資料4-2 科学技術戦略推進費に関する基本方針(平成23年5月13日総合科学技術会議)

平成23年5月13日
総合科学技術会議

 科学技術は、人類全体の普遍的な知的資産を創造するとともに、地球規模の課題や少子高齢化、国際競争力強化等の我が国が抱える課題をイノベーション創造を通じて解決し、我が国の国民生活、経済社会の発展に貢献するものである。
 世界が科学技術重視の政策を進める中、我が国でも科学技術は新成長戦略(平成22年6月閣議決定)実現のための駆動力として、その役割が一層重要となっており、さらに、第4期科学技術基本計画においては科学技術イノベーション政策を強力に展開することが求められている。
 一方、総合科学技術会議では、平成23年度科学技術関係経費の概算要求において、「科学技術重要施策アクションプラン」(以下、「アクションプラン」という。)を策定し、我が国の重要課題の達成のために必要な施策について、各府省の施策立案・効果的推進を誘導し、科学技術イノベーション政策の司令塔機能強化、予算編成プロセスの改革を進めてきたところである。 
 このような状況において、平成23年度予算において新たに科学技術戦略推進費(以下、「推進費」という。)が創設された。総合科学技術会議は、推進費の創設を総合科学技術会議のこれまでの司令塔機能強化の取組を一層推進する措置として位置づけ、推進費は、アクションプランと並んで、総合科学技術会議が各府省を牽引して科学技術イノベーション政策を戦略的に推進するために不可欠な政策手段であると考える。
 このような視点を踏まえ、推進費に関する基本方針は以下のとおりとする。

1.推進費の基本的考え方

 推進費は、総合科学技術会議が科学技術政策の司令塔機能を発揮し、各府省を牽引して自ら策定した科学技術イノベーション政策を戦略的に推進するために不可欠な手段である。このため、推進費は、総合科学技術会議が各府省の施策を俯瞰し、それを踏まえて立案する政策を実施するために必要な施策に活用する。

(1)総合科学技術会議が設定する我が国の重要課題の達成に向けて、関係府省等の参画の下、総合的に実施する施策(原則として、推進費によるプロジェクト終了後、当該プロジェクトを踏まえた新たな施策を実施する府省の参画を求める)

(2)予算編成過程では想定されなかった科学技術イノベーションを巡る状況の変化、自然災害等を踏まえて年度途中に機動的に対応する施策であって、

  • 各府省では対応できないために新たに実施することが必要な施策
  • 各府省の既存の取組を強化することが次年度の当該府省予算による取組を一層充実させるために必要な施策

(3)総合科学技術会議における政策立案のための調査

2.推進費の運用

 推進費は、以下のように運用する。

(1)総合科学技術会議における実施方針等の策定

○ 概算要求方針の策定
 総合科学技術会議は、次年度の科学技術関係に関する予算等の資源配分の方針、アクションプラン等の検討の際に、次年度に推進費を活用して実施すべき取組について各府省と意見交換を実施する。その上で、次年度のプログラムの考え方を盛り込んだ「概算要求方針」を策定する。

○ 実施方針の策定
 総合科学技術会議は、政府予算案決定後(平成23年度は予算成立後)、推進費を活用して実施するプログラムに関し、以下の項目等からなる次年度の「推進費の実施方針」を策定する。

  • プログラムの目的
  • プログラムの達成目標
  • プログラムに基づくプロジェクトの選定・実施方法(公募の有無、選定期間、実施期間、実施体制等)
  • プログラム評価の実施時期
  • プログラム別の予算案

 なお、年度途中に機動的に対応すべき課題及び総合科学技術会議における政策立案のための調査については、随時、個別に当該施策に関するプロジェクト及び調査の実施方針を策定する。

(2)総合科学技術会議における推進費の運用

 推進費の実施方針等は、機動的な活用を図る観点から、総合科学技術会議本会議に代わり科学技術政策担当大臣と総合科学技術会議有識者議員との会合において策定する。この策定に当たっては、文部科学省及び関係府省の意見を照会する。科学技術政策担当大臣は、策定後、直近の総合科学技術会議本会議に報告することとする。なお、実施方針等の検討・策定に資するため、有識者議員等から構成される推進費企画検討委員会を設置する。
 また、プロジェクトの評価結果の報告など推進費に関する各府省からの総合科学技術会議に対する報告は、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員に対する報告をもって当該報告とする。

3.推進費に関する事務の実施

 文部科学省は、「概算要求方針」及び「推進費の実施方針」に従って、推進費の概算要求、推進費の執行に係る事務を実施する。
 公募を行う場合は、文部科学省は、「推進費の実施方針」に基づき公募要領の作成、実施プロジェクトの公募、実施プロジェクトの選定を実施し、実施プロジェクトの選定結果を総合科学技術会議に報告する。
 また、プログラムの実施に当たっては、必要に応じ実施プログラム毎に、内閣府、関係府省及び当該プログラムに関する専門知識を有する学識経験者等から構成される実施ワーキンググループを開催する。
 実施ワーキンググループは、プログラムが当初意図したとおりに進められているかを確認するため文部科学省等関係府省から報告を受けてプログラムの進捗状況を把握する。また、実施ワーキンググループは、必要に応じ総合科学技術会議へ報告を行う。
 なお、資金の早期交付に努めるなど推進費に関する事務の実施が円滑になされるよう、内閣府と文部科学省等関係府省は事務の実施に当たって連携することとする。

4.推進費の評価

(1)プログラム評価と評価結果の活用

 総合科学技術会議は、原則として、外部有識者の参画を得て、達成目標等に照らしてプログラム評価を実施する。その際、当該プログラムの関係者以外の評価、プログラムに基づくプロジェクト実施後の施策の展開状況及び波及効果等を重視するものとする。
 総合科学技術会議は、プログラム評価の結果を、プログラムの改善、新たなプログラム創設の検討に活用する。
 文部科学省等関係府省は、総合科学技術会議のプログラム評価に協力する。

(2)個別プロジェクトの評価

 文部科学省は、原則として、個別プロジェクトの中間・事後評価を関係府省の協力を得て行い、その結果を総合科学技術会議に報告する。総合科学技術会議は、その報告を受けプログラム評価の実施の際に活用する。

5.推進費の成果の活用

 総合科学技術会議は、推進費の実施で得られた政策誘導等の効果に関する知見を新たな科学技術イノベーション政策の立案・推進等に活用する。
 各府省は、推進費の実施で得られた施策の効果に関する知見を個別施策・制度の改善等に活用する。
 推進費によるプロジェクトに参画した者は、成果の具体的な内容を国民に分かりやすく説明する。

6.その他

 「科学技術振興調整費の活用に関する基本方針」(平成13年3月22日 総合科学技術会議決定)は廃止する。
 これまで科学技術振興調整費で実施してきた既採択プロジェクトのうち、平成23年度以降推進費以外の予算で実施するプロジェクトについて、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員から担当府省に進捗状況の報告を求めることができる。

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(調査・評価担当))