原子力科学技術委員会(第34回) 議事録

1.日時

令和5年10月13日(木曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点からオンライン開催

3.議題

  1. 大強度陽子加速器施設評価作業部会の設置について
  2. 原子力分野における令和6年度概算要求について
  3. 原子力システム研究開発事業の中間評価について
  4. 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業の中間評価について
  5. 今後の原子力科学技術に関する政策の方向性について
  6. その他

4.議事録

【竹之内課長補佐】  定刻となりましたので、ただ今から第34回原子力科学技術委員会を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。今回もオンラインにて開催しており、これに関連した確認事項等がありますので、議事に入るまで事務局にて進行を務めさせていただきます。
 まず、オンライン開催に際しての留意事項をご説明いたします。委員の皆様におかれましては現在、遠隔会議システムWebex上で映像及び音声が送受信できる状態となっております。御発言を予定される場合は、挙手ボタンを押していただくと画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査より御指名を頂きます。もう一度ボタン押しますと挙手マークが消えますので、御発言を頂いた後は挙手ボタンを押して手を下ろしてください。
 会議中にビデオ映像及び音声がいずれも途切れている場合は、その時間帯はご退席されているものとみなします。遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた際は、随時事務局宛てにお電話にてお知らせください。
 また、傍聴される方におかれましては、ビデオ映像及び音声をオフとしてください。議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は、遠隔会議システムから御退席を頂きます。議事録につきましては、事務局にて会議を録音し後日文字起こしをいたします。事務局以外の方の会議の録画及び録音はお控えください。以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
 続いて、本日の配布資料を確認いたします。今回は委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てに事前に配付資料をお送りしております。会議中、遠隔会議システム上においても資料を表示いたします。お手元に議事次第を配布しておりますが、本日は議題が6つございます。
 議題1が「大強度陽子加速器施設評価作業部会の設置について」
 議題2が「原子力分野における令和6年度概算要求について」
 議題3が「原子力システム研究開発事業の中間評価について」
 議題4が「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業の中間評価について」
 議題5が「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性について」
 最後に「その他」となっております。
 配布資料はそれぞれ議事次第に書かれているとおりでございます。お手元に資料が無いようでしたら、事務局までお知らせを頂ければと思います。また、何かございましたら随時お申し付けください。
 次に委員の皆様方の御出席状況でございますが、開始前に事務局にて確認をしてございます。本日は、委員11名中9名に御出席を頂いております。運営規則の第3条に規定されております定足数である委員の過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。続きまして、事務局参加者についてご連絡いたします。
 文部科学省からは、林研究開発局審議官、奥原子力課長、私課長補佐の竹之内、その他本日の議題に関係する担当官が出席をしております。
 議事に入る前に、本日から新たに委員にご就任いただきました藤本委員から、一言御挨拶を頂きたいと思います。それでは、藤本委員、一言お願いいたします。
【藤本委員】  ありがとうございます。電気事業連合会の藤本でございます。7月より現職を務めております。前任の早田に代わりまして、本委員会の委員を務めさせていただきます。
 震災以降、日本におきましては、原子力に対して厳しい御意見を頂く時期が長く続いておりましたが、昨今のカーボンニュートラルやエネルギー安全保障に対する関心の高まりを受けまして、国内外において原子力に対する見方にも変化が見られてきたと感じております。
 エネルギーのベストミックスの観点におきましても、原子力を将来にわたり持続的に活用することは非常に重要だと考えており、それを支える基礎・基盤技術の確立や人材の育成は、現場を支えます事業者の立場からも必要不可欠だと感じているところでございます。
 本委員会は、今後の原子力を支えるベースとなる部分を議論する非常に重要な場だと認識しているところでございます。事業者目線ではございますけれども、そういった発言が多くなるかと思いますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
【竹之内課長補佐】  ありがとうございました。それでは、ここから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づきまして、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましてもホームページに掲載をさせていただきます。それでは、ここからは、出光主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【出光主査】  出光でございます。本日もよろしくお願いいたします。先ほども事務局の方から説明がありましたとおり、本日は議題が6つございます。17時までを予定しておりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初の議題に入ります。最初の議題が「大強度陽子加速器施設評価作業部会の設置について」ということで、事務局の方から説明をお願いします。
【竹之内課長補佐】  ありがとうございます。それでは、早速ですが資料の1-1をご覧いただければと思います。「大強度陽子加速器施設評価作業部会の設置について」でございます。
大強度陽子加速器施設(J-PARC)でございますが、こちらは原子力機構と高エネルギー加速器研究機構(KEK)の共同プロジェクトとして、平成13年から建設が着手されまして、平成20年から中性子ビームの供用の開始、翌21年から原子核・素粒子実験が開始されております。
 こちらにつきましては、文科省における研究及び開発に関する評価指針がございまして、5年ごとを目安に中間評価を実施するということが定められているところでございます。前回の中間評価が平成30年の6月に行われまして、そこから約5年が経過しているということで、前回の評価における指摘事項への対応状況等について評価を行うと。また、今後の課題と方向性についても検討を行うということから、前回と同様この作業部会を設けて、そこで中間評価を行っていきたいというふうに考えております。
 設置の形態でございますが、前回と同様でございますけれども、この原子力科学技術委員会の他に量子科学技術委員会、また、これは学術分科会の下に有ります研究環境基盤部会がございますが、この三つの下で合同で設置をするという建て付けになります。また、この庶務につきましては科学技術・学術政策局の研究環境課の方が取りまとめて行うということを考えております。
 次の頁でございますが、これが作業部会の設置についての案でございます。先ほど申しましたとおり、科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会原子力科学技術委員会として、この委員会の下にこの作業部会を設置するという、そういった文章になってございます。説明は以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に対しまして、何かコメントあるいは質問等ございましたら、挙手ボタンでお知らせください。どなたかございますでしょうか。皆様、特に御質問、コメント等はございませんでしょうか。
 では、よろしければ、このような形で三つの部会の下でやるということになっておりますが、我々の方も何らかの形で関与していくということになりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、2つ目の議題に移りたいと思います。議題2ですが「原子力分野における令和6年度概算要求について」に入ります。では、事務局の方から説明をお願いいたします。
【奥原子力課長】  7月末付けで原子力課長を拝命しました奥と申します。先生方には大変お世話になっております。どうぞよろしくお願いいたします。
 令和6年度の原子力関係予算について、資料2を基に御説明をさせていただきます。
 これが全体像になります。令和6年度の概算要求額が上のところにありますが、やはり1,900億円弱の要求になっています。そのうちエネルギー対策特別会計が1,400億円強になっています。このうち文科省はJAEAの予算が大部分を占めておりまして、右上にありますが約1,900億円のうち約1,700億円がJAEA関係の予算になります。
 柱として5つほど、左下から柱を立てております。1つ目がカーボンニュートラルへの貢献ということで、革新的な原子炉の開発で2つ主に挙げています。1つが高温工学試験研究炉のHTTRについて、引き続き安全性の実証と、水素製造に関しての取組を進めるということ。もう1つは、高速炉サイクルの中核の研究基盤として、高速実験炉の「常陽」の運転再開に向けた取組を進めるということで、総額として270億円強の予算を要求させていただいています。
 2つ目の柱が、医療用RIを含む原子力イノベーションの推進ということで、特に試験研究炉のJRR-3を着実に運転を継続するということと、あともんじゅが廃炉になりましたが、そのもんじゅのサイトを活用して新しい試験研究炉の設計・建設に向けた取組を進めるということで、68億円強を要求させていただいています。
 3つ目が、東京電力の福島第一原子力発電所の廃止措置に関する研究開発ということで、特に廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)を中核として、国内外の英知を結集した廃炉に関する研究開発・人材育成を一体的に行うというものになっています。
 右上に行っていただいて、4つ目の柱がバックエンド対策の着実な推進になります。もんじゅ、ふげん、それと東海再処理の主要施設について廃止措置を着実に進めるというところとともに、その他施設の廃止措置、それに加えて低レベル放射性廃棄物の処理・処分に向けた研究開発等の取組を進めるということで、これは646億円余りを要求させていただいています。
 5つ目が、原子力の安全性向上に向けた研究ということで、原子力規制庁の規制基準対応につながるような安全研究として10億円余り、これは前年度と同額ですが、要求をさせていただいています。
 これ以外に、復興特別会計の方で1Fの環境回復に関する研究であるとか、原子力損害賠償の円滑化、これはADRという仲介組織を文科省の方で設けていますが、ここの運転経費等について支出をする予定にしています。
 個別具体的に次の頁から御説明をいたします。まず1つ目の柱が、カーボンニュートラルへの貢献ということで、先ほど申し上げたように1つ目は、高温ガス炉に関する研究開発です。こちらは、HTTRについては既に運転を再開していますが、今年度はフィルターに不具合がありまして、今運転を停止しています。このフィルター交換を進めた上で、来年度以降安定的な運用を行うとともに、ここに接続する水素製造施設に関する研究開発と、その接続に係る安全性の実証、それと、水素製造を着実に行うための製造技術の実用化に向けた研究開発を行うということにしています。
 2つ目が、高速実験炉の常陽です。高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減、それと資源の有効利用につながるということで、核燃料サイクル、その中でも高速炉の常陽に関する期待は非常に大きいというふうに思っています。常陽につきましては、今年の7月末に原子力規制委員会の設計変更審査の認可を得まして、現在安全対策工事を進めているところです。現時点では、令和8年度半ばの運転再開に向けて、安全対策工事を着実に進めるということにしています。
 3つ目が、革新炉開発に関するシステム開発ということで、いわゆるデジタルツインを活用して原子力関係施設の設計・建設をより効率的に進めるためのシステム開発を行うということで、それらを含めて276億円強で要求をさせていただいています。
 2つ目の柱が、次の頁の医療用RIを含む原子力科学技術に関するイノベーションの創出、それと人材育成基盤の整備になります。1つ目、(1)のところにある①になりますが、東海にありますJRR-3試験研究炉ですが、これと常陽を用いた医療用RIの安定供給等に向けた研究開発を進めるということ。それと、これはJAEAの新しい小口理事長の方のイニシアチブで進めているものでもありますが、いわゆる放射性廃棄物についてはこれまでゴミとしての扱いしかできていませんでしたが、そちらから出てくる放射線であるとか熱を利用した、新しい電池の開発のような研究開発についても、この中で進めるということにしています。
 (2)が研究開発と人材育成基盤の強化ということで、①は原子力人材について文科省の方で、関係の大学・研究機関、それと産業界の参画を得て、ANECというコンソーシアムの仕組みを設けて人材育成を進めています。これについても来年度着実に進めていくということです。
 それと、②はもんじゅサイトを活用して新しい試験研究炉を造るということで、こちらについても概念設計を昨年度終了しましたが、今年以降は詳細設計の段階に進めて、着実に基準地震動等の地盤の整備に関する予算を要求をさせていただいているところです。
 続いて3つ目の柱です。東電の1Fの廃炉に向けた研究開発の推進ということで、先ほど申し上げたように福島の富岡にあります廃炉環境国際共同研究センター、これの国際共同研究棟を運用しまして、(2)にありますように国内外の英知を結集した上で、廃炉に関する研究開発と人材育成を行うということにしています。
 (2)の中でも、左側のところはJAEAの方でデブリの取り出しであるとか廃棄物の処理・処分に関する研究開発を進めるというところ。右側の方では、そうしたCLADSを中核として中長期的なことを見据えた上で、廃炉の現場のニーズに対応した研究開発と人材育成を、こういうことを活用して行うという事業についても進めることにしています。こちらは43億円余りでの要求になっています。
 続いて6頁目のところで、これはバックエンド対策の着実な推進ということで、高速増殖炉のもんじゅ、これは廃炉が決まりましたが、この廃止措置を着実に進めるということ。それとふげん、そして東海再処理についても、前年と同額プラスアルファの要求をさせていただいています。この下の東海再処理については、特にリスクの高い高放射性廃液についてガラス固化の取組というのを進めていますが、これを着実に進めるということで増額の要求にさせていただいています。
 また、右側の方で、その他の施設です。原子力機構の中長期計画に基づいて、バックエンドを着実に進めるための経費であるとか、あと高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発等についても着実に進めることにしています。
 最後に7頁目になります。原子力の安全研究に向けた取組ということで、原子力規制庁の方から委託等を受けて、原子力規制に関する研究開発の中核機関として位置付けられておりますが、原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いたような研究であるとか、あと核燃料サイクルの関係施設におけるシビアアクシデント等を念頭に置いた影響評価、それと安全対策の有効性評価に関する研究等も、引き続き行うということで10億円を要求をさせていただいているところです。
 全体像は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
【出光主査】  ご説明ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明に対しまして、質問あるいはコメントがございましたら、挙手ボタンでお知らせください。どなたかございませんでしょうか。藤本委員、どうぞ。
【藤本委員】  ありがとうございます。藤本でございます。コメントということでお聞きいただければと思うのですが、予算額のうちJAEAが占める割合が非常に高くなっているわけですけれども、そのJAEAは原子力技術の基盤を支える非常に重要な機関になっているというふうに認識しております。
 また、昨今注目されております次世代革新炉の中でも、高速炉及び高温ガス炉は、実証炉の建設に向けた動きが進んでいるところでございまして、その高速炉においては「常陽」やもんじゅ、高温ガス炉においてはHTTRの知見を有するJAEAの役割は非常に大きいことから、文科省におかれましても引き続きしっかりとサポートを頂ければ有り難いというふうに私どもも思っているところでございます。
 また、新規制基準の適用も相まってということでございますので、JAEAにおかれましては多くの施設が廃止措置に移行していると。そういった中で、それに伴う予算が大きくなっているということだと思います。ある意味では仕方のないことではございますが、一方で安全性を支える研究開発費が非常に少なく見えるということが、研究者の確保という点も含めて若干の心配を持っているところでもございます。文科省におかれましては全体の枠を増やすことは難しい部分もあろうかと思ってはございますが、様々な外部資金の活用や各種連携、あるいはJAEA内部での改善・効率化も含めまして、少しでもそういった研究開発に回すことができる予算といったものを増やせますように、御尽力を賜ることができたらというふうに思う次第でございます。私からは以上でございます。
【出光主査】  藤本委員、コメントありがとうございました。全くそのとおりだと思います。他に御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。概算要求につきまして大体考えられることはほぼ盛り込まれていると思いますので、皆様はご理解いただけたということでよろしいですかね? 遠藤委員、どうぞ。
【遠藤委員】  申し訳ございません、1点だけ。原子力がGXの関連のキーテクノロジーだという政権の認識があるわけです。ですので、もちろん予算的な手配というのもあるかと思うのですが、GXの基幹ツールであるということの文脈を、予算における要求のときにもしっかりしていただきながら、いわゆるGX予算だけにとどまらない、こういった研究開発の予算がそのベースとして必要なのだということを、ぜひ訴えていただきたいというふうに思っております。財政審の委員なのでこんなことを申し上げてはいけないのですが、しっかり予算配分を頂きたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
【出光主査】  ありがとうございました。事務局の方でもバックアップをよろしくお願いいたします。
【奥原子力課長】  ご指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、我々の予算要求をする際に、カーボンニュートラルもそうですしGXもそうですし、そういう文脈の中できちんと位置付けられて、政策的にも重要性が増しているということを我々としても強く訴えておりますので、その流れの中できちんとした予算を確保できるように取り組んでいきたいというふうに思います。どうもありがとうございます。
【出光主査】  それでは、大場委員、どうぞ。
【大場委員】  ありがとうございます。1点ございます。全体としては特に大きな問題を感じないのですが、3番の東京電力の福島第一の廃炉についてです。「廃炉現場のニーズを一層踏まえた」という言葉が概要のところに書かれているのですが、事故から12年経った現在としては、廃炉現場はもちろんなのですが社会のニーズも踏まえた廃炉ということの検討もしていかないといけないと感じております。こちらに廃炉現場というだけではなく、社会のニーズも含めていただければと思います。以上です。
【出光主査】  ありがとうございます。事務局の方から、この件に関しまして何か追加の説明はございますでしょうか。
【奥原子力課長】  ありがとうございます。こちらの廃炉の研究開発を進めるにあたって、いろんなシナリオであるとかロードマップというのを引いて、中長期的観点からやらせていただいています。もちろん研究開発的なニーズだけではなくて、社会的にどういうふうに評価されるかという視点も含めた上での検討が必要だと思っていますので、ぜひその方向で考えさせていただきたいと思います。
【出光主査】  ありがとうございました。他にはございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。以上で第2の議題につきましては終わりにさせていただきます。
 続きまして議題3に移りますが、こちらは研究開発事業の中間評価ということになってまいります。原子力システム研究開発事業と、英知を結集した原子力科学技術・人材育成事業の中間評価となります。なお、私が両事業の利害関係者に当たりますので、こちらの議題につきましては主査代理の石川委員の方にお願いしたいと思います。石川委員、よろしくお願いいたします。
【石川主査代理】  出光主査、承知いたしました。ここからは私石川が出光主査に代わって進行を務めます。主査からもございましたが、原子力システム研究開発事業及び英知を結集した原子力技術・人材育成推進事業の両事業において、出光主査と大場委員は利害関係者に当たるため、審議に関する御発言はお控えいただきますようお願いいたします。
 それでは、事業の中間評価に入ります。まず、原子力システム研究開発事業の中間評価についてです。はじめに事務局から説明いただき、その後委員の皆様に御議論を頂ければと思います。それでは、事務局よりお願いいたします。
【髙倉課長補佐】  よろしくお願いいたします。原子力システム研究開発事業の中間評価結果(案)ということでご説明させていただきます。まず、事業の概要についてご説明させていただきます。本事業に関しましては平成17年度から開始しております。中間評価に関しましては平成20年、25年、30年と行っております。5年ごとで、今年度中間評価になっております。
 目的としましては、エネルギーの安定供給を図るため、原子力が将来直面する様々な課題に的確に対応し解決するとともに、脱炭素化等の観点から世界的に加速する革新炉の開発に我が国の国際競争力維持、向上を図るため、多様な原子力システムに関し、基礎的な研究から工学的検証に至る領域における革新的な技術開発を進めることを目的としております。
 概要としましては「GX実現に向けた基本方針」エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取組、東京電力福島第一原子力発電所事故及び「エネルギー基本計画」を踏まえ、原子力施設の安全対策強化に資する共通基盤的な技術開発、放射性廃棄物減容化及び有害度低減に資する研究開発、原子力イノベーションを支える基礎基盤研究を支援する公募事業になっております。
 本事業はNEXIP(Nuclear Energy × Innovation Promotion)イニシアチブの一環として、経済産業省と連携を取りながら原子力技術の基礎研究から実用化に至るまでの連続的なイノベーションを推進するものとなっております。
 次のところが、平成30年の中間評価に示された必要性、有効性、効率性について示されております。必要性に関しましても、30年度の時に社会ニーズに的確に反映しているとしまして、必要性は明示されております。
 また有効性に関しましても、科学技術の発展に資する研究として、成果に寄与しているというコメントを頂いております。
 効率性に関しましても、プログラムディレクター、プログラムオフィサーによる管理の下、効率的に運営されているという評価を頂きました。
 予算の変遷に関しましては、平成30年度から令和5年度まで11億円、12億円、9億円と、約10億円前後の予算額となっております。
 次の頁をお願いいたします。機関の体制としましては、まず文部科学省が支援事務受託機関と事務委託契約をしまして、支援業務委託から代表者と課題管理を行っております。また、文部科学省と代表機関の間で委託契約を行って、運用の方を行っております。
 本事業のプログラムディレクターとしまして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長の山名先生と、プログラムオフィサーには、東京大学の越塚先生、名古屋大学の山本先生、京都大学の義家先生、大阪大学の鷲尾先生にご就任いただいております。
 今年度の事業の採択に関しまして、基盤チーム型1件、ボトルネック型1件、新発想型5件と、新発想の若手1件となっております。
 次の頁をお願いいたします。関係省庁との連携状況としまして、基礎から実用化に至るまでの連続的なイノベーションを促進するために、経済産業省と相互に連携をしており、NEXIP交流会として年に1度、事業の関係者と資源エネルギー庁の関係者の意見交換を行っております。また、本事業の公募にあたり、資源エネルギー庁の関係者である民間企業からニーズを聞き取り、公募テーマの反映としております。
 次の頁をお願いいたします。こちらが文部科学省と経済産業省の連携の図になっております。
 次の頁をお願いいたします。ここから中間評価票になっております。プランを推進するにあたっての大項目、プログラム名等を記載させていただいております。プログラム全体に関するアウトプット指標としまして、学会等での学会発表数、件数、研究成果の論文数を記載させていただいております。令和元年から令和2年、3年と記載しております。コロナの関係上少し件数が減っているというのが少し目立ちます。プログラム全体に関するアウトカムの指標としまして、各年度で実施する中間事後評価での評価が、計画どおりに成果が挙げられている、又は見込まれた課題を、A評価以上は課題数の90%の割合を定量的に目標値として示しております。令和元年で100%、令和2年で94%、令和3年で90%となっております。
 評価結果になります。課題の進捗状況として、事業全体について原子力が将来直面する様々な課題に的確に対応し解決するとともに、原子力分野における我が国の国際競争力を維持・向上するため、多様な原子力システムに関し、基盤技術から工学研究に至る領域における革新的な技術開発を、競争的資金を活用して実施しております。
 平成30年から令和元年までの公募テーマは急務であった安全性向上に資する「安全性基盤技術研究開発分野」や「放射性廃棄物減容化・有害度低減技術研究開発分野」をテーマとしておりましたが、令和2年度からは第5次エネルギー基本計画を受け、多様な社会的要請に応えつつ、原子力イノベーションを支える基礎基盤研究を戦略的に推進するため、一部事業スキームを変更し、公募枠を見直しました。
 具体的には、以下の3点になっております。将来、社会実装に向けた道筋を示す研究テーマであること。実用化に向けたボトルネックを解消する革新性があること。原子力イノベーション創出を目指し、挑戦的な内容であること。
 上記のような形を公募枠としまして、基盤チーム型、ボトルネック解決型、新発想型(一般/若手)という三つの公募枠を設けさせていただきました。具体的には、基盤チーム型が、産学官の知見を集結してチームで取り組むプラットフォーム型の研究開発になっております。ボトルネック型に関しては、社会実装を目指す上で具体的なボトルネックとなっている課題を基礎・基盤に立ち返って行う研究開発になっております。新発想型は、原子力のイノベーション創出を目指すゲームチェンジングな研究開発として、自由な発想を基にした研究課題がテーマとなっております。
 研究成果については、国会図書館への納本や学会発表を通じて、広く公表することに努めております。また、令和3年度からは、産学官の連携の場としてNEXIP交流会を開催し、関係者の情報交換や意見交換の場を設けております。
 次の頁をお願いいたします。個別の研究課題につきましては、研究開発・技術開発に実績のあるプログラムディレクター(PD)及びプログラムオフィサー(PO)により、事業の計画、課題採択、課題管理、ステージゲート評価、事後評価までの一貫したマネージメント体制を構築しています。外部有識者から成る審査委員会を開催し、書面審査及び面接審査を経た上で、結果をPD・POに諮り、提案課題を採択しております。担当のPOが直接現場へと赴いて、進捗確認や問題確認等の中間フォローや、必要に応じて適宜助言を行う適切な管理を行っております。3年を超える課題に関しましては、外部有識者で構成される審査委員会によりステージゲート評価を実施し、進捗及び中間の成果を評価しております。
 次に、その下の各観点の再評価としまして、必要性、有効性、効率性を示させていただいております。必要性に関しましては、国費を用いた研究開発の意義として、国や社会のニーズに適合しているか、国が関与する必要性・緊急性はあるかという観点から、エネルギー基本計画を踏まえた事業であり、社会ニーズを的確に反映していると考えられます。第6次エネルギー基本計画において、多様な社会的要請を踏まえた技術開発を通じ、高いレベルの原子力人材・技術・産業基盤の維持・強化を図ると明記されており、原子力システムに係る研究開発は国の主体で取り組むべき事業であると考えられます。社会ニーズという面で、直近5年における公募の平均倍率としては約5倍あり、引き続き本事業のニーズが高いことが示されていることから、本事業の必要性は高いと評価できます。
 次の頁をお願いします。有効性としましては、当初の目的を上回る実績を上げており、また、外部有識者による事後評価委員会において研究成果を評価し、当初の目的に合った成果が達成されていることを認識しており、成果実績は成果目標に十分見合っているものと考えられます。本事業の有効性は高いという評価があると考えられます。
 次に効率性です。事業の実施にあたって、外部有識者による評価に基づいて、優れた提案の採択を競争的資金の一つとして運営しております。PDによる各課題の重複を避けるための全体的な管理、また、POによる現地視察を含めた各課題の進捗管理を行うとともに、終了翌年度の自己評価を外部有識者により実施し、各課題を効果的、経済的に推進することで、原子力システム開発事業の効率性を確保しております。以上のことから、効率性を確保できていると評価できます。
 次の頁をお願いします。以上のことから、今後の研究開発の方向性としまして、継続としたいと思っております。理由としましては、本事業は脱炭素を目指すエネルギー改革の中で、国民的関心の高い原子力施設等の安全や基盤技術に係る研究開発事業であり、これらの研究開発は国民の生活や経済を支えるエネルギーの安全で安定な確保につながることから、国が主体的かつ優先的に取り組むべきであると考えます。また、本事業は幅広い主体を対象とし、研究開発を通じた人材育成の点からも活用されているとともに、国際競争力の確保に寄与していることから、本事業の継続を実施するべきだと判断いたしました。以上です。
【石川主査代理】  ありがとうございました。本件について委員の皆様からの御意見、御質問がありましたらお願いいたします。御意見、御質問のある委員は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、竹内委員、お願いいたします。
【竹内委員】  ご説明いただきましてありがとうございました。ご説明いただきました内容に基本的には異存ございません。非常に長期の話だとも思いますので、こういった形で継続をしていただくというようなことは極めて重要なことであって、継続という御判断に賛成をさせていただきます。その上で、一つコメントとして申し上げさせていただければと思いますのは、やはり技術開発というようなところから社会実装するまでというようなところには、やはり規制とか基準をどういうふうにしていくかという国際的な議論に当初からコミットしていくといいますか、かなりその規制基準を作るというようなところも時間の掛かるお話だというふうに思いますので、そういったところを意識して文科省さんと経産省さんの連携の上、社会実装に至るまでの時間を最短化するといったような形で、技術開発のウォッチをしていただければ有り難いというふうに思います。私からは以上でございます。
【石川主査代理】  ありがとうございます。今のコメントについて、事務局から何かございますでしょうか。
【髙倉課長補佐】  コメントありがとうございます。規制基準に関する議論は、PDPOからも出ており、本事業に関しましても、念頭に置きながら技術開発、また社会実装に向けて進めていきたいと思っております。
【石川主査代理】  ありがとうございます。他にご質問ございますでしょうか。そうしましたら、私の方からも少し質問があるのですが、細かいところ、大枠として評価継続という判断について私も賛成なのですが、細かいのですけれども9頁目の下のところで、研究成果については「国会図書館への納本や学会等での発表」と書かれているのですが、上の方にあった表では研究成果論文数というのも書かれていたので、9頁の下のところにも論文発表ということも明示的に書いた方がよいと思うのですが、国会図書館への納本と学会発表だけになっているのは何か特別な理由がございますでしょうか。
【髙倉課長補佐】  ありがとうございます。学会発表等にまとめてしまったということなので、ここにしっかりと論文のことも記載させていただきます。ありがとうございます。
【石川主査代理】  ありがとうございます。吉橋委員、お願いいたします。
【吉橋委員】  名古屋大学の吉橋でございます。ご説明ありがとうございました。私は今回のこの評価に関しては特段異議はございませんが、一つお聞きしたいのが最後の今後の研究開発の方向性というところで、この事業は大学、高等専門学校等の人材育成ということで、これまで長いこと行われてきたりしていると思うのですが、このいろんなところの御説明はあったのですけれども、この人材育成というところで現状どれくらい成果が出ているかというところを、何かの機会でも結構ですのでお見せいただけると、よりこの事業として若手を育てている、若手が出てきているというところが見えてくるのではないかということを感じました。また何かの機会にご説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。
【石川主査代理】  吉橋委員、ありがとうございます。今の吉橋委員からのコメントに対して、事務局から何かございますでしょうか。
【髙倉課長補佐】  ありがとうございます。こちらで人材育成というふうに書かせていただいたのですが、大学生、高専生等の人材育成に関しましては国際原子力イニシアチブ事業の方の人材育成の方がございまして、そちらとは少し異なっております。研究開発の人材育成になっており、新発想型の若手は、一般的な人材育成というよりは研究開発の独り立ちを目的とした人材育成という認識の公募になっております。、また、先生のおっしゃるとおり新発想型の若手が採択後どう発展しているか示すことができれば、示していきたいです。よろしくお願いいたします。
【吉橋委員】  ご説明ありがとうございます。少々認識が違っていて申し訳ございません。ただ、こういったところでそういった若手の方が国際的に活躍されているということであるとか、そうやって世界に発信できているというところがもう少し見えてくるとより一層よくなるかというふうに感じます。
【石川主査代理】  吉橋委員、ありがとうございます。他の委員から御質問、御意見ございますでしょうか。そうしましたら、いくつかコメントや質問ございましたが、評価と研究開発の今後の方向性、継続という点については、全ての委員の方からご賛同いただけたかと思います。ただ、いくつか出た意見を踏まえて、事務局の方で修正案等を作成いただき、決定については主査代理の私に一任いただければと存じます。
 そうしましたら、次の議題に移ろうと思います。議題4の方です。こちらも主査代理の私の方で進めてまいります。続いて「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業の中間評価について」です。こちらの事業についても、出光主査と大場委員は利害関係者に当たりますので、御発言はお控えいただきますようお願いいたします。まず、こちらも事務局からご説明いただきます。それでは、事務局よりお願いいたします。
【小林課長補佐】  それでは、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業の中間評価につきまして、ご説明させていただきます。まず、3頁目をご覧ください。目的と概要のところです。まず目的と概要を簡単にご説明させていただきます。本事業は、日本原子力研究開発機構廃炉環境国際共同センター(CLADS)を中核に、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を融合・連携させることにより、中長期的な廃炉現場のニーズに対応する研究開発・人材育成の取組を推進するものでございます。
 具体的には、その下の課題解決型廃炉研究プログラム、国際協力型廃炉研究プログラム、研究人材育成型廃炉研究プログラムの三つのプログラムを実施しております。
 その下に、平成30年度実施の中間評価概要について記載しておりますが、こちらの必要性、有効性、効率性というのはご覧いただけたらと思っています。こちらは平成30年度の結果ですので割愛させていただきます。
 その次の頁の課題実施機関・体制というところをご覧ください。ステアリング・コミッティと呼ばれる外部有識者委員会を文部科学省において設置しておりまして、こちらはこの後の中間評価のところにも一部出てきておりますが、事業運営に関する全体方針の決定、POの研究マネジメント状況の確認・助言・評価等を行っているものになっております。構成員はご覧いただけたらと思っています。直近の採択課題一覧についてもご覧いただけたらと思いますので割愛させていただきます。
 その下のその他のところまで飛んでいただけたらと思います。関係省庁との連携状況でございます。経済産業省やNDF、東京電力等とは、NDFが主催の廃炉研究開発連携会議等において研究開発等に関する意見交換を行うなど、本事業の成果が実際の廃炉作業に効果的に結び付けられるよう連携しております。また、その下の本事業の成果の利活用に関する取組状況でございますが、本事業の成果報告会等において、廃炉現場の関係者も出席の上、研究成果の利活用につながるように取組を工夫しております。
 それでは、実際の中間評価票についてご説明させていただきます。9頁目の課題の進捗状況についてです。本事業は、当初文部科学省の委託事業として実施しておりましたが、CLADSに研究成果等を集約し、様々な分野の知見や経験を融合・連携させることにより、産学が連携した基礎・基盤的研究や人材育成の取組を推進するため、JAEAの補助事業へ移管いたしました。
 そして、先ほどご紹介した三つのプログラムに加えまして、廃炉創造ロボコンの実施やOECD/NEAの枠組みを活用した若手研究者等の派遣・招へい等を実施しております。以上のことから、本事業は、1F廃炉に係る基礎・基盤的研究を推進し、我が国の原子力研究の裾野の拡大を図るとともに、1Fの廃炉等に向けた人材育成に貢献しております。
 次の頁をご覧ください。各観点の再評価というところで、まず、必要性についてでございます。1Fの廃炉は世界にも前例のない困難な作業であり、線量が高い場所が多い現場での作業環境は依然として厳しく、新たに判明した事象にも応じた研究開発が重要となっております。政府が策定しております東電福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップにおける記述、あるいは次の段落のNDFの技術戦略プラン 2022にも必要性について記載されていることから、本事業は廃炉現場から求められている基礎・基盤的研究や中長期的な人材育成を着実に実施するものであり、その必要性は極めて高いと考えております。
 次に有効性についてでございます。8頁目を飛ばしてしまったのですが、8頁目に学会発表数と研究成果論文数というのが出ておりまして、こちらも見ていただくと毎年どちらも増加しているということになっております。それで10頁目に戻っていただいて、この学会発表件数等が毎年増加しておりまして、各研究開発課題は着実に進展していると考えられます。また、本事業の研究成果が廃炉現場に橋渡しされるよう、東京電力等のニーズ側とのパネルディスカッション形式による実施で成果報告会を開いたり、後は研究成果の橋渡しのための種まきとして、ニーズ側とシーズ側のマッチングに向けてワークショップを行うなど、東京電力等のニーズ側との連携を強化しております。
 次の頁をご覧ください。その結果ですが、本事業で得られた成果が更なる現場適用に向けて、実用化研究等を行う経産省の「廃炉・汚染水・処理水対策事業」に採択されているものや、東京電力やメーカーから費用を得て研究開発を実施しているもの、実際に1Fの現場で運用を開始しているものもあり、1F廃炉に資する研究成果を創出していることに加え、原子力以外にも宇宙や素粒子分野に展開されているものもございます。
 次に、その下の人材育成につきましては、今後30~40年は続くとされている廃炉の現場を支える研究人材を長期的な視野で育てていくことは引き続き重要です。研究人材育成型廃炉研究プログラムにおいては、採択機関がJAEAに連携ラボを設置している他、JAEAや東京電力の職員が大学院生向けの講義を行うことなどにより、廃炉研究に関心を持つ学生の裾野の拡大に貢献をしてきております。その結果、若手研究者が東京電力やJAEA等の原子力関連企業に就職する等、廃炉研究人材が着実に育成されております。また、先ほどご説明しました外部有識者委員会、ステアリング・コミッティと呼ばれるものですが、そこにおきましても本事業の取組は高く評価されております。以上のことから、本事業の有効性は高いと評価できると考えております。
 次の頁をご覧ください。効率性でございます。本事業の公募に当たっては、求められる研究開発のニーズとシーズを整理した「基礎・基盤研究の全体マップ」、この下の図にあるものですが、こちらを活用しております。こちらのマップを通じて、現場のニーズを踏まえた公募を実施しております。また、全ての課題についてPOが中心となって課題の進捗状況を把握し、課題管理を行うとともに、研究受託者の研究のサポートを行うリサーチサポーターをCLADS内に設置し、研究支援の方策等に関するPOやCLADSとの調整を行うことで、研究進捗の促進ができる体制を構築しております。以上のことから、本事業の効率性は高いと評価できると考えております。
 次の頁をご覧ください。(3)科学技術・イノベーション基本計画等の上位施策への貢献状況というところでございますが、こちらにつきまして第6期「科学技術・イノベーション基本計画」や「東京電力ホールディングス(株)福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」における目標の達成に向けても、貢献していると考えております。
 次に(4)事前評価結果時の指摘事項とその対応状況というところでございますが、前回の中間評価での指摘事項は以下のとおりでございました。2点ありまして、まず1点目のところで、課題ごとの中間評価・事後評価等についてはPD・PO、外部有識者によるマネジメント体制の下、効率的・効果的な運営を継続して行うことが必要である。2点目、今後、本事業における東電福島第一原発の廃止措置に資する人材育成についても、他の原子力人材育成事業等と連携した取組を検討する必要がある。以上の2点の指摘を頂いております。
 こちらの対応状況ですが、まず1点目につきましては、事業実施において、事業の計画・目標の達成度、成果や発展性について評価を行う評価委員会(PD・PO会議)を設置して事後評価を実施するなど、効率的・効果的な運営を行っております。2点目は、OECD/NEAで実施している廃炉の課題解決に向けた先進的な遠隔技術を中心とした、学術的な領域の科学技術について、この教育実習を行うNESTプロジェクトと連携するなど、他の原子力人材育成事業等と連携しております。
 そして最後に(5)今後の研究開発の方向性でございますが、本事業においては、中長期的な廃炉現場のニーズに対応するため、大学等の基礎・基盤的な研究開発や研究人材の育成を推進しており、得られた成果が1Fの廃炉現場に適用されるなど、優れた成果を創出していると考えられます。このため、引き続き継続的に実施すべきであると考えております。以上でございます。
【石川主査代理】  ご説明ありがとうございます。それでは、本件について委員の皆様からの御意見、御質問等ありましたら、挙手機能で挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。新井委員、お願いいたします。
【新井委員】  ありがとうございます。純粋な質問なのですが、この事業は継続で当然よいと思っていまして、必要性も高く、廃炉現場にもいろいろ課題が展開されていたり、有効性もあるし、高い評価を得ているということで、そのとおりだと思います。それで、9頁目の頭のところにS・A・B・C・Dのうち計画どおりの成果が上げられたパーセンテージが79%、71%、87%ということで、87%は高いと思うのですが、評価が高い割に、まあこの70%台のところは低いと思ったのですが、ここはどう解釈すればよいのかというと、この表は必要性や有効性とは別な評価であって、多分課題一つひとつの達成度合いのようなものを見ているのであって、英知を結集したというこの事業の特性からして、かなり挑戦的な目標を設定しているというふうに見ればよろしいのでしょうか? それにもかかわらず、ある程度目標達成できたものは現場に適用できているというふうに解釈すればよいのでしょうか? 少し不思議に思ったものですので質問させていただきました。
【石川主査代理】  ありがとうございます。事務局から今の御質問に対していかがでしょうか。
【小林課長補佐】  ご質問ありがとうございます。例えば令和3年度については71%ということで、令和4年と比較すると落ち込んでいるように見えるかと思うのですが、この令和3年度の事後評価の対象となる課題は、平成30年度に実施していた共通基盤型原子力研究プログラムというプログラムが多数を占めておりまして、B評価が多かったという実情になっております。この共通基盤型というプログラムについては、廃炉を含む原子力と広範な分野で募集対象としたため、事後評価において革新性や独創性、新規性に富んだ先端的な研究成果が得られたか、科学技術の発展や原子力の基盤・基礎技術の強化、他の分野への波及効果を問われておりまして、A評価以上がなかなか難しくて、それで少し割合が減っているという状況になっております。今はこのプログラムは終わっておりまして、先ほど説明した三つのプログラムが走っているという状況になりまして、プログラムの種類が違っているため一概にはいえないというのが現状でございます。
【新井委員】  分かりました。ありがとうございました。
【石川主査代理】  やはり挑戦的な課題に対してしっかり評価の機能が有効に機能しているということでもあるかというふうに私の方でも思います。他に御質問、御意見はございますでしょうか。他に挙手されている委員はいないようですね。そうしましたら、先ほどの新井委員のは質問ですし、それでは案のとおりに決定されたことといたします。それでは、これで事業の中間評価を終了いたします。進行の方はこれからは出光主査にお返しいたします。出光主査、よろしくお願いいたします。
【出光主査】  石川委員、どうもありがとうございました。それでは、議題5に移りたいと思います。最後になります、議題5「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性について」に入ります。これにつきまして、事務局の方から説明をお願いいたします。
【奥原子力課長】  原子力課の奥です。どうぞよろしくお願いします。今後の原子力政策の方向性ということで、この委員会の場を使わせていただいて中長期の計画を議論させていただきたいということの御提案になります。問題意識から申し上げると、過去はいわゆる長計と呼ばれていた原子力に関する長期計画というのがあって、それに基づいて関係府省が研究開発から実装まで幅広い原子力に関する研究開発を進めてきたという経緯があります。
 今は長期計画が無くなってしまって、先ほどから話があったようにGXに関する基本方針であるとか、あと原子力の関係閣僚会議の方で、今後の原子力政策の方向性等について基本方針、行動指針というのが出ていますが、これはあくまで基本的な考え方、基本方針であって、いわゆる5年なり10年なりを見通した中長期の計画・戦略ということでは必ずしもないかなと思っています。特に経産省の方はエネルギー利用を見越した形で、エネルギーの観点からの原子力に関する取組というのを進められていますが、原子力についてはいわゆる総合科学ですので、文科省として原子力の技術体系を一連のものをきちんと整備をする、いわゆる基盤を構築するという観点から、今後の取組というのは幅広に方向性を示すということが必要なのではないか。ということで、せっかくこういう専門家の先生方に入っていただいている委員会があるので、ここの委員会の方でその中長期の戦略・方向性というのをある種指し示すための議論をしていただいてもよろしいかと思って、御提案をさせていただいているものです。
 当面の課題としていくつか挙げさせていただいています。右側にあるように新試験研究炉であるとか次世代革新炉、バックエンド対策、あと基礎基盤研究、そして福島第一原発への対応です。こうした論点に加えて他の論点もあろうかと思いますが、これについて少し深掘りをした上で、5年10年の中長期を見通した政策の方針というのを、ぜひ議論させていただきたいというふうに思っています。今日はキックオフですので、できれば先生方全員に一言御意見を頂いて、この後冬以降にまた改めて資料等をお示しをさせていただいて、集中的な審議を来年にかけて行って、来年の概算要求の前ぐらいには中間まとめをした上で、その先の予算事業等に結び付けていきたいというふうに思っているところです。
 次の頁です。もう少しそこの論点について深掘りをさせていただきたいと思います。これはあくまで我々から議論のたたき台としてお示しをさせていただいているものです。基本的な考え方として、原子力についてはGX、カーボンニュートラルの実現や、エネルギー利用として活用するというのが当然としてありますが、これ以外にも、いわゆる技術安全保障であるとか経済安全保障等々にもつながるような重要な技術であろうというふうに思っています。その中でも、経済産業省さんと連携をした上で、文科省についてはいわゆる基礎基盤研究であるとか大型の施設・設備の整備、それと利活用の促進、あるいはその人材育成等、本当に幅広い観点から原子力の科学技術というのを積極的に進めていく必要があるだろうというふうに思っています。そうした原子力についての技術体系をきちんとそろえ、基盤を整備するということを銘打って取り組んでいきたいと思っています。
 その際の基本姿勢として、案として3つほど掲げさせていただいています。当然ながら、原子力利用は福島事故等を受けて安心・安全というのが強く求められているところです。もちろん安全を大前提として、こうした科学技術の研究開発を進めていくというのは当然のこと。原子力に関して、文科省としてはやはりその中核的な基盤、人材も研究も全てあわせてですが、その基盤をきちんと構築をするということはもう一つの柱としてあるかと考えております。さらに、原子力についてはエネルギー利用だけではなく、いわゆる幅広い産業につながるようなものだと思っています。医療もそうですし、自動車も含めた製造業等、放射線利用も含めて幅広い産業に利活用可能な分野だと思っていますので、そうした社会との対話を踏まえた上で課題対応に資するような研究開発を考えていく。そのための社会実装についての取組を強化していくという辺りを基本的な考えとして提示してはどうかというふうに思っています。
 その上で、先ほどの柱についてそれぞれ少し深掘りをさせていただきます。1つ目は新試験研究炉です。もんじゅサイトを活用した新試験研究炉を設けるというのを、先ほど予算説明の中でもさせていただきましたが、過去は各大学において試験研究炉というのは整備をされていましたけれども、今現存する試験研究炉は実際は6つしか有りません。そのうち大学は2つで、京大と近大にそれぞれ炉が有るだけで、後はJAEAに試験研究炉が有るだけです。このままだとやはり原子力に関する研究開発を行うための、ある種施設が無くなってしまうというところがあるので、この新しくもんじゅに造る試験研究炉については、もちろんJAEAの研究開発に資するというのは当然のこと。これをその大学における研究開発であるとか人材育成の方にきちんとつなげていかないといけないというところで、この試験研究炉を具体的にどういう仕様にするか、どういう設計にしていくかということがもう深掘りが必要かというふうに思っています。
 その際には、もちろん照射機能というのも必要ですが、新試験研究炉についてはJRR-3と同様にいわゆるビーム炉としての機能というのも設けることを想定しています。そのビームの利活用についてもどうしていくのかという辺り、それと、新しくこの新試験研究炉はJAEAが実施主体になりますが、JAEAとしては実に40年ぶりの新設炉になります。その技術の継承もありますが、こうした試験研究炉の設計開発を通じたいわゆる技術伝承というのも念頭に置いた上で整備を進める必要があるかと思います。
 新規制基準対応として、やはり新設に関しては相当程度の予算規模が必要になってきます。どれくらいのスケジュール感で、どれくらいの規模の、どれくらいの予算でこれを整備していくのか、そこら辺りもここの中で議論させていただけたら有り難いなというふうに思っています。以上が1つ目の(1)です。
 (2)は、そうした新試験研究炉の開発につなげるために、現行のJRR-3を引き続き安定的に運用するとともに、ここのビーム炉としての設計の考え方というのを、新試験研究炉の中にもきちんと反映していくということが必要かと思っていますし、新試験研究炉におけるそのビームの装置類について、JRR-3の方で機能を確かめるということもあってもよいかというふうに思っています。なので、新試験研究炉の開発・整備にあたって、既存の試験研究炉であるJRR-3をいかにして活用するかという観点も必要かと思っていますし、さらにいえばJRR-3についてはいわゆる医療用RI、モリブデン-99の製造等にもつながるということで、幅広い産業利用にもつながるような炉であると思っています。なので、製造用であるとか医療用であるとか幅広い、アカデミアのみならず産業界への利活用をどう進めていくのかという辺りも、ここの中では取り上げて議論してはどうかというふうに思っているところです。これが1つ目です。
 2つ目は、次世代革新炉の開発に資する技術基盤の整備・強化とあります。1つ目は常陽ですが、先ほどの予算の時に申し上げたように常陽については4月末に規制庁からの認可を得まして、今は再稼働に向けた安全対策工事を進めている段階になります。この安全対策工事を着実に進めて、現在予定している令和8年度半ばの運転再開につなげていくということが必要だと思っていますが、その先見据えたときに、常陽の技術的な知見というのをいかにして実証炉の方につなげていくかという観点も大事だと思っていますし、常陽を引き続き安定的に運用させるためには、炉だけではなくて燃料製造をどうしていくのかという観点も重要な視点かと思っています。なので、将来的な高速炉開発を見据えた上で、常陽の安定的な運転・再稼働をどうしていくのかという辺りをぜひ御議論をさせていただきたいなというふうに思っています。
 (2)が高温ガス炉(HTTR)ですが、こちらもJAEAの方では着実な運転に向けた取組を進めています。こちらの方は燃料についてはある程度の期間分用意をされていますので引き続き安定運用は可能だと思います。このガス炉については固有の安全性の評価とともに、高温を利用したような水素製造の取組というのにも期待が非常に大きいというふうに思っています。現在、エネ庁の方からの委託を受けて水素製造の安全性の実証試験と、炉と水素製造施設をつなげた安全性の実証試験・接続試験と、それと水素製造が安定的にできるかどうかの実証試験というのも併せてやらしていただいています。こうした高温の熱利用をどうしていくのか、これも同じなのですが実証炉の方にいかにしてつなげていくのかという辺りを議論する必要があるかというふうに思っているところです。
 (3)が原子力の安全研究です。先ほども安全研究が大事だというふうなお話がありました。これはもちろん既存の軽水炉の新規制基準のシビアアクシデント等について、きちんと基準類が十分かどうかというふうな評価をするというのは当然だと思いますが、その先を見据えて革新軽水炉であるとか高速炉、それとガス炉とも、安全研究というのも並行して取り組んでいく必要があるかというふうに思っています。こうした安全研究の取組は原子力利用の上では不可欠だと思いますので、ここを着実に進めていくための方策というのも検討が必要かというふうに思います。
 3つ目の柱が、廃止措置を含むバックエンド対策の強化になります。順番が逆になりますが(2)で主要施設として、もんじゅ、ふげん、東海再処理があります。こちらの大型施設は既に廃止措置の認可を受けていますが、こちらを着実に進めていくというのは当然必要だと思います。特に東海再処理については今、大体70年間で廃止措置に7,000億、8,000億円の予算規模で掛かるというふうになっていますが、これは特にリスクの高い施設を中心に廃止措置を安定的に安全に行っていくということは当然必要だと思っていますので、これを計画的に進めるための取組。その上で(1)になりますが、こうした主要施設以外にも廃止措置の対象施設というのはJAEAの方で多数有ります。今は主要施設以外だと36施設が廃止措置の対象になっていまして、これを全て廃止措置を行おうとすると1,400億円という予算規模が掛かるというふうな試算がされています。一方で、JAEAの今の予算では大体5億円~7億円ぐらいしかこの1,400億円を対象とする廃止措置の費用が計上できていないという問題がありまして、一方で、この廃止措置をしないと維持管理費だけが継続的に掛かっていくということで、かなりJAEAの首を絞めている部分が大きいと思っています。なので、この主要施設以外の廃止措置をいかにして効率的あるいは迅速に進めることで維持管理費の低減につなげていき、このお金というのをいわゆるその他の研究開発の方に回していくのかと、こうしたことが非常に大事になってくると思っていますので、この廃止措置を促進するための仕組みの整備というのも、ぜひ検討が必要かというふうに思っています。
 最後の(3)がバックエンド対策の促進でございますが、最終的には処分場の整備というのが必須になります。特にJAEAについては低レベルの放射性廃棄物の処分の実施主体になっています。もちろんJAEAと文科省を中心に廃棄物の処分場の整備に向けた取組というのは進めていますが、これについて着実に推進するための方策というのも、バックエンド部会等で議論いただいていますが、この場でも検討をしていただければというふうに思っております。
 4つ目の柱が、基礎基盤研究の強化です。ここはもっとも文科省で担うべき役割だと思っていますが、特に(1)のところでは幅広い原子力科学技術について、次の柱をいかにして立てていくのかということを考えていく必要があるかと思っています。先ほどの予算説明の中で、廃棄物の資源利用として新しいウラン電池の開発であるとか、そういう取組を一部盛り込んでいますが、原子力の技術の幅というのが非常に大きいと思っていますので、その中から次の産業なり技術なりの柱というのをいかにして生み出していくのか。ここら辺の提案を、アカデミアと産業界等の方からもぜひ頂きたいなと思っていましてこういう話を立てさせていただきます。
 (2)が人材育成の強化になります。先ほども評価のところで人材の話をしていただきました。過去を見てみますとやはり平成5年以降、昔の原子力工学科が量子の関係学科とかエネルギー学科とかにどんどん名前を変えていってしまっていて、結果として今は学部で原子力学科として名前を冠しているのは学部レベルでは私立大学2校になってしまっています。大学院ではまだ国立大学も含めて複数有りますが、やはり原子力はこれからの利活用を進めていったり研究開発を進めていったりする上で、その人材の基盤というのは重要だと思っています。こちらの大分減ってきている学部あるいは大学院層の人材というのをどう反転攻勢していくのか、そこら辺は検討が必要だと思っていますし、正直申し上げて今原子力工学科等をまた再興してそこの人数を増やしていくというのは余り現実的ではないかと思っていまして、むしろ機械工学科であるとか電気・電子工学科であるとか、あるいは化学の学科であるとか、他の学科に居る人たちに原子力のことを幅広く学んでもらうような、そして横串的な取組というのも人材育成の取組の中では考えていってもよいかと思っていまして、こうした基礎研究であるとか人材基盤の強化をどう作っていくのかという辺りをご議論いただければというふうに思っています。
 5つ目が東電の1Fへの対応ですが、(1)のところで廃止措置に向けた様々な研究開発というのを文科省も含めて取組を進めています。先ほどの予算の中でもCLADSを中心とした研究というのがありましたし、先ほどの評価のところでも英知を結集した人材育成・研究開発基盤の事業というのもやっていますが、こうした中で1Fについて着実に廃止措置を進めていくための技術的な基盤をちゃんと構築するという観点から、引き続き研究開発等の取組が必要かと思っていまして、こちらも柱としては掲げさせていただいています。
 最後に、文科省の方で原子力損害賠償に関する取組というのもやっています。これまで中間指針を示したり、今は第五次追補まで提示をしていますが、こうした中間指針の対応であるとか、ADRを含めて紛争審査や和解仲介の取組を着実に進めるとともに、原子力の損害賠償に関しては、国際条約に加入して各国と連携・協力した取組というのを進めております。こうした辺りも情報共有をさせていただいて、これは着実に進めていくということかもしれませんが、原子力の利活用を進めていく中で、セーフティネットというのは大事だと思いますので、こうした取組も併せて方向性として提示をできればというふうに思っています。
 ということで、いくつかの課題はあると思いますが、本当に幅広いテーマが考え得るかと思っていまして、こうしたものを原子力科学技術の基盤を担う文科省として、中長期的な方向性を打ち出すというのは、政策的な必要性もあるかというふうに思っていまして、ぜひこの場での先生方プラス、この委員会の下にいくつかの関連の部会も有りますので、その部会の先生方にも入ってきていただいた上で、集中的な御議論を頂ければ本当に有り難いというふうに思っています。これはあくまで事務局からの御提案ではありますが、こうした内容についてぜひ先生方から御意見等を賜れれば大変有り難いなというふうに思っております。すみません、雑ぱくですが御説明は以上になります。
【出光主査】  説明ありがとうございました。今後の方針を決めていく上でも大事なキックオフの会議になるかと思います。それでは、この件に関しまして皆様方から御意見を伺いたいと思いますが、どなたかありますでしょうか。皆様に一回ずつぐらいは何かコメントいただければと思います。では、石川委員、よろしくお願いいたします。
【石川主査代理】  ご説明ありがとうございました。この左下に核セキュリティ・核不拡散の取組等について少し書いてあるのですが、この辺りの位置付けはどうなるのでしょうか。やはり核セキュリティ・核不拡散は非常に重要であるかとは思うのですが。
【奥原子力課長】  ありがとうございます。核セキュリティのところは、取りあえずこの五つの柱のところには該当しないとして外しているのですが、もちろんこれは国際協力の観点からも非常に大事な分野だと思いますので、論点としては当然入り得るかというふうに思っています。
【石川主査代理】  あともう1点よろしいでしょうか。先ほどの予算説明のところでも、予算がほとんどJAEAなので仕方ないところもあるかと思うのですが、1、2、3がかなりJAEAのことを主体にした御説明になったかと思います。やはり大学における研究、人材育成の強化というのは非常に重要で、先ほども研究炉が減っているということで、研究炉が減っていること自体は仕方ないと思うのですが、それに伴ってやはり利用実態のない放射性物質等が発生したりしていて、それの管理が今度は大学の現場での人材育成・基礎研究の、足かせになっているといったら変なのですが、それに取られるエフォートがやはり人材育成にもっと振り向けられるとよいなというふうに思いますので、新井前課長の時にもそのような検討をしていただいていたのですが、やはり引き続き議論していければというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【出光主査】  ありがとうございます。事務局から何か補足説明はございますでしょうか。
【奥原子力課長】  石川先生、ありがとうございます。全体としてJAEAの色彩が強くなってしまうというのは、予算構造的にもおっしゃるとおり致し方ないところがあるのですが、この4番目の柱として書いている基礎基盤研究の強化のところで、原子力イノベーション・原子力科学技術のところでは、今でも原子力システム研究開発事業を先ほど評価のところでご説明させていただきましたが、そこの中で大学の研究者の方々を対象に公募で委託事業等をさせていただいていますし、人材育成の事業でも原子力の人材イニシアチブ事業として四つの中核大学を中心に、人材育成と基礎研究的な支援というのをさせていただいています。こちらの方は予算規模をどうするかという問題がありますが、ぜひその基盤の強化に向けて、よりその事業内容自体も発展させていきたいというふうに思っていますので、引き続きぜひご支援いただければ有り難いと思います。
【石川主査代理】  ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
【出光主査】  それでは、新井委員、お願いします。
【新井委員】  ありがとうございます。1頁目のところで五つの当面の検討課題案が示されていて、これは当面ということだと思うのですが、人材育成が表に出てきていないなと思っていたら、2頁目の先ほどご説明ありましたとおり4.の(2)のところで人材育成の強化というのが入っているというのがあります。それで、GX関連で改正された原子力基本法でも、国の講ずる基本的な施策として人材の育成及び確保という言葉が入っていますし、当然ながら原子力の最大限活用、人材育成は大変重要ですし、あと先ほどお話あったとおり、原子力専門の学生はもとより機械、電気、化学等々、他分野も巻き込んだ裾野拡大等の課題があるというふうに思っています。ですので、この4.(2)の人材育成の強化は、大項目の1.~5.に共通するというものでもありますので、上層部に引き上げて、例えば大項目の一つとして独立させて、それで間口を広げた施策の方向性が示されるとよいのではないかと思いますので、一つの意見ですが、いかがでしょうかというところです。ご検討いただければと思います。
【出光主査】  ありがとうございます。今後そういったことについても議論していく必要はあるかと思います。ただ、人材育成についてはどの分野も必ず入っていきますので、前の分科会においてもそういうふうな形で進めていたと思いますが、事務局の方からこの件についてどういう形で盛り込んでいくかという案は何かございますでしょうか。
【奥原子力課長】  人材育成は当然ながら大事な検討課題であるというふうに思っています。この1、2、3、あと5も含めてかもしれないですが、人材育成自体は全ての項目に係ってくる基盤だと思っていますので、こちらはぜひ今後の策というのを検討させていただきたいというふうに思っています。先ほどの原子力工学科という学科の数が減っているという話を申しましたが、もちろんその上で入学者数というのも右肩下がりに下がっているところがありまして、こちらをどう対応していくのかというのは非常に大事な課題ではあるというふうに思っています。将来的に革新炉であるとか試験研究炉とかこういうのをやっていくにあたっても人材の育成というのは非常に大事だと思っていますので、事業の中で人材育成をオンザジョブでやるというのもありますが、学生をきちんと育成していくというのも非常に大事な視点だと思っていますので、柱の一つとしてぜひ議論させていただければと思っています。
【出光主査】  ありがとうございました。そうしましたら、遠藤委員、お願いいたします。
【遠藤委員】  ありがとうございます。1点質問で、この新試験研究炉なのですが、こちらは例えば大学であるとか産業界であるとか、例えば共同利用機関のような運用を御想定であられるのかどうなのかというのが1点です。おそらくいろんな活用ができるような共有施設というのは、アメリカにも多く有りますが、もしできるようであれば、それが他の機関が使えるようなものであれば大変よいと思ったものですが、そういうものを想定としておられるのかということを教えてください。
 あと、5番目の原子力損害賠償制度の話なのですが、追補でまた新たな賠償の被害者の特定が拡大されたことによって、東京電力の賠償も大幅に膨らむということが今大変東電サイドの方では、今日も機構の運営委員会だったのですが、そこでも議論の対象になっています。ここにまたALPS処理水の放出による賠償も加わってきますので、ここは福島の問題としては依然としてあるのですが、こちらの科学技術委員会の方で議論すべき事柄がもしあるとすると、おそらくそのアメリカの方ではSMRの賠償について、これまでの枠組みでよいのかということ、UPZとか範囲も変わってきますのでそういった改正が見込まれるタイミングが、おそらく日本も再検討をする状況になるかというふうに思っておりますし、あと自由化の競争環境下においては、もしかするといわゆる事故を起こしてしまったら破綻をしてしまうような会社が出てくると。そういうその自由化環境下の中の事業者の破綻リスクみたいなものを織り込むというのも、将来的な課題なのだろうというふうに思っています。なので、今が一番なのかどうなのかというのは分かりませんが、またそういう機会というのは訪れるのだろうなという認識でおります。以上です。
【出光主査】  ありがとうございました。事務局の方から質問に回答はありますでしょうか。
【奥原子力課長】  まず1つ目の点ですが、新試験研究炉については実施主体がJAEAということもありますので、大学の共同利用機関とはまた違いますが、アカデミアや産業界の方々に幅広く利活用されるような施設として整備をするということを基本的には考えています。既存の試験研究炉のJRR-3もアカデミア等からの提案に基づいて利活用というのを進めていますが、それと同様に機構の方でも幅広い研究者の用に供するという形での整備を検討させていただいています。
 原子力損害賠償については、別途原賠の紛争審査会の方が有りまして、基本的にはあそこで指針の検討等をしていただくことになっています。この原子力科学技術委員会の方では、そこの審査会等での対応のある種御紹介という形になろうかと思いますが、一つ体系的な取組を進めていく中での一つの柱として、やはり東電の対応というのが必要になってくると思いますので、こちらの中で現在の取組を情報共有あるいは意見交換等をさせていただければ有り難いなというふうに思っております。
【遠藤委員】  承知いたしました。
【出光主査】  ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。そうしましたら、吉橋委員の方からお願いいたします。
【吉橋委員】  ご説明いろいろありがとうございます。私の質問は試験炉に関してなのですが、先ほどから出ている御質問等々の中で、学生の数が名古屋大学も多分に漏れず、原子力の名前を変えたところになるわけですが、こういった学生をどうやって原子力業界に引き込んでくるのかということは今後また文科省さんとも一緒に相談しながら進めていけたらよいなということ考えております。
 試験炉に関してなのですが、先ほどご説明いただいたのですけれども、ある程度どういう利用にするのかというのはもう決められているように私は思っているのですが、この場で議論することというのはどういうことを議論していったらよいかということをお聞きしたいです。私が思っているのは、先ほどもご説明いただいたのですが、もちろんアカデミックないろんな研究ができるようにしていただくというのは、京大炉が今後停止されてしまいますので、我々としてはそういった炉をいろいろ研究等に利用できるとよいなということと、後はいかに社会にこういった試験炉がどれだけ重要かというところを、どういうふうに示していくのかというところも重要かということを感じておりますが、まずはこの場で議論することというのがどういった視点がよいのかということを教えていただけますでしょうか。
【奥原子力課長】  ありがとうございます。新試験研究炉については、概念設計を昨年度終了して、大まかなその出力規模と、あとビーム炉として整備をするということは方針として決まっていますが、一方で実際にビームのところにどういうふうな装置を整備していくのかであるとか、そもそもとしてどこに建設をして、もんじゅサイトは決まっているのですが、もんじゅサイトの中でもどこに整備をして、どういうスケジュール感で、どれくらいの予算規模で整備をするかということはまだほとんど決まっていないというのが現状です。なので、実施主体としてJAEAが指定されていますが、JAEAの方での詳細設計の内容というのを逐次報告を頂いて、それを基に今後の利活用あるいは整備の在り方というのを幅広に御意見等を賜れれば有り難いというふうに思っております。
【吉橋委員】  ありがとうございます。分かりました。私自身もどういう利用がよいのかということは、ヒアリング等がありますので、ご説明いただいてこういった利用法がよいのではないかというところはコメントしていきたいと思いますので、いろいろご説明いただく場を設けていただけると、いろいろコメントできるかと思います。
 それで、先ほども申しましたようにこういった新しいものを造るということはまたいろいろな問題が生じてくると思いますので、そういったところに対する説明であるとか理解であるとか、どういうふうにそれを進めていくのかということもあわせて進めていきたいなというふうに感じております。
 すみません、もう一点なのですが、先ほどより人材育成の話がありまして、もちろん大学として学生をということもありますが、今回挙げられているものの中には学生というよりもメーカーの若手の方であるとかJAEAの若手の方とか、それぞれ対象が異なってくると思いますので、その辺りを一つ人材育成ということでまとめてしまうだけではなくて、どういう方を対象にして、どういったことを求めているのかということをもう少し明確に進めていかれるのがよいかというふうに思いました。以上です。
【出光主査】  ありがとうございました。そうしましたら、藤本委員、お願いいたします。
【藤本委員】  ありがとうございます。私からもやはり事業者としてどうしても人材育成に高い関心がございますので触れさせていただきたいと思います。今お話がございましたいろんな企業において研究なされている方とか、私ども事業者にもそういった形で大学で学んで実際の現場に就いている者がおりますので、そういった卒業した後にさらに研究を深めるために大学との交流・連携を深めていく、そういったこともやはり一つの道かというふうに思っております。
 一方では逆に、これは今回上げていただいたテーマのレベルに即した話ではないかもしれませんが、大学に入る前の段階、10代前半がターゲットになってまいりますが、そういった層にやはりエネルギー問題への理解を深めてもらう、関心を持ってもらうということが非常に大事ではないかと思いまして、そういう取組もいろいろやっているところでございます。そういった大学に入る前の裾野、そして卒業されて社会に出られてからの交流。本当にここでお考えになっていらっしゃるレベルとはそぐわないかもしれませんが、そういったものも考えられると幅広に捉えられるのではないかというふうに思いましてコメントさせていただきました。以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。このコメントに対しまして、事務局から何かありますでしょうか。
【奥原子力課長】  ありがとうございます。人材育成は、重ねてですが非常に大事な問題だと思っています。実際本当にやろうとするとやはり社会的にどの分野にどれくらいの人数規模のニーズがあるのかというところをまず把握をした上で、社会人、それと学生、それとあと高校生という多様なレベルのところからの人材育成策というのは本来的には考えないといけないのだろうなというふうに思っています。ここをどこまでできるのかということはあわせて相談をさせていただきたいなと思っています。
【出光主査】  ありがとうございます。それでは、大場委員、お願いいたします。
【大場委員】  ありがとうございます。私も人材育成の話で申し訳ないのですが、新井委員の方から4の(2)に入っていることについて御意見があり、その御回答は聞いてはいるのですが、全部に関係していると思われるのであるならば、やはりこれは図として特出しすべきだと思います。それは議題1の時に1Fの廃炉に関して社会的という話をいたしましたが、考えに入っているといってもそれが文言に書かれているのか、あるいは図にどういうふうに表記されているのかというのもとても大きなことだと考えます。
 吉橋委員のご発言にもありましたが、人材育成といっても原子力という分野に人を集めるというところの部分なのか、入った人をどうやってキャリアアップさせていくのかという非常に幅広い中で、現在の作業部会は原子力研究開発・基盤・人材作業部会という非常に広い対象になっていると同時に、原子力研究開発を担う人材を集めるための作業部会のように見えます。御説明でも横串的なということをおっしゃっていたとおり、要は旧原子力工学科のようなところに集まる人だけではなくて、社会学等の他の分野も含めてやっていかなくてはいけないということを考えると、これは非常に間口の広い問題なので、もう少しその原子力研究を実際に担う人というだけではなくて、その周辺の法学であるとか、社会学ということばが指す範囲も非常に広いですが、原子力を理解する人というのを増やしていくということが、今後の様々な原子力科学技術を推進していく上でも重要だと思います。この辺りについて、ぜひ今までの書き方とは違う形での人材育成というものを示していただきたいですし、今後検討できればと考えます。以上です。
 
【出光主査】  ありがとうございました。事務局から今の御意見を伺っていかがでしょうか。
【奥原子力課長】  人材育成は大変大事な課題だと思っています。4つ目の柱のところで、基礎基盤研究となっていますが、ここは人材育成はもちろん足した上でなのですが、これは1~3全てにまたがるとして、基盤として一番下のところにちゃんと掲げさせていただいているということで、ある種その柱の一つとしてきちんと位置付けたいという思いは同じだと思っています。なので、人材育成についてはいろんな幅広い取組、いわゆる試験研究炉の整備からバックエンド対策まで、一気通貫で行う上での基盤として、必要な取組として進めていきたいというふうに思っています。
【出光主査】  ありがとうございました。この絵の見せ方ということでいくと、4番が1、2、3全てにかかっているという絵の描き方だということですね。
【大場委員】  ありがとうございます。一つ言わせてください。2の基礎研究と人材育成が一緒になっているのも違うと思います。基礎研究的な人材育成も必要なのですが、もっと幅広いことを、先ほどからいろいろな委員の御指摘にもある原子力で人材育成とか集めるとか考えるということをしていかないといけないのではないかというふうに思っておりますので、4が幅広く1、2、3にもかかっている土台的なものというのは理解しましたが「基礎研究・人材育成」という書き方についての検討も必要かと考えます。以上です。
【出光主査】  ありがとうございます。この辺りは今後皆さんで議論していく必要があるかと思います。事務局から追加で何かございますか。
【奥原子力課長】  いえ。ありがとうございます。
【出光主査】  そうしましたら、葛西委員、何かございますでしょうか。
【葛西委員】  いろいろご説明いただきありがとうございます。私が気になっているところは、3のバックエンドの(1)の廃止措置なのですが、先ほどご説明いただきましたら、主要施設以外にも廃止措置するのに1,400億円掛かると。そのうち年間にして7億円しかなかなか予算が取れないということは、どう考えてもどう知恵を絞っても首を絞めているのは間違いないと思うので、この辺りというのは確かにJAEAさんの御説明を伺うと、いろんなものを取りまとめてバックエンドがなるべく安いコストでかなり早くなるようにと今年もいろいろ知恵を絞りましたというふうに伺ったのですが、余りに1,400億円と7億円では厳しいものがあるので、この辺り複数年契約で何とかできないかとか、もっと長い目でまとめていけるものがないかとか、いろいろ知恵を絞ってできるところはあるのかなと。そうするとその分だけ技術開発の方に、先ほどいろんな委員の先生方からもお話が出ていましたが、その辺りの予算をもっと割いて、いろんな英知が結集されて、もっと新しいものに振り分けていけるのではないかというふうに、単純ではございますが、ここは少し疑問に思ったところでございます。
【出光主査】  ありがとうございます。事務局の方から何か回答あるいは情報等ございますでしょうか。
【奥原子力課長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりで、この主要施設以外の廃止措置をいかにして迅速かつ効率的に進めていくのかというのが非常に大きい課題だと思っています。既存の予算の範囲内でできることにもある種限界があるので、新しい資金確保方策というのをぜひ考えていかないといけないと思っていまして、こちらはJAEAと我々の方でいくつかオプションを提示をさせていただいてご議論いただければというふうに思っていますので、ぜひよろしくお願いします。
【出光主査】  ありがとうございます。一とおり皆さんの御意見を伺ったところです。では、石川委員、どうぞ。
【石川主査代理】  私は先ほどの大場委員のおっしゃったことに共感するところがございまして、大場委員はかなり人材育成のことでおっしゃったのですが、やはり原子力は先日のトリチウム水の放出についてもそうですし、このバックエンドのところもそうなのですが、科学的に正しい、技術的にはもう十分解決しているというだけで社会実装できるものではなくて、法律をどうするか、外交関係をどうするか、それよりも地元の方にどう受け入れてもらうかというところがありまして、すごく現代の原子力というのは文系的学問の比重が大きくなっていると思います。私自身は完全に理系の人間なのですが、やはり学部レベルで原子力工学科というのはごく少なくなっている、それは人気がなくなってきているからという側面はあるのですが、昔のような原子力工学科を学部レベルで復活させても、やはり現代の社会のニーズに応えられるというものでもないと思いますので、人材育成に限らずやはり社会科学的な側面、文系的な側面というのも含めて原子力科学技術の今後について議論していく必要があるかと思います。質問というよりはコメントです。
【出光主査】  コメントありがとうございました。他に皆さんはありますでしょうか。なければ私の方も少し意見を言わせていただきます。多くの委員から人材育成についていろいろ御意見が出ていたと思いますが、昔のようなやり方もできないというのはもう石川委員の言われているとおりだと思います。そういう中で、あと少子化等も進んでいく中でこの分野を進めていくためには、やはり原子力あるいは放射線等が関わる分野が非常に魅力的であるということを、社会一般の方々にちゃんと伝えていくということが必要だと思います。魅力的であれば、原子力に限らず他の分野の学問を学んでいる人たちもやってみようという気になると思いますので、そういった魅力的なところを、既にある魅力的なところをちゃんと見せていくというのも必要ですし、4番のイノベーションのところにありますように新しいところとか、あるいは革新炉であるとか、そういう夢のあるようなところをもう少し膨らませて、引き付けるような、悪くいうと客寄せパンダみたいになってしまうかもしれませんが、とにかく魅力を見せていくというところが重要ではないかというふうには思っております。
 それから、バックエンドの部分もいろいろ大変で、私も元の九大で廃止措置をやりましたが、非常に大変でした。それがJAEAの持っている施設を廃止措置するというのは、私もめまいを覚えるような事業だと思います。これをいかに効率的にやっていくかというのは、やはり知恵を出していかなければいけないというのもありますし、後は規制当局に何らかの形で働き掛けをしていって、より効率的な廃止措置を進めていくと。そういう段階にもう来ているのではないかと思います。なので、ここは文科省だけでできる話ではないですが、もっとどうにかして効率的にというところを打ち出せていければよいかというふうには思います。具体的に策があるわけではないですが、そういったところを皆様と知恵を出しながら議論していければというふうに思います。
 あと他もいくつかありましたが、今回は第1回キックオフということもありますので、このような形でまとめさせていただければと思います。事務局側から何かこの件に関してもう少し意見を伺いたいというのがありましたらお願いいたします。
【奥原子力課長】  主査、ありがとうございます。人材育成の件、それとバックエンドの件、我々としても重要な課題だと思っていますので、こちらはぜひ次回以降も議論させていただければと思います。今日は取りあえず問題提起をさせていただいて、フリーのディスカッションということでしたので、次回以降また詳細な資料を御提示をさせていただいてご議論させていただければと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
【出光主査】  ありがとうございました。そうしましたら、今回は第1回ということでもありますので、いろんな御意見がありましたので、事務局の方で課題整理して、今後の議論のときには個別にもう少し詳しいところを詰めていければというふうに思います。ありがとうございます。
 そうしましたら、もう時間も押してまいりましたので、本日の予定は以上にしたいと思いますが、全体を通じてまだ残したことがあるとか、そういうことがございましたらお願いいたします。特に皆さんよろしいでしょうか。それでは、事務局の方にお返ししたいと思います。よろしくお願いします。
【竹之内課長補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。本日の議事録につきましては、議事録案が出来次第皆様にメールにてご確認いただいた後に、ホームページに掲載いたしますのでご承知おきください。
 また、次回の原子力科学技術委員会につきましては、12月20日に開催を予定しておりますが、委員の皆様には追って詳細についてご案内申し上げますので、引き続きよろしくお願いいたします。以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。それでは、これをもちまして第34回の原子力科学技術委員会を終了いたします。本日はありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局 原子力課

メールアドレス:genshi@mext.go.jp