防災科学技術委員会(第49回) 議事録

1.日時

令和3年4月23日(金曜日)10時00分~11時50分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 主査代理の指名について(非公開)
  2. 議事運営等について(非公開)
  3. 研究開発課題の評価について(非公開)
  4. 防災科学技術政策の現状等について
  5. その他

4.出席者

委員

上村主査、小原主査代理、大原委員、大湊委員、熊谷委員、小室委員、鈴木(博)委員、鈴木(靖)委員、関口委員、中北委員、永松委員、前田委員、三隅委員、目黒委員、森岡委員

文部科学省

生川研究開発局長、長野大臣官房審議官(研究開発局担当)、鎌田研究開発局地震・防災研究課長、福田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、柴田研究開発局地震・防災研究課長補佐、山田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐 他

5.議事録

【山田防災科学技術推進室長補佐】 定刻を少し過ぎまして大変恐縮です。それでは、ただいまから防災科学委員会、第49回を開催したいと思います。
初めに、事務局からお知らせいたします。このたびは、委員の皆様におかれましては、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日は委員16名中、14名の御出席をいただいております。定足数を満たしておりますので、始めたいと思います。ウェブの会議ですので、資料はお手元のPCで御覧ください。
それでは、始めたいと思います。まず、本日は第11期科学技術・学術委員会研究計画・評価分科会として防災科学技術委員会発足の最初の会議でございます。御就任いただいた委員の方々を紹介させていただきます。資料1に名簿がございまして、こちらを名簿順に御紹介させていただきます。
なお、上村委員におかれましては、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則第5条第3項に基づきまして、研究計画・評価分科会長より本委員会での主査に指名されておりますので、御報告させていただきます。
資料1を御覧ください。名簿順にお名前を読み上げます。長岡技術科学大学工学部機械創造工学専攻教授、上村靖司主査。
【上村主査】 よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 よろしくお願いします。
国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター主任研究員、大原美保委員。
【大原委員】 よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 東京大学地震研究所教授、大湊隆雄委員。
【大湊委員】 よろしくお願いいたします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 東京大学地震研究所教授、小原一成委員。
【小原委員】 よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 神奈川県川崎市消防局高津消防署署長、熊谷智子委員。
【熊谷委員】 よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 東京国際大学副学長言語コミュニケーション学部学部長、教授、小室広佐子委員。
【小室委員】 よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 東日本旅客鉄道株式会社JR東日本研究開発センター防災研究所所長、鈴木博人委員。
続きまして、一般財団法人日本気象協会執行役員最高技術責任者/最高情報責任者、鈴木靖委員。
【鈴木(靖)委員】 よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 続きまして、京都大学防災研究所社会防災研究部門准教授、関口春子委員。
【関口委員】 よろしくお願いいたします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 京都大学防災研究所所長、中北英一委員。
【中北委員】 中北です。どうぞよろしくお願いいたします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 関西大学社会安全学部・大学院社会安全研究科教授、永松伸吾委員。
【永松委員】 永松です。よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 兵庫県企画県民部防災企画局防災企画課長、前阪一彰委員。
続きまして、日本電信電話株式会社宇宙環境エネルギー研究所所長、前田裕二委員。
【前田委員】 よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 国立研究開発法人防災科学技術研究所総括主任研究員/水・土砂防災研究部門長、三隅良平委員。
【三隅委員】 三隅です。よろしくお願いいたします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター長・教授、目黒公郎委員。
【目黒委員】 目黒公郎です。よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 松山大学人文学部准教授、森岡千穂委員。
【森岡委員】 森岡です。よろしくお願いします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 以上、16名の皆様が本委員会に御就任いただいております。第10期から今回の11期を迎えるに当たりまして、新たに小原委員、熊谷委員、小室委員、関口委員、中北委員、永松委員、前阪委員、三隅委員、目黒委員、森岡委員に加わっていただいております。
続きまして、文部科学省からの出席者を紹介いたします。生川研究開発局長。
【生川研究開発局長】 よろしくお願い申し上げます。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 長野研究開発局審議官、鎌田地震・防災研究課長、柴田地震・防災研究課課長補佐、福田防災科学技術推進室長、山田防災科学技術推進室長補佐、武井防災科学技術推進室調査員。
ここで文部科学省側からを代表いたしまして、生川研究開発局長より御挨拶をいただきたいと思います。
【生川研究開発局長】 研究開発局長の生川でございます。委員の先生方におかれましては、御多用のところ、科学技術・学術審議会防災科学技術委員会の第11期の委員をお引き受けいただきまして、改めましてお礼を申し上げます。
本年3月に閣議決定されました第6期の科学技術・イノベーション基本計画においては、我が国が目指す社会としてSociety5.0の実現が重要な課題となっているところであります。その中でも激甚化する大規模自然災害への対応として、国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会への変革が強く求められているところであります。最近においても昨年7月の九州地方等における豪雨や本年2月に福島県沖を震源としますマグニチュード7.3の地震が発生したところでありますけれども、科学技術を活用して、こうした自然災害に強い社会の構築を図っていくことは、我が国にとって極めて重要な課題であると認識をいたしております。
このような状況を踏まえて、第11期の委員会では、主に大きく2点について御審議をいただきたいと考えております。1つは、文部科学省の防災科学技術関係の施策、課題が適切に行われ、成果の創出につなげられるよう研究開発施策、課題の評価を行っていただきたいと考えております。もう一つは、科学技術・イノベーション基本計画の策定も踏まえつつ、総合知の活用による社会実装や災害対応のDX化などを含む防災科学技術施策の推進方策の大きな方向性について御審議をいただきたいということでございます。委員の皆様方より様々な観点、広い御知見、御経験に基づいた御意見、御議論等をいただきますことをお願いさせていただきまして、簡単ではございますが、私からの冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 ありがとうございます。
続きまして、このたび科学技術委員会主査に御就任いただいた上村委員より御挨拶をいただきたいと思います。
【上村主査】 改めまして、長岡技術科学大学の上村と申します。第11期の主査を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いいたします。一昨日、この会の親委員会に当たります研究計画・評価分科会というところに出席をさせていただきまして、ようやく少しこの委員会の位置づけというか、やるべきことというところが私なりに見えてきたかなというところでございます。親委員会の名前にありますように、今ほど局長からもお話しいただきましたけれども、計画、それから、評価というところの内容について、防災科学技術の内容について計画、評価というミッションを課されているのだというふうに理解をしてまいりました。
私も実は2019年からこの委員を仰せつかっておりまして、まだ3年目ということで、正直申し上げて、まだ十分に理解できていないことがたくさんございます。委員の皆さんも半分以上、たしか今回入れ替わったということで、ほぼ刷新という状況で、まだ状況のよく分からない方も多いかなと思いますけれども、継続されている先生方、それから、事務局の方のサポートをいただきながら進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【山田防災科学技術推進室長補佐】 ありがとうございます。
それでは、以降の議事を上村主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【上村主査】 それでは、早速ですが、今日、12時にきっちり終わらなければいけないということで、時間が、決まりがありまして少し窮屈になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

< これより非公開 >

【議題1 主査代理の指名について】
科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則第6条第7項の規定に基づき、主査の指名により、小原委員が主査代理に指名された。

【議題2 議事運営等について】
以下の資料について事務局より説明があり、研究評価については、運営規則第7条第3項における非公開と適当であると認める案件として、非公開とすることが決定された。

・資料2-1 防災科学技術委員会の概要
・資料2-2 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則
・資料2-4 防災科学技術委員会運営規則
・資料2-5 防災科学技術委員会の公開の手続について

< これより公開 >

【上村主査】 それでは、議題4、防災科学技術政策の現状等についてということで、事務局から説明をお願いします。
【福田防災科学技術推進室長】 失礼いたします。資料4-1をお願いいたします。画面で資料4-1でございます。
< 傍聴者入室 >
【福田防災科学技術推進室長】 今、傍聴の方も登録できたようでございますので、事務局の説明、開始させていただきます。資料4-1でございます。まず、先ほど議論がございましたが、この科学技術・イノベーション基本計画というものがこのたび閣議決定されたということでございます。この中で幾つかポイントというのがあるかと思うのですが、特にこの防災という極めて総合的な分野における特徴といたしまして、ちょうどこの真ん中の辺りに赤字で「総合知」という言葉が出てまいるかと思います。これが1つ、この防災分野におけるこの科学技術を進めていく上での今後の1つキーワードになるのではないかと思っております。この左下の方におきましても、この総合知の活用による社会実装といったような言葉なども出てくるというものでございます。
その詳細について若干説明させていただきたいと思います。資料4-2の方に下りていきまして、ここでもう少し画面を拡大しますと、まずこの大きな考え方として、この下線を引いているところを中心に御説明しますけれども、この激甚化する大規模自然災害、あるいはこのすぐ下にも「多頻度」といったような言葉なども出ております。冒頭、局長の挨拶からもあったように、こういったこの自然災害の対応というのが極めて重要というように考えております。その下で、この総合知の考え方として人文・社会科学の厚みのある知の蓄積を図るとともに、自然科学の知との融合による人間や社会の総合的理解と課題解決に資する総合知の創出・活用がますます重要となるということでございます。
それを具体的にどう進めていくかということで、これは防災分野に限りませんけれども、この下、このSociety5.0を具体化していく上で、もう少し下のところで、第2章で、その実現に向けた具体的な中身として、この(1)でサイバー空間とフィジカル空間の融合化による新たな価値の創出、すなわちデジタル化、あるいはDXといったようなものとの関連というのがございます。ここで国が整備する安全・安心で信頼できるデータプラットフォーム、こういったものの構築というものが求められているということでございます。
この下、四角囲いのところで具体的に防災分野におきましては、例えば全都道府県でSIP4Dを活用した災害対応が可能ということが今後のこの数値目標として掲げられているというものがございます。さらにそれを発展させていく上で、この具体的な取組というところで、データプラットフォームという言葉が出てまいりますが、防災、あるいはそれ以外に主要な分野として教育、医療、それから、防災などの分野において、こういったこの官民が一体となって活用できる、このデータプラットフォームを2025年までに構築し、運用を開始するということでございます。当然、これはオールジャパンの取組ということでございますけれども、その中で研究開発の観点から求められているというところも非常にあるのではないかというように考えております。
また、これ以外にも様々な研究開発要素のあるような書きぶりといたしまして、ここで地球規模課題の克服に向けた社会変革というのがございますが、例えばこれは革新的環境イノベーション技術の研究開発ということで、地球環境ビッグデータの蓄積・利活用といったようなことが記載されているということ。それから、その下、(3)のレジリエントで安全・安心な社会の構築、これは防災の本丸というところかと思いますけれども、ここにあるような災害への対応、それから、もう少し下のところで、この自然災害に対し、先進ICTに加え、先ほどのこの総合的な防災力、これの発揮により適切な避難行動等による逃げ遅れ被害の最小化、市民生活や経済の早期の復旧、復興が図られるレジリエントな社会を構築するということが打ち出されているということでございます。
さらに、もう少し具体化した施策の取組ということで、このもう一つ下のページのところで、具体的取組ということで①頻発化、激甚化する自然災害への対応。先ほどSIP4Dという取組が出てまいりましたが、これを核とした情報共有システム、これの都道府県、市町村への展開を図るとともに、地域の防災力の強化、それから、DIAS、データ統合・解析システムを活用した地球環境ビッグデータの利用による災害対応に関する様々な場面での意思決定の支援などを推進する。総じてこれは災害対応のDX化、これを推進していくべきであるということでございます。こういったことが書かれているものでございます。
また、関連分野としてここのページで宇宙や海洋分野における安全・安心への対応ですとか、あるいはそのためのこの観測、予測といったものを行っていくということ。さらに、そのためには、当然、これはオールジャパンの取組でございますので、追って説明いたしますが、文部科学省の事業だけではなく、ここでSIPという言葉が出てまいりますけれども、この他省庁の施策も含めた取組といったようなこと。
それから、下のページに行きまして、省を飛び越えますけれども、ここで災害対策、あるいは国土強靱化、こういったオールジャパンの取組、それから、地球規模課題の解決に貢献する衛星開発といったようなこと、さらにはその下、海洋のところでも、この地震・津波・火山等の脅威への対応といったようなこと。特に海洋観測では様々なこういった取組、あるいは観測技術の開発を進めていくといったようなことが記載されているということでございます。
以上が簡単でございますけれども、主だった防災関連の記載ということでございます。
次に、現状ということで、文部科学省が今何をやっているのかというところでございます。この次のページのところで、ここで青写真、私どもこの1枚紙を使ってよく御説明させていただいているところでございます。上にあるこの概要というのは、この大きな考え方というところでございますけれども、具体的事業の中身としては、この中で左上にあるこの観測網、これを構築、運用していくといったようなこと。それから、左下には、本日、委員でも御出席いただいている方がいらっしゃいますが、この防災科学技術研究所、防災科研の取組、それから、右上のほうにつきましては、これは私どもの地震・防災研究課が事務局を務めている地震調査研究推進本部としての関連事業。それから、右下にそのほか幾つか、これは文部科学省の内局事業と呼んでおりますが、直接執行する事業として幾つか取組を進めているというところでございます。
それぞれの事業について、以下資料をつけさせていただいているのですけれども、本日、時間の都合で詳細は割愛させていただきたいというように思っております。資料を下の方にまいりまして、以上を踏まえまして、この現状というのをとらえて、本日、これは初回でございますので、まず各先生方からの御意見ということであるかとは思いますけれども、御参考ということで議論のポイントの例ということで掲げさせていただいてございます。こちら、資料5でございます。あくまでこれは例でございますので、必ずしもこれにとらわれず、自由に意見交換いただければと事務局としては思っておりますが、1つは、やはりこの基本計画を踏まえた防災科学技術施策の在り方、先ほど紹介したキーワードということでも総合知の活用による社会実装、あるいは頻発化、激甚化する自然災害への対応、それから、安全・安心で信頼できるデータプラットフォームの活用、先端ICTを活用したレジリエンスの強化、それから、災害対応のDX化、こういったことが挙げられるのではないかというように思っております。
それから、この防災というときに、やはりそれぞれの災害、その性質、対応というのは異なるところ、多分にあろうかと思っております。そういった災害の種類、地震・火山、あるいは雪氷・風水害、ほかにもあるかもしれませんけれども、こういったものに応じた防災科学技術の推進、それにおける課題といったようなこと。それから、最後にこの防災科学技術に関わる国立研究開発法人、それから、大学、そういった様々な主体というものがあるかと思うのですけれども、それらの関係機関がどういった役割、これを果たすということが期待されるかといったようなことなどがあり得るかというように思っております。先ほど申し上げたとおり、これはあくまで例ということでございますので、必ずしもこれに限定してということではないと思っております。
事務局としては、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【上村主査】 ありがとうございました。
なかなかこの膨大な資料をパッと見せられて、これを読み解いていくのは大変かとは思うのですが、今回、第1回目ということもございます。先ほども申し上げた計画とか評価という案件もございません。ですから、残り時間かけまして、先生方、初めての先生も多いですので、自己紹介を兼ねるような形で、今ちょうど画面に提示されておりますような議論のポイントを何となく横目で見ながら、思うところを自由に御発言いただければいいかなと思います。とはいえということで、先ほど少し御説明いただいたところの中で、この会も上の委員会があって、さらにその上に学術審議会がありましてということで、国の大きな施策の中で動いているということもありますので、この大きな国の方向性というところに沿った形で今後防災科学技術委員会としてどういうふうにやっていくべきなのかということで、皆様から御発言をいただきたいと思っております。
人数が多いですので、すみませんが、3分以内といいますか、3分程度といいましょうか、それぐらいを目安にこの辺り、キーワードを眺めながら御発言いただければと思います。これも甚だ恐縮なのですが、順番というのも言いにくいので、五十音順にさせていただいて、順番にお願いしたいと思うのですが、大原先生、いかがでしょうか。
【大原委員】 まず、最初に御指名いただきましたので発言させていただきます。この科学技術に関しましては、昨今、気象庁とかの予測情報や河川の水位情報など多数の情報が出されているにもかかわらず、人々が水害のときには逃げなくて、お年寄りを含めて多数が亡くなるという状況です。科学技術をどのようにして末端の人々まで漏れなく着実に伝えていくべきかというところについて、この研究プロジェクトでカバーしていけると将来災害で亡くなる人が減っていくことに貢献できると思っています。 先ほどの資料3を見ていて思ったのですけれども、この個々の事業の期間が、3年だったり、4年だったり、5年だったり、まちまちなのですけれども、基本は5年とか、期間の決まりやフレームワークがあるのかどうなのか少し気になりました。というのも、なかなか地方の隅々まで技術を定着させるとなると、説明したり、いろいろ時間がかかりますので、成果の実装にはなかなか長い期間かかるのですけれども、このフレームがそもそもどういうタイムフェーズのフレームを想定しているのかが少し気になっています。 以上です。 【上村主査】 ありがとうございます。 まとめて御質問に回答と思っておりますが、今の件は簡単なような気もするのですが、事務局、答えられますか。研究期間の設定の考え方ですね。 【福田防災科学技術推進室長】 失礼いたします。これも一言で言えば、それぞれの事業の中身によるというところでございます。ちょうど今この絵でありますけれども、一番下にあるような、この調査ですとか、あるいは地震調査研究推進本部としてやっている事業、こういったものは非常に長い営みでやっているもの、それから、同じく下にあるようなこの観測網、これの運用、こういったものもやはり長期の時間がかかるといったようなことが一般的には言えるかと思っております。 他方で、この上のほうに割と書かれているプロジェクト、こういったものについてはやはりプロジェクトといったときには、一定のその期間を区切って、その目標を達成できるかどうかということが非常に求められる傾向が強うございますので、ある程度短期間の設定となる傾向というのはございます。ただ、やはりそこはそれぞれの事業の性質を見て、また、先生がおっしゃられたように短い期間で達成する、あるいは社会実装、それはなかなか難しいといった際にどういった期間を設定するか。それは私どもの方でも様々なステークホルダーだとか、また、全般的には民間も含めた動向を見ながら考えていく。また、当然、財政事情、そういったところもあるというところでございます。したがいまして、必ずしも一律の決まりがあるというわけではございません。 以上でございます。 【上村主査】 ありがとうございます。テーマによるということですね。事前評価の辺りで、その辺りについても皆さんから御意見をいただけると、すごくいいのかなと思います。ありがとうございました。 それでは、大湊先生、いかがでしょうか。 【大湊委員】 東京大学地震研究所の大湊です。前回も委員をやっていたのですが、あまり細かいことまで理解できないまま参加していたようなところがあるので、今回、さらに理解を深めていきたいとは思っています。私の専門は火山の観測をして、火山を理解するというところなのですけれども、この議論のポイントにあるような頻発化、あるいは激甚化する自然災害という件に関しては、むしろ、これ、自然災害そのものが激甚化しているかと言われると、例えば地震、火山等に関しては恐らくあまり変わっていなくて、むしろ、それが起こる場所に人が近づいた。人の生活圏がそれに重なってきたということのほうが多分大きいと思うので、そうだとすると、私、理学ですけれども、こちらの方が対応できることよりも、むしろ、社会科学的なことをやっている方々の方がいろいろできることがあるのではないかと考えています。 それからもう一つ、総合知というのがありますけれども、この総合知というものに関しても、自然を理解するのに総合知というときの総合というのは何かというと、一般の人の知識を幾ら集めたって、やっぱり自然の理解にはならなくて、ちゃんとしたデータを取って研究しない限りは、やはり理解はできないはずですので、この総合知というのも恐らく人の動きとか、社会の対応というのをどうするかというところに関わる部分というところだと思うので、今、参加している方々の中で、私が貢献できる部分というのは、そことは違うところになるかなとは思っています。要するに、自然現象としてはこういうものがありますということに関しては評価します。できるけれども、それに対して社会がどう対応するかというふうないろいろなプロジェクト等、そういうものに関しては、ある意味、素人的な見方になってしまうところもあるかもしれませんが、その点は御容赦いただければと思っています。 以上になります。 【上村主査】 ありがとうございました。おっしゃるとおりですね。人間社会の変化の方が大きいというのは、まさにおっしゃるとおりですね。ありがとうございました。 それでは、小原先生、よろしくお願いします。 【小原委員】 小原でございます。今、映されているポンチ絵にもございますように、実に多様な事業が進められておりますけれども、その中で観測網の運用、展開という形で国民の安心・安全に資するデータが充実するということが大変望ましいかなと考えています。第6期の科学技術・イノベーション基本計画では、Society5.0という現実空間とサイバー空間を融合して新しい価値を創造して、レジリエントで安全・安心な社会を構築するということがありますけれども、ここで言う現実空間というのは、我々の中で言うと観測網からのビッグデータではないかなと。そのデータに対してIoTなどの情報科学などを活用して、さらに付加価値の高い情報を生成するということかなと考えています。そういう意味では、観測網からのデータというのは非常に重要な新たな価値を創造する基盤的なものであると考えることができるかなと。 そうすると、これまで観測空白域であった海域、こちらにはDONET、S-netという形で既に新たな観測網が構築されて、今まさにN-netということで新たな観測網が構築されつつある。そういったものもさらに新たな価値創造という観点で大変重要ではないかなと考えています。ただ、一方、これまで既に構築されている観測網も安定な状態で維持する。さらに発展させるということも大変重要です。そういった観点で、これまで陸域に地震、それから、海域、あと火山、首都圏に展開されている観測網というのが今後も安定的に維持、運用されるという観点で文科省としては努力していただく必要があるのかなとは考えています。 それとあと、私、今、日本地震学会の会長も務めていますので、その立場から申し上げると、これらの基盤観測網というのは、我々の地震研究を世界トップレベルに押し上げて、世界を牽引する研究成果の創出の源泉であると考えています。地震防災に貢献するというのはもちろんですけれども、日本の科学、学術の発展の上で必要不可欠であると。そういった学術基盤ですので、このような世界に誇り得る学術の源泉を文科省が主導して構築されて、さらにそれを維持、運用されるということはやはり日本の学術というよりも非常に重要な貢献をするという観点もありますので、ぜひその辺り文科省は十分認識していただければなと考えています。 以上です。 【上村主査】 ありがとうございました。デジタルという議論ができるようになったというのは、やはりこういう基盤があってこそということですよね。本当にそう思います。ありがとうございます。 それでは、熊谷委員、よろしくお願いします。 【熊谷委員】 川崎市消防局の熊谷と申します。今回初めて委員ということで参加させていただきましたが、専門の先生方の中で一市民として入れていただいているようなのですけれども、川崎市は石油コンビナート地域から商業地域、そして市街地まですごくコンパクトにまとまっている市でございまして、川崎市の方の危機管理室でもこのようないろいろな会議に参加していると聞いています。私の方は消防署の署長として4月から赴任してまいりまして、本当に市民の一番近くで安全・安心を守っているという立場から、このような会議に出させていただきまして、科学技術をどのように市民に対して生かしていくか、そういうところを市民とこの大きな科学というところをつなげていくような役割をさせていただければ非常にありがたいと思っています。 また、私ども消防職員、それから、地域の防災の組織、それから、消防団という組織、いろいろ地域の組織ともつながりがございますので、非常に私がいる高津区は防災意識も高く、一昨年の水害に被害がありましたけれども、その際にも非常に熱心に皆さん関わっていらっしゃいまして、防災に非常に意識が高いですので、このような会議で私がお話しできるようなことがあれば、市民に日本はこんなにすばらしい研究をしていて、こういうのを私たちがきちんと生かして災害を減災していくというところにつなげていければと思っております。もしかすると、一市民として少し意見が違う部分もあるかと思いますが、市民目線、それから、女性目線、そのようなところから発言させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。 【上村主査】 ありがとうございました。私ども研究者の側から見ますと、一生懸命研究して、それこそ情報ネットワークを整えて、すばらしい情報を提供しても最後の最後、皆さんの行動につながるかどうかというところが本当に大きな問題になっていまして、その辺りのところでまさに市民目線で率直に御意見を言っていただければありがたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。 それでは、小室先生、よろしくお願いします。 【小室委員】 小室でございます。今回から参加させていただきます。これまで私は中央防災会議の各種の委員会ですとか、気象庁の気象業務に関する評価委員会、懇談会、そういうものにも参加させていただいてまいりました。私自身の専門は災害情報という社会科学の分野なんですね。ですから、今回、この委員会のお話をいただいたときに自分の専門外ではないかと思っておりました。ただ、今日お話を伺って初めて役割があるということを認識いたしました。今回、総合知という言葉で御説明いただきましたように、自然科学だけではなくて、社会科学の方にも求めるものがあるのだというお話をいただきまして、ああ、それでは何か貢献しなくてはいけないのではないかと思うに至りました。 結局、ものすごいお金をかけて先端的な研究をしていただくわけですけれども、やはり最終的に私ども社会科学の目から見ますと、人の役に立つのか。別に短期でなくても長期的に人の役に立つのかというところで自分の今までの専門も生かしつつ、何か少しでも一緒にプロジェクトに対して評価をさせていただければと思いました。今日はようやく自分の役割を認識させていただいたというところです。どうもありがとうございます。 【上村主査】 ありがとうございます。非常に重要な役割ですので、どうぞよろしくお願いいたします。今回、親のさらに親の委員会といいますか、イノベーションという言葉が入ったということ自体が非常に大きなメッセージでございまして、やはり科学技術で終わらずにイノベーションというのは、要は社会に変革を起こすと。まさに実装までを意識したという基本計画に変わったのだなと私は見ておりまして、そういう意味で今回、総合知というキーワードが出てきたというのも非常に象徴的かなと思っております。本当に先生に期待する部分は多いかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、鈴木博人委員、よろしくお願いいたします。 【鈴木(博)委員】 JR東日本の鈴木です。2期目になります。よろしくお願いします。私、JR東日本に勤めていまして、鉄道のことを少しだけお話しさせていただきます。先ほど大原先生や熊谷先生から、一般市民の方に防災情報を伝えるのは非常に難しいというお話があり、そうだと思います。鉄道事業者という面で話させていただきますと、鉄道事業者は会社でルールを決めて、そのルールを決めれば、最後、列車を止めるのは自分の会社の運転士ですし、あるいはシステムですので、決めた防災のルールが必ず実行されるという仕組みになっています。そういった面では一般市民に防災情報を浸透させるのが難しいということに比べると、実際、実行するのが非常に簡単というか、簡単にできる仕組みになっているのが鉄道事業者の特徴と思います。道路に比べても、きちんと防災情報を伝えることができる仕組みになっていると思っています。 今回、先ほどの資料にありました海底地震計も鉄道では既に使わせていただいていて、海底地震計の情報を、JR東日本をはじめ、JR東海、JR西日本の新幹線で使わせていただいています。実際、この前の2月13日の地震で東北新幹線が被害を受けましたが、このとき一部の区間では海底地震計の警報が一番早く、新幹線を実際に止めているという効果も既に発揮しています。DONET2が今もう予算計上されて、プロジェクトがスタートしていますけれども、実際に新幹線で利用されているというのはインパクトがあるのではないかと思います。海底地震計が新幹線で使われていることもいろいろなところでアピールしていただいて、こういうところにも使われているので必要なシステムなのだということにも使っていただければと思います。 最初のご説明で、研究成果が社会実装されることも重要ということで、海底地震計の資料に今までの導入成果が記載されていますが、海底地震計の情報を鉄道事業者が使っている、新幹線で使っていることが入っていませんので、そういうところもアピールしていただければなと思います。鉄道事業者は海底地震計を使わせていただいて鉄道の安全性が向上していると思っていますし、実際、鉄道事業に使われていることは非常に良いことではないかと思いますので、よろしくお願いします。 あと、1期目のときに若干思ったのは、海底地震計の資料に海底地震計が鉄道事業に既に利用されているということが書かれていませんでしたが、社会実装ということを大きな視野に入れていろいろな文面を書かれて、評価もしているように感じました。社会実装されることは最後重要なことだと思いますが、基礎研究があった上で最後に、社会実装されることだと思います。基礎研究をやらないで社会実装だけしようとすると、いつか知識が枯渇してしまって社会実装もできないということになると思います。社会実装する部分と基礎研究を進めていく部分が良い案配で配分されて、最終的にいろいろな成果が上げられるような仕組みにしていくのが良いのではないかと1期目のときに思いました。若干、基礎的な研究の部分の記述が少ないのかなというのは1期目のときに感じました。 以上でございます。また今期もよろしくお願いします。 【上村主査】 よろしくお願いします。まさに非常に重要な委員だなと改めて思ったところなのですが、社会実装というところは市民ももちろんあるのですが、事業者という非常に重要なユーザーがおられて、そこに対して実際にもう御活用いただいて成果が出ているというのはすごくいい話だなと思うんですね。ですから、この評価の1枚紙、ちょうど今出していただいていますけれども、事後評価のときにそういうのもちゃんとここに書き込んでいただくというのは、今後ぜひ事務局の方からも御検討いただきたいなと改めて思いました。加えて、だからこそ、基礎研究、大事なんだよという、すごく重要なメッセージもいただいたかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 【鈴木(博)委員】 よろしくお願いします。 【上村主査】 それでは、鈴木靖委員からよろしくお願いいたします。 【鈴木(靖)委員】 気象協会の鈴木靖といいます。よろしくお願いします。私も前期から引き続き委員をさせていただきます。気象協会という所属ですので、どちらかというと気象庁とか、観測データをJRさんのような社会の面にデータを橋渡しして、それを活用していただくための、そういうつなぎ役みたいな立場にいるという位置づけと思ってください。気象協会ということで、これまでも気象の立場からこの委員会で幾つか発言させていただきました。これまでこの委員会に出ていますと、比較的地震の施策が中心で、それに加えて火山などの面が多かったので、それに限らず水災害とか、それに向けた防災の観点から今後もいろいろ発言していきたいと思っています。 今日の議論で今後非常に期待できると思ったのが、防災のデジタル化、DX化というキーワードが挙がっているということ。特にデータプラットフォームの活用ということが今後議論されていくということに非常に期待しております。というのも、もともと気象の業界では、気象データの蓄積が長年あったのですが、気象データは非常に特殊なデータフォーマットとか、いろいろ気象の測器の扱い等、気象業界特有のデータハンドリングが必要であり、一般の方が使うには非常に障壁がありました。その辺を取り除いて、いかに使っていただくかということに我々も腐心しているところです。それを国として支援していただくようなデータプラットフォーム、これにはぜひ期待したいところです。 それから、今日の資料にあった防災科研さんの施策、ここに1つまたキーワードとして民間企業との競争による防災事業の創出について書かれています。これにぜひ期待しています。特に防災科研さんの優れた研究成果を、実社会へ実装するための役割を民間として、していかなければいけないということを思っています。 以上です。よろしくお願いします。 【上村主査】 ありがとうございました。確かに今回、目玉の1つになると思うんですね。このデータプラットフォームというのが。社会に相当なデータが既にあるのだけれども、ちゃんとつながっていないとか、使いやすい形になっていないとか、この辺りのところも力を入れてやっていく課題かなと思っております。ありがとうございました。 それでは、関口先生、よろしくお願いします。 【関口委員】 私、京都大学防災研究所の関口春子と申します。今回初めて御参加いたします。私は理学の地震の研究者をしておりまして、特に大きな被害を起こすような大地震の震源ですとか、揺れの再現とか予測などの研究をしております。これまでの文科省の様々な仕事との関係で言いますと、文科省が委託されるプロジェクトの一端を担わせていただいたこともありますし、測地学分科会の地震火山部会などの評価するほうの委員会にも参加させていただいたりもしております。 今回、科学技術というさらに広い名前を持つ委員会に入れていただいて、まだよく分からないところもあるのですけれども、この名前がすごく広くなったというところと、まだ実際に扱うものは多分、もう少し枠があるのだろうなというところが、まだつかめないところがありまして、今日いろいろ見せていただいた資料でも、災害の軽減ということになると、総合知という言葉なども出てきましたけれども、必要な分野がどんどん広がっていって、いろいろな方へ広がっていくのですけれども、多分、そういう災害軽減に関する委員会というのは、他の省庁でもあると思いますし、それはそこの扱う分野があって、今ここの文科省の下にあるこの委員会では、そこが扱うべき分野があって、私たちの議論は完全にそこを意識しないで議論をして、でも、どこか枠があるのだろうなというところを一度教えていただきたいなというか、例えばほかの省庁でどういう委員会があって、関連するようなどういう委員会があって、どういうことがされていて、文科省で全てを、災害軽減というか、こういう話を全部カバーするわけではないので、ほかでどういうのがあって、その中でここの位置づけがあるとか、こういう内容は他でやっているから、逆にここはやらなくていいとかというのが分かるようなことが、教えていただけるといいなと少し思いました。 以上です。 【上村主査】 ありがとうございました。非常に共感する部分もありまして、防災科学技術委員会って何なのだというぐらい非常に名前が大きいんですよね。一体何をするんだろうというぐらい名前が大きいので、ちょっと面食らってしまうのですが、やっているのは国として大事だと思う施策についての、今やっていることについての評価ということになりますので、そういう意味ではすごく狭いと言えば狭いですね。 御要望についてお答えできるかどうかについては、後ほど事務局から御回答いただきたいと思いますが、この委員会だけでもかなり上にたどっていくと巨大な組織図になっておりまして、なかなか全容がつかみにくいところがあるのですが、確かに内閣府であったり、国交省であったりというところと、どういうすみ分けをしているのかとか、どういう連携をとっているのかとか、ある程度全体像が見えていた方が議論はしやすいというのはおっしゃるとおりかなと思いますので、できる範囲で事務局の方にも御検討いただければと思います。ありがとうございました。 それでは、中北先生、よろしくお願いします。 【中北委員】 ありがとうございます。同じく防災研究所から参加させていただいています。専門自体は気象災害とか水災害です。それの予測であり対策、あるいは気候変動というようなことをやっております。その話から始めて、防災研、防災全体についても少しお話をさせていただければと思います。 1つは、先ほど気象協会の鈴木委員からもお話がありましたように気象災害について、例えば資料3、防災科学技術に関する施策マップというのと、それから、今いただいた資料4-3、取組に関する2つを見せていただいたのですけれども、前の方ではあまり気象災害が見えていない。今見せていただいているこの取組についての説明のところでは、気象災害、防災科研さんの分も含めて挙がっているという、そこの違いって何なんですかというのがごく簡単な質問をさせていただきます。 前だけ見ているとやはり地震、津波関連がベースかなと。もともと地震防災課ということで、というふうには理解させていただいているのですけれども、世の中がだんだん複雑になってきているというところで、そこで気候変動が出てくるのですけれども、気候変動に関しては、まさしく今御説明にあった激甚化しているところで、もっと激甚化する予定なのです。予定と言ったら変ですけれども、そこになっているという中で、委員会で言ったら、環境エネルギー科学技術委員会との関係というのはすごく大事かなと。気候変動予測等々、進められているところというのがあるので、そういうところとの情報共有とか、連携とかというのもあってもいいのかなと思いました。 それから、先ほどの鈴木さん、同じように両鈴木先生もおっしゃっていましたけれども、事業者との関係、それから、今、関口委員もおっしゃっていました実務省庁、国交省とか、自然災害という意味では国交省が一番対応、あるいは各県とか、そういう実務省庁、地方自治体との関係というのも、情報共有的なものも、あるいは連携というものが非常に大事だなと思いました。あえて初めての参加なので、知らないふりでいろいろしゃべらせていただければと思っているのですけれども、そこのところが次の時代、これからの時代を考えていく中でいよいよ大事になってくる。この基本計画を進めていく中でもですね。というふうに思いました。 社会実装ということで、すみません、気候変動というところでは、やはりこれから不確実性下の意思決定というのが非常に大事になってくる。これは地震でも共通になってくるのだと思っているのですけれども、そうなってくると総合知の活用というところで、これも社会実装と関わるのですけれども、社会科学とのますますの掛け算、融合というのが大枠として当然アンダーラインとして大事になってくるというところは、絶対外してはいけないと思います。 最後ですけれども、社会実装というふうに行きがちなのですけれども、文科省の中の委員会でありますので、次の玉込めに関して、次の防災科学技術の玉込めというところも必ず大事にしていただくと。今の計画の中で既に大枠は決まっていますけれども、その中で関連するところをちゃんとピックアップして、意識をしていく。その中で一番下の国研と、それから、大学等との関係機関の果たす役割というところで、国研の方がどちらかというとより社会実装寄りの研究で、大学の方が少し社会実装ももちろんやりますけれども、少し重きのところが、次の玉込めも入っているというような俯瞰図を皆さんと共有させていただいて、この委員会でも議論させていただいたらいいのかなと今日お話を伺っていて思いました。 以上でございます。お時間をいただいて、どうもありがとうございました。 【上村主査】 どうもありがとうございました。非常にスケールの大きなお話をしていただきましたが、最初のところの御質問はそう難しくない気がするので、事務局のほうからお答えいただければと思いますが。 【福田防災科学技術推進室長】 先生、御指摘いただいた点、基本的には先生がおっしゃるとおりでございまして、どうしても私ども役所というのは、ある種の縦割りで仕事をならねばならないところではございます。したがいまして、この防災の観点でこういったワードというのを使っているという側面があるのは、これは事実でございます。ただ、先生からも、その後でおっしゃっていただいたとおり、環境エネルギー科学技術委員会、あるいはそちらでやっている様々な施策、それとの連携といったようなものというのも、これから今まで以上に重要になってくると思っております。 逆に言えば、環境エネルギーのほうでやっている研究、これは環境省とも連携ということになると思うのですけれども、その気候変動の影響評価報告書、先生にも関わっていただいていると思いますけれども、いわゆる分野間の影響ですとか、あるいはその影響の甚大化、こういったものをどう研究開発の観点で評価していくかというのが今後の課題であるという整理がなされているかと思います。したがって、この防災の分野と、それからこの環境、あるいは気候変動の研究というのがかなり接近してきているということではないかと思います。その辺りぜひ先生からも御知見を賜れればと思っております。 以上です。 【中北委員】 ありがとうございます。また国交省とかも利用する立場でかなり密な関係に今なっていますので、そこらも含めて先ほどの実務機関、あるいは実際の実業の機関とのタイアップというのも大事だということで、御回答、どうもありがとうございます。 【上村主査】 ありがとうございました。 配慮が足りなかったのですが、順序を変えさせていただきたいと思うのですが、目黒先生、たしか御予定があるというお話だったかと思いますが、もしよろしければ少し順番を変えさせていただいて、目黒先生から御発言いただければと思いますが。 【目黒委員】 では、よろしいでしょうか。目黒です。 【上村主査】 はい。よろしくお願いします。 【目黒委員】 いろいろお話を伺わせていただいて、私なりに感じたことを申し上げさせていただきます。まずこの検討委員会は、様々な科学技術に基づいて、最終的には防災対策とか施策の在り方を議論する委員会であるという理解でよろしいでしょうか。それを確認した上で、お話ししたいと思います。 【上村主査】 これは事務局に答えていただいた方がいいかと思いますが、いかがでしょうか。 【福田防災科学技術推進室長】 そのとおりでございます。事業の評価だけにとどまるということではございません。 【目黒委員】 はい。では、その理解に基づいて、ぜひ指摘しておきたい点をお話しします。わが国の防災は「自助、共助、公助」の3つの担い手の中で、行政が「自助が大切だ、共助が大切だ」と言ってはきましたが、基本的には、国、都道府県、市町村の行政が税金を主とする公的予算を使って行う行政主導の防災でした。しかし、昨今の少子高齢人口減少や財政的な制約などの社会状況を考えると、今後の防災対策は従来の延長上に公助主体の防災対策を推進していくことは、どんどん難しくなってきているわけです。このような中で、公助の不足分を誰が補えるのかというと、これは自助と共助しかないわけです。では、自助と共助の実際の担い手は誰かというと、これは個人と法人です。 この個人と法人に防災対策をお願いするときに、これまで我々は彼らの良き心、「良心」に訴えかける防災をずっとやってきたわけですが、これはもう限界です。CSRなどもそうです。地域に貢献しましょう、会社の責任を果たしましょうと、やってきたわけですが、これも1回は横並びでやってもらえても、2回、3回と継続することは難しい。では、これから何が大切かというと、防災の産業化により、防災ビジネスの市場が国内外に形成されることが重要だと思います。ビジネスになって初めてサステナブルになるわけです。今回のこのような議論が余りにも少ないというか、弱いような印象を受けました。防災ビジネスの魅力的な市場が国内外に形成され、そこに若い優秀な才能が入っていくことで、はじめてサステナブルな環境の中で、我が国や諸外国の将来的な防災の対策が担保されるという姿を描かないと、これからの防災は成立しないと私自身は認識しています。 このような認識に基づいて、私は、産官学の人たちからメンバーシップを募り、「防災ビジネスの創造と育成の研究会」をもう20年近くやっています。このような活動の中でつくづく感じたのは、従来は行政も民間も防災対策をコストでみなしてきたということです。コストとみなす防災は1回やったら終わりで、2回、3回とできない。つまり、継続性が難しいとか、防災対策を実施してみたが、その価値が分かるのは将来的に災害が起こったときという議論に終始しているわけです。そこで私が主張しているのが、防災対策の「コストからバリューへ」の意識改革です。つまり、その対策を実施している組織や地域、そしてそのグループの人たちに価値を与えるものという意識改革が重要で、この意識に基づいたいろいろなビジネスモデルも作っています。 その一例は、金融機関とタイアップして、民間企業の防災対策やBCMの整備状況の適切な評価に基づいて格付をして、格付の高い会社に有利な金融サービスを提供するものです。格付けの高い会社は低い会社に比べて、同程度のハザードに襲われた際の被害が軽微になるからです。つまり、その状況は防災対策やBCMを進めておくことがコストではなくてバリューを生んでいるわけです。また、「災害が起こる、起こらない」にかかわらず、常にバリューが流れるし、その状況は対象企業のブランディングや信頼性向上にもつながるということです。こういう社会をつくっていくことが大切だということです。 もう一つは、起こるか起こらないか分からない災害発生時のみに使える防災対策では投資対効果が低いので、平時、つまり、日常のクオリティー・オブ・ライフを高めることが主で、その延長上に災害時にも有効に活用できるという「フェーズフリーな防災対策」の推進です。現在、この「フェーズフリーな防災対策」に関してさまざまなキャンペーンを行なっています。フェーズフリーの認証制度だとか、フェーズフリー賞とか、フェーズフリー建築のコンペなどを実施しています。このような活動の中で、皆さんが推進していただいている様々な研究成果やそこから得られた知識や知見を用いた防災の産業化を日本が推し進めるべきであると思います。そういう環境を整備していかないと、せっかくの研究成果が社会に還元されない。科学技術としては立派な学術論文にはなるかもしれないが、税金で実施している研究成果は、社会にも適切に還元され、日本の将来の防災に貢献すべきだと思います。 今後は、公助も変わらなければいけません。従来の公助は、行政が公金を使って主導するものでしたが、これからの公助は、「自助や共助の担い手である個人や法人が積極的に防災対策をしたい、やりたいと思う環境を整備すること」に変質しなくてはなりません。そういった大きな意識改革の下で、本研究委員会も考えていただく必要があると思いますし、そうすることで、ここの成果がより効果的に我が国や世界の防災に貢献できるとともに、それがサステナブルな環境の下で継続されると私は考えています。 以上です。 【上村主査】 ありがとうございます。すごく重要な視点をいただきました。防災の産業化ですね。インセンティブが全然違ってきますから、社会に根差して発展していくという道筋が描けていくと。ありがとうございます。コストではなくてバリューだと。この辺りも重要な視点になっていくと思います。ぜひ取り込んだ形でまた議論を深めていきたいと思います。ありがとうございました。 では、順番、戻りまして永松先生、お願いします。 【永松委員】 関西大学社会安全学部の永松でございます。同時に実は、私は防災科学技術研究所の方にクロスアポイントで勤めておりまして、今日もそちらのほうから参加しております。防災科学技術研究所では災害過程研究部門というやはり社会科学の――やはりというか、社会科学部門の部門長をやっております。私自身のバックグラウンドは経済学とか公共政策でございまして、今回のこの委員会には大学の立場で参加させていただいております。先ほど小室先生からありましたとおり、社会科学の役割ということなのですけれども、今回、科学技術・イノベーション基本法が改正されて、その中に人文・社会科学というのが位置づけられたという、その直後のこの委員会ということで、いかに総合知という概念を実質的なものにしていくかということが恐らく私の役割として非常に大きいのだろうなと思っているところでございます。 それについて幾つか申し上げたいことがございまして、どうしてもこれまでの議論でもそうなのですけれども、社会科学の役割というのは何か開発したプロダクツを何か使ってもらえる、使うように何かしてくれる人みたいな位置づけがなされることが非常に多くて、もちろんそういったツールとか、開発された技術を使って世の中に働きかけるというようなことも1つ社会科学の役割であるというのは認識しているのですけれども、しかし、もっともっと社会科学には大きな役割があるということも皆さんに知っていただきたいと思っているんです。それはどういうことかというと、やはり社会科学の一番大きな力というのは課題を設定する力だと思っています。 例えば今、我々がレジリエンス、レジリエンスと言っていまして、レジリエンスというのはもともと生物学とか、工学の分野でも使われてきた言葉ですけれども、今、我々が使っている社会のレジリエンス、社会にレジリエンスというものがあるのだということは、やはり欧米の社会科学の研究者がこの概念を使って様々な災害復興過程などを研究してきた中で、国際的な認識が高まってきたという部分がございます。あるいは例えば防災においては、そういったサイエンスの知だけではなくて、ローカルな知識というものが極めて重要だと。そこの融合が重要だなんていうことも、国際的にはもう今当たり前のように言われていて、そういうことを言い出したのは欧米の社会科学者でして、日本人からすればとても当たり前のことなのですけれども、みんな分かっていると思うんですけれども、でも、そういうことが世界に定着したというのは社会科学者の力で、そこで日本は全然貢献できていないという、じくじたる思いをしています。 つまり、日本がこれだけ災害に対して豊かなものを、経験を持っているにもかかわらず、社会の仕組みとか、概念とか、そういったものに関して日本から提案できたものがほとんどない。これはやっぱりすごく国益を損ねていると思うんですね。もう一つだけ例を言わせてください。例えば災害対応の仕組みとして世界標準と言われるICSみたいなもの、これも結局、アメリカですよね。でも、日本人が培ってきた災害対応の仕組みというのはあって、恐らくアジアには、僕はそっちのほうが、適応力が高いと思っている。むしろ、そういうものを世界標準としていけば、これは産業的な波及効果もすごく大きいわけなんですよ。つまり、決して社会科学を都合のいい何かセールスマンのように思わないでいただきたいというのがまず私が最初に申し上げておきたいことでございます。 すみません、もう1個言わせてください。その中で強く申し上げたいのは、先ほど小原委員から地震観測網というのは学術基盤として非常に重要だというお話があって、私もそのとおりだと思うんです。だったら、なぜ社会科学には観測基盤がないんですかと。例えば地域の防災力を高めようという議論をしているときに、地域の防災力を測る手段が我々全くないんですよ。何か災害が起こると、いろいろな研究室が資金を集めてそれぞれにアンケートをして、結果調査公害なんて言われたりするわけですけれども、例えば地域のレジリエンスとか、あるいは防災力を測るというのは、そこにきっちりとお金をつけて、いろいろな研究者が、あるいは海外の人もそのデータを使って分析できるようにするという、社会科学の調査基盤もぜひ今回のこの委員会の中で検討していただきたいなと思っております。 すみません、長くなりましたけれども、以上です。 【上村主査】 ありがとうございました。当たり前過ぎるんですよね、日本の場合。何といいましょうか、殊さらに騒ぐようなことではないのにと思うのだけれども、上手に言い出したアメリカが持っていっちゃうという、よく分かりますね。社会の観測基盤という、これはすごい大きな提案ですね。ぜひこんな視点も取り込んでいければなと思います。ありがとうございました。 それでは、次に前田委員はいらっしゃいますか。 【前田委員】 前田です。よろしくお願いします。 【上村主査】 よろしくお願いします。 【前田委員】 前期から引き続きの参加になります。よろしくお願いします。NTTの宇宙環境エネルギー研究所で所長を務めておりまして、我々の研究所、昨年の7月にできたNTTの研究所でございますが、宇宙という名前がついていますが、宇宙というよりは宇宙から見た地球環境のエネルギーを含めた研究をしておりまして、NTT、民間企業ではありますが、公共性を持った会社でもありますので、主に公共面で貢献できないかということで検討しております。 去年の7月に研究所が発足した後、宇宙目線でいろいろ考えている中で、今日の課題というか、テーマになっている地震とか、これの観測網はものすごく進んでいると先ほどからいろいろ御説明があったとおりかと思いますが、風水害に関してどんどん激甚化しているという話も今まであったとおりだと思っておりますが、ここを我々、もう少し高精度に予測したいと思っていろいろ検討しておりました。 気象庁さんとかJAMSTECさんとか、いろいろ専門家の方々とお話ししている中で、実は日本近海、あと陸上のデータ、気象網はものすごくたくさん観測されているのですが、風水害、台風とか線状降水帯のエネルギー源である海洋の水蒸気、これに関してはほとんどリアルタイムで測られていないということがいろいろな人に聞くと、反論がある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、我々がいろいろ調べた中では、リアルタイムに風水害のエネルギー源が測られていないという事実が分かってきました。 レーダーに関しても陸上から100km程度、海上面、測れるのですが、それより遠いところは全く測られてなく、JAMSTECさんが測っているのも300kmおきに10日に一度のデータとか、あと衛星を使っても、そんなリアルタイムに測れないというので、この部分、何とかしないと、この激甚化する風水害の予測というのは高精度にできないのではないかという課題があるというのは、我々、分かってきたので、弊社もそこ、トライしたいと思っているのですが、文科省さんの課題においても、この辺りぜひ取り組んでいただければ思っています。 高精度に予測できたら、防災というよりは、防ぐというより我々が受け流すような社会にできるのではなかろうかと思っていますので、ぜひそういったところで弊社も貢献したいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。 私からは以上です。 【上村主査】 ありがとうございました。防ぐではなくて受け流すというのは、すごくすとんと入りますね。いなすみたいな言い方でもいいかもしれないですけれども、まともに食らったら大変なのだけれども、うまくよけていくと。ありがとうございました。 それでは、三隅委員、よろしくお願いします。 【三隅委員】 防災科学技術研究所、三隅と申します。私は気象災害が専門になります。今から20年ぐらい前に、私、文部科学省に出向していたときに、まさにこの委員会の事務局をしておりました。今回、20年ぶりに参加する形になりますけれども、当時と違うのは、やっぱり委員の先生のメンバーが、当時は地震と、あと耐震工学の先生がメインだったのですけれども、今は気象災害の先生が多く入っておられるのと、あと文科系を専門にされる先生が多く入っておられるということで、地震以外の災害に対する重要性というのがこの20年間ぐらいでより認識されてきたのかなと思っています。 気象災害についての、先ほどから総合知の活用による社会実装ですか、これが何かキーワードになっておりますけれども、大原先生とか中北先生も正しくおっしゃっていたとおり、今、ボトルネックになっている部分というのは、情報を得たときの適切に安全確保行動、あるいは避難行動をとっていただけないことが被害が大きくなっている原因だと思っています。何となく今までこういう人文・社会科学は、何かこういうプロジェクトの中にそれをくっつけておくと通りがいいからみたいな、永松先生からセールスマンとかっておっしゃっていましたけれども、まさにそういう扱いだったのですけれども、人文科学は恐らく人を対象とした科学で、自然科学は自然を対象としているものですから、本来別のものなので、思い切って人文科学を主体にしたような何かプロジェクトが今後立ち上がっていってもいいのかなという感じがいたします。 あと、ポイントの最後のほうに書いてある国研と大学との果たす役割というところなのですが、我々の研究所、災害が起こりますと内閣府のISUT、災害時情報集約支援チームということで都道府県とかに入って、情報集約の支援とかをしておりますが、平成30年のいわゆる西日本豪雨のときは広域災害で、とてもではないけれども全く対応ができなくて、1つの、我々研究所だけで都道府県を支援するというのは、はっきり言って無理だったわけです。こういった研究者がこういった災害現場に入ること自体には、もちろん議論があるとは思うのですけれども、こういったことだけではなくて、いろいろな研究開発においても、いろいろ地方の大学の先生方のお力も借りて、オールジャパン体制で研究開発、あるいは災害時の対応とか、そういったことも作っていけるような仕組みが今後必要になってくるかなと思っております。 私からは以上になります。 【上村主査】 ありがとうございます。いや、本当そうですね。広域災害時、もう研究者はそんなにいませんから、そんなに支援もできないし、観測というか、調査に行くだけでもとんでもなく大変なんですけれども、そうなんですよね。地方の大学が復旧、復興のプロセスにおいても非常に重要な役割、今も果たしていますので、事前にこういうしっかりとした連携の仕組みができていると有効だろうなというのは御指摘のとおりかと思います。ありがとうございました。 それでは、最後でよろしかったでしょうか、森岡先生、お願いします。 【森岡委員】 松山大学の森岡と申します。私、専門は社会心理学となっております。どちらかというとメディアがどういうふうに情報を発すると人々はどのように受け取って、避難行動などに結びつくのかというような研究をしてまいりました。実は1年前にはほとんどこんなことになるとは思っていなかったような新型コロナによる社会的な危機が起きておりまして、人々の認識も大きく変わっていると思います。実際に自分の身の回りで新型コロナにかかった人を見ていなくても、その危機は迫っている。自分たちは対策しなければいけないという確信を持っている方が大変多くいる。これは防災にも少し関係している心理ではないかなと思っています。そして、人々がその危機を本当に認識した理由は、病床の占有率とか、どれだけの人間が今被害に遭っているかとか、そういう数値が出てきたことによってリアリティーが増したということになります。 では、災害のデータがこれだけ出ている中で、私たちがもうすぐ災害にさらされる。避難行動をとらなければいけないという認識をリアルに持つためにどういうふうに情報を出せばいいのか。これは今起きていることも参考にいろいろ考えていかなければいけないと思っています。災害は目の前で起きていないから、何十年も起きていないから危機を認識できないのは当たり前だみたいな議論が今まで普通に横行してまいりましたが、そんなことはないと私は思っています。情報の出し方によって新しい社会的現実を作ることができると思っています。そして、それが起きたら自分たちはどうすればいいのか。若い人たちの言葉で言うとライフハックみたいなものですね。そういう情報に対するニーズも増していると思います。要は、自分たちがどうすればいいのかという行動指針を出しやすい形で情報を出していくこと、それが大事なのかと思います。 もう一つ、時間がありませんがつけ足させていただきますと、今、政府の対応とかに対しては結構な批判の声なども上がってきておりますが、なぜ科学技術が信用されなくなっていくのかという過程にも注目するべきだと思います。情報を出すだけ出して、それがうまく活用されなかったときになぜうまくいかなかったのかという検証をしないこと。あるいはどのような考えでその情報を出したのかという過程を説明しないこと。その不透明さが科学、あるいは政府の出す情報に対する不信感を生むと思っています。その過程を説明できるのがメディアです。メディアと連携して科学技術をどう伝えていくかということについて真剣に論じるべき時代に来ていると思っています。微力ながら皆さんの会議、この議論に参加させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 【上村主査】 ありがとうございました。すごくいい方を委員に呼んだのではないかなと思いながら伺っておりました。コロナが発生したことにより行動変容という言葉が皆さんに浸透したんですよね。皆さんの具体的行動につながるような情報の伝え方というところで、非常に重要なコメントをいただけるかなと思って期待をしております。どうぞよろしくお願いいたします。 一通り皆さんから御発言いただいたかと思うのですが、忘れられているということはないでしょうか、大丈夫でしょうか。それでは、一旦、まず事務局のほうに何かお答えする、先生方のコメントの中からお答えすることができるものがあれば、お答えいただきたいと思いますが。 【福田防災科学技術推進室長】 失礼いたします。事務局でございます。各委員の先生方、御発言いただきありがとうございました。事務局の方にいただいた宿題、あるいは検討してほしいといったようなことも幾つかあるかと思っております。事務局の方でも次回以降の運営も含めて検討してまいりたいと考えております。特にこの防災分野というのが先生方からもあったとおり、極めて多様な、様々な観点、また、分野というのを有しているというものでございます。また、その辺りの範疇ですとか考え方というのも恐らく委員の先生方だけではなくて、一般の方々の受け止め方というのも大きく異なるところがあろうかと思っております。 そういったことも含めまして、どういった形でこの防災科学技術というのを、そのスコープを明確にして御審議いただくか、当然、文部科学省としての所掌事務の中でやっていることもございますし、他省庁も様々な形で防災、取り組んでいるわけでございます。人の命を救うということでとらえれば、恐らくはほぼ全ての行政が何らか防災に関わることをやっていると言えなくもないというところもあるかと思いますので、その辺り先生方にも分かりやすい形で今後御審議いただけるように、事務局としても本日の御意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 【上村主査】 ありがとうございました。 画面のほうに資料5を出していただけますでしょうか。既に皆さんから本当に示唆に富むお話をたくさんいただいて、私もメモが真っ黒になっておりますけれども、次回以降、具体的な施策の評価というプロセスを通じて、こういった様々な視点で議論を深めていければと思っております。時間ももうあまりないのですが、資料5ですか、議論のポイントというページを出していただけますでしょうか。この辺りのポイントに沿って、もう少し発言しておきたい、今日のうちにぜひもう一言言っておきたいということがあれば、自由に御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。時間がないと言ったので遠慮されているかもしれませんが、もう少しあります。いかがでしょう。よろしいでしょうか。よろしいですかね。 では、本当にありがとうございます。皆様がぴったり約束の時間を守っていただいて、予定の時間までに今日の予定した議論、全て終わらせることができました。本日については、それでは議論はここまでとさせていただきたいと思います。事務局におきましては、本日いただいた意見を踏まえまして、今後の委員会の運営、それから、防災科学技術政策の現状等について検討を進めていただければと思います。 それでは、進行を事務局にお返ししたいと思いますが、よろしいでしょうか。 【山田防災科学技術推進室長補佐】 事務局、山田でございます。それでは、事務局より連絡を差し上げたいと思います。次回ですが、第50回の委員会の日程でございますが、現時点では5月21日、金曜日、10時から12時半までで、仮にセットさせていただいております。今後、特段の事情変更等がなければ、このとおりに開催したいと考えております。ただ、正式な開催案内等、詳細につきましては、後日、事務局から改めて御連絡させていただきたいと思っております。 事務局からは以上でございます。 【上村主査】 事務局に戻すと言いましたが、主査の仕事がもう一つ残っておりまして、閉会の挨拶をしなければいけないと書いてありますので、ここで閉会としたいと思いますが、皆様、発言、よろしかったでしょうか。限られた時間の中とは言いつつも、長時間、皆様に活発に御発言いただきまして、本当にありがとうございました。このメンバーで2年間、本当に腹を割っていい議論を深めていきたいと思っております。 それでは、以上をもちまして本日の委員会を閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。 ―― 了 ――

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