資料1‐1 埋設処分業務の実施に関する計画について

第6回研究施設等廃棄物作業部会
平成21年8月20日
日本原子力研究開発機構

埋設処分業務の実施に関する計画の原子力機構法上の位置付け

○独立行政法人日本原子力研究開発機構法 第19条

 原子力機構は、埋設処分業務を行おうとするときは、基本方針に即して、埋設処分業務の実施に関する計画を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとする ときも、同様とする。
 2前項の計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一埋設処分業務の対象とする放射性廃棄物の種類及びその量の見込み
 二前号の放射性廃棄物の埋設処分を行う時期及びその量並びにこれに必要な埋設施設の規模及び能力に関する事項
 三埋設施設の設置に関する事項
 四埋設処分の実施の方法に関する事項
 五埋設処分業務の実施に関する収支計画及び資金計画
 六その他主務省令で定める事項
 3原子力機構は、第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その計画を公表しなければならない。

●基本方針の概要

1.はじめに

  • 研究施設等廃棄物の処分は、早急に取り組むべき重要な課題
  • 原子力機構は実施主体として主体的に業務を実施し、国は原子力機構と一体となって立地活動に取り組むなど、積極的に原子力機構を支援
  • 「安全の確保」、「事業の透明性及び信頼の確保」、「立地地域の理解と共生」、「発生者による応分の負担と協力」、「合理的な処分の実施」を基本

 ●実施計画に記載しようとする内容

  • 各発生事業所で保管管理されている研究施設等廃棄物について、原子力機構が実施主体として責任をもって埋設処分を確実に実施。
  • 国や原子力機構以外の発生者等の協力を得つつ、「安全の確保」、「事業の透明性及び信頼の確保」、「国民の理解と地域との共生」、「発生者による応分の負担と協力」、「合理的な処分の実施」に留意して事業を実施。

●基本方針の概要

2.埋設処分業務の対象とすべき放射性廃棄物の種類に関する事項

  • 原子力機構の業務で発生、及び外部から処分の委託を受けた低レベル放射性廃棄物を対象
  • 原子力機構は日本原燃と協力して、我が国全体で抜け落ちのない処分体制を構築
  • 当面、第一期事業においては、ピット処分またはトレンチ処分できるものを対象

 ●実施計画に記載しようとする内容

埋設処分業務の対象とする放射性廃棄物の種類

  • 埋設処分業務の対象とする研究施設等廃棄物は、最終処分法に基づき原子力発電環境整備機構(NUMO)の業務に属する地層処分が必要な高レベル放射性廃棄物等を除いた低レベル放射性廃棄物で、ピット処分、トレンチ処分及び余裕深度処分による処分が必要とされるもので、次に掲げるもの。
    →「機構廃棄物」:原子力機構の業務に伴い発生した放射性廃棄物
    →「受託廃棄物」:原子力機構以外の研究機関、大学、民間企業、医療機関等の原子力利用により発生した放射性廃棄物
  • 対象廃棄物については、我が国全体として抜け落ちなく、合理的・網羅的な埋設処分が可能となるよう、関係機関と密接に連携し柔軟に対応。

第一期事業において埋設処分業務の対象とする放射性廃棄物

  • 平成60年度までに発生が見込まれる対象廃棄物で、トレンチ、ピットによる埋設処分が可能なもの。
  • 余裕深度処分が必要となる放射性廃棄物は、合理的かつ効率的な処分が可能となるよう、国及び関係機関と連携協力して、処分のあり方について調整を進め、その結果を踏まえ具体化を図る。

対象廃棄物のうち第一期事業において埋設処分を行う量の見込み

  • 埋設対象廃棄物量の見込みについては、原子力機構による平成20年度の調査の結果、廃棄体約53万本。
  • 埋設対象廃棄物量の見込みは、原則、中期目標期間に合わせて定期的な調査を実施し、見直す。

第一期事業として放射性廃棄物の埋設処分を行う時期及びその量並びにこれに必要な埋設施設の規模及び能力

  • 第一期事業においては、環境調査段階、安全審査段階、施設の一部建設段階を含めた約8年間の初期建設期間を経て、操業を開始。
  • 操業期間は約50年間。この操業段階で、施設の増設・更新を行う。操業終了後、閉鎖段階として約3年間の最終覆土期間を設ける。その後の閉鎖後管理段階は、閉鎖後管理期間として、ピット処分が覆土後約300年間、トレンチ処分が覆土後約50年間を目安。
  • 埋設施設の規模は、廃棄体約60万本(ピット処分約22万本、トレンチ処分約38万本)に相当する規模。
  • 埋設施設の能力は、全操業期間の年平均で、ピット処分約4千本、トレンチ処分約8千本の埋設処分が可能な能力。

●基本方針の概要

3.埋設施設の設置に関する事項

◆埋設処分地の選定

  • 立地の選定は、手続きの透明性を確保し、公正な選定を実施
  • 原子力機構は、実施計画において選定手順及び基準を明確化・公表した上で立地を選定
  • 立地地域の自治体の了解を得る

◆立地地域住民及び国民の理解と協力、立地地域との共生

  • 積極的な情報公開に努め、広聴・広報活動を充実。国民の懸念や不安に的確に対応するための相談・情報発信体制を整備
  • 原子力機構の研究開発能力の活用の可能性も含め、持続的な活性化につながる方策を検討

●実施計画に記載しようとする内容

埋設施設の設置に関する事項

  • 埋設事業を円滑かつ確実に推進するため、国と一体となって、原子力機構以外の発生者等の協力も得つつ、埋設施設の立地のために必要な活動に取り組む。

立地基準と立地手順の策定

  • 立地地点の選定については手続きの透明性確保、公正な選定を基本とする。
  • 立地基準及び立地手順は、概念設計の結果等に基づいて得られる客観的な技術的及び経済的な根拠、並びに社会的要件等を踏まえて策定し、公表。
  • 個別地点を対象にした活動については、公正な立地選定の観点から、立地基準及び立地手順を明確に定めた実施計画の変更認可を受けた後に着手。

国民の理解

  • 埋設事業の必要性、安全確保の取組み等について国民全般へ情報を発信。
  • 一元的な相談・情報発信を行う窓口を設置し、対応。

地域との共生

  • 国及び原子力機構以外の発生者等の協力を得つつ、立地地域の持続的な活性化等につながる方策を講じる。また、原子力機構の研究開発機関としての特徴を活かした方策についても検討。

●基本方針の概要

4.埋設処分の実施の方法に関する事項

◆埋設処分の方法、事業運営

  • 第一期事業では、ピット処分及びトレンチ処分を実施
  • 必要な人員を配置し、十分な教育・訓練を実施。情報公開とコンプライアンスを徹底
  • 安全規制の整備の進ちょくに適切に対応。関係者のニーズの把握と連携協力を推進

●実施計画に記載しようとする内容

埋設処分の方法

  • 第一期事業における埋設処分は、原子力委員会、原子力安全委員会及び規制当局における研究施設等廃棄物の埋設処分に係る検討結果を踏まえ、廃棄体に含まれる放射性核種の種類や放射能濃度、廃棄体の性状等に応じ、ピット処分及びトレンチ処分を実施。

埋設施設の構成

  • 埋設施設は、廃棄物埋設地とその他附属施設(廃棄体受入・検査施設、一般管理棟等)から構成。

埋設処分の手順

  • ピット処分及びトレンチ処分の基本的な手順を記載。両埋設地及び埋設設備については、埋設処分の進ちょくに応じて、順次設置。

事業運営

  • 埋設事業に従事する従業員については、各段階において安全かつ効率的に実施していくために必要な人員を確保。
  • 埋設事業に従事する者については、十分な教育・訓練を実施。
  • 社会の信頼を得て事業が進められるよう、コンプライアンス(法令遵守)の徹底に努める。
  • 埋設事業の独立性、透明性を確保するため、埋設事業に係る経理については、一般勘定または電源利用勘定において行う原子力機構の事業と厳正に区分して、適切に管理を実施。
  • 「機構廃棄物」を埋設処分するために必要な額を、毎事業年度、一般勘定及び電源利用勘定から埋設処分業務勘定に繰り入れる。原子力機構以外の発生者から埋設処分の受託に伴って受け取った資金は、直接、埋設処分業務勘定の収入とする。これら埋設処分業務勘定の資金は、確実に埋設事業に充てる。
  • 埋設事業を確実に実施していくため、安全規制の整備の進ちょくに適切に対応。
  • 埋設事業については、安全を十分に確保した上で、最新の技術的知見を最大限に活用して合理的な方法により埋設事業を展開できるよう、埋設事業の計画について必要な見直しを実施。
  • 低レベル放射性廃棄物の処理処分に係る技術開発の成果を埋設事業に反映。
  • 埋設事業の進ちょく状況に応じて、原子力機構以外の発生者に対して、進ちょく状況を周知・説明するとともに、原子力機構以外の廃棄物発生者を含めた関係者のニーズの把握に努める。
  • 原子力機構以外の発生者に対して、実施計画の策定、埋設事業許可申請、年度計画の策定、廃棄体確認申請等に必要な廃棄物発生者の廃棄体の種類、数量、放射能等に係る情報の提供・協力を要請。
  • 発生者と廃棄体確認の際に必要となる、廃棄体の内容に関する情報を共有。
  • 発生者等からの問い合わせに対して適宜、技術的助言、協力等を実施。

●基本方針の概要

5.資金計画に関する事項

  • 資金計画の策定、必要な資金の確保及び適正な管理
  • 物量調査に基づき総事業費を見積り、資金計画等を策定・公表。公正かつ合理的な処分単価を設定
  • 必要な経費を計画的に措置し、独立した処分勘定で管理

●実施計画に記載しようとする内容

埋設処分業務の総費用

  • 埋設処分業務の総費用は、第一期事業として対象廃棄物の埋設処分を行う時期及びその量等に基づき算定する。
  • 総費用は、将来の物価変動、埋設事業の進ちょく状況等を反映するため、定期的に見直しを実施。
  • 総費用は、先行事例等を参考に暫定的に約2千億円とする。概念設計の結果に基づき今後見直す。

収支計画及び資金計画

  • 総費用(暫定額)に基づき、当面の間の収支計画及び資金計画を示す。

埋設処分業務勘定への繰入金額

  • 省令に定める算定方法、告示に定める放射性廃棄物の発生に係る期間の区分にて繰入金額を算定し、繰入れ。その繰入金額は年度計画において示す。

受託処分

  • 原子力機構以外の発生者から処分の委託を受ける際、受託契約を締結し、受託料金の支払を受ける。

資金の適正な管理

  • 資金並びに受託料金収入は、埋設処分業務勘定において適切に管理。
  • 決算は、毎年度、独立行政法人会計基準や原子力機構が定める規定等に基づき独立して行う。
  • 埋設処分業務勘定への繰入金額の算定は、原子力機構が定める規定等に基づき行う。

●基本方針の概要

6.その他埋設処分業務の実施に関する重要事項

◆安全の確保
◆廃棄物の発生段階での対応

  • 発生者は廃棄物量の低減に努め、適切に廃棄物を分類・管理。国は定期的に保管量等を把握

◆輸送・処理に係る体系的な対応、放射性廃棄物の低減や安全性向上のための研究開発の推進
◆年度計画の策定と実施状況の評価

●実施計画に記載しようとする内容

安全の確保

  • 原子力機構は、埋設事業の遂行にあたっては、関係法令を遵守し、安全の確保を最優先で進める。その際、埋設施設に起因する放射線などから、周辺監視区域外の一般公衆及び放射線業務従事者等が十分安全に防護されるように放射線防護対策を講ずる。埋設施設の建設、操業にあたっては、埋設施設及びその周辺に十分配慮した環境保全のための適切な措置を講ずる。
  • 原子力機構は、埋設事業に従事する者に対して、埋設施設における安全管理に関する十分な教育・訓練を施す。
  • 原子力機構は、多種多様な研究施設等廃棄物の埋設処分が、合理的で適切な安全対策の下に実施されるよう、安全規制当局に対して適切に情報を提供。

廃棄物の発生段階での対応

  • 「放射性廃棄物最小化の原則」に基づき、放射性廃棄物の発生量を可能な限り低減するように努めるとともに、適切に廃棄物の分類・管理を実施。

輸送、処理等の体系的な対応

  • 「機構廃棄物」については、必要に応じて原子力機構が廃棄体化処理を行い、法令に基づき、廃棄体確認の上、陸上輸送、海上輸送又はこれらを組み合わせた方法によって埋設施設まで輸送。
  • 「受託廃棄物」については、原子力機構以外の発生者の責任において、必要に応じて廃棄体化処理を行い、廃棄体確認の上、埋設施設まで輸送。
  • 輸送、処理等が体系的かつ合理的に行われるよう、国及び関係機関と連携・協力し、十分な調整を図る。

放射性廃棄物の低減や安全性向上のための研究開発の推進

  • 埋設処分の安全性、経済性及び効率性の向上等を目的として、継続的に技術開発・研究開発を実施。

年度計画の作成と実施状況の評価

  • 毎事業年度、実施計画に基づいて当該事業年度に実施する埋設処分業務に関する年度計画を作成し、公表。
  • 年度計画に記載する事項は、当該事業年度の実施業務内容、予算、収支計画、資金計画等。
  • 年度計画の評価を行い、その結果を公表。

お問合せ先

研究開発局原子力計画課放射性廃棄物企画室

(研究開発局原子力計画課放射性廃棄物企画室)