようにやっていくのかとかいう話がありますよね。それと関連して、片岡戦略官の方に、そしたら、核融合の規制、原型炉の規制体系というものはどういうのが一番よろしいのでしょうかというのをお願いしなくてはいけないとかいうような話にもなるし、それは少し将来の話ですけど、それにつなげていく全体の安全の考え方というものはどのように進めればよいのかというようなところまではきっちりとは提言としては詰め切れていない部分があります。それは多分、ここでこれからきっちり御議論していっていただいて、今、金子先生がおっしゃったように、取り方としては、安全性はこうなっているのだよというやり方の方が良いのかなというように思います。

【小森主査】  やはり1の原型炉の概念の構築という中に安全性は入っていると思いますが、陽に出しておいた方が良いかなということですね、議論としまして。1のところをどのように書くかは、今すぐには浮かびませんが、ここに、安全性も考慮しているというのが分かるような書き方にすると良いと思います。どうでしょうか。細かい項目を挙げてしまうと、下の方に書いてありますので、特に必要はないと思いますが、タイトル的にきちんと入れるというのが一番良いと思います。

【岡野委員】  今、そう言われて思ったことですが、確かに設計している本人たちは自分の設計しているものは安全だと信じてやっていますので、別に核融合の安全性をやっているグループというのが存在していて、その人たちと議論できるという体制があることは大事かもしれないですね。そういう意味では特出しして考えるのはいいかもしれません。

【小森主査】  どうしましょうか。1の中にも入っていますが、その次くらいに特出しして、こういう安全設計でこういう概念が成り立っているというように記述するということでよろしいでしょうか。タイトルにつきましては、後で皆さんに相談することになると思いますけれども、何か御意見がありましたら、お願いします。ずばり安全性の評価についてとか、良いタイトルがありましたらお願いします。

【岡野委員】  設計は1番でやるので、例えば安全評価の構築とか、評価技術とか、そういったのが良さそうに思います。概念設計と対立する形ではないけれども、お互いに引き合えるような構造のものが良いのではないかと思います。

【小森主査】  そうですね。今の御説明では、概念の構築と安全の構築が並行しているというか、1対1で対応しているということですね。それが分かるようなタイトルにするということですね。

【門学術調査官】  そうすると、項目7の(1)から(4)までは通常のオペレーションに関することだと思うのですが、(5)はおそらく事故時の挙動とかいうことがあると思うので。

【小森主査】  7の(5)ですか。

【門学術調査官】  7の(5)ですね。7の(1)から(4)までは通常運転ということだと思うのですけど、(5)は通常運転でも多少は漏れてくるところがもしかしたらあるかもしれないですけれども、ここの意図するところは、おそらく事故時の挙動ということではないかと理解できるので、これを別項目のところへ移すというのも一つの案でしょうか。それはどう考えますかね。

【金子委員】  トリチウムはトリチウム独特の、生態系への影響というのもありますので、そういうのはきちんとこの中に入れておいた方がいいのではないかと思います。それが例えばインシデントが起こって外に出た時にどういう影響があるかどうかとなると、また別の視点になると思いますので、これはこれでまとめられてよろしいのではないかと私は思います。

【髙津委員】  金子委員と同じような感触を持っているのですけれども、2から下は個々の個別課題を扱っているように理解していまして、そういうものをシステムとして原型炉を考えると、どういう影響があり得るかということを評価するのが1番の作業でやられていることだと思いますので、例えばトリチウムが漏れる形態はどういうのがあって、環境にどういう影響を与えるかという個々の課題については7番で評価しておいて、それを実際の炉設計でどういう事象を考えなきゃいけないか。起こった時にどういう評価がありそうか、評価を行っているかということは1番で述べられたと思います。同じ様に低放射化フェライト鋼も材料の低放射化フェライト鋼の開発はどうやっているか。今後何をしなきゃいけないというのは8番で扱われて、それを使った廃棄物が本当に楽になるのですかということは、やはり1番で評価結果が述べられるのだと思いますから、それを2番という項目で安全評価ということについて触れるのであれば、そういうところで炉設計がやっている結果がどうだというようなことをきっと述べるのだと思いますので、1番か、あるいは2番というのが総論的なところで、横串で、ここに書いてある2番以降が各論のように理解しているのですけど。

【小森主査】  そうですね。そうすると、ここのところは原型炉概念に対応した安全性とか、大体そんな感じで良いですかね。ちょっと文章はまだ検討の余地がありますが。

【岡野委員】  原型炉を設計できるくらいの人でないと安全評価はできないですよね。全体を把握している議論できる人たちというのが必要だと思います。

【小森主査】  よろしいですか。ほかにございますか。そういうことで2番に入れさせていただくということで進めたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、ほかの項目について御意見ございましたらどうぞ。

【小川委員】  堀池先生から先ほどコメントがあったので理解できましたが、8番が材料開発と規格・基準、全然違うものが同じところに入っているのはなぜかなと思いました。IFMIFの位置付けのためにここに入ったのだという解説を聞いて納得しましたけれども、感想としてはやはり分けるべきだろうなと思いました。材料開発は、材料開発として必要な項目を摘出し、かつまたそのためのツールとしてのIFMIFの位置付けを明確にすべきかと思います。それとはまた別に規格・基準に対しての議論があるべきだと思いますので、個人的には分けた方が良いのかなと思いました。

【堀池委員】  すみません、それは善し悪しなのですけども、話の流れとしては、ASMEに準拠したような材料を中心とした安全性コードというものがあって、その次に規格・基準があって、その先に真空容器がブレークしないとか、トロイダルコイルが壊れないという意味での安全性の評価があるという流れで書いていますので、この二つが同じ項目になってしまったと、そういうことです。

【小川委員】  今の話の内容で、ASMEに準拠した考え方も含めていただければというのが私のコメントです。

【髙津委員】  小川先生のような御意見も最もだと思うのですけど、一方、開発している者はいかに基準化していくかということを念頭に置いて材料の開発を今進めていますので、比較的近いところに基準化というのがありまして、あるいはそれを目標にして開発を進めているところがあるので、フォーラムではこういう整理の仕方をされたのかなというように理解していたのですけども。

【堀池委員】  整理した時、小川先生もおられた。

【髙津委員】  それは知りませんけど。

【小川委員】  規格・基準というのが材料だけならば、それで良いですが、それ以外にも規格・基準というのもあるはずなので、少し気になりました。

【髙津委員】  材料規格・基準と書けばより正確だったというわけですね。

【小川委員】  そのとおりです。

【小森主査】  ここに安全基準の策定について書いてありますけど、これは材料に基づく安全性の基準という意味ですね。

【堀池委員】  そうです。最終的な。法律を作って安全基準ができて、そのもとに下の規則が、下位レベルの規則ができて、日本独自の核融合の安全性のコードができてというのが一応最終目標になっているという、そういうイメージでございます。

【小川委員】  もし安全を特出しするならば、安全研究と題して安全基準とか規格基準とか、そこに持っていった方が良いのかもしれないですね。プラントとしての安全基準とか、基準をどう考えるかとか、プラントとしての安全設計、安全評価をどうするかというのも重要かと思います。

【堀池委員】  それを今、髙津さんが言われて。

【髙津委員】  今、小川先生がおっしゃったのは、どちらかというと、炉規法とか障防法に替わるような核融合法というのが安全を担保するための法体系で、それは1番か2番か、そちらの方で主に議論されるのであって、一方、8番で書いてあるのはASTMとか告示501号とか、ああいう基準を核融合材料向けに、材料基準と破壊を抑えるための基準というのは作らなきゃいけないでしょう。開発する人たちはその基準の在り方を考えながら材料のデータを採っているので、こういうつながりになっているのだという、ちょっと違うものだと思いますけど。

【小川委員】  8の(1)に炉規法とかの議論が入るのかと誤解した次第です。

【小森主査】  そういう意味では、小川先生の言われている基準については、今後必要であれば2に入れるということですね。

【小川委員】  炉規法みたいな話ですね。

【小森主査】  こちらは材料に大きく関わるようなことですね。

【小川委員】  ASMEの関係だったら別にこっちでいいと思いました。

【小森主査】  ということでよろしいですね。どうぞ。

【岡野委員】  多分、規格・基準を決めるというのが8番の役目ではなくて、基準データを出してくるというところだと思うのです。基準を決めるのは国ではないかと思うのです。

【小森主査】  基準のためのデータを出すということですか。

【岡野委員】  基準のためのデータは学会が決めるかもしれませんけど、法的な基準を決めるのは国でなければならないので、そこはここから出てこないですね。それから2番の安全研究のところも、以前ロードマップを作った時に、文部科学省の御担当者から、法律を作るのまで核融合の研究者がやるのですかと言われました。確かに法規制は我々の仕事ではないですよね。そのためのデータを出すところまでだと思います。

【小森主査】  おっしゃるとおりだと思います。法律を作るのは我々の仕事ではありませんが、それの根拠というか、それのためのデータを出す必要があります。材料は、今でいう8のところで、それ以外のもうちょっと規格に近いものは、2で必要ならやればいいということですね。

【小川委員】  はい、結構です。

【小森主査】  ほかにございますか。どうぞ。

【二宮委員】  原型炉でどの程度必要になるのかよく把握していないのですけれども、ブランケットの交換と、それに絡む遠隔保守的な項目というのがなくて良いのかなというのがちょっと気になりましたけども。

【髙津委員】  それ、今山田委員がおっしゃったような話ですね。

【山田科学官】  一応4の(5)には入っていますけどね。そこだけでは不十分だと私も思います。

【髙津委員】  もっと横串で全体的な検討をした方が良いのではないかというのはおっしゃるとおりだと、二宮委員も同じだと思います。

【二宮委員】  ええ。遠隔保守性というのはありますけれども、システムとしてですね。それが1番に入っていればいいのですけども。

【小森主査】  ダイバータももちろん必要ですが、システム全体としてですね。

【二宮委員】  ブランケットとかやって、システム全体としてのですね。

【岡野委員】  すみません、思い出したのですが、2008年のロードマップの中に特出しした原型炉概念構築の中にさらに項目を分けていて、すぐにやらないといけない項目の中には遠隔保守技術の開発というのが入っていましたので、その時の概念から言えば、この1に入っていたはずですね。理由は、遠隔保守技術が決まらなければ原型炉の構造が決まらないと、そういう理屈だったと記憶しています。

【小森主査】  そういう意味では、1と2が全体の概念と安全の概念とすると、3から9の中に入れてもいいということですね。個別のものがどうしても必要だというのであれば、今のダイバータの中に含めるのではなくて、別項目として個別の必要な技術として入れておかないといけないということですね。

【金子委員】  ブランケットにも(1)にはちゃんと遠隔保守性、それから稼働率も入っています。

【二宮委員】  ですから、1の中にそういう保守性みたいなのを一つ小項目で明記されたら良いのではないですかね。

【小森主査】  概念の設計のところに。

【堀池委員】  ちょっといいですか。そういう意味でいうと、1のところにリモートハンドリングのちゃんとしたやり方を、システムを考えるというのと、もう一つは、製造技術をある程度想定して進めるというのが2件インプリシットには入っています。

【小森主査】  1にですか。1の中にですね。

【堀池委員】  1の中に。

【小森主査】  それでは、1の中に今の話を書くということでよろしいですか。はい。

 それでは、ほかに気が付いたところはございますか。

【二宮委員】  具体的な項目でなくて、進め方なのですけれども、多分、1からスタートすると、中々、議論が発散して大変なような気もするのですね。多分、2以降の個々の技術の議論をしつつ、1を睨んでいくという形になるのかなと思うのですけれども、その辺どのように考えられておられるのかなというのをお聞きしたかったのですけども。

【小森主査】  私ですか。1は、最初の大枠として必要だと思います。これに従って個々のものに進めていって、また元に戻るという形だと思います。個別のものから始めていくと拡散してしまう恐れがありますので、ある程度大枠から始めて、個別のものにいって、また大枠に戻って整合性がとれているかどうかをチェックするという格好でイタレーションをやらざるを得ないのではないかなと思いますが。

【二宮委員】  そうですね。おっしゃるとおりですね。

【小森主査】  ほかにございますか。

【山田科学官】  結局、進め方としては、超伝導の方からまず手を付けていく。超伝導とは限りませんけど、2以降から手を付けていくという理解でよろしいですかね。

【小森主査】  大枠的なものから進めようということですから、超伝導から進めていくということですかね。個別のものとしては。

【山田科学官】  特に1.の(3)が一番この作業部会のアウトプットとして重要だと思いますので、ここは最後になると思います。

【小森主査】  大枠というのは、例えば超伝導にしても、磁場は何テスラくらいが必要かというのを決めるということです。全体的な大枠というのが必要と思います。

【岡野委員】  一般によく設計をやっていて言われるのは、材料の方にしても、超伝導の方にしても、どんなものが欲しいのかと聞かれますので、多分、1のところで、体制の議論はまた別ですけれども、内容の議論とすると、こういう核融合炉が望まれるのだとしたら、こんなものが要ります、というのが出せるのだろうと思います。ただ、大抵、設計からの要求は今開発しているものより高かったりするから、そこの擦り合せが難しい。だからといってできないわけではなくて、現状で見通せる範囲で設計するとこんな核融合炉になりますとか、そういったところからスタートすればいいのではないでしょうか。

【小森主査】  そういう意味で、こういうものが必要だというものを考えて、それから個別のものに進めていくということにしたいと思います。

 よろしいでしょうか。ほかにありますか。まだ議論が必要と思いますけれども、今日のところはこんなところでよろしいでしょうか。それでは、その辺をもう1回まとめて、次に進めていきたいと思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、審議事項2番に進みたいと思います。本日は、原型炉の今後の研究開発について、これから作業会でより具体的に議論を行っていくため、組織として将来を見据えて取り組まれています日本原子力研究開発機構核融合エネルギー工学研究開発ユニットの秋場ユニット長においでいただきました。ユニット長の方から、機構における原型炉の研究開発に関わる基本的考え方、現状及び現時点における問題点、今後の方向性等につきまして、審議事項についての案も踏まえつつ説明をお願いしたいと思います。それでは、お願いします。

【秋場研究主席】  原子力機構の秋場でございます。今日は一応「原子力機構における核融合の原型炉にむけた開発研究の現状と課題」ということで、ちょっと資料の枚数が多くございますけれども、ポイントを押さえて御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、2ページでございますが、機構でございますので、私どもの研究計画というのは、現状でいいますと、ここにございますように、平成17年の「今後の核融合研究開発の推進方策について」という、これに従って研究計画を立ててございます。この中で、核融合エネルギー早期実現のための開発戦略ということで、トカマク方式において、一定の経済性を念頭においた原型炉に向けての開発研究をITERと並行して進めることが妥当。それからトカマク型核融合炉の運転方式としては、中略でございますが、経済性や熱疲労等の技術的観点から定常運転方式の核融合炉を実現することが望まれるということが推進方策の中に書かれてございます。また、同じく推進方策の中で、トカマク方式による開発研究の中核的機関としての役割が原子力機構には求められるということで、私どもとしましては、核融合トカマク方式の原型炉についての開発研究を進めているというところでございます。

 次のページにまいりまして、同じく推進方策の後ろの方についてございます、別添というものが付いてございまして、その中で、今後の核融合研究開発における研究開発のチェック・アンド・レビュー項目の案というのがございます。それをここに抜粋してまいりました。推進方策についている案といいますのは、今見ていただいている表の一番左から「項目」「中間段階でのC&Rまでの達成目標」「原型炉段階への移行判断」、この三つの欄で構成されておりまして、この表は最後のところに、右端に「原子力機構の対応」ということで、これは私がつけ加えたものでございます。

 ざっと項目を見ていただきますと、六つの項目が案として挙げられておりまして、こういうものについてチェック・アンド・レビューをして、次のステップに進んでいけばよろしかろうという表になってございます。1の方は実験炉による自己加熱領域での燃焼制御の実証。2は実験炉によるQ=5以上の非誘導定常運転の実現。3が実験炉による統合化技術の確立。4が経済性見通しを得るための高ベータ定常運転法の確立。5が原型炉に関わる材料・炉工学技術開発。6が原型炉の概念設計。見ていただきますと分かりますように、1から3につきましては基本的にITERに関連するものでございまして、これにはITERを着実に作り、そしてそこで実証を目指していくということになろうかと思います。

 そして、4のところでございますが、これは現在改造中のJT-60SAでの見通しを得るといった確立を目指すというのが私ども考えているところでございます。5ですが、ここは今日の話とも一番リンクするところでございますが、まずは私どもとしましては、TBM計画、BA活動で実施して、並行して原型炉概念設計及び関連技術開発を進めるというように考えてございます。5のポツが二つございまして、下の方のポツが低放射化フェライト鋼のデータの取得ということになりますが、これにつきましては、HFIR炉や国内炉での取得を進めているところでございます。原型炉の概念設計でございますが、これはBA活動で実施して、並行して原型炉概念設計、それから関連技術開発を進めるという形で進めてございます。

 今回この資料をまとめるに当たりまして、他極の状況についても情報をインプットしてほしいという御要望がございましたので、次の4ページ目が「原型炉に向けた各国の核融合炉研究開発の考え方」ということで、他極の状況をざっくりまとめてまいりました。一番最初の欄が欧州、米国、中国、韓国、インド、ロシアということで、あと原型炉に向けた考え方ということと現状を簡単にまとめてございます。

 まず、欧州でございますが、原型炉に向けましては、エネルギー・環境問題の解決が核融合開発の強力な動機となっておりまして、他極に先駆けて、核融合の「早期実現戦略」、いわゆるファーストトラックと呼ばれているものをまとめて、それに従って研究開発を今進めていると。早期発電実証炉はITERと同じトカマク方式を採用して、経済性よりも発電実証を優先しているというところでございます。また、材料開発につきましては、国際核融合材料照射施設、いわゆるIFMIFの誘致を視野に入れて計画を立てているというところでございます。

 米国でございますが、エネルギー開発よりも科学研究を重視しているという傾向がございまして、ITERからDEMOに向かう工学・物理リスクを低減するというために、その中間段階での装置としての工学機器やプラズマ運転の課題を検討するような装置を検討しているというところでございます。

 中国でございますが、将来のエネルギー消費量の増大に向けて核融合研究開発を、国家を挙げて精力的に推進しているというところでございまして、最近の状況によりますと、早期の実現に前向きでして、ITERと並行して実験炉を建設するという計画が進行中でございます。現状というところをちょっと見ていただきますと、中国のところで、既にEASTと呼んでいる装置を2006年に建設して、現在稼働中であると。それから核融合エネルギーの早期実現に前向きで、そのために委員会を組織して、実験炉の検討を進めているところでございます。その中で、今年中に、2012年中にどのような実験炉を思考するかという方向性を固める意向のようで、その中にはハイブリッドもオプションの一つとして入っているというように聞いてございます。

 韓国でございますが、韓国は核融合エネルギー研究開発促進のために核融合エネルギー開発振興法というものを制定してございます。これに基づいて核融合開発研究を進めておりまして、やはり早期実現に前向きであると。また、第2次核融合エネルギー開発振興基本計画を策定するといった活動もしておりまして、原型炉に向けた体制作りを進めている状況です。また、KSTARやITERを最大限に利用しつつ、DEMO炉に向けた核融合基盤技術の研究開発を本格的に推進しようとしているところでございます。現状でございますが、この法律に基づいて基本計画を立ててございまして、その中の第2次、ちょうど2012年から第2次核融合エネルギー開発振興基本計画というのを策定して、それが始まったところでございます。この中でITERのテストブランケットモジュールの推進計画を確定しまして、今年からTBM計画に本格的に参入するという状況になってございます。

 インドの方はあまり情報が入ってございませんで、エネルギー不足の状態のためにより優れた核融合発電を利用して、エネルギー問題の解決を指向しているというところかと思います。

 また、ロシアでございますが、米国と似たような状況でございまして、核融合実現に向けて、ITERと並行して中性子源の必要性を強く認識しており、その実現に向けた活動を進めているというところかと思います。

 これが他極の状況でございまして、次のページにまいりまして、先ほどの我が国の場合の平成17年の推進方策の中で、特にその中でもトカマク型原型炉の基本的な考え方というのをその次の5ページにまとめました。私どもとしましては、こういうところでまとめられた基本的な考え方に沿って原型炉を指向していくということになります。推進方策の中で書かれている基本的な考え方としましては、定常方式の核融合炉を実現すること。それからITER程度の炉心寸法と百万キロワットレベルの発電能力を持つことが想定される。1年程度の連続運転が可能であるとともに、高いプラント効率や送電端での出力安定性、それから1を超える総合的なトリチウム増殖率が必要と考えられる。高プラズマ圧力運転の実現、年レベルの連続運転を可能とする非誘導の定常運転と熱・粒子の制御技術。それから中性子のフルエンスが10-20メガワット年/平方メートルとか、それからフルエンスとしては1メガワット/平方メートル程度の中性子フルエンスに耐える第一壁。それから数年レベルの中性子照射に耐える、それから高熱流束、高熱負荷に耐えるダイバータの開発。また、稼働率に影響を与えない程度の短期間でできる可能な保守のシナリオ。1年程度の連続運転が可能な加熱・電流駆動機器といったものが挙げられてございます。

 この中で特に重要なのは、上の方にございます定常方式だということと、それから2番目のポツにございますように、ITER程度の炉心で百万キロワットレベルの発電能力を想定すること。それから運転期間としては1年程度、1年以上の連続運転を考えるというところが装置の設計をするところで重要なキーポイントになろうかと思います。

 次の6ページにJT-60からSlimCS、これは原子力機構が今設計を進めております原型炉の1例でございますが、これらの炉心の形状を比較したものを持ってまいりました。一番左端からJT-60でして、大半径、いわゆるドーナツプラズマの主半径が3.4メートル、JT-60SAは約3メートル、ITERは6.2メートル、そしてSlimCSの場合ですと5.5メートルといった感じになります。その下の方に簡単にパラメータがまとめてございますが、核融合出力に関しましては、ITERで0.5ギガワット、原型炉のSlimCSですと約3ギガワットを考えております。また、そこの項目の中で、上から4番目に最大コイル磁場というのがございますが、これは超伝導コイルの場合、コイルにかかる磁場にある上限がございまして、ある値を超えた磁場が超伝導コイルにかかってしまいますと臨界状態を失ってしまうといった、そういうことがございます。したがって、各コイルの材料によってかけられる最大の磁場というのが決まってまいります。これを考慮した設計する条件として、60SAでは9テスラ、ITERですと13テスラを考えてございますし、SlimCSの場合ですと16テスラというのを考えているということになります。

 次のページにまいりまして、これは国内の原型炉の比較例でございます。一番左端と真ん中が原子力機構、旧原研も含めての設計でございまして、一番右が電中研で実施されたDemo-CRESTと呼んでいる装置でございます。先程のように17年の推進方策ではITER程度の炉心の大きさ、そして数百万キロワット程度の出力ということで、炉心の大きさを見ていただきますと、大体5.5メートルから7メートル。ITERの6メートルに比べますと、ITERの6メートル前後に設計値を持ってきてございます。このような炉でそれなりの出力を出そうとしますと、超伝導コイルにかかる最大の磁場というのは、大体似たような数字になりまして、最大コイル磁場というのを見ていただきますと分かるように、16テスラ、それから16.5、16テスラという値が要求されることになります。

 その下の方の8ページを見ていただきますと、これはEUの設計例との比較でございます。右の方に比較の表がございますが、日本の場合ですと、SlimCSにしても、電中研のDemo-CRESTにしましても、炉心の大きさといいますか、プラズマの大きさはITER程度を考えます。すなわち6メートルプラマイ1前後といったところを想定しているのに対しまして、EUははるかに大きい8メートルから10メートルという大きなプラズマを考えます。この結果、その下の方のマグネットの超伝導コイルのところの要求値を見ていただくと、日本のITERサイズで実現しようとしますと16テスラくらい、これをNb3Alという材料で実現しないといけないということになります。一方、EUの場合ですと13テスラですので、これは先程のITERの設計値、ITERの最大コイル磁場と同じ数字ですので、そういう意味ではEUのこの設計であれば、ITERのコイルと同じ材料を使って実現することができるということになります。

 このようにコンパクトな炉を指向するか。9ページにまいりますが、EUのように大きな炉にするかというのは設計思想の問題でございまして、日本の場合は推進方策の中でコンパクトな炉を思考するということになっているわけでございます。もちろんコンパクトにすることによって、最大のメリットは建設費が低減できるということになります。その替わりに技術的なハードルが高くなっていくというのがございます。一方、大型にすると、概して設計パラメータが楽になると考えられております。また、技術的な確実性を重視すべきというEUのような考え方もございます。

 その下に、1例ではございますが、小型と大型というのは簡単な問題ではございませんで、小型にすれば難しくて、大型にすれば易しいかというと、そうでもありません。例えば小型にすれば、もちろん除熱だとか、小規模な中心ソレノイドを小さくしないといけないといった問題も当然ありますが、では大型にすれば良いのかというと、大型にすればしたで定常運転に必要な電流駆動パワーが増大して、先ほど前のページでEUの例を御紹介しましたけれども、この設計例では、EUの場合ですと電流駆動パワーが250メガワットという、日本のようなコンパクトな炉の場合の2倍以上の電流駆動パワーが必要になってしまうという、それはそれでなかなかまた難しい問題がございます。したがって、ここのところは単純に小さければ難しくて、大きければ簡単だという、そういう話ではございませんで、やはりそこはじっくりちゃんと考えて、概念をちゃんと取りまとめて作業を進めていくということが重要だと思います。

 機構における原型炉に向けた技術開発の状況といたしまして、10ページでございますが、基本的には、先ほど前のところで御議論いただいていたフォーラム等での九つの技術課題があったと思いますが、それとほとんど同じでございます。それに加えるとすれば、一番最後の下にありますように、保守シナリオの検討と遠隔保守機器の開発といったものがあるかと考えております。また、ここにはまだ書いてはございませんが、先ほどちょっとお話がございましたけれども、廃棄物や廃棄物処理といった問題も当然3月11日以降、新しい課題としてここに加わってくるのだろうなというような想定はしてございます。

 こういうことで、こういう技術開発を進めておりますが、原型炉概念の設計をまとめるコアとなるチームがやはり必要だろうと考えておりますし、また、設計に必要な関連技術を進める拠点の整備が必要であろうと考えておるところでございます。

 次からは各個別の課題についてざっと現状をまとめたものでございますので、時間もあまりございませんので、さっとポイントだけ御紹介していきます。11ページは原型炉の概念設計ということで、ここにつきましては、真ん中辺りにございますが、様々な炉型、機器概念の研究につきましてはBAで取りまとめていき、本格的な原型炉の概念設計はポストBAになろうかと考えているところでございます。中でも、特に設計要件の優先順位付けですね。先程もございましたけれども、日本の場合ですとコンパクトを思考するためにああいう炉のパラメータを選んでおりますが、EUは経済性には目をつぶって大きな炉を作って考えるという、そういう設計する時の優先順位が重要だろうと考えております。さらに、それを受けて技術的限界の把握だとか、要素技術の制約条件に関する理解といったものを取り込んで整合のとれた、要するにプラズマと工学技術の整合のとれた原型炉の概念を構築していくということが重要かと思います。

 これから、以下超伝導コイル等各個別のR&Dの現状は御紹介いたしますけれども、これを取りまとめていく原型炉概念の設計というのが重要かと私は思っております。超伝導コイルにつきましては、先程も申し上げましたように、日本で思考している原型炉という場合は、コンパクトで高出力の炉を思考するということから、従来の線材では対応が困難で、新たな線材と導体が必要になってしまう。新たなというのはNb3Alと呼ばれている材料が一番有望だと私どもは考えてございまして、これを用いて16テスラ程度を実現すると。R&Dとしましては、そこに写真がございますが、Nb3Alの線材を作り、それから非常に小さい形でございますが、導体まで持っていって、その性能評価を行っているというところでございます。今後、原型炉に向けての取組としましては、16テスラというような磁場で、原型炉に使用しようとする導体を試験する装置の整備といったものも重要と考えているところでございます。

 13ページにまいりまして、ブランケット関係ですが、ブランケットにつきましては、先ほどから何回かお話にも挙がっていますが、ITERを利用したテストブランケットモジュールの試験というのが最も重要な課題と考えています。モジュール規模での実証を行うべく製作技術の確立、性能評価というのを進めていくこと。それから高耐照射性能、高温強度を同時に満足するような構造材料の実用化。原型炉のシステム技術の開発と実規模への適用性確証ということで、そこの絵にございますように、テストブランケットモジュールと言われるモジュール規模の増殖ブランケットをITERに取り付けて、その性能を実証するということを指向するのが最も重要なステップになろうかと思います。もちろんこれと並行して、原型炉に向けてのブランケットのシステムとしての考え方、設計というのが重要になります。

 また、ITERに向けてみますと、その下の14ページに想定されるスケジュールをざっと書いてまいりましたけれども、2012年、今年の後半くらいにはTBM取決めを締結して、それからCDRでございますが、これは概念設計レビュー、それからPDRが予備設計レビュー、FDRの最終設計レビューを経て1号機の製作を始めて、それをITERの軽水素放電の時に取り付けて試験を行うこと。それと並行して、重水DT放電の時に取り付ける。我々は2号機と呼んでございますが、DT放電の時に取り付ける2号機の安全性に係る試験といったものを炉外試験で評価して、2号機を製作して、DT放電の直前にITERに取りつけてデータをとると、そういうことを考えてございます。R&Dとしては、そこに写真がございますように、実機大のF82Hを使った構造体とか、それから加熱試験といったことを進めているところでございます。

 あとダイバータですが、ダイバータに関しましては、熱・粒子負荷をITER以下に抑えるためのダイバータ・プラズマ制御技術の確立。それから想定される熱・粒子負荷、中性子負荷に耐える原型炉用ダイバータの製作技術の開発。プラズマへの影響も含むプラズマ、工学両面の整合のとれたダイバータ概念の確立。全体のところは最初の原型炉概念の設計のところで行いますけれど、ダイバータというところは特に高熱負荷になりますので、整合のとれたダイバータ概念というのが重要かと思います。R&Dは、そこに写真がちょっと載ってございますが、小さなモックアップを使って、原型炉で考えられるタングステンの材料をF82Hという低放射化材料に接合して、小さな試験体で性能検査、それから製作技術の開発研究を進めているというところでございます。

 それから、理論・計算機シミュレーション研究でございますが、これにつきましては、原型炉プラズマの性能予測、それから核燃焼プラズマの総合的制御手法の確立ということで、これを統合してシミュレーションできるような統合コードの開発ということに取り組んでございます。現状は、これまでの取組はその下にございますように、部分的に個別の課題についてのコードを開発してございましたが、今後はこれをだんだんと統合化していくというものでございます。

 次にまいりまして、60SAにおける炉心プラズマ研究ということで、原型炉で必要となる高出力密度を可能とする高性能(高圧力)プラズマを100秒程度維持し原型炉の運転手法を確立するということを目的として、JT-60SAの現在改造を進めているところでございます。

また、ここにございますように、高いプラズマ形状因子を持つ60SAは、ITERでは実現できない高圧力プラズマ運転が可能になっていて、総合性能としましては、運転時間は100秒に限られますけれども、プラズマの研究という意味では高圧力プラズマのデータを取得できる貴重な装置になるということになります。

 7番の核融合燃料システムの開発と環境安全性ですが、燃料システム開発につきましては、燃料増殖に必要なリチウム材料の確保、燃料取扱いシステムに係る研究開発ということを進めてございます。リチウム資源につきましては、イオン液体、電気透析法によるリチウム同位体の回収試験といったものを既に実施しておりまして、また、同じ手法を用いまして、海水からのリチウムの回収試験といったところにも着手してございます。最近では、リチウムイオン電池からのリチウム資源回収試験といったところにも着手したところでございます。

 燃料供給シナリオの最適化、それから原型炉トリチウムサイクルの構築ということでは、原型炉クラスの燃料サイクル設計が可能なレベルに到達していると。環境安全性というところでは、主にトリチウムの環境安全性でございますが、ITERで新たに採用されたスクラバートリチウム除去系の研究開発。それからインベントリを考慮した材料の開発といったところをやっているところでございます。

 材料関係でございますが、規格・基準・信頼性に係る課題ということで、規格基準の策定というところで、核融合炉固有の安全性や特徴に依拠した規格基準の策定。基準策定のためのデータベースの構築、安全規制に係る体制の整備や人材育成ということで、現状ではデータベースの構築に最も力を入れているところでございます。材料開発では、材料の開発戦略、それからIFMIFに対する考え方を取りまとめていくということになります。

 下の方にまいりまして、材料開発のこれまでの取組ということで、高耐照射性能、高温強度といった核融合炉の要求項目を満足する新材料ということで、低放射化フェライト鋼、それからSiC/SiCの複合材料といったものの材料の開発。それから照射データの取得ということでは、HFIR等を利用した照射データの取得。それから大量溶解技術、接合、試験検査技術といったところを開発しております。また、機能材料につきましては、先進的なトリチウム増殖材料とか、増倍材料の製造技術に取り組んでおります。

 下の方に絵がございますが、中性子照射効果発現臨界条件を予測するという作業はこれから重要になろうかと考えております。それに向けては、もちろんIFMIFのデータも重要ですが、IFMIFを補完するような複合環境の照射試験といったようなものが重要だと考えているところでございます。

 加熱・電流関係ですが、基本的には高周波加熱システム、それから中性粒子ビーム入射加熱システムと二つございまして、いずれにしましても、ITER用のシステムの開発の延長線上にあると考えてございます。新たに要求されるのは、最も大きなところとしては、いずれにしましても連続運転と、それから連続運転に対応した保守技術といったものかと考えております。NBIの方につきましては、ITERよりも高い電圧の技術といったものが必要になります。

 保守シナリオと遠隔保守機器ということで、ここは先ほど岡野先生の御指摘にもございましたけれども、遠隔保守シナリオといいますのは炉概念に直結しているところでございまして、やはりここをちゃんと真面目に考えないと、炉の概念として整合のとれた概念にしておかないといけないと、重要なポイントでございます。そのための概念確立ということでは、BA原型炉設計活動で実施しようということを考えてございます。そして、具体的に原型炉環境に耐えるような遠隔保守技術の開発とかというのはBA以降のITERやBAの成果を踏まえて実施することを考えております。また、保守、廃棄物の一部保管といったようなところにつきましては、BA以外のプロジェクトの実施が必要であろうと考えております。

 ということで、ちょっと後ろの方は駆け足になって申し訳ございませんでしたけれど、以上が原子力機構における現状の核融合原型炉に向けた開発研究の状況と課題ということで御紹介させていただきました。以上です。

【小森主査】  ありがとうございます。

 それでは、続きまして、山田科学官からアメリカのプリンストン大学で行われましたDEMOに向けたロードマップについての国際ワークショップと、今年1月9日から11日に行われましたIAEA会合の報告を簡単にお願いします。

【山田科学官】  では、御報告します。今、秋場さんから御紹介がありましたように、原型炉DEMOへ向けた取組がそれぞれ各国で本格化しようとしている。よくまとめられた表がありましたけれども、こういった活動が共鳴して、最近国際的な議論の場が二つ持たれましたので、それについて御報告いたします。

 一つは、昨年9月にプリンストン大学で開かれたワークショップで、もう一つは、先週月火水とウィーンのIAEA本部で開かれましたコンサルタンシー・ミーティング、顧問会合と訳してしまうと少々大げさになりますけれども、この二つです。これらの会合の議論の詳細については、また後日、必要に応じて御紹介させていただきたいと思いますけれども、今日は、特に先週の会議については月火水とやったばかりですので、簡単に口頭で報告ということで御勘弁いただきたいと思います。

 結論として、一番大事なことは、原型炉に向けた国際協力開始への動きが始まるということです。先週IAEAの求めに応じて集められたコンサルタンシー・ミーティング、顧問会合への諮問は、実証核融合発電プラントへの戦略的課題とマイルストーンについて、IAEAに必要なアクションを提案しなさいということでした。この会合での議論の結果、DEMOプログラムワークショップ、DEMOのワークショップではなくて、DEMOプログラムのワークショップ、原型炉プログラム作業会です。これを年1回持つことをIAEAにレコメンデーションしました。現場での議論に沿えば、早速、この10月に米国サンディエゴで開かれる核融合エネルギー会議の次週に開かれることになるやもしれません。ということで、二つの会合について順を追って説明させていただきたいと思います。

 まず、一つ目はプリンストンのワークショップで、これについては、資料4にありますように、プラズマ・核融合学会に私から報告書を書かせていただいております。これはプリンストンプラズマ物理研究所が音頭取りをして、このワークショップを開いたわけですけれども、背景といたしましては、ITERは建設期に入ったということですので、次に商用発電炉への道のりを示すロードマップが世界各国どこでも必要とされているということで、今日いろいろ御議論されている中にもありましたけれども、優先順位をつけて、またリスクを管理しつつ、次段階には何をなすべきかということを決めていく必要があるということでして、まさに今日この作業部会で御議論されている内容のことにほかなりません。

 このワークショップからの一般的な結論は三つありまして、一つは核融合炉開発には大規模で複雑な際立った課題があり、この解決には継続的な国際協力を必要とすること。二つ目は、ITERを成功させるための国際貢献というものには、技術を成立させるためだけではなくて、核融合という分野に信用をおけるか否かということを、はっきり言えば、世界人類すべてということですね、すべての方々に確信を持っていただくことが決定的に重要であるということです。三つ目は、主たる開発課題についてよりよく理解し、これを解決する手段を講じるために、専門家が国際的に協力する方法を核融合コミュニティーは必要としているということです。特に三つ目のことについて、IAEAの方で理解をしていただきまして、国際コミュニティーが必要としている国際協力の方法というものを実現できるか否かということをフォローアップする形で今回のコンサルタンシー・ミーティングが開かれました。

 IAEAでの会合には11名の研究者が集まりまして、ディテールは今日まさに課題になっているほとんどとおりでありますけれども、例えば核融合開発設計コードにおけるさまざまな仮定の妥当性であるとか、材料開発の課題、ブランケット開発の課題、プラズマの排気の課題、あるいはこれらを解決していくためにどういった施設をつくることが必要かということであるとか、それぞれの技術成熟度、いわゆるTRLと言われているものですけれども、こういった課題について、最先端の技術的現状をまずレビューしまして、その上で三つの現状についての所見と二つの勧告をIAEAに提案しました。

 所見の一つ目は、核融合開発のための科学的・技術的課題は既に知られているということです。もちろんそれを解決することはこれからの問題なのですけれども、課題自体は既に知られているということ。二つ目は、これが唯一であるというロードマップは存在しないということです。原型炉への要求や条件、これは社会的要求や財政措置も含みますので、これは各国によって事情がかなり異なりますので、各国で検討されている核融合開発計画には差異があるという認識です。三つ目は、IAEAによる原型炉プログラム活動は、国際協力として、すべての極によって利益となるものであろうということです。ロードマップについては、いろいろ差異はあるのですけれども、共通する課題を国際協力によって解決していくということは各極にとって非常にベネフィットにはなるはずだということです。

 ということで、この三つの所見から二つの勧告となったわけでありまして、特に一つ目が、繰り返しになりますけれども、IAEAによる原型炉プログラム作業会を開始し継続すること。ここではITERの先駆けになったINTORワークショップであるとか、国際トカマク作業会(ITPA)などのフォーマットというのは議論されたわけですけれども、これまでと違って、INTORとかITERは、INTORであるとか、ITERというような共通のゴールがあったわけですけれども、今回共通のDEMOというゴールはありませんので、まずはこういった継続的な作業会の場で、いろいろな温度差なり内容の違いはあるでしょうけれども、DEMOというものに対して、今ある理解を俯瞰し、統合して問題解決を図っていくための国際協力をするという作業会が提案されたわけです。一方、詳細な技術的な議論はIAEAの技術者会合、いわゆるテクニカルミーティング、TM会合がありますし、そのほかにも、国際エネルギー機関(IEA)の方の実施協定等もありますので、これらについては個別のことについて追求していくものだと。一方、繰り返しになりますけれども、原型炉DEMOと関連する研究開発計画という文脈に沿って、技術を矛盾なく統合していく国際的な議論の場は現在ないので、これを提案したということです。

 二つ目の勧告につきましては、既にあるテクニカルミーティングを統合して──二つあるというのは、発電商用炉プラントに関するTMが二つあるのですけれども、それについては統合して、頻度も現在2年に1回のところを4年に1回ということに下げてはどうかという附帯的な勧告です。

 それで、現在コンサルタンシー・ミーティングの報告書を出席者の間で詰めている段階でありますので、まとまりましたら、文科省の作業部会だけではなくて、国内の核融合コミュニティーにも周知を図っていきたいと考えております。また、IAEA側からも聞かされたのですけれども、IAEAがこの勧告を受け入れて活動を開始しようとしても、各国政府の同意がなければ事は進みませんので、これについても文部科学省において認知をしていっていただきたいとここで考えております。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、今の二つの発表につきまして、御意見、御質問等をお願いします。

【山田科学官】  秋場さんが整理していただいた4ページ目にある原型炉に向けた各国の核融合研究開発の考え方、こういった世界的な動向を見ながら日本の在り方を考えていくことは非常に重要なので、大変要領よくまとめていただいて、これを今後も使っていくことになると思いますので、ある意味正確を期すということで私の方で少し補足を、意見を補足させていただきたいと思います。

 一つ目は、左の上にある欧州のところの原型炉に向けた考え方という左の上の項ですけれども、丸の二つ目の一つ目のポチです。早期発電実証炉はITERと同じトカマク方式と、こう書いてあるので、こういうふうに書かれると決まったというような感じにとられるかもしれませんけれども、これは皆さんよく御存じのように、概念設計を行って四つのオプションについて提案されているということであって、これに決まったということではないと理解しております。

 それと、右側の欧州の現状のところでも、JETのことが書いてありますけれども、ヘリカル系のLHDと同規模のW7-Xという装置が建設中で、2015年から実験を開始する予定であるということはノートしておかないといけないと思います。

 それと、米国の原型炉に向けた考え方の丸の一つ目で、エネルギー開発よりも科学研究を重視。これはこういう言い方もあろうかとは思いますけれども、エネルギー開発に向けたは、英語の言い方では、fusion nuclear scienceですね。日本語に適当に訳して正しいかどうかちょっと自信がありませんけれども、核融合の原子力としての基礎研究を重視しているということだと思います。

 それと、中国の方の動きが実はここに書いてある中国の現状のところのコラムで委員会を組織して検討中ということがあって、実はこの委員会の最初のレビューミーティングが1月5日と6日に行われました。私、IAEAの方の会議を優先させていただいて、こちらはちょっと出席かなわなかったわけですけれども、そこでの話を伺うと、今年中に方向性を固めるというのは少し言葉が不足しているかと思います。正確な言い方をすると、2015年に建設をするかどうかという判断をしますので、それまでに二つのオプションについて工学概念設計活動を終えるということです。その一つ目のオプションについては、ここに書いてあるとおり、今年中に方向性を決めるというように伺っています。

 以上です。

【小森主査】  ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等ございますか。

【尾崎委員】  今の資料の5ページ目ですけれども、原型炉の基本的な考え方ということで、これは平成17年の時の議論の結果だと思うのですけれども、例えばここで1年程度連続運転が可能というようなことが書いてあるのですけど、1年程度というのは、もしかすると、その頃というのは軽水炉も1年、13箇月しか運転しないというようなところから来ているのではないかと思うので、今、軽水炉、いろいろありますけれども、将来的には24箇月運転とかいうところを目指している時に、核融合炉って1年で良いのでしょうかというような話は、そういう見直しというのは今後あり得るのでしょうか。

【秋場研究主席】  推進方策に書いてある数字ですので、私が答えていいのかよく分からないですけれども、これは原型炉の考え方として、一応ここに1年程度、もしくは数年レベルというような書き方になっていると私は理解しています。最終的に指向するのは、当然、グリッドに持っていく時には2年なり長期の運転が必要になると思っていますので、核融合炉の最終目標はそこに当然あると考えます。最初のステップの原型炉としてはこのくらいの数字なのかなというように私は理解しておりました。

【小川委員】  秋場さんがおっしゃるように、このパラメータというのは原子力委員会のまとめですので、秋場さんはそういう答えだと思います。このまとめに関わった者としてコメントさせていただきます。この1年というのは、最低1年くらいは運転してよねというニュアンスでして、原型炉においても、アベイラビリティーをある程度は考慮すべきという観点から出てきた数値の話です。

 それから、秋場さんがまとめておられた3ページのところにいろいろパラメータが出ていますけれども、移行判断に当たってのパラメータ(原子力委員会の報告書のアペンディックスの所に案として出ているパラメータですけれども)は、これを参考として、実際の原型炉設計との整合性を図りながら判断すべきだと思います。リーズナブルな範疇で、これを一つのターゲットとして考えて原型炉の移行を判断すれば良いのではないのかなと思っています。そのためにはコミュニティーの中で合意をとって、それを外部に対して説明していく必要があると思っており、そのための指標になるパラメータだと思っています。

【小森主査】  ありがとうございます。ほかにございますか。どうぞ。

【岡野委員】  11ページの真ん中くらいに、さまざまな炉型及び機器概念の研究はBAで、本格的な原型炉概念設計はポストBAと書かれています。これは、あと5年間、日本国内では原型炉設計はしないのだという意図なのでしょうか。というのは、実はBAでも炉設計をすることになってはいますが、欧州と合意できる範囲でやらなければいけないので、日本案とEU案が競り合いながらいくわけですね。昨今の状況から、やっぱり安全性を重視した方が良いとかいう話になると、ヨーロッパの大型炉の設計が有利に見えることもあって、日本が少し国内の設計を頑張ってくれないと、みんなEUの主張がとおって、BAが終わってみたら、EUの炉設計が合意したものだった、なんていう話になりかねません。その場合、ポストBAでは、再スタートで全然違う設計をしましょうという話にはできないと思うのです。そういう意味では、この5年間の日本の中の原型炉設計の構築というのはとても大事だと私は思っています。もし、そういうニュアンスも含まれているのでしたら、原型炉設計も何かやってほしいと私は思っているのですが、いかがなものでしょう。

【秋場研究主席】  すみません、言葉が足りなくて申し訳ありません。とりあえずはいろいろなことをやって、それから絞るという、そういうつもりで書いたわけではございませんで、今先生がおっしゃられたように、さまざまな炉型という意味は、BAの中でやるためには、やはりEUと合意したものに限られるという意味でこのように書かせていただきました。実際にやる中では、我々が指向している概念設計を集中的に進めていくこと、進化させていきたいと考えています。

【小森主査】  ほかにございますか。どうぞ。

【堀池委員】  すみません、ちょっと分からなかったのですけど、20ページのところに複合環境照射試験とかいうのが少し書いてあるのですけれども、実際の話としては、多分ブランケットのいろいろな要素の物理的な試験とか、ダイバータの試験にかなり、14ページに書いてあるような熱負荷試験だけではなくて、ニュートロンとか、いろいろな試験も必要になると思うので、その辺はもう少し具体的に考えていただかないと実現できないのではないかなというように思いますが、いかがでしょうか。

【秋場研究主席】  御指摘のとおりです。ここで考えている複合環境試験といいますのは、いわゆる熱負荷だとか、高温だとか、磁場だとかといったそういう環境下での照射のデータが重要であろうというふうに考えて複合環境というように書いてございます。そういう複雑な環境での照射試験というもののデータも必要であると。IFMIFでできないこともないのでしょうけれども、やはりIFMIFは国際協力の国際マシンであるということと、十分なマシンタイムが取れないということを考えると、こういう核融合の原型炉に独特な環境での試験と、中性子の照射試験設備というものの試験条件でのデータというのが必要だと考えています。

【髙津委員】  秋場さん、複合環境照射試験って一番大きい要因はヘリウムではなかったっけ。中性子だけの試験だったら、ブルーの真っすぐな線のような予測ができるかもしれないけど、ヘリウムの効果が照射で入ってくると、どこかで右に下がってくる、特性が劣化していくかもしれない。そういう試験は原子炉ではなかなかできないですよね。だからIFMIFとか要るということを匂わせているのではないですか、この図は。

【秋場研究主席】  もちろんそうです。この図で照射データからヘリウム効果が入るので、下の方にグラフが落ちて性能が落ちるであろうから、そこをちゃんと評価しないといけないと考えております。したがって、IFMIFは当然必要であると考えております。IFMIFや既存の原子炉では得られないデータが必要であるという意味のグラフでございます。と同時に、今ちょっと申し上げましたように、ここで書いた複合環境というのは、ヘリウムだけではなくて、熱だとか、材料屋さんに言わせると磁場も重要なファクターになるのだとおっしゃっているところがありまして、そういう環境での試験というように考えてございます。

【小森主査】  ほかにございますか。もう時間が迫ってまいりましたが。

【山田科学官】  すみません、簡単に、ディテールの質問で申し訳ありません。16ページにある理論・計算機シミュレーション研究で統合コードに向けていろいろ努力を払われているということなのですけれども、これはコアプラズマの物理に関するものだと思うのですが、DEMO設計のための設計コード、どちらかというとエンジニアリングサイドのことになると思いますけれども、これとの協力なり結合なりというのはどういうお考えなのでしょうか。

【秋場研究主席】  この中で統合コードを思考している中には、いわゆるエンジニアリングの設計コードとの結合というものも今考えてございます。ただ、現状のレベルからいきますと、基本的にはプラズマの輸送コードといったところになっております。それと将来的にはここで言っている統合コードの中には、トカマクの機器システムとの統合シミュレーションといったものも当然必要になると考えています。

【山田科学官】  それが例えばBA期間中に間に合うとか、そういった話にはならないのですか。そういうプランはまだない?

【秋場研究主席】  そこまではまだ考えていません。

【髙津委員】  山田科学官の御紹介いただいたワークショップの件で1点教えていただきたいのですけれども、ITERに我々が参加するときに、国内でITERに参加して、その後どうするのかということで第3段階基本計画を見直して、国内でそれなりのロードマップというものを検討して、次にこういうように進んでいくというビューを理解したうえでITERに参加したわけですけれども、私が知る限り、ヨーロッパでもアメリカでも同じような議論があって、ITERに参加するというのは、どういうことなのかという議論があったうえで参加してきていると思いますけれども、一方、韓国や中国なんかはそういう議論をあまりせずにITERに参加してこられて、それはそれでウェルカムなのだけれども、今一生懸命、次にどうするのだという議論をやっていますね、韓国も中国も。建設費はお金が国に、産業界に落ちるからいいけれども、実験に参加して、その次どうするのだということが国内で十分説明できていなくて、今一生懸命ロードマップというのを検討して、次のDEMO炉にどうつなげていこうかという検討をしていると思いますけれども、私が知る限り、EUとアメリカもFSACでレポートを出していたし、日本でもロードマップを検討してITERに参加しているのですけれども、今の時点でロードマップを再度見直そうというのは、もちろんITERが現実になって進展もあった。それ以外の進展もあったということで、そういうものを取り込んで、もう一度新たな気持ちで見直してみようというのは当然あるかと思うのですけれども、何か新たなロードマップを検討するというインセンティブのようなものがあってこういう会合が開かれているのかということについて教えていただけますでしょうか。

【山田科学官】  まず、共通のDEMOを国際協力で作ろうということは目的には全くないです。ですから、各極ごとに、いろいろな幅はあれどITERの次のフェーズを考え始めているということです。それについていろいろな施設計画なり、複数の装置になるかもしれませんけれども、ITER以降のプログラムについて各極で検討が始まっていると。それについては国際協力ですることによって合理化であるとか、最適化であるとか、加速等ができるでしょうということで、そういったものの国際協力は図っていくべきだということですね。

【髙津委員】  私が知る限り、EUも日本もITERの次はDEMO炉ですよ。だからこういうものが並行して要りますねということでBAでやっているわけですね。一方、アメリカなんかはDEMO炉は置いておいて、間のDEMO炉につなぐための装置が要りますねという議論を一生懸命されていますけれども、中国も多分同じような状況だと思うのですが、ちょっとDEMO炉の議論をするというグループと、DEMOに向けた中間ステップの議論をするという違う議論が、それは一緒に議論されてもいいのだろうと思うのですけれども、ちょっと目的感が違うのではないかという気がしているのですけれども。

【山田科学官】 会の目的がそれに対する、どの部分で個々の問題解決に対してどういった国際協力で解決が図られているかということを議論すべきだということであって、おっしゃるように次の段階の施設についてはそれぞれ違いますね。ロシアとかアメリカはニュートロンソースタイプのものでありますし、中国は段階的に進めていこうと。日本とEUはDEMOをやるということ。一方、髙津さんも現場でいろいろ議論されていることでしょうけれども、EUからは日本のアグレッシブなアイデアはこのままでいいのかというような言い方もされていますから、その辺は岡野さんとの活動も通じて、いろいろ議論を重ねることによって、より良いものが早くできるようになると、逆にそれが目的です。おのおのの国のプロジェクトをいかにうまく進ませることができるかということが目的です。

【小森主査】  どうもありがとうございました。ちょうど時間となりましたので、今日はこの辺にしたいと思います。事務局の方から何かございますか。

【西山核融合科学専門官】  今日御議論をいただきましたけれども、次回は年度を超えまして、4月、ないしは5月をめどに次回の部会を開催したいと考えております。

【小森主査】  それでは、閉会といたします。今日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

小野
電話番号:03-6734-4163
ファクシミリ番号:03-6734-4164

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))