防災科学技術委員会(第52回) 議事録

1.日時

令和3年9月21日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 防災科学技術政策の現状等について
  2. その他

4.出席者

委員

上村主査、小原主査代理、大原委員、大湊委員、熊谷委員、小室委員、鈴木(博)委員、鈴木(靖)委員、関口委員、中北委員、永松委員、前坂委員、前田委員、三隅委員、目黒委員、森岡委員

文部科学省

原大臣官房審議官(研究開発局担当)、鎌田研究開発局地震・防災研究課長、福田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、山田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐、服部研究開発局環境エネルギー課環境科学技術推進官 他

オブザーバー

環境省
岡野地球環境局総務課気候変動適応室長補佐(説明者)

5.議事録

【山田防災科学技術推進室長補佐】  定刻となりましたので始めさせていただきます。初めに事務局からお知らせいたします。
 ただいまから防災科学技術委員会第52回を開催いたします。このたびは委員の皆様におかれましてはお忙しいところ御出席いただきありがとうございます。本日は委員16名中、現時点で16名御出席いただいており、定足数を満たしております。本日はウェブ会議となっておりますので、会議資料につきましてはお手元のPCで御参照ください。議事録作成の都合上、御発言の際は前回同様、冒頭にお名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。
 それでは以降の議事の進行は上村主査にお願いいたします。よろしくお願いします。
【上村主査】  皆さん、こんにちは。上村でございます。
 今年度に入りまして4回目となりますが、いまだ皆さんと直接議論する状況になっておりません。今回も遠隔となりますがどうぞよろしくお願いします。17時までということで予定させていただいております。
 早速議事に入っていきたいと思いますけれども、本日の議題につきましては防災科学技術の現状等についてということでございまして、特段非公開とすべき事項はないと考えておりますが、そういうことで進めさせていただいてよろしいでしょうか。特に御異議がなければ公開ということで進めさせていただきたいと思いますが、御異議ある方はいらっしゃいませんでしょうか。
 特に御発言はございませんので、本日は公開で進めさせていただきます。それでは傍聴される方がおられる場合には、事務局で接続の手続をお願いします。
(傍聴者入室)
【山田防災科学技術推進室長補佐】  接続いたしております。 【上村主査】  ありがとうございました。  それでは議題1に入ります。本日の配付資料及び審議の進め方等について、事務局より説明をお願いします。 【山田防災科学技術推進室長補佐】  御説明いたします。  本日の取り進め方といたしましては、「防災科学技術委員会におけるこれまでの主な御意見」を資料1、「令和4年度概算要求について(防災科学技術関係)」を資料2、「国立研究開発法人防災科学技術研究所の令和2年度における業務の実績に関する評価(概要)」を資料3とします。そして「分野別研究開発プランについて(案)」を資料4としまして、その4点につきまして、まず事務局より御説明いたした後、環境エネルギー課より「気候変動研究に関する取組について」を資料5、また、環境省地球環境局より「気候変動と防災に係る環境省の取組」を資料6、この2点についてプレゼンテーションを頂き、最後に事務局より本日の「議事のポイント(例)」の資料7について簡潔に御説明した後、残りの時間で自由に御意見を頂ければ幸いと考えております。 【上村主査】  ありがとうございました。  ただいまの事務局の説明について御質問等がございましたら発言をお願いいたします。画面に全員が映っておりませんので、手を挙げるというので見落とすおそれがありますので、ミュートを解除いただいて適宜御発言いただければと思います。よろしくお願いします。  いかがでしょうか。では、議論の途中で御発言がありましたら適宜お願いいたします。それでは、本日はこの段取りに沿って審議を進めてまいりたいと思います。  それではまず、事務局から資料1から4についての説明をお願いいたします。 【福田防災科学技術推進室長】  かしこまりました。事務局でございます。  まず資料1でございます。「防災科学技術委員会におけるこれまでの主な御意見」ということでございまして、これまで4月、それから6月と公開で議論いただいたところでございますけれども、その際に頂いた御意見を事務局で適宜まとめさせていただいたものでございます。実は1回目に委員会を開かせていただいた後、2回目の際にもごくポイントだけ主な意見ということで取りまとめさせていただいておりますけれども、今回、それをより丁寧に記載させていただいているところでございます。  この趣旨は、いよいよ今回からかなりテーマを絞って具体的な議論が積み重なっていくわけでございますけれども、そういった御意見を私ども事務局としてもきちんと大事に取りまとめて、具体的な提言と申しますか、一定の文書の形でまとめていくということでございまして、これまで頂いた御意見についても少し丁寧めに記載させていただいているということでございます。  資料は事前にお送りさせていただいておりますけれども、改めてお読みいただければと思っております。ここでは繰り返しは特にいたしません。  次に資料2でございます。資料2は私ども地震・防災研究課の来年の概算要求でございます。こちらも一個一個の事業については特に御説明は控えますけれども、次のページがこの要求の概要でございます。特にこの中でちょうど左上にございますけれども、「総合知による災害対応DX推進事業【新規】」という事業がございますが、この事業につきましては次のページになります。これはいわゆる新規事業ということでございまして、事前評価という形での御審議を頂いたところでございますけれども、こういった形で概算要求をさせていただいているということでございます。個々の事業につきましては、もしこの後の質疑応答で御質問等があれば、適宜事務局で回答させていただきたいと考えております。  以上が資料2でございます。  次に資料3でございます。資料3は防災科学技術研究所の令和2年度における業務の実績に関する評価でございます。防災科研につきましては、前回公開で御審議いただいた6月の際にも防災科研のプレゼンテーションをお願いしているところではございますけれども、この防災科研のいわゆる国立研究開発法人としての昨年度の実績に関する評価が、これは当然ほかの研究開発法人も同様でございますけれども、文部科学大臣から出されているということでございます。その旨の御報告でございます。  防災科研につきましては総合評定Aということで主務大臣評価が出されており、そしてまた、今までも何回か御説明差し上げているところでございますが、防災科研は今の中長期目標がちょうど7年中の6年目に当たるところでございます。したがいまして、来年はその7年目、最終年度ということで、当然、次の中長期目標の在り方も含めての検討が行われるということでございまして、その御参考として配付させていただいている次第でございます。  以上が資料3でございます。  次に資料4でございます。資料4は「分野別研究開発プランについて(案)」という資料でございます。このことに関しましては、私ども事務局からこれまで特に期が替わってから御説明をまだしておらないところでございますので、少し詳しく御説明させていただきたいと思っております。やや資料が大部にわたりますので、今、画面にございますが、この右上のところ、上村主査にはこの委員に加わっていただいておりますけれども、この防災委員会のいわゆる上部組織に当たる研究計画・評価分科会の先般の会合におきましてこの資料は配付されたものでございます。  今映し出されている資料ですと少し分かりにくいところがあるかと思いますので、この8ページ、この資料が比較的分かりやすいかと思っております。すなわち分野別というのは当然防災ですとか、あるいはライフサイエンス、ほかにも様々な科学技術の分野があるわけでございますけれども、これに関しましては、今そういった分野全体を束ねる研究開発計画がこの研究計画・評価分科会で定められていたところでございますけれども、これに代わるものとして新たな仕組みを検討すべきということで、検討が進んでいるものでございます。  ここの真ん中の矢印の少し上に、「文部科学省○○分野における研究開発プログラム」といったものを策定してはどうかというものでございます。なぜそういったものをつくる必要があるかということでございますけれども、下の矢印のところに視点1それから視点2ということでございますが、分野それぞれの事情は当然理解しつつも、ただそれをある程度全体でしっかりとフォローしていく枠組みが必要ではなかろうかということ。それから視点2でございますが、EBPMという、いわゆるエビデンスに基づく行政あるいは施策の遂行が研究開発に限らず全般に求められるところでございますけれども、それを一定の形で取り入れる枠組みが考えられないかという中身でございます。  これは翻って言えば、いわゆる事業ごとの評価は事前評価あるいは中間評価さらには事後評価という形で一定のルールに基づきこれまでもお願いしているところでございますけれども、それは当然どうしても個別の事業単位の御審議になるわけでございます。当然、そういった事業全体を束ねる評価のありようをどのように考えていくか。そして、またその効果的な在り方を研究計画全体で考えていくべきではないかという問題意識が基本的にはあるものでございます。  問題はそれをどのように進めていくかというところです。ここから1枚2枚下がったところでございますけれども、これはいわゆるフォーマット案でありますが、そういった全体を束ねるという観点でございますと、当然私ども文部科学省におきましては、事業に基づく施策もございますけれども、その全てが事業、つまり一定の予算措置に基づいて施策を講じているものではないやり方あるいは行政のスタイルというものも当然ございます。その辺りはいわゆる政策評価という、また別の枠組みでフォローがなされているところでございます。  ここで今ちょうど、上に施策目標というものがございます。その政策評価の中で例えば仮に防災であればそれがどういった形で全体が整理されているか、そしてその中でプログラム名ということで2ポツに書いておりますけれども、ここで言うプログラムを、そうしますと事業単位と考えるのか、あるいはさらにそれを束ねたようなものとするのかというところは、まだ詳細が私どもとしてもこれから考えねばならないと思っておりますけれども、一定の大くくりのプログラムという中で政策評価とも連動しつつ、例えばそのフォローをやっていってはどうだろうかということ。  具体的には次のページでございますけれども、これはいわゆる線表のような形で、事業単位ではこれまでも事業評価の参考ということでこういった表を防災分野においても作成しているところでございますが、それを分野別研究開発プランという形でさらにより大くくり化というんでしょうか、つくった形でフォローしていってはどうだろうかといった中身でございます。  以下、この資料におきましては様々な詳細なフォーマットなども示されているわけでございますけれども、実際にこれが決して確定しているものではございません。また当然、防災分野にしてもそうですけれども、ほかの分野におきましても、例えばこういった取組に関連して何らか既存の取組が既にあるとか、あるいはそういった大くくり化がなかなかなじまない分野であるとか、当然そういった事情もあり得ようということでございまして、その辺りを各分野別の委員会で一定の検討を行ってほしいという要請が、この上位の分科会から来ているというものでございます。  この資料の一番最後にございますけれども、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、資料の一番上に記載の分科会が開かれ、そして分野別委員会等が今日でございますけれども、事務局から御紹介差し上げております。なかなかこれだけではどのようにやっていくかというところは議論しにくいところがあろうかと思っております。したがって、私どもとしても今日何か具体的な意見をしっかり頂いて取りまとめることを想定しているものではございませんけれども、もし先生方でお気づきの点などがあれば、それもまた私どもは受け止めさせていただき、そしてまた防災委員会も当然今後も開催予定がございますので、そういった場を活用することもあり得るかもしれません。いずれにしろ、引き続きこの上位の分科会である研究計画・評価分科会で冬、あるいはそれ以降にこの審議を引き続き進め、一定のプランをまとめていってはどうかと。言ってみれば今日は、そういった動きがあるというまずは最初の御紹介にとどめさせていただきたいと思っております。  したがって、繰り返しではございますが、まずは御紹介でございますので、もし現時点でお気づきの点、あるいはもしこういった検討をするのであれば、例えばいろいろな負担が生じないようにこういったことには注意したほうがいいですとか、そういった何か具体的なコメントなどがあればぜひ頂ければありがたいと思っております。なお、分科会には主査、上村先生も当然お入りいただいておりますので、この後適宜、主査からももし補足等を頂ければありがたいと思っております。  事務局からは以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。  それでは質問等、皆様からよろしくお願いいたします。 【中北委員】  中北です。 【上村主査】  中北先生、お願いします。 【中北委員】  お世話になります。よろしくお願いします。  8ページの説明で、各分野における内容と、それからもう一つ、各分野に共通する横断的事項の2点挙げていただいていますが、最後のスケジュールを見せていただくと、横断的な部分はどういう会合で話をされることになるのかが見えなかったので、今持っていらっしゃるイメージを少し共有いただくことはできますでしょうか。 【上村主査】  ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。  基本的には横断的ということであれば、やはり分科会のほうでまとめて御議論を頂きたい、またそういった当然議論が行われるのだろうと思っているところではございます。ただ、それぞれの分野において自ら考えられること、あるいは考えるべきことも当然あろうかと思っております。例えば具体的に考えれば、防災ということであれば一部の分野とは極めて密接な関係があるもの、例えば気候変動ですとか、気候変動というのはつまり環境分野ですが、あるいは衛星を活用した防災に関する予測だとかということであれば宇宙だとかそういったところとも関連があるかもしれません。そういった意味での分野的な横断もあろうかと思います。  それから、枠組み、ルールという意味において、例えばどのような形でのくくりにするかというときに、各分野が全く独自の考えということでありますと、その全体を統合したときにやはり一般の方に非常に見にくい、また研究者の方々が分析等もしにくいであろうと。なので、そういった際に例えば共通の指標、いろいろなサイエンスの観点でのファクターみたいなものをどこまでどういった形で取り入れるか。ただ、当然に既存の統計がそもそもあるのか、あるいはそれをまた新たに付け加えるということであれば、当然負担も生じてくる。それは事務局のほうでもそうですし、あるいは事業を行っている先生方の負担になるかもしれないと。そういったことを横断的に考えることが例えば必要ではなかろうかと。現時点ではそういったイメージを持っております。  以上です。 【中北委員】  最初御返答いただいたところはまさしく具体として実は質問したかったところですけれども、それを言っていただいてありがとうございます。まだ何となく抽象的な感じがするので、多分進めながら具体的に描いていくことになるんだと思います。抽象論で終わらない形で、各分野別委員会の中でも情報共有、あるいは文科省の皆様の間で調整しましたとか、あるいは場合によっては委員同士が今回だけは合同でやりますとか、全部の合同でなくてもいいんですけれども、そのようなことも考えていっていただくのは重要かなと。ますます横断的な内容がこれから世の中で大事になってくる、そこの本当の最初の取組ということで前へ進められる、今までも進められていると思いますけれども、大事なものとして認識いただいて進める大事な点だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 【上村主査】  ありがとうございました。非常に重要なポイントについて御質問いただいたということで理解が深まった部分もあるかなと思っております。特に4の関係で御質問いただきましたけれども、なかなか分かりにくいところでございます。親委員会で説明を受けながら私も理解に努めようとしているんですが、なかなか抽象的な議論になりますので、各委員会で個別に議論してこいよということではあっても、なかなかイメージし切れないかなという部分があって、正直言いますと議論しにくいテーマになろうかと思います。  今、中北先生から御質問いただいたことで理解が深まった部分もありますので、この部分がやはりいま一つよく分からないとか、こういう視点を少し検討すべきではないかとか遠慮なく御発言いただいて、今日これをきっちり決めて答申を上げてとかそういう過程ではありませんので、よく分からないということでも結構ですので、もしあれば御発言いただければと思います。よろしくお願いします。 【前田委員】  NTTの前田ですけれども、よろしいですか。 【上村主査】  前田さん、よろしくお願いいたします。 【前田委員】  この場での議論ではないのかもしれないですけれども、ちょっと一般的な観点で教えてほしいんですけれども。対象分野について、資料だと19ページに9つの分野が規定されているんですけれども、これはもう決まったものなんですか。例えば、前の質問の御回答にあった宇宙という分野はここには書いていませんし、環境エネルギーの中に核融合とか原子力も入りそうなものだと思うんですが、何かの理由があってこの9つだと思うんですけれども。もし分かればこれに決まった経緯等を教えていただければと思います。よろしくお願いします。 【上村主査】  これは事務局で答えられればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。大変重要な御質問だと思います。また、説明が漏れており失礼しました。  資料の上に、研究開発計画の対象分野と書いてございます。若干、先ほど私が申し上げましたが、現行の研究開発計画ではこの分野が特定されているのが事実関係ということでございます。一応、今日の資料の次第でも参考資料という形で、現行の研究開発計画のリンクを張らせていただいているところでございます。ただ、いずれにしろ、今、前田委員が御指摘のとおり、そのくくり方にやや特殊な事情というか、いろいろあったのではないかと。それはおっしゃるとおりでございまして、現行、私ども文部科学省でそういった分野でくくって委員会を組織しているという事情もあれば、ほかにも様々な政策判断もあると考えております。  先程、宇宙の話がございましたけれども、この宇宙に関しては御承知のとおり、内閣府では宇宙政策委員会が各省を横断するような形であると。そういった中で、文部科学省においては航空分野においては独自の枠組み、委員会をこれまでも有してきたところであると。したがって、現行の組織との関係でたまたまこういったくくりになっているものもあれば、また、核融合に関してはかなり特殊な、またそれに集中的に審議を行う体制が必要だということもあり、環境エネルギーという側面も当然あると思いますけれども、それとは別の専門家の先生方を中心とした委員会が組織されているという事情がございます。  現時点においてそういった組織的な背景がございますので、この対象分野を直ちに抜本的に見直すようなことは予定はされていないところではございますけれども、当然全体の議論、あるいは横断的な議論をやっていく中で、仮にですけれども、この研究開発計画に代わるような、要は全体俯瞰の分掌というんでしょうか、あるいは枠組みを考えたときに、その分野のくくりをどのように考えるか。あるいは、例えばですがこのように見直すべきでないかという議論も当然あり得なくはないかと考えてはおります。  ただ、いずれにしろ、まずはこの防災分野の中だとしたらどのように考えていけばいいかというようなことを中心に御議論いただき、もし要すれば、例えば他分野、特に環境エネルギーですとか航空、あるいはもちろんそれ以外のところもあるかもしれませんけれども、そういった分野との例えば連携だとか、あるいはオーバーラップする点についてどのように考えていけばいいかだとか、そういった観点でまずは御議論いただければ、私ども事務局でまたそれをどのように省内全体で調整していくかは検討してまいりたいと考えております。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。 【前田委員】  ありがとうございます。現行の組織をベースにこういった分類だということで、よく分かりました。  もう一つ分かれば教えていただきたいんですけれども、一般的に見ると、これに例えばAIが抜けているような気もするんですが、AIは情報に入っているというようなことでよろしいんでしょうかね。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。  一義的にはそのように考えております。AIは当然、今、ホットなイシューであって、これは内閣官房を中心に様々な枠組みが別途あるところではございます。このAIですとか、あるいはDXとかに関しましましても、現行の組織の中では情報委員会で束ねて議論しているところがあるという理解で、そのように私どもとしても考えております。  以上です。 【前田委員】  よく分かりました。ありがとうございます。 【上村主査】  ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。  なかなかこの61ページ、62ページ辺りを見ていても、本当に多様な委員会が非常に幅の広い議論をされておりまして、この中でもちろんリンクするところも幾つかはあるんですが、横断的に共有のものを議論していくのもなかなか大変なところがあるのも現実でございます。いかがでしょうか。遠慮なく今のような形で御質問いただいて結構ですが。 【小室委員】  小室ですが、お尋ねしてよろしいでしょうか。 【上村主査】  小室先生、よろしくお願いします。 【小室委員】  初歩的な質問で申し訳ないんですけれども。今日の資料を頂いたときから、今日の会議が何を目指しているのかよく分からなかったんですね。で、事務局に事前にお伺いすべきだったと思うんですけれども、もし分からないのが私だけだったら、後でと言っていただいてよろしいんですけれども。  この委員会の大きなミッションの中で、前回までしてきたことは何となく分かるんですが、その中で、今回の委員会のミッションといいますか、目的といいますか、何を期待されているのか、そこの根本的なところがよく分からないので、ちょっと一言お教えいただけたらありがたいんですが。 【上村主査】  きっと多くの委員の皆様が同じようにモヤっとされているかもしれないので、ぜひそこのところを事務局から御説明いただいて、私のほうで私なりの理解を補足するということでお願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。上村先生、よろしくお願いいたします。  事務局の理解といたしましては、ちょうど今、私から説明をした資料4までは、一言で申せば情報提供と。概算要求ですとか、あるいは防災科研の評価、それから目下、全体的に行われているこのプログラム評価といった議論を、まずは状況を御説明、御報告、そして共有いただければという。逆に言えば、それ以上の何か物すごいことをお願いしているようなものではないと思っております。  ただ、この後、後半で気候変動と防災との関係で御審議をお願いすることにしておりますけれども、恐らく次回以降も、これまではやや全体的なまずはイニシャルミーティングというような形で自由に御意見を賜るような形が多かったと思うんですけれども、ややテーマを絞って、具体的な推進方策ですとか、そういったことを今回の後半あるいは次回以降お願いすることになるものと思っております。  そういった際に、まずそのバックボーンになるところの情報として、すなわち文部科学省ではどういったことを今、予算玉として重点的にやろうとしているのか、そして、やはり組織としても、またその推進するある種のツールとしても大変重要な役割を占めている防災科研が今現在どのような状況にあるのか。そういったことに関して、当然これは御専門でない方からするとなかなか分かりにくいところもあるかと思うんですけれども、まずは情報をこの委員会として共有し、そしてまた何か分からないところがあればぜひ御意見賜るというプロセスを経ておくことは大変重要なことではなかろうかということで、今回の前半、こういった時間を設けさせていただいたと、そういった事務局としては思いでございます。  以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございます。では私から少し補足というか、私なりの理解というところでお話しさせていただきたいと思います。  前回までの委員会の中で、各プロジェクトの事前評価、中間評価、事後評価というようなプロジェクト評価というところの意見交換をさせていただきました。今までのといいますか、本来的なといいますか、この研究計画・評価分科会の下の防災科学技術分野の、我々が今議論しているこの委員会としては、その防災科学技術に関する研究計画とその評価に関して我々はミッションを帯びていると理解しております。  会議の今年度の1回目、2回目辺りで御説明をして、皆さんからも御意見を頂いたところなんですが、今年来年、その辺りが非常に大きな転換の節目になるタイミングになるのかなと私は理解しております。その第一弾が前回御議論いただいた、総合知による災害対応DX推進事業という新規の研究計画、これについての事前評価を頂いたと。これもそういう意味でいうと、来年度の概算要求を、前回、金額も決まらないまま皆様から御議論いただくような状況で、要するに新しい防災科学技術が向かうべき方向性を模索しながらやっているというタイミングにいるのかなと理解しております。  ということもありまして、今年度の委員の皆様の顔ぶれを見ましても、これまでの顔ぶれと比べますと、かなり総合知という部分を意識した幅広い先生方から御参画を頂いて、幅広く御意見を頂きたいという人選になっていると私は理解しております。  そういう意味で、前回までは「このプロジェクトについてこういうふうに評価をしたいので、皆さんの御意見を頂きたい」という非常にクリアなミッションだったんですけれども、今回の議事次第を見ていただくと、1番は防災科学技術政策の現状等についてという非常に抽象的な議題になっておりまして、なおかつ、資料1から4まで御説明いただきましたけれども、5、6、7と見ていっても具体的に今日の会議のゴールはどこなのかということが見えにくい形になっているという小室先生の御指摘は全くそのとおりでございます。ありがとうございます。その部分、御質問いただいてよかったなと思っています。  そういう意味でいうと、資料1を御覧いただいて、上から丸で3項目、「防災の立場でとらえる」云々の記述ですけれども、2行目からのところ、「全般に防災と気候変動の問題が接近していく中、気候変動を扱う委員会や関係省庁、自治体との連携も重要」という御指摘も頂いたことも踏まえ、本日は資料5、6の話題提供を頂くというところが今日の重要な内容でございます。ある意味、我々委員のほうも勉強させていただきながら、刺激を入れていただきながら、我々なりの今後の防災科学技術の方向性について、後半少し長めに時間を取って、率直な御意見を頂きたいというところが本日のミッションと私は理解しております。  室長、合っていますでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っております。 【小室委員】  小室です。ありがとうございます。 【上村主査】  御質問いただいたおかげで、皆さんの理解が深まったかなと思います。ありがとうございました。  ということで、前半の1から4については、要は全体的な状況ということで、情報共有というところがメインかと思います。また時間の制約もありますので、後半の勉強させていただくところに入っていきたいと思います。  それでは、環境エネルギー課、服部環境科学技術推進官より、資料5についての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 【服部環境エネルギー課環境科学技術推進官】  ありがとうございます。私、文部科学省環境エネルギー課環境科学技術推進官の服部と申します。  それでは、今、画面に映っている「気候変動研究に関する取組について」という資料に基づきまして、お話を差し上げていきたいと思います。今日、私が御説明申し上げる点は2点ございます。1点目が、気候変動研究で文部科学省がどのような取組を行っているのか、それと関係省庁との役割とか、そういった点について御説明をまずしたいと考えております。2点目が、この8月に、そういった文部科学省なり気象庁なりで研究を支援しているところなんですけれども、気候変動研究の最新の知見を取りまとめたIPCC、気候変動に関する政府間パネルというものがあるんですけれども、そちらが報告書を公表いたしました。そちらの中身について御紹介を差し上げるという、二本立てで進めさせていただきたいと考えております。  それでは次のページをお願いいたします。1点目でございます。気候変動適応戦略イニシアチブと我々は呼んでおりますけれども、文部科学省が支援しております気候変動研究の概要につきまして御説明を進めていきたいと思います。  次のページをお願いいたします。まず、気候変動研究の役割について改めて整理しておきたいと思います。赤字の部分でございますけれども、このように気候変動研究を政府が支援することによりまして、様々な観測のデータとか、どういう形で気候変動していくというようなモデルの開発をしたりだとか、気候変動のメカニズムを解明していくだとか、そういったメカニズムだとかモデルの開発をしていくことによって、将来の気候がどんなふうに変わっていくのかという予測データをつくっていくような研究を進めることにより、上側にございます気候変動の影響の評価、こちらにつきましては法律に基づきまして環境省が適宜適切なタイミングで気候変動影響評価報告書を作りますけれども、そういったものの報告書に活用されてまいります。また、各分野の影響評価の研究を関係省庁がする研究にもこういった気候変動の研究の成果が活用されます。  このような気候変動を受けることによって、おのおのどのような影響評価を受けるのかといった評価をすることに使われたり、こういった気候変動研究の下の赤字の部分の中身でございますとか、気候変動影響評価の中身を右側の上の部分にございます気候変動適応策、出口としての農林水産分野でございますとか、右側にありますけれども国交省の例えばですけれども治水計画の見直しに活用されるとか、こういうような気候変動をすることによって、我々人間がどのようにこういった気候変動に適応していくのかといったことの、いわゆる総合知の活用を進めていくことをやっている。このような体制になっているところでございます。  次のページをお願いいたします。文部科学省がまずメインで進めております取組の一つは、こういった統合的気候モデル高度化研究プログラムでございます。上の部分に平成29年度から令和3年度と書かれておりますけれども、こちらの研究プログラムは気候変動研究を基盤的に支援しているプログラムになっておりまして、一定程度の期間で区切っているところでございますが、具体的にはこれはもう20年程度続いている非常に伝統的な研究プログラムとなっております。今期がこの令和3年度を迎えて、また後ほど御説明いたしますけれども、来年度から新しい期の気候変動研究のプログラムを概算要求して支援していくことを予定しているところでございます。  この真ん中の図でございますけれども、まず地球の全球規模での気候変動予測と基盤的なモデルの開発をしたりだとか、そういった全球規模の気候変動予測を高度化するために、具体的には炭素循環だとか、そういった炭素に気候がどんなふうに応じていくのかという気候感度といったものを解明していく研究を組み合わせまして、真ん中の部分にございます気候変動予測につなげてまいります。  こういった気候変動予測をする情報を創出することによって、右側にありますけれども、では具体的に高潮だとか洪水だとか台風だとか、そういったものがどういうふうに起こってくるのかという、いわゆるハザードの予測、異常気象の予測、極端現象の予測といったものを行っていくという研究の中身でございます。  こういった中身は今日、先ほど御説明を申し上げましたけれども、こういった気候モデルはIPCC、気候変動に関する政府間パネルの議論にも用いられておりますし、先ほど申し上げたとおり、こういった予測情報とかハザード予測は気候変動の適応策、影響評価のエビデンスとして活用されているようになっております。  次のページをお願いいたします。この気候変動研究のプログラムの成果の事例について、以後幾つか御紹介していきたいと思います。まず、左側の気候変動予測データセットの作成による適応策への貢献と書いている部分について御説明を進めていきます。真ん中のところに青の山、赤の山みたいなものが描いてあってd4PDFという文字が御覧になれるかと思います。こういったd4PDFという名前の気候変動の予測をするモデルを開発しております。これは、これまで不可能とされてきた異常気象の将来変化を確率的に、異常気象が、例えば洪水だとか降雨量だとかこういった大量の降雨が何年に一度発生するといったような確率評価が可能になってまいりました。そういったものが可能になってまいりましたので、実際に社会実装も進められる事例も見られるようになりました。  2点目の箇条書の部分で書いておりますけれども、国土交通省で「気候変動を踏まえた治水計画のあり方 提言」といったことにそういった研究成果が反映されたりだとか、「気候変動を踏まえた下水道による都市浸水対策の推進について 提言」でございますとか、「気候変動を踏まえた海岸保全のあり方」といったものに、こういったd4PDFの将来予測を根拠にした形で政策文書が取りまとめられつつあるという事例が出てまいりました。右側、字が小さくて恐縮でございますが、治水計画のあり方で、北海道域で降水量が非常に増えるというデータを根拠にして治水計画の見直しといった提言がなされている事例でございます。  あと、地球温暖化による海氷の減少の影響評価につきましてこのような学術論文誌に掲載されたりだとか、エアロゾルという粒子が海洋生態系にどういうふうに影響していくのかという把握をしていったりだとか、そういった研究成果が出ているところでございます。  次のページをお願いします。こういった研究成果が多く産出されたりだとか、地球観測のデータといったものが日々リアルタイムで産出されているわけでございますが、そういったものをやはり解析だとかデータを活用できるインフラがないと、なかなかこういったエビデンスベースでの社会、いわゆるSociety5.0、データとフィジカルが融合したような世界観は築けないと考えております。  未だ学術研究を中心としたデータインフラではございますが、この気候変動分野にはデータ統合・解析システム、DIASという、気候変動に関するプラットフォームを整備しております。まさに左側にあるようなリアルタイムに送出されるデータをそのまま流しっ放しにするのではなくて、しっかりデータベースとしてアーカイブをして整備をして、研究者が算出した予測のモデルだとか、そういった解析ができるようなプログラムもこういったデータプラットフォームの中に埋め込み、また「データ統合・解析」と書いておりますが、こういった大量のデータは運ぶのも大変ですので、計算環境もある程度隣にあるような状況の中で、まだ学術研究のところが中心でございますけれども、そういう予測データといったものを算出できるようなシステムといったものを長年かけて整備してまいりました。  次のページをお願いいたします。こういうデータ統合・解析プラットフォームの成果を活用して、まだこれは研究ベースで、社会実装までは至っておりませんが、このようなリアルタイムのデータだとか、研究者が今まで創出した予測モデルだとかを活用して、水災害被害軽減の洪水の予測システムの開発を行う。それで事前の避難に役立てることができないのかといった可能性について、まだ学術研究ではございますけれども、検討がされてきたような成果が出てまいりました。  次のページをお願いいたします。こちらはリアルタイムで河川のダムだとかの管理のシステムに適用できないか。例えば電力ですと水力発電があるんですけれども、そういった水力発電を効率的な形で運用して電力量も増やし、それで災害も減らすといったシステム、洪水を減らしていくシステム、そういったものを開発する研究開発も行われているところでございます。  また、こちらは都市の防災ですけれども、降水予測とか、そういう気候変動のみならず、東京都の下水道局のデータも用いる形で、いわゆる排水の形でのデータも取り入れることによって、どの時点で浸水だとか冠水が生じ得るのかというような、下水道データ等も活用した形で予測をする研究も進められつつあるところでございます。  次のページをお願いいたします。このような実例があったりしておりますし、また先ほどのポンチ絵には入れなかったんですけれども、国際貢献にも役立っておりまして、例えばスリランカでございますとやはり洪水とかが心配だといったことで、洪水予測だとかに活用もされたりしつつありますし、またアフリカの地域でありますればマラリアがこういった気候変動の関係でのデータを使って、それとマラリアの発生データを使って、マラリアの感染予測をするというような国際貢献にも活用する成果も出つつあります。  こういう研究を引き続き推進していこうということで、先ほど申し上げた研究を進める気候変動予測先端研究プログラム、先ほどの研究開発を進めるといった部分と、データ統合・解析プラットフォームという、エビデンスベースの科学技術、Society5.0といったものを支えていく事業という二本柱で進めていこうと考えておりまして、令和4年度の概算要求といたしましては12億7,700万円での要求を行っているのが現状でございます。  次のページをお願いいたします。引き続きまして2点目の話題でございます。この8月に公表されました気候変動に関する政府間パネルの報告書、IPCCの報告書について簡単に御紹介したいと思います。  次のページをお願いします。このIPCCでございますけれども、国連環境計画、UNEPと世界気候機関、WMOによって設立された機関でございまして、出版された文献、最新の知見に基づいて世界中の科学者が集まって一行一行、こういったことが合意できるのかどうかといったところを確認されながら作成される報告書になっておりまして、政策的な中立性を極めて重視しているものでございます。  これは5年から7年程度に1回の頻度で改訂されているものでございまして、今回8月9日に自然科学的根拠、第1作業部会の部分が公表されました。順次、第2作業部会の影響・適応・脆弱性の評価につきましては、日本の担当省としては環境省が取りまとめになります。第3作業部会、気候変動の緩和、気候変動をどのように抑えていくのかという対策でございますが、こちらにつきましては経済産業省が取りまとめになりますが、そういった作業部会での報告書が順次取りまとめられまして、科学的根拠から気候変動の緩和に至るまで全て統合した報告書が来年9月に取りまとめられる予定で進められているものでございます。  今回の報告書ですけれども、地域レベルでの気候変動の評価、今まで地域レベルで、例えば東南アジアがどうなのか、アフリカのこの地域がどうなのかといった評価はIPCCで行われることはありませんでした。しかしながら今回様々な世界の研究、気候変動研究が成熟してきたこともあり、地域レベルの気候変動の評価が取り入れられました。  また、極端現象の変化だとか、その変化における人間の影響の評価についても明確なメッセージが出されましたし、様々なそういった成果が今回出されたところでございます。  次のページをお願いします。日本もこういった、先ほど申し上げましたとおり、研究データを出したりだとかということで貢献しておりますし、執筆者として日本人の専門家も派遣すると。10名程度の執筆者を輩出したりして貢献しているところでございます。  次のページをお願いいたします。今回の報告書のポイント、自然科学的根拠、ワーキンググループ1の報告書のポイントでございますけれども、地球温暖化の進行に伴って、熱波、大雨、干ばつ、北極の海水、永久凍土の減少などの気候システムは大きく変化が拡大しております。  2点目が非常に重要ですけれども、今回の報告書では、こういった気候システムの温暖化といったもの、人間がこういったものに影響を与えているといったことは今まで疑う余地がないと強いメッセージを出したことはないんですけれども、それが科学的にも証明されるようになったところが今回の報告書の大きなポイントとなっております。  次のページをお願いいたします。先ほども申し上げましたとおり、今回の報告書、AR6という6次報告書でございますけれども、今回初めて、こういった世界地図を模式したような図になっておるのでございますが、例えばEASと書いてあるのは東アジアでございますけれども、このように地域を区切る形で温暖化の評価、人間の影響がどれぐらいあったのかといったところの評価がなされるといったことが、この報告書の中に今回取り入れられたことが大きな特徴でございます。  次のページをお願いいたします。こういった降水だとか台風の影響といったものも、科学的に予測される変化がどの程度高まってくるのかといったことが、この報告書の中でも取りまとめられたところでございます。このように文部科学省だとか日本政府が支援している研究によって、世界的なこういう研究にも貢献しておりますし、ますます防災分野でのこういった研究成果の活用、また、先ほど申し上げたDIASをどのように社会インフラにしていくのかと。学術研究のみでない社会インフラとして育てていくのかといったことについて、また皆様とともに議論していけたらいいかなと、うれしいかなと考えております。  私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。 【上村主査】  ありがとうございました。御質問を頂きたいところですが、引き続いての御説明を頂いた後に自由な意見交換の時間を取りますので、そこで御質問等をよろしくお願いいたします。  引き続きまして、環境省地球環境局総務課気候変動適応室、岡野補佐より、資料6について説明をお願いします。 【岡野環境省地球環境局総務課気候変動適応室室長補佐】  気候変動適応室、岡野です。私からは環境省の気候変動と防災に関する取組ということで御説明させていただきます。先ほど文部科学省さんから御説明いただいた研究の部分をどのように政策の部分に適用していくのかということを中心にお話しできればと思います。  次のページをお願いします。こちらは先ほど御報告がありましたので割愛いたしますが、IPCCの6次報告書ということで、人為的なものが疑いの余地なく温暖化の原因であるということがかなり今回は大きかったかなと思っております。  次をお願いします。これは日本の国内の状況ですが、最近の災害をまとめたものでございます。30年7月豪雨を御覧いただきますと、地球温暖化によってこういう水蒸気量の増加があり、今回の豪雨が起きたという研究もなされております。ほかの災害につきましても前代未聞の、その時々のレベルでの風速でありましたり降水が続いておりまして、これはもう喫緊の課題であることが言えます。  では次をお願いします。経済的な被害という面でもかなりのものがありまして、これは日本損害保険協会のウェブサイトによるデータです。過去の損害保険会社の保険金額の支払いの大きな風水害を10件並べますと、7件は2000年以降に発生していると。上位の5件でいいますと2018年以降に発生しているということで、近年、風速とか雨量とかそういうことではなくて、経済的な被害もかなり増加していることが分かります。  次をお願いします。こういった気候変動が、真ん中に書いております自然災害以外にも様々な影響を及ぼしておりまして、それらについて環境省で担当しているわけです。例えば農林水産業でしたら、左に青い写真がありますが、米の中が白くなってしまって品質が落ちているとか、ミカンの皮が浮いてしまうということ。左下、自然生態系でしたら、高い山にすんでいるライチョウの生息域がどんどん狭まっていってしまうようなこともございます。右側の熱中症・感染症がありますが、熱中症については過去最高の気温がどんどん出てきて、熱中症による救急搬送と死亡者もかなり多くなっている状況がございます。さらに右下にヒトスジシマカと。これがデング熱を媒介する蚊になりますが、そういった蚊の生息域も昔は関東近辺までしか生息できなかったものが、どんどん分布が上に行っていると。今は青森まで行っているという状況があります。  次をお願いします。こういった気候変動影響につきまして、文科省さんからも御報告がありましたとおり、環境省で気候変動影響評価をやっております。こちらが5年に1度やることになっておりまして、気候変動適応法という法律の中で定められた評価になっております。最近の評価として令和2年12月、昨年末にこの気候変動適応法に基づくものとしては初めての影響評価がなされまして、それを公表しているところです。  中身としては、気候変動による影響は5年前にも一度評価をやっているのですが、かなり重大で緊急の対策が必要であることが示されたということになります。ポイントとしては科学的知見の充実ということで、文科省さんのプロジェクトとかからもいろいろな学術報告を出されていると思うんですが、そういった学術報告に基づいて環境省は評価するわけです。その文献数が5年前と比べて2.5倍、1,261件まで増えているということで、世の中の関心の高まりと同時に研究も進捗していて、より確かな情報が手に入るようになってきていることが言えます。  重大性、緊急性の評価ですが、重大かつ緊急というのが全体の項目数でいうと46%を占めるということで、かなり喫緊性も上がってきていることになります。  右側に分野ごとの主な影響の例を記載しておりまして、日本地図に赤から緑から青となっている色分けのものがありますが、これが日本海におけるスルメイカの分布予測を表しているものです。たくさん取れる領域が赤いもので、2000年の時点で北海道の西側に海域がありますが、それが温暖化が進んで2050年になってしまうと日本近海ではスルメイカが取れなくなってくることが予測されています。  また、先ほどのヒトスジシマカの分布につきましても、年を経るごとに分布が北上していっていることがございまして、蚊の分布が増えたからといって特段それが直接病気に結びつくということではないんですが、こういった影響が出ていると。このようなことを災害についても予測評価しております。  次のページをお願いします。こちらが自然災害・沿岸域ということで、ワーキンググループを分野ごとに設けて専門家に評価を頂いております。これを御覧いただきますと、評価結果一覧のところで河川、沿岸、山地、その他、複合的な災害とありますが、ほとんど全てが最高評価になってしまっている状況がございます。重大性は全て赤丸です。緊急性についてもほぼ赤丸ということで、ほかの分野に比べましても自然災害・沿岸域の分野は緊急性が高い、あと確信度も高いことは言えます。  気候変動影響の例として今確かなものとして言えるものですが、こちらに書いております。米印が増えるほど確信度が高くなっておりまして、例えば河川の一番上を見ていただきますと、氾濫危険水位を超過した洪水の発生地点数が増加していると。これはもう現に起こっている影響になります。沿岸のところでいいますと海岸の浸食が加速していったりとか、山地でいいましたら発生規模、土砂崩れ発生地域の変化といったものがございますし、さらに複合的な災害影響で一番下を御覧いただきますと、土砂災害と洪水氾濫の同時発生ということで、土砂災害によって河川が埋まって、そこでさらに上から水が来てあふれるようなことがあることは評価されています。  次をお願いします。より詳しい例ですが、先ほどお話ししなかったところですと、5番目の四角を御覧いただきたいのですが、具体的な数字も入れています。2081年から2100年までに日本沿岸で62から83%の砂浜が消失と。こういった分かりやすいところはありますが、つまり海岸の浸食が進んで、そこが今までは砂浜で食い止められていたようなことも、もうすぐに我々の生活している領域に危険が及び得るということが言えます。  次をお願いします。こういった影響評価を踏まえまして、政府全体で気候変動適応計画を閣議決定して、施策を進めております。この閣議決定ですが、今年度改定を予定しておりまして、先日パブリックコメントとして改定の骨子案を出させていただいておりますので、その御説明をさせていただきます。  まず目標は、気候変動による影響を低減すること、それと国土の強靱化を図って国民生活の安定を図ること、持続可能な社会を構築することが目標になっておりまして、5年間の計画期間でございます。基本戦略としてここに1から7までありますように、各者が分担しつつ協力して、総合的に進めていきましょうということでございます。進捗管理が真ん中にございますが、対策を評価できる指標をなるべく定量的なもので設定して、災害の分野も含めて、国、自治体、国民レベルで定着していくように進捗管理をしていきたいということになります。分野別の例として、災害に限らずこういった総合的な計画になっております。  次をお願いします。気候変動と災害の部分でどういった取組を具体的にやっているかということを御紹介いたします。まず左上の洪水・内水ですと、黒字に文字が書いてある部分が影響評価の部分です。白抜きの文字が実際どういった施策を取るかということになっておりまして、洪水・内水でしたら堤防や洪水調整というインフラ面の整備、下水道といったインフラ面の整備。また、まちづくり・地域づくり、都市計画とかそういったこととも連動して浸水を軽減していくことを計画の中で記載していきたいと思っております。  また、高潮・高波については、構造物での阻止ももちろんありますが、海岸防災林とかそういう自然を活用したやり方もやっていきたいということ。  土石流・地滑りについては、ハザードマップ、タイムラインの作成支援といったことや、人工衛星で監視する体制の強化でございます。  右側に行きまして、これが防潮堤、水位が上がってきたときに堰を閉めるものですが、普通のものではなくて、もともと土台部分を大きめに設計しておいて、今後例えば10年後にもっと水位が上がるとかそういった予想が出たときに、それを一から造り直すのではなくて、徐々に拡張していくことができるような、そこまで見越した設計を行うということでございます。  右下にありますように、先ほど都市計画と申し上げましたが、もともと居住するに適した場所でないところが、今後気候変動が進むにつれて広がっていく場合については、そういったところでの居住の仕方も調整していくことによって対応していこうということでございます。  次をお願いします。こういった具体的な大枠を今御説明しましたが、「気候変動×防災」ということで、昨年、内閣府防災の担当大臣と環境大臣で共同メッセージを発出しています。  次をお願いします。この「気候変動×防災」のメッセージの中身について御説明させていただきます。今現在は気候危機の時代であるという現状認識に立ちまして、これからはそういった気候変動によって災害の被害がどんどん拡大していくであろうというところも見越して、各種政策を打っていきましょうということでして、具体的には次のページをお願いできますでしょうか。  4つポイントがありまして、1つ目はこういった「気候変動×防災」を世の中の主流にしていきたいということです。例えば右の列の真ん中、防災基本計画、国土強靱化基本計画とありますが、こういった政府の中での様々な計画の中に気候変動の観点も取り入れて対応を取っていくということ。それと一番下の部分にSDGsとありますが、気候変動と防災は総合的に推し進めないと対応できないということから、幅広い政策を動員してやっていかないといけないというのが1つ目のポイントです。  次をお願いします。次が脱炭素と防災を結びつけましょうということでして、例えば左上にございますように、分散型の国土形成ということで、大規模なものが集中している状況ではなくて、電源でありましたり、居住でありましたり、そういったものを分散することによって地域全体としての強靱性を上げていこうという取組になります。  次をお願いします。次に、個人、企業、地域の意識改革ということで、左上にございますようにハザードマップの確認とかそういったことの普及啓発でありましたり、右側にありますようにボランティアと市民、行政の連携。これは災害廃棄物の収集に関する例ですが、そういった各種の協働を進めていきましょうということです。  次をお願いします。さらにこの日本の取組を海外にも展開していくということで、途上国で気候変動への適応力がかなり低い国が多くなっておりますので、そこを日本の防災の技術でありましたりノウハウを提供していくことによって、世界全体に貢献していきたいということを考えております。  次をお願いします。具体的に情報の展開としては、環境省としてはAP-PLATというウェブサイトとキャパシティービルディングですね、途上国行政官への研修の枠組みを運営しておりまして、こちらを使って科学的知見とそれを社会実装するためのツール、人材育成を進めていきたいと思っております。  次をお願いします。その社会実装に当たっては当然技術が必要になりますので、日本の事業者が持っている、ここには沿岸防災、上水、下水ということで3つ例を書いておりますが、こういった技術を活用していただいて地域の強靱化につなげていただく支援を環境省としてやっていきたいと思っております。  次をお願いします。また、日本の国内でも地域気候変動適応センターを法律に基づいて各自治体がつくるよう努めるという規定になっておりますので、そこへの国立環境研究所を通じた支援も進めていきたいと思っております。  以上です。ありがとうございました。 【上村主査】  ありがとうございました。  もう一つ資料の説明がございます。事務局から資料7についての説明をお願いします。 【福田防災科学技術推進室長】  事務局でございます。簡潔にいたします。  議論のポイントということで、今回も必ずしもこれにとらわれる必要はないと思っておりますが、あくまで御参考までということでございます。  一番上、これは気候変動というもの、それから防災科学技術、その双方の関係をどういうふうに捉えて防災科学技術の観点でやっていくべきかということ。  2つ目、これはタイムスパンの観点からはどう考えるべきか。これは今、仮に中長期的な気候変動の影響、それから短期的な災害のハザードリスクと書きましたが、必ずしもこの表現が正しいかどうかもいろいろ御議論があるかもしれませんけれども、いずれにしろタイムスパンは一つの重要な観点かと思って記載した次第です。  その下、3つ目、これは概念論的なところがございますが、気候変動では先ほども御説明がありましたが影響評価、あるいは適応、ほかにも緩和とか幾つかそういう概念があるかと思います。他方で、防災に関しては御承知のとおり復旧、復興、あるいはレジリエンスといった概念があるかと思います。それをどういった観点で捉えていくことで、防災科学技術とこの気候変動の取組で一層の連携が進んでいくかということ。  その下、4つ目、これは情報連携の観点でございます。先ほどもDIASですとか、あるいは環境省さんからはA-PLATだとかそういった取組の御紹介がございました。他方で防災科研におきましては、前回SIP4Dの御説明などがあったところでございますけれども、そういったデータ連携をどう図っていくかということ。  その下、これは分析の具体論ということでございますが、先ほども環境省さんからも御説明いただいたように、気候変動影響評価報告書の中で複合的な災害影響が非常に注目されている。ほかにも分野間の影響の連鎖。この辺りはイベント・アトリビューションといった手法などもあるということでございますが、これを防災科学技術の観点からどのように取り組んでいくか、あるいは取り入れていくか、それも含め考えられるかということでございます。  最後の一つ、当然これはほかにもあると思うんですが、気候変動の観点から、防災科学技術研究所の果たす役割もいろいろと考えられるのではないかということでございます。  議論のポイントとしては以上でございます。 【上村主査】  ありがとうございました。ちょっと駆け足でしたけれども、資料5、6、それから本日のこれからの議論のポイントということで資料7の御説明いただきました。  ここからは頂いている17時までの時間で自由に意見交換させていただきたいと思います。それで今日は気候変動ということで、全ての災害というよりは、今日いろいろ情報提供いただいた気候変動と防災という分野に関しての様々な御意見を頂戴したいと思っております。ここから先は自由に御発言いただきたいと思いますが、なるべく大勢の方から御発言いただけるように、誠に恐縮ですが、なるべく簡潔に御発言いただければと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。 【中北委員】  すいません、では中北から。 【上村主査】  では中北先生、よろしくお願いします。 【中北委員】  お話しさせていただいてよろしいですかね。関連した取組をさせていただいている者としての発言として。  京大の防災研では気候変動リスク予測と適応の連携研究ユニットを今、立ち上げていまして、ベースは、先ほど文科省から御説明がありました気候変動の国プロジェクトをベースに、防災研と全国の皆さんと一緒にやっているものをベースに立ち上げさせていただいています。  気候変動ということで非常に大事なものとして一つずっと進めてきたのが治水との関わりです。要するに国交省にできるだけ、文科省あるいは環境省が進めてこられた科学的知見をベースに、治水の考え方を新たに変えて、まずは治水のゴールを変えないといけないということで、ずっともう十何年以上、コメントもさせていただきながら、多くの皆さんと一緒にしてきました。  多分、気候変動絡みで我が国でいいますと、適応に非常に、最初はなかなかダムとかインフラの整備が必要とかいうと大変な時代もあったんですけれども、気候変動に関して危機感をベースに多くの皆さんの理解が得られるようになって、治水のほうが早くですかね、適応に取り組んでいると。今、御紹介がありましたように、治水の目標も既に科学的な将来予測をベースにもう変えました。で、実際に球磨川、昨年大災害があったそこの気候変動の影響を加味した目標がちょうど今、審議されているところです。  それから、環境省で御紹介がありました流域全体で治水をすると。もちろんハードの強化は絶対大事ですけれども、気候変動の場合はそれだけで防げる時代ではなくなると。そこも大きな考え方の転換で、今回の資料には書いてなかったですけれども、流域治水という、上流から都市の住民まで全て、国だけがやるのではなくて、全てのステークホルダーで太刀打ちしていかざるを得ないというような大きな考え方に変わって、今、動いているところでございます。  というので、こういう文科省と環境省等が進められている施策が、ほかの省庁に大事な情報として行って、浸潤していき、物の考え方も新たなものを共有していくのに非常に大きな役割を果たしていると思いました。  防災の関連でいうと、ちょうど今ありましたように、適応はもう今始めないと手後れになりますよと。(気温が)2度上昇の世界もあと三、四十年で迎えるというのも科学的に分かっていますので、今始めないと駄目だというので、後悔しない適応というのは非常に大事なキーワードとして、防災の科学の分野としては考えていただくのは非常に大事かなと、改めて、今お話しいただいて、思いました。  もう最後にしますが、ここに掲げていただいている5つのことは、丸で最初から5つありますけれども、非常に大事なことだと思います。私たちも復旧・復興と考えた中で、発展途上国も含めて、ある程度経済的に頑張っていた中で災害が起きて、大きな被害を受けて、また上がろうとしているときに、また次の大きな災害が来てまた下がってというように、上がろう上がろうとしていてもなかなか上がれない中で、気候変動がよりシビアになるときに、復興というものも、気候変動の影響がある中で、気候変動のことを考えるがゆえに、よりいい方向に復興していくとか、そのような視点が非常に大事なのかなと思いました。  あと、最後のほうでイベント・アトリビューションという言葉がありましたけれども、これが実際、今起こったことに温暖化が何%ぐらい影響しているかということが答えとして出ますので、災害等があるたびに、これは洪水だけではなくて熱波であろうと、いろいろなより広い被害も含めてですけれども、災害があるたびに温暖化の影響が何%出ていますよというような情報を多くの皆さん、国民の皆さんと共有する取組も非常に大事かなと思います。温暖化が来ている怖さというとちょっと変な言い方になりますけれども、シリアスさを全国民で共有していく必要があるという意味でございます。  以上です。すいません、長くなりました。 【上村主査】  ありがとうございました。まさに中心的役割を果たしていただいている中北先生から、全体的なところの理解を深めていただくためのコメントを頂いたかなと思います。私も専門ではないのですが、過去の延長の未来ではなくなってきたと。過去の様々なデータを使って未来を予測するというこれまでの治水の考え方がもはや無理で、気候変動予測という未来の予測に基づいた予測をしていく。そして、それに基づいて計画を立て直していくということで、専門家の中では今、「適応」という言葉は今や当然人類が、人間が、社会が適応していかなければいけないという流れになっていることは、もう共通の認識かと思います。一般の皆さんにそこを理解していただくためにも、正しい情報をしっかりと伝えていくことも大事かなと思います。  それから、適応していくにしても相当まだ時間がかかる話ですので、その中である程度の災害は起こると。起こった中でどう復興するか、復旧するか。こういったものも場合によったら事前復興という考え方で今から取り組まなければいけないのではないかと。とにかく様々な観点での議論のポイントが出てくるかなという気がしております。ありがとうございました。  他の方、いかがでしょうか。 【三隅委員】  防災科研、三隅と申しますけれども、よろしいでしょうか。 【上村主査】  三隅先生、お願いします。 【三隅委員】  恐らく今日のこのトピックですけれども、環境分野ではここまでやっているというお話があって、この後、防災分野としてさらにそれをどうしていくのかというところを問われているのかなと理解しました。  一つ、やはりこの温暖化が進むことでカタストロフィックな災害が起こるのかどうかということは、多分国民の関心として大きいと思います。例えば地震分野では東南海地震がもうすぐ起こるということで、多分国民全体がそういう意識を持って、今備えつつあると思うんですけれども。では温暖化による災害の場合どうなのかと。例えば首都圏が水没するようなことはあるのかとかということで、結局環境分野のいろいろな成果を生かして、さらにリスク評価を進めて、最もリスクが高いところは今どこなのかと。そこでどんなことが起こるのかを明らかにしていくことが、一つ防災分野に求められているのだと思います。  そのためなんですけれども、リスク評価をしようと思ったときに自然災害の場合、もうデータがない場合が多くて、例えば洪水が起こってもどこで何センチぐらいの浸水があったかみたいな情報は、災害が終わるとデータがどこかへ散逸してしまったりとか。あと土砂災害も空中写真を撮ってその場その場では分析されるんですけれども、やはりそれはどこかに行ってしまうとか。  最後のところで防災科研のするべきところみたいなところを書いていただいたんですが、やはりそういう基礎的なデータ、そういうリスク評価をするための基盤となるデータみたいなところを予算の多い防災科研がしっかりつくって、それを我々自身も使いますけれども、大学の先生方にも利用してもらっていろいろな研究をしてもらうという。お金があるところはしっかりデータをつくることが大事かなと思いました。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。実は私、雪氷災害をやっていますけれども、雪氷災害で同じ議論をしておりまして。大雪になると慌ててみんなが対応するんだけれども、国交省もNEXCOさんもその時は頑張りますが、その後データがどこかに行ってしまうと。これを何とかしなければいけないという議論をまさにしておりました。ありがとうございます。 【鈴木(靖)委員】  関連して気象協会、鈴木ですが、よろしいでしょうか。 【上村主査】  よろしくお願いします。 【鈴木(靖)委員】  ちょうどデータの話をしようと思っていました。環境エネルギー課からDIASの成果、環境省からはA-PLAT、AP-PLATの話、非常に重要な成果を上げていらっしゃると思います。今後、やはりそれを各省庁の個別プロジェクトだけではなくて、分野横断的にいろいろ社会の面でも実利用できるようにしていくにはどうしたらいいかという議論が必要です。これはまさに防災のDX化だと思います。その議論をどこかでしっかりやっていく必要があるのではないかと思います。その部分を今日の議論からスタートして、次回とか次々回にやっていけばいいのではないかというのが私のコメントです。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。まさに今日の資料2の総合知による災害対応DX推進事業の入り口のところがまさにこれになるのかなと私も理解しております。すごく重要なテーマになっていくと思います。ありがとうございます。 【前田委員】  NTT、前田です。よろしいでしょうか。 【上村主査】  よろしくお願いします。 【前田委員】  ちょっと話を聞いていて言葉というか違和感をちょっと感じたので、質問というかコメントなんですけれども。  資料5で、今ちょっとお話があったDIASであるとか、この辺り、気候変動というのは定義的にいうと年間平均、もしくは年間の最大値とか、そういった形の長期的な変動が気候という言葉だと思うんですけれども、この次のページとか次のページでリアルタイムの話が出てくるんですね。リアルタイムとかでいうと気象という言葉のほうが適切かなと思っていまして、これは短期の予測だと思うんです。この長期の予測モデルがこのリアルタイムにどう反映されているのかちょっと不思議に思ったので、気象と気候という定義をしっかりしてもらったほうがいいのかなと。ちょっとその辺り、聞いていて違和感を感じたんですが、もし何か理由とか仕組みがあれば教えていただければと思ったんですけれども、いかがでしょう。 【上村主査】  これは事務局にお伺いしてもよろしいでしょうか。事務局なのかな。御説明いただいた方から……。 【服部環境エネルギー課環境科学技術推進官】  すいません、環境エネルギー課の服部でございます。  私自身、まだ、専門ではないので詳しく今の御質問にお答えできるかどうか分からないですけれども、気象というワーディングと気候変動というワーディング、おっしゃるとおりDIASについてはやはり社会実装ということを考える上において、あまり区分けをせずに使い方ができるものだと思います。そういった形もデータベースになると、やはり予測と気象といったものを組み合わせた形で多分実際の適応はなされていくんだろうなと思っているところではございます。  実際にこのシステム自身がどのような予測とか、先ほど言ったd4PDFといった予測データを使ったりとかしているとともに、リアルデータも使う形で使っていると聞いてはいるんですが、具体的に今日は御説明できないのが恐縮ではございますが。  おっしゃったとおり、そのワーディングについてはちょっと考える必要はあるんですけれども、ただ実際、実運用を考えていくと、そこを組み合わせていくことが必要になってくるのではないのかなと、様々な先生方とか自治体の運用とかを見ているとそのように感じているところでございます。 【前田委員】  多分、短期予測モデルと長期予測モデルは全然違うものだと思いますので、それが連成しているのかもしれませんけれども、ちょっと聞いていて違和感を感じたので、定義づけからはっきりしてもらえれば安心して聞けるかなと思いました。  以上です。 【中北委員】  中北です。私の意見というか、話をさせていただいてよろしいですかね。  DIASそのものはもともと大規模なデータを持っていて、そこにいろいろなモデルを放り込んでいくことによって、そこでいろいろなことができるという発想でつくられていると。その中の大きなものが気候変動なんですけれども。と同時に、防災科研さんもされているように、うちもしていますけれども、リアルタイムの予測自体も大量のデータを用いると。それから大量のリアルタイムの観測情報を必要とすると。ということで、今起こっている現象、特に極端現象の情報をどんどんDIASのほうに入れて、統合的にいろいろな防災的な取組に使うというような視点があると。というので、イメージで言えば気象モデルをベースに、リアルタイム予測という意味の部分と気候変動の部分と、2組あると思っていただいても悪くはないのかなと思います。  それをベースに、だんだん気候変動の中でよりリアルタイム予測が適応として重要になってくると。それから、気候変動の起こっている先で予測がよりメカニズムとして難しくなるかもしれないとか、研究としてはそういう大事な視点ももちろんありますので、だんだん掛け算として、この気象と気候のそれぞれの、私、もともと気象とかそちらの専門で、今、気候の皆さんと一緒にやっているんですけれども、そういう掛け算の世界に、適応のことを思うと、より入っていくのかなと。そういう象徴みたいなものがDIASと思っていただく理解の仕方もあるかなと。これはまたここでそういうような定義の仕方をつくっていただいたらいいのかなと思いました。  以上、少し補足というか意見を述べさせていただきました。今ので少し理解いただくような感じになりますでしょうか。すいません。以上です。 【上村主査】  前田さん、よろしいでしょうか。 【前田委員】  ありがとうございます。大変勉強になりました。よく理解できました。 【上村主査】  二本立てで走ってきたものが、より今後掛け算で連成が深まっていくというような理解かなと思いました。ありがとうございました。中北先生もフォローいただきましてありがとうございました。  そのほかいかがでしょうか。ぜひいろいろな方から。 【永松委員】  永松ですけれども、発言させていただいてよろしいですか。 【上村主査】  永松先生、お願いします。 【永松委員】  ありがとうございます。環境分野の話をまとまって聞く機会があまりなかったので、非常に興味深かったです。  気候変動と防災ということでいうと、僕は2つ論点があると思っています。まず一つは、いわゆるハザードの予測における不確実性が恐らく高まっていくんだろうなと。つまり、過去の延長に未来がないので、もちろん未来の予測そのものはできるんでしょうけれども、その言わば日々の変動の部分といわゆるトレンドの変動の部分とが重なって、地域の社会においては予測されたハザードをはるかに上回るような外力がやってくることが結構増えてくるんだろうなと思っています。  これまでの防災科学技術はなるべくハザードを正確に予測して、ある意味その不確実性をなくして対処していこうと。つまり対処する側が、まあ、例えば完璧に予測できればマニュアルどおりにそれに従って対応すればそれを乗り切れるわけですけれども、不確実性が高くなるということは対応する側に応用力がないと多分もうできないということ。恐らく防災教育とかの課題になってくるのかもしれませんけれども、同時に発生確率が高いシナリオとか蓋然性の高いシナリオを出すことがいわゆるサイエンスの側に求められるのではなくて、ある意味あり得る、つまり地域にとってこれは確率は低いけれどもあり得るよとか、こういうパターンもあり得るよといったような、むしろいろいろなシナリオを出していくことが、備える側からすると、確率が低くても、あるいはメカニズム的に多少怪しくても、そういったもののほうがむしろ有益なものになるかもしれないといったことが考えられると思うんです。その部分が、もうこれは科学のパラダイムを言わばユーザーサイドからどんなシナリオが欲しいのかということでつくっていくようなプロセスが必要になってくるのかなというのが、まず一点思いました。  それから気候変動のもう一つの問題は、事前の備えがだんだん難しくなる、これはもう言われているとおり難しくなってくるんだろうなとなったときに、やはり備えることも大事なんだけれども、備えられなかったときにどうやってそこから立ち直っていくかという、まさしく復興の議論も重要性はきっと増していくんだろうなと思っています。  そうなったときに、例えば復興の場面で今後の温暖化による海面上昇とかというものが予測されるのであれば、やはりより安全な内陸に移って暮らすとか、その復興の在り方も恐らく気候変動を考慮したものになっていかなければいけないでしょうし、あるいは気候変動なんかを考慮した生業の在り方、つまりこれまで漁業をやっていたけれども魚が取れないんだよねとなったときに、同じように漁業を続けるのかといったようなことも、一応防災科学技術の中には、復興はどうか知りませんが、復旧は入っていますので、そういった議論を恐らくしていかなければいけないだろうと考えたときに、防災科学技術研究所なんかでもそういった生業とか生活の部分をどう立て直していくかという議論を恐らくやっていく必要があるだろうと思っています。  さらに、被害を受けることを前提としてその後の生活を立て直すということになると、いわゆるファイナンスの部分ですね。言わば家がなくなった、潰れたとしても、お金があれば何とかそこで生活を立て直していけるということでは、私はすごくこれからの成長分野としては、金融技術とこうしたハザードの予測技術なんかを組み合わせたファイナンスの研究みたいなものは世界でも既にどんどん興っていますし、日本がその分野でリーダーシップを取れるような研究ができるといいなと思っています。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございました。2点すごく重要なお話を頂きました。不確実性は高まっていくと。という点でいうと、唯一解よりはシナリオをちゃんと用意していかなくてはいけないと。それから事前の備えがどんどん難しくなっていく中で、ある程度災害は起きることを前提にしたよりよい復興を事前にしっかり考えていくというようなお話だったかと思います。  これはどこかにありましたね。資料6だったでしょうか。これですね、資料6の4ページですか。まさにファイナンスの話で、これは損保協会の支払い実績ですが、近年どんどん増えていて、保険として払う金額の上位を毎年どんどん更新していると。損害保険自体が今後考え方を思い切って変えないと、もうもたないのではないかという議論も出ているようでございます。  それから資料6の10ページでございます。この右下の図でございますが、災害リスクの高い赤い場所については、リスクの低い場所への誘導を政策的に促していく動きも出てきておりますので、まさに事前に災害を減らす社会を長期的な視点で見ていくと。まさにこの辺りも重要な問題になってくるんじゃないかなかと、お話を聞いていて思っておりました。永松先生、ありがとうございました。  そのほかいかがでしょうか。まだ時間がありますので。 【鈴木(博)委員】  JR東日本の鈴木ですけれども、よろしいですか。 【上村主査】  鈴木さん、よろしくお願いします。 【鈴木(博)委員】  JR東日本の鈴木です。  鉄道での話をさせていただきますと、先ほど前田委員から話がありましたように、鉄道も、気象と気候の両方とも影響を受けますが、気候の方のお話をさせていただきます。その前に、鉄道は大学で研究されている先生もほとんどいらっしゃらなくて、その理由として先生方から鉄道はなかなかデータを出してくれないからという話も聞きますが、しかるべきところに問い合わせていただければ出せるデータもいろいろとあります。  大学の先生で鉄道を対象にして研究されている先生はあまりいらっしゃいませんが、一方で鉄道はささいなことでもマスコミに取り上げられたりして、一般からの関心は高い分野だと思っています。将来気候という時代に鉄道がどんな形態で存在しているのか分かりませんが、将来気候下で鉄道が受ける影響の解析を少し始めると、鉄道も大雨などの影響をかなり受けることが分かってきました。  鉄道は先ほど言いましたように一般の方からも比較的興味・関心の高い分野だと思いますが、今日の説明の中に鉄道は一切出てきていません。例えば、将来気候下で将来気候のあるシナリオになると大雨によって列車が今より何倍止まるとか、こちらのシナリオになるとそれがここまで抑えられるといった評価は、鉄道会社としても重要ですけれども、一般の人に対する地球温暖化防止の啓発という意味でも比較的分かりやすい指標ではないかと思っています。ぜひ、鉄道会社としてもそんなことを社外に出していければいいと思います。  鉄道を対象にして研究していただける大学の先生があまりいらっしゃらないのが現状ですが、せっかくこういった枠組みをつくるのであれば、鉄道のことも少し取り上げていただけるような仕組みも考えていただければ、鉄道会社としては非常にありがたいことですし、鉄道会社というだけではなくて、先ほどお話しましたように一般の人たちに対する地球温暖対策の啓発としても使うことができように思っています。  あと、三隅委員からデータと災害の記録の話がありましたけれども、鉄道は閉じた中で防災対策を行っており、鉄道会社では気象観測も行っていますし、災害を受ければきちんとそのデータを残しています。どれくらいの規模の災害が起きたとか、どのくらいの冠水が発生したとか、そういったデータはきちんと取っておく習慣が鉄道会社にはありますので、そういったデータは非常に貴重なんだなと思いました。そういったデータも使っていろいろな気象あるいは気候に対する研究をもっと、鉄道会社だけではなくて、せっかくの機会ですので、広める機会につなげることができたら良いと思いました。  以上、コメントです。 【上村主査】  ありがとうございました。すごく大事な御意見を頂いた気がしていて。国民を守る、もちろんそうなんですけれども、インフラ企業を守るというか、インフラを守るという、これは物すごく大事な防災なんですよね。インフラを守ることで国民の生活を守ることになりますので、こういったインフラ企業と一緒に考えていくということ、あるいはインフラ企業がもともと持っている知見だとかデータだとか、こういったものもできる範囲で共有させていただいていくのはすごく大事な方向性を示してくれているような気がしました。ありがとうございました。 【鈴木(博)委員】  ありがとうございます。よろしくお願いします。 【上村主査】  よろしくお願いします。お次の方。 【小室委員】  小室ですが、よろしいですか。 【上村主査】  小室先生、ありがとうございます。よろしくお願いします。 【小室委員】  先ほどの永松先生の話に少し関係するんですけれども、気候変動の影響ということで、それに対する適応策とか、それを防災に役立てることを考えた場合に、今まで人文社会系からの貢献としては、今回のいろいろなお話の中では理解してもらうためのこととか、広報とか、社会実装、そういうところでしかなかなかお話が出てこないんですが、やはり気候変動によって非常に大きく社会がインパクトを受けるのであれば、社会そのものの変容ということへの研究ももっと真正面に置いていただけないかなと思った次第です。  その社会の変容というのは、ごくごく短期に言えば、復興・復旧から始まってもっと長期にわたるわけですけれども。ところがやはり、防災科学技術とついてしまうと、その辺が何か入りにくいような感じを多分皆さんお持ちだし、そういう「技術」というところから始まったのだとは思うんですが。今回、総合知ということが非常に強くうたわれていますので、社会の変容、具体的には先ほど永松先生がおっしゃったような教育ですとか、土地利用ですとか、法整備とか、金融ですとかいろいろなジャンルがあると思うんですが、その方面も一つ正面に据えるようなことが今後できないのか、その辺を御検討いただければと思います。  以上、コメントです。 【上村主査】  ありがとうございました。防災科学技術委員会という名前はそう簡単に変えられないと思うんですけれども、このメンバーでやっており、まさに総合知を掲げておりますので、本当に今のような視点で議論を広げられるようなプロジェクトを文科省でもしっかり考えていただきたいと、本当にそう思いました。ありがとうございました。 【大原委員】  よろしいでしょうか。大原です。 【上村主査】  大原先生、よろしくお願いします。 【大原委員】  気候変動に関して私の研究センターにも、2080年から2100年の将来気候がどうなるかのシミュレーションをしている研究者がおりますが、その頃に生きているのって、今、小学生ぐらいの人しかいないと思うんですよね。いつも思っているのですが、今、小学生の人やこれから生まれる人たちにきちんと気候変動下での生き方や、どうしたらいいかを真正面から教えていって、生き抜く力を持っていただかないといけないと思います。  ですので、今日、防災教育の話は出てきていましたが、気候変動そのものの教育についてはあまり出てきていないと思うんです。もちろん今まで気候変動の信ぴょう性については色々な議論があり、教科書に入れづらかった側面はあると思いますが、そろそろ議論が収束してきたような気もします。学校教育に組み込んで、気候変動に関心を持つ子供やどうにかしようと思う若い人をどんどん育てていくほうに力を使っていかないと、将来の世代が気候変動下で生き延びられないんじゃないかなと懸念しています。  あと、気候変動やIPCCの報告書などを真面目に読むととても怖いんですよね。全く明るい未来が見えないし、逆にもうどんどん暗くなってしまって、このような世の中で生きていけるのかななんて思ってしまう子供が出てくると思います。真正面から教育するといったときにトラウマにならないように教育するのが難しい分野ではないかと思っています。防災教育全般もそのような側面はありますが、特に気候変動は未来が見えないところを私はすごく感じていて、子供にどう伝えるのか悩ましいのではないかと思っています。  ですので、もうそろそろ子供の教育にもう少し気候変動を入れていったほうがいいのではないかという感想を持っています。  以上です。 【上村主査】  ありがとうございます。本当に大事なことで、安全な地域への誘導って言葉で言うのは簡単なんですけれども、ざっくり言うと3世代かかるんですよね。だから1世代で簡単に街が危ないところから無くなるはずがなくて、岩手の津波被災地の高台移転も実際に移転したのは60年後だったみたいな話もあります。  やはり3世代ぐらいをイメージした中での防災をどう考えていくかというのは本当に重要な視点で、まさに適応という部分に人間社会、あるいは次の世代を担う人たちに適応していってもらわなければいけないというこの現実をどう社会の仕組みに組み込むかですよね。まさに文科省の委員会ですので、文部科学の中で次の世代、さらにその次の世代にどういうメッセージを伝えるのか。多少のストレスがかからないと学びにつながらないんですけれども、ストレスがかかり過ぎないように、不安をあおり過ぎないように、いかに皆さんに真剣に考えていただけるようになるかと。本当に大事なテーマを頂きました。ありがとうございました。  それではそのほかの方、いかがでしょうか。 【熊谷委員】  川崎市消防局の熊谷ですが、よろしいでしょうか。 【上村主査】  熊谷さん、よろしくお願いします。 【熊谷委員】  私どもはユーザー側というか備える側に一番近いところにいるのですが、今日のお話を伺って、私は本当に気候変動に対して知識がなかったと実感しています。市民の方々は暑い日が増えた、大雨が増えたという実感はあるものの、こういう科学的な見地がきちんと積み上げられていることは知らないと思います。このような研究が進み科学的な知見が集まっていることを私たちが市民の方にお伝えできればいいなと思いました。やはり市町村の職員も気候変動に対してもう少し勉強して、防災につなげていかなければいけないと実感しました。  市民の方で地域に昔から住んでいる方々は正常性バイアスがあるので、今まで災害がなかったから大丈夫という意識が非常に強いため、これからは科学的な知見がありここは危ないということを伝えることによって、もう一度自分の地域を見直せるのではないかと感じました。鈴木先生、小室先生がおっしゃっていたように、教育や情報をいかに市民の皆様に伝えるかは私たちの使命でもありますので、ぜひこのような科学的な研究が進んでいることを私も多くの方に伝えたいと感じました。 【上村主査】  いえいえ、本当にありがとうございます。本当にそうでして、学者が何か難しい言葉でいろいろなことを言っていても市民の皆さんになかなか伝わらないので、消防の皆さんでかみ砕いていただいて適切なメッセージとして上手に届けていただくと、本当に大事な取組になると思います。ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。 【熊谷委員】  ありがとうございました。 【上村主査】  そのほかいかがでしょうか。まだもうちょっと時間がありますので大丈夫です。 【中北委員】  すいません、中北ですけれども。 【上村主査】  中北先生、よろしくお願いします。 【中北委員】  何遍もすいません。2つなんですけれども。  今、熊谷さんのおっしゃられた関連でいいますと、国は各省庁の、今、横断的なところができてきているんですが、行政のお役所の中で気候変動適応に関する取組を環境省さんと一緒にやらせていただいているんですけれども、例えば近畿でですね。その時に例えばゲリラ豪雨に対する適応をどうしようかというようなことをやったりしていますが、大体集まりに出てこられているのは環境の部署の方が出てこられるんですけれども、来ていただきたいのは、今まさしく御参加いただいている危機管理の皆さんに来ていただきたいんですが、なかなか意識を持っていただけないということで。  今お願いしているのは、お役所の中で環境ベースの方が取りあえずまず一生懸命考えられているので、それを横のつながりで何とか庁内でも盛り上げていただきたいということをよく話をすると。そこらがやはり一つ大きなところ。さらに、多くの危機管理の皆さんにも意識を持っていただくと、また市民の皆さんにも伝わる。それだけが道ではないですけれども、大事なパイプになるのかなという意識を持っています。  それから、先ほどの総合知の関連でいいますと、まさしく人文社会に関するところを取り上げるべきだというのは私も大賛成で、人文社会系の皆さんと掛け算になっていくのに大事な視点が、一つは先ほどありました適応として人間がどう反応していったらいいのかという、研究としても面白いだろうし、社会、将来を予測していく、気候変動下で、世紀末にかけて、あるいは何世代か先にかけて、そういうような視点も今からいろいろなことを進めていくのは非常に大事かなとは思いました。  それともう一つ大事なことが、今、気候変動にどう適応していくかという話なんですけれども、それと同じように先ほどシナリオベースにということがありました。で、ハザードに関しては結構シナリオをしなくても、最悪どのところまで来るかというのは温暖化で結構研究が進んでいるんです。温暖化の中で台風が最悪このコースに来たらそれぞれの地点ではどうなるかというのは出るんですけれども、一番難しいのはやはり社会が、あるいは例えば人口一つにしても各地域でどう変わっていっているかということが、これはもうシナリオベースでしか今はやりようがないと。そこのところも含めて、人文社会系との掛け算は非常に大事かなと。  もう一つは今もやられている避難とか防災教育とか、もちろんその視点もありますけれども、以上の3つが人文社会系との掛け算で大事なところ、まだ踏み込めていない大事な視点だと。皆さんの御意見はまさしくそうだと僕も思いました。  以上です。すいません、長くなりました。 【上村主査】  ありがとうございました。まさに適応というキーワードでひもといていくと、これは人文社会系だけでなく、本当に総合知というところのキーワードが本当に重要なんだなということが改めてよく見えてきます。ありがとうございました。  まだもう少し時間がございます。いかがでしょうか。 【大湊委員】  大湊ですけれども、よろしいでしょうか。 【上村主査】  よろしくお願いします。 【大湊委員】  私は専門でない、どちらかというと素人から見た考え方になるかと思うんですけれども。  今日、資料5と6で文科省さんの取組と環境省さんの取組という形で紹介があったんですけれども、例えばこれはそれぞれの省庁ごとに一応守備分野というか、こういうことに力を入れるべきというものが多分あると思うんですけれども、すごく同じようなことを別々のところでやっているなという印象を少し持たないわけでもないんですね。  どちらかというと環境省さんのほうは長期的な話であったりをしているようですし、それから文科省のほうは結構、例えば河川の流量のリアルタイム管理とか、そういうものになると随分末端に近いところが入っているなとかと思いますし。ただ一方で、本当に災害に対応しようとすると、最後に災害に対応する国交省さんのほうのものだとか、あと自治体とか、先ほどの鈴木さんの話ではないですけれども、それぞれの民間業者とかが最後に動いて初めて防災になるわけですけれども。  ここで皆さんの意見を出してもらって、それで文科省の何かしらプログラムとして提案することにいずれつながるんでしょうけれども、その時にどの範囲、あらゆるものを含めたものを提案するという話なのか、それともそういうものの中からやはり文科省の立場から見て妥当なこういうことにしますよという話になるのかというのがちょっと見えなくて。  皆さん、何でもいろいろな、あれもこれもやろうという話になるけれども、でもそれは実際はやはり無理なわけで。やはり文科省の下で考えるプログラムであれば、言わば文科省が得意な、先ほど教育が重要だという話もあったから、教育も必要だと思いますし、それから社会科学的な、避難する側がどういうふうに情報を受け取るかとか、そういうものを含めたプログラムとかは例えば環境省さんはできないでしょうから文科省でやりましょうとか、そういうすみ分けがあると思うんですけれども。その辺のすみ分けの議論はどの段階で誰がやることになるのかなというのがちょっと。  要するに皆さん、いろいろな意見を出すけれども、それをどこかで整理してまとめないと結局実現しないことになるような気がするので。その辺りがどういう流れになるのか、これは事務局さんが答えるのかよく分からないですけれども、一つここを教えてほしいと思いました。 【上村主査】  ありがとうございます。これは事務局が答えるのがいいかなと思いますが、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  事務局でございます。先生、ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。  いわゆる役所というのは、明確にあるいは細かいところまで完全に区分けした上でふだん仕事をしているのかといいますれば、当然それぞれの所掌はそれぞれの観点で結果的に関連する、あるいはある意味あえて言えば重複するというんでしょうか。ただ、別々の観点で取り組むことに意義があるというようなものも多数ございます。  先ほど教育の話がございましたけれども、当然文部科学省において先ほどの生き方、在り方も含めての教育というもの、これはもし別途時間などがあればぜひ御紹介したいところではありますけれども、行っているところでございます。他方で環境省さんでも、私の理解ではたしか環境教育推進室という部署があるように記憶しております。そうしますと、では環境省のその教育のセクションは完全に重複しているのかといえば、そういうことではなくて、やはり環境省として様々な施策、先ほど普及啓発などもありましたけれども、そういったことも含めて進めていく上でそういった部署が必要であるということで、当然それは文部科学省を含めて各省庁とも調整をした上で、国全体としてのバランスの取れた組織があると理解しているところでございます。  他方で、大湊先生から御指摘のあったとおり、何でもかんでもばらばらにやればいいということでは全くないことでございまして、今日頂いた意見も含めて、どう今後それをまとめていき、それを具体の段取りとしてそれぞれの部署なり、あるいは役所なりで施策に取り込んでいくのかというところは、まさしくこれから次回以降も様々御意見を頂いた上で、私どもとしてもぜひ考えていきたいと思っておりますが。  ただ、最初からそれをきれいに整理した上での議論ということですと、なかなか自由な御意見を賜ることも難しいところがあるかと思いますので、できる限りの説明はいたします上で、できるだけ先生方の様々な御専門を踏まえた幅広い観点で今後も御議論賜れればありがたいと思っております。  以上です。 【大湊委員】  了解しました。ありがとうございます。 【上村主査】  ありがとうございます。各省庁それぞれの立場もございますし、ミッションもございます。とはいえ、この防災ということになるといろいろな省庁を横断してそれぞれでやっている部分もございまして、事務局からは、だからこそほかの省庁の方の今の取組についても先生方にもお話を聞いていただきたいということもあって、今日は文科省の中の方、それから環境省からということでお招きして話題提供いただいたと。今後もまたいろいろなゲストの方をお迎えしつつ、我々にいろいろインプットしていただいて、今、室長からも説明がありましたとおり、あまり収束を意識せずにまず議論を発散させるというか、幅を広げていきまして、その中で事務局を中心にプロジェクトというところの議論に収束させていくという段階を踏んで、これを進めさせていただきたいと私は理解しております。室長、それでよろしいでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。 【上村主査】  ということで、頂戴した時間が実は既に少々過ぎております。もう一言だけ何か御発言のある方がおられれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。  よろしいでしょうか。本当に大勢の方からたくさんの御議論を頂きましてありがとうございました。本日の用意した議題については以上でございます。  事務局において、本日頂いた意見を踏まえまして今後の委員会の運営、それから防災科学技術政策の現状等について検討を進めていただければと思います。  目黒先生、どうぞ。  声が聞こえていないようですが。目黒先生、申し訳ございません。音声が入っていないようです。  どうしましょうか。 【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。事務局でございます。  事務局から目黒先生の音声を出すことができないかトライしたんですが、なかなか難しいようでございます。 大変恐縮ではございますが、追って目黒先生の御意見は確かに事務局で承って、また各先生方に何らかの形で御報告させていただくなどで、定刻を過ぎておりますので、対応させていただければと思いますけれども。 【上村主査】  目黒先生の音声が聞こえないので確認ができないですが、お許しいただけますでしょうか。申し訳ございません。事務局にお伝えいただいて、それを各委員に共有していただくことで御了解ください。ありがとうございます。  それでは事務局で連絡事項等がありましたら、よろしくお願いいたします。 【山田防災科学技術推進室長補佐】  次回の委員会の日程については、後日こちらから改めて御連絡させていただきます。 【上村主査】  目黒先生、申し訳ございません。そのほかの先生方でどうしてももう一言ということがあれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。  よろしいでしょうか。それでは以上をもちまして、本日の委員会を閉会といたします。どうもありがとうございました。 ―― 了 ―― ※終了後、事務局において目黒委員のご意見を以下のとおり確認しておりますので、ご了承の上、掲載いたします。  災害保険は、本来はリスクファイナンスとリスクコントロールの2つの機能があります。2つの違いは、前者は保険に入っていると起こって欲しくない事象が起こった際に、金銭的な支援が得られるというもの、後者は保険によって起こって欲しくない事象を起こりにくくするものです。多くの火災保険は火災のみならず風水害や盗難などを含めた災害(ただし地震や津波、火山噴火を原因とする災害は除く)が発生した際に、その損失を補填するものです。補償対象としては、新価と原価の違いがありますが、これらはリスクファイナンスの機能です。風水害なども対象とするので、この機能だけでは不十分だと思います。洪水や土砂災害などでは、立地場所によって災害リスクが大きく異なるので、この条件を正しく評価して保険料率に反映することで、災害リスクの低い地域へ人口を誘導することが大切です。この機能はリスクコントロールの機能ですが、これを実現していかないと保険で最も重要な「公平の原則」も確保されません。地域ごとの災害リスクを適切に評価し、この情報を開示して事前に適切な対策を講じやすい環境を整備することが重要です。一方で、地籍調査の進捗率が低い問題も大きいので、これも合わせて改善していく必要があります。  災害が将来確実に起こることを踏まえれば、ライフライン会社など、インフラを介してサービスを供給する側が、自分たちの対策や対応能力の限界を事前に需要者に対して説明するとともに、事前防災の観点から、需要者が実施しておくべき具体的なアクションを伝えていくことが大切です。そうしないと、供給者側は今後も「予期できなかった事態」と言い訳しなくてはいけないし、需要者側も自分で可能な対策もせずに被害を拡大してしまいます。また、人口の増加や減少といった地域の変化を踏まえた施策展開が適切に取れていない現状もあると感じます。 日本が過去の一時期のように、今よりも相対的に金持ちであった時代は、少数の住民がそこに住んでいることを前提に、彼らの生活を大きな予算のかかるインフラで守ることができましたが、現在の状況は大きく異なっています。厳しい制限のある予算と、老朽化が進むインフラを前提として、どのように災害に強い地域社会や国土を実現してくのか。適切な地域評価に基づいた人口誘導と、大きなインフラに過度に依存しない生活環境を実現していくことが重要です。  我が国では、現在のままでは、近未来に、下水道、上水道などから、サービスの存続が難しくなることが指摘されています。海岸線の防災対策も同様です。我が国の海岸線の全長は約4万kmありますが、その中で護岸整備が必要な海岸線は約1万4千kmあります。その中で整備済みは約1万kmであり、まだ4千km足りない訳ですが、既存施設の更新維持管理も必要です。海岸の護岸設備は適切にメンテナンスしても寿命は100年程度なので、今後毎年100kmずつ更新していかなくてはいけないということです。これは現在の財政的な状況からは不可能です。維持更新費を対象人口で除した値がある一定以上高いものは、今後は老朽化しても更新は難しいことを伝え、安全な場所に移動していただくことを考えるなど、中長期的な負担を想定してた施策の検討が重要です。  そのためには、技術や工学分野のみからの検討では不十分で、社会科学の分野との融合が大切です。米国の地震工学を代表する学会であるEERIでは、随分と前から社会科学系の研究者が大勢メンバーになっていますし、学会長にも何人もなっています。

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