第4期地球観測推進部会(第5回) 議事録

1.日時

平成24年5月30日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. DIASによる地球観測データ及びメタデータのアーカイブと連携利用の促進について
  2. 平成24年度の我が国における地球観測の実施計画について
  3. 平成25年度の我が国における地球観測の実施方針について
  4. 地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点からの報告
  5. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、大垣部会長代理、井上委員、小池(俊)委員、沢田委員、高薮委員、寶委員、瀧澤委員、佃委員、中澤委員、中静委員、藤谷委員、堀川委員、本蔵委員、安岡委員、和気委員、渡邉委員

文部科学省

大竹 審議官(研究開発担当)、福井 環境科学技術推進官、畑山 地球観測推進専門官

オブザーバー

独立行政法人海洋研究開発機構 河野プログラムダイレクター(深澤委員代理)

5.議事録

【小池(勲)部会長】
 それでは時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の第4期の第5回の会合を開催したいと思います。本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 初めに、事務局から出席者の確認をお願いいたします。

【福井環境科学技術推進官】
 本日は出席予定の委員数が17名ということで、過半数に達しておりますので、部会は成立でございます。本日は、深澤委員の代理として、海洋研究開発機構の河野プログラムディレクターに出席いただいております。なお、本部会は部会運営規則により公開とさせていただいております。

【小池(勲)部会長】 
 本日は、お手元の議事次第にありますように、その他も入れて5件の議題を用意しております。会議の終了時間は12時を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

議題(1) DIASによる地球観測データ及びメタデータのアーカイブについて

【小池(勲)部会長】
 まず、議題の1は、DIASによる地球観測データ及びメタデータのアーカイブについてです。これに関しては、初めに、小池俊雄委員から説明をいただいて、その後、議論することにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【小池(俊)委員】  
 資料の2を御覧ください。文部科学省から地球環境情報統融合プログラムを委託され、データ統合・解析システム(DIAS)の高度化とそれを用いたいろいろな場でのデータ利用システムをつくり、4年後の運用形態への移行を目指して、研究開発を進めております。このたび、この部会でお決めいただいた地球観測データのメタデータの登録、アーカイブ、そして、その利用の推進を、このプログラムの中でDIAS を使って進めるという委託があり、当方で検討してまいりました。
 この部会でお決めいただいたのは、メタデータの登録、利用ということでありましたけれども、この後御議論される地球観測の実施計画の中で登録されている様々な事業を俯瞰するという目的で、メタデータを集め、検索、利用できるようにするとともに、それに加えて、アーカイブされたデータが分野あるいは機関を超えて使えるようにし、更に統融合することによって、社会的な利益とか科学的知見を提供するようにすべきだと考えまして、お手元の資料の2にありますように、目的といたしましては、この地球観測の実施計画に登録されている事業で収集されているデータの内容を国内外で広く共有し、これらのデータへのアクセスビリティーを高め、分野を超えた統合的利用を推進するとしました。対象を広げ過ぎると、所定のスケジュールに沿ってしっかり進めることが難しいということもありまして、地球観測の実施計画に登録されている事業で収集されているデータに限るということにしております。
 本事業の推進には3段階を考えております。第一にデータの概要をあらわすドキュメントメタデータの登録と検索サービスの提供、第2にデータそのものに、あるいはデータやデータプロダクツそのものへのアクセスビリティーの提供、第三にデータ統合・解析システムの機能をフルに使ったデータ統融合機能の提供です。
 これは地球観測推進部会で2年前にお決めいただいたことに端を発しますので、当部会のリーダーシップで実施していただき、データ統合・解析システムの開発・利用促進を担う東京大学、宇宙航空研究開発機構や海洋研究開発機構等がその実施を支援するということにしたいと思います。これはこういうデータを統融合するところだけでできる話ではありませんので、この実施計画に登録される事業をお持ちの各省庁、研究コミュニティーに協働していただくことが必要です。第2段階のデータアクセスもそうですが、特に第3段階の部分については、それぞれのミッションでさまざまデータを利用しながら科学的理解と深化と公共的利益をつくり出すことで協力して実施することを提案しております。
 これをどのように進めるかということで大きく2つに分けております。それぞれの事業をいろいろ俯瞰しますと、既にデータセンター機能をお持ちでメタデータも整備してあり、かつデータも公開しているという事業と、データの公開あるいはメタデータもおつくりでない事業がございます。
 そこで「方法」に記しましたが、第1段階が「ドキュメントメタデータの登録」、第2段階が「データ及びデータプロダクツへのアクセス」、第3段階が「データ統融合機能の提供」となっており、第1段階と第2段階にAとBと分けており、Bがデータセンター機能、すなわちメタデータやオンライン検索機能を持っているところで、Aがこれらを持っていないところとしています。AとBで、それぞれ協力していただく仕方が違いますので、分けて書いております。
 ドキュメントメタデータの登録については、データ統合・解析システム(DIAS)で登録システムを開発しており、この1年間、多様な分野に対応するためのシステムの改良等をやってまいりました。プロジェクト的に事業をまとめて、その事業ごとのドキュメントメタデータをつくっていく形です。Aグループには登録も各事業の主体でやっていただき、DIASがシステムを提供してサポートするという形でまとめております。Bグループに対しては、DIASは、いわゆるブローカ機能を開発し、それぞれのデータセンターからメタデータを取得し、DIASに蓄積するための変換ソフトウエアをつくりながら、相互利用ができるようにしていく形でメタデータを整備します。これが第1段階です。
 第2段階は、全く同じような形式でデータを対象とします。Aグループには事業主体が御了解されるのであればDIASにアーカイブしていきます。こういうものをアーカイブするツールも、DIASで開発してきておりまして、例えばアジアの18河川で現業機関が使って全部フルにデータをアーカイブし、品質管理まで行っています。このツールを御利用いただきながらデータをアーカイブします。Bグループは、クローリングによってDIASでアーカイブするという場合と、DIASではアーカイブしないが、ユーザーがそのデータまでたどり着き、かつデータが取得できるようなDIASとセンター間をつなぐようなシステムを開発していくということで対応します。
 その上で、データが利用できるようになりますと、DIAS上でそれを統融合して、有用な知見を出していくということが第3段階です。
 今年度、平成24年度は、ドキュメントメタデータの登録と検索サービスをぜひ完了に近いところまでやって、そして、こういうものが登録されたときに、どんな利益があるかということを各事業主体や広く一般国民まで含めて利用できるような体制まで持っていこうということです。明日(5月31日)、その説明会を開催の予定でございます。
 以上が私からの説明です。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。これはこの部会で2年前にデータを統合してやるということをここで決めて、それで具体的にそれをどうするかということをずっと議論されていたんですけれども、DIASでそれを実現するという形になって、今の御提案があったわけですけれども、これについて何か御質問、コメントがありましたらお願いいたします。
 私の方から初めに。これは、今回集めるデータをこの部会で地球観測として登録されているものに限るということにされましたけれども、それで日本の中でこういう地球観測が集めているデータの何割ぐらいがそこに集まってくると推定されていますでしょうか。

【小池(俊)委員】  
 実はその推定がまだできない段階でございます。というのは、この部会でも何度も議論されていますように、いわゆる科研費等で大学で集められているデータの存在範囲が必ずしも十分把握できておりません。これが非常に膨大であることは、私どもはわかってはいるんですが、量だけではなくて数、種類が膨大であることはわかってはいるんですけれども、それが必ずしも十分把握できておりません。こういう事業主体でまとめられているものということでいいますと、地球環境に関するものの主要なものはこの中に入っていると理解しておりますが、広く大学等でやられているような研究ベースのデータがどの範囲まであるのかについては、必ずしも十分把握できておりません。
 昨年度の場合、155の事業が登録されておりますが、これをまずできるだけ完全に近い形でデータを俯瞰できる形にしたときに、ある種のスケールメリットを利用しながら、段階ごとに対象を広げていって、地球環境にかかわるデータの統合システムへつなげていきたいと思っております。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【中澤委員】 
 既存のデータセンター等がデータを集めた後、ユーザーにとって見やすくあるいは使いやすくという処理をして出している、もともとのデータももちろんアーカイブしていますけれども、更にそれに手を加えて見やすいあるいは使いやすいという形にして出しているセンターが多いわけですけれども、DIASの場合は、今の段階では集めるとアーカイブするということを目標にしておられるんでしょうか。

【小池(俊)委員】  
 非常に大事な点について、中澤先生からお話がありました。使いやすい形にする前に必要なステップが品質管理です。品質管理がきちっとできるのは、そのドメインの研究機関です。DIASといういわゆるデータを集めて情報として統合化していく機関ではなくて、例えば二酸化炭素だったら、二酸化炭素の専門的な機関でないとできません。そういう機能をこういう統合的なシステムで持つことは不可能だと思っています。
 ですから、先ほど言いましたBというのは、そういう機関と協力しながらそこで生み出された信頼のおける、あるいは使いやすい形になったデータをアーカイブしていくという形です。ですから、各分野のデータセンター機能をしっかりまた引き続きやっていただくということは非常に大事でございます。
 ただ、そういうセンターもあれば、実はデータを収取しただけというところもございますので、そこについては、私どもがこれまでつくってきたシステムで登録と品質管理をやっていただき、あとはDIASを用いて適切な形にフォーマット変換をして公開するというのが本日お話ししました第2段階のところです。そのためのメタデータをつくる必要がありますので、第1段階でまずそれをやるということで考えております。

【中澤委員】 
 わかりました。特に後者の場合には、各機関に対して、そのことをきちっと言っておかないと、いろんなレベルのデータがごちゃごちゃになっているのは、おそらくDIASを利用した人は、すごくクオリティーが違うということを気がつくといろいろ問題が起こると思うので、そこら辺はリンクを張るときに、そういうことをきちっとぜひお願いしたいと思います。

【小池(俊)委員】 
 はい。そこにつきまして、先ほどちょっと申しましたけれども、第1期の5年間、2006年から2011年までの5年間の中で、私どもそこにすごく力を注ぎました。1つは世界気候研究計画(WCRP)の中でとられている現場のデータを品質管理をしてアーカイブしました。品質管理も現場でデータを収集した研究者は行ってアーカイブすることをサポートするシステムをつくりました。次にアジア水循環イニシアチブ(AWCI)では、18カ国の水セクターの現業の行政官が、あるいはデータ担当者がそのシステムを使ってデータの品質管理をしてアーカイブするということもやって、18カ国全部、完全に整ってきております。
 ですから、そういう経験を踏まえて、いろんな事業が国内にはあると思いますけれども、そういうシステムを使いながらぜひ完全な形に持っていきたいと思っております。。

【中澤委員】  
 わかりました。

【小池(勲)部会長】  
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【安岡委員】  
 各機関が国際機関を通じて出しているようなデータ、例えば二酸化炭素ですと、ワールドデータセンターがございますよね、そういうところで出しているようなデータというのは、どういう扱いになるんでしょうかね。

【小池(俊)委員】  
 これはあくまでもデータ提供者のデータポリシーに全て対応します。ですから、2通りあると申し上げた次第です。インターナショナルな枠組みで許可がないと出せないものがあります。私どもデータポリシーは4段階つくっていまして、第1はだれでも見られるデータ。第2は、第3機関に渡さないとか商業的には使わないというように、WMO等で決められている一般的なデータポリシーを受け入れた人には名前や所属を登録してもらった上で公開するデータ。第3は、申請書を電子的にウエブから投入すると、それがそれを決済する機関に行って、決済する機関、例えばインターナショナルなプロジェクトオフィスが使っていいという決済が来れば、DIASからオープンするデータ。第4はDIASからはオープンせず、それぞれの機関と直接交渉をして取得するデータ。この4段階をつくっております。ですから、それはデータ提供側のいろんな事情に合わせて、現在4段階でサービスすることができます。

【小池(勲)部会長】 
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【佃委員】 
 非常に重要なアクションだと思うんですけれども、既に国内外に対して信頼関係があって提供いただいているというところは、信頼関係があって問題ないと思うんですけれども、これから新たにとなってきたときに、多分データを出される方というのは、自分にメリットがあるのかとか、将来それがサステナブルに運営していただけるのかと。自分のところのデータがそこに行けばデータはもうアーカイブされていて、自分たちも楽になるということになったときに、やはり将来的に継続してやっていただけるんだろうかというのが僕はちょっと心配されると思うんですね。
 そのときに、先ほど口頭で言われました東京大学の固有組織がリソースを提供して、たとえ予算がなくなったと思いませんけれども、何かあったときにも永続的にこれは運営されて御心配なくといったときに、もちろん、国としてこういう体制のもとでDIASに対してこういうことを我々も国としてもやりますよと言いつつ、一方で組織的にサステナブルにやりますので御安心くださいというような何か見せ方をちょっと工夫していただけると、声がかけやすいというか。

【小池(俊)委員】 
 現在進行中の地球環境情報統融合プログラムの目的は、5年間のプロジェクト終了後に運用形態をデザインすることです。要するに、持続的に運用されるようなセンターあるいはそういう機関を提案します。それはサステナブルな機関であると。それをサステナブルに運用するためのコンテンツだとか運用形態とか、それからこういうことができるのならば、例えば国際機関もお金を出すとか、あるいは文部科学省も喜んで出すとか、経産省も出すというようなものをデザインすることが今のミッションなんです。
 そういうことが計画されておりますという中で、これを進めるというのが今の佃先生の御質問に対する私が今できる答えです。

【小池(勲)部会長】 
 そうすると、これに関しては、あしたの説明会では、そういう説明をされる。

【小池(俊)委員】 
 はい。

【小池(勲)部会長】 
 文科省の方はそれでよろしいですか。

【大竹審議官】 
 途中から来てすいません。お話を伺っていて、先ほど科研費でやった研究で得られたデータはどれくらいか膨大でわからないという話がございましたが、大学の先生方御存じのとおり、この分野でなければ、例えばライフサイエンスなどでは、いろいろ実験動物を系統的にやっても教授が退官するとそのまま絶えているというようなのが多くて、これまでは研究機関は私的なものだと認識されていたと思うんですけれども、公費を投入しておりますので、そのアウトプットなりが終わったらどこかへ行ってしまうという非常に悲劇的な状態であります。ずっと、科学技術行政でそれを例えば研究時の最初から3%を消費税みたいに取っておいて、そういうもので何かできないかとか申し上げているのですが、なかなか御理解が得られておりませんでしたので、今特に地球環境の問題というのは非常に注目を浴びていますので、是非こういう分野から研究のやりっ放し、データの出しっ放し、論文を書いて終わりっ放しということにならないようにしたいと思っております。私どもの方でも今後のやり方とか考えていますが、例えばこの分野で文科省が持っている研究費の、例えば最初から幾つかをリアサイドしておいて、これはそういうデータのアーカイビングとかそういうものに使って飛散しないようにするというようなことを考えております。
 ただ、理想的には新しい研究所をつくってそこでやればいいじゃないかとよく言われるのですが、この御時世そんなことは無理ですから、そういう意味で能力のあるところにお願いをするのではないかと思います。ただ、リソースはそういう形で担保していくということにしたいと思っていますので、逆に言えばそういう観点からコミュニティーの方にも積極的にぜひ御協力いただいて、こういうものは機能するということを実証していただければと思います。

【小池(勲)部会長】 
 今おっしゃった4年後に、どういう形で持続的なデータセンターをつくるかというところは非常に難しいんです。ただ、それが前提にないと、やはりデータを出すほうは、また出しても途中で消えてしまうとかいうと、非常に阻害、されますね。ですから、そこをうまく同時進行できちんと話を進めていくということはぜひ必要だと思いますので、それに関しては、この部会もそれを一生懸命プッシュしますけれども、文部科学省もよろしくお願いしたいと思います。
 ほかに何かこれに関してございますか。よろしいでしょうか。それでは、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

議題(2) 平成24年度の我が国における地球観測の実施計画について

【小池(勲)部会長】
 その次の議題の2は、平成24年度の我が国における地球観測の実施計画についてです。事務局からこれに関しての御説明をお願いいたします。

【福井環境科学技術推進官】 
 資料3でございます。平成24年度の我が国における地球観測の実施計画ということでございまして、この地球観測推進部会の1番大きいミッションはCSTPの地球観測の推進戦略に基づいて、後ほど議論いただきます実施方針を策定し、それに基づき実施計画を各省から挙げていただき、取りまとめた上で、最後にCSTPでそのフォローアップをするというステップになってございます。
 この資料3は、昨年、議論いただきました平成24年度の実施方針に基づいて、各省からその実施方針にのっとって実際やっている事業を取りまとめたというものでございます。先ほど、小池委員からデータ収集155事業というお話がございましたが、それはここに載っている全ての事業でございます。目次とか中身は、実施方針に基づいた章立てになっておりまして、その各章に書かれていることに従った施策が計画されているところでございます。
 逐一は説明申し上げませんが、今回、新しく加わったものだけ説明申し上げたいと思います。まず、5ページの生態系・生物多様性の保全の真ん中ぐらいに「草地動態に関する研究ネットワーク・日本長期生態学研究ネットワーク」がございますが、農水省の施策になります。生物多様性に関する包括的観測を草地生態系において行うということでございます。
 8ページのところに、気候変動メカニズムの解明というところで、産総研からのアジア地域における森林生態系の二酸化炭素フラックス観測の計測が挙がってございます。
 15ページでございますが、第3章の国際的な連携の強化に、永久凍土地域における脆弱性評価適応策を提言するということで国環研の温暖化影響早期観測ネットワークの構築が挙がってございます。
 25ページでございますが、分野別の推進戦略の空間情報基盤のところで国土交通省から、上から7ポツ目でございますが、国土計画の策定・推進に必要な土地利用情報を平成26年度より整備するため、情報整備手法の検討及び仕様設計を行うというものがございます。
 最後に、26ページの15.地球科学の上2つのもの、文部科学省の宇宙ステーションや「きぼう」等を使ったJAXAと京都大学のものであります地球超高層大気撮像観測センサでありますとか、あとは雷雲上空で発生する発光現象、スプライトの観測ということで、JAXAと大阪大学のスプライト及び雷放電の高速測光撮像センサというものが新規に挙げられてございます。
 これは155事業よりもっとありそうに思われるかもしれませんが、かなり各チャプターに関係するものがございまして、再掲させてもらっているところが多数あるためでございます。これに従って、24年度につきましては、地球観測事業をやっていただきまして、それのフォローアップをCSTPでしていただくことになってございます。実施方針については、この後御議論いただくことになってございます。
 簡単ですが、以上でございます。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。今御説明いただいた実施計画ですけれども、これはもう既にことし24年度予算化されて実施されているものが全部ここに掲載されているということです。それで、今御紹介ありましたように、新規のものはそんなにないということですね。

【福井環境科学技術推進官】 
 6つです。

【小池(勲)部会長】 
 ただ、これはほとんどが3年とか5年ぐらいの形で。名前が変わっているものは新規ではなくて、ほんとうの新規だけを今御紹介されました?

【福井環境科学技術推進官】  
 はい。ほんとうの新規になります。名前の変わっているものも新規という形で数えております。

【小池(勲)部会長】 
 なっています?

【福井環境科学技術推進官】 
 はい。そこは新しい制度であり、フェーズが上がっているものということでありますので。

【小池(勲)部会長】 
 ということで、新規。

【福井環境科学技術推進官】 
 はい。

【小池(勲)部会長】 
 見ていただくと、再掲が多いので非常に多いように思われますけれども、先ほど、150ぐらいとおっしゃいましたね。

【小池(俊)委員】 
 155で、先ほどお聞きすると、全部で160ぐらいになっている。

【福井環境科学技術推進官】 
 そうですね。これで6つ増えるともう161ということです。

【小池(勲)部会長】 
 160ぐらいですね。それに関してはいかがでしょうか。

【堀川委員】 
 ちょっとよろしいですか。この実施計画の中で、衛星からの観測ということで、GCOM-CとかALOS-3の開発を行うという表現が最初の方にいろいろあって、それを受けて再掲が利用分野で名前が挙がっているんですけれども、現実問題としてGCOM-C、ALOS-3の開発というのは、公式的にはあまりきちっとした開発フェーズ、移行になっていないと思います。しかしながら、そこは従来の研究開発の枠組みで実施しているという解釈で開発に入っているような理解で私はいいのかと思うんですけれども、その話と、そういった衛星の開発が少し日本の衛星戦略の中でプライオリティーが下がっているのではないのかと思うんですけれども、そこは地球観測の推進戦略や実施方針に基づいて、もっとやっぱり推進していけるようにこの部会からアピールしていけたらいいかなと思います。現実問題として多くは日本だけではなくて、諸外国との間で連携をとったプロジェクトになっていますので、海外の動向と日本の状況も含めて、できればこの部会で改めて重要性とか意義とか、世界との分担について議論するため、次回に開発の状況等のお話をJAXAから出していただいて、来年度の実施方針にもきちんとまとめていただけるようにしていただければと思います。

【福井環境科学技術推進官】 
 ありがとうございます。そういった意味で、今後の実施方針を議論していくわけでございますので、後で申し上げますが、きょうを含めて3回議論の場がございますので、次回、そういう衛星の重要性とか国際関係等を御説明いただき、その議論を受けまして、実施方針にしっかり書いていけるようにしたいと思っております。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。ほかに何かございますか。この実施計画の場合というのは、実際に既にやられているものがずっと記載されているだけなので、データベースみたいなものですよね、いってみれば。

【福井環境科学技術推進官】 
 そうですね。

【小池(勲)部会長】 
 ですから、もうデータベースならデータベースとして使いやすいような形でまとめられたほうが見やすいのかもしれませんね。

【福井環境科学技術推進官】  
 推進戦略、実施方針に基づいて並べるというよりは……。

【小池(勲)部会長】 
 並べる。それで並べてもいいんですけれども、例えばこれだけ見ていると、どれぐらいの予算でどれぐらいの期間でいつから始まってどうこうという情報はなくて、ただタイトルと簡単な記載があるだけですね。

【福井環境科学技術推進官】 
 はい。

【小池(勲)部会長】 
 ですから、先ほど言われた、もう第2期目か第3期目なんだけれども、そういう形でかなり継続されているものとか、それとも先ほど言われた、ほんとうに24年度に始まったものとかそういうものがこれでわかると、日本でやっている地球観測のそれぞれの分野でのつながりというのがある程度見えてくるんですけれども、毎年毎年こういうデータだけだと、ちょっと全体の姿がよくわからないんですね。ですから、今回はこれで仕方がないと思いますけれども、できたらそういう格好でのデータになっているほうが後で使いやすいような気がしますけれども。

【福井環境科学技術推進官】 
 わかりました。

【小池(勲)部会長】 
 どうぞ。

【小池(俊)委員】 
 現在は、予算までは登録しない、するつもりはないんですけれども、先ほどのドキュメントメタデータというのは、今、小池勲先生がおっしゃったような基本的な情報が入るようになっています。

【小池(勲)部会長】 
 そこに入る。

【小池(俊)委員】 
 はい。ですから、それはデータベースですので、それを使って、例えばこういう形で出力してほしいということがあれば……。

【小池(勲)部会長】 
 これができるわけ?

【小池(俊)委員】 
 できます。予算だけは今のところ入れる予定はございませんが、必要ということであれば入れることも考えます。

【小池(勲)部会長】  
 いずれにせよ、これだけのものがほとんど毎年進行していると。予算がついて行われているということは確かですので。
 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。

【高薮委員】 
 非常に多岐にわたるリストですので、何が入って何が入っていないというのを把握するのがちょっと難しいんですけれども、1つだけ具体的に藤谷先生にはわかっていらっしゃるのかと思うんですけれども、例えば気象庁が今つくっている再解析データ、そういうものはどこに入っているのかなという視点で見ますと、これが例えばDIASの登録するデータとしてリストとなるということを考えますと、どこに入っているのでしょうかというのが疑問になったんですけれども。

【小池(俊)委員】  
 僕が言うことでないかもしれませんが、現実には再解析データはもう事前にDIASには登録されていまして、データもアーカイブされているんですけれども、この表にあるかどうかは気象庁からの登録で決まっているんです。

【高薮委員】 
 そういうことですね。そのあたりは各機関にお任せということで。このリストが日本として重要なデータであるかどうかのリストではないということですね。

【小池(俊)委員】 
 そういう価値判断のもとでつくられてはいない。各機関が、地球観測の推進戦略の中で登録すべきだと判断したものが掲載されているとおもいます。ですから、広く科学的な視点から選ばれたものというわけではないと理解しています。

【安岡委員】 
 ちょっとテクニカルな質問。

【小池(勲)部会長】 
 どうぞ。

【安岡委員】
 DIASの中では、検索によって、例えば地域別とかそういうのは引っ張り出せるんでしょうかね。

【小池(俊)委員】 
 今は地域別、テーマ別になっています。テーマも3つございまして、GCMDというディレクトリを使ってやっているのですけれども、第1が分野的な切り口、第2がどういうプラットフォーム、つまり衛星なのか現地なのかという切り口、第3がデータなのか、データプロダクツなのか、プロダクツはどういう形式なのか、そういう幾つかの軸でマトリックスで表現できるようになっています。

【安岡委員】 
 それは登録するサイドでどういうふうに入力しているかということによるんでしょうか。

【小池(俊)委員】 
 多くがプルダウンメニューになっていて、そういうものから選んでもらうという形になっています。

【小池(勲)部会長】  
 今御質問のあった、これに登録されていないんだけれども、地球観測として非常に大事なものというのは、多分あると思うんですね。ですから、やはり最初それを集めた今、小池俊雄先生がやられているものができて、それでやはりこういうものがないんじゃないかということで、こちらからぜひそれを追加してくださいというようなリクエストはできるわけですね。

【福井環境科学技術推進官】 
 はい。先ほど、小池俊雄委員からもありましたけれども、これは関係省庁にお願いをしてレジスタしてもらっているということで、確かに主に大学関係のものは細かいものは入ってない形になっています。ただ、JAXAとかJAMSTEC、あるいは気象庁とかそういう政府関係あるいは政府関係機関の大どころは、網羅的には入っているとは思っています。

【高薮委員】  
 すいません。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【高薮委員】  
 気象庁の人間でないのでわからないんですけれども、気象庁にとって再解析データというのは、非常に重要なものだと私は考えるんですけれども、そういう意味で、省庁関係の大きなものに関しても網羅されてないのでないかということを申し上げたかったわけです。

【福井環境科学技術推進官】 
 そこはちょっと確認させてください。

【高薮委員】  
 はい。

【小池(勲)部会長】  
 これは基本的には各府省が出してくるものなので、こちらからこれを出してくださいという形ではないので、こういう形になってしまうんですけれども。

【高薮委員】 
 わかりました。

【福井環境科学技術推進官】 
 それがこちらからわかればというか、委員からの御指摘があって聞くというのは当然それはやるべきことでございますので、そこは確認したいと思います。

【高薮委員】 
 はい。よろしいですか。

【小池(勲)部会長】 
 どうぞ。

【高薮委員】 
 ただ、今後、DIASなどを通じて外にリストとして出ていくことになりますと、どういうものを集めているかということが非常に重要になってくると思いますので、そのあたりを検討していただきたいと思います。ユーザー側から見ると、この観測部会なり何なりのリストであるというのは、日本として重要であると認めたリストの1つと考えられると思いますので、そういう視点も必要なんじゃないかと思います。

【福井環境科学技術推進官】 
 はい。まさにおっしゃるとおりでございまして、今回、DIASで何をデータ収集していくかというのはほんとうに重要なことでございます。その1つの根拠として、まさに実施計画に載っているものを先に集めていこうということで、先ほど小池俊雄委員から説明があったところです。だから、ここにあるものをまずやり、更に大学とかあるいは紙で残っているものまでできればと思っているわけで、そういう意味では何を収集していくかということについては、まさに実施計画に載っていることからと我々は思っていまして、この地球観測推進部会のデータ収集、統合というのは、非常に重要なミッションと思っております。実施計画を御覧いただきながら、ユーザー側としてもぜひこれも、というのがありましたら言っていただければと思います。

【大竹審議官】  
 いいですか。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【大竹審議官】  
 おっしゃる意味はわかるんですけれども、やっぱりこういうものは、変な話ですけれども、政府が強権を持ってやろうと言ってもなかなか御協力いただけないというか、それが理想の姿ではないと思うんです。今、こうやってトライをして、グーグルなどと同じで、要するに社会の評価がこれぞとなってくれば大体雪崩を打ってデータが提供されると思うんです。そういう意味で、逆に言えば、本日、テーブルを囲んでいただいた方には、さっきのDIASの話でいえば、実施計画に載っていないことであっても、いろいろなデータの提供を協力いただいて、今のトライアルを少しでも実質的なものにしていただき、そういうところに入ってないのが、何で入れないのかとコミュニティーの中で言われて、これは持たないなという感じになるほうが非常に自然発生的だと思います。
 研究者の方に対して官憲が強引にやっているという感じではなくて、できたものに対しても非常にオートノミー(自主性がある)というか、愛着も出てくるし、発展できると思います。そういう意味で我々ももちろん御指摘を踏まえて努力しますが、これは研究者間の問題もさながら、やはり役所間でもそういう抵抗感というのは必ずあるので、そういうものを超えていくためには、まず始めたところをどう実績を上げて、いわばデファクトスタンダードにしていくかということだと思います。そういう意味では、このきょう先生方に、いろいろ御協力いただければと思います。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。では、とりあえずのスタートとして、今登録されているものでスタートして、それでやはりきちんとよいものにしていくと。これは言ってみれば、新しいジャーナルをつくるようなもので、そのジャーナルの評価が上がれば、みんなそこに投稿してきますから、そういうつもりでやり始めればいいのではないかと思いますけれども。よろしくお願いいたします。

議題(3) 地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点からの報告

【小池(勲)部会長】
 それでは、次の議題3に移ります。地球温暖化分野における地球観測連携拠点からの報告です。これに関して、協力観測に関連して、地球観測連携拠点(温暖化分野)において、先日行われた調査の御報告を藤谷委員からお願いいたします。

【藤谷委員】  
 それでは、御報告いたします。主に資料4に基づいて御説明し、補足的に資料5を使わせていただきます。
 御案内のように、連携拠点では、いろいろな連携施策を検討し、また、一部は実施しております。そのあたりの、経緯につきましては資料5にまとめてございます。資料5の2枚目のところに、今年度に取り組んでいるものの一覧表がございます。これは後から見ていただければと思います。
 資料5の1枚目の2.2に、どういう形で連携を検討しているかを述べております。そこに丸1から丸3までございます。ワーキンググループ報告書につきましてはこれまでに何冊か出してございますけれども、そこから課題を抽出して、連携施策の検討を行っております。例えば、丸1でございますと、ワークショップを開催し、取組案を取りまとめて、この部会に提出し、実施方針に反映していただく、というような流れでやってきております。そこに4つほど項目がございますけれども、前の3つ、陸域炭素循環、雪氷観測、それから森林観測については、これまでい、この部会に御報告して、一部実施方針にも記載いただいております。今回、御報告いたしますのが4番目のところにございます、長期観測データの取得・発掘・保存に関する取組でございます。本日御報告して御検討いただきたい項目でございます。
 資料4へ戻っていただきまして、2.1のところで背景を説明しております。地球温暖化の実態を把握するためには、そこにございますように、長期継続観測あるいは観測データのレスキュー・発掘あるいは保存というのが非常に重要でございます。「地球観測の推進戦略」でも関連する項目を2つぐらい特出ししており、長期継続観測の実現とデータの共有と利用促進について、それぞれ、そこにありますような文章が書かれております。
 昨年の2月にこの部会で連携拠点の活動について御報告いたしました。そのときに、いろいろな連携を検討しているのだけれども、長期継続観測を実現するための研究機関と業務機関の連携についてはなかなか進んでいない、と御報告いたしました。そのような報告を受けて、では具体的にどうするかということで検討を行い、例年開催しております連携拠点主催のワークショップのテーマを「観測データが語る気候変動-長期観測データの取得・発掘・保存-」として、昨年の12月2日に開催いたしました。ワークショップにおきましては、多くの分野における取組等を御紹介いただいたわけでございます。そのとき同時に総合討論を行いまして、きょう御報告するような取組案について検討いただいたところです。
 更に連携拠点には、科学的なアドバイスを行う地球観測推進委員会というのがございます。小池主査に委員長をお願いしておりますが、そこでもいろいろと、「地球観測の推進戦略」策定後の動向とか課題等につきまして御議論いただきました。
 このような総合討論と委員会の御議論を取りまとめたのが、きょう御提出いたしました資料4の2ページ目からの文章でございます。時間もあまりございませんので、簡単にご説明させていただきます。
 地球観測の推進戦略が策定されてから相当期間がたつわけでございますが、その後の動向はどうなっているのか、課題はどうかということで、ちょっと羅列的ですけれどもそこに記載してございます。個々についてはあまり詳しくは述べませんけれども、この後の議論にも参考になると思いますので、簡単に御説明いたします。
 まず、長期継続観測の実現の部分ですけれども、例えば機関連携としてはGOSAT、アルゴ計画というのが実現しており、こういうのをこれからも長期的に継続する必要があります。
 2番目の項目にございますように、温暖化予測でございますとか全球炭素循環の分野では、観測結果をモデル研究結果の検証等に利用するなど、観測とモデルが相補的に研究を進める枠組みが進展しております。これは非常に良い例であろうと思います。
 3番目にございますように、これは御案内のように、北極環境研究コンソーシアムができまして、雪氷域については少し進み出したのですけれども、まだまだデータアーカイブとかはこれからの課題である。
 次の項目は、研究機関が実施している長期観測につきましては、実態はモニタリングなのですけれども、主に競争的資金によって実施されていることから、これを長期的に維持するには困難がある。これを何とか非競争的資金で実施できないかということでございます。それから政策決定者にもっと長期継続観測の重要性を認識させるための活動をもっとする必要がある。
 次に、「地球観測システム構築推進プラン」というのが平成17年度から行われたわけですけれども、平成22年度で全て終わっております。その後それがどういうぐあいに継続されているかについても少し調査をする必要があるということが書いてございます。
 次に丸2のデータの共有と利用促進の部分でございますけれども、そこでは先ほどから議論のございましたDIASによって、これまでも水・農業・生態分野等について共有と利用促進が進展してございます。しかし、先ほど言いましたように、雪氷等はまだまだこれからである。
 データの共有と利用促進を進めるためには、観測研究者と情報分野の研究者の連携をもっと図る必要がある。
 昨年度から開始されました「北極環境研究コンソーシアム」でございます。これは北極域がターゲットですけれども、雪氷分野全体として観測データのアーカイブ等の取組をもっとやらないといけない。
 国内で行われております温室効果ガス観測、海面水位観測、海洋観測など、多くの分野がグローバルデータセットを構築する国際的なプログラム、に貢献している。貢献によるベネフィットをもっと示さないといけない。例えば、農林分野ですと地域的な観測データが影響評価等の検討に貢献している。こういうことを続けていかなければいけない。
歴史的観測データにつきましては、一部の方は御案内と思いますが、例えば神戸コレクションというのがございますけれども、まだまだ発掘しないといけないデータがいっぱいあるだろう。そういうのをもっとレスキューしましょうということが書いてございます。
 次のページの1番上でございますけれども、そういう観測データの保存等に関係する専門性を持った人の人材ですとか、データマネージャーが不足している。また、データアーカイブ業務等に対する適切な評価がなかなか実施されていない。これも人材不足の1つの原因じゃないか。各機関における業務に対する適切な評価も必要である。
 2.では、具体的にどうするのかということを、いろいろ並べております。例えば長期継続観測の実現に関しましては、我が国の国際的なサイエンスへの貢献として長期継続実施すべき観測項目をきちっと特定する必要がある。
 モデル研究と観測研究の連携を一層推進し、両者が相補的な役割を果たす、そういうような研究計画を立案しないといけない。
 研究者レベルでは、個人的には連携はいろいろ進んでいるのですけれども、やはり機関連携をしないと長期継続観測は実現できないので、そのあたりを進めるためには、研究者と政策決定者の対話をやることが必要である。
 長期観測の成果について、もっと学術コミュニティーによる議論をしないといけない。これまでなかなか学術コミュニティーからのサポートがございませんので、そういうことをお願いするためにも、もっと長期継続観測の成果について議論していかなければいけないということでございます。
 そのほか、雪氷分野、あるいは、構築推進プランについての具体的な方策について述べております。
 データの共有と利用促進に関しましては、DIASの一層の推進が必要である。これはきょう議論されておりますけれども、例えば国際プログラム、地域的施策への直接的な貢献の推進を図る必要がある。国際的なデータ共有への枠組みへの積極的かつタイムリーな参画をしないといけない。例えば雪氷分野ですと、GCWとか新しいプログラムが始まりますが。そういうものに最初から参画しておかないと、日本の立場を示して積極的に踏み込めませんので、タイムリーにそういうところに参画しないといけない。
 それから先ほど言いましたように、歴史的なデータについてレスキューを実施する必要がある、人材の育成と業務に対する適切な評価の実施が必要である、というようなことが書いてございます。
 そういうことをやりますと、「効果」のところに書いてございますけれども、長期継続観測が実現する、観測データの保存体制が進展する、等々の成果が得られる。
 一応我々取りまとめたのは、以上でございます。きょうの議論に少しでもお役に立てばと思っております。以上でございます。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。直接これに関する御質問、コメントございますでしょうか。この後の25年度の実施方針のときにもこれと関連した議論がありますので、そのときでもよろしいんですが。どうぞ。

【小池(俊)委員】  
 大変よく、これ非常に重要なことを構造的にまとめられていますので、3点ちょっと申し上げたいと思います。まず、DIASで雪氷をやっていないという御指摘をいただきましたので、グリーン、北極研究のコンソーシアムができて、これで連携してまず国内はやるということにいたしまして、IPYのデータが北極関連に関してはNCARがアーカイブしており、それから全体はNSIDCというボルダーの研究所がやっているんですが、これを7月、DIASとこれらの研究センターをつなぐようなアクションをとり始めております。これが1点目です。
 2点目は、この中でモデルと協力することが必要とお書きいただいていまして、世界気候研究計画のWCRPでは、今度、WCRPデータアドバイザリーカウンシルというのをつくりました。そして、もう1つ、WCRPモデリングカウンシルというのがありまして、これを7月に共同でキックオフ会議を北京で開催いたします。この中で、観測データ等のアクティビティーとモデリングのアクティビティーの協力を推進するのが大きなミッションになっておりまして、私はデータのカウンシルの副議長をやりますが、これはぜひDIASも中心になりながら、皆さんと協力しながら進めていきたいと思います。
 3点目は、ここに書かれていないことなんですけれども、私は国際開発援助、ODA関係で2つの大変いい経験をしました。1つ目は、私どもはチベットでの観測研究を1997年に機器を設置してから、つなぎつないでずっとやってきたんですが、これを2005年からJICAのプロジェクト、要するに中国気象局がJICAの技術協力プロジェクトを提案されて、これを日本が受け、そのときに大学がコミットして、その観測システムを半ば現業的に使うという形で長期継続の枠組みをつくりました。今、大体チベットの私どもが設置した観測機器の7割ぐらいが気象局が管理しています。残り3割につきましては、今度は中国科学院が、私どもがつくっておりました拠点観測を中国の重点観測拠点といたしまして、これを長期的なオブザーバーとするということを決めて、2年前に開所式をやりました。私どもの観測が基盤になって、長期観測のフェーズに移りました。こういうふうに、国際開発援助を通じて、研究で立ち上げたものが長期的な枠組みに移行するというのは1つの手だと思います。
 それからもう1つ、レスキューなんですが、これもつい最近、チュニジアに流れていますメジェルダ川という川の洪水対策に関する国際開発援助のプロジェクトにかかわったときに、気候の変化に対してどういうふうな脆弱性が増えるかということの検討項目がありましたのでデータを集めてくださいとお願いしたら、1900年からの日データが出てきました。やっぱり国際開発援助の枠組みでこういうデータの収集能力はものすごく強いんですね。我々研究者が行ってもとっても出てこないようなものが出てきます。ですから、こういう国際開発援助の枠組みと研究の枠組みをうまくコーディネートすると、長期観測データのレスキューもある程度できるのではないかと思っております。以上です。

【小池(勲)部会長】 
 ありがとうございました。ほかに何か。どうぞ。

【藤谷委員】 
 貴重なコメントをありがとうございます。北極圏に関しましては、先日行われました地球惑星科学連合の北極圏のセッションで、データセンター(ADC)をつくるということが言われております。いずれDIASとも連携するということも報告されておりました。
 それから、小池先生の言われましたチベットの件ですけれども、非常に良い例だと思います。先ほど、言いました構築推進プランの調査では、このような良い例をもっといろいろ示したいと思っております。
 以上です。

【小池(勲)部会長】 
 ほかにありますでしょうか。それでは、ありがとうございました。

議題(4) 平成25年度の我が国における地球観測の実施方針について

【小池(勲)部会長】
 続きまして、議題の4ですけれども、平成25年の我が国における実施方針についてです。まず、事務局からこれについて御報告をお願いします。

【福井環境科学技術推進官】  
 まず、資料6と7を御覧いただければと思います。6が平成25年度の地球観測の実施方針の検討の進め方というもので、資料7がスケジュールということでございます。24年度の実施方針、今回、参考資料の2につけさせていただいておりますが、その概要でございますが、気候変動問題の解決に向けた地球観測の重要性にかんがみということで、第4期基本計画の方針ということでもありますので、地球気候変動問題に対応する課題解決型の観測の推進ということで重点事項として提示いたしました。あと昨年度は、東日本大震災がありましたので、災害による被害の軽減に資する地球観測の推進ということも提示してございます。あと、先ほど、DIASの話がございましたけれども、国内の地球観測データの共有、統融合化の促進ということも重点事項にしてございます。最後に、地球観測の推進戦略に基づいて国際的な枠組みの活動及び科学技術外交の推進と、こういうような章立てでやってきてございます。
 それは資料8に、目次だけ抜き出してございますが、こういった形でやってきているということでございます。
 平成25年度の実施方針の検討のポイントということでございますが、引き続き気候変動問題を重点事項としてとらえて、本日の議論、あるいはこの後御紹介申し上げるアンケートでありますとか、先ほど藤谷委員から御紹介ありました報告等をそこにインプットするということかと思いますが、国内外での社会的要請を踏まえた分野・課題を提示するということでございます。
 あと、震災が昨年ございましたが、それに関係することも引き続き地球観測の観点から貢献できることを提示していくということかと思います。
 3ポツ、4ポツは国内の地球観測システムの統合、先ほどDIASのお話がございましたが、あるいは国際的な連携についても取り上げるということになるかと思っております。
 今後の検討の進め方でございますが、資料7を御覧いただければと思いますが、本日、地球観測推進部会を開催いたしまして、きょうの御議論を踏まえまして、まず、実施方針の第1案、文章になったものを事務局で作成し、関係省庁へ照会いたしまして、それを終えたものを次回、7月6日の地球観測推進部会で御議論いただくというふうに考えてございます。7月6日の推進部会には、先ほど堀川委員からございましたけれども、主要関係機関から25年度の実施方針に向けての重要点みたいなものも発表していただき、それを踏まえて御議論していただこうかと思っております。その7月6日の御議論を踏まえまして、再度事務局で修正した後、委員、関係省庁への2次照会を行った後、修正いたしまして、7月30日に実施方針を一応確定するという形になってございます。
 簡単ですが、以上でございます。

【小池(勲)部会長】 
 続けて資料9のアンケートの説明をお願いできますか。

【福井環境科学技術推進官】 
 資料9でございます。今回の実施方針の策定に当たりまして、その議論に資するものということで小池勲先生とも相談しながら考えました。昨年は委員の方々にアンケートをさせていただきましたけれども、今回はこの地球観測推進部会に関係する関係省庁の皆様に、長期観測にかかる現状、課題についてアンケートをさせていただいております。回答をいただきました総務省、海上保安庁、国土地理院、経済産業省、農水省、環境省、気象庁、極地研、あと海洋研究開発機構にはお礼を申し上げたいと思っております。
 項目は、長期的観測を維持するための現状面での体制ということで、資料9でございますが、例えば資金面ではどういう手当をしているとか、あるいは観測担当者の確保及び維持はどういうふうにやっているかとか、あと機器のメンテナンス、老朽化への対応、他機関との連携ということで、あと自由記述ということで長期的な観測体制の構築の妨げとなっている問題点等ということを挙げていただいております。最後に、地球観測推進部会への要望についてという形になってございます。
 例えば、資金面等につきましてはここに書いてあるとおり、観測担当者の確保及び維持ということでは、人員削減等もあって、担当職員の維持については苦労をしているとのことでございます。外注についても記述がございます。研究担当者が全てデータの作成からデータベースの管理、更新までやらなければいけないといったことも書かれてございます。
 2の機器のメンテナンス、老朽化への対応等でございますが、これも長期化し、老朽化している。それに対する更新が早急に必要とか、ただ、リプレースするにも費用がとか、あとアイデアという意味では、ホームページの運用とかでは、外部サーバーを利用することによってメンテナンスを容易にしているとかいったことが書かれてございますが、やっぱり人員削減とか予算の削減みたいなものが大きく出ているかと思います。
 他の機関との連携でございますが、これは独法、大学機関相互の連携とか、あるいは海外政府との連携、民間企業との協力、あとは地球観測推進部会でもいつも大きく取り上げていますが、全球地球観測システムを通じて連携といったことが記述されております。
 あと、自由記述していただきました長期的な観測体制の妨げになっている問題点等でございますが、プロジェクトに依存している観測だと、5年とか年限で終わってしまうので、その後、長期にやっていくのがなかなか難しいという話、長期的な予算の見通しが立たない、あるいはデータの品質管理や公開に従事する人材の確保とか教育が重要とかいう記述がございますし、研究員が退職されるということであれば、長期的に担当できる人材の確保が難しいとかいったような話、あるいはメンテに対するマンパワーが十分でないとか、特に国際協力関係だと、相手国の技術者レベルについてはキャパシティービルディングが必要であるということ等々、4ページ目にわたり書いてございます。
 5ページですと、ここにもやはり中心的には人材の確保とか、あるいは予算の継続ということについての問題が書かれておるところでございます。
 最後、6ページに観測推進部会への要望についてでございますが、長期的な展望に立って計画や方策を立てていただきたいとか、あと組織間の連携の促進ということと、あとは観測従事者の人材育成についての効果的なアイデアみたいなものが議論されればということが記述してございます。
 こういった回答を各機関からいただいて、ここに主だったものを抜粋しているところでございます。これは実際現場で携わっている観測機関の方々の生の声が上がってきていると思いますので、きょうはこれを御覧いただきながら、委員の方、きょう御議論いただいて、あるいは持って帰っていただいて次回に御議論いただいたりということで、こういったところからくみ出せるものをぜひ実施方針にも盛り込んでいきたいと思っております。ですので、本日はこれに対しての意見と、先ほど申し上げました今回の実施方針で、長期的観測のようなものは当然取り上げるかと思っておりますが、項目立てで何かここを特出しでということがありましたら、ぜひ御意見をいただきたいなと思っております。それで次回には、素案、実際その方針の案文を入れたものを御議論いただこうかと思っております。以上でございます。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。この後、平成25年度の実施方針についてどういう形でこれを書くかということに関して御議論をいただきたいと思います。それで幾つか、例えば資料6の実施方針の検討のポイントというのがございます。それで、1つは、書き方として、課題解決型の地球観測という表題のもとに、気候変動に関する影響の把握とメカニズムというのを立てて、それと昨年からのいわゆる地震、津波、火山に関する被害の削減という2つの項目を地球観測のいわゆる特項として、わりあいと特出しして書く項目としては、それにしております。その形を25年度も継続していいかどうかということが1つです。
 それからあと、先ほどから議論があります地球観測の統合です。データ統合の話。データ統合をどうやってこの先、持続的に進めていくかに関する話と、それからその元となる観測そのものをどうやって持続的に進めていくかという話を、できれば先ほどの各省の担当者の方からいただいたコメントの中でも、そのためにやはりどういう体制が望ましいかということに関して、できればそこまで踏み込んで書ければいいかなと思っておりますので、きょうはその辺について、皆さん委員の先生方の御意見をいただけたらと思います。どなたからでも。口火を切っていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

【渡邉委員】  
 途中で退席させていただければいけないので、先に発言させていただきます。基本的に今の資料6も、主査の御説明のあったように、基本的な枠組みとしては、こういうスタイルで昨年度の継続でもいいと思います。1点だけ少し確認、質問させていただきたいと思います。24年度の実施方針の概要の4つ目のポツですが、国際的な枠組みとの連携及び協働と科学技術外交と書いてありますが、前者のところは主に本年度の方針はGEOSS中心に書いていらっしゃいますよね。地球観測という視点では、これが1番大事な書くべきポイントだというのは間違いないと思うのですが、いわゆる地球環境にかかわるところでは、少しこの間、国際的な動向の展開があるように思うのです。例えばICSUの動きだとか、GECの話、あるいはベルモント・フォーラムも。そこら辺のグローバルなコンテクストあるいはいろいろな背景とこことのかかわりもこういうところで書いていくのかどうか。それから科学技術外交については、例えばJST-JICAのSATREPSのようなプロジェクトが展開していくという背景のもとで、ここをどう位置付けるかもここに含めていくことになるのか。そこら辺のところは。私は書いたほうがいいと思って伺っているのですけれども、どんなお考えでしょうか。

【小池(勲)部会長】  
 今のは、そういう形で書いたほうがいいという御提案として受け取ってよろしいですか。

【渡邉委員】  
 どこかで。はい。そういうことも御検討いただけたらと。グローバルコンテクストをどう書くかということです。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【本藏委員】  
 いいですか。今の発言に関連しますので。科学技術外交の話が出ましたけれども、これは確かに現在、SATREPSプロジェクト等を中心に、それだけじゃありませんけれども、かなり力を入れている部分であって、あるんですけれども、問題は、先ほど指摘がありました長期的な観測体制構築の妨げとなっている問題点の中に挙げられている点なんですね。
 いろんな科学技術外交の進め方いろいろあると思うんですけれども、例えばSATREPSをとってみれば、これは非常にいいもので、全世界あちこちいろんな分野が展開しているんで、これは非常に重要なんですが、問題はやっぱり競争的資金で短期であって、しかも採択されなければならないときに、単に観測の継続だけではなかなか採択に至らないという構造的な問題があって、そちらは2本立てで1つは研究成果を上げなきゃいけないという大きな枠組みがあるのと同時に、それが特に相手国において社会実装に阻まれてというもう1点があるんですけれども、そうすると、どうしてもそういう枠組みになってくると、観測を長期的にどうやって維持していくのかいうところの目配りが足りなくなるんですね。申請する側も当然そうならざるを得ない。
 もちろん、地球観測をやっている研究者たちは長期的に継続することが必要だということはみんなわかっているわけですけれども、それを全面的に出すわけにはいかない。何だかいろんな工夫をしながら、先ほど小池俊雄先生も言われましたけれども、いろんな工夫をしながら長期的なものにつなげていく努力は個々のレベルでやっておられて、私はそれは大変すばらしいことだと思うんですけれども、体系的にそれがなかなかつくり込めないという大きな問題点があるんですけれども。
 それはこの地球観測を考えるときに、全体として、例えばこの場でそこはやっぱり強調して、どういうメカニズムを今後推奨していくのかということを1度ここで考える必要があるだろうと思うんですね。小池先生が言われたのは、1つのやり方であると思うんですけれども。そういう意味で、この問題いつも出てきては消え、出てきては消えという、妙案がないままなってくるんですけれども、そろそろこれを、データのアーカイブ、DIAS関連を含めて、あわせて長期観測の在り方とそのデータ統合をペアみたいな形にして、やっぱりしっかりとうたう必要がそろそろあるのではないかなと私は思うんですけれども。そんな意見を持っております。

【小池(勲)部会長】  
 今、海外で国際的な立場で地球観測をやっている場合、非常にこれもまた継続性が大変、皆さん苦労されていると。それで、JST-JICAのプロジェクトも基本的にあれもやはり競争的資金で5年です。ですから、それだけでは多分無理で、立ち上げることはできても、その先はどうなるかわからないということなので、やはり少し、多分国内での長期的な観測を続ける場合と海外での長期的な観測を続ける場合というのは、考え方を分けたほうがいいとは思うんですけれども、多分、でもその両方とも大切なことで、データをアーカイブするときも、やはりその両方のデータが入ってきますから、ですから、本藏委員が言われたように、出ては消え、出ては消えというのは、ぱっとこうすればいいというものがなかなか出てこないので、出ては消え、出ては消えということになるんだと思うんですけれども。
 事務局の方から何かこれはという。

【福井環境科学技術推進官】  
 長期的な観測がいろいろ課題じゃないかということがありましたので、こういったアンケートをさせていただいたということなので、そういった意味では、先ほども本藏委員がおっしゃっていたことは、何かこの中から拾っていく形で記述していきたいと思っています。
 あと、渡邉先生からいただいた話は、確かにICSUとかあるいはベルモント・フォーラムというファンディングエージェンシーの集まりがあって、私も深くかかわってきたんですけれども、そういった中で地球観測というよりは地球環境の研究を見直す動きというのは特に広まってきています。ICSUはアカデミアの側ですが、ベルモント・フォーラムという側では、我々政府もファンディングエージェンシー であるJSTとかかわってきているところです。
 その大きな動きを確かに地球観測推進の実施方針にも記述していきたいと思っていますが、実際、これで日本側がアカデミーも含めてしっかり動いていく形は何とかとれないかなという感じが特にしています。例えば、ベルモント・フォーラムでも今、CRA、コーポレーティブ・リサーチ・アクションということで海岸の脆弱性と水の安全保障みたいな公募をやっているわけですが、そこでどれだけ日本のアカデミーが食い込んでいけるかとか、そこら辺、すごく心配しているところもあるわけですが、そういった動きを起こす1つの助けになるような感じでここに書ければいいかなとは思っております。以上です。

【大竹審議官】  
 いいですか。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【大竹審議官】  
 すいません、僕がしゃべると多分福井さんの仕事が増えちゃって申しわけないんだけれども、ここに書いてあること、現状としてはわかります。ただ、もともと、私も二十何年も科学技術行政をやってきて、競争資金を10年前におしてきたが、そのころから随分世の中おかしくなってきて、もともと競争資金というのはベースロードがあるところに、ある特定の研究を集中してやるためのアドオンの経費なのに、それが、生活費といったら非常に表現が悪いですが、ベースロードのところを支えているというのは非常におかしいんですね。それから独法化とか法人化とか、いろんなことがあって、ベースロードは運営費交付金でやっているというイリュージョンがあるんですが、ただ、例えば気象庁さんも含め、そういう業務経費も相当減っているというのは存じております。
 推進部会では非常に重要な実施方針を定めていくということなんですが、ある種ルーティンでインクリメンタルな議論になるのですが、もし、こういう議論があるんであれば、この部分についてぜひ事務局とも何人かの先生で御相談いただいて、どういうファンディングがいいかという提言を出していただければいいと思うんです。
 そういうことはちゃんとやるべきであるし、先ほどのデータの話もそうなんですけれども、実は先ほど、ほとんど絶望的なことばかり言いましたけれども、例えばライフサイエンスなんかでもいわゆるゲノムデータのたぐいは統合データベースということで、JSTにお金をつけて少しずつ束ねるようにしてまいりました。それから、これも情けないんですけれども、バイオリソース、そういうコンピュータ上のデータだけではだめなもので、その種子とかそういう受精卵のたぐい、それから動物の、こういうものもナショナルバイオリソースということでやってきたんですが、やっぱりお金が続かない。ここであんまり文句言っちゃいけない。1番の理由は、コミュニティーが研究費がほしいからそういうものに金出してくれるなという。どっちだといったら、研究費を自分のたちの今の研究費をくれということは大問題なんですが、要するに、そこの中でただパイを取り合っていてもしようがないんですね。
 やっぱりここにもありますように、先ほどの課題解決、非常に大きな人類もしくは日本の帰趨を制するような課題解決をするための経費は、別にライフサイエンスから奪い取ってきてもしようがないんで、それは向こうは向こうも同じことなんで。やっぱり世の中に訴えかけていくためには、こういうことが重要なんで、こういう今までアウトプットが出てきて、ここにクライシスがあって、いわばベースロードの方はちゃんと長期的にファンディングをしてほしい、競争資金とはこういう役割分担をしてほしい、それが特に地球観測では重要だという話をやっぱりやっていただきたい。
 データはその分、さっき申し上げた話じゃないですけれども、研究費の何%かをそういうもののためにコンスタントにやってくれ。やってできるかどうかというのは、我々の行政サイドの財務省との関係とかも実力も問われるんですけれども、そういう提言なり何なりが出てこないと、インクリメンタルで毎年、今年も予算が足りなかったけれども、何とか生き抜いたけれども、来年は大変ですねといって愚痴を言い合って終わるというのは、どうしようもないと思うんですね。
 これ、地球観測部会ですけれども、うちの局は今、海洋みたいなところもあって、ここも同じ問題を抱えているはずなんです。きょうは産総研の方もおられますけれども、それ以外にもいろいろな用船の問題、船の問題なんかでも同じことを抱えているんですね。そういう分野というのが1つあるということで、まず、一過性で終わらない御提言を取りまとめていただくようなこともスコープに入れていただいたらと思います。
 こちら、気の長い話をしておられるから、こちらも気を長く言うと、ようやく第4期基本計画、2年目に入っているんですが、もうそろそろ第5期基本計画って、大体役人が気が早いから考えている。いや、それは重要なんです。要するに、大体基本計画を書いたときには、問題点が明らかになって、これでやってみるけれども、これで解決できるわけないなとみんな思いながらやっていますから、もうその部分は第5期に向けて、そろそろいろいろ弾を込めていかなきゃいけないと。まさに科学技術・学術審議会でございますから、しかもここは総合科学技術会議とつながっているというんで、総合科学技術会議の大向こうを張って、向こうがこういうことが重要だったんだなと思うような提言を出していただければというのが私の思いでございます。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。どうぞ。

【安岡委員】  
 大きな話が出たんで、それに悪乗りするわけじゃないんですが、1つ提案です。この地球観測推進部会というのは、地球観測の推進戦略が今から七、八年前にできたわけですけれども、そのときから大きく何が変わっているかというと、まず1つは課題解決にかじを切ったというのがありますね。もう1つはやっぱり国際化というかグローバリゼーションというか、全てが国内では済まなくなってきているという2点が非常に大きいんだろうと思うんです。
 課題解決に関しては、課題解決のための観測とタイトルに入れたんですが、正直にいいますと、我々がほんとうに観測データから課題解決に向けての道筋をちゃんとつくっているのかというところの不安はちょっとありまして、その辺、じくじたるものがあります。そこが弱いと、何に使えるんだと言って予算を切られる。テーマを出しても通らないことがあって、やっぱり1度そこのところは、観測データから最後の解決にどうやって結びつけるんだというのは、仮の姿でもいいですけれども、やっぱり道筋は描くべきだろうと。それをやらないと、どうしてもじり貧になってしまうかなと。
 それからもう1つグローバリゼーションに関していいますと、先ほど、ベルモント・フォーラムとか、ICSUの話が出ましたけれども、世界的にもみんな苦労しているんですよね。だからやっぱり例えばベルモント・フォーラムはフューチャーアース(FutureEarth)みたいなタイトル、タイトルというかキャッチフレーズを挙げて、それとは直接はリンクしませんけれども、沿岸の環境、沿岸域とか水の問題とか、今、2つテーマを挙げています。やっぱりそこは取り込んでいくのかなという気がしています。
 それからもう1つ。これだけ国際化していったときに、日本が持っている地球観測システムというのは、やっぱり世界に冠たる部分があるので、これをどうやって売り込むかという発想が要ると思います。これから発展途上国が自分の国を観測しなきゃいけなくなってくるわけですから、それをどうやって日本のシステム取り込んでもらうかという視点もこの委員会で検討してみたらいかがかなと。それも道筋をつくる1つだと思います。
 以上です。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【小池(俊)委員】  
 SATREPSの話もあったし、今の話もあったんで、ちょっと関連のことを申し上げますが、御提案ですけれども。先ほど御紹介したチベットのJICAのプロジェクトは、ちょうど2008年が中間評価だったんですが、この年にSATREPSの案が総合科技会議で固まり始めた。7年から8年にかけてなんですけれども。そのときに、私どもJICAのチベットプロジェクトの中間評価だった。これは大学が主たるリーダーとなってやって初めての国際開発援助の技術協力プロジェクトでした。
 そのときに、評価5項目がありまして、妥当性、有効性、効率性、インパクト、自立発展性が国際開発援助の評価5項目なんですね。もちろん、最初の4つ、妥当性とか有効性とか効率性とかインパクトというのは、もう我々科学技術の研究をやると必ず必要なわけですが、自立発展性というのが国際開発援助の中で必ずあるんですね。これが担保されないと、要するにできない。要するに、国際開発援助にならない。
 今の話と今のこの長期観測というのと非常に実は密接に関係していまして、チベットではうまく行きました。そういう形で、中国から経済が発展するのもちょうどあったのでうまく行きましたが、私は今、JAXAと協力してカンボジアの降水量の変化と、それからそれを水としてどうやって使うか、あるいはトンレサップ湖って大きな湖があるんですが、その周りの大気がどう変化するかを一緒にやっていますが、JICAが2005年までに10カ所の非常にハイシステムを入れて観測システムをつくったんですが、私どもが入った2008年、9年には、もう全部とまっていました。
 現地の水資源気象省というんですけれども、それを入手すると、一生懸命話して何でつなげられないのというと、要するに国がお金を出さないというんですね。自立発展性があるというプロジェクトで進んでも、国は出さない。何で出さないのというと、基本的にその価値が国にわかってないからということなんですね。ということは、何を私たちしないといけないかというと、例えば私は水の研究をしているんですが、水をはかって農業に役立ちます、水をはかって生態系に役立ちます、健康にも役立ちますと。そういう今、安岡先生おっしゃった課題解決型というのは、マルチじゃなきゃだめなんですよ。要するに、1つだともたないというのが今の国際的なプログラムで1つの大きな考え、私はネックだと思っています。
 ですから、分野連携したような観測システムと、それから生み出す社会的、科学的価値をそういう枠組みをつくっていかないと、やはり国内でもなかなか長期観測はもたないと思います。1つは、マルチというんですか、分野連携。スーパーサイトという言葉が一時あって、みんなで連携してやろうといった。連携してやるところまでなんですが、そのアウトプットをどう使うかというところまでちゃんと描いて、提案していくということが1つの道ではないかと思います。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございます。

【本藏委員】  
 ついでにそのような意見が出たんで。私、小池先生のおっしゃるとおりだと、大賛成なんですが、もう1点は、やっぱり人材育成だと思うんですね。それは決定的に重要で。つぶれてしまう、プロジェクトが進んでいるときは進むけれども、それが終わるととまってしまうというのは、それは多くのプロジェクトは、日本人主導でやっていて、現地に人材が育ってないということが1つの大きな要因なんですね。
 ですから、必ずそういうプロジェクトなどは、それはよくわかって、すごい人材育成というのは絶対に必須の条件で、特に私は画期的だと思ったのは、SATREPSプロジェクトをターゲットとした国費留学生、博士課程を育てるというプロジェクトを一部文科省の英断で取り入れていただいた。これは私は画期的だと思っているんです。そうすると、何が起こるかというと、そういう人たちはもちろんプロジェクトを通じて自分たちがプロジェクトを行っている目的というのは明確にもう理解しているわけで、それがいかに継続されるべきかということについての重要性も当然理解している。そういう人たちが、だから小池先生が言われたようなネットワーク、ほかの分野との連携をその国で行う核になるわけですよね。そういう人たちがいないと、何をやってもつぶれてしまいますね。ですから、そういう仕組みをそういう競争的資金でも入れていくことができるわけで、そういう直接的な視点に立って、人材育成をしっかり進めていくという方針も一緒に入れていくとかなり効果的になってくると。
 そのためには、やはり、私は持論なんですけれども、留学生政策というのは、もっと戦略的であるべきだと。単にもはや順番に行けるとか、そういう数だけの問題ではないし、日本の世界に対する貢献というだけで語る時代ではなくて、何を目指した留学生政策なのかというところまで踏み込む必要があるということは私が常に訴えておるんですけれども、それがだんだんとそういうふうに、いろんな地球観測においてもそういうものがどっと入って、例えば地球観測を推進するための留学生政策の在り方なんていうのが、ぽっと出てきたら、私はかなり進展するだろうと。小池先生が懸念されている点は、一部に過ぎないかもしれませんけれども、かなり私は進展を見ると思っています。

【小池(勲)部会長】  
 海外での今、持続的な観測に関しては、何年か前に始まったJST-JICAのプロジェクトをベースにして、かなりいろんな形で進展して、もちろん幾つか問題はありますけれども、進展していると。
 ただ、もう1つ大事なのは、やっぱり国内。海外がよくても国内の方がだんだん劣化してくると、結局何をやっているんだかわからなくなりますので、どなたか国内の連携と国内での長期観測を持続的に進めるためのうまい体制づくりというものがあったらコメントいただきたいと思いますけれども、大垣先生、何かありますか。どうぞ。

【大垣部会長代理】  
 今いろいろ御発言があったとおりなんですが、1つ、今まで出てない今の人材育成との関係なんですが、長期観測というのは、要するに非常にすぐれた先端的な研究者だけで成り立つわけではなくて、周辺のもちろん事務、行政、管理業務を含めた形の周辺に専門家が必要なわけで、特に観測のための技能者などがありますね。これは実は雇用の問題にかかわってきて、日本のやや公的機関の雇用の体制が今、流動性を高めるために非常にあいまいないろんな様々な制度を入れているんですが、それが実は雇用の不安定を呼んでいて、優秀は技能者を育てられないということがありますので、ちょっと簡単に解決できない状況です。ここから発言してどれだけインパクトがあるかは別にして、やはりこういう長期観測は必要だということに立ったときに、どういう人材が必要かということは、常に言い続けないといけないかなと思っています。それが1つ。

【小池(勲)部会長】  
 おそらく今のはソフトですね。制度の問題なので、お金のかかる話ではなくて、考え方の問題なので、やはりそれをきちんと、どうしてそれが必要かということがきちんと説明できれば私はそれはいいと思うんですけれども。確かにおっしゃるように、今、非常にポスドクにしろ、非常に不安定な状態なので、なかなか人材育成という面では非常に難しい問題になっておるということは多分皆さん、了解されていると思うんですけれども。
 ほかに。どうぞ。

【中静委員】  
 現実的に考えたときに、今までの議論は大切だと思います。現実的に考えると25年度実施方針の検討ポイント、最初に書いてある、社会的な要請を踏まえた具体的な分野の課題を提示するというときに、小池さんがおっしゃったようなマルチな視点が大事だと思っています。分野の課題に対する社会的な要請をマルチな視点から示すということが必要で、この部会できちんと議論しておくことが重要だと思います。
 そういうことを考えたときに、藤谷さんの先ほどのレポートにあったように、長期観測すべき観測項目の特定についても、そういう社会的な要請の中で、この部会からもきちんと言う必要があるのかなと思います。
 もう1つは、今、継続されている事業の中でもてこ入れが必要なところが随分あるんじゃないかと思うんですね。例えば、生態系分野でいうと、環境省の植生図が今、全面的にリモートセンシング情報にのっとって電子情報化された形につくり変えられようとしているんですけれども、今のままのペースでいくと、あと20年か30年かかるっていうんですね。こういう観測事業はあと5年ぐらいでやってもらうようなことをしないと、現実的には使えないわけですよね。1回、新しいシステムに移行してしまえば、更新は早いですから、5年ごとくらいで更新してもらうようなシステムにしないといけない。多分いろんな分野でそういうことがきっとあるんじゃないかと思うんですね。そういう観測のテコ入れの必要性に関しても、ある程度きちんと指摘していく必要があるんじゃないかなと思います。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【井上委員】  
 科学技術予算が決して潤沢というわけじゃないんですけれども、非常に増えたのは、先ほどの話にあったように、競争的資金が非常にこの10年間ぐらいで増えている。そして、地球観測の分野でもその競争的資金に頼ってやっているところが多くて、それが非常に苦労していることが今回のアンケートなんかでも出ている。
 そうだとすれば、話はある種簡単で、競争的資金の何%かを固定的なものにするということを総合開発会議が認めるというか、そういうことを進めればいいわけですね。そのときに、どういう問題が起きるかというと、競争的資金というのを財務省的にもおそらく効率いいと考えたと思うんですね。つまり、予算を出して、その成果を厳しく問うて、そして、それによって進展が早くなるだろうとかいうものが出てくるだろうという、そういうところがあって、競争的資金に傾斜していったと思うんで、そこの部分を競争的資金でなくても担保する。安岡さんなんかおっしゃったような、何人かの方がおっしゃったような、どうやってそれを担保するかというメカニズムを同時につくって、そういうふうにやれば、おそらく財務省その他を納得させることもできるし、大きな財政負担なく、今観測をやっている人たちが安心していい観測成果を出していけるというふうになっていくのではないかと思うんですね。
 ですから、すぐ来年からと行かないかもしれないけれども、ちょっと準備が必要かもしれないけれども、それだったら、どういう計画をつくって、どういう分野をどういうふうに進める、そして、それをどこの省庁が手を挙げて自分のところのファンドをそういうのに切りかえていくという調整をやっていけば実現できるんじゃないかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。

【小池(勲)部会長】  
 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、確かにしばらく前からやはり競争的資金でないと認めないというような方向にシフトしてきて、確かに競争的資金の方は3年とか5年で一応切れますので、その意味では、だめなものはすぐつぶせるというので効率がいいという、非常にそういう形でどんどん増えてきたんだと思うんですけれども、やはり、それを見直して、定常的にやらなきゃいけないものは、ただそれの評価の仕組みはきちんと入れて、だめなものはつぶせるようにしておかないと同じ話になりますね。ですから、そこが非常に大事な点だと思いますけれども。ありがとうございました。どうぞ。

【沢田委員】  
 似たような話ですけれども、競争的資金は3年とか5年とかということで、私たち10年ってやったことがあるんですけれども、それをやらしていただいて、だから、絶対できないわけではないような気がするので、そういう形で長期的にやっていただくのは、やっぱりそういう枠組みをつくっていくことが大事だと思っております。
 それから、先ほど、観測に対して複数の目的を持たせるということがありましたけれども、あんまりそこに重きを置いてもらいたくないなという気もするんですね。各項目においては、1項目において、あるいは特定の専門項目において多目的が出るというよりは、先ほど、DIASのあったように、データを統合することによって多目的な目的が更に広がってくることがあるわけですから、各観測項目にそこで重きを置かれると、逆に大事なところが抜けていくということもあると思いますので、それよりは、例えば今ある温暖化拠点とかということがあるわけですから、そういう拠点のところで、これは大事であるということをお墨つきをもらうというようなことを含める必要があるかもしれませんけれども、そういうことを含めて評価していただいて、必要な観測はするというメカニズムを入れたほうがいいと思います。
 ですから私は、どちらかというと、拠点にもう少し重きを置き、拠点自身ももっと継続、DIASと拠点との関係も先ほど重要であることを御説明いただきましたけれども、そういう拠点的な形で、この分野ではどこの分野を強調すべきであり、あるいはこの分野は10年間やるべきであるという提言をいただけるようなことが必要なんじゃないかと思います。以上です。

【小池(勲)部会長】  
 確かにおっしゃるように、各観測そのものがマルチである必要はもちろんないんですけれども、ただ、私はやはり観測している、それに携わっている人も自分の出しているデータがやはりこれ以外にも何かほかに使い道があるんじゃないのかなという意識を持つこと自身は大事なような気はします。ですから、ただそれをどこがうまくまとめて統合していくかというのは、もうワンステップ上のランクですね。今、言われた拠点とか。それから、ほんとうはデータをアーカイブするところもそういう機能が本来あるべきだと思うので、そういうところがきちんとした複合的な観測データに基づいた具体的な目的解決のための手段ですよね、そういう方向へ行けばいいんじゃないかと思いますけれども。
 ほかに何か。どうぞ。

【大垣部会長代理】
 今の議論とも関係しますし、先ほど安岡委員から課題解決の道を描くという、もうそのとおりなんですが、ただ、この議論の中の実施方針の検討ポイントに、東日本大震災の例が出ていますが、もしも次に課題解決型ということのもとで地球観測がというと、今回の大震災に対してどれだけ役立ったのかということを見せる必要があるんじゃないかと。将来の姿、これ役立ちます、あれ役立ちますというのは、もう多分、出しても、わかる方わかるし、わからない方わからないという状況ですが、今現時点で、多分これからまとめるとしたら、どう役立ったか、データの統合がいかに価値があったか、あるいは長い間のデータ蓄積がどれだけ役立ったかということをこの際できるだけ集めて、地球観測の重要性をわかりやすく示す必要はあるんじゃないかと思っていますが。

【小池(勲)部会長】  
 それはどこが受け持ちますかね。連携拠点で、温暖化の連携拠点はあっても、自然災害の連携拠点が今のところ。どこですか。本藏さん、地震の方はそういう……。

【本藏委員】  
 地震については、地震本部というのがあって、それが連携拠点を兼ねていることに一応なってはいるんですが、そこでは当然のことながら今回のものを受けて、相当な見直しを現在も進行中ですけれども、進めていますし、日本列島は将来似たようなものに襲われる可能性が随分あるわけで、今、内閣府でいろいろやっていますけれども、そんなのんびりしている状況にはないので、急いでやらなきゃいけない。そのときに、これまでの観測データがどんなに役立ったかというのは、当然、我々頭に入っていて、それよりももっと重要なのは、何が欠けていたのか、どういうデータが不足していたがためにこのような大災害の間接的な要因になったのかと。
 もちろん直接的な要因は、避難がおくれたとかいろいろあるんですけれども、間接的な要因としてどういうところに問題があったのかと当然、見直しはやっている最中で、こういうデータが、例えば海底の地殻変動のデータがなかったのは、決定的に重要なものが欠けていたと。それを今、直すべく文科省のプロジェクトで動き始めているところで、文科省に限らず、海上保安庁もそれに力を今入れているところで省庁の連携で不足している部分をいかに強化するか。あるいは海底ケーブルによる地震観測ですね、そういうもの。
 そういうものがあったがために、不幸にして大震災になりましたけれども、一方では観測がずっとあったがために、将来の似たような防災に向けての知見というのは相当得られてきているのも事実なんですね。そういうのは今、整理中でありますけれども、そっちはそっちで、もう大々的に見直しもやっているので、地球観測に細かいのを入れてもちょっとしようがないので、必要とあらば、要約みたいなものを入れることは可能だと思います。

【安岡委員】  
 震災に関しては、学術会議がものすごい努力をされて、私もメンバーの1人でしたけれども、そのときに感じたことが1つありまして、地球観測に関することですが、震災の直後はディザスターチャーターという形で、衛星データとかいろんなデータが膨大に収集されたんですね。震災の後、どう環境が変わっていくかというフォローアップのために衛星データとかがどのくらいあるかといったら、突然もう1か月ぐらいしてからなくなっているんですよ。国内の観測センサーも非常に少なくなって定常に戻ってしまう。
 ここはやっぱり反省する点があって、これ、課題解決につながる話なんですが、ある目的のためにほんとうに必要なデータをちゃんととり続けるという、やるべきことをやり続けるというのは、エネルギーも要るし、大変なんですけれども、これやってこうだぞと示さないと、なかなか皆さん納得してくれない部分があるなということで、大垣先生の御指摘は大変私は重要だと思います。
 それから、井上先生が先ほど言われた、ある種全体をプールして、基礎代謝に回したらどうだという話、これ、国全体としてやれれば1番いいんですが、なかなか今そういうことができないとすると、例えば、私もいた某大学なんかは、間接経費ってかなりの額があって、大学の中に基礎代謝的な部分が結構あるんですよね。だから、大学の中で、これは絶対に重要だということになれば、そこがちゃんと基礎代謝としてそれを準備する。大学なんかは、やっぱり観測というのは非常に基礎的なことで重要なので、これは続けるべきだということを決めれば、ある大学とある研究所が一緒になって少しずつ出し合ってやるということができるわけで、非常に具体的な提案過ぎて、後でえらいことになりそうな気もしないでもないですけれども、やっぱり考えてもいいんじゃないかなと。全部が全部、国にお願いしますというのも難しい話かなという気はしています。
 以上です。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【中澤委員】  
 私は大学にいますので、長期観測するについて非常に心配していることがあって、1つは最近テレビを見ていたら、高校男子の将来になりたい職業が2位が研究者なんですね。ところが6年後あるいは4年後、研究室に入ってきたときには、ほとんどがそういうことを言わないんですね。マスター2年で終わったら就職したいですと。どうしてと言ったら、先輩見たらちっともいいことないじゃないですかと。それで、私は大垣先生の研究所でも言ったんですけれども、何とかそういう希望を持っている学生は、特に環境系なんか非常に来たがる学生が多いんですけれども、やはり雇用ができないという。そこのあたりで非常に観測というのは、どうしても時間があくから、それにもかかわらず、後継者の養成ができないというのが非常に深刻で、私、10年後は非常に厳しいんじゃないかと自分では思っています。
 それともう1つは、長期にわたって観測をとる、例えば地球変動というのは、ゆっくりと変化していきますから、それをとり続けるというのは、どうしても必要なんですが、ただとり続けるだけでは意味がないわけです。地球変動が量的にちゃんと解釈するという研究も進めなければならない。多くの場合、すばらしい研究ですねというのは、大体それをやった研究なんですね。ただ、とっただけの研究じゃないんですね。そこまで突き詰めた研究が初めて評価される。
 外部資金で最近は3年ぐらいとか、とてもじゃないですけれども、実態を把握する段階でとまってしまうという状態になっているんで、例えば5年なりやった後、再評価してもらって、これは行けるといういい成果を出しているものというのは、やはり更に5年とか10年を続けさせてもらえるチャンスが欲しいんですね。おそらく大学の人たちは、特に研究所と違って別に財源はないものですから、運営交付金といったって微々たるものですから、だからそういうチャンスを与えてより伸ばして、より大きな成果を出せるようなそういうシステムにぜひ僕はしてほしいと思っています。

【小池(勲)部会長】  
 どうぞ。

【小池(俊)委員】  
 私、JAXAの宇宙の方の評議員をやっていたことがあるんですが、彼らの要するに宇宙科学の方の研究形態って非常にユニークで、要するに、私たちはちょっと行って、大変な思いもすることもありますが、行って観測ができますけれども、彼らは望遠鏡かロケット、衛星しかないんですね。そうすると、そのコミュニティーは、そこに全力をコミュニティーとして打ち込むわけです。そうすると、ある衛星ミッションを立てるとなると、もう非常に厳しい議論をして、そのミッションを研ぎ澄まして提案してくる。そういうコミュニティーの総意で出てくるというのをずっと目の当たりにして、地球観測も私自身は見習う必要があるのだと思います。
 これは地球環境の観点から大事というのをコミュニティーの中で議論して、研ぎ澄まして出すということの努力を我々はしないといけないんではないかと思います。

【小池(勲)部会長】  
 結局はまた自分たちに振り返ってくるという。どうぞ。

【佃委員】  
 災害関係で、国内の東北の震災のことではなくて、それに関連して巨大な地震災害に関連して言いますと、やっぱりアジアについて我々はどう働きかけるかというのは非常に重要で、実際に環太平洋地域あるいはアジア地域にそういうリスクが非常に高いということがあります。それで単にこれは地球観測の中で、我々アジアの国々に協力するという視点も大事なんですが、一方で、これだけグローバルに日本自身、経済活動をしていて、したときに、これを国益に資するんですよという説明、問題解決という意味では、資するんですと。もちろん、巨大な地震あるいは巨大が火山噴火が起こった場合、それこそ大量の難民が発生したりとか、あるいは経済活動、サプライチェーンぐらいのレベルでもっとひどいことが起こる可能性もあるというリスクの情報を共有し、我々がそれを得て、それを今度はやはりそこで必要なところに渡す。もちろん外務省を含めて渡すという。
 どうやってつなげていくかというのが大事で、やはり今回の既にインド洋の津波から含めていろんな災害があり、最近ではいわゆるタイでの洪水災害もありましたけれども、そういったときに、地球観測サイドからどういう情報をくれていたんですかと言われたときに、まだそんなには強くは言われてないですけれども、やはりそういう情報を集めて、我々のコミュニティーがそういう社会に貢献して、リスク軽減に役立てていくんだという、国益に資するという説明もしていかないと、なかなか予算もいただけないし、単にJICA、JSTレベルで協力しているんですよという、もちろんそれも大事なんですけれども、それプラス国益にも資するんだという姿勢も、そういった説明も少し必要なのではないかなと思いました。

【小池(勲)部会長】
 それでは、時間になってしまいましたので、今日いただいたたくさんの議論を事務局で少しまとめていただいて、それで次の会合、7月の会合のときに、ある程度それを中身に入れた形で出していただければと思いますけれども、よろしいですか。

【福井環境科学技術推進官】  
 はい。

議題(5) その他

【小池(勲)部会長】  
 それでは、何か事務局からありますでしょうか。

【福井環境科学技術推進官】  
 次回は7月6日でございます。よろしくお願いいたします。その際、先ほど部会長からありましたように、本日の議論を踏まえまして、ドラフト案を作成し、議論いただこうかと思っております。あとは更に議論に資するようなインプットを今後、地球観測において重視していかなければいけない点みたいなものを各関係機関からプレゼンいただきまして、というふうに考えてございます。
 本日の議事録は、後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきますので、修正等あれば御指摘いただければと思います。最終的には、文部科学省のウェブページに掲載することで公表させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、第5回の会合を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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