原子力科学技術委員会 核融合研究作業部会(第27回) 議事録

1.日時

平成23年9月14日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎2階 第一会議室

3.議題

  1. 核融合分野における研究開発の進捗状況について
  2. 原子力科学技術に関する推進方策の検討について
  3. その他

4.出席者

委員

小森主査、石塚委員、大島委員、岡野委員、小川委員、尾崎委員、金子委員、二宮委員

文部科学省

片岡研究開発戦略官、西山核融合科学専門官、中田補佐、山田科学官、門学術調査官

5.議事録

【西山核融合科学専門官】  皆様おはようございます。定刻になりました。本来であれば、早速、核融合研究作業部会を開催するところでございますけれども、本日、過半数となります8名の委員の御出席の御予定でございましたが、急遽やむを得ない御事情がございまして、お一方遅れて御出席との連絡をいただいております。そのために、委員の会議開催の定足数に達するまでの間、懇談会という形で進めさせていただきたいと思いますので、御了解をいただきたいと思います。冒頭、まず事務局の方で進行をさせていただきます。資料を用意させていただいておりますので、御確認をお願いいたします。

 お手元の議事次第にも書いてございますけれども、まず資料1-1から1-3が「核融合分野における研究開発の進捗状況について」でございます。1-1が日本原子力研究開発機構分、それから1-2が核融合科学研究所分、1-3が大阪大学レーザーエネルギー学研究センター分ということで、それぞれポンチ絵もお付けしております。それから資料の2が「核融合研究分野における推進方策について(案)」でございます。

 それから参考資料にまいりまして、参考資料1-1が「科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会における部会・委員会の設置について」。参考資料1-2が「原子力科学技術委員会運営規則」でございます。参考資料1-3が「原子力科学技術委員会における作業部会について」。参考資料1-4が本作業部会の委員の名簿でございます。参考資料2にまいりまして、「核融合研究作業部会審議メモ」でございます。それから参考資料の3が「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」。参考資料の4が「研究計画・評価分科会における審議事項について」。それから参考資料の5が「原子力科学技術に関する推進方策の検討における論点」。最後、参考資料の6が「政府関係会議における報告書(抜粋)」となっております。漏れ等ございましたらお申し出をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは今回初めて参加の方もいらっしゃいますので、まずこの核融合研究作業部会の位置付けについて、簡単に御説明をいたしたいと思います。参考資料1-1を御覧いただきたいと思います。参考資料1-1の3ページを御覧ください。この3ページが第6期の科学技術・学術審議会の組織図、全体の概略図になっております。核融合研究作業部会がどこに連なるかということでございますが、科学技術・学術審議会というのが一番左端にございますが、この審議会の中には 六つの分科会、それから部会、委員会等ございますけれども、一番上の研究計画・評価分科会、こちらに連なりまして、こちらが親の親の委員会ということになります。この研究計画・評価分科会の中には、さらに下に11の委員会がございまして、上から言いますと9番目、原子力科学技術委員会というのがございますが、こちらが親の委員会に相当いたします。この原子力科学技術委員会では一体何を調査・審議するかと申しますと、今3ページでございますが、2ページに戻っていただきまして、2ページの下から2番目に原子力科学技術委員会というのがございますが、こちらでは「科学技術基本計画で示される重要課題に対応するため、原子力政策大綱を踏まえ、文部科学省における原子力に関する研究開発計画の作成、推進及び評価、並びに関係行政機関の事務の調整方針に関する重要事項について調査を行う」ということになっております。

 さらにこの原子力科学技術委員会の下に、資料がちょっと飛びまして恐縮なのですが、参考資料1-3を御覧下さい。1-3の1ページでございますが、この原子力科学技術委員会の下には三つの作業部会が5月に設置を認められて、その中の真ん中、ここに核融合研究作業部会というのがございます。こちらの調査検討事項といたしましては、「 ITER計画の本格化や幅広いアプローチの始動等、核融合研究が新たなフェーズに入ったことを踏まえ、今後の我が国における核融合研究に関する新たな展開について調査検討する」ということが謳われておりまして、こちらがその主な役割・使命ということになります。

 今期、第6期は2月から期が始まっておりますけれども、参考資料1-4にございます委員の方々に御就任をいただいて、御議論をいただくということになっております。

 本日は上から申しますと、平山委員、疇地委員、それから笹尾委員、髙津委員、東嶋委員、堀池委員が御欠席ということで、石塚委員が後ほど遅れて御出席と伺っております。今回新たにお加わりの委員もいらっしゃいますので、ぜひ自己紹介をこの名簿順にお願いしたいと思います。

【小森主査】  核融合研の小森です。よろしくお願いいたします。

【西山核融合科学専門官】  この名簿順に、大島委員から一言ずつ。

【大島委員】  東京大学の大島です。よろしくお願いいたします。

【岡野委員】  電力中央研究所の岡野邦彦と申します。よろしくお願いいたします。

【小川委員】  東京大学、小川です。よろしくお願いいたします。

【尾崎委員】  原子力産業協会でITER・ BA対応検討会の主査をやっています尾崎と申します。よろしくお願いいたします。

【金子委員】  核融合科学研究所の副所長をやっております金子でございます。よろしくお願いいたします。

【二宮委員】  原子力研究開発機構の二宮です。よろしくお願いします。

【西山核融合科学専門官】  ありがとうございました。それでは次に進みたいと思います。この作業部会の主査について御報告をいたします。参考資料1-2を御覧いただきたいと思います。この作業部会の主査につきましては、「(作業部会)第2条」とございますが、こちらの第2条の3を御覧いただきたいと思います。「作業部会に作業部会の主査を置き、当該作業部会に関する委員等のうちから委員会の主査の指名する者がこれに当たる」と。こちらで言っている委員会と申しますのは、原子力科学技術委員会でございまして、原子力科学技術委員会の田中主査の方から小森委員を主査に指名するということで5月に指名になっております。

 それから主査代理につきましても、同じく第2条の7を御覧いただきたいと思いますが、「作業部会の主査に事故があるときは、当該作業部会に属する委員等のうちから作業部会の主査があらかじめ指名する者がその職務を代理する」となっておりまして、小森主査から指名をいただくということになっております。

 それでは、これからは小森主査に進行をお願いいたします。

【小森主査】  小森です。どうぞよろしくお願いいたします。

 東日本大震災の影響によりまして、半年遅れで今期の作業部会が始まるということですけれども、核融合は将来のエネルギーとして非常に重要なものですが、皆さんとしっかり御議論して進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは初めに、先ほど御紹介がありました本作業部会の主査代理につきまして御報告いたします。主査代理につきましては、あらかじめ主査が指名するということになっております。主査代理は平山先生にお願いしたいと思います。平山先生は今日、御欠席ですけれども、事前に内諾を得ておりますのでよろしくお願いいたします。

 それでは8名の委員の出席で正式な作業部会となりますまでの間、核融合分野における研究開発の進捗状況につきまして、懇談・意見交換をしたいと思います。作業部会になりましてからは、議事にありますように原子力科学技術に関する推進方策の検討について、その他、を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それではまず、核融合分野における研究開発の進捗状況について、懇談を行いたいと思います。まず、今期は4月から始まりましたので、半年以上経過していますが、まずは第5期のおさらいということで、第5期における審議内容につきまして、事務局から概要を御説明願いたいと思います。では西山専門官、お願いします。

【西山核融合科学専門官】  それではお手元の資料、参考資料2を御覧いただきたいと思います。この審議メモでございますけれども、こちらは平成17年度に、当時の原子力核融合専門部会がとりまとめました報告書でございます。今後の核融合研究開発の推進方策についてということでとりまとめておりますが、こちらをベースといたしまして、その後の報告書なども踏まえたうえで、基本方針や了解事項に基づきながら、現在進められていますトカマク方式による研究開発、それからヘリカル、レーザー方式による学術研究の進捗状況等を踏まえまして、前期第5期におきまして委員の先生方に、今後原型炉を作ることを前提とした場合に、どのような基本的な方向性やあるいは今後の課題があるのであろうかということを御審議いただいて、とりまとめたものでございまして、第6期の議論の参考としていただくものでございます。

 ポイントといたしましては、まず1ページの中程、丸が二つ程ございます。読ませていただきますと、「研究が進展しているトカマク方式において、開発研究として、第3段階計画の中核である ITER計画を進めるとともに、ITERの主要な基本性能が達成される時期までに原型炉段階への移行の可否を判断するため、トカマク方式の原型炉建設に必要な研究開発を進める。(原型炉は定常炉心を実現し、同時にプラント規模での発電実証を一定の経済性を念頭において実現することを目標とする)」。

 それから2点目として、「核融合に関する学術研究については、その重点化計画であるヘリカル方式とレーザー方式を中心としてチェック・アンド・レビューを行い、適切な時期に研究の展開の方向を定めるものとする」と書いております。これらが共通の認識・理解ということになっておりまして、トカマク方式でまず原型炉を目指そうということが謳われております。

 1枚めくっていただきまして、2ページ目にまいります。2ページ、3ページにおきましては、実験炉に係わる進捗状況と課題と題しまして、 ITER・BA計画に触れつつ、原型炉との関係性について言及しています。こちらのポイントを申しますと、1に「実験炉に係わる進捗状況と課題」とありまして、(1)の「ITER計画の進捗状況と課題」の第2パラグラフ5行目、「ITER計画から得られる知見は、将来の『原型炉』開発において極めて重要であり、『今後の核融合研究開発の推進方策について』のチェック・アンド・レビュー項目に基づいてチェック・アンド・レビューを行うことが今後の原型炉開発のために必要不可欠である」と書いております。

 ところでこの、今後の核融合研究開発の推進方策についてのチェック・アンド・レビュー項目と申しますと、さらにちょっとお手元に赤い紙のファイルをお配りしておりますけれども、こちら表紙をめくっていただきまして、目次の4番目になります。「今後の核融合研究開発の推進方策について」、平成17年10月26日とございますが、こちらがその報告書になります。別添になりますが、59ページ、あるいは60ページを御覧いただきたいと思います。こちらがその当時に作られた、核融合開発のロードマップ、それからそこに向かうためのチェック・アンド・レビュー項目の案になっております。こちらのチェックをしていくことが必要であるということが謳われております。

 先にまいりまして3ページでございますが、JT-60SA計画の重要性を特に謳っております。JT-60SAの計画につきましては、上から8行目でございますけれども、BA活動のサテライト・トカマク計画(STP)と、我が国のトカマク国内重点化装置計画の合同計画であり、国際計画であると同時に原型炉に向けた国内トカマク研究計画の中核としての役割を担っているということで、国際的にも国内的にも両面性を有して非常に重要だということを謳っております。

 それから3ページの後半になりますと、こちらは原型炉に向けた研究開発の現状と課題ということでまとめております。原型炉の定義につきましては、先程も申し上げましたが、3ページの後半のところで、1)、2)に原型炉に求められる条件を書いております。

 4ページにまいりまして、こちらは先程17年の報告と申しましたが、17年度における報告においては、原型炉を越えて実用化の見通しがどうなるかということで言及をしております。今世紀中葉までに実用化の見通しを得ることが可能であると、その当時は判断されていたということがございます。今後、原型炉に向かうに際しては、原型炉の開発に向けた具体的な道筋を整理しながら、 ITER・BA計画をはじめとする研究開発や、それ以外の学術研究を統合させる戦略を構築することが必要となっているということを謳っております。

 5ページにまいりまして、戦略が必要だということですが、 ITER・BA以外にも原型炉に向けては多くの課題、インプットが必要ですよということが、特に核融合エネルギーフォーラム、あるいはネットワークの方から御意見を頂戴してまとめております。主な技術的諸課題については9項目、特に挙げております。これらをどうしていくかということが課題になるわけでございます。この課題の解決に向けては、6ページになりますけれども、学術研究であるヘリカル方式における貢献であるとか、場合によってはレーザー方式による貢献なども可能性があるのではないかということでございます。特にLHD計画(ヘリカル方式)による場合には、重水素の使用のための実験設備の拡充と定常及び安定性に関する学術的に重要な課題の解明に一層の努力を払う研究展開が必要であるというようなことを書いておりまして、トカマク方式をも包含する環状プラズマの総合的理解を深めていくことが重要であって、そういったものに知見を提供するうえで、ヘリカル方式は重要であるということを書いております。

 トカマク、ヘリカル、レーザーなどを総合しながら、7ページにございますように最終的には全体計画としてロードマップをダイヤグラムとして示すということを書いております。「それぞれの研究計画、プロジェクトのつながりをチェックポイントを介して示し、原型炉に至る研究開発の流れを明示する」という予定にはしておりますけれども、核融合につきましては、国の政策の中で大きく言いますと、原子力政策の中の一つの政策でございます。原子力政策につきましては、すでに御存じかと思いますけれども、原子力政策大綱の見直しということがございまして、この4月に一旦中断をいたしました。今月からようやく再開の見込みということでございますけれども、この原子力政策大綱につきましては、今後1年間をかけて、それをめどに今後の在り方について検討していくという状況になっておりまして、原型炉について、そのロードマップを最終的には取りまとめをいただくにしても、そういう原子力政策大綱の見直しの状況等を踏まえながら、そういったものと整合させつつ、御議論をお進めいただく必要があると考えております。

 特に第5期におきましては、そういう課題があることに対して、人的な資源も含めて、 ITER・BAを進める中で非常に制約条件がある中で、どのように体制を構築して、特に全日本的な体制を組んでやっていくかという御議論がまだきちんとできませんでしたので、第6期においては、そういった組織の在り方等も含めて先生方に、大所高所に立って体制の在り方も含めて御議論いただきたいと思いますし、先程御紹介いたしました9課題ございますが、とりあえず列挙はしておりますけれども、さらに大きなお立場に立っていただいて、もっとこんな課題があるのではないかとか、あるいはこれとこれをこうすると非常に合理的に展開できるのではないかというようなアイデアを頂戴できればと考えております。とりあえず以上です。

【小森主査】  はい、ありがとうございました。それでは今の説明に御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。

【大島委員】  非常にジェネラルな質問ですが、大震災後、エネルギー政策が随分変わってきていると思います。国内の状況も変わってきていると思います。アメリカなど、原子力を推進していた国が、今は少し変わりつつあり、世界的にも変わってきていると思います。その中で、核融合について現行の政権では、エネルギー政策の中に具体的に入ってきていないようなイメージがあります。このような世界的な動向とともに、アンノウンファクターがあまり決まっていないところがあり、答えも難しいと思いますが、核融合に対する政策はポジティブな方向に向かっているのでしょうか。あまり情報がないため、その点について、どのような動向か教えていただけないでしょうか。

【片岡戦略官】  まさに今、原子力政策、エネルギー政策の見直しが行われている中でございまして、その中での議論もしていく必要があると思いますので、現時点でポジティブかネガティブかということは、そういう意味では定まっていないという状況だと思います。ただ、 ITERあるいは幅広いアプローチ活動については、国際約束でやっているものであるということもあるので、そういう部分についてはしっかりやっていく必要があると考えているところでございます。

【大島委員】  世界的にはどうなのでしょうか。

【片岡戦略官】  世界的には、福島の事故を受けて、核融合に関してネガティブな動きがあるとは必ずしも私は認識しておりませんけれども、核分裂と核融合とは違うものだということもございますし、かつまた核融合については非常に長期的なスパンで研究開発をやっている段階で、まだ実際にエネルギー源としてすぐに使えるという段階でもないということもありまして、研究開発はしっかり進めていくということではないかと思っております。何か、先生方御意見ございましたら。

【小森主査】  総合科学技術会議の見直しの最初の案では、高速増殖炉と核融合は一緒に記述してありましたが、パブコメを受け、この二つを分離して、核融合の方は、促進するという記述になりました。そういう意味では大局的には、私はポジティブではないかと思っています。

【大島委員】  どうしてそういうことを言っているかというと、資料3に、東日本大震災を踏まえて、今後の科学技術・学術政策の検討の視点ということで、いわゆる一般の方からの、ここでは自然科学者と人文・社会科学者との連携の促進が大事ということで、総務省もおっしゃっているような、科学技術リテラシーの向上も含めた対話ですよね。そういう動きが出ている中で、あまり核融合の名前を聞かないのですね。それが非常に残念だというのがあるので、やはり対話をするにも、それに対話の題材として乗らないと、多分取り上げてもらえないと思うのですね。確かに核融合は非常にロングスパンなので、すごい長期的な計画も必要ですし、そのための基礎研究も必要だと思うのですけれども、やはりこれを機会に国民の理解を得るというのは絶好のチャンスだと思うのですね。こういう機会があっても、なかなか核融合の、核も核融合も出てこないような状態なのがちょっと悲しいなと思ったり。コメントさせていただきました。

【小森主査】  それはおっしゃるとおりなのですけれども、核融合は「核」がついているということで、一般の方は、通常の原子力と区別がつきにくいということがあります。我々としても違いを説明しようとはしています。取り扱う放射性物質の量という意味では、全く違います。しかし、燃料に放射性物質のトリチウムを使うということで、全く違うとはいっても、一般の方にはやっぱり区別がつきにくいようです。ちょうどプラズマ・核融合学会会長の小川先生が委員としてここにおられますけれども、学会としても、安全だということをきちんと確認したうえで、一般市民の方に説明していこうと考えていますが、非常に歯がゆいところがあります。

【小川委員】  今、大島先生の御指摘のとおり、コミュニティー内でも外に対してどう発信していくかというのを考えております。私は今年6月からプラズマ・核融合学会の会長を仰せつかっておりますので、学会ベースで何かできないか、またどう具体的に進めていくかという議論をスタートしたところです。まずはアカデミックな基礎データをきちんと集めて、学術的・技術的に我々としてどこまでのことをどう言えるかを精査する必要があります。さらには、それに対して社会にどう理解していただくかという活動を議論しています。このような活動は、いろいろな研究機関等でも行うと思いますし、学会のみならずフォーラムとかネットワークとかも含めて、社会にどう発信していくかを議論している最中です。積極的にやっていきたいと思います。ありがとうございます。

【小森主査】  ほかに何かございますか。専門官の御説明に対する質問とかございますか。よろしいですか。

 それでは次に移らせていただきます。今後の作業部会におけます議題を円滑に進めるためにも、トカマク、それからヘリカル、レーザー、炉工学につきまして、現在の進捗状況を確認し、情報の共有化を図りたいと思います。今日は疇地先生がご欠席ですので、レーザー分野の FIREX-I計画につきましては資料の配付のみとさせていただき、次回以降、疇地先生に御報告いただく予定になっています。

 今日はまずITER計画及びBA活動、それから LHD計画、炉工学も含めてですけれども、JAEAの二宮委員及びNIFSの金子委員から、それぞれ報告していただきます。それでは二宮先生からお願いします。一応15分くらいでということでお願いします。

【二宮委員】  それでは資料1-1に沿って御説明したいと思いますけれども、ちょっと資料が多いので、添付資料のビューグラフの方を使って簡単に御説明したいと思います。また今、西山専門官からも、 ITER計画等の計画の概要とか、そういう辺りの部分は触れられておりますので、最近の進捗に少し的を絞って御紹介したいと思います。

 まずITER計画の概要ですけれども、これの2ページ目に「ITERサイトの建設状況」ということで写真で状況を御紹介しております。現在トカマク複合建屋のピット、真ん中の掘ってある部分ですけれども、この掘削がほぼ完了しています。それからポロイダル・フィールド・コイルの組立て建屋、あと冷凍機棟、これの建設も順調に進んでいるところでございます。さらに現在仮設本部というところで仕事をしておりますけれども、本部ビルの建設も順調に進んでいます。右側ですね。

 3ページ目に、日本の調達分担機器を示しておりますけれども、ここに示しておりますような機器の調達が日本の分担になっております。

 4ページ目はITERのスケジュールですけれども、昨年7月の臨時ITER理事会にてこのスケジュールが承認されておりまして、現地組立て開始が2015年と、ファーストプラズマが2019年の予定で進められております。

 5ページ目に超伝導コイルシステムの日本調達分担を示しておりますけれども、トロイダル磁場コイルに関しましてはコイル19個のうち、TF導体全体の25%、 TFコイルの構造物が100%、コイル巻線は9個分と一体化も9個分というのが日本の分担になっております。それから中心ソレノイドコイルに関しましては、コイル導体が全部日本の分担、ポロイダル磁場コイルは日本は分担しておりません。

 6ページ目に超伝導コイルの製作工程を示しておりますけれども、まず素線から撚線、それで導体にまでまず作るということですけれども、この素線に関しましてはもう70%、撚線も50%、導体もほぼ50%の製作が終了しているという状況になっております。その下にコイルの巻線ということで示しておりますけれども、ラジアルプレートと呼ばれる溝を掘っておりまして、その中にこの導体を巻き込んでいくという製作法をとるのですけれども、これのR&Dも進めておりまして、7ページ目は先程申しました導体の製作状況を示しておりますけれども、8ページ目にラジアルプレートを実機の3分の1くらいの大きさのプレートを作りまして、これにコイルを巻き込むというようなR&Dも進めております。またコイル構造物に関しましても、その溶接性とか、その溶接による変形、その辺りのR&Dを進めているという状況になっております。

 次に幅広いアプローチ計画に移らせていただきたいと思います。幅広いアプローチの最初に全体像を示しておりますけれども、活動では三つの事業を進めております。まずそこの真ん中にあります国際核融合エネルギー研究センター事業。この中では原型炉の設計とかR&D活動、あるいはITER遠隔実験研究センターの活動というのを行う予定になっております。プラス、下にありますように核融合計算機シミュレーションセンターの活動ですね。それから左にありますのがサテライトトカマク事業。右側に国際核融合材料照射施設工学実証・工学設計活動というのがあるという、この三つの事業のうち、二つ、国際核エネルギー研究センターと材料照射工学実証・工学設計活動、これの主な部分が青森県六ヶ所村で進められておりまして、サテライトトカマク装置活動事業は茨城県の那珂市で進められているという状況です。

 2ページ目に、青森県六ヶ所村のサイトの状況を示しておりますが、管理研究棟以外に材料照射の開発試験棟、あるいは計算機・遠隔実験棟、原型炉R&D棟、すべてが完成した状況になっております。

 次に国際核融合エネルギー研究センター事業の現況、IFERCと省略して呼ばせていただきますが、これに関しましては2010年に原型炉の基本概念の検討とかR&D活動の準備を行う第1フェーズから、本格的な設計活動、R&D活動を行う第2フェーズに移行しております。事業チーム内に原型炉設計ユニットを発足し、日欧共同設計を開始しているところでございます。

 あと、2011年には原型炉技術としての 五つのR&Dが本格開始するほか、原型炉設計の共同作業等も開始しています。また大きいのは、計算機の設置ですけれども、現在2012年初頭からの運用開始に向けまして、計算機そのものがフランスから納入されてきていまして、それの設置をするとともに、計算機運用に必要な冷却設備や電源設備などの整備を進めているという状況でございます。

 4ページ目にシミュレーションセンターの設備準備の状況を示しておりますけれども、今の繰り返しになりますが、電源・冷却等の準備を進めているとともに、計算機そのもの、これはフランスが調達するものですが、フランスのブル社に決定しまして、その計算機が今、運び込まれているという状況です。

 5ページ目は事業スケジュールで、ちょっと細かくなりますので、後程見ていただくことにしまして、次に材料照射施設、IFMIF/EVEDA事業の内容でございますけれども、御承知のようにIFMIF/EVEDAそのものは、リチウムターゲットを用いまして14MeVの中性子を出すというものですけれども、それの加速器系に関しましては入射器からRFQ、それから超伝導線形加速器の初段までを実際に作ってみて実証しようと。あとターゲット系、実機の3分の1規模のターゲット系を実際に作ってR&Dしようという計画でございまして、加速器系につきましては、今ヨーロッパで順調に製作、試験が進められているところです。

 それからターゲット系に関しましては、大洗に実際の試験ループを作っておりまして、8ページ目にその写真を示しておりますけれども、本年2月末に完成しております。ただ残念ながらちょっと震災の影響を受けておりまして、現在それの修復作業を行うという状況になっています。IFMIF/EVEDA事業のスケジュールは当初6年という予定だったのですけれども、ちょっと加速器等の製作等に時間がかかるということで、現在はBA期間中、試験を行うという予定に変わっております。最後のサテライト・トカマク計画ですけれども、これに関しましては次のJT-60SA計画という方についていますビューグラフで御説明したいと思います。

 JT-60SA計画は、先ほど西山専門官からも話がありましたように、国際協力と国内重点化装置計画の合同計画として現在進められております。2ページ目に、日欧機器調達の進展の状況を示しておりますけれども、これに関しましては超伝導コイルについては順調にコイル生産が進むとともに、実機のポロイダル磁場コイル、これのダブルパンケーキの巻線なども今完成しております。また、真空容器も40°セクターの1体目が完成しておりまして、今、2体目、3体目が工場製作されている最中という状況になっております。

 3ページ目にもう少し詳しく、製作の状況が写真で示されておりますけれども、このように進んでいると。

 それから4ページ目、新しい超伝導のJT-60SAは、従来のJT-60を解体して、その場所に設置する予定になっております。ということでJT-60の解体の作業も順調に進んでおりまして、平成22年3月の写真にあります計測架台という、ちょっと上にUFOみたいなものがあるのですけれども、現在これの撤去が終わりまして、さらにその下に黄色く見えております、これが支持架台になるのですけれども、この支持架台、平成23年3月10日のものはもう壁に支持の支柱がついていたのですが、それが取れていると。さらにこの四角形みたいに見えるものを順次撤去していっておりまして、8月29日という写真を見ていただければ分かりますように、もうほとんどこの架台も撤去されて、トロイダル磁場コイルがほぼ見えているという状況になっています。もう間もなく、このトロイダル磁場コイルとか真空容器の撤去に着手する予定になっております。

 あと、このJT-60SAの研究計画の検討というのも日本と欧州との協力で進められております。日本の中では大体155名くらいの研究者が協力して議論しているとともに、欧州の検討体制も正式に決定しまして、70名くらいの研究者が参加するということで、日欧200名を超える研究者がこのJT-60SAを使って、どのように研究を進めていくかという議論を行っている最中でございます。

 最後に、炉工学の状況について御説明したいと思います。炉工学の中でやはり一番重要なものは、ITERを利用したテスト・ブランケット・モジュールの開発ということでございまして、このテスト・ブランケット・モジュールは、各極が独自に製作してITERに持ち込んでポートに設置し、実験をするという計画になっております。ということで、ある意味各極の国際コンテストの場になると。で、最も優れたブランケットは、原型炉以降の世界標準になる可能性があるということで、非常に重要な開発ということで、この開発にも非常に力を入れているところでございます。

 現在モックアップの色々な機能試験ということを進めておりまして、実機大のF82H第一壁/側壁接合体モックアップの製作・機能試験等を行う。あるいは実機後壁の部分モックアップの製作性評価、こういうものを行っているとともに、別途リチウムとかベリリウムのペレットの製作・性能試験等を行っております。

 また核融合炉材料の開発に関しましては、米国のファイファーを利用した中性子照射を行っておりまして、現在50dpaまでの照射を達成し、引き続き照射を継続中です。並行しまして、より少ないdpaでのテストを行っておりまして、1例としましては5dpa300℃照射のF82HのTIG溶接部、HIP接合部の引張特性データの取得等を行っておりまして、例えば強度変化は母材部と同等という結果を得ております。

 最後は、これらと並行しまして核融合炉の基礎工学の研究開発も行っておりまして、先進超伝導材料の特性評価とか、トリチウムと材料の相互作用に関する基礎データの蓄積、こういうことを進めているという状況でございます。簡単ですが、以上です。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは続きましてヘリカルの方ですか。金子先生、お願いします。

【金子委員】  分かりました。それでは資料1-2に基づいて御説明をいたします。こちらもビューグラフのコピーがついてございますので、これを中心に御説明したいと思います。私ども核融合科学研究所におきましては、この大型ヘリカル装置によるプラズマ実験研究と、それからスパコンを使いました大規模数値シミュレーション・数値実験、それから炉工学と、この三つの柱でもって核融合研究を進めてございます。そのうち今日は大型ヘリカル装置と炉工学について御説明をいたします。

 まず大型ヘリカル装置の方ですが、1ページを見ていただくと、皆様御承知のとおりこれは我が国独自のアイデアに基づくヘリオトロン方式という閉じ込め方式でございまして、その特徴といたしましてはすべての閉じ込め磁場を外部コイルで作っており、その外部コイルが全て超伝導でございます。現在も超伝導方式の核融合装置としては世界で一番大きなものでございます。その目的とするところは、そこに四つ程ございますが、プラズマの高性能化と、長時間定常運転の実証、高いベータ値と言いますがプラズマの圧力を高めようというもの、それからこれは全体が学術研究でございますので、トカマクも含めました環状プラズマの総合的理解を得るということでございます。

 平成10年から実験をスタートしまして、一番左下にありますが、イオン温度の向上、これは例としてお示ししてございますけれども、こういうような形でどんどん性能が向上している。ということは、この大型ヘリカル装置の持っているポテンシャルというのが非常に大きくて、私どもが最適化をすることによって、どんどんと性能が上がってきているという現状でございます。

 最新の主な結果として、そこに出てございますが、後でまた述べますので、次のページを見ていただきますと、これはこれまでの研究の流れと、それから今後の流れをざっと示したものでございますけれども、ちょうど第1期中期計画に相当する期間におきまして、私どもとしてはこの大型ヘリカル装置の基本的な性能はほとんどおさえたということでございます。そこでは我々の想像していたもの以上の性能が出てきておりまして、私どもとしては、これはさらに超高性能化できると考えてございまして、これを第2期中期計画期間と第3期中期計画期間合わせて10年を考えてございますが、その間に核融合炉を見通せる超高温プラズマをこれによって作りたいということでございます。その結果と数値実験によるシミュレーション、それから工学研究と併せて、最終的にはヘリカル方式で原型炉が設計できるというところまで、学術基盤として持っていきたいというのが私どもの計画でございます。

 そのために、現在三つのポイントで高性能化を図ろうとしてございます。それが3ページに強調してございますので、そちらを見ていただきますと、まず私どもの求める一つの指標といたしまして、イオン温度、10keVですね、1億2,000万℃の実現ということを示してございます。そのためにまず、周辺プラズマ環境の改善をしようということで、高性能排気化を実現する「閉構造ダイバータ」、これをしっかりヘリカル装置の周りに作って、プラズマを高性能化したい。これが第1点でございます。それからもちろん温度を高めるためには、加熱パワーが必要ですから加熱機器の増強をしたい、これが第2点目でございます。それからプラズマの閉じ込め性能を上げるためには、ぜひ重水素プラズマによる実験をしたいということで、これが第3点目でございます。

 現在その第1点目、第2点目については、研究計画に沿って進行中でございますが、この第3番目の重水素実験につきましては、地元住民の皆様の御理解も得ないといけないということで、これはまた研究とは別の面で進めてございまして、それについては後ほどコメントをさせていただきたいと思います。それで、平成22年度の主な成果としては、イオン温度の上昇ということで、7,500万℃を達成いたしました。目標までもうあと一息ということでございます。現在もちょうど第15期の実験を遂行しているところでございます。

 4ページ目は大型ヘリカル装置の最終目標と現在の達成値をそこに示してございます。これで見ていただきますと、温度につきましては、イオン温度を頑張りたいということが分かるかと思いますし、密度につきましては、もう最終目標値の3倍を超える非常に大きな値を得ているということで、予想以上の成果を得ているということでございます。その他、ベータ値、定常運転につきましては、ほぼ実証してございますので、あと残りはイオン温度ということで頑張っている次第でございます。

 5ページ目につきましては、そのために何をするかという繰り返しになりますが、ハードウエアの整備につきましては、そこにも書いてございますけれども、ダイバータの構造変更と中性粒子ビーム入射加熱装置の増強です。この閉構造ダイバータにつきましては今遂行中の第15期実験が終わりましたら、その改造に取りかかるということで、来年度はこれを使った実験で成果が上がるものと期待している次第でございます。

 あと、このトリチウム除去装置とか、モニター設備の関係につきましては、重水素実験をきちんと進められるというめどがつき次第、整備したいと思ってございます。

 それでは続きまして炉工学の方に移らせていただきます。炉工学の方は、1ページ目の最初の図を御覧下さい。炉工学というのは非常に範囲が広うございまして、すべてのことを私どもの研究所だけではできないということでございますが、先程西山専門官から御説明もありました前期のこの作業部会での検討でもございましたが、九つの重要な開発要素が挙げられております。それらを意識し、かつ大学の得意とするところ、それから大型ヘリカル装置を原型炉に持っていくために必要な工学要素ということで、五つの柱といいますか項目を立てまして、それをしっかりやろうということでございます。

 第1番目は、大型高磁場超伝導マグネットの研究で、これはヘリカル用のコイルを想定してございますので、こういった複雑な形状で、しかも非常に磁場の強いコイルを実現しようというものでございます。2番目はブランケットでございますが、これも液体ブランケットの開発をしたいということでございます。それから3番目が低放射化材料研究。これは、核融合の長所でございます安全の面をもっと前進させるといいますか、長所をもっと前面に打ち出すためにぜひ必要な材料開発研究でございます。4番目は高熱流プラズマ対向壁研究。この辺りは何もヘリカル方式に限らず、磁場核融合全体で共通する課題でございます。最後の5番目が、トリチウム管理技術ですが、これ「微量」と付いているのがちょっと特殊でございまして、私どもは非常に微量のトリチウム管理技術をやろうということでございます。先程主査からの御発言もございましたけれども、トリチウムに関しましてはやはり一般の方も放射性物質ということで非常に気にされております。将来何10基もの核融合炉ができた時に、たとえ微量であろうともそれが何10基にもなりますと、総量としてはかなりのものが出てきますので、そういったものをきちんと管理しようと、そういう意図でございます。ただし、トリチウムを実際に扱う研究は協定書締結後の重水素実験でとなります。

 2ページを見ていただくと、これをどういうタイムスケジュールでやっていくのかということでございますが、まずこの数年、第2期中期計画に相当する部分でございますが、この五つの要素研究、特に材料関係は中心になりますが、その物性をきちんとおさえていきたいということでございます。例えばこの液体ブランケットにおきましては、材料の腐食はどうなるかとか、トリチウムの透過はどうなるかとか、そういったことがポイントとなりますし、また低放射化材料では、いかに高温で強度を落とさずに使えるかというところがポイントになります。それから高熱流対向壁につきましても、10メガワット/平方メートルという高い熱流を受けて、いかに長寿命にできるかという、その辺の所をしっかり基礎的な研究をしたうえで、その次は、製作性というものも重要でございますので、実規模、これも物によりますけれども、実環境、そういった工学の試験をやりたいと考えてございます。これを済ませますと、原型炉を作るための基礎データが得られるだろうということで計画をしてございます。

 それ以降のページは、私ども、このプロジェクトの中でそれぞれの項目につきまして、いくつかの小項目、課題を出しまして、それぞれに対して目標を掲げ、その達成度を常にチェックしながら研究を進めるという体制をとってございまして、その現状が示してございます。あまりにも細かいので、ここではちょっと省略させていただきますが、赤字で書いたところが最近の成果でございまして、いくつかの課題で、核融合炉条件への適用可能性を示すようなデータが出てきておりまして、私どもとしては、この炉工学研究をさらに進めていくことで、最終的な目標に達することができるのではないかと、非常に強い期待を抱いているところでございます。

 申し訳ございません。時間がございませんので、最後に現在、重水素実験に関してどんな状況であるかというのを、口頭ではございますが御説明させていただきたいと思います。ちょうど1年前になりますけれども、私どもの近郊でございます3市、土岐市、多治見市、瑞浪市という三つの市がございますけれども、そこに対しまして協定書の締結、それと重水素実験開始同意の依頼書を提出いたしました。それを受けまして、市の方は市議会、あるいは市が作る審議会等での検討を開始されまして、この3市が集まってできる連絡協議会というのがございますけれども、そこでの検討を開始していただきました。それで今年に入りまして、2月に一応それぞれの協定書、覚書書、同意書の案ができ、各市に持ち帰って検討いただきました。市の方ではパブコメ等をやられ住民の皆さんの意見を聞かれました。その後、土岐市の市長選、それから多治見市、土岐市の市議会選もございましたが、そこで実は市長さんが代わられてしまったという状況がございます。新しい土岐市長さんにもちろんこういうことを御説明して、推進をお願いいたしました。夏には市民説明会を開催し23会場で約800人の市民の方に来ていただきました。私どもといたしましては、連絡協議会をこの秋から再開していただけるのではないかと期待しておる次第でございます。なるべく早く協定が締結ができればと望んでいる次第でございます。以上でございます。

【小森主査】  はい、ありがとうございました。それでは今、二つ発表いただきましたが、この二つの発表に御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。

【山田科学官】  では二宮先生に、やはり震災にも近いところにあったということで、一つ大洗の施設については言及がございましたけれども、全体的にその辺どういったふうに影響があるかということを伺わせていただきたいと思います。

【二宮委員】  那珂研の方も、JT60の建屋はやはり岩盤までケーソンをしっかり作って建設しているということで、特に被害はなかったのですけれども、超伝導の試験設備の建屋、ここは空調のダクト等が少し破損したと、そういう状況になっております。

 それから、NBIの試験建屋、こちらの方は壁の筋交いというのですか、これが曲がってしまって、かなりこの辺の壁の交換や修理が必要な状況となっております。あと道路等が、かなり歪んでいるというか破損を受けているとか、そういうところはございますけれども、大きいところはその二つの施設の建屋にちょっと被害があって、この辺の修理が必要です。で、修理が終わった後に機器のチェックを進めていくという、そういうことが必要という状況になっております。

【小森主査】  はい。ほかにございますか。どうぞ。

【尾崎委員】  BAについての御説明なのですけれども、いろんな開発計画の御説明があったのですが、原型炉の設計の方は今始まって、BA期間中に設計をやりますという御説明なのですけれども、アウトプットのイメージってどのくらいのレベルの設計がまとまるというふうに期待してよろしいのでしょうか。

【二宮委員】  多分その辺のアウトプットをどうするかということも、今、日欧で議論している最中だと思います。どちらかというと、岡野委員に、ちょっとその辺補足してもらった方が良いかと思うのですけれども。

【岡野委員】  今フェーズ2に入っていて、フェーズ2Aでこれまで見てきた重要な問題、クリティカルイシューですかね、それをもう一度見直して、その展開をフェーズ2Bではかって、フェーズ2C、これは2015年からですが、そこから概念設計を実際に日欧で実施するということになっています。ただ概念設計といっても、レベルがどのくらいかという御質問だと思うのですが、もちろんそのまま物が作れるような概念設計にはならないので、いわゆるプリ・コンセプチュアル・デザインというのですが、最も重要なところは全部おさえた、つまり、プラズマの特性、それから周辺機器の特性がおさえられる程度の原型炉の案が分かる程度のものを作りたいと考えています。

 ですから、ITERで言えば主要部については CDAくらいの概念設計を期待していますが、EDAの設計のような非常に細かなところまで網羅はできないと考えています。

【小森主査】  ほかにございますか。よろしいですか。それでは、今、石塚委員が出席され定足数に達しましたので、ただ今から第6期の第1回核融合研究作業部会を開催したいと思います。

 まず初めに、片岡戦略官から一言御挨拶をお願いいたします。

【片岡戦略官】  本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。第6期に入りまして第1回の作業部会ということでございますので、一言御挨拶させていただきます。

 第6期は本年の2月からスタートしておりますので、大分時間が既に経ってしまっておりますが、この間3月の大震災、それからそれに伴う東電の福島原発の事故がございまして、それを踏まえまして現在、政府におきましては原子力政策大綱の見直し、それから新たにエネルギー・環境会議を設置しまして、エネルギー政策に関わる議論も開始されているところでございます。核融合の研究開発政策に関わる議論につきましても、そうした全体の動きを踏まえながら進めていく必要があるものと考えております。

 第6期におきましては、第5期におきまして活発に御議論いただきました今後の核融合分野における研究開発の在り方につきまして、今後引き続きじっくりと御議論をお願いしたいと考えておりますけれども、直近の課題といたしましては8月に第4期の科学技術基本計画が決定されておりまして、これを受けまして、文部科学省として来年の年明けをめどに、基本計画を受けた研究開発推進方策を取りまとめるということで考えております。このために、科学技術・学術審議会の各分野の委員会で御検討をいただいているところでございます。

 この中で、原子力分野につきましては、この作業部会の親委員会でございます原子力科学技術委員会が8月19日に開催されまして、当面の短期的な1、2年の対応方策について検討、取りまとめるということになってございます。核融合分野につきましては、この作業部会におきまして、専門的な観点、長期的な視点も踏まえまして御議論をお願いしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【小森主査】  どうもありがとうございました。それでは本日の議題に入りたいと思います。今、御挨拶の中にもございましたけれども、議題は「第4期科学技術基本計画における原子力科学技術に関する当面の審議事項について」です。第4期の科学技術基本計画につきましては、先月8月19日に閣議決定されたところですけれども、これを受け、科学技術・学術審議会において年明け頃に他分野とともに文科省の第4期基本計画における研究開発推進方策としてまとめられ、決定される予定になっております。各委員会におきまして、関係する分野の推進方策を検討する必要があります。原子力科学技術委員会から核融合分野における推進方策について検討依頼がございましたので、今後のスケジュールを含めまして、事務局からまず御説明をお願いいたします。

【西山核融合科学専門官】  それではお手元の資料、参考資料の6を御覧いただきたいと思います。先程、小森主査からも言及がございましたが、こちらの第4期の科学技術基本計画の案、抜粋ということで1ページになっておりますが、今御紹介のありましたように8月19日に正式に閣議決定になってございます。この閣議決定になった基本計画の中におきまして、核融合の取り扱いでございますが、4ページをお開きいただきたいと思います。4ページの中程に、 i)で「国家安全保障・基幹技術の強化」とございますが、こちらの4行目の後半から、特に「核融合の研究開発については、エネルギー政策や原子力政策と整合性を図りつつ、同時に、その技術の特性、研究開発の段階、国際約束等を踏まえ、これを推進する」ということが謳われております。先ほど大島委員からも御質問がございましたが、位置付け的には基本計画の中に核融合としてしっかり書かれているという状況にございます。

 この科学技術基本計画に対しまして、既に親の親の委員会でございます研究計画・評価分科会の方から、参考資料4を御覧いただきたいと思いますが、参考資料4の1に基本的考え方が示されておりますけれども、特に三つ目の丸以降に示されている考え方、ちょっと読みますと、「文部科学省として、第4期基本計画に則り、重要課題への対応に向けた『研究開発方策(仮称)』を取りまとめることが必要である」。それから丸4番目のパラグラフ二つ目ですが「さらに、研究計画・評価分科会においては、各委員会での取りまとめを基に、重要課題の領域を俯瞰したうえで必要な検討を加え、課題対応型の「『研究開発方策(仮称)』を取りまとめることにする」と書かれておりまして、既に「研究開発方策(仮称)」を各関係の委員会において取りまとめるということが宿題として投げかけられております。

 より具体的に申しますと、参考資料の4、1枚めくっていただきまして3ページ目でございますが、第4期において国が取り組むべき重要な課題として、大きく六つ挙げられております。そのうちの一つ、課題領域丸1となっておりますが、環境・エネルギーに関しまして、原子力科学技術委員会、関係する委員会のところの2番目にございますが、原子力科学技術委員会において、課題解決のために必要な、具体的な研究開発課題や推進方策について、取りまとめるということになっております。

 さらにこれを受けまして、原子力科学技術委員会では、参考資料の5になりますけれども、8月19日に委員会を開催いたしまして、今後の推進方策の検討における論点を示しております。こちらがその委員会に諮られて了承されております。推進方策の目的、位置付けのところでございますが、基本的に科学技術基本計画、平成23年から27年の5年間の計画で、本来であればこの5年間に係る開発の方策について取りまとめを考えるべきでございますけれども、「目的、位置付け」の黒ポツの2番目にございますように、「『原子力政策大綱』の見直し議論の中断や、エネルギー・環境会議等における原子力依存度の見直しに関する議論など、原子力の基本的政策が大きく変更される可能性がある一方、事故対応を始めとする緊急に解決すべき課題や社会経済情勢の変化に柔軟に対応できるよう、当面の短期的な(1、2年間)対応方策について検討、とりまとめ」ということになっておりまして、この考え方に基づいて、当面、短期的な1、2年のものについて取りまとめをするということになっております。

 さらにこのまとめに当たっては、ちょっと参考資料が前後いたしますけれども、留意点といたしまして、参考資料の3にございます視点、五つほど科学技術・学術審議会の決定として掲げられておりますが、この五つの視点を踏まえたうえで整理をして出すということになっております。

 これを踏まえまして、事務局で作成した案が資料2でございます。資料2の1ページ、目次とありまして、2番目に、先程、六つの重要な課題と申しましたが、そちらに六つ程挙がっております。2番目に課題領域丸2「環境・エネルギー」とございますが、その下に核融合研究開発とございまして、こちらに対して中間の取りまとめの案を出していくということでございます。案でございますけれども、6ページをお開きいただきたいと思います。「2.我が国の重要課題達成に向けた当面の重点的取組」といたしまして、核融合研究開発については、国際約束である ITER、BAが重要であるということとともに、国内の重要施策でありますトカマク、ヘリカル、レーザー、それから炉工学の推進について、長期的な視野に立ってやっていく必要があるということを掲げております。

 国際約束に基づくITER計画の推進につきましては、国際共同プロジェクトで極めて必要不可欠であって、先程二宮委員からも御説明がありましたが、今般の東日本大震災後スケジュールの遅れを最小化しながら ITERの建設ができるだけ早期に実現するように、我が国が分担する調達活動等を積極的に行う必要があると書いております。あとBAにつきましても、BA単独ということでなく、ITER計画の進捗を踏まえながら確実に取組を進める必要があるというように記述しております。

 国際に対して国内ですが、重点化計画に関して、推進4分野についてそれぞれ触れております。トカマク方式、これはトカマク国内重点化装置計画のところを取り上げておりますけれども、BA活動におけるサテライト・トカマクの進捗を踏まえながら安全の確保に最大限の注意を払いながら、解体・改修をこの1、2年進めていくべきであるということを書いております。それからLHD計画につきましては、先程、金子委員から重水素実験の準備状況の御説明がありましたけれども、重水素実験に向けた準備を着実に行うなどのことを書いております。それからレーザー方式については、本日御欠席ですけれども、現在高速点火方式による実証実験の準備が進められております。FIREX-Iと称しておりますけれども、こちらの達成を確実にしていくことが重要であるということを掲げております。

 それから7ページにまいりまして、炉工学でございますが、日本原子力研究開発機構における炉工学技術開発、それから大学等における、それを支える幅広い基礎研究を総合的に推進することが、その炉工学技術の基盤の形成に役立つのであって、それを着実に図るべきであるということを書いてございます。

 こちらは中間取りまとめの案として一旦お出しをして、今後のスケジュールでございますが、実は本日の午後3時から親委員会である原子力科学技術委員会が開催されます。こちらに、本日御議論をいただいた結果を小森主査から御報告をいただいて、御意見があればまたそれを修正し、9月27日に開催される親の親の委員会である研究計画・評価分科会の方に一旦提出をするということになります。さらにそこで御議論をいただいて、何かありましたらそれをまたバックをして、とりあえず 10月末までにもう1度、現在中間取りまとめでございますけれども、肉付けをして、もう1度親の親の委員会まで提出をするということになります。さらには先程、御説明がありましたように、来年1月をめどにこの重要課題につきまして、関係の委員会から出てきたものをすべてまとめて、研究開発方策ということでまとめることになります。簡単ですが以上でございます。

【小森主査】  ありがとうございました。それでは、今の推進方策の案に御意見・御質問等がございましたらお願いいたします。

【山田科学官】  個別のことの前に全体的な話をちょっと確認といいますか、質問させていただきたいのですが。総合科学技術会議の科学技術基本計画には、もちろんグリーンイノベーション、ライフイノベーションと2本柱があって、先程西山専門官から言及された核融合に関する記述のところは、その二つのイノベーションにプラスアルファといいますか、それから漏れるといいますか、漏れるというとちょっと重要性が落ちるので使いたくはないですけれども、この2本柱とは別の我が国が直面する重要課題の対応という中で語られています。総合科学技術会議での議論を、議事録等でフォローさせていただくと、核融合に関しては、もちろん原子力政策の中では位置付けられているのだけれども、戦略官からも御指摘がありましたようにまだエネルギー政策、エネルギーを出すところまで至ってないということで、エネルギー政策のところからまだ語られるには至ってないというところがあって、核融合についてはグリーンイノベーションには残念ながら今、入ってないという理解を私はしています。総合科学技術会議における議論においてですよ。それで、ここでの議論では原子力科学技術委員会としてはグリーンイノベーションとして核融合研究開発を位置付けるというように見えるのですけれども、この委員会を通じてといいますか、文部科学省としてはそういった訴えといいますか、説明をしていくということでよろしいのでしょうか。

【西山核融合科学専門官】  ええ。基本、そのように考えておりますけれども。グリーンイノベーションの中ということです。

【山田科学官】  それは大変力強いことだと思います。どうもありがとうございます。

【小森主査】  はい、ほかにございますか。はい、どうぞ。

【岡野委員】  原子力大綱が1年くらいかけて見直されるというふうに、さっきお聞きして、それと整合性がとれる政策を作るというように聞いたのですが、順番から言うとどちらかなというのが気になっていて、原子力大綱の修正に対して核融合のこの委員会か、あるいは親委員会から積極的に何かインプットするという道はあるのでしょうか。逆にそれはいつまでにしないといけないのでしょうか。

【西山核融合科学専門官】  整合性と申しましたのは、原型炉の開発について、政策大綱の見直しと整合性を図るべきであるということを申し上げたつもりなのですが。

【岡野委員】  それがだから、変わる可能性があるわけですね。原子力大綱の中で。

【小森主査】  多分、岡野委員の質問は、原子力大綱が出てからはもちろんですが、その前に、大綱の見直しの中で核融合についてこれまでの記述を変えるとしたらどうしたら良いのかと、そういう御質問ですね。

【岡野委員】  そういう意味ですけれども。

【西山核融合科学専門官】  原子力政策大綱の見直しを受けて、さらに3年目以降の推進方策については改めて議論をするということになろうかと思います。一方で、この1、2年の短期のものについては、現在の状況の中で、1回見直しが再開されるわけですが、それを踏まえながら10月までの段階で、何かそれを踏まえて盛り込むべきはまた盛り込んで、整理をして、出していくということになろうかと思います。

【金子委員】  見直しに対して私たちは意見を言えるかどうかという御質問だと思うのですけれども。

【岡野委員】  いや、そういう意味なのですけれども。原子力大綱が決まってから……。

【金子委員】  大綱そのものに対して意見が言えるのでしょうかという。

【小森主査】  政策大綱そのものの見直しに、核融合の意見というのは入る可能性があるのですか、というか、入れるにはどうするのですかという質問だと思います。

【片岡戦略官】  政策大綱の議論の中で、当然核融合の議論もされることになるので、そうした場合にはおそらく文部科学省から御説明をするという機会もあろうかと思いますので、ここでの御議論も踏まえて、そうしたところに説明をしていきたいと考えております。

【小森主査】  ありがとうございます。ほかにございますか。これは、この1、2年の推進方策案ということですよね。

【岡野委員】  はい。それは分かっているのですけれども。

【小森主査】  ほかにございますか。今日の午後に報告しないといけないということなのですけれども。何かございましたら。はい、どうぞ。

【小川委員】  やはり原子力政策大綱との関連なのですけれども、この委員会は当面の1、2年の短期的な対策について議論すると言う事ですね。片や原子力政策大綱の方は1、2年ではなくて、もうちょっと長期的な議論をすると思うのですよね。そうすると、そういう長期的な議論に対して、今、片岡戦略官が言った核融合コミュニティーからどう原子力政策大綱にインプットするかという議論というのは、ここではしないということなのでしょうか。この1、2年という話と、長期的という話の関係がちょっとよく分からなかったので、もう1度御説明いただければと思います。

【小森主査】  1、2年はこの推進方策によって対応するということだと思います。今の、当面の推進方策という、まさにこの推進方策案ですね。

【小川委員】 それを、この委員会が……。

【小森主査】  それが、今、ここの議題です。長期的な大綱を見直す話はまた別の話ですね。

【小川委員】  だから、それは原子力委員会の方でやるのですけれども、それに対するインプットに関する議論もここでやるべきではないでしょうか。

【小森主査】  今は、これは当面どうするのだという「推進方策(案)」に盛り込むために、この委員会としてはこういう案でいかがですかという議論をしているわけですね。それとは別に、大綱の見直しの中に核融合の長期的見直しを入れてもらうとすれば。

【小川委員】  それはやっぱり別ですね。

【小森主査】  またそれはここで別に議論して。

【小川委員】  そうですね。

【小森主査】  お願いするという格好になると思うのですけれども。

【小川委員】  そうですか。はい、分かりました。

【小森主査】  ほかに、よろしいですか。それでは、よろしければ、これを、今日の午後、親委員会の原子力科学技術委員会に提出・報告したいと思います。よろしいでしょうか。はい、どうもありがとうございました。

 それから、今日の議題で「その他」になっておりますけれども、事務局の方から何かございますでしょうか。

【西山核融合科学専門官】  特段には用意をしておりませんが、次回以降の開催の予定でございますけれども、先程申しましたように、今日、先ほどお認めいただいた案を原子力科学技術委員会に本日の午後、諮ります。それから27日に研究計画・評価分科会に諮られる予定でございまして、これが返ってくるのが10月になろうかと思いますので、次回の会議につきましては、10月の中下旬を目途に開催したいと思います。今回の案をもう少し肉付けをして、さらに整理いただくということを考えております。さらに本日御欠席でございましたが疇地委員に御出席いただいて、ぜひレーザー方式について、その進捗の度合いについて御説明いただきたいと考えております。以上でございます。

【小森主査】  どうもありがとうございました。それではほかにございませんようでしたら、本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

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