情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成20年6月19日(木曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 3階 2特別会議室

3.出席者

委員

 土居主査、大島委員、加藤委員、吉良委員、佐藤委員、西尾委員、平尾委員、松本委員、安岡委員、山根委員、吉川委員

文部科学省

 徳永研究振興局長、藤木大臣官房審議官、勝野情報課長、関根スーパーコンピュータ整備推進室長、中井課長補佐

オブザーバー

(科学官)
 喜連川科学官

4.議事録

【土居主査】
 定刻になりましたので、また、定足数を満たしたようでございますので、ただいまから、第6回次世代スーパーコンピュータ作業部会を始めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より本日の配付資料につきまして、確認をお願いします。

【事務局】
 お手元の議事次第と照らし合わせて、資料のご確認をお願いします。資料1は「次世代スーパーコンピュータにおける研究機能の構築について(議論のたたき台)」、資料2は「次世代スーパーコンピュータ作業部会報告書(素案)」、資料3は「次世代スーパーコンピュータ作業部会におけるこれまでの意見の整理」です。
 また、議論の参考とするため、机上に緑色のファイルの「次世代スーパーコンピュータ作業部会参考資料集」及び灰色ファイルの「次世代スーパーコンピュータ作業部会配付資料集」を置いております。配付資料集につきましては、第1回から第5回の作業部会で配付した資料をとじております。適宜、ご参照ください。これらの資料に欠落等ございましたら、事務局までお申しつけ願います。

【土居主査】
 よろしいでしょうか。また何か足りないことがありましたら、その都度おっしゃっていただくとして、議題に入らせていただきたいと思います。
 議題1の「次世代スーパーコンピュータを中核とした教育研究のグランドデザインについて」でございますが、本日は、まず前回の作業部会に引き続き、次世代スパコンにおける研究機能の構築についてご議論いただきたいと考えております。その後、これまでの議論を踏まえた報告書の素案を事務局で用意いただいておりますので、これについて議論をしていただければと思います。
 それでは、事務局から次世代スパコンにおける研究機能の構築について、資料に基づいてご説明いただけますか。

【関根室長】
 それでは、お手元に配付させていただいております資料1に基づきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。
 前回、第5回の作業部会におきましては、次世代スパコンの利活用のあり方、特に一般的利用と、国家的な観点で実施をしていく戦略的利用といったことをご提示させていただき、ご議論をいただいたところでございます。特に戦略的利用の部分におきましては、例えば戦略分野、戦略目標をつくり、その目標設定のもとに戦略機関が具体的な活動を行っていくといったときのマネジメントのあり方ですとか、その戦略機関間との関係ですとか、そういったところでご議論、またはご意見を特にいただいた部分だと思っております。
 今回、そういったところを踏まえまして、資料1でございますけれども、次世代スーパーコンピュータにおいて、特に次世代スパコンを中核としてどういった機能形成を図っていくのか、特に研究機能を中心としてどういった機能形成を図っていくのかといったところについて資料をまとめさせていただいております。
 資料1でございますが、1ポツで戦略的利用のあり方ということを書かせていただいております。これは前回ご説明、ご議論いただきましたとおり、次世代スパコンですぐれた研究成果を創出していくといった観点では、多様な研究者のニーズにこたえる、いわゆる一般的利用といった側面と、社会的・国家的見地から特定分野の研究を戦略的・重点的に推進する「戦略的利用の考え方」、この2つが必要ではないかということでございます。
 第2パラグラフ以下、前回の資料でお示しさせていただいたものを再度載せさせていただいております。具体的なあり方としては、戦略分野及び戦略目標を国が定め、特にその設定に当たっては、有識者からなる戦略委員会というのを、これももともと国の審議会などを想定しておりますが、そこでご検討いただいた上で国が決定していくといったプロセスでございます。
 それから2でございますが、戦略機関の選定・決定。国が今申し上げたような戦略分野ですとか戦略目標のもとでそれを実施していく戦略機関といったものを決めていくということでございます。それを決めるに当たっては、戦略目標を達成するための研究課題や研究体制、研究実績、さらには人材育成の観点、こういったものを考えながら決めていくということでございます。
 それから、戦略機関というのがどんなことをやるのかということでございますが、例えば、研究期間は原則5年程度とし、戦略機関には一定の計算機の運転時間、マシンタイムが割り当てられる。さらには、研究費の措置なども考えながら具体的な研究開発をやっていただくということでございます。
 2ページ目の5でございますけれども、マネジメントについてはいわゆる政策的なマネジメントの部分では、今申し上げた国の審議会を想定しておりますが、戦略委員会、こういったところがマネジメントの中核を担っていく。現場レベルでは、後ほどご説明をさせていただきますが、連携推進会議のようなものを通して連携を図っていただくといったようなことを想定しております。それから、評価につきましても、3年目なり、最終段階においてはその評価を行っていくといったことを考えております。
 2ページ目の2ポツ、研究機能の充実でございます。今申し上げた戦略的利用、戦略プログラム、こういったものを軸といたしまして、次世代スパコンには高い研究ポテンシャルを有する研究機関ですとか研究者が集積することが想定されると思っております。さらには、レベルの高い研究を行っていくという観点では、計算科学技術の幅広い分野を支えるような共通基盤的な研究開発、こういったものについても研究のポテンシャルを蓄積をし、形成していくといったことが重要ではないかということでございます。
 具体的に、例えばこういった研究開発としては、計算機の開発・高度化に関する研究開発、いわゆる計算機科学の部分、それからシミュレーション研究におきましては、例えばモデル化ですとかアルゴリズムの研究開発、さらには分野連携に関する取り組み、こういったものがいわゆる共通基盤的な研究開発ということが言えるのではないかと思っております。これらにつきましては、前回少しご意見いただきましたけれども、設置者である理化学研究所が、例えば次世代スパコンの高度化などの施設運用の効率化、さらには利用者の利便性の向上、こういった観点での研究として実施していくことが適当ではないかというふうに考えております。今後必要に応じて、例えば共通基盤的な研究開発というものを戦略分野に位置づけていくといったようなこともあわせて検討していくことが必要ではないかと思っております。今申し上げましたのが、いわゆる研究開発の部分の共通基盤的な役割、位置づけでございます。それから、実施機関レベルのマネジメントについては、この「また」以下でご説明をさせていただいております。
 具体的に、戦略機関や設置者である理研、さらには登録機関などがそれぞれの役割を果たしながら、より密接に連携をし、効果的・効率的な研究を推進していくといったような観点では、これらの機関で構成される連携推進会議、こういったものを設置し、具体に研究開発を行っていただくというのが適切ではないか。さらには、この連携推進会議の事務も含めて、マネジメントのいわゆるハブ的な機能といった意味でも、理研が一定の役割を担っていただくということが適切ではないかと考えております。
 さらに、連携推進会議の構成員が中心となって、一般的利用の利用者も含めた、より幅広い関係者から構成されますオールジャパンの取り組み、枠組みといたしまして、次世代スーパーコンピュータ利用促進フォーラム(仮称)、こういったものを今後開催し、次世代スパコンの利用促進、それから計算科学技術の普及・振興、こういうことを図っていくことが重要ではないかと思っております。
 具体的な活動としては、利用者などの情報交流・研究交流の推進ですとか、研究成果の集約・蓄積・発信、さらには共同研究ですとか産学連携、こういったことの推進、そういった観点が考えられると思っております。
 今申し上げましたような、例えばマネジメントにおきますハブ的な機能、こういったものについては、次世代スパコンの運用開始後の状況なども今後見据えながら、必要に応じてその業務の一部を登録機関などに移管していくといったことも、業務・事務の効率化の観点から検討していくことが必要ではないかと思っております。
 それから、3ポツでございます。次世代スパコンにおける諸機能の有機的な形成でございます。今申し上げたのが、具体的には研究開発の部分を中心としたご説明をさせていただきましたが、次世代スパコンが世界最先端・最高性能の計算機として大きな研究成果を出していくといったことが、もちろん期待をされているわけですけれども、こういった観点では、研究機能の構築に加えまして、例えば産業利用や人材育成、こういった次世代スパコンに期待される諸機能が全体として有機的に形成されていくといったことが必要ではないかということでございます。こうした観点から、研究開発面においては、特に戦略機関がある一定の役割を果たしていただくということが重要だと思っております。
 具体的には、ネットワークを介した遠隔利用に加えまして、次世代スパコン施設において研究スペースを利用した活動を行うといったことによって、次世代スパコンの利用にかかる諸機能の効果的な形成に貢献していただくということがあると思っています。さらには、戦略機関のほかに理研、登録機関、加えまして全国の大学、研究機関などとさらに連携を図りながら、重層的に諸機能の形成を図っていくということが重要だと思っております。
 産業利用の面につきましても、次世代スパコンにおいて産業利用枠を設定したり、また、登録機関が提供する手厚い研究支援、さらには共同研究に関するコーディネート、こういったことにより、民間企業などが次世代スパコンを利用しやすい環境を構築していくと、こういうことを通しまして、分野、さらにはセクターを超えた研究者などの交流を図るということで、産業イノベーションを創出していくという構造が必要ではないかと思っております。
 人材育成の面でございますけれども、次世代スパコンにおける教育利用枠の設定、こういったことで、次世代スパコンを利用していただく機会を提供するということ。それから、戦略目標に人材育成の観点を加えることなどによって、戦略機関においても人材育成へ積極的な取り組みをしていただくということがあると思っております。人材育成に関しましては、前回、計算科学ですとか計算科学の調査の状況などもご紹介させていただきましたが、次世代スパコンを活用した人材育成に加えまして、もう少し高い視点で、我が国全体を見据えた将来の計算科学技術全体を担うような人材の育成、こういった観点が必要ではないかと思っております。そういった意味では、例えば一部の大学におきましては、計算科学技術に関する体系的な教育プログラムの検討ですとか、計算科学技術に関する新たな教育研究組織の検討、こういったことが行われておりますので、今後、多くの大学などにこういった動きが広がっていくといったことを期待をしたいと思っております。
 さらには、今後、これらの状況なども見ながら、次世代スパコン施設における人材育成、さらには我が国全体としての計算科学技術を担う人材育成の具体化、こういったことを検討していくということが必要だと思っております。
 それから、3ページ目の一番下でございますけれども、次世代スパコンのネットワーク利用についても書かせていただいております。今後、グリッド技術なども当然発展していくといったことも踏まえて、次世代スパコン施設においての機能形成ということを考えていく必要があるということ。さらには、ネットワークといった視点から、全国に存在する計算機資源、それから大学・公的研究機関との連携、こういったこともあわせて考えることによって、全体としてネットワーク型の機能形成を図っていくこと、こういった視点も必要だと思っております。
 それから、5ページ目には今ご説明申し上げたことを少し絵にかかせていただいております。次世代スーパーコンピュータ、大きく戦略的利用と一般的利用がございますけれども、それぞれの利用において登録機関、それから理化学研究所が支えるというんでしょうか、特に登録機関においては技術的な支援の部分、それから、理化学研究所においては、当然、施設の維持管理に加えまして、今ご説明をしたような共通基盤的な研究開発ですとか、そのマネジメントにおけるハブ的な機能、こういったものも機能として担っていただくということが必要ではないかと。こういったことをベースにして、全国の教育機関、それから民間の企業、それから研究機関などと密接な連携などを図りながら全体を構成していくと。全体の次世代スパコンの利用の促進と、計算科学技術全体の普及・振興という広い観点で、フォーラムなどの形成といったこともあわせて視野に入れていくといったことを考えてはどうかということでございます。

【土居主査】
 前回までのご議論、特段、前回出ました基礎研究といいますか、この図にあります、共通基盤的研究開発というようなこと、あるいはハブの機能ということで、設置者である理研がかなり前面に出てきて、わかりやすくなってきたのではないかと思いますが、よりこれを具体化するためには、また今後時間が必要だとは思うのですが、少なくとも、このレベルで意識合わせ、及び委員の皆さん方のさらなるご意見をいただければと思うのですが、いかがでしょうか。

【平尾委員】
 この利用に関して、一般的な利用と、それから戦略的利用があって、一般的な利用のほうはそれぞれから課題が申請されて、それを受けるということになるのでしょうが、戦略的利用のほうは現在でも重点的な領域というのが、例えばライフサイエンスとかナノとか、あるいはものづくりであるとか、地球温暖化の環境の問題とか、いろんなところがあろうかと思うんですが、それはそれぞれの分野でかなり、こういう計算機を利用することで深掘りはできると思ったんですが、なかなか、計算科学という新しい領域を日本で興し、そして人材を育成し、サイエンスにブレークスルーをもたらす、あるいはイノベーションを起こすという意味では、それぞれのところが独立性はあってもなかなかうまくいかないなと思っていましたので、本当は研究所のような大きなものができたらいいなと思ったんですが、それが現在の状況の中では非常に難しいとなれば、何かそういういろんな領域を、横軸というのか、横にくし刺すようなものがどうしても必要ではないかと思っていましたので、今回、ハブ的なものとしてある機関がきちっと位置づけられるというのは、私は非常にいい方向に行っているのではないかと思っています。
 その中で、どういうふうに研究だけでなく人材育成などもやっていくかということもこれからの課題かもしれませんけれども、以前にあったものよりは少しはっきりしていると、私としては何となく見通しがはっきりしてきたなという気がしております。感想でございますが。

【加藤委員】
 今回、イメージがはっきりと見えてきて、非常にいいことだと思います。大きな方針として戦略的利用と一般的利用となっています。今のコメントにありましたとおり、戦略的利用の一部としてはライフサイエンスがあるというお話でした。民間企業が使う場合でも、ベーシックサイエンスの面で計算科学としてまだまだもの足らない部分があります。それを戦略的利用から深掘りしていっていただければありがたい。さらにその計算科学的手法が民間あるいは一般レベルでの利用にまでダウンサイジングする、だれもが使える環境を用意するということが重要かと思います。このような戦略的利用から一般的利用につなげるベクトルがあってもいいのではないかと思います。
 民間企業が実際にスーパーコンピュータを使う場合を想定すれば、「スーパーコンピュータを使わないとできない計算を希望するのか、あるいは、将来的には自分の机の上にある端末でも同じ計算機能が発揮できる環境が欲しいのか」です。ここで作られたプログラムが、3年、5年、10年後には普通のコンピュータで実現できるという環境が必要かと思います。そのためにも、深掘りと同時に、それを一般化する、あるいはだれもが使えるようなソフトに落とし込むという仕組みが必要かと思います。そのためにも、登録機関、あるいは理研も含めて、そういうところへのサービスというのをぜひとも考えていっていただきたいと思います。

【土居主査】
 極めて貴重なご意見だと思います。

【西尾委員】
 私自身は、以前からスパコンの大きな事業に関して、人材育成というのが将来に向けた意味では非常に大きな意義を持っていると思っています。今お話しいただいたところの人材育成の面のところで、少しだけ次のような可能性がないかということをご配慮いただければと思います。例えば、戦略機関等々がおのおのの先進的な領域でいろいろなプロジェクトを推進するために次世代のスパコンをお使いになると思うんですけれども、私自身は、そういう使っている過程から、計算科学の分野の人材育成に関して、教えることのコアとして何が大事かということが、わかってくるような可能性があると思います。計算科学のコア科目となるものはどういうものなのかとか、あるいはどういうことをきっちりベースとして教えておかなきゃならないのかということが、ここに書いてある各大学とかがばらばらではなくて、戦略機関同士で横ぐし的に何か議論できるある種のプラザ的な、あるいは委員会的なものがどこかに位置づけられることを望みます。そこでの議論を通じて、日本として計算科学の分野で、どういうことを将来に向けて、本当にコアとして教えておけばいいかということの深掘りした議論ができるんじゃないかと思います。そのような可能性については、今後検討を進めると書いていただいていますので、ぜひ、ご配慮いただければと思います。

【土居主査】
 一部、フォーラムのようなことで吸収しようということが提案されているわけですが、そういうこととの兼ね合いでもあろうかと思います。

【吉川委員】
 戦略的利用の考え方自身は、今日ご説明いただいた内容で非常にいいんじゃないかなと思うんですが、幾つかイメージがわかないところがあるので、もし教えていただければと思うんですが、1つは、戦略機関は大体幾つぐらい選んで、1つの戦略機関の規模というのはどうなのか。例えば、ライフサイエンスのこの領域で、それぞれ1けたの数なのか、10カ所、20カ所まで想定しているのか。1つの戦略機関の研究に従事している人、前回のアンケートなんかを見ても相当な箇所があるので、その粒度を下げていくと、数人の戦略機関という形になるのか、それとももうちょっと大ぐくりにするのかというイメージが1つ。
 それから2番目は、実際、戦略機関で研究に従事する研究員の属性というんですか、その戦略機関に所属する人が中心になるのか、あるいは5年間という枠組みの中でもっとオープンに人材を入れて、例えば5年間全部ではないけれど、大学から2年間参加して、どんどん入れかわっていくというイメージなのか、あるいはもうちょっとグローバルな連携をして、世界から優秀な研究者を集めるようなアクティビティーというのをどの程度考えるか、その辺の研究員の属性のイメージ。
 それから3番目に、研究の場というのは原則的にどう考えるんですかと。計算機を使うとき、あるいはフォーラムとか、そういう共通の事項があるときはセンターに来るけれど、主たる研究の場所は戦略機関の研究場所になるのか、それとも、やはりここで選ばれたからには、共通の研究場所としてスパコンのセンターを使っていくという方向に持っていくのかということで大分イメージが変わってくるんじゃないかなと思います。
 それから、そういう意味では、せっかくこういう形でやるんだとすると、4番目の課題になるかと思うんですが、融合とか連携というのをどういうふうに考えていくんですかと。せっかくこういうことを始めたので、違ったテーマで違った分野の研究者が交流するような場というものをどの程度積極的につくっていくのかと。このあたりのイメージが聞いていて浮かばなかったので、もし、ある程度構想があるのであれば聞かせていただきたいなと思います。

【土居主査】
 ある意味において、今回がマクロの議論で、これからミクロのものでつくっていかなきゃいけないという面がありますが、その数、粒度、場所、融合などというところで、審議官、何かありますでしょうか。

【藤木審議官】
 最初に、戦略機関の規模とか数、属性ということですが、これは報告書素案の前のほうに書いてありますように、いずれ実施のための戦略委員会ができますので、そこで、本来、おそらくもう一回議論して決めていただける話だと思います。今、私どもがある程度頭に描いているお話を申し上げますと、戦略機関というのは、やはり一定の大きさ、かなり大きなものを想定しておりまして、やはり研究者が数十人とか、かなり大きな拠点と言えるだけの規模がやっぱりいるのではないか。したがって、それに必要な資金、これは国からの支援も含めて考えているわけですけれど、そういう資金単位についても、それなりの大きなものを持ったものが戦略機関になるのではないかというふうに思います。本当は何億円とか申し上げるのがイメージがわくかもしれませんけれど、今の段階ではミスリーディングになるかもしれないので、拠点の大きさとしては、やはり数十人規模程度以上の大きな拠点ということを想定して、支援なんかもそれを想定しながら考えていくということになるのではないかと思っています。
 数は、これは戦略分野なのか、先ほど平尾先生もいろんな分野があるとおっしゃっておられましたとおり、今ここで予断することはできませんけれど、ただ、一方で戦略機関の規模がそれなりに大きいことを考えると、多数、20も30もということはできないと思います。おそらく、1けたの後半ぐらいかなというイメージですけれど、それも、そうはいっても戦略分野の重要性がこれから議論されることになるわけで、その重要性次第では、それも考えていかなきゃいけないということになると思います。
 それから、研究者の属性ですけれども、極めて流動的なものであってかまわないと。固定的なものであってもいいのかもしれませんけれど、概念としては開かれている、すなわち、外国の方が来てもいいし、数年単位で中の構成員が変わってもいい。ただ、一応、戦略目標が設定されるわけですから、その達成ができるように人材も流動的に確保していくと、そんなイメージではないかなと私どもは考えております。
 それから、研究の場所、物理的場所の意味ですが、先ほどのハブ機能を持つ機関、すなわち、ここでは理研ということが想定されています。理研も戦略機関の一部になるかもしれませんけれど、戦略機関、それ以外の一般的戦略機関といいましょうか、普通の戦略機関は、基本的には全国のやりやすい場所で研究をしているということが想定され、理研においてはハブ機関として神戸にいることが想定されるということが大きな絵ではあります。ただ、この中で先ほど企画官からお話し申しましたように、そういったリモートにいるだけでは、本当のフェース・トゥ・フェースで融合とか連携とか、極めて起こりにくいのではないかということもありますから、やはり研究を進める際にも、次世代スパコン近くの拠点の中に、各戦略機関の研究拠点も置ける、あるいはむしろ置いてほしいというような、日常的な研究での交流が起こるような環境をつくりたいということを考えております。あそこに次世代スパコンの施設を入れる施設棟と研究棟というのを建てておりますけれども、その研究棟というのはハブ的機関が入るだけでなく、各戦略機関もいわばそこにいて、いろんな分野の方が交流をできるという、日常的な研究交流ができる姿が好ましいのではないかと想定しています。
 最後の融合・連携の交流というのは、研究面ではまさにそういうことですけれども、もう少し幅広い、ユーザーの一般利用者も含めて、いろんな交流を行っていく中で、まさに新しいアイデアが出てくる、先ほど平尾先生もおっしゃっておられたとおりですので、こちらの連携推進会議といった、これまた中核的な組織が全国の一般利用の方も交えて、定期的なフォーラムのようなものを開催することで、新しい分野を見つけ出して、つくり出していくということを期待して、今回、そのような全国フォーラムのようなものを記述させていただいているということになっております。ただ、この辺は最終的には戦略委員会が、具体的場面についてはまた議論していただくことになりますので、大筋、そのことを考えてこれをつくっているということであります。

【土居主査】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

【吉川委員】
 はい、非常によくわかりました。

【土居主査】
 戦略委員会、あるいは何らかの形のところでこれをもっとブレークダウンしていかなきゃいけないという過程で、いろいろなものがもう少しクリアになってくるんじゃないかと思います。

【佐藤委員】
 比較的技術的なことになりますが、登録機関がいまだにイメージできない。ここでは、例えば戦略機関から出てくるテーマの裁定もするような、そういったことも書いてありますし、一般的な公募、それに対する応募の審査、おそらく、そういうものもここでやるということになるんでしょうけれども、その辺のところのイメージがあまりクリアではない。先ほどのハブ的な機能も、時間とともに一部移すということが書いてあるんですが、登録機関のなすべき基本的なところはもう少しクリアに書かないとわからない、皆さんが混乱するんじゃないかという、そういう気がしますので、その辺はいかがでしょうか。

【藤木審議官】
 確かに、そういう印象を与えているかもしれません。登録機関については、基本的な機能はそこで行われる課題の選定と利用者支援という、この2つの機能が法律に定められておりますから、それをやるということではありますが、実は、今これが法律で非常に明確になっている、吉良先生のところのSPring-8のイメージを、我々非常に持っているわけですけれども、そこにおきましては、選定業務は、ここで、このスパコンの議論の中で行われています一般的利用に相当するものであって、基本的に、登録機関がすべての領域に当たって選定をしているというふうに理解しております。
 今回の場合は、戦略的利用といういわば新しい考え方を入れておりますので、そこにおきましては、国からの支援と、施設を実際に利用するという意味での選考と、二重の選考が起こることになります。そこでの細かい調節について、ここで十分書き込んでいないので、佐藤先生から、ちょっとイメージが明確ではないのではないかというご指摘があると思うのですが、まさに、そこについてはこれから具体的な制度設計をもう少し書かないといけないと思いますけれど、考え方として、大体基本的なところは、戦略機関については国で選定する。その戦略機関がどの程度のマシンタイムを使うのか、それから、一般的利用の方を選定し、その方にどの程度のマシンタイムを使わせるのか、そのあたりは登録機関がやるというイメージで今考えているということであります。ただ、2つの選考が並行して起こることになりますので、その間の調整については、制度的にきちんと設計していくというのは、これから行っていかなければいけないことだと思います。
 そして、利用者支援については、ここでは、まずはハブ的機能を持った理研のようなところがきちんと支援をするという前提で書かれております。ただ、支援業務は、徐々にそういった支援能力を持つ人が増えてきて、理研が極めて高度な先端研究と一緒にやっていなくてもよいという状況になってくるにつれて、登録機関にその機能を移していくというイメージを今持っているわけであります。したがって、そういうイメージがここに書き込まれているかどうかというところは、受けとめ方によって違うかもしれませんが、頭の中で描いている姿は大体そんな姿でございます。

【土居主査】
 よろしいでしょうか。

【佐藤委員】
 はい。

【土居主査】
 もう1つの、この後にご検討いただきます資料2、この報告書の、例えば3ページあたりに、今の登録機関に関することが、ある意味でざっくり書かれているわけなんです。ですけれども、今審議官がおっしゃられたようなことで、全体として、設置者である理研が全体的に何をやらなきゃいけないか、そのうち、どの部分を法律に従う面もあるわけですけれども、アウトソースするかというところとの、要するに境界の切り方だろうという気がいたします。またこれも、ミクロのところをこの後、どこで切るか、あるいは進行に応じてどうするかというような、これはまたその後のことであろうと思うんですが、そんなことで決まってくるんじゃないかと思うのですが、吉良先生、どうですか。

【吉良委員】
 あまり細かい議論にならないように気をつけて話しますが、今、実際には審査の話で、一般の審査と、それからそういう重点領域の審査というもの、例えばSPring-8の場合どうしているかというと、国で一遍審査した、例えば科研費でも何でもいいですけれども、審査したものをもう一遍機関が審査するというのは非常に無駄なわけです。受けるほうからしても。そういうばかなことはやめようという議論が大分前からありまして、それはユーザーコミュニティーのメンツと、国の審査のメンツみたいなものがあって、二、三年ごちゃごちゃしたんですが、今は整理がついております。ですから、この構造は、そういう意味で今の現実の延長としても認められるし、大体、アクセプトのようなものになっていると思います。それで、むしろさっき、最後まで気になったのは、理研のハブ的役割で、理研と登録機関がうんと仲よくするというのは現実に必要なんです。ところが、結局、請負とかそういう話が最後に入ってくるんです。特定のところに随意契約でやれないなんて問題が入ってきて、そのときに仲よくしすぎると、随意契約をやったときにそれはよくないなんて、とんでもないところから文句がくる。その現実に今困っているので、できれば、そこを担保することをこの委員会として考えてくださると。

【徳永局長】
 JASRIと登録機関はイコールじゃありませんので、結局、法律で想定している登録機関という問題と、現実にJASRIがやっているということは必ずしも違うわけです。現にJASRIが登録機関としての業務を行い、なおかつほかに、いわば登録機関ではないところの、本来JASRIがもともとやった業務を……。

【吉良委員】
 ああ、そうです。失礼しました。

【徳永局長】
 登録機関に目されているところが法律上で、法律上のことは法律上のことで決まっていますから、これはここで論議のしようがないんですけれども、それでやっているところが、それ以外のところで、具体的にその延長線上で何をするか、しないかという問題はまた別の問題だと思います。

【吉良委員】
 そうです。すみません。だから、支援のほうで仲よくするというところにその辺が入ってきてしまうような気がしていたので、言い方が悪かったので、すみませんでした。

【土居主査】
 JASRIはあとから出てきた法律で縛られたから、なかなか悩ましい面があるとは思うんですが、ほかにはいかがでしょうか。

【松本委員】
 質問なんですけれども、大体の枠は理解しているつもりなんですが、戦略委員会というものをつくって戦略分野を決めますよね。一方、戦略機関というのがありますよね。私は大学の人間ですので、大学の立場で少し考えてみますと、例えば大きな大学ですと、いろんな分野の専門家がおられて、分野は選ばれました、そこにたくさんの専門家がいれば、そのまま大学も1つの機関となり得るとは思うんですが、必ずしも、その分野だけじゃなくて、幾つか複数の分野で複数の戦略的な人が10人とか20人単位でいると。しかし、50人、60人はいない。全国にネットワークを張ると、その分野では50人、60人はいるということが想定されますよね。現実はそれに近いと思うんです。その場合に機関というのは、戦略機関の定義はあいまいになってくると思うんですが、どういうふうにお考えでしょうか。

【藤木審議官】
 そこは、今ここでは明確に書いておりませんけれど、戦略機関というのは、もちろん単独の場合もあると思います。ただ一方で、今おっしゃったようにネットワーク型で、いろんな複数の機関が連携して1つの組織、戦略機関として機能するという形もまたあるのではないかと思います。それを具体的に実現するための制度設計は、これからやらなきゃいけませんけれど、いろんなところ、大学間でいろいろ連携していろんなことをやろうという動きは、今ここだけではなくて、もっと大きな流れとしてあるわけですから、そういういろんな機関が連携して、1つの戦略機関となるということが、これはあり得ることだと思っています。

【松本委員】
 ありがとうございます。ネットワークをしないと、おそらく現実的には組めないと思いますので、それは機関と呼ぶ、バーチャルなものを機関と呼ぶという定義であれば、大変結構かと思います。

【土居主査】
 よろしいですね。

【吉良委員】
 戦略機関の話を聞いてイメージしたのは、例えば、タンパク3000というのがちょうど放射光の最初に話をしたんですけど、あれがこの戦略機関の1つみたいな感じで、あれに相当するものをほかの分野でも幾つか発して、それを1つのコンピュータ関係の大きな戦略利用プログラムというふうにするようなことをお考えなんでしょうかというのが、私は何となくそうイメージしたんですけれども。機関と言っちゃうと、もっと固いものができるような感じもするんですけれども、タンパク3000の場合は、例えば理研がコアになって、そして幾つかの大学を巻き込んだ格好になったわけですね。

【徳永局長】
 先ほど松本先生からありましたネットワークの話も、基本的に、例えば、国立大学でもそういうネットワーク型で附置研究所をつくるときというのは、それは法令的には中期計画期間の話でございますから6年ぐらいですし、今考えているのは、例えばそういう大きなプロジェクトをするにしても、やっぱり5年とかいうスパンだと思います。今後、そういったところで、一方で、いわばそういう組織的なものも、バーチャルなものとかネットワークみたいなものも、現実にはもっと長い期間存続することもありますけれど、当面はそういった事柄も、いわはプロジェクト型の事柄も、ほぼ一体となって進行していくんではないかと。

【吉良委員】
 全部ひっくるめて、もっと大きな……。

【徳永局長】
 多分これからは、どんどん高等教育局のほうで、現在、例えば国公私立大学間の戦略的地域コンソーシアムということも戦略をしていますので、今までは組織政策とプロジェクトみたいなものが別々の次元で動いておりましたけれども、これからはいろんな意味で文部科学省全体の中で組織政策のようなものと、研究プロジェクトのようなものがほぼ一体となって、実際には進行していくことになるのではないか。そういう意味では、おっしゃるように、例えば大きなプロジェクトをやるときに、そのことが大きなプロジェクトをやる組織とか、アドホックにつくっていくというようなこともあるんだろうというようなことで、ざっくり戦略機関ということでやっております。

【土居主査】
 よろしいでしょうか。

【佐藤委員】
 先ほど、西尾先生も少し述べられたんですが、計算科学の研究者の教育というのが非常に重要なテーマで、ただ、そのときに2つあると思うんですね。1つは、いわゆる先端的、ここの先生方も何人かやられておりますが、非常に先端的な分野、世界をリードしていくような、そういう分野をこの5年ぐらい、その間に育てていく、ドクター後期、あるいはポスドク、そのあたりを育成していく、そういうものを支援していくものは、戦略機関、あるいは戦略的なもので十分、ほうっておいてもといったら少し語弊がありますが、ちゃんとした計算資源というものがあれば、やっていけるであろうと。
 そして、もう1つ重要な問題として、もっともっとベーシックな、中長期的、国そのものの力を底上げしていく、そういう力をつくっていくような、3年後、4年後には、すぐは成果は出ないかもしれませんが、将来においてそういう人材を輩出することによって、学術界、あるいは産業界も含めて計算科学、あるいはシミュレーション科学というものを担っていくような、そういう部分の教育というのはあるわけですね。こういったものをつくろうとする動きは、現在、神戸その他も含めて進んでいると思うんですけれども、そこに対しては文部科学省は、そういったものができていく、設置されていく、そういったものは、このプログラムとは別として、ぜひ、推進していっていただきたい。この中であまりこうあるべきだということを教育について記述してしまうと、かなりそこで、もっと我々が予測しないような展開が、このシミュレーション科学、あるいはシミュレーションを使った研究、あるいは技術というものが出てくると思うんです。そういったところを抑えてしまう可能性があるということで、そういう中長期的に本当の研究者、どういう状況になろうが、戦力としてできていくようなものをしっかりと身につけた人間を育てていくものを、ベストとして、必ずしもこのプログラムの中でというんじゃなく、並列的な形でしていだたくと同時に、戦略的なものに関しては、ここの中でかなり育成されていく。
 戦略的な課題は時代とともにスペクトルがずれていくんです。そういうものは先端の研究者とともにやっていく中に、若手研究者を育てていくことができると思います。しかし、もっともっと新しいものをつくり出していく、いわば、国の一つの文化といった、シミュレーション文化みたいなものをつくっていけるものを、教育する体制をぜひ文部科学省--ここを超えるかもしれません--が一緒に考えていただければいいんじゃないか。こういうものをどうここに記述するかという問題ではないと思います。

【徳永局長】
 私も20年ほど前から大学課の課長補佐のときに、東京大学の情報科学科が一遍に入学定員を80人ぐらいに倍増して、当時、教官定員が50数人ぐらい純増したとか、あるいは北陸先端科学技術大学院大学と奈良先端両大学院に情報科学研究科という独立研究科をつくってきました。当時も昭和60年代、平成何年代、学科の新設なんて1年間に6学科しかないときに、常にそのうち4学科は情報関係の学科をつくってきたわけで、そこで人材が育っていないということになると、そういう大学は返上していただきたいなということもあるわけです。一方で、最近になりますと、特に経済界、特に日本経団連等から具体的なソフトウエアの作成について人材が育っていないということについて、現在、高等教育局のほうで日本経団連と大学院、オールトータルで高等教育局が一つのプログラムをやっていますけれども、そういう意味では、私どもは具体的に日本全体としてどの大学がどういう大学院を持っていくのか、そこでどういう人材を育成するのか、これは基本的には大学が考えていただくことですから、そういういいものがあれば国公私立を通じて支援をしていくということになります。私は一般論で申し上げれば、日本の中で特にどちらかというと、これまで大学院の教育が北陸先端とか奈良先端はかなり意図的に組織的な教育活動というものを意図したわけではありますが、必ずしもどの大学院も組織的な教育活動を展開してこない。単なる先生方の研究分野の合従連衡みたいなところもありますから、本当に大事なことは文部科学省のベースももちろん財政的支援は投資しなければいけないと思いますが、学会とかコミュニティというベースで、せめてきちんとした情報学の組織的な教育活動をどうするのか、カリキュラムをどうするのか、あるいはそのシミュレーションについて情報科学の分野に限らず、すべての大学院生について共通して学ぶような教科書とか機会をつくっていくのか。そこはちょっと逆にコミュニティレベル、学会レベルでの頑張りをむしろ期待したいと思っています。

【土居主査】
 それでは、これはまた次回にもご検討いただくという点がございますので、本日いただきましたご意見、あるいはこれまでのご議論につきましては、事務局にさらなる改訂をしていただきまして、整理していただいて、次回の作業部会において報告書の素案に反映させていただいて、またそこでご検討いただくということにさせていただきたいと思います。
 次に移るわけですけれども、これまで昨年の12月に第1回の作業部会を開催して以来、本日まで6回の作業部会を開催して、ご審議いただいてまいりましたところでございますけれども、前回、この場で出されました報告書の構成案に沿って、事務局で報告書の素案を作成していただきましたので、これにつきましてご検討いただきたいと思います。
 まずは事務局からご説明いただけますか。

【関根室長】
 資料2をごらんいただきたいと思います。次世代スーパーコンピュータ作業部会の報告書素案ということでお示しさせていただいております。
 まず、表紙の部分で目次が書いてございますけれども、今の構成といたしましては、前回少しお示しさせていただいたものに沿ってつくってございます。まず、プロジェクトの進捗状況ということで、現在のプロジェクト全体の状況について概観をさせていただきます。
 それから、2として次世代スパコンの共用のあり方ということで、これは主に共用全体のあり方を今まで縷々ご議論いただきましたので、それを前回のたたき台と言われている資料をもとにここの部分は構成させていただいております。
3、次世代スパコンにおける研究機能の構築は、まさに今回お示しさせていただいた資料1をベースとして書き込んでいくといったようなことを考えてございます。
 今回、素案という形で主に文章の部分を中心に少し書かせていただいておりますので、次回25日には、きょうご議論いただいたことも踏まえ、図表なども少し加えた形でお示しをさせていただきたいと思っています。
 それで、雑駁でございますが、一度ご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページ目、プロジェクトの進捗状況でございます。プロジェクトの概要といたしまして、次世代スパコンのプロジェクトについて概観させていただいております。平成18年度に開始されたプロジェクトであるということ、123にございますように、ハードウエアの開発整備、ソフトウエア、さらには研究教育拠点の形成とこの3つの柱からなっているプロジェクトということでございます。
 2のプロジェクトの進捗状況でございます。まず、1の立地地点の決定ということで、昨年の3月に理化学研究所におきまして、神戸市を立地地点ということで決定させていただいております。
2コンピュータのシステム構成、ハードウエアでございますが、開発主体であります理研において平成18年4月から縷々ご検討いただきまして、平成19年4月に富士通、NEC、日立の提案を基礎としてシステム構成案をご提案いただいております。特徴としては、1ページ目の下に書いてあるようなものでございます。
 これにつきましては、昨年の今ごろになりますが、情報科学技術委員会のもとに概念設計の評価作業部会をつくっていただき、理研案の妥当性などを評価いただいております。その結果、性能目標の達成、拡張性、展開性等々の観点で適切なものであり、引き続き研究開発を進めるべきだという報告書をおまとめいただいております。
 それをさらに踏まえまして、昨年の夏に総合科学技術会議でも同様の検討をいただきまして、19年9月に現在のシステム構成案が決定してございます。現在はシステム構成に基づきまして、理化学研究所で具体の詳細設計に着手しており、これが来年度の初旬ぐらいまで続き、さらにはその後試作・評価、製作の段階に入るといったようなスケジュールになってございます。
 アプリケーションでございますが、具体的にはナノテクノロジー、ライフサイエンスの2つの分野を設定いたしまして、それぞれ分子科学研究所、理化学研究所を中核拠点といたしまして、次世代スパコンの能力を最大限に引き出し、さらには大きなブレークスルーをもたらすアプリケーションづくりといったようなことで現在、着実に開発を進めているといったようなことでございます。
 それから、施設整備でございますけれども、大きく計算機をおさめる建屋と研究のスペースとこの2つの設備が整備されることになってございますが、計算機棟については現在、建設段階、さらには研究棟についても現在、設計段階になっているということでございます。
 3ページ目でございますけれども、次世代スパコンの共用のあり方でございます。まず、制度の概要を記述させていただいております。この次世代スパコンは特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律、いわゆる共用法に基づき開発・設備・運用がされているといったようなこと、これにつきましては今現在の対象施設というのが大型放射光施設、SPring-8と次世代スパコンであるということ、3つ目のパラグラフですけれども、役割分担といたしましては、次世代スパコンの開発・整備・維持管理については理化学研究所が行うということ、加えまして利用者の選定、利用者への支援、これは利用促進業務と言っておりますが、これにつきましては、法律上は公平かつ効率的に行われるといった観点で、第三者の機関がこういった業務に当たるということが適当とされております。そういった観点で一定の要件を満たす機関の登録を求め、その登録機関が利用促進業務を今後行っていくといったような法律上のスキームになってございます。
 国のほうでは理研、登録機関、施設の利用者といった方々の共用の促進のための活動の基本的な方針を明らかにするといったようなことで、基本的な方針を定めるといったスキームになってございます。
 2、基本方針の見直しでございますけれども、実はこの基本方針につきましては、平成18年7月の法律が制定されるときにあわせて基本方針が策定されておりますけれども、この基本方針につきましては、運用開始後、支援に入れて策定をしていくといったことが本来の趣旨でございますので、平成18年7月から今年の3月まで現行の基本方針に対して意見募集が行われておりました。おかげさまをもちまして、17の研究者コミュニティ等から意見をいただきまして、これについては第4回の作業部会においてご提示をさせていただき、ご議論していただいたものと理解しております。それを踏まえてこの報告書がつくられているといったことを含めて、今後、文部科学省においてはこの報告書を尊重しながら基本方針の見直しに着手すべきといったようなことを書かせていただいております。
 4ページ目でございます。次世代スパコンの共用のあり方ということでございます。まず、基本的な考え方といたしまして次世代スパコンの特徴ということで2つ書かせていただいております。1つは多くの研究者などの利用に供される施設、共用施設であるということ、もう一つは世界最先端、最高性能の計算機であること。この2つを踏まえて検討していくべきであろうと。そういった観点では、この次世代スパコンが研究者など利用者の方々にとって魅力のある施設であり、さらに多くの研究者の方々に活用されるといった観点からいろいろなことを検討していくべきであろうということを書かせていただいております。
 (2)次世代スパコンを利用した研究ということです。次世代スパコンについては、今申し上げたように世界最先端・最高性能の計算機といったようなことで、この能力を最大限に活用することによって可能となるような研究課題が存在するであろうと。そういった観点では学術的、社会的価値を前提として、次世代スパコンの性能や特性を生かすような課題、計算規模ですとか次世代スパコンのアーキテクチャーといった特性を考えて、優先的に実施課題を選んでいくといったようなことが適切ではないかということでございます。
 一方、この計算機の能力を最大限に引き出すアプリ開発ですとか、研究者の育成といった観点では、より小さな計算機による試行といったステップバイステップの取り組みが不可欠だと思っております。そういった意味では、次世代スパコンだけの視点だけではなく、また大学や公的研究機関などが有する計算機との連携といったことも視野に入れて検討していくことが必要だろうということ。
 産業利用につきましては、利用しようとするアプリケーションですとか研究支援に対するニーズ、さらには利用に際しての情報管理の徹底、研究成果の取り扱いといった観点において大学ですとか研究機関の研究者と異なるニーズがあると考えております。そういった観点では、次世代スパコンは共用施設でございますので、こういった産業利用に適切に対応した運営といったこともやっていく必要があるのではないかということでございます。
 これらの申し上げたような考え方を踏まえて、次世代スパコンによってすぐれた研究成果を出していくといった考え方に立ったときに、戦略的利用と一般的利用の2つのアプローチを可能とするような仕組みを設けることが必要ではないかということでございます。
 戦略的利用につきましては、国が戦略分野ですとか戦略目標を設定し、選定された戦略機関が研究開発を重点的、戦略的に実施していくといったスキームということでございます。
 それから、2の一般的利用でございますけれども、これについては幅広い分野を対象として基礎・応用・開発といった研究フェーズ、研究目的といったことを限定することなく、定期的に利用課題を募集し、それらの申請の中から科学的観点、産業的観点、さらには緊急性などを考慮しながら、適切に課題を選定していくといったようなものを考えております。
 一般的利用については、先ほど申し上げたように、例えば産業利用の促進の観点ですとか人材育成の観点といったようなことで利用枠といった設定についても今後検討していくべきではないかということでございます。
 課題の選定に当たっては、公平な課題の選定ですとか分野別の審査体制など適切な体制の構築と手続きの透明性といったところに留意が必要であるということでございます。
 それから、3でございますが、設置者である理研については、一定時間次世代スパコンを利用することによって、次世代スパコンの高度化などの施設運用の効率化、さらには利用者の利便性の向上といった観点での研究開発といったことをやっていく必要があるのではないかということでございます。
 具体的な利用区分ですとか計算機資源のリソースの配分の考え方といったものについては、今申し上げたような基本的な考え方を踏まえながら、今後、国ですとか登録機関において検討していくといったことが適当であるということでございます。
 6ページ目、研究支援でございます。研究支援の部分につきましては、主に登録機関が実施をしていく業務の主な部分といったことが言えると思います。次世代スパコンについては高い汎用性がある一方、非常に高並列のマシンであるといった観点から、利用者がその能力を最大限に活用するためには、研究支援ということが必要ではないか。特に、登録機関においては、計算科学技術に関する専門的知見を有する専任の職員の配置、利用者に対するきめ細かい研究支援といったことが必要ではないかということでございます。
 主に研究支援の内容としましてはこの3つを書かせてございますけれども、利用者への情報提供、利用に関する相談及び実際の利用段階での支援、アプリケーションの調整のための支援、こういった大きく3つあると考えております。
 次世代スパコンの利用を考えたときには、基本的には利用者がアプリケーション、ソフトウエアを持ち込むということが想定されますけれども、そういったアプリケーションについては、例えば高並列の計算機での利用実績があったり、または次世代スパコンで高い実効性能が見込まれるということが一般的には想定がされるかと思いますが、計算機資源を効率的に利用したり、さらに高い実効性能を発揮するといったような意味では、アプリケーションの調整が必要ではないかということでございます。
 この調整については、利用者の責任において実施をしていただくということが想定されますけれども、それに当たって登録機関においては必要な技術情報の提供ですとか技術的な指導、助言、講習会の実施といったことを適切に実施をしていくということになろうかと思います。
 さらに7ページ目の上でございますけれども、より広い範囲での支援といった意味では、現在も技術的な知見、ポテンシャルを有する例えば大学情報基盤センターといったところとの連携も視野に入れて考えていくべきだろうということです。
 それから、産業利用の観点では、先ほど申し上げましたように、ニーズなどが大学ですとか研究機関と異なる部分がございますので、利用者の要望、さらには具体的な利用形態に応じて登録機関においての支援をより手厚く行うといったようなことも含めて、今後、適切な支援体制を構築することを検討していくということでございます。
 基本的にはアプリケーションについては持ち込むということが想定されますが、例えばここで書いてございますグランドチャレンジアプリケーションといったものにつきましては、産業界をはじめ多様な方に利用ができるように、次世代スパコンにおいて提供を行っていくといったことも積極的に考えていくということを考えております。
 (4)研究成果の取り扱いでございます。これにつきましては、基本的には研究期間の終了後、公開をしていただくということを基本としつつも、例えば特許の取得ですとか企業活動にかかわる課題といったものについては、一定期間の公開の猶予、成果の専有といった取り扱いを認めていくということが重要ではないかということです。
 それから、利用料金のあり方につきましては、成果を専有する場合には原則として料金を徴収することは適当でありますけれども、今後、成果の公開する場合の取り扱いも含めて、適切な料金体系について検討する必要があると考えております。これにつきましては、次世代スパコンの利用の枠組みですとか施設の運用経費の検討なども踏まえて、平成21年度を目途に定めていくということでございます。
 8ページでございますけれども、次世代スパコンを活用した人材育成でございます。次世代スパコンを活用した人材育成としては大きく研究者を目指す学生に対する教育と、高度な専門性を有する企業などにおける研究者、技術者の育成、この2つがあると考えております。学生を対象とした研究については、例えばということで書いてございますけれども、インターンシップ制度などの活用ですとか、次世代スパコンの利用と関連した特色ある人材育成の取り組みを奨励するような仕組みといったものを積極的に考えていくということが必要ではないかということです。戦略的利用の中でも、戦略機関が必要に応じて大学などと連携をしつつ、人材育成の取り組みを積極的に行っていただくということがあり得るのではないか。
 さらには高度な専門性を有する研究者・技術者の育成といった観点では、企業などが次世代スパコンを利用して行う研究活動を通して行われていくことが想定されるわけですが、このほかにも利用者支援の一環として、登録機関において技術講演会ですとかセミナーといったことを積極的に開催していくという取り組みを考えてございます。
 それから、情報発信及び理解増進でございますけれども、次世代スパコンの利用者に対する情報提供ということで、各種広報誌ですとかホームページなどを通じて利用に係る情報ですとか研究成果などを広く発信していくという観点。より広い意味での理解を深めていただくという観点で、国民の皆様に対するわかりやすい形での情報発信、特に高校生など青少年の方に対する情報提供については、人材育成の観点からもいろいろな教材の作成ですとか提供といったことをやっていくことが必要ではないかということでございます。
 それから、先ほど資料1の中でも申し上げた次世代スーパーコンピュータ利用推進フォーラムといったフォーラムの設立、開催などを通して計算科学技術全体の取り組みといったものを積極的に推進していくということでございます。
 (7)関係機関との連携でございます。これにつきましては、次世代スパコンについては、我が国の計算機資源の頂点に位置づけられる施設でございますけれども、先ほど来縷々ご説明申し上げていますとおり、計算機資源の効率的、効果的な活用という観点では、大学ですとか公的研究機関が有する計算機資源との適切な役割分担またはその連携といったことが重要だと思っております。
 特に、大学の情報基盤センターなどにおきましては、既に演算性能が100テラフロップスを超えるような計算機が導入されつつあります。そういった観点で我が国の計算科学技術をはじめとした科学技術全体の振興を図るといったような視点でも積極的な連携を図っていくことが必要ではないかということでございます。そういった観点で1から4に書いてございますような具体の取り組みに関する連携方策といったものの検討を本格化させていく必要があるのではないかということでございます。
 それから、10ページ目、3でございますけれども、次世代スパコンにおける研究機能の構築の部分については、本日ご議論いただきました資料1をもとに今後、次回に向けて作成させていただくということを考えております。

【土居主査】
 それでは、3の部分を除いて1と2のところになりますが、この報告書の素案をご検討いただきたいと思うのですが、1のプロジェクトの進捗状況といいますのは、2ページにわたってファクトベースで書かれておりますので、特段、何かございますればご意見いただければと思います。大概、大丈夫だろうと思うのですが、何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、2のほうに入らせていただきまして、次世代スパコンの共用のあり方ということで、3ページから9ページまで今、縷々企画官がご説明されたところでございますが、頭から少しずつやっていくというのも1つの手でしょうけれども、そうすると大体においてしっぽのほうが終わらなくなりますので、どこからでも結構ですので、ご意見を賜ればと思います。いかがでしょうか。

【平尾委員】
 1つだけ。先ほど関根さんから次世代スパコンにおける研究機能の構築についてのたたき台のときに少しいろいろと議論をさせていただいて、特にハブ的機能を持つ機関として理研を位置づけて、いろいろな計算科学、シミュレーションの科学の発展のためにいろいろなことをやる、あるいは分野融合をそこで図るということが望ましいという議論があったと思うのですが、5ページの下から2つ目、3の中にある設置者である理研においては云々というところの文章を見ますと、非常に限定的なような気がして、もちろん共用法とかそういうものの制約はあるのかもしれませんが、私としてはもう少し広げておいたほうが、先ほど言っていたような計算サイエンスの発展のために、もう少しやれるところがあるんじゃないかなという気がいたします。
 もちろん理研そのものが1つの戦略機関として位置づければ、そういうことがまた違ってくるのかもしれませんが、そのあたりのことが少しわかるような形にしておいたほうがいいんじゃないかなという気がちょっといたしました。

【土居主査】
 これは共用法の読み方そのことにもかかわってくるわけですから、もう少し平尾先生がおっしゃられたような形で広げておくようなことは可能でしょう。

【関根室長】
 今の部分の想定しております具体的なものというのが、資料1、先ほどご説明させていただきました2ページ目の部分に少し書かせていただいております。そういった意味では、設置者である理研が次世代スパコンの高度化の観点ですとか利用者の利便性向上のための研究開発としてやるべき具体的なイメージとしまして、計算機の開発、高度化に関する研究開発ですとかシミュレーション研究におけるモデル化、アルゴリズムといった開発、分野連携に関する取り組みといったものが具体的にはあり得るのではないかと思っております。こういったものはある部分、計算科学技術の分野横断的な、共通基盤的な研究開発につながっていくということを我々としては想定しております。
 ただ今、平尾先生からご指摘いただきましたように、具体的なあり方につきましては、例えば共通基盤的な部分というのは一体どういう部分を具体的に形成していくのかという部分につきましては、理研も含めてこれから検討し、さらには法律上の読み方も少し工夫も含めて考えていきたいと思っております。

【山根委員】
 私は素人ですので、へんてこなことを言いますけれども、スパコンの寿命というのは大体何年ぐらいを考えられるのかなと思うんですが、多分10年から十二、三年なんでしょうか、どうなんでしょうか。そう考えると計算機科学の世界で、日本が圧倒的に世界のプライオリティを保ち続けるという意思がどこかにあったほうがいいなとすると、次々世代スパコンの研究をこれを使ってもう始めるというぐらいなことがあると、日本はやる気だなということが国民にも伝わるという、何か単なる計算速度だけではないんでしょうけれども、これが動き出してくると当然、世界がそれを追っかけてくるわけで、つぶしにかかるというと変ですけれども、もうすぐ競争は始まる、もう始まっていると思いますけれども、それでだんだんランキングが落ちてくるに従って、あわてて次だというのではちょっと情けないことがいつまでも続けるのかなと思うので、多分、そこで全く違うアルゴリズムなのか、違う計算機科学の世界が、ペタの次は何が来るか私はわかりませんけれども、ただ単に単位が上がってくるだけではないだろうとは思うんですけれども、そういう日本のこの分野における意思みたいなものが入ったほうがいいんではないかなという気がするんです。
 それはこの作業部会の報告書--報告書とは何を報告するのかわからないんですが、提案書と言うほうが僕はいいと思うんですけれども、そういう少し前向きな提案が入っていますということにして、この報告書が出た後に大きなニュースになるぐらいな意味、力、価値をメディアの側から考えると少し載せていただきたいなと思うんです。
 そう考えると、ここには一切具体的な仕事については、何をするかということは書いていないです。枠組みが書いてあるわけですけれども、それはいろいろ皆さん出てきましたけれども、それは作業部会の仕事ではないような気もしますけれども、作業部会としてもこういうものについて重点的にやってはどうかと。例えば、戦略的なテーマと随時といいますかフリーランスなものと幾つか分けると、戦略的なものはぜひ国としても今直面している問題だからこれをやるべきである、企業利用としてはこういうことが可能である、柱があるとすれば3番目に、日本の将来に向けての計算機科学の進展に貢献するということが入っていいんじゃないかなという気がするんです。そこの戦略のほうはいろいろ意見が出ていましたけれども、地球シミュレータが今まで担ってきている、一番世界にとってわかりやすくかつ貢献したと思われる温暖化の問題、気候変動の問題でも、これは遺伝子としてぜひ受け継いでいただく大きな柱にしていただきたいと思うんです。
 それから、それの派生でこれはサイエンスになります。産業界もあらゆるところに求めてくるのは、当然ながら2012年に油の値段がどれぐらいになっているか知りませんけれども、確実に次の時代のエネルギーだとか素材だとか、例えばレアメタルが扱えなくなるということがどんどん出てくるわけで、レアメタルを3分の1にできるような新しい素材探しとか、これが新しい金山を掘り当てていくような1つのエンジンなんだというか、私たちが直面している課題を克服していくためのすごく大きな力になるということを目指すべきではないかと書くんですか。そういう具体的なものがここに入っていくと、これが発表されたときに一般の方たちに支持が得られるものになるのではないかと思います。

【土居主査】
 どうもありがとうございました。極めて重要ですが、どのような形で入れるかというのは、今、山根さんがおっしゃいましたが、これはマクロ、フレームワークが書いてあるものですから、どこかまた次のところでブレークダウンしなければいけません。ここの段階でどの程度というのはあるわけですけれども、いずれにいたしましても、例えば次のもの、今回のものもそうですが、10年たってからよく考えてみたら、コンピュータをつくらなければいけないという間があいて、間欠的にやっているようなことを避けるという必要がありますが、そういうことを含めて、それは設置者としての理研がやるのか外でやるのかということもよく考えなければいけない面もないとは言えないんですが、そういうことも含めて重要な点を、今おっしゃられたようなことをどこかの形で持っていく必要があろうかと思います。
 あとはいつまで生きるかということは旬の問題、賞味期限の問題等々ございます。地球シミュレータはいつ今度リプレイスされるんですか。

【佐藤委員】
 9月30日で、来年3月にはもう市販のレンタルマシンになります。

【土居主査】
 そういう形でつながっていくこともございますので、どのようにこれをつなげていくかというようなこと等々もあります。旬の時間、賞味期限といったらもっと短いところだろうと思いますけれども、そこへ向けて立ち上がったらすぐそれが勝負できるような形にまでブレークダウンしなければいけないというのがこの次の段階ですので、またそこでもぜひお知恵を拝借できればと思います。

【勝野課長】
 今の点に関しましては、我々も非常に問題意識を持っておりまして、今日の資料1で研究機能の構築について議論していただいたたたき台の中でも、共通基盤的な研究開発の1つとして、計算機の高度化等に関する研究開発ということを1つの例示として挙げているわけで、これは次世代スパコンそのものの高度化ということももちろんあると思うのですけれども、それを通じての将来的な計算機、高速計算機をどうしていくかというところまでを少し気持ちを込めた表現でございます。
 次々世代の問題につきましては、総合科学技術会議の事前評価の中でも次世代の次をどうしていくのかというところについては、政府全体としてこれから検討していく必要があるという指摘も受けていますので、文部科学省だけではなくて経済産業省等関係機関も含めてその問題は考えていく必要があるだろうと思っています。
 それで今、山根先生からご提案いただいたこのスパコンに込めたメッセージといったものについては、きょうの資料1の3ページでも、少し入れたのですけれども、大きな3番の次世代スパコンにおける諸機能の有機的な形成の冒頭の部分で、「同時にこの施設における活動を通して、計算科学技術の飛躍的な発展を図り、科学技術の振興や我が国の国際競争力の強化に大きく寄与」していく。それが最終的にこの次世代スパコンが目指しているものだということを気持ちとしては込めておりますが、さらに今、ご意見等をいただいた点については、例えば報告書の「はじめに」という部分に今おっしゃったことをうまく入れられないかというところは検討させていただきたいと思います。

【平尾委員】
 私も言葉として次々世代のコンピュータの部分について触れるということは、この分野の発展を考えたときにはいいんじゃないかと思います。大きな展望のもとに進めているんだということで、ぜひ言葉としても入れていただいたほうがよろしいかと思いますが。

【山根委員】
 そうすると次世代という言葉はもうそろそろやめて、次々世代とやってるとわからないので、何かニックネームじゃなくてもいいんですけれども、ノイマン型みたいな言葉が使われるような意味で、時代を意味する言葉がそろそろ欲しいですね。

【土居主査】
 言葉自身の問題はありますが、少なくともその次、私はF1としてと言っているんですけれども、次々に切れ目なくずっと進めていくというのを何かの形で持っておくということが必要かと思います。ただ、課長が言われたように、文部科学省だけでやりますとなかなか堪えがたいところがありますから、その辺はそれなりに分散しなければいけないという配慮も必要なのは、また上のほうが何か考えることだろうと思いますが、そういう提案を受けてもらえるようなことをぜひ持っていければと思います。その辺はちょっと工夫していただいて。

【西尾委員】
 私はこの報告書の内容そのものでどういうことを新たにつけ加えるとかではなくて、書かれていることの中で次世代スパコンが本当に多くの方々に使われたり、センターが有効に機能するためのことが書かれている箇所が数カ所ありまして、そこをもう少し強調させて言わせていただきたく思います。6ページの上から3行目から4行目ですが、「利用者の選定及び研究の実施に係る支援を行う登録機関に、計算科学技術に関する専門的知見を有する専任の職員を配置し」と書いてあります。さらに、8ページで、(5)次世代スパコンを活用した人材育成の最後の(6)の上で、こういう方たちが「利用者支援の一環として、例えば登録機関が技術講演会やセミナーを実施する」と書いてあります。スパコンの歴史の中でスカラー型がどんどん出てきたときに、日本のスパコンのセンターでは即座に広がらずに、ヨーロッパでは急速に広まった裏に、スカラー型を使うときにいろいろな意味でプログラムの最適化やチューニングが結構難しいということがあります。ヨーロッパのセンターには先程来の支援者の人がたくさんおられます。したがって、スカラー型にすっと移っても、利用者の方が非常に有効にセンターを使えるようになっていた、ということがあります。
 私はこのような計算科学に関する専門的知見を有する専任の職員は現在それだけたくさんいないんじゃないかと思います。こういう人を育てるのが人材育成の第一ステップだと思います。センターにおいて次世代スパコンが有効に使われるためには、このような職員の確保、つまり、こういう方たちをどういう方々で組織化するかということを考えることが非常に大きなことなんじゃないか、と考えます。
 この方たちが講習会を行い、いろいろなことを支援します。そのもとで企業の方がプログラミングをされます。今度はそのプログラムを書けるようになった方たちがセンターの専門的知見を有する職員、あるいはボランタリーでいいんですけれども、次の方たちを教えていきます。こういう形の拡大再生産が重要だと思います。計算科学というのは計算機科学と違います。計算機科学の知識プラス応用分野でのバックグラウンドノレッジを持っていないと、計算科学に関しての専門的知見を有すると言えません。つまり、ナノの分野、バイオなどの分野おのおのバックグラウンドを持ちながら大規模な計算プログラムをかける人ですから、分野ごとでそういう方をある程度の人数をそろえなければなりません。ここの職員をどれだけ確保するのか、持つのかということが、さらに、そういう方たちをベースに計算科学の知見を有する人をどんどん増やしていくということのシナリオが非常に大事なんだと思っています。それが書かれていましたので、特に強調して言わせていただきました。
 さらに真ん中辺に「可視化等に関する支援」と書いてありますけれども、可視化に関してのプログラミングをきっちり書ける人をどれだけ持つかということも非常に重要であり、現段階で考えると、これもまたまた人材をどれだけ確保するかというのは大きな問題だと思います。

【土居主査】
 極めて切実な問題だと思います。これはこれでしっかりどうするかというのを考えていく必要があろうかと思います。

【加藤委員】
 今の議論に補足してコメントさせてもらいます。この6ページの下のほうに「基本的に利用者がアプリケーションを持ち込む」と記載がされていますが、実際問題として利用者が使いたいプログラムを持っていって、それをインストールして使うというのはイメージがわいてきません。多分、ライフサイエンスあるいはナノにしても、使いたいプログラムの多くはだれも同じであろうと思います。同じ目的を持った利用者が同じようなものを使うのであれば、コンソーシアムのような環境を整備し、チューンアップしたプログラムをだれもが使える環境をぜひともこの中に入れていってもらいたいと思います。
 一般利用、民間利用、あるいは若い人の利用を考えていくのであれば、例えば思いついた段階でモジュールを順番に並べかえて計算にかけられる仕組み、あるいはモジュールをブロックのようにその場で組み立てる仕組みというのが重要であろうと思います。「次世代スパコン」がいつスタートするかは別にしても、そういう環境を整備して、あるいは人材をつくって、あるいは登録機関も含めた業務をもう始めるべきです。「次世代スパコン」ができるのを待ってからではなく、その前に人材育成と環境整備、あるいはどこでも使える環境をぜひとも整備していってほしいと考えています。

【吉川委員】
 今の加藤委員のご意見に賛成です。6ページの一番最後のパラグラフ、その前のパラグラフを見ると、アプリケーションの調整は利用者の責任において実施することが基本というのがかなり強く出ている。それから、その前のパラグラフでも、基本的に利用者がアプリケーションを持ち込むことが考えられている。そういうケースもあるでしょうし、この作業部会で何度か申し上げたように産業利用の促進というものを行うためには、世の中の企業ユーザーが今使っている市販のプログラムのポーティングをどうするかという観点は非常に大事ではないかと。この作業部会でそこの方針について結論は多分出ないと思うんですけれども、具体的に公益に沿ったような形でそういうものがあるのか、そこに公的な支援がどこまでできるのか、利用者の責任はどこまであるのかという議論を今後継続してやるためにも、アプリケーションについては利用者持ち込みが原則というのはあまり強調しない書き方のほうがいいんじゃないかなと思います。
 その他のところについて産業利用の促進という観点から見ますと、ものの考え方全体としてはこの報告書素案、非常によく産業界の懸念も含めて書き込まれていると思います。具体的には5ページの第1パラグラフ、「産業利用の積極的な促進が求められて」、「産業利用に適切に対応した運営を行っていく」ということのポイント。
 7ページの第2パラグラフ、産業利用において、「産業利用を促進するための適切な支援体制を構築することが必要である」。さらに次のパラグラフの最後のほうです。「産業界をはじめとする多様な利用者が利用できるよう、利用に際しての指導・助言等必要な支援体制を構築する」。
 さらに(4)の第1パラグラフ、特許の取得や企業活動に係わる課題についての守秘業務、成果の専有の取り扱いを認めることは必要であるということで、アンケートその他で出ている産業界のコメントは大分反映されているので、全体としてはいいと思うんですが、先ほどの6ページの部分というのは、もう少し継続検討の余地があるような表現にしていただければと思います。

【平尾委員】
 お二人の言ったことも私はそのとおりだと思うんです。新しくこういう10ペタのすばらしい計算機ができて、シミュレーションをやりましょうということで、計算科学分野の基盤もきちんとつくりましょうと。これは基本をつくるというのは先端をさらに伸ばすだけではなくて、すそ野を広げるということも非常に重要だと私は思っているんです。だけど、今までの案だとなかなかそれをやれる、今回、初めてハブ的なところが出てきて、少しそういうこともできるようなことが見えてきたんですが、今、お二人のおっしゃったことを本当にやろうとすると、すそ野の部分をものすごく大きくしないとできないと思うんです。だから、そのあたりは非常に難しいところだと思うんですが、戦略機関だけを大きく設定したらそれはできるかというとそれは全然だめで、情報科学そのものの基盤を強化するための、それを常に考えているような機関がないとなかなかうまくいかなくて、計算センター的になってしまうというおそれがあって、そこを心配しているんです。

【安岡委員】
 2つあります。1つはこの報告書の書きっぷりの話と、もう1つはそれに関連する内容の話です。報告書の書きっぷりの話は、1つは3ページ、2、基本方針の見直しがあります。私はここの基本方針の見直しというところには、一番下のところには「基本方針の見直しを行うことを期待する」と書いてあって、非常に受け身的な感じがするんです。ここにはどういうふうに基本方針を見直してほしいかということ、特に戦略性については書き込んでおくべきではないかという気がします。せっかく戦略機関というものを、戦略分野を提示して、機関を指定して進めるということを今回決めるとすると、それは大きな話ですので、ぜひ今回は何を目玉にしているかということをここに書き込んでいただきたいと思います。
 それに関連して、戦略性を書き込むとすると、前にもお話ししましたように時間軸をきっちり将来的に見ています。今、次々世代の話、前回もそれをさせていただきましたけれども、そういうことを書き込むということ、人材育成については、僕は非常に重要だと思っているんですけれども、人材育成をした結果の受け皿についてコメントがあまりなくて、次世代スパコンを使った成果をどう受け取っていくのかということについてもコメントが弱いかな、人材は、ポスドクはたくさん出ているということにしたくないということもあって、その辺を戦略性で考えてやっていますということは、実現するかどうかは別にしましても、また絵にかいたもちになってもしようがないんですけれども、何らかの形で書き込めたらなという気がいたしました。
 以上2点です。

【土居主査】
 この3ページのところはあなた任せみたいになってしまうので、これはもう少し補強しましょう。今、ご指摘があったとおりで、人材の受け皿はなかなか悩ましい、難しいところがあります。でも、少し考えてみてください。

【関根室長】
 ご意見ありがとうございます。幾つかお答えをさせていただきます。まず、支援の部分なんですけれども、今、吉川委員、加藤委員がおっしゃられたように、基本的にはこの辺はまだこれから詰める、少し検討する部分が残っていると我々も認識しております。特に第4回、吉川委員からご指摘いただいて具体的なあり方、特に産業界とほかの分野、ニーズの部分も含めて違ってくるということ、我々としても特に産業界の方々の利用を考えると、既存のアプリを活用する部分が多いだろうという認識はしております。
 ただ、一方でアプリについては知的財産の部分がございますので、例えば、権利の問題とかいろいろな問題が絡む。さらにはさっき吉川委員からもご指摘いただきましたように、国で提供する部分と受益者にご負担いただくようなこともいろいろな兼ね合いを少し考えながら、アプリについては検討していく必要があるかと思っております。
 そういった意味では、書き方はこれから考えたいと思いますが、基本的にアプリケーションを持ち込むというのが、全部利用者でやってくださいというよりは、その反対の解釈として7ページなどにも適用範囲が広いものについてとか、利用許諾がある程度できているものについては、逆にきちんとサービスベースで提供しようという姿勢もあわせて書かせていただいておりまして、ここは少し具体的な利用形態とかどんなアプリを具体的に想定されておられるか、そういったことを我々としてももう少し検討しながら、あり方をもう少し深堀りしていきたいと思っております。
 それから、時間軸などについてご指摘のとおりだと思います。3ページ目の書き方についてはおっしゃる部分を含めて検討したいと思います。人材育成の部分については、先ほど局長からも少し申し上げさせていただきましたけれども、国としてどういう形で先導的にやるべきなのか、さらには教育の観点で佐藤先生からもご指摘いただきましたけれども、大学などの実践の問題も少し絡めながら議論ということで、まずは我々としては次世代スパコンについては場をきちんと提供したり、またより広い計算科学技術に関する人材育成を慫慂、エンドースするようなきっかけとして次世代スパコンを絡めながら、いろいろな支援策などを考える、そういったことがまず基本としてはあるのではないかと考えております。
 そういった意味では、今後もコミュニティの方との議論ですとか、そういったことも含めてより人材育成については具体化をする必要があると。特に戦略機関、または戦略プログラムにおいて人材育成をどう図っていくのか、これは今後少し議論、具体化をしていく必要があると考えております。
 そういったことも含めて、今後も引き続き深堀りはさせていただきたいと思っております。

【土居主査】
 今までのお話等を踏まえて、利用形態というのがある意味においてざっくり言って2つあるわけで、それに応じた対応策、ここでやるべきことを置いといたほうがいいですね。新しいもの、アルゴリズム、モデル等々を含めた新規のものをかける場合とそうではなくてモジュール、パッケージ、それをぶん回すためのときのものとかというようなもので、全くもって使い方が違うわけだから、そういうことで分けられるところは分けて、何らかの手当てをしておく必要があるような気がします。少し考えてみてください。

【喜連川科学官】
 そのアプリケーションの持ち込み並びに責任の範囲というのは極めて重要な問題だと思うんですけれども、現実には非常にスペクトラルが広いのではないかと考えておりまして、問題の固有性によりまして、なかなか効率的な並列化が実現できるまでには相当大きな負担がかかるものも非常に多くあるのではないかと思います。
 先ほど前半の議論の中で戦略性ということが打ち出されたと思うんですけれども、まさしくそこの中に今おっしゃられたポイントを入れて議論すべきではないか。つまり、旬である時間というものは極めて有限であるときに、どこまでどの部分に対して我々がエネルギーを注入すべきなのかというのはまさに戦略ではないかと感じます。
 それからもう1点、人材に関してでございますけれども、スパコンというのは極めて高尚なデバイスのようには見えるんですけれども、サイエンスから見ますと極めて上等な電卓にしか見えないという側面もあるのではないかと。そうしたときに、コンピュテーショナル何とかと、コンピュテーショナル・バイオロジー、コンピュテーショナル・ケミストリー、あるいは何とかインフォマティクスというのは山のようにある。その中で人材を育成していこうと思いますと、そうやって育った人間に対しての大きなインセンティブが回るようにしなくてはいけないんですけれども、今のところややもすると、どうしても手伝いに回っているようなポジションになってしまうところが多いんじゃないかなと思いまして、それはどのような分野におかれましても、その努力が高く評価されるようなフレームワークを学問全体の中で考えていく必要があって、それがないとうまく回らないんじゃないかなというふうに感じましたので、ちょっとご意見申し上げさせていただきます。

【大島委員】
 7ページの研究成果の取り扱い等に関してですが、基本的に公開を前提とするということが書かれています。しかし、アプリケーションに関しては、今回の次世代だけのみに対応しているとは限らず、ソフトウエアはステップバイステップで積み重ねているため、はっきりとした切り分けは非常に難しいと思います。
 そのような状況の中で、次のセンテンスの「ただし」以降に書かれているように、非公開の場合には成果の専有ということになっています。さらに、下を読むと成果を専有する場合には、「原則として料金を徴収することが適当である」と書かれています。この場合には、最終的に公開の選択しかないという印象を受けます。非常に複雑な問題であるため、この研究成果の取り扱いについては、今後ご検討・議論をお願いしたいと思います。

【佐藤委員】
 5ページの2一般的利用の真ん中当たりですが、「一般的利用においては、産業利用を促進するための産業利用枠や人材育成のための教育利用枠等の設定について検討することが必要である」と書いてあるんですが、これは「設定する」と、できれば断定にしたほうがいいんではないか。そうたくさんの資源が要るわけではないと思うんです。こういうものがあることによって、本当に産業界にしても人材育成にしても、この装置を使ってみる試みも含めてできるようになるし、そういう宣伝にもなるだろうと。特に、今度の新しいシステムというのはスカラーとベクトルの結合ということで、これはおそらく世界に類をみないものだろうと。そうしたものを例えば若い学生さんあたりからアルゴリズムとかそういうものを研究しようとする、そういうことによって、このシステムの本当に有効なところが出てくる可能性はあるわけです。そういう可能性というものをぜひ実現させるためには検討することは必要以上だと。だから、ある程度そういうものを認めるという形にしていただいたほうがいいんじゃないかと。
 それから、先ほどからの登録機関に専門的な人を配置する話ですが、私も西尾先生はご存じなのかもしれませんが、実際に素子が非常に超並列であることは間違いないけれども、デュアルコアかクアッドコアでしょう。シングルではないだろう。そうするとアメリカあたりでもマルチコアであり、本当に研究者そのものが非常に困っているわけです。なかなか有効に使えない。例えば、マルチコアを違った機能で使うには非常に役に立つ、それは当然わかるんですが、1つのコアの中でデュアルあるいはクアッドコアを非常に効率よく使っていこうとすると、本当に難しい技術が必要ではないかと。そんじょそこらではなかなかできないと。そうするとそれほどたくさんの人間もまずいない可能性がある。
 そういったことを考えたときに、できるだけ早くその辺の詳細を公にして、そういうものに対する準備をしておく必要があるのではないか。ここに関係者の方がたくさんおられると思いますが、これは一刻も早くするほうが、これは少々設計が変わったとしても早く出すほうがいいのではないか。この委員会とは違う話かもしれませんが、そうしないとそういう問題はなかなか先に進まないのではないかと思います。

【平尾委員】
 産業界の方が、この次世代のスパコンを使うときにどういう形態で使うのか、どういう形で使えるのかということです。今の一般利用と戦略的利用といったときに、おそらく一般利用の中に申請してということもあろうかと思うんですが、例えば戦略的利用の中である産業界のためにという戦略機関を設けるのはなかなか難しいところもあると思いますし、非常に広範ですから、そうすると戦略的な利用の中のあちこちにそういう部分も当然あることはあるんだと思うんですが、例えば資源のある一定部分を産業界の利用のために--産業界だけではなくて、もうちょっとノンアカデミックなところで--供するということもあってもいいのかもしれないという気がします。例えば、テキサスなんかは全体の1割を産業界のために使うということがありますので、そういうことを少し議論しておいたほうがいいのかもしれないなという気がします。

【土居主査】
 まだご意見等あろうかと思いますが、人材育成と先ほど佐藤先生がおっしゃいましたアーキテクチャーの公開等というのが密接に結びついているわけです。これはまた我が国としての開発ともまた密接に結びついてきておりますので、なかなかいつの時点でどうするというのは一口で言えないということがあるのですが、ユーザーとしてあるいは支援をする方々を育てる人ということとも結びついているので、その辺はまたコンパイラをつくるほうにおいても、ユーザーがマルチコアだったら大変なので、それはどのようにするかということはいろいろな場面で重要なことになってきます。その辺はまた慎重に開発者である理研との相談の上で、早いほうがいいのですが、あまり早過ぎても困るというその辺をよくよく考えて打ち合わせていただければと思います。
 そろそろ時間となりますので、これを本日いただきましたご意見につきまして事務局で整理して、またここに盛っていただき、3の部分は先ほどご意見を賜りました資料1をもとに組み込んで、それを報告書の形にしたものを次回もう一度ご議論いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 全体にわたりまして何かご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後に事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたしたいと思います。

【事務局】
 次回の作業部会ですけれども、6月25日の水曜日午後1時より3時まで、文部科学省16階特別会議室にて開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。また予備日として7月25日を希望させていただいておりましたが、予定なしとさせていただきます。
 席上に配付しております参考資料集及び配付資料集は、次回以降も使用する資料ですので、机の上にそのままお残しいただきたいと思います。ご自宅などでご参照するためにお持ち帰りいただいても構いませんので、その際は事務局へご連絡ください。
 なお、第5回作業部会の議事録(案)につきましては、メールにて照会させていただいておりますので、お気づきの点がございましたら、6月23日月曜日までに事務局までご連絡ください。

【土居主査】
 7月25日はもうキャンセルでよろしいんですね。

【関根スーパーコンピュータ整備推進室長】
 はい。

【土居主査】
 それでは、本日の作業部会、これで終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

-了-

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(研究振興局情報課スーパーコンピュータ整備推進室)