第7期地球観測推進部会(第5回) 議事録

1.日時

平成30年8月8日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成30年度「我が国における地球観測の実施計画」の取りまとめについて
  2. 「地球観測データ及びメタデータのアーカイブと連携利用の促進」に関する今後の対応について
  3. パリ協定における我が国の貢献のための温室効果ガス観測及びデータ利活用の現状と課題について
  4. GEO本会合開催準備状況について
  5. その他

4.出席者

委員

大垣部会長,春日部会長代理,赤松委員,上田委員,甲斐沼委員,河野委員,小池委員,佐藤委員,高村委員,舘委員,中田委員,箕輪委員,村岡委員,六川委員,若松委員,渡邉委員

文部科学省

大山大臣官房審議官,横地環境エネルギー課長,佐藤環境科学技術推進官, 平田課長補佐,池田地球観測推進専門官

5.議事録

出席者

【関係省庁】内閣府 太田参事官
【説明者】気象庁 福山推進官,経済産業省 國澤室長補佐,文部科学省 山之内企画官,国立研究開発法人国立環境研究所 三枝センター長



【大垣部会長】時間になりましたので,第7期地球観測推進部会の第5回の会議を開催いたします。皆様御参加いただきありがとうございます。
 それでは,まず事務局に人事異動があったとのことですので紹介いただき,続けて事務局から,委員の出欠と資料の確認をお願いいたします。
【佐藤環境科学技術推進官】事務局の人事異動について御報告させていただきます。環境エネルギー課長に横地が着任しております。
【横地環境エネルギー課長】横地でございます。よろしくお願いします。
【佐藤環境科学技術推進官】続きまして,地球観測担当専門官に池田が着任しております。
【池田地球観測推進専門官】よろしくお願いします。
【佐藤環境科学技術推進官】続きまして,環境担当の課長補佐に平田が着任しております。
【平田課長補佐】よろしくお願いいたします。
【佐藤環境科学技術推進官】人事異動の報告は以上でございまして,本日は16名の委員に御出席いただいております。過半数に達しておりますので,部会は成立となります。
 続きまして,資料の確認になります。配付資料の一覧は議事次第に記載しております通りです。資料に過不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。以上です。
【大垣部会長】皆様,よろしいでしょうか。
 それでは,議題の1に入ります。平成30年度「我が国における地球観測の実施計画」の取りまとめについてであります。
 それでは,資料の説明をお願いいたします。
【佐藤環境科学技術推進官】議題1について御説明いたします。資料の説明に入ります前に,この議題1の審議の進め方について,簡単に御説明させていただきます。
 本日議題1の資料は全部で5つ用意しております。資料1-1として冊子がございます。例年はこの冊子でもって説明をし,御審議いただき,取りまとめということにしておりましたけれども,今回は,資料1-2として集計概要を用意させていただきました。続きまして,資料1-3-1から1-3-3を用いて,今年度の新規・拡充項目について所管省庁より概要を説明いただきたいと思います。
 それでは,資料1-1 の構成について説明したいと思います。1ページ,2ページをお開きいただきますと,各省にリバイスをお願いして変更があった箇所を黄色のハッチングにしています。しばらくページをめくっていただきますと,例えば28ページに灰色のハッチングがあります。灰色のハッチングは削除となった施策を示しています。それでは,ここ3年間のトレンドですとか,注目すべき施策について,資料1-2で説明をしたいと思います。
 実はこの資料1-2をまとめましたのは,今回初めての取組になります。前回の部会において,何が増えているのかといったトレンドが分かると良いという委員の御指摘がありまして,できる限り皆様に丁寧に御説明したいと思い,取りまとめたものであります。過去にさかのぼってデータを分析するということは,事務局としては結構大変でチャレンジングな取組ですので本資料は現時点の速報値ということで,取り扱いいただければと思います。
 それでは資料1-2について説明いたします。まず,(1)は合計登録数で,全体として467件の登録がありました。うち再掲は274件です。
 (2)が省庁別の登録数です。こちらを御覧いただきますと,文科省ですとか気象庁,環境省などの取組が多いという結果が得られています。
 続きまして,(3)は平成28年度からの登録数の推移を示しています。再掲を含めた全体の登録数は横ばい,若しくは少しのV字回復を示しています。しかしながら,再掲を除いた全体の登録数は,減少していることが分かります。この減少分を観測,機器開発,データ利用研究,その他の種別ごとに分類して推移を見ますと,その他以外いずれも減少しているということが分かります。
 続きまして,(4)は主な観測手段別登録数の推移を示したものです。観測手段別に見ていきますと,地上の観測が減少しているということが分かります。
 最近のトレンドは以上です。続きまして(5)を御覧ください。新規/拡充項目について御説明いたします。まず,新規項目ですけれども,環境省の温室効果ガス観測技術衛星3号機,気象庁の大気環境観測データ同化と化学輸送モデルによる解析・予測,経産省の政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備の3つが登録されています。(5-2)は主な拡充政策です。新規/拡充項目の全体の傾向を見ますと,気候変動に関連する事業が増強されていることが見て取れます。このような傾向を踏まえまして,本日議題3では,パリ協定における我が国の貢献のための温室効果ガス観測及びデータ利活用の現状と課題と題しまして,国立環境研究所の三枝先生にこの動向について御説明いただくことになっていますので,是非心待ちにしていただければと存じます。
 資料1-2の集計概要については,簡単ですけれども説明は以上です。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 それではただいまの説明につきまして,御意見あるいは御質問などありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
【小池委員】観測が1-2の資料で減っていて,その中でも地上観測が減っているというのが目につくということを御指摘いただきありがとうございます。どういうものが減ってきているのか調べておられたら教えていただきたいと思うのですが。
【佐藤環境科学技術推進官】御質問ありがとうございます。例えば,28ページを御覧ください。28ページの真ん中辺りに削除施策が書かれています。環境省の取組として,アジア陸域の指標生態系における温暖化影響の長期モニタリング研究,もう1ページおめくりいただきますと30ページの中段にあります農水省の取組として,東アジアにおける森林動態観測ネットワークを用いた森林炭素収支の長期変動観測等々で,地上観測が減っております。
【小池委員】村岡先生,例えば139の下のグレーの経緯とか,あるいは150番の下についてはどうでしょう。委員の中で経緯を御存じの方がいらっしゃったら,お聞かせいただけるともう一歩踏み込めると思うのですが。
【大垣部会長】どうぞ。
【村岡委員】ありがとうございます。実は私も今,グレーの部分を見て気になり始めていたところでした。特に森林について,これがなぜ続いていないかという経緯は存じ上げませんが,例えば生態系の温暖化影響,生態系の気候変動応答等々を考えて,今後陸上生態系がどう影響を受けるか,あるいは地球環境調節機能において生態系がどんな役割を果たし続けるか,ますますコーディネーションされた観測を国際的に進めていくということが,例えばGEOのような地球観測コミュニティの中でもすごく期待されている中で,恐らくこれはかなり心配な状況だと。できればオペレーショナルな地上観測を,衛星観測,航空機観測等々と重ね合わせながら発展できるような方向が見出せないかというふうに,現場の当事者としても心配しているところです。
【大垣部会長】よろしいですか。
 小池委員,どうぞ。
【小池委員】感覚的なことですけれども,世の中の動向が地球よりも外を向いているように思っていて,地球を見る目が随分減ってきていると。衛星観測もそのように思いますし,それから数字の上ではそれほど顕著には見えていないようですけれども,ベクトルはそちらの方に重点が置かれているように感じますし,地上観測もこういう数字として顕著に表れているということを鑑みますと,この地球観測推進部会は地球観測を活性化していこうという形で意見具申を受けてできたものですから,我々は深刻に捉えて,そういう変化に対してしっかり分析をし,しかるべき手を打つことが必要ではないかと思います。例えばJAXAとか環境省とか,そういうところで本当に地球をこれから見ていかなくて宜しいのかという議論を,我々の中からやはり挙げていかないと,前に進まないような気がするのですが。特に今年は GEOの総会もあります。日本にこれが巡ってくるという機会はそう滅多にないので,その中でこういう変化に我々が直面しているということであれば,なお一層しっかりそれに取り組む体制を整えていくべきではないかと思います。
【大垣部会長】個別の件に関しては,それぞれの予算だとか担っている組織の対応の結果かも分かりませんので,今御質問がありましたが,その辺は少し調査をしていただけると今後の参考になると思います。
【河野委員】2点申し上げます。
1点目は今小池先生がおっしゃった観測の減少ですけれども,実はここに表れているよりもずっと深刻だと思います。なぜかというと,ここは事業が終わらないと数に入らないので,例えば当機構の場合,事業は継続していますが観測点数が半減したということになります。実態の観測数は半分になっていても事業上は継続ということになります。だから,こちらでこの事業単位で見てこれだけ減っているというのは,恐らくその背後に潜むものはもっと深刻なはずで,全体としてグローバルな意味での観測というのはかなり減っているだろうというのが,ここから見ても即座に分かる状況だと思います。
 2点目は,恐らく例えば日本だったら,日本という国の環境や経済に直接影響する観測に対しては,何らかの形で資金が投入されると思うのですが,グローバルスケール,地球規模課題となると,もうそろそろいろいろ分かっているのではいう話になり,難しい状況になりつつあると思うので,ここはせっかく地球観測推進部会ですので,地球観測そのもの,グローバルな問題を取り扱うことは今後も続けていくべきと考えます。以上です。
【大垣部会長】ありがとうございます。
 それでは次の話題で,大気環境観測データ同化と化学輸送モデルによる解析・予測につきまして,気象庁の福山推進官から御説明をお願いいたします。
【気象庁 福山推進官】御紹介にあずかりました,気象庁地球環境・海洋部の福山と申します。資料1-3-1を御覧ください。大気環境観測データ同化と化学輸送モデルによる解析・予測について御説明させていただきます。
 気象庁では,地球温暖化やオゾンホール,オゾン層関連といった,広域なあるいは全球規模の環境問題に関する,国際的な議論や国内的な対策検討を踏まえつつ,温室効果ガスやオゾン層,黄砂など大気中の微量成分の監視に,これまでも順次取り組んできてしっかり継続をしてきております。近年,これらの大気中の微量成分に関する衛星を含む,国内外の観測データが充実してまいりましたので,気象庁でも,観測データを同化して化学輸送モデル等のモデルに取り込み,解析予測を行うべく,技術開発・高度化に取り組んでおります。
 気象庁は,観測データの公表等はもちろん,データを同化してモデルを通じた解析・予測結果についても国内外に情報を提供しております。具体的な内容を資料1ページ目の真ん中辺りの図に入れておりますが,衛星や航空機,観測所や船舶などのデータを取得して品質管理をし,それを観測データ同化のプロセスに取り込んでおります。これについては,モデルで予測をした推定値と,取得した観測結果というものを組み合わせて,最適な状態を統計的に推定するという手法になります。その結果を化学輸送モデルの初期値にして,モデルを走らせ,評価,あるいは予測計算をします。こうして出てくるアウトプットであるメッシュデータ,格子点データともいいますが,こういったものについては,図情報にしまして,気象庁ホームページをはじめとした様々なところで情報を公開し,これに基づく普及啓発や意識醸成を図ってまいります。あるいは,格子点データにつきましては,国内外の様々な研究者,あるいは産業界を含む様々な利用者に積極的にデータを提供し,政府や自治体など気候変動の影響への適応策,緩和策への検討,立案やその推進に貢献してまいりたいというものです。さらには,IPCCや気候変動枠組条約締約国会議(COP)等の一つの検討資料として活用していただき,国際枠組,国際貢献も果たしていきたいと考えております。
 先ほど申し上げた温室効果ガス,オゾン層,エアロゾル,黄砂それぞれに関する具体的な取組状況については,資料2ページ目に簡単に示させていただいております。まず1つ目で,オゾン層,紫外線についてですが,現状ある程度衛星データ,米国の衛星になりますが,オゾン観測データの同化技術というものが確立したところでして,紫外線解析分布図の毎時提供に取り組んでいるところです。今後,他の海外の衛星の観測データ等の利用を進めていきたいと検討しております。
 エアロゾル,黄砂につきましては,平成28年度に黄砂予測モデルを高解像度化したところです。現在JAXAさん等にも御協力いただきつつ,気象庁では静止気象衛星「ひまわり8号・9号」のデータ同化技術開発を進めております。平成31年度を目標に,より精度の高い黄砂解析予測図を提供してまいりたいと考えております。将来につきましては,JAXAさんで打ち上げていただいております気候変動観測衛星「しきさい」も活用していきたいと検討しております。
 温室効果ガス,特にこれは二酸化炭素についてですが,これについては現状では,地上,船舶,航空機による観測データの同化技術開発が進められております。今後については,JAXAさんや環境省の国環研さんの方で運用していただいております温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)や,近日打ち上げられる同2号機のデータ同化についても取り組んでいきたいと考えているところです。
 概要につきましては,以上になります。
【大垣部会長】ありがとうございました。短い時間で申し訳ありませんでした。
 御質問等,ございますでしょうか。
【河野委員】すばらしいことだと思いますけれども,これを今ここで御発表するというタイミングはなぜでしょう。取り組みはもちろん存じていて,これを機会に一般に広く公開するとか,あるいは新たに提供を始めるとか,何かそういうような事情がおありなのでしょうか。
【気象庁 福山推進官】これまで気象庁や気象研究所で,様々なモデルの細かいところの技術開発というのは着々と行ってきたところではありますけれども,ある程度いつどういう情報を出していく,という目途が幾つかの部分で立ってきたこともあり,エントリーさせていただいた次第です。
【大垣部会長】よろしいですか。
 どうぞ。
【上田委員】紫外線やエアロゾル,黄砂のデータ提供を今後されるということで,私は公衆衛生の健康影響の分野に関心がありますが,実際に健康影響の分野で観測のデータを使うということ自体なかなかなかったのですが,最近ではGlobal Burden of Disease,世界の疾病負荷を日本でも推定しようという動きがありまして,こういった大気汚染の疾病負荷はどうかというときに,実際にデータをいただいてもなかなか使いこなせないという例があります。お尋ねしたいのは,データの提供方法,特に扱いに慣れてない分野の研究者に対しての提供方法についてはどのようにされるか,どういった形でされるのかということに関心がありまして,御質問させていただきました。
【気象庁 福山推進官】一般向けでは,やはりグラフィカルに分布図等での情報提供というのが基本になると思います。さらに,二次的な利用を想定する場合については,利用者さんと御相談させていただきつつ確定していくべきものだと考えておりますので,是非個別にでも御相談いただければと思います。
【上田委員】少し追加ですけれども,こういったデータは大体メッシュデータが多いですが,健康の分野ではメッシュで使うことはあまりなく,実際には都道府県別やあるいは市町村のデータが欲しいといった要望もありますので,そういった提供の仕方も少し考慮していただけると助かります。
【気象庁 福山推進官】了解しました。ありがとうございます。
【大垣部会長】小池委員,いいですか。
【小池委員】河野委員がどういう意図かお尋ねですので。私はまずこういう観測データを同化するという科学が随分成長して,それを積極的にお使いいただいて時空間的にも物理的にも整合性のとれた出力が作り出されていくというのは大変いいことだと思いますし,気象庁はそれを先頭に立ってやっていただいて大変有り難いと思います。
 あと10年で「ひまわり8号・9号」が替わる時代ですが,今の「ひまわり8号」を打ち上げるときのどたばたを考えますと,早くから開発に着手していく必要があると思っています。日本で一番使われている地球観測衛星で,MTSATから「ひまわり8号」になるときに,前の運輸省が降りて単独で上げなくてはいけなくなって,JAXAに相談したら,そんな短期間ではできませんと断られて。孤立無援になって,財務省からは中国の衛星を使えばよろしいでしょうと言われた。そういう経験を基に,今から10年,10年といってもセンサを作り出してから仕上げるには4,5年はかかりますから,デザインは今から始めないと無理ということになります。
 同化ということを念頭に置くと,今一番欠けているのは鉛直,短時間の時間分解能の高い鉛直プロファイルデータだと思います。軌道衛星ではもちろん赤外のマイクロ波のサウンダも動いておりますけれど,やはり高時間分解能のデータとなると,静止衛星に積まないといけないと。そうすると,静止衛星に赤外のサウンダが詰めるか,あるいは日本独自でマイクロ波のサウンダを載せるかというような議論があります。もう遅いぐらいかもしれませんが,是非そういう議論を国内で盛り上げて,この地球観測推進部会も積極的にコミットして,それがあるとどれくらい豪雨の予測がよくなるというようなことを出していただきながら,ニーズは高まっていくばかりなので,是非高める方向に持っていきたいと。私自身は,今抜けているのは静止のマイクロ波のサウンダだと思っております。マイクロ波は日本がずっと十八番にしてきた分野ですので,「もも1号」以来,「ふよう」,ADEOS,TRMM,GPM等が実現しておりますので,世界に冠たる技術力を使って,こういう問題にどんどん適用していくような,ある意味アグレッシブなことを考えてもよいのではと思っています。
【気象庁 福山推進官】ありがとうございます。おっしゃるとおり既に「ひまわり8号・9号」が上がりましたが,後継の「ひまわり」の衛星についても検討をそろそろ始めていくべき時期になってきておりますので,いただいた御意見も当庁の担当にも是非伝えておきたいと思います。ありがとうございます。
【大垣部会長】ありがとうございます。
簡潔にお願いします。
【赤松委員】簡単な御質問ですけれども,1ページ目の右下のところに産業界等へのデータ提供とございますが,気象はもちろん提供されていると思いますが,それ以外に何か提供されているか,使われているという実績がございましたら教えていただきたい。
【気象庁 福山推進官】地球環境分野としては,実績はまだあまり多くない状況ですけれども,おっしゃるとおり気象ビジネスコンソーシアムとかそういった枠組みを通じて,積極的に利用拡大を目指したいと思います。例えば,オゾン層関係ですと,紫外線と密接なつながりがありますので,美容,健康等の分野での活用も考えられます。
【赤松委員】分かりました。ありがとうございました。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 では,どうもありがとうございました。
 それでは続きまして,政府衛星データのオープン&フリー化及び利用環境整備につきまして,経済産業省の國澤室長補佐から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【経済産業省 國澤室長補佐】経済産業省宇宙産業室の國澤でございます。本日はお時間をいただき,どうもありがとうございます。
 ちょっと毛色は違うかもしれませんが,経済産業省の取組に関して資料1-3-2をベースに御説明させていただきたいと思います。では,資料1-3-2を御覧ください。
 まず,1ページ目でございますけれども,この政府衛星データのオープン&フリー化に至った簡単な経緯及び産業政策的な背景について御説明させていただきます。従来,衛星やロケットの開発というところが,宇宙産業施策のフォーカスポイントでございました。他方,この宇宙機器産業と呼ばれる産業は,年間3,000億円程度で推移しておりまして,しかもその8割9割が官需に依存しているという構造になっています。もちろん宇宙産業というのは官が支えるべきところではありますが,あまりにもちょっと官需の依存度が高いということで,持続的な産業を目指していくためにはやはり民需を広げないといけないというのが我々の今の考えでございます。では,民需を広げるときにどうすればいいのかというと,衛星やロケットを造ることだけが目的ではなくて,衛星を打ち上げて衛星から得られたデータをいかに活用するか,いかに社会の課題解決につなげていくかということが重要だと思っております。そういった背景から,現在経済産業省では宇宙のデータをいかに活用していくか,それを活用することによってアプリケーションの拡大ですとか,ソリューションビジネスの発展を目指していこうと,こういう方向に今施策を転換しているところでございます。
 1ページ目の下の図を御覧ください。例えば,衛星データといいますと,衛星測位サービスがありますが,準天頂をはじめとする衛星測位サービスであったり,今回の地球観測サービスといったデータを,いかに産業に活用していくかというところが議論になっております。今回はこの地球観測というところで,政府の保有する衛星データをオープン&フリーにして産業を振興していこうというのが背景でございます。
 2ページ目をおめくりください。これまで地球観測衛星データというものは産業利用を想定したデータとしてはオープン&フリー化されておりませんでした。したがって,産業での利用というのも限定的なものにとどまっていたという背景がございます。この主な理由は,1つ目が有償であること。つまり,リクエストベースでシーンごとにお金が必要であったということが1点目。2点目としては,衛星データは非常に大きなデータ量でございますし,解析のための特別なソフトウエアが必要だったりしますので,一般のコンピュータでは処理が困難というような背景がございます。
 こういった課題を一度に解決するために,我々は昨年5月に有識者検討会を立ち上げまして,10月に報告書を取りまとめました。その中で,今年度からユーザーフレンドリーなデータプラットフォームの開発・整備を行っております。さらに,そのプロトタイプを年度内に立ち上げて,3年後には民営化をしていこうという方向に検討会でまとまったところでございます。
 この検討会の概要につきましては,資料の4ページ目,5ページ目,少し字が小さくて恐縮ですけれども,参考までにまとめさせていただいておりますので,後ほど御覧いただければと思います。簡単にポイントを説明しますと,2ページ目の下の図を見ていただくと,提言の概要ということで右側に具体的な方向性という形で書かせていただいております。我々は,この衛星データのオープン&フリー化に当たって,階層を3つに分けて階層ごとのアプローチを取っていこうということで,検討会の中でも議論をしておりました。まず第1階層と我々が呼んでいるのが,政府衛星データのところでございます。これはJAXAさんなどが持つ政府衛星データを,利用しやすい形に処理した上で,オープン&フリー化をすべきではないかと。第2階層,プラットフォームのところですけれども,プラットフォームに搭載されたデータというのは,ユーザーが自由に利用できるような環境を構築しようと。産業利用を前提とした,例えば解析ソフトウエアとかそういう必要な計算機機能も搭載したプラットフォームを開発しようというのがこの第2階層のところでございます。最後に,第3階層。これはデータを利用する側ですけれども,商業利用を解禁するということで,第2階層であるプラットフォームとエンドユーザーをつなぎ合わせるような仕組み,あるいはイベントなどもしっかりと実施していくべきという御提言をいただきました。これに基づきまして,我々は予算を今年度12億円獲得いたしまして,こちらについてはプラットフォームの開発に着手しているところでございます。
 3ページ目を御覧ください。現在の事業構成について簡単に御説明いたします。12億円の政府予算ですけれども,今,データセンターなどを運用されているベンチャー企業のさくらインターネットさんを主契約者として選定し,プラットフォームの開発に取り組んでいるところでございます。プラットフォームの概念図が下の方の図にございますけれども,我々は衛星データをただ単にプラットフォームに置くだけではなくて,例えば衛星データ活用スキルを習得する場を提供したり,あるいはコンテストなどを通じた衛星データの利用促進を図る,あるいは,ビジネス事業者が政府衛星データを利用するために集まってくる場所,フリマと呼んでおりますけれども,こういった場所を作ることで,ビジネス事業者が自分たちの持つデータをプラットフォーム上に持ち込んで衛星データと組み合わせて何かしらアプリケーションを作って売るといった場を作るということも,総合的に考えながら開発を進めているところでございます。これについては,先ほど申し上げたとおり,年度内にプロトタイプを立ち上げて,実際に使っていただきながら,ユーザー,もう少しこういうプラットフォームの構成にしてほしいですとか,こういうデータを載せてほしい,といった声を拾いながら,この3年間の開発につなげていきたいと考えております。
 この事業を進めるに当たって,文科省さんですとかJAXAさんの御協力なしにはできませんので,検討会の場でもそうですけれども,今非常に事業を進めるに当たっても御協力をいただいておるところでございます。この場を借りてお礼申し上げたいと思います。
 説明は以上でございます。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明に関しまして,御質問,御意見を。
 どうぞ。
【中田委員】簡単な質問ですけれども,3年間はフリーでいろいろな人に使ってもらいながら成長させていくというイメージで,3年経ったら民営化され,そこでは有償になってくるという意味ですか。
【経済産業省 國澤室長補佐】まだ民営化の主体が決まっていないので,確たることを申し上げられないのですが,我々が想定しているのは,3年後以降もある程度一般的なユーザーは無料で使っていただける環境になると思っています。というのも,やはりユーザーを広げなければいけないということで,最初から有料ですとなかなかユーザーを取り込めないというところが1点あります。衛星は使える,実際にビジネスにつなげていこうということになると,多分いろいろなコンピューティングリソース,例えばマシニングパワーですとかストレージですとか,そういったものを使うことになると思います。そこに関して,例えば一定量以上のコンピューティングリソースを使う場合は有償にすると。つまり,ヘビーユーザーからレベニューシェアですとか,あるいは従量制の課金という形でお金をいただいて,その分で一般ユーザーの無料枠を獲得する,確保する,そういうビジネスモデルを考えております。
【中田委員】ありがとうございます。
【大垣部会長】よろしいですか。
 ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ。
【赤松委員】少し今の内容にも関連するのですけれども,従量制で有償化したときに,データの料金というのはどのような考え方になるのでしょうか。
【経済産業省 国澤室長補佐】基本的に政府衛星データに関しては無料だと考えております。他方で,民間衛星等も今後恐らく打ち上がっていくと思いますので,彼らの衛星データをこのプラットフォームに載せていただけることができるのであれば,民間衛星データの利用料というのはいただくことになると思います。
【赤松委員】もう一つ続けてですけれども,プロトタイプを運用しながら意見を吸い上げていくというお話がありましたが,どのような形で運営される予定でしょうか。
【経済産業省 國澤室長補佐】まず,プラットフォームは本当に皆様が使えるような,登録してログインさえしていただけば使えるような状況を作ります。ユーザーの声を吸い上げるというところですけれども,実は民間企業者さんが主体となってこのプラットフォームをどんどん使っていこうというアライアンスが先月末に発足しました。そういったところと議論をしながら,実際に使っていただいたユーザーの声を反映させていくということを考えております。
【赤松委員】どうもありがとうございました。
【大垣部会長】ありがとうございます。
 どうぞ。
【春日部会長代理】海外の衛星データについては,特にオープン化の際にどのような方針で連携されるのでしょうか。
【経済産業省 國澤室長補佐】ありがとうございます。海外のデータについても,非常に有用なデータがあると思っております。衛星データなど,ここのプラットフォームで使えるデータの量や種類が多いに越したことはございませんので,我々欧州のESAとかEUのDG-GROW等とも議論を今開始しているところでして,彼らのコペルニクスのデータ等ともうまく相互に使えるようにならないかという議論を開始しているところでございます。将来的にはそういったデータの交換,あるいはAPIでプラットフォーム同士をつなげるということかもしれませんが,それぞれのデータをそれぞれのプラットフォームで使えるような形に構築できればと考えているところでございます。
【大垣部会長】はい,どうぞ。
【若松委員】こうしたプラットフォームは,海外には有償・無償を含めてたくさんあるので,この日本初のもので是非頑張って成功させていただきたいと思っています。
 その中で2つ質問がありまして,1つは海外のユーザーを取り込む方法を何かお考えになっているか。ユーザーの数も日本国内よりも海外の方が圧倒的に多いので,その人たちをどう考えているかというのが1点。それともう1点は,既に御質問が出ていますけれども,商用利用のときのビジネスモデルについて,これからだとは思いますが,何かこういうことをやることによってビジネスを活性化していこうというお考えがあれば教えていただければと思います。
【経済産業省 國澤室長補佐】ありがとうございます。
 まず,1点目ですけれども,海外のユーザーを取り込むというのは,これは本当にこのプラットフォームのユーザーを増やして,そのプラットフォーマーが民営化できるだけのレベニューを得るという地盤を作る上でも非常に重要だと考えております。その意味で,我々は今後,海外の宇宙関係の会議等の場も利用しながら,こういったプラットフォームの促進,プラットフォームの利用に関して訴え掛けていくということを考えております。こういったプラットフォームを使っていただいた上で,例えばアジアですとか,そういった国の新たなビジネスにつなげてもらう仕掛けを,今後作っていこうと考えているところでございます。
 あと2点目ですが,ビジネスモデルの構築にあたって,これはもうおっしゃるとおりでございまして,まずしっかりとユーザー数を確保できるかというところが一つ大きな課題でございます。あともう1点は,ユーザーがしっかり本当に衛星データを使えるというところで,ビジネスとして使っていただかないと収益が得られませんので,そういうところをどういうふうに作りこんでいくかが一つ課題だと思っております。
 そういう観点で言いますと,少し誤解を招くかもしれませんが,衛星データが万能なもの,衛星データだけで全てが解決するものだとは思っておりません。こういった衛星データと,他のデータ,例えば地上データであったり,あるいは事業者さんが持つデータをうまく組み合わせることで,新たな価値を創造するものだと考えておりますので,そういう事業者が持っているようなデータを持ち込めるような仕組みにしたり,あるいは衛星データ以外でも,もしこういったものと親和性の高いデータがあるのであれば,優先的にプラットフォームに載せて利用できるようにしたいと思っております。
【若松委員】ちょっと2番目の質問がうまく説明できていなかったのですが,このプラットフォーマーのビジネスモデルではなくて,このプラットフォームを使ってビジネスをしようとする人のビジネスモデルに対して,何かお考えがあればという質問でした。
【経済産業省 國澤室長補佐】そういう観点からですと,衛星データを利用したビジネスの実証に関しても,我々は新規で予算を今年度から確保して,ビジネスモデルの成功事例を作っていくということを並行してやっているところでございます。そういったものと組み合わせて,衛星データの利用を拡大していきたいと思っています。
【大垣部会長】ほかにはよろしいですか。
 どうぞ。
【佐藤委員】私は専門が大気や気象なのですが,その関係で中国の衛星観測計画について話を聞く機会が少し前にありました。そのときに中国は多くの衛星を打ち上げる計画を立て進めており,またクオリティ的にも高いと感じました。私の隣にいらした元国立環境研究所の方にすごいですねとお話したら,日本も1990年代はそうだったというふうにつぶやかれたのが印象的でした。日本は経済的にマチュアになり,徐々に勢いがなくなってきていますが,隣の国の中国との連携はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
【経済産業省 國澤室長補佐】中国との連携に関してですが,中国の例えば企業ですとかベンチャーにこういったプラットフォームを使っていただくということは,一つのいい連携の在り方かと思っています。衛星の開発に関しましては,我々の若干所掌外のところもありますが,安全保障上の観点も考えないといけないというところもございますので,どういう形で連携の形を作っていくのかというところは,慎重に検討していく必要があると思っております。
【佐藤委員】欧州とか米国とは非常にいい関係でこれまで協力されてきたと思いますが,中国は難しいところがあるのでしょうか。
【経済産業省 國澤室長補佐】宇宙だけの話ではないですが,今経済産業省で取り組んでいるあらゆる産業施策は,アメリカや中国を意識したものとなっています。彼らを無視して我々の自国の産業施策は作れないという状況になっておりますので,そういった観点から,お互いしっかりと連携してウイン・ウインな関係が築けるというのがもちろんベストではございますが,検討に当たっては,安全保障に加えて,経済的に非常に大きなライバルとしてどういうふうに対峙していくのかという観点もしっかり考えないといけないと思っています。
【佐藤委員】ありがとうございます。
【大垣部会長】よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは続きまして,気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)及び温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)の開発について,文科省の山之内企画官から説明をお願いいたします。
【文部科学省 山之内企画官】宇宙開発利用課の山之内でございます。私からは,今部会長から御案内があったとおり,昨年12月に打ち上げました「しきさい」(GCOM-C)の運用状況,それと今年度打ち上げ予定の「いぶき2号」(GOSAT-2)の状況,それとこういった衛星のデータの提供状況などについて,簡単に説明させていただければと思います。資料は1-3-3になります。
 ページをおめくりいただきまして,3ページを御覧ください。まず,昨年12月に打ち上げました「しきさい」につきまして,「しきさい」の概要を説明させていただきます。「しきさい」は近紫外から熱赤外までの19の観測波長帯を持っているということから,雲とかエアロゾル,植生などを観測できる状況になっています。そういったデータを用いまして,気候変動メカニズムの解明に役立つものだとか,あるいは黄砂の飛来,赤潮の発生状況の把握などもできるということから,気象や漁業等の実利用機関に提供して,現業分野に貢献できる衛星になってございます。
 次の4ページ目をおめくりいただければと思います。「しきさい」につきましては,画像が撮れていますので,紹介させていただければと思います。左側が「しきさい」で撮った画像2つになります。まず,日本列島・オホーツク海周辺が一番左に書かれているのですが,これは可視光のみでは雲と雪の区別が付かないので一面白く見えてしまうところを,複数波長帯での観測によって,積雪と雲の区別ができることを示した画像になってございます。その隣の地表面の熱の分布につきまして,赤いほど温度が高いという写真になってございますが,「しきさい」は分解能が250メートルと非常に高いために,真ん中の右下あたりに皇居と矢印が書いてありますが,そこは温度が低いと分かります。
 その隣,右側に現業分野への利用例が書いてございます。1つはJAFIC,これは漁業情報サービスセンターというところでございますが,海面水温,クロロフィル濃度といったデータが取れまして,データの試験配信を開始している状況でございます。もう一つは気象庁さんですが,先ほど御説明されましたが,海面水温,エアロゾル分布,積雪海氷分布などのデータを試験配信する準備をしているところでございます。今後のスケジュールにつきましては,現在初期校正検証運用を行っているところで,12月から観測プロダクトの一般公開を実施する予定でございます。
 次のページ,5ページ目をおめくりください。次は,「いぶき2号」(GOSAT-2)についてでございます。「いぶき」の後継機として環境省と協力して開発中のもので,今年度に打ち上げる予定でございます。「いぶき」から性能が向上しており,それについて説明させていただければと思います。
 次のページをおめくりいただけますでしょうか。「いぶき2号」には,2つの主なセンサがございます。丸1,丸2と書いてあるものですが,丸1の方は温室効果ガス観測センサ2型でございますが,観測精度が「いぶき」から1桁向上しています。それと,人為起源CO2の推計と書いてありますが,人工的なCO2の発生では必ずCOを発生しますので,COも測れるようにすれば人為的起源と自然発生起源の区別ができるというものでございます。その次,大都市・大規模排出源の観測強化でございますが,これは右下に写真が載っていますが,黄色の円が観測ポイントでございます。都市,いわゆる人口密集地帯だとか工場地帯ではCO2の発生が多いとか,こういったところを集中して測れるように観測ポイントを変えることができるという能力を持っています。それと,雲を避けた観測,インテリジェント・ポインティングとありますが,これは雲を自力,自動で避けられるように,首振りができる機能を取り付けてございます。
 その次,もう一つのセンサ,雲・エアロゾルセンサ2型というものですが,これはエアロゾルが見えるセンサでございまして,PM2.5濃度とか,こういったものも測れるようになってございます。
 次のページをおめくりいただけますでしょうか。7ページですが,これは「いぶき2号」のスケジュールでございます。今,機能・性能の確認試験を7月下旬に完了しまして,報道機関向けに機体を公開する予定でございます。日付は8月9日と書いてありますが,台風の影響で8月11日になりました。その後,種子島へ移動いたしまして,30年度内にH-2Aロケット40号機にて打ち上げる予定でございます。
 ページをおめくりいただけますでしょうか。最後に,衛星データ提供に関するJAXAの取組状況についてでございますが,左側にある「だいち」などALOSシリーズや,GCOM-C,GCOM-Wといった衛星の運用と開発と行っておりますけれども,これを引き続き行いまして,これらのデータを右側に書いてあるようにG-Portal,これはJAXAのウエブでございますが,ここに載せるということと,先ほど経産省さんの方からも説明がありましたが,下の方に書いておりますけれども,経産省のオープン&フリーの事業にデータを提供していく予定でございます。以上で説明を終わります。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明に関しまして,御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
【小池委員】よろしいですか。どうもありがとうございました。「しきさい」が上がり,「いぶき」が準備されているということで非常に心強く思いますが,先ほども少し申し上げましたが,この最後の8ページに書かれている,我が国の地球観測の衛星シリーズの今後について,今どういうふうにJAXAの中で考えられているか,あるいは国として全体でどういうふうに考えられているか,簡単に教えていただけると有り難いです。
【文部科学省 山之内企画官】衛星としては減っていくということはないと思っておりますが,まずALOSシリーズにつきまして,これはレーダと光学でございますが,ここに3・4とありますけれども,これは引き続き開発いたします。それと,環境観測衛星として,昨年GCOM-Cを上げましたけれども,水循環などが分かるGCOM-WについてはGOSAT-3,環境省が実施されていますが,平成34年辺りに打ち上げられるとのことで,相乗りなどを考えている状況でございます。こういったことを引き続き行いまして,データを引き続き皆さんのところに提供できるようになればと思っております。
【小池委員】今お話に挙がらなかったGPM/DPR関係はどうなっていますか。
【文部科学省 山之内企画官】今引き続き実施しておりますが,これの後継機という意味でございましょうか。
【小池委員】はい。
【文部科学省 山之内企画官】これは,アメリカのGPM衛星の中にJAXAが作ったDPRというセンサを載せるというものでございますが,アメリカの方でもNASAが実施している10年に1回のDecadal Surveyで今検討しているということで,そこの検討を見つつ,JAXAでまた同じようなことができるかというのを判断していきたいと思っています。
【小池委員】1990年代からずっと,どういう地球観測が必要かということで,学術界で大分議論し,昨今は日本学術会議で佐藤先生が中心になってまとめていただき,そういうものがいろいろな形で出されていることに何となく面映ゆい感じがするのは私だけではないように思いますが。このように現在進めていただいているものをしっかり継続していただくということは大事だと思いますが,地球観測に関連して,何か新たなるチャレンジで今お考えのものはありますでしょうか。
【文部科学省 山之内企画官】はい。例えば先ほど佐藤先生がまとめられたグランドデザインの話があったと思いますが,その中でも,どういったものができるのかというのはJAXAともよく相談させていただいて,今後についてはまだ検討中でございますが,お話させていただいたという形でございます。
【大垣部会長】よろしいですか。
【舘委員】JAXAから補足させていただきます。先ほどのGOSAT-3につきまして,AMSRを継続できるよう努力をしているというのは,先ほど企画官のお話と同じでございますが,GPM/DPRにつきましても,NASAがどういう検討をしているかというと,CCPと言われているCloud, Convection and Precipitationという形でまとめようとしていまして,我々もそれを協議するということでNASAと打合せを設定しております。恐らくNASAがまとめるのに1年ぐらいかかるだろうと思っておりますので,すぐに継続がどうという結論は出ないでしょうけれども,NASAと協議しながら進めたいと思っています。
【大垣部会長】ありがとうございます。
 ほかになければ,よろしいですか。
 それでは,どうもありがとうございました。
【文部科学省 山之内企画官】ありがとうございました。
【大垣部会長】 それでは,最初に戻りますが,資料1-1の案のとおり,「平成30年度我が国における地球観測の実施計画」を取りまとめ,文部科学省のホームページにおいて公表することにいたします。いろいろな質問が出ておりますので,どうぞ対応をよろしくお願いいたします。
 それでは,議題の2に移ります。「地球観測データ及びメタデータのアーカイブと連携利用の促進」に関する今後の対応についてであります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
【佐藤環境科学技術推進官】それでは,資料2に基づきまして説明させていただきます。本議題を簡単に要約しますと,地球観測の実施計画は,各省の取組が集約されたものですけれども,これを冊子にとどめることなく,収集したデータのメタデータをアーカイブ化することによって,データの内容を国内外で共有して,データのアクセシビリティを高めて分野を超えた統合的利用を推進していきましょうということであります。
 これに関しては,平成16年にCSTPで取りまとめられました「地球観測の推進戦略」にも記載されておりますし,また,この部会でまとめていただきました「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」にも,こういった取組が大事だということが記載されてございます。この取組を歴史的にひも解いてみますと,実は平成22年頃からこういったアーカイブ化が大事だという提言がこの部会においてなされています。もっと言いますと,1ページおめくりいただきまして,平成24年5月30日に開催された第4期地球観測部会第5回の資料2にもありますように,この実施計画にまとめられたデータをどんどん広げていきましょうという動きが具体的にあるという背景にあります。
 さて,平成24年5月において,この地球観測データをアーカイブ化して利用を進めていきましょうという議論が行われた後,関係府省・機関とDIAS開発関係者の御協力によりまして,相当数のメタデータがDIASに登録されています。加えて,フォーマットの変換機能の開発によって,多数の既存のメタデータが国際的にも閲覧可能になりまして,近年,アクセス数が増加傾向にあります。1ページおめくりいただきまして,参考に書いてありますけれども,平成27年,平成28年,平成29年と大幅にアクセス数が増加しているという状況にあります。また,こういったメタデータ登録についての講習会を継続的に開催することによって,様々な分野におけるメタデータ登録が加速されておりまして,データ利用の利便性が高まってきております。しかしながら,この実施計画に登録されている事業で収集されている全てのデータがメタデータ化されるにはまだ至っておりません。
 1ページおめくりいただきまして,今後の対応ということで,まずは平成30年度「我が国における地球観測の実施計画」に登録されている事業全ての地球観測データについてメタデータ化し,DIASに登録していきたいと考えているところであります。具体的にどんな作業になるかといいますと,別添で取り上げていますけれども,実際に本部会で議論していただいた後に,関係省庁に集まっていただいて,こういったやりとりでメタデータ化していきましょうということが行われましたので,これを改めてフォローアップする形で今年度できる限り速やかにメタデータ化を進めていきたいと考えているところであります。
 簡単ですけれども,説明は以上です。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明に関しまして,御質問・御意見ありましたら,お願いいたします。いかがでしょうか。
【小池委員】今,佐藤推進官から御説明がありましたが,別添の日付は2012年の5月ということで,データ等解析システムの第2期,第1期が2006年から2010年までで,第2期が2011年から始まったときに,この地球観測の推進戦略の枠組みで実施計画の中で取りまとめられている我が国の地球観測に関わるデータくらいはしっかり我々が分かっておくようにすべきではないかという議論をこの部会でしていただきました。別添の方法の1から――1はドキュメントメタデータの登録と検索サービスの提供,2はデータ及びデータプロダクツへのアクセスの実現,3はデータ統融合機能の提供ということを踏まえて,スケジュールを決めました。時の部会長は小池勲先生でいらっしゃいましたが,これはもう部会が率先してやるべきであるということで,部会長にも説明会に出ていただいて,文科省の講堂でこの実施計画に登録されているプロジェクトの特にデータを担当している方々にお集まりいただいて始まりました。
 大変すばらしいことだったのですが,なかなか大変でした。私はDIASの担当でございますが,達成率がどこまで行くかというのがDIASの成功指標になっておりまして,それぞれの機関の方々,それぞれ事情がある中でGI-catという今GEOで使われているメタデータ変換フォーマットをイタリアのグループと共同で改良して,それを当てはめて国土地理院の全データを変換して,国際的に利用できるようにしました。生物多様性の分野では,JaLTERを立ち上げていただいて,それと組んでデータ登録をどんどん進めていただくというようなことを三枝先生,村岡先生も一緒になってやっていただきました。
 ただ,先ほど推進官からもお話があったように,その後のフォローが十分できておりませんでした。DIAS側もできていなかったし,メタデータを提供いただく側もできていなかったので,ここはやはりねじを巻き直してやるべきではないかと思います。先ほど言いましたけれども,我が国が実施した地球観測データくらいは我々で把握できるようにしたいですし,データが広く使われるように,このメタデータの整備を是非お願いしたいと思います。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 ほかに特に御意見はよろしいでしょうか。
 どうぞ。
【春日部会長代理】とても必要なことだと思うのですが,具体的にそれを現実化するためには,現在のこの全事業の中の登録割合がどれくらいなのか,つまりあとどれくらい登録しなくてはいけないのか。そのための予算措置はどれくらい必要で,具体的には見通しがどうなのか,教えていただけますか。
【佐藤環境科学技術推進官】どれくらいアーカイブされているかというと,ざっと6割ぐらいと認識しています。予算措置につきましては,現在のDIASの予算の中で既に措置してありますので,その中で進めていきたいと思います。しかしながら,各省にもいろいろと作業いただくことがありますし,データを持っている研究機関にもいろいろ作業いただくことがありますので,協力を仰ぎながら適切に進めていきたいと思っています。
【大垣部会長】よろしいですか。
 どうぞ。
【河野委員】ここにアクセス数が出ていて,増加しているのはすばらしいことだと思うのですが,この絶対値についてはどのように評価されていらっしゃるのでしょうか。3万6,000というのが多いのか少ないのか。
【小池委員】データアクセスは,実施計画に書かれているプロジェクトに興味を持ってデータにアクセスするということであります。かなり専門的な方々の数字です。専門的な方々が,日本で実施している地球観測のデータを国内外で使っていこうという意志で調べておられますので,絶対値が必ずしも少ないという数字ではないように思います。
【甲斐沼委員】少し関連して。利用が増えていいと思うのですが,アクセス数と書いてあるのは,同じ人が何回もアクセスしている場合も含まれますか。人別というか,個別にどれくらいの機関がアクセスしているかというデータも取られていますか。
【小池委員】ログは全部残してありますので,リピート率がどれくらいとか,同じ人が違うデータにアクセスしているかというデータはお出しすることができます。
【甲斐沼委員】同じ人が何回もアクセスされている場合だと,実際に使っている人の数と違ってくるのでは。
【小池委員】同一ブラウザを用いて,ブラウザを閉じずに何度も同じページにアクセスした数を省くことによって同じ人の複数アクセスを省くことはできますが,現行データは同じ人の複数アクセスをカウントしています。
【甲斐沼委員】ありがとうございます。
【大垣部会長】どうぞ。
【上田委員】少し関連してですが,分野によってアクセス数が違ってくると思いますが,どの分野が伸びていて,どの分野がまだ足りないということまで分かりますでしょうか。
【小池委員】もちろん分かりますが,済みません,そういう資料は準備しておりません。ログはきっちり取得していますので,今のような情報をDIAS側にお伝えしてまとめてもらうことは可能です。
【大垣部会長】よろしいでしょうか。
 どうぞ。
【村岡委員】ありがとうございます。先ほど小池先生からJaLTERのことに言及していただきましたけれども,最近GEOのいろいろな会合や委員会,ワークショップ等に出ると,現場,フィールド観測データ,特に生態系,生物多様性という人の手による観測データ,研究データを相互流通できるようにしたい,いろいろな分野からそういった現場の生物に関するデータを使えるようにしたいとか,あるいは個々の研究グループやネットワークがそれぞれ進めていますけれども,ある共通の目標を立ててコーディネーションしていくことがこれから大事になってくるのではないかという議論が出てきて,例えばDIASをプラットフォームにして,メタデータあるいは観測情報等々が集約されていくことが,ネットワークの連携を更に進めることの大きな一歩になるのではと思ってお聞きしました。
 それで,今日でなくていいのですが,この部会の先生方,皆様様々な分野の方々ですが,もし生物情報,生態系,生物多様性に関する現場情報と,あるいは観測データそのものでも結構ですけれども,どこにアクセスすればいいかとか,あるいはDIASにこういった情報が入るとアクセスしやすくなるのだがというお考え等々,これからもし思い付くようなことがありましたら,是非お聞かせいただければと思います。JaLTER(日本長期生態学研究ネットワーク)でありますとか,AP-BON(アジア・太平洋の生物多様性観測ネットワーク)の2つのネットワークの連携を進めようとしているところです。私の方から皆様にも御相談したいと思います。何かコメントのようになってしまいましたけれども,これをきっかけに進められればと思っています。以上です。
【大垣部会長】もし関連情報をお持ちでしたら,是非村岡委員に御連絡ください。
 よろしいでしょうか。
【河野委員】もう一つだけ。
【大垣部会長】はい,どうぞ。
【河野委員】多分当たり前のことをこれから言いますが,DIASをこの後,日本を代表する地球観測のデータベースだということで継続していこうと思ったら,これによってどのような成果が出ているのか,どれくらいこれが不可欠なものであるのかということを何等かの指標で示していく必要がある。恐らくアクセス数が一番簡単で,皆さん出されていますが,そうではなくて,これから得られたもの,アウトプットは何か,アウトカムは何かということを調べていって,かつどの分野で強い,どの分野で弱いというところに応じた強化策を練っていかないと,恐らく5年後,10年後には内閣府のプロジェクトもあることですし,だんだんシュリンクしていくような気がします。少し大変だと思いますが,これの価値を計るということを少し考えて,統計を取っていくといいように思います。
【大垣部会長】それでは簡潔に。
【小池委員】河野さんがおっしゃる通りで,今日も幾つか御質問が出ましたが,こういうところにしっかり出せるよう,資料の準備をしておこうと思います。
 アウトプットと,もう一つアウトカムまで,どういうものにつながっていくのか,トレースできるようにしていきたいと思います。
【大垣部会長】ありがとうございました。
それでは,資料2の案のとおり,地球観測データ及びメタデータのアーカイブと連携利用を促進すべきということでよろしいでしょうか。特に御異議なければ。
(「異議なし」の声あり)
【大垣部会長】具体的な作業につきましては,関係府省庁と連携の上,事務局で作業を進めていただきたいと思います。
 それでは,次の議題の3ですが,パリ協定における我が国の貢献のための温室効果ガス観測及びデータ利活用の現状と課題についてであります。地球観測連携拠点温室効果ガス観測推進に向けた国際イニシアチブに関する検討チームの事務局長であります国立環境研究所の三枝センター長より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【国立環境研究所 三枝センター長】ありがとうございます。国立環境研究所の三枝です。よろしくお願いいたします。それでは,資料3-1,資料3-2に沿って説明いたします。まず,資料3-1は今読んでいただきましたタイトルの報告の案の概要,資料3-2はその報告の文章としての本体であります。
 まず初めに,この資料をまとめました検討チームと報告の案の位置付けについて,簡単に説明いたします。この検討チームは国立環境研究所の中に事務局があります地球観測連携拠点(温暖化分野),この中で活動する3つの検討チームのうちの1つであります。この検討チームは昨年度に始まり,今年度にかけて温室効果ガスの観測に関わる関係府省・機関連絡会議に呼び掛けまして,温室効果ガスの観測に携わる方々,それからそれに関心を持つ方々に集まっていただいて活動を行っております。
 この報告書は昨年度から今年度にかけて検討チームが活動し,情報交換や情報流通を行った結果,パリ協定に向けて我が国における温室効果ガス分野の地球観測はいかに貢献すべきかということをまとめようということになり,今年の年内の完成をめどにまとめる準備をしております。したがいまして,本日の段階では報告書の案となりますが,その趣旨についてこれから簡単に説明いたします。
 資料の3-1,概要版を御覧ください。まず,1枚めくっていただきまして,2ページ目ですが,パリ協定の長期目標について簡単に説明しております。パリ協定とは,途上国を含む全ての国の参加を確保し,産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く抑えることを目的とし,今年度後半に温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにするという大きな目標を掲げております。
 ここで次に何が重要かといいますと,パリ協定に従い世界各国は温室効果ガスの削減に取り組んでいくこととなりますが,この長期目標に向けてその達成度を確認していくことが今後重要となります。特に,パリ協定では5年ごとのグローバル・ストックテイクという機会を作り,各国から報告されるいわゆる統計値に基づく温室効果ガスのインベントリデータに基づき,その達成度を確認することとしておりますが,温室効果ガスの地球観測に携わる私たちとしては,ここに大きく貢献する可能性があると考えております。その一つの理由としまして,インベントリから求められます人為起源の排出量については,非常に精度の高いものもありますが,項目によって,又は新興国や途上国ではまだ不確実性の高いものもあり,これは今後もまず不確実性を低くしていくということが必要とされていることが分かっているという背景があります。
 ここで地球観測(温室ガス分野)の強みを3点ほど述べています。これは,地球観測によれば,地球規模で大気中の温室効果ガス濃度の地球全体としての監視が可能です。つまり,パリ協定の効果が地球全体の大気の温室効果ガス濃度を本当に予測したスピードで安定化に向けて変化させているか,そうしたことが検証できます。また,地球観測によりますと,地球規模で人為起源,自然起源の排出量と吸収量を分けた監視が可能となります。ただし,これを正確に行うためには,今後ますます精度の向上と時間・空間方向の高分解能化が必要となります。さらに,最後に,インベントリデータでは把握しにくい項目について,地球観測が取り組むことができます。例えば,地球規模の排出量の速報です。例えば,先進国からの報告は比較的早く出てきますが,地球規模で各国からの排出量をまとめるには現在では正確な値は年の単位で時間遅れがあると言われています。こうしたところで速報が出せれば,温室効果ガスを削減する動機付けとして,重要な情報になるかと思います。
 また,巨大都市からの排出,農耕地からの農業作業に伴う間欠的な排出,大規模森林火災による突発的な排出,こうした時間変化の大きいものについては,従来のインベントリデータでは正確に求めにくいため,地球観測の役割が大きいと考えられます。さらに,長期的な監視が必要な項目,例えば人為的に増やした吸収源,例えば大規模植林等,これらを10年後,20年後も期待される吸収量が継続しているか,これを監視する必要がありますが,これも従来のインベントリデータでは実際には難しいものがあり,これらを地球観測のデータから監視することが重要と考えています。
 続いて,3ページ目を御覧いただきますと,現在の地球観測の現状を少し書いております。まず,温室効果ガス分野に関わる国内の関係府省庁・機関が協力し,地上観測,船舶観測,航空機観測,人工衛星における観測の充実に尽力してまいりました。このため,地球規模で観測可能域が空間的にも時間的にも大きく向上してきました。ここで大きく向上したと言います根拠は,3ページの右下に書いてあります温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」による観測可能域の拡大ですとか,その上に書いております民間航空機の協力を得た温室効果ガスの大気の立体観測のプロジェクト,こうしたところが大きな貢献を果たしております。ただ,先ほど小池先生からも御指摘がありましたように,研究レベルの個々の観測点のようなところでは,3年,5年といったプロジェクトの終了に伴い,継続困難となっているところもあるため,私もそういうところには非常に危機感を覚えております。本日ここでこうした様々な観測データを統合して,地球観測としてパリ協定に貢献すべきという説明をしたいと思いました理由もそういうところにあります。
 そして,現状の3つ目のポツですが,多様な観測データを高度な解析システムと組み合わせることにより,全球及び地域別の人為起源,自然起源の排出・吸収量の推定精度は,研究レベルでここ数年で格段に向上してきました。次のページで(1),(2)について少し説明しますが,いわゆるトップダウン的手法,フラックススケールアップ手法というものが進んでいます。
 最後に,このような手法に基づく温室効果ガスの排出・吸収量の推定データを,いわゆる統計値に基づくインベントリデータとは独立に算出された情報源として,インベントリデータと相互に比較し,補完的に利用することにより,人為起源排出量の推定精度向上が長期的に可能と考えております。
 次をめくっていただきますと,必要とされる解析システムとして,トップダウン的手法,フラックススケールアップ手法を図で示しておりますが,要点だけ申しますと,トップダウン的手法といいますのは,大気中の温室効果ガス濃度を地球規模で集め,これを地球規模の大気輸送モデルと組み合わせ,地表での温室効果ガスの排出量・吸収量,どこでどれだけ排出されたか,吸収されたかを逆推定するという方法で,これが近年非常に技術的に発達しています。データ同化手法,インバージョン解析手法といった名前で呼ばれる方法で,空間解像度もかつては数千キロといった亜大陸スケールで行われていたものが,近年では二百数十キロくらいのレベルまで向上しています。
 続いて,(2)フラックススケールアップ手法ですが,海の表層あるいは陸域における地球規模の温室効果ガスの観測ネットワーク,これが研究レベルで進んでおりまして,こうしたデータベースに基づき温室効果ガスの吸収量・排出量をボトムアップ的に広域推定するというもので,これも観測データの増加に伴いプロセスモデルから最近では様々な機械学習法による広域化が進められ,これが1の方法と比較検証されて精度を高めています。1,2とも品質管理された観測データが増えれば増えるほど結果の信頼性が増す方法となっております。
 続いて,5ページ目を見ていただきますと,これは報告書の方にはありませんが,本日補足資料として持ってきました。どうして今こうした取組について強化が必要かということの根拠としまして,例えば欧州では2015年の段階でEUの人為起源排出量の検証を目標とするロードマップが策定され,2030年までにEUにおけるオペレーショナルな排出量の評価システムを実現するとされています。右端のところにそのロードマップから持ってきた概要を書いておりますが,2015年から25年で準オペレーショナル,その後2030年ではフルオペレーショナルで,コンセプトとしては類似しておりまして,衛星観測,現場観測をデータ同化システムに統合し,インベントリデータの精度を向上しようという取組です。
 続いて,下半分にあります世界気象機関(WMO)/全球大気監視(GAW)の取組として,統合全球温室効果ガス情報システムという取組がございます。これについても科学実施計画が公開されておりまして,ここでも様々なデータを逆推定システム等に統合し,都市のレベルから国のレベルでの排出量のモニタリングを目指すとされています。欧州や世界ではこのような取組が進んでおりますが,日本においてはまだ日本全体として,オール・ジャパンとしての取組が進んでおりませんので,ここでその必要性を述べたいと考えております。
 最後に,6ページ目を御覧いただきますと,ここでまとめと課題を述べています。最初の3行だけ紹介しますと,趣旨は,パリ協定の目標達成に向けた進捗を評価するグローバル・ストックテイクのタイミングに合わせて,いわゆる温室効果ガスインベントリデータとは独立した情報として,地球規模の温室効果ガス排出量・吸収量データを作成し公開するために,温室効果ガス分野の地球観測データを活用すべきである。これに対して,幾つかの課題がございます。まず第1に観測空白域の低減ですが,求められる観測データの時間・空間分解能が上がれば上がるほど必要とされる観測データは増えてきます。ですので,観測点が減少するといったことを放置しておくわけにはいきません。研究レベルでの既存の拠点も生かして観測を強化することが必要です。第2に,観測データを融合する解析システムの更なる高度化です。インベントリデータとの比較や,今後気候変化の緩和策の効果というものをより現実的に評価するためには,十分な精度と分解能が必要とされますので,それを実現する必要があります。また,各国,あるいは各団体による排出削減行動の動機付けを高めるために,人為起源の排出量・吸収量を今よりも短い時間遅れで公開することが有効と考えております。
 最後に,日本においてはまだ十分に構築されておりませんが,オペレーショナルな仕組みの構築です。関係する府省庁・機関の協力を得て,地球規模での人為起源・自然起源の排出量・吸収量の推定精度を上げつつ,5年ごとに公表するための仕組みを国内に構築することが必要と考えています。まずは2023年,第1回のグローバル・ストックテイクのタイミングに合わせてこうした体制を国内に整備することが必要と考えています。以上がまとめと課題です。
 最後に,今回の部会で,このような情報提供の機会を頂き,ありがとうございます。本日あるいは後日でも,御助言いただけることがありましたら是非お知らせください。そうした情報を踏まえ,検討チーム会合では,年内を目途にこうした報告を完成させていきたいと思います。また,私どもからもこうした報告を更に活用できる機会を広げ,様々なところに訴えていきたいと考えておりますが,地球観測部会でも,更なる活用の機会をお考えいただけば幸いです。どうもありがとうございました。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明に関しまして,御質問あるいは御意見などありましたら,お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 舘先生。
【舘委員】パリ協定の話でして,具体的にここで提案されている内容といたしましては,検討チームの報告という形ですが,この検討チームの報告をこの推進部会に挙げて,何か実際の,我々は衛星を造っているものですから衛星に持っていくという流れになると非常に有り難いのですが。その辺はどうお考えでしょうか。
【国立環境研究所 三枝センター長】そうですね,もちろんこの中には衛星観測のデータを利用するということもあります。また,その衛星のデータと地上観測などの観測ネットワークを統合していって,更にその衛星のデータを含む総合的なデータセットからパリ協定などに貢献する道筋を作る,そこが本日の報告の趣旨ですので,是非衛星観測を推進されているところと一緒に議論しつつ,可能な道を探っていければと考えております。
【舘委員】そうすると,我々も関与すると思うんですが,この報告書がある種の報告書として来年まとめられて,後にそれが実際の研究となるか,あるいは開発に結び付くということを構想されていると考えてよろしいですか。
【国立環境研究所 三枝センター長】はい。そのような方向を望んでおります。
【舘委員】ありがとうございました。
【大垣部会長】それでは,部会として提言をまとめるという方向で。
【佐藤環境科学技術推進官】これから皆様の御意見を頂きました後に部会の方針をいただければと思います。
【大垣部会長】それでは,御意見をどうぞ。
【高村委員】こちらの検討チームで検討していただいている内容は,本当に重要性を言うまでもないといいますか,非常に妥当な先を見た提言を頂いていると思うのですが,一つ,先ほどの御質問にも関わるのですけれども,国際的なイニシアチブに関する検討チームの提言というのは,日本の観測分野での国際的イニシアチブへの貢献についての提言なのか,それとも国際的イニシアチブ全体としての活動についての提言を検討されているのかという点を最初に確認させていただいてもよろしいでしょうか。
【国立環境研究所 三枝センター長】この検討チームの会合自体は,日本の関係府省連絡会議を基にしておりますので,日本における活動はどうあるべきかという立場で考えております。
【高村委員】ありがとうございます。それでしたら,二,三御意見を申し上げたいと思うのですけれども,1つは先ほど申し上げましたように,地球観測の重要性,ここに書かれている内容について全く異論はないのですが,特にパリ協定との関係も踏まえて,この意義というのは。もちろん全体としての地球規模での大気中の温室効果ガス濃度の監視という点はあると思いますが,もう一歩踏み込んだ貢献,社会的な意味合いというものを位置付けていただく必要があるのではないかと思っております。1つには気候変動の影響予測の高度化という点からも非常に大きな貢献があると思いますし,それは具体的には今年の猛暑や異常気象ではないですけれども,やはり国民の生活に対するリスクを低減していく,あるいはそういう政策を作っていく基礎としての役割というのがまずあると思います。それ以外の点でも,十分全体としての大気中温室効果ガス濃度の監視以上に,社会的な意味合いというものをもう少し位置付けていただけるといいのではないかと思っております。それが1つ目です。
 2つ目は,日本のまさにこの分野での貢献というのが何なのかという点です。一般的に観測域の空白ですとか課題が書かれているのですけれども,その課題に対して,では日本が何をすべきかというところについても是非踏み込んでいただけないかと思います。
 最後,これは大変細かい点で,むしろ修文上の点かもしれませんけれども,サマリーのところ,ほかのところにもあるかもしれませんが,パリ協定というのは結果的に気候変動枠組条約の目標と違って,大気中濃度の安定化を超えて大気中濃度の低減を目指している,そういう文言になっていると思っていまして,これは恐らく気候変動枠組を意識されて書かれているのだと思いますが,パリ協定の世界では,むしろ提言の方だと,ゼロミッションのところを強調された方がいいのかもしれないというふうに思いました。以上です。
【国立環境研究所 三枝センター長】ありがとうございます。
 回答してもよろしいでしょうか。
【大垣部会長】どうぞ。
【国立環境研究所 三枝センター長】最後のところはおっしゃる通りです。修文を考えます。
 最初に社会的意義についてですけれども,本日は排出量の高精度化ということを中心に申し上げましたので,報告もそうなると思いますけれども,気候変動予測の高度化というところももちろんございます。ここから先は検討チームというより研究者である私個人の考えですが,将来は地球システムモデルにこうした温室効果ガスのデータをどんどん同化していくという報告に,研究は発展すると思っています。また,社会的意義としましては,海外などでは大都市,幾つかのメガシティなどで強化された観測と空間的に集中した解析システムを持ちまして,大都市からの時間的に非常に短い分解能での排出量モニタリングを目指しているところもありますので,そういうことができますと,日本では東京などで可能性があるかもしれませんが,更にその排出削減の動機付けというところで,大きな意義があるのではないかと思っております。
 日本の貢献ですけれども,やはり世界初の温室効果ガス観測専用衛星を,GOSAT,それからGOSAT-2と続けているということがまず1つあるのですけれども,また,航空機ですとか,船舶の観測を続けているということ。それから欧米と比べて日本の意義といいますと,やはりアジア・太平洋における,観測が厳しい観測空白域をかなり日本の研究者らが開拓しておりますので,そういうところのデータをこうした枠組みの中にきちんと入れていくということで,世界レベルでの観測空白域を大きく減らすという役割があると考えております。
 まずその辺でよろしいでしょうか。
【大垣部会長】ありがとうございます。よろしいですか。
 それでは,大勢手が挙がっているので,申し訳ないですが順番でいいですか,こちらから。
 それでは,佐藤委員。
【佐藤委員】では,お先に発言させていただきます。先ほどデータの品質管理が非常に重要だとおっしゃっていましたが,私も全く同感です。データ同化で観測データをモデルに組み込むにしても,やはり観測データの質が高くないとうまくいきません。特に,排出量の減少を監視するとなりますと,数年とか十数年,あるいは数十年にわたる監視をしていかないといけないと思います。この間,衛星は入れ替わりますし,観測器そのものも変わっていくと思います。
 衛星が替わると,前の衛星のデータとつないだ時に,つなぎ目が不連続に大きく変わることがあるというのはよく知られています。したがって,クオリティの評価とか評価に基づく均質化についてはかなり本気で取り組まなければなりません。その辺りについて,どのように取り組んでいかれるつもりか,お聞かせいただければと思います。
【国立環境研究所 三枝センター長】おっしゃるとおりです。4ページの右上にわざわざ赤いボールド文字で書いたのは,やはり品質管理された観測データを集めるということを強調しなければいけないと思ったからです。
 観測はここ10年,20年で非常に伸びましたが,クオリティコントロールをしっかりと,ある系統立った方法でオール・ジャパンとして行っていくところが,かなり研究者の努力に依存している分野であると私は考えておりまして,それをオペレーショナルに行う体制を作っていくというところからやりませんと,それこそパリ協定に5年,10年,20年と貢献していくことは難しいと考えております。ですので,それを含めてこれからきちんと体制を作っていかなくてはと考えています。
【佐藤委員】研究者にかなり依存するというのはそうかもしれませんが,研究者もその研究だけでやっていけるわけではないので,環境研さんのようなところで,そのためのセンターをきちんと作り,クオリティコントロールのグループを育成していくということが必要ではないかと思います。データはクオリティコントロールにものすごく時間がかかりますし,その間ほとんど成果も出ないということで,非常に厳しいところですけれども,最も大事なところの1つだと思いますので,是非御検討いただければと思います。
【国立環境研究所 三枝センター長】御助言ありがとうございます。
【大垣部会長】それでは,小池委員。
【小池委員】地球環境推進部会ができて,唯一できた地球観測連携拠点が温暖化分野だと思います。水循環も作ろうと思って一生懸命頑張りましたが,できませんでした。気象庁,環境省を中心に,文科省も協力されて,これができて,やはり連携拠点を作っておくべきだったとつくづく感じました。すばらしいことをおまとめいただいて,非常に時宜を得ていますし,非常に戦略的ですし,科学的にも方法論の2つの組合せというのはリーズナブルだと思います。
 高村先生にもうおっしゃっていただきましたが,これを本当に実現しようとしたとき,「国民にとって何が」という部分,温暖化によるリスクを回避する,あるいはそれを減らすためにこれが必要であるということは,明確に書いていただきたいところです。その上でですが,これを是非実現しようとこの部会がいう手段は何なのか,先ほど部会長の大垣先生の方からもありましたが,部会として提言することはできますか。あるいは,提言をサポートするということになるのかもしれません。学術会議ですと,こういう部会でこれは是非政府としてこういう体制で進めるべきであるという提言の意思の発出があります。例えば,オペレーショナルな仕組みはこういう形で作るべきであるということを言おうとすると,どうしたらいいのかというメニューを教えていただけると有り難いのですが。
【大垣部会長】それでは,よろしいですか。後で少し今の御意見を取り上げたいとは思いますけれども。どうぞ。
【佐藤環境科学技術推進官】メニューとして考えられることを御説明いたします。
 今しがた小池先生がおっしゃったのは,この10年の我が国の地球観測の実施方針に書かれておりますとおり,こちらの推進部会で取りまとめられた内容につきましては,CSTIに対して提言していくということも明示されておりますので,メニューの一つとしてはそういったことも考えられると思います。
【小池委員】なるほど。分かりました。
【大垣部会長】ありがとうございました。よろしいですか。
 では,河野委員。
【河野委員】短いコメントを2つ。1つは,こちらの課題のところにも書かれているとおり,研究ベースの観測は恐らく本当は数も結構あって大事だと思うので,本文の方にも研究ベースのことはきちんと実施していかないといけないということを分かるように書いていただきたいということ。もう1つは,もしこの部会で,何らかのエンドースメントなり,提言なりにまとめるのであれば,関係府省で合議して,落ちがないような方法を考えていただきたい。この2点です。
【大垣部会長】ありがとうございます。
 それでは,甲斐沼委員。
【甲斐沼委員】どうもありがとうございました。すばらしくまとめていただきまして。
 二,三教えていただきたいのですが,先ほど日本からの提言は日本の貢献を主に考えているとおっしゃっていましたが,補足情報として国際的な動向,WMOなどの既存の観測も活用するということを説明いただいて。こういったところとの連携というのは考えられているのかというのが1つと,あとDIASに私は全くアクセスしたことがなくて分からないのですが,こういったデータはDIASに取り込まれていかれるようなものなのでしょうか。そして,そういうものの活用が進むのかということ。あと,先ほど中国の話で少し思い出したのですが,よく知っている方でずっと大気の観測をされていた方が,この間中国に行って,中国の発表が全部e-インフラストラクチャーといいますか,全てビッグデータ,ITとかIoTだとかeばかりで。とにかく,今まで個別にずっと地道に観測してきた観測データを全部データベース化してビッグデータだと。いろいろな影響のデータ,健康影響のデータだとか,人口,どこに誰が住んでいるというようなデータを求めて観測の会合と思って行ったら,そういったビッグデータの話ばかりで。やっていることは昔と変わらないのですが,何かそういう話が多くて。非常にびっくりしたというか,ちょっと進んでいるなと感じられたそうなのですけれども。先ほど高村先生も言われましたが,データをいろいろな形で影響と結び付けて,こういう利用ができるんだということを,もっと身近なところの利用とも組み合わせていただけるといいかなと思いました。
【大垣部会長】ありがとうございます。
 それでは,先にこちらを。どうぞ。
【赤松委員】済みません。私,産業界の人間でございますので,今まで高村先生から社会課題への対応とか小池先生の方からは国民への理解という話が出ておりますが,産業界ですとか例えば事業への貢献という部分をもう少し強く打ち出していただければと思います。ただ,GOSAT自体は,非常に分解能が高いものではありませんので,それが直接的に産業にどう組み込めるかというのは少し検討が必要ですが,既にTCFDの提言ですとか,ESG投資といった金融の世界が具体的にこの気候変動問題に対して動いている中で,どのようにこうしたツールが生きるのかということは是非御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【大垣部会長】ありがとうございます。
 それでは,春日先生。どうぞ。
【春日部会長代理】
 今回の御説明は,今日の部会の最初の議論から通して,衛星観測データと地上観測データの統合ですとか,DIASへのメタデータの登録に伴うアウトプット,アウトカムの議論と,それがちょうどパリ協定の日本国政府としての貢献ということで,はっきり具体化できる御提言だったと思います。ですので,もう一つ海外の同様のロードマップとの連携,これを加えていただいて,それから皆様の今の御発言を加味していただいた上で,やはりこの部会としてエンドースする方向を強く考えたいと思います。そして,最終的には内閣府との協議を実現して,この御提言の内容が各関係府省庁の下で,また各対象の研究事業という形で,より一歩進んだ形の実現ができるように,部会として強く何らかのお手伝いをしたいと思います。ありがとうございます。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 村岡さん,よろしいですか。
【村岡委員】いいです。ありがとうございます。
【大垣部会長】他に御意見のある方はいらっしゃいませんか。どうもありがとうございました。
 三枝さん,どうもありがとうございました。
【国立環境研究所 三枝センター長】ありがとうございました。
【大垣部会長】大変良い内容の御説明を頂きまして,本議題に関しては今いろいろな御意見,コメントを頂きましたし,春日部会長代理がまとめてくださいましたように,非常に重要なテーマですので,もし委員の方々の御賛同を得られるならば,検討チームの報告案を踏まえて,今後本部会として提言をしていきたいと思いますけれども,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【大垣部会長】いろいろ御提供いただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
【国立環境研究所 三枝センター長】はい,ありがとうございました。
【大垣部会長】どうもありがとうございました。
 それでは最後,議題の4になりますが,GEO本会合の開催準備報告についてであります。事務局から説明をお願いいたします。
【佐藤環境科学技術推進官】それでは,第15回GEO本会合開催準備状況について御説明いたします。1ページおめくりいただきまして,現在の準備状況についてですが,まず1ポツです。GEO Week2018は,今年10月29日から11月2日,約1週間,国立京都国際会館で行われます。想定される参加者ですけれども,約600名を見込んでおります。この数字といいますのは,前回ワシントンで開催されたときの参加者数が500名だったと聞いていますので,これを上回る記録を出したいと思っています。
 スケジュールについては,次のページに書いてありますように,1週間かなり詰まったイベントが行われる予定になっております。これらについてそれぞれ説明していきますと,2ポツのGEO本会合です。これはGEOにおける年に1回の総会ですので,この本会合の中ではGEOが抱える優先連携3分野ということで, 1つはSDGs,1つはパリ協定,最後に仙台防災枠組みといったテーマにして,3つのパネルセッションを実施する予定になっています。このパネルセッション以外にも,地域に着目した議論ということで,地域GEOSSの活動に関する議論を実施予定としています。それ以外の詳細ですとか,パネルセッション等々の登壇者については,現在GEO事務局等との間で最終調整中であります。
 続きまして,3ポツのサイドイベントですけれども,たくさんのサイドイベントが行われますが,日本での開催ということもありますので,1つ大きなサイドイベントとして,Asia-Oceania DayをAOGEOSS Initiative主催ということで今考えているところであります。具体的には,GEOコミュニティに対して我々が行っているAOGEOSSの活動を紹介するということと,それ以外の地域にも地域GEOSSがあるわけですけれども,それ以外の地域GEOSSとのコミュニティの交流ということを目指した取組にしたいと考えています。これについても,日本主導の下,プログラムについて現在調整中であります。
 4つ目,展示についてですけれども,JAPAN GEOの展示スペースということで,これまで例年の4倍のスペースを確保しまして,大々的にやっていこうと思っています。具体的には「日本の地球観測におけるSDGs・気候変動・防災への貢献」をテーマとして,関係府省庁,関係開発法人,大学,企業等々からの出展を今現在募集中であります。明後日が本申込みの締切りとなっておりますので,今からでも間に合いますので,委員の皆様におかれては,御検討の上,是非申し込みいただければ有り難く存じます。
 簡単ではありますけれども,説明は以上です。
【大垣部会長】ありがとうございました。
 何か御質問ありましたら,よろしくお願いします。
 どうぞ。
【舘委員】ちょうどGEOの本会合で,今いつかというのは申し上げられないのですが,GOSATの2号が打ち上がるのが,少し遅れるかもしれませんがその辺りなので,是非盛り上げていただけるようなイベントを設けていただけると有り難いと思っています。そうすると,我々がこういう温室効果ガス観測に貢献しているとアピールできると思うので,是非お願いしたいと思います。
【大垣部会長】よろしいですか。
 他にはいかがでしょう,御質問等,よろしいですか。
 以上で用意しました議題は終わりましたが,何かその他,御意見,御発言ありますでしょうか。何か言い忘れたこと等ございますか。よろしいですか。
 それでは,特にないようですので,事務局から連絡事項をお願いいたします。
【佐藤環境科学技術推進官】事務局から事務連絡をいたします。
 本日の議事録は後日事務局よりメールで委員の皆様方にお送りいたします。各委員に御確認いただいた後,文部科学省のホームページで公表させていただきます。
 本日の配付資料の郵送を希望される方は,封筒に入れていただいて,そのまま机上にお残しください。また,旅費の書類をお配りしている方は,内容を御確認いただき,そのまま机上にお残しください。
 次回の部会につきましては,改めて日程調整の上,御案内させていただきます。以上です。
【大垣部会長】それでは,以上をもちまして,地球観測推進部会の第5回会合を閉会いたします。大変熱心な御討議,ありがとうございました。どうもありがとうございました。

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