防災科学技術委員会(第59回) 議事録

1.日時

令和5年7月31日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 主査代理の指名について(非公開)
  2. 議事運営等について(非公開)
  3. 令和6年度概算要求に向けた検討状況について(非公開)
  4. 防災科学技術委員会における第12期の活動について
  5. 防災科学技術分野研究開発プランについて
  6. 防災科学技術政策の現状などについて
  7. その他

4.出席者

委員

上村主査、小室主査代理、泉委員、臼田委員、大原委員、大湊委員、熊谷委員、黒田委員、篠原委員、四宮委員、関口委員、永松委員、増田委員、目黒委員、森岡委員

文部科学省

郷家研究開発局地震・防災研究課長、井上研究開発局地震・防災研究課地震火山専門官、吉田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、吉田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐 他

5.議事録

【吉田室長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより防災科学技術委員会第59回を開催いたします。
このたびは、委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、委員17名中、現時点で15名御出席いただいており、定足数を満たしております。
本日はウェブ会議となっておりますので、会議資料につきましてはお手元のPCで御参照ください。

<これより非公開>
 

<これより公開>


【上村主査】
それでは、議題4に入っていきたいと思います。それでは、事務局より資料4の説明をお願いいたします。
【吉田室長補佐】 事務局です。資料4の1枚紙のほうを御説明させていただきます。
防災科学技術委員会における第12期の活動についてというものの案でございます。
防災科学技術委員会の第12期は、令和5年、6年の2年間になりますが、その活動についての案になります。
第6期科学技術・イノベーション基本計画に対応する取組について、
(1)各部会・委員会に関する研究及び開発等に関するものの記載です。今期の防災科学技術委員会においては、近年の災害の発生状況や国における施策動向等を踏まえた、防災科学技術分野における研究開発の方向性の議論を行うとともに、新規・拡充事業の事前評価や事業期間が終了する事業の事後評価などについて審議を行うこととさせていただきたいと思います。
また、(2)自然科学の「知」と人文・社会科学の「知」の融合である「総合知」の創出・活用に向けたものとして、防災科学技術分野においては、自然科学と人文科学・社会科学等の連携により、自然災害の被害軽減に向けた防災対策等に資する研究開発や人材育成について、適宜取組を進めていくこととさせていただきたいと思います。
以上です。
【上村主査】 ありがとうございました。
私から質問ですが、これは研究計画・評価分科会、つまり親委員会のほうに、今年度の活動はこうですよということを報告する意味の内容ですね。
【吉田室長補佐】 はい、そうです。
【上村主査】 ですから、ちょっと言い方は悪いですけれども、例年どおりの当たり前のことが書いてあるという理解でよろしいでしょうか。
【吉田室長補佐】 はい。
【上村主査】 特別新しいことが加わったということではないですよね。
【吉田室長補佐】 はい。
【上村主査】 ということで、ほかの委員の皆様から何か御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。増田さん、よろしくお願いします。
【増田委員】 すみません、今年初めて入ったということで、ちょっと質問がこういう質問で申し訳ないですけど、今、例年どおりだというお話だったんですけど、この(1)の後ろのほうの事前評価や事後評価というのは何となくイメージがついているんですけれど、その前段にある「近年の施策動向等を踏まえた、防災科学技術分野における研究開発の方向性の議論を行う」というのは、具体的にどんなことをされているんでしょうかという、すみません、教えてください。
【上村主査】 これ、事務局のほうからお願いいたします。
【吉田室長】 御質問ありがとうございます。昨年、一昨年の議論では、例えば、外部の有識者の方を招いて最近の研究動向について御説明いただいて、それについて御議論いただいたり、あるいは、最近の防災科学技術の政策の動向について御紹介し、それについてまた御議論いただいて、我々の今後の施策に生かしていくということを検討したいと考えておりますので、いわゆる事前評価、事業評価という、かちっと固まった議論だけではなくて、幅広い御議論いただくような場にしたいと考えておりますので、このように記載させていただいております。
事務局からは以上です。
【増田委員】 ありがとうございました。イメージ湧きました。
【上村主査】 ありがとうございました。本当にこの文章を読み解くのが大変なんですけれども、「近年の災害の発生状況や」というのは、最近こういう災害が起こって、これに対してこういう課題があって…、ということを踏まえて議論を進めていくということです。それと親委員会のさらに上には科学技術・イノベーション戦略会議があって、国の大きな方針を定めています。ほかにも内閣府等で決めている防災に関する国の施策の方針、そういったものもありますので、国の様々な施策と矛盾のないように、方向性が合うように調整をしながら議論していきましょう、というふうに読み解けばよいと私は理解しております。それでよろしいでしょうか。
【吉田室長補佐】 はい、そうです。
【上村主査】 ということでございます。ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。今のような感じで、やっぱり分かりにくいところがありますので、特に初めての委員の方、お気になさらず、遠慮なく御質問いただければと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、第12期の活動については、抽象的な表現にはなっておりますけれども、こういう形で進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、議題の5番に入っていきたいと思います。まず、事務局より資料5の説明をお願いいたします。
【吉田室長補佐】 事務局です。資料5の御説明をさせていただきます。
防災科学技術分野研究開発プラン(案)となってございますが、こちら、内容につきまして、現行の研究開発プランに比べまして少し修正を行いたいので、御説明させていただきます。
防災科学技術分野研究開発プランは、主に第5期科学技術基本計画に関する研究開発課題に対応するための研究開発に代わりまして政府全体の分野別の戦略計画が策定され始めたことや、科学技術・イノベーション基本計画に対応するために各分野別の研究開発プランを作成することとして、防災科学技術分野においても昨年度定めたものです。
1ページ目は、政策評価の目標と対象となる研究開発課題を記載してございます。
2ページ目を見ていただきますと、各研究開発課題の期間と評価時期を記載しておりまして、3ページ目以降に施策の概要を添付しております。
修正を行いたいのは、2ページ目の一番下にある南海トラフ海底地震津波観測網の構築の終了年次及び終了時の評価を、案のとおり2023年度から2024年度に変更させていただきたいと思います。今、案のほうでは2024年度に変更した案と記載しております。昨年度の委員会でも御説明させていただきまして、御了承いただいたところですが、コロナ禍における部品などの調達の遅れなどにより、1年間、終了時が延びるよう、変更させていただきたいと思います。
以上です。
【上村主査】 ありがとうございました。
これについて、何か御質問ございましたらよろしくお願いいたします。やっぱりちょっと補足したほうがよさそうですね。今出ているページが一番分かりやすいので、資料5の2ページ目をご覧ください。たくさん似たような言葉が使い分けられておりまして理解を難しくしているので、少し時間をいただいて説明します。見出しにありますところ、「防災科学技術分野研究開発プラン」と書いてあり、スラッシュに続いて「防災科学技術研究開発プログラム」と書いてあります。プランと書いてあるのがこのページ全体だと御理解ください。プログラムと書いてあるのが、この緑色の枠線で囲まれたものが1番、それから、黄色で囲まれたものがプログラムの2番というふうに御理解ください。その中にあるチャート状になっている矢印、これ一つ一つがプロジェクトという位置づけになっております。したがいまして、たくさんのプロジェクトをまとめてプログラムが構成されていて、そのプログラム群をまとめてプランと呼んでいるということでございます。
我々のミッションの事前評価、事後評価ということの先ほどの説明がありましたけれども、例えば一番上の「首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト」というのが、2017年に始まっておりますので、16年に事前評価、黄色の下向き三角形で、終わった2022年に青の三角形で「後」と書いたこれが事後評価ということです。これが、事前評価、事後評価というものです。途中、途中で三角形のところがありますが、これが中間評価ということになります。昨年から中間評価というのがなくなりまして、評価ではなく中間取りまとめ、中間… 言い方、すみません、忘れてしまいましたけど、中間は報告を受けて自由に意見交換するというやり方に変わりましたので、中間評価というものはないんですけれども、大体こんな流れで見ていくということになります。
今年度は2023年になりますので、ピンク色の枠を見ていただきますと、このプロジェクトを表しているチャート上でずっと見ていったときに、黄色の三角形も青の三角形もありませんので、(今年度は)事前評価も事後評価も予定はないということになります。ですから、今進行している「南海トラフ地震調査研究プロジェクト」と、それから「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト」、それからその下の「南海トラフ海底地震津波観測網の構築」、これについての進捗状況について御説明をいただいて、自由に意見交換をするというのが今年度中の主な我々の仕事ということになります。そのほか、その都度出てくる議題について皆さんから御意見をいただいていくことになります。
補足をさせていただきました。皆様のほうから御質問、御意見いただければと思います。よろしくお願いします。
永松先生、お願いします。
【永松委員】 すみません。理解はしたんですけれども、ちょっと気になるのが、11期のときから委員をさせていただいて、私はまだ事前の評価をやったことがありません。つまり着任してから新しいプロジェクトって始まってない感じがするんですよ。何となくプロジェクトがどんどん細っていっているんじゃないかと心配しています。新しいプロジェクトが立ち上がってこないというのは、例えば「首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト」も、いろいろと議論した中で後継プロジェクトが育たなかったというか、財務省に認められなかったというのか、それはわかりませんけれども、例えば、こういうプロジェクト型の研究というのを縮小していこうとかいうようなトレンドがあるのかどうか。なぜ新しいプロジェクトができないのかということについて、事務局のほうでどのようなご認識でしょうか。そもそも私の認識は間違っているのかもしれないんですけども、例えば国の方針としてこういうプロジェクトをなくしていくということがあるんだったら、この委員会って一体これからどういう役割があるんだろうとか、ちょっと全体の立てつけが気になったものですから、お分かりになる範囲でお答えいただければなと思います。
【上村主査】 ありがとうございます。研究プロジェクト、なかなか立ち上がっていないように見えるけど、どうなっているんだということかと思います。いかがでしょうか。
【吉田室長】 お答えの仕方が難しいんですけれども、新規プロジェクトがここ数年立っていないというのは御指摘のとおりと思います。2021年は立っていますけれども。明確にそういう方針があるわけではないんですけども、政府全体の予算が厳しい中で、予算総額が伸びないと新規事業もなかなか立てることが難しかったというのは事実としてあります。あとは、先ほど御説明が少しありましたけれども、一定規模の額があるもの、かつプロジェクト型の研究開発というものをここにのせておりますので、該当しないようなものはここにはのらないということが1つ。それから、防災科学技術研究所ですね、地震課の予算の大きな部分を占めていますけれども、そこの予算はまた別途、法人管理の観点から別の審議会で議論していただいているので、ここのプログラム/プランの中にはのってこないというような諸事情もありまして、現在このような状況になっていると理解しております。
事務局からは以上です。
【上村主査】 なかなかクリアに事務局としてもお答えできないところがあるようですが、それだけの規模のプロジェクトについてなかなか上がらないというか、上げていけないというか、防災科研さんのほうでそこまでの規模でなくても相当いろいろ研究もされていますので、何もしていないというわけではないんだけれども、いろいろ御事情があるということかなと思います。永松先生、いかがでしょうか。
【永松委員】 そこはね、自分、防災科研に片足突っ込んでいてもよく分からないんですよ。つまり、防災科研にやらせようという研究と、こういう大型プロジェクトとして立ち上げる研究とは、政策的にどういう判断としてそれが仕分けられているのかとか。そうすると、防災科研の研究については防災科研の評価部会で議論されているわけですから、プロジェクトがなければここの部会でやることって結局何なんですかとなる。逆に言うと、プロジェクトが立ち上がらないというのは我々の力不足というところもあるのでしょうか。例えば、もっともっと我々がこの委員会でいろんなネタを出していけば、新しい研究プロジェクトでやっていくというような話になるのか。その辺の理解が2期目になってもまだ十分できていないので、ちょっと教えていただければと思います。
【上村主査】 もしお答えできるようなら、事務局のほうで回答いただきたいと思いますが、重要なポイントとしては、我々のほうからいろんなアイデア出しをして、こういう課題があるじゃないかというようなフリーなディスカッションをして、(プロジェクトの)提案するというのはあり得るのかどうかというところが、一つ大きな命題かなという気がしますけど、いかがでしょう。
【吉田室長】 御指摘ありがとうございます。そういう観点では、昨年、委員会で御議論いただいたものを提言としてまとめて、公表もしておりますので、そういったものも踏まえて、我々としても今後の防災科学技術の新規プロジェクトを検討していきたいと思っておりますけれども、すみません、我々の力不足もあるかもしれませんが、現状こういう状況になっているということで、引き続きまたお力をお貸しいただければと思っております。
事務局からは以上です。
【上村主査】 ありがとうございます。なかなかクリアにはお答えできない部分も理解はできます。そういう意見交換を踏まえて、先ほどの資料4の「12期の活動について」というところを読み解いていくと、「近年の災害の発生状況や国の施策動向等を踏まえた」ということですので、非常に大きな災害があって、非常に大きな反省すべき課題があって、それから国としてこういう方向に向かうんだという大きな施策の方向があって、そういう流れの中でいろんな今までのプロジェクトって生まれてきたのかなという気もしております。ですから、事務局のほうとしてもぜひとも御検討いただいて、最近、あまり新しいプロジェクトが出ていないんじゃないのという、この委員会として意見が出ているということも重たいことかと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。本当に初めての先生方は何をどこからお聞きしていいのかというところはあろうかと思いますけれども、実は今いる委員の先生方もそんなに長年ずっとやっているというわけではなくて、みんなやっぱりよく分からないまま、もやっと議論してきたようなところもありますので、遠慮なく率直なところの御意見をいただきながら前へ進めていければと思っております。
臼田さん、よろしくお願いします。
【臼田委員】 防災科研の臼田です。私は今年から初めてなので、少し無邪気に質問させていただければと思います。今の永松さんの御質問や御意見とかなり近い話ですが、今、事務局からお話しいただいたとおり、昨年度、「当面の防災科学技術政策のあり方に関する提言」をこの委員会から出しているということで、この提言とこの研究開発プランやプログラムの関係性はどうなっているのでしょうか。
【上村主査】 ありがとうございました。
事務局、いかがでしょうか。
【吉田室長】 昨年まとめていただいた提言は、防災科学技術の推進全般についての御提言をいただいていますので、それを踏まえて各事業を推進するということと、今後の新しい施策を検討するに当たってもその提言を踏まえて議論していくということで、今後活用していきたいと思っております。
事務局からは以上です。
【臼田委員】 ありがとうございます。提言にはこれから実現するべきすごく大事なことが書かれていて、この提言が今年度新たな研究開発プランやプログラムのどういうところに生かされていくといったフォローアップも今後されていくと理解してよろしいのでしょうか。
【吉田室長】 まだ現時点で具体的なスケジュール等ありませんけれども、今、御指摘いただきましたので、今後の対応を引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。
【臼田委員】 ありがとうございます。この委員会の中で議論され生まれた提言というものを利用すると新しいプロジェクトも立ち上がりやすいかと思いますし、提言の中のこの項目がこのプロジェクトに引き継がれているとか、反映されているとか、そういうことが分かると意見もしやすいかなと思います。提言と研究開発プラン・プログラム間のいいつながりがこういったところで生まれるといいのではないかと思いました。ありがとうございます。
【上村主査】 ありがとうございます。本当にいいコメントをいただきましてありがとうございました。第11期の初めから、何かしら我々が考えていく上でのよりどころになるような考え方の整理をしたものというのが必要なんじゃないかという議論がありまして、それで2年近くかけてこの提言というのを取りまとめてまいりました。したがいまして、2020年以前のものというところは、あまり関係ないといえばないんですけれども、それこそ今の動向、これまでの取組を踏まえた形で、本当にかなり時間かけてこの委員のメンバーと議論を重ねてまいりまして、出てきたものを何回も何回も防災科研さんをはじめ関係省庁にも回覧をしまして、添削を受けて最後の成案まで持っていったというものでございます。これについて、具体的にこれにどれだけ縛られるかと言われると、法律ではありませんのでそこまでではないんですが、やはり関係する皆さんが何回も目を通して、最後に納得をして共有する形まで持っていったという提言でございますので、おっしゃるとおり、事あるごとに照らし合わせながら、やるべきことをちゃんとやっていないんじゃないかとか、今後行くべき道、悩ましいときにここに書いてあるものに従おうじゃないかとか、やっぱり考え方のよりどころになっていくのが望ましいかなと思っております。本当に御指摘のとおりです。ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。初回ということもありますので、2回目以降も遠慮なくお気づきのことを御発言いただければと思います。
それでは、議題の5についてはひとまずここまでとさせていただきます。
防災科学技術分野研究開発プラン、一部変更点があるということでございますが、それについても御了解いただけたものと思います。本年8月に、研究計画・評価分科会、親委員会への最終的な提出を予定しておりますけれども、その間に何かしら調整の必要が出てきた場合には、基本的には主査と事務局のほうで調整させていただきますので、御了解いただければと思います。もちろん、結果については御報告するようにいたします。それでは、事務局のほうで引き続き調整、取りまとめ、よろしくお願いいたします。
議題の6番に入ります。事務局より資料6について説明をお願いいたします。
【吉田室長補佐】 資料6といたしまして、防災科学技術政策の政府の動きについて、SIP第2期、第3期、BRIDGE及び活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律について、情報提供させていただきます。資料は、公開資料などを基に事務局で作成したものです。
SIPとBRIDGEの2つのプログラムを含む戦略的な研究開発の推進について、まず簡単に御説明させていただきます。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議、通称CSTIと呼んでいるものですが、そちらにおいて、戦略的な研究開発の推進のため、SIP、BRIDGE、ムーンショット型研究開発制度の3つの研究開発プログラムが実施されています。これらのうち、SIPとBRIDGEについては、防災科学技術分野から研究開発課題が今年度新たに採択されているところです。
SIPとは、戦略的イノベーション創造プログラムのことで、こちらに記載のとおり、基礎研究から社会実装までを見据えて研究開発を一気通貫で推進し、府省連携による分野横断的な研究開発等に産学官連携で取り組むプログラムです。
BRIDGEは、研究開発とSociety5.0の橋渡しプログラムのことで、CSTIの司令塔機能を生かし、SIPや各省庁の研究開発の施策で生み出された技術革新等の成果を社会課題解決や新事業創出、ひいては我が国が目指す将来像(Society5.0)に橋渡しするため、官民研究開発投資拡大が見込まれる領域における各省庁の施策の実施・加速等に取り組むプログラムとされています。
ムーンショット型研究開発制度に関しては、本日は時間の都合上、説明を割愛させていただきます。
SIPは事業期間を5年間としておりまして、第2期は平成30年度から令和4年度までの5年間、第3期は令和5年度からの5年間になります。課題ごとにプログラムディレクター(PD)を置きまして、研究推進法人――SIP第2期では管理法人と呼んでおりますが、がPDの円滑なプログラム推進を補佐しながら、PDの課題運営のマネジメントを実施します。
SIP第2期ではこちらにある12課題が採択され、防災・減災分野の課題として国家レジリエンスの強化が行われました。
国家レジリエンスの強化では、衛星・AI・ビッグデータなどを利用する国家レジリエンス強化の新技術を開発し、政府と市町村に実装することにより、政府目標の達成に資するとともに、災害時のSociety5.0の実現を目指し、SDGsに貢献することとしています。ここでは、緊急活動支援統合システムと市町村災害対応統合システムの研究開発が行われました。
SIP第2期の主な成果として、線状降水帯自動検出技術が開発され、気象庁の「顕著な大雨に関する気象情報」へ実装されました。
国家レジリエンスの強化の課題は、12課題のうち3位の高評価を得たとのことです。
次に、今年度から始まったSIP第3期について御紹介いたします。こちらは14課題が採択され、防災分野の課題としては、この円のイラストの7時の方向にあります、左下のほうですね、スマート防災ネットワークの構築が取り上げられています。
次、お願いします。SIPの第3期では、社会実装に向け、技術だけでなく、制度、事業、社会的受容性、人材の5つの視点から必要な取組を抽出するとともに、各視点の成熟度についてロードマップを作成し、府省連携、産学官連携により、課題を推進することとしています。
こちらはスマート防災ネットワークの概要です。内容としては、現実空間とサイバー空間を融合させ、先端ICT、AIなどを活用した「災害対応を支える情報収集・把握のさらなる高度化」と「情報分析結果に基づいた個人・自治体・企業による災害への対応力の強化」に取り組むこととしています。絵を見ていただくと、現実空間から、災害前後において災害情報などを収集・把握すると書いてございます。それをサイバー空間に当てはめまして、右のほうですね、シミュレーションしてリスクを可視化します。可視化したリスクから対応方針の自動分析・立案の支援が行われまして、個人・自治体・企業による災害への対応に生かしていただくというものです。
SIP第1期、第2期の防災・減災分野のSIP課題と、第3期の課題の研究開発がどのような位置づけとなっているかを説明した図がこちらになります。
こちらは全体構成です。第3期の課題には、サブ課題がAからEの5つございまして、サブ課題ごとにテーマが設定されておりまして、御覧の図のような関係となっております。
SIP第3期のスマート防災ネットワークの構築では、公募した各サブ課題において、6月末にこのような方が採択されました。
続いて、BRIDGEの説明になります。BRIDGEは、PRISMというプログラムの後継で、今年6月から採択の始まったプログラムになります。図のとおり、従来のPRISMプログラムでは、個別領域における各省庁の研究開発を加速するものでした。BRIDGEでは、研究開発の成果を生かして、社会課題解決や新事業創出に橋渡しするための課題を設定し、各省庁の取組を推進するものです。
こちらがBRIDGEに今年6月に採択された研究で、「衛星観測リソースを結集する「日本版災害チャータ」の構築と実証」になります。これは、SIP第2期で開発された衛星ワンストップシステムを社会実装へと発展させるため、最適な衛星リソースを結集させてデータを利活用する枠組みとして、「日本版災害チャータ」の制度化・体制の構築を行い、実現を狙います。初動対応から復旧・復興、そして被害抑止のフェーズにおいて、災害対応機関及び民間企業が最適な衛星観測リソースを活用し、「迅速かつ的確な災害対応」、「発災後の的確なモニタリング」を実現し、レジリエントな社会を構築するものです。
最後に、今年6月に国会で可決され、来年4月から施行される活動火山対策特別措置法の改正についての情報提供になります。今回の法律改正の趣旨ですが、こちらに記載のとおり、近年、富士山の市街地近くで新たな火口が発見されたことなどによる想定される火口の範囲の拡大や、桜島で大規模噴火の可能性が指摘されたことなど、日本全国で火山活動が活発した際の備えが急務となっています。このような状況に鑑み、活動火山対策のさらなる強化を図り、住民、登山者等の生命及び身体の安全を確保することを目的として、以下を改正し、所要の措置を講じるものです。改正内容は7つありますが、このうち、4つ目の「火山現象に関し専門的な知識又は技術を有する人材の育成及び継続的な確保等」、5つ目の「火山調査研究推進本部の設置」については、文部科学省として対応を行っていくこととしています。
以上です。
【上村主査】 ありがとうございました。
議題となっておりますけれども、防災科学技術政策の現状等ということでございますので、報告、紹介ということかと思います。これについて、何か御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。かなり大きな、SIPなんかも大きなプログラムで、関係されている先生ももしかしたらこの中にもおられるかもしれませんけれども、こういうものが動いているという情報提供になろうかと思います。最近の傾向として、学者が自分のテーマに沿って研究だけやるというようなことで終わらないように、社会実装まで何とかつなぐというところまでかなり強くうたっている国のこういう大きなプロジェクトが増えているなという気がしております。何か御質問等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。こういうものが動いているという情報提供ということでございます。
特に御質問等なければ、議題6、ここまでとしますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、その他ということで、事務局から連絡事項等ありましたらお願いいたします。
【吉田室長補佐】 ありがとうございます。本日御審議いただきました防災科学技術分野研究開発プランにつきましては、8月21日に予定されている研究計画・評価分科会に報告し、審議をいただく予定ですので、お知らせいたしますとともに、上村主査におかれましては御対応をよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
【上村主査】 ありがとうございました。
一通り予定していたものは終わりました。最後に何か発言しておきたいということがありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
おかげさまで、順調に進みまして、予定の時間内に終わることができました。どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして本日の委員会を閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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(研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室)