地球観測推進部会 全球地球観測システム作業部会(第7回) 議事録

1.日時

平成22年12月22日(水曜日) 14時~12時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. GEO北京会合の結果について(第20回GEO執行委員会、第7回GEO本会合、2010GEO閣僚級会合、アジアオセアニアコーカス会合)
  2. GEOSS委員会等の活動状況について
  3. 第5回GEOSSアジア太平洋シンポジウムについて
  4. その他

4.出席者

委員

小池主査 深澤主査代理 梶井委員 柴崎委員 高木委員 高薮委員 瀧澤委員 佃委員 福島委員 藤谷委員 本藏委員 山形委員

文部科学省

加藤審議官 田口環境エネルギー課長 福井環境エネルギー課推進官 他

5.議事録

 6.議事概要(敬称略)

小池主査の開会挨拶の後、事務局より、本部会の成立(過半数以上の全員参加)、並びに資料の確認の後、議題に沿って議論が行われた。なお小池主査より、一連の報告を受けた上でGEOSSの将来戦略について、その他の議題で議論し、委員それぞれから意見をいただく時間をとりたく、報告は簡潔にいただきたいとのコメントがあった。

議題(1)GEO北京会合の結果について

事務局より資料1に基づき説明を行った。主な内容は以下のとおり。

-第20回執行委員会

  • 中間評価の結果、長期戦略検討開始。のち程ご議論いただきたい。
  • データアクションプラン:4カテゴリーの確認。制約の少ないものから大きいものまで。
  • 新たな参加機関(3機関)の承認

-第7回本会合

  • 新規参加国の紹介。
  • 各国報告において、我が国より、GOSAT、ALOS等を用いた活動紹介並びにAPシンポの紹介。
  • データ共有アクションプラン-修正提案を含め承認された。
  • 全球森林観測イニシアティブ(GFOI)-新たな取り組みとして全球森林観測イニシアティブを進めるべく文書が受諾された。
  • GEO事務局長の後任選考プロセスが承認された。
  • 執行委員会メンバー国の承認。
  • 次回(2011年トルコ)、次々回会合(2012年ブラジル)の開催場所のアナウンスが行われた。

-2010年閣僚級会合

  • 我が国より林政務官が出席。
  • 北京宣言が採択-GCIが確立。データ共有アクションプランの推進。

-アジアオセアニア会合の結果

  • 執行委員会メンバーの確認が行われた。インドについては関心を示しつつも、明確な意志が示されず、現行体制の維持となった。

小池:資料P12(4)にあるが、GEOSS部会関係者を含む日本の関係者によりGEO.JP展示を実施。お礼とともに引きつづき続けて行きたいと考えている。

議題2-1 GEOSS Common Infrastructure(GCI)-Coordination Team報告

事務局より資料2-1に基づき説明を行った。我が国より、産総研の3名(関口、田中、小島)がメンバー。GCI(ポータル、クリアリングハウス)の選考作業を実施。結果が北京会合にて報告。データシェアリングタスクフォースからの要求等について議論すべく、1月にワシントンにおいてスコーピング会合開催予定。

小池:GEO事務局の岩男氏の多大な支援あり。ようやくできた、今頃できたという二つの見方。今後これを使ってデータ共有を進めて行く必要あり。

議題2-2 データ共有タスクフォースの今後の活動について

事務局より資料2-2に基づき説明を行った。北京会合で承認を受けたアクションプランの策定を実施。今後アクションプランの進捗をモニターすべくタスクフォースの活動期間が1年延長となった。1月ワシントンにてGCI調整チームと合同の会合を開催予定。

梶井:JAXAとしてはALOSへの要求が増えつつあり、ユーザーからの期待が大きいと認識。他方、宇宙戦略本部でデータポリシーを策定中であり、必ずしもGEOSSのデータ共有原則に合致しておらずジレンマのあるところ。

小池:北京会合の結果にもあるとおり、カテゴリー分けについて先の説明のとおり、制約のあるものも共有できるよう融通が利く形となっている。

議題2-3 データ構造委員会(ADC)に関する活動報告

ADC共同議長の柴崎委員より資料2-3に基づき説明を行った。新たにブラジルがADCに共同議長を送り込んでおり、次回会合は2月末からブラジルにて開催予定。GCI、ポータル、クリアリングハウスが一本化されたところ。今後、データ共有TFからの要求事項(配布制限の詳細追加。データの品質管理。利用者要件レジストリ-まだGCIへの組み込まれていない。)への対応が課題となっている。問題はコンテンツが少なく、現状データ登録待ちの状態であり、今後さまざまな観測ネットワーク、システムとつなぐ必要あり。

小池:ADC委員会そのものは仕事をする場所ではない。GEOはナショナルコミットメントで動く組織。日本がどうコミットして参加していくか、我が国主導でやる必要あり。

柴崎:ナショナルコミットメントをひき出すには、具体例を示さないと進まない。インキュベーション。道具はあるので、実例を作ることが肝要。

議題2-4 モニタリング及び評価作業部会(M&E WG)及び2011年評価チーム合同会合結果

M&E WGメンバーの深澤主査代理より資料2-4に基づき説明を行った。評価に用いる、2015年戦略目標をベースにしたパフォーマンスインディケーターの開発を実施中。エネルギーについて情報が欠如しており、今後、各コミュニティ、委員会等に照会予定。また、次回評価チーム(「構造」と「データ管理」)にJAXA五十嵐主任が参加。

小池:戦略目標をベースに指標が出来ているとのことだが、どのようにとりまとめるのか。GEOSS作業部会がインプットする機会はあるのか。

福島:タスクの中で議論し、提案することが出来るのか?

深澤:12/16に電話会議があり、今後関係コミュニティ、タスクリードにも照会される予定となっている。GEOSS作業部会からもインプットがあれば、盛り込むことは可能。

議題3 第5回GEOSSアジア太平洋シンポジウムについて

事務局より資料3に基づき説明を行った。3/16-18、東京(東京ステーションカンファレンス)で開催予定。初日は、全体会合、分科会の紹介。2日目に分科会を実施、3日目(半日)はまとめの全体会合を行う。

小池:主催はGEO、日本の拠出金を元に企画運営。企画は日本で実施。1-3回を日本で開催。4回目は、インドネシア・バリにて開催。水は、アジア水循環イニシアティブ(AWCI)、生態系は矢原九大教授がリーダーとなって立ち上げたアジア太平洋生物多様性観測ネットワーク(AP-BON、GEO-BONのアジア太平洋をカバー)、森林炭素トラッキングは山形委員、海洋生態系にいては深澤委員がとりまとめとなり、また柴崎委員よりADCの報告をいただく予定で、本作業部会のメンバーが中心となって開催するもの。各分科会の担当の委員からコメントをいただきたい。

山形:4年前FCTを開始したが、現在ではCOPの交渉も進んでMRVシステムの重要性が出ている。オペレーショナルな運用を目指した全球森林観測イニシアティブ(GFOI)が立ち上がってきており、新しいフェーズに入っていると認識。FCTでもデータ共有・利用が重要。ALOSについては制約があるとのことだが、FCTにおいてPALSARが期待されている。データ統合、分野連携が次のステップでありオペレーショナルシステムに向けた議論、調整を行いたい。

梶井:GEOのFCTについては当初の目的より、大きくなっており、条約を意識している。PALSARは運用中の衛星の中で最大規模かつ、中継衛星を介して、データ取得能力も大きい。

他方データポリシーの面で、対応しきれていない状況。GEO内で、商業衛星を使う動きもある。簡単に整理しきれず困っている現状。ALOS-PALSARを国としてどう使っていただくか課題と考える。

深澤:海洋というくくりが難しい。海洋酸性化、炭素循環、etc。AP-BONとも密接に関係あり。海洋データは、共有・公開が進んでいる。他方クリーンウォーターについては遅れている。この分野で共有と公開で何が出来るか検討したい。海洋ではデータベースが出来ている。アジアでまとめる場合、DIASをどう活用するか、提案できるようにしたい。先ほどの話でGEOにおいてインドの参加が積極的でないようだが、グローバル展開する点でインドは重要。海洋分野の共同議長にインドを招きたいと考えている。

小池:AP-BONについて、矢原九大教授が中心に調整。会合に合わせ、その前にAP-BONワークショップを開催予定。AWCIについて文科省支援のもと進めているところ。

本シンポジウムに関連して、4つお願いしたい。

1)参加予定が250名予定とあるが、幅広く国内関係者への参加を呼びかけて参加者を増やしていただきたい。

2)GEO.JP展示-会場に展示用のスペースを用意するとのこと。今回も多くの方に展示に参加いただきたい。

3)海外招聘者-本シンポジウムに合わせ、会合を開催する等して、海外からの招聘者を本シンポジウムにも参加できるようアレンジいただきたい。

4)第6回シンポジウム-海外展開を予定。候補となる国があれば、検討いただき、プリンシパルレベルの参加が実現するようご検討いただきたい。

議題4 その他

1)CEOS報告

梶井委員より資料4に基づき説明を行った。

小池:今後の戦略に関する議論に向けて、気候変動という焦点をあてていただいたと考える。GCOSとWCRPがWOAP(WCRP観測・同化パネル)というパネルを作っている。最近WCRP、WOAPの議長から、DIASに参加して欲しいとの依頼があった。来年10月にWCRPの会合がデンバーで開催予定。まだ引き受けると回答していないが、文科省と調整の上、対応していきたいと考えている。引き受ける際には、GEOSS作業部会が議論の場になるので、この場にもインプットしていきたい。

深澤:CEOSがGEOSSの小姑とあったが、GCOSは小姑の息子のようなもの。GCOSを実現するために、ICSU主導のサイエンスドライブのものが沢山ある。ベースが全球海洋データ同化実験(GODAE)、淡路先生など日本にも参加者が多い。またWCRPベースで動いているものも多数あり、総元締めはGCOSである。日本としてどう取り組んで行くのか、難しい。GCOSに関して何かあればお尋ねいただきたい。

小池:資料5の前に、将来戦略について議論をしたい。

福島:地図情報の分野に関して、長期的な世界の流れからみると、どの国でも地理情報を公開しており、共有の方法は多様であるが、全体としては徐々にオープンに動きつつあり、利用を促進する方向のように見える。国連の場でも議論しようかと言っている。欧州でもEU内でデータの共有化を図ろうとの動きあり。地球地図の今後5年程度の方向性としては、縮尺100万分の1のところを、25万にする方向であるが、国によっては安全保障上、出来ないところもある。制度論の議論が増えていくと考える。

藤谷:温暖化観測連携拠点に関して、設置から丸4年がたった。毎年報告書を出し、課題を抽出している。その課題についてワークショップを開催し、結果を推進部会に報告。実施方針に反映されているところ。フォローアップをどうするかが課題である。

連携施策についての課題。ファンドの確保。長期継続観測のための機関間連携が進んでいない。データ標準化はある程度進展。

本蔵:防災・地震に関して。この分野ではGEOの関心は低い。既にグローバルな地震観測網が確立し、データも公開・共有されている。現在の動きとしては、OECDのGlobal Earth Modelプロジェクトでモデルが作られている(日本もオブザーバ参加)。具体的にはいろいろ動いているが、GEOに反映していない。

JST-JICA地球規模課題(49課題)で、9件の防災案件を実施中。アジア、アフリカ、南米、欧州を対象。地震に関して、データ公開・共有は確立済み。地滑り、地震、氷河湖決壊、いずれも国内外問わず衛星データ、特にALOSへのニーズが高い。氷河湖観測については、近年、衛星利用により一新されようとしている。ALOSをもっと活用したい。

山形:森林については先ほどコメント済み。温暖化、森林減少による洪水といった適応などにおいて、GEOSSが政策決定ツールを目指すには、いま有るツール、情報を意志決定につなげるところを強化すべき。

佃:GEO-Grid、インフラを整備中。ボリュームの制約で流通させにくい代表が衛星データ。将来的にはペタスケールのデータを流通させる。現在、ASTERを使って、オンデマンドでDEMを作るシステムを開発中。衛星のみならず、地質学的データをGISを使って統合。国際レベルでは、IUGS(ICSU系の組織)が実施している、one geologyにおいて、アジアの部分をAISTがカバー。防災分野、地震・火山では出口を見せないと行政的に理解されない。防災、原発の立地の際のハザードマップ(評価)、地質学的な情報。ハザードに重点をおいた研究を進めていきたいと考えている。火山においても出口を見せることが重要。インフラとそれを使ったアプリケーションを見える形にしたい。

深澤:GCOSとGOOS。データが流通するのが当たり前になっている。二次利用がどうされているか、調査したところ、かなり利用されていた。重要なことは、リアルタイムで何が出るか、オンラインであることが必要。即時公開が求められる。気候変動及び予測可能性研究計画(CLIVAR = Climate Variability and Predictability Project:1998-2013年の15年計画)の先が重要。

瀧澤:GEOSSの今後について。継続観測、国際貢献、安全保障が重要と認識。そのなかの位置づけとしての観測という観点も大事。柴崎委員の報告にもあったが、データ登録へのインセンティブ、各国のGEOSS参加の強化が必要。WCRPのDIASへのアクセスなど日本の取り組みはすでに評価が高いと認識している。日本が成功事例を示すことが重要。

高薮:気候変動の観測について体系的な衛星観測が始まって30年が経つ。気象・気候分野では気候値ができるのに30年を要する。現在、衛星による気候の評価ができる状況となった。モデルにも取り込み、グローバルな気候変動に関する地球観測を強化することが、他分野に広がっていく。気候において衛星利用のメリットを示すことが重要。

高木:データの観点から、ウェブとGEOSSの整合が足りない。GEOSSをworld wide webにしていく必要あり。データリンク先しかないというのは不満足な状態。GEOSSにはWWWコンソーシアムが参画していない。KDDIは来年W3C(World Wide Web Consortium)に入会することになった。(GEOSS/Standard and Interoperability Forumメンバーとして)ハイパーリンクのみでつながる、標準化等進めていき、新しいアーキテクチャを作っていきたい。

柴崎:GEOSSのユニーク性はSBAを9つ掲げて取り組んでいる点。この点をPRすべき。データを流通させると、利用が進むと思われていたが、そうではなく、人やプロジェクトをつなげそれらをSBAにどう結びつけるかが重要。インキュベーターとして利用すべき。一つのコミュニティがやっていることは狭い。GEOはビジビリティがあるので、ステークホルダーを取り込んで行く必要あり。GEOの現在の予算では何も出来ないのが現状。

梶井:JAXAはGEOに深く関与。GEOはJAXAのカスタマーとの位置づけで待っているスタンス。日本の衛星をどう使っていくか議論をしていただく方向性を出していただきたい。

小池:柴崎委員の、インキュベーター利用は重要。気候の現在のモニタリングの強化。Webの本質的状況が関わってくる。安全保障、外交からどう使うか。

GEOSSは日本が作ったと言っても過言ではない。2005年に開始されたが、議論は2000年から始まった。もっと強いナショナルコミットを受けるにはどうしたら良いか。

気候―脆弱性の克服に衛星を使う等、SBAで取り組むのが良いのか。次の執行委員会は3/22-23。その前に日本の意見をまとめておくべく部会を開催したい。その前に、ボランタリーベースに議論の場を持ちたいと考えている

深澤:これはGEOSS作業部会、Global Earth Observationを考えるのであれば、親委員会の地球観測推進部会では。切り分けをしておきたい。

小池:GEOSSの将来戦略については、本作業部会で議論し、推進部会に報告することとしたい。

2)国内の地球観測システムの統合に向けた具体的な進め方について

事務局より資料5を元に説明を行った。本件は、8月の推進部会で議論されたもの。GCIが出来たとのことで、国内をとりまとめるべくデータ統合解析システムにメタデータを登録していく予定。

小池:メタデータ、いろいろな階層がある。浅いものから入れていき、広げていきたい。

福井推進官:事務連絡。

(終了)

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