原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第28回) 議事録

1.日時

平成23年10月31日(月曜日)13時30分~15時

2.場所

文部科学省6階1会議室

3.議題

  1. 核融合分野における研究開発の進捗状況について
  2. 核融合研究開発に関する推進方策の検討について
  3. 今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について
  4. その他

4.出席者

委員

小森主査、疇地委員、石塚委員、岡野委員、尾崎委員、金子委員、笹尾委員、髙津委員、二宮委員、堀池委員

文部科学省

片岡研究開発戦略官、西山核融合科学専門官、中田補佐、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

【小森主査】  それでは時間になりましたので、ただ今から第28回の核融合研究作業部会を開催致します。本日は、大島委員、小川委員、東嶋委員、平山委員から欠席との連絡をいただいております。

 本日の議題につきましては、まず核融合分野における研究開発の進捗状況についてということで、疇地委員からFIREX-Iについて発表していただきます。それから核融合研究開発に関する推進方策の検討について、今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について、その他について御審議いただく予定になっております。

 それでは配付資料の確認を事務局の方からお願い致します。

【西山核融合科学専門官】  本日の配付資料でございますけれども、議事次第にも記載してございますが、資料1が「核融合分野における研究開発の進捗状況について」ということで大阪大学分でございます。それから資料2-1が「原子力科学技術の推進方策について〈中間取りまとめ(案)〉」、それから2-2が「核融合研究開発への今後の取組について(案)」でございます。それから資料3が「今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項について(案)」、それから参考資料1と致しまして「原子力科学技術に関する推進方策(中間報告)」というものがございます。

 資料は以上でございますが、漏れ等ございましたらお申し出をいただきたいと思います。

【小森主査】  それでは、議事の1を始めさせていただきます。核融合分野における研究開発の進捗状況です。資料1に基づきまして、疇地先生の方から御説明をお願い致します。説明は一応15分ということです。

【疇地委員】  15分。

【小森主査】  お願いします。

【疇地委員】  それではレーザー核融合の進捗状況について御報告を致します。ただいまお配りした当日配付資料2ページですけれども、本題に入る前にこのレーザー核融合を実施している大阪大学のレーザー研がどういう組織かと、またどのような事業を行っているのかということを、まずお話をしたいと思います。阪大のレーザー研は左上にあるように昭和47年に発足して、平成16年に大阪大学のもう一方の部局である超伝導フォトニクス研究センターと統合して、平成18年から全国共同利用、平成22年度から共同利用・共同研究拠点として活動を続けております。構成員は教員が約30名をはじめとする約100名の教職員とほぼ同数の学生からなっております。

 それで、ちょっと3ページを飛ばして4ページですけれども、ここの阪大レーザー研は二つの大きな事業を進めておりまして、一つは共同利用・共同研究拠点事業と、もう一つは双方向型共同研究委員会の下でレーザー核融合を進めておるということで、本日はこの右下のレーザー核融合についてお話をしたいと思います。

 それで5ページは高速点火実証実験の、この高速点火の中身でございますけれども、まず爆縮をして、それで最も密度の高くなった時刻、これ5ページですが、この時刻でもって第2の非常に短くて強度の強いレーザーをこのコーンの内側から注入をして点火・燃焼を起こします。この方式の最大のアドバンテージはちょうど右にスパークプラグのついたエンジンの絵を書いていますけれども、こういう点火プラグをつけることによって通常の中心点火と言われるやり方に比べておよそ10分の1のレーザーのエネルギーでもって、同じように点火・燃焼を起こすことができるということが特徴です。現在はFIREX第1期で、核融合燃料を5,000万℃の点火温度に加熱することを目標として研究を行っております。

 こういう炉心プラズマができた暁には、6ページに示すように入力レーザーエネルギーが200キロワットで、電気出力が4メガワット程度の非常にコンパクトではありますけれども、発電実証を目指した研究に移行したいと思っています。

 それで7ページはその次の段階で、100万キロワット級の実用炉のデザインの1例でございます。これはレーザーが1台でもって四つの炉チャンバーを駆動することによって100万キロワットを出すという、こういう構想でございます。

 8ページは少し飛ばして、それではこういう炉心プラズマから炉設計、炉工学に至るまでの準備の状況については、いかがかということでございます。10ページは、2008年度の終わりに完成した加熱用のレーザー、LFEXと呼ばれるものがこの右の写真で、これはちょっと分かりにくいですけれども、横に二つ、縦に二つで、合計四つのレーザービームでもって加熱をするという、こういう計画です。この時の最も重要だった開発項目というのは、左上にあるように非常に短いパルスというのをそのまま増幅していくと強度が高くなり過ぎるので、短いパルスがフーリエ成分をたくさん含んでいることを利用して、パルスを一旦ストレッチして、アンプして、最後にコンプレッションすると、こういうやり方をとっています。この時に最も重要な開発項目は、左下にありますように、大体10ナノメートルくらいの精度を持った回折格子を大きな1メートル級に技術拡大をするということで、これは現在世界最大の高精度回折格子でございます。これは日本の岡本光学とアメリカのPGL、それから大阪大学との3者の共同でもって5年がかりで完成した回折格子でございます。

 それでその次のページ、11ページですが、現在の段階でこういうふうにこの回折格子を横に二つ並べて、それでちょっと細かい話を省略しますけれども、現状で2ビーム分、この写真、上下2段になっていてこれが2ビーム分ですけれども、これと対抗といいますか正面にも同じものがございまして、1ビーム当たり4枚の回折格子でもって合計16枚の回折格子を使って、パルス圧縮するということでございます。現在は二つのビームで実験をしております。

 12ページは去年行った統合実験の1例で、ポイントは左、空間的に圧縮したコアと加熱するビームの空間的なコインシデンスをとり、さらに右の方は時間のコインシデンスをとって、両方合わさった時に初めて中性子の増大等が見られるということでございます。

 13ページは飛ばしますけれども、14ページは爆縮コアと加熱ビームのタイミングをいろいろ変えることによって、中性子があるところで最大になることを示しています。この中性子が増大する時間幅というのは、圧縮コアのライフタイムにほとんど等しいということで、これが確かに加熱したコアにインジェクションすることによって核融合反応が増大しているという証拠でございます。

 28ページが現時点でのアチーブメントで、左側が中性子発生数対加熱用のレーザーのエネルギーで、右側がそれに対応したイオン温度でございます。左に戻って、曲線が四つ書いてございますけれども、それぞれのパラメータはインジェクションするレーザーから圧縮したコアへの熱エネルギーへの結合効率で、現在のところ、大体20%くらいの効率が期待できているということです。まず黒丸が今から9年前の実験結果です。その後2009年から実験を始めたのですけれども、当初加熱用のレーザーにプレパルスと呼ばれるものが含まれていて、それによって作られたプラズマが膨張してコーンの中に充満し、そこへ加熱レーザーが入って、非常にエネルギーの高いエレクトロンが発生して、コアへのカップリングが大変悪くなる現象がございました。その問題を昨年度解決してほぼプレパルスのサプレッションを1,000倍ほど向上させることによって、9年前の実験結果を再現、さらには凌駕をするに至ったという、これが現在の状況でございます。

 右側の絵に戻って、それで現在得られている20%という結合効率をそのまま延長致しますと、現在のエネルギーから、現在は0.5キロジュールくらいですけれども、それを5キロジュールくらいまで増大させることによって、5,000万℃、5keVの加熱が可能となるだろうと予想しています。

 それでは今後どうするかということですけれども、16ページはこれまでの成果と今後の計画を示しています。それで平成21年度、22年度は今申し上げたように1ビーム稼働、2ビーム稼働で、それぞれ中性子発生の増大、Nature実験という9年前の実験を凌駕するというところまでまいりました。元々の予定では、平成23年度に全てのビームを稼働させて燃料の5,000万℃加熱ということを予定しておりましたのですが、この間に真空チャンバーの油汚染による回折格子の損傷の問題が発生して、その後それを改修するために研磨を日本の国内でやっているところに、今年の3月に大震災が発生して、その地震と計画停電による研磨機の停止、それから夏期、8月、9月には外気温の上昇による研磨精度の低下という、こういう問題が発生をして、現時点でおよそ1年程度の遅れが生じています。

 このため、今年度は実験を停止して、4ビームの全ビーム稼働に現在集中しております。来年度4ビームを稼働して最初は少しエネルギーを低めにして2,000万℃を加熱、最終的にはフルビームエネルギーで5,000万℃加熱と、こういう計画で今、進めております。ということで、この委員会で元々、平成24年度にチェック・アンド・レビューをすることになっていたかと思いますが、これを平成25年度以降に実施していただきたいと思っています。

 それでは17ページ、炉心プラズマだけでなくて、炉工学の要素技術について、どういう状況にあるのかということでございますが、いっぱいありますので、一つだけ、レーザーだけに話を絞ってお話をします。18ページは、まずこれまでのフラッシュアンプで励起していたレーザーを、レーザーダイオードで励起するという計画を進めています。従来のフラッシュランプはレーザー媒質の吸収線に対して非常に広いスペクトルを持っているために、ほとんどのエネルギーを捨てていて、捨てたエネルギーというのは熱になっていきますので、繰り返しレーザー発振ができないということがございます。これに対してレーザーダイオードというのは、吸収線を狙い打ちすることができるので、大変効率が良くて繰り返しの高いレーザーを作ることが可能です。

 現在は二つまだ問題が残っていて、一つはこのレーザーダイオードのコストで、小指の先くらいのもので現状150万円します。これを5万円程度にしないと炉にはならないということで、これが第1の問題。この問題については19ページのレーザーダイオードの価格というのは市場の成長によって低下するというラーニングカーブがございます。これまでのラーニングカーブを適用して予測すると、大体レーザー核融合の実験炉に必要なレーザーダイオードのコストというのは、この右下の星印くらいになり、十分に低価格になります。一般にラーニングカーブというのはuncertaintyがございますので、その3倍を想定して価格評価しています。

 もう一つの問題は、仮にレーザーダイオードのコストが安くなっても、一旦、レーザー媒質に熱が溜まった時に、そこから冷却をするのが大変困難であることです。レーザー核融合研究では、大型化が可能であることからレーザーガラスを今まで歴史的に使ってきました。こういうことを世界中がしているわけですけれども、当然のことながらガラスというのは熱伝導度が大変悪うございますので、これを熱伝導率の高い結晶にする必要があります。結晶というのは大きいものを作ることが困難なため、大きくするためにはセラミックにするという、こういうことでロジカルにはセラミッククリスタルというのは良いと言われてきました。セラミックというのは不透明なのが普通ですけれども、今から約5年から10年ほど前に日本のメーカーが世界で初めて透明なセラミッククリスタルを作ることに成功しています。これを用いて実験というか試作機を、22ページには冷却型のセラミッククリスタルを使ったレーザーで、100ヘルツを実証した実験結果を示しております。23、24は飛ばします。

 海外の状況はどうかということで、26ページの世界のサーベイは飛ばして、NIFのアメリカのNational Ignition Facilityの現状について、お話をしたいと思います。27ページはこれはNIFの内部の写真です。NIFというのは192本のレーザービームを射出するもので、この写真の手前側にターゲットチャンバーがございまして、この写真自体は全体の半分の写真です。もう一つ同じものが左か右かにございまして、こういう大変大きなレーザーをこの次のページの小さなターゲットにつぎ込むことによって、太陽の中心の密度、温度ともに6倍程度の状態を作り出して点火をするということでございます。アメリカの場合は、日本のやり方と違ってこういう缶の内側にレーザーを当てて、そこから発生するエックス線でもって燃料球を爆縮すると、こういうやり方をとっています。

 その次のページ、現在のNIFの実験の現状を示すチャートがございます。縦軸がアルファ加熱がない場合の中性子の発生数です。横軸が燃料の密度掛ける半径の積に比例した、ある実験量でございます。御存じのように密度掛ける半径の積というのは、磁場核融合でいうところの密度掛ける閉じ込め時間の積に比例するものでございます。NIFの最初の実験というのは、この左のブルーで書いたところで、データポイントが何点かございますけれども、まず爆縮速度を増大させて、温度を上げそれに従って中性子は増えました。次の段階で、燃料の密度掛ける半径の積を上げるために、4段の衝撃波のタイミングをチューニングさせることによって、断熱圧縮に近づけ、最初の実験のほぼ倍の燃料密度・半径積が出たということで、この赤い三角の点が現在のアチーブメントの最大値でございます。今後1年、2年をかけて爆縮速度を上げ、さらにAdiabatと書いてありますけれども、断熱圧縮に近づけることによって点火条件に近づけるというやり方をとろうとしているようでございます。大体このパラメータが今、点火に対してほぼ1桁、0.1というある種の、ITFXというのはIgnition Threshold Factorと呼ばれているもので、これが1になると点火をすると思われているものですけれども、現段階ではそこから約1桁下の段階。中性子発生数であと5倍、燃料の密度・半径積であと1.5倍を増大させる必要がございます。

 その次のビューグラフはこれまでの過去2年間のアチーブメントを示しています。縦軸は中性子発生数、横軸がCalendar Yearで、中性子発生数に関しては、当初の10の10乗程度から、10の15乗のところまで来た。10万倍程度中性子が増えたというところでございますけれども。来年度に向けてゲイン、すなわち投入したレーザーエネルギーに対する核融合の利得が、0.1から1の段階に徐々に近づけていくと、こういう計画で進めているようでございます。

 31ページですけれども、こういうNIFの進展に対してアメリカの政府の側が、この写真はスティーブ・チューさんというエネルギー省の長官でございますけれども、NIFの点火を待つ前に、NIFの点火からエネルギー開発へどのように近づけていくかという検討を、全米のアカデミーによる委員会に委託をして現在その検討が進められているところのようです。

 32ページは彼らの描くロードマップで、2010年頃にNIFの点火、2020年頃にLIFE(Laser Inertial Fusion Energy)と呼ばれる原型炉。2030年に商用炉という構想を描いているようでございます。

 最後ですけれども、33ページ、国際協力についてです。現在、発電を実証するプランが構想されています。一つは日本の高速点火をベースにしたLIFTと呼ばれる構想、ヨーロッパでは直接照射型をベースにしたHiPERと呼ばれる構想、それから右下のLIFEと呼ばれるアメリカの間接照射をベースにした構想のこの三つがございます。日本の計画に関しては、日中、日韓の研究協力協定、それから欧州との関係は、HiPERの炉設計を主に担当しているスペインのマドリード工科大学との研究協力協定を結んで、現在進めようとしているところでございます。問題は、アメリカとの協力に関してです。アメリカは皆様御存じのように炉心プラズマに関しては、ディフェンスプログラムとのデュアルパーパスで研究が進められている関係で日本との協力が困難であるという状況でございますので、まず私どもとしては直接そういうことに絡むのではなくて,もう少しブロードな高エネルギー密度科学というベーシックサイエンスの部分でまずは協力を始めようとしております。

 最後にまとめでございますけれども、大阪大学のレーザー研の役割というのは、共同利用・共同研究事業による学術の振興で、核融合研究は主要プロジェクトの一つであると。レーザー生誕50年を経て、人類初の核融合点火・燃焼の前夜となってきたと。我が国が進めるコンパクトな高速点火はレーザー核融合エネルギー開発を大きく加速する可能性があるということ。最後は、これまでの物理と工学の発展を、レーザー核融合発電実証を目指した計画に収束するのが良いのではないかと思います。

 以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは今の御説明に対しまして御質問等があればお願いします。ちょっと時間が押していますので簡単にお願いします。

【岡野委員】  じゃあ。

【小森主査】  どうぞ。

【岡野委員】  16ページにいくつか遅れの理由を書いていらっしゃると思うのですが、1年程度遅れているとおっしゃったのに対して、チェック・アンド・レビューは平成25年度ということは、1年以上遅れると思うのですが、何か理由があるのでしょうか。

【疇地委員】  これまでの計画では2011年度に5,000万℃の加熱を行って、2012年度にチェック・アンド・レビューをしていただけたらということを申しておりました。ですから2012年度から1年遅れて2013年度。すなわち平成25年度です。

【岡野委員】  あ、そうか。ちょっと混乱していました。分かりました。

【疇地委員】  はい。

【小森主査】  ほかにございますか。

【山田科学官】  今、LFEXレーザーの最大のエネルギーが0.4キロジュールくらいですか。図を見ると。それで最終的にはスペック1ビームで2.5キロジュールくらい確か出ると思うのですけれども、要するにパルス幅がまだ短いということだと思うのですね。それで左側にあるそのプレパルス制御というのは、パルス幅を伸ばしていった時も応用可能なものなのでしょうか。

【疇地委員】  はい。プレパルスの抑制をするのは、パルス幅を伸ばした場合にも応用可能です。二つの方法でもってプレパルスを1,000倍程度抑制しました。そのうちの一つは、光パラメトリック増幅というものに固有のプレパルスを抑制したことです。光パラメトリック増幅というのは、結晶の中に種の光と励起用の光を同時に入れ、種の光を増幅するものですが、その時に種光がなくても励起用のレーザーのエネルギーをもらってプレパルスが出てしまう効果があります。それを抑制するためにあえて波長のわずかに違うレーザー光線を種光の方に入れる新しいやり方が、これは日本の発明ですけれども、そういうやり方があって、それを利用することによってプレパルスを抑えることができました。その方法はパルス幅が1ピコの場合も10ピコの場合も適用可能でございます。

【小森主査】  よろしいですか。この5,000万℃目標というのは、レーザーの波高値は変えないで、パルス幅だけを変えていくことでいけるということですか。

【疇地委員】  はい、そうです。座長がお話しされたとおり、今レーザーのエネルギーは1キロジュール以下でございますけれども、それを約10倍にエネルギーを増大させるには二つの方法がございます。一つはパルス幅をそのままにして強度を上げることです。しかしレーザーの強度が強くなると、そこで発生する電子のエネルギーが高くなって、圧縮した燃料コアとのデカップリングが起こります。なので、レーザー強度を変えずにパルス幅を1ピコ秒から10ピコ秒に伸ばしてエネルギーを上げる予定です。

【小森主査】  それではよろしいですか。どうもありがとうございました。

 続きまして、議事の2に移らせていただきます。議事の2は原子力科学技術に関する推進方策の検討です。西山専門官から資料2-1につきまして御説明をお願い致します。

【西山核融合科学専門官】  それでは資料2-1を御覧いただきたいと思います。前回の本部会でございますが、9月14日の午前中に開催を致しました。その折には親委員会である原子力科学技術委員会の方から宿題と致しまして、この資料の3ページにもございますように、第4期の科学技術基本計画、これ5年間あるわけでございますが、そのうち今後短期的に進めるべき、今後1年の間に進めるべき方策について検討をして下さいということがございまして、9月14日の午前中に御議論いただきました。そのまとまった結果が10ページの中ほどから11ページに出ております。

 その結果をもちまして、その当日の午後に開催をされました、親委員会の原子力科学技術委員会におきまして、小森主査から御報告をいただきました。この案に対しましては原子力科学技術委員会としては核融合自体については特段の意見はなしと伺っております。ただし、これは課題領域、環境・エネルギーということでございますが、別の委員から核融合研究だけではないであろうということで、そこには高温ガス炉研究開発というものが加わってございます。

 この後、原子力科学技術委員会の開催は11月28日に予定されておりまして、改めてその原子力部分を含めて、そこでこの中間取りまとめが最終的にまとめられるという状況にございます。核融合につきましては、特段意見がなかったということもございまして、特段の議論は必要なかろうかと事務局としては考えておるところでございますけれども、非常に短時間の審議でございましたので、改めて特段何かございましたら、本日御意見を頂戴したいと思っております。

 なお参考資料の1に原子力科学技術の推進方策の案というのをポンチ絵でつけておりますけれども、親の親の委員会である研究計画・評価分科会におきましては、その裏面になりますけれども、3の我が国の重要課題達成に向けた当面の重点的取り組みというところの課題領域に、環境・エネルギー(グリーン・イノベーション)の中に一番上の丸でございますが、核融合研究開発ということで一応入っていると。これで計評分科会には報告をなされているという状況にございます。

 以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは今の御説明につきまして、御質問等がありましたらお願いします。

【堀池委員】  よろしいでしょうか。

【小森主査】  はい、どうぞ。

【堀池委員】  この丸1の放射性物質による汚染からの技術開発というのは、ここ1、2年というのでは非常に重要だと思うのですけれども、そういうことに関して、やっぱり核融合も含めた原子力分野からそのコントリビューションがあるというのは、それは当然の前提として話が進んでいると思っていていいのでしょうか。

【西山核融合科学専門官】  前回の議論の中では、特に与えられた課題として課題領域、環境・エネルギー、この部分に限って御議論をいただいておりますので、それ以外のところは特段審議をしていないと。

 一方では原子力科学技術委員会の方としては、11月28日にまた会議がございますけれども、さらに原子力の分野の先生方の御意見をまとめて、これがちょっと変わる可能性がございます。とりあえず核融合研究作業部会としては、その環境・エネルギーのところについて御意見を集約するということでございます。

【小森主査】  この作業部会が関係しているのは、この間も御審議いただいたのですけれども、10ページの「核融合研究開発」というところです。ここの文章は前回と同じで、前回と違うのはその下に、高温ガス炉研究開発というのが、5行加わっています。これは、この部会の要望ではなくて、親委員会の方で議論があって、これが足されたということです。

【岡野委員】  ちょっとだけ気になっているので。

【小森主査】  はい。

【岡野委員】  これはこの部会で言うことではないのかもしれないですけれども、ガス炉が追加されたのに何も異論はないのですけれども、10ページの上から7行目のあたりに、「我が国においては」云々と書いてあるのですね。高温ガス炉もここに書いてありますが、高温ガス炉のところを拝見しますと、どう見ても途上国用に開発すると書いてあるようにしか見えないのですが、それはよろしいのですか。日本では扱わないと見えますよね。ここで言う話ではないかもしれないけれども、文面これでガス炉の方は良いのかなとちょっと思いまして。

【小森主査】  おっしゃるとおりかもしれません。

【岡野委員】  我が国に関係ないものをわざわざ開発するのですかという話になるかもしれないですね。

【小森主査】  基本的には、ここの作業部会としては核融合の研究開発のところに適切な文言が並んでいれば、良しとするということで良いのではないかと思いますが。

【岡野委員】  今、核融合のところに同じことは書いてないだろうなと一生懸命見たので、それは大丈夫なようです。

【小森主査】  来年の1月に確定するというお話を伺っていたのですけれども、親委員会の親の分科会の開催が少し遅れそうで、もうちょっと時間があるということですので、何かありましたら、また座長の方に一任いただいて親委員会で発言させていただきたいと思います。よろしくお願い致します。

 それではよろしいでしょうか。それでは、次の資料2-2ですが、西山専門官からお願い致します。

【西山核融合科学専門官】  引き続き資料2-2を御覧いただきたいと思います。先ほど、今後の核融合研究の推進方策について審議をいただいた折に、委員の先生方から核融合研究作業部会としてやはり世の中に向けて何かものが言えないであろうかというような御意見を何人かから頂戴を致しました。ということで、とりあえず核融合研究作業部会と銘打っておりますけれども、核融合研究あるいはエネルギーの実現の有益性であるとか有意義さについて、一般の方々、核融合研究についての知識をそれほどお持ちでない方にも理解が得られるような形で、その意義が伝わるようなことができないだろうかということで、事務局で今後の取組の案を作りました。これをもって今日、御審議をいただき、さらに先ほど11月28日に親委員会である原子力科学技術委員会があると申しましたけれども、今回その意見をいただいて親委員会の方に主査から御報告をいただいて、また御意見をいただいて、それが認められれば、これを世の中に出していくという手はずで進めてまいりたいと思います。御意見を頂戴できればと思います。

【金子委員】  すみません、世の中に出すというのは、どこが出すのでしょうか。主語はどこでしょう。

【西山核融合科学専門官】  親の了解を得て出すということになり、核融合は原子力の政策の一環でもありますので、原子力科学技術委員会としてお出しをいただくということを今のところ考えております。

【金子委員】  分かりました。

【堀池委員】  よろしいでしょうか。

 福島前だったら、もうこれで良かったと思うのですけれども、今は状況が変わってきているので、もう少しこの第3パラグラフのところあたりに、再検討において核エネルギーとしての重要性の再認識が進められる中で、核融合も含めたそういう全体的な理解の促進に我々も原子力の分野の研究者と一緒になってやっていくというふうな、やっぱりそういうトーンが欲しいかなと思うのですよ。もう少し核エネルギーで、共通したエネルギーをやっているのだというトーンが、やっぱりちょっとこれから大事かなと思います。

【金子委員】  私も親委員会に出した時に、意見が出そうな感じがします。我々としてそこを配慮するかどうかはちょっと別ですけれども、一応そういった可能性を見ながら、本当に外へ出したいのだったら、出せるような方策なりをあらかじめとっておいた方が良いような気がします。誤解されてしまうのも困るので、その辺の雰囲気をお尋ねしながら、文言を議論していった方が良いと思います。堀池先生のおっしゃるようなトーンを確かに少し入れないと。

【岡野委員】  すみません、その問題になっているところが、あまりよく分からなかったのですけれども、この3行目以降の「原子力を巡る現在の状況を踏まえても、上述の核融合の意義は変わらない」というくだりがひっかかるのでしょうか。

【石塚委員】  私はひっかかるのですけれどもね。

【金子委員】  ええ、多分そうだと思います、私も。

【石塚委員】  「原子力を巡る現在の状況を踏まえても」といっているけれども、核融合は、この一番上の4行に書いてあるような非常に大きなエネルギーを長期的・安定的に確保するとともにとか、環境影響とか、イノベーションとか、そういうものの中にあるわけですね。今、福島で起きていることを考えれば、もっとしっかりやらなきゃいけないのですが、そういう状況があろうとなかろうと、核融合というのはやっていくのだと思うのですよね。だから、上記の状況を踏まえてもというのは、何かとってつけたような感じで不思議なのです。

【岡野委員】  本当の気持ちを言えば、踏まえればますます安全だと思いますけれどもね、本当は。そこは言わない方が無難でしょうね。

【小森主査】  ほかに何かありますか。1段目、2段目はこれで大体良いかなというところですけれども、この3段目、これが一番肝心かもしれません。ここのところですね。「当作業部会としては」以下が一番重要なところですね。「上述の核融合研究開発の意義は変わるものではない」、この表現の仕方ですね。「踏まえても」以下に、皆さんの御意見を出してもらって、もうちょっと考えるということですね。

【金子委員】  やはりエネルギー政策の重要性というのは変わっていないので、その中での核融合の位置付けも変わってないはずですから、そこを改めて強調するという形でよろしいのではないかと思うのですけれども。

【小森主査】  金子先生の御意見は、原子力を巡る現在の状況と書いてありますけれども、ここは特に書かないということですか。

【金子委員】  ええ、これは書かないで。

【小森主査】  今まで重要だったものを、今後も重要だと書くだけで良いのではということですか。

【金子委員】  そうですね。長期的な視点から見て核融合研究の位置付けというのは何ら変わりもないので、引き続き核融合研究の開発を着実に推進していくことが、親の委員会で原子力の進め方をもう一度見直しているわけですから、見直している時点の中で改めてその重要さは変わらないということを強調していただければ良いのではないかと思うのですけれども。

【笹尾委員】  よろしいですか。

【小森主査】  はい、どうぞ。

【笹尾委員】  その意味では、この3段目の先頭の文章で、原子力政策の再検討が今は行われているということは述べているわけですから、ここの「原子力を巡る現在の状況を踏まえても」というのを抜いても、この文章の趣旨は変わらないと思います。それで逆にこれがあることによって、親委員会の方が非常に気にされるようだったら、これは省いても構わないと私は思いますけれども。核融合の意義、上述の核融合研究の意義は変わらないということを言いたいわけですね、この部会としては。

【小森主査】  「当作業部会としては」の後、「原子力を」の節を除いて、「としては、上述の」とつなげたらどうかということですね。

【笹尾委員】  ええ、はい。

【堀池委員】  ちょっといいですかね。

【小森主査】  どうぞ。

【堀池委員】  多分その原子力政策、エネルギー政策の再検討というのは、脱原子力が本当に長期政策としてやるかどうかということを検討するということですよね。

【笹尾委員】  ええ。

【堀池委員】  その中で、例えばその昔から、前から小西先生がいろいろ外部コストの研究、検討とかやられていて、その中で彼がよく言っているのは、本当にグリーンイノベーションで、例えば二酸化炭素の地中埋設とかそのような方式で、化石燃料だけでいける時代が来た時には、原子力のプレゼンス、シェアも下がるし、それだけやっぱり核融合のプレゼンス、市場の重要性も一緒になって下がっていく時代が来るということだと思うのですよ。そういう意味でいうと、原子力を巡る現在の状況は、やっぱり我々としても同じ核エネルギーの利用を目指すものとしてのやっぱり共通項があって、それに対して例えば放射線の安全性とかドライなRIの安全性とか、ニュートロンの安全性とか、トリチウムの閉じ込めの問題とか、そういう色々なものを含めても、バックグラウンド、それから炉工学の技術としても非常に共通項があって、やっぱりそういう意味でいうと、将来のエネルギー構想というのを一緒になってといったらおかしいですけれども、この今回の事故を我々も他山の石とせずに一緒に考えて、長期的なエネルギーとしての核融合のより良い開発に向かっていくのだとかいう、そんなのが欲しいなと思うのですけれども。

【笹尾委員】  ちょっとよろしいですか。堀池先生の御意見は非常によく理解できるのですけれども。この作業部会の守備範囲を超えているような気も少しするのですね、そこまで言うのは。ですから、根底にそういう考え方が非常に重要だということには賛成できるのですが、やはり今はできるだけ早くこういう意見を表に出すことの方が重要で、そこの議論はまた必要に応じて改めて行った方が良いのではないかと思います。

【堀池委員】  では、小森先生、もし原子力科学技術委員会に行かれたら、そんな議論が出ましたということをお伝え願えれば、それでいいのではないかと思いますが。

【石塚委員】  一番上のところに人類共通の課題であると、こう言い切っているわけですから、その意義は変わってないのです。だけれども、今、堀池先生がおっしゃっているように、新しい状況ができたので、その研究開発の在り方とか進め方だとか、そういうことについては、改めて考慮をしていくべきではないだろうかというのなら分かるのです。

【堀池委員】  そうです。

【小森主査】  やり方とかいろいろなところで、今は変わる可能性があるが、ここの文章全体として、意義は変わらない、核融合の意義は不変だということは少なくとも主張しても特に問題はないということですね。ただ言い方の問題はあるということですね。そういう意味では笹尾先生がおっしゃるように、「原子力を巡る現在の状況を踏まえても」という文言を少なくとも取れば、意義だけの問題としては一貫はしているということですか。それ以上踏み込むのはなかなか難しい。それこそ大綱の議論の様子を見ないと分からないということになってしまうかもしれませんね、どうでしょうか、その辺。

【門学術調査官】  世間的にはやっぱり安全性、トリチウムとかニュートロンとかに関しては今までよりも厳しく見られることになるので、それに触れないというのも、世間的に見れば、なに、能天気なこと言っているのだということになりそうな気がします。僕はどちらかというと真摯に受けとめて、ちゃんと安全性も含めた開発をやっていかなくてはいけないような文言があった方が良いように感じます。

【金子委員】  そうするとやっぱり「引き続き」の後にその辺の安全を考慮するとか、具体的に私たちは何を考えながらやるかという文章を入れたらどうでしょうか。

【小森主査】  ただその安全性までを今の時点で入れるという話になると、堀池先生のおっしゃっていたように、中性子の遮へいの問題があるじゃないかとか、そういう問題を原子力の議論と別物として出すということは、今の時点ではどうかなという気もします。非常に難しいのではないかと。親委員会を通って、そういうことを主張していくのは、非常に難しいところが私はあると思います。

【堀池委員】  だからその辺をうまくちょっと入れられたら入れておいた方が良いと思うか、そこはまあオープンにしておいて後で変えられるようにしておいた方が良いと思うかという、そんな選択、判断だとは思うのですけれども。何か言っといた方が良いのではないかなというのが僕の意見です。

【髙津委員】  よろしいですか。

【小森主査】  どうぞ。

【髙津委員】  私自身この文章だけ読ませていただくと、言ってみれば何も目的感も変わらないし、何も変わらないのだと読めるんですけれども。今までの検討のラインでより検討を深めていこうというポジションペーパーのように読めるのですけれども。やはり原子力でああいう事故があった場合に、核融合も何も振り返らなくていいのかというのは、ちょっとそれは違うのではないかと思うので。どこまで具体的に書くかというのは色々な項目があるから、具体的なイシューを挙げる必要はないかと思いますけれども、門先生が言われたようにやはり原子力を巡る現在の状況を踏まえて何かするべきではないかと。核融合政策を見直す、あるいはチェック・アンド・レビューをすべきでないかという姿勢をニュアンスとして出した方が良いのではないかと思いますけれども。

【金子委員】  そうするとやはり取り組み方を変えますというのを、我々はここで議論することになりますよね。

【笹尾委員】  うん、そうですね。

【金子委員】  それを今やっている時間はないのではないですか。一般論としては言えると思いますけれども。この事実を真摯に受けとめて、という問題意識は出せますよね。じゃあこの文章のタイトルである今後の取り組みについてというところで、具体的なものを出すには、まさにこの作業部会でこれからやるような作業が要るのではないでしょうか。今の段階では大方針は変わりませんよということを、まずは上の委員会に認めてもらい、その後で具体的な、安全性とか、そういったものも含めて原子力の一つですよということも含めながら核融合をより優れたものにしていくという議論をここでやって、またもう一度出せたら一番良いかなと思うのですね。

【髙津委員】  私も時間スケールをちょっとよく認識してない発言かもしれませんけれども、この文章、私としては自分のぴったりくる感じとしては「当作業部会としては、上述の核融合研究開発の意義は変わるものではないものの、原子力を巡る現在の状況を踏まえつつ」という順番を変えて書かれた方が、より現在の原子力の状況を認識した議論をしていくというポジションが出るのではないかと思いますけれども。

【笹尾委員】  この「原子力を巡る現在の状況を踏まえつつ」という言葉をどう解釈するかで、色々解釈のしようが出てくる可能性がありますので、その後に続く言葉については、相当議論が必要かもしれないですね。

【二宮委員】  よろしいですか。ちょっともう少し元に戻らせていただいて、先ほど上の委員会で10ページ、11ページの記述がございますよね。そういう中でこれを提出していくと、どういう効果を期待されているのかなというところが、ちょっとよく分からなくて、疑問に思っていたのですけれども。

【小森主査】  この間、この委員会で、原子力大綱を見直しているという話が紹介されました。それに対して、この委員会から、何か意見を言うことはできないでしょうかという御意見が出されました。この御意見に沿った本委員会の意思表示の一環と私は考えていますけれども、それでよろしいですか。

【西山核融合科学専門官】  そうでございます。

【堀池委員】  いいですかね。ちょっと先回休んだので申し訳ないのですけれども、それだったらやはり何も言わないというのはなくて、ある程度原子力エネルギーとともに核融合開発が進められているのだということを我々はちゃんと認識しているということ、そうして核融合、原子力を含めた核エネルギーの国民の理解の増進、あるいは今まで言われているような放射線教育の足りない部分をできるだけ積極的に取りかかっていくという感じの、そこまで書くのかどうかは別として、トーンとしてはそういう感じの文章はないと、まずいのではないかと思うのです。というのは、ちょっとさっきの笹尾先生のお話、長くなりますけれども、原型炉の開発にしたって今の原子力の産業がなかったら、日本では開発できない。そういう意味でいうと、原子力開発と核融合開発というのは、もう一心同体であると思うのですよ。例えば今度、前の総理大臣が言われたように本当にやめていくのだったら、例えば今、来られているメーカーの方の工場だって10年後どうなっているか分からないのです。20年後、もうほとんど圧力容器は中国や韓国で作られているという時代だって、十分に今からだったらあり得るのですから。そういうことを考えた時に、核融合だけが原子力と関係なしにやっていけるなんていうことは絶対あり得ないと思うのです。僕らはそういうことをちゃんと分かっていると、一緒にやっていこうと思っているということを、ここの文章の中にニュアンスとして入れておく必要があると思います。

【金子委員】  でも逆に言うとその原子力と一緒だというと、核融合は何が違うのだという話になりますよね。

【堀池委員】  え?

【金子委員】  原子力と一緒のトーンで話をしてしまうと、核融合は何が違うのだという話になりますよね。今、一番最初にあったように、一般の方にも分かりやすいような、そういったペーパーにしましょうよということになると、核融合は、ではどういうメリットがあって、どういう意義があるのだという、そういうことがやっぱり出ないといけないですよね。

【堀池委員】  それはまた別のところで説明すればいいのであって。

【小森主査】  そういう意味では、どこ向けに書くかということですね。

【金子委員】  そうなんですよ。

【小森主査】  堀池先生がおっしゃるように原子力の基盤がないと、それが全く失われた時点で核融合炉ができるかという話になれば内部向けで、金子先生がおっしゃるように、その場合、原子力と全く同じだという感じを受けると、一般向けには意義がなくなるということでしょうね。どこにアピールするように作るか、非常に難しい話です。大綱そのものは両方向に向いているのですか。原子力大綱って両方? 両方ですね、政策だから。

【金子委員】  原子力大綱はやっぱり政策だから中。

【小森主査】  政策だから内部向けですか?

【金子委員】  内部向けですよね、基本的にはね。

【片岡戦略官】  ええ、まあ国民も含めて。

【小森主査】  国民も見ますよね。もうちょっと議論が必要ですね。御意見が色々出ていますので、今ここですぐに決めるというわけにもいきませんね。議論しながら進めるということに致しましょう。

【堀池委員】  でもこれ期限があるのですよね。

【小森主査】  あ、そうか11月28日ですか。

【西山核融合科学専門官】  はい。なので、またメール等で御意見を頂戴して、また主査と事務局の方で調整のうえ、もう一度先生方にはお投げをして了解をいただいたうえで、11月28日にお出しできるような形で考えたいと思いますが。

【岡野委員】  やっぱりこういうものはタイミングがすごく重要だと思うので、議論が尽きないので延ばそうという話にはならない方が。今日とは言わないけれども、延ばさない方がいいと思いますし、それから核融合炉と核分裂炉は、原理も違うし、燃料も違うし、構造も全く違うのであって、確かに原子力技術のバックグラウンドは必要だけれども、つまり原子力産業がなくなったら核融合炉も確かに建設できないと思うけれども、両者は全く違うものだと思うのです。だから産業界はちゃんと保持されてないといけないので、そういう意味では重要なのですが、まるで同じ技術かのように言わない方が得だと私は思います。核融合炉は明らかに電気機械です。もちろん中性子遮へいとかそういうところの共通点はあるのだけれども、どっちかというとかなり違うものだと言うべきだと思いますね。

【小森主査】  個人的な意見として言わせていただくと、核融合をやっている人は違うと思っていますが、原子力の方は同じだと思っています。そこにかなりのギャップがあります。同じだと言った場合、一般の方、市民の方は核融合に核がついていますので、原子力の一部でほとんど同じだと思ってしまいます。ウランを使うのだという認識を持ってしまいます。ですから、どこに書くのかにももちろんよるのですけれども、文書を出す時、かなり注意して書かないと、逆効果を生むことになります。ですから、もうちょっと皆さんの御意見をお聞きして、メールでやり取りすれば良いと思いますが、まとめていく必要があると思います。慎重に行わないと、考えているのと逆の結果を生む場合もあると思っています。一般の人の受けと、原子力関係をやっている方の考え方というのは、多分正反対になってしまうのではないかなと思います。

【岡野委員】  ますます正反対になりつつあると思うのですけれども、そこが。

【小森主査】  ええ、だから我々も一般の方々がどう理解されるかということを考えながら、文書をまとめないといけないと思います。

【二宮委員】  すみません、文書をまとめるのはよろしいんですけれども、ちょっと私の理解がまだ不十分で、皆さん御理解されているのでしょうけれども、ちょっと確認させていただきたいのですけれども。

 これを次回の原子力科学技術委員会に提出されて、了解を得て、そのもとに原子力大綱に反映させるということで原子力委員会の方に出すという、そういう手順になるのですか。

【西山核融合科学専門官】  一つはそういったことにも使いたいと思いますし、国民向けというお話もありますけれども、広くこういう考え方を作業部会としては持って、親委員会の了解のもとに出せれば、さらに核融合に対する理解が広がっていくだろうと、その二面を考えながら出していきたいということです。

【二宮委員】  分かりました。

【小森主査】  今日結論を出すところにまでいけそうにありませんので、メール等でもうちょっと議論を進めてからまとめるということでいかがでしょうか。それでは、中途で申し訳ありませんが、次の議題にいかせていただきます。議事の3は、今後の核融合研究開発の在り方に関わる審議事項についてですが、西山専門官から資料3について、御説明をお願い致します。

【西山核融合科学専門官】  やはり前回の会議におきまして、第5期までの議論を踏まえまして、今期第6期、今後の核融合研究開発の在り方について引き続き御審議をお願いしますと申し上げました。資料3はそのたたき台として作成したものでございます。現在、岡野先生のところを中心に、BA活動において日欧共同のチームで、原型炉に向けたプレ概念設計というものに向けて作業は進んでいるわけでございますけれども、まだそのプレの概念設計さえできていない状況ではございますけれども、原型炉、今後仮につくるとして、どのような考え方、どのような視点を持って進めていくのが果たして望ましいのかということで、今回先生方の共通の認識のもとに今後議論を進めていくということもありまして、資料3として用意をしております。原型炉をつくる場合には、そのITER、BA以外の要素のインプットが必要だということもありまして、そちら1ページの上に1から9までございますけれども、九つの課題を挙げて、さらに検討に当たっての観点として2点ほど挙げさせていただいております。本格的な詳細な議論は次回からすると致しまして、この課題でありますとか観点につきまして、こういうところが漏れていますよと。あるいはこういう視点が必要ではないかということで、ぜひ先生方の御意見を今回頂戴できればと思います。よろしくお願い致します。

【小森主査】  この案は、今後の議論に必要な観点というか、事項を書き出したもので、今後、この案を含め、議論を進めていくということでよろしいですね。

【西山核融合科学専門官】  はい。

【小森主査】  何か御意見ございましたら、お願いします。

【岡野委員】  今、原型炉の設計がEUとの共同でできていないという御発言だったのですけれども、それは日欧で合意している共通の原型炉設計がまだないという意味であって、EUの原型炉設計はあるし、日本側の原型炉設計もあって、それぞれコンシステントな設計にはなっています。ただ原型炉は何を目指すかというところでの合意ができていないので、例えば100万キロワット発電できないといけないか、とか、それが10万キロワットでも良いかもしれないとかいうところで、議論がヨーロッパと一致できていないので、共通の設計ができないというだけですので、概念設計がないわけではありません。

【小森主査】  今のお話のようなことも含めて、次回からこの案をさらに深く検討して、問題を抽出しながら検討を進めていきたいと思います。この先のロードマップをつくる基礎にしたいということですが、よろしいですね。それでは次回から、今後の核融合研究開発の在り方に関わる事項の審議を開始することにします。具体的なことは次回から開始するということで御了承願いたいと思います。今日の議題としては、その他がありますけれども、その他につきまして事務局の方から何かございますか。

【西山核融合科学専門官】  特段ございませんが、次回の部会の開催でございますけれども、12月ないしは1月、ちょっと様子を見ながら開催させていただきたいと思います。今、主査からお話もありましたように、この今後の開発の在り方についてをメインにしながら、開催をしたいと考えております。以上でございます。

【小森主査】  どうもありがとうございました。最後に何かございますか。よろしいですか。それでは、今日はお忙しいところどうもありがとうございました。引き続き、メールで先ほどの件を議論しながらまとめてみたいと思いますので、よろしくお願い致します。

 

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