第6期 環境エネルギー科学技術委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成24年6月25日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 環境エネルギー分野の政策動向について
  2. 環境・エネルギー領域における研究開発方策について
  3. 平成24年度新規事業の実施体制について
  4. その他

4.出席者

委員

安井主査、安岡委員(主査代理)、江守委員、甲斐沼委員、河宮委員、杉山委員、須田委員、高尾委員、高橋委員、高村委員、中村委員、藤野委員、藤原委員、堀尾委員、安成委員、田中原子力科学技術委員会主査

文部科学省

戸谷研究開発局長、大竹大臣官房審議官、篠崎環境エネルギー課長、福井環境科学技術推進官、今村課長補佐、岡本課長補佐、畑山地球観測推進専門官、ライフサイエンス委員会事務局、情報科学技術委員会事務局、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会事務局、航空科学技術委員会事務局、先端研究基盤部会事務局

5.議事録

【安井主査】  ただいまから第6期科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の環境エネルギー科学技術委員会、第7回目会合を開催させていただきたいと思います。本日は、お忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
 まずは出席者の確認からお願い申し上げます。

【今村課長補佐】  御出席の委員の方々が過半数に達していますで、委員会は成立となります。
 また、本日は研究開発方策の議論のために原子力科学技術委員会の田中主査にお越しいただきました。また、関係委員会の事務局にも出席いただいております。
 なお、本委員会は、運営規則により公開とさせていただきたいと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、事務局より本日の資料の確認をお願いしたいと思います。

(配布資料の確認)

【安井主査】  よろしゅうございましょうか。過不足がございましたら事務局までお願いいたします。
 それでは、本日でございますけど、三つほど議題がございまして、終了は17時を予定しているということでございます。本日の議題でございますけれども、最初の議題が環境エネルギー分野の政策動向についてということで、御存じのように、今いろいろなことがエネルギー・環境会議を中心として動いておりますので、そこを一応おさらいします。
 それを踏まえた上で、2番目の議題、環境・エネルギー領域における研究開発方策(案)の文章について議論をいただきたいと思います。 3番目は、平成24年度新規事業の実施体制、これは主として御報告です。 それでは、最初の議題でございますが、議題1、環境エネルギー分野の政策動向についてということでございます。その共通理解をした上で次の議論に入りたいということは、申し上げたとおりでございます。
 それでは、事務局からの御説明をお願いしたいと思います。

【今村課長補佐】  それでは、まず資料1-1に基づきまして、革新的エネルギー・環境戦略策定に向けた動き、御説明いたします。大震災や福島の事故を受けて、現在、政府として新たなエネルギー・環境戦略というものをまとめようと、そういう議論が進められております。
 そのスタートとしては、平成23年6月に官邸の方でエネルギー・環境会議というのが新たに設置されました。論点整理として、右側にもございますように、省エネルギーや再生可能エネルギーを推進するとか、あと、原子力については安全性を確保し、また原発への依存度軽減を目指そうと、そういった方向性が7月に示されたところです。年末には基本方針というのがまとまりまして、こちらの方で、この戦略を策定するに当たっては、国民的議論を踏まえて策定をしていこうと。そのために、春をめどに選択肢を幾つか提示した上で、24年の夏に戦略を策定しようということが決まっているところです。
 現在までに、選択肢をお示しするために総合資源エネルギー調査会、原子力科学技術委員会、それと中央環境審議会、それぞれにおいて、エネルギーミックス、発電源の構成比の選択肢ですとか、あとは再処理をどうするのか、原子力政策の選択肢、それから地球温暖化対策の選択肢、これらについて議論はされているところでございます。
 資料1-2を御覧ください。6月8日、エネルギー・環境会議で示されたものでございますが、春をめどにという選択肢の議論、少しおくれまして6月までかかっておりますが、1枚おめくりいただきまして、青とオレンジと黄色、それぞれ示されておりますように、三つの会議でそれぞれの選択肢というものが示されているところでございます。これだけですと、これをもとに国民的議論というのも難しいところがございますので、6月中をめどにエネルギー・環境会議においてこれらをまとめて、複数の姿を描いて選択肢を示そうということになってございます。
 最後のページ、4ページ目に今後のスケジュールがございまして、もう6月25日ではございますが、今月中に何らかの選択肢というものが示された上で、7月、国民的議論と。それを経て、8月をめどに戦略を決定するという運びとなっております。
 それから、資料1-3で、エネルギー・環境会議と並行して科学技術の関係のお話をさせていただきます。前回の会議でも御報告、御紹介いたしましたが、総合科学技術会議の下にイノベーション戦略協議会というものが設けられております。グリーンやライフ、復興・再生の3分野で戦略協議会というのが立ち上がりまして、産学官の関係者に集まっていただいて、国として推進すべき戦略ですとか、それを具体的にアクションプランという形で、年度ごとに重点的に取り組む施策をアクションプランという形で示すということになっておりまして、そのアクションプラン策定に向けた議論が今進められているところでございます。
 おめくりいただきまして、平成25年度アクションプランの骨格というのが、6月の初旬ではございますが、第2回グリーンイノベーション戦略協議会にて示されたところです。
 その次のページには、第4期科学技術基本計画のグリーンイノベーション部分の抜粋がございます。大きく三つの柱で、安定的なエネルギー供給、エネルギー利用の効率化、社会インフラのグリーン化、こういう三つの整理で計画上は示されていたところですが、25年のアクションプランとしては、これを少し変えて4本の柱で、クリーンエネルギー供給、これは大規模集中型のエネルギー供給をどう効率化していくかという問題、それから再生可能エネルギーを始めた分散エネルギーシステム、それから省エネ、それら三つ、全般にかかわるものとして社会インフラのグリーン化という四つの構成で今検討が進められているところでございます。
 最後に、御参考まで、御報告といたしまして、今申し上げたイノベーション戦略協議会、各省連携ということも議論されているのですが、文部科学省と経産省でエネルギー分野の合同検討会というものを進めてございまして、その議論について、幅広く意見を求めるために、6月15日にシンポジウムを開催いたしました。本委員会では安井主査が、第2部のパネルディスカッションではモデレーターをお願いして、おかげさまで200名を超える方々に御参加いただきました。以上、御報告でございました。

【安井主査】  ありがとうございました。
 かなり要領よく短時間で御説明いただきましたが、何か御質問などございましたらお願いしたいと思います。一応ここにございますようなことと、それから、次に我々が作ります研究開発方策は整合性がとれているというのが望ましいということから、一応これを最初の議題とさせていただいております。何かございませんでしょうか。
 それでは、江守委員、お願いします。

【江守委員】  ありがとうございます。
 資料1-3の2ページと3ページの関係をちょっと聞き漏らしたかもしれないのですけれども、3ページ、第4期科学技術基本計画ということで、三つの柱があって、三つ目の社会インフラのグリーン化の中に、地球観測・予測、統合解析というのが入っているんですけれども、2ページ目の平成25年度アクションプランというところには、そのコンポーネントはどこかに位置付けられるのかどうなのかというのを教えていただきたいのです。

【今村課長補佐】  平成25年度アクションプランの骨格においては、社会インフラのグリーン化の中で、地球観測という言葉はございますが、おっしゃるように予測ですとか、統合解析という言葉自体は抜け落ちてございます。ただ、こちらはたたき台といいますか、骨格といいますか、こういう方向性で今年度まとめたらどうかというふうに示されて、おおむね了解が得られたものではございますけれども、最終的にアクションプランとしてまとめるのは、今作業を行っているところでございまして、文部科学省としても、地球観測だけではなくて、気候変動予測、統合解析が重要だというのは総合科学技術会議に伝えているところでございますので、最終的にまとまる案には、そういった内容がきちんと盛り込まれることになるかと思います。

【安井主査】  ありがとうございました。
 ほかに何かございますでしょうか。では、もしあれば、また戻ってということにさせていただきたいと思います。
 それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。議題の2でございますが、環境・エネルギー領域における研究開発方策についてということでございます。前回も議論させていただきましたが、前回御欠席で、今回という方もいらっしゃいますので、改めて検討の背景につきまして復習をさせていただきたいと思いますので、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【今村課長補佐】  それでは、資料2-1を御覧ください。こちらは科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会がことし1月にまとめた文書でございます。もともと第4期科学技術基本計画が昨年の夏に決定されまして、基本計画を受けて、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会の下にある各技術分野ごとの、この環境エネルギー科学技術委員会をはじめとした各委員会ごとに、それぞれの技術分野の研究開発方策というものをまとめることとなっておりまして、当委員会においても御議論いただいて、9月にまとめたところでございますが、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会としては、技術分野ごとではなくて、課題に対応する形で研究開発方策というのを改めてまとめ直そうという方針が示されたところです。
 おめくりいただきまして、2ページ目に、大きく四つの課題領域が設けられているのですが、一つ目の環境・エネルギーの領域につきましては、検討体制にございますように、本環境エネルギー科学技術委員会が中心となって、関係する委員会、原子力科学技術委員会をはじめとした関係委員会の協力を得ながら、改めて環境・エネルギーに横断的な研究開発方策というのをまとめるということになっております。
 前回の委員会では関係委員会の検討状況を御報告いただきまして、その報告を踏まえて、研究開発方策に記載すべき事項について御議論いただいたところです。本日の委員会では、関係委員会の主査にも御参加いただいておりますので、前回に引き続きまして研究開発方策の取りまとめに向けて御議論いただければと思います。
 以上でございます。

【安井主査】  ということでございまして、今まで環境・エネルギー領域の研究開発方策はここだけでつくってきたのですけど、それを、もう少しグリーンイノベーションの見直しという形で、包括的にいろいろと、という形になってきたわけでございます。
 ということでございまして、本日、ほかの委員会といいますか、先ほどリストにございましたようなほかの分野の専門の方、もしくは委員会の事務局にも御参加をいただいているということでございます。
 それでは事務局が作成をいたしましたドラフトが本日配られておりますので、これにつきまして説明をいただきまして、議論を進めてまいりたいと思います。既にいろいろな御意見をいただいておりますので、それを可能な限り組み込んだ形でのドラフトだという事務局見解でございますが、もちろんそうでないという御意見もあるかと思いますので、改めましてその内容を御確認いただきまして、適切な記載となっているかどうか、また新たに加えるべき視点等はないかということにつきまして、後ほど御意見をいただきたいと思います。
 それでは、以上で、まず御説明でしっかりいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【今村課長補佐】  それでは、資料2-2及び2-3で御説明したいと思います。
 まず、前回いろいろ御意見いただきました指摘事項につきましては、資料2-2で1枚、大きく10項のポイントがあろうかと思います。こちらにまとめてございます。
 資料2-3をベースに変更箇所を御説明したいと思いますが、まず2ページ目にございます、最近の動向を記しているところでございますが、先ほど議題1でも御説明したように、エネルギー・環境会議が設置されて、現在に至るまでの動向というものが、昨年の秋以降大きく動いておりますので、この記述を追加してございます。中でも、今般、選択肢が示されまして、電源構成比率については、現時点で示されている案は、例えば再生可能エネルギーですと25%から35%まで複数案出ておりますが、いずれも現在の11%というものを大きく超えた案が示されておりますので、それを実現するためには、科学技術、研究開発の加速というものが重要ではないかというのを記載させていただきました。
 続きまして、10ページ以降に、第2章ということで具体的な研究開発課題を記してございますが、各委員会からインプットいただいた内容をそれぞれ反映するとともに、指摘事項で言いますと、一つ目、水素、あるいは水素にかわるエネルギーキャリアについて御指摘をいただきました。
 こちらにつきましては、12ページを御覧いただければと思います。もともとの原案でも水素供給システムに係る記述というのがございましたけれども、水素だけに限定するわけではなく、もう少しいろいろな可能性があるのではないかという御指摘というふうに承りまして、「水素、アンモニア等のエネルギーキャリア」というふうに修正をしたところでございます。
 また、指摘事項の二つ目で、航空機の機体軽量化、省エネというところで、これだけ特定するのは少し狭いのではないかというような御指摘がございましたので、その点につきましては、13ページの上の方でございます。まず、運輸部門の省エネというものが重要だと述べた上で、その上で、とりわけ航空機についてはというような記述に変更いたしました。
 また、指摘事項3番目、地球環境に関するビッグデータの利用についての御指摘がございましたので、この点については、14ページから始まります5ポツ、気候変動予測、観測、予測、統合解析システムに係る記述のところで、最後にビッグデータの解析の重要性について言及をいたしたところでございます。
 指摘事項に戻りまして、4番目と5番目で原子力に関する御指摘がございました。原子力科学技術、エネルギー分野では、やはり重要な要素ではないかということと、ただ、原子力科学技術委員会からいただいた材料では、核融合や高温ガス炉だけとなっていたところですが、より広い原子力関係の記述を記載すべきではないかというようなお話がございましたので、新たに6ポツという形で、その他の研究開発課題についてという項目を設けました。
 その一つ目の柱として、原子力科学技術について記載してございます。まず冒頭で、原子力の研究開発については、環境・エネルギー領域の重点分野としてこれまで推進が図られてきたところでございますが、事故を踏まえた見直しが必要となっているということを述べた上で、その後、第4期科学技術基本計画を引用いたしまして、原子力の研究開発につきましては、事故の検証等を踏まえ、また、今議論されています政策の方向性を見据えることが必要であり、他方で、安全に係るものと、国際約束を踏まえた核融合の研究開発は推進するというふうに計画上なってございますので、こちらを引用いたしました。その上で、原子力安全に関すること、それから核融合及び高温ガス炉に関することは、段落を変えまして数行ずつ記載してございます。
 最後のところで、このほかにも原子力科学技術についてはいろいろと論点がございますけれども、この研究開発方策は、他委員会のものも含めて全体で文部科学省の研究開発方策になりますので、これはその一部をなす環境・エネルギー分野の方策でございますから、そのほかの原子力に関しては後ろの方で、これは原子力科学技術委員会のものが後ろにくっつくことになりますので、後継するというようにいたしました。
 それに続きまして、そのほか情報やナノテクノロジー、それから計測分析技術につきましては、個別の領域というよりも、横断的にかかわることでございましたので、6.2として横断的な研究課題という形で整理いたしました。
 指摘事項6番目として、情報科学技術については、高度な気象予測や全球的な長期気候変動予測等のシミュレーションについても重要であるといった御指摘ですとか、あと、資源にかかわって、元素戦略以外にも、都市鉱山からの回収技術といった御指摘、6番目、7番目がございましたので、それぞれを6.2の1、情報のところ、それから2のナノテクノロジーのところにその要素を記入しているところでございます。
 それから、指摘事項8番目、9番目、10番目で、出口を見据えて研究開発を進め、関係省庁と連携が重要ではないかという御指摘、それから9番目は法制度や社会的慣習への対応が重要ではないか、そして最後に、研究開発に伴うリスクについて配慮が必要ではないか、こういった御指摘をちょうだいしたところでございます。これらの事項につきましては、18ページ以降、3章「研究開発を推進するに当たっての重要事項」というところがもともとございまして、この中でも、例えば18ページの後段に2ポツとして、産学官連携や関係機関間の連携ですとか、続く19ページに人材育成のことなどが書かれていたところでございますけれども、改めまして御指摘をいただいたということで、記述を少し加えなければいけないだろうということで、20ページと21ページにその要素を記入してございます。
 まず、20ページの6ポツでございますが、自然科学と人文・社会科学との連携という項目がもともと立ってございました。改めて検討いたしまして、単に自然科学と人文・社会科学の2項対立ではなく、自然科学の中でも各分野間の連携が必要だろうということで、表題は若干修正させていただきまして、また、もともとの原案のところでは地球環境問題のことだけが例示として挙がってございましたので、要素技術から出口を見据えたというような御指摘を踏まえまして、「エネルギーに関する技術の創出に当たっては」ということで例示を加えさせていただきました。
 また、法制度や社会的関心への対応、それからリスクへの配慮ということにつきましては、7ポツで研究開発に伴うリスクへの配慮という項目を新たに設けました。研究開発が有用な技術にばかり結びつくものではなく、一定のリスクの可能性についても配慮が必要であろう。それについては、「環境・健康・安全面」ですとか、「倫理的・法的・社会的問題についても一定程度取り組むことが必要である」という表現を加えてございます。こちらはナノテクノロジー・材料科学技術委員会の研究開発方策でも同様の記述がございまして、そちらの表現を参考にさせていただきました。
 説明は以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 多くの御指摘をいただいた点はわりあいとうまく反映しているようでございますが、もう一度、先ほど申しましたように内容を御確認いただきまして、適切な記載となっているかどうか、また何か漏れ落ちているところはないか等につきまして、御自由に御意見をいただきたいと思います。予定では1時間ぐらいございますので、少しじっくりとお読みいただきつつも御議論ができるのではないかと思います。それでは、甲斐沼委員、お願いします。

【甲斐沼委員】  どうもありがとうございます。
 前回のときは欠席したもので、申しわけありません。意見を出していなかったので。来るとき、ざっと見せていただいて、ちょっと気になったことがございました。全体的なトーンとして、私自身、地球温暖化というか、気候変動のことをやっているので、ありがたいと言えばありがたいのですけれども、結構その方に重点が、地球環境と言いながら、温暖化の問題に重点を置かれているというような印象で、それはそれでいいのですけれども、例えば3ページの14行目のところですか、「生物多様性の損失を遅らせるための努力を強化することにコミットする」等の合意がなされているなど、地球温暖化への対応がということなのですけれども、これなんかは地球温暖化だけではなくて、ほかの要素も、生物多様性を保持するというようなところがもともとあったと思うので、ここの気候変動というところにちょっと集中し過ぎなのかなというような印象を受けました。
 全般的な話ですけれども、社会経済的な話というのは、今回もコメントの中で書かれていて、それを書いていてくださっているのですけれども、印象としましては、省エネというか、技術開発がメーンでしょうけれども、省エネ、あるいは都市の計画自体で省資源とか省エネにするといったような記述が少ないのかなと。省エネのところで技術開発というところがあるのですけれども、例えばエコカーを導入するとかいうよりも、もっと公共交通を入れたり、その都市自体の設計をするような基礎研究というのか、応用研究というのか、研究が重要になってくるのではないかという、それも入れておいていいのではないかというような印象を受けました。
 今日御説明いただいた資料の中で、アクションプランの骨格で、社会インフラのグリーン化ということが書かれておりますので、ここはむしろエネルギーインフラということで書かれているんですが、そのエネルギーインフラを支える社会全体の検討といいますか、制度的なものも含めた検討といったようなものももう少し触れていただきたいなということであります。

【安井主査】   おっしゃるとおりで、どのぐらいのバランスが書くかという問題なのですけど、文部科学省的にどうか、他省庁で書かれることは薄めに書くのかどうかも、その辺はバランスをとらなければいけない部分があるので、その辺は、まさにどの辺が適当かという部分はないではないという気がいたします。しかしながら、大学というのは、ありとあらゆる領域を持っていますので、ですから、わりあいと広めにとられるということは間違いないのであります。ありがとうございました。
 ほかに何か。それでは、須田委員、お願いします。

【須田委員】   今、私もそういうお話をしようかなと思ったら、ちょうどそういうお話が出たので、私も補強する意味でちょっとお話ししますけれども、先ほどの、これはやっぱり使うほうをいかに効率化して省エネにしていくかというような話もして、総合的な政策で重要だと思います。そういうことで、先ほどのプランには、次世代の交通システムとかいろいろなキーワードが出ていたので、そういうことが必要かなという感じはしています。
 13ページのつけ加えたところに運輸部門の省エネルギー化ということが書かれているのですけど、軽量化だけしか入っていなくて、何かちょっと航空機だけで違和感があるということでこういうのがつけ加えられたと思うのですけれども、軽量化だけというのも若干また、文言は少し違和感があるかなと。もう少し幅広めの話の中を示していただいたほうがいいのではないかと思いました。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、安岡委員、中村委員、藤野委員の順番で、お願いします。

【安岡主査代理】  主な指摘事項の3番に対応して、原稿の方で言いますと15ページにビッグデータという言葉をつけ加えていただいています。これは、どなたがどういう趣旨で御発言したのか、地球環境に関するというコンテクストの中で多分発言されたのでここに入ってきたのではないかと思うのですが、ぱっと読むと、ビッグデータ、かなり重要な研究課題に今世の中でなりつつあって、ここのところに、地球環境に関するビッグデータを解析して、利用者にわかりやすい形でフィードバックするというのは、少し狭いかなと。
 私の提案は、むしろ16ページ6.2の影響・エネルギー領域に関わる横断的な研究課題というところの(1)に情報基盤技術の高度化というのがありますが、ここの第2パラグラフに「また」というのがあって、ここに第3パラグラフとして「さらに」というような形で、ビッグデータに関するところをやや広めに書いて、ここへ持ってきたほうがいいのではないかという印象を受けました。
 具体的には、ビッグデータを解析しという言葉がいいかどうかわかりませんけど、例えば新たな知見を獲得するとかいう言葉も加えた上で、もちろん利用者にわかりやすい形でフィードバックというのは入れていただいていいのですが、今、世の中がビッグデータに着目しているというところもあって、環境・エネルギー分野でもやや広めの枠組みで書いたほうがトーンはいいのではないかなという印象を受けます。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、中村委員、お願いいたします。

【中村委員】  ありがとうございます。
 では、ちょっと細かいことが多いかもしれませんが、3点ほど申し上げたいと思います。1点目は、16ページなのですが、ある意味ではこれは質問になりますけど、26行目、前回の指摘事項の6番目ですか、情報科学技術委員会の報告に含まれているということで、「高度な気象予測」というのが入ってくるのですが、この言葉は多分ぱっと拝見した限りだとここしか出てこないような気がしまして、どういうことを意味されているのか、今ごろ聞いて、先週お尋ねしなくて申しわけなかったですが、どういうことを意図されているのかなというのを教えていただきたい。例えば再生可能エネルギーは、自然エネルギーですから当然変動するわけですけれども、そういうことを念頭に置いていらっしゃるのかどうか、ちょっとよくわからなかったというのが質問の趣旨です。
 それから、あと二つは、21ページなのですけれども、例えば9行目、10行目ということで、異分野との連携というところで、社会的受容性とか国民的合意形成という言葉が出てきて、ここは私自身かねてから全くそのとおりだと思っていまして、連携をすることは当然大事なんですが、連携をした上で必要なことは、新しい技術だとか政策を導入していくに当たっては、広く国民に理解を得た上で、いわゆる社会的に受容されて国民的合意が形成されることというのが多分前提条件になるのではないかと自分は思っています。
 そういう意味からいくと、今の11行目まではいいのですが、融合を図られる必要があると。よろしければ、12行目「個々の科学技術が」というところの前に、もう一度そこの必要性をあえてうたって、例えば、とりわけ新しい技術や政策の導入に当たっては、十分な社会的受容性に基づく国民的合意の形成が重要である、必要であるということをうたった上で、「個々の科学技術が」というふうに続けていただくと、自分としては非常に素直に読めるなという印象を持ちました。
 それから最後、3点目は、ちょっと細かいですが、リスクへの配慮ということなのですが、同じ21ページの24行目です。「ITシステムにおける」と書いてありますが、確かにこれからはいろいろな意味でインフォメーションテクノロジーというのが今以上に使われていくと思うんですけれども、ITというのは自分の理解ではまだまだ脆弱なシステム、発展途上だと思っていますので、例えばここに書いていただいているリスクの例にプライバシーの取扱いというのがありますけれども、もう一個、やはり社会として考えておかなければいけないのは、国際的に問題になってきているサイバーテロとか、ああいうもののリスクというのもあると思いますので、その辺のサイバーテロのリスクの危険性というのを追加していただいたらどうかというのが今拝見した限りでのコメントです。

【安井主査】  ありがとうございました。
 質問もあったようでございますけど、高度な気象予測とは何かということに関しまして、あちらからお答えいただいていいですか。それではお願いします。

【情報科学技術委員会事務局】  では、情報科学技術委員会で担当している部分について説明いたします。
 情報分野においては、今、スパコン京を中核とするHPCIにおいて、環境・エネルギー分野も重要なプロジェクトの一つとして推進しておりまして、具体的にはそこで取り組んでいるシミュレーションの内容を念頭に置いて記載したということでございます。

【安井主査】  はい、江守委員、お願いします。

【江守委員】  具体的に言うと、今領域として挙がっているのは防災ということだと思います。ですので、これはそこから引っ張ってきた文章であるという限りにおいては、防災の文脈で言われていると私は理解しますけれども、先ほどおっしゃったように、多分再生可能エネルギーの高度利用のための気象予測というのは必要な分野なのかもしれないと思います。

【安井主査】  ありがとうございます。
 多分、私もそんな気がしますね。その辺りの防災用の細かい、ローカルにブレークダウンしていった、スケールダウンをしたようなデータみたいな感じがしますね。
 それでは、藤野委員、お願いします。

【藤野委員】  ありがとうございます。
 三つ。まず、これは軽微なことですけれども、20ページ目の25行目に、来年6月にはリオサミットがあると書いてあるんですが、もう終わってしまったので、これは御修正されたほうがいいと思います。
 2点目は、13ページ目の社会シナリオ研究のところですけれども、先週、こちらの甲斐沼委員とも、また、ずっと低炭素社会研究をやっている西岡先生とも一緒にオランダのロッテルダムのダッチ・リサーチ・インスティチュート・フォー・トランジションというちょっと変わった名前の研究機関に行く機会がありまして、それで、彼らがやっている社会シナリオ研究だったりとか、トランジションマネジメント研究だったりとか、そういったお話を聞いた中で、社会・経済シナリオと一言で言っているものに対して、もう少し深い分析が必要なのかなと思って帰ってきました。
 どういうことかといいますと、そこにはヤン・ロットマンという研究者がいて、彼はIPCCでも有名なイメージというモデルをドクターの論文の過程でつくってしまって、それでずっとモデル開発もやっていたんですけれども、そういったリニア型な、線形型な、現状わかっていることで将来を予測するようなモデルだけでは、例えば経済危機だったりとか、地震まで予測できるかは別としましても、そういったディスコンティニュイティ、不連続性だったりとか、又は不確実性。不確実性は江守委員の得意とするところだと思いますけれども、そういった様々な社会・経済の事象に対応した将来のシナリオとか、将来の備えというのができないのではないかというので、社会・経済の中でのフィードバック機能とか、又はショックですね。3・11自体もショックですし、そういった大きな事象が、社会・経済に与えるものも含めたシナリオ研究というのをまさにやっている最中だと思うんですけれども、この中で、これしか書いてないので、そう読み取って、そういう分野をどんどん進めてやってもいいのかもしれませんけれども、そういったところにチャレンジしないと、IPCC型の2050年、2100年がある意味リニア的にGDPはどんどんふえていって、物はどんどん使っていって、危機は起こらないで、ずっと社会・経済は動いていくというような感じのもとでの予測をやるというのは、そうすると技術開発もどんどんやって、対応して穴を防いでいくというような感じのものになってしまうのかな、なんていうのが、だからどうしろというのが難しいかもしれませんけれども、まずそういったことを一つ学びました。
 あわせて、社会・経済シナリオについては、土曜日にこちらの堀尾委員が領域統括されているRISTEXの地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会の領域の方で、東近江市というのが対象に選ばれていますけれども、それのキーパーソン100人が集まる魅知普請という会に御縁があって参加してきたんですけれども、社会・経済シナリオ、このキーワードだけだと世界を対象にしているのか、国を対象にしているのか、地域を対象にしているのか、これは全部含めていいのかもしれませんけれども、もっぱら世界と国だけを対象にしてしまうと、地域、特に顔が見えるところとか、そういったところで行われるような取組が取り落とされてしまうかもしれませんが、地域はそれぞれ独自性があって、そんな中で、特に東近江はおもしろかったですけれども、エネルギー、環境も含めて、また福祉だったりとか、様々な分野でチャレンジしていますけれども、環境・エネルギーのためだけに人々は生きていませんので、そういったものを融合しながら、多分環境・エネルギーの価値も高めていくということだと思うんです。そういったところをここから勝手に読み取れば勝手に研究していいのかなと思うんですけれども、そういう学びがあったのでお知らせしたいなと思いました。
 三つ目、最後、19ページ目の環境・エネルギー分野の人材育成にかかわるところかもしれませんけれども、最近、エネルギーの本を書く機会があって、子供向けのエネルギーの本を書いたんですけれども、そういったこともあったりして、環境教育に興味を持って、文部科学省の視学官の先生だったりとか、また、いろいろな人にヒアリングをしているんですけれども、文部科学省ですからきっと教育も射程に入っていると思いますけれども、その人材育成、大学教育はこの中の視野に入っているのかもしれませんけれども、エネルギー環境教育も非常に重要なポイントかなと思っていまして、今までもっぱらエネルギー業界の方がお金を出してやっていた面もなくはないかなと思うんですけれども、その連続性、小学校、中学校、高校までのエネルギー環境教育と、大学に入ってからのエネルギー環境教育、そして社会に入ってからのエネルギー環境教育というか、技術開発だったりとか、そこら辺の連続性について、あまりどうもきちんと議論されたことが、理科教育の重要性とか、それぞれの教科の重要性は言われますけれども、エネルギー・環境という側面から見て、どういった知識が必要だったりとか、ネイチャーゲームだったりとか、そういう自然からの学びで環境・エネルギーへの理解を深めるというのもあるかもしれませんけれども、そういった観点でのまとめというものは一つやらないと、またパーツ、パーツのところに、どうやってこれを結びつければ。エネルギー・環境協会は一つの例ですけれども、そういう観点も私にとっては興味深いので、こういうのはどう入るのかわからないですけれども、ちょっと問題提起しました。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、こちらに向って、高尾委員、杉山委員、甲斐沼委員という順番でよろしいですか。それでは、高尾委員、お願いします。

【高尾委員】  今まで出てこなかったことを急に思いついたので、すみません。
 最近、いろいろ文部科学省のプロジェクトのお手伝いをさせてもらっていると感じたことがあって、一つは、現場の研究開発マネジメントが、わりにマネジメント能力がないと言ったら怒られますけど、人によってみんなばらつきがあるような感じがしていまして、そういうのをある程度標準化するというか、具体的には、ネットワーク型とか、拠点型とか、それからCREST型とか、ALCA型とか、いろいろなパターンがあるんですけど、そのパターンの中でのミッションをきっちり整理して先生方に伝えないと、多分動かないのではないか。研究開発のマネジメントをやらないと、標準化やったらおかしいんですけど、ミッションをきっちりしないといけないということはつくづく感じています。
 それで、環境問題とかエネルギー問題というのは、基礎研究のところはいいんですけど、出口に近いところは結果がある程度はっきりしやすいので、この間のシンポジウムでも議論になったのですけど、途中でやめさせるとかいう、その方が本人も多分いいと思うんです。だから、そういう評価システムと、それから、やっぱり先生たちにもそういうのに慣れてもらうというのが必要なのではないか。
 これは研究開発の大枠を決める話なので、国としてめり張りをつけるためにも、長々と10年間もやっているのではなくて、10年間やるプロジェクトでも時々めり張りをつけてきっちりやるということをどこかで入れていかないと、発散してしまうのではないかなという感じがしましたので、ちょっと一言、意見です。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、杉山委員、お願いします。

【杉山委員】  三つほどあります。一つ目は、単に支持しますという意見で。2ページ目の上の方に加筆していただいたところですけれども、これは私はおっしゃるとおりだなと思っていて、再生可能エネルギーを大規模に入れるというのは、今ある技術だと非常にお金がかかるし、できるかどうかもわからないので、もし大規模に入れるのであれば、技術開発を徹底してやらなければいけないってここに書いてある、このとおりだと思いますので、これはうまいこと書かれたなと思いましたので、ぜひこの方向でやっていただきたいと思っています。それが一つ。
 それから、17ページの12行目ですけれども、レアアースに関して、都市鉱山についてと書いてあって、これは入れていただいたのは大変結構だと思うんですけれども、都市鉱山もあるのですが、これだとリサイクルの話だけになってしまうので、その前段として、おそらく低品位資源の利用技術ですね。今までは石1個とれば、そのうち0.5%は有用な鉱物ですというような、そういうものばかり。わりと品位の高いものを使っていたんですけれども、それがこれからは0.01%しか鉱物は入っていないとか、そういうのが出てくる。そういうものをうまく粉砕して、うまく分離して、うまく吸着してとか、そういった低品位資源の利用技術というのを一つ入れておいていただくと、もう少し幅が広がってよろしいかなと思います。ここは技術力でもって資源がふえるという分野ですので、日本が取り組むのにいいところかと思っています。
 それとちょっと関連するようで関連しないんですけれども、今まで申し上げ損ねていた視点として、機能主義的というのですか、国際関係では機能主義とおそらく言うんですけど、ファンクショナリズムと言うんですけど、科学技術に関する連携で国際的な関係をつくっていくという視点もここであっていいのかなという気もしていて、これまで国際貢献をしますという文脈とか、世界的な文脈に寄与しますということは前半のところで随分書いておられて、これはこれで確かなんですけれども、逆に、外交関係をつくっていくときの入り口として、環境・エネルギー分野の科学技術協力をやっていくという手はあり得て、例えばと言って思いつくのが、太平洋の島国、たくさんあって、そこの領海にはいろいろな資源があって、その中にはレアアースもあるんですけれども、そういったものを共同で調査するとか、あるいはそれの利用方法について検討する。そういったようなやり方が、その研究自体の成果ももちろんあるといいんですけれども、仮にそれがなくても、そこで環境・エネルギーに関する協力ということで、これまでどちらかというと省エネルギー技術とか、太陽電池とか、エネルギーの発電とか利用とかばかり向いていたんですけれども、資源の探査とか低品位資源の利用という側面でももちろんできますし、これに関しては、レアアースなんかは結構太平洋の海底で見つかったりしていますので、あるかなと。
 分野を何にするかも、そういう選択肢はあるんですけれども、外交関係をつくっていく機能主義的な側面というものを、この環境・エネルギー分野の科学技術研究だけあれば求めてもいいのかなと思いました。
 あともう1点だけ申し上げたいのは、19ページに人材育成について書いてあるんですけれども、これはもっと強く位置付けられないかなというのが思いとしてありまして、今、就職のないポスドクが一番多い分野は文科系ですけれども、2番目がバイオ関係で、3番目が環境系だそうです。ドクターはみんな取れても職がないというような状態で。すばらしい研究をしている方はたくさん大学から出てくるんですけれども、職が安定しないとか職がないとかいう状態で、安定した雇用環境をつくっていくというようなことがもちろん必要で、それは公的な雇用も、それから民間企業の活動に取り込まれる雇用もあると思うんですけれども、そこの人材育成がどうもお寒いなというのが今見ていて思うところで、環境・エネルギーをほんとうに研究しようというやり手がだんだんこれからなくなっていくんじゃないのかなというのを心配していますので、ここをもう少し強く前面に出せないものかというのは感じるところです。
 私からは以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、甲斐沼委員、お願いします。

【甲斐沼委員】  すみません、先ほど言い忘れたことなのですけれども、まず7ページの5行目のところで、研究開発を進めていくと。これらの成果をGEOSS等の枠組みを通してと、等が入っているからいいとは思うんですけれども、GEOSSというのはモニタリングの方なので、もう少し技術の成果を広めるための枠組みというのも、モニタリングと少し違和感を読んだときに覚えたということです。
 あと、16ページなのですけど、先ほど杉山さんがおっしゃったこととちょっと重複するんですけれども、このタイトルが資源確保技術となっているんですけれども、レアアース自体を少なく使う技術、ここにも書いてありますけれども、それとか、レアアースを使わないで別のものを使うというようなこともあるので、(2)のところのタイトルを、例えば低炭素成長を支えるとか、資源確保と省資源化技術とか、ちょっとここを考えていただいたらなと思いました。
 あと、13ページで、これも藤野委員の方の意見からもあったと思うんですけれども、ここの33行目辺りで、いろいろな実証研究は不可欠で、研究課題をやっているんだけれども、これらはあくまでもツールであって、さらなる必要があるということなんですけど、ツール以外にも、実際に研究自体のことも入っていると思われるので、この表現がちょっと気になりました。
 あと、質問なのですけれども、今後取り組むべき研究課題の入っているところと入っていないところ、多分前の会議で御説明があったと思うんですけれども、ほかのところは入ってないのがなぜかなというのがちょっと気になったところです。
 あと、19ページの人材育成のところ。人材育成はすごく大切で、うまく書かれているとは思うんですけれども、19ページの28行目から34行目のところについて、書かれてはいるんですけれども、一般的なような感じがして、もう少し具体策に踏み込んで書かれたほうがわかりやすいかなと思いました。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、江守委員、お願いいたします。

【江守委員】  ありがとうございます。
 先ほど藤野委員に名前を呼ばれたのでフォローアップをしたいと思うのですけれども、不確実性の件ですけれども、おっしゃるとおりで、不確実性というのが、私は、海外の専門家というか、環境問題とかに関する非常に先進的な研究をしている人に聞くと、不確実性ということを、いろいろ深い話をおっしゃるんですけれども、日本ではあんまりそういう話をする人はいないということに、ちょっと危機感に近いような感覚を持っています。まさに藤野さんのお話しされたオランダは、私の理解ではポスト・ノーマル・サイエンスという流れがあって、私も勉強している途中であまり詳しくないんですけれども、その不確実性というのを、従来の科学でとらえていたような、例えば測定誤差であるとか、推定誤差であるとか、予測誤差であるとか、そういう従来の科学のテクニカルな問題として処理して、見積もって、もっとどんどん研究すればそれは小さくなっていくという、そういうものとしてとらえるのではなくて、我々が社会という複雑なシステムに向き合っているということで、本質的に存在しているもっと大きな減らすことのできない複雑性、不確実性というのがあって、それを認識しながら意思決定をしなければいけないのだというような、そんな感じの大きな流れがあるのだと思うんです。
 そういうことが、おそらく今回の3・11とか、そのときに想定外と呼ばれた事態に対して社会がどういうふうに対処すべきだったかとか、そういうことを考える上でおそらく重要なはずで、そういった意味での本質的な不確実性の問題というのが、おそらく書くとすると、最後の研究開発を推進するに当たっての重要事項に一つ不確実性という項目を特出ししてもいいぐらいの大きなトピックというか、テーマだというふうに私は思うんですが、まだちょっとその不確実性に関してどうしたらいいのかという認識が、この委員会の間でも煮詰まっていないと思うので、今書かれている中で一番関連しているのは、6番の自然科学の各分野間及び人文・社会科学分野との連携の中で、先ほどからお話が出ています社会的受容性とか、リスクコミュニケーションとか、そういうところがありますけれども、その不確実性を認識すると意思決定を専門家だけで決めることができなくなって、コミュニケーションの質であるとか、民主的な意思決定の参加であるとか、そういう問題に不可避的につながっていくんだということで、こういう話がつながるというふうに私は理解しているので、この辺に絡めて、少しその不確実性の問題というのを、書き足すというのが一つの可能性なのかなと思いました。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、また左に移りまして、高橋委員、高村委員、藤原委員、堀尾委員の順番でお願いします。それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】  私の方からは、1点。文部科学省が推進すべき研究開発課題ということで、10ページから17ページまでまとめられておられると思いますが、この研究開発課題を、申しわけない、まだ初見なものですから足らないところがあるかもしれません。最初の6行目辺り、ポチがついてございますけれども、「革新的な要素技術の研究開発に加え」、この3行ぐらいで、どういう立ち位置でここの研究開発課題というものを議論するかということが記述されていると思いますが、この中身を拝見させていただくと、例えば革新的な要素というのがどこにあるのかとか、基礎技術と、それから技術の多様性というものが各課題のどこにあるのかとか、あるいは連携の強化に重視を置いているのかとか、その各課題の、よく読んでみると、トーンを見ますと、どこに重点が置いてあるのだろうなというようなことがわかるんですけれども、どうもよくわかりにくいというところはぬぐいきれないんですが、例えば太陽光、バイオマス、エネルギーの話になりますと、この中で、例えば日本の科学技術が、これまでの取組の中で、例えば基礎の強みを生かすとか、そういった技術の多様性みたいなものを生かすのか、あるいは、今までちょっと足りなかったところの連携みたいなものをもっと強化するのかとか、もう少し踏み込んだ記述があるとわかりやすいような気がいたしますが、課題の1番から5番までを拝見すると、その課題ごとに、どこが足りないかというのは読んでみるとよくわかるんですけれども、その辺りの基礎科学、あるいは多様性、あるいは連携みたいなことのどこに、どのように、それぞれの課題が、どこに重点を置くのかということが、記述があるとわかりやすいように思います。
 その課題ごとにでも、おそらく新しい技術の方に、基礎技術の方に注力しなければならないところもありますでしょうし、連携の強化の方に注力しなければならないということもあると思いますので、それは課題ごとにあると思うんですけれども、その辺の記述を、文部科学省の方の立ち位置とあわせて書いていただけると非常にわかりやすいのではないかという気がいたします。

【安井主査】  これはかなり対応が難しい要求ですね。
 それでは、高村委員、お願いします。

【高村委員】  ありがとうございます。すみません、前回休ませていただいたものですから、幾つかコメントを文案に沿って申し上げたいと思います。
 まず2ページ目のところですが、これは先ほど杉山委員もおっしゃいましたけれども、こちら、書いていただいていると思っております。
 あわせて、ぜひもう一文入れていただきたいのが、これは12ページの研究課題にもかかわってくるので何ですけれども、いわゆるエネルギー効率の改善に関しても、これは今エネルギー・環境会議に出されているいずれのシナリオも、相当程度のエネルギー効率改善というのを前提にしているオプションだと思いますので、そういう意味では、その点は後の研究課題の理由づけを許可すると意味でも入れていただいたほうがよいのではないかと思います。これが1点でございます。
 2点目は、先ほど藤野さんがおっしゃった点にかかわるのですが、国際的な動向のところが、リオだけではなく、多分少しアップデートがあると思うので、それはもう事務局にお任せしたいので、ここは細かいところは申し上げません。
 3点目でございますけれども、細かなところで恐縮ですが、11ページのところで、今回新しく入れていただいた未利用エネルギーの転換のところです。これは必ずしも電気に限らないのではないかと思いまして。おそらく幾つかの事例を想定されたと思うんですが、これは必ずしも電気に限らないと思いましたので、そういう意味では電気を取っていただいていいのではないかと思います。
 行数でいきますと、同じページの9行目のところですが、今議論されている、それから、その後に出てきます横断的な視点との整合性からいきますと、技術評価、それから影響評価の次でしょうか、技術のリスク評価についても入れる必要があるのではないかと思います。文言は御検討いただければ思います。
 それから、次のところでございますが、13ページ、先ほど甲斐沼委員、須田委員がおっしゃった点、私も全く賛同でございます。繰り返しませんので、それだけ申し上げたいと思います。
 それから、研究開発に当たっての重要事項のところは非常に丁寧にまとめてくださっているのですが、ここのところについて、項目の並びの問題なんですけれども、1の後に6を入れていただいたほうがよいのではないかと思いました。分野間の協力による新しい科学的・社会的価値の創造と。そのところで、まさにその中でも書かれているのですが、その上で、科学分野の連携がそれゆえに必要だという観点から、6を前に出してはどうかというのが御提案でございます。
 そしてあと、21ページのところでございますけれども、一つ細かな点と、もう一つは大きな点でございます。21ページの新しく書き加えてくださったところで、ここに書かれていることは全く異論がないのですが、社会科学のところで、経営学を特出しされているので、これは必ずしも経営学に限らないと思いますので、取っていただいてもよいのではないかという感じがいたします。
 つまり、実用化、製品化と言えば経営学だけではなくて、例えば消費者の行動とどうかといったようなことでいけば、心理学ですとか、社会学とか、いろいろな学問分野がかかわると思いますし、規制といいましょうか、普及の枠組みをつくるかという意味でいけば、方角などもかかわってくるので、必ずしも経営学を初めとしたという形で特出しをしていただく必要はないのではないかという点です。これは、すみません、細かな点でございます。
 ちょっと大きな点で、21ページのところで、非常に興味深く今までの議論を伺ったのですけれども、7番目のところ、少し文言を検討いただければと思っているところを申し上げたいと思っております。ここに書かれていることについて、基本的に異論はございません。むしろ非常に重要だと、非常に大事な記述だと思っているのですが、これは研究開発に伴うリスクへの配慮というよりは、研究開発によって生み出された科学技術に関して、もちろん有用性とともに、伴うリスクや、先ほど江守さんの話でいけば、不確実性も場合によっては含む。そうした情報がしっかり社会に提供されなければならない。そのことが、この7番目の肝といいましょうか、大きなところだと思いまして、そういう意味では、ちょっと先走るかもしれませんが、科学技術の技術評価の手法、あるいは技術評価、テクノロジーアセスメント、それから、そこから得られるリスクを含めた情報の公開とリスクコミュニケーションといったものがここの内容だと思っておりまして、そういう意味では、このタイトル、それから細かなところの文章の書きぶりを、もしそういう理解で正しければ少し直していただいたほうがよいのではないかと思っております。
 例えば、具体的なところでいきますと、最初のところですが、「研究開発によって新たに生み出された科学的知見」というのは、「科学技術」でよいと思いますし、その下、28行目辺りでいきますと、「リスクについても積極的に」と、リスク情報で、しかもこれは不確実性も含めたリスク情報と、そういう書きぶりだろう。
 それから、その後、特に「将来の事業化へ結びつけるためには」というのは不要だと私は思います。つまり、事業化にかかわらず、科学技術のそうした情報が適切に社会に提供されるということ自身が、それだけで価値があるということだと思いますので、ここは「例えば」まで削っていただいてよいところではないかと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、藤原委員、お願いします。

【藤原委員】  ありがとうございます。
 申し上げようと思ったことが出たので、繰り返しになりますけれども、最初に甲斐沼委員と須田委員がおっしゃっていただいた13ページの運輸部門の件につきましては、原単位の効率化だけではなくて、転換とか、あるいは需要そのものを削減するというところの技術開発が必要ではないかということを加筆する必要があるのではないかと思います。
 それから二つ目は、その次のページ辺りになると思いますけれども、14ページ辺りに、社会シナリオ研究の一環として低炭素社会の構築というのが出てきておりますけれども、ここについては、先ほど出ていましたけれども、空間的な区分けみたいなのが必要で、地域とか国、それから都市ということで言うと、かなり都市のレベルでのシナリオ分析、研究が必要なのと、まちづくりへの反映というのがありますので、そこのところを加えていただく必要があるのかなと思いました。
 最後に、江守委員が御指摘した件を私もちょっと思っておりまして、ただ、どこに入れればいいのかよくわからないんですけれども、不確実性とおっしゃっています言葉は、私で言うと気象事象の予防とか予測技術に関係して、どこかの箇所にまれにしか起きないけれども、起きた場合にリスクとしては極めて大きいようなことに対する基礎研究をどこかに入れておく必要があるのではないかなと思いますし、それを解決する手だてとしては、ソーシャルネットワークのようなところが重要になりますので、分野を連携したコミュニケーション等のところに割りつけてもいいかなというふうに感じております。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、堀尾委員、お願いします。

【堀尾委員】  一応大きくは3点ございます。1番目は、技術の適正性という言葉をどこかにきちんと入れていただいたほうがいいのではないか。要するに、藤野さんの言葉を使えば直線的にという、これまでの行け行けどんどん型の技術開発のイメージが少し残っているような感じで、先ほど来の議論にある不確実性ですとか、あるいはリスクの問題だとか、そういうことに配慮した言葉を適正性という言葉で私は言ってきているんですけれども、更にいい言葉があればそういう言葉を使っていただいたらいいのではないかと思いますが、例えば先ほど来議論になっている、2ページ目の赤い追加されている中に、6行目で「技術革新が不可欠であり」と書いてあるわけですけれども、これだと従来型の発想の、とにかく技術で解決するんだというイメージが非常に強く出ておりまして、やはりそこに技術の適正性の評価だとか、そういうことをもう少し入れていただける方法はないかというふうに思います。
 それから、同じ関係では、例えば文部科学省が推進すべきという10ページのところにも、「要素技術の研究開発に加えて」という記述しかないので、研究開発をやればいいのかということになってしまうので、やはりそこにも今議論になっているような適正性の問題を表現していただくことはできないのか。
 それから、同じような流れでいきますと、21ページの先ほど来議論になっております、高村さんも言っておられた研究開発に伴うリスクへの配慮のところです。私も、研究開発に伴うリスクではなくて、開発されている技術が社会に入ったときのリスクということがイメージできるような表題にされるべきだと思いますが、その辺の表現をお願いしたいなと。
 それから2番目のポイントは、社会シナリオ絡みの話なんですが、あるいは横断性という言葉が出てくるんですけれども、どうもこのドキュメント全体として、まだ完全に整合的じゃないのではないか。例えば横断性ということを社会シナリオの中で言っておきながら、最後の方の16ページの6.2のところでは、一切そういう問題が挙げられていないと。ですから、(4)で、例えば思いつきになるかもしれませんが、社会システム、あるいは先ほど藤原委員が言われたまちづくりとか、あるいは合意形成、そういうことに関連させたグリーンイノベーションのシナリオ設計とか、何かそういうようなことがあってもいいのではないか。そうしないと、社会科学との連携云々は、非常に抽象的に言われているだけで、一切具体性を持っていない。ほとんど免罪的な言葉になっているのではないかという感じがしないでもないです。そういう意味で、ぜひ6.2の御検討をお願いしたい。
 それから3番目は、先ほど来議論になっている、文部科学省が取り組むべき研究開発課題というところで、丸ポツで書かれているいろいろなことがあるわけですけれども、これはこの委員会で本当に合意されているのか。この程度の書き方で研究計画をやり、また評価をやるということになりますと、もう何でもありで、ほとんどフリーパスのような感じになってしまうんですね。例えば11ページの太陽光、太陽熱、バイオマス、風力と、その他何でもありですね。だから何の制約もかけずにこれを書いてどういう意味があるのか、さっぱり私はわかりません。私はバイオマスをやってきた人間ですけど、今までのバイオマスはほとんど犯罪的というぐらいにむだなお金を使っておりますので、そういうことを繰り返されないようにするにはどうしたらいいのかということが、これではよくわからない。
 そういう意味で、次の12ページの水素、アンモニア等というのが入ったのですが、私は水素なんかやる必要ないと思っています。そうすると、これはこの委員会である程度は、セカンドオピニオン、何があるのかということについて議論して、資料をもらった上でやらないと、こういうものを書いても、ほとんど管理能力のない計画・評価の委員会になってしまうのではないかと心配しております。
 そういう意味で、我が国のプロジェクトの設計評価のやり方が不十分であったために、総務省が頑張って1,000ページも書くような報告書をつくられたわけですけれども、政策評価で、バイオマスについてはですね。あれも本来ならば研究計画をするところできちんとやっておかなければ、後からいくら息巻いたって意味がないわけで、そういう意味で、全体の計画と評価の組み合わせのところで、こういう委員会のやり方自体も、もう少し中身に立ち入って、お互いに血を流すこともやらなければいけないのではないかと思っております。いかがでしょうか。

【安井主査】  ちょっと後でコメントしたいと思います。
 それでは、安成委員、お願いします。

【安成委員】  2点。一つは、先ほど江守委員、あるいは藤原委員が指摘された不確実性の特に気候変動予測等に関係します。それは、確かにどこに入れるか。絶対入れるべきだと思うのですが、具体的には14ページから15ページにある5ポツのところです。そこで、どういう社会でのニーズとか、いろいろ考え方等を含めた対応、リスクコミュニケーションが必要だというようなことを、むしろここに入れたほうがいいのかなと具体的には思います。これが一つです。
 それから、これはどなたも御指摘されません。同じ15ページの6、その他のところの6.1の原子力科学技術についてです。10ページ等で、要するに3・11、福島原発等を踏まえて、再生可能エネルギーの普及と同時に低炭素化も必要だと。それで、最初の課題で、革新的エネルギーへ向けた戦略というような話がありますので、そういうことを踏まえると、原子力について触れるのであれば、基本的には、その方向としては、原子力をできるだけ減らす。脱原子力というような方向が既にあるのかなと思うんですけど、ただ同時に、これは環境・エネルギーの委員会、エネルギーのことを考えると原子力のことを一言言わないといけないのかなと思うんですけど、ここで書いてあることを見ると、推進することとされているとか、これは多分原子力科学技術委員会での議論かなんかをそのまま持ってきているのかどうか知りませんけど、何か他人事のように書いてある。結局、その後をずっと読むと、でも原子力の安全のための技術は維持して、充実を図っていくことが必要であるなんて書くと、ここだけ読むと、むしろ原子力をそのまま維持すべきであるというようなことをこの委員会として何となく言っているのかなというぐあいに取られかねない面もあるかなと。だから、逆に言うと、こういうことをここで書く必要があるのかどうか。
 その中でも、先ほど核融合の話がまた入っていて、これは前回での指摘事項の5ポツにありますように、核融合とか、かなり技術的に、私は素人でよくわかりませんけど、少なくとも実現性というのはまだまだ先の話であるというぐらいに聞いています。そういう話をここに入れるというのは、新しいエネルギーのプライオリティーを考えたときに、今、堀尾さんも言われましたけど、何がほんとうに一番フィージブルで大事なのかという視点で、この核融合の話まで書く必要があるのかどうかというのが素人なりに疑問に思いました。
 そのぐらいです。

【安井主査】  今のところはどこか。本日は、原子力科学技術委員会の田中主査にお見えいただいているので、最初にそちらに伺うのがよいか、事務局にまず聞くのがいいのか、どちらでもよろしいのですけど。

【田中原子力科学技術委員会主査】  では、まず私の方から。

【安井主査】  それではお願いします。

【田中原子力科学技術委員会主査】  どうもありがとうございます。せっかく出席させていただいたので、全く発言する機会がないのかなと思っていたのですが、ありがとうございます。
 今御指摘のとおりでございます。いろいろと国の政策としてエネルギー・環境会議で議論していますし、そのもとの資源エネルギー庁の基本問題委員会の方で議論しています。そこでは脱原子力依存を原則としつつ、2030年断面でどういうふうな原子力の依存性がいいのかということを議論する、そのとおりでございます。
 ただ一方で、またエネルギー・環境会議の方から原子力科学技術委員会の方に、どういうふうな燃料サイクルがいいのかということの宿題があって、先ほどの資料1-1にありますように、21日に核燃料サイクルの選択肢ということでの報告といいますか、原子力委員会としての考え方が示され、その中で、高速増殖炉サイクルについて、どういうふうに研究開発していけばいいのかについても、その一環の中で示されているとおりでございます。そういうような中で、この原子力科学委員会として、第4期科学技術基本計画の中でどういうふうな研究会としていくのがいいのかについて検討したところでございます。
 一つでありますが、安全対策の高度化と書いています。これは原子力を今後推進していくという観点ではなくて、原子力の割合がどうなるにしても、原子力の安全対策は大変重要であって、それと関連する基礎・基盤的な研究開発があるのだということをここに書かせていただいているところでございます。
 もう一つ、将来においてエネルギーを長期的、安定的に確保するというときに、長期的なエネルギーがなかなかわからないところがある中で、新しい核エネルギーの姿として、将来のエネルギー、あるいは環境問題に資するようなものがあったときに、そういうようなことの基礎研究として何がいいのかということを検討したところでございます。そういうことで、長期的なオプションの一つとしてどんなものが考えられるのかということ。だから、それに関連した基礎研究ということでございます。
 そういうような中で、様々な議論がありました。特にまたエネルギーの研究開発というのは、結構中長期的な時間がかかるところもございます。そういうような中で、一つ挙がったのは核融合でございますが、核融合については、我が国が世界のトップレベルを行っているということもあり、また国際協力をやっているということもあって、これは着実に推進すべきではないだろうかという一つでございます。
 また、もう一つ議論がありましたのは、絶対安全な原子炉とか、中小型炉とか、あるいは加速器を使ってエネルギーを発生したらどうかとか、あるいは放射性廃棄物をなくすような方法は、分離変換と言うんですけれども、そんな議論があり、また一つとして高温ガス炉の議論もありました。
 そういうような中で、それなりに可能性があって、我が国が世界のそれなりのトップレベルを行っているようなところがあって、第4期科学技術基本計画の中でやっていくふさわしいものというような観点から考え出されたのが核融合と、もう一つは高温ガス炉でございます。高温ガス炉は、原子力研究開発機構、大洗の方で今研究していますが、高温で世界で新記録といいましょうか、長時間運転できたとか、高温ガス炉の特徴をうまく使えればエネルギー発生にもいいし、それから水素製造ができるんだということで、これも世界の中でトップを行っているような成果が上がりつつありますから、それについて、第4期科学技術基本計画の中で、将来のオプションの一つとして、それを支えるような基礎・基盤研究をやっていただこうと、そういうふうな議論があったところでございます。
 ちょっと説明をさせていただきました。

【安井主査】  ありがとうございました。
 私も関連して、今の高温ガス炉の、16ページの真ん中辺りでございますけど、「このほか、原子力科学技術全般の推進方策については、「丸丸」に後掲する」とあるのですけど、ここは何が書かれるんでしょうか。

【田中原子力科学技術委員会主査】  これは事務局から説明いただいたほうが間違いないのかなと思いますが、いかがですか。

【今村課長補佐】  後掲するというイメージは、原子力科学技術委員会の推進方策というのが別途つくられておりますので、それ自体があわさって文部科学省全体版になる。ですので、ここで挙げている安全研究ですとか核融合以外にも原子力に係る分野というのはございますので、それらについては、ここでは特段書かないけれども、後ろの方で書きますという意味合いで書かせていただきました。

【安井主査】  だとすると、ほかのも合本しますよね。例えばライフサイエンスとかいろいろなやつも合体されるから。ライフサイエンスはあんまり取り上げていないかな。ITとかいろいろありますから、そういうのも書かなければいけないことになってしまうのだけど、ここだけ書かれている理由は。

【今村課長補佐】  原子力につきましては、前回の御議論で、エネルギーの重要分野として取り扱うべきだと。それは核融合だけに限らないというようなお話でございましたので、とりあえずここでは特に安全と核融合等について書いていて、これだけではございませんというのを書いた次第でございますが、不要ということであれば取っても問題はなかろうかと思います。

【安井主査】  わかりました。
 これをずっと読んでいきますと、先ほどの行け行けどんどん的な印象も確かに見えないわけでもないなと。特に、この以下にかかります核融合の研究は非常に長期な話ゆえに、とめては国際的な公約にも反するし、なかなか難しいと思うんですけど、高温ガス炉を取り上げてここに書く意図が、どのぐらい重要なのかなというその疑問は若干、私も読んで持たなかったわけではないですね。その辺りが、今の御説明だと、確かに世界トップレベル云々ですけれども、ここに書くということは、第4期科学技術基本計画の中云々での話ということになりますが、そこで特出しをする必然性がどこまであるのかというのがちょっと読み切れなかったという感じですかね。

【田中原子力科学技術委員会主査】  核融合については、国際協力だからやるべきだということではなくて、将来のエネルギーの発生源として、エネルギーのため、あるいは環境のために可能性があるということでやってきたわけでございます。ですが、いつまでもずるずるやっていっていいというものではございませんで、適宜、ポイント等を設けて、そこでほんとうにエネルギーになっていくのかというようなことは、それはいつも皆さんで検討というか、チェックしていただいた中でやるべきだと思います。
 ですから、ここで議論ありましたのは、先ほど分離変換の話とか、高温超伝導の見解とか、いろいろなことを言ったんですけれども、夢物語的なものではなくて、ある程度現実があって、ある程度日本がトップを行きつつあるものを挙げるべきではないだろうかということです。それで、核融合以外に核分裂関係で何かないだろうかということを議論して、これが選ばれたところでございます。

【安井主査】  そういう経緯だそうでございます。
 それでは、また後で御議論いただければと思います。大分時間も過ぎてきておりますので、立っております札を処理していきたいと思います。それでは、高尾委員、ひとつお願いいたします。

【高尾委員】  環境・エネルギー分野の人材育成のところなんですけど、これ、だれが人材育成するか、主体の人が書いてないというようなね。それで、これ、下手すると、そこらじゅうの大学に環境・エネルギー専攻ができてしまうのではないか。環境・エネルギーというのは、基本的に総合科学の総合工学なので、異分野交流ではなくて、システムとしてそういう分野があるのではないかなと私は勝手にそう思っているんですけど、ちょっと違うかなという感じがするので、プロジェクトの中で育てるのか、アカデミアとして育てるのか、あるいは企業が育てるのかを少し考えないといけないのではないかなと感じましたので、ちょっと一言です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、河宮委員、お願いします。

【河宮委員】  どうもありがとうございます。
 まず初めに、すごくくだらないところから。目次なのですけど、ローマ字1、2、3とセクションがありますけど、なぜか全てのセクションにおいて最後のサブセクションが目次から抜けています。セクション2の6とか、セクション3の7とかは新しくつけ加えたところだからいいとしても、セクション1の3も抜けていて、かわいそうかなと思います。
 それはそれとして、先ほどまれに起こる事象を、まれにしか起こらないけれども、起こったら大変なことになる事象についての言及が必要ではないかというのがたしか藤原委員からあったかと思いますけれども、これをつけ加えていただくことは私としても歓迎なんですが、後から説明があると思いますけれども、今年度から始まっている環境変化予測のプログラム、そこでは十分に範疇に入っておりますので、そのことだけお知らせしておきます。
 もう一つは、先ほどから何度も話題になっている不確実性のことなんですけれども、安成委員からは、例えば5ポツのところを増強したらよいのではないかという話がありましたけれども、私が一つ思うのは、4ポツの社会シナリオのところに入れるのが包括的でよいのではないか。俯瞰的な視点で不確実性の話を入れ込めるのではないかと思っています。基本的に、自然科学的に評価して不確実性がどうたらこうたらというのは、それは研究者だけわかっていればある意味いいことなので、なぜ大事かというと、こういうところにかかわってくるから大事だと思います。
 それに関してもうちょっと述べると、社会シナリオを開発して政策にも反映させるようなときに、この件については私はほんとうに素人ですけれども、素人としてちょっと思うのは、もうちょっといい意味でいいかげんでもいいのではないかと思うことがあります。つまり、何年後に何%減らすと決めて、それに対して日本じゅうが大騒ぎするという、それもある意味必要なんでしょうが、とりあえず数値目標は決めるけれども、わからないからとりあえず決めているだけで、一定の時期が来たらもう一度見直しますよみたいなことは最初から言うような、いい意味でのいいかげんさというか、柔軟さがあったほうがいいかなと。そういうところで不確実性を取り込んでいくというのは一つの手法ではないかと思っていまして、そういうことになれば、さっきPDCAサイクルみたいな話が資料のどこかに出ていましたけれども、そういうサイクルというのをシナリオ開発にも含めてはどうかと思います。
 そうなったときに、そのPDCAのチェック、Cのところで、これだけ二酸化炭素排出を減らしたのだから、これだけ減っているはずなんだけど、実際はそういうふうになっていないみたいな評価というのは自然科学の方からできると思うので、そういう意味では、これも先ほどから話題になっている自然科学の分野と社会経済の分野との交流の具体例としても記述できるのではないかと思います。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、甲斐沼委員、お願いします。

【甲斐沼委員】  もう1点だけ。先ほど言おうかどうしようか迷っていたのですけれども、ちょっと網羅的ではないかという御意見があったので、私の方もちょっと言わせていただきますと、11ページの6行目で「ジオエンジニアリングをはじめとする」というようなジオエンジニアリングの記述があって、これは意図的な惑星環境の大規模改変ということで、このジオエンジニアリングに対しては否定的な意見で。それは個人的な話なんですけれども。このジオエンジニアリングで、今言われているのはエアロゾルを散布するとか、鉄を散布するとか、意図的な惑星環境の大規模改変のところまで次期にやられるのかどうか、それを合意として書かれるのかどうかというのは、もう一度検討してほしいなと思いましたので。

【安井主査】  わかりました。
 それでは、航空科学技術委員会事務局からコメントをいただければ。

【航空科学技術委員会事務局】  ちょっと視点が変わるんですけど、航空科学技術委員会の主査、主査代理から意見をお聞きしまして、騒音に関してでございまして、環境問題は世界の航空機業界にとりましても大きな課題でありまして、これまで二酸化炭素削減、騒音関連に関しても各種取組を行ってまいりました。
 具体的には、燃費削減を目的とした機体重量の削減のための複合材の適用及びエンジンの効率向上を図るためのバイパス比の向上、適正化等があります。また、騒音関係に関しましても、機体騒音の低下の取組を行っております。特に航空機騒音の80%を占めるエンジン関連に関しまして取組を多く行ってきております。そのため、航空機業界では騒音を環境問題の一環としてとらえて行ってきているところであります。
 環境・エネルギー領域の研究開発方策の3番で、省エネルギーに資するエネルギー利用の効率化のための研究開発という中に、航空科学技術委員会から前回紹介させていただいたタービン冷却技術によるエンジン、燃料消費低減化や炭素繊維複合材を用いた機体軽量化技術ということで記載していただきましたけど、一方で、同じく御紹介させていただきました航空機低騒音化に資する研究開発も記載していただきたいんですけれども、実際はまだここに記載していただいておりません。
 この騒音についてですが、CSTPのグリーンイノベーションの戦略協議会の重要施策のアクションプランの中には、低燃費、低環境負荷にかかる高効率航空機の技術開発というものが登録されておりまして、その点に関する内容も含められておりまして、騒音も環境の範疇ではないかということで、ちょっと御意見をお聞きしたいと考えております。
 特に記載例としては、その他の研究開発などに入れていただくのがいいのかなと思いまして、特に6.1の原子力科学技術の後に、例えば6.2として書いていただくとか、そういったことをしていただければなと思っております。
 あと、バイオ燃料でございまして、航空業界にとっても、化石燃料の枯渇を考慮して、その代替燃料を探すことは極めて重要なことと認識しておりまして、現在、ボーイングと積極的にバイオ燃料の適用を進めております。また、試験飛行も行っています。今後、一連の飛行試験成果の詳細を検討し、コスト以外の改善点も出されてくることと予想されまして、時期的な観点も考慮すべき点ではありますけれども、この点からもバイオ燃料と代替燃料の研究開発は重要になってくると考えております。
 航空科学技術委員会がまとめました航空科学技術研究開発方策におきましても、こうした状況をかんがみまして、バイオ燃料等の従来の化石燃料以外の燃料を用いた航空エンジンの利用拡大に向けた研究開発の必要性が記載されています。そのために、環境・エネルギー領域の研究開発方策におきましても、2ポツの分散エネルギーシステムの革新を目指した研究開発にバイオ燃料等の代替燃料の開発についての記載を入れてみてはと思いました。これについても御意見をよろしくお願いいたします。
 以上、2点でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、須田委員、お願いします。

【須田委員】  最後の6と7がつけ加えられていて、異分野との連携とか、人文・社会との連携、非常にいいことだと思います。また最後に、リスクへの配慮というところが書かれていて、私もこういうところにこういうものが書かれるんだなと思って非常に感心していたんですけど、1点だけ、我々の学術会議でもいろいろ検討しているんですけど、安全・安心リスクって一つのセットかなと思うので、安全とリスクと不確実性と言うと、何か不安になってしまうような感じが若干するので、やっぱり国民の安心を求めるという、そういうことも触れたほうがいいのではないかなという感じがちょっといたしました。
 それとあと、そういうことからいくと、心理学というのですか、何かそういうことが重要になってくるのかなというような印象を持っています。
 以上です。

【安井主査】  個人的には、実を言うと安心は入れたくないと言っているんですけどね。というのは、安心は科学技術サイドから与えるのは無理だと。だから、安心を与えてくれと言われたら、やりようがないと思うからです。
要求としてあるというのは書いてもいいんですけど、なかなかそれを与える科学的手法がどうも見つからないという感じですかね。すみません、後ほどまた。
 それでは、高村委員、お願いします。

【高村委員】  申しわけございません。2点だけです。
 一つは、甲斐沼委員がおっしゃった11ページのところなんですが、私も気になったところで、これは随分前のこの委員会でも議論になったところですけれども、いわゆるCCSとジオエンジニアリングというのは技術の性格とマジョリティーが違うという話をしていたと思っていまして、ここはむしろ分けて整理をしていただいたほうがよいのではないか。例えばジオエンジニアリングに関して言えば、多分議論のレベルとしても、むしろ技術評価、永久評価をきちんとやろうというような次元ですねという話は委員会でしたように思いまして、それを書き分けていただくと甲斐沼委員の御意見にも対応ができるように思いました。
 それから二つ目は、先ほどから議論になっている16ページのところで、田中原子力科学技術委員会主査、丁寧に御報告いただいてありがとうございました。ここで、先ほど議論にあったところの一つの論点と思いますのは、つまり、こうした内容のことは後掲のところで出てくるにして、この委員会としてこれが合意できるのかどうかという点にあるように思います。そういう意味で、場合によっては、意見の一致を見ないところに関しては、私どもの報告の中からは落とすような判断が必要かもしれないなと取扱いについては思った次第です。
 他方で、矛盾することを申し上げますけれども、原子力の安全のところで、場合によってはほかの委員会からあるかもしれませんが、私、一つ気になっていますのは、環境中の放射性物質のモニタリングの点でございます。もちろん、いろいろな省庁がやっているのは了解しているんですけれども、国際的にも非常に関心が高く、国民的にも関心が高いので、これをきちんと場合によっては長期にやっていく。同時に、それはモニタリングの手法、技術もそうですが、モニタリングから更に進んだ、例えば除染の技術等々というのは、むしろきちんとここで位置付ける必要がある項目であるように思います。ほかの委員会の議論がわかりませんで発言をしておりますけれども、いずれかの形で位置付けがされることを希望いたします。
 以上です。

【安井主査】  田中原子力科学技術委員会主査にちょっと伺いたいんですけど、今のモニタリングとか除染とかというのは原子力科学技術委員会の対象でしょうか。

【田中原子力科学技術委員会主査】  文部科学省がやっているいろいろな研究開発の一つとして、今後、モニタリングがございます。実際、いろいろなモニタリングをして、さらにそれを次の除染とかにどう反映していくのかということもやっていることは事実でございますし、多分それはこれから大変重要なことでございます。また、除染というような研究もやっています。
 そういうようなことがいろいろと原子力科学技術委員会の例の報告書に載っているんですけれども、ここではエネルギーと環境というような観点があったので、ちょっとそういうのは例として挙げるのがどうかなと思っているんです。もちろん、そういうふうなことは挙げるべきだということでしたら結構と思いますし、また前半部分でおっしゃったことについては、私、あるいは原子力科学技術委員会としてどんな議論があったかは先ほど説明させていただきましたが、さっきの高温ガス炉、あるいは核融合炉をどういうふうに扱うかについて、皆さんの方で議論していただければと思います。

【安井主査】  ありがとうございました。
 それでは、堀尾委員、お願いします。

【堀尾委員】  少し言い忘れたことと確認なのですが、11ページの今後取り組むべき研究開発課題の書き方は、私としては、こういう抽象的なというか、ただ言葉だけ並べたのではとても納得いかないんですが、いずれにしても、例えば赤で追加されたようなところの電気エネルギーに変換する技術でも、少なくとも効率とか、効果とか、経済性とか、そういうことはちゃんとチェックするんだよということがわかるように書いていただきたいという感じがいたします。それが1点。
 それから2点目は、13ページの社会シナリオ。いろいろな議論がきょう出されたので、この分もかなり改善されると思いますが、23行目のところの「技術の社会実装を経済成長と結び付けて実施するための戦略が必要となる」と。ここでの文脈は、環境対策だけではなくて経済成長と、という言葉ではあると思いますが、先ほど来少し出たりしている国民というような言葉も、国民生活の改善とか、何かそういうものが要るので、ただ経済成長だけがここに出るというのは少しいかがなものかなと。
 それから3番目、17ページの横断性のところなんですが、ここで、やはり具体的な事例として、ここは入れていただかなくても結構なんですけれども、例えば廃棄物処理を環境省のテリトリーの中で、あるいは国土交通省のテリトリーの中でやられているわけなんですが、それがやっぱり高効率ではないわけです。発電なんかを考えた場合には。それは仕方がない、スケールが小さいから。
 ですけど、例えば大都市で廃棄物がたくさん出る場所には高効率の火力発電所がたくさんございますので、私、大分そういう点を主張してまいりまして、最近、あるメーカーが、ボイラーへの給水余熱の部分に付加的なボイラーをくっつけることによって、大型ボイラーと一体化することによって、40%なら40%という高効率で廃棄物を利用するようなこともできるというような技術が開発されつつあるのですが、例えばそういうようなことが出てきますと、技術的合理性と省庁縦割りの社会システムの矛盾というのは、存在が明確になるわけであって、そういうようなことについて、社会の制度的な横断化というような、あるいは技術的合理性を実現するためのというような言葉がどこかにあってもいいのではないかという気がいたします。そういうことに比べると、その他のバイオマス、風力、太陽光、太陽熱、書いてあることが、効果がどれだけ上がるのかわからないというのが正直な個人的感じです。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございます。
 それでは、安成委員、お願いします。

【安成委員】  先ほどの6.1のフォローで、先ほど安井主査もちょっと示唆されましたけど、私はやっぱり6.1の原子力のところは削除したほうがいいと思います。基本的に。例えばエネルギーという視点で、核融合というのが長い目で見てほんとうに重要であるということであれば、今後のエネルギーというところで少し触れるということはあってもいいのかなと思います。原子力の話で、基本は、かなり難しい話が結構ありますので、原子力科学技術委員会のマターだということにすべきだと思います。
 放射能のモニタリングの話です。高村委員が言われましたけど、これは環境という視点で私も強化すべきだと実は思っています。というのは、今回も、福島直後、議論がありましたけど、特にバックグラウンドにどのぐらいの放射能が出ているのか、そういうようなことがこれまであんまりデータがなかった。だから、それで、とにかく値が出たら、これは大変だという話も一方にあって、しかし、実は1960年代以降の水爆のころの残りのバックグラウンドというのはまだ多少ある。その辺について、一般市民の間でも相当混乱があったというぐあいに私は感じていますので、その点はふだんからきちっとしたモニタリング体制をとっておくということは非常に重要かなと思います。

【安井主査】  ありがとうございました。
 大分時間も過ぎてきておりますので、できるだけ手短にお願いをしたいと思いますが、杉山委員、お願いします。

【杉山委員】  では、手短に、2点あります。堀尾委員がおっしゃっていたことなんですけれども、費用対効果です。かけた費用に見合うだけの成果が、あんまりがちがちやるのもよくないと思うんですけれども、おっしゃったように、バイオマスに関しては累積6兆円使ったけど成果がゼロだというふうに総務省の評価は言っておられて、それについて特段言及する必要はここではないのかもしれないですけれども、費用に見合う効果を上げているかどうかをチェックしながら進めるというのは、どこかで全体として書いておく必要があって、個別のものについて書くよりは、全体として、例えば3の重要事項の中で、新たに一つ起こすのか、あるいは7ポツのリスクの話に引っかけて、費用に見合う効果と、それからリスクについて検討しながらやる。そのまとめぶりはお任せしますけれども、やっぱり費用に見合う効果というものがあるかどうかを絶えず確認しながら進めるという原則はあっていいのかなと。ただ、それがあまりつまらない成果主義になってしまうといけないので、そこの効果というものには、人材育成から含めていろいろあり得るんだと、そんなような幅広な書き方をする必要があるとは思いますけれども、費用対効果については全般的に言及したほうがいいのかなと。個別の技術についてやり出すと、また紛糾してしまって、この中でも到底合意をとれそうにありませんので、そうしたやり方。それが一つ。
 あともう一つですけれども、先ほどから、確率は低いけれども、リスクの大きい事象という話があったり、安心という話があったりして、しかも人為的な技術についてだけやると非常に偏ったことになってしまうというのを一つ心配していますので、もしそれを取り扱うのであれば相対化してほしい。
 どういうことかというと、例えば薫製というのは、今新たに新技術として認可を得ようとすると絶対通らないぐらい有害な食べ物らしいのですけど、私は大好きで毎日食べています。ですから、新しい技術が出たときには、それと既存の自然のリスク、あるいはそれをどのぐらい軽減しているかというようなことまで比較考量しないといけないので、そういう意味でリスクを特出しして検討するというのは私は大いに結構だと思うんですけれども、人為的な新技術だけを対象にして、それの安心を求めるというほうをやり出すと、科学技術がもたらす恩恵を無用に消してしまいますので、そこはぜひバランスのとれた議論ができるようにやってほしい。
 似たようなことがエネルギー安全保障についても言えて、低確率だから重大な事象というと、何か挙げろと言われたら、私は中国と台湾が戦争を始めてしまって、日本が海上輸送を得られなくなるリスクとか、そちらの方が実は台風よりは深刻で、確率が高いかもしれないですね。なので、そのエネルギー安全保障と環境の方、どちらもイーブンにそういった重大なリスクというのは検討しなければいけない。あまり人為的な新しい技術だけをやっつけるようにしないで、冷静に評価して、皆さんが選択できるようにするというふうに仕立てていただきたいと思います。
 以上です。

【安井主査】  今、コストと効果の件ですけど、ちょっとここで一言だけ。
 環境対策とか、公害対策とか、それからエネルギーというのは非常に重要なんだけれども、自然保護あたりになってしまうと何とも言いがたい部分があって、そのコストと対策というのがなかなかわかりにくくなってきてしまうので、エネルギーと環境悪化の対応ぐらいはそうだなという気がしないでもないので、ひとつ御配慮をいただけたらと思います。
 それでは、江守委員、お願いします。

【江守委員】  ありがとうございます。上手に言えるかわからないんですけれども、先ほど原子力に関するところの議論を伺っていてちょっと思ったことを言いたいと思うんですが、方策というこのドキュメント全体を通じて、同床異夢というか、ある部分はあるつもりで書き込んでいて、別の部分は別のつもりで書き込んでいるようなものの継ぎはぎになっているような全体的な印象を受けています。
 例えば原子力のところで、先ほどから核融合とか高温ガス炉というのを書くべきなのか、書くべきでないのかという問題があると思うんですけれども、こういうのは、おそらくやっておくとゆくゆくは非常に役に立つかもしれないのでやりたい。やらないと、もしかしたら将来役に立つという可能性をゼロにしてしまうというような意味で、推進するという立場は私は理解できると思いますし、先ほど別のところで問題になりましたジオエンジニアリングに関しても、現時点で実施しようという意味で研究するわけではないけれども、万が一それをしなければいけないということに仮になったら、その時まで全く研究をしていなかったら困るので、その意味で今研究しなければいけないというような、そういうものがあると思うんです。
 現時点で、当面の社会的な支持が得られないものは研究として推進すべきでないのか、それとも、そういうものもプライオリティーの差はあれ推進すべきなのか、そういうところのとらえ方の人によっての違いにもよるかもしれないんですけれども、そういうものをここに書くべきであるのか、ないのかみたいなところで、基本的な考え方が多分委員の間で一致していないというか、一度もそういうことがそもそも議論されていない。もっと一般的な言い方をすると、このドキュメントをどういう意識で議論したらいいのかが、おそらく人それぞれの思いつきでコメントしているといいますか、つまりここに書いてある、例えば特出しされているような技術というのは非常に優先度の高いものだとみなされて推進されるというので、推進されるべきでないと思うものはことごとく反対して消していかなければいけないというつもりで議論しなければいけないのか、そうではないのかとか、その辺が、そもそも、私だけかもしれませんけれども、どういう気持ちで議論すべきなのかがはっきりしないままコメントを出している気がして、今さら言って申しわけないんですけど、ちょっとすっきりしない感じがします。

【安井主査】  この委員会の委員の思いもそうですし、それぞれの原課といいますか、そこから御出席いただいている人たちの思いも明らかにずれているんですよ。ですから、それはほんとうにどうやってまとめるか、非常に難しい。総合科学技術会議あたりの基本計画文書だってそうだものね。結局、キーワードを入れないとこの技術が残らないというつもりで入れているところと、そうでない人もいる。

【篠崎環境エネルギー課長】  すみません。今見ていただいた資料2-3とは別に、先ほど説明いたしました資料2-1というのを見ていただきたいのですけれども、これは我々のこの委員会の親の科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会からの指示ですけれども、2ページに課題領域丸1、環境・エネルギーというのがあります。基本的には、環境・エネルギーのほかの分野も含めて、全体を俯瞰した検討をこの委員会でお願いしたいというような形になっていまして、それを踏まえて、前回もいろいろ関係の委員会から説明をしまして、今回コンパイルしているというような状況にあります。
 したがって、原子力の分野も、どういうふうに扱うかということは別にしても、一応この委員会で全体を俯瞰するという観点で言うと、今まで田中原子力科学技術委員会主査や、あるいは前回説明をさせていただいた分野も一応見ていただいた上で、この計画をつくっていただくということを今お願いしているわけです。
 書き方は、工夫の仕方があるのかと思うんですけれども、不要だから切るとか、それだけなくて、要、不要については、それぞれの委員会でももうちょっと突っ込んだ議論をしているので、その中で上がってきたものを、我々が今まで見てきた分野とすり合わせをした上で、どの程度位置付けて、どの程度言及するかということで御検討をお願いしたいというのが事務局からのお願いです。
 したがって、きょうお出しした書きぶりについて、いいかどうかというのはいろいろ議論させていただきたいと思いますが、これをつくる過程では、この分野も我々なりにそれなりに見て、どういうような考え方で整理をしてつくったかということのアウトプットを我々の方としては期待したいと思っているのが1点です。
 それからもう1点は、これは誤解というか、書き方が少し、ページの制約もあって短くしてしまったということもあると思うのですけれども、原子力の分野の書きぶりについては、我々の方でも知恵を絞って、工夫させていただくという前提で議論をさせていただければと思っております。
 以上です。

【安井主査】  あとは大体よろしいですか。5分オーバーぐらいで終わりそうな気がいたしますけれども、まだ実を言うと議題が1個残っていまして、今日の御議論を拝聴いたしまして、また次回、7月20日の委員会で、最終的な議論をと思っております。また事務局から御報告があると思いますけど、そのような御了解で、またひとつ御協力をお願いするということになるかと思います。しっかり読んでいただいて、もっとも江守委員がおっしゃるとおりで、一体これはどういう文書のつもりで読まなければいかんのか。私自身は、この中にありますキーワードだけが羅列されているようなところというのは要らないかなと思っているのですけど、その辺りも含めてまた御議論をいただけたらと思う次第でございます。
 というわけでございまして、この議題の2を終わらせていただいて、議題の残りましたところは、これは説明資料でございますけど、平成24年度新規事業の実施体制についてということを、できるだけ簡単にお願いいたします。
 本日、御出席の関連委員会の方は、どうも大変ありがとうございます。
 以上で、ありがとうございました。

【今村課長補佐】  では、ごく簡単に御説明いたします。資料3でございますが、昨年度の本委員会においても事前に評価いただいた上で予算案として固まった新規の事業が大きく二つございまして、一つは21世紀気候変動予測革新プログラムの後継事業として始まる気候変動リスク情報創生プログラムです。こちらにつきましては、この資料にございますように、公募期間を経た上で、先頃決定をいたしました。詳細については、別紙1において、研究体制、こういうような体制で取組ますというのを資料でまとめておりますので、また後ほどでも御覧いただければと思います。
 もう一つの復興枠、復興庁事業を文部科学省で実施するという東北復興次世代エネルギープロジェクトです。こちらにつきましては、福島における拠点の事業を東工大の小長井先生にお願いすることを選定委員会を経て決定いたしまして、なお、JSTの方が支援機関という形で事業を行ってまいります。
 もう一つの事業は、現在公募中でございます。
 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。
 何か御質問、よろしゅうございますか。
 それでは急いで、次の御報告をお願いします。

【福井環境科学技術推進官】  先ほど藤野委員から、来年というところを訂正されましたリオ+20です。資料4でございますけれども、6月20日から22日までということで開催されました。資料にしておりますので、これをお読みいただければと思いますけれども、関係エネルギー課というか、我々としましては、特に地球観測の観点でいろいろこのリオ+20に準備をしてきておりまして、そもそも地球観測のデータを集めてアーカイブして提供していこうという世界的な枠組みGEOSS、今回の研究開発方策にも出てくるところでありますけれども、これの活動がヨハネスブルグで開催されたリオ+10で始まったということでありますので、ここでさらに地球観測及びそのデータ収集、提供について、これを機会にまた世界の関心を集めていこうという活動をずっとしておりました。
 その成果として、この成果文書「The・future・we・want」、これはリオ+20のホームページに掲載してございますので、御覧いただけたらと思いますが、53ページで283パラグラフからなるところですけれども、テクノロジーの項目にGEOSSの取組というのが非常に重要であるという記述を入れることができました。これについては、まさに日本がイニシアチブをとって、各国のしりをたたきながらやってきたということで、これは非常に大きな成果だったと思います。
 リオ+20、実際、現場では地球観測に関する展示をジャパンパビリオンで行いまして、あと、この地球観測がどうやって意志決定に役立つかということに関する政策的な議論を行うパネルディスカッションを開催しまして、当初は大臣クラスと考えていたのですけど、諸般の事情により米国、EU、あるいはカナダとかの局長クラス、日本からは大竹審議官が参加したところですが、そこで地球観測の重要性というのを各国のビップの方と議論できたというイベントを開催いたしておるところでございます。
 そういう地球観測に関する活動を今回やってきたわけですが、この「The・future・we・want」では、我々がもう一つ携わっているエネルギーの問題も書かれてございます。ただ、このリオ+20、全体を見てみますと、貧困の解消とか途上国支援という意味でアフリカとかすごくハイライトされていますし、エネルギーの話からいくと、まず皆さんに電気が行くようにとか、エネルギーをみんなが使えるようにすることが必要というのが頭に来ていまして、次の省エネ、次にリニューアルエナジーということが書かれてございます。個別の太陽光とか、風力とか、そういうことには全く言及されず、まずはエネルギーをみんなが使えること、省エネすること、あと再生可能エネルギーに力を入れていくことというような記述になっているところでございます。
 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございます。
 それでは、事務局、何か私が言い足りないことを補ってください。

【今村課長補佐】  もう終了の時刻を過ぎておりますので、本日の議事録でございますが、これは後日、事務局からメールで皆さんにお送りさせていただきますので、修正等あれば御指摘ください。最終的にはホームページに掲載いたします。
 また、旅費、手当等についての確認の用紙を配付しておりますので、御確認いただき、お帰りの際に事務局に御提出いただければと思います。
 次回につきましては、本日の御議論を踏まえて、次回も引き続きと考えているんですけれども、もしきょうの御議論で言い切れないところなどございましたら、1週間をめどに、追加でも結構ですので、メール等で事務局まで御連絡いただければ、それらを踏まえまして、次回の会議でのたたき台を作成したいと思っております。次回の会合については、御案内のように7月20日の15時から17時を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【安井主査】  ということで、若干延びてしまいまして、まことに申しわけございませんでした。どうも大変ありがとうございました。
 これで閉会でございます。 

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

電話番号:03-5253-4111
メールアドレス:kankyou@mext.go.jp

(研究開発局環境エネルギー課)