原子力分野の研究開発に関する委員会 核不拡散・核セキュリティ作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成23年1月18日(火曜日)14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省5F1会議室

3.議題

  1. 核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置について
  2. 我が国の保障措置活動について
  3. 核セキュリティに関する最近の動向と我が国の取組について
  4. 核不拡散・核セキュリティ作業部会での審議の進め方について
  5. その他

4.議事録

【木村核不拡散・保障措置室長】
それでは,皆さんお忙しいところお集まりいただきまして,ほんとうにありがとうございます。定刻になりましたので,ただいまから第1回目の核不拡散・核セキュリティ作業部会を開催いたします。また第1回目の作業部会ということでもありますので,とりあえず事務的な進行をまず私のほうで進めさせていただいた上で,議事に入り次第,田中主査のほうに進行をお願いするという形で進めさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
まず最初にちょっとおわび申し上げなきゃいけないのは,電工会の原子力部長,柴田委員という形で書かれておりますが,ちょっと手続の関係上,柴田委員のまま残っておりますが,12月で柴田委員のほうご定年を迎えまして,ご後任で津山部長が新しく委員として就任されるということになりますので,よろしくお願いいたします。と同時に,大変失礼申し上げました。
それでは最初に,研究開発局の開発企画課長でございます川端のほうから一言ごあいさつをさせていただきます。

【川端開発企画課長】
研究開発局の開発企画課に去年の夏ごろ参りました川端でございます。よろしくお願いします。
この核不拡散・保障措置室,木村さんが室長で,事実上,課みたいなものなんですが,組織的には開発企画課にくっついているということで,今日はごあいさつさせていただきます。顔見知りの方が非常に多くて,私が昔,保障措置課にいたときにご指導いただいた方々とか,動燃事業団を担当したときにご指導いただいた方とか,例えばちょっと前までIAEAにおりましたけれども,そのときにいろいろアドバイスいただいた方々とかが大勢いろいろな方が委員になっていただいて,IAEAから帰ってきたのが7年前ですけれども,もうそれ以降,原子力から遠ざかっていまして,久しぶりにこの世界に戻ってきて非常に懐かしい思いもしています。
大分日本が関わっているんですけれども,去年の4月にワシントンで核セキュリティ・サミットというのが開かれて,37カ国,オバマさんとかお見えになって,すべての脆弱な核物質の管理を4年以内に徹底するんだということで,一応の合意が見られたということです。それから原子力ルネサンスというすばらしい流れがある中で,これから60ぐらいの新しい国が原子力に参入するということ。それからこれは大分前からありますけれども,解体核の問題とかいろいろな問題があって,核セキュリティというのが非常に重要なイシューになってきている。そういった中で日本は昔から53年のアトムズ・フォー・ピースの時代から原子力の平和利用を徹底してきております。
核セキュリティ・サミットでも日本がかなり主体的にイニシアチブを発揮させていただきまして,昨年の年末には核不拡散・核セキュリティ総合支援センターというものを設けさせていただきました。予算措置がおかげさまで,あのパブコメを乗り切って,何とかつけております。千崎様が所長になっていただいていますけれども,よろしくお願い申し上げます。今年の4月から同じく予算措置が認められて,アメリカと一緒に本格的に核測定,核検知,核鑑識の技術開発に取りかかるということになっています。

一方,これは従前のことですが,日本が原子力の平和利用をしっかりやっていくという意味では,保障措置が非常に大事で,それをしっかりやっていくということもありまして,日本の原子力活動が活発化するにつれて,IAEAからの査察の負担の増大とかいろいろな問題が挙がってきますし,技術開発もやっていかなきゃいけないということです。
こういった状況を踏まえまして,核セキュリティ強化に向けた技術開発とか,IAEAとかアメリカと協力してやっていく技術開発というものについて,文部科学省としてどういったことに取り組んだらよいか,あるいはどういった体制を組んだらよいかということについてご検討いただきたいということでございます。せんだっての親のほうの原子力分野の研究開発に関する委員会というのを開かせていただいて,このワーキングチームを設置させていただいたと。本日が第1回ということでございます。時間の限定はありますけれども,非常に重要な課題ということを考えておりますので,こういった小ぢんまりしたところで,できるだけあまり形式張ったことではなくて,自由にご議論いただきたいと思っております。
私もなかなか昔を思い出して,こういう分野は好きなものですから,あまり形式的な担当課長というのじゃなくて,一緒に勉強させていただいてよいものを取りまとめていきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。

【木村核不拡散・保障措置室長】
ありがとうございました。今,話にあったようにこの作業部会ですが,資料の中身に入っちゃいますが,資料1-1をごらんいただくと,昨年の8月に親委員会であります原子力分野の研究開発に関する委員会,ここで8月19日付をもって設置が了承されたわけでございます。この了承と同時にこの作業部会の主査に関しては,当面の間,田中先生にお願いするということでご了解をいただいているということもございまして,作業部会の主査を田中委員にお願いするということでございます。
それではここから議事進行に入ってまいりますので,田中先生,よろしくお願いいたします。

【田中主査】
どうもありがとうございました。
ただいまご説明ございましたとおり,当面の間かどうか知りませんが,私がこの作業部会の主査を務めさせていただくことになりましたので,よろしくお願いいたします。
先ほど話がございましたが,昨年8月の原子力分野の研究開発に関する委員会で,この作業部会の設置が決定されたところでございます。先ほどの川端課長のお話にございましたとおり,核不拡散・核セキュリティについて我が国が果たすべき役割はますます大きくなっているところ,委員の皆様には忌憚のないご議論をいただければと思います。よろしくお願いします。
議事に入る前に第1回の作業部会でございますので,皆様から一言ずつごあいさつをいただけたらと思います。名簿の順で恐縮でございますけれども,上坂先生のほうからお願いいたします。

【上坂委員】
東京大学原子力専攻,今,専攻長を務めております上坂と申します。この核セキュリティに関しましては,主に放射線源とか分析の研究をやっております。よろしくお願いいたします。

【小川委員】
こんにちは。東京都市大学の小川順子と申します。核不拡散については私が社会に出た最初は,日本ニユクリア・フユエルという原子燃料工場だったので,その工場のときの核査察を思い出しながら,ちょっとお役に立てるかなと思っています。よろしくお願いいたします。

【菊地委員】
核物質管理センターの菊地でございます。保障措置は私のライフタイムそのものでありまして,30年近くこの業界を務めさせていただいております。最近では核セキュリティ関連の仕事も,当センターの業務の一環として仕事を展開しております。よろしくお願い申し上げます。

【喜多委員】
日本原子力産業協会の喜多と申します。国際協力全般を担当しておりますが,従来から核不拡散については個人的に興味を持って勉強しとったんですが,最近核セキュリティのほうのこともぼちぼちと勉強を始めたような状況であります。よろしくお願いいたします。

【津山委員】
日本電機工業会,津山と申します。よろしくお願い申し上げます。
この会議に出るということになりまして,会社に入ったころを思い出しました。貿易局だとかに通って技術貨物の輸出を一時期担当していたことがございまして,そんなころのことを思い出しました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【杉井委員】
セコムの杉井と申します。私は核そのものはほんとうは扱ったことはないんですが,たまたまここにいらっしゃる中込先生と一緒にいわゆるNBCですね。ニュークリア,バイオ,それからケミカルのテロ対策のセンサー関係の仕事を手伝わせていただいております。
あとは本体が民間のセキュリティをやっておりますので,今回のように非常に特殊なセキュリティとはちょっと違うんですが,底辺部分はこんなことを考えているということではお役に立てるんじゃないかと思っています。よろしくお願いいたします。

【千崎委員】
日本原子力研究開発機構の核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの千崎です。12月の下旬,27日付でこちらのほうをやりなさいということで,辞令をいただきました。私は5年前に原子力機構ができたころに,新しく核不拡散・管理センターというのを初めて設置していただいたんですけれども,それ以来,核不拡散あるいは核セキュリティだとか,核物質管理の仕事あるいは研究開発をやってきております。今度この総合支援センターをやれということで,どれだけできるかよくわかりませんけれども,ぜひ皆様のご支援,ご協力を得て,精いっぱいやっていきたいと思いますので,よろしくお願いしたいと思います。

【東嶋委員】
科学ジャーナリストの東嶋和子と申します。今,皆様のお話を伺っていますと,おそらく私が最もこの分野とはかかわりが浅いのではないのかと思いますが,サイエンス関係の取材執筆をしておりますので,広い見地から意見を述べさせていただければと思います。勉強させていただきます。よろしくお願いいたします。

【中込委員】
原子力安全基盤機構の中込でございます。私は4年前まで京都大学の原子炉実験所のほうで核燃料の安全管理,それからもちろん保障措置とか核防護を直接やっていた経緯がございまして,その経験が生かせたらと思っております。JNESのほうでもまさにそちらの担当をさせていただいていますので,今後ともよろしくお願いいたします。

【田中主査】
ありがとうございました。なお本日の作業部会では電気事業連合会の富岡委員は欠席でございます。
それでは早速ですが,これから議事に入りたいと思います。まず初めに事務局のほうから配付資料の確認をお願いいたします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
事務局から配付資料の確認をさせていただきます。まず一番上に議事次第がございますけれども,その下から資料1-1として,核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置について,資料1-2として,核不拡散・核セキュリティ作業部会構成員名簿,資料1-3として,原子力分野の研究開発に関する委員会運営規則,さらに資料2-1として,我が国の保障措置活動について,資料2-2において,IAEAに対する我が国の技術協力について,資料3-1として,核セキュリティに関する最近の動向について,資料3-2として,核測定・核検知技術開発について,資料3-3として,核鑑識技術開発について,資料4-1として,核不拡散・核セキュリティ作業部会での審議の進め方について(案),最後に資料4-2として,核不拡散・核セキュリティ技術開発の課題を抽出するに当たっての論点例(案)ということで配付させていただいております。
もし過不足等がございましたら,事務局までお知らせいただければ幸いです。よろしくお願いします。

【田中主査】
ありがとうございました。議題の議論の途中でも結構ですので,もし不足等ございましたら,お伝えいただければと思います。
それでは早速ですが,議題の1,最初の議題に入りたいと思います。核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置についてであります。事務局から資料の1-1から1-3に基づきましてご説明をお願いいたします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
まず資料1-1におきまして,科学技術・学術審議会,研究計画・評価分科会,原子力分野の研究開発に関する委員会,核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置についてということで,昨年の8月に上位の委員会におきまして,核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置が了承されたところでございます。設置趣旨といたしましては,近年,核不拡散や核セキュリティの体制強化に向けた世界的な流れが加速していく中で,我が国の保障措置の経験や高度な技術力を通じて貢献をすると。さらに我が国の保障措置システムの高度化・効率化などを行うということを目指してございます。そのような状況の中で,科学技術の側面から検討を行うことにより,より確実で効果的な政策を実施するということで,核不拡散及び核セキュリティについて調査審議を行う作業部会を設置させていただいておるところでございます。
主な検討事項といたしましては,核不拡散・核セキュリティ体制強化に必要な研究開発課題について,核不拡散・核セキュリティ体制強化に必要な人材育成手法について,さらに我が国の保障措置の信頼性向上,効率化のための方策について,IAEAに対する技術支援の課題についてということになってございます。
さらに次の資料1-2なんですけれども,作業部会の構成員といたしましては,主査として田中先生にお願いしているところでございます。さらに先ほども自己紹介をしていただきましたけれども,全部で11人の先生方にご議論をいただくということで,今日始めさせていただいているところでございます。
最後になりますが,資料1-3では,この作業部会の上位の原子力分野の研究開発に関する委員会の運営規則について,関連する部分を説明させていただきます。まず第2条なんですけれども,上位の委員会において作業部会を置くことができるということにされておりまして,当該作業部会に属する委員等のうちから委員会の主査が指名する者が,当該作業部会の事務を掌理するということとされております。さらに裏面になるんですけれども,議事としては委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。さらに会議の公開といたしまして,下にあります人事等の,あるいは行政処分等の案件を除けば,原則として公開をするということとされております。さらにその下の議事録ということで,原則としては議事録は公表するものとされておりますので,よろしくお願いいたします。

【田中主査】
ありがとうございました。ただいまのご説明に関して何かご質問とかコメントございますでしょうか。

【中込委員】
ちょっとよろしいでしょうか。

【田中主査】
はい,どうぞ。

【中込委員】
確認だけなんですけれども,対象とするのは,これ,保障措置が最初から出てくるので,保障措置は文科省しかやってないということはわかるんですけれども,この核セキュリティが入ってきますと,我が国の原子力全部という観点でよろしいわけですよね。いや,文科省の管轄だけですと言われちゃうと非常に狭まるし,かといって経産省の発電所を対象とすると,またちょっと違うなという感じがするんで。基本的には全部?

【木村核不拡散・保障措置室長】
そこはですね,また後ほどご説明申し上げようと思っていたんですが,特に今回核セキュリティ・核不拡散分野の技術開発に焦点を絞って議論をしていただくということを考えておりますので,ある意味文科省の。

【中込委員】
ということは原子力施設すべてということを視野に入れて。

【木村核不拡散・保障措置室長】
原子力施設すべてに適用できる技術という意味では,そのとおりです。

【中込委員】
わかりました,はい。

【田中主査】
よろしいでしょうか。
あとはよろしいですか。はい,どうぞ。

【菊地委員】
この会議の公開性の問題なんですが,これを読みますと委員会等で読むのかなとも思うんですが,委員会の議事案件すべて公開だというようなことは承知しているんですが,この作業部会の資料等々についても基本的には公開ということですか。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
基本的には公開です。

【菊地委員】
公開ですか。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
はい。

【菊地委員】
議事録も含めて。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
議事録も含めて公開いたします。

【田中主査】
何かご心配な点ありますか。

【菊地委員】
我々々いつも保障措置の分野ですと,これは木村室長も多分同じお立場かと思うんですが,結構セーフガーズコンフィデンシャルという多々やかましい制約がありまして,だから場合によってはちょっとご説明の仕方ないしは資料の残し方等についてご相談させていただければというところもあります。

【木村核不拡散・保障措置室長】
あれですよね。原子力委員会の核物質の専門部会なんかと同じことですよね。

【菊地委員】
そうですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
非公開のものは非公開でやると,そこは明確に区切ってやればいいと思います。

【田中主査】
よろしいでしょうか。
これなんかあれですね。過半数の出席ないとだめなんですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
よろしくお願いいたします。

【田中主査】
よろしくお願いします。
じゃあ,よろしければ次の議題に行きたいと思います。次は2つ目ですが,我が国の保障措置活動についてであります。まずは我が国の保障措置活動について,資料2-1に基づきまして事務局からご説明をお願いいたします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
まず資料2-1からになりますけれども,我が国の保障措置活動ということで,まず保障措置の目的と歴史ということになっております。1枚ちょっとめくっていただきまして2ページを見ていただければと思うんですけれども,まず1番上位のものといたしまして,核兵器不拡散条約,NPTというものがございます。NPTにつきましては1970年に発効しておりまして,我が国におきましては1976年に批准をしております。この中で第3条におきまして,非核兵器国による保障措置の受諾と国際原子力機関との保障措置協定の締結ということが規定をされてございまして,IAEAとの間で保障措置協定を締結し,平和的な原子力活動にあるすべての核物質について保障措置を受け入れるということとされております。
この第3条に基づきまして,日本はIAEAと日・IAEA保障措置協定を結んでおります。1977年に発効しておりまして,我が国は協定におきまして以下の3点について約束をさせていただいております。まず第1点目といたしまして,領域内のすべての核物質を国際保障措置の対象とすること。2点目といたしまして,国内保障措置制度を維持すること。3点目といたしまして,協定に規定された保障措置手続を実施するための補助取り決めを作成すること。これは実際に作成をされてございます。
その次の3ページになるんですけれども,保障措置の目的といたしましては,四角の中にもあります通り,原子力の平和利用を確保するため,核物質が核兵器その他の核爆発装置に転用されていないことを確認することでございます。実際にその技術的な目標といたしましては,有意量の核物質が,参考として有意量といたしましてプルトニウムだと8キログラム,高濃縮ウランだと25キログラムということで,核爆発装置の製造の可能性を排除し得ないおおよその量となってございますけれども,その有意量の核物質が平和的な原子力活動から核兵器その他の核爆発装置の製造等に転用されることを適時に探知することということでございます。早期探知の危惧を与えることにより転用を抑止するということとされています。
その次のページになるんですけれども,我が国におきましては,先ほどの日・IAEA保障措置協定に基づきまして,みずから国内保障措置制度を維持するとともにIAEAによる査察等を受け入れております。保障措置の手法としては大きく3つございまして,まず1番初めが計量管理ということで,原子力事業者が核物質の在庫量等を国に申告をする。さらに封じ込め・監視ということで,核物質の移動等を監視カメラや封印等により確認をする。さらに査察について,我が国が主体的に査察を行うとともに,IAEAがこれに立ち会いまして,核物質の使用状況等を検認するということでございます。この写真にあるような活動をしているところでございます。
さらにその下のページで,我が国の国内保障措置制度について,先ほどNPTというところで国際原子力機関の話をさせていただいているんですけれども,国際原子力機関あるいは2国間原子力協力協定で,その保障措置を受け入れるという形になってございます。この白い矢印と緑色の部分というのがございますけれども,白い矢印は伝統的な保障措置,それから緑色の部分というのは,後ほど説明させていただきますけれども,追加議定書というものに基づく活動でございます。一番下の原子力施設から矢印が出ていますけれども,まず計量管理報告等を文部科学省に提出いただいて,文部科学省において我が国全体の保障措置の企画・実施をさせていただく。さらに外務省を通じまして国際原子力機関等に対して報告をさせていただく。この矢印でその逆方向に出ているところなんですけれども,文部科学省あるいは指定保障措置検査等実施機関である核物質管理センターが国内査察を行う。さらに国際原子力機関も国際査察を行うことによって,計量管理報告などが正しく行われているかを検認すると。さらに原子力活動施設以外の緑色の部分のさまざまな施設につきまして,補完的なアクセスという形でその活動状況を確認する。あるいは活動状況の報告等を,文部科学省を通じて国際原子力機関に報告をするという形になってございます。
次のページに移らせていただきます。IAEA保障措置の強化・効率化と追加議定書と書かせていただいているんですけれども,1980年代までは核物質についてのみ平和的以外に転用されていないことを確認していた状況なんですけれども,1990年代に入りましてイラクの核開発計画の発覚,北朝鮮の核開発疑惑などがございまして,保障措置制度を揺るがす事態が発生をしてございます。これに基づきまして,「93+2」という計画なんですけれども,IAEAの保障措置の強化・効率化方策ということが検討されてございます。
その結果といたしまして,追加議定書というものを受け入れるということで,我が国では1999年に発効してございます。この2つの特徴的な部分がございまして,1つとしては拡大申告ということで,IAEAに対する情報提供の範囲をこれまでのものからさらに拡大をしています。1つは核物質を伴わないような核燃料サイクル関連研究開発活動,あるいは原子力サイトの関連情報,あるいは濃縮,再処理等の関連資材の製造・組み立て情報などについて申告をする。もう1つといたしましては,先ほどの緑の矢印で説明させていただいた部分なんですけれども,補完的アクセスといたしまして原子力サイト,原子力施設に加え,核物質を用いない場所へも立ち入りをすると。さらにアクセスした場所において環境サンプリングなどを実施するというところでございます。
その次のページになるんですけれども,統合保障措置ということで,我が国は伝統的な包括的保障措置及びその追加議定書を用いまして,受け入れているところなんですけれども,IAEAが利用できるすべての保障措置手段を最適な形で組み合わせて,最大限の有効性と効率性を目指すものでございます。統合保障措置につきましては,2004年の6月に我が国について,保有するすべての核物質が保障措置下にあって平和的原子力活動の中にとどまっているとの保障措置結論がIAEAより導出されたことによりまして,統合保障措置の適用が可能になってございます。
さらにその下の矢印なんですけれども,統合保障措置の適用によりIAEAの査察回数が軽減してございます。例えば横の四角になるんですけれども,従来型の保障措置ですと棚卸しの査察というのが年に1回あるのと,さらに査察が3カ月に1回ごとにあって,年に4回以上の査察があったんですけれども,統合保障措置によりまして,これにつきましては設計情報の検認が20%の確率で年に1回あると。さらにその棚卸し前・後の査察で年に2回,さらにランダム中間査察が30%の確率で年に1回あるということで,年に2.5回ということで効率化をされているというところでございます。
次のページに移らせていただきます。保障措置に関する課題と今後の展望ということでございますけれども,まず我が国における保障措置の負担というのが相当重たいものになってございます。IAEAの保障措置の資源の削減の要請が非常に強く出ていると。世界全体の約3割ものIAEA査察資源が日本に対して投入をされていると。このためIAEA関係国から日本に対してIAEA査察の削減のための取り組みを要請されているところでございます。下のグラフを見ていただいたこの赤い部分なんですけれども,資源が24%,あるいはお金で言えば28%充てられているところでございます。
さらにその次のページに開いていただければと思うんですけれども,これから六ヶ所再処理施設が本格的に稼働するというところでございますけれども,六ヶ所再処理施設におきまして,年間約800トンの使用済み燃料を再処理すると。さらにそれに伴って従来手法の保障措置を適用すると,査察量が膨大になるというところでございます。特に非核兵器国で大規模な再処理施設を有するのは日本のみというところでございます。そのために監視データや放射線測定データの査察データを,自動取得システムを導入して査察の削減を図っているところでございます。
さらにその下のMOX燃料に係る保障措置活動ということで,四角の中に書かせていただいたんですけれども,近年まずは再処理施設で使用済み燃料から取り出したプルトニウムとウランを混合したMOX燃料,Mixed Oxideの頭文字をとっているんですけれども,この利用が拡大しているところでございます。1つにはプルサーマルと一般的には言われているんですけれども,軽水炉におけるMOX燃料の使用が拡大しております。2010年において7軽水炉でMOX燃料を受け入れて,3軽水炉でMOX燃料を使用する。プルトニウムが入ってございますので,その分査察量が膨大に増えてしまうと。さらに今後の見通しを見ますと,2014年にはすべてのFull MOX炉である大間が稼働する。さらに2015年には16基から18基の軽水炉でMOX燃料が利用される予定であるというところで,その増加に伴ってIAEAと文部科学省で調整の上で,統合保障措置のアプローチを改定しているところでございます。例えばリモートモニタリングを導入するとか,非破壊測定を導入するなどの手法を用いると。
さらに2016年に六ヶ所におけるMOX燃料加工施設が稼働する予定になっております。膨大なまたMOX燃料を加工するということで,年間に130トン,HMと書いてあるのはヘビーメタルと。ウランとプルトニウムをあわせた量なんですけれども,6.5トンのプルトニウムということで,これも従来手法を適用すると査察業務量が膨大になるところでございます。現在,施設の設計,建設の進捗に合わせて保障措置手法及び機器の開発をしているところです。監視データや放射線計測データ等の測定データ自動取得システムを導入して査察の削減を図る予定でございます。
次のページになるんですけれども,査察業務量の推移というところでございますけれども,先ほどのMOX燃料の導入等に基づきまして,これから着実に増えていくと。さらにその情報処理件数の推移というものを見ていただきますと,これ保障措置関連の情報処理件数の推移なんですけれども,毎年着実に増えてきているところでございまして,さらに再処理施設における査察,MOX燃料に係る査察が増えてきますと,さらに膨大なものになってしまうということで,これらの査察量を減らしていく必要がございます。
最後のページになるんですけれども,このために持続可能な保障措置体制を構築する必要があると。IAEA及び我が国にとって効率的かつ効果的で,施設の運転により影響が少ないようなシステムを構築する必要がございます。まずこれまでの努力といたしまして,我が国のIAEAへの支援計画,一般的に略したらJASPASというんですけれども,を通じて先進的な保障措置技術開発を実施してきております。我が国ではこの分野におきましてフロントランナーであるということもございまして,さらに継続して協力をしていく必要がございます。さらに高い技術力を我が国においてはみずからの国のその核不拡散体制強化のために,その先端的な保障措置機器の開発を行うと同時に,グローバルな核不拡散体制の強化に技術面で貢献をしていく必要がございまして,米国などと連携をして技術開発でリーダーシップをとると。下の図にもございますけれども,国際社会の中では国際的な核不拡散体制の強化をするために,軽水炉の検認技術や核鑑識技術の開発,日本の我が国のためにおきましても大規模な再処理施設や濃縮施設に対応した技術開発,あるいはSafeguards by design,Information Driven Safeguardsの新たな手法,コンセプトを導入すると。このような分野が優先すべき技術開発分野であるというふうに考えてございます。
以上です。

【田中主査】
ありがとうございました。ただいまのご説明に対しまして,何かご質問,コメント等ございましたらお願いいたします。はい,どうぞ。

【中込委員】
9ページのところで世界全体の3割ということは,先ほどご説明していただいたんですが,これはなぜ3割,そんなほとんどを占めるようになっているか,原因はわからないんですか。いわゆる人数とか施設とか多いから仕方ないよというのか,それともやり方が下手というか。

【中込委員】
やり方が効率的でない。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
と思います。1つには軽水炉が世界で3番目にたくさんあるということと,もう一つは再処理施設などの大規模な核燃料サイクル施設がございまして,これについての査察量というのが膨大なものになっています。

【中込委員】
ということは技術力でカバーできない部分もあるということですね。それぞれ少しずつ減らしても,どれだけ減るかというのは。簡単に言えば数を減らしちゃえばいいよねというのか,その辺は。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
これまでも査察量を,査察を効率化するために技術開発を行っておりまして,かなりそれがより加速させる必要があるというところで,その技術開発課題も含めまして,ここの作業部会で審議,検討いただきたいなと考えているところでございます。

【喜多委員】
大規模な原子力利用国というのが核兵器国であることが多いので,保障処置を受けていないと。例えばアメリカは104基,原発ありますけれども,日本は53基ですね。それから中国は核兵器国,フランスが2番目ですけれども,そういった国がほとんどセーフガードを受けてないんで,どうしても日本が突出してしまうという部分があるんじゃないかなと思いますけれどもね。

【中込委員】
よく理由はわかっているんですけれども,国民がね,そのことをわかっているかどうかなんですよね。何か今,核兵器国じゃない国が何とかというのを,ここでは皆さん理解は十分承知の上なんですけれどもね。それをわかっていて何かかかっているからけしからんというようになりそうな気がしているんだけれども。

【木村核不拡散・保障措置室長】
いかにどれだけ転用可能な物質を日本が抱えているかということですよね。

【中込委員】
そうですよね。

【田中主査】
はい。

【小川委員】
質問していいですか。この資源と書いてあるんですが,簡単に言えばお金のことですか。予算ということですか。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
そうですね,1つは予算でありまして,もう一つは査察の人員のことでございます。

【小川委員】
予算に帰結するものを資源という形にしているんですね。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
はい。

【小川委員】
それであと私も,日本が核兵器国ではないので,商業炉がたくさんあるのは仕方がないんですけれども,たくさんあって,そのことによって貢献している部分だってあると思うんです。その先進地としてのいろいろなデータを世界中に供給していることからすれば非難されることではないのではないかと思いました。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
明確な非難という形ではないんですけれども,ただ効率化してくれないと,さらにこれから多くの国で原子力エネルギーを使うということになった場合に,その国に対しても保障措置を導入しなければいけない。そうしてしまうと日本ばかりにたくさんの資源を投入していると,ほかの国になかなか回しにくくなるので,日本のところで効率化をしてくれないかということを言われています。

【小川委員】
わかりました。
それと,じゃ日本が負担金というのを結構出していると聞きましたが,日本の負担金はどのくらいあるんですか。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
おそらくその国際機関に出している負担金というのは,GDPに多分比例して出していると思いますので,多分20%は行ってないんじゃないかと。

【木村核不拡散・保障措置室長】
大体16%くらいですね。3年前にそれだったら,まだ今どんどん減ってきていますよね。

【小川委員】
そうですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そのうち10%切るんじゃないかと言われていて。

【小川委員】
じゃ,拠出している以上に使っちゃっているということではあるんですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうです。出した以上に日本が受けているというところで,要はIAEAのリソースも非常に限られているわけですよね。その3割のリソースを日本に向けるよりも,ほかにIAEAが見るべき国があるんじゃないの,懸念国ってほかにもあるでしょ。そっちのほうがリソース向けるべきじゃないんですか。そのために日本に投じたリソース,これを減らしていくべきじゃないか,そういう議論はあります。

【小川委員】
それからもう一つ,予算が削ることが難しいというのは,地理的に遠いですよね。旅費ってすごくかかると思うんです。近くにすることできないし,多分旅費も資源の中に入っているんじゃないかと思うんですけれども。その辺は削れないから,それはもう仕方がないよねというようなエクスキューズは,この先きくのかきかないのか,と思います。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
ちょっと全体の内訳はわからないんですけれども,旅費がそこまで大きな圧迫要因を占めているかどうかというのは,例えばほかにもカナダとかそういう国がこれを見ると,多くの圧迫要因にはなっているんですけれども,カナダもヨーロッパから近くないし,あるいは東京にも実はIAEAのオフィスがございますので,そういう意味では地理的なものということよりは,施設がたくさんあるとか,あとはサイクル活動を行っているという部分のほうが,より大きな根本的な理由だと思います。

【小川委員】
わかりました。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
はい。

【小川委員】
最後に一つ,私,技術的な言葉がちょっとわからないところがあります。
3ページですが,3ページの一番下。未照射のプルトニウムが1カ月でガイドラインを超えるということが,書いてあるんですけれども。プルトニウムというのは,原子炉の中でつくられるというように私たちは説明しているんですけれども,そしたら未照射のプルトニウムというのはないんじゃないかと思うんですが,どういうプルトニウムが未照射なんですかと思いました。

【菊地委員】
これ未照射と書いてあるのと,ここで未照射と書いてあるもの以外にもう一つその他,照射済みのプルトニウムというものと,ほんとうは2つありまして,未照射というのは再処理してFPを除去して,どっちかというとクリーンになったのを未照射プルトニウムと,もう1回燃料として使えるまでの間のものを未照射と言っています。

【小川委員】
なるほど。

【菊地委員】
照射済みのプルトニウムというのは,使用済み燃料中に入っている。今,小川先生のご指摘のように,使用済燃料に入っているものを照射済みのプルトニウムと言っています。若干そこはもうちょっと下にもう一つ書いてあると,その違いがおわかりになったかと思うんですが。

【小川委員】
ああ,なるほど。じゃ,字と違って,未であっても後にできるものですね。

【菊地委員】
そういうことです。

【小川委員】
ああ,なるほど。

【菊地委員】
ですからいっぺん照射されでき上がったものを,再処理施設でFP等々を除去してある意味でクリーンな,クリーンなというか,もう一回リサイクルできる状態になったものと。

【小川委員】
わかりました。

【菊地委員】
逆に一番チャーミングなものと。

【小川委員】
はい。1カ月というのは,この期間は何を意味しているんでしょうか。

【菊地委員】
適時性の目標というのは,核爆発装置はもう既にあるという状況下で。ここでこう転用した核物質を核爆発装置に組み込むことが可能な形状に変更できるまでの期間を意味します。すなわちここで言うMOXというものであれば,MOXをもう一回硝酸化し,金属にし,適切な弾にして組み込むまでにおおよそかかるであろうと言われるものがおよそ1カ月だと言うことです。この期間だけは物が転用されても爆弾になるまでに若干の時間的な猶予となるだろうと考えられます。それを適時性といって,この時間内に見つければ,多分転用があったということは回収,回収まではいかないんですけれども,検知できるだろうというので,ある意味でのこの許容時間というふうにお考えいただければ結構です。

【小川委員】
わかりました。未照射のプルトニウムはすごく,言うとおかしいけれども,すごい危険なので1カ月以内に見つけて,ということですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうです。爆弾になっちゃうからすぐ見つけろと。

【菊地委員】
そういうことです。そのとおりです。

【小川委員】
そういう意味ですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
例えば使用済み燃料なんかの場合は,例えば盗まれても,それをまた処理して濃縮してって。

【菊地委員】
まだまだ時間がありますから。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうしないと爆弾にならないわけですね。だからある程度期間が必要で。

【小川委員】
はい,わかりました。ありがとうございました。

【田中主査】
よろしいでしょうか。あとはいかがですか。

【千崎委員】
原子力委員会は毎年プルトニウムの日本の量というのは公表していますよね。未照射のもの,そうでないものとちゃんと分けて,どこにどれだけあるかというのを国際的にも今,全部公表していると。

【小川委員】
ありがとうございました。はい,どうも。わかりました。

【田中主査】
これあれですかね。作業部会で議論していたときに,すぐじゃなくていいんだけれども,この新しい技術を開発したりしていて,それをIAEAで使えたりしていて,資源の割合が24%から少なくなっていかないといけない。

【川端開発企画課長】
結果として。

【田中主査】
結果として。

【川端開発企画課長】
そうですね。であれば……。

【田中主査】
それはどこかで評価されるの。評価値が悪いと。

【川端開発企画課長】
ええ。もしくは本来もっと増えてしまうところを増えないということでいいです。要するにこれからはむちゃくちゃ増えるのがむしろ怖いということですよね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
逆にその日本側の査察量,IAEAは査察やっている。日本も査察やっている。IAEAの査察が減る。それで逆に日本の査察が増えたら意味がないんですね。日本側の査察のほうを減らしていかなきゃいけない。

【田中主査】
そうですね。おっしゃるとおり。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そういうときに技術的に。

【千崎委員】
あわせて。受ける側の。

【中込委員】
事業者の。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうそう,事業者の負担を減らす。

【千崎委員】
だからみんなウイン・ウインの関係でこれで。

【田中主査】
だから普通何もしなかったら,六ヶ所の再処理と六ヶ所のJMOXとだけが随分増えますよね。

【千崎委員】
増えます。

【木村核不拡散・保障措置室長】
もう大変なことです。

【川端開発企画課長】
大変なことになります。

【木村核不拡散・保障措置室長】
大変なことになります。

【田中主査】
昔のこの12ページ見ても,この東海のやつでばっと増えていますからね。

【中込委員】
ちょっと論点違うかもしれませんけれども。

【田中主査】
はい,どうぞ。

【中込委員】
IAEAは必ずしも核兵器の開発を防止しようという施設じゃないんですよね。放射性物質を利用しようという,特に天野さんになってから,その辺が発言が多くて。

【川端開発企画課長】
そうですね。バランスが。

【中込委員】
ええ。188カ国でしたか,加盟しているうちにほんとうに原子力やっているというのは少ないんですよね。それなのに,こんな保障措置に24%も使っちゃっていいんでしょうかという話があるので。それは,ここは日本だからIAEAのことなんか知らないよといったらそれまでかもしれませんけれども,減らすほうで一生懸命日本も努力していますよということを示そうということと考えてよろしいんですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
この24%は保障措置の中での24%なんで。

【中込委員】
失礼。

【田中主査】
中だけで。

【中込委員】
失礼,失礼。

【木村核不拡散・保障措置室長】
放射線利用とか,そういうのはまた別の世界。

【中込委員】
はい。だけれどもかなりの量を占めていますよね。IAEAの予算の中のSGが。

【木村核不拡散・保障措置室長】
SG局の予算は相当程度,占めていますね。

【中込委員】
だからIAEAというのは,核兵器を防止するためのあれだと思っている人が圧倒的多いんですけれども,必ずしもそういうあれではないですね,目的はね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
IAEAそのものはそうですね。

【中込委員】
わかりました。

【津山委員】
研究開発ですとか,新しい技術の適用,利用。

【中込委員】
そうですね。利用。放射線利用ね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。技術協力とか。

【津山委員】
それによって統合保障措置の密度が薄くなるような削減の方向というのはあり得る。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。はい。おっしゃるとおり。

【田中主査】
よろしいでしょうか。
よろしければ次に,我が国のIAEAに対する技術協力について,資料の2-2に基づき事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
説明させていただきます。JASPASの経緯についてということですけれども,1981年から我が国ではIAEAの支援計画を開始してございます。次のページになりますけれども,引き続きこれまで103件のタスクを実施しておりまして,1980年代,90年代におきましては,保障措置の測定技術や封じ込め,監視技術の開発に取り組んできたところでございますけれども,今世紀に入ってから,2000年ごろから我が国の大規模な核燃料サイクルに関する保障措置のアプローチ,例えば六ヶ所の再処理施設,あるいはMOX燃料加工工場,プルサーマルに関する測定方法や技術開発に取り組んできたところでございます。
次のところがJASPASタスクの推移というところで,一応年間で随分な数字がございます。
その次のところなんですけれども,現在16件のJASPASタスクを実施しているところでございます。6分類というところでございますけれども,やはり大規模な核燃料サイクル施設に対するメニューというものが多くございます。
さらに米国との連携というところで書かせていただいているんですけれども,昨年の4月に文部科学省と米国のエネルギー省との間で保障措置等の協力文書において,両国がそれぞれ実施をしているIAEA技術支援プログラムの連携を協力項目の1つに挙げているところでございまして,現在それについての具体的な進め方について協議をしているところでございます。

【田中主査】
ありがとうございました。何かご質問ございましたらお願いいたします。

【木村核不拡散・保障措置室長】
ちょっとこれ,すみません,補足をさせていただいていいですか。
そもそもこのIAEAで何でこのJASPASというプログラムをやっているのかという話ですけれども,IAEAはその保障措置を実施する機関,保障措置だけではないですけれども,保障措置実施機関としてあるわけですが,その保障措置の技術を高度化しようと思っても彼らには技術開発能力がないわけですね。その技術開発能力をどこで補うのかといった視点に立ったときに,原子力の先進各国とそれぞれ協定を結びながら,それぞれの国の技術力を生かして,自分たちの保障措置技術を高度化,改良していく。そのためのプログラムとしてIAEAが日本とこの千九百何年か,81年かな,に協定を結んで始めたプログラム。その中で日本の技術をうまく生かしていくというコンセプトで我々この協力を今進めているというところです。

【田中主査】
どうぞ。

【中込委員】
よろしいですか。1ページ目の裏といっていいんですか。グラフがありますよね。JASPASのタスクの推移についてというような。これ大きく見ると幾つも山,谷,山,谷があるんですけれども,これ何かと関連するんですか。景気も含めて。そこを何かちょっと説明していただけるとわかりやすい。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
すみません。ちょっとその分析は特にはしていないんですけれども,ただ2007年から2009年におけるその上昇というのは,1つには核燃料サイクル施設についてサイクル施設に対するタスクが増えてきているからとは思っております。

【中込委員】
特に何か景気が悪くなったりゆとりがあるとか,そういうのは。

【菊地委員】
よろしいですか。

【田中主査】
どうぞ。

【菊地委員】
実際,JASPASの事務局を当センターはお預かりしていますので,そこら辺のこのでこぼこについての理由は比較的よくわかるんですが,例えば2003年から2004年,5年にかけてぼとっと落ちたというのは,実は六ヶ所再処理工場に対する保障措置の技術開発をずっと我々日本ではやっていまして,だから六ヶ所が動き出したと。ということは,もう実務上,技術開発要素は終わったというので,ごそっと減っちゃったというようなことがございます。それからその前にこう上がったり下がったりというのは,これはいろいろな経緯があるんですが,IAEAが当初IAEAとメンバー国がともに協議しながらプランを,この研究開発プランをつくっていこうということでスタートしたんですが,例えばその2001年以降減っていますのは,メンバーステートからの提案はIAEAからは受け付けないと言い出しました。IAEAがみずから例えば欲したものを,そのメンバーステートにやってもらうという,双務性がなくなって一方的な要求にこの枠組みが変わったときがございます。そうなったときには,もうこのメンバーステートからの技術的な提案がなくなっちゃいましたので,とにかく我々が協力できる間口が急に狭まったというところで,この1991年から1995年ぐらいまでの低下というのがございました。それ以降これではいかんというので,やはり双務性をもう一回復活させようというところで,両者相互に提案し合って,合意できるものをまた増やしていったという,ある意味でその歴史的な経緯があって,でこぼこしているということです。

【中込委員】
一応は説明できるわけですね。

【菊地委員】
できます。

【田中主査】
このJASPASにかかる費用って,どこから出るんですか。

【菊地委員】
これは国内の経費です。

【木村核不拡散・保障措置室長】
各機関の機関持ちが多いですね。

【田中主査】
国内の景気にもよる。

【川端開発企画課長】
いろいろですね。原研,機構さんとかいろいろなところでやっているのを,日本としてまとめているだけです。

【木村核不拡散・保障措置室長】
JASPASのための予算をどこか1カ所で確保しているということはなくて,それぞれの機関で実施している技術開発の中でIAEAと共同でできるもの,IAEAからこれをやってほしいと言われたもの,うまく当てはまるものがあればやっています。

【田中主査】
IAEAの金じゃないわけだ。

【木村核不拡散・保障措置室長】
じゃない。

【千崎委員】
支援プログラムですかね。

【田中主査】
支援か。

【千崎委員】
支援する国の金。

【田中主査】
なるほど。

【千崎委員】
これは各国が,こういう主要な国は支援プログラムを持っているわけですね。今でもアメリカが一番多いんでしょうね。アメリカが一番やっている。ところがアメリカはご承知のように民生用の燃料サイクル,特にプルリサイクルの施設ってないわけですね,今まで。そういう施設を使った試験というのは結構大事でして,それは唯一日本が施設を持っていて,そういう可能性のある施設があるわけですね。したがって特にプル利用に関するそういう施設の,プル利用に関するそういう支援プラン,プログラムというのは結構IAEAが日本に期待するところが大きいと思うんです。であり,日本としてもそういうことをみずから支援してリーダー的にやっていかないと,国際的にはそこの技術が進展しないという状況もありますので,ぜひこういう分野で,この場でもいろいろ議論していただいて,日本としてどういう支援を,もちろん技術開発もしていく必要がありますので,そのコストパフォーマンスも考えながら,適切な額で,日本のプルリサイクル,プル利用計画にのっとってきちっとやれるように。その技術の開発をすれば先ほども話ありましたけれども,資源ですね。査察に関する資源もいい技術が開発されれば,減ると。それは事業者も査察側もお互い安くできるということにつながる可能性があると思いますので,それは私も非常に日本のプログラムとしては大事じゃないかと思って。

【田中主査】
前のようなケースのときに,アメリカの金を使って日本が技術開発することはできないんですか。

【千崎委員】
いや,それもできます。可能だと思います。

【田中主査】
それでもJASPASというの。

【千崎委員】
いや,それは。

【中込委員】
ジョイントだから。

【木村核不拡散・保障措置室長】
それもアメリカのサポートも含めて。

【千崎委員】
ジョイントで。

【中込委員】
ジョイントだからいいんじゃないかな。

【千崎委員】
日本の施設を共同で両方にほうり込んで,アメリカの部分の協力部分と日本の部分の協力部分でほうり込んで仕分けをして,お互いの役割を仕分けをしてIAEAに出すということはできるかもしれない。

【田中主査】
はいわかりました。あとよろしいでしょうか。
よろしければ次の議題に行きたいと思います。次は議題の3です。核セキュリティに関する最近の動向と我が国の取り組みについてであります。まず核セキュリティに関する最近の動向に関して,資料3-1で事務局からご説明をお願いいたします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
核セキュリティのまず1ページ目の核テロの脅威につきましては,国際原子力機関においても以下の4つのケースを想定しております。核兵器そのものを盗むとか,あるいはダーティー・ボムを製造する。あるいは原子力施設等に妨害破壊行為を行う。最後に②になってしまうんですけれども,核物質を盗んで核爆発装置を製造するということで,こういうことが起こってしまうと,その影響が極めて大きいというところでございます。
次のページなんですけれども,そもそも核テロの脅威が増大してきたその1つの背景といいますのは,ソ連が崩壊をいたしまして,旧ソ連諸国の核兵器や核物質が不法に持ち出されるということで核テロの脅威が認識をされると。さらに2001年に米国の同時多発テロにおきまして核テロの脅威ということでの緊張感が高まると。さらに原子力の導入が増えるというところで,ターゲットになる核物質が増えるので,さらに緊張感が高り核セキュリティ強化の重要性が認識をされるというところでございます。
さらにその次の核セキュリティ・サミットなんですけれども,昨年の4月にワシントンでサミットが開催をされております。我が国の総理や米国大統領など47カ国,3国際機関が参加をしております。今後取り組むべき措置についてコミュニケ等を採択しているところということで,コミュニケのポイントなんですけれども,すべての脆弱な核物質の管理を4年以内に徹底をするということを歓迎して参加をする。あるいはセキュリティの維持については国が基本的な責任を負う。あるいはセキュリティの向上のために国際社会で共同する。あるいは支援。あるいはキャパシティー・ビルディングや技術開発等のための国際協力は重要である。あるいはIAEAの重要な役割を担うというようなことが決められているところでございます。
次なんですけれども,その核セキュリティ・サミットにおきまして,日本国が発表をしたイニシアチブがありまして,1番目がアジアの核セキュリティ強化のための総合支援センターを設置する。2つ目が核物質の測定,検知及び核鑑識に係る技術開発を行う。この1と2について,後ほど詳しく説明させていただきます。さらにIAEAの核セキュリティ事業への貢献,世界核セキュリティ協会会合の本邦開催についてのイニシアチブを発表しているところです。
さらに核セキュリティ分野につきましては,日米協力が拡大をしているところでございます。まずは,2009年の11月の日米首脳会談における「核兵器のない世界」に向けた日米共同声明におきまして,核不拡散,保障措置及び核セキュリティに対する協力を拡大することを合意してございます。それに基づきまして実務者レベルで議論をして,その次の年,昨年の4月にちょうどその核セキュリティ・サミットのあったタイミングで,文部科学省と米国エネルギー省との間で核不拡散,保障措置,核セキュリティ協力に係る協力文書に署名しております。文書の中では技術開発を進めていくとか,IAEAへの技術支援プログラムの連携を図る,あるいは人材育成の基盤整備を支援するなどを主な協力内容としています。
さらにその次の最後のページになるんですけれども,昨年11月の日米首脳会談におきまして,日米核セキュリティ作業グループの設置が決定されているところでございます。首脳会談の後に核リスクの低減に係る日米協力についての文書が出されているんですけれども,その中で来年2012年の韓国で開催される核セキュリティ・サミットに向けて日米間の核セキュリティグループを設置する。さらに核鑑識,核物質の検知や測定の分野における共同活動を拡大する。あるいは我が国で設置をする核不拡散・核セキュリティ総合支援センターについての取り組みを歓迎するということが記載されてございます。

【田中主査】
ありがとうございました。何かご質問,コメント等ございましたらお願いいたします。

【中込委員】
最後の2国間というのは日米でいいんですか。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
そうです。

【中込委員】
ということは,総合支援センターとは直接は関係ないよということと考えていいんですか。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
ただこの日米核セキュリティ作業グループの中で,やはり協力する主要な項目があるんですけれども,その中の1つには総合支援センターのことが入ってございます。

【中込委員】
作業グループってもうできたんだっけ。

【千崎委員】
これは,この作業グループというのは政府間,政府の間の作業グループなんですね。だからメンバーはアメリカ政府と日本政府。

【木村核不拡散・保障措置室長】
日本だと外務省がヘッドになって,関係省庁は課長が。

【中込委員】
外務省がヘッドですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
ええ,外交ですから。

【中込委員】
要するに具体案はあるわけですね,もう実際に。

【木村核不拡散・保障措置室長】
ええ。アジェンダのアイテムはもう幾つかあって,その中の1つに総合支援センターを通じた日米協力に基づいて,どうやってそのセキュリティのトレーニングをやっていくかというのは,項目に含まれています。

【田中主査】
あとよろしいでしょうか。

【中込委員】
核テロとかいろいろな言葉は非常に国民レベルでいうと大変興味ある言葉なんですが,ほんとうこの辺のことをちゃんとわかっているように,国は示しているんですかね。もちろんさっき,何回も言いますけれども,ここでは皆さん理解できたとしても,ほんとうに国民がわかっているのかなというのは。何か核といったらもうすべて悪い,怖いというようなので。ちょっと要らぬ誤解もたくさん。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。

【中込委員】
ここはそういうのはもう関係ないよと。もうちょっとレベルの高い,国としてどうやっていこうかということだけ考えるんですか。それとも。

【木村核不拡散・保障措置室長】
いえいえ。

【中込委員】
やっぱり国民にわかってもらなくちゃいけないし,というのが。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そこはおっしゃるとおりなんで。私も核不拡散・保障措置室が新しくできてから,そうやっていかに核という言葉が変に誤解されないような形で伝えなきゃいけないなと思って,ありとあらゆる機会を通じて宣伝をしていますけれども,やっぱりこの作業部会の場を通じても,いかにこの部会の成果をどうわかりやすく皆さんに伝えていくのかということには,しっかりご留意いただいた議論が必要なんだろうなと思いますね。

【中込委員】
それにはやはり後で出るかもしれませんけれども,国の,俗に言葉は悪いんですけれども縄張り争いですか,おれの範囲はここまでとか,私の範囲はここですとかということをやり始めると,国民はほとんどわからないんです。ですから,その辺を要するに国が見えないというのは,非常に特にセキュリティをやっていて思っていたんですけれども。その辺をよく理解しておかないと。多分国がわかってないと,各省庁がわかってないと,おそらく国民なんて絶対わからないと思いますので。その辺をこの委員会というんですか,作業部会というんですか,やっぱり発信源にもなる必要があるのかなという,そういった視点で議論していただければと思うんですけれども。

【小川委員】
はい。

【田中主査】
どうぞ。

【小川委員】
ここの会議でやっていることを,意外とスムーズに国民の方に流せればいいとは思いますが,それは無理だと思います。私が,頻繁に行っている一般の人向けの広報活動のレベルを考えると保障措置だとか核不拡散だとか,は言葉すら難しい。

【中込委員】
と思いますけれどもね。

【小川委員】
「爆弾をつくらないために」ぐらいのテーマですよね。一般の方が,2時間ぐらいの時間を割いてくれて,私たちの話を聞きに来てくれるときに,これよりももっともっと知っていただきたい,原子力発電のしくみや安全システムなど基本的なことはたくさんあるわけです。だから今日この場で話し合っていることは,結構高度なことだし,まあ私たちが広報活動をそれぞれの立場でやるときに,例えば私はさっきちょっと参考になったんですけれども,核テロとはこういう種類があると。あれは意外と使えるなと思いました。そのときにそれぞれの対策ってこうですよ,くらいのところが実際に広報活動の現場では使えるかなぐらいで,さらに踏み込んだ言葉の難しいものを一般の方に言っても,混乱するだけだと思う。感覚的にそう思います。だからここの委員会はここの委員会で,ある程度の高度なことというか,そこのところのバックアップをするためのガイドラインを決めたりすることですよね。それでいいんじゃないかなと思う。

【田中主査】
核不拡散とか議論になってくると,この部会はいろいろな研究開発とか技術のあれとかなんだけれども,実際になってくると外務省絡んできたりもっと大きないろいろな省庁絡んできて,もうそれこそ国家全体の外交政策あるいは国の政策とも絡んでくると,なかなかここまででわかってもらえるかというと,この作業部会からの発信として難しいかわからないんだけれども,でもここの作業部会とすれば,やっぱり我が国がこの辺の技術の研究開発をしっかりやることがどれだけ意味があるのか,そこはしっかりとわかってもらいたいですよね。

【中込委員】
これ技術開発……技術開発って限ることはないんですけれども,そういった面でちょっとかなりフォーカスして話せということですね。

【田中主査】
そうですね,ええ。

【中込委員】
わかりました。

【田中主査】
あとは何かございますか。よろしいでしょうか。
じゃよろしければ次ですが,我が国の核セキュリティ強化のための取り組みとして核測定,核検知技術開発及び核鑑識技術開発について,資料の3-2と3-3に基づきまして事務局からご説明お願いいたします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
核測定・核検知技術開発について説明させていただきます。まず1ページなんですけれども,昨年の核セキュリティ・サミットにおきまして,日本国政府のイニシアチブとして,アジアの核セキュリティ強化のための総合支援センターの設置と,さらにその技術開発を行うということを発言しておりまして,これに基づき昨年12月27日に原子力研究開発機構におきまして核不拡散・核セキュリティ総合支援センターを設置しております。場所は茨城の東海村のこの写真の建物に設置をされているところでございます。
ちょっと1枚めくっていただきまして,総合支援センターでは人材育成や技術支援等を行っていくんですけれども,その6つの柱というのがございます。その中で,技術開発との一体的な運用ですとか,あるいはその最先端の技術を活用するなどの戦略がございます。その中で次のページなんですけれども,3ページなんですけれども,技術開発と一体となった最先端の知識習得というところで,人材育成の機能とあわせまして,技術開発や支援の機能をセンターに持たせることによって,最先端の機器の海外展開を図ると。1つには原子力新規導入国に必要となるような計量管理技術を開発するというところでございます。
それで次のページになるんですけれども,ここでこのセンターで行うテーマとしては核物質の測定,あるいは検知を目指しているんですが,そのテーマは大きく3つございまして,それについて説明をさせていただきます。
まず1つは,現在日米協力が進んでいるところなんですけれども,米国が開発している使用済み燃料中のプルトニウムなど,今,核物質について非破壊で実際に測定のできるような装置の実証試験を日本で行う。実際にその装置を日本原子力研究開発機構の東海再処理工場に持ってきまして,この図に,横の図にあるような形で実際に装置を入れまして,実証試験を実施する。本件については,先ほど説明をさせていただいたその日米協力の一環として実施される予定です。
次がレーザーコンプトン散乱ガンマ線源利用核共鳴蛍光非破壊測定です。こちらは我が国の保有する技術で,世界最先端の加速器技術を用いてつくられるガンマ線,光による核共鳴分光技術を用いて,使用済み燃料中のプルトニウムなどの核物質の測定の技術を開発すると。先ほど説明したものよりさらに高精度なものを開発することによって,非破壊測定の精度を飛躍的に向上させて,グローバルな核不拡散,核セキュリティの強化に貢献をすると考えております。本件についても,日米協力のもとで進めていきたいと考えております。
最後になるんですけれども,ヘリウム3代替検知器開発ということで,世界の多くの中性子検出器においてヘリウム3が使われているんですけれども,そのヘリウム3というものが世界的に非常に不足をしているというところでございまして,それについても我が国の加速器の開発されている固体シンチレータ技術を用いて中性子を検出するための代替技術を開発する。このことによって保障措置や核セキュリティを担保する上で重要な,深刻な問題であるヘリウム3の不足を解決するとともに,我が国の技術を用いてさらにそういうその検出器を海外にも展開できる可能性があると考えております。

【田中主査】
ありがとうございました。もう一つのやつもお願いします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
核鑑識技術につきましては,捜査当局によって押収,採取された核物質について,その化学的な組成などを分析して,その物品の出所や履歴や輸送経路,目的等を分析・解析する技術的な手段でございます。核鑑識にはさまざまな活動が含まれていて,サンプリングとか分析などが含まれております。核鑑識技術を用いることによって,実際その起源が特定できるために犯人を特定したり,刑事訴追ができる可能性が高まるということで,それが高まると核テロ等に対する抑止効果が高まると考えております。これを国外ネットワーク化すると,グローバルな核セキュリティ体制強化に貢献できるということで考えております。
次なんですけれども,次のページなんですけれども,核鑑識につきましては,2009年11月の日米首脳会談,核セキュリティ・サミット,あるいはその直後に締結された協力文書におきましても,核鑑識についての技術開発を進めていくというところで日本はここにコミットしているというところでございます。
さらには核鑑識については,さらに国際的な取り組みが行われているところでおりまして,3つのような例えば核物質の違法移転にかかわる国際技術ワーキンググループ,ITWGというところなんですが,そういうところでも技術の開発とか,あるいは共通な手法の技術を提供するための活動を行っている。IAEAとかあるいはグローバルイニシアチブなどの活動もございます。
4ページのところ,核鑑識技術開発についてなんですけれども,実際にその技術開発の目的といたしましては,ごく微量の核物質につきましても,精密測定によってプルトニウムやウランの同位対比を測定したり,あるいは不純物の含まれ方とか,あるいは粒子の形状を測定することによって生産施設とか生産時期などを特定して,核兵器用か民生用かの特定なども可能になるところがございます。研究テーマとしましては,不純物の分析や形状の分析を行う。不純物で生産施設等を特定する。あるいはウランの同位対比からウランの分離・精製の時期を特定する。それについての分析結果を照合させるデータベースを構築するというようなことを行っていく。最終的にはいろいろ説明をさせていただいたとおり,データベースを構築することによって核物質の盗取を抑止して,さらにグローバルな核テロ抑止に貢献をすることができます。
最後のページになりますが,核鑑識技術に係る今後の課題についてというところで,ここで4つ挙げさせていただいているんですけれども,1つには核物質等の分析に必要な分析装置を整備する。さらに不純物や粒子形状等に係る測定技術を確立する。これについても核セキュリティ・サミットで3年をめどにというところで,基盤技術を確立するというところをコミットしているところでございますので,一定の技術を確立するとともに,継続的に技術開発を実施する。さらにウランやプルトニウムの年代測定技術開発につきましても,3年間で実証的な実証試験が可能となることを目指すと。さらに核鑑識データベースの構築に向けた技術開発もございまして,そのデータベースの整備に関する体制を構築するということを目指してございます。

【田中主査】
ありがとうございました。両方の資料のご説明につきまして,何かコメント,ご質問等ございましたらお願いします。

【中込委員】
よろしいですか。すみません,いつもトップで申しわけないんですが。

【田中主査】
いえいえ。

【中込委員】
こういう測定技術というのは非常に大切かと思いまして,ぜひやっていただきたいと思うんですが,これを見ると,あ,なるほどいい装置だなと思うけれども,これ分解能というんですか,大体100グラム単位でわかるよりも10グラム単位でわかればいいの,ミリグラム単位でわかればいいのによって全然違うんですよね。その辺の何か見通しというのはあるんですか。研究者はほっておきますと,どんどん精緻化していきますので,あまり……。私はミリグラムわかったところで,兵器までそうミリグラムを失ったからどうのって言えるのかなと。いわゆる相場観ですね。大体どの辺になっているのかというのを示さないと開発は非常に難しいんじゃないかという点が1点と。
もう一つは先ほどITDBがありますね。核鑑識は非常にわかりやすいんですが,データベースを,その怪しげな国がデータベースを出すかということが非常に大きい問題があるんじゃないかなと思っているんです。技術は発達すると思うんですけれども,その辺のIAEAが持っているITDBと比べますとかいっても,まあ皆さんわかっている国しか出さないだろうと。怪しげな国は,多分北朝鮮なんて全然出さないんじゃないかなと思うので。どういう判断をされるのか。ちょっとその2点なんですけれども。
1点目はこの測定器の精度を,大体どのくらいを目安に開発する。それをこの場で決めろというんならまた話は別ですけれどもね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
最初の点については,基本的には保障措置のリクワイアメントを果たせば,それでいいんだと思います,まずは。ですので,セキュリティの目的に使うんだったら,さらにもうちょっと精緻なところまでやらなきゃいけないんでしょうけれども,この今の総合支援センターでやる技術開発のミッションなんかを踏まえれば,まずは保障措置の目的で使えるようなレベルまで,レベルの物質を検知測定できればいいでしょう。

【中込委員】
そういったこともここで議論は構わないんですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
これからで。

【中込委員】
測定技術の話になってきますので。保障措置レベルで言うのか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうなんです。これから……。

【中込委員】
保障措置は報告は。

【木村核不拡散・保障措置室長】
225のRev.5が出てくると,今度はセキュリティ目的での計量管理とかああいう機能も出てくると。

【中込委員】
IAEAでももめているというか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そのどうバランスをとってやっていくのか。どこら辺をターゲットにしてやったらいいのかというのは,ひとつ議論の材料になると思いますね。何決めるとかいうことではなくて,アドバイス等いただければと思いますね。

【中込委員】
ですね。やっぱり相場観というのは基準ですよね。学問の追求じゃないと思いますので,その辺をどこでよしとするかというのを,方針を出す。出さないと非常に難しいと思うんですけれども。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
はい。

【田中主査】
そういうことはあれですか,ここに挙がっている3つないし4つの例がまず初めに想定されていると思うんだけれども,それ以外のいろいろな方法についてもこれから開発したりやっていく。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。今,例示でご説明させていただいた3つの課題については,既にもう日米の間で議論が進められているものでありますので,ここの作業部会の場でご議論いただきたいのは,むしろその先を見通したようなね。どんな分野でどんなターゲットを設けて,じゃそのターゲットを満たすためには,どれぐらいの技術開発のレベルでやっていけばいいのか。そういうところを,むしろご議論していただくような方向であるのかなというのは思っています。
それと2点目のご質問,データベースの話ですが,基本的にデータベースに関しては,それぞれの国の機微情報が多数含まれておりますので,どの国も公開するということは基本的にはあり得ないと思っています。その中で技術レベルですね。どこまで上げていって分析結果が正しいのかどうかと調べるのは,今,先ほどご紹介したITWGという場があるんですけれども,そこでブラインド試験をするんですよ。あるサンプルを各国が分担して持って帰って分析して,その結果を持ち寄って議論するという形がとられるわけですね。
それでほんとうに役に立つのかどうかというのはわかりませんが,少なくとも今,日本というのは日本自身の施設あるいは核物質のデータベースすらまだ整備されてないわけです。まずそこを最低限整備して,ほかの国と互角に議論ができるようなところまで持っていかなきゃいけないんじゃないかというのは,我々の問題意識としてあります。
というのは例えば核テロが起こったときに,そのサンプルをどこかの国が分析してこれは日本だと言われたときに,今の我々の持っている技術レベルでは何の反証もできないわけですね,それに対して。

【田中主査】
中込先生よろしいですか。

【中込委員】
いやあんまりよろしくはないんですけれども。大変,何ていうんですかね,こっちを立てればこっちが沈みという格好になると思うので,今イタチごっこと言いませんけれども,何か絶対的なのがあればいいんですけれども,なかなかないわけですよね。そういったときに,何をもってよしとするかというゴールが見えない研究を進めても,多分非常に難しい話になってしまう。考え方はいいんですけれども,じゃ何を目指すかといったときに,どんどん詳しくなればいいよねと。確かに核鑑識でどんどん。

【木村核不拡散・保障措置室長】
突き詰めれば突き詰めるほど切りがないという。

【中込委員】
突き詰めれば突き詰……。

【木村核不拡散・保障措置室長】
逆に切りがなくなってくるという世界ですからね。

【中込委員】
ええ,そうなんですよね。日本では達成できたと思っても国際的に見たらまだ大分先。国際的にはもっと先だよと言われちゃうと,ほんとうにそこまでやらなきゃいけないのかとかですね。そういった議論をここでもおいおい構わないわけですね。
逆に私が希望したいのは日本からも言いなりばっかりじゃなくて,アメリカの言いなりとか,それからIAEAの言いなりばっかりじゃなくて,日本ではこういうので考えていますよというのを出してもいいんじゃないかと思っているんですよね。先ほどのセーフガーズにたくさんお金を供出しながら受けているというところもありますので,やはり我が国の経験というのは非常に大切かと思いますので,発信すべきだと思っていますけれども。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。ええ。まさにおっしゃるとおり。だから国際的な流れもやっぱりこれ日本だけで閉じる,核不拡散にしても核セキュリティにしても,日本だけで閉じる問題じゃありませんので,国際的な流れを見ながら,じゃここでは日本はさらに上へ行ったほうがいいのか,あるいはじゃここは日本は別にそこまで行かない,国際的なレベルまで行かなくたっていいじゃないかというところもあると思うんですね。そこのめり張りのつけ方,じゃどこまで行けばいいのかというのを,方向性としてアドバイスいただければと思いますけれどもね。

【中込委員】
それから再処理施設とかプラントによって違いますよね。試験研究炉の施設とかそれから低濃縮しか扱わない発電所とか圧倒的に多い発電所,そういったところをやっぱりある程度全体を見ながらやらないと,ここは解決するけど,ほかはほとんど9割のことは知りませんというわけには多分いかないと思いますので。そういったことを踏まえて,大変難しい議論であることはわかっているんですけれども,そこを理解しながら議論すべきだろうなと思っているわけです。

【田中主査】
ありがとうございます。あといかがでしょう。

【上坂委員】
これ人材育成なんかもこの委員会ではどうなんでしょう。

【木村核不拡散・保障措置室長】
次の議題でご説明を差し上げることになっております。

【上坂委員】
そうですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
しばし。

【千崎委員】
あとこの核鑑識で,やはり先ほども話出ましたけれども,仮に将来日本で核物質が見つかったと,不法な核物質が見つかったというときに,それはまずどういう核物質でほんとうに日本から出たものなのか,日本以外のものなのかというようなのは当然国際的に求められますよね。そのときに最低日本としてある程度の分析をして,あるレベルの情報が日本から出せるというのは,まず大事だと思うんですね。そういう意味で,その分析なり評価がそれなりにできる能力を持ってなきゃいけないと思うんですね。
2つ目に先ほどもありましたけれども,日本の国内のデータベースで,日本の原子力施設から少なくとも出たものじゃないかどうかですね。それもまた国際的にどうなのかと言われるわけですね。今はきっと包括的といいますか,日本の原子力の施設のデータは,どんなものがあるんだろうというのがないんですよね。それぞれの固有には持っているかもしれないんですけれどもね。だからやはり民間の,例えばウラン加工メーカーさんとか,そういう協力が非常に大事だと思うんですね。これから日本もそういうデータベースをつくる。ところが海外でも今問題がいろいろあるらしいんですけれども,そのデータを渡すと,商業機密が出ていくんじゃないかという危惧もあるようなんです。そこらのことも含めて,これからいろいろ議論していく必要があるんじゃないかなと思うんで。

【中込委員】
私ね,もうちょっと,さっきもう一つ納得しかねているというのは,まさに我が国の仮に見つかったときに,ここは何社じゃないですよねと,日本ではありませんというのは,多分登録されているのはもう皆さん正直なベースでやっていますからいいんですけれども,言いたいのは登録されていないところが一番怪しいんであって,だからなければ日本ではないといっていいのかということですよね。実際どこかの個人がやっているかもしれない。だからそういったことがあるので,よく議論しておかないと,鑑識はできます。分析までできますが,そこでできました後は知りませんということなら,ここはITDBまで出ていますので。そこをどうするかという,応用面だと言えば,それまでかもしれませんけれども。本来はそこが目的ですよね。ですからそういったとこも議論すべきだろうなと思っています。

【菊地委員】
我々のところでも核管センターでも,まねごとのデータベース,分析した結果のデータベースは持っているんですが,ただもう一回核鑑識のデータベースと我々のデータベースの違いって何だろうということを,いろいろうちの中で考えたことがあります。今,計量管理上のデータベースというのは,まさに核物質の濃度とアイソトープファクター,ここまではわかります。これは確実にほとんどの日本の国のその核物質取り扱い施設のデータというのは,我々はわかります。ですから,ところが何がないかというと,不純物に関するデータは全くないと言うことになります。すなわちきれいにしてもらったものしかうちはもらってないので,不純物のデータはありません。それからあとここにありますように,組成ですよね。粒径がどういう形をしているかという情報もありません。実際にこの核鑑識で非常に重要なのは,多分絶対量ではなくて,我々が今保障措置を知りたいと思っている絶対量ではなくて,まさにその組成の問題だろう,属性の問題だろう。そうすると,例えばアイソトープファクターについては,若干我々はその核物質に関してはご提供できるかもしれないけれども,その他の,例えばマイナーアクチニドに銅を含めたものというのはわからないと言うことになります。それは残念ながらその貢献はできません。なおかつ不純物,これも全くわからない状態です。だから多分属性として知りたい,あるいは例えば今,議論がありましたように,どこかで押収されて多分それは日本の国じゃなくてもいいんですが,それが日本のだと疑われたときに,いやそうじゃないという,例えばそのエクスキューズをするために何がデータとして必要かという,その部分をもう少しきちんと整理しておく必要があると思います,多分必要かつ十分なその項目のデータを得るために,今度は先ほど言われたように,業者さんの多分ご協力と,場合によっては事業者さんにそういう分析能力がないんであれば,例えばそのものを提供していただいて,ある,そういうことができる分析ラボでそのデータをつくっておくという。多分そういうことが必要なのかなと思っています。
残念ながらこの核鑑識の分析の技術というのは,例えばクリアでやっているような超微量分析と,あと我々の保障措置分析でやっている化学分析ですね。ちょうどその中間段階にあるようなものだろうと思っていますので,そこをもう少し整理して,機能的に追求していく必要があるのかなと思っています。

【田中主査】
ありがとうございます。

【杉井委員】
ちょっといいですか。

【田中主査】
どうぞ。

【杉井委員】
今のお話伺っていて,この技術開発についてちょっと幾つかイメージ固めておかなきゃいけないなと思うんですけれども,これは配備計画というのがどうなっているのかですよね。オールジャパンで1個でいいというものなのか,ここの総合支援センターにそれがそろっていればいいというイメージなのか,それともいやいろいろ日本中に,いろいろな核物質を扱う施設があるから,もう少し配備をしなきゃいけないのか。その辺で,これみんな機器開発って相当お金かかることはもうわかっているんで,そこのところはとりあえずオールジャパンで,とにかくいいものをワンセットとにかくつくり込むんだということであれば非常に議論しやすいし,配備基準を決めるということになると,またこれ全然別の話になるというのが1つですよね。
例えば不純物1つとってみて,オールジャパンでいいんだったら,例えばSPring-8を使えばいいじゃないかという議論もできるわけで,それでほんとうに実効性があるかどうかということが問題になってくるんですよね。だからここでこの問題の何ていうかな,非常に早く解決しなきゃいけないということを考えたときに,どの道をとるのかというのはよく議論しておかないと。船出してしまうとなかなかいろいろな船が出ちゃうわけですから,それをまとめるというのは大変なことになるかなというのは,ちょっとしますよね。
だからタイムスパンとしてどのぐらいをまず見るんですかね。この支援センター,それからこれで国際協力していくということを考えると,5年も時間かけられないんじゃないですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
かけられないですね。

【杉井委員】
でしょう。そうするともう逆算のやり方ですよね。その辺をやっぱりよく考えておかないと,ばーっと研究者にほんとうにファンドを与えてしまったら,ほんとうまとまりがつかないなという感じしますよね。

【田中主査】
また一方で支援センターさんだけでできないようなこともあるでしょうし,アメリカなんかもホームランド・セキュリティという一応大きなプログラムがあっていろいろな研究所,大学総動員やっているところがあり,それから支援センターできたから,支援センターできたのはいいことなんだけれども,それだけじゃできないところがあるから,ちょっとオールジャパンで今度どういうふうにやっていくのかって,大きな議論としてやんなきゃいけないんじゃないかと。

【上坂委員】
私が言うことじゃないかもしれませんが,文科省さんでもそういう小型の放射線源とかレーザーの開発というのは10年以上やっているわけで,先進小型加速器とか今,量子ビームとか光化学とかプラットフォームやっていましてね。この案にもそこいら一部反映されている面があるので,ゼロからスタートで5年でということは絶対あり得ないと思うので,今までの蓄積をうまくここに結集させるということが必要だと思うんですよね。そういう意味で5年というタイムスパンは,非常にいいんじゃないか。今まで10年以上やったりもしていましたからと思いますし。
あとやっぱりホームランド・セキュリティもなかなかよしあしでして,非常に向こうの防衛産業と組んで,一部非常にクラシファイしてやってオーバースペックで,こういう例えばHe3が売れない,高いというのも,そういうのの反映ですから,ちょっとやっぱり向こうとの連携も慎重にやっていって,やっぱり我々もしっかりと技術開発していくということも重要だと思いますね。

【田中主査】
何かありますか。はい,どうぞ。

【中込委員】
国際的な,IAEAでもこの保障措置とどうドッキングさせようかと,いろいろ議論されているところなんですが,そこはあっちはあっちで構わんよ,日本は我が国は例えばさっき言った5年スパンでやろうとするのか。いや,IAEAはもうちょっと長くなりそうだとか,もうちょっと延ばそうかというのか,そういう左右されるんですか。その辺が。ここで議論今後していきましょうということになれば,話は別かもしれませんけれども。

【木村核不拡散・保障措置室長】
やっぱりせっかくこれから開発しようという技術ですからね。日本だけじゃなくていろいろなところで使ってもらわないといけない。そういうことを考えたらある程度国際的な流れを見ながら,その技術開発のタイムスパンを考えないといけないですね。そうするとやっぱり先ほど中込先生おっしゃったように,何をどこまでのリクワイアメントとするのか,ほんとうにそれはじゃあどれだけ杉井先生もおっしゃったように配備したらいいのかということも考えながら,全体の開発計画みたいなのができ上がっていくんでしょうし。今少なくとも核鑑識に関しては,とりあえずまだ実用的なところまで行くレベルではないので,まず1カ所で必要な技術開発を行ってというぐらいのイメージでJAEAの中で検討をしているところですけれども。それがほんとうに捜査現場に使われるようになって,じゃ,どのレベルまで技術レベルを達成すれば,ほんとうにその捜査の実用にたえるのかとか,そういうところまで議論が進んでいくと,また話は変わっていくんだと思いますけれどもね。それは多分警察なんかの参加も得ながら,議論していかなきゃいけない話でしょうし。

【中込委員】
当面は一事業者にお任せするわけではないということで。日本として取り組むという考えですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。必要な知見はあちこちからもらいながらという。ただ開発する場所はやっぱり分散していても意味がないので,どこか1カ所でやるということなんでしょうけれども。

【田中主査】
はい。いろいろあるかと思いますけれども,次の議題に行きたいと思います。次は特に今後のどう進めるのかという重要なことについて,ご審議いただけたらと思います。核不拡散・核セキュリティ作業部会での審議の進め方でございますが,まず資料の4-1に基づきまして,事務局からご説明をお願いいたします。

【木村核不拡散・保障措置室長】
資料の4-1をごらんください。先ほどの上坂先生からのご質問にも答える形になると思いますが,もともと先ほど資料1で設置についてご説明した際に,この作業部会の主な検討事項の中には,いわゆる研究開発課題の検討のほかに人材育成の話もバスケットで入っておりました。ただ人材育成のあり方を考える上でその保障措置に関しては,多分役所が責任を持って考えることなんだろうなと思いますし,核セキュリティの人材育成というのは,じゃその警察とか,税関とか幅広いところにいって,多分この作業部会で核セキュリティ全般の人材育成について議論するのは,あまり適当じゃないのではないかという印象を持っております。
じゃそこで何をするのかということですが,8月に設置した以降,幾つか状況の変化がございました。まず総合支援センターをつくっていく中で,関係省庁の連絡会議ができました。それから支援センターの中での人材育成のあり方を考える上で,ここにいらした中込先生を委員長とする有識者の委員会ができました。その中で核セキュリティ分野の人材育成をどうしたらいいのかということの議論をいただいております。これはもうオールジャパンの体制でやっていただいております。さらに11月に原子力人材育成ネットワークというものができて,その中で原子力全体の人材育成のありようについて,しっかりとネットワークをつくりながら相互に協力していこうという動きも出てくる中で,この作業部会では特に技術開発に絞った集中的な議論を行っていただいたほうが,より効率的なのではないかと考えてございます。特にこの審議事項の中にございますように,今まで我々の保障措置分野の中で培ってきた技術,こういったものをこれからどういうふうに発展させていくのか。国際社会の中での立ち位置をどうするのか。国内での技術レベルの底上げをどうしていくのかということを考えた際に,その必要な技術開発課題,それと何年先を見据えたらいいのかというターゲット,そこに至るまでのロードマップ,当然その技術開発をするに当たっての人材育成のあり方みたいなものは,スコープの中に入ってくるのかもしれません。
いずれにしても中心となるのは,今後日本が進めていくべき技術開発課題の抽出をメーンに行っていただいてはどうかということで考えております。スケジュール感としては,1つのターゲットとしては再来年度,平成24年度の概算要求に向けて何をやっていくのかということになろうかと思います。したがって今年の7月ごろまで,とりあえず二,三回ということを考えてございますが,審議の進みようによってはもうちょっと増えることもあるかもしれませんが,次年度以降,24年度以降の技術開発課題,それからどういう体制でオールジャパンで実施していくのかということも含めて,今後の展開について一定のめどが得られたらよろしいかと考えてございます。
以上です。

【田中主査】
ありがとうございました。これについてご意見,コメント等ございましたらお願いいたします。上坂先生いかがですか。

【上坂委員】
ですからこの支援センター自身は,これ当然人材育成というものが入ってくるんですけれども,この部会ではまず技術開発に絞って,ちょっと付随するその人材育成はちょっと出るかもしれないけれどもということですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
それはそうですね。

【上坂委員】
はい。

【中込委員】
確認しますけれども,この2004年度の予算に反映するような格好で。

【木村核不拡散・保障措置室長】
2012年度。

【田中主査】
夏ごろにあれば再来年の予算要求について反映できるということですな。
また,とにかくあるかわかりませんけれども,はい,どうぞ。

【菊地委員】
よろしいでしょうか。
ここの審議事項の中に書いてあります核セキュリティ強化に向けたという,その核セキュリティというのは,概念が非常に大きく広がっていますので,ここはその広義で見るか狭義で見るか,両方やるかを考える必要があると思います。だからまあ喫緊の問題として何がその開発事項として挙げられるか,例えば長期的な展望のものを短期的にこれはもうやっておかなきゃだめよというようなものを選択するというように,そういったものも含めて考えさせていただいてよろしいということですか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
はい。単純化すれば先ほど小川先生にお褒めいただいたこの核テロの4つの類型ありますよね。だからそれぞれを解決するためには,何をすればいいのか,何をいつまでにやればいいのか,どういう体制でやればいいのかということですので。そこのケースについては,最初は多分幅広く考えたほうがよろしいのではないかと思います。

【田中主査】
じゃ関連しますので次の4-2ですけれども,開発の課題を抽出するに当たっての論点について,ご説明いただきたいと思います。

【木村核不拡散・保障措置室長】
第2回目以降の作業部会で,また今後実施していくべき研究開発課題について,具体的な事例を挙げながらご議論いただければと思いますが。それの材料として本日ご議論いただきたいと思っている資料が4-2でございます。これ以外の論点についてもいろいろご意見あろうと思いますので,ざっくばらんにご意見いただければと思いますが,我々がご用意したペーパーに基づいてご説明申し上げますと,まず現状認識として4本の柱がございます。
まず1つ目,先ほどご説明したようにこれから保障措置の分野において査察量の業務増,これが明らかになっていく中で,どのように資源の効率的な活用を図っていくかというのが,1つの大問題であります。これを技術面で解決するに当たって我が国がどんな点で優位性を持っているのか。短期的なスコープ,長期的なスコープでどういうふうに取り組んでいったらいいのか。一方で日本が自分勝手に開発した技術を,IAEAがそれを自分たちの査察のための技術として受け入れるということはあり得ないので,IAEAといかに協力しながら技術開発をしていくのかという視点も持っていく必要があるだろうと思っております。
それから2本目の柱は,いわゆる核セキュリティの分野ですが,これは核テロというのは日本国内,アメリカ国内,それぞれの問題ではなくてグローバルな問題であります。その中で我が国が技術によってどのような貢献が可能かと。こういうことを考えたときに,例えば国際社会では核セキュリティ対策としてどんなニーズがあるのか。それにそのニーズに基づいて,じゃ日本はどんな技術的な優位性を持って,どんな分野で取り組んでいけるのか。あるいはこれから新規原子力導入国が増えていくわけですから,そういった国々に対してどんな技術的な支援をできるのかというようなこと。
それから3本目の柱といたしましては,これは日本の問題でありますが,財政事情の厳しい中でやはり技術開発,やりたいものはいろいろと出てくるでしょうが,すべてをやるわけにはまいりませんので,その資源配分の中でめり張りをつけて優先度の高いものをやっていかなきゃいけないということで。これはこれからの議論で具体的な課題が出れば,おのずと議論が進んでいくものだと思いますけれども,ただちに取り組むべきもの,それからコストベネフィットの分析,それからできるだけ技術開発を効率化するという観点での基盤的な技術開発課題というのがあるかどうかと。それから他分野への波及効果があるものがあるかどうかという視点。こういったものも必要なのではないかということ。
裏,2枚目に参りますと,現状認識の最後でございますが,核セキュリティについては,我が国,非常にまだまだその対策への認識としては低いと思っております。その中でじゃほんとうに核セキュリティを強化していくために,どんな技術分野でイニシアチブをとっていくことができるのか。それに当たって海外でどういう取り組みが行われているのか。こういった材料も集める必要があるんじゃないかということ。それからある特定の研究開発機関に任せるだけではなくて,幅広い知見を得ながらオールジャパンの体制で取り組んでいく必要があるということ。それから技術開発そのものだけではなくて,そこから得られた成果,これをしっかりと具体的な対策に結びつけていかなければいけないという視点も重要なのではないかと考えてございます。当然これ以外の視点もあろうかと思います。第2回目以降の議論の材料とする上でも,忌憚ないご意見をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

【田中主査】
ありがとうございました。今後どう進めるかについて重要なことかと思いますので,少し時間をとっていろいろとご議論いただければと思います。よろしくお願いします。

【杉井委員】
ちょっと事務局側の見解をお伺いしたいんですけれども,この審議事項のポツ4つ目に持続可能な技術開発体制の検討て,これ非常に大事な言葉が入っていて,私は実はほっとしているんですが,これはやっぱり何かの反省があって書き込まれたのかどうか。上坂先生なんかこれがあれば多分,こういった検出機器をつくっておられる方というのはやはり相当維持費もかかるし,お金が切れちゃうとあとの研究はできないという問題を多くの場合悩んでおられるんじゃないかと常々思っていましたので,それがこういう形で取り上げられたのであれば,非常に研究は進んでいくだろうなという感じしておりまして。その辺,このポツ4というのはどういう心で取り込まれたのか。

【木村核不拡散・保障措置室長】
非常にありがたいご指摘でありますけれども,こういった技術開発,核セキュリティ,核不拡散の分野だからというわけではなくて,やはりある程度長期的なスパンを持って見ていかないと,実際その現場に根づくまでに何か資金切れになっちゃって,しり切れトンボの成果で終わってしまうというケースがこれまで結構あったかのように私は思うんですね。多分上坂先生もそういう点でかなりご苦労されたところはあると思いますけれども。

【上坂委員】
みんな苦労していましたよ。どこも苦労していました。

【木村核不拡散・保障措置室長】
こういう,特にやっぱり長期的な視点を持ってやっていかなきゃいけないセキュリティの分野,不拡散の分野の技術開発,これはできるだけ単発的な形ではなくて,長い目でものを見られるようなサポートの仕方,これが何とかできないものかと考えて,この4ポツ目入れてございます。

【杉井委員】
わかりました。よろしくお願いします。

【木村核不拡散・保障措置室長】
こちらこそよろしくお願いいたします。

【中込委員】
確かに言葉は美しいんですよね,「持続可能な」。実際に機器開発されてもほとんど役立たない。現実問題として起こらないとなると,それを何も役立たないのにどう評価するかということが,評価できて初めてお金もつくのが今までの研究ですよね。そういうのになれっこになっている我が国で,これを維持するというのは,すごく大変だと思うんですよね。

【杉井委員】
大変ですよね。

【中込委員】
言うのは簡単です。サステナブルというと,何か聞こえが今風でいいんですけれども,ほんとうに我が国でできるんかというのが,非常に実はクエスチョンマークなんですよね。評価の仕方もわからない。しかも起こって,起こらないことが当たり前なのに,だれもそのことを評価しないという世界ですから。リーダーがだれなのかということも含めて。

【田中主査】
核セキュリティ・サミットを表明したからやるんですけれどもね。これはあれですか。六ヶ所とかJMOXとかでどんどんと件数が増えていくというふうな。そうすると,そこに反映しようとすると,結構スピード感ないといけないですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。

【田中主査】
そこはどう考えればいいんですかね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
全くそのとおりで,最先端の施設ができていけば,それに対応するための新しい機器開発,計量管理の機器開発,分析の機器開発,こういったものが必要になってきますので,そういった動きを眺めながら,それにやっぱり遅れないようにやっていかなきゃいけないですね。

【杉井委員】
そうですね。

【中込委員】
計量管理はわかるんですよね。

【千崎委員】
あともう一つね,最近の動きとして冒頭でも木村さんのほうから話あったかと思うんですが,安全設計と同じようにセーフガード・バイ・デザインということで,新しい原子力システムをつくるときに。

【中込委員】
最初から考えている。

【千崎委員】
最初からセーフガードの要件,保障措置の要件というのを考えた上で,その原子力システムの設計をやる。それによって効率的,合理的に達成していこうと。そういう概念で,今IAEAのほうでも一生懸命議論を始めているんですね。だからそういうことについても,ここでどうあるべきかと。だから原子力のユーザーとそれから開発メーカーさん,あるいは使う側の電力会社とか,そういう三者。あるいは開発側ですね。これ全部関係していくんですね。だからその。

【中込委員】
だけど今のはね,セーフガード・バイ・デザインの話だけれども,セーフガーズはまあやらなくちゃいけないんだろうなというんですけれども,セキュリティになるとこれ核不拡散・核セキュリティ両方考えなくちゃいかんわけですよ。そうなってくると,非常にセキュリティのことを。

【千崎委員】
セキュリティ・バイ・デザイン。

【中込委員】
セキュリティ・バイ・デザインというのと,セーフティとのコンフリクトするのがたくさんありますので。

【千崎委員】
ありますね。

【中込委員】
その辺もここで議論するのか。もう技術面だけやればいいというのか,その辺がはっきりしないと,多分いろいろな……。話としては非常におもしろいといいましょうか,になりますから,だんだんまとめがまとまりのつかない話になってしまうので。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。だから,今……。

【中込委員】
そこを,ターゲットをはっきりしたほうがいいなという気がするんですけれども。

【木村核不拡散・保障措置室長】
IAEAの中でも,セーフガーズ,セキュリティのシナジーの,シナジーがという言葉が出ているんですけれども,じゃ具体的に何なのよといったら,彼らもノーアイデアなんですよね。何かいいことがあるかもしれないぐらいの形でしか考えていなくて。ただそうはいっても,もしかしたら技術開発の視点から見て,一緒にできるところはあるのかもしれません。そういうところを中心にもしご議論いただけるんだったら,そういうことをしていただくのは大いに意味のあることだと思いますし,それをもって日本から何か発信していくことができるかもしれませんね。

【田中主査】
どうぞ。

【菊地委員】
まさにサステナブルな技術開発というのに期待するところは,私どもはものすごく大きくて,それは実はこれまでに技術開発のまねごとは核管センターでもさせていただいていますし,それになおかつ先ほど田中先生からお話しあった六ヶ所とかJMOXとかの,もう既にその技術開発をしたものをつける,あるいはどうつけるかという段階まで実は話は進んできています。その段階でいつも我々がほんとうに悔しい思いをしたのは,実は基礎的な技術開発要素というのが,日本に空洞化しちゃったというのが,一番の我々が非常に悔しい思いです。ほとんどがロスアラモスの技術を我々は導入せざるを得なかったという状態でした。

【中込委員】
ちょっとすみません。我々というのは核管センターと見てよろしいですか。

【菊地委員】
核管センターだけじゃない。

【中込委員】
ということは保障措置だけ?

【菊地委員】
まずは保障措置の世界ですね。
計量管理という意味でもないのですが,そこにもう少し骨太の研究所なり研究グループなり,ちょっといろいろな形はあると思うんですが,骨太のそういうところがあってくれさえすれば,我々は我々なりにもっとその深みに立ち入ったアイデアも何もできたかなと残念に思っています。これはもう六ヶ所のセーフガーズを考える段階で,あるいはその……六ヶ所の再処理の保障措置ですね。それからJMOXのセーフガーズを考える段階で,いつも我々がある意味で半分悔しい思いをしながらやってきた。だからそこのところの骨太の研究開発グループあるいは研究開発,研究所等々,そういうきちっとしたあり方をつくっていければ,私どもの最高の要望といいますか希望かなと思っています。

【中込委員】
私,ちょっとね,ニュアンス違ってとったの。この4つ目の箱の中で「我が国の核セキュリティへの取り組みは」と書いてあるんですよね。セーフガーズのことは全然言ってない。セーフガーズは非常によくわかるんです。

【中込委員】
骨太のあれが出て。セキュリティもそうなんでしょうかということが,非常に。

【菊地委員】
と私は思っています。

【中込委員】
セキュリティもセーフガーズも同じと。

【菊地委員】
ええ。セキュリティの分野も,かなりアメリカのサンディア・ナショナル・ラボラトリーの先進的な開発に影響を受けています。我々はそれを導入する意義があるかないか,あるいはその必要があるかないかというところの精査は当然あってしかるべきなんですが,そういう技術開発そのもの,要素技術の開発そのものがなかなか追いつかなかったり,どうしても向こうが先行していたりという,そういうところもありまして。まさに核不拡散・核セキュリティに関連する技術開発研究所なり,そういう骨太のその組織といいますか,グループといいますか,根っこができれば,我々としてはとてもありがたいなという気がしています。

【上坂委員】
そのホームランド・セキュリティも10年ぐらいほっぽっておいたんですけれども,実はそのベースはDOEがずっと先進加速器開発ってずっとやっているんですよ。40億か二,三十億でずっとやっているんですね。その目的は高エネルギー用の加速器開発なんですけれども,ずっとやっているんですよ。そういうベースがあって何かあるときにぽっとそこいらまとめていって装置が出てくるので,ですからやっぱりそういう骨太かもしれませんが,やっぱりずっと続いているサステナブル,それほど巨大なレベルじゃなくてもいいですけれども,それはずっとですね。やっぱりものづくりと一緒にあるべきであって,あとその非常にタイムリーなプロジェクトでぽっとつくっていくという,この骨太ベースのやつとか,その両方あるべきなんですけれども,でもこちらもなかなかこう何か出口がないと,なかなか難しいんでね。ですが,今このセーフガード,セキュリティというのが,1つそれの,1つの重要な出口になり得ないかなと期待しているところもあるんですね。物理の世界ではハイエナジーと放射光があるんですけれども,あとは医学も若干あるんですよね,現実で。あとはここの原子力ですね。政府,3Sのためのベース技術というのに持っていけないかなと思うんですがね。

【中込委員】
私も決して若いほうじゃない。もう年寄りのグループなんですけれども,昔私が原子力を始めたときに比べたら,大分認識が変わってきて,いわゆるセキュリティということに対しても随分認識が変わってきたのだなと,上坂先生なんかを含めて若い人たちがそういう気持ちになってくれたのが,ちょっと国際的になってきたのかなという感じがしている。正直な思いがそうなんです。今までは人材育成といっても,やっても評価はご苦労さんですけれども,評価はしてくれないんですよね。特にセキュリティの研究は。ですけれども,最近の若い人たちはそういったことも評価しようよと。そうしないと国際的に置いてかれちゃうよということを,まさに3Sの話かもしれませんけれども,そういった多少の認識はあってくれたのかなというのは,大変実は言い出しっぺで非難ばっかりしているようなんですけれども,大変実はうれしく思っているところなんです。考え方が少しずつ変わってきているのかなと,日本人がですね。

【上坂委員】
今,人材育成のプログラムの中で他大の先生方にも随分お声がけして実験施設,原子炉施設なんてそうですね。その次ニュークリア・セーフティ,セキュリティ,エクササイズを日本語と英語で両方実習やってくださいとお願いして,今みんなで準備しているんですけれども。ぜひそれでキャンパス内の安全の管理と,そこの中心になっていただきたいと。我々は一番しっかりしている分野であると思うのですね。それで各キャンパスの中でもプレゼンスを高めていただきたいということをみんなで議論していますので。中込先生の長年のご苦労でこういう可能性が。

【中込委員】
それとやはり日本人の持っている美しさって変ですけれども,非常に漠とした言い方かもしれません。それも考えなければいけないので。今の国際的なのが,ほんとうに正しいかどうかですよね。

【上坂委員】
そうですね。

【中込委員】
いいのかどうかという。そこら辺もやっぱりちょっと。いやそんなのここで議論するのかどうかちょっとわからないんですけれども。ただ技術面だけですと非常に議論はしやすいんですけれども,自分たちの意思とはちょっと違うのかなと思ってしまうところがあるかもしれません。

【上坂委員】
その次のステージかもしれませんが,ぜひこういう狭義の科学技術のみならず,そういう社会工学的な政策的なところもですね。なぜテロ対策があって,それはだれに対するテロセキュリティなのかと。逆に言うと向こうから見ると,同じような別の会議やっているかもしれませんよ。だからほんとうはそういう構図まで議論できるようなところまで,ちょっと技術というものを広げることも必要かなと。長期的にはですね。

【田中主査】
ありがとう。これは,あと二,三回でどういうふうに進めますかね。いろいろと課題のこれを考えろというのがあって,それから実施体制の抽出,技術開発ロードマップの方向性と。

【木村核不拡散・保障措置室長】
基本的に今考えているのは,先ほど申し上げたように,やっぱりそれぞれの分野で解決しなければいけない課題があるわけですよね。その課題をそれぞれ提示して,じゃそれはほんとうに解決できるのか,技術的に解決できるのか,できないのか。解決できるんだったら,どんな手法か。ほんとうにそれは日本がやるべきなのかと。
そういうところまでブレークダウンしたものをいったんお示しして,それをご議論いただいた上で。

【田中主査】
ロードマップ的にこれですぐやらなくちゃいけないのと。

【木村核不拡散・保障措置室長】
プライオリティーセッティングをしておくとかですね。そういう流れなんだと思います。

【田中主査】
よろしいでしょうか。

【中込委員】
いろいろな問題が出てきたよということが整理して,これは早急,これはもうぼちぼちとかと,そういうのは大きくてもそういう方向性が出せればいいんじゃないかと思うんですね。

【田中主査】
課題が出ているときには,それが現状ではどこまで行っているのか。

【中込委員】
そうですね。

【田中主査】
これはちょっとそっとではできない難しい問題なのか,いやあるところがネックなところがあって,それを解決すればできるのかと。そういう見通しも要りますね。

【中込委員】
この辺の議論を二,三年でできるんだったら,もうとっくにできてなきゃいけない話ですよね。

【千崎委員】
ただ非常に私どもの原子力機構も悲しいところなんですけれども,こういった核セキュリティだとか核不拡散,保障措置のことがちゃんと理解した上で,技術開発をやれるような人が,極めて今はいない,少ない。十何年前にそういう人がほとんど,十年前か卒業していってしまったということと,新しい,ほんとうは技術開発しながら人の育成もしていくのが一番いいんでしょうけれども。ある意味で人も投入しなかったし,ある程度でき上がったものがあったわけですから,それでずっとやってきたということなんで,今回の議論をしっかりしていただいて,そういうやっぱり着実に,先ほども持続的なという話がありましたけれども,やっぱりそういう人材を,研究開発をやりながら人材を育成していくということが,私も非常に大事だと思いますので。

【田中主査】
いろいろと議論いただきまして,あとございますか,何か。
じゃ,小川さん。

【小川委員】
いいですか。

【田中主査】
どうぞ。

【小川委員】
資源を有効活用するということで,簡単に言えば合理化しなさい,もうちょっと安くあげなさいということは,1つ最初に出てきて,だけれども査察としての精度は下げちゃいけないという,ここのところはもう決まっているわけですよね。結構難しいなと。しかも持続可能でと。大丈夫なのかなというような。ちょっと不安がわき起こりましたが,皆さんがお知恵を出し合うので何とかなるでしょうという感じでしょうか。
ばかなことを言いました。失礼しました。

【田中主査】
はいありがとうございます。どうぞ。

【東嶋委員】
審議というか委員会の進め方なんですけれども,私はその専門外の立場として今日伺っていて,このように進めていただければいいなという意見なんですけれども,まず現状としてどのような核不拡散・核セキュリティの技術開発というのはどこでどのようなことがなされているのか,世界では,日本では。そしてその中から解決すべき課題というのを抽出していただくんですけれども,それが総覧できるようになっていて,おそらく課題を総覧する中で日本がやるべきところ,IAEAに任せるところ,アメリカに任せるところ,あるいは国際協力で得るところ,いろいろあると思いますが,日本が独自に進めるべき研究開発課題というもの,腑分けをしていくということ。そしてその際に腑分けをする際に,言いかえれば事業仕分けですけれども,その腑分けをする際にやはり日本がなぜここをやらなきゃいけないのか。ここにどれだけ必要だから,この予算をつけなければいけないという説明が,背景説明がきちんとできるようにするということ。それが先ほど来,中込先生なんかおっしゃっているような,小川さんもおっしゃいましたけれども,国民に対する説明という意味では,この技術開発課題の内容を説明するというよりは,日本はこういう立場で,ここの技術開発課題を解決していかなきゃいけないということの説明をするための議論だと思います。そしてそれが終わって腑分けをして,日本がやるべき課題を決めてから,タイムスパンというか1年でやるのか,3年でやるのか,5年でやるのかという議論をしていただくほうが,わかりやすいのかなと感じました。
以上です。

【田中主査】
大変重要なことだと思います。特にこの核不拡散・核セキュリティで我が国がどういうふうな研究開発,技術開発をするかというのは結構世の中というか世界も見ていると思うんですよね。世界が見ているときに我が国がほんとうに大事なところしかやっていることが,ほんとうの意味で我が国の核不拡散・核セキュリティが評価されることになっていくので,だからおそらくこれ予算要求していって,財務省の説明なんかでもその辺のところがうまく説明できないと,じゃあどうして日本でやるのかというので,そういうようなことも含めて,ぜひ議論をいただければと思います。
あと何かございますか。ないようでしたら,今日の資料の4-1,4-2,大体こんな方向でいいのかなと思いますが,若干この進め方(案),論点例(案)となっていまして,今日あった議論を踏まえて,少し修正したほうがいいようなところについては,また事務局と相談させていただいて,それで修正させたものを踏まえて,今後それをもとに検討させていけたらと思います。その修正については,私のほうに一任させていただけたらと思いますけれどもよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは以上,予定していた議題はすべて終了したところでございますが,その他何かご意見などございますでしょうか。
それでは事務局のほうから連絡事項等お願いいたします。

【松原核不拡散・保障措置室長補佐】
次回の第2回作業部会は,3月か4月に開催することを予定しておりますが,日程が決まり次第事務局からご連絡をさせていただきます。
また今回の作業部会の議事録案につきましても,案ができ次第ご送付させていただきますのでよろしくお願いいたします。

【田中主査】
はい,ありがとうございました。これまたあれですか。この辺の状況を親委員会のほうに適宜報告するんですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。節目節目で,そういうことになろうかと。

【田中主査】
節目節目で。

【木村核不拡散・保障措置室長】
節目節目でなろうかと思いますが。

【田中主査】
あっちのほうは何か第5期が終わって何とかと言っていたんですね。

【木村核不拡散・保障措置室長】
そうですね。

【田中主査】
また今度は新しいやつ。

【木村核不拡散・保障措置室長】
新しいやつが,次の期のあれが始まったときに,また節目節目でこの進捗状況を報告するような形だと思います。

【田中主査】
わかりました。
じゃ,よろしければこれにて本日の作業部会を終わりにしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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