1.地球環境科学技術を巡る諸情勢
(1)地球環境科学技術を巡る国際的な動向
(2)地球環境科学技術を巡る国内の動向
2.第3期科学技術基本計画の中間フォローアップ(環境分野)
(1)第3期科学技術基本計画における環境分野の中間フォローアップの概要
(2)中間フォローアップの結果を踏まえた今後の取り組むべき課題
3.次期科学技術基本計画における地球環境科学技術の基本的考え方
(1)世界の安定的な持続的発展に貢献する科学技術
(2)循環型、自然共生をも統合した持続可能社会としての低炭素社会
(3)社会経済システムの変革と地球環境科学技術
4.次期科学技術基本計画において取り組むべき方向性と課題
5.推進方策
第3期科学技術基本計画期間中の主な国際的動向としては、まず平成19年(2007年)11月に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が第4次評価報告書を公表したことが挙げられる。そこでは「気候システムの温暖化には疑う余地がない」、「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高い」とされ、気候変動問題に対する重大性、緊急性が国際社会で共有され、その後の気候変動対策に対する国際社会の取り組みを加速させる大きな契機となった。また、同11月、第4回地球観測サミットが開催され、包括的な地球観測に向けた国際連携の強化を図るとのケープタウン宣言が採択された。平成20年(2008年)7月にはG8北海道洞爺湖サミットにおいて、気候変動が主要議題の一つとして討議され、「観測、予測及びデータ共有を強化することにより、全球地球観測システム(GEOSS)の枠内の努力を加速する」ことが謳われた。平成21年(2009年)3月には第5回世界水フォーラムがトルコで開かれ、世界の水問題解決に向けた議論が行われ、首脳級による「水に関するイスタンブール首脳宣言」をとりまとめるなどした。本年12月には気候変動枠組み条約第15回締約国会議がコペンハーゲンで開催され、ポスト京都議定書の枠組みの合意を目指して議論がなされる予定である。また、平成22年(2010年)10月には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催されることとなっている。
我が国は、G8ハイリゲンダム・サミットに先立つ平成19年6月「21世紀環境立国戦略」を閣議決定し、気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップを取ることとし、「世界全体の排出量を現状に比して2050年までに半減する」という長期目標を提唱した。また、G8北海道洞爺湖サミットに向けて、平成20年5月には、我が国が一体となって2050年を目途に温室効果ガス排出削減技術開発を推進するとの「環境エネルギー技術革新計画」を総合科学技術会議において策定、さらには同サミットが終了後の7月、我が国の長期目標を「2050年までに現状から60~80%の温室効果ガスの削減」とする「低炭素社会作り行動計画」を閣議決定した。総合科学技術会議においては、気候変動の影響を防ぐためには、「緩和策」のみならず「適応策」の双方が必要であり、少子高齢化など、社会経済問題と気候変動への適応を一体的に取り組むなどによって、安全・安心で活力ある日本を目指すとの考えから、その基本的方向性を示す「気候変動適応型社会の実現に向けた技術開発の方向性」の中間取り纏めを平成21年6月に行った。
平成19年4月には、総合科学技術会議が「科学技術外交の強化」を決定し、科学技術国際協力の強化と地球規模課題に対する科学技術への国際貢献の方向性を打ち出した。
生物多様性に関しては、平成19年11月に生物多様性を社会に浸透させるなどの4つの基本戦略を柱とする「第三次生物多様性国家戦略」を策定し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関わる取組を推進している。
平成20年3月には、持続可能な社会の実現に向け、低炭素社会や自然共生社会に向けた取組と統合して、循環型社会の形成を実現していくことや、
「地域循環圏」の構築、3Rに関する国民運動の推進などを掲げた「第2次循環型社会形成推進基本計画」を閣議決定し、施策の展開を図っている。
化学物質管理に関しては、平成20年11月、対象化学物質等の拡充を内容とする化学物質管理促進法施行令が改正・公布され、平成21年5月には、化学物質の製造・輸入業者への数量の届出義務等を内容とする化学物質審査規制法が改正・公布され、化学物質の安全性評価やリスク管理がより整備された。
世界全体の水の安全保障への貢献を図る「水の安全保障戦略機構」が平成21年1月に創設されるとともに、産学官の総合連携による国内外の水問題解決を目指す「チーム水・日本」が発足し、同機構の支援を受けつつ活動を展開している。
平成19年4月には、海洋基本法が制定され、翌20年3月には海洋基本計画を閣議決定した。同計画においては、二酸化炭素の吸収等海洋における気候変動の緩和等の科学的知見の充実を図ることやGEOSS10年実施計画に沿った地球環境変動の観測・監視に貢献していくことなどが盛り込まれた。
また、平成20年5月に制定された宇宙基本法においては、国民生活の向上、安全で安心して暮らせる社会の形成等のため、人工衛星を利用した観測に関する情報システム等の整備の推進が謳われた。同法に基づき、21年6月に決定された宇宙基本計画は地球規模の環境問題への貢献として地球観測を通じて気候変動監視や水循環メカニズムの解明などに取り組むとしている。
さらに、平成21年6月には「バイオマス活用推進基本法」が成立し、今後、バイオマス利活用の一層の推進に向けた基本計画策定や体制整備が進められることとなる。
地球環境科学技術に関する諸情勢を概観すれば、特に気候変動分野において国内外の大きな流れが形成されていることが明らかである。今後、気候変動への対応が国際社会における重要政策課題として、ますますその重みを増していくであろうことが想定される。
第3期科学技術基本計画においては、達成すべき大目標の一つに「環境と経済の両立」を掲げ、その下に中目標「地球温暖化・エネルギー問題の克服」「環境と調和する循環型社会の実現」が設定された。「環境」分野は、ライフサイエンス、情報通信、ナノテクノロジー材料の分野と並ぶ「重点4分野」に位置付けられ、その理念や目標達成のため、総合科学技術会議において同分野の推進戦略が策定されるとともに、「気候変動」、「水物質循環と流域圏」、「生態系管理」、「化学物質リスク・安全管理」、「3R技術」、「バイオマス利活用」の6つの研究領域が設定された。
中間フォローアップ(環境分野)においては、「現在の環境分野の研究開発目標については、特段の変更の必要はない」としつつ、他方で、「環境問題は、エネルギー、開発、自然資源の保全、貧困など多くの問題と関連しており、多様な主体との連携の下、研究開発を推進するとともに、研究成果の社会還元を図ることが、一層求められている。今後、本中間フォローアップにおける状況認識のもと、機動的な対応を図っていくことが必要である。」とされた。
各研究領域において今後の取り組むべき課題は以下の通りとされている。
1)気候変動研究領域
2)水・物質循環と流域圏研究領域
3)生態系管理研究領域
4)化学物質の安全管理とリスク評価研究領域
5)3R技術研究領域
6)バイオマス利活用研究領域
環境を含めた「人間の安全保障」の概念が提唱されたのは1994年の国連の「人間開発計画」であり、2005年のグレンイーグルスサミットでは英国が「気候安全保障」を提唱するなど気候変動が広い意味での安全保障問題であるとの認識が広がってきた。国際社会の持続的発展を脅かす存在として、気候変動問題が国際社会において大きくクローズアップされる契機となったのは、前述の通り、2007年のIPCC第4次評価報告書である。それまでの原因究明の議論から、どのように対策を講じていくべきか、に焦点が移った。着実な地球観測と気候変動予測研究の進歩が提示した科学的知見が政策を動かすことになったのである。
さらに気候変動対策に拍車をかけたのが2008年からの世界同時不況であることは皮肉である。経済危機を克服するために、また将来の環境関連産業の育成への期待も込め、先進諸国を中心に環境技術・製品、また技術開発に対する大胆な投資、いわゆるグリーン・ニューディールが行われており、環境をめぐる国際競争に拍車をかけている。
気候変動問題は、国際社会に対して提示された難問であり、科学技術だけで全てを解決することはできないが、科学技術に要請されている役割は極めて大きい。温暖化を食い止めるための緩和の方策は、環境エネルギー技術がその中核を占める。特に、既存の環境エネルギー技術では目標は達成できず、イノベーションを先導する革新的な技術の創出が必須となる。また、ある程度の温暖化を所与のものとして、適応していくための取り組みも同時に進めていかねばならないが、そのためには気候変動予測や影響評価の技術が不可欠である。もとより、気候変動の影響を見極め、対策を検証するための地球観測がますます重要になってきている。
気候変動対策の議論において先進国と途上国の対立が取り上げられることが多くなりがちだが、経済成長を犠牲にした排出削減は認められないとする立場は一定程度理解できる。特に、気候変動の影響に対する脆弱性は途上国に多く現れることを忘れてはならない。現在でも自然災害の被害は世界全体の中で、アジアの途上国に8割が集中しており、多大な生命、財産が失われることによって国の発展が阻害されるという悪循環があることは留意すべき点である。気候変動によって、異常気象が激化するとも見られており、途上国協力を通じて気候変動を考慮した国づくりを支援していくことでアジアの持続的発展に貢献することが、アジアの先進国としての我が国の責務であろう。また、アフリカについても気候変動により貧困による脆弱性が加速する恐れがあり、地球環境科学技術の面の貢献が期待される。
気候変動問題は、利害が複雑に絡む高次の連立方程式であり、解くことは容易ではないが、国際社会が協調して排出削減に取り組むことが求められる。またその際、先進国は新興国を含む途上国に対して能力開発を含む協力を惜しまないことが総体としての解決の近道になろう。さらに、環境技術の進歩は競争が加速させる。協調、協力、競争を通じた複層的な取り組みが国際社会の持続的発展の基盤を築くといえる。
我が国では、現在「低炭素社会」がキーワードとなっているが、単に二酸化炭素の排出が少ない社会と捉えるべきではなく、低炭素社会づくり行動計画の理念に示されているように、低炭素社会は、循環型社会、自然共生を統合した持続可能な社会として設計されるべきものであることに十分な留意が必要である。
我が国は、先進国の中でも限られた国土の中で急速な少子高齢化や少資源という制約条件の下で、低炭素社会づくりに向けて省エネ化、脱化石資源化を進めることが最大の課題といってよい。遅かれ早かれ世界の各国も限られた資源、化石エネルギーでどう生き残るかという問題に直面することになる。すでに資源争奪などは起きており、「持続可能性」が指摘されて久しいが、気候変動問題は改めてそのことを問うている。
省エネ・省資源化は同じ量のエネルギー・資源でより多くの製品をつくり、サービスを提供する能力を高めるということであり、それだけ国際競争力が高まるということを意味し、したがって低炭素社会づくりは先進国がいずれ問われる課題を先取りしつつ国際競争力を高める取り組みでもある。我が国は、これまでに省エネや環境対策に相当の努力を払い、国際的にも最高水準の環境技術を築き上げてきており、その強み、優位性をさらに伸ばしていかねばならない。他方で、高コストの再生可能エネルギーの導入や低炭素化が産業の競争力に及ぼす影響には十分配慮する必要があるが、その克服も含めて低炭素社会のモデルを世界に先駆けて実現していくべきである。
また、これから少子高齢化が進む一方高度経済成長期に整備した社会インフラの大幅な改修時期を迎える中で、地域毎の都市づくり町づくりも変化を余儀なくされる。特に地域の特性を生かしつつ、気候変動の影響にも適応した新しい生活空間の設計が求められていく。
低炭素社会づくりに向けては、中長期の具体的な温室効果ガス排出削減目標を設定している上、より野心的な目標を掲げて世界の取組みを主導しようとしている。このため、緩和と適応の取り組みに科学技術・イノベーションを総動員して取り組み、解決策を提示していくことが喫緊の課題である。
地球環境問題に対する取り組みは、非常に長期にわたるものであり、継続的に対応する必要がある。観測し、予測し、影響評価を行った上で、対策を講じ、さらに観測で検証しつつ、それぞれの活動を改善・高度化していくという全体として包括的なPDCAサイクルを構築して柔軟かつ継続的に取り組んでいくことが肝要である。第4期基本計画期間においても、低炭素社会づくりに対する国内外の要請はますます強まるであろう。したがって、より広い理念を包含した「低炭素社会」の実現を目標に掲げ、課題解決型のアプローチをより強化しつつ、観測、予測、影響評価、緩和及び適応にわたる対策等を相互の関連性をより強めた統合的なパッケージとして施策展開を図る必要がある。文部科学省が本年8月に策定した「低炭素社会づくり研究開発戦略」は低炭素社会づくりに向けた研究開発を総合的に推進しようとするものであり、このような取り組みを国全体のレベルで進めていくことが必要である。
今、我々は未来の選択を行う転換点に来ており、環境か経済かの「二元論」から早急に脱却しなければならない。そして、低炭素社会づくりの実現に向けて、社会総がかりの取り組みを着実に進め、また加速するには、「低炭素社会」が目指すべきものであって、実現可能であって、かつそれが我々の生活をより豊かにしてくれるものであるという未来可能性を示さねばならない。すなわち、経済成長を伴った低炭素社会づくりの長期ビジョンを示すことが重要である。
温室効果ガス排出削減を推進しようとするとGDPを押し下げる効果がある、あるいは家計への負担が発生するという指摘がなされ、低炭素社会づくりの推進に対する障害のひとつとなっているが、そういった負の面を最小限に抑制しつつ、他方で環境関連産業の発展による経済成長や環境技術の導入等による国民の効用など正の面を最大化する方途も併せて追求するべきである。特に、「低炭素社会づくり」に向けては、社会システムの変革を牽引する国民の環境行動の変化が不可欠であり、そのためには将来の長期ビジョンとそれに至る具体的シナリオを議論の土台として、次世代を担う人材の宝庫である大学等や地域社会など様々な場における国民対話を通じて社会が広く共有することが決定的に重要である。
循環型、自然共生の理念をも包含した「低炭素社会」の実現を目標に掲げ、課題解決型のアプローチをより強化しつつ、観測、予測、影響評価、緩和及び適応にわたる対策等を相互の関連性をより強めた統合的な施策展開を図る必要がある。こうしたことから2.及び3.を踏まえて、次期科学技術基本計画において文部科学省として取り組むべき課題は以下の通りである。
1)社会経済システムのグランドデザインの提示
2)気候変動の緩和技術開発と適応策に資する研究
3)地域レベルに精度を向上させた総合的な影響評価・リスク分析
4)時間軸及び空間軸を重点化した統合的な気候変動予測
5)人間活動を含む地球システムの総合的理解
6)共通プラットフォームとなる基盤技術開発
7)途上国における影響評価・対策研究
○国民、社会との対話
気候変動問題など地球環境問題の解決に科学技術が果たすべき役割は大であり、したがって国民の関心や期待も高い。社会の要請に応じて研究開発投資を重点化し、社会の期待する成果を社会に還元していく面があると同時に、科学技術の成果が社会を変え、国民の環境行動を変えていく面もある。地球環境研究で得られた知見、研究成果を国民に向けて的確に発信し、共有するとともに、社会との対話を推進することが必要である。
○課題解決のための多様な幅広い連携
-分野横断の連携
異分野融合や連携については、課題解決に向けた適切な問題設定を行うことによって機能的な分野横断の連携が推進されることに注意を払う必要がある。特に地球環境分野は、その領域の多様性や社会との関わりの深さから幅広い分野にまたがる融合、連携が効果的に機能すると期待される。
-府省をまたぐ連携
気候変動適応策の領域は、長期的に我が国の国土の姿をどう描くかが課題であり、各府省の連携強化が不可欠となる。分野横断の連携と同様、適切な課題設定の下で有機的に各府省が連携する体制作りを進めるべきであり、そのような取り組みを促進する施策作りが期待される。
-地方公共団体等との連携
地球環境問題は、地球全体を視野に入れつつも、実際には地方公共団体など我々の生活する地域に影響が出るものであり、また課題によっては地域の取り組みが問題解決に決定的に働くことも多く、地球環境対策において、地方公共団体が果たす役割は大きい。とりわけ、気候変動の影響予測、緩和策・適応策について、地方自治体の政策への取り込みが本格化しつつあり、地域レベルの知見・対策の充実に向けて、地方自治体と連携することが求められている。
-産学官の連携
分野を問わず研究開発における産学官連携の必要性はいうまでもない。特に、産学連携のあり方として「バトンゾーン」が提案されるなど産学官連携の取り組みにおいて強化やより一層の工夫がなされている。革新的な環境・エネルギー技術への期待が高まっている中で、引き続き、国が的確な戦略目標を示してトップダウン型の研究開発を誘導するとともに、研究者が自由な発想に基づくボトムアップ型の研究を推進することにより、絶え間なく技術シーズを創出し、産学官連携の仕組みを通じて社会に還元していくことが必要である。
○内外の低炭素社会づくりを担う多様な人材の育成
地球環境分野においては、研究成果を社会に活かす観点から、政策上の意思決定を支援するリスク評価・管理手法の開発や、リスク評価・リスクコミュニケーションの実務を実施しうる人材を育成する必要がある。また、人文社会科学と自然科学の融合分野の研究者育成を進めていく必要がある。さらに、環境と経済を両立し持続可能な発展を実現するには、専門家の育成にとどまらず、地球環境に高い意識を持つ人材を広く国や地域全体で増やすことが不可欠である。このため、特に大学等において地球環境問題の解決に必要な知識を体系的に習得できるカリキュラムの強化が必要であり、拠点作りを通じて推進することが期待される。
-国際協力における能力開発の推進
地球環境は、開発、自然資源の保全、貧困など多くの問題と関連している。特にアジアの途上国における人材育成は、従来より、公害防止・環境汚染対策を中心に進められてきた。途上国の環境汚染は未だ深刻であり、この分野の人材育成も依然重要である。しかし、今後は途上国においても気候変動対策技術や持続可能社会の設計など、地球環境問題に対応する環境技術・環境政策にリーダーシップを発揮する人材の育成をより強化していくことが重要となる。
○科学技術外交の強化
アジア地域などの途上国がこれから持続可能な発展を遂げるためには、我が国が自ら低炭素社会の長期ビジョンを示しつつ、各国・地域のそれぞれの将来像や成長シナリオを共有し、科学技術外交を通じて、途上国との間で低炭素型社会を実現していくための協力関係をつくりあげていくことが課題となっている。その際、アジアを単に途上国という視点で見るのではなく、我が国のパートナーとして、固有の文化を尊重し、その保護にも配慮する視点に立ちながら、きめ細かな地域戦略を構築することが必要である。
○研究共通基盤の整備運用
気候変動のプロセス研究・影響評価研究、さらには緩和策、適応策等の政策を立案する上で基礎となる観測データの取得には、精度と長期継続性が担保されなければならない。各府省や大学の定常観測(業務的観測)あるいは研究的観測のうち、気候変動予測や影響評価の精度向上につながるなど優先度の高いものに関しては、長期的継続的に予算を重点配分し、府省連携で継続的な観測が出来るよう支援することが望まれる。
また、地球環境の観測はこれまで相当程度蓄積されてきており、気候変動予測データについても近年飛躍的な進捗が見られるが、観測・予測データを利用ニーズに応じて統合的に活用するためのデータベース・情報基盤の構築が重要となる。地球環境分野におけるデータ整備の方針や利用戦略を立て、積極的にデータを利活用する仕組みと体制を構築すべきである。
研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室