地球観測推進部会 全球地球観測システム作業部会(第15回) 議事録

1.日時

平成24年8月31日(金曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省3階2特別会議室

3.議題

  1. GEO第25回執行委員会の報告
  2. 2015年以降のGEOSSの検討について
  3. リオ+20におけるGEOの取組みの報告
  4. その他

4.出席者

委員

小池主査、杉本、瀧澤、佃、深澤、福田、藤谷、二宮各委員

文部科学省

福井環境科学技術推進官他

5.議事録

 【小池主査】  暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 ただいまから、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の全球地球観測システム作業部会の、今日は15回目の会合を開催します。
 ご多忙のところ、また暑い中、ありがとうございます。
 議事に入る前に、資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。
【事務局(平川)】  では、お手元の資料を確認します。
 資料1 GEO第25回執行委員会の結果報告、資料2 Draft Summary Report GEO Executive Committee Strategy Session、資料3 2015年以降のGEOSSに関するワーキンググループ電話会議の概要、資料4第2回のポストGEOSSのワーキンググループのアジェンダ案、資料5 The Vision for GEO Post-2015、資料6 資料5の事務局概訳、資料7 Valued-Added Think Piece-GEO post 2015、最後に資料8 リオ+20に関するGEOの取組みの結果について、です。
 お手元のほうに8種類の資料、おそろいでしょうか。
【深澤委員】  質問です。先日メールで事前送付いただいたものとは何が違っていますか。
【事務局(平川)】  資料の幾つかを抜き出してお送りしていますが、資料番号の数字を変更しています。基本は同じものです。
【深澤委員】  特に新しいものが加わっていることはないですね。
【事務局(平川)】  はい、大丈夫です。
 では、続いて事務局より事務連絡します。毎回のことになりますが、本作業部会は、地球観測部会運営規則に基づき公開しています。会議内容も公開となり、後日、議事録は文科省のホームページに掲載します。
 本日のご出席ですが、委員の皆様は9名ということで、過半数を超えていますので会議は成立です。
 二宮委員が、16時ごろから遅れて出席されるというご予定になっています。
【小池主査】  どうもありがとうございました。
 今日は三つの議題、執行委員会、前回、7月にございました報告と、それから今日の主要な議題ですが、来週の木曜日、金曜日に、この2015年以降のGEOの検討ワーキンググループが開催されるわけですが、それに関する審議を中心にさせていただきたいと思います。
 最後に、リオ+20におけるGEOの取り組みについてまとめたものがありますので、これをご報告したいと思います。

 

議題1 GEO第25回執行委員会の報告
それでは議題に入りたいと思います。まず、GEOの第25回執行委員会の報告を事務局のほうからお願いいたします。
【事務局(平川)】  では、ご報告します。
 先月7月12日、13日、ジュネーブにおきましてGEOの第25回執行委員会が開催されました。共同議長として中国、EU、南ア、米国、そしてそのほかの執行委員会国、我が国を含めまして13か国すべて出席という形で開催されました。
 GEO事務局からは、新しい事務局長であるバーバラ・ライアン事務局長が、就任第1回目ということでご出席されました。
 また、AISTから派遣いただいている間野智子さんにも事務局員としてご出席いただきました。
 日本からは、大竹審議官、小池主査、そして在ジュネーブ代表部にいらっしゃいます神山一等書記官、そして私が出席しました。
 議題は、前回のGEOSS作業部会で対処方針としてご報告しているとおり、こちらの4.にあります1から11までの議題について議論を致しました。
 2ページ目以降、各議題の要点のほうをかいつまんでご説明します。
 まず冒頭に、バーバラ・ライアン、新事務局長から挨拶があり、GEOの地域的、かつ国家的双方の側面を含めたパートナーシップを確立して、国際機関としての実行力を強めることがGEOの強化につながる、という最初の抱負について非常に力強い挨拶の言葉が述べられました。
 以降、この議事の番号が、3.信託金の次が7.事務局運営というふうに番号がばらばらになっていますが、共同議長のほうから、2015年以降のGEOSSと、2015年へ向けてのGEOSSを見据えた議論に焦点を当てたいと提案があり、これに沿う議事運営を行ったため、議事の内容が、最初に告知されていた議題の番号と全く関係なく、要は議事次第をほぼ無視した形になりました。議論の流れが、2015年以降のGEOSSに注力できるような形で議事が流れました。報告は、その議事に沿って議題を書いています。ゆえに、順番がちょっと前後しているように見えますが、実際の議事進行に沿って書いています。
 まず2ページ目の7.ということで、事務局運営全体の、前回の執行委員会から7月までの間の話がありました。ここでちょっと拠出金の話が、各国の拠出金が、確約されている拠出金の報告があると同時に、各国の支払いがそれぞれの国の通貨で支払われているところを、実際には、スイスフランに変換をする形で拠出金を確保しているので、そのレート変動による目減り分というのがGEOのリソースに大変大きな影響を及ぼしており、こういった件を、検討していくべきではないかということが、主なポイントとして事務局から報告されました。
 また、3ページ目の上から3行目になりますが、前回までの会合のアクション・アイテムのレビューの中で、ニュージーランドから、南太平洋(South  Pacific)における地域的なGEOの活動として、South Pacific GEO Initiativeを立ち上げたいという話が、前回の執行委員会で出ており、ニュージーランドからは、これから立ち上げに向けて参加者の呼びかけを行っていきますという説明がありました。
 同じ地域活動の一環になりますので、我が国も関心がありますということを、対処方針に従って示しました。
 現在、当イニシアチブの立ち上げはメールベースで行われ、具体的に何をやるかというところまでは話は至っておりませんが、今後、進んでいくことが想定されます。
 また、3ページ目の2という番号がついているモニタリング及び評価ワーキンググループ(M&E WG)の活動報告ですが、こちらでは、第3次評価、「農業」、「生物多様性」、「生態系」分野というのを、去年の秋の立ち上げから今年の春まで行ってきたところです。こちらの評価結果の報告がありました。
 これらの活動に関しましては、目標と現状のギャップの分析をきちんとやったほうがよい、分野の進め方の戦略や、それに見合ったステークホルダーへの対応もちょっと検討するべき、等々の提言が報告されたのですが、主に争点になった点は、こういった提言が、今後のワークプランにいかに反映されていくか、あるいはワークプランのみならず、2015年以降のGEOSSの検討にどのように反映するのかというプロセスが非常に不明瞭であるという点です。
 結果、執行委員会国である南アフリカと英国が、この反映プロセスについて、どのようにしていくのがよいかという検討をして、次回の本会合なり執行委員会なりに報告することになっています。
 次のページです。同じくこのM&Eの活動の次の評価の計画が報告されています。今年から来年にかけては、「災害」、「エネルギー」、「健康」分野を対象として、第4次評価報告として行うことになりました。 我が国からは、M&EワーキンググループにJAMSTECの深澤領域長と当省の福井推進官が委員として登録していますが、この下部の委員会として、評価チーム(ET)という実際の分析を行うチームがあります。このチームの仕事は大変な作業であることから、毎回、多くの国から入ってもらいたいという呼びかけがGEO事務局から行われています。有人宇宙システム株式会社の森山主任技師に、今年からETに参加いただけることになっており、我が国からは3名、今後の評価活動に加わることになります。
 次に、2012-2015ワークプランの進捗の報告がありました。GEO事務局からの報告では、主に計画管理を行う運営委員会の活動状況が説明されましたが、こちら、ちょっとページをめくっていただきまして、6ページの6項にも、同じように各運営委員会からの進捗報告というのがあります。そのため、結局、計画運営委員会自身からの進捗報告と、GEO事務局がまとめた当運営委員会の進捗報告の二種類があったことになるわけですが、この内容が一部一致しているようで、一部一致せず、それぞれが独自に進捗をまとめているというような状況で、これでは、先ほどのM&Eの活動と同じように、今後のワークプランの活動や、2015年以降のGEOSSの活動に、何をどう反映すべきか、という点がまとまらないので、これを一つの報告書に統合することがGEO事務局の宿題となっています。
 具体的には、こういった報告書類をすべてまとめて、報告書類の「まとめのまとめ」のような、会議の場ではreport on reportという言葉を使っておりましたが、そのような資料とするのがよいのではないか、という提案がありました。
 次、議題5としては、2015年以降のGEOSSについての検討ワーキンググループからの報告がありました。ここでの議論が、今日の議題二つ目の議論に続きますが、この中での一番ポイントになったところは、2015年以降のGEOSSがなすべき使命、「ミッションステイトメント」というものをまとめる必要があるのではないかということが、各種議論を通じて、意識共有されたという点です。意見交換の結果、「ミッションステイトメント」は、2015年以降のGEOSSに関する検討ワーキンググループでまとめていくことになりました。
一日目の議題は、ここで終了しました。しかし、この日は、執行委員会終了後に、GEOの戦略セッションという、執行委員のみが出席できる意見交換会が設定され、こちらの会合でも議論が継続されました。
 このGEOの戦略セッションは、審議官のみが出席しましたが、会議レポートが展開されており、本日の資料2としてお配りしています。
 執行委員会の翌日は、議題6として、ワークプランの進捗報告から始まったわけですが、先ほど申し上げた通り、とにかく進捗を説明する報告書が複数あり、何かわかりにくいので、全体をまとめられるように努力することが、GEO事務局のアクション・アイテムになっています。
 次は、議題6.3 全球森林炭素モニタリングイニシアチブ(GFOI)の活動報告、議題6.4 GEO-GLAM全球農業モニタリングの活動報告がありました。
 ここの2つは活動進捗報告です。GFOIは、いよいよ事務局の中にGFOIオフィスというのが立ち上がる準備が進んでいます、という報告がなされ、コーディネーター等の専門職スタッフは、公募予定であるということが周知されました。
 GEO-GLAMのほうは、こちらは立ち上がったばかりなので、今後、どのように活動を進めるか、というような、大まかな話が多かったのですが、東南アジアの稲作モニタリングに関する要求取りまとめを日本がリードしているというような紹介がございました。JAXA Eが中心となり。活動を進めています。
 次の議題7  事務局運営では、事務局の年間の各種イベント、活動、の報告がありました。加えて、事務局の人員配置に関しても、各タスクの担当等、全体的なところを、新事務局長が横断的に検討をして、もう一度、整理をし直したいという話がありました。
 日本から新たな出向者としてAISTから1人、貴重な人材を出していただいておりまして、それに対しての謝辞もございましたのでご報告します。
 次の議題8.リオ+20に関する報告ですが、これは今日の作業部会の議題3のでも、もう少し詳しくご報告したいと思いますが、リオ+20にGEO主催で、日本が主導する形で展示ですとかサイド・イベントを行ったので、その内容を小池主査から執行委員会へ報告しました。
 この活動に関しては、執行委員会国のみならず、ほかのGEOの国からも賛同を得て行ったものですが、報告に関しては、全会拍手で評価をいただきました。
 最後の事務連絡的な話として、次のGEOの本会合、第9回目の本会合がブラジルのイグアスで開催されるという報告がありました。もう既に招待レターの手配等々の準備が始まっているところです。
 最後に、来年以降の話になりますが、次の閣僚級会議の準備についての報告がありました。こちらは、カナダがホスト国をするということで準備を進められており、カナダの環境大臣のご都合もあり、2013年になるか、あるいは2014年の春になるかということで、開催時期を検討しているというような報告がございました。
 また次の閣僚級会合は、2015年以降のGEOSSの継続に向けての節目となる閣僚級会合なので、先ほどもご説明させていただきました2015年以降のGEOSSのミッションステイトメントを、この閣僚級会合の中でどのように見せていくかというような計画も、2015年以降のGEOSSを検討するワーキンググループの中で、きちんと確認すべし、ということがアクション・アイテムとなっています。
 GEOの執行委員会の報告は、長くなりましたが以上になります。
【小池主査】  どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明、報告に対しまして、質問等がございましたら、どうぞ、お願いいたします。
 今回は、米国のNOAAの次官補のキャサリン・サリバンさんが司会をされた。彼女はもと宇宙飛行士で非常に議事がうまいというか、皆さんの考えをまとめていきながら、非常に明確に議事を運営していただいて、私も参加していて、執行委員会の中で、今回、一番実りが多かったように思いました。大変うまく議論が進んだように思います。
 それから、今、事務局から紹介がありましたが、大竹審議官、我が国のプリンシパルですけれども、プリンシパルと事務局長だけの会議というのが設定されまして、その内容が皆さんのお手元の資料2にまとめられています。これは私も出席できなかったのですが、大変いい内容でして、読んでいただきたいと思いますが、幾つか新しいGEOとしての動きが記載されています。1つは、この1ページ、GEOは、どういう新たな価値を、今まである枠組みに加えられるのかというのが1つの大きな課題、命題なのですけれども、それに対して、1ページ目の一番下のところに書いてあるのですが、strong multipliers of return on national investmentという、それぞれの国が投資をすることのリターンが、乗数効果的な、そういう価値を与えると。さらに、それがGEOという組織で動くときには、その2ページ目、裏の3行目に、In this sense GEO serves as a “multiplier of multipliers”と。system of systemsとか色々あるのですが、よく似た表現なのですが、of return on national investmentsとのように、相乗効果を高めていくことが報告されています。GEOがこういう役割を持っている、というような話は、今まで明示的には出てこなかったところです。
 それから、その次の段落、さらにその次の段落に、「regional」というのが非常に明示的に議論されています。facilitate regional forms of GEOSSとかですね。その次の段落にいきますと、coordinating and aggregating data from the regional GEOSS structuresというようなことで、今まで私自身は、このワーキンググループでもかなり議論させていただいて、regionalを強調しようということをこれまで議論させていただきましたが、これについては、だいぶ市民権を得てきたなというふうに思います。
 あと、最後の段落に、GEO’s overall purpose and unique added valueですね。そういうことを考えていくと。その答えを見つけるんだ、ということを明示的に示していくんだ、ということが述べられておりまして。
 当会合が終わった後に、執行委員のプリンシパルで、私の長年の付き合いの方と色々雑談していますと、大竹審議官の発言というのは非常にすばらしいという評価を皆さん言っておられました。積極的に発言していただいていて、大変ありがたいと思っています。
 私のほうから、ちょっとつけ加えましたが。皆さんのほうから、いかがでしょうか。
【深澤委員】  今のregionalの部分で、戦略の部分で取り上げられたというのはとてもいいことだと思いますが、アクション・アイテムの24.7か、あのニュージーランドの話ですね。その中で、例えばどういうところを母体と言うのはおかしいいのですけれど、今、そういう案にこういうところも参加している、あるいは同意を示しているというようなことが補足説明の中でなされましたか。それとも、全くないですか。
【事務局(平川)】  現状は、これから立ち上げるつもりという報告でして、今、ご質問のあったような具体的な国名ですとか、そういったものの報告は特にございませんでした。
【深澤委員】  なるほど。
こういう話が出てきたときに、regionalになったときに非常に気になるのは、特に太平領域なんかの場合は、既存の国連のフレームワークがありますね。そのようなフレームワークと、例えばこういうGEOというボランタリーベースなものとの間の連携というのをどうするのかということについて、考えるべき、という点です。
 ですから、例えばアジアのあたりで言うと、今、ちょうどニュージーランドが言っているあたりというのは、本当に海と大気がものすごく重要な部分になって、それから後は、当然、水位上昇というのもあるのですけれども、基本的には、海だったらPI-GOOS(Pacific Islands Global Ocean Observing System)という非常にregionalなフレームワークがありますし、それ自身はIOC(Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO:ユネスコ政府間海洋学委員会)が主体になってUNESCOのもとにあります。そして気象のほうでは、まさにGAW(Global Atmosphere Watch:全球大気 監視計画)の中に太平洋の部分がありますね。例えばそういったものの部分とのつながりというのを、これから先、regionalなことをするにはそこの部分をかなり気にしないとまずいはずなのですよね。
 ですから、regionalというのは非常に重要な部分、特にデータを上げるについては重要な部分なのです。既存のものとどういう具合に連携するかという点が重要です。
もともとGEOSSというのは、system of systemsですから、それらを見事にまとめる形というのが本当はいいいのですね。よって、新たなものが、別にもう一つ出てくるという格好にするのはあまりよろしくないと考えます。
 それで、ニュージーランドがどういう補足説明をしたのかなというのが気になった次第でした。日本でも興味があるという発言をしていただいてよかったのですが、例えば日本とどういう連携をとろうとしているかとか、そのような話があったかと。
 多分、アメリカ、オーストラリア、日本、あとこの海域にもよりますが、今、動いている国連の下での活動を考慮に入れないと、これは絶対にうまくいかない。そういうところがあったので、ちょっと、今、ニュージーランドの補足説明の内容を聞きたかったなということでした。もしも、何かありましたら教えてください。
【小池主査】 非常に貴重なご示唆をいただきました。
 オーストラリアからも、同様のような趣旨の連絡は受けており、今日の2015年以降の議論の中にも、実はそれは明瞭に出ていまして、既存の枠組みとGEOの立場というのをどうしていくのかというのは、基本的な立場として盛り込まれています。今、ご指摘いただいた内容は非常に重要なことで、しかもこれからAsia PacificのGEOSSを考えていく中で、具体化していくときに避けて通れないというか、重点を置いて考えなきゃいけない課題だと思います。どうもありがとうございます。
 ほかに、いかがでしょうか。再度、私のほうからもお礼ですが、2つございまして、1つは、産総研のほうから間野さんをGEO事務局に派遣いただいていて、若いなりに頑張っておられて、大変感銘いたしました。
 それから、先ほどご紹介がありましたように、GEOSSの活動の評価というのは非常に大変なのですが、これが継続して続けられるということで、これも協力いただきまして本当にありがとうございます。皆さんのボランティアでこういうことが進むことを大変うれしく思います。

 

議題2 2015年以降のGEOSSに関する検討について
 【小池主査】それでは、2015年以降のGEOSSの検討について、の議題に移ります。この継続の案件です。資料番号は、資料5と7。経緯を私のほうからご紹介をしたほうがよろしいかと思います。資料3をご覧下さい。先ほどの執行委員会の議論を受けまして、7月30日、ワーキンググループのメンバーでテレコンを開催しました。福井推進官、それからJAXAから阿久津マネージャー、落合主任、矢部開発員、それから文科省の中から平川さんもご出席いただきまして議論しましたが、この中で、1ページめくっていただきまして、2ページ目のところに表がありますが、2015年以降のミッションステイトメントの草案をつくるということが執行委員会で議論されました。それをどうしていくかということを、このテレコンで議論したわけですが。ポリティカルなテーマと、先ほども議論があった、どういう価値をこのGEOSSはつくっていくのかということについて、それぞれチームをつくって検討しましょうということになりました。そのほかに、運用サービスとGEOSSのディレクションというのと、それからプライベート・セクターとの連携というものも、サブチームをつくって検討することになりました。
 それで、4番目のプライベート・セクターとの関係については、非常に簡単なドキュメントが。スケジュールは、今週の頭に、そのサブチームでドラフトを作ったものを、このワーキンググループ内に流そうということになっておりまして。それで実際には、現地時間だと火曜ですが、日本時間だと水曜の朝、このドキュメントが展開され、皆様には、その中の、今日配付してある資料5と資料7ですかね、これをお送りした次第です。
 この4番に関するドキュメントも来たのですけれども、これはちょっと議論するほどのドキュメントかなと思われたので、これはいいでしょうということで、省略しました。
 それから、3番目については、現段階ではまだ出てきておりませんので、今日は、ミッションステイトメント、これを、この秋のGEOの本会合に草案として出すという案です。それで、ステイトメント作成チームを設立し、来年の閣僚会合に向けたステイトメントの案文調整をしていくということになりました。
 それの骨格が、ここに記載の丸い希望の1と2で、1は全体を包括して、2は、その中でGEOSSは何を価値として加えられるのかということを記述するものであります。
 こういうことをどのように進めるかについてテレコンをやりました。資料はJAXAの矢部さんと文科省の平川さんが非常に丁寧に議事録を作成いただき、発言がそれぞれどういう流れで、どういう国が言っているかということがわかりますので、ぜひご参照いただければと思います。
 お手元にあります資料5が、米国と、日本、カナダで、この8月に、数回テレコンをやりながら案文を一つ一つ段階的に作ってきた、その成果です。
 それから、資料7が、これはオーストラリアとCEOS(Committee on Earth Observation Satellites:地球観測衛星委員会)と、地球地図の国際運営委員会も入っているのですね。それとカナダで協力して作ったものです。
 私は、この政策のサブグループで議論しました。先ほど、ちょっと申しましたが、来週9月6日の昼から7日にかけて、この2025年へ向けたワーキンググループが開催されます。そこで、次回執行委員会及び本会合に提案する資料を作成することになります。お手元の資料5と7につきましては、少し目を通していただいているかもしれませんが。私のほうから簡単に流れを申し上げます。
資料5は、色々議論していく中で幾つか、経緯は、まずこのワーキングでまとめました、昨年の11月に出しました方向性の案をこの3箇国で共有し、最初の相談でこれを議論のベースにしようということに合意しました。次にカナダのMichael Croweという人が、これまでのディスカッションと日本の方向性の案をもとに原稿を書きました。
 これに対し、米国と日本からコメントを出しました。私のほうから強く申し上げたのは、やはりリオ+20のような世界的な合意が根拠になることを明確にして進めるべき、ということです。 それから、もう一つ申し上げたのは、新たな概念を出すことは大事で、発展的概念を出すことは大事で、それを閣僚級で合意していくことが大事と。ただ、ゼロから始めるとこれは非常に大変なので、ある種のよりどころを持ちながら、GEOのこれまでの活動の上に新たに何ができるかということを考えようということを私のほうから強く申し上げて、その議論を受けて、次は米国のほうで、じゃあ、今までの議論を全部総括した形で、第二稿を作成しました。これは大変よくできていたのですが、やっぱりちょっと順番がおかしいなということで、それを再度、皆さんで練り直したものが現段階のものです。資料5です。
 ただ、その間に、これまでこういうことをGEOの執行委員会の中で強くリードしてきたキーパーソンがおられますので、その方々には現段階のものを見てもらおうといって、アメリカの共同議長だとか、カナダのプリンシパルとか、ドイツのプリンシパルとか、イタリア、オーストラリアの元プリンシパルにもお見せして、意見を伺いました。その意見を伺って、幾つか修正を加えて、このお手元のバージョンになったということです。
 私の知り得る限りでは、このValued-Addedの資料7のほうは、ここに書いてあるSue Barrellという方は、オーストラリアの元プリンシパルです。あと、Fraser Taylor、Brent Smith、Tim Strykerという方々はCEOSの方々だと思います。Brian O’Donnellという方は、カナダ、元GEO事務局におられた方ですが。そういう方々で議論されて、これがまとまったのではないかと思います。
 それで、まず資料5が、GEOのビジョンはどうあるべきかということで、もともと2005年に合意したビジョンをもとに九つの社会利益分野をやってきたわけですが、2015年からは、これは新しいというのがここに当たるのですけれども、ResilientなソサエティとVibrantなプラネットというのと、Sustainable、あるいはこれはまだ議論が集約できていないいのですが、GreenがいいのかSustainableがいいのかというのはありますが、今の段階では、Sustainable Economiesということで、こういうくくりでこれまでの社会利益分野や関連のことを加えたと。ホットスポット的な、例えば生き生きした地球とかいう中には、OceanとかPolar Regionsとかいうようなものが入っています。
 実は、これは2005年にMillennium Development Goals(ミレニアム開発目標)を受けたある種のスタートアップをレビューした国連総会があって、そこで出てきた考え方で、こういうものをやろうということを強く言うのがいいのではないかと。実は、これはリオ+20でも続いた概念であるということです。それが最初ですね。
 それから、こういうことをやるとき、幾つかこれをまとめているということが大事なのですが、キーワードとして、次の段落というか節の中の2行目にinter-linkagesという言葉を入れました。interdependency and inter-linkages for sustainable developmentということを入れました。これは、リオ+20のアウトカム・ドキュメントの最初の3パラと6パラですかね、その中にこういう文章があります。これをちょっとお示しして、こういう社会的なものと、それから経済的なものと、環境をつなぐということが、持続可能な開発の重要な点であるというようなことをバックグラウンドとして入れたということです。
 それから2ページ目にいきまして、これまでGEOがどうやってきたかということをここでまとめておりまして、その一番後に、先ほどもちょっと紹介がありましたリオ+20の274パラグラフ、ここにGEOSSというのが明示的に、皆さんにご協力いただいて入りましたので、こういうところに、今、我々は来ているということを述べると。
 その上で、2ページ目から3ページ目に、GEOが具体的に何をやったかということを、この1パラで書いておりまして、大きく三つのことをやったと言っているのですね。一つ目は、data sharing principlesを作ったと。それが2行目から3行目にちょっと書いてあります。それから、その次に5行目に、expansion of data accessというのをやったと。それから3番目が、このinitiative。GEO-BONとかGEO-GLAMとかGFOIというようなものをつくってきたということを書いてあります。
 3ページ目に、このValue Addedの、これは先ほど深澤委員からお話がありましたが、いや、FAOとかWHOとかWMOとか、それぞれあるでしょうと。その中で、GEOが何が大事なのかということをここでまとめています。ここは、先ほどのValue Addedサブグループのアウトプットと、僕はマージされるものではないかと、そういうふうに議論を進めていけばいいのではないかと思っています。
 その箇条書きした箇所の下の1段落目には、キーワードはkey nicheと書いてあるのですね。Therein lies the key nicheというのがあって。それを、GEOはそのすき間を埋めていくのだということを言っています。
 それから、2段落目は、これは普通のことですが、先ほど申し上げたことですが、interlinkages、interoperabilityということですね。
 それから3段落目に書いてあることが、Collective actionというようなこと。それから、同じようなことが次の文章の中にも書いてありますが、先ほどのmultipliersのことにちょっと関係するのですが、下から3行目のところにboth providing nations return on investment in Earth observations and the capacity of all nations to bring integrated earth observations into decision-makingということを入れています。
 ミッションとしては、それほど新しいものをここには入れておりません。1、2、3、4というのがありますが、それほどこれが新しいというよりも、これを強化するということが書いてあって、4ページ目に、じゃあ、どんな方向性にGEOは向かうのかというのを、Option1、2、3とございまして、これ、Option1と3をまず比較するとよくおわかりいただけると思いますが、Option1は、一番後でwill propose and lay the groundwork for applications and servicesと書いてあるのですね。提案というようなところ。あと、グラウンドワークをやると。
 Option3は違いまして、will develop and deliver, on a continuing basis, a sequence of operational applications and servicesと書いてあるわけです。だから、これはもう自分たちでやるというオプションが3となります。
 Option2はどう書いてあるかというと、Option2の下から2行目の真ん中くらいを見ていただくと、GEO may maintain an advisory role with these initiativesと書いてあるわけです。要するに、一等最初はプロポーズ、2はアドバイスしながらコミットしていきますと。その実施段階ですね。3番目は、もう自分たちでやりますという、この三つのオプションを書いてある。
 その前に書いてある新たなインキュベーションとか、ファンクションを新たにつくるのだとか、コーディネーションする、といった文脈は全部同じなのです。その最後の出口のところをどうするのかということをオプションとして分けているというような書き方になっています。
 それが資料5で、ちょっと資料7につきましては、Value Addedのところですが、これはGEOSSはそもそも何だというのが最初の段落です。Value Addedのところに書いてありますのは、私が理解する限りでは、この段落の2行目にWithout this information,evidence-based decision making for economic,environmental,and social issues is not possibleと。ですから、そういうようなインフォメーションを出すのが必要で、そういうバリューをつくっていかなきゃいけないということで、そのためにGovernanceとPartnershipsが1番目、2番目がSustainable Networks、3番目がFocussed Activities、4番目がNational Activitiesです。特にGovernance and Partnershipsのところに、GEOのユニークなgovernance structure、これが先ほど深澤委員がおっしゃったように、国連あるいは国際研究コミュニティではない、国がコミットしてフットワークよく、そこで合意したらぱっと始められるのですね。これは、多分、これまでの国連の枠組みで何か色々やってきたこととは形態が違ってきます。unique governance structureというのが、どういうふうにうまく使うかというのが非常に大事なところだと思います。
 それから1つ飛ばしてcomplementary activities in connection with the work of international groups、これも先ほど深澤委員がおっしゃったことですね。
 こういうことをどう実現していくかというのが、かなり強くこの文章の中では書かれています。
 それからSustainable Networksの中で、これはCEOSのメンバーがin-situをものすごく強化して書いてあります。はっきり言うと、このSustainable Networksは全部in-situと言ってもいいようなことです。そういうことを強く書いてあるというのが特徴かと思います。
 ちょっと長くなりまして大変申しわけありません。私のオブザベーションというか説明は以上ですけれども、あと、45分ぐらいは時間があろうかと思いますが、皆さんのご意見をいただきながら、皆さんのご意見をまとめて、6日、7日に予定されている2015年以降のGEOSSに関するワーキンググループにて、日本の考えとして伝え、ディスカッションに加わりたいと思っています。6日は福井推進官が出席し、私は、6日の夜行便で行って7日の朝から参加させていただく予定です。
 まず全体を通して意見をいただいて、そして資料5と資料7についてそれぞれ個別に意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
【深澤委員】  まず、この資料5を読ませていただいて、立派な資料をつくってどうもありがとうございます。まずお礼申し上げます。
 それで、そのミッションの、この間からありましたGEO mission in the next ten yearsの、特にそのオプションのところで、Option1、2、3というのがあるのですけれども、これ、それぞれに書いてあることが確かに違うのですけれど、僕は少し理解できなかったのは、これまでのことも考えて、Option1というのは、これはむしろこういうことはあり得ないだろうといってお書きになったものなのですか。それとも、いや、これもオプションとして明らかに存在するという考え方でしょうか。
【小池主査】  アメリカは、これ(Option1)に関する考えが強いですね。日本とカナダはOption2が強いです。私のオブザベーションでは、ヨーロッパはOption3までいってもいいのではないかというような感じです。
【深澤委員】  ヨーロッパはそうでしょう。どうもありがとうございます。
 あとこれは根本的な認識なのですけど、読ませていただいて少し違和感を僕が感じたところだけ申し上げますとね、この文書全体としての構成とも少しかかわりがあるのですが、GEOとGEOSSと考えたときに、GEOは、できたときからミッションというか、GEOのビジョンがありますね。GEOのビジョンを実現するためにGEOSSがあるという考え方だと僕は思っていたのです。よろしいですか。
【小池主査】  ちょっと違います。
【深澤委員】  違いますか。
 そうすると、この前の部分の書き方が少し変わってくるのが、違うのだとこれでいいのですが。
 あと、もう一つお聞かせしたい、私の認識が違うのかもしれないのですけれど、今、動いているGEOSSを仮に“GEOSS-1”という名づけ方をすると、九つの社会利益分野を定義して、そしてten years implementation planもある。それらを含んだものがGEOSS-1なのではないのか。つまり、もしもGEOSSの次を考えたときにはそこから考えるべき問題であって、要するにGEOSSというものがあって、そのGEOSSを次にどうやりましょうかといったときに、GEOSSのフレームワークを変えるのか、それともten years implementationの中身だけを変えていくのか、その両方になるのかもしれないのですけれど、特に僕が違和感を感じたのは、For the periodというところがありますね。GEO will develop an integrated Observation Plan for the Planetというあたりに、下にばーっと書いてあって。その前に九つの社会利益分野でということがありますね。九つの社会利益分野を切ったということが、そもそもGEOSSの2015までの形なのではないかな。2015年以降というのは、九つの社会利益分野を切るという、そういうフレームワークそのものが変わる可能性がある。つまり、そこも含んだ形が、今、動いているGEOSSであって、この次に考えるGEOSSというのはそうではないのだ。あるいは、その中のimplementation planそのものが変わる、それだけが変わるような形なのかというところで、少し考え方が違うような気がしたのですね。
 でも、これだけ見ると、社会利益分野というのは、例えばGEOがあって、それを実現するためにGEOSSがある、それはどうも違うらしいいのですけれど。とにかく、今、GEOSSという名前がある限りは、九つの社会利益分野があってという形で読めてしまうのですけれども、これは私の認識が違いますでしょうか。
【小池主査】  これは、でき上がったものを皆さんがどう解釈するかということと、作った時にどう思っていたかというのは多分違うのでしょうが、まず明確なのは、ちょっとこれ、確かにおかしいです。僕、今、気がつきました。すみません。
 ビジョンというのは、GEOSSのビジョンなのです。GEOのビジョンじゃないのです。これは間違いですね。
【深澤委員】  題名のほうが違う。
【小池主査】  この最初の文章ですね。ああ、題名。これ、「GEOSS」ですね。ten years implementation planの場合は、GEOではなくてGEOSSですね。
【深澤委員】  そうするとね、ページ3のThe mission of GEOは、これはThe mission of GEOSSになるのですか。
【小池主査】  いや、GEOSSというのはシステムで、GEOというのはその運営体なのです。組織なのですね。組織にミッションを与えるのか、プログラムとしてミッションをつくるのかでここは違うと思います。
 ここの書き方は、僕はここはあまり注意してはいなかったのですが、この書き方は、GEOとして何をやるかということをグループとして書いたつもりです。GEO missionでいいような気がしますけれども、ビジョンはGEOSSです。これ、不整合ですね。一番上のタイトルとサブタイトルと、それから1行目が不整合していますね。本当に申しわけありません。気がつきませんでした。
 それから、もう一つの九つの社会利益分野に関するお話ですけれども、これは、その第1段落目の下から4行目のところにありますが、initiallyと書いてあるのですね。initially in nine Societal Benefit Areasというふうにしていて、最初の10年はこれでやりました。だから変えてもいいのです。
 ただ、今回はどうしたかというと、それをこの三つの柱でくくり、例えばOceanとかPolar Regionsとかを入れたというようなことで。実は、バイオ・ダイバーシティがこの中に入っていないのですけれども、Ecosystems and Biodiversityという1つのくくりで考えている人と考えていない人がいますので。そこは、これから色々、こういうくくり方でいいのかという議論の中で、さらに詳しく議論されていくのだと思うのですけれども。
 ですから、深澤先生のお問い合わせ、変えてもいいのです。
【深澤委員】  わかりました。どうもありがとうございます。
 それで、今のGEOと、それからGEOSSですかね、これの区別は結構きちんとつけておいたほうがいいような気がします。ごめんなさい、特にM&Eにいると、そこのところは非常に気になる部分なのですね。我々はGEOの活動を評価するのか、モニターするのか、GEOSSの活動をモニターするのかというところがあって。
 ところが、我々はどこから権限というか、それを発生するかというとGEOから発生する。
【小池主査】  そうです。
【深澤委員】  そうすると、GEOとGEOSSの関係というのは、どうしてもあるものが見えてくるのですけれども。
 ですから、これを書くときにGEOなのかGEOSSなのかというのが非常に明確にされていないと困るときが生じます。
【小池主査】  承知しました。申しわけありません。
 そういう意味では、難しいのですね。GEO Post-2015といって、こういう組織体をどうするかということを、今、議論している中のビジョンというと、これはやっぱりおかしいいのですね。ちょっとここは整理しないといけないと思います。
 明確に申し上げられるのは、今のお話ですと、M&Eは、GEOという組織体がGEOSSをいかにうまくつくっているかを評価していただいている。
【深澤委員】  本来、そうなのですよね。そこが難しいのですけど。
【小池主査】  ええ。ですから、組織体がうまく動いていないという批判もあるし、でき上がりがうまくできていないという批判もあるということだと。
【深澤委員】  実際問題として、M&Eの最初のときのM&E文書、最初にM&Eによる定義の文書がありましたね。M&Eの定義の文書の中では、GEOとGEOSSの区別が非常にはっきりしていて、M&Eのマンデートというのは何をするかということが書かれているのですが、それはGEOSSが進捗しているかどうかを評価しようということが書かれている。その際に、毎回、休み時間での議論になるのですけれど、GEOSSの今の社会利益分野と、それからあと5つの構造というか、総合的なものですね、それの形まで評価する必要があるのか。つまり、それがうまくいっているかいってないか、こういう組織体がうまくいっているかいっていないかというのは、実は、今のM&Eの中にはビジョンにないのですね。それをやるということが。ただ、そういうところまでやらないとだめなのかどうかというところで、ちょっと神経質になってこれを読んだのですね。
 というのは、それは先ほどおっしゃったというか、資料1にあるように、これは実はGEO事務局員の担当からも僕のところにメールが個人的に来ていたのですけれども、M&Eでどこまで何をやるべきか、というのがちょっとありましたね。何を用意して、本会合に上げるか。そのところで、おまえ、どう思う、という話を聞かれたときに、「GEOSSの定義によるだろう」と答えてしまったのですけれども。そこが次の時に少しはっきりなっているといいなという感覚がありました。ちょっと難しい話かもしれません。
【小池主査】  はい。ほかに、全体を通していかがでしょうか。
 1つお話は、これは意識的でもなかったのですけれども、意識的でもないと言うと、気がつかなかったわけでも。ちょっと意識したのですけれども、実は、この中に、先ほど強調していたことを抜いているのですね。regionalというのを抜いておりまして、2つあって、そのミッションですね。GEOのミッションの中に新たに入れるべきだなと自分では思っているのです。そういうものを、どういうタイミングで出していったらいいのかなというのが、必ずしも戦略的でなくて。最初、フラットに出しておいて、先ほどのプリンシパルの議論の中でも、regionalってあれだけ十分に議論されてきたので、それをもう少し持ち上げたいなと思って。ちょっと自分の中では、戦略的にこれをどう入れていったらいいかということを考えておりました。そういう意味では、現段階の中では、regionalが入っておりません。
 それは別に、Value Addedのところも、それを意識したわけではないと思いますけれども、入っていないいのですね。だから、regionalを何らか入れていくというようなコメントは1つあるのかなと思います。
 どうぞ。
【福田委員】  ざっと読ませていただいたけど、あれ、regionalがないなと思っておったのですが。ただ、どこに入れるべきかという主査のお悩みのとおり、恐らくはaccomplishmentの項にはなかなか入れづらいのでミッションに書くべきかと思いますが。それだと、1ポツのこのFoster Strengthened Observation Networksの手段の1つとして入れるというのがいいのかなというふうに感じています。
 もう一つ、全体を読ませていただいた感じでは、構成的には非常によくできていて、上流から説き起こして持っていくところの構成は大変すばらしいと思いますけれども、全体が何となく、オブザベーションとか既存の仕組みというのがもうちゃんとあるという前提の上で、その上でどう調整していったり、その相互流通性を高めたりというふうな色彩がちょっと強過ぎるかなという気もしています。実は、もともとのGEOSSのsystem of systemsのsystemsのほうが、なかなかそう簡単に継続的にはいかないわけですので。
 やはり今の1ポツのところには、確かにクリティカル・ギャップを識別するのだという一言はあるものの、もう少しこのあたりは動的なものであってよいのではないでしょうか。全体的なobservation systemsをつくるために、何らかの貢献をGEOがする。もちろん、みずから作るというわけにはいかないと思いますけれども、そこをちゃんと識別して、どういう言葉を入れればいいかというのはわかりませんが、何かそういう概念を入れたほうがいいのかなと感じました。
 以上です。
【小池主査】  先ほど何度か出てきましたmultipliers of return on national investmentというのありまして、私は、これは非常に大事な概念だと思います。今、福田委員からお話があったのも、各国が投資をするものが乗数的に広がっていく、それを加速する役割があるということが、各国の政策決定者にちゃんと伝わって動き始めると、そういう部分ですね。
 ですから、もしかしたら、その上のもう一つ、Value Addedのところに、nations return on investmentのところに関連して書くというのもいいのかもわかりません。こういう、ニーズを掘り下げながら、調整をすると。衛星の多国間の協力ついては、CEOSで議論されているわけですが、もともとこのGEOの母体で、その前の母体であったIGOSSが活動的にできた背景は、ARGO計画と、それから海面高度計という海洋の観測ブイと衛星の海面の高度計を国際的に、特にアメリカが中心になって、まとめていったのがIGOS(Integrated Global Observing Strategy: 統合地球観測戦略)の中でかなり評価され、それが今の形になってきた背景はあるわけですね。
 今、福田委員がおっしゃったのは、そういう機能をもう少し明示的にきちんと出すというのは大事なことかもしれません。
【福田委員】  おっしゃるように、Value Addedのところでそういう概念を打ち出すというのは正しいアプローチのような気もいたします。
 そうすると、ちょっと資料7のほうは何となく、細かいほうに行き過ぎているかなという。そこの整合があまりないような気もします。
【小池主査】  そうなのです。この辺の調整は、結構大変だなと思っていて。ある程度まとめていかないといけないなというふうに思っていますけど。非常にいい点をご指摘いただきましてありがとうございます。
 ほかに、皆さん、いかがでしょうか。
【深澤委員】  今のregionalの話なのですけれどもね、例えばThe value-added of GEO&GEOSSの、このformal organizationsというのがありますね。これらの部分というのは、それぞれ地域的なプログラムを持っているわけですね。
【小池主査】  持っていますね。
【深澤委員】  ですから、もしもここでregionalを書き加えるとすると、The success of these organizationsというのを、何かの形でほかの言葉でも書きかえる必要があるのかもしれないですね。success of these organizationsというのは、例えばFAO(Food and Agriculture Organization:国際連合食糧農業機関)にしてもWHO(World Health Organization:世界保健機構)にしてもWMO(World Meteorological Organization:世界気象機構)にしてもGCOS(Global Climate Observing System:全球気候観測システム)にしても、多分、それぞれのリージョナル・プログラムがあって、それ自身がないと、例えばGCOSにしてもWMOにしても成り立たないのは確かなので。ですから、それをどういう具合に書き込むのかというところがあるのかもしれません。それぞれが持っているリージョナル・プログラムが動かないことには、それぞれの部分が非常に表面的な、と言うとちょっとおかしいいのですけれど、非常に平均的な活動しか行えなくなるのは、もう確かなのですよね。
 ですから、それぞれが持っているリージョナル・プログラムというのを増強するというのが、多分、大事になってくると思うので、The success of these organizationsって、それが一体何なのかというのを。そこまで書くと書き過ぎなのでしょうけれど、逆に言うと、The success of these organizationsが具体的に何をイメージして書いてあるかということだと思いますね。そのそれぞれのプログラムも全部含めてうまくいくということなのか、それとも違うのか。
 私はこのThe success of these organizationsと書いた瞬間に、これらが持っているサブプログラムはすべてうまくいっているということなのかな、と思いますけどね。
【小池主査】  いや、それが多様な、と言っている点なので。これが。例えば一つの書き方としては、グローバルなスケールでのサクセスとか、リージョナルなスケールでのサクセスとか言うと、その両方の枠組みがうまく入るような気がしますけどね。
【深澤委員】  それのほうがおもしろいでしょうね。
【小池主査】  それのニッチをやるのだ、キー・ニッチだということになるのではないかと思いますけど。
【深澤委員】  わかりました。そのくらいがいいのかなという気もしますけれどね。
【小池主査】  どうも、ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。
【二宮委員】  今、リージョナルの件が出たので加えて意見を言わせていただきます。私も、小池先生がお考えになるようにどこかに加えるべきと考えます。
 と申しますのも、結局、このGEOのアクティビティとして、人々に、結局、これは何に役立っているのだというのをわかっていただくためには、完璧な選択肢の3番目を取らなくても、何かわかりやすいサービスみたいなものを提供しない限りは、一番最後まで皆さんにわかっていただけないと思うのですよね。でも、それをわかっていただけない限りは、こういうアクティビティが支え続けられないわけで。
 そのように具体的に考えると、やっぱり末端にも届くグローバルなサービスというのを考えるのは困難で、むしろ具体的には小池先生がやられているように、あるいは農業系が何かやっているような、どちらかといえば地域的なサービスを、少なくとも幾つか見せるというようなことをしっかりやらないと、こういうアクティビティの持続性はなかなか担保できないいのではないかということも含めてあります。
 実際、農業系で言うと、今、GEO-GLAMというのが動きつつありますけれども、言い出しっぺの本体のほうが、ちょっと私が知っている限り、なかなか抽象論から抜けられないいのですけれども。
 今、日本のJAXAが中心になって動いているアジアバージョンというのは、アジアのモンスーン地域の稲作というのを明快なターゲットにして、実際に何をやらなきゃいけないかということは、サービスまで含めて、もちろんまだ出だしですのであれですけれども、実際に動いているプロジェクトを巻き込みながらやっていくという筋道は結構見えていますから。そういうところを見ていても、やっぱりリージョナルのアクティビティこそがと言うと、ちょっと言い方は言い過ぎかもしれませんけれども、何かそういう部分というほうがちょっと見えたほうが、次の10年としてはあったほうがいいと思います。
 とりわけ、農業だけじゃないと思いますけれども、農業のこの地球環境変動の中の課題というのは、20年先の課題ではなくて、もう既に今日、明日の課題に明快になっていまして、稲作だと三か月、四か月やるわけですけど、そのうちの一か月ぐらいがちょっと天候がおかしかったら、完璧に大体おかしくなるわけですけれども、その程度の変動というのは、既にもう百年先のシナリオで見えたような変動が、もう既に出ちゃっているような状況ですので、そういう形でかなり急いでやるという意味でも。
 それで、急いでやるという意味で、どこかに“promote”という言葉が出てきているのですけれども、何かこう“accucelaration”するような言葉もちょっとあったほうがいいかなという印象を受けました。
 あとは、我々のほうで前からずっと言っていた、in-situの話が出たというのは非常にうれしく思います。ありがとうございます。
 以上です。
【小池主査】  ほかにいかがでしょうか。
【瀧澤委員】  すみません、非常に基本的で、シンプルな質問なのですけれども、一番最後のところ、Strategic direction Optionsのオプションのところなのですが、先ほど三つ、米国、日本、カナダ、欧州で少し立場が違うというお話がありましたけれども、この内容が、英語で読んでも日本語で読んでもなかなかちょっとわかりにくいいので、もう少しわかりやすく説明していただけますか。
 と申しますのは、その前の、この文章の中でやっぱり一番キーポイントなのは新たな価値を付加するところで、ニッチをどういうふうに加えていくかというところだと思うのですけれども、そこにどういうふうに影響してくるのかどうかというのも、ちょっと考えてみたいなと思っています。
【小池主査】  このオプションの違いは、一言で言うと、サービスを実施する母体にGEOそのものがなるのかならないのかということなのです。先ほどお話があったように、サービスを実施していくことは大事なのですね。それがないと、何もならないいのですけれども。最終的に、それを、このインターガバメンタルの組織がやるのか、あるいはそうやって作ったものを、例えば農業だったらFAOが実施していくとか、あるいはそれのアジア太平洋域センターが実施していくとかですね。そういう実施機関をも考えながら、組織化してスタートさせるというところまでをやるのがOption1で、いやいや、これはGEOがこういう枠組みをつくって自分たちで十年、二十年やっていきますというふうにするというのがOption3なのです。違いは。Option2はその真ん中辺で、評価やコンサルテーションはアドバイザーとしてやっていきます、コミットしていきますというようなことがOption2なのですね。
【瀧澤委員】  すみません、「サービス」とおっしゃっているのは、具体的には例えばどういったことでしょうか。
【小池主査】  例えば今の稲作のことで言いますと、人工衛星のデータと数値気象予測のデータと作物モデルを使いながら、一か月、二か月モニターをしながら、稲作が、今、どの状態にありますというようなモニタリングと、あるいは予測情報を入れて、あと作付けの状況を組み合わせると、今後、どうなっていくというようなのを、そういうシステムをつくるところまではGEOがやって、それを実際に運用していくのは、Option1ではGEOではない組織がやるということを言っているのです。Option3は、いや、GEOの中でやっていきますと。
【瀧澤委員】  そうすると、その運用って具体的にはどういうことなのですか。例えば予算をつけて人を充ててというような、そういうところまでをやるかどうかというところですかね。
【小池主査】  そうです。
【瀧澤委員】  わかりました。
 それに関して、ニッチをターゲットにするということは、特に影響を受けないわけですよね。
【小池主査】  ええ。今までにないサービスであれば、あまり影響を受けないと思いますが、でも、実際にやり始めると、先ほど、色々な国際的な枠組みがありますので、それと抵触するようなこともあると思うのです。
 そういうよりは、Option2は、そういう機関とも連携してやるようなサービスに、本来、していただいて、そして観測の側からコミットしていくというほうがいいだろうというのがOption2になるのですね。
 ただニッチにどれだけの価値を、それぞれの機関が、今、存在する機関が見出すかということ。ニッチということは、それまでその機関はやっていないことになるわけですので、価値を見出すかということがかぎだと思います。それをうまくインキュベートできて、これは価値があるといってみんなが喜んでやり始めるようなことを企画するのは。それをやるのはOption1、2、3、全部そうなのですけれども、そこがかぎだと思います。
【瀧澤委員】  よくわかりました。ありがとうございます。
【小池主査】  ほかにいかがでございましょうか。
【藤谷委員】  ちょっとよくわからないところがあるのですけど、Value Addedのところで幾つかのフォーマルな組織があると書いてあるのですが、それ、例えばWMO、WHO、FAOと、例えばCEOSとかはレベルが違うわけですね。
それを同じように並べて、後ろのところでオプションを三つ並べて、そのニッチをやるとなると、多分、少し色合いが違ってくるような感じがする。例えば公式的な国連の組織がやっている部分のニッチをやるのと、例えばCEOSとかGCOSとか、ある程度バーチャルなフレームワークがやるものと、そこをどうニッチを埋められるか。多分、それはオプションが制限されてくるような気がするのですが。
【小池主査】  一番の勘どころのところで、おっしゃるとおりなのですが、それがニッチなのですね。ある意味で、逆に。国連の枠組みでしかできない、CEOSの中でしかできないことをつなごうというのがこれなのですね。
【藤谷委員】  ということは、そうすると、あるレベルごとのニッチをやろうと。
【小池主査】  それもあるのですが。
【藤谷委員】  だから、それはわかるのですけどね、例えばWMOとGCOSのニッチをやるとなると、ちょっとまた違ってきます。
【小池主査】  それは、ちょっと話が違うと思いますけれども。
 例えば一番簡単なのは、この国連レベルでFAOとWMOのニッチをやる。これは、一番わかりやすいですね。
 今、お話になったのは、今、CEOSはもうそういう枠組みをWMOとつくっているので、ちょっとはっきりそれはできない。例えばFAOとCEOS、国連の機関と衛星コミュニティの、ある意味のボランタリーなグループですね。そこが協力して、今、米作物のモニタリング・システムをつくると。これは、FAOにもなかったもので。じゃあ、それをCEOSがオペレーションするかというと、多分、それは違うのですね。
 そうすると、例えばアジアの、例えばフィリピンかどこかにそういうセンターをつくって、各国が拠出しながら運営をしていきましょうということになる。例えばAPECがやるとか、そういう話になるのではないかと思います。それがOption1か2なのですね。それをGEOがやりますと、GEOメンバー国でアジアの5か国ぐらいがGEOのメンバー国としてやりますというのがOption3です。よろしいでしょうか。レベルの違いとトピックの違いというのも、私、両方あると。
 先ほど、どの文章だったかちょっとはっきりわかりませんが、このValue Addedの文章だったのかな。これですね。資料7の1ページ目の下から2つ目なのですけれども、さっきあまり言いませんでしたが、あまり詳しく申し上げませんでしたが、前回の執行委員会で私自身もそう申し上げたし、各国の執行委員がそういうことを認識したのではないかと思いますが、国連組織でもない、プライベート・セクターでもない。いわゆるボランタリーに集まっているだけでもなく、もう少しコミットメントが高く、国際的な連携を図りながら物を企画、つくり出していくユニークなガバナンスであるという感じは、ああ、GEOというのはそうなのだというのを持ち始めていると。
 ほかにいかがでございましょうか。
【杉本委員】  そのOption1を選ぶにしろ、2を選ぶにしても、3を選ぶにしても、それぞれの色々な、国連の下の枠組みであるとか、もっとボランタリーな組織であるとか、それぞれにやり方が違うと思いますけれども、例えばそのニッチを埋めますといって、ある機関とGEOとが協力してデータをうまく使っていくようなシステムをつくるというときに、そのやり方というのが、何かこれだけでは。多分、そこが一番重要だと思いますけれども、どれかのオプションを選びますということだけで、その道筋といいますか、そのやり方に関してちょっとよくわからないというか、やれると素晴らしいと思いますけれども、実際にどうするのだろうというのがちょっと見えないいのですけれども。
【小池主査】  だから、タイトルが「Strategic Direction」なのです。本当、わからないいので、これからつくっていくしかないのですね。雛形がないので。
【杉本委員】  それぞれ個別に対応するという、何か、全体としてどうやりますというよりも、個別に当たっていくしかないということですよね。
 そうすると、個別に何か考えていくやり方みたいなものが、何か組織委員会みたいなものをつくってやるというような、何かそういう道筋が本来ならば見えるといいかなと。
【小池主査】  今、できているGEO-GLAMとかGFOIとかGEO-BONとかいうのが、まず雛形になると思います。
 それから、私が関連しているのでは、アジア水循環イニシアチブとか、そういうのもひな形になると思います。色々、それぞれやり方が違うので。その中でうまくいく成功例というものが出てくると、それが1つのひな形ねというふうになりながらやっていくのではないかと思うのですけどね。
【杉本委員】  積み上げていくという感じですね。
【小池主査】  幾つかのひな形、こんなのがあるね、こんなタイプがある、こんなタイプがある、こんなタイプがあるということは考えとしては出せると思います。だけど、それが定着していくのは、これでやったらうまくいったのでこのタイプですねというような形になるのではないかと思いますね。概念的にはもちろん考えて、進めるときに考えるわけですね。こういうタイプでやろうか、こういうタイプでやろうかと考えるわけなので、あらかじめ持つことはできると思いますが。
 でも、それぞれの課題、事情について、こういうやり方がうまくいったということになるのではないかと思いますけど。オールマイティはないように思います。
【杉本委員】  そうですね。
【佃委員】  頭の整理にお聞きします。先ほどリージョナルといったときに、ナショナル、リージョナル、グローバルのレイヤーがあるとしたときに、そのリージョナルというのを積極的にやっていこうという考え方、それは1つの考え方で、ピラーということもあって、例えばリージョナルなピラーがあってグローバルを実現するというストーリーと、リターンという言葉がありましたけど、ナショナルなリターンがわかりやすくなるという言い方もできるかもしれませんけれども、それを積極的に打ち出してやりましょうと。ある種の方法論だと思いますけど、一方で、ちょっと、ヨーロッパはアフリカだとか、こちらは南北大陸はどちらだとか、南極、北極をどうするのだとか、そういう議論に落ち込んでいかないかとやや心配はしますけど、その辺はいかがですかね。
 もちろん、どこかがイニシアチブ、これは本当にボランタリーにイニシアチブは、日本はアジアを一生懸命、積極的にやるけれども、先ほどニュージーランドが南太平洋地域とかというのがありましたけれども。ボランタリーでそういう積極的にやるのと、何かすごくテリトリー意識でぎちぎちにやられると嫌だなという感覚もありますけれども。
 このGEOの枠組みというのは、どういうものをねらうのが一番いいのでしょうかという、頭の整理で。ナショナルなリターンって、わかりやすいなと思いますよ。例えば日本はアジアでこんなことをやって、食糧問題、災害問題、色々やっていくと、やっぱりめぐりめぐって非常にメリットがあるのですよという、閣僚級レベルで色々説明するときには、わかりやすくなるとは思いますけれども。
【小池主査】  今、これも非常によい点を指摘いただいてありがとうございます。
 まさにナショナル・リターンを考えるときに、リージョナルな枠組みをつくりますということは、世界どこでも非常に重要だと思いますね。それに入ってくるメンバーはリージョナルかというと、そうでないというのがGEOだと思っています。例えばアジアの米作(モニタリング)といったときに、NASAも入ってくるでしょうし、ESA(European Space Agency 欧州宇宙機関)も入ってくると思いますよね。
 私は、今、アフリカをやっているのですけれども、JAXAの方とかJICA(国際協力機構)と一緒にアフリカをぜひやろうとしていて。これは別に、ヨーロッパが中心でやるというのは全然問題ないわけですけれども、日本から行ってもいいわけですね。
 だから、それは入っていくほうは、GEOというのはグローバルなんじゃないかと思うのですね。だけど、今のナショナル・リターンを考えるときに、リージョナルな枠組みというのは、やっぱりそこのメンバーなのですよね。という感じはしますけれども、いかがでしょうか。
【佃委員】  少し理解が進んだのですけど、確かにグローバルを色々一遍にやろうとすると非常に難しいことはいっぱいあって、リージョナルなものが、かつ、色々顔が見えていたりするからわかりやすい、やりやすくなるというのは確かにそうだと思います。
【二宮委員】  先ほどちょっと関連することを発言したので付け加えます。 考え方としては、小池先生がおっしゃったのでいいと思うのですけど、我々みたいに農業系の地上系だと、グローバルなサービスというものそのものを考えるのはほとんど困難で、やっぱり考え方はリージョナルにやっていかないと、物事、動くようなものは、基本的に。だから、衛星でぼーんとやるような話とは大分違って、こういう地面で何か役に立とうとすると、やっぱりそういうことになってしまうということもあるのではないかと思います。その分野でも、考え方は色々あるのではないかなというふうには思いますけれども。
【小池主査】  いや、非常に活発なご意見。
 福島委員、何かございましたら。
【福島委員】  ちょっと情報提供ですけれども、この8月の10日過ぎから、国連のGGIM(Global Geospatial Information Management)というGeospatial Informationの第2回の専門家会議が開かれて、その中でも、先ほど言いましたValue Addedの議論が、ヨーロッパ、北米を中心にかなり色々出てきていました。
 最終的に、Value Addedをどういうふうに定義するかとか、どういうふうに進めていくかというのは、そこまで具体的な議論にはなりませんでしたけれども、Value Addedが何かというのが、このGEOSSの世界でも出てきているように、GGIMの世界でも出てきているので、これは今の大きな傾向なのだというふうに私はコメントさせていただきたいと思います。
 Option1、2、3というふうにやったのを、リージョナルなものをどう理解するかという私の理解は、要するにOption1、2、3というのも1つの手段であると。どの手段を選ぶかというのは、多分、個別の利益分野であったり、その利益分野の中のまた細かいものごとにリージョナルなものを選ぶのか、グローバルなものを選ぶのか、あるいはOption1を選ぶのか、2を選ぶのか、3を選ぶのか、色々な選び方があって、メニューがここに書いてあると。あとは、個別に、例えば民間企業を育てたいということであれば、米国のようにOption1を選んでくるのでしょうし、例えば日本の企業を育てていくのだというと米国流になるでしょうし、むしろ国が主導権をとって戦略的にやるのだということでは欧州のようなスタイルになるのかもしれません。その場合は、多分、欧州ですから、何らかのサービスをすることによって対価を得るというようなシステムも出てくるのかもしれません。
 日本とかカナダというのは、どちらかというとコンサルティング・ベースでやっていきますよというのかもしれません。
 多分、これは選び方の問題であって、ケース・バイ・ケースというふうに理解するというのが一番わかりやすいかなと思っています。それは、私の勝手な想像ですから、失礼します。
【小池主査】  ありがとうございます。
 今日いただいたご意見は、ちょっと事務局にまとめていただいて、福井推進官から対処方針として出していただくという形にしたいと思いますし、そういう議論をまとめて、私も翌日は発言したいと思います。
 先ほどちょっと議論いたしましたが、nations return on investmentというのは、我が国ならば我が国の予算を考えて、企画を考えて予算化して実施していくというところに非常にリンクする言葉なのですね。
 こういうことで、我が国の地球観測を考えたときに、具体的なことというのも含めて皆さんの考えがあるかということを聞いておいたほうがいいかなと思いますけれども、いかがでしょうか。特によろしいですか。
【福島委員】  私の勝手な意見なのですけれども、要するにnations returnというのは国益とちょっと違いますけれども、国益に似たようなもので、国際社会、企業というのは、世界的な企業、グローバルな企業になると、このnations returnというのはあまり考えないいのですけれども、国際社会の中では、結局、国益のぶつかり合いという形の世界になっていると。
 国連や国際機関の場合には、各国の国益ということをあまり考えない傾向がある。国連機関の人たちは、各国の国益ということは、本当は考えているのだけれど、表面上はあまり考えない傾向があると。そういう傾向があって、GEOとかGEOSSというのはどちらかというとボランティアだから、nations returnというものがないと、その国、各国の宇宙機関がサポートするのに、なかなかバックグラウンドとしての理由を提供しにくいというところがあって、こういう文章が入っているのではないかと。それは、私の想像ですが。
【小池主査】  いや、そうですね。そういう意図で入れているのですね。要するに国がコミットするという枠組みでこれは動いていますので。
 だから、そのインセンティブが何であるかということは、やっぱり明確に出す必要がある。そこを協調する意味で、コーディネーションの協調をする意味でmultiplierという言葉が出てきているのですね。その相乗効果的なものがあるというふうに持っていこうとしているわけです。それがないと、やっぱりこの枠組みは難しいと思います。ですから、そこは私どもも、日本の宇宙政策なり地球観測政策なり海洋観測とか、あるいはそれを使ったベネフィットが何であるかということを考えて提案し、行動し、かつそれでリージョナルな調整をしながら便益をつくっていくということなのだと思います。どうもありがとうございます。
【深澤委員】  そのnations returnという言葉の概念としてすごく難しいと思いますけどね。具体的には、どのくらいまで広がるものなのでしょう。例えば、僕は海屋さんですけれど、北極海の氷が溶けたときに航路を確保するというのがありますね。それは、本当にnations returnなのか、それに日本が金をかける必要があるのかとか、そう考えるとなかなか難しい部分が実は出てきますね。何も日本がやらなくても、どこかの国が多分やるでしょう。それから気候変動の予測についても、多分、日本がやらなきゃどこかがやるのですよ。
 そういう話を考えると、どうなのかな。例えば観測というか物をはかるという意味で言うと、日本国内で、何でもいいのだけれども、何かものを測る。二宮先生の農業でもいいのですけれど。日本の国内でものを測ると、確かに日本のnational returnが、まさに大きいわけですよね。それだけかもしれない。
 そうすると、そもそも農業というのがGEOSSに入っている意味というのは何があるのでしょう。
【小池主査】  これはもう明確ですよ。
【深澤委員】  いや、だからそういう意味で言うとね、多分、national returnというのは、確かに、今、はやりですし、出口だし、納税者は日本人なのだからという考え方もあるのだけど、僕は、その部分というのは確かに説明もしやすいのだけど、ちょっと心配なのは、GEOSSからリージョナルに行くって、リージョナルはGEOSSの本体をグローバルにするための基礎であるという考え方と、いや、GEOSSはあまりにも広いから、もうリージョナルでnational returnを表に出して進めるのだというのは、多分、結果が違ってくるのではないかという気がするのですけどね。どこまで我々がそれを立てかえるかどうかわからないいのですけれども。
 つまり、そうなってくると、もう金のない国は何もできなくなってきて、GEOSSで発言もできなくなる状況になるのか、そこが少し気になるところではありますね。
【小池主査】  最後におっしゃったことと、いわゆる先進国である日本が、national returnを定義してリージョナルに協調しながらつくっていくということは矛盾しないと思っています。
 今、佃委員が本当にうまく説明いただいたように、グローバルな柱のリージョナルと、それから本当に各国がnational returnが見える形になろうとすると、リージョナルというフレームワークがいいというのは非常にいい整理をしていただいたと思いますけれども。
 今、おっしゃったのは、つくり方が違うという。二つの側面がリージョナルにはあると。そういう枠組みをつくると2つのメリットが生まれるという意味で、私は、大事なんじゃないかなと思います。
【深澤委員】  確かにおっしゃるとおりで、多分、日本のセンスから言って、nations returnをあまりに表に出すと、結局は、昔の南北問題に行き着くのではないかと、そういう気がして非常に心配なのですね。つまり、最近、特に、アメリカはまだ大きい国ですけれど、海で言えば太平洋の観測はほとんど引き上げていますから、たぶん、ARGOはあと数年すると太平洋の一部分から完全に消えてしまう。そういう状況になったときに、それは、NOAAはnations returnを説明するのにどうにもならないから、やれないという話になってくるわけですけれど。本当にそれで、今、進めようとしているような、例えば太平洋の島嶼国なんていうのはどうするのだろうというのは、非常に心配な部分があります。
  ちょっと気になったのは、GEOが何のためにできたかという最初の部分に、本当にnations returnというのは、確かにそれを実現するのに使うのはいいのだけれども、それを誰が言うかというところは、微妙な問題があるような気がして仕方がないのですけどね。
【小池主査】 言い方が難しいのかもしれませんが、IGOSSのときはnational commitmentはなかったのです。
【深澤委員】  そうですね。
【小池主査】  GEOではnational commitmentを作ったのですね。そこが、IGOSSからGEOの違いです。
 national commitmentを持ち続けるためには、nations returnというのが不可欠だと思います。それによって、グローバルなベネフィットを生み出すという選択を、IGOSSからGEOに移るときに我々は持ったのだというふうに思いますけれども。
【佃委員】  私は、広くとらえればいいと思っています。nations returnとしても、本当に世界に尊敬される国になるということも、誰も行っていないところの情報をとってきて、日本が世界に提供するのも一つの重要なリターンになる、国民がハッピーになるという意味では広義に考えられます。
 一方で、資源の確保ということでグローバルな情報をとってきて、国としてもメリットを得られるとか、あるいは二酸化炭素の収支をちゃんとグローバル・スタンダードで評価して、場合によっては、中国の砂漠化に対してちゃんと日本のデシジョン・メーカーがそういう情報を持って交渉するとか、色々な使い方があるので、それは幅広くとっておいて、それこそ大陸棚問題で交渉するときは、まさに観測データとか何かがすべて科学データで交渉材料になるわけで、そういうことでちゃんとメリットは果たせているというところを説明できれば、私はいいと思いますけれども。
【小池主査】  大変有意義な議論をさせていただきました。どうもありがとうございます。
 事務局はこの議論をまとめていただいて、このメンバーに回覧いただいて、一応、皆さんに目を通していただいて、それをもとに対処方針という形でいこうと。そうか、来週の頭じゃないと間に合わないような気もしますが、そういう方向でよろしいですか。
【事務局(平川)】  はい、わかりました。
【小池主査】  今日、ご議論いただいた内容を事務局でまとめていただいて、これをジュネーブでの2015年以降のGEOSSの検討に関するワーキンググループの議論にぜひ反映させていただきたいと思います。

 

議題3 リオ+20に関するGEOの取組みの結果について 
【小池主査】 最後の議題、議題3は、リオ+20に関するGEOの取り組みの結果です。6月に開催された会議の報告、資料8をご覧下さい。これは、私のほうからご報告申し上げます。
 大きく二つの取り組みをいたしまして、一つは、この成果文書、「The future we want」というドキュメントに対して、GEOの役割というものを明示的に書き込むということをやりました。
 結果は、3ページの下に表がございまして、1から6章まで、この「The future we want」というのは6章立てになっていますが、その6章のMeans of implementationのセクションB.Technologyというところに、274パラグラフというのがあります。これは、すみません、GEOSSのほうしか書いてありませんが、地球地図とGEOSSと共同のパラグラフでございまして、読んでいただければおわかりのように、global mappingというのが4行目にあります。the relevance of global mappingというのと、and recognizeとこうあって、下から1行目にthrough the Global Earth Observation System of Systemsという固有名詞も入って、こういうパラグラフが合意されたということで、大変よかったというふうに思います。
 もう一つの取り組みは、これはもちろん関連しているわけですが、サイド・イベントを実施いたしました。内容は2つでございまして、政策に関するパネルディスカッションをやりまして、本来、文部科学省、環境省の両大臣においでいただくことも考えておりましたが、ちょうど国会の大変なときで閣僚はおいでいただけませんでした。我が国からは、外務省の堀江地球環境問題担当大使においでいただき、大竹審議官、それからJAXAの本間理事、それから加藤文部科学統括官においでいただきまして、この政策パネルディスカッションを開催いたしました。
 2ページ目の右側がそのときの写真です。
 その政策パネルディスカッションでまとめられました成果文書が、最後のページ、別紙2にございまして、このドキュメントを採択して、このパネルディスカッションを終了しました。
 米国の次官補とカナダの次官補には参加いただき、本当はECのコミッショナーもおいでいただき、イタリアの環境大臣もおいでいただく予定ではございましたが、先ほどのような日本の事情があって、それに呼応する形でこういう形になりました。
 それから、2ページ目の(2)に展示がございまして、2ページ目の左側の写真の上下がありますが、こういうポスターを作成して展示をしました。これは、GEOSSの5つのテーマについて展示をし、そしてCEOSがその関連のテーマ、それから日本の国内の関連のテーマのポスターを、ここに書いてありますJAXA、JAMSTEC、東大、環境省、環境研、これは両方です、それから国土地理院、森林総研、産総研の皆さんと電話会議を頻繁にしながらデザインを決め、ポスターを制作していきました。
 それからJAXAは、JAXAが中心となってCEOSの中で色々、これも大変なコーディネーションをしていただきながらポスターをデザインし、A1のポスターがGEOでこうあるのですが、GEOの5つのテーマであるのですが、その間に、関連するテーマでCEOSと日本の国内の取り組みというのを交互に配置しながらポスターセッションをやりました。
 それと左側の下に、椅子に、このブースにみんな並んでいますが、昨年のイスタンブール以来、GEOのプレナリーでやって以来、これを続けていますが、ショートレクチャー・セッションをやりました。ほとんど満席で、色々な講師の方にお話をいただいて非常に盛況でありました。
 こういう活動が、先ほど執行委員会で各国の執行委員会が拍手で感謝されたというご報告がありましたが、最終的に、この成果文書に形となってあらわれて、皆さんのご支援の中でこれがうまくいったことを心からお礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 この議題の、リオ+20に関して何か質問等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、定刻になりました。最後に、事務局のほうから何かありますでしょうか。
【事務局(平川)】  先ほど小池主査からございましたとおり、議題2に関しましては、皆様からいただいたコメントのポイントをまとめたものを週明け展開することにします。それとは別途、議事録という形で、従来どおりの口語録を送らせていただきますので、また修正があればご指摘をお願いします。冒頭にも申し上げましたが、文部科学省のウェブページに掲載します。
 また事務連絡、毎度のことになりますが、旅費と手当の確認のための1枚紙をお手元にお配りしていますので、必要事項を記載の上、お帰りの際に事務局に提出をお願いします。
 本日の第15回の作業部会はこれにて終了とさせていただくということでよろしいでしょうか。次回のほうのご案内を主査からお願いいたします。
【小池主査】  はい、わかりました。
 11月の22日、23日には、ブラジルのイグアスの滝にて、GEOの本会合が開催されます。その前に、本会合の対処方針等を議論いただく作業部会を、開催したいと思います。本会合の展示に関しては、開催場所が遠方のため、工夫は必要ですが従来通り皆様のご協力をいただければ幸いです。
 では、これをもちまして全球地球観測システム作業部会、第15回の会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。

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