原子力分野の研究開発に関する委員会 研究施設等廃棄物作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成20年4月11日(金曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省 16階 特別会議室

3.議題

  1. 研究施設等廃棄物作業部会の設置について【報告】
  2. 研究施設等廃棄物の処分体制整備の進捗状況について【報告】
  3. 今後の検討事項について【審議】
  4. その他

4.出席者

委員

 山名主査、石榑委員、小佐古委員、五味委員、佐々木委員、柴田委員、白羽委員、辰巳委員、中西委員、野口委員、三代委員、森委員、山内委員

文部科学省

 古谷大臣官房審議官(研究開発局担当)、山野原子力計画課長、門田放射性廃棄物企画室長

5.議事録

【山名主査】
 それでは、定刻になりましたので、第1回研究施設等廃棄物作業部会を開催いたします。まず、文部科学省の古谷大臣官房審議官から一言お願いいたします。

【古谷大臣官房審議官】
 研究開発局担当の古谷でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は第1回目になりますけれども、研究施設等廃棄物作業部会ということで、皆様方には委員をお引き受けいただきまして大変ありがとうございます。また、本日はお忙しい中ご出席いただきまして、厚く御礼申し上げます。
 皆様方既にご存じのように、研究施設等から生じてまいります低レベルの放射性廃棄物につきましては、現在処分する体制というのがないわけでございまして、それぞれのところで保管を余儀なくされているという状況でございます。これに対しまして、平成18年にはRI・研究所等廃棄物作業部会でいろいろご審議いただき、また、その上の委員会でご審議いただきまして報告書をちょうだいしたわけでございますけれども、現在私どもとしては、それに基づいて日本原子力研究開発機構にこの処分をしていただくということで法案を作成いたしまして、2月には国会に提出し、現在国会で審議いただいているという状況でございます。
 この後ご説明申し上げますけれども、実は報告書を踏まえて一部変更している部分等もございますし、また、それぞれの廃棄物の発生量の見込みにつきましては新しく調査させていただいたということで、きょうこの後ご説明申し上げますが、処分費用の見積もりというのも新しくしているわけでございます。そういうこともございまして、今後この事業をさらに具体的に進めていくために、より詳細な検討を進めていただかなければならないということで、本日この作業部会の開催に至ったわけでございます。委員の皆様方には、これからいろいろとお願いすることがあろうかと思いますけれども、よろしくご審議のほどお願い申し上げます。以上、簡単でございますけれども、私のあいさつとさせていただきます。

【山名主査】
 ありがとうございました。それでは、本日の議題や配付資料について事務局のほうから説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 原子力計画課長の山野でございます。きょうの議事次第の1枚紙がございますが、きょうはこの作業部会の設置ということをまずご報告申し上げた上で、今審議官からご報告がありましたように、今法案を出しておる内容、今の進捗状況についてご説明して、きょうのメインは、今後どういうことを検討していったらいいかということにつきまして意見交換ができればと考えてございます。配付資料としましては、資料1から資料3まであります。以上でございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。過不足等ございましたら、事務局のほうにお願いいたします。それでは、特に問題ないようでしたら、早速ですが議題1に入りたいと思います。議題1は、「研究施設等廃棄物作業部会の設置について」、当部会の設置についてでございます。それでは事務局のほうから説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 資料1でございます。3月10日にこの作業部会の親委員会であります原子力分野の研究開発に関する委員会を開きました。その場で決定させていただいて、今回の研究施設等廃棄物作業部会が設置されたということでございます。調査検討事項というのをここに書いてございますが、研究施設等廃棄物の重要事項について臨機応変に検討していただくということがマンデートでございます。
 メンバーにつきましては2ページ目にございますが、従来からご参画いただいている方に加えまして、きょうから新たに加わっていただいた方がございます。今法案につきましては国会でご審議いただいていますが、もちろん法案が終わったらすべて終わるわけではございません。そこからがもちろん重要でございまして、この作業部会の中で、技術的な話に加えまして、どうしても処分するとなるとお金の話とかも出てきますから、公認会計士の方などにも入っていただいておるという趣旨でございます。以上でございます。

【山名主査】
 それでは、ただいまの説明に対してご質問等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは、特にご意見がないようですので、当作業部会の設置については了解いただいたものと理解いたします。
 それでは、次の議題に入りたいと思いますが、議題2と議題3、「研究施設等廃棄物の処分体制整備の進捗状況について」、「今後の検討事項について」を2 つ合わせてご説明いただいて、その後フリーディスカッションに入っていきたいと思います。山野課長、よろしくお願いします。

【山野原子力計画課長】
 それでは、説明させていただきます。一部の先生方におかれましては既に知っている話もあるかもしれませんし、新たに聞く先生方もいると思いますが、知っている方については同じような話になって恐縮でございますが、イントロダクションのところから始めたいと思います。
 まず資料2‐1でございます。これが今の全体像を示している資料ですが、「研究施設等廃棄物の処分に向けた体制整備」ということで、皆さんよくご存じの通り、左側になぜこういうことになっておるかということを書いています。原子力といいますのは、発電だけでなくて大学なども含めました研究現場とか、医療現場でも放射線治療は当たり前のように行われており、そういうところではレベルは低いけれども放射性廃棄物が出てくるということが避けて通れないわけでございます。日本全体では、2,400ぐらいの病院とか事業所から放射性廃棄物が発生しております。それを分けますと研究機関が350とか医療機関が 1,300ぐらいで、現状は、皆さんご存じのように最後の出口がないものですから、どこかで抱え込んできておる状況があるということでございます。具体的な物量といたしましては、この2月、3月に最新の調査をしたところ、昨年度の12月末現在で、安全規制がかかっていますから当然きちんと管理されておる状態でございますが、日本全体では200リットルドラム缶換算にして55万本ぐらいあるということでございます。そのうち、当然一番持ってございますのは原子力機構ということで、35万本ぐらい持っておるということ。それぞれの現場ではどういうことが起きてきておるかいうことですが、保管庫の増設などは地元との関係とかで簡単ではないということもあって、例えば原子力機構、昔の原研の東海研では保管容量に迫ってきて97パーセントぐらいになってきている。また、例えば三菱マテリアルとか旭化成のように、過去に研究開発、例えば三菱マテリアルは昔人形峠の鉱石の製錬みたいなことを大宮でやっていたということで、今はそういうことをやっていないが、過去の廃棄物だけを抱え込んでおるという事業所もある。あと、例えば日立の原子炉は川崎にありますが、たしか30 年ぐらい運転はしていないのですが、実際上壊して更地にしたいのだけれども、そうすると廃棄物が出てきて要は物量管理が大変になるということで解体できないという、現場で大なり小なりいろいろな支障が出てきておるという状況があって、やはりだれかが何かをしないといけないのではないかというのは過去からずっと言われてきておったわけでございます。
 そういうことを背景に、今回早急に処分体制をつくろうということで右側に行くわけですが、だれがやるのだということになりますと、従来のこの作業部会などでも議論していただきましたように、まず発生者責任というのが当然原則としてあるわけで、一番たくさん出す原子力機構はまず自分の廃棄物をどうにかしなければならないということであったわけでございます。それに加えて、他者の廃棄物についても当然費用をもらうわけですが、自分の廃棄物プラス他者の廃棄物も処分することを本来業務として機構の仕事にして、処分してもらうということを考えたわけです。そのための法律改正でございまして、処分を本来業務として明確化するということが、法律としては第1のポイントです。この事業は従来の独法の3年とか5年の中期計画という管理でなくてもっと長い事業であるし、第三者からお金も入ってくるものですから、確実性とか合理性、客観性が必要ということで、まず国が基本方針を決める、それに即して原子力機構が具体的な計画をつくってそれを国が認可する。また、処分事業について独立性、透明性を確保するために、従来の研究開発をするお金と完璧に分けて、例えば第三者からの処分のためのお金を他の研究に使ってしまわないように、それだけはきちんと独立して管理して、決算もそれだけで見られるという独立したこの事業専門の資金の仕組みをつくろうという、以上を内容とする法律を今国会に提出して、審議を行っておるということでございます。政府内では2月22日に閣議決定して国会に提出し、実は、きょうの午前中ですが、衆議院のほうの専門委員会で審議が始まったという段階でございます。廃棄物量はどれぐらいかということで、今までたまってきた廃棄物が焼却などの処理をしていないものも含めて約55万本あるわけですが、そういう過去のものプラス、将来、平成60年度末まで、今後40年ぐらいを見通してどれぐらい発生するかという調査を関係事業所にやらせていただきまして、後ほど説明しますが、その物量をもとに事業規模をはじくと、総事業費としては2,000億円ぐらいになります。法律が成立すると、当然その立地という1つの大きなハードルがあるわけですが、今原子力発電の世界で日本原燃さんがやっておられる事業と同様のトレンチ処分、コンクリートピット処分につながっていくということです。これが資料2‐1で、今の全体を大体総覧した資料でございます。
 次の資料2‐2というのが、実際の法律案です。簡単に説明いたしますと、真ん中あたりに新旧対照表というのがありますが、下が現行の機構法で、上の線を引いているところが追加なり何なりされて変わったところです。今出している法律はどういうものかといいますと、例えば2ページ目に原子力機構法17条、業務の範囲というのを書いておるわけですが、そこに新たに5号業務として処分業務を明確化するために追加しています。ここを見てわかりますように、今回の対象としましては、放射性廃棄物処分に関する業務で次に掲げるものとして、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律云々を除くということで、高レベルとか TRUの地層処分は当然NUMOがやるわけですから、機構がやる業務から除いております。次にイを見ていただきますと、機構の業務に伴い発生した放射性廃棄物、及び機構以外の者から処分の委託を受けた放射性廃棄物ということで、処分の委託を受けた放射性廃棄物というところでまた括弧書きがありますが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に規定する実用発電用原子炉及びその附属施設並び云々ということで、これで実際に今原子力発電所関係で日本原燃さんが処分している廃棄物は機構の業務からは除くということです。非常に単純に言うと、NUMOが行う地層処分と原燃さんが行っている電力関係以外の廃棄物を、機構の業務として最終処分をやることになっておるということでございます。
 そういうことを業務として書いた上で、18条にまず「主務大臣は」ということで基本方針を定めると。その定める趣旨は、従来の中期目標みたいな5年とか 3年の世界でなくてもう少し長いものですし、スペシフィックにどういう廃棄物を対象とするのかとか、どういう方法でやるのかという基本的なところ、また例えば立地に当たっての考え方とか、国民の理解を受けるための基本的な考え方を後ほど議論していただきたいと思いますが、そういうことをまず国、主務大臣が決めます、というのが18条です。それを受けまして、19条で「機構は」ということで、基本方針に即して具体的な計画を作成して主務大臣の認可を受けるということになるわけです。具体的、詳細な計画は当然ながら実施主体である機構がつくって、それを主務大臣の認可事項にしているということでございます。
 次に、20条に区分経理というものがあり、今原子力機構というのは予算が一般会計と特別会計という2つの流れからきており、その2つの勘定があって、それをもとに今研究開発をしているのですが、それとは別に「埋設処分業務及びそれに附帯する業務」ということで、埋設処分業務だけの特別な勘定を設けたということでございます。当然機構は実施主体だけではなくて発生者としてのお金を積み立てることにしていますが、そういう予算措置したものも特別な処分業務勘定にきちんと入っていくということを2項で書いております。21条でございますが、独法の通則法では、例えばいろいろな活動をしてお金が余りましたとなると、一定の条件でいろいろやった上で最後は国に返しますというのが基本的なスキームなのですが、それを適用除外にして、処分業務勘定に入った資金は第三者から処分のためのお金をもらったものですから、当然それは繰り越していけると。そのかわり、当然処分事業にしか使えないですけれども、国に召し上げにならずに処分事業として繰り越していけるということで、独法通則法は適用しないということでございます。また、28条は、一部経産大臣と共管にする部分は共管にするということです。このような内容の法律を今国会でご審議いただいております。
 続きまして資料2‐3と、説明しませんが資料2‐4というのがあって、これがまさに18年9月、今から1年半ぐらい前に、きょうの作業部会と多少メンバーは違いますけれども、作業部会で議論して親の委員会までかけて基本的な考え方を決めていただいたレポートでございます。それに対して、我々が今検討しておる法律のスキームがどう対応しておるかというのをまとめたのが資料2‐3でございます。まず左側に報告書での指摘事項、右側に今まさに検討を進めておる対応状況という形で整理した資料でございます。
 まず「処分事業の実施体制」ということでは、当時の報告書でも、廃棄物の大半を有し、技術的能力や運営管理能力が高い原子力機構が関係者と協力してやることが適当であるということ、また国も円滑な処理・処分等実施の確保に責任を持つという指摘をされておるわけでございます。それに対応して、今さっき法律で説明しましたように、原子力機構を処分主体として明確に位置づけるということで今、法律の改正を考えておるということです。また、基本方針を定めるとか機構が作成する計画を認可するということで国もきちんと責任をとるというスキームでございます。
 次の「処分費用の確保方策」というところで、当時議論していただいた内容と今のスキームが少し変わっているところがあります。基本的な考え方のところで、当然発生者責任の原則に基づいて発生者が費用負担するようにしなければならないという考え方は基本的に変わってございません。ただ、変わってございますのは、まず資金管理の中立性・透明性を確保できる制度設計というのはその趣旨で今やっていますが、3つ目のポツにありますように、資金積立制度をやったらどうかという点です。それぞれの発生者にあらかじめ拠出金方式とか外部積立方式、これは高レベルの事例の水平展開というイメージでとらえてもらえればいいと思うのですが、そういう発生者側にかなり法制的に強制するスキームを検討したらどうかという指摘がされておったということでございます。それに対応して、今回のスキームはどうかということが右側にありますが、基本的な考え方として、当然発生者側が応分の負担をするということはそのとおりでございますし、中立性・透明性という意味では、機構の中に独立した処分勘定を新設して、それだけでほかの研究開発と分けて管理することで対応できるということでございますが、費用を積み立てるかどうかということにつきましては、ここの括弧書きにありますような考え方から、違う考え方でございます。
 まず一番お金が要る原子力機構につきましては、確かに将来にわたって1,000億を超える費用が要るわけですから、突然発生するのに合わせて予算措置をしていると研究開発に支障が出てくる。突然、当該年度に100億必要といって、ほかの研究開発費を100億削るのかとなると大変ですから、積み立てていくという制度を予算措置として設けます。これは、過去分でたまっていた廃棄物を今後20年間で積み立てていくし、今後発生するものは毎年積み立てていくという考え方でございまして、20年度予算で43億円の予算措置をしてございます。また、第2番目の、発生者ではないですが保有者としての日本アイソトープ協会につきましては、既に皆さんご存じのように、それぞれ発生事業者から集荷の際にお金をもらいながら平成18年度末現在で202億円の積み立てが行われている。これは処分だけでなくて処理とかも含めてでございますが、そういう制度を既に有しておるということでございます。それ以外の事業者につきましても、大体どれぐらいの物量が出てくるか、どれぐらい費用が要るかというのは当然試算した上でございますが、例えば高レベル廃棄物で言えば、東電なり関電などは単年度当たりでも200億という世界なのですが、そのような額でなくて、例えば毎年度を見ればある程度大きなところでも1,000万円ぐらいの世界なので、強制的に積み立てるよりも、一括してもうけがあるときに支払うとか、毎年ドラム缶の量に合わせて払うとか、事業者の実情に応じて支払う方法のほうが合理的でないかと考えられるということでございます。また、法律によって明確に区分経理をすることなどで十分中立性・透明性が確保できるということから、法律で積立制度を考えるということはあったのですが、それがなくても実効性の高い案として、多額の費用が必要な機構は予算措置をするし、RI協会は実態上そういう制度を持っておるということから、今の制度を考えたということでございます。
 この資料の3枚目で処分事業のスキームのイメージをかきますと、まず原子力機構というのは、実は発生者としての原子力機構と実施者としての原子力機構は単純に言えば違うと思ってもらえればいいのですが、発生者としての原子力機構というのがまずおり、積立制度として一般勘定、電源利用勘定に予算措置するわけですが、それをすぐ繰り入れて右側にある処分実施勘定に当然入ってきて、ここで資金管理されるということです。これ以外の発生者につきましても、RI協会等それぞれの事業者が委託するときの費用は処分実施勘定に入るということで、これだけが一つ独立して管理できるというスキームでございます。まず大枠は国が基本方針を決め、具体的なプランは機構が決めて、それを国が認可するという仕組み。処分実施勘定の中については、独立して管理するわけですから、独立して決算とか評価もできるし、事業の進捗状況も見ることができる。外から見ても機構の中でこれだけできちんと見えることで、透明性、公正性も確保できるということでございます。歳出するときはこの勘定の中からお金が出ていって、実際に処分場をつくったりドラム缶を埋めたりということになります。
 2ページ目に行きますと、それ以外のところもいろいろ指摘を受けており、主な事項としましては、処分事業を実施する上では国民の理解促進とか立地地域との共生方策が重要であるということで、それについては今後当然検討していくとか、安全規制の基準の整備につきましても、保安院や、文科省の中でも局は違いますけれどもRIを規制している部署などと相談しながら今対応しておるところでございます。10メートルぐらいの世界でなくて50メートルぐらいの世界に処分すべき余裕深度処分の廃棄物についても、引き続き検討していくことということなのですが、今後非常に大きい研究炉やホットラボの解体というのが出てくるとそういう深度のものが出てくるわけですが、直ちに今大量に出てくるわけではないので、そこらの進捗状況を見ながら今後検討ということで、第1期のプランとしましては、浅地中を対象にするということを考えてございます。当時の廃棄体の発生見込みというのは約59万本だったのが、最新の調査では53万本。これは将来どのような施設まで解体するかに当然依存し、クリアランスをどう考えるかにもよるわけですが、今最新の試算では約53万本になっている。当時の試算は2,300億となっていましたが、後ほどもっと詳細に説明しますが、今では約2,000億円という試算になっております。
 ということで、1年半前のレポートと若干違いがあるものですから、こういう違いがあるのも含めた議論を、実はこの3月10日にこの作業部会の親の委員会でやらせていただきました。次の資料2‐5が、それを受けて原子力分野の研究開発に関する委員会で決定していただいたことです。これはまさに、3月10日に議論をして、委員のコメントを踏まえてその場でつくって、後で必要なコメントももらいながら3月10日付で決定されたものでございます。基本的なところは3行目にあり、「本日、文部科学省から説明を受けた『独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案』は、基本的にこの考え方に沿っており、廃棄物発生事業者の実情等を踏まえると適切なものである」ということで、若干1年前のレポートとは違うけれども今回のスキームは適切なものであるという見解を示していただきました。それで、今後関係者と協力して事業が具体化されることを期待するとした上で、当委員会においても作業部会を設置して、必要な検討を行っていくこととするということでございます。
 あわせて、その委員会の場で先生方からこういうことが重要だといういろいろな意見が出て、それをまとめたのが下にある4つのポツでございまして、こういうことに留意しながらやることが重要だということがあったわけでございます。1つは、文科省はこの事業をこれ以上遅らせないという強い認識のもとで、実施主体である機構だけにやらせるのでなくて、一体となってやることが重要であると。特に、当時議論があったように、立地というのが当然一番ハードルが高いわけでございますが、立地に当たっては、文科省も機構と一緒になって前面に立って理解を得るように努めるということ。また、国民の理解を得ていく上で情報公開による透明性の確保や広報の充実といった観点から取り組みを充実することでございます。また、2つ目のポツが、事業者は今さっき言いましたように 2,400事業所ぐらいあるわけですから、主要関係者と協議する場を設けるなどして、関係者と十分に意思の疎通を図りながら進めていくことが重要であるということ。それとまた、発生者側としては当然発生者責任の原則に基づいて応分の費用をちゃんと負担するとともに、当然機構にも協力することが重要だということです。また、機構は、処分業務が重要な業務であるとの認識に立った上で、研究開発とか安全研究ということも考えながら、人材育成も図りつつ体制を強化すること。また、関連する安全研究であるとか減容化などの研究開発などもやることとあわせて、今回は低レベルの研究施設等廃棄物なのですが、広い意味での廃止措置とか高レベルを含めたバックエンド対策全体について柔軟性を持ち、かつ着実に進めることが重要であると。そのようなご指摘をいただいて、このようなペーパーをまとめたというのが資料2‐5でございます。
 次は資料2‐6で、法案を提出するに当たって原子力委員会にも説明して、原子力委員会の中でもご議論いただいて2月5日に原子力委員会として「研究施設等廃棄物の埋設処分に係る取組の推進について」という決定をされてございます。
 原子力委員会としましては、3つポツがあるわけですが、原子力機構をみずから及び他者の発生する研究施設等廃棄物の埋設処分の実施主体とすることは、主要な発生者であるのみならず国の研究開発を実施してきている組織であることから合理的であるということ。これを定めることによって、今後取り組みが前進していくことが期待できるということが第1点でございます。2つ目が、国が今後基本方針を定めるわけですが、定める際には安全の確保を前提としつつ、最新の技術的知見を最大限に活用して科学的に合理的な方法で実施されるべき旨を基本方針にきちんと書くべきであるという指摘でございます。それで、機構が方針に照らして作成する実施計画を認可する際や業務評価をする際に、そういう考え方に即して着実に実施させるようにすべきであるということでございます。3番目が、埋設処分される放射性廃棄物というものは、もとは国民全体の利益をもたらすための研究開発とか医療活動の中から発生したものであるから、処分施設の立地は立地地域の住民の生活水準の向上や地域の活性化につながるべきであり、この観点から国と原子力機構はそれぞれの役割を踏まえつつ地域の振興に資する方策を検討していくべきであるという、3つの今後進めるに当たってこういうことに留意しなさいという決定を原子力委員会レベルでされたというのが資料2‐6 でございます。
 資料2‐7は、今回の事業の廃棄体量及び処分費用はどのように試算していったかということを簡単に説明した資料でございます。総額とか事業規模を決めるに当たって、まず対象物量を決めるということから始めるわけでございます。平成19年12月末現在の調査をこの2月、3月にかけて、最新のデータとしてもう一度試算し直してみたということです。その結果として、約53.2万本というのが対象とすべき物量の大体の試算値として出てきたということです。そのうち、入っている放射能の量などによってコンクリートピット処分の対象が21.7万本、トレンチ処分の対象が31.5万本という内訳になったということです。そうして各事業者からの調査を踏まえてまず対象物量を押さえた上で、次のページでございますが、どれぐらいの処分費用、事業規模になるのだろうかということにつきましては、1年半前のレポートの中で試算をして、その試算に当たっては当然こういう考え方でやるなどいろいろあるわけでございますが、それと全く同様の考え方で処分費用を試算してみたということです。それをやりますと、結果から言いますと約2,006億円になるということです。これは単純に建設費だけでなくて、埋めた後の300年間の管理のランニングコストも含めて約2,006億円になるということです。
 大体のイメージで言いますと、処分場の用地面積としては約80万平方メートルぐらいで、コンクリートピットが17基、トレンチが14基ぐらいです。試算としてのスケジュールとしましては、今後当然立地、安全審査、実際上土地を手配して建設とかいうことで大体10年ぐらいかかるだろうと。その後操業してドラム缶を実際に埋設していくということが50年間で、そこから引き続いて、コンクリートピットについては約300年の段階管理を行っていくということでございます。そういう前提で試算すると、事業規模としては約2,006億円になるということでございまして、その大体の内訳が次のページにありますが、規模としましては、施設建設費として大体577億円ぐらい。用地なども当然場所が決まっていないから、日本全体の国勢調査の平均値よりも少し安いぐらいの値段で試算しておるということですが、160億円ぐらい。あと、技術開発や税金関係。建設費がそういうことで、むしろ操業費のほうが大きいわけで、実際上埋設する段階の操業費が大体300億円ぐらいとか、段階管理になって今後300年間ぐらいになると100億円ぐらいとか、地元の理解促進とか広報費なども必要ですが、それを大体100億円ぐらい見込んでございます。あと、固定資産税、廃棄物でおそらく税金を取られるだろうという前提で、こういうことを見込んだ上で人件費も入れて、今後50年間の事業プラス約300年ですから、今後350年ぐらいの事業規模としては約2,000億円という試算をしているということでございます。最新の調査に基づいたこの試算の考え方としましては、1年半前の報告書でかなり細かく議論していただいた考え方にのっとって行っているということでございます。
 以上、現状や今の進捗状況のご報告でございます。
 あわせて資料3についてもご説明しますが、今後特にこの作業部会ではどういうことを検討していったらいいだろうということで、今国会で審議いただいているのでどうなるかはもちろん分かりませんが、もしも国会でお認めいただければ、今後の具体的な作業としてはまず国が基本方針をつくるという作業が出てきます。だから、基本方針についてこういう場で議論していただきたいと思っています。基本方針で決めるのは、法律に書いているのは廃棄物の種類、設置に関する事項、方法なのですが、実は「その他埋設処分業務の実施に関する重要事項」がおそらく重要で、例えば立地に当たっての考え方、国民理解の考え方とか骨太なところをおそらく基本方針では決めることになるのでなかろうかと思いますが、そういうことについてまずご議論いただくのが1点。基本方針を決めると、さらにそれをブレークダウンした計画を原子力機構がつくるということになります。それに対して国が認可するということなのですが、その際にも作業部会でご議論いただければと思います。機構がつくるほうになると、例えば処分料金や、若干具体的なことがある程度出てくるということになりますので、技術的や細かい話もご議論いただきたいと思っています。
 上のほうにありますが、これはきょうのディスカッション用ペーパーというイメージですが、おそらく今後重要になるのは、処分場の立地の話でございますので、処分場に求められる要件であるとか、立地に当たってこういうことを考えていったほうがいいのでないかということとか、処分事業に必要な費用についてとか、理解の促進策とか、裏表として安全規制があるわけですが、同じ平仄でやっていくことが必要で、そのためにどういうことを安全規制当局に求めていったらいいかとか、それに基づいてどういう安全確保策を事業として考えていったらいいかということや、これ以外にもいろいろあろうかと思います。先生方のご指摘をいただきながら重要事項を決めていって、基本方針に書き込んでいくことなどが必要になってこようかと思います。
 以上、今の進捗状況及び今後具体的に作業部会を中心に検討していただきたいことの説明でございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。今のご説明で大半のことはカバーしたのですが、たくさんディスカッションの時間をとってあります。きょうは比較的フリーディスカッション。その中から今後のリクエスト等が出てくると思いますので、どんどん自由にここで意見、質問を挙げていただくと考えております。それでは、事実関係確認、あるいは昨年から今の段階に至るまでのことでおそらく疑問等をお持ちの方がおられると思うので、まず今までの経緯、あるいは新しい法律の内容等についてご質問等ありましたらぜひよろしくお願いいたします。

【山内委員】
 私、1つ確認しておきたいのですけれども、例えばさっきのお話の中で、私自身も独立行政法人で幾つか仕事しているのですが、独立行政法人でこういうことをやるということについて、僕は、独立行政法人ができたときの経緯、それから国会の議論云々から端的に言いますと、独立行政法人とこういう事業というのが本来の趣旨に反するという感覚なのです。反すると僕は思っているだけであって、それができるなら別にいいのですが、今国会に入って審議され始めているのですが、そういう観点というのは大丈夫ですか。

【山名主査】
 課長。

【山野原子力計画課長】
 そこは当然1つの論点になるのだと思うのですが、独法をつくったときにまず独法通則法というのがあり、独法はどういうことをやるのかと。当然民間でできることは民間にやってもらい、公共的なことをやるというのが基本的な独法の使命なのです。そういうことを考えると、今回の事業は、独法がやることにも、独法通則法との関係で言うと、反しないどころかぴったり入るのでないかなと思っています。
 ただ、こういう事業は、独法の今の例えば3年間とか5年間で何か成果をというのとはやはり合わないところがあるので、そういう部分は通則法の適用除外にし、基本方針を決めるということもそうです。単純な独法の機械的なスキームと外れるところは今回特有の措置を講じているという整理だと思います。独法通則法の関係から言うと、今回の業務が独法に合わないかというと、そこは問題ないという整理でございます。

【山内委員】
 だから、それで出したのだろうと思うのだけれども、それで押し通せるのかというのを知りたかった。

【山野原子力計画課長】
 そこは当然国会の議論でございますけれども、まだ通るかどうかというのは分かりませんが。

【山内委員】
 あなたは国会議員と接触しているわけだろうし、その見通しを聞きたい。

【山野原子力計画課長】
 あと1カ月ぐらいすれば結果がわかるのだと思いますが、そこはクリアできるのではないかと思っています。

【山名主査】
 石榑委員。

【石榑委員】
 前回からの違いということで、1つは資料2‐3で、前回の議論の中では資金確保の形として拠出金制度と。これがメインの話でありまして、1年半少し前までは、文科省も拠出金制度をやるのだということで、私どもの法人のことを申し上げて恐縮ですけれども、文科省から2度もご説明においでいただいて、ユーザーに対して2回説明しました。その後いろいろ議論があったわけですが、その結果として、文科省さんに要望書も出させていただき、基本的には賛成しますということで対応させていただいたわけです。ところが、それが半年もしないうちに簡単に変わってしまって、その理由として、ここに挙げてある1から3までと思うのですが、これは拠出金制度のときからわかっていたことであって、特にその後新しく変化したという事情ではないと私は理解しているわけです。我々も例えばユーザーに対しても説明する責任がありまして、これこれの理由でと言っても、これはなかなか通りにくいかなと。
 そこのところのご説明をもう一度確認させていただきたいということと、細かい話で恐縮ですが、資料2‐7で本数の問題がありますが、これが減っているわけです。59万本から53万本に減ったと。内訳を見ると、前回の報告書からコンクリートピットはほとんど変わっていない。トレンチが6万本ぐらい減っていることになっています。実は、結局本数というのは単価にはね返ってくるわけです。前回もそういう議論があって、結局本数が変わればまともに単価にはね返ってくるということで、簡単に本数が変わるということになると今後も変わるのではないか、我々としては非常に不安を感じるのですが、どうしてこういう本数になったのかということも含めて。さっきあまりご説明がなかったと思うので。細かいことで恐縮です。

【山名主査】
 それでは、ここに至った経緯の話からまずお願いいたします。本数の話はその次にします。

【山野原子力計画課長】
 当初の、報告書をつくって拠出金などと言っていたときは、その後ほんとうに立法できるかどうかという議論があって、おそらく当時の議論は、非常に端的に言うと高レベルのスキームと同じような感じでやろうとしたわけです。それだとやはり額の規模が全然違う。一番大きい機構としてはかなり大きな額が要るから予算措置をしたということもある。それを強制的に法律で罰則つきで義務づけるということが妥当かどうかとか、高レベルのアナロジーではなくて電力でやっておる低レベルはどうかというアナロジーでやると、そちらは積み立てとかいうスキームも何もなくやっておる事例もあるということで、政府内でも法制局も含めて議論した結果、建前上でいくと、強制的にというのは民間活動の自由を法律で制約するということですから、なじまないのでないかという議論があったのです。
 そういうこともあって、難しいといってゼロに戻るというと、こういう問題は今までも重要だと言いながら何年もこういう時代が続いてきたので、それであればということでいろいろ考えて、実施主体を中心としたスキームで考えられないかということで、今回のスキームができたということでございます。そういう意味では、プラクティカルな方法として何か前進させないといけないということを考えてやったのが今の案だという認識をしてございます。
 物量が変わるというのは、今もこれは試算でして、実際上の詳細な物量は、まさに機構がつくる実施計画が一番の出発点になるのですが、確かに前回と変わっているというのを言えば、個々にはそれぞれあります。今すでにあるものではなくて、今後40年間も含めてシミュレーションしておるものですから、大きな施設を壊すかどうかというのは非常に大きく作用するわけでございます。当時の報告書と今回の物量で、一番大きなのは、例えば当時考えておった高エネ研の大きな加速器とかスプリング8は、今の試算では平成60年までには壊さない前提ということで、物量が減っているというのが一番大きいです。

【石榑委員】
 前回もそれは入っていなかったですよね。

【山野原子力計画課長】
 入っています。

【山野原子力計画課長】
 あと細かいところでは、それぞれ事業者ごとに、現状であれば当然変わらないのですが、今後40年を見通してですから、やはりどうしても変わるところが出てくるということでございます。

【山名主査】
 いいタイミングですので、今の物量調査の具体的な手法、あるいは対象範囲などを簡単にご説明いただけますでしょうか。

【山野原子力計画課長】
 物量調査につきましては、この前の報告書をつくったときと同じではないかと思うのですが、基本的には発生者です。RI関係は基本的にはRI協会で全部集荷できるということですから、RI協会に代表して調べてもらうということ。あと、ウラン、核燃料関係も、コンクリートピットとかトレンチとかあるわけですから、どういう考え方で区分けするという統一的な調査表をそれぞれの事業所に送って、事業所からデータをもらって、それを当然ある程度役所の中で再確認するとか、いろいろな基準との関係でどうかということを若干補正した上でまとめているということでございます。

【山名主査】
 それでは、ほかに何かございますか。辰巳委員。

【辰巳委員】
 資料2‐3のところに、処分事業の実施スキームという絵がかいてあって、これは流れが見えやすいかと思うのですが、今日本原子力研究開発機構のお金の中に処分のための費用というのを既によけておられるということなのですか。どこがどこに入ってくるのかというのがこれでもわかりにくくて、そういうことをもう少し詳しく教えていただきたいということ。あと、赤い枠で囲まれているお金は今すぐ使うお金ではないですよね。何年か先にスタートしてからということで、いっときどこかで保管して、それを見えるようにしていこうというお話なのだろうと思うのですが、そういうものの運用はどう考えておられるのかというのがわからない。結構大きなお金になるのでないかと思いますので。それが1つこの中で教えてほしいと思ったことです。
 それから、先ほどの物量調査にも関係するかと思うのですが、通常私たち普通の生活者の視点から考えたときに、家庭から出すごみの長期的な見通しを考えて処分場のことを考えますが、今の国の流れとしては、3Rというのが非常に重要でして、そういう考え方は基本方針に入るのでしょうか。出す量を減らすということがまずは大事と思いますし、先ほども中西先生とお話ししていたのですけれども、リサイクルという話もあるでしょうし、そのような話はこういう中に入ってくるのでしょうか。過去にあるものに手をつけられるのかどうかわかりませんが、少なくともこれから何年か先を見ていくときにぜひ必要でないのかなと。以上です。

【山名主査】
 それではお願いします。

【山野原子力計画課長】
 まず、原子力機構の資金の流れですが、原子力機構は一番資金を用意しないといけない者ですから、そこは予算措置としてこれに対応した積立金という制度をつくったということです。予算措置としては、一般勘定と電源利用勘定。これは単純に言うと、一般会計と特別会計ということです。例えば今年度で言うと43 億円措置したのですが、一般会計が13億で特会が30億、それがこれらの勘定に予算措置されるということです。それをすぐ法律に基づいて右にあります処分実施勘定に繰り入れると。

【辰巳委員】
 即刻全部入れるということですか。

【山野原子力計画課長】
 即刻入れます。それで、処分実施勘定の資金については、ここに必要な経費はここで全部支出するし、ためる資金はたまっていくということになります。

【辰巳委員】
 日常の原子力機構さんでの活動の費用というのは、ここに今見えていないわけですね。

【山野原子力計画課長】
 そういう研究活動の費用は一般勘定と電源利用勘定に当然予算措置されて、そこから歳出されます。それと別に43億円という処分するためだけの資金というのは別枠にして予算措置して、それについては資金の流れのスキームを変えてしまったということです。

【辰巳委員】
 なるほど。もし一般の事業者の方が廃棄物を出すときは、処分してもらうものに対してお金が必要ですよね。それはさっき言った3Rの感覚からいけば、なるべく費用を抑えるためには削減しようと努力する。一方、原子力機構さんは、幾ら出しても勝手についてくるわけですか。

【山野原子力計画課長】
 予算措置するときに、今回の事業は実際上はアディショナルではないのです。非常に単純に言うと原子力機構の予算は最近ずっと減っているわけです。減っている中で43億手当てしたわけですから、ほかの予算を切って43億つくったのです。そういうことなので、機構にとってみれば、これイコールほかの研究に実際上しわ寄せが行くのです。そういう構造になっているから抑止力でないですが、物量を減らそうという感覚は当然働くと思います。
 資金運用については、独法というのは独法通則法で資金運用としては、例えば国債を買うなどこういうことしかできませんとなっていて、リスクがあるものはできないのです。

【辰巳委員】
 この赤い枠は、原子力機構の下に別途つくられる。

【山野原子力計画課長】
 下というか、原子力機構の中につくられる。

【辰巳委員】
 ということは、運用に関してもそれで縛られるということ。

【山野原子力計画課長】
 そうです。あと、当然減容化とかリサイクルというのは非常に重要だと思いますので、具体的に何かするというのであれば、例えば今後国がつくる基本方針の中にそういうことを書き込んでいけばいいと思います。

【辰巳委員】
 運用の話も、リスクとの絡みだとおっしゃいますけれども、もっとうまく使える方法というのは考えられないのかなということを言いたかったのです。やはりできるだけコストを削減するほうがいいだろうからということで。

【山内委員】
 僕は逆に、辰巳さんが言う今の話で抜けているのが、結局機構はトータルする予算で決まる、そうすると43億取ればほかが減る、それが今の独法なのです。したがって、独法という制度のもとで43億をずっと10年とか20年確保できるのかというと、僕自身関与している独法から考えるとあり得ないのではと。こういう制度しかないのかもしれないが、非常に心配だと。だから、43億でいいのだが、これをずっと続けるのか、それを確保できるのかというのは、独法という制度のもとでは首をかしげるということがあるのです。
 ざっくばらんに言うと、例えば僕自身が仕事で関与しているのは、昔の鉄建公団が新幹線をつくっている。あちらは5法人ぐらい一緒になっている。鉄道建設の中でも例えば都市高速などは明らかにしわ寄せが行く。というのは、やはり新幹線に予算を集中する。したがって、その分だけ都市高速、あるいは船というところにしわ寄せが行く。だから、僕は自分でやりながらおかしいだろうと言うのだが、そこは鉄建も苦労はしており、国交省も努力はしているのだけれども、やはりだんだん減っていく。その辺が、処分事業は長いだけに非常に気になるのです。

【山野原子力計画課長】
 そこは確かに、おっしゃるように独法の頭は今の予算のスキームだとある程度キャップがかかっておる感じがあります。片やこれはこれで別途こういうスキームもつくるわけですから、結果から言うと、こちらは先取りとなるものだから、実態上はそれ以外がある程度我慢していかなければならないということなのです。
 ただ、なぜこうやったかというと、こういう事業をやりだすと、ある年はゼロだけれども、次に例えば初期投資で土地を買いますとか建設を開始しましたといって100億要りますとかいうことになると、独法ですから頭がほとんど同じなのに突然これがゼロ、100億、200億があったりということをやると、それこそ通常の研究開発業務に支障が出るだろうということがある。よって、ある程度平準化するということもあり、当然将来の資金を今から手配していくというのが大前提なのですが、予算措置、積立制度をつくったということだと思います。

【山名主査】
 これは、今後ここでまたたくさん審議することになると思いますので、そういう問題があるということで。小佐古委員。

【小佐古委員】
 幾つかあるのですが、例えば廃棄物の処分事業をやるときの大原則は、処分をやるための技術的な能力がないといけないわけです。
 それともう一つ非常に重要な原則としては、資金確保がきちんとできていることというのがあるのです。だけれども、見えているキャッシュというのは今年手当てされた四十数億円とアイソトープ協会に約200億何がしというのがあって、全体の処分事業は約2,000億と言っているわけです。独法は5年とか6年ごとに見直しがあって、全体の枠組み、ミッションがあって、既に辰巳さんは混乱しているではないですか。どこまでが処分で、どこまでが処理事業かと。だから、先の報告書では、処分のためのものというのは切り離して、それをやれるような仕組みでどうでしょうかという話を提案したということなのです。原子力発電所のそのほかのところは、見える形でそこにある資金は株式で運用してはいけないと。消えるかもしれないですから。だから、きちんとした計画が立てられていて、事業が長いからそこできちんとできる形の資金確保をやるというのが前提になっているのです。だから、全体で2,000億円と言っていて、見えているキャッシュは四十数億円と200億円ぐらいのところからスタートするわけですから、やりようがないと言われたらしようがないですが、何らかの方法で勘定を別にするところを責任を持ってやれますということを言わないと、既に話が出ているように、通常の独法ですと5年サイクル、6年サイクルで、300年先と言われても、ミッションが終わっているかもしれないという状態でやるわけですから、これは必ず聞かれる。あるいは、見込みで機構側が回す資金を出せないとなると値上げになるということです。値上げになるということは利用しないということで、ある程度の量があるから処分事業ができることになるのですが、利用しないということになったら、量が集まらない、処分事業として成立しないという事態も後ろ側には構えているわけですから、どういう方法をとられるにしても、そこのところはきちんとした見通しがとれるということを議論しておくということが必要になると思います。

【山内委員】
 本来独法で200年、300年存続が認められますかというのがまず1つ。資金確保は大丈夫かという点から言うと、本来の規制法上なり何なりの許可がほんとうに出せるのかと、冗談だけどそういう気がするぐらいその辺はやはり微妙だと思うのです。

【小佐古委員】
 国会でも議論が進んでいるというお話なので、どうなのかは構わない範囲のところでぜひお聞かせ願いたいと思うのですけれども。それが1番目です。
 2番目は、既に議論があるように、きょうは1回目ですから枠組みの話をしますけれども、枠組みをどうするかというのはもう一回きちんと議論しないと。前の報告書やいろいろなところには、アイソトープは使われております、医療もございますと言っているわけです。だけれども、医療のほうは医療法という違う法律でやっていて、厚生労働省という違うところで動いているものなのです。今や農水省も1万2,000事業所の獣医のほうに非密封を使うという法律を動かそうとしているわけです。だから、ここでやられるのがどの範囲までカバーするのかというのは再確認していただかないと。獣医療は法律をつくって使おうとしているのだけれども、使った途端に行き先がないというものが出てくる可能性があるわけで、やはりどこまでカバーされるのかというのはよく考えないといけない。そちらのほうだけではなくて、ここで考えるものがウランの廃棄物までカバーしたいということになると、民間の事業者でウランを使っているところもあるわけです。電力に頼めば、電力事業ということで原子炉等規制法のもとでいろいろなところとのやりとりはできるかもしれないが、そのほかのところで民間の事業所の研究所とかいうものがここに入ってきたときにどう扱うのかというところも、大きなところを中心にして議論していますが、やはり何らかの形の最初の議論が要るかなという気がします。
 3番目ですけれども、既にリサイクルとか減容、量を小さくするというお話が出たのですが、今持っているものが約60万本とかと出ていますが、今持っているものの中に極めてレベルが低い、場合によればリサイクル側に回りそうなものがある。あるいはそういうものは放射性廃棄物として扱わなくて一般の処分場並みのものでいいというものが存在するのです。原子炉等規制法のほうではそれにクリアランスという名前をつけて、一般の処分場並みのものにするとか、一部リサイクル側に回っているわけです。例えば下北の低レベルの処分場に入っているものは半分以上、下手をすると7割、8割ぐらいが今の基準でいけばクリアランス並みになるということになれば、資金の見積もりというのは全く変わってしまうということになるわけです。今あるものにクリアランス側に回るものが10 パーセントもないというのはとても信じられないということになるわけで、その辺のところに科学的、あるいは合理性を求めてということであれば、どういう形にするのかという方針はこの流れの中できちんとやるべきでないかと思うのです。そうすれば、2,000億という事業費をどうより合理的に考えられるかという議論が成立するということです。
 その次の点ですが、ここでいろいろなことを議論して、幾つかの条件はあるのですが、高レベル側と深地層処分に回るもの以外のところはこちら側に回ってくる。この流れの中で余裕深度と呼ばれる地表面のコンクリートピット、あるいは素掘りトレンチでなくて、五、六十メートルぐらい深いところに処分するものが出てくる可能性というのはあるわけです。その議論は、この間報告書が出てから随分間があったものですからいろいろ議論が進んだのかなと思ったら特に何もお書きになっていないので、全部決めるかどうかは別にして、大体これぐらいのつもりという形にされておかないと、スタートしたはいいけれども、最初これぐらいと言っていたのが随分途中で話が変わって、また厄介な枝葉をつくってというのも、処分用の立地などは毎年小さいものを1個ずつつくるという仕組みではなかなかできないものですから、せっかくの大規模なチャンスですので、やられておいたらと思うのです。
 最後の点ですが、こういう机の上の議論ではやはり実物の処分場はできないということです。前の委員会でも極めて深く議論されたように、立地をどうやるかとか、人々の理解をどうやって得るかというところにものすごく重要な点がありまして、そこをだれが進めるのか、どういう形で進めるのかと。独法みたいな形になっているときに、立地とか地域振興という言葉も入ったりしていますが、それが現実的なものなのかと。あるいはこういう処分場に国が直接顔を出してやれるのかというところも、いま一つ議論を深めておかないと、議論はやった、仕組みはつくったつもりであるけれども、実際のものは何もできないということになるのでないかという点があると思うのです。

【山名主査】
 実は今後議論すべき課題をほとんど挙げていただいて、大変ありがとうございます。独法の運営自体の政府の話から、対象、枠組みの話、クリアランスをどう見ていくかという話、余裕深度対象をどうしていくかという話、それからパブリックアクセプタンスの話。非常に重要なテーマです。課長のほうから何か、今答えられる話は。

【小佐古委員】
 あとウランの話ですね。

【山野原子力計画課長】
 個々に1つずつではないのですが、最初に、当然こういう事業をやろうとすれば、ある程度資金のめどをつけないとどうしようもないということはあります。

【小佐古委員】
 きょう私が言ったことに理屈をつけていただかなくても、この流れの中で解決するというスタンスでよろしいのでないかなと思います。

【山野原子力計画課長】
 そう思います。これだけうみもたまっていますから最初からすべて満点はおそらく難しいのです。できるところからどうやっていくかというのがこういうアプローチで重要だと思うのです。例えばクリアランス1つとっても、概念上は放射性廃棄物じゃないといったところで進まないものは進まないのです。だから、進めるためにどうやっていくかということを考える。我々としては、当然クリアランスになったものはこの事業の対象の外にいてほしいわけです。だけど、実際上できなかったら同じようにしないとしようがない。そのへんをどうやっていくかというのが重要だと思います。
 規制の話でも、とりあえず今回は炉規法だけやると、後でRIとか医療を入れるというのは、おそらく無理なのです。それは単純に規制だけでなく、地元の役所とかいろいろ当然積み重なっていきますから、最初にやるときに、計画としてはかなりブロードにして、少なくとも漏れがないように。だから、考え方は整理しないといけませんが、規制としては同じ施設に炉規法、障害防止法、医療法、何とか法もかかるといって、すべての人を対象にできるような仕組みをつくらないといけないのではないかなとは思います。
 あと、今のいろいろな物量試算などでは、先生がおっしゃった余裕深度は入れていません。それはなぜかというと、確かにふげんの廃止計画とか動いているものはあるが、大きな研究炉やホットラボを解体したときに考えないといけないので、今そこまで考えてというよりも、今は浅地中を念頭にいろいろな物量計算をして2,000億としておるわけです。
 あと、先生がおっしゃるように、立地というのは一番大変で、おそらく法律以上にハードルがあるのですが、どのような考え方でどうやるかという基本的なことはこういう場で議論しながら、建前上は実施主体である機構の責任だと言っても始まらないので、実態上国が前面に立つぐらいでないと立地は進まないかなと思っています。

【小佐古委員】
 クリアランスと余裕深度、あるいはウランというところの議論はなかなか難しいところがありまして、だから、うまくやれば半分ぐらいがクリアランスできるということもあり得るわけです。そのときに何が起こるかというと、物量が小さくなるからこの事業が成立するのかという形がこちら側に出てくるわけです。科学性、合理性を求めれば求めるほど、事業としての成立性というのが非常に不確実になっていくと。片方で、さっきもおっしゃったように、クリアランスといってもそんなに出しても世間は受け入れるのかという話があるのですが、クリアランスで簡単だから外に出すというわけにはなかなかいかないのです。定期ケアがないと簡単にそんなものはつぶれてしまうのです。つぶれるどころか本体にまで影響する。だから、その辺の議論は非常に微妙ですが、やはり触れざるを得ないということです。
 それと、余裕深度は、今のところは多分考えないでいいのかもしれないけれども、どうするということを方向性を持っておかないと、これは何度も何年も山内先生が指摘されているように、我々は放射性廃棄物のやりやすいところを全部やってきたのです。やりにくいところばかりが残ってきて、手がつけられないものがある割合ずっと残るということになるのです。
 ウランについては、物量が小さいからものすごく腹をくくって下北の余裕深度側に入れてもらうのか、入れてもらえば違う厄介な話が起こり始めるのか、その辺のところもある程度、大体はこんな流れという腹がないと、かなり厄介なこと。もちろんできるところからやると。これだけ長いこと足踏みしていたものを山野さんや役所の方が意を決してやってくださるというのは大変ありがたい話ですが、それはそれでいながらよく注意する、よく考えてやるというところが大変重要でないかなと思います。ありがとうございました。

【山名主査】
 ありがとうございます。三代さん。

【三代委員】
 原子力研究開発機構の三代でございます。
 研究施設等廃棄物の大量の部分を発生している発生事業者でございますけれども、今まさに小佐古先生が言われたような観点から言うと、枠組みができたからすべて解決したとは全然我々も思っておらず、これからがスタートラインでほんとうに腹をくくってやっていかなくてはいけないという意識でございます。
 それで、先ほど辰巳委員からお話がありましたけれども、簡単にご説明すると、原子力機構というのは旧原研と旧核燃料サイクル機構が一緒になって、そして両方とも50年近くの歴史があるわけです。今までいろいろな研究開発をやってきていて、廃棄物というのが今全部施設の中にたまっている。一部トレンチ処分の実証試験をやったのがありますけれども、あとは全部たまっていて、それが今現在ドラム缶換算で約35万本あるというかなりの数字になっているわけです。そして、先ほど山野課長からの説明にもあったように、一部の研究所では満杯の状況になっていて、このままいくと研究開発の実施にも支障が出かねないということで、かなり緊迫感を持って我々も対応しているところです。そういう中で、前回の作業部会を開いていただいて、また今回再スタートしているわけですけれども、こういう形で皆さんに議論していただいていい知恵を出していくということは非常に大事だと思っています。
 まさにお金の話というのも先ほどありましたけれども、原子力機構は、原研と旧核燃料サイクル機構時代は、例えば平成8年は2つ合わせて3,500億円ぐらいの予算があったのが、今現在平成20年の予算は2,000億円を切っているという状況の中で、非常に厳しい状態にあります。私がお願いしたいのは、3 月10日に原子力の研究開発に関する委員会で岡崎理事長からいろいろなコメントがあったと思いますのであまり重複することは避けますけれども、やはり原子力機構の中でいろいろな研究開発をやっていくときに、積立金というのがこれから数十年にわたってずっと出ていくわけです。本来ならば、これは将来処分地ができるときに必要になるお金なのですが、それを今現在の予算から積み立てていかなくてはいけないということで、現在やることが非常にきつくなるということで、これは原子力機構と文科省の関係かもしれませんが、ぜひとも予算に関していい知恵を出していただきたいというところがございます。
 それからもう一つは、前回の作業部会で議論したときに、「終わりに」という1ページを随分皆さんで一字一句議論していただいたのです。この中で、確かに処分の道筋をつけるということは大事なのですが、その前に廃棄物の処理、廃棄物を処分できるような形にしていかないと、今現在35万本あるわけですけれども、処分できる形になっているものが非常に少ないわけです。ほとんどないと言ってもいいと思います。ですから、処理施設をつくるというのも予算が要る。それから新たな研究開発をするのにも予算が要るというところで、それが全体的、総合的に進んでいくようにこの委員会の場でも検討していただければと思います。
 1つ質問ですけれども、この作業部会というのが今回開かれて、先ほど法律の説明がありましたが、そこで国が基本方針、原子力機構が実施計画をつくるという役割を負っていて、この作業部会というのはその中でどの辺に相当するのか、あるいはほかに何か委員会ができるのかを教えていただけますか。

【山名主査】
 これは事務局のほうから。

【山野原子力計画課長】
 今考えておりますのは、基本方針をつくるとか何とかで、これ以外に新たな審議の場をつくることは考えておりません。当然最後は役所が決定するのですが、そういうために専門家の皆さんのこういう場をつくっておるわけですから、技術的な専門家もいらっしゃいますし、ある程度関係者代表も集まっていますし、こういう場で具体的にいろいろな議論を、我々が提案して議論いただく場合もあるし、例えばきょうの議論も踏まえてある程度最初のドラフトを我々が考えるという感じで、臨機応変にやっていきたいと思っています。だから、実質上専門家の議論を聞く場としてはこの作業部会を考えています。

【中西委員】
 感想を言わせていただきますと、ユーザーとしては、今までウラン廃棄物をどう廃棄したらいいのか、その道筋がなかったところ、多少不十分なところがあってもその道筋をつけていただけることは非常にいいことだと思っています。
 先ほどリサイクルも考えていらっしゃるというので安心したのですが、いろいろ問題はあろうかと思いますが、今着目されはじめている元素戦略の面も考えていただけたらと思います。貴重な元素、例えば触媒など少量だけれど役に立つという元素が、多分廃棄物の中にはたくさん含まれているのでないかと思います。先ほど山名先生がおっしゃったように、調査をもう少しうまくしていただくことが肝要かと思います。300年の事業となりますと、その間には、やはり廃棄物から少し何かを取り出したいということがあろうかと思いますので、それも読めるような法律にしていただきたいと思うのです。
 次に、先ほどお配りいただいた法律ですが、財務及び会計のところではその他の第2号に掲げる業務以外の業務ということにもお金が使えるように読めると思われますが、その前の JAEA自体の業務ですが、1項から4項は略と書いてあるのでわからないのですが、ぜひ将来埋設だけでなくてほかに何か必要が生じたときにも業務が発展できるような形、つまり閉じない形に設計していただければと思っております。

【山名主査】
 ありがとうございます。まだ時間がありますが、それで、今後のディスカッションの課題を今ピックアップしているという理解でございます。何でもよろしいですからご意見がある方はお願いします。森委員。

【森委員】
 RANDECの森でございますけれども、RANDECは大学、民間等の発生者の意見を取りまとめておりますが、それで、1月の段階で大学、民間等の主な発生者の方に集まっていただきましていろいろ意見交換をした結果、その会の総意としては、早期に処分場をつくっていただきたいということがまとまってきました。
 そういうことで、じゃあ具体的に今度大学、民間のほうから見ると、廃棄物を持っている事業者さんが80ぐらいございます。大きいところは数万本オーダー持っているところから、少ないところは100本程度まで非常に幅広い状況でございますので、そうしますと、原子力機構さんですと、自分の廃棄物が出て自分のところの処理施設で処理するということになるわけですけれども、大学、民間さんですと、個々の80事業所で処理施設をつくるというのは非常に非合理というか不経済である。そういうことになりますと、せっかく処分場ができたとしても、処理して確実に処分場まで持っていく輸送システム、物流システム、それがしっかり構築されていないと、せっかくつくっていただいたとしても持ち込むことができないということがございますので、三代さんからお話がありましたが、原子力機構さんがこれから処理施設をおつくりになるということでございますが、そういうところとアライアンスするなりということをしながら、また、逆に言えば、大学等においても発生量は必ずしも多くないわけでございますので、逆のアライアンスをしていただくとかいうことをやって、事業として大学、民間さんのほうにおいて過度の負担にならないようなこと、どのような格好で物流システムをつくっていくことが適切であるかということについても十分ここで議論していただきたいと思います。
 それからもう一つ、山野さんからもご紹介がありましたが、大学、民間の中においては既に原子力の研究開発等についてはやめられているところもあって、ただ単に廃棄物をお持ちになっているということがございまして、そういうところから具体的に処分場へどう持ち込むのか、処分場はどういうものをおつくりになるのかということでございまして、そういうことから言うと、大学、民間等のニーズも十分踏まえた処分場計画をおつくりいただくことを期待したいと思います。

【山名主査】
 事務局から今の処理、集荷の話をされている件について何か。

【山野原子力計画課長】
 そこは我々も非常に重要だと思っています。今回は第一歩というか、要は一番後ろを決めないとその前は全然動かない。後ろは1カ所に集める、一元的にやるというのがおそらくリーズナブルなのです。けれど、集荷まで機構が全部やるかといったら、おそらくリーズナブルでないところがあるので、例えば集荷とかについては、RI協会さんは、RIの世界ですけれども基本的に約2,000事業所を相手にした集荷のスキームをつくっていますし、そういうものを参考にしながら、ウランのほうをどうするかとかいろいろ考えていけばいいと思うのです。しかしおっしゃるとおり、最後が決まったから全部動くかといったら動かないので、そこは当然まず処分の前には処理があって、その前には集荷などがあるというのは重要だと思いますので、こういう場とあわせて利害関係者が議論する場も考えないといけないという感じもしています。

【山名主査】
 ほかに何かございませんか。佐々木委員。

【佐々木委員】
 2つ。1つは過去の話というか、先ほどの資料2‐3にかかわるところ。つまり今まで我々がつくった平成18年9月12日付の報告書と、右側にある「現在検討」云々と書かれている「その後の変化」で、右側の「現在進めている処分体制における対応状況」というのがありますが、これは先ほどご説明していただいた資料2‐5、資料2‐6、日付から見ると資料2‐6のほうは2月5日の原子力委員会、資料2‐5は3月10日の原子力分野の研究開発に関する委員会の2 つの委員会があって、この中身を先ほど簡単にご説明いただきましたが、全文を読ませていただくと、18年の報告書に書かれていることについて基本的にはオーケーをいただいていると理解できるのですが、そのときに、先ほどの資料2‐3の右側、つまり18年の報告書において書かれている指摘事項以降の「変化」を前提として2月5日と3月10日のコメントが出ているのかどうかをお尋ねしたい。まず第1点。

【山野原子力計画課長】
 まず、この報告書との関係においては、資料2‐5のほうは、報告書の作成に過去かかわった委員会ですから、まさに資料2‐3を説明した上で資料2‐5ができたということです。資料2‐6のほうは、原子力委員会としてはこの報告書とは関係はありませんので、今我々が考えておる方法、スキームも含めた体制について、資料に基づいて説明した上で、原子力委員会としてこういう見解をいただいたということでございます。

【佐々木委員】
 ということは、3月10日のものは、資料2‐3に基づいてとおっしゃいましたが、資料2‐3というのは右側の変わったところに基づいてですね。

【山野原子力計画課長】
 そうです。

【佐々木委員】
 3月10日の原子力分野の研究開発に関する委員会で18年以降の変化について基本的にいいと言っているわけですから、我々も、1枚物ですがこれを読ませてもらうと、基本的にそんなに異存があるわけでないと思いますが、基本的に18年以降の変化を所与として、与えられたものとして受け入れて、今後作業部会では検討を進めていけばいいのではないかというのが私の基本的は考え方。
 それと、第2点は、「今後やるべきこと」が資料3に出ていますが、基本的には今の3月10日の委員会のもの、それから2月5日の原子力委員会のものにも書かれていますが、1つはやはり資料2‐5、3月10日の委員会の資料の丸の冒頭にございますように、これは非常に重要だと思いますが、第1行目、つまり「処分事業をこれ以上遅らせないとの強い認識」とありますが、この辺を読んで例の高レベルとかNUMOの話を思い出すのですが、あちらでは処分事業全体のタイムスケジュールを既にいろいろ議論していますよね。つまり、平成何年までにどういうことをするかとかせよとか。そういうことも含めての「タイムスケジュールの管理」というものもおそらく今後の検討課題になってくるだろうということが1つ。
 それから、資料3「今後の検討課題」のところに「立地」の問題が既に出ていますけれども、立地の問題もやはりNUMO等もいろいろ苦労しているところであって、それと比べるとこちらはそれほどでもないかもわからないですが、やはりこれも非常に重要な問題になってくるだろうと。資料2‐6の原子力委員会のほうを見ていても、最後の3に、「立地」の問題というのは「住民の生活水準の向上、それから地域の活性化等につながる」云々と書いてある最後のところに「立地地域の振興に資する方策を検討すべきである」と書いてある。高レベルとかTRU絡みでこういう問題が非常に出てきておりますが、我々の作業部会においても、18年度の報告書ではここまでは書いていなかったと思いますが、今後おそらくこれも大きな検討課題になるだろうというのが2番目。
 それからもう一つ、資料2‐5の最後の丸のもう一つ上の2番目の丸です。実施主体の「原子力機構の体制を強化すべきだ」ということを書いているわけです。これは、内部組織の問題、あるいは実施主体というものの実力をつけるという意味で非常に重要だと思います。この辺についても検討課題になるのではないかと思います。これは、単に体制を強化するだけではなくて、その次の丸で効率的な処分という、効率化についての問題が書かれているし、それから資料2‐6の原子力委員会のほうのペーパーの中段、2のところでも機構の業績評価ということも書いています。この辺の「実施主体の体制を強化」しながら他方において「業績評価」とか「効率性」というものをどう促すかということも今後の検討課題に入ってくるのではないかなと、今までのご説明をお聞きしながら考えました。以上です。

【山名主査】
 ありがとうございました。ほかに何かございませんか。五味さん、どうぞ。

【五味委員】
 今回初めて参加させていただきます。日ごろから実用の原子力発電所、あるいは核燃料サイクル施設の立地問題について現場でいろいろな活動をしております。今回文科省さんからそういった視点でぜひ検討したいというご要請がございましたので、今回初めて参加させていただきます。
 今回私は初めてですので過去にどんな議論のプロセスがあったかということは承知しておりませんが、具体的にこの事業をどう進めていったらいいのかというのが、やはりおくれているこの事業の最大のミッションではないかなと思います。
 そういった中で、3つほど参考となるような意見を申し上げたいのですが、1つは、こういうことは言うべきではないと思うのですが、廃棄物埋設処分というのはやはり地域にとって迷惑施設かと思います。これは現実の問題としてありますので、いかにそういったイメージを払拭していくかということは非常に重要であります。そういった中で、例えば原子力発電所、あるいは核燃料サイクル施設の場合は、大変大きな地域経済効果なり社会効果が見込まれて、あるいは実績が出ておるわけですけれども、果たしてこの事業にそういった波及効果が期待できるのかどうか。特に雇用効果、インフラ、あるいは交付金が実用炉とどれほど差が出てくるのかを吟味する必要があるのでないか。そういった中で、どうマイナスイメージを払拭していくかというのは、やはり相当な苦労が予想され、例えば魅力づけというのでしょうか、文科省、あるいは原子力機構ならではという魅力をつけていくことが必要ではないかなという感じがいたします。その魅力については、ハード的なもの、それからソフト的なもの両面での検討というのは当然必要かと思います。
 それからもう一つ、先ほど組織論の話、独法の問題が出ておりましたが、やはり1つは、以前の独法と違うかなり実践的な、いろいろな事業の主体となるべき努力をされておるのが現実かと思います。そういった中で、例えば地域共生というのは今回のミッションのひとつになっておるわけですが、地域振興に原子力機構がどう関与していくのか。例えば関与の度合い、あるいは方法、内容といったものが、今佐々木先生もおっしゃいました原子力機構の組織論にかなり影響してくるのではないかと思います。施設を立地する際かなり地域共生の面で苦労されることは明らかだと私は思いますが、そういった中でどう受け皿、あるいは実施主体としての受け皿を強固なものにしていくのかというのは、やはり重要視していかねばならない問題だろうと考えます。
 最後ですが、予算の関係では、地域振興のメニューというのが、地域から多彩なメニューが当然出てくることが予想されます。そういった中で、やはり国会の予算承認というものがかなり原子力機構の予算面での動きを制約しかねないのではないかなと感じます。地域振興は継続的に途切れることなく進めていくことが求められますので組織の中の特に予算の機動的、弾力的な運用をいかにクリアにしていくかという議論が必要かと思います。
 以上3つでございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。もう時間があまりないのですが、ほかに何か。野口委員。

【野口委員】
 日本原燃の野口でございます。
 日本原燃はきょう資料2‐1で紹介がございましたように、原子力発電所の廃棄物を処分していると。浅地中処分の中のコンクリートピット処分をしているわけでございまして、この書類ですとトレンチ処分も含められているように誤解される可能性がありますので確認ですけれども、我々日本原燃は現在コンクリートピット処分だけを実施しているということで、まだトレンチ処分を計画だとか実施しているわけではございません。
 それから2点目でございますけれども、今現在1号埋設、2号埋設を現実に許認可、両方を合わせますと40万本操業しておりますけれども、こういった処分を考える場合、処分だけを考えないで処理、すなわち廃棄体の製作、確認、それから輸送をどうするか。要するに廃棄体の製作、それから輸送、処分を全体的に見て、総合的に最適化するような形も検討されるといいのでないかというご提案でございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。それじゃあ白羽委員。

【白羽委員】
 私もきょう初めて参加させていただきました。公認会計士という立場からこの委員会でご意見を申し上げさせていただければと思います。特に、おそらく私ども会計士のほうに期待されている点としまして、ここでやられる事業の費用、特に発生者、負担される方の料金についての考え方。料金について、発生者が公平に負担するという基本的な原則があるかと思いますけれども、おそらくこの事業自体が非常に長いという中で、しかも事業の費用が見積もりによるというところがございますので、見積もりの要素、それから時間が経過するとともに見積もりをどのように見直していくのかと。それによっては、公平な負担といいながらも実際にキャッシュアウトする金額が異なる場合もおそらくあろうかと思います。この辺についての基本的な考え方。おそらく初期のころに負担された方が、前の報告書によりますとコンクリートピットに70万円、それからトレンチ方式は13万円という記載がございますけれども、これが何十年、100年を過ぎますと、おそらくこういった値段での負担にはならないかと思います。基本的な料金の負担の考え方を事業費とあわせてこの中で考え、方向づけできればと考えております。この事業の考え方は、実際の事業が始まるまでと、実際に設備ができ上がってからのコストの見積もりというのは大きく変わるかと思いますので、そこも含めてご意見のほうを申し上げればと思っております。

【山名主査】
 どうぞよろしくお願いいたします。柴田委員。

【柴田委員】
 私は電機工業会といいまして、メーカーが集まっている工業団体の者でございます。私どもメーカーも、これまで日本の原子力開発のためにいろいろな研究開発をやってきまして、そういう意味では廃棄物を結構抱えているのですが、持っていき場がなくて非常に困っているということですので、きょうもいろいろ各委員の方から難しい課題を幾つかご指摘いただいているのですが、私どもとしては今回、文部科学省さんも本気になってやるということを言っていただいておりますので、何か1つこの委員会でも進むことが決まればいいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【山名主査】
 ありがとうございます。石榑委員、お願いします。

【石榑委員】
 先ほどは過去のことということで過去に限定して申し上げたのですが、今度は将来のことということで資料3について申し上げたいと思います。時間がないので、今後の検討の中で、前回も指摘されながらあまりその後進展していないということで、2点だけに絞って申し上げます。1つは先ほど小佐古委員が言われていますように、今回対象とする廃棄物は、いわゆる二重規制、多重規制といった幾つかの違った法律でそれぞれずっとコントロールされてきた廃棄物を同じ処分場で処分するという形になることでありまして、これは原子力委員会が発生源にかかわらず合理的な処分をすべしというメッセージを既に出しておられますから、その方向に沿ってされるのだろうということで、それは非常に好ましいと思っているのです。ただ、現実の問題になると、処分場の中で炉規法、障害防止法、医療法の関係法、さらにはさっきの話では獣医療法とか、それぞれ違った法律の廃棄物があるわけです。処分場に持ってきた途端にこれはどういう形で処分するのかと。別々に地域を分けてやるのか、混然一体としてやるのかという問題がありまして、ここのところは費用の積算とかいろいろなところにかかわってきます。きょうは申し上げませんけれども、ほかにも難しい問題があって、そのあたりは規制とのかかわりなのですが、ここで規制のことを議論するわけではありませんけれども、ある程度規制と連携をとっていただきながら進めていかないと、こちらだけの論理でいっても最後にひっくり返ってしまうということになる。それが1点です。
 今のことにもかかわるのですが、もう一つは廃棄体の受け入れ基準、あるいは施設の基準に、結局は処分の本数なんかもみんなつながってくるわけです。先ほども話がありまして、前回もそうだったのですけれども、例えばトレンチ処分が13万円と言っているのですが、トレンチ処分の場合は非常に廃掃法とのかかわりがあり、13万円というのは要するに廃掃法で言っている安定型処分場を念頭に置いて言っているわけです。ですけれども、ここで出てくる廃棄物に該当するものがほんとうに安定型処分場でいけるのかどうかというのはクリアではありません。むしろ管理型処分場にしないといけないかもしれないという問題があって、これは仕分けするときにまともに物量にかかわってくるわけです。ですから、そういったところも規制に絡んでくると思いますが、ぜひその辺も連携をとっていただきながら、何とかこの中で議論が進められるようにしていただけるとありがたい。以上。

【山名主査】
 ありがとうございます。それでは、大体時間が迫っておりますので、私のほうで今出ましたキーワードだけ総括させていただきますが、まず山内委員、小佐古委員、辰巳委員からは、独立行政法人として長期的な事業をいかに継続的に確保できるかという点。これは政府のほうの本質的な問題でございます。まずこの指摘がありました。それから、小佐古委員のほうから対象をどうするか明確にしようと。ウラン廃棄物、クリアランスの問題、余裕深度対象という指摘があったように思いますし、今石榑委員のほうからは、廃棄体の受け入れ基準の話と二重規制の問題。これは安全規制側に密接に関係する問題であります。それから、佐々木委員のほうからのぜひタイムスケジュールを明確にして議論していこうということも非常に大事でありまして、これは先ほどの安全規制側の制度との時間的な絡みにも関係するということであります。それから、実施主体の体制や組織、あるいは評価といったものが非常に重要である。それから、立地地域の振興、あるいはパブリックアクセプタンスというのが非常に重要と。白羽委員からは、料金の設定について非常に重要であると。また、そういうものに深く関係する発生本数の見積もり、今後の調査の不確実性が非常に重要であるというお話もありました。それから、量を減らしていくとかリサイクルというのをどう入れていくかという話がありました。また、森委員のほうからは、集荷と処理を処分主体との関係でいかにオールジャパンで合理的にやっていくかという提案があったという、大体今申しましたようなことがきょう挙げられたキーワードであったかと思います。
 これからこの作業部会はおそらく1年近く、先ほどの18条、19条マターを基本に、また、それ以外にも関連することを議論していくことになりますが、今ここで委員の先生方から出たキーワードを事務局のほうでよくそしゃくしていただいて、今後どう議論していくかという明確な道筋をつけていただいた上で今後の議論を進めていきたいと思っております。それでは時間になりましたので、事務局のほうから今後の予定等何か事務連絡事項がありましたらお願いいたします。

【門田放射性廃棄物企画室長】
 きょういろいろフリーディスカッションでいただいたキーワードなどを踏まえまして、基本的には今後もし今国会でご議論いただいている法律が通った後には、基本方針とか実施計画をつくっていくことになろうと思いますけれども、その中にどのぐらい盛り込めるかというところをまたご議論いただくことになると思いますので、次回具体的にいつということは、国会の状況などもございますのでまだこの場でご連絡する状況にはございませんけれども、追ってその時期が来ればまた日程調整等させていただきたいと考えてございます。以上でございます。

【山名主査】
 それでは、これにて第1回の作業部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

‐了‐

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(研究開発局原子力計画課放射性廃棄物企画室)