第6期 環境エネルギー科学技術委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成24年7月20日(金曜日)15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 環境・エネルギー領域における研究開発方策について
  2. 「21世紀気候変動予測革新プログラム」における事後評価について
  3. その他

4.出席者

委員

安井主査、安岡委員(主査代理)、阿部委員、江守委員、沖委員、甲斐沼委員、河宮委員、杉山委員、須田委員、関委員、高尾委員、高村委員、藤野委員、堀尾委員、松橋委員、安成委員、山地委員

文部科学省

戸谷研究開発局長、鬼澤大臣官房付、篠崎環境エネルギー課長、福井環境科学技術推進官、今村課長補佐、岡本課長補佐、畑山地球観測推進専門官、原子力科学技術委員会 事務局、ライフサイエンス委員会事務局、情報科学技術委員会事務局、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会事務局

5.議事録

【安井主査】  それでは、時間でございますので、ただいまから第6期科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会環境エネルギー科学技術委員会の第8回目会合を開催させていただきます。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 それでは最初に、7月13日付で着任をされました鬼澤官房付から御挨拶をいただきたいと思います。お願いいたします。

【鬼澤大臣官房付】  御挨拶の機会をいただき、恐縮でございます。御紹介賜りました鬼澤と申します。大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。御案内のとおり、昨年の大地震と原発事故ということで、エネルギーの政策が大きく見直されているところでございます。そのためには技術革新が不可欠という状況になっております。当環境エネルギー科学技術委員会の果たす役割も大変重要なものになっていくと思っております。どうぞ皆様方には環境・エネルギー領域における研究開発方策につきまして御議論いただいておりますところ引き続き貴重な御意見を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

【安井主査】  ありがとうございました。それでは事務局から、本日の出席者の御確認ということでお願いいたします。

【今村課長補佐】  御出席の委員数ですが、若干名おくれていらっしゃる方もおられますけれども、現在14名と過半数に達しておりますので、委員会は成立となります。

なお、本委員会は、委員会運営規則により公開とさせていただきたいと思います。以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。それでは、議事に入ります前に、事務局側から本日の資料の御確認をいただきたいと思います。

(配布資料の確認)

【安井主査】  過不足がございましたら事務局までお願いいたします。

 それでは、本日でございますけれども、お手元の議題を御覧いただきますと二つの議題を用意しております。

 最初の議事でございますが、最初の議事に関しましては環境・エネルギー領域におきます研究開発方策、前回おやりいただきまして、今日、そのリバイスバージョンが出てきたということでございます。今日で、できたら完了したいなというようなことでございます。

 それから2番目でございますが、21世紀気候変動予測革新プログラムの事後評価です。最初の議題でございます環境・エネルギー領域におきます研究開発方策についてということで、これができますと、研究計画・評価分科会で報告するという形になってまいります。まだいささか時間的余裕がございますが、できたら、今日はまとめてしまいたいということでございます。

 それでは御説明をお願いいたします。

【今村課長補佐】  それでは、資料1-1と1-2で研究開発方策について御説明いたします。まず、資料1-1のほうでございますが、こちらは主な論点についてということで、前回の委員会において特に複数の委員の方々から御発言、御意見をいただいた部分について、一つの案でございます、このような方向で修正したらいかがでございましょうかというのを1枚にまとめてみました。この3点について、まず先に御説明したいと思います。

 一つ目としては、この研究開発方策の中心部分であるローマ数字の2の各課題について述べている部分につきまして、この位置づけ、どういう考え方で各課題を示すのかという、そこの位置づけが不明確ではないかという御意見、また、各課題について費用対効果等の視点が不可欠ではないかというような御意見をちょうだいいたしました。この部分につきましては、資料1-2の10ページを御覧ください。

 10ページ、ローマ数字2の「研究開発課題」のところで、一番最初、冒頭のところでこの第2節、第2章の性格について述べております。第2節では、第4期計画の期間において文科省が推進すべき研究開発課題について述べるということで、そこに述べられている各研究開発課題については留意点として、※で3点挙げております。一つは、あくまでも科学技術の観点から直ちに社会実装や大規模な実証を前提とするものではなく、研究開発として行うべき課題を幅広く例示するものであるというのが一つ目。2点目といたしましては、ここに挙げられているものに限られるものではなく、科学技術の進展に応じて当然変化するものではないかというのが2点目でございます。3点目といたしましては、実用化段階では当然ではありますけれども、研究開発段階においても技術の適正性やリスクを考慮した上で進められるべきものであるという3点を留意点として掲げまして、この第2節の性格を明らかにしてはどうかと考えてございます。

 資料1-1に戻っていただきまして二つ目の論点として、不確実性についていろいろな御意見をちょうだいいたしました。不確実性につきましてはシナリオ研究にかかる部分もございますし、気候変動予測にかかる部分もございます。そういったいろいろなところにかかわるキーワードでありまして、どのように表現するか少し悩ましいところではございましたが、資料1-2の15ページを御覧ください。

 15ページは、その前のところから4ポツでシナリオ研究が13から14ページにわたって書かれておりまして、15ページでは気候変動予測について書かれております。5ポツ、気候変動予測の最後のところで、15ページ、赤色でつけ加えてみましたが、未来予測にかかわる事柄というものは不確実性を前提としなければならないと。これは5ポツの気候変動予測に限られるものではなくて、シナリオ研究もまた同様であるというような文章を追加してみました。

 三つ目の論点として人材育成についてでございます。人材育成については3節の各課題に共通する重要事項についてのところで人材育成のところがございまして、1-2では21ページでございます。前回の御議論で多様な御意見をいただきまして、初等、中等教育にかかわるところまで含めていろいろな御意見がございましたが、事務局といたしまして一つの案として、この研究開発方策があくまでも環境・エネルギー分野における研究の課題や研究開発推進に当たっての重要事項を示すという性格の文章でございますから、人材育成につきましては21ページに書きましたように、この環境・エネルギーの問題については幅広く国民各層の理解といいますか基礎的な知識というものが大変重要で、それなくしては国民的な議論もできないものでございますから、研究開発に携わる方々に対するメッセージとして、科学技術コミュニケーションやかかわる周りの人々に対するリテラシーの向上に努めるというようなメッセージをつけさせていただきました。

 以上が主な論点3点についてでございます。

 そのほかの議論につきまして、恐縮でございますが、1-2最初のほうに戻りまして、最初のほうから変更点について概要を御説明いたします。

 最初のところが2ページから3ページにかけてのところです。こちらは、前回御指摘いただきました国際関係のところで時点修正というのが不十分でございましたので、それは大変失礼いたしました。24年現時点版に直して、例えば23年12月のCOP17のことを書き加えたりなどの修正をしてございます。

 それから、変更点といたしまして、進めていただきまして第2節の11ページでございます。

 11ページの修正の意図といたしましては、CCSの二酸化炭素回収・貯留の話とジオエンジニアリングについてまとめて記載しておったのが原案だったのですが、これらを書き分けまして、CCSが重要であるというのを述べた上で、ジオエンジニアリングについては多角的アプローチによって、その可能性の評価を行うということを明確にいたしました。

 続きまして13ページを御覧ください。13ページについては省エネのところでして、原案では材料の軽量化だけとある程度限定されたものが例示として挙げられておりましたが、次世代交通システムのようにさまざまな科学技術分野の融合的なアプローチというものが重要だというような御指摘をちょうだいいたしましたので、それを受けた修正を加えたところでございます。

 続きまして同じページの最後のほうにシナリオ研究の目的、技術の社会実装を促すための目的というのが経済成長に結びつけてというような書き方をしておったのですが、経済成長というのは一側面にしかすぎないだろうということで、さまざまな質の高い国民生活なり幸福度なりいろいろな表現があろうかと思いますが、とりあえずの案として「満足度の高い国民生活の実現」というような言葉を選びました。

 続きまして14ページには、シナリオ研究については単にシナリオ研究とするだけではなくて、国レベルなのか地域レベルなのか、さまざまな研究対象があろうことから、その観点で明確化したものでございます。

 続きまして16ページでございます。原子力科学技術についてですが、原子力については前回の委員会でもいろいろ御意見をちょうだいしたところでございます。前回、事務局からも、原子力については、何かしら記述はすべきではないかということを御提案させていただきまして、他方で委員各位の御意見も踏まえまして、前のバージョンから大分表現、記述は圧縮した上で、今の科学技術基本計画にもありますように、原子力の安全にかかるものと核融合にかかる、この2点だけはこの研究開発方策において記述してはどうかということで、赤色の案を作成したところでございます。

 このほかモニタリング等に関する御意見もございました。これらにつきましては、計評の下で四つの研究開発方策がまとめられることになっておりまして、我々はそのうちの一つなんですが、四つのうちの三つ目が安全にかかるものをまとめるというのが同時並行で作業を進められております。放射線にかかるもの、モニタリングにかかるものにつきましては、そちらで取り扱われることとなりましたので、本環境・エネルギー領域の研究開発方策では、そちらにゆだねたいと考えております。

 続きまして17ページでございます。情報基盤技術の高度化のところで、以前、ビッグデータにかかる記述を「気候変動予測についてのみ」というような形で書いておったのですが、もっと幅広く使える概念だろうということで、17ページは現在環境エネルギー課で取り組んでいるDIASのようなビッグデータを活用するというのを例示に挙げつつ、このような膨大なデジタル情報というものを構造化・体系化することで新たな知見の創出を図るという記述を加えてみました。

 続きまして18ページでございます。こちらは、資源にかかわるナノテク材料分野のところですけれども、原案にあったものは都市鉱山等に限定されるような表現ぶりでしたので、表現の適正化を図りました。

 続きまして19ページでございます。19ページの2ポツに「自然科学の各分野間及び人文・社会科学分野との連携」とございますが、これは以前はこの第3節の後ろのほうに書いておったんですけれども、重要事項ということで前のほうに場所を移しました。その上で「自然科学の異分野融合だけでなく、社会科学の知見も活用し」という記述が真ん中ほどにございますが、以前の案では「経営学をはじめ」というような形で限定的な書きぶりにしておったのですが、例えば「法務・知財戦略やマーケティング、経営組織分析、行動心理など」、期待される社会科学の内容を書き下すように変えたところでございます。

 続きまして20ページでございます。3ポツの「産学官連携及び関係機関間の連携」のところで、いただいた御意見として、課題解決型の研究開発を進めるときにマネジメントの工夫というのが必要ではないかという御意見をちょうだいいたしましたので、それを受けまして、ここでは単に事業を研究従事者にゆだねるだけではなくて複数の関係者によってマネジメントしていく、そういう工夫が重要ではないかということを記載させていただきました。

 続きまして、めくっていただきまして23ページでございます。こちら、最後ではございますが、7ポツ、「リスクへの配慮」。ここで、タイトルは表現を適正化いたしますとともに、リスクの例として、情報の分野でプライバシーの取り扱いというような書き方をしておったのですが、いただいた御意見も踏まえまして、今後、スマートグリッドなど情報科学技術というものが社会インフラに導入されていくと、一たん、そこでほころびが生じると多大な影響が起きるのではないかという問題意識から、表現、赤文字を加えたところでございます。

 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。

 今御説明いただきました点につきまして議論の進め方でございますが、今、御説明いただきました順番でいこうかと思います。資料の1-1に主な論点というのがございまして、その1番、「文部科学省が推進すべき研究開発課題」の性格についてというところが10ページにございまして、できましたらコメントをいただけたらと思いますが。

【江守委員】  ありがとうございます。拝見いたしまして、第一印象としては必要なことを簡潔に書いてある印象を受けました。僕としてはかなり満足です。どうもありがとうございました。

【安井主査】  ありがとうございました。ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。

 関連する部分でございますが、例えば隣の11ページの下のほうに青字で「今後取り組むべき研究開発課題」として「太陽光」云々というリストがあったんですけれども、これは省略しました。例示にしちゃ強過ぎるという意見を述べまして、省略しました。それもよろしゅうございますか。

 とにかく述べているのであって、リストを提示しているわけではない、そういうことでございます。

 それでは次にまいります。

 その次、資料1-1の2でございますが、「不確実性」についてというところで記述そのものはかなり短いけれども、ページ15の一番下でございます。ここでは、御説明にありましたように未来予測にかかわるところはと一応限定をしたということで、研究すべてに不確実性はありますが、一応、未来予測にかかわるところは特にというような形にさせていただきましたが、いかがでございましょうか。何か御意見がございましたらお願いしたいと思いますが。

【江守委員】  ありがとうございます。これも第一印象的な感想ですけれども、ここに入れていただいたこと自体は非常にありがたいと思いますが、非常にさらっとしていて、どんな不確実性のことを言っているのか、どのように前提とするのかというのが、これを読んだだけでは多分わからないのではということで、どういうふうにもっと記述が必要であるかというのはすぐに言えないのですけれども、もう少しわかるように書く必要があるのではないかという印象を持ちました。

【安井主査】  具体的には要するに、数値的に書かれているかどうかは別として、未来の記述にかかわるところには絶対に不確実性があるわけですから、そこをあえて強調する必要があるかどうかですよね。だから、今の手法に不確実性があると書くのかどうするのかぐらいかなという気がするんですけどね。その辺はちょっと後でまたお考えいただいて、少し改善案がもし出れば、後でまた。またフリーにディスカッションする時間を設けたいと思いますので、そのときまでにいろいろ御提案いただければと思いますが。そんなことでよろしいでしょうか。とりあえず、ちょっと簡単過ぎるという、そういう御意見をいただきましたが、そんなことでよろしいですか。

 では、とりあえず次に行かせていただきます。

 それでは資料1-1の三つ目ですが、それは21ページ目でございまして、21ページ目の一番下、人材育成とか国民に対するいろんなメッセージでございますが、ここで若干考えた上でなんですが、「広く国民がその重要性を認識し、一定程度の基礎知識を備えた上で」。この「一定程度の知識を備えた上で」というのをちょっと入れさせていただきましたが、この辺について、もし御意見があれば。いかがでございましょうか。ほかのところを含めて、何か御意見をいただければと思いますが。

 いきなり「リテラシーの向上」という、そういうことでもよかったのかもしれないとは思います。

【堀尾委員】  小さいことですけど、この文章の主語がよくわからないのですが。最後まで「国民」が主語なのでしょうか。

【今村課長補佐】  二つの文に分かれておりまして、第1文は「環境・エネルギーの問題は」が主語でございます。そういう問題に当たるために、2文目の主語は「環境・エネルギー分野に関わる研究者は」を主語にして、「リテラシーの向上に努める」と。

【堀尾委員】  いやいや、一つの文章の最初の文章の「広く国民がその重要性を認識し、基礎知識を備えた」、これは「国民が」ですよね。「課題解決に向かって取り組む」のも国民ということですよね。

【安井主査】  多分そうじゃないですかね。

【安井主査】  国民といっても国民だけじゃないかもしれませんね。「一定程度の基礎知識を備えた上で」というのが、専門家が、それじゃ困っちゃいますからね。ですから、ちょっと国民の一部を言っている可能性はなきにしもあらずですけれども、「国民が」なんだろうな。

【堀尾委員】  何か言葉のあやになってしまうかもしれませんが、例えば2行目の「課題解決」の「課題」、「課題」が同じところに出てきますから、まずその「課題」をとって、「解決に向けて取り組むべき国民的課題である」というようなことを言いたいのかなという気はするのですけど。その課題の国民性を言いたいのですよね、まず。もしそうであれば、何かちょっとそのあたりを変えれば、もう少し印象は変わるかなと思いました。

【安井主査】  御指摘ありがとうございます。他に何かございますか。

【松橋委員】  エネルギーの問題は広く国民が取り組むべき課題であるということになるのですが、「基礎知識を備えた上で」ということで、よく我々エネルギーの専門家の間で議論しますときに、国民一般としては難しいのではないか。つまり、原子力の問題であったり、再生可能の問題であったり、それらの専門知識というものはなかなか一般国民の間にはないと。だから、国民が決めるべきだといっても、ほんとうの素の国民には無理だというような議論をされる場合もある。しかし、ここはあえて「広く国民が重要性を認識」する、これはそのとおりだと思います。「一定程度の基礎知識を備えた上で」と、国民にやはり環境エネルギーの基礎知識を広く普及啓発するということを含んでいるのかなと、ちょっと余計なことですが。そのための活動も、ある種文科省がやっていくミッションを負っているというふうにも読めるわけですね。そう読んでよろしいわけでしょうか。

【安井主査】  次の文章をお読みいただくと、そういうふうに読めるようになっているような気がします。

【松橋委員】  わかりました。ありがとうございます。

【安井主査】  ほかに何か。よろしゅうございましょうか。それじゃとりあえず、後でまた戻ってくださっても結構でございます。

 それでは、それ以外の部分に関しましては特に一つずつやるという予定ではないのでございますが、赤字で書かれましたところに関しまして特に何か、わかりにくいとかもう少しスマートな記述があるだろう、いろいろと御提案があるかと思いますが、いかがでございましょうか。

【堀尾委員】  23ページですけれども、「リスクへの配慮」というところですが、「配慮」というのはどういうことなのかが少しわかりにくいかなという気がします。といいますのは、これは私としては例えば11ページの二酸化炭素回収・貯留、ジオエンジニアリング等々の絡みでこの文章を読むのですけれども、要するにそういうものを開発するというだけの立場から研究をやるというのには、場合によっては危険性をチェックするという立場からの研究も必要であろうということで私は思っているんですが、そういう立場から見ますと、「配慮」というだけではなくて、「配慮した研究が必要である」と書くのと「配慮」だけとは随分意味が違ってまいりますので、おそらく「配慮した研究開発も必要である」とかそういうような書き方をしておきませんと、この「配慮」という言葉の意味が非常にあいまいな言葉になってしまうような気がするんですね。

 ですから私としては、先ほどの11ページのどこということは申し上げませんが、この辺に「可能性についての研究も重要である」とか、あるいは「配慮した研究も必要である」とか、そういうような書き方にならないかと希望します。

【安井主査】  なるほど。一般には、リスク屋さんをやっていますと、リスクへの配慮というのは大体アイデンティファイ、リスクがどこにあるかを特定して、それで、それを処理する、トリートメントして、それで最終的にはマネージする、大体そんな感じなんですよね。だから、その「配慮」というのは多分その三つを含むのかなと私は思うのですが、その辺はどうなのですかね。

 要するに最終的には何をやるにしても、ここではスマートグリッドあたりの、インターネットにもしこういうものが載っかっちゃったら大変だよねみたいな話が意識としてあるのですが、そこで、だからアイデンティファイしてトリートしてマネージするということで、「せよ」と書いちゃってもいいんですけどね。そこをしないと、とにかく新たなリスクをつくっているだけかもしれないので、ちょっとそこまで書くにはあまりに細かいかなという気もしております。

【堀尾委員】  お任せします。

【安井主査】  何か関連して。もう少しスマートな書きぶりがあるようであれば。

 確かに「配慮」というのは、配慮しました、何もしませんというのがあるからね、ちょっと弱いかもしれないね。 もしどなたか、あれば。

【高尾委員】  直接関係ないかもしれないのですけど、10ページのところで赤の三つのところの「社会に及ぼすリスク」、適正性やリスク。リスクですけれども、社会的受容性とか何かいう言葉のほうが、リスクも含んだ上で全部考えるんじゃないかなという感じがしたのですけど、いかがでしょうか。ここへいきなりリスクと出てくると、また後でも出てくるしというように思ったんですけど。要するにアクセプタンスというか。

【安井主査】  そうですね。アクセプタンス、パブリックアクセプタンス。そのあたり、なかなか。また哲学的に難しい部分になっているね。

【高尾委員】  お任せしますが、ちょっと何か。いきなりリスクだけ考えて研究するのかと言われてしまうと、何となく研究者がなえてしまうんじゃないかという。

【安岡主査代理】  ただ、ここの部分は前段で「実用化段階では当然のことながら」というのが書いてあるものですから、今、先生が言われたことはそれほど気にならないと思うんですよね。ここを、社会の受容性とすると、ちょっと違うんじゃないかな。ここはやっぱり「リスク」という言葉を使っておいたほうがいいような気がしますね。

【高尾委員】  わかりました。

【安井主査】  なかなか、細かく見出すと大変切りがない。そうですね。「配慮」はもう少し適当な語があれば探したいという感じはしますね。何だろうな。

 それでは、沖委員お願いします。

【沖委員】  もし言葉の問題だけでしたら、今御指摘のあった10ページでは「考慮」となっているので、「考慮」にするというのが一つだと思うのです。

【安井主査】  「配慮」より若干強いと。

【沖委員】  「配慮」より強い。あるいは、ここで中身を見ますと「一定割合の資源を投入して取り組め」と書いてありますので、「リスクの明示」とかというふうにしても、中の意味していることは変わらないと思います。

【安井主査】  リスク屋ちっくに言うと、「明示」と言われるとアイデンティファイしか含まないなという気がしちゃうんだ、逆に。だから、トリートメントはやらないのかとかマネージしないのかという感じになっちゃう。

【沖委員】  でもここは、ある研究をするときに、それに伴ってどういうことがあり得るかという、まさにアイデンティファイのところだけをしっかりやりなさいと言っているような気がいたしますので。

【安井主査】  なるほど。それでは、安岡主査代理お願いします。

【安岡主査代理】  今、沖委員がおっしゃったように、確かにこの段階ではそこまでを意識することが重要だということですから、「明示」でいいのかな。まだ「認識」のほうがいいような気はしますけれど。ちょっと言葉の問題ですね、ここはね。

【沖委員】  では、そこに書いてあることで言うと「リスク情報の提示」とかということが書いてあるように思いますので、あるいは「リスク情報の提供」とかということが書いてあるように思いますので、そのままタイトルに持ってこられてはいかがでしょうか。

【安井主査】  なるほど。それもあり得る感じですよね。

 もし後でお気づきのことがありましたら御指摘いただきたいと思いますけれども、かなり国語の問題だということに相なりましたので、事務局の国語能力に期待すればいけるかもしれないという感じですかね。

 さて、そのぐらいで、ほかのところ。はい、江守委員お願いします。

【江守委員】  ありがとうございます。ちょっと別の話ですけれども、16ページの「原子力科学技術について」のところに関係して、ちょっと。この間ふと思ったのですが、いわゆるSPEEDIのような話。原子力発電所の事故等があったときの放射性物質の拡散の予測であるとか、あるいはそれに関連してモニタリングということが明らかに推進されるべき、また実装されるべき研究開発課題だというふうに社会的に認識されていると思いますし、今年の3月に気象学会が原子力に関する提言を出しまして、そこでそういうことを一生懸命やりましょうと、日本気象学会もちゃんと協力をしますということが提言に書かれているんです。

 先ほどちょっと事務局に伺ったところ、何かそれに関してはこことちょっと違う整理になるようなことも伺ったのですけれども、もしそうであればそのことも含めてどこかに、ここの委員会でないのであれば別の委員会でも結構なんですけれども、どこかに含まれるべき点だと思いますので、ちょっと教えていただきたいと思いました。

【安井主査】  今、情報ありますか、何か。安全のところで。

【今村課長補佐】  先ほど御説明のときに少し言及したのですが、四つの課題類型が設定されておりまして、我々はそのうちの一つの環境エネルギー領域ですが、三つ目の領域が「安全、かつ豊かで質の高い国民生活(復興、再生にかかる重要課題を含む)」というタイトルになっておりまして、ここで放射性物質対策については取り扱うこととなっておりますので、そちらのほうにゆだねたいということを先ほども申し上げたところです。

【安井主査】  そこの内容に今みたいな話が含まれるかどうかをちょっとウオッチをしておいていただきたいと、そういうことでいいですか。お願いいたします。

 ほかに何かございますか。それでは、高村委員お願いします。

【高村委員】  ありがとうございます。1点目は、今ちょうど江守委員がおっしゃっていただいた点にかかわるところです。私も、安井主査にまとめていただいた形でウオッチしていただきたいと思うのですが、特に私が気にしていますのは長期のモニタリングが必要ではないかと思っていまして、その点についてはぜひ三つ目の課題でしょうか、のところに盛り込まれることをお願いしたいと思います。もちろん国民の健康云々もあるんですけれども、かなりのやはり大規模に放出されていますので、国際的な義務との関係でもモニタリングというのは必要になってくると、私自身は思っております。その点でお願いできればというのが1点目です。

 もう一つは23ページですけれども、基本的には事務局の修文に期待をしたいというふうに思っておりますが、私の意見は先ほどの意見とちょっと違っています。タイトルのところに「リスク情報の提示」だけにしてしまいますと、これはむしろリスクにかかるさまざまな、例えばここにあります「倫理的・法的・社会的問題」についてもやはり研究しなければいけないというところが落ちてしまうように思うものですから、そういう意味では配慮か何なのか、その国語の問題もするんですが、「情報の提示」という形のタイトルではちょっと狭いような感じがしております。

 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。そこはちょっと大きな課題ですね。どうするか、ちょっと考えたいところです。

 それでは、甲斐沼委員お願いします。

【甲斐沼委員】  私のほうもそれに賛成で、提示というよりも最初に御意見があった、「配慮した研究が必要である」と、「研究」というのをどこかに入れておいたほうがいいかなと思います。

【安井主査】  あらかじめ、要するに研究をやる段階から、それを考えの中に入れておけという、そんなスタンスですか。ちょっと、この2文字じゃ無理みたいだから、全面組みかえが必要な気がしますね。ということで、あとは何かございますか。

【沖委員】  1点気になるところがございますので。1ページの27行目ですが、「水や食料の汚染拡大」という言葉がございますが、ちょっと不自然なので。「食料」はその後にもございますし、もしかすると「水や大気の汚染拡大」ですと、例えば温暖化対策としての省エネルギー、あるいは脱硫というのは大気汚染の緩和にも役立つとIPCCのレポートにも書いてございますので、ここが「食料の汚染拡大」という言葉がいいのか、大気なりに置きかえるのがいいのか、ちょっと御検討いただければと思います。

【安井主査】  ちょっと放射線を気にし過ぎかもしれませんね。環境屋的には「大気」ですよ、確かにね。食料の汚染の問題、放射線以外にないかな。考えるということにいたします。

 骨格にかかわる話を議論し始めるとちょっとあまりうれしくはないんでありますが、もしもそういうような御指摘があれば、お願いします。ほかに何かありますでしょうか。

【篠崎環境エネルギー課長】  16ページのところで先ほどちょっとモニタリングとかSPEEDIのお話が出たので、整理学としては先ほど今村が申し上げたとおりなのですが、場合によってはなお書きかフットノートとかで、どういう整理になっているかというのをちょっと言及するような工夫も考えたいと思います。

【安井主査】  それが許されるのならば、それがいいですね。それでは、江守委員お願いします。

【江守委員】  11ページの真ん中辺、20行目です、ジオエンジニアリングですけれども、「ジオエンジニアリングについては、多角的アプローチにより、その可能性の評価を行う」なんですが、これは多角的アプローチが何を意味するかの読み方によって随分印象が違ってくる感じがしていまして、僕の理解では、検討すべきことはポテンシャル、コストのみにとどまらず、その副作用ですとかガバナンスですとか、そういったものを含めると多角的と読めると思いますが、読みようによっては何か技術の多角性みたいなものに矮小化されて読めるおそれがあると思いました。

 なぜ、そういうふうに思うかというと、その「可能性の評価」となっているところが、「可能性の評価」というのは可能であることを、期待できれば可能でありたいと思って評価するような言葉遣いに読めなくもないせいかなという気もするんですけれども、ちょっとここの書きぶりなり、表現の工夫なり、追加なりというのを検討する必要があるかと思いました。

【安井主査】  ごもっともですね。どうすればいいのかな。可能性というと、確かにある意味でポジティブなところしか見えない言葉ですね。そこをだから、何かネガティブな方向というか。「多角的アプローチ」という言葉はほんとうに確かに、我々にとっては何だかよくわからない言葉ではあるということもありますね。 どうぞ。

【山地委員】  今のところ、私はだから「可能性の評価」の「可能性の」というのをとって、「その評価」でいい。「多角的」は多分、消しちゃったけど、「理学、工学、社会科学を含めた」というところかなと思うんですけど。私がちょっと申し上げたかったのは、そこのページの下の注でジオエンジニアリングのところに「人為的な気候変動の対策」と「人為的」が入っているのですけど、あえて「人為的」と言わなくても、つまり、特に「人為的」と限定しなくていいのではと思います。

【安井主査】  そうですね。ありがとうございます。

 確かにポテンシャル。だから要するにプラス面とマイナス面の両方を考えるということを、それぞれいろんな方法でということなのかな。ちょっと、もう少し言葉を補えばよさそうですね。

 それでは、安岡主査代理お願いします。

【安岡主査代理】  そこの部分は、ジオエンジニアリングの前の段で「再生可能エネルギーの研究開発にあたっては」ということと、それから、「二酸化炭素回収・貯留」というようなことが書かれていますよね。そこでジオエンジニアリングが来ているので、そこのトーンは最後には合わせないとまずいですよね。ですから、私も今どういうふうにここを修文したらいいかというのがちょっとわかりにくいのですが、初めの二つは「留意する必要がある」、「研究を進める必要がある」、こういう形で終えていますので、確かに「多角的アプローチにより、その可能性の評価を行う」という終わり方は、ちょっと前の二つと並びが違うという印象は受けます。これも、今すぐどういう言葉を使ったらいいかというのはちょっとわかりにくいですが。

【安井主査】  ここの心としては要するに、大分前回、ジオエンジニアリングを前提としてやる方向なのかと言われたものですから、そうではなくて、やる、やらないということを。「可能性」というのは、だからそういう意味だったんでポジティブの意味ではなかったんでありますが。要するに、やる、やらないに関してさまざまな観点から評価を行うというつもりで、こういう記述になっているので、そういう意味でもしよろしければ、もうちょっと修文を進めさせていただきたい。

 それでは、杉山委員お願いします。

【杉山委員】  ジオエンジニアリングのところ、「多角的アプローチ」というのは山地委員がおっしゃったように、そこに書いてあって消えちゃっている「理学、工学、社会科学」というのを復活させれば、大体意味は通るかな。単に工学的にやれる、やれないという話をするんではなくて、「理学、工学、社会科学」を含めた多角的アプローチということでいいと思います。

 その「可能性の評価」とか、そう言ってもいいのですけど、「によって研究する」ぐらいで、「多角的アプローチで研究する」ぐらいで十分かなと思います。

 副作用とかを、ここであえて入れることはないと私は思っていて。というのは、そういうことを言い出すとバイオマスも大規模に利用すると副作用があるとか、全部これ、副作用も、副作用もと書かなきゃいけないので、それはやはり統一的に扱うものであって。それは今日の10ページの赤字で挿入していただいたところで、どの課題についても費用対効果とかリスクなどを考慮するとなっていますので、それは全技術に対して公平に、ここで記述しておく。ここのジオエンジニアリングの記述については、先ほど申し上げましたように、ほかのバイオマスとかと似たような記述ぶりで十分じゃないかと思っています。

【安井主査】  極めてクールに考えると杉山委員のおっしゃるとおりですが、そのあたりが必ずしも通らない世の中かなという気がしないでもないという部分があって、それで若干の記述が加わっているという感じですかね。そういうことを言い出すとほんとうに文明論で変な話ですけれども、日本人というのは、なじみのないものは嫌なのですね、まず。これは決定的にそうだと思いますね。ですから、その辺の特性を配慮して、若干記述が加わっているという気がします。

【安成委員】  この間議論しなかったところ、19ページの2ポツで「自然科学の各分野間及び人文・社会科学分野との連携」という項目をつくったということで非常にいいと思いますが、そのすぐ最初に、「地球環境問題の解決のためには」という文章、その後、「単に各現象を解決する技術の確立のみならず」と、これをよく読むと、ちょっと何か文章的におかしいな。例えば個別の環境問題を解決する技術のその前に多分社会構造、都市構造、水利権とかいろいろな人間活動、経済活動の問題が絡まって環境問題を引き起こしているということで、もう少し文章をこなしたほうがいいのかなと。これはかなり重要な部分なので。その後、わりと具体的な、例えば「蓄電デバイスの開発では」とか、そこでは社会科学的な知識も要りますよというかなり具体的な話に一気になってしまっていますけど、ここを、ちょっと今すぐどういうぐあいに変えたらいいかというのは私もすぐ出てきませんけど、もう少し、ある意味、これはかなり環境及びエネルギー問題に対して、どういう見方が必要かという重要なところだと思いますので、少し変えたほうがいいのかなという気がします。

【安井主査】  そうすると、今おっしゃるのはよくわかりました。確かに既得権の中で水利権だけ挙がっているのは変かもしれないね。

【安成委員】  というか、問題というのは結局、社会構造、都市構造、こういった人間の経済活動と実際の地球の自然というものが絡んで起こってきているわけですから、初めからこういうぐあいに問題がわかっているわけじゃない。絡んだところがまさに地球環境問題だということだと思いますので、その辺が少し明確になるような文章にすべきかなと、私もちょっと考える必要があると思っています。というのが、ちょっと気がついたところです。

【安井主査】  ありがとうございました。確かにすんなりした文章ではないですね。

 今日できましたら大筋これでオーケーということで、あとは検討に入らせていただいて。それで、もしどうしても何か気がついたということがあれば、この1週間以内ぐらいに改善案を含めて御提示をいただければと思います。

 それでは、沖委員お願いします。

【沖委員】  先ほどの議論に対してコメントをちょっとさせていただきたいと思います。21ページのリテラシーのところですが。

 知識が足りないと誤った判断をして、みんながリテラシーが上がって勉強すれば科学者コミュニティーと同じ判断をするようになるだろうというのは、私もそう思っていたのですが、どうもこの間、人に教えられて勉強いたしますと、20年ぐらい前に、この考え方は欠如モデルとして批判されていました。つまり、わかってないから違う意見を持つわけではないということだそうです。それはやはりわかってないからこそという面があるにせよ、結局最終的な、どの政策、どういう方向を選ぶかというのは価値観、あるいはどのぐらいリスクをとれるかといったものによるので、みんなが科学的知識が上がれば自分たちと同じような判断をするはずだと、そう判断しないのは、わかってないせいだというのは、どうも大きな間違いであるということが科学技術コミュニケーションの分野の成果らしいので、そういうことを言うとばかにされる可能性がございますので、気をつけたほうがいいかなと思いました。

 以上です。

【安井主査】  十分意識した上で書いているという感じです。実は。おっしゃるとおりで、実際そうなのです。しかしながら、今の状況というのを考えると、今までむしろ、確かに決定をするということは知識に基づいて決定をするわけでは人間はないので、いかなる決定であろうが、要するに投票するというような行為を、知識がないからだめだとまさか拒否できませんよね。ただ、今の状況を考えるとやはりもう少々レベルを上げてくださると、もう少し議論ができるかなというぐらいのつもりで書きたいです。

 ほんとうにそこを十分、コミュニケーションでそういう議論があるのは事実なんだけれど、だからといって例えばエネルギーについてヒッグス粒子ぐらいまでの勉強をしたかどうか、せめて、そのぐらいはやってよという感じなのですけどね。もう少し、それがにじみ出るような表現にいたしますか。

【沖委員】  これで結構でございますが。我々の間で、やっぱりちょっとその辺は。やっぱり環境エネルギーは特に今そういう、じゃあどうやったら。つまり、わかれば同じ意見を持ってくれるだろうというのは、かなりナイーブ過ぎだと思ったところです。

【安井主査】  それは、科学コミュニケーションの世界でもある意味常識になっている話だと思います。しかしながら、ちょっと今の現状は少し、許容する以下じゃないかな、知識量がという気がするという個人的な感想です。

 それでは大体いいところまで来ておりますのでこのぐらいにさせていただきまして、あとは事務局とちょっと相談をさせていただきまして、また完成バージョンにつきましてはお手元に配付をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 これで議題1が終わった形でよろしいですか。

 それでは議題2でございますが、関連する委員会の方はこれで結構でございます。ありがとうございました。

 それでは議題2に入らせていただきたいと思います。21世紀気候変動予測革新プログラムにおける事後評価でございまして、本年5月、第6回の委員会で御報告いたしました平成24年度の研究評価計画について設置をいたしました事後評価調整グループ、安岡主査代理とほかの委員の方々によりまして、事後評価の原案を作成していただきました。

 まず、事務局側から事後評価調整グループの実施状況等につきまして御説明いただきまして、それで議論をさせていただきたいと思います。

 なお、評価を実施するに当たりましては文部科学省における研究及び開発に関する評価指針というものがございまして、それにのっとって公明で、かつ透明なる評価を行うという観点から、原則として利害関係者が評価に加わらないようにする必要がございますが、利害関係者の範囲につきましては研究計画・評価分科会で定められておりまして、それで判断をいたしますと、当委員会では阿部委員、江守委員、沖委員、河宮委員の4名は21世紀気候変動予測革新プログラムの参画者であったために当該課題の評価には加わらないということになっております。

 利害関係の範囲でございますが、述べなくてもいいのかもしれませんけれども、評価対象課題に参画した者、被評価者、実施課題の代表者と親族関係に当たる者、利害関係を有するとみずから判断される方、それから評価に加わらないことが適当であると判断されたという、そういう四つの条件がございます。

 それでは事務局から資料2-1に基づきまして御説明をいただきたいと思います。お願いします。

【岡本課長補佐】  それでは21世紀気候変動予測革新プログラムの事後評価結果等について、どのような形で実施されたかについて簡単に御説明させていただきます。

 資料2-1に研究評価計画がありまして、その2ページ目に(3)事後評価があります。この五つの課題につきましては、去る6月18日に事後評価原案を作成するための事後評価調整グループ会合を開催させていただきました。

 構成委員としては全部で8名登録されておりまして、一部の先生におかれましてはより重要な案件が入り御欠席ということで、6名の先生に御出席していただいて評価をしていただきました。どのようにして行ったかといいますと、事前に各課題の代表者から自己点検結果報告書を提出していただき、あわせて当日、プログラム総括や課題代表者によるプレゼンをしていただきました。自己点検結果報告書やプレゼンの発表内容に基づきまして各先生方に評価していただき、その評価をもとにして原案を作成していただいたところでございます。本日は、原案について、御意見といいますか、御審議をいただきたいということでございます。

 事務局からは、簡単ですが、以上でございます。

【安井主査】  それではお願いいたします。

【安岡主査代理】  それでは私から、グループでまとめました事後評価結果(案)というのを説明させていただきます。時間もございますので核の部分だけを御紹介したいと思いますが、5ページを御覧いただけますでしょうか。資料2-2の5ページになります。ここからが事後評価票ということになっておりまして、この事後評価票の評価結果から、まず説明させていただきます。

 この課題は、核となるモデルは長期予測、近未来予測、極端現象予測、極端現象というのは台風とかそういうものを指しますが、そういう3種類のモデル。それから、今後のモデル開発で重要になるであろうということが予想される雲解像モデル、海洋微物理過程、この辺のものを五つの課題として選びまして個別に評価をさせていただきました。それを全体でまとめています。

 結論から申しますと、このプログラムはIPCC第5次評価報告書へのインプットという一つの目標があったわけですが、それを達成することができているというふうに評価できるといたしました。研究の内容も非常にすぐれており、一部は既に報道発表もされておりますけれども、どういう影響があるかということも含んで、研究成果の発表が行われております。

 それぞれのチームの達成状況については、そこにまとめさせていただきましたので、御覧になっていただければと思います。達成状況としては、非常によくできているという結論でございます。

 それから、次のページ、6ページ目にいっていただきますと成果ということで、ここでは具体的な成果を挙げさせていただいています。長期予測モデル、近未来予測モデル、極端現象予測モデル、それぞれの核となる三つのモデルについて特徴のある成果が得られているというふうに評価いたしました。雲解像モデル、海洋微物理過程についても、物理過程を含んで、よい評価が得られています。したがいまして、全体として具体的な成果が得られているということで、具体的な成果については6ページの半ば以降にそれぞれ述べさせていただいております。成果として十分なものが得られているという結論を出しました。

 それから、今後の展望でございますが、ある意味ではここが一番重要なのかもしれませんけれども、7ページ目を御覧ください。気候変動モデルは当然のことながらプロセスが非常に複雑ですから、今後引き続いて予測モデルの高度化を続けることが必要である、これは間違いありません。一方でといいますか、高度化を続ける中の一つとして、先ほどの一つ目の議題でもありました不確実性というのをいかに軽減するかというのが重要な課題になるというふうに、今後の展望で加えさせていただきました。不確実性という言葉を明記した上で、今後どういうふうにしていくべきかということを述べさせていただいています。

 このプログラム、五つのサブプログラムに分けて非常にいい成果が得られたという結論を出していますが、ただ、今後の重要な課題としてもう一つ、サブプログラム間の連携というのがやや弱かったということで、例えば長期予測モデル、近未来予測モデル、それから、極端現象予測モデル、これは個別にはそれぞれいいのですが、その間の関係性とか、それから、雲解像モデルをどこでどういうふうに取り込むのかということが必ずしも明確になっていなかった。そういうこともあって、それぞれの間の連携を強化するということが今後の研究の展開については重要でないかというふうに結論づけました。

 実際問題として、このフォローオンとして気候変動リスク情報創生プログラムというのがこれからスタートいたします。そこでは不確実性というようなことについてかなり大胆に切り込むということが予定されていますので、この「今後の展望」というのを受けた形で次のプログラムがスタートするという、非常にいい構成になっていると思います。

 評価票は以上のようにつくらせていただきまして、その前のほうにつけました3ページ、4ページ目は、この研究をどうして進める必要があったかというようなことの概略が述べられていますが、ここではちょっと時間の関係で省略させていただきます。基本的には非常によい成果が得られたということで、評価を締めくくっております。

 以上です。

【安井主査】  ありがとうございました。ということでございまして、よい評価をいただいているかと思いますが、何か御意見がございましたらいただきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

【安成委員】  非常に、いろんな評価委員の意見があったのをうまくまとめられたと思います。特に7ページの「今後の展望」がこれからまた新たな次のプロジェクトとか始まるということもありますので、それに生かすということで大事だと思います。特に安岡主査代理も強調されましたけれども、チーム間の連携といいますか、要するにそれぞれのチームが違うモデルを使っていて、それで違う評価とか結果を出している。だけどほんとうに、異なるモデルで結果はどの程度違うのか、これはある意味で不確実性とも関係しますので、そこのところはやはり非常に大きな課題かなと思います。

 ちょっと細かいことですけれども、今後の展望のところの文章で「各モデルにおける仮説やパラメタリゼーション」、「仮説」という言葉がちょっと引っかかるのですが、これはどういうことを指しているのでしょうか。

【安岡主査代理】  今、安成委員がおっしゃったように、それぞれの核となる三つのモデル、空間分解能が違いますよね。そうすると、そこで取り扱うべき物理プロセスそのものが違ってしまうということがありますよね。そうすると、その物理プロセスがある部分はパラメタリゼーションしたり、あるものは直接的に組み込んだりするわけですが、そのときの仮説がやはり、物理プロセスが違ってしまうので仮説も変わってきてしまうという意味で、ここでは「仮説」という言葉を使わせていただいています。「仮説やパラメタリゼーション」というのは、そういう意味で使われています。

【安成委員】  なるほど、物理過程とかという言葉であるのですね。

【安岡主査代理】  そういう意味では、物理プロセスと修正することでよろしいでしょうか。

 ほかに何かございましょうか。よろしゅうございましょうか。この評価に基づいて次のプロセスが入っておりまして、今度はリスクを予測するということになってまいりますが。

 さて、ほかに何かございますか。それでは、松橋委員お願いします。

【松橋委員】  すみません、事後評価の審議とは別に純粋な興味で発言します。ここでされている成果に関して、特に極端現象の予測に関して進歩が見られたということですが、例えば台風のようなものの、たとえ統計的な予測にせよ、非常に難しいと思うのですが、それに対して温暖化した世界で台風のエネルギーですとか数というものに対して、一定の何か推定ができるようになったというようになっているんでしょうか。

【河宮委員】  事後評価の審議ではないということで、私からお話します。私もそちらの担当ではなかったのですが、研究して、その間にいろいろ情報交換して知ったところですと、例えば現在気候における台風の発生数、あるいはその分布という点に関しては、顕著な改善があります。21世紀気候変動予測革新プログラムが始まる以前は、台風の軌跡なんていうのを世界地図上にとってみるとかなりやせ細った感じでみすぼらしい感じだったのですけれども、革新プログラムの間に丸々太って、非常に観測とよく一致したものになっております。

 例えば温暖化したときにどういう被害を及ぼすかというような観点からも、日本に到達する台風がどれぐらい増えるであるとか減るであるとかという観点からも評価も行っておりまして、そこまでの評価ができるようになったのは、やはり高解像度のモデルできちんと、現在気候に関しては少なくとも合わせるという努力が進んだせいかなと思います。

 また、GCMを使った予測というわけではないのですが、そういうGCMにおける台風のデータに基づいてGCMで再現されるような台風の通過経路、経路だけでなく、ちょっと変わったらどうなるだろうということを、言葉は悪いが、ばかみたいにただ変えて評価するんではなくて、変えたときに物理的にはこういうふうに台風の性質が変化するはずであるというようなことまで考慮に入れて少しずつ経路を変えるというような、ある種統計的なモデルというのを作成して、それで影響評価というところにも結びついていますので、極端現象という点に関しては非常に進歩があったんじゃないかなと思います。

【安岡主査代理】  多分、今先生が質問されたうちの一つは、それが日本のモデルだけで出てきているか、世界的なコンセンサスが得られているかどうかというのは、その点はどうでしょうね。

【江守委員】  今、IPCCのAR5のモデルの評価のチャプターで極端現象のセクションを書いているのですけれども。今、21世紀気候変動予測革新プログラムで、この5年間気象研が行ってきたような高解像度のシミュレーションというのは、ほかの国でも行えるようになってきています。具体的に言うとアメリカの機関で今回のモデル相互比較に出しているところがありますし、出してないところでも同じような規模の計算をできるようになっているところがありまして、その解像度で計算をすると、熱帯低気圧がどうなるかというところを注目して解析します。大体、現在の気候の再現において似たような結果が出ていて、ちょっと確認してないですけれども、おそらく将来予測においても同じような傾向が、少なくとも強い熱帯低気圧の発生が、温暖化したときに増えるというようなこと。これは今までそれよりも少し解像度の低いものでやっても大体どこの国の結果でもそういう傾向は出ていたんですけれども、それが多くの似たような高解像度のモデルで確認され始めているんじゃないかなと思います。

 これ、世界の複数のモデルで似たような高解像度の計算ができて比べられるようになったというのはコミュニティー全体として進歩であると同時に、一方で日本の科学技術という意味で言いますと、地球シミュレーターができたときには、その解像度のシミュレーションができる研究グループというのは日本にしかなかったのですけれども、今はどんどん世界に追いつかれて、むしろ抜かされつつある感じがいたします。

【松橋委員】  ありがとうございました。

【安井主査】  審査と関係ない情報交換が行われておりますが、別に構わないと思います。

 それでは、甲斐沼委員お願いします。

【甲斐沼委員】  これもちょっと追加のお話で審査とは関係ないんですけれども、先ほどIPCCのシナリオの話が出てきましたので、追加ということで。

 第5次評価報告書に向けてIPCCでシナリオを開発するときに、気候グループのほうから一番高い排出パスと一番低い排出パス、その中間のところを幾つか出してほしいというのは気候グループから、社会経済に関係なく、とにかく高いパスと低いパスとを出してほしい。出す場合に当たっては今までの土地利用について詳細な情報がほしいし、各ガスの排出量についてはできるだけ多くの関係するガスの空間分布がほしいというような要請を受けてIPCCの総会で決まって、それでシナリオグループに来ているので、次のときには、ぜひこういうことを検討したらいいんじゃないですかというような要請をちょっと早目に出されるというのも一つの手かなと思っています。

 特にAR6に向けて適用とか、グループなんかはAR6に向けてどういう研究を、非常に気候の結果が得られているので、それをベースにどういうふうに研究をリバイスしていくかというのが議論となっています。ということで、ちょっと先ほどの補足情報です。

【安井主査】  いろいろと情報交換を含めて御議論いただきましたけれども、全体としてはまあまあこれで原案として十分であろうということでございますので、本日いただきました御意見を参考といたしまして修正をさせていただきたいと思います。修正に関しましては主査一任ということにさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 それではいよいよ予定の時刻が近づいてまいりました。事務局から、次回に関しまして御報告をお願いします。

【今村課長補佐】  次回の日程につきましては委員の皆様に御予定を伺っておるところでして、近日中にそのあたりで決定いたしまして御連絡したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日の議事録でございますが、後日メールで、皆様にお送りさせていただきますので、修正等あれば御指摘ください。最終的にはホームページに掲載することで公表させていただきたいと思います。

 以上でございます。

【安井主査】  ありがとうございました。先ほど申しましたように、本日御検討いただきました議題1に関しては、あと1週間、もし文章の書きかえを提案いただければ、大変ウエルカムということでございます。どういうふうに書きかえたらいいかを含めて、ぜひ御提案をいただければと思います。

 それでは以上でよろしいですか。

 それでは、本日はどうもありがとうございました。以上で閉会でございます。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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