原子力分野の研究開発に関する委員会 研究施設等廃棄物作業部会(第2回) 議事録

1.日時

平成20年7月3日(金曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. 法案成立の経緯及び当面のスケジュールについて(文部科学省)
  2. 原子力機構の取組状況について(原子力機構)
  3. 日本原燃株式会社低レベル放射性廃棄物埋設センターの状況について(日本原燃株式会社)
  4. 処分事業推進のための論点整理について(文部科学省)
  5. 埋設処分業務の実施に関する基本方針骨子案について(文部科学省)
  6. その他

4.出席者

委員

山名主査、石榑委員、織委員、五味委員、佐々木委員、柴田委員、東嶋委員、中西委員、野口委員、平山委員、三代委員、森委員、山内委員

文部科学省

山野原子力計画課長、次田原子力計画課長補佐

5.議事録

【山名主査】
 
定刻になりましたので、第2回研究施設等廃棄物作業部会を開催いたします。それでは、本日の議題や配付資料につきまして事務局のほうから説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 議事次第に従い、本日は、法案成立の経緯・原子力機構の取組状況・日本原燃株式会社の状況について説明した後、メインテーマであります基本方針の骨子案についてご議論いただければと思います。
 また、配付資料につきましては、1から5と参考を入れてあります。過不足がありましたら、その都度言っていただければ適宜対応したいと思います。

【山名主査】
 配付資料等がよろしいようでしたら、最初の議題であります「法案成立の経緯及び当面のスケジュールについて」の報告に入りたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 資料1でございますが、この通常国会におきまして法律が成立しました。法律の内容としては、原子力機構を研究施設等廃棄物処分の実施主体にするというものでございまして、4月17日に衆議院可決、5月28日に参議院可決、6月6日に公布されております。
 次に、今後のスケジュールでございますが、現在、政省令を整備すべく準備しているところで、9月1日に施行という前提で作業をしているところでございます。9月1日以降、これらの法令が施行されるということでございます。
 その後、まず、国が基本方針を定めることになっており、本日はその基本方針の骨子案についてご審議いただいて、そのコメントも踏まえながら原案を作成して、さらに1、2回作業部会でご審議いただいた後、パブリックコメントを経て、なるべく早く策定したいと考えております。
 基本方針を策定しますと、それを受けまして、次は原子力機構が実施計画を定めることになっております。実施計画につきましても、適宜作業部会で御意見をいただきながら、主務大臣が認可ということで作業をしていきたいと考えております。当面の流れとしては以上でございます。

【山名主査】
 それでは、ただいまの説明に対して何かご質問、ご意見等ありましたらお願いいたします。おおむねスケジュールとしてはご了解いただいたと思ってよろしいでしょうか。特にご意見がございませんようですので、このスケジュールに従って今後パブリックコメント等に進んでいくということでお願いいたします。
 それでは、議題2に入りますが、「原子力機構の取組状況について」、原子力機構理事であられます三代委員より説明をお願いいたします。

【三代委員】
 それでは、資料2に基づいて、原子力機構が行うこの法律に関する事業についてご説明させていただきたいと思います。
 それでは、最初の項目、スケジュールでございます。
 先ほど、山野課長から説明がありましたように、9月1日に改正原子力機構法施行が予定されており、基本方針が早期に準備されるということでございます。原子力機構といたしましては、処分業務を実施するという観点から、今後事業計画を作成していくときに必要な廃棄物の物量がどのくらいになるのか、関係者の方々がこのプロジェクトに対してどのような協力あるいは費用負担をしていただけるか、そういう意思の確認作業を7月中旬ぐらいをめどにやっていきたいと考えております。これらに基づいて事業内容や費用がどのくらいになるかということを計算いたしまして、実施計画案を作成し、作業部会でも審議いただきながら、早急に決めていきたいと思っております。
 次に実施体制でございますが、原子力機構の構成といたしまして、いろんな分野にわたり研究開発を行っております。それから、拠点というのが全国にありまして、各拠点では設備の維持、地元自治体との連携を進めております。このような中で、今回の処分事業をどのような体制で行っていかを中で議論したわけでございますけれども、まずは、バックエンド推進部門に埋設事業推進部というのを設けました。現在は埋設事業推進部の3つの課において、それぞれ検討作業を行っているところでございます。
 なお、部門というのは、いわゆる研究者の集まりでございまして、なるべくフラットな組織ということで自由闊達な研究開発をしていただくような体制になっているわけでございますけれども、今回の処分事業については、やはりライン業務が必要ということで、異例ではありますが、部門の中に埋設事業推進部長、3課長体制という形をとっております。具体的な業務としては、埋設処分に係る事業計画、立地推進、処分施設の設計に係る技術開発の実施という作業をやっております。
 次に埋設事業の概要でございますが、簡単に申し上げますと、埋設処分物量が平成60年度末までに想定される埋設処分物量、約53万本と計算されております。これは平成19年12月末現在の数字でございます。これらがそれぞれコンクリートピット処分とトレンチ処分に区分されます。内訳としましては、53万本のうち原子力機構が43万本、その他が約10万本ということで、約8割が原子力機構の発生量となるわけでございます。
 ちなみに、この廃棄体というのは処分できるような形態に処理したものでございまして、現在保管されている廃棄物というのはほとんど廃棄体となる前の生の状態となっておりまして、現在約55万本となっております。原子力機構だけでも約35万本持っているわけでございますが、これらの処分を行うことが研究開発を円滑に進める上で喫緊の課題になっているということでございます。
 次に、処分に要する費用でございますが、これは、今後より詳細に検討する必要がありますけれども、コンクリートピット処分費用、トレンチ処分費用合わせて約2,000億円。原子力機構の分としては約1,700億円ぐらいになるということでございます。
 また、埋設事業スケジュールとしましては、地元合意が得られてから、処分事業が始まるまで約8年から9年かかるということで、早く地元合意が得られるという前提でございますけれども、平成30年ごろと考えております。
 なお、この処分事業というのは約50年操業することとなりますが、その後、トレンチ処分で約50年間、ピット処分では約300年間を目安として段階管理を行うという形になっております。
 次に、埋設処分事業費用の積算の考え方とありますけれども、先ほど申し上げた約2,000億円という総事業費用をできるだけ詳細に詰める必要があるわけですが、環境調査費などを設定するとともに、用地取得費、建設費、年間操業費、最後の数百年にわたる段階管理費用、こういうものを算定する必要があります。そのためには、年間廃棄体受入数量、全体でどれだけの廃棄体が出てくるかというのを計算する必要があるわけです。こういう作業を関係者の皆様方と一緒になってこれから検討していって、この作業部会に提出する形になると思います。
 また、現在の物量というのは平成60年までの廃棄物の量を前提としておりますが、今後いろいろな要因によって数量が変動する可能性があり、また、建設費とか操業費が最初の想定から変わってくる可能性があるということあり、このような総事業費の見直しがあった場合どうするかということもこれから大きな検討課題になると考えております。
 それから、「低レベル放射性廃棄物の処理等への取組み」ということで、茨城地区における合理的な処理の例ということで、原子力機構の中で考えている資料を付けてございます。
 先ほど、原子力機構は日本全国にいろいろな拠点があると申し上げましたけれども、今現在の廃棄物の発生量というのはやはり茨城地区、これは東海と大洗でありますが、これが大部分を占めておりまして、原子力機構全体の約9割を占めてございます。ただ、将来的なことを考えますと、例えば福井県にあります「ふげん」はもう既に解体の認可がおりておりますけれども、「ふげん」であるとか「もんじゅ」の解体時期が来た場合には、他の拠点での量も増えてくるということになります。
 原子力機構というのは平成17年に設立したわけでございますけれども、そのときにどのくらいの廃止措置、廃棄物の処理、処分にお金がかかるだろうかというのを計算した経緯がございます。そのときには全体で約2兆円かかるだろうと想定されたわけですけれども、その内訳としては、約6,000億円が廃止措置に、6,000億円が処理に、それから、実際に埋めるための費用が約6,000億円、輸送に2,000億円ということで合計2兆円。今回の処分事業というのは、その埋設費用6,000億円の中の2,000億円に相当すると理解していただければ幸いでございます。
 そして、原子力科学研究所、核燃料サイクル工学研究所、大洗研究開発センターにある原子力機構全体の約9割の廃棄物を廃棄体にするための施設を4つ整備していくことを考えております。このうち、現在あるのは高減容処理施設のみでございまして、今後、TRUの低線量系、TRUの高線量系、固体廃棄物減容処理施設の3つの施設を東海地区に整備していくことが必要であると考えております。
 現在、大洗の固体廃棄物減容処理施設について認可を申請しているところでございます。それぞれ施設の建設費用は、100億円から数百億円かかるということで、独立行政法人の厳しい予算の中でこのような施設を整備するために機構の中でもいろいろと苦労しているところでございます。
 また、配付資料といたしまして、「研究施設等廃棄物の埋設処分への取り組み」というパンフレットを同封させていただいております。これから処分事業を進めていくということで、1冊目として関係者の方々に配付しているところでございます。
 以上、簡単でございますけれども、ご紹介させていただきました。

【山名主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関して、質問やご意見等ありましたらお願いいたします。

【石榑委員】
 「実施計画策定までのスケジュール」の中の「廃棄物の物量と処分委託意思の確認」について、これは7月中旬ということでそんなに日にちがないわけですが、これは機構と委託契約を結ぶ相手に対して何本廃棄体が出てきますかということを調査されて、それを委託する意思がありますかということを確認されるという理解でよろしいですか。
 ついでに申し上げますと、国会の議論の課程で調査されて私どもも生廃棄物の物量と最終的な想定される廃棄体の換算量という数値をトレンチとコンクリーントピットに分けて出しているわけですが、それとの関係はどういうことになりますかというのが質問です。

【山名主査】
 三代委員、お願いします。

【三代委員】
 これは、各関係者の方々とこれからいろいろ検討していかなければならないと思いますが、実施計画を作成する上で、皆さん方がどれだけの発生量を出すのか、処分場にどれだけ持ってきていただけるのか、そこを確認して事業を進めていくことが必要になります。そのため、原子力機構に何本処分を将来委託するかという意思を表明していただく必要があります。これが契約という形になるかどうかはこれから議論していかなくてはいけないと思いますけれども、そこをしっかりしていかないと実施計画が不明確なものとなってしまいますので、そこを決めていきたいと考えております。

【石榑委員】
 もう少し踏み込んで申しますと、例えば今回の調査の数値が最終的にどういうふうに取り扱われたのかは私どもよく知らないわけですが、例えば国会議員の方などへこの数値が渡っているかどうかは知りませんけれども、もしそういうことが仮にあったとしますと、この数値にとらわれる必要はないのでしょうかという質問です。

【山名主査】
 文科省のほうからお願いします。

【山野原子力計画課長】
 最近もう一度調査をして、三代委員の説明にあったように総量が53万本、総事業費が2,000億というのをつくったわけです。それを具体的に今後はオフィシャルに原子力機構が実施計画をつくって、国が認可するということですから、そこでより正確性を高めていくという作業をしていかなければならないということです。今までの流れの中で再確認して同じであれば同じでもいいし、変わるところがあれば変えて、より正確にしていく方向で柔軟に直せばいいのではないでしょうか。ただ、柔軟に直したとしても、先ほどの53万本から大きくずれることはないのではないかとは思っていますが、より正確に見込みをするという作業を行うというイメージでございます。

【山名主査】
 石榑委員、よろしゅうございますか。

【石榑委員】
 特にこだわらなくてもよろしいと。だけれども大幅には違わないであろうという解釈でよろしいですか。

【山野原子力計画課長】
 と思っております。2、3カ月前にやった調査ですから。

【山名主査】
 7月中旬といえばもうすぐですが、再調査はないということですね。

【三代委員】
 ここで大事なことは、今これからいろいろな費用を計算していくわけですけれども、処分の費用を計算する上で、この事業に対してどれだけ廃棄物を出していただけるのかということを確認しておかないとならない。例えるとこれからマンションをつくるときに何人お客さんが入ってくれるのだろうかということを知らないでマンションをつくるわけにもいかないので、意思を確認していくという作業でございます。当然、その後には費用負担をどうするかという話にもつながってくると思います。

【山名主査】
 中西委員。

【中西委員】
 この前出られなかったので、私、理解がまだ足りないのですけれども、この廃棄物の中身というのはどういうものなのでしょうか。RIそのものよりも、例えば手袋とか、コンクリートとかが多いのでしょうか。その辺の中身を知りたいのです。

【三代委員】
 そういう形になるでしょうか。

【山野原子力計画課長】
 基本的にはRIそのものを捨てるというのはあまりないと思っております。当然、今までも東大にも調査をして、何本出てきますか、今何本持っていますかと調べた上での積み上げです。ですから、一番多いのは、RIを使っている現場で発生する、平時であれば手袋などではなかろうかと思います。

【中西委員】
 私が伺いたかったのは核種で、例えばリン32も2週間しか半減期がないのですけれども、もう全く放射性出なくなっているといいますか、測っても絶対に検出もできないぐらいのものも全部集めて、それが大学の研究所から相当な量ですね。そうしますと、何本あるといっても、集めたからには、どういう核種がどれくらいあるかというデータがないと、科学的に後から追跡もできないですし、管理もできないと思いますので、そういう内訳はどういうふうになっているのでしょうか。

【山名主査】
 三代委員。

【三代委員】
 それは今、RI協会のほうに出しておられる廃棄物ではなくて、今大学で持っておられるでしょうか。

【中西委員】
 両方ともです。今回は何が対象なのか教えてほしいです。

【山野原子力計画課長】
 ですから、今調べておりますのは、RIでいえば放射線障害防止法とか、一部は医療法が係っているものもありますが、そういう中で放射性廃棄物として保管しているものすべてです。将来的にはRIのクリアランス制度ができてくれば、当然このテリトリーの外になっていくということも見込みながら事業展開をしていくのですが、とりあえず今はそれぞれ各事業所に聞いていますのは、今まさに原子力の放射性廃棄物として扱われて保管しているものはすべて入っていると思います。

【中西委員】
 今どこにあるかわからないけれども、これから研究所などで発生するかもしれないものが含まれているということでしょうか。何を指して53万本と言っているのでしょうか、中身がよく理解できないところもあって教えてほしいのですが。

【山野原子力計画課長】
 その調査は、RI協会を通じてとかいろんなルートがあるのですが、東大の然るべき部署に連絡して、東大全体で何本持っていますかというのは全部調べています。

【中西委員】
 では、どういう核種だというのも全部わかっているわけですね。どれぐらいあるか。

【山野原子力計画課長】
 我々が聞いたのは、原子炉等規制法や障害防止法の規制の下にあって、放射性廃棄物として保管している廃棄物、そういうカテゴリーで調べています。調査票の中では、主な核種は何ですかという項目もありますけれども、それをこと細かには分類していません。

【中西委員】
 石榑先生が先ほど聞かれたように、本数が大幅に変わる可能性も出ると思うのですが。短半減期のものとか、そこら辺は加味されているのでしょうか。

【三代委員】
 先ほど、本数を費用の計算に使うと申し上げましたが、本数が変わってくることは将来当然あるでしょう。廃棄物がいろんなところから増えてくるときもあるでしょうし、また、処理方法が変わってきたら減ってくることもあると考えております。現時点でもどういうものを持っているかというのは分かったとしても、それが廃棄体の本数が何本になるかというのはいろんな計算をしてみないと出てこないわけです。仮定を置いて、その仮定が変わってくるということも将来起こり得る。基準が決まって、クリアランスであるとか、あるいは濃度上限値などが決まってくるといろいろ変わってくると思います。

【中西委員】
 きちんとした計画を立てるには、やっぱりすべての場合を考えて、中のデータがきちんと調査されていないといけないと思うのですが。

【三代委員】
 今現在わかっている数値をベースに事業計画を立てるしかないと思います。原子力機構の中でも、持っているドラム缶を全部調べて、核種まで全部わかっているかというと、これは膨大な調査になりますので。

【石榑委員】
 私が質問したのは、今一応本数の調査で来ているのは、トレンチ処分とコンクリートピット処分ですが、それをピット処分に振り分けるのか、トレンチ処分に振り分けるのかというところは必ずしも明確ではありません。濃度上限値という話がたしかこの後で出てくると思いますけれども、それがまだ今のところ決まっていないとかそういうようなことがありますから、トータルの本数は、過去のものについては多少変わると思います。将来は、どんどんRIの利用なんて変わってきますから、それはわからない部分は大いにあるのですが、過去の部分についても振り分けをどうするかというところが今まだはっきりしていないのが事実だと思いますから、そこはどうするのかなという質問です。

【織委員】
 私も前回欠席してまったので、ちょっと素人的な質問になりますが、総事業費用2,000億円というのが国民に示されることになってくると思うのですが、その場合、振り分けは先ほどおっしゃったように、コンクリートピットの処分費用のほうが高い、トレンチ処分のほうが少ないということになってくると、やはりおっしゃるように、ここの振り分けですとか、そういったものによっても変わってくると思いますし、そもそもコンクリートピット処分費用、トレンチ処分費用の根拠が諸外国等と比べてどういうものなのかとか、あるいはどういう妥当なところでこの計算値が出されているかという、そういう資料がわかりやすい形であわせて提供されるというふうに理解してよろしいでしょうか。

【山野原子力計画課長】
 今、原子炉等規制法の世界では、それぞれ核種で濃度が決まっていまして、ここからここであればトレンチ、ここからここであればピットとか、極端に言うと、ここからこれ以下であれば、要はクリアランスで放射性廃棄物じゃなくていいですよという決まりがあります。それをもとにそういうことも書いた上で調査票をつくって、関係機関に、今何本あって、今後40年ぐらいでどれぐらい出てきますかという調査をしました。けれども、今後のそういう技術の進展に応じて、物量がちょっと変わるというのは臨機応変に、今後、直していくということだと思います。当初計画としてどれぐらいかという見積もりで、今2,000億といったのは、まさに2月ぐらいに最新の調査としたときの、言葉がいいかどうかわかりませんが、ある意味、シミュレーションだったわけです。それを今後正式な事業計画に落としていこうとすれば、再度機構でより精緻な調査をして、それである程度将来を見込んで、こういう前提のもとにある程度割り切った上でこれぐらいだということを決めていくものだと思います。
 将来的には、例えば技術の進歩に応じて、例えば放射線障害防止法のRIの世界でもクリアランスが出てくれば当然減っていくでしょうし、そういう節目で直すべきところは直していくものだと思います。当初は、ある程度そういう一定の基準を示した上で、これに入ってくるのはどれぐらいですかということを聞いてまとめたということです。

【山名主査】
 よろしゅうございますか。いずれにせよ、この事業費用の積算というのは7月下旬にやりますので、これについて機構のほうから実施計画として一度ご説明いただけるというふうに理解しておりますが。

【三代委員】
 積算についてはまた別途ご説明します。

【山名主査】
 それから、中西委員がおっしゃった大学ですね。大学という組織は昔の情報がなかったり、あるいは短半減期のものがあったり、今後、将来予想される廃止措置みたいなことがありまして、大学において、それぞれの責任である判断をして、ここに数字を出していかないと事が始まらないわけです。ですから、うちは分からないからといって出さないわけにいかないですから、これはそれぞれの事業所の責任で、ある程度の仮定をおいて算出していくということは求められると思うんです。7月中にそういうことがあるということになると思います。

【森委員】
 今、山名さんがおっしゃった2月の調査、実態的には私どもがやりまして、原子力規制法に係る廃棄物ですけれども、それぞれの区分ごとのデータを全部集めました。全国で80事業者、事業所としては100事業所ございまして、それに係る情報を全部入手させていただきました。その中には、もちろん大学あるいは国の研究機関、民間もございます。そういうことで、それ以降、若干2、3カ月たっていますので、プラスデータが出てきているかもわかりませんけれども、現実的にはかなり精度のいいものが出てきているなと思っております。

【中西委員】
 8割、9割は原子力研究所の中のということを先ほど言われたので、自分のところで随分精査されているかなと思ったものですから。

【山名主査】
 この点について、ほかに何かご意見等はございませんか。

【佐々木委員】
 今の機構のほうから状況について説明を受けましたが、この場では、これを単にお聞きするだけでいいのですか。どういうふうに扱うかわかりかねるところがある。特にこの資料の中で「費用」の問題ですが、「平成60年度末までに総事業費2,000億円」というのが出ている一方で、6ページを拝見すると、これもブレークダウンしたというか、もう少し具体的に「建設費」とか「環境調査」、「操業」にかかわるところ等々いろいろ出てきますが、このあたりのそれぞれの四角の枠がたくさんありますが、本来であれば、この四角の枠のそれぞれについてのより詳細な数値というものがあるべきだと思います。この見積もりの仕方はこういうような方法でやったと書いてありますけれども、見積もりを積み上げた結果が大体2,000億になりますという説明になると思うのですが、その詳細が示されていない。
 関連して、こちらの(別の)パンフレットを見ると、「環境調査約3年」とあり、「操業約50年」とあり、ここまで見ると、60年ぐらいと思うのですが、段階管理はモニタリング等々なのでしょうけれども、これが物によって50年から300年とありますよね。これの費用も当然かかるだろうと思うのですが、今ご説明していただいた資料の6ページの費用の積算の一番右に「段階管理費用の算定」というのがあり、これも総事業費用に入っているわけですが、これは平成60年までですし、この50年から300年にわたるようなモニタリングの費用を2,000億円の中に入っていないものがあるのではないかと思うのですが。詳細資料の中で費用が大体振り分けられて細かいものが出ていれば、ある程度検討はつくかも分かりません。その辺が分かりかねるという点が一つ。
 もう一つは、先ほどのご説明の中で、費用の見直しの議論が当然起こるだろうと。今後いろいろ環境が変わったりしますから、技術の革新があるかもしれない。それは当然のことで、そういうときに、あらかじめどういうような状況に至ったら、当初の見積もりも見直すのですよというようなルールとか条件というものをできるだけ早い段階でルール化しておいたほうがいいと思います。現実に起こってから見直しをやるかやらないか議論するというのはあまり得策ではない。事前にルールは早目に決めておいたほうがいい。これは高レベルの場合でも同じような問題はいろいろ議論したことがありますから。その辺のところを参考にしながらお作りになったほうがいいということが一つ。
 もう一つ思ったのは、この2,000億円以外に「追加費用」とか、「それ以外のもの」はどういうものがあり、資料のどこで出てくるのか、その辺のことも教えていただきたい。
 最後に、今日はこれから「基本方針の案」が出るわけですね。それに基づいて機構は計画をつくる。その計画に基づいて現実に事業を機構は始めるわけですね。ところが、それが何年かしたときに、国が事業評価をしますよね。それは、計画に基づいて事業「評価」をするわけね。それはスケジュールからいうと、どういうふうになるのでしょうか。その辺も教えていただきたい。

【山名主査】
 幾つかご質問がありましたが、順を追ってお答えいただきたいと思います。まず、積算の考え方、内訳について、実施計画の案の段階で詳細に審議をするかどうか。では、山野課長のほうから。

【山野原子力計画課長】
 まず、積算の考え方ですが、大きな流れでいいますと、この作業部会の前の段階の作業部会、2年前ぐらいになりますが、あのときもあの時点でのシミュレーションをして、たしか当時は2,000億よりちょっと多かったのではないかと思いますが、それと同じような考え方で今回積算をして、2,000億となっていて、適当に出したわけではなく、例えば今日の資料に対応すれば、その建設費がそのうち幾らとか、総事業費が幾らとか、300年間の何かが幾らとか、それも当然入っています。入った上で全体を積み上げて、大体2,000億だということです。
 その最新版は、またこれから機構が実施計画を作成する際に用意するわけで、そのときには総額だけじゃなくて、バックデータとか基本的な考え方、大筋はおそらく2年前に議論したような考え方だと思います。ただ、当時入っていないような項目でお金が要るようなものがあり得るので、そういうものについても最新情報で、より良い方向に直すところは直すということですが、そういうことをした上で作るということです。
 前回の作業部会で議論した際に、1枚紙ぐらいだったと思いますが、2,000億の内数みたいなものを出したと思います。恐らくそういうことを機構がもっと精緻にやって、それが実施計画の中のまずベースになるものですから、そこはきちんと評価されると思います。
 それと、今後の基本計画をつくって、実施計画をつくってということですから、状況の変化に応じて直すところは直していかなければいけないということになろうかと思います。どういうタイミングで、どういうことが大きく変われば見直しをするとか、どういう観点から毎年の評価をするかとか、そういうことは、今後基本方針をどう作るかとか、実施計画をどう作るかにも関係してくると思います。
 例えば、基本方針の中で、こういう観点から評価しますということをきちんと書けばそういうことにもできますし、そこは臨機応変に対応することになると思います。

【山名主査】
 佐々木委員。

【佐々木委員】
 「評価」のことは別にして、前段の話ですが、我々は2,000億円という数字に別にこだわりませんが、そういう説明を受けただけで、その数字を了承したわけではないということでよろしいですか。

【山野原子力計画課長】
 そうです。

【山名主査】
 いずれにせよ、近いうちに機構のほうで実施計画が出ますので、その中に詳細な積み上げが入っていると、ここで審議されると。審議した上で、主務大臣の認可に持っていくということですので、よろしゅうございますか。

【佐々木委員】
 はい、わかりました。

【山名主査】
 それでは、他に何かございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。
 議題3ですが、「日本原燃株式会社低レベル放射性廃棄物埋設センターの状況について」、これは地中埋設処分の参考としてお話をお聞きするわけですが、日本原燃株式会社取締役埋設事業部長の野口委員から説明をお願いいたします。

【野口委員】
 日本原燃埋設事業部の野口でございます。今日は資料3を使いまして、私ども、1992年から16年間にわたって、これからご説明いたしますけれども、1号埋設、2号埋設事業操業を進めてきているわけでございますけれども、その状況について資料を使って説明させていただきます。
 まず、2ページ目でございますけれども、今日お話しさせていただく内容が書いてございます。
 3ページ目からお願いいたします。概要でございまして、私どもの施設、1号廃棄物埋設地と2号廃棄物埋設地がございますけれども、六ヶ所村の標高30メートルないし50メートルの大地にございます。
 次、4ページ目をお願いいたします。今までの経緯を簡単にご紹介いたしたいと思います。
 そもそもの初めは、昭和59年7月に電事連会長から青森県知事及び六ヶ所村に立地の、これは原燃サイクル3施設の申し入れがございました。そして、翌年、60年4月に立地受諾の正式回答をいただいて、原資燃料サイクル施設の立地への協力に関する基本協定書を締結いたしております。そして、昭和63年に内閣総理大臣に対して埋設事業許可を申請いたしまして、平成2年11月に事業許可をいただき、着工しております。そして、平成4年9月に六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター周辺地域の安全確保及び環境保全に関する協定書、いわゆる安全協定を青森県並びに六ヶ所村と締結。同じく10月に隣接市町村と締結いたしておりまして、そして12月にセンター、1号埋設でございますけれども操業を開始しております。
 そして、平成9年、1997年に2号埋設のほうの事業のための事業変更許可を申請いたしまして、そして平成10年に2号埋設の増設の変更許可をいただいて、工事を着工、2号埋設については平成12年、2000年から受け入れを開始しております。これが状況でございます。
 次に、5ページ目をお願いいたします。
 5ページ目は1号廃棄物埋設地、2号廃棄物埋設地の空撮でございます。処理能力につきましては、1、2号埋設で8万立米でございまして、それぞれドラム缶にいたしまして20万本の許認可をいただいております。最終的には60万立米、ドラム缶数にいたしまして300万本を考えております。1号埋設地については、対象廃棄物は均質・均一固化体、また後ほど説明いたします。それから、2号埋設地については、対象廃棄物が重点固化体でございます。
 6ページ目をお願いいたします。こちらは埋設設備の構造について、1号埋設設備について説明したいと思います。
 1号埋設設備、左の上にございます全体配置平面図、縦が132メートル、横が231メートル、鷹架層という断層を掘り下げまして、そこに、縦ピット数を斜めに書いて、四角いのがコンクリートピットでございまして、縦のほうが5つ、そして横に8つということで、5掛ける8の40ピットを用意することにしております。1ピット当たり5,000本入るという設計でございます。
 そして、埋設地の断面図は下のほうに書いてございまして、1つのピットは、縦横24メーター、高さが6メーターでございまして、そこを4掛ける4の16の細かい区域に分けてございます。俵積みで黄色いのがドラム缶でございまして、一つの区域に320本俵積みにするということでございます。
 ここの埋設地の特徴といたしまして、廃棄体はセメント系充てん材で充てんしておりますけれども、廃棄体と充てん材とコンクリートピットの間に白いのがポーラスコンクリート層というのが書いてございますけれども、これは水を通しやすい多孔質のコンクリートで、おこしのような構造でございまして、外からピット内へ水が入った場合に、廃棄体に水が到達しないように水がはけるというふうになってございまして、ポーラスコンクリート層へ入った水は排水・監視設備で放射能は監視できるという構造になっております。現在はピットの部分だけができておりまして、ベントナイト混合土であるとか、厚さ4メートル以上の覆土、土砂でございますけれども、これについては埋設が完了した時点で実施するということで現在は施工されておりません。
 次、お願いいたします。7ページでございます。
 7ページは、同じく2号埋設設備でございますけれども、これは基本的には1号埋設と同じでございます。ただ、一つのコンクリートピット当たりの本数が、1号埋設地につきましては5,000本でしたけれども、これが大きくなりまして1万3,000本入るような構造になっております。基本的には同じでございます。
 8ページ目をお願いいたします。
 それでは、それぞれどんな廃棄体を受け入れているかというのを説明しているのがこれでございまして、1号廃棄物埋設につきましては、原子力発電所の運転に伴って発生する低レベル放射性廃棄物であって、濃縮廃液、使用済み樹脂、焼却灰などをセメント、アスファルト、プラスチックなどで用いてドラム缶に固定したものでございまして、写真のように均一・均質になっておりまして、名前も均一・均質固化体と呼んでおります。
 それから、2号廃棄物埋設は、同じく原子力発電所の運転に伴って発生する、特に定期検査、補修、改造で発生する金属類、プラスチック類、保温材、フィルター類などをセメント系充てん材、モルタルでございますけれども、それで一体となるように固型化したもので、イメージはこんな形になっております。
 次お願いいたします。9ページです。廃棄体の検査・受け入れ・埋設をどうやっているかということでございまして、廃棄体の検査というのは、廃棄体は原子力発電所で製作いたしまして、廃棄体の検査も各原子力発電所で行っております。左の製作されたドラム缶、廃棄体の貯蔵庫から検査装置のほうへ搬入いたしまして、検査装置では、ここに書いてございますように、表面汚染密度の測定であるとか、一軸圧縮強度の測定、これは1号廃棄体だけでございます。それから、放射能濃度等々の測定をいたします。そして、左下の輸送容器、青いコンテナがございますけれども、そこに8本ずつドラム缶を入れまして輸送するということでございます。
 次、10ページをお願いいたします。廃棄体の輸送は各発電所からは専用の輸送船、青栄丸で先ほどのコンテナを運びます。そして、六ヶ所村のむつ小川原港へ持ってまいりまして、陸揚げいたしまして、埋設センターまで専用の輸送トラックでコンテナ2つ、したがいまして、1つのコンテナに8本入っておりますから、全部で16本のドラム缶を約10キロメートル専用のトラックで輸送いたします。そして、管理建屋へ搬入いたします。
 11ページをお願いいたします。11ページは、管理建屋6カ所での廃棄体の検査の状況でございますけれども、ここの検査というのは輸送中に廃棄体に問題がなかったかどうか、確実に所定の廃棄体が届いているかどうかというのが検査の内容でございまして、先ほど申しましたように、廃棄体の放射能等々については発電所で計測するということでございます。まず、検査装置へ搬入いたしまして、検査テーブルにおきまして廃棄体の検査、したがいまして概観目視検査、検査番号照合という検査をいたします。そして、廃棄体仮置き場に持っていきまして、廃棄体払い出し、専用のトラックで、これは8本ずつですけれども埋設地へ廃棄体を運搬いたします。
 そして、12ページでございます。12ページは、先ほどのコンクリートピットの中に廃棄体を定置いたします。専用の埋設クレーンでもってピットの中に俵積みいたします。そして、定置が終わりましたら、モルタル、セメント系の充てん材を充てんして、鉄筋コンクリートのふたを打設するということでございます。将来は、先ほど申しましたように、周りにベントナイト混合土による覆土であるとか、土砂を覆土するということで、これが済みますと300年間の管理となります。
 13ページをお願いいたします。こちらは私どもの1号埋設地並びに2号埋設地、それぞれどういう状況になっているか、緑色で書いてありますのは各コンクリートピットでございまして、1号埋設地について、建設は6番目、5×6、30ピットを現在建設しておりまして、こういった状況で充てん、覆い等々が終わっております。2号埋設についても同様でございまして、現在の各号廃棄物埋設施設の類型受け入れ本数並びに埋設本数は、ここに示しているとおりで、1号、2号を合計いたしまして20万本を超えております。
 14ページをお願いいたします。これは管理とモニタリングということで、低レベル放射性廃棄物というのは、安全審査指針の考え方に基づきまして段階管理をやっておりまして、すなわち放射能レベルに応じた管理をするということで段階的な第1段階、第2段階、第3段階と300年間にわたって実施いたしまして、この間に放射能は安全上問題ないレベルまで低減させるということでございます。
 まず、第1段階につきましては、ピットに定置するだけでございまして、第2段階はいわゆる覆土をした状態で、安定するまで30年間かけてそういう段階をおきまして、次に300年間の管理ということでございます。そして、それぞれの管理に従って、下のほうに書いてございますように、埋設保全区域の設定であるとか、廃棄物埋設地の巡視、覆土の修復、環境モニタリング等々、モニタリングを実施いたしておりますし、また実施する予定です。
 次、15ページでございます。先ほどのモニタリングの例を示したものでございまして、第一に排水の監視、これは現在もやっております。コンクリートピットの状態でこういった形で、先ほど申し上げましたポーラスコンクリート、おこしのようなコンクリートでございますけれども、そこに外から入ってきた水の状況の排水を監視して放射能を監視しているということでございます。
 それから、16ページは、敷地周辺に地下水のモニタリングをしてございます。合計7カ所、地下水中の放射性物質の濃度を月1回監視しております。
 それから、17ページ、最後のページでございますけれども、こちらは敷地の周辺の環境モニタリングということで、これは保安規定に基づくモニタリング並びに地域との安全協定に基づくモニタリングを行っております。連続的なモニタリングと定期的なモニタリングがございまして、連続的なモニタリングについてはモニタリングポイント、モニタリングステーションによって空間線量率とか積算線量をはかっております。また、定期的なモニタリングについては、河川、沼、米、野菜等々の環境飼料中の放射能をはかっております。これは、日本原燃3施設の共通のモニタリングでございます。
 以上で簡単でございますけれども、現在の埋設センターの状況についてご紹介申し上げました。

【山名主査】
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまのご説明に対して何かご質問等ございませんか。

【森委員】
 既に埋設を実施されているということで、いろいろ教えていただきたいんですけれども、1つは、1号埋設、2号埋設で扱っている廃棄物が違いますね。これは何か技術的な理由があってそういうことがあるのかということ。それから、もう一つは、電力さんの発電所から日本原燃さんに荷物が入ってくる際に、どこで責任区分が分かれているのかということと、もう一つは、費用の話になりますが、ちょっと古いのでデータがあるかどうかはよくわかりませんが、昭和59年のころ見積もられていた事業計画の予算と、現状において例えば何か乖離があるようなことがあるのか、それからもう一つ、例えば直近でいえば、鉄骨なんかは相当高くなっていると思うのですが、例えば費用が昨年と今年で格段にアップしているのかとか、そういうような費用が当初計画と実際においてどういう影響があるのか、そういうあたりについて先行事例として今後考えていく上で重要なご経験があると思いますので、教えていただけたらと思います。

【山名主査】
 野口委員、お願いします。

【野口委員】
 まず、1号埋設地、2号埋設地の廃棄体が違うけれども、技術的等々何が違うかということですけれども、簡単に申し上げれば、1号廃棄体と2号廃棄体、均質・均一と、雑固体ですから特性が違いますから、最終的には安全審査のときの評価も違いますし、もちろん一緒に埋設しようとすれば可能ですけれども、まずまとめて許認可を出したほうが当然よいですから、一つの形というのもありますし、最初に、1号廃棄体というのは、もともと発電所で最初につくっていたものでございまして、まずこの1号廃棄体を埋設しないといけないと。それから、2号廃棄体、雑固体というのはつくりながら出てくるものですから、そういう順番で分けてやったのだろうと思います。今、正しくはないかもしれませんけれども、そういったことだろうと思います。
 それから、2番目は、電力さんと我々日本原燃との責任区分でございますけれども、これは、10ページを開いていただけますでしょうか、それぞれ1号廃棄体、2号廃棄体、輸送トラックでむつ小川原港から運んでまいりますけれども、管理建屋へ搬入して、ここで釣り上げた時点で責任は電力から日本原燃に移ることになっております。
 それから、費用の、当初、昭和59年当時、1984年当時の事業計画とどう乖離したということですけれども、私も全く頭にないのですが、いずれにいたしましても、当然、年月とともに、また、物価上昇だとかいろいろなものがございますから、変わってくるのは当然です。我々として、電力と日本原燃と埋設の費用につきましては定期的に見直すという契約内容になってございます。どれだけの事業費だということは頭に、今ここに持ち合わせておりません。

【山名主査】
 ありがとうございました。

【佐々木委員】
 今の森さんのご質問と非常に関係あるのですが、事務局の方から、埋設センターに対して説明をしてくれとお願いするときに、こういうことを説明して下さいとお願いすべきだと思うのです。せっかくご説明をいただいたのに、何でこの資料が今出てくるのというのが非常にわかりにくく感じます。同じような事業の先輩格で、そういう立場から見て、例えば先ほどの機構の埋設事業の概要とか、あるいは処分場の大きさとか仕方とか、そういうことについて先輩として何かアドバイスができるのではないか、そういうことを説明してほしいと事務局がお願いしたらいいと思うのです。あるいは、費用の積算にしても、先輩として、こういうところはもっと合理化できるとか、あるいはこういうところは競争を入れたらもっと効率的になるとか、こういう費用が特別に必要になってくるかもしれないとか、そういうことをセンターの資料としては説明してほしいのです。率直に申し上げて、今のお話のような技術的なことを聞いてもあまりおもしろくないし意味がない、時間がもったいないのではないかと。もっと先輩として、これから事業をやろうとしている者に対して、今私が申したような立場で資料をつくって説明してくれということをお願いすべきではなかったかと思います。

【山名主査】
 関連する話ですか。織委員。

【織委員】
 実は、私も同じような意見を思ったので、それに追加してなんですけれども、実際にご経験なさってみて、当初は課題とは思っていなかったけれども、やってみて困難だったこととか、あるいは逆に当初はこれが難しいだろうなと思ったけれども、実際やってみたらそうでもなかった、その辺の経験をご質問したいなと思っていたので、今の関連でお願いします。

【山名主査】
 これは、野口委員、何かお答えできますか。

【野口委員】
 これで16年間、今年で10年間やって20万本埋設しておりますけれども、特に大きな事故もなく、2、3は想定外のトラブルはございましたけれども、大きなトラブルもなくやってこられましたので、ちょっと思い当たりませんけれども。

【山名主査】
 それで、佐々木委員のご指摘はもっともでございますが、恐らく今回はとにかく先輩事業の現状をお聞きするということで淡々と技術的なことを伺ったということです。ここは三代理事のほうに伺いたいのですが、恐らく今後、先輩事業と機構のほうの実施計画の立案において、例えばどういう情報交換があるとか、アドバイスを受ける、そういう姿勢がおありかどうか、何かそういう仕組みがあるかどうかということを三代委員のほうにしたということでよろしいでしょうか。

【佐々木委員】
 そういうふうに翻訳していただいても結構です。

【山名主査】
 では、よろしくお願いします。

【三代委員】
 これからこの場で議論されていくと思いますけれども、実施計画においてどのような積算をするかということですが、前回の作業部会でもそうでしたけれども、電気事業者とか日本原燃がやっておられる話をいろいろお伺いして我々も数字をつくっておりますし、先輩としていろんな経験を伝えていただいています。
 今、野口さんからあまり心配なかったということですけれども、私の認識では、立地の段階にこぎつけるまでが一番大変であったと認識しております。そういう意味で、幾らかかるかということも大事ですけれども、ほんとうに処分できる場所をどのようにして探すかということが非常に大事なのではないかという気がしております。

【山名主査】
 それでは、時間が迫っておりますので、もう一つ最も大事な議題が残っておりますので、そちらのほうに移りたいと思います。
 議題の4と5をあわせて行いたいと思います。まず、議題4は「処分事業推進のための論点整理について」、議題5は「埋設処分業務の実施に関する基本方針骨子案について」、これを文部科学省からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【山野原子力計画課長】
 まず、資料4でございますが、これで十分かどうかも含めて、今日ご議論いただければと思います。前回からいろいろ議論が出ていますが、今回の事業は廃棄物の種類もあるとか、かなり長丁場の事業であるということなので、いろんな論点があるのですが、事業の推進に当たっても、段階的にやっていく、できるところからきちんとやっていくということになろうかと思います。そういうことで、この資料につきましても、論点を書いただけでなくて、とりあえず、当面すぐに決めないといけないような話と、今後1年ぐらいで決めないといけないような話、あと、事業の進捗に応じて対応していかないといけないような話という区分をして、段階的に一つずつ片づけていくというアプローチかと思い整理してみました。
 検討課題としては、まず1つ目は、対象とする放射性廃棄物ということの基本的考え方は最初の基本方針で決めるということで、中期的とか長期的に丸がついていませんが、当然これも必要に応じて見直す場合があれば見直していくということであります。
 先ほど、三代委員も言っていましたように、立地が一番大変でございます。ということで、基本的な枠組みについては基本方針、実施計画の中で選定基準も決めていくということですが、それだけではなくて、今後いろいろな物事について地域の共生策も含めまして考えていく必要があるということでございます。
 資金計画とか料金につきましても、先ほど議論がありましたように、最新の物量の評価をもう一度きちんとやってみるということで、それで総事業費を出して、単価算定するということになるわけですが、当然、すぐ決まるわけではなく、大枠はまず決めるものの引き続きという感じでございます。
 安全規制につきましても、従来の報告書でも言われていますように、単純に原子炉等規制法だけじゃなくて、放射線障害防止法もあれば、医療法みたいなところもあるということですから、そういう複数の規制が重なって、それが安全を確保した上でいかに合理的にできるかということとか、あと、廃棄体の受け入れ基準についてもどうあるべきかみたいなのがあれば議論して、それを規制当局と相談していくということになろうかと思います。
 また、先ほども話題になりましたように、RIにつきましては、まだ埋設の基準もありませんし、クリアランスの制度もないということで、当然、埋設の基準を早く作ってもらう必要がありますし、また、クリアランス制度も引き続いて考えていく必要があるということです。
 また、今回は法律上の手当とか、皆様の関心は最後の処分というところだけですが、当然その前段階の集荷でありますとか処理も考えていく必要があるということです。
 また、廃棄物としてはウラン廃棄物のように、まだ規制がきちんと整備されていないような廃棄物があるわけで、これも規制の整備状況なんかと対応してどうやっていくかということを考える必要があると。
 また、余裕深度処分相当について、後ほど説明しますけれども、今、2,000億とか言っていたものは1期計画としてコンクリートピット、トレンチのみを対象としているわけですが、その後、当然、余裕深度処分の廃棄物をどうするかを引き続き検討ということでございます。
 このように事業を進めていくに当たってはいろいろな論点があるわけですけれども、そういうものについて議論するタイミングもよく考えなければならず、全部これがそろってからやると言っていると、また振り出しに戻ってしまい、なかなか進んでいけないと思いますので、やはり早くできることは早くやって、着実に一歩でも二歩でも前に進んでいくというアプローチが重要じゃなかろうかと思います。ということで整理したのがそれでございます。
 次に資料5というのが、一番急がなければならないもので、9月1日に法律が施行され、まずやるべき行為というのが基本方針の作成になります。基本方針とはどういうものかということにつきましては、この資料の4ページ目にありますけれども、新しい法律の18条に基づき主務大臣が定めなければならないもので、内容としましては、放射性廃棄物の種類であるとか、埋設施設の設置に関する事項、実施の方法、その他重要事項を主務大臣が決めることになっているわけでございます。まず今回は骨子案をつくりまして、ご議論いただきまして、直すところは直して、次回にはもう少しコメントを踏まえて、若干もう少しきちんと書き込んだものをご審議いただきたいということでございます。
 まずは「はじめに」ということで、「基本方針の位置づけ」みたいな項目をつくりまして、今回やろうとしている埋設処分業務の必要性でありますとか、政策上の重要性を言った上で、この基本方針というのは機構法の18条の規定をもとに作成するものであるということと、あわせて(2)でありますように、こういう事業を進めるに際しての基本的な考え方というものを整理したいと思っております。例えば、安全とか国民の理解、情報公開、透明性、公平性などでございますけれども、この事業を進めるに当たっての基本理念みたいなものをきちんとまず整理したいということでございます。
 また、原子力政策大綱で書かれている発生者責任の原則でありますとか、廃棄物の最小化の原則でありますとか、そういうものについてもちゃんと書くということでございます。
 また、もう一つの重要なポイントとして、まず実施主体として、原子力機構が主体性、自立性を持ってやるということと、国も支援するし、発生事業者も単純に機構にお金を払って全部お任せというのではなくて、協力できるところは協力してやりましょうということが重要かと思います。
 2番目に、対象とする廃棄物の種類ということですが、まず、NUMOが行うことになっております地層処分相当の廃棄物は除外し、それ以外のいわゆる低レベルの放射性廃棄物が対象であるということです。それは、当然機構から出てくるやつはもちろんですが、それ以外でも研究機関、大学、医療機関から出てくるもの、当然機構が委託を受けるものですが、そういう廃棄物が対象であるということです。
 また、今、日本原燃株式会社が実施しているという発電所関連の廃棄物については対象外ということですが、ただし、両者で抜け落ちなく、かつ効率的に両者が協力してできるようなことが重要であるということです。
 ということで、当面、対象とする廃棄物ですが、具体的な処分としては、今後の原子力活動の進捗とか規制体制の整備に応じて段階的に実施するということで、とりあえず第1期としましては、今まで議論がありましたように、今までに発生した廃棄物及び、今後平成60年までに見込まれる廃棄物のコンクリートピット処分及びトレンチ処分を実施することが対象とするものであるということでございます。
 次に、「埋設施設の設置に関する事項」としましては、「埋設処分地の選定」があるわけですが、これにつきましては、基本方針の中では、まず安全委員会が定めております安全審査の基本的考え方というものがあるわけですから、そこらを念頭に置いて、そういう自然環境を考慮した安全を確保するような考え方でありますとか、事業を円滑にやるためには、ある程度用地の広さとか輸送条件など客観的な基準をまず示すということです。基本方針ではある程度考え方を示した上で、実際上は機構が定めます実施計画の中で透明性、公平性を基本として、そういう選定基準とか選定手順をきちんと明確にしていくという考え方を書き込むということでございます。
 その中で、ポイントとしては、当然、都道府県知事や立地市町村の同意を得ていくということ、それと、立地というのは一番難しいですから、国も機構と一体となってちゃんとやりますということでございます。
 2番目が、そういう立地地域を中心とする理解と協力ということで、情報の積極的な公開でありますとか、説明会など多様な広聴・広報活動を展開する。
 次のポイントが「立地地域との共生」ということで、機構だけではなくて、国及び機構はそういう具体的な地域の要望を踏まえながら振興策を検討していく。その際には、機構が研究機関であるという特色に配慮していくということです。
 次の4.としまして、「埋設処分の実施の方法に関する事項」について、まず、処分の方法としては、先ほどご説明したように、トレンチ処分とコンクリートピット処分です。余裕深度処分につきましては、原子炉の解体計画を踏まえて今後検討していくということ。また、当然、トレンチにしろ、コンクリートピットにしろ、埋設終了後も段階管理によって安全を確保していくということです。
 次の「事業運営」については、機構が十分な人員を確保するということ、当然、研究をやっている部門とか安全研究をやっている部門とかがあるわけですから、そこらと連携して機構として全所的に対応していくということ、関係機関の協議の場、これは、機構だけじゃなくて当省でありますとか、RI協会とかRANDECとか、当然電力も含めてですが、そのような関係者でいろんなことを考えていくのと、発生者もちゃんと協力していくということ。また、重要なポイントとして、最新の技術知見に柔軟に対応して、合理的に事業を展開していくということ。あと、安全確保の大原則としてコンプライアンスの徹底を図るということです。
 次が、「資金計画」ということで、まず基本的な考え方は、発生者責任の原則に基づいて、発生者は応分の費用を負担するということです。機構は合理的な資金計画を作成して、公正な処分単価を設定するということ。先ほどから話題になっていますように、機構で、まず物量であるとか総事業費を適切に見込んで、それをもとにして収支計画とか資金計画を作成し、公表する。それは当然ながら定期的に評価し、見直しを行っていくということでございます。
 3ページに行きますが、その他に重要事項ということで、若干繰り返しになりますが、重要なので安全の確保ということについてもう一度きちんと整理してみたいと思います。この中では、国とか機構は、発生事業所も含めて廃棄物の保管量を定期的にちゃんと把握していくというようなこと。当たり前の話ですが、関係法令を守って万全の安全確保をやるということ。また、多種多様な廃棄物があるものですから、合理的にかつ適切にできるということで、安全規制当局にも積極的に情報提供してきちんと対応できるようにしていくということです。
 次は、繰り返しになりますが、輸送とか処理の体制につきましても関係機関が協力して、そういう体系的な処分体制を構築していく。
 その他としましては、これ以外にもあるかもしれませんが、発生量をなるべく低減していく努力というのはすべての機関で必要だろうということとか、合理的な処分のための研究開発とか、安全性を高めるための安全研究もきちんとやっていって、そういう最新の知見が事業に生かされるようにしていくということでございます。これは、あくまでも骨子ということですが、足らないところがあるとか、もう少しこのようなレトリックで書いたほうがいいのではないかということにつきましても、ざっくばらんにご議論していただければと思います。
 以上です。

【山名主査】
 ありがとうございました。
 それでは、これは最も大事なところですので、どんどんご意見を挙げていただきたいと思います。

【佐々木委員】
 全体としては、基本的にこれでいいのではないかと思います。
 細かいことをちょっと申し上げたい。1つは、1ページの「当面、第一期計画として」云々とあって、本文の2行目の「段階的に実施」、その次に「第一期計画としては」とありますが、急に「第一期計画」と出てくるとちょっとわかりにくい。つまり全体で何期あって、そのうちの「第一期」なのかというのがこれはわかりませんよね。
 それから、次のページで、これは用語の問題ですが、まず、中段に「立地地域との共生」で、「国及び機構は立地地域の要望を踏まえ」という文章がありますけれども、前回いただいた2月5日付の原子力委員会の文書がありましたが、あれを見るとこう書いてあります。「立地地域の住民の生活水準の向上」、いや、「地域の活性化につながるような立地地域の振興に資する方策」と。私は、この文章のほうがいいと思います。この「立地地域の要望を踏まえ」というのはちょっと甘いのではないかという感じがしないでもない。
 それから、同じページの大きな4の(2)「事業運営」の「機構は十分な人員を確保する」と。それから、それに続いて「研究開発部門や安全部門と連携し」とありますけれども、この辺も前回いただいた「3月10日付のメモ」がありましたが、それを見ていると、このように書いてあります、「効率的な処分につながるような研究開発の強化に努めよ」と。この文章はちょっとニュアンスが違いますよね。きょうの骨子の案にあるのは、「研究開発部門や安全部門と連携し全所的に対応」せよと書いてあるだけですが、「3月10日のメモ」は、「効率的な処分につながるような研究開発の強化に努めよ」ということと、もう一つは、人員と関係する文章としては、「体制の強化」という表現になっているのですね。私は、そのほうが「十分な人員云々」よりもよりいいのではないかと思います。
 それから、この事業運営のところの「最新の技術知見」とあるところに「合理的に事業展開」という、この「合理的」というのは何だろうと。私は経営学を専門にしていますが、事業展開というのに合理的というのはあまり言わないのではないかと思います。これは好みの問題かもわかりません。
 ついでに全部言っておきますが、資金計画のところにもう一つ丸を入れてもいいのではないかと思います。それは、長期的に繰り越す資金がありますが、その「資金の管理」というのは非常に重要だと思うのです。その管理を適切にやって、しかもそれは透明性を持っていなければならないといようなことも基本方針で謳っておいたほうが後々いいのではないかと思います。
 以上。

【山名主査】
 それでは、今、5つばかりご指摘がありましたので、文部科学省から何か見解をいただけますか。

【山野原子力計画課長】
 大体おっしゃるところはごもっともなところがあるので、これはレトリックを書いているだけなので文章をつくるときによく考えたいなと思います。

【佐々木委員】
 来期のところだけ教えて。

【山野原子力計画課長】
 来期という言葉がいいのかとは思いますが、要はいろいろな廃棄物があって、とりあえず今最初にやろうとしているのは、浅地中処分のものから取り掛かろうという意味です。そこらのニュアンスが出てくれば良いと思います。

【山名主査】
 佐々木委員、よろしいですか。

【佐々木委員】
 はい。

【山名主査】
 ほかに。繰越資金の話等も当然入ってくると理解してよろしいですね。

【山野原子力計画課長】
 そうですね。資金管理ということもきちんと書いていこうと思います。

【山名主査】
 ありがとうございます。
 その他、何か。織委員。

【織委員】
 やはり、この低レベル放射性廃棄物の処分が産業廃棄物と異なるのは、すごく長期間の管理にわたるというところだと思います。これを見ていくと、立地のところにはすごく着目されているけれども、長期にわたる管理体制はどうなっているかという視点が抜けていると思います。読んでいて気になるのは、地域の方の理解と協力というのが立地の選定のところに集中してしまっているような気がするのですが、全体のプロセスを通じて地域の方が許容していくために、情報を公開するだけではなくて、どうやってフィードバックして意思を聞いていくのか。先ほどのお話にもあったように、モニタリングについて協定を結び実施していくというような形で、環境モニタリングの媒体を地域の方の意見を受け入れて増やしていくとかいろいろな方法はあると思うのですけれども、地域が受け入れやすくなるための立地管理、埋設処分を含めて、フィードバックなど、そういった仕組みづくりをどうしていくのかということに、一項目立てていいと思います。

【山名主査】
 今のご指摘に対して文部科学省から何か。

【山野原子力計画課長】
 どのように入れるかは考えます。工夫したいと思います。ごもっともだと思います。

【山名主査】
 東嶋委員、どうぞ。

【東嶋委員】
 東嶋です。4点ほど質問と意見を述べさせていただきたいのですが、1つ目は、先ほど、原研と核燃料サイクル機構時代に平成60年度までにある程度の見積もりを立てたというご説明がありましたが、ここにある平成60年度までにというのは、そのことから来ているのでしょうか。この平成60年度までに、としたときの平成60年度の根拠を教えていただきたい。
 それから、2つ目ですけれども、「機構が、実施計画の中で、透明性・公正性を基本とした処分地の選定基準及び選定手順を明確化」、それから都道府県知事と市町村長の同意というのがありますけれども、これは今、高レベル廃棄物を処分しようとしていて全く進まないのは、一つは、自治体の立候補によるというところと、知事と市町村長の同意を要するというところなどがネックの一つになっているかと思いますが、この低レベルの処分地についても同じやり方をするという基本があると考えていいのでしょうか。それとも、ここで、その点について議論していくということなのでしょうか。
 それから3つ目ですけれども、地域振興策について、これはある程度必要なのはもちろんですけれども、一般の国民から見ると、よく言われるように札束で頬をたたくとか言われますように、これについても世論の中では議論はあると思うのです。ですから、これはもうここに大前提として「地域振興策を検討」とあるのですが、これはこの場で議論するものなのかどうか教えていただきたい。
 それから4つ目ですが、「機構は研究機関としての特色に配慮」とありますが、これは意味がよく分かりません。これを教えてください。

【山名主査】
 では、文部科学省からお答え願います。

【山野原子力計画課長】
 まず、平成60年度というところですが、もし間違っていたら三代委員に訂正していただきたいと思いますが、確か、施設の耐用年数の基準が大体40年となっていて、今あるいろいろ使われている施設も、最後は解体したら廃棄物になります。それらも含んで、今動いている施設から、どれぐらいの廃棄物が出てくるのだろうかというところから、ある程度切りがいいところで今後40年間程度のイメージで平成60年度としたのではないかと思います。それぐらいであれば大体見通せるのではないかという考え方で整理したのだと思います。
 あと、選定基準や選定の手順みたいなところは、具体的には原子力機構が定める実施計画の中である程度書いていくということですが、その際には都道府県知事や市町村長の同意という話もありましたけれども、現実問題として、こういう事業は同意がなかったらできませんから、選定方法について、NUMOが実施しているのと同じような方式にするか、今回は違う方式にするかというのはいろいろあるかと思いますが、実際上、最後は、地元の同意がないとできないでしょうから、反対されているところには絶対に立地はできませんので、そういうことは原則として書いてもいいのかなと思い、今書いているというところです。

【東嶋委員】
 決まっているわけではなくて、それをここに書くということは、この場で議論をするのですか。

【山野原子力計画課長】
 具体的には機構が実施計画の中で選定手順などを定めることになります。

【東嶋委員】
 機構が定めるのでしょうか。

【山野原子力計画課長】
 そうです。

【東嶋委員】
 分かりました。

【山野原子力計画課長】
 そういう意味で機構の実施計画についても、この場で必要に応じて議論をされることになると考えています。
 また、地域振興策の書きぶりについては、よく気をつけながら、いろいろなご指摘もあるので考えたいと思います。ただ、当然ながら、直ちに振興策ということではないので、施設が立地することによって地元と共生していけるような施策をきちんと考えていくことになろうかと思います。そういう基本的なところは、基本方針で書いてもいいのかなと思います。
 それと、「機構は研究機関としての特色に配慮」というのは、これはどういうことかというと、今回の実施主体は原子力機構であり研究機関という立場があるから、そういう立場で地元との共生みたいなことでも何か考えられるのではないかという意味で書いただけで、そんなに深い意味で書いているものではありません。

山名主査】
 東嶋委員、よろしいでしょうか。

【東嶋委員】
 はい、ありがとうございます。

【山名主査】
 では、その他。五味委員。

【五味委員】
 これまでの先生方の意見と重なるかもしれませんが、少し気になったのが、立地の選定に当たっての公平性の確保という、この公平性というのを我々はどういうふうに解釈したらいいのかということが疑問に思いました。
 今、課長のほうからお話しありましたので、これは機構で誘致型あるいは申入れ型、いろいろ方法はあるかと思うのですが、これが機構で決められると。また次回の議論になるのではないかと思います。
 それから、この基本的な考え方の中で、安全の確保についてくる話かと思うのですが、長期にわたる事業の中で、いかに地域住民に安心感を醸成していくかということは非常に大事かと思います。一部の地域の人にとっては技術的な話も理解できると思いますが、やはり大多数の方は難しい技術論というのは理解できないのが正直なところです。
 そこで、いかにしかるべき方が地域住民に対して安心感を持っていただくかということが非常に大事ではないか、そのための施策も必要ではないかと思います。
 それから、2ページの「埋設処分地の選定」の中で、「国は、機構と一体となって、立地活動」となっています。今日、日本原燃さんがいらっしゃっていますけれども、核燃料サイクルの政策も国の政策として推進されていますし、この事業も当然国の政策として推進されるかと思います。そういった中で、やはり国の発言というのは地域にとって大変大きいかと思います。そういう意味では、国の顔が見える活動も必要ではないか。特に節目で国が前面に出て物事を決定していくということも必要ではないかとは思っております。
 それから、「立地地域との共生」の中で、先ほど佐々木委員から、立地地域の要望を踏まえつつ、とありました。確かに、必ずしも地元の要望というのが、中長期的に見て、その地域の地域振興に正しい選択なり判断なのかというのは正直限らない。やはり、こういった施設の立地を生かしきれない原子力立地地域というのも最近見受けられます。そういった中では、中長期的にその地域の活性化につながるような施策といった表現というのは望ましいのかと思います。
 それから、この共生の中で「国及び機構は立地地域の要望を踏まえつつ、地域振興策を検討」とあるのですが、1ページに戻っていただきまして、基本的な考え方の3つ目の丸に「実施主体として」のくだりの中の最後に「発生者の協力」とあるのです。例えば、立地地域との共生を考える際に、国と機構だけでいいのかどうかということもあるのではないかと。大部分、原子力機構が発生者というご説明がありましたけれども、やはりそれ以外の発生者というのは出てくるわけですので、そういったところが共生にどう関与していくのかといった視点も重要かと思っております。
 以上です。

【山名主査】

 ありがとうございました。
 いずれもご指摘ということでよろしいでしょうか。何か。

【山野原子力計画課長】
 そうですね、大体ご指摘どおりだと思います。ただ、ほかの先生からもいろいろ出たのですが、やはり立地というのは皆さん関心が高いと思います。原子力機構が作る実施計画で明らかになりますが、客観的な選定基準などはこの場で議論しますが、生々しい立地などという話はできませんので、そこはご了解いただきたいと思います。
 ただ、恐らく重要なのは、選ぶときに、まず客観的な条件をきちんと示しているということが一番重要だと思います。そういう言葉はこの場できちんと議論してもらったほうがいいかなと思っています。

【山名主査】
 石榑先生、どうぞ。

【石榑委員】
 幾つかあるのですが、まず、論点整理の表の中で、ウラン廃棄物の記述が下から2つ目のところにありますが、ここでウラン廃棄物の取り扱いをどうするかという問いかけになっているのですが、ここでおっしゃっているウラン廃棄物というのは、原子力委員会あるいは原子力安全委員会が定義しているウラン廃棄物ということで使っておられるのかどうか。ウランを含む廃棄物というのは発生源が2つあって、1つは、このウラン廃棄物と言われている廃棄物と、研究施設等廃棄物の中に核燃料の使用施設から出てくる廃棄物がウランを含む、その2つがあるわけです。実は、これは今まであまり議論されていないのですが、今回の法律は、研究所等ではなく、研究施設等なのです。これは非常に微妙な言い回しだと私は思っているのですが、ここではあえてウラン廃棄物、しかも長期的課題として書いておられるわけですが、そうすると、ウラン濃縮施設あるいはウラン加工施設から出てくるウランを含む廃棄物をウラン廃棄物というのが定義だと思いますが、その中でも、かなりの量はトレンチ処分なわけです。そうすると、当面トレンチとコンクリートをやりましょうと言っているときに、正式の定義のウラン廃棄物を含むのであれば、それが長期的な課題でよろしいのかどうかということがまず第1点です。
 次に、安全規制のところで、複数の法律によって規制されているというもの。合理的な処分あるいは受け入れは、私はこれまで機会あるたびにこういうようなことを申し上げていますので、ぜひ進めていただきたいと。
 もう一つは、基本方針の3ページ目の安全の確保の3つ目の丸のところで、「多種多様な廃棄物の処分が」というのがありまして、最後に「情報提供」ということは書いてあるのですが、私は、情報提供というのは一方的な話であって、やはりもっと綿密に連絡をとって連携を進めていただかないと、一方的な話ではなかなかうまくいかないと思います。
 例えば、多分、これは他省庁にもわたるわけで、経済産業省の原子力安全・保安院が視野に入っておられると思いますが、それ以外にも厚生労働省、さらに、環境省も絡んでくると思います。これがトレンチ処分あるいはクリアランスの話になれば、まさに環境省との接点ですから、そういった他省庁も含めて、なおかつ処分に関する各省庁の法律というのはかなり温度差があるわけです。例えば厚生労働省については、そういった法整備も必要になると私は思っておりまして、そういったことも綿密に連携をしていただかないとなかなかうまくいかないのではないかということで、それをお願いしたい。
 それに多少絡むのですが、安全規制のところでRI廃棄物のクリアランス制度の早急な整備、これも私どももお願いしていまして、文部科学省にも前に要望書という形でお願いしたことがあるわけですが、これについて今までのクリアランスのやり方ですと、原子力安全委員会でクリアランスレベルを設定するというか、そういう審議を経て進めていくというのが少なくとも原子炉等規制法の場合のやり方です。それで、RI廃棄物についてのクリアランスレベルの設定については、私の聞くところでは、結構これから検討というような言い方をされている文書もありまして、非常に遅れている。同じようなことがウラン廃棄物にも当てはまりますが、ウラン廃棄物は近々値が出てくるといううわさを聞いておりますが、その辺のところはどうお考えになっているというのが第2点です。
 それから第3点は、「資金計画」の中で「定期的に評価・見直し」という文章がございますが、この主語は原子力機構になっているわけですけれども、原子力機構がまずは評価をされ、見直しをされるのはいいのですが、第三者機関などでチェックをしていただかないとまずいのではないかということがあります。
 それにも絡むのですが、先ほどの佐々木委員の質問で合理的な事業展開というのがありましたけれども、私は、これは要するに経済合理性を追求する事業展開。はっきり申し上げれば、処分のコストダウンをお願いしたいと。

【山名主査】
 それでは、幾つかありましたが。

【山野原子力計画課長】
 では、最後の点から。書きぶりは大体そういうことです。要は、安全確保とかは大前提のもとに、別に新しい技術開発をどんどんやるようなものではないですから、なるべくリーズナブルに実施していくということです。言い方は少々難しいと思うのですが、そういう趣旨です。
 資金計画については、見直す際にどういう評価基準にするかなど、評価については今後検討していけばいいかと思います。
 安全規制の観点で情報提供と書いたのは、我々は規制当局ではないものですから、規制当局に同意しろとまでは書けないと思ってこのように書いたのですが、私の意図は全く同じです。だから、その規制当局といろいろ意思疎通を図って、我々がプレッシャーをかけるところはかけていかないと、検討が進んでこないということがあるので、まさに私よりも、石榑先生の方が詳しいように、RI廃棄物のクリアランスの問題や、ウラン廃棄物の問題など、いろいろあります。その辺は、事業の進捗にあわせて規制も追いついてくるというところも若干あるのですが、そこは上手にやっていかないといけないということと、先生がおっしゃるように、今まで付き合いが薄かった厚生労働省も絡んでくるということで、より意識しながら上手にやっていかないといけない。極端なことを言うと医療廃棄物は後から、みたいなことをやると、後から入れるというのはものすごく大変なことですから、最初に動き出すときには、少なくとも第1期で考えている廃棄物は全部そろえて実施したいと考えています。
 あと、ウラン廃棄物はどの定義なのかというのは、私もそんなに詳しくのですが、基本的には、最初にやろうとしているのは、まさにコンクリートピットとかトレンチのものですから、そういうのは当然入るのですけれども、それを超えるようなものについては、基準もないということだけでなく、簡単ではなさそうですから、規制の整備や実際上の物量などを見ながら後から追いかけていくと整理しているところです。

【山名主査】
 森委員。

【森委員】
 石榑先生からもウラン廃棄物のお話がございましたけれども、大学、民間の施設も原子炉等規制法の主要施設等においても、ウランに汚染された廃棄物を持っておりまして、これが処分できるという見込みがないと、例えば2ページの「資金計画」のところにおいて、「発生者は応分の処分費用を負担」とあり、これは当然の原則だと思うのですが、では、その処分費用をいつ出すのだろうかといったときに、処分できる見込みがある、あるいは国もそちらに向けて対応してくれているということになれば、大学、民間とも必要な費用は応分に負担されるのではないかと思います。例えば、ウラン廃棄物について、先ほど山野課長は、発生量を見て現実的に対応と言われましたけれども、もう少し前向きに、今からやっていかないと、ウラン系廃棄物は廃棄物の中で唯一種々の基準が整備されていない領域ですので、早目に手をつけていかないと、この事業のどの時期にそれがうまく入るのかということが見通せないと思います。
 もう一つは、「資金計画」のところですけれども、これから早急に資金計画をまとめる、それはそれで立派なことだと思いますが、現実はまだどこに作るかわからないという状況にあっては、検討の中でいろんな問題が発生して、費用が確定してくるというのが一般的で、こういうプラントを作るときは、いわゆる建設仮勘定という格好で計算しておいて、でき上がった段階でいわゆる費用をどうするのかというのが一般的だと聞いているのですが、そういうことから言うと、処分料金の設定も早急、中期、あと、操業開始を意識した格好で3段階ぐらいで見ていくことが必要ではないかと思います。

【山名主査】
 長期的課題というのは状況に合わせて検討という説明がありますが、事業開始前を意識しておられるのでしょうか。これは文部科学省に確認しておかないと、タイムスケールが各委員の頭の中で違う可能性がある。

【山野原子力計画課長】
 当然、第1期で実施するものについては事業開始までに全部決めておかないといけないということです。しかしながら、推移としてどうなるか分かりませんが、例えば、余裕深度処分についてはもっと後でもいいかもしれないとか、そこはケース・バイ・ケースがあるかと思います。

【山名主査】
 それでは、時間が迫っております。三代委員、手短にお願いいたします。

【三代委員】
 今議論をされて、出されたいろんな課題、非常に参考になりました。実施主体としてのコメントですけれども、論点整理の中では、処分地の立地が我々は非常に大事であると。これによって全体の事業計画とか費用に影響してくるということで、この表だけを見ると、中期的課題のところから二重丸になっていますが、やっぱり二重丸をもう一個つけて、最初から二重丸で、要するに実施計画などで検討するべきですのでお願いしたいなと。
 それから、全体的な考え方ですけれども、基本方針というのは、法律に基づいて文部科学大臣が決められますが、ただ、これは原子力機構法の中に書かれているがために、原子力機構に対することが書かれているような気がします。ただ、最初に山野課長から説明があったように、発生者の協力、民間と協力していかなくてはいけないということであるならば、いろいろな発生者の方々、あるいは他の省庁、あるいは安全規制当局、国民の方々の協力、そういうことも含めて全体的な処分の考え方というものを基本方針の中で書いていただけるとありがたいという気がしております。その中で原子力機構にかかわるもの、あるいは実際に進めるに当たっての必要なことを実施計画で詰めていく、そういう感じになるのではないかなという気がしております。
 それから、今、いろいろな項目について議論されて、やはり結論が出るまで時間がかかるものが結構あると思うのです。ただ、それを全部待っているとなかなか進まないということで、できるところから当面の分を始めていくことになると思いますが、そこで原子力機構と日本原燃の両者で全て抜け落ちなく対応できる、これは非常に良い考え方だと思いますけれども、いろんな廃棄物がまだ今後出てくるだろうと思いますので、柔軟性を持った書き方にするのが大事ではないかという気がしております。
 それから、先ほど、平成60年までというのはなぜでしょうかという質問がありましたが、これは原子力機構が新たにできたときに、過去の遺産があって、独立行政法人になると、今まで国のお金でもって作ってきたものを壊すのは、独立行政法人のお金でやりなさいということで、どのくらいになるのだろうかというのを試算したときに、今ある施設を壊して、処分するのにどのくらいかかるか計算したということです。
 実際問題としては、独立行政法人の宿命として、予算も毎年削減されている中でこの処分事業を実施していくということで、安全性を第一にして経済的、合理的に実施していくことはもちろんですし、透明性を持っていくことももちろんですが、いわゆる監査も受けていることですし、あまり縛り過ぎて何も動かなくなるようなことだけは避けていただきたいと思います。
 以上です。

【山名主査】
 ありがとうございました。
 それでは、野口委員。

【野口委員】
 気づいた点を2点ほどお願いしたいと思います。
 まず、2ページ目で、4の「埋設処分の実施の方法に関する事項」の(2)の「事業運営」の上から2番目の丸ですけれども、関係機関と協議の場の設定というのがありますが、この骨子案の中にもございますように、埋設事業を進める上では、埋設処分地の選定であるとか立地に伴う取り組み、建設、操業、いろいろやらないといけないことがあるわけですが、そういう意味で私どものような先行事業をやっている者、また、電力、経済産業省等の意見交換とか連携の場も重要かと考えますので、よろしくお願いしたいというのが1点目でございます。
 それから2点目が、1ページ目の(1)の上から2つ目のただし書きでございますけれども、原子力機構と日本原燃の両者ですべて抜け落ちなく対応するという点でございますが、現在、一部の電力では、自分の発電所の敷地内でトレンチ処分しようということを検討している電力会社もあると聞いておりますので、埋設処分事業が、ここに書いてあるように、原子力機構と日本原燃だけに限定せず、電力会社自身も埋設処分をするケースもあるということを念頭にした記載にしていただきたいというのが2点目の気づいた点でございます。
 以上、気づいた点でございますけれども、詳細につきましては、また持ち帰って、原燃の中や、電気事業者とも検討させていただきたいと考えております。
 以上でございます。

【山名主査】
 平山委員。

【平山委員】
 RI廃棄物の場合に原子力発電所と違うのは、とにかく小規模の事業所が非常にたくさんあるということで、多分これは前回の委員会を引きずっていると思うのですが、そのときの合意として、RI協会が発生者として扱われて、RI協会を通じて出す場合には大部分の小さな事業所はそういう形だということが前提になっているのかと思うのですけれども、こういう形で発生者ということだけ出ていると、小さな事業者が全部原子力機構と直接何か行動するのかという話になってくるので、本当にRI協会の役割とかそういったものが出なくて良いのかというのは少し気になります。多分、小規模な事業所はそういう心配があるでしょうし、少量のRIを使っている事業所も、すべて原子力機構と直接取引をしてというか、そういう協定をしないといけないなど、そういう枠組みの中でRI関係の廃棄物の固有のものは、何か明記されたほうが分かりやすいのではないかという気がします。
 それと、もう一つ、いわゆるRI廃棄物はRI協会が中心になって、全部ではないですけれども、ある程度のものは集荷する体制になっていますが、そうではない廃棄物もあり、そのあたりは、それも必ずしもすべて大きな事業所だけではないはずです。そうすると、途中の段階、集荷からいろいろなことを含めたものがない状態で、何か途中が抜けている可能性がありますね。その当たりはどこでどう考えていくのかということについて、基本方針に入るのか入らないのかよく分かりませんが、基本方針があっても欠落している部分があるのでは実際上、意味がないないと思うので、そのあたりの扱いをどう考えるのかというのは考えておかないといけないという気がします。

【山名主査】
 この点は文部科学省からよろしくお願いします。

【山野原子力計画課長】
 ご指摘のとおり、RI協会の役割や、RI協会以外のところであれば、どうかというのは考えてみると、例えば、今、RANDECが考えているような役割とか、そういうことも検討できるようにしたほうが良いかなと、聞いていてそう思いました。
 それと、野口委員がおっしゃっていた日本原燃と電力の協議の場のようなものについて、それは喜んで教えていただきたいと思います。

【山名主査】
 それでは、中西委員。

【中西委員】
 手短に言います。やっぱり原子力機構が実施するものは日本原燃のやり方と違ってもいいと思います。先ほど学ぶということは言われていましたが、自分たちで最適なものがあったらリードするぐらいの気持ちで、技術開発してほしいのです。廃棄物ということをいろいろ伺うと、何万本こうやって埋めますという話ではなくて、どうやって自分たちが将来リサイクルということもあるでしょうし、金属をこうやってリサイクルするとかあるのですから、今、資源が枯渇するということが非常に話題になっていますから、多少放射線が出ても、素材として使えるかもしれないということも考えれば、もしかすると丸くなくて四角いピットとか、いろんな方法があると思うので、研究所がするからには、「埋設処分の方法」というところに「トレンチ処分、コンクリートピット処分」になっていますけれども、技術開発により世界の標準を作るぐらいの意気込みで取り組んでいただきたいと思います。

【山名主査】
 三代委員。

【三代委員】
 確かに研究開発機関として、廃棄物の処理処分もやっております。ただ、研究開発すると安くなるかというと、必ずしもそうならないケースもありますし、先例に応じて皆さん方は、特に日本原燃の先例というのが一つ世の中にできていると。そこに従うということも必要なのではないかなと。新しいことをやろうとすると、またいろんなところから最初からやらなくてはいけないということはあります。ただ、先生のおっしゃっていることはよく分かりますので、今後とも研究開発機関の特色というのは、私はお金がないことと理解したのですけれども、いろんな努力をしていきたいと思います。特に、この中ではいかに経済合理性を追求していくかというのも非常に大事な観点でございます。

【中西委員】
 リサイクルもぜひ。

【三代委員】
 わかりました。
 もう一つ、先ほど言い忘れたのですけれども、立地のところで非常に大事だということで、国の役割というのをどこまで書くかというのは、「一体となって」と書いてありますけれども、本当に一体となってやっていかないと非常に難しいという認識を持っておりますので、そこは基本方針にどう書くかということよりも、実際に具体的にどうやるかという中で、国と関係者の皆さん方に協力を得ながら実施していきたいと思います。そこはよろしくお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 中西先生がおっしゃったことはよくわかりますが、リサイクルとか廃棄物をいかに少なくしていくかということは研究所らしくいろいろ考えればいいと思うのですが、また、いろいろ考え過ぎると、逆に高くなることもあり、そこらの兼ね合いを、先ほど三代委員は経済合理性と言いましたけれども、バランスを考えながら進めることが重要だと思います。

【山名主査】
 それでは、もう時間なのですが、どうしても何か。では、柴田委員。これを最後にさせてください。

【柴田委員】
 1点、基本方針の最初の1ページ目の「基本的考え方」のところで、書きぶりだけのお願いですが、先ほど三代委員からもお話があったのですが、3つ目の丸の書き方ですけれども、確かに「実施主体として原子力機構の主体性・自立性の確保、国の支援」ということになっているのですが、今日もいろいろ出ているように、立地の話にしろ、地域共生の話にしろ、とても原子力機構だけではできないことは自明なことなので、国が前面に出てやると。しかも原子力機構の予算のほとんどは国に依存しているということもありますので、ぜひ国が前面に立ってやるという書きぶりをどう書くかは山野課長にお任せしますが、ぜひ入れていただきたいと思います。

【山野原子力計画課長】
 基本的考え方は分かります。それは国も当然やりますが、実施主体は機構だというのは明確にしておかないと、実施主体が自立を持たないと話にならないと個人的に思っていますので、そこがまず重要な上で、国もしっかりとやるということでございます。

【山名主査】
 一体になってよろしくお願いします。
 それでは、時間が来てしまいましたので、今日の議事としては議題5まででございますが、事務局、文部科学省から何か。

【山野原子力計画課長】
 今日の議論も踏まえて、骨子案を肉づけした基本方針案を次回は用意させていただき、議論したいと思います。最初に申しましたように、9月1日に法律が施行されると、動きを止めずにできるところからやっていくという意味では、最初に基本方針があるものですから、7月下旬から8月に入るかもしれませんが、それぐらいでまた日程を調整させていただいて、次回は基本方針の案についてご議論いただきたいと思います。

【山名主査】
 そのときには骨子ではなくて、全文の原稿が出てくると理解してよろしいですか。

【山野原子力計画課長】
 はい。

【山名主査】
 いつごろ出るのでしょうか。

【山野原子力計画課長】
 この1カ月以内で頑張って作業します。

【山名主査】
 それでは、次回、その基本方針案の文章を逐一見るということになりますので、ぜひよろしくお願いします。
 それでは、本日の議事はすべて終了いたしましたので、これで閉会といたします。
 ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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