情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成20年4月22日(火曜日) 13時~15時40分

2.場所

文部科学省 3階 1特別会議室

3.出席者

委員

 土居主査、大島委員、加藤委員、川添委員、吉良委員、坂内委員、佐藤委員、鷹野委員、中村委員、西尾委員、平尾委員、福山委員、宮内委員、安岡委員、吉川委員

文部科学省

 藤木大臣官房審議官、伊藤振興企画課長、勝野情報課長、関根スーパーコンピュータ整備推進室長、飯澤学術基盤整備室長、中井課長補佐

オブザーバー

(外部有識者)
 米澤東京大学情報基盤センター長
(科学官)
 喜連川科学官

4.議事録

【土居主査】
 それでは、まだ二、三人の委員の方がお見えになっておりませんけれども、定足数には達しているようですので、ただいまから第4回次世代スーパーコンピュータ作業部会を始めます。
 本作業部会に属すべき委員につきましては、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 情報科学技術委員会運営規則第2条第2項に基づき、情報科学技術委員会の主査が指名することになっております。これまで20名の方に、委員にご就任いただいておりますが、このたび1名の方が退任され、新たに2名の方に委員にご就任いただきましたので、事務局よりご紹介いただければと思います。お願いいたします。

【関根室長】
 それでは、ご紹介をさせていただきます。資料1に本作業部会の名簿をお配りさせていただいております。
 まず、退任でございますけれども、兵庫県産業労働部長の表具委員が人事異動のため委員の辞職の申し出がございました。
 かわりまして、ご就任でございますけれども、兵庫県産業労働部長でいらっしゃいます中村委員に就任をいただいております。

【中村委員】
 中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【関根室長】
 あわせまして、大阪大学理事、副学長で前科学官でいらっしゃいました西尾委員にも、このたびご就任をいただいております。

【西尾委員】
 西尾でございます。どうかよろしくお願いいたします。

【関根室長】
 以上でございます。

【土居主査】
 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、今、西尾先生のご紹介のときに前科学官というご紹介がございましたが、4月1日付で新しく科学官になられました東京大学の喜連川先生もご出席されておりますので、一言ごあいさついただければと思います。

【喜連川科学官】
 生産技術研究所の喜連川でございます。どうぞよろしくお願いします。過去の経緯などもよく存じませんが、勉強させていただきたいと思います。ありがとうございます。

【土居主査】
 よろしくどうぞお願いいたします。また、事務局のほうでも異動があったようですので、自己紹介をお願いできますか。

【飯澤室長】
 この4月より情報課の学術基盤整備室にまいりました飯澤でございます。どうかよろしくお願いをいたします。

【土居主査】
 よろしくどうぞお願いいたします。
 それでは、資料の確認をしていただくことになりますか。

【事務局】
 お手元の議事次第と照らし合わせて資料の確認をお願いいたします。
 資料1は「次世代スーパーコンピュータ作業部会委員名簿」です。
 資料2-1が「特定先端大型研究施設の共用の枠組み」、資料2-2が「特定高速電子計算機施設の共用の促進に関する基本的な方針」です。
 資料3は「共用促進法における登録機関の役割-大型放射光施設(SPring-8)の場合-」です。
 資料4は「次期スパコンと東大情報基盤センター」です。
 資料5-1は「特定高速電子計算機施設の共用の促進に関する基本的な方針に対する意見募集の結果について(概要)」、資料5-2が「特定高速電子計算機施設の共用の促進に関する基本的な方針に対する意見のまとめと議論のたたき台」です。
 資料6は「次世代スーパーコンピュータを中核とした教育研究のグランドデザインに関するこれまでの意見の整理」です。
 参考1としまして「次世代スーパーコンピュータ共用ワーキンググループにおける意見の整理」、参考2としまして「特定高速電子計算機施設の共用の促進に関する基本的な方針に対する意見募集の結果について」です。この参考2につきましては分厚い紙ファイルにとじてございます。
 また、議論の参考とするため、席上にこれまでと同様、次世代スーパーコンピュータ作業部会参考資料集及び次世代スーパーコンピュータ作業部会配付資料集を置いております。配付資料集につきましては、第1回から第3回の作業部会で配付した資料をとじております。適宜ご参照ください。
 これらの資料に欠落等がございましたら、事務局までお申しつけ願います。

【土居主査】
 よろしいでしょうか。足りないものが出てまいりましたら、お声をかけていただければと思います。
 先に進めさせていただきたいと思います。お手元の議事次第に従いまして進めさせていただきますが、議題は、「次世代スーパーコンピュータを共用する際の基本的な考え方について」でございます。
 まず、前回の作業部会では、次世代スーパーコンピュータを中核とする研究開発機能についてご議論いただいたわけですが、この議論を進めるに当たりましては、我が国の計算科学技術の研究開発について俯瞰的に把握することが必要で、現在、事務局において調査を行っておりますので、これにつきましては次回の作業部会で検討させていただきたいと思います。
 本日は、次世代スーパーコンピュータを共用する際の基本的な考え方について議論していただきたいと思います。この件に関しましては、平成18年7月に文部科学省が定めました次世代スーパーコンピュータを共用するに当たっての基本的な方針に対する意見募集の結果がまとめられております。
 そこで、まず、共用の法的枠組みや基本的な方針などにつきまして、事務局から紹介していただきたいと思います。その後、高輝度光科学研究センター、(JASRI)理事長の吉良委員及び東京大学情報基盤センター長の米澤先生にご意見を発表していただく予定になっております。
 その上で、今般の意見募集の結果と、これらを踏まえて作成していただいております議論のたたき台について、事務局からご紹介いただきまして議論を進めたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より、まず次世代スーパーコンピュータの共用の枠組みや基本的な方針について、紹介いただければと思います。

【関根室長】
 それでは、資料2-1及び資料2-2に基づきまして、次世代スーパーコンピュータの共用の枠組み等につきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料2-1、1枚紙でございますけれども、「先端大型研究施設の共用の枠組み」という資料をお配りさせていただいております。ごく簡単に、法律に基づく共用の仕組みをご紹介させていただきたいと思います。
 ご案内のとおり、真ん中辺に書いてある特定先端大型研究施設ということで、今回、次世代スーパーコンピュータと大型放射光施設、SPring-8でございますが、この2つが特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律という法律のもとで運営をされている、または運営されることになってございます。
 この大型施設というのが、世界最高のレベルを有していること、さらには広範な分野に多様な研究者、または研究に用いられるということで、いわゆる皆さんでお使いいただくことにより、その真価が発揮される大きな施設という概念でございます。
 この2つの施設につきましては、この表の左上でございますけれども、設置者が理化学研究所になってございます。この理化学研究所が、それぞれの施設についての建設、維持管理等を行うという位置づけになってございます。
 この法律の一番のポイントが、皆さんにお使いいただく仕組みをいかにつくるかということでございます。そういった意味では、設置者である理化学研究所も、見方によっては研究所ということで、ユーザーとしてお使いいただくことも十分考えられるわけで、そういった意味では、ユーザーを選んだり、ユーザーにお使いいただく観点で、公平性、中立性、手続の透明性、そういったものを確保していくことが必要だということでございます。
 そういったことで、共用に対して登録機関という仕組みを設けております。この登録機関というのは、業務といたしましては、利用者を選ぶ業務、それは外部の専門家の意見を聞きながら研究などを行う人たちを選ぶこと。それから、ユーザーに対する支援。例えば情報の提供、相談の実施、さらにはアプリケーションなどの技術的な相談、支援も含まれると思います。そういったことを行う登録機関が設定されてございます。
 この登録機関というのは、一定のポテンシャルといいますか、要件を満たす者であれば、国に対して登録がなされ、その登録された機関の中から、仮に複数であれば、必要に応じて業務をお願いしていく。もちろん1つであれば、そのところにお願いをしていくことになろうかと思います。
 この登録機関につきましては、現時点では、特に次世代スパコンにおきましては枠組みは設定されておりますけれども、具体的な登録機関の登録、または選定ということは、まだ行われていない状況でございます。
 ちなみに、SPring-8におきましては、吉良委員がいらっしゃいますJASRIという、今度プレゼンをしていただきますが、JASRIが登録機関としての業務を担っているという構造になってございます。
 そういう意味では、開発主体である理研、それから共用をつかさどる登録機関、さらには国、こういったところが整合性のある一貫した動き、または理念で運用されることを担保するために、国においては共用の促進に関する基本的な方針というものを作成しております。この表で一番上に書いてあるところでございますけれども、国が定める、いわゆる共用の促進に関する基本的な考え方ですとかポリシーに基づいて、例えば理化学研究所であるとか、登録機関が実施計画などをおつくりいただき、それを認可するといったようなことで全体の整合性をとっていく仕組みになってございます。
 資料2-2に具体的な現行の基本的な方針について、原文そのままでございますけれども、お配りさせていただいております。主な内容といたしましては、第1、第2、第3、第4、第5と5つの項目が書かれてございます。これは法律に基づいて、こういうことを書くようにと明定されてございます。
 第1といたしましては、共用の促進に関する基本的な方向、第2といたしまして、施設の整備に関する事項、第3といたしまして、施設利用研究に関する事項、さらには運営に関する事項、最後に共用の促進に関し配慮すべき事項、この5つについて定められております。
 かいつまんで申し上げさせていただきますと、第1の基本的な方向につきましては、研究者にとって魅力のある施設ですとか、多くの研究者に活用される施設、さらにはすぐれた成果が創出されるような施設の整備、または運営といったことが基本的な方向として書かれてございます。
 それから、第2の施設の整備に関する事項でございますけれども、この次世代スパコンの開発に当たって留意すべきことといたしまして、国際的な研究開発動向にも注意を払いながら、適時に適切な方法での評価を行う、そういったことなどが書かれております。
 さらには、2ページ目の上でございますけれども、施設の整備に当たっての利用者ニーズの把握ですとか反映、そういったことについても書かれてございます。
 第3の施設利用研究に関する事項、ここがいわゆる次世代スパコンをどういった考え方でお使いいただくかという部分でございますけれども、まず実施すべき施設利用研究ということで、一体どういう考え方、どういう研究にこの施設をお使いいただくのがいいのかということでございます。例えば研究分野ですとか、計算の規模、こういったものに留意した計算資源の配分、そういったことを考えていくべきではないか。さらには、基礎的、応用的、開発的な研究の調和、そういったことに配慮しながら、どのような研究をしていくか考えていくべきだといったことが書かれております。
 それから次のパラグラフでは、個別具体的な研究課題の選定について公正な課題選定ですとか、手続の透明性といった視点が書かれております。
 それから、もう一つ、次のパラグラフでは国際交流の考え方として、競争と協調といったアプローチ、こういった考え方が示されております。
 それから、2番目の「適切な支援体制の構築」ということで、大きく支援の内容といたしまして、例えば最新の情報を利用者へ提供すること、それから利用に関する相談をすること、それから計算プログラムの調整、最適化、そういったことが支援の内容として書かれてございます。
 こういった支援につきましては、将来的には、先ほどご説明いたしました登録機関が担っていくことになりますので、今後利用者のニーズなどを把握しながら、登録機関に求められる支援の具体的な業務の体制について検討していくということになってございます。
 それから、3ページ目の上、「施設利用研究の成果の取扱い等」でございますけれども、大きく研究成果はどういうふうに取り扱っていくのか。これは、いわゆる公開、非公開など、そういったものですけれども、それと、もう一つ、適正な料金設定についての考え方が書かれております。
 それから、4番目の「理解増進活動の実施」でございますけれども、最初のパラグラフでは、主に利用者に対する情報提供ということと、次のパラグラフでは国費を集中的に投入して行う施設であるということで、国民全体に対するわかりやすい形の成果の発表、公開といった視点が書かれております。
 それから、5番目の「研究機能等の構築」でございますけれども、これにつきましては次世代スパコンを最大限に活用して、高度な研究、または人材育成に関する機能を構築することが重要だということで、この施設を活用した研究機能、または人材機能の集約、または拠点形成といった視点の考え方が示されております。
 それから、3ページ目の下のほう、第4の運営に関することでございますけれども、運営の考え方として、利用者に対する窓口の一元化、手続の簡素化など、多くの研究者にとって使いやすい運営、またはすぐれた成果が創出されるような運営といったことが書かれてございます。
 それから、第5の共用の促進に際し配慮すべき事項といたしましては、特に次世代スパコンの施設と大学、またはその他の研究機関、さらには地球シミュレータのような既存のスーパーコンピュータ、そういった計算環境、計算資源との適切な役割分担や有機的な連携の重要性について指摘がなされているところでございます。
 1ページ目に戻っていただきまして、前書きのところで、中ほどになお書きが1つございます。この基本的な方針、現在のものにつきましては平成18年7月につくられてございます。この基本的な方針につきましては、運用開始後を視野に入れて策定すべきものであり、今後の登録機関のあり方ですとか、施設整備、そういったものにつきましては今後進捗状況に応じて検討を行い、この方針に反映させることになってございます。
 そういった観点で、また後ほどご説明させていただきますが、基本的な意見に対する意見募集を3月31日まで実施をしておりまして、後ほどご紹介をさせていただきます意見などを踏まえて、今後どういった基本的な方針の改定、または考え方をしていくかといったことをご議論いただきたいと思っております。

【土居主査】
 今、企画官から説明がありましたとおり、基本的な方針に関しましては、お手元の横長の大きな資料5-2というのがございまして、先ほどのいろいろな意見のとりまとめと議論のためのたたき台として用意しておりますので、後ほど逐次にご審議いただくことになろうかと思いますが、それ以外で何かご質問等ございましたら。どうぞ。

【平尾委員】
 前回、例えば福山先生がこういう共用のあり方というんでしょうか、パワーポイントを使われてご説明になりまして、その中で、計算機研究教育利用総合機構、全体をまとめるようなものがございましたですよね。今、法律でありますのは、設置者である理化学研究所と登録機関、これをお互い連携をとってやりなさいということだと思うんですが、全体をどういう形でやるのかというのは、やっぱり必要だろうと思うんです。
 それで、毎回ゼロからスタートではなくて、せっかく前回、福山先生が一つのプロポーザルを出されて、そういうものも積み重ねていったほうが私は効率よく議論が進むのではないかと思っていますので、そういう点も少しお考えいただければと思います。

【土居主査】
 そういうことは考えているつもりですが、差し当たっては、ご存じのとおり、SPring-8と同様の共同研究施設としての法律に位置づけていることがございますから、この基本的な方針についてご議論いただいて、それで全体としての構想をどうすべきかというところに持っていきたいと思っております。よろしゅうございますか。

【平尾委員】
 結構でございます。

【土居主査】
 それでは、先ほど申し上げましたように基本的な方針に関しましては、お二人の先生方のご意見をお伺いした後に、ほぼ逐次に進めさせていただきたいと思います。
 まず初めに高輝度光科学研究センター理事長の吉良先生にお話を伺いたいと思います。
 高輝度光科学研究センター(JASRI)は、次世代スーパーコンピュータと同じ法的枠組みで運営されている大型放射光施設(SPring-8)の登録機関でございます。先生、大変恐縮でございますけれども、20分程度でお願いいたしたいと思います。
 この後、米澤先生にもお話いただいた後に、ご質問等、ご意見等を伺いたいと思いますので、続けてお話を伺わせていただきたいと思いますので、ご了解いただければと思います。
 では、吉良先生お願いいたします。

【吉良委員】
 きょうは、こういう題目になっていますが、登録機関の役割というよりは、唯一この形の登録機関であるJASRIが何をやっているかという話を中心に、なるべくここの議題に沿うような形で話を進めたいと思います。
 SPring-8というのはご存じの方が多いと思いますが、スーパーフォトリング8ギガエレクトロンボルトの略でありまして、要するに非常にいい光を出す。光といっても、主としてX線ですが、非常に質のいいX線を出す機械であります。この中で約50個の出口がありまして、それを使って実験をする目的のものでございます。
 簡単に言いますと、つくるのに約1,100億円かかりまして、10年前に運転開始しております。つくったのは理化学研究所と原子力研究所ですが、原子力研究所は今撤退して、理化学研究所が持ち主になっております。運転しているのが、我々財団法人JASRIです。
 年間運転経費は、ことしの場合92億円、運転時間が1年間に約5,000時間です。それから、1年間の平均利用件数が2,000件ぐらいあって、今まで積算すると1万二千数百件あります。それから、1年の平均利用者が大体1万4,000人ぐらい。累計しますと、8万人ぐらいが利用しています。
 ここが肝心のリングでありますが、細かい説明は省略しますが、この中にビームの出口がたくさんありまして、模式的に書くとこんなふうにビームが幾つも出て、蛇口が幾つもあります。
 ビームの蛇口すなわちビームラインは、現在49本。62本まで設置可能で、そういう意味では建設途上とも言えますが、経済の停滞のために今、滞っております。
 それで、このビームは、全部同時に開けて使うことができます。そこがコンピュータと違うところだと思いますが、ですから全部が一斉に使われても大丈夫、そういうものであります。
 これは細かくて見にくいですが、色がついておりまして、それはどういう種類のビームラインかというので、共同利用のビームライン、これは理研が国のお金で建設して一般利用者に開放するもの。それから、専用ビームラインというのがありまして、これは設置が認められた団体が自費で建設して、自分のために使うものというのがあります。
 さっきから共用促進法の話が出ておりますが、共用促進法が支配しているのは、この2種類のビームラインであります。ほかに共用促進法で支配されない理研のビームラインというのが7本あって、さらに1本建設中であります。それから、ほかにビーム診断用のビームラインというハード用のビームラインがあります。コンピュータと違うところの1つは、共用促進法でやっているほかに、オーナーとしての、設置者としての理研は、こういうプリビレッジを持っているというところを指摘しておきたいと思います。
 それで、共用促進法で登録機関は何をやるかというと、利用者選定と利用者支援の業務が法律で定められている仕事です。実際に、SPring-8の場合は、今の法律で話しておりますが、法律が今のような形になる前に、かなり長い期間、前の法律でやっていた時期があります。そのときには、ここでやる仕事はすべてJASRIが引き受ける構造になっていて、当時は指定機構と言われていました。それは、ここに書いてある業務のほかに、運転すること、その他もろもろ全部この中に入っているわけです。新しい法律によって、ここの部分だけ大臣が指定して登録機関に行わせることができる。あとの部分は、本来理研がやるべき仕事であるがということになっております。ですから、コンピュータの場合は、こっちの部分は理研がやっても構わないのでありますが、SPring-8の場合は、もうできていたので、現実はJASRIが相変わらず引き受けております。ただし、この場合、ここ(※共用促進法定外業務)は一般競争入札という形でやっていて、結果として、今も見かけは昔と同じ形をしておりますが、それは既成事実があったためでありまして、今回の場合にそこのところを分けるのがいいのか?法律は分けてもよろしい、あるいは分けろに近いことを言っているわけですが、ほんとうに1つのこういう機関の機能を2つにピシャッと分けてうまく運営できるかどうかは、私は疑問に思います。
 次は、JASRIというのはどうなっているかといいますと、これは昔の体制でできた機関ですが、今の話で言えば、登録機関としての法定業務、それをやっているのがこういう部分でありまして、そのほかに理研の契約でやっている仕事は、こういうふうにあります。
 これの詳しい話は今は省略いたしますが、これだけの部門を持って、これだけの組織であって約350人、定員の数え方もいろいろありますが、350人が働いている、そういう組織であります。
 これは今言ったことをもう少しちゃんと書いたものですが、今は読み上げません。
 次に、JASRIがやっている選定のところの話でありますが、その前に共用のビームラインの話に限っていたします。
 実は、先ほど言った専用のビームラインを選定するという仕事もJASRIの仕事ですが、きょうは共用ビームラインのビームタイムの配分の話を中心にお話させていただきます。
 現在の法律のもとでは、一般利用とJASRIの利用というのがあります。JASRIの利用というのは何かというと、JASRIが自分の開発事業、あるいは研究のために使うのは、一般利用と競争してはいけないので別枠になっております。要するに、平等性という観点から、JASRIは自分の枠を持っていて、一般利用とは競争しない。一般利用に対して平等、公平を期する、そういう思想でつくられております。この話は、これ以上しません。
 一般利用課題の中にも重点課題と、それから普通の大学で考えているような共同利用の形の、公募して選考して認めるもの、それから最初から大きな科研費、ナショナルプロジェクトが動いているようなものに対して、ある程度の割り当てをしておく。それから教育とか実習のための時間、そういうふうに分かれています。
 実際に利用者を選考するスキームというのは、登録機関のJASRIが最終的には責任を持つようになっておりますが、法律で選定委員会の意見を聞くようにということになっています。
 選定委員会というのは、法律はこの辺の委員会を意識しているのかもしれませんけれども、図にある課題審査などのいくつかの委員会は実務をやっていて、ここで決定したことがいいかどうか、あるいはこれに対する方針がいいかどうかということを、今、選定委員会に大所高所から見てもらっています。実は、先ほども利用件数が年に2,000件ぐらいあると申しましたが、それを審査するのはなかなか大変でして、これだけの分科会があって、ここに上げて審査してやっております。その内容については、また後でお話しします。
 審査すると簡単に言いましたけれども、実際のスケジュールとしては、施設側、ユーザー側から見たのが書いてありますが、ビームタイムの枠の配分、それから課題を募集して、締め切って、そうすると何千件か来るわけです。ここの中で審査委員会に、これは外部委員と内部委員からなっておりますけれども、テクニカルの問題もありますので内部委員も必要です。それから、いろいろな申請手続をしてもらって、それでやっと課題をやってもらう。それから、最後に報告書を出してもらう等々、いろいろなことがあります。
 審査委員会の部分は何をやっているかというと、安全審査、それから、いわゆる普通の雑誌とかでやっているのと同じような科学的な審査、評価、それから、大体レフェリー制度をとっておりまして、小分けすると23分野あって、180名のレフェリーを持っております。この意見をもとにして、8分科会で50名いますけれども、それで2,000件やるわけですから、1人当たり40件ぐらい担当することになって、これは結構大変です。最終的に、上の審査委員会で総合的な調整をして決定する。そういう過程を経ております。
 このスライドは配ってはありませんけれども、実際のビームラインごとに、色が違うのはプロジェクトやカテゴリーの違うもので、こういう調整をしてビームごとの時間配分を決めて、そこに合格した課題を割り当てていく、そういう操作で、かなり大変な操作であります。
 ちょっと話を戻しまして、先ほど課題の区分について説明したのは、この絵でございます。実は、これは平成18年、わりに最近こうなったのでありまして、一番最初にできたころから平成14年、ついこの間まではのっぺらぼうで、大学の共同利用と同じ形をしていた。これを外部審査員が審査していた。今もこの一般利用課題審査は、外部、内部、両方の審査員で審査委員会をつくって審査をしています。
 それで、国の中間評価というのがあったのですが、そのときにいろいろな議論がありまして、やはりこれだけの大きな施設で重点投資したものであるから、もう少し重点課題をして、成果が見えるようにしろという勧告がありまして、すったもんだの末、50パーセント以上は従来の共同利用の考え方を残すけれども、こっちは重点化を行うということで、こういうふうにいたしました。
 ここのところに細かい問題がありますけれども、今は省略します。
 最後に、今度は法律が変わったときに、また考え方がガラッと変わりましたので、ここのところは全部ひっくるめて、実は一般利用という枠に入りまして、さっき説明したようになったわけであります。黙っていると、議論は全部一般利用というところから出発しますけれども、コンピュータの場合は、せめて重点利用があるという辺から話をしないといけないのではないかと私は思います。
 さっき言った重点利用の枠はどんなものがあるかというと、ここにその例が書いてございます。詳しいことは省略いたしますが、ここまではのっぺらぼうで、ここから重点課題が入ってきて、少しずつ変わりながら進んでいるということであります。
 これは、今言ったようなことをちゃんと書いたものでありますので、省略いたします。
 実際に細かく区分けするとどんなものがあるかというのは、ここに書いてございます。結構細かくなりますので、これを説明するだけで10分やそこらかかりますから、後でもし何かあればご説明いたすことにして、飛ばさせていただきます。
 さっき業務内容の大雑把なことを言いましたけれども、実際にはJASRIの中でこれだけの仕事をいろいろやっておりまして、今のところ、大分事情は当初よりはよくなりまして、共用ビームラインが今26本ありますが、そこに大体80名の担当者がついております。これで利用支援等々いたしますが、当初は1.5人ぐらいで、フランスあたりの4人ぐらいに比べて悪いとか、いろいろな議論がありました。
 これも実は単純に平均すると3名になりますが、産業利用のほうに厚く配分してありますので、少ないところはもっと少なくなっております。
 それから、コーディネーター8名というのは、世界的に見ても非常に多い数字、これは産業利用のほうのコーディネーターであります。
 これは私どもの話ではないのですが、SPring-8の利用の考え方の中で、利用は成果公開が原則であって、できたときの学者の精神に基づいています。成果を公開しない場合には、お金をとる。その後で入ってきた考えで、消耗品の実費だけは徴収しますということで、全利用者にこの基準を適用しております。
 利用法については、私どもが決めることではないのですが、現在の利用法の紹介だけしておきます。共同のビームラインの話だけをしますが、成果を公開する場合と、それからパテントなどのために成果を自分でとってしまう場合に分かれていまして、こっちは年に2回の募集で、ビームラインによっては、これでは回数が少な過ぎるというので、もっと募集しているところもあります。原則はこうです。
 もう一つは、成果専有で使う場合で、これは民間会社などが主に使うのですが、8時間を1シフトとし、それで48万円いただいています。利用者が利用時期を指定する急行料金は72万円になる、こんな使い方をしております。
 共用促進法を改正した現在の共用促進法を適用して今動いているのは、実は私どもだけです。一番最初が特異的だったというのは変な言い方ですが、どこが特異的だったかというと、JASRIというのが既にあって、指定機関としての活動を七、八年やっていたわけです。それで、ノウハウも持っていたし、いろいろなことを全部できるようになっていたので、仮に法律の実行上難しさがあっても、全部現実は補える格好ができていたということです。
 JASRIは、たまたま法定の登録機関になったと同時に、それ以外の仕事も全部引き受けた。逆に言うと、理研は急にあしたから、その仕事を全部やれと言われても、人もいないし何もできない状況で、この法律の新しい体制がスタートしたわけです。
 さっきも指摘しましたが、登録機関としての業務というのは、全体の業務のごく一部です。それと、それ以外の業務を分けるのがいいか、分けないほうがいいのかというのは、やっぱりどこかでちゃんと考えないといけない、当事者が考え切れる問題ではないと私は経験者として思います。
 それから、もう一つ、これもさっき指摘したことですが、SPring-8においては、理研は共用促進法を適用されない理研ビームラインというのを持っていて、自分の研究に使えるという、それが設備を一生懸命維持するインセンティブになっているわけです。今回は、少なくともそういうインセンティブは今のところないようにお見受けします。それなしで理研にやれと言って、どこまでやるかというのは、私が個人的なことを言えば、甚だ疑問だと思います。
 もう一つのスパコンの条件というのは、もう既に皆さん十分ご承知のとおり、最高性能の寿命というのは、わりに短いわけですから、全部が全部そうやれとは言わないけども、短期間にどこかでピークを見せる必要がある。そうすると、全体の資源配分をするには、結局法律上は登録機関がやらなければいけないわけですから、登録機関というのはよほどしっかりしてないと、もちろん後ろでもっと大きな機関があるのは、それはそれでいいのですが、登録機関をいいかげんにつくるわけにはいかないと思います。

【土居主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして米澤先生にお願いいたしたいと思います。米澤先生は東京大学情報基盤センター長でいらっしゃいます。ご専門は、コンピュータサイエンスで、特段ソフトウエアを中心になさっておられる先生でございますが、情報基盤センターは全国の大学等が共同利用するためのスーパーコンピュータを設置しておりますので、そういうことを含めてご意見を賜ればと思っております。米澤先生、お願いします。

【米澤先生】
 ご紹介にあずかりました米澤と申します。今、情報基盤センター長をやっておりまして、きょうのお話は、特に登録機関のお話とかいろいろ難しい問題があるようですけれども、登録機関自身がどうあるべきかとか、実際法律的にどうというのはあまり詳しくないので、その辺の話はスキップするかもしれません。
 きょうお話ししたいのは、お配りしてありますスライドと違うかもしれませんけれども、非常におこがましいのですけども、東大のスパコン・センター、もう少し後でご紹介しますけれども、それはある意味で小規模な次期のスパコン・センターみたいなものだと思いますし、同じようなものとして収束していくのではないかと思っております。
 それはどういうことかといいますと、要するにスパコンの運用とかオペレーションの話、課題の選定は、情報基盤センターという7大学のセンターは科研費が利用できる人はだれでも使っていただく、それから最近は、あるルールのもとに民間にも使っていただくという、その辺の課題選定とすることが登録機関と関係ありますし、研究支援とか人材育成の機能というのは、規模は違うにしろ、基本的に東大センターも次期スパコン・センターも同じではないかと思っています。私の次期スパコン・センターというので何を表現しているかわかりませんけれども、それの持つべき姿のイメージと、東大センターの将来は規模は違いますけれども、かなり重なるのではないかと思いまして、しばらくお話をさせていただきます。
 ちょっとだけ我々のセンターのご紹介をさせていただきますけれども、東大の中では情報基盤センターという名前で呼ばれていまして、実際は4つの部門があります。一番下のスーパーコンピュータ部門というのが一番お金を使っていますけれども、組織としての大きさでいうと全体の4分の1程度です。最近は、ほかに特任の先生方がたくさんいらっしゃいますので、そういう意味では違いますけど、スパコン部門の常任の方は全体のそれの4分の1のスケールです。情報メディア教育研究部門というのは、昔の教育用計算センターと言われたようなもので、駒場の1、2年生の何千人という学生に情報教育をするためのマシンを持っています。それから、図書館の電子化の部門。これは本郷の総合図書館とかNIIと関連しながら図書の電子化、特にそのインフラの部分をこのセンターで受け持っています。あとは、ネットワーク、UTネットと言われているものを運用している部門があります。専任の教員が20人ぐらいで、あと特任が七、八人いて、技術職員が25人、あと事務職員が二十何人という形で、七、八十人教職員のいるセンターでございます。
 スパコンのレンタル料が非常に高いと思われることがあるのですが、年間30億円ぐらい使っておりますので、この意味で規模は大きい。それから、先生方は大学院生を結構持っていらして、研究、教育もやっているという感じでございます。
 これは今後、東大の情報基盤センターがどんなことをしよう、あるいはし始めているかというところを図示しておりますが、後でまた紹介いたしますけれども、この6月から稼動いたします超並列型のスパコンは、東大の学内でPCクラスターを使っている研究室の方々が、その10倍か20倍くらいの計算力で実行できる、そういう大きさのマシンでプログラムをあまり変えないで移行できるような形のアーキテクチャを設計いたしました。そういうこともありますので、二、三年後には、学内のPCクラスターを使っていらっしゃる研究室の半分ぐらいはセンターのほうに来てマシンを使っていただく。そういうことになれば、研究室の中でもクラスターの維持という面倒くさいことも省けますし、かなり貢献できるのではないかと思っています。
 それから、後でもう少し詳しく申しますけれども、スパコン、あるいは計算科学・工学、あるいは我々は学際計算科学・工学と呼んでいますけれども、それは計算機、スパコンのアーキテクチャとかプログラミングのことも十分含めた計算科学・工学のカリキュラムを現在整備中でございます。
 学内向けというのは非常に我々は神経を使うといいますか、全国共同利用でありましても、学内については半分ぐらいサービスをしようというつもりで、今後もその方向で行くと思います。もう少し言いますと、こういう国際的にも国内的にも大きなスパコンを持っているということは、計算科学・工学、それからコンピュータサイエンス、計算機科学との融合の場所としてあるべきではないか考えて、そういうふうに活動していこうというのが始めております。
 特に、アメリカのスパコン・センターが幾つかありますけれども、そういうところのアクティビティと重ね合わせると、すぐおわかりいただけると思いますけれども、スパコン関係のシステムソフトウエアの開発とかをメーンにやっています。あるいは、ペタコンのユーザーは上の方、次がPCクラスターのユーザー、その下レベルのPCクラスターのユーザー向けのアプリケーション開発をするためのツールをセンター自身で開発し、維持していくという、そういう力を持つようにしております。それから、何度も人材の話が出ますけれども、人材育成をしております。
 我々が現在計画しておりまして、既に東大の工学研究科とか理学研究科でも教育を始めておりますけれども、来年度ぐらいからどんな人材をつくりたいか。といいますと、大学院生に限らず、学内にいらっしゃる研究者、ポスドクの方、あるいは社会人の方もぜひ来ていただいて、計算科学・工学の人材養成をしてゆきたい。その中で、どんな人をつくりたいかといいますと、ざっとこの3つありますけれども、1つ目は既にあるアプリケーションをうまく使える人。これはちょっとしたチューニングもあるし、使い方のノウハウもありますし、そういうことができるレベル1の人です。それから、レベル2というのは、動くアプリケーションを自分でつくっていける人、それぞれの研究ドメイン、例えば化学や構造力学など多様な領域がありますけれども、そういう中でアプリケーションをちゃんと自分でつくっていける、そういう人を養成したい。レベル3ですが、これはレベルの問題ではないんですけれども、先ほどのスパコンでプログラミングする、あるいは実際に実行するときの必要ないろいろなツールも自分のニーズに合わせてつくれるような、もう少しコンピュータサイエンス寄りの人材もつくりたい。この3レベル/種類が大きな柱でございます。
 一般的には、これはSMASHと呼ばれていまして、上にサイエンス(S)のドメインが、宇宙だの物性だの化学だのです。その次に、それをいかにモデリング化(M)する。第一原理だ、分子軌道法だと、そのレベル。それから、モデリングをどんなアルゴリズム(A)で実行していくか。これもアーキテクチャによるわけですから、こういう層を考えてカリキュラムをつくっていくことを現在やっております。
 一番下のところが、いわゆるコンピュータサイエンス寄りの部分なんですけれども、ハードウエア(H)とかソフトウエア(S)とか、特に並列化プログラミングのこと、ネットワークのこと、あるいは一般的なメモリの構造。メモリの構造がちゃんとわかってないでプログラミングしても、スパコンが高速に使えない、性能を引き出せないということは当たり前ですから、3つの点をきちんと実体験してもらわなければなりません。
 この辺は非常にローカルな話で申しわけないんですけど、右側にどういう人が、例えば情報基盤センターにいる先生方、あるいは特任の先生方が、工学系、理学系、情報理工学系とか各研究科に教えにいく。それから、外の例えば筑波大学の先生とか京大の先生に入っていただくわけです。
 人材の話を強調して言いましたけれども、これは関東のほうでやっているわけですけれども、できるならばオールジャパンの人材育成体制にできればと個人的には思っております。オールジャパンですから、関西、あるいは今度のペタコンに向けても要望があればやっていきたい。それから、遠隔講義も簡単にできますし、単位とか資格の認定とか、それから先生方の交流もあると思います。ですから、この辺はぜひご一緒にやらせていただければと、だれに言っているのかわかりませんけれども、我々はどなたに対してもオープンでいますということでございます。
 それから、我々のセンター、それからペタコンのセンターのあるべき姿、これが先ほどの登録機関とか設置機関、あるいは平尾先生がおっしゃった機構とどんな関係があるかわからないんですけれども、機構のほうはもう少しメタなストラクチャーだという印象を受けましたが、スーパーコンピューティングの研究者、あるいは支援をする人、それから教育をする人をなるべく一緒に集められるというのが、あるべき姿だと思っております。我々のセンターも、できるだけそういう形にしたいと思っていますし、それから、これは自分たちのことを言っているんですけど、今までは我々センターはスパコンを持っていて、それを人に使ってもらってた。箱物というんでしょうか、劇場、シアターがあって、中の実演されるプログラムは外から来てやっていただくという『入れ物』だけを準備していたわけです。それで、箱物行政ではないですけど、我々は箱物から脱却して、自分たちで開発とか支援をやっていかないとより良い貢献はできないし、発展がないだろうと。そういう意味で、研究者、支援者、教育者というものがセンターに同居すべきと思っております。
 それから、スパコン自身も中長期的には自分らで設計ができるような力を、ですから市場から買ってくるのではなくて、みずから設計できる力を持っていることが大変重要と思っています。この辺は、次期スパコン、次のペタコンに対しても非常に重要なことだと思います。
 それから、先ほどちょっと出ました開発用のツール、システムツール、これもお仕着せでメーカーがつくったのを何となく使っているのみならず、自分たちで計測するとか、最適化するとか、あるいは並列化などに役立つツールも自分だけの力で持っていかないと今後機能しないのではないかと思っております。
 そのほか、アプリケーションのチューニングの支援も今まではされていませんけれども、今度のペタコンの場合は、非常にこれは大きな要素になる。チューニングといっても非常に広いですから、開発支援が必要になっています。
 どんなアプリケーションをセンターで持っているべきか。これも箱物ではなくて、自分たちでよいアプリケーションを集めてきて、それを提供して、あまり知らないユーザーにも、すぐ使えるようにしていくというのがセンターのあるべき姿だと思っております。
 最近は共用イノベーション創出事業という文部科学省のプログラムがありまして、東大を含めた7大学のスパコンを、民間の方々にイノベーション創出のために使っていただくという事業です。そうするとおもしろいことに、20とか25という課題で民間の方が使いたいと言っていらっしゃるんですけど、その中で5つ、6つはASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業のために使いたい、すなわちハードウエアは大学のセンターから借りて、自分たちで又貸しでもないですけど、ユーザに使い易い計算サービスを提供するオペレーションをするという、そういう形で使いたいという話が随分来ております。これもうっかりすると、国のものをそんな形で使わせるのかとお叱りを受けるので、注意深くやっております。
 先ほど申し上げましたけど、繰り返しになりますけど、スパコンの話というのは一回限りではないので、この先も続く話ですので、次のスパコンをどういうふうにするかというのをしっかり考えていくような機関が必要。それが、できればこういうセンターの中にあるとサービスの連続性もあるでしょうし、経験も活用できることになります。東大のほうは、今度導入するのが140TFLOPS(テラフロップス)で、952ノード、1ノードが16CPUありますから、1万数千以上のCPU。左側が今度新しく入るので、右側は今あるSR11000。特に左のほうは、さっき申しましたように、PCクラスタユーザーを持ち上げると申しましたが、ここでデバッグとかいろいろなことをやってもらって、それでアプリケーションの本当の実行はペタコンのほうでやっていただくのがいいのではないかと思っております。
 この辺はちょっとだけ宣伝を。我々のマシンの全体の構成ですが、右側に512ノード、計算ノード群、これをタイプAと呼びます。512ノード、128ノード、256ノード。512ノードを一度に全部使える。これで70テラぐらいなので、70テラを一括して1ジョブで使うことができる施設は我々のところしかないので、もしペタコンでほんとうに大きくジョブに使うようなことがあれば、我々のところで実験デバグをしていかないと、ペタコンを上手に使うのは難しいだろうと予想しております。
 同じようなマシンでスケールが少し小さいのは、筑波大と京大にございまして、この3センターでアライアンスを組んでいまして、T2Kと呼んでおります。
 我々みたいな大学のスパコン・センターで、すみ分けというと変な感じですけど、どういう感じでペタコンと共生するかということをお話します。基本的にはジョブのサイズに、すなわち1ジョブの大きさはどのくらいメモリとマシンを専有して動かすかということで決まりますが、私はある程度ペタコンのアーキテクチャを概念レベルで教えてもらっておりますが、それから考えますと、あまり小さなジョブをたくさん流すのはペタコンマシンのむだ遣いと考えています。そのようなやり方では効率よく使うことにはならない。むしろあるサイズ以上のジョブを実行するためにペタコンを使うべきであると思います。
 そういう意味で、ペタコンのジョブの一番小さなレベルは、例えば東大ぐらいのマシン向けで中規模サイズのプログラムよりは大きなジョブをペタコンで実行しないと、数千何百億円もかけてペタコンをつくった意味がないわけです。小さなマシンやジョブをたくさん集め全体として大きいのであっても、世界的にも誇れるものではございませんし、新しいイノベーションが出るわけでもないと思いますので、これ以上小さなジョブは流さないというルール作りが重要です。実際のランでなく、デバッグ用とか開発用には、我々のセンターで使ってもらうとか、国全体でジョブのサイズで、国にあるスパコンの役割分担を考えるべきです。このようにして有効効率的利用をぜひお考えいただきたいと思います。その辺は登録機関で課題を選択するときに、一つの重要なメルクマールになると思っております。
 最後に申しますが、大学のセンターの大きなマシンですと、ペタコンでのアプリケーションの開発とかデバッグとかテストランというのは十分できますので、そこでうまく開発してから本番としてペタコンを使っていただくというのが自然な考え方ではないかと思います。ペタコンのアーキテクチャもそうなっているのではないでしょうか。
 もう一つだけ、先ほど7大学のセンターが一致して民間の企業に使っていただく事業を文部科学省の支援、お金のもと始めていると申しましたが、そこでの経験といいますと、ほんとうに使っていただいている方はわかっているんですけど、使いたいとお見えになる民間の企業の方々は、今自分の会社で動かしているマシンがこういうサイズだから、そちらのスパコンに持ってくれば、そのまま10倍とか100倍の性能が出るのではないかと信じているんです。それは全くの絵にかいたもちでございまして、アーキテクチャが変わってきますし、並列化とか、うまくチューニングをやってからでないと、大きいマシンの性能というのは絶対引き出さないので、その辺の誤解がペタコンについてもあるのであれば、ぜひこれを払拭が必要、そのためのユーザーの教育、ユーザーの意識を喚起する必要があるのではないかと思っております。
 下にありますように、3月28日に開催しました共用イノベーションのシンポジウムには思いのほかたくさんの方においでいただきまして、我々100人以下だろうと思ったら150人もいらして非常にびっくりしましたけども、ですから熱はあるんですけども誤解も非常に多いということです。
 あと、登録機関の話は、全然僕はわかってないところがあるんですけれども、基本的には課題を選ぶところにいろんな法律的なものがあると思うんですけれども、センター機能といいますか、支援機能としては、先ほど東大がやり始めているとか、やりたいと言っているようなことを、基本的にはペタコンのほうの登録機関、あるいはセンターでも当然持たざるを得ないものでございます。そういう意味で我々のスパコン・センターは、今度できる次期スパコン・センターの10分の1だかわかりませんけれども、小規模でも同じようなことをやっているということを申し上げたいと思ったのです。
 こんなところです。長くなって申しわけございません。

【土居主査】
 どうもありがとうございました。
 これでお二人の先生からお話をちょうだいしたわけですが、委員の方々のご意見はこの後にいただくといたしまして、差し当たり、今のご意見をちょうだいいたしましたお二方の先生に対するご質問というのがございましたら、いただければと思います。

【平尾委員】
 吉良先生にお伺いしたいんですが、一般利用のところで、ほんとうの一般利用研究課題、多分これはボトムアップで上がっているような課題だと思います。それから、もう一つは重点利用研究課題というのがございます。この分野を重点にしましょうというのは、実際にはどこで判断をされているのでしょうか。

【吉良委員】
 今は、最終的には登録機関がやっております。

【平尾委員】
 登録機関の中に、そういう選定の委員会がございますか。

【吉良委員】
 外部の人も入れた形で意見を聞きながらやって、選定委員会というのは、さっきございましたように、そこの承認を問う格好にしてあります。というのは、予算と連動する部分があるので、あまりボトムアップだけで議論していてはうまく機能しないということで、そういう折衷的な格好でやっております。

【平尾委員】
 両方とも、そういう意味では登録機関の中の選定委員会でということですね。

【吉良委員】
 はい。

【土居主査】
 ほかにはいかがでしょうか。--よろしいでしょうか。それでは、お二人の先生、どうもありがとうございました。
 それでは、これまでにいただきましたご意見等がございますが、福山先生、佐藤先生、小柳先生からちょうだいいたしましたし、また本日のお二方の先生からもご意見をいただきましたが、こういうご意見、あるいは先ほど冒頭で紹介がございました基本的な方針に対して提出されました意見なども踏まえまして、次世代スーパーコンピュータを共用する際の基本的な考え方についてご議論いただければと思います。
 本日の議論の進め方でございますけれども、事務局において、これまでに提出されました意見、あるいは第3回作業部会における意見、あるいは平成18年6月の次世代スーパーコンピュータ共用ワーキンググループでの意見の整理などを踏まえて、お手元の資料5-2として議論、たたき台を用意していただきましたので、これについて項目を区切って説明をしていただきながら議論をしていただきたいと考えております。その際、本日のお二方の意見発表に対するご意見などもいただければと思っております。
 もっとも5-2をご覧になっていただきますと、かなりのものでございますので、本日3時半まで予定をしておりますが、もしも時間が足りなくなった場合は、次回へ繰り延べさせていただくということにさせていただければと思いますので、ご理解、ご了解いただければと思います。
 それでは、まず事務局から説明いただけますか。

【関根室長】
 それでは、資料5に基づきましてご説明させていただきたいと思います。
 まず、大きなA3判の資料がございます。これから時間をいただきまして、これをもとにご議論をいただければと思います。
 この議論のたたき台をつくるに当たりまして、先ほどもちょっとご紹介申し上げました現行の基本的な方針に対する意見募集を、これまでさせていただいておりました。その結果、資料5-1を見ていただきたいのですが、各研究者、または学会等のコミュニティベースですけれども、トータル17の貴重なご意見をいただいております。
 資料5-1につきましては、中身を見ていただくとおわかりになると思いますが、各コミュニティーからお出しいただいた意見を、基本的な方針の柱書きに基づきまして、事務局のほうで主な意見を整理させていただいたものでございます。このもとになっている意見の元データにつきましては、席上に少し厚めの資料を置かせていただいておりますが、それを事務局のほうで整理させていただいたものでございます。1つは、各コミュニティーなどからいただきました貴重なご意見、それからこれまでの作業部会でいただきましたご意見、さらには現行の基本的な方針をおつくりいただきました平成18年7月に、実は現行の基本的な方針の原案につきましては、当時の情報科学技術委員会のもとにつくられました計算科学技術推進ワーキンググループというところ、福山先生に主査を務めていただきましたけれども、そこで作成をしております。そこでのご意見、席上に参考1ということで配付させていただいておりますが、これらの資料をもとにいたしまして、事務局のほうで今回たたき台をつくらせていただいております。
 それでは、資料5-2をお開きいただきたいと思います。資料5-2の見方でございますけれども、向かって左側につきまして、各項目は現行の基本的な方針の柱書きに応じて整理をしております。左上のほうの四角囲いのところは、現行の基本的な方針の記述をそのまま抜粋しております。その下に、今回ご提出いただいた意見を箇条書きで書いております。これらを踏まえて議論のたたき台、向かって右側でございますが、事務局のほうで少し整理をさせていただいた考え方がございます。
 議論のたたき台の性格ですけれども、基本的には今回作業部会で、6月ないし7月ごろ報告書といいますか、とりまとめをしていただきますけれども、そのとりまとめに際して書き込むというか記述していくべきエッセンス、骨子、そんなことをイメージしながら事務局のほうでたたき台をつくらせていただいております。
 そういう意味では、今回たたき台をもとにご議論いただき、その結果については今回おまとめいただく報告書に載せさせていただくと。さらに、その報告書を踏まえて、我々事務方のほうで基本的な方針の改定作業に入らせていただくといった段取りを考えてございます。
 それでは、早速でございますけれども、資料5-2の1ページ目をご説明させていただきます。
 まず、基本的な方向でございます。現行の基本的な方針については、先ほどご説明したとおり、研究者にとっての魅力ある施設ですとか、利用しやすい、またはすぐれた成果が創出されるといったようなことが書いてございます。
 今回提出された意見につきまして、基本的にはそれに準じるような形で、魅力的な施設ですとか、計算科学の教育研究拠点となるべきである、また人材養成、それから異分野融合、そういった視点のご意見を賜っております。
 議論のたたき台の部分でございますけれども、基本的には現行の基本的な方針の範疇の部分かと思っております。そういった意味では、世界最高性能、最先端の次世代スパコンが我が国の科学技術の振興、それから国際競争力の向上に寄与していくという意味で魅力ある施設であること、それから多くの研究者等に活用されるといったような視点が大事ではないか。それから、すぐれた成果が創出されるということを重視して、本施設の整備、運営を図っていく、そういった視点が重要ではないかということでたたき台をつくらせていただいております。
 短いので、よろしければ次もご紹介を。

【土居主査】
 はい。

【関根室長】
 2ページ目でございます。施設の整備に関する事項でございます。現行の基本的な方針では、次世代スパコンの開発という観点では、研究開発状況へも注意を払いながら適切に進めるということ。それから、施設の整備に当たっては、利用者ニーズなどを踏まえ、利用者にとって使いやすい施設にしていくといった視点が書かれてございます。
 提出された意見の概要でございます。整備に当たり重要と思われる項目ということで、書かれているようなことをご指摘いただいております。
 それから、高速ネットワークを介したリモートアクセス、こういった計算機利用、または技術的支援をやっていくべきではないか。これは数多くのご意見をいただいております。
 すみません、説明をし忘れましたが、提出された意見の後ろのほうに数字が書かれてございますけれども、これは資料5-1に17のコミュニティーからご意見をいただいております。そこの左方に番号が振ってございますけれども、ここと対応させていただいております。
 続けさせていただきます。それから、非常に大きなスパコンということで、大規模なデータを取り扱うことが必要になる。そういった意味では、磁気ディスクの設置ですとか、またはユーザーが持ち込める環境、こういった配慮が必要ではないか。さらには、計算結果を目に見えるような形で表示するような、いわゆる可視化、こういった視点。
 それから、次世代スパコンの上で走らせるソフトウエア、非常に重要な要素になります数学ライブラリー、そういったライブラリーなどについてもきちんと提供していくべきではないか。
 それから、グリッド技術の重要性ですとか、教育に利用できるレベルのシミュレーターの要望、さらにはデータ通信の信頼性確保といったことが述べられております。
 それから、施設整備の部分でございますけれども、2ページ目の一番下でございます。多数の利用者の利用を想定した研究室ですとか、会議室、食堂、喫茶店、その他の附帯設備の整備の必要性。
 それから、3ページ目でございますけれども、企業などの利用を想定した機密保持、そういったところにも配慮すべきではないかといったご意見をいただいております。
 施設の整備に関する事項についての議論のたたき台の部分でございます。2ページ目の右側でございますけれども、まず次世代スパコンの開発といった視点では、国際的な研究開発動向などにも留意をしながら、評価もし、適切に進めていくと。その際、以下に述べる点について考慮すべきではないかということでございます。
 1つ目が、利用者の利便性を高めるための高速ネットワークを介した利用。こういった計算機環境を整備すること。
 それから、計算機結果の大規模データの保管ですとか、円滑な提供、こういったことを可能とするような計算機環境を整備してはどうか。
 それから、アプリケーションの実効速度ですとか、高度化、高並列化に影響する数学ライブラリー、またはコンパイラと言われるシステムソフトウエア基盤をきちんと整備する。そういったことを考慮することは必要ではないかということでございます。
 それから、施設整備につきましては、利用者にとって使いやすい、または優れた成果が出るというのを基本としながら、具体的には共用施設としての多様な利用者の利用が見込まれる、そういった観点から諸設備の整備をする。特に企業などの利用も想定した機密性の保持、こういった観点でも留意することは必要ではないかということでまとめさせていただいております。

【土居主査】
 これが現在の基本的な方針の1の基本的な方向と2の施設設備についてのところでございます。念のため、この後3に施設利用研究とありまして、施設利用研究や支援体制、成果の取り扱いなど、それから理解増進活動や研究機能等の構築というのがございます。その後、4に運営に関する事項、5に配慮すべき事項というのがございますので、逐次させていただきますので、まず基本的な方向及び施設設備といったものを中心に、たたき台に対してご意見等を賜ればと思いますが、いかがでしょうか。

【川添委員】
 もともとネットワーク利用だと思っているんですけど、そうでないという想定の質問があるようにも見えます。先ほどのSPring-8は当然行かないと実験できません。昔、地球シミュレータもそうだったんです。しかし、今ではネットワーク利用は想定内だと思うんですが、ご意見をいただいたところの人にはまだネットワーク利用に関して問題視している人もいて、それを議論する状態なんですか?この点は既にクリアしていると理解しているんですが・・・

【関根室長】
 基本的には、リモートでの利用を想定した制度設計、環境整備を図っていくことで考えております。

【土居主査】
 ですから、その意味では2ページのところで、ポツで1つわざわざ書いてあるということは、ある意味でいうと余計なことかもしれませんが、だめ押しをしているという感じでご理解いただければと。
 ほかにはいかがでしょう。それでは、次の3、施設利用研究に入らせていただきたいと思います。
 それでは、まず事務局から説明をお願いします。

【関根室長】
 それでは、資料の4ページ、施設利用研究に関する事項の(1)実施すべき施設利用研究のところでございます。現行の基本的な方針においては、大きく3つ書かれてございます。1つは、次世代スパコンをどういった考え方で利用していくのか。研究分野ですとか、計算規模、こういったものに留意した資源配分をどう考えていくかということ。それから2つ目が、具体的な研究課題の選定、それから3つ目が、国際交流ということでございます。
 提出された意見につきまして、まず施設利用研究の考え方の部分でございますけれども、まず最初、スパコンの極限的な利用により科学技術の最先端の問題解決に結びつくような課題を推進すべきではないか。または、挑戦的な課題、ここでは例えば次世代スパコン以外では実行ができないものですとか、学問的に最先端、また社会的インパクトの大きい課題、こういったものに割り当てていくべきではないか、そういったご意見をいただいております。
 また、3つ目のポツなどでは、加えて小中規模のアプリケーション、こういったものにもやっていくべきではないか、そういったご意見もいただいております。
 それから、利用分野などについてのご意見は、その後いただいておりまして、重点4分野以外の分野などにも幅広く利用すべきではないか。さらには、基礎的な研究への配慮、国家的プロジェクト、それから萌芽的な研究、そういった広い利用体系をつくるべきではないかということ、そういったご意見をいただいております。
 5ページ目の頭では、計算機資源の有効活用の観点から、十分にチューニングされたものをやるべきではないかというご意見をいただいています。
 それから、研究課題の選定でございます。ここは考え方の部分と手続の部分、さらには具体的な研究課題の選定に当たってのカテゴライズ、そういった幅広くご意見をちょうだいしております。
 まず、手続的な部分では、透明性、公正性に配慮すべき。課題選定はオープンな形でやるべきではないか。さらには、選定委員会での構成員に対してご意見をいただいております。
 それから、上から6つ目ぐらいに、例えば教育用の計算資源枠、次にはデバッグですとかチューニング、そういった利用もきちんと考慮すべきではないかというご意見。さらには、1課題当たりの連続実行時間、こういうのが長いのもあり得るのではないか。そういったところも考えていく必要があるのではないかということもいただいております。
 それから、真ん中辺ですけれども、大学におけるスパコン・センターで大規模計算の実績があるようなもので、さらには次世代スパコンで具体的な数値目標が達成できるようなものについては、次世代スパコンでの実施課題、いわゆる情報基盤センターなどでの課題との連結性、こういったところでもご意見をいただいております。
 それから、その下のほう、選定委員会の考え方などについてもご意見をいただいております。例えば産学官、基礎科学と応用、それから分野、こういったバランスに配慮した選定委員会ですとか、審査委員会、そういったものをつくるべきではないかというようなご意見ですとか、または、ある部分、分野別の委員会に、その分野別の課題については、ある程度任せるというか、責任を持って審査いただくという仕組みが重要ではないか。さらには、事後評価、こういった視点も今後入れていくべきではないかというご意見をいただいております。
 カテゴリーの部分としては、社会的、国家的見地から推進すべき戦略課題ですとか、分野別の課題、それから分野融合、複合領域のようなもの、それからチューニング、そういったものに対するご意見をいただいております。
 6ページ目でございますけれども、国際交流についてのご意見をいただいております。国際交流については、例えばアジア諸国との共同研究を推進するような仕組み、枠組みが必要ではないか。それから、海外からのリモートアクセス、そういった環境を構築すべきではないか。国際交流の重要性とともに、国益という観点から競争と協調、こういったことをきちんと考えて対応すべきではないか。さらには、国際交流についての具体的な対応については、選定委員会などでケース・バイ・ケースで考えていくことが必要ではないか、そういったご意見をいただいております。
 戻っていただきまして、4ページ目、今申し上げたようなことを踏まえた議論のたたき台でございます。
 まず、1つ目の丸でございます。次世代スパコンについては世界最先端・最高性能の計算機ということでございますので、この施設の特徴を最大限に生かすという視点が、まず1つ重要ではないかということでございます。
 2つ目の丸でございますけれども、次世代スパコンにおきましては、基本的に研究課題の学術的・社会的価値を前提として次世代スパコンの性能、特性、そういったものを生かすような課題、例えば計算規模の大きなものですとか、次世代スパコンの特徴であります複合システムであるといった、こういった特性を生かしたものなどを優先して実施することが適当ではないか。
 また一方、この施設は共用施設という枠組みでございますので、産業利用の積極的な促進、こういった視点が求められていることから、産業利用に適切に対応した施設利用、こういった視点も重要ではないか。
 そういった考え方を踏まえまして、次世代スパコンで実施する研究課題としては、大きく考え方として、社会的、国家的見地から取り組むべき領域・分野の課題、いわゆるトップダウン的な戦略的課題と、それ以外のボトムアップ型の一般的な課題、こういった大きな2つの考え方を基本としながら研究課題の枠組みについて考えていくことが適当ではないか。
 下から3つ目の丸ですけれども、戦略的課題については、例えばその領域とか分野などをあらかじめ国が設定し、実施機関を公募により選定した上で、当該機関に対して優先的な利用を認める。そういったことを通して重点的、戦略的な研究を推進していくということが考えられるのではないか。
 また、一般的な課題については、幅広い領域、または分野を対象として、基礎、応用、開発、または学術研究、営利目的研究といった研究目的、さらには研究の緊急性などを考慮して、適切に課題を選定し、研究を推進していくような枠組み、こういったものを考えていくべきではないかということでございます。
 それから、下から2つ目の丸ですけれども、課題の具体的な選定に当たっては、今申し上げたような基本的な考え方に基づいて登録機関が行っていくということですけれども、当然公正性ですとか、適切な体制の構築、手続の透明性の確保、こういった視点が重要ではないかということでございます。
 それから、国際交流につきましては、現行の基本的な方針の考え方を踏まえております。具体的には、競争と協調という観点から戦略的に進めていくことが適当ではないかと考えております。

【土居主査】
 大きいから1つずつ切っていきましょう。それでは、ただいまの実施すべき施設利用研究に関しまして、ご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 お考えになっていらっしゃる間にちょっと伺いたいんですけど、たたき台のほうの丸の上から5番目、戦略的課題と一般的課題という2つの課題で、トップダウンとボトムアップという形になるかと思います。これ以外に吉良先生が先ほどおっしゃられたSPring-8の場合には7本か8本、理研が持っているという特権があるわけです。登録機関がどこまでやるかということにもなろうかと思うのですが、いわゆるCOEという拠点をつくるとなると、そこに対する先ほどの吉良先生のインセンティブといいますか、そういう特別なものを持たせるという考えはないんですか。

【藤木審議官】
 そのご指摘は、私どもこれからぜひ考えていくべき検討事項の1つではないかと思っております。きょうの議論の後ほどでも出てきますけれども、まさに主査がおっしゃられましたように教育研究拠点のあり方、その姿の描き方にもよるのだと思いますし、先ほど吉良先生がおっしゃられましたような施設を運営する側のインセンティブという観点からも、そういうことがあり得るかもしれないと思っております。
 ただ、今まだ教育研究機関がどのような姿で、だれが担うのかといったイメージがまだできておりませんから、その点については、この作業部会のどこかで議論していただく必要はあると思っております。
 したがって、現時点ではそういう状態なので、ここでは論点として出ておりませんけれども、いわゆる専用時間の設定みたいなものは、必要性の有無、あるいは必要であるとすれば、どの程度、だれに認めるかといったようなことは、いずれ議論はお願いしたいと思っております。

【土居主査】
 わかりました。

【佐藤委員】
 これはどこで質問すべきか、あるいは意見を述べるべきか迷ったのですが、結局一番重要なのは、国からのお金の配分なんですよね。運営費が足りない、それを補完するために、そういう形でお金があると重点課題、そうすると、どうしてもそれが優先されてくる。そうすると公平性というものが何かという問題。だから、公平性を保つために予算、例えば運営費は潤沢とは言わなくても、登録機関のほうに十分出されるという仮定のもとに話しているように思うんですけれども、そこが担保されないことには、一生懸命決めても、そこでほとんど決まってしまうと。
 その予算の問題というのは、これは難しい問題かもしれないけど、どこかではっきりさせておかないと、いいものが決まっても、運用の仕方、将来の発展の仕方が、結局それで決まるような経験もあるので、その辺はどうなんでしょうね。

【藤木審議官】
 予算の話ですので、あまり予断はできないと思いますが、まず予算については2種類あるのではないかと思います。1つは、いわゆる登録機関が行うことが想定されている部分、いわゆる利用者の選定業務であるとか、さまざまな支援業務、そういったところに必要なお金をどうするかというのが1種類目で、もう一つは、いわゆる研究開発拠点、あるいは研究開発そのものに対して、今、開発段階ではグランドチャレンジという形で支援をしております。運用段階以降、それをどう考えるのかという問題があって、そこに対する研究費の支援、それが2種類目の費用だと思います。おそらく、佐藤先生がおっしゃったのは後者の部分かと思いますが、まず前者の部分は、いわゆる運営費交付金とは別枠で、国が直接それを出す直接の交付金になりますので、これは実際に施設運営者である理化学研究所とは別に、登録機関が必要なお金は、別途国が直接登録機関に交付いたします。したがって、それは必要十分なだけ我々は予算要求して交付するということになります。
 後者の研究開発の部分をどうしていくかというのは、率直に言うと、これからの制度設計次第でございます。今たたき台では、例えばの形式、こんなことが考えられますということで、先ほどの重点枠と一般枠といった考え方をとりあえずここに記述してございます。例えば重点枠のほうに対する考え方をこれからどうするのかというのは、作業部会における議論かと思いますけれど、これは非常に重要な課題であるから、この部分については、今のグランドチャレンジのように国がかなり力を入れて支援していくんだという考え方もあると思います。すなわち重点枠については、別途の予算的裏づけをとった形で推進していくという考え方もあると思います。
 もちろんそうでなくて、今SPring-8では、国から直接的なSPring-8の利用サポートをしている資金というのはあるわけではなくて、おそらく一般共用の中で、先ほど米澤先生がおっしゃっていた共用イノベーション的な考え方で、外部の方が使いやすいようなもの、一般的に支援するという形をとられていると思いますが、そういう考え方もあると思います。
 一般的支援の部分についても同様で、そういった形で外部の方が使いやすいような形で、指導、助言を超えて資金的な支援をするという考え方もあると思いますし、そうではなくて、やはり外部の方にそこのところをお願いするという考え方もあり得ると思います。その辺の制度設計は、まさにこれからここで議論していただく対象かと思っております。

【吉良委員】
 今のをちょっと補足させていただきます。今までSPring-8でやってきた重点枠というのは、実は大きなものは、例えばタンパク3000とか、ナノテク支援とか国の大きなプロジェクトでした。それが今までのボトムアップ型の提案だけですと、そのプロジェクト全体に必要な枠がSPring-8に入るチャンネルがなかったのです。ですから、そういうものに対応できるように、これだけ大きな施設で大きな投資をした施設ですから、そういうものに対応できるようにというのが、そもそものきっかけだったわけです。それを利用して、もう一つは産業利用がどうしてもおくれている、サービスが悪いとかいろいろな事情がありまして、そこのところを少し強化するために、こっちの意思で産業利用枠というのをつくった。現実は、そういうつくり方でございます。

【土居主査】
 佐藤先生、納得されたかどうかはわかりませんが、これからどのように組み立てていくかというのも、この場で検討していただく必要があると思います。

【佐藤委員】
 それをお聞きすればいいです。

【加藤委員】
 基本的な方向として、魅力ある設備をつくることが前提だと思います。魅力あるというのを素人なりに考えていけば、世界最先端の計算速度であると同時にそれを使う場合のサポートが重要であると思います。
 SPring-8の例で言えば、我々はSPring-8をふだん使わせてもらっていますが、サポートが非常にすぐれていて感銘を受けています。今後、産業界が広く使っていく上では、初心者から上級者まで、いろいろな人材に対するサポートをしていく上で、相当人員が必要ではないかと思います。設備への予算は配分ももちろん重要ですが、運営面で大きなサポートをしていただくためには、サポート人数の判断も必要かと思っています。

【平尾委員】
 実は、先ほどの米澤先生の話にもございましたけれども、要するにコンピュータを置いて箱物というのではなくて、むしろそこで日本の、あるいは日本だけには限らないと思うんですが、計算サイエンス、そういう分野、あるいはシミュレーションという分野をいかに発展させるかという戦略的なところにもならないといけないという意味で、単に課題の選定だけではなくて、あるいはマシンの維持だけではなくて、いわゆる拠点というのでしょうか、教育、研究の拠点をどういうふうにつくるかというのが非常に大きな課題としてあるわけです。そちらの課題は、実は後からということでございましたけれども、その問題と実は登録機関をどうするかというと、非常に大きく関係しているわけです。登録機関を非常に大きく膨らませて考えることもできますし、場合によっては非常に小さくしてCLOと言われているCOEで、ある意味では課題設定まで、あるいは分野設定までやって、その方針のもとに今の登録機関が実務的なことを行うということも可能です。ですから、片方だけ抜き出してやってもなかなか難しいところがあるのではないかということだけ、少し指摘しておきたいと思います。

【土居主査】
 先ほどの吉良先生のお話の、(資料3のP.3の)ピンクの部分と白の部分を切り離すのはということでご心配のお話がありましたが、今の場合は、これを完全に切り離して話が進んでいますので、福山先生からは、全体的なアンブレラの話があったわけですから、そういう点をどうするかというのは、なかなか難しいですね。個別にやっていって全体ができるのか、そうではなくて全体をやってから個別に切り分けなければいけないのかということがありますけれども、差し当たっては、ここの個別のことで、とりあえずは進めさせていただくということでお願いできればと思います。

【川添委員】
 先ほどの国際交流に関して。協調と競争というとき、今ポスドクでも何でも外国人がいない状況というのは難しいんですね。人を雇うと何が起こるかというと、その人は祖国に帰って、要するに情報を持ち出すわけですよね。持っていっていけないものをどこかから--そういうたぐいの中で、具体的に原子力とか、そういうたぐいの問題は明らかに見えます。一方、ソフトウエアのノウハウみたいな、具体的に言えばプログラム、そういうものは何と考えるかによります。先ほどの意味から言うと、いろいろなところに対して日本が寄与したとプラスに評価するのか、それとも日本の優位性を保つものをよそにやって、マイナスになったと思うのかという話がありえます。どういう状況でやっているのかを考えてみると、今申し上げたように、私どものグループでも、いるのは外国人で、外国に行ったり、日本に来たりしたりしています。そういう世界の中で計算機科学を使ったシミュレーション計算で何かやるときに、昔の外国のほうが進んでいるから連れてきて勉強会をしようという話ではないんですよね。実際は、そういう環境の中で仕事をしているときに、帰国する時は、もちろん持っていくなと言っても、頭の中にこびりついているだけではなくて、ほんとうにソフトなどの目に見えないものを持ち出します。箱ごと何かという世界じゃないので、なかなかとめられないと思います。
 そういうときに、最初から国際的な文書みたいなことをうたっておいたほうがやりやすいような気がするんです。そこであまり日本の国益を言ってしまうと、実際に仕事をする立場の僕らとしては、ある意味でやりにくくなってしまいます。日本の国益に反するように聞こえるかもしれないんですけども、実際の研究環境を考えると、本当に働いている人は誰かというのを、どこかに書き入れておいていただくと、やりやすくなると思います。

【土居主査】
 ほかにはいかがでしょう。
 それでは、1つ先へ進めさせていただいて、先ほどの加藤委員からのお話もございましたが、支援体制というところに移らせていただきたいと思います。
 まず、事務局より説明をお願いします。

【関根室長】
 それでは7ページ、適切な支援体制の構築のところでございます。現行の基本的な方針は割愛をさせていただきます。
 それから、提出された意見でございますけれども、まず上のほうから並列化支援ですとか、最適な数値計算ライブラリー、アルゴリズム等についての助言などの技術的な支援が必要ということで、これはかなり多くのご意見をいただいております。
 それから、システムへの移植とかチューニング、さらにはプログラム相談といったこと、それから次にはチューニングは個人の研究者にとっては非常に難しいということで、大学の情報基盤センターなどとの連携のもとに支援体制ができないか。さらには、ネットワークを介したリモートアクセスによる技術支援、こういったものも可能とすべきではないかというご意見をいただいております。
 中ほどのところですけれども、産業利用という観点で、シミュレーションの利活用を推進していくための産業コーディネーターという役割を果たすような方を配置してはどうか。また、企業との共同研究を推進するためのコーディネーターを配置して、産学連携を推進してはどうか。さらには、可視化支援、そういった技術的な支援を行うリサーチサイエンティストのような方を配置したらどうかというようなご意見をいただいております。
 それから、次世代スパコン向けに開発されたソフトウエアの公開、または利用できるようなサポート、こういったことをしていただけないか。さらには、入力支援ですとか、可視化、そういった技術的な支援についての必要性がるる述べられております。
 7ページの下のほうですけれども、次世代スパコンと同じアーキテクチャのテスト機の導入ですとか、8ページにいきますと、利用者向けのプログラミング講習会の開催、そういった技術的な講習会を開催していただけないか。
 それから、登録機関で行われる支援業務については、大学等のスパコン・センターとの連携、こういったものが必要ではないか。
 日本版SC、スーパーコンピューティングという大きな会議ですけれども、こういった会議を開催することによって、関係者が一堂に会する機会を提供したり、情報のデータベース化、そういったことによる研究交流の促進、またはそのための支援、そういったものをやっていくべきではないか、そういったご意見をいただいております。
 議論のたたき台、7ページの右側でございますけれども、まず1つ目の丸でございます。次世代スパコンの機能を最大限に活用するためには、施設利用研究を行う者の選定、それから同研究の実施に係る支援を行う登録機関に、計算科学技術に関する専門的知見を有する専任の職員を配置し、以下のような支援業務を行ってはどうか。大きく3つ分けてございますけれども、利用者への情報提供として、最新情報の提供ですとか、スパコンシステムに関する技術情報、そういったものの提供。
 それから、利用に関する相談として、次世代スパコンはかなりハードウエアとして大きい、または最先端のものですので、申請の前段階から技術的な相談を受けるような体制を構築してはどうか。さらには、産学官の共同研究に関するコーディネートや研究成果の公表、理解増進に関する支援、そういったことを行ってはどうか。
 それから、アプリケーションの調整、いわゆるチューニングですけれども、アプリケーションの調整を円滑に行うために必要な技術情報の提供、技術的指導、助言、講習会の開催等を行ってはどうかと思っております。
 真ん中辺の次の丸でございますけれども、主にチューニングについての記述でございます。次世代スパコンの利用に当たっては、基本的に利用者がアプリケーションを持ち込むことが想定される。その場合に、当該アプリケーションが次世代スパコンにおいて高い実効性能を発揮させる、いわゆるアプリケーションの調整、最適化が必要になります。こういったことについては、利用者が行うことが基本ですけれども、登録機関におきましては、利用者がこうした調整を円滑に行うために必要な技術情報の提供、技術的指導、助言、講習会の実施等の支援を適切に行うことが必要ではないかということでございます。
 さらには、アプリケーションの調整のための支援をより広範囲に、さらにはきめ細かく行っていくといった意味では、登録機関のみならず、大学の情報基盤センターなどの既存の機関との連携が重要ではないか。特に、そういった機関に次世代スパコンに関する技術的な情報などをお持ちいただき、ユーザー利用者に対して、そういった情報の提供や助言を行っていただくような体制を構築してはどうかと考えております。
 それから、一方、産業利用という観点でございますけれども、利用者の要望ですとか、具体的な利用形態に応じて、登録機関においてアプリケーションの調整等の支援をより手厚く行っていくことも、産業利用を促進するという観点では必要ではないかと考えております。
 7ページの一番下の丸でございますけれども、例えばグランドチャレンジアプリケーション、次世代スパコンのために、ある程度開発をしておりますアプリケーションがございますけれども、例えば適用範囲が広く、次世代スパコンにおける利用許諾がなされており、さらに最適化がなされたようなアプリケーションについては、産業界を始めとする多様な利用者が利用できるように、次世代スパコンにおいて、その提供を行う。さらには、利用に際しての指導、助言など、必要な支援体制を構築してはどうかと考えております。

【土居主査】
 支援体制についてですが、いかがでしょうか。

【吉川委員】
 次世代スパコン、産業利用の積極的な促進というのが1つの大きな目的であると理解しておりますが、前回の作業部会でもお話ししたとおり、1つの条件は、世の中で広く使われている既存のアプリケーションプログラム、あるいはISVが提供している市販のプログラムを次世代スパコンの環境下でどう使えるようにするかというのが1つのポイントになると思います。
 そのためには、市販アプリケーションのポーティング、あるいはチューニングというものを実行しなければいけないわけですが、ここで2つ課題があると思うんです。それをだれが実行するのか、それから費用負担をどう考えるのか。次世代スパコンは、基本的に利用者がアプリケーションを持ち込むという前提になっていますが、市販のISVのアプリケーションについては、ソースコードの著作権というのはISVが持っているわけなので、利用者が勝手に持ち込むことはできないと思います。したがって、ポーティング、チューニングの作業というのは、ISVにお願いする必要があります。
 それから、もう一つ、費用負担についても、経済原則だけでいくとISVはそういうポーティング、チューニングは受けないのではないかということで、現実的にやるとすると、そこに何らかのポーティング、チューニングの資金的な支援というものを枠組みとして考える必要がある。これはやり方として、今考えられているグランドチャレンジの研究開発の枠組みの中に、世の中で広く流通している市販プログラムのチューニング、ポーティングを含めてやるというやり方もあるし、ほかのやり方もあるかと思うんですけれども、ほんとうの意味で産業利用をきちんと積極的に推進するためには、その辺の仕掛け、枠組みというのは非常に大事ではないかと思います。

【土居主査】
 これは極めて重要かつ極めて悩ましい問題ですが、とにかく何か考えなければいけないことだと思いますね。特段、産業界で使っていただくということに関しまして、これはじっくり考えていただくというか、この場でも考えていく必要があると思います。何か特段ご意見ありますか。

【藤木審議官】
 産業利用は、このスパコンの利用の中でも非常に大事な一角を占めるというのは間違いないことだと思います。これから、こういった部会の場でぜひ議論していただきたいと思っておりますのは、まさに次世代スパコンでどのようなプログラムを走らせるのが最も効果的かということだと思います。
 今、吉川先生からお話のありました市販のアプリを拡張して次世代スパコンに適応した場合に、先ほど米澤先生のお話でもいろいろ出ておりました、この次世代スパコンの最大能力を引き出すためのアプリとの加減というのでしょうか、いわゆる全くの計算資源の切り売りといったことではなくて、この計算機の特徴を生かす形の利用方策、そういうものがあるのではないかというご指摘だったと思いますけれど、そういった視点と市販アプリの拡張による産業界の抱えた問題の解決のためのアプリというのが、どの程度接点があるのか、今の時点で私どもも具体的な問題は把握できておりません。もし可能であれば、どんなアプリがあって、次世代スパコンのアプリにふさわしい、こういう拡張があったら、こういう課題が解決できるといったことも、少し具体的に議論していただければ、それの解決策として、そのアプリを持っている権利者に対して、どういう政策があり得るのか、あるいは開発に際して、どういう政策があると、そういった議論ができていくと思います。今の時点では私もこれ以上お答えしようがないのですが、産業利用が大切だというマインドはもちろん強く持っておりますので、その辺よくご議論お願いしたいと思っております。

【川添委員】
 極端な話をするとわかりやすいかも知れません。今チューニングをするのが当たり前みたいに皆さんおっしゃっているんですけど、分野によるのです。たくさんの人がいろんなものに対して使えるという想定の話のほかに、分野によっては全く違うのもあって、1回だけ使うためにプログラムをつくることもあります。そういう場合には、チューニングどころか、そういう手間隙をかけなくて、とにかく計算できればいいという場合です。それから、先ほどの米澤先生の話だと、大きさが大きいものというんですけども、少なくともメモリとかの制限がなければ、遅い計算機でも時間をかけたら計算できるというのもあるんです。ですから、どこまでチューニングするかということに関しては、うんと極端なことを考えると、全くしなくても、人件費のことも含めて得しているというか、それでやらないと成果が出ないという競争的な時間的なものもあって、両極端なんです。
 もう一つのほうは、今みたいに広くみんな使うから、徹底的に資源を有効利用しようというためにチューニングをする。さらに市販品だから、ある意味でお金をかけてと。どっちかというと、吉川先生がおっしゃる最後のものの議論だけしていると、最初のほうの絶対的に値打ちはあるんだけど、とにかく1回こっきりというプログラムを忘れてしまいそうな気もするので、こちらも忘れずお願いしたいと思います。

【土居主査】
 多分、吉川委員がおっしゃったのが、チューニングもさることながらポーティングのほうで、要するにそれを使えるようにという面も強いんだろうと思うんです。ですから、これはいわゆるハイブリッド型という特徴を持っているシステムに対して、どのような有効性があるかということを含めて、また応用があるかというのを含めて、先ほどの審議官のお話ではありませんけれども、個別というか、具体的な議論の材料をご用意いただけると大変ありがたいのですが、お願いできますか。

【吉川委員】
 はい。

【土居主査】
 本体のほうが、まだ漠としている状況、概念設計の段階のものしか情報がないという状況であるにもかかわらず、お願いするのも大変恐縮なんですが。

【吉川委員】
 産業応用協議会等でかなり多くの企業が参加して、期待があるので、その場を含めて今の宿題を継続してフォローしていきたいと思います。

【土居主査】
 どうぞよろしくお願いいたします。

【吉良委員】
 ここで何をやるべきかという議論は大変大事なんですが、このコンピュータの場合には、最初の3年ないし5年、寿命と言われている上で何をやるかという優先権というか、優先順位を施設の設計及び支援体制の構築、両方について考えるべきだと思います。
 今の産業の話なんかも、私どもの小さな経験で言うと、要するに最初からごちゃごちゃもめて、3年目か4年目で、その問題がピークに達して、それから5年ぐらいたって、今の状態にやっと持ってきたというのが現実です。
 ですから、最初からほんとうにいい設計をするというよりも、やっぱりある種のユーザーは意識として物があると、初めていろんな文句が出てくるという部分もあるわけで、その辺を最初から一生懸命しゃかりきを出してやって密度を薄めるよりは、突破できる部分を我々が選ぶのか、どこか別のところが選ぶのか知りませんけれども、そういう意識を持って制度設計をするのがいいのではないかと私は思います。

【土居主査】
 重要な話だと思います。
 ほかには何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。また、先ほど申し上げたように、戻ってご意見をいただいても結構ですので、それでは次へ進ませていただきたいと思います。
 成果の取り扱い等ということになりますが、事務局より説明をお願いします。

【関根室長】
 9ページ目でございます。施設利用研究の成果の取扱い等ということでございますが、ここでは大きく成果の取り扱いという視点と、適切な利用料金、この2つの議論でございます。
 提出された意見でございますけれども、大きく申し上げると、基本的に成果は、公共財として原則的には一般に公開すべきであろうということでございます。一方、特許に係るテーマなどについては、一定期間、公開を遅らせるとか、産業利用ですとか、企業活動、こういったものについては、ある一定の配慮、または非公表にする、そういった枠組みも必要ではないかということでございます。
 それから、下の部分でございますけれども、利用料金につきましては、研究成果を公表する課題については課金をしないという原則ですとか、実用研究と基礎研究では別の基準が設定されるべきではないか。さらには、成果を非公開とするものについては課金してはどうか等々の意見をいただいております。
 議論のたたき台のところでございます。まず、1つ目の丸ですけれども、次世代スパコンが我が国の科学技術の振興、または国際競争力の向上に寄与するといった視点では、研究の成果を広く社会に還元する視点が重要で、そういった観点では、研究成果について研究期間の終了後、公開をすることが基本ではないか。ただし特許の取得ですとか、企業活動にかかわる課題については、一定期間の公開の猶予ですとか、成果を非公開とする、そういった取扱いを認めることが必要ではないかということでございます。
 それから、利用料金のあり方でございますけれども、成果を専有する場合については、原則として料金を徴収することが適当だということでございますけれども、今後、例えば計算資源の利用料ですとか、課題実施の優先度、いろいろなことを考慮し、成果を公開する場合の取り扱いも含めて、今後、適切な料金体系を設定することが必要だろうと思っております。特に、次世代スパコンの運用経費、その他、そういった検討とも密接に関係いたしますので、利用料金のあり方については平成21年度ごろを目途に定めていくことが適当ではないかと考えています。

【土居主査】
 この点に関しましては、いかがでしょうか。
 基本的な線ではSPring-8に準じているという感じでしょうかね。ただ、動き始めることを前提に、平成21年度を目途に定める必要があるというところがくっついておりますが、差し当たってはよろしいでしょうか。
 それでは、次の理解増進活動というところ、事務局より説明をお願いします。

【関根室長】
 資料の10ページ目でございます。理解増進活動の実施でございます。
 現行の基本的な方針では大きく2つ書いてございまして、1つは研究者とユーザーへの情報提供、それから国民の方々、一般に対する理解増進といった視点でございます。
 提出された意見でございます。例えばシミュレーションの活用事例をわかりやすく発信してはどうか。さらには、全国の博物館、科学館と連携をしたコンテンツ作成など、そういった観点での理解増進を図ったらどうか。納税者だけではなく、例えば高校生などの将来の技術継承者、そういった視点での活動を図っていくべきではないかといったご意見をいただいております。
 それから、下から3つ目などには、例えば広報専門のアドバイザーの設置ですとか、広報誌、報告書、ホームページ、あらゆる手段での情報発信についてご意見をいただいております。
 議論のたたき台でございます。まず、次世代スパコンがより広範な分野の研究者に利用されるという観点では、情報が適時、適切に提供されるといったことが重要。国や理研においては、次世代スパコンの利用に係る情報、さらには研究成果等をあらゆる方法で積極的に発信していくということ。さらには、利用者のニーズをきめ細かく把握していくことが重要だろうということでございます。
 それから、国民一般に対する理解の増進でございますけれども、国費を集中的に投下して開発整備を行う次世代スパコンについては、その効果的な活用のためには国民の皆さんの理解、または支援が不可欠であると。そういった観点から、本施設の重要性、さらには研究成果を国民に対してわかりやすい形で発信をする。それから、特に高校生など青少年に対する理解増進については、人材育成の観点からも積極的に行っていくことが必要ではないかということを書かせていただいております。

【土居主査】
 この点はいかがでございましょうか。
 ちょっと伺いたいのですが、登録機関が出てくる場合と、この場合は「理化学研究所においては」と出るじゃないですか。もともと「理化学研究所に」というのは原文もあるわけですが、どういう使い分けをしていますか。

【関根室長】
 理解増進活動の部分については、逆に言いますと登録機関の具体的な業務というのは、支援業務と選定業務に限定をされている分でございます。広く国民などに対する理解増進という意味では、国ないし理化学研究所の役割ということとになろうかと思います。
 ただ、例えば支援という観点で幅広く施設利用に関する情報流布をしたり、そういった意味では支援業務の一環ということももちろん考えられますので、その辺は具体的な業務に応じて今後いろいろ検討していくということになろうかと思います。

【土居主査】
 なるほど。よろしいでしょうか。
 次の研究機能等の構築ということで、次のページにまいりますと、現在検討中の拠点形成のあり方の議論を踏まえてということで、先ほど審議官がおっしゃられたようなところですので、たたき台はともかくも、事務局のとりまとめに当たっての説明だけをお願いできますか。

【関根室長】
 11ページでございますが、今、主査からご説明いただきましたように、ここにつきましては次回以降の議論の中で、あわせて取り扱いをさせていただき、ご議論いただければと思っております。
 提出された意見の概略だけご紹介させていただきたいと思います。
 まず、拠点形成という意味では、例えば神戸に今後を設置されるような中核的な拠点をCLOE(クラスター・オブ・エクセレンス)、いわゆる中核的な拠点を形成しつつも、全国にあるいろいろな分野なり研究機関のポテンシャルと密接に連携をしたような構造、組織体として、研究活動なり人材育成を考えていってはどうかといったご意見をいただいております。
 11ページにいろいろな形でご意見をいただいているものの基本的な考え方は、CLOEといいますか、全国の分野、例えば海洋、ライフサイエンス、ナノ、宇宙、原子力といった既存の研究機関のポテンシャルと密接に連携しながら拠点形成を図ってはどうかというご意見と理解しております。
 12ページでございます。中ほどに研究開発、それから教育・人材育成というので少し整理させていただいております。先ほど申し上げた意見のほかにも、例えば研究開発のご意見といたしまして、12ページの中ほどでございますけれども、従来のプログラムを方法論から見直して、新たな計算モデルを構築していくような研究開発ですとか、大規模アプリケーションの開発という意味では、ユーザーとシステム側の共同作業といった視点がかなり強くなるということで、そういった視点での共同研究プログラムの実施。さらには可視化の研究ですとか、シミュレーションにおいてもいろいろな層のシミュレーションを融合的に行っていくような学際的な融合領域、そういったものを取り上げてはどうかといったご意見をいただいております。
 それから、教育・人材育成につきましては、計算科学と計算機科学の融合の促進といった教育のカリキュラムも積極的に取り入れるべきではないか。さらには、次世代スパコンを大学院生等の教育のために使ってはどうか。さらには、下から3つ目のポツのご意見ですけれども、大学院生を現場で指導育成するための特別研究員制度ですとか、独立行政法人、民間の研究機関との連携、さらには連携大学院制度の活用、そういったことで人材育成をしていってはどうか、そういったことをご意見としていただいています。
 簡単ですけれども、以上でございます。

【土居主査】
 この研究機能等の構築に関しましては、途中でも出てまいりました課題等々にも関係いたしますし、あるいは登録機関のあり方に関しても関係してくるということがありますので、本日のところは、こういう意見があったということでとどめさせていただきまして、これは別途重点的にまた議論していただくということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、その次の4の運営に関する事項というところに移らせていただきたいと思います。これ、事務局より説明を願いします。

【関根室長】
 資料14ページ、運営に関する事項でございます。現行の基本的な方針では、使いやすい運営ですとか、すぐれた成果が創出される運営、さらには理化学研究所と登録機関の連携、そういったことが記載されております。
 提出されたご意見でございますけれども、グリッドですとかシームレスなスパコン利用、そういったものを今後図っていく、そういったユーザビリティを上げていくことが必要ではないかというご意見ですとか、上から3つ目のポツでございますけれども、施設の具体的な運用に当たっては透明性の確保ですとか、コミュニティーの要望、そういったものを踏まえた運営をしていくべきではないかということをご意見としていただいております。
 そういった意味では、現行の基本方針とほぼ同様のコメントという理解をしております。議論のたたき台でございますけれども、次世代スパコンの共用に当たっては、多くの研究者等にとって使いやすい運営ということ、それからすぐれた成果が創出されるような運営、こういった視点が重要ではないかということです。そういうことを視点として持ったときに、利用者のニーズ、そういったものを適切に反映していく、さらには類似のプロジェクトの経験等を踏まえた運営を行っていくということが重要ではないか。さらには、使いやすさにも配慮していくことが重要ではないかということでございます。
 それから、2つ目の丸でございますけれども、運営に係る具体的な業務の実施に当たっては、透明性、それから公平な手続の確保に留意をしながら、理研と登録機関が適切な役割分担と連携を図っていくことは必要ではないかということでございます。
 15ページ、配慮すべき事項についてもあわせてご説明させていただきたいと思います。
 現行の基本的な方針におきましては、既存のスーパーコンピュータを有する機関との適切な役割分担ですとか連携、そういったことの重要性について記述がなされております。提出された意見でございます。次世代スパコンだけではなく、既存の大学、公的機関の有する計算環境や資源を有機的にとらえて、我が国のスーパーコンピューティング技術全体を利活用していく、そういった制度設計や視点が重要ではないかといったご意見をいただいております。
 それから、1つ目の塊の一番最後ですけれども、例えば全国の共同利用の研究所ですとか、既存の研究機関との相互補完的な機能、そういった研究体制の構築が必要ではないかということをご指摘いただいております。
 それから、15ページの中ほどからでございますけれども、次世代スパコンと大学等の情報基盤センター、スパコン・センターとの具体的な連携ということで、例えば認証基盤の整備における連携ですとか、人材育成、特にアーキテクチャですとかプログラミング言語、そういったことを体系的に学べるカリキュラムを持っている大学との連携、そういったことで人材育成を図っていってはどうかということ。
 それから、利用者支援に関する連携・役割分担、次世代スパコンのプログラム開発の場としてのスパコン・センターの利用、そういったことなどを指摘いただいております。
 それから、計算資源の効果的な運用ということで、先ほど米澤先生のご説明にもあったとおり、最適な計算機の利用、それから計算資源の配分、こういったものを次世代スパコンと既存のスパコン・センターとの間で図ってはどうかといったようなことでございます。
 それから、16ページ目でございます。16ページ目の上から5つ目のポツですけれども、運用開始の前段階から、次世代スパコンの利用に必要な各種研究開発を行うための研究助成とか補助制度、こういったものを積極的に立ち上げていくべきではないかというご意見ですとか、利用者の円滑な準備のために次世代スパコンの計算機アーキテクチャ、それからネットワーク環境、そういった情報を積極的に公開をしてはどうかといったご意見などもいただいております。
 こういったご指摘、ご意見なども踏まえまして、議論のたたき台、15ページでございます。
 まず、1つ目の丸でございますけれども、我が国の計算科学技術を初めとした科学技術全体の振興を図るといった観点では、次世代スパコンと大学ですとか、大手研究機関などが有する計算資源、計算環境との適切な役割分担、連携というのが重要だろうということでございます。
 具体的には、次世代スパコンと各機関の有する計算機の資源量、それからスパコンの特徴などを考慮し、利用者のニーズに応じた最適な計算環境を提供すること。それから、支援のところでも少し申し上げましたとおり、大学の情報基盤センター等において、次世代スパコンに関する技術情報や技術的助言を行っていただくようなこと、さらには人材育成の観点で、計算科学などのカリキュラムを有する大学との連携、そういったことがあり得るのではなかいと思っております。
 それから、2つ目の丸でございますけれども、運用当初から次世代スパコンの能力を最大限に活用していくという観点では、運用の開始前から次世代スパコンで展開すべきアプリケーション開発など、幅広い分野にわたった研究開発を推進していくといったことが重要ではないかということでございます。
 最後の丸ですけれども、次世代スパコンのシステムに関する情報、これは現在、非公表、非開示になってございますけれども、例えば企業秘密ですとか、知的財産権に係るものをのぞいて、アプリケーション開発ですとか、既存のスパコンとの有機的連携の促進といった観点から、国際的な開発動向ですとか、現在、次世代スパコンについては詳細設計中ということもございますので、こういった視点なども踏まえながら、これからは適時適切に提供していくといったことが必要ではないかと思っております。

【土居主査】
 運営に関する事項と配慮すべき事項という、この2点でございましたが、まずは14ページ、運営に関する事項、いかがでございましょう。

【佐藤委員】
 先ほども質問されたんですが、理研と登録機関のすみ分けといいますか、支援という意味では、どちらもやればいいということで、それほどすみ分けというのは問題にはならないのかもしれませんが、運営となりますと、かなり重要な問題になってくる。私の理解が間違っているのかもしれませんが、ハード的な維持、管理、そういうハード面においては理研がやると。しかし、ソフト面といいますか、実際の研究に当たっての部分に関しては登録機関がやると。連携を図っていくというのは、そういう意味では書いてあるのか。申しわけありませんが、もう少し登録機関との違いをはっきりしたほうがいいのかなと。その辺、まだ決まってないから、ここで決めろというのか、その辺はいかがでしょう。

【藤木審議官】
 ここで運営と言っておりますのは、まさに施設そのものをどう基本的に運転しているかという意味合いと、それを利用者がきちっと使えるためのソフト的な業務のようなものをイメージしておりまして、今、佐藤先生がおっしゃられました研究開発の部分は、ここで言っている運営には含まれていないという理解をしています。研究開発のあり方につきましては、これから議論していただくということですので、それ以外のまさに施設の、電気がちゃんとスイッチオンしているとか、常に全部動いているとか、そういう意味での運営、それからソフトの業務みたいなものを意識して書いておりますので、その範囲でというふうにご理解いただければと思います。

【川添委員】
 自分が使ってないものを人に使わせられるのかという気がしてきました。システムをよく知っているから他人のプログラムをチューニングできる訳です。お客さんは来たけれど、自分たちは使ったことがないという人たちだけがいるところで良いサービスは出来ません。ちゃんと動いているのをチェックすることはもちろんそうだけど、自分たちが使ってある何とかというのと、もう一つは、自慢するのも自分たちじゃなくて違うところが自慢するという話になってくると、そこにいる人は何なんだということになります。そんな状況では良いサービスはできません。センター職員自身がやっている気分になるようにしていただかないと、彼らの元気は出ません。

【藤木審議官】
 まさにそのとおりだと思います。ハードウエアの開発自体は、もちろんハードウエアをちゃんと動かしていると。中身にあまりかかわらず、一応ハードとして動かしている部分は開発者がいますし、アーキテクチャや何かに全部精通している方は、それは当然理化学研究所におられるわけですから、その限りで、空の箱としては、ちゃんと運営できると。そういう意味での運用なんですけれども、まさにおっしゃるとおりです。実際には、ここでプログラムが走るわけですから、プログラムを走らせるに当たって、どのような能力が必要かというのは、まさに支援のどういう能力を持った人が、どの程度やるのかという議論と重なりますので、そちらのほうになります。その背景には、さらに研究開発能力がそもそも要るということになると、研究拠点の議論とも重なるわけで、そういう意味で、教育研究過程の部分が次回の議論になっております。きょうは部分的な議論になっていますけれども、トータルで見ると、そういった支援、ソフトウエア、空の箱ではなくて、中身のアプリケーションをきちっと走らせていくところを、どういう体制で支援していくかというのは、まさに課題として残っているわけで、その点については、ここで言っているとは我々認識しておりません。

【土居主査】
 これは今にして思えば、SPring-8の法律があったものを活用したところに、なかなか難しい面があって、登録機関という言葉でいろいろなことを考えなければいけないというのが難しい話ですよね。ですから、この辺も整理していったほうがいいかもしれませんね。

【宮内委員】
 ずっとお話をお伺いしていて疑問に思ったことで、ちょっとご質問なんですけれども、国際的に活用することはとてもすばらしい、意味もあると思うんですけれども、さっき委員の先生方から、外国の人たちに研究で入ってもらって、そして一緒にすると、そのノウハウだけ頭の中に持っていかれてしまってどうなのかとか、そのあたりのご質問もあったりしたんですが、そうしましたら、例えば外国の人が使う場合には、日本の人が使うのと条件的に変えていくのかどうかとか、外国の人が使っても、公開すると、それではオープンにするように言って皆さん了解するのか、そのあたりがよくわからなかったのと、あとは民間の人にはクローズドで使わせるとか、あと特許が取れるまではという前提条件があるんですけれども、それだけでほんとうに大丈夫なのかなと。例えば国の機密に関するようなことを、こういうことだったら開発に使ったりするようなこともあるのかなということを思うと、公開、非公開というのを審議するようなところも、条件的なものを決めるところも必要なのかなと、そんな感じを思いました。

【土居主査】
 これはまた、いろいろ検討しなければいけないことだと思いますね。

【中村委員】
 産業利用という言葉が何度も出てくるわけですけれども、例えば産業利用枠みたいな新対応の割り当てとか、それから産業界はニワトリと卵みたいなところがあって、産業利用を促進するんだけども、今までのスーパーコンピュータとどう違っていて、今までできなかったことがどうできるんだろうか。それはまさにニワトリと卵で、それができるように設計するんですと言ってグルグル回るんですけれども、例えば疑問に答えるためのトライアルユースを設定してみるとか、こんなことができるんだとわかって、初めて産業利用が進むとか、そういったこともあるような気がするんですけれども、ところが戦略的なものとか重要なものが、研究開発的なことでざーっと埋まっていって、結局、産業利用ができる枠がなかったとか、そうならないでしょうねという質問というか意見なんですが、いかがでしょうか。

【土居主査】
 これは、そうはならないでしょう。

【藤木審議官】
 これからの枠の中身のつくり方につきましては、今、SPring-8でもそうかと思いますけれども、例えば教育用に少しとってあるとか、あるいは産業用の枠があるわけではないと思いますが、上限2割を目指して産業利用を優先してとっていくとか、そういう思想はあります。SPring-8とスパコンとはちょっと違うと思いますし、すなわち、多数あるビームラインと1個しかないマシンではちょっと違いますので、考え方が完全に同じとは言えないと思いますけれども、一般枠の設計として、産業促進枠、あるいは教育用枠、あるいは、この中で出てきた意見としては、テストラン枠、デバッグ枠など、そういうのがあり得ると思います。
 そういったのは、最終的に作業部会のご意見を踏まえて決めていかなければいけませんけれども、そういうのは大いにあり得るのではないかと思っています。

【土居主査】
 これが基本的な方針ということですので、この議論のたたき台に書いてあるものに加えて、本日いただきましたご意見等を加味して、さらには、全部ではなくエッセンスの部分が基本的な方針に反映されるということの理解でよろしいんですよね。したがいまして、改めて、また委員の皆様方には、基本的な方針というところで、これでよいかということをお諮りしなければいけないのだと思っておりますし、その前には研究機能に関するところを、まずもんでもらう必要があると思いますので、それをもんでいただき、そしてまとめていただき、またここで諮るという段取りでよろしいですね。
 ということで、何とかおかげさまで最後まで一応は行きましたが、これはまだ今のような基本的な方針ですから、先ほど来も出ておりますような細かいことに関しましては、この場ですべてブレークダウンして決めていかなければいけませんので、まだまだたくさん議論していただくことがございますので、その点はご理解いただきたいと思います。
 ちょっと時間が過ぎておりますが、全体にわたりまして何かご意見ございますでしょうか。

【安岡委員】
 1点だけ確認です。基本方針ですから、そこに書き込む必要はないと思うんですけど、若干時間軸の視点がないような気がいたしまして、構築とかいろいろな言葉かあるんですけど、それぞれいつまでにというのが多分あるんですね。特に、先ほど米澤先生からお話があったような教育とか支援の体制は、かなり時間をかけてやらなければいけないものですから、その時間軸の話が後で出てくるということであれば全く問題ありません。

【藤木審議官】
 時間軸、確かにこのスパコンはSPring-8と違って旬な期間がかなり短いかもしれない。ただ、その後ももちろん計算能力という意味では続くと思いますけれど、旬な期間が短いので時間軸はとても大事だと思っております。
 きょうの中でも1点だけ、平成21年度中というのを示したところがありますけれど、実際のいろいろなことを決めていくに当たっては、今決められないものは、いつまでに決めるんだということを、できる限り明確に、最終的には報告書の中に書き込めるような形で審議していただきたいと思いますし、我々もそのつもりでおります。きょうは、ちょっと萌芽だけ見えておりますけれども、気持ちとしては時間が限られた目標達成型みたいなプロジェクトですから、時間がスケジュールごとに、ここまで行くんだというタイムスケジュールをきちっとして進めていくというのが当然だと思います。

【川添委員】
 関根さんがまとめられた大きいものと、これに書いてあるのは、まず厚さが違います。適切に抜き出されたのだとは思うんですけど、私の書いた文でも、もうちょっと言いたかったことが、こっちはないような気もします。もうちょっとよく見れば、どこかに書いてあるのかもしれないですけど、書いたほうからすると、全部書いてないことは明らかです。まとめとおっしゃるんだからいいのかもしれませんが、やはり問題だとおもいます。

【関根室長】
 すみません、それは事務局の能力不足もあって、基本的には可能な限り整理をした上で抜き出したつもりではあります。
 それと、例えば拠点形成のところについては、さらに今後、具体的な課題選定の仕組みづくり、そういったところは正直言って今後の検討課題になっているかと思っておりますので、そういう部分については最適なタイミングで再度、事務局でうまく整理をしつつ、議論に供していきたいとは思っております。

【土居主査】
 適切かどうかということに関しましては、なかなか難しいとは思うのですが。

【川添委員】
 みんな思い入れがあると思うから。

【土居主査】
 思い入れ、思い込みがあって、これだけの厚さのものができ上がっているのを全部入れると、これだけの厚さになるわけですから、その点は事務局がいろいろと勘案して、こういう状況にしてくださったのだと思います。それにいたしましても、ぜひともこれだけはということがありましたら、それはそれなりにご発言いただいた上で、この中へ盛り込んでいくというように扱わせていただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、あとご意見等ございませんようでしたら、ちょっと時間がオーバーいたしましたが、本日はこれで終わらせていただきたいと思います。
 その前に事務局のほうからございますか。

【事務局】
 次回の作業部会の日程でございますけれども、5月21日水曜日、午後3時より5時半までの2時間半、本日と同じ文部科学省3階の1特別会議室にて開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、第6回以降の日程について、現在各委員に照会中ですが、まだ提出いただいていない委員におきましては、早めにお知らせいただきますよう重ねてお願いいたします。
 席上に配付しております参考資料集及び配付資料集は、次回以降も使用する資料ですので、そのままお残しいただきたいと思いますが、ご自宅等でご参照のためお持ち帰りいただいても構いません。
 なお、第3回の議事録(案)につきましては、メールにて照会中ですので、お気づきの点がございましたら、5月9日金曜日までに事務局までご連絡ください。

【土居主査】
 それでは、これで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

-了-

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