第7期地球観測推進部会(第4回) 議事録

1.日時

平成30年3月29日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. Society5.0実現に向けての取組について
  2. 地球観測データの産業利用促進方策について
  3. その他

4.出席者

委員

大垣部会長,春日部会長代理,赤松委員,岩谷委員,上田委員,甲斐沼委員,河野委員,佐藤委員,高村委員,寶委員,舘委員,佃委員,箕輪委員,村岡委員,若松委員,渡邉委員

文部科学省

大山大臣官房審議官,藤吉環境エネルギー課長,佐藤環境科学技術推進官,石橋課長補佐,川上地球観測推進専門官

5.議事録

出席者

【関係省庁】内閣府 太田参事官,福島参事官補佐



【大垣部会長】  それでは,皆さん,おはようございます。桜が満開で華やかな年度末ですけれども,ただいまより第7期の地球観測推進部会の第4回会合を開催いたします。本日は大変お忙しい中,また年度末の中,お集まりいただきありがとうございます。
 初めに,事務局から,出席者と資料の確認をお願いします。
【川上地球観測推進専門官】  2月に着任いたしました観測部会の担当をいたします川上と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は16名の先生に御出席いただけると聞いております。ただ1名の先生が,まだお見えになっておりませんので15名ですが,過半数に達しておりますので,部会は成立となります。
 本部会は,部会運営規則により公開とさせていただきます。
 配付資料の一覧は議事次第に記載しております。議事次第の配付資料のところですが,資料1といたしまして「Society5.0実現に向けての取組について」というもの,カラー刷りの横向きの11ページものです。次に,資料2「地球観測データの産業利用促進方策(案)」というもの,縦長の白黒4ページもの。この2つの資料となっております。また,卓上資料としましては,黄色いファイルに入っているものが皆様のお手元にあるかと思います。
 以上が資料ですけれども,資料に不足などがございましたら,事務局までお申し付けください。
【大垣部会長】  よろしいでしょうか。
 それでは,議題1は「Society5.0へ向けての取組について」であります。国が実現を目指しているSociety5.0の社会像に関する御紹介と,Society5.0を実現するためのデータ連携基盤の整備やその最新の動きに関しまして,内閣府の福島参事官補佐より御説明をお願いいたします。
【内閣府(福島参事官補佐)】  内閣府の福島と申します。本日はこのような機会を頂きましてありがとうございます。
 今,内閣府の科学技術担当及びIT戦略本部の方で連携しながら取組を進めておりますSociety5.0実現に向けての取組ということで,データ連携基盤の整備に向けて動き出しておりますので,その点の最新の情報を御紹介いたします。
 おめくりいただきまして,2ページ目ですが,「Society5.0とは」ということで,これは皆さん御承知のとおりです。サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合によって経済発展と社会的課題を解決するということでして,政府一体で今Society5.0の実現に向けて,例えば規制改革とか人材育成とか,様々な取組を行っておりますが,CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)は,特にイノベーションの創出というところで取組を進めております。
 めくっていただきまして,3ページ目です。サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合ということで,これまでの社会は情報社会4.0という左側のところですが,今後の社会Society5.0においては,フィジカル空間で発生した様々なデータをビッグデータとしてサイバー空間に上げて,そこでAI解析などを経てフィジカル空間にフィードバックして,様々な付加価値を創出していくことでして,例えば自動走行ですとか工場でのロボットによる自動生産とか,そういった社会の実現を目指しております。
 4ページ目です。具体的なイメージということで,ちょっと漫画的で恐縮ですが,例えば防災分野でどういったことが起こるのだろうかということですが,今,人工衛星とか気象レーダーなどの様々な情報ですとか,被災地の情報,被害情報等,あと避難所の情報,避難所がどういう状況になっているかとか,また病院がどういう状況になっているか,そういった情報を一元的にビッグデータとして集めて解析いたしまして,場合によっては人工知能も活用しながらフィードバックしていくということで,実際個人に対しては安全な避難に向けての情報が発信されるとか,被災地では迅速な救助がされるとか,物資が最適に配送されるという,そんな取組が期待されるだろうということです。
 今,実は内閣府で進めているSIPの中でもこういった取組を進めつつありまして,防災情報を一元的に管理していくということで,徐々にこういう取組は実現しつつあるという段階です。
 めくっていただきまして,農業分野ですが,こちらも気象情報とか農地の成育情報とか,又は市場の情報,消費者の情報などをデータとして集めて解析いたしまして,AIのサポートで計画的な農業を行うとか,人手不足が解消されるとか,農業の自動化などが進められるなど,そういったことが行われていくということで,こういう社会像が期待されると考えております。
 めくっていただきまして,6ページ目です。では,こういった社会を実現するために実際どういう取組が必要なのかということで,今まさにこれは取り組んでいるデータ連携基盤の整備ということを1枚で示した絵でございます。昨年末の総合科学技術・イノベーション会議の本会議の方で説明させていただいている資料で,Society5.0の本格実現に向けて,CSTIとIT戦略本部が司令塔機能を発揮し,データ連携基盤の取組を推進し,この絵の中で人工知能とデータ連携基盤というのが両輪として一体的に進めていくというものです。
 左側の人工知能につきましては,平成28年からですが,政府の司令塔機能といたしまして人工知能技術戦略会議がございまして,関係6省が入りながら,いろいろな政策を打ち出しております。
 他方で,データ連携につきましては,図の右側ですが,今,一番下の分野ごとデータ基盤ということで,自動運転とかインフラ,農業,ものづくり等々の様々なデータ基盤の整備が,その分野内でデータを連携する取組は進んでおりますが,分野横断でやる取組はまだ行われておらず,政府としても司令塔が不在という状況ですので,ここでCSTIがIT戦略本部と連携しながら,司令塔機能を発揮して,この赤いところですが,分野間データ連携基盤の構築を図っていこうということです。
 今まさにシステムの設計や制度設計などを進めており,この分野間データ連携基盤の構築に向けた取組を検討しております。イメージとしては,各分野間データ連携基盤自体にデータを一元管理するというものではなく,メタデータ,若しくはカタログデータと言われる書誌情報のデータを置き,APIを通じて各分野のデータ基盤からデータを吸い上げることを目指しております。それによって,様々なデータが分野横断で連携されることにより,一番上のSociety5.0実現のイメージということですが,安心・安全や生産性革命等に活用できるということです。
 めくっていただきまして,7ページ目です。分野間データ連携基盤構築に向けた課題と方向性ということで,今まさにCSTIとIT戦略本部で議論しております。基本的な方針といたしましては,司令塔機能としてこういった基盤を整備していくということや,国際標準化,現在,アメリカのNIEMとか欧州SEMICなどで同じような取組が進みつつありますので,こういった米欧との連携などを踏まえながら制度設計を検討しております。
 その下のところでルールです。技術的な課題もあれば,ルール,制度的な課題もあるということで,いろいろなデータやメタデータを一元的に持ってくるためには,そもそもそのデータをいろいろな方に提供していただく必要があり,もちろん公的データもあれば,民間データなども想定されます。公的資金によるデータはある程度ルール化によって出してもらうということが可能かもしれませんが,現在データが企業の資源となっていますので,企業のデータはインセンティブがないと,なかなか提供いただけないということもございます。
 データの提供先に,2次利用されて,そのデータによっていろいろな問題が起こったときに誰が責任を持つかという点で,責任問題もありますし,一方で,余り過度にデータを囲い込み過ぎない制度設計が必要で,今,民間協議会も立ち上がっていまして,そこと議論を進めていますが,エコシステムが回るような形で制度設計をする必要があると考えています。
 めくっていただきまして,8ページ目です。技術的課題といたしましては,地道な話かもしれませんが,語彙の統一を図らないといけなく,言葉が違えば,同じ意味でも違うものとして機械では判読されてしまいますので,そういった語彙の整備というのを地道に進めていく必要があり,今,IMI(共通語彙基盤)ということで,国内でもIT戦略室が中心となって,住所の書き方や電話番号の書き方や施設の書き方など,そういった語彙,特にコア語彙と言われる共通語彙の整備などを進めておりますが,各分野においてもそういった分野ごとの語彙の整備が必要であろうということです。
 あと,データカタログ,書誌情報など,どんな性質のデータであるかの情報を整備して,データそのものを持たずにデータカタログだけをそこに置くことを整備していくべきことや,データ,そもそもどんなデータなのか,品質はどうか,誰がどんな目的で取ったデータなのかなど,ある程度の品質表示があった方が使いやすいということや,様々な方が使うためにアクセス制御の話もございますし,既存データ,様々なデータがありますので,機械判読性を高めるためにどういった取組を地道に進めていくべきか,今,検討を進めています。
 もちろん,民間の方でいろいろなプラットフォーム事業がありますので,そういった競争領域と協調領域などを区別しながら進めていきたいと考えています。
 最後の4つ目のところです。各システムと接続する際の課題で,先ほどのインセンティブの議論とも重複しますが,分野間連携してデータが集まり,どんなことができるのかを,具体的なユースケースやグッドプラクティスがなかなかイメージしにくいと,汗をかきにくく,そういった象徴的なアプリケーションや,サービスの創出というのはまず進めた方が良く,システム構築になるため,継続的な議論の場でPDCAを回しながら進めていく必要があり,今,課題としてあげています。
 現在,CSTIの中でも有識者会議でこういった要件を議論,整理しているとともに,関係各省を交えたタスクフォースという形で,担当部局と議論を進めておりまして,今後3年以内に,恐らくプロトタイプになると思いますが,そういうものを整備いたしまして,5年以内にシステムとして整備して,今,それを更に進めていくため,最終的には民間協議会などと連携しながら,民間での運用も期待できるような取組としてやっていきたいと考えております。
 めくっていただきまして,以下,御参考ですが,共通語彙基盤ということで,先ほど語彙の話を申し上げましたが,今,コア語彙と言われています真ん中の円の図ですが,どんなデータにも使われるような語彙,人や物,場所,日付,住所,電話番号など,そういう語彙の整備をIMIという取組の中で,IT戦略本部中心に取組が進められております。
 そうしたことを進めるとともに,今後,各分野,ドメインごとにある程度共通的に使う語彙というものの整備が必要と考えています。
 めくっていただきまして,10ページ目です。実際のプラットフォームのイメージですが,真ん中に書いてある分野間データ連携基盤のイメージで,どんな機能を実装するかということです。
 サービス/ポータルとして検索機能等々が必要でしょうし,先ほどのメタデータのカタログ管理機能とか語彙の機能,ある意味で競争領域に入ってくるかもしれませんが,シミュレーションがちょっとできるぐらいのものがあってもいいんじゃないかとか,そういったことですとか,データ変換をできるようなツールみたいなものがそのプラットフォームにある方が使いやすいんじゃないかとか,そういった議論を行っております。
 そこと,下のところにある分野ごとに今整備が進められている分野ごとデータ基盤と接続をしていくことを想定しております。
 11ページ目は,先ほどの機能の参考ということで付けております。
 説明の方は以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明に関しまして,御質問あるいは御意見等ございましたら,お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
【寶委員】  寶ですが,内閣府の方から地球観測データに対してどういう期待をされるのかということが1つですね。それから,地球観測データになると思うんですけれども,GPSのデータとか,リアルタイムで物が動いている情報が取れますね。そういうデータをどういうふうに扱っていくのか,その辺もお聞かせいただきたいと思います。
【内閣府(福島参事官補佐)】  かなり基本的なデータになると考えておりまして,あらゆる分野で恐らく活用させていただくことになると思います。先ほどの農業や防災,自動走行などの分野でも,気象データや衛星データが不可欠というように,段階的にいろいろな分野のデータと連携していく必要があると思いますし,今,宇宙戦略本部ともいろいろ議論しておりますけど,そういった地球観測データと,特に早くスピード感を持って連携を進めたいと考えております。
【寶委員】  GPSデータみたいな,そういうデータはどうなんですか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  もちろんGPSデータなども含めて,このデータ連携基盤に載せていくことを想定しています。
【大垣部会長】  リアルタイムもということでしょうか。よろしいですか。
 じゃ,渡邉さん。
【渡邉委員】  質問です。「分野」という言葉の使い方についてです。きょうは分野間連携が強調されたと思うのですが,ここで言っている「分野」はまだ例示的で,「……」となっていますよね。この切り方によっては,大きさとか包含関係,階層関係が出てくると思うのですが,例えば10ページのインフラと農業と防災。下段にありますが,農業インフラも防災インフラもあるわけですよね。今の時点で分野をどういうように整理されていくのかを御説明いただけたらと思います。
【内閣府(福島参事官補佐)】  分かりました。今の時点ですと,農業,自動運転,インフラ防災というのは,既に実は取組が進められつつあります。例えば防災と一言で言っておりますが,実は範囲が広くて,今の防災プラットフォームの中ではもちろんインフラの被災状況などもありますし,被災地の病院がどういう状況になっているかなど,一言で防災といっても実は結構広いということでして,今,現状といたしましては,既に整備が進められている分野ごとのデータ基盤をこのように下に記載していますが,それらとつなげることを想定しております。
 防災分野についてちょっと補足させていただきますと,防災分野の中でも実はある種の分野間連携が実施されており,今までインフラは国交省が持ち,病院の情報は厚労省が持つ,そういった状況だったのですが,そこをうまくつなげることによって,被災地に行って,どのようなルートで救助活動して,どの病院に運べば良いかなど,そういったことが実現しつつあるということです。
 ということで,各分野は,現状としては,今,整備されつつあるものを分野ごとのデータ基盤と置いているというところです。
【渡邉委員】   今の御説明で現状は分かったのですが,それによると今の進め方としては,既に進んでいるものや,一くくりにできるものなど,下から積み上げていく形ですよね。ですから,初めから全体をこの分野に分けるという考え方ではなく,積み上げていくというやり方にすると,どこかで抜けてしまう分野も出てくるかもしれないと思うのですが,その辺の考え方を伺ったところです。
【内閣府(福島参事官補佐)】  我々の取組によって,各分野の取組がブレーキを掛けるようなことはできればしたくないとは考えておりますので,基本的に今までどおり皆さんの各分野で整理を進められているところは進めていただくことを今想定しております。我々の方は我々で整備をして,順次,準備が整ったところからどんどん接続していく,そのようなイメージでございます。
【太田参事官】  内閣府でございます。ちょっと補足させていただきたいと思います。
 10ページに書かれている分野ごとのデータ基盤でございますが,今,内閣府の方でSIPというプログラムを動かしておりまして,その中で,各プログラム分野のデータに関してこういった基盤を構築しているということで挙げております。
 SIPにつきましては,来年度から本格的に第2期も始まってまいりますが,これら以外の分野につきましても,まず分野ごとのデータ基盤をしっかり構築するべく,内閣府では各省とも連携しながら検討を進めていこうとしているところでございます。
 さらに,ほかのところで抜けているところがないかということも,全体を通じて検討しながら進めていこうと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
【渡邉委員】  ありがとうございます。
【大垣部会長】  それでは,春日委員。
【春日部会長代理】  短く2つお伺いしたいと思います。
 1つはアカデミアの参画なんですけれども,論文にまとめた論文集というのはもちろんデータベースが整備されていますけれども,生の観察,観測データ,あるいは調査データ,それを取り込むような方針というのは既に議論されているでしょうか。安西先生が人工知能の委員長なので,また文科省も関わっているので,そういう方向は議論されているのかなと思いますけれども,少し教えていただければと思います。
 2点目は国際連携です。アメリカ,EUの動向とも整合性を取ろうとしておりますが,最終的に日本におけるイノベーションの発展のためにも,国際的なデータの共有というのは双方向に進めなければいけないと思いますが,そのときに,共通の語彙は日本国内だけで整理するのではなく,それを国際的に共有できる形で翻訳するべきと思うのですが,それについてはどのような方針が持たれているでしょうか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  いずれも議論中ですが,前者の論文データ等の話では,今,オープンサイエンスという文脈の中で議論しておりまして,すぐにというわけにいかないと思います。正直ちょっと先の話になるかもしれませんが,そういったところとも連携をしていくということはもちろん想定いたしております。まだ余りそこまで具体的な議論をしていない,できていないという状況ではございます。
 とにかく今,現状としては,接続しやすいデータからどんどん進めていこうということで,恐らくオープンデータなど,まだ出せるかというのはありますが,IoTのデータなどをうまく使いながら進めたく,今後の課題ということでオープンサイエンスの分野は認識しております。
 語彙の件につきましても,英語になると思うのですが,今,日本国内で語彙の整備をどんどんしていまして,定期的にNIEMやSEMICなど,そういったところと意見交換をしておりまして,どういった連携が可能かを議論している,そういった途上ということかと思います。
【大垣部会長】  よろしいですか。じゃ,舘委員。
【舘委員】  先ほどのGPSの関連で,この10ページにある分野間データ連携基盤というのを理解したいので教えていただきたいんですが,例えばGPSのデータというと,携帯に入っているデータ,あるいはカーナビに入っているデータ,つまり,その車がどこにあるか,その携帯がどこにあるとかという,そういう情報がここに集約されるのでしょうか。それとも,そこは別のところに集約されて,それにアクセスできるようにする,その連携基盤,どういうことがこの連携基盤に託された機能なのでしょうか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  データ自体は基本的にこの基盤の中には持たない,極力持たないというシステムを考えておりまして,ここを介してそこにアクセスできる,そんなことを想定しておりますので,基本的にデータはまた別の場所にある。そのデータ,どういう性質のデータがあるのかという情報をここに載せるということですので,各データはまた別の場所にあるという,理解でやっております。
【舘委員】  そうすると,何かの車の動きを全体的に把握しよう,渋滞情報を把握しようとすると,そういうことを検索して,そのデータにたどり着くことができて,そこからデータを入手するという,そういうイメージですか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  そうです。
【舘委員】  分かりました。ありがとうございます。
【大垣部会長】  ほかには。
【河野委員】  海洋研究開発機構の河野です。Society5.0のイメージというのがよく分かって,大変参考になりました。
 実は,この部会に非常に深く関係がある事業の1つとしてDIASがあったと思うのですけれど,これは10ページでいうカタログ管理の機能を持ち,かつ,全てとは言いませんけれども,恐らく語彙を集めて,なるべくインターオペラビリティーを確保するような努力をし,しかも,ツールを提供するというところまでやっていて,現実に農業の作付け予想のようなことまでできるような仕組みになっています。
 こういったDIASのような,今,目指しているものの小型のようなシステムなのですけど,これは6ページにある構想の中のどこに位置付けられるものなのですか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  DIASの取組はもちろん承知していまして,今,意見交換もさせていただいております。小型版ということかもしれませんが,分野ごとデータ基盤である,この丸のところの中の1つとして接続いただくことになるかと考えております。
【大垣部会長】  今,丸と言われたのは。
【内閣府(福島参事官補佐)】  下の分野毎データ基盤です。
【大垣部会長】  タンクのような,石油タンクのような図でしょうか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  そうです。タンクのような図のことです。
【大垣部会長】  よろしいですか。それでは,高村委員。
【高村委員】  ありがとうございます。特にデータの連携基盤をきちんと作っていこうということについて,大変心強いと思いますし,特にSociety5.0でうたっている社会的課題の解決で,新しいデータの価値を生み出すという意味で非常に重要な基盤だと思うので,それは大変よく分かりましたし,是非進めていただきたいと思うのですが,そういう意味で,次のネクストステップかもしれませんが,3つほど,是非,それを実際に社会的課題の解決を図って,データが新しい価値を生み出すことにつながるために御検討いただきたいと思っているのが3点ほどございます。
 1つは,渡邉先生がおっしゃった点に関わるかと思うのですが,この文脈でいくと,観測データを念頭に置いて新しい価値を生み出していくためには,社会のニーズときちんと合うということが必要だと思うのですが,先ほど渡邉先生の御議論,私なりに理解したのですが,どういうニーズに応えていくかによって,どういうデータを集めていくか,逆に今あるデータでは足りないところも場合によってはあるかもしれない。そういうデータニーズの同定をどうしていくかという課題がやはり1つは重要な課題としてあるように思います。それが1点目です。
 それから2つ目は,社会的にデータが新たな価値だと認識されるためには,その使い手,それは研究者集団だけではなくて,広く社会にそれが価値があるということが分かっていくことが必要だと思っていまして,これは春日先生が中心に行われているフューチャー・アースでも,集まっているデータをどう分かりやすく使い手に,例えばビジュアルに伝えていくかという取組をされていると思うのですが,そのところを,社会とつなげるところをどうするかというのは是非今後検討いただきたいと思います。
 これは多分,次の議題のビジネスベースでも既に始まっているように思っていまして,グーグルさんが,グーグルマップにカーソルを置くと,この地域だと日照がこうなので太陽光発電がこれぐらいありますという,そういう予測ができるものを作っていらっしゃると思いますが,例えば1つの例ですが,次の議題にも関わる点として是非御検討いただきたいと思います。
 最後の点ですけれども,これ1点目とも関わるのですが,ひょっとしたら,今,集めている,今持っている観測データでは足りない,あるいはこの観測データがないと社会的ニーズに継続的に応えていけない,例えば防災などが典型的だと思うのですが,そうすると,そういう基盤となる観測データをどうやって継続的に収集し,解析していくかということを国としてどう支えるかという課題があると思います。
 これはお金の点もそうだと思いますし,人材育成の点でもあると思いまして,是非この今申し上げた3つ,それぞれ連関していると思いますが,次のステップとして是非御検討いただきたいと思います。
 以上です。
【大垣部会長】  コメント何か。
【内閣府(福島参事官補佐)】  ありがとうございます。1つ目,特に社会ニーズに合うか,どういうデータが必要かは,まさにおっしゃるとおりでして,コンセプト自体は御理解いただけるのですが,これで何ができるんですか,どういったデータが要るんですかなど,そういったことはやはり課題として我々も持っていまして,先ほど申し上げたユースケースということもありますが,そういったものを作って,やはり見せていかないといけないと思っています。
 今,政府のIT戦略本部の官民ラウンドテーブルで,民間ニーズの高いデータはどんなデータかという議論もございますが,そういったところとうまく連携しながら,多分,段階的に整備して,段階的にデータもつなげていくことになると思いますので,特にニーズの高いデータをどんどんつなげていき,その中でいろいろな方に活用していただき,こんなアプリケーションできましたとか,そういったことをやりながら進めていければいいと考えております。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
【佃委員】  7ページ目にありますルール・制度の課題というところの3つ目なんですが,情報インフラとして,民間のデータをオープンにするというのも非常に重要な課題だと思うのですが,制度設計がそれなりに法整備も含めた何らかの方策が必要だと思うので,現状どのようなことを今進められているのかを教えていただければ有り難いです。
【内閣府(福島参事官補佐)】  これ実はまだ今後の課題という感じでございますが,基本的に,もちろん企業のデータをなかなか出しにくいというのは当然で,その中で使いたい人は1対1の契約など個別に取り交わすことはもちろん必要になってきますので,そういった仕組みがまず要るだろうということは理解しております。
 あと,ちょっと責任問題と関係するかもしれませんが,出すことにより,ある種のディスインセンティブというか,こんな問題が起こったら困る,責任を問われるなど,そんな可能性もございますので,例えばこういう条件下だと免責になるなどということかもしれませんが,一定のルール作りが必要だと考えております。
 データの流通についてはいろいろな法整備も今,並行してされておりますが,そういったところを見据えながら,うまい形で制度設計をしていきたいと思っていますが,これはまだ今後の課題という感じでございます。
【大垣部会長】  よろしいですか。ほかには。どうぞ。
【赤松委員】  御説明ありがとうございました。6ページにあります全体の枠組みの図中で,まずデータ連携基盤を整備されるということがあって,それと同時に人工知能を検討していく話が並列されているのですが,例えば解析や付加価値化の部分というのはこのデータ連携基盤の中に組み込まれるのか,それとも外に置かれるのか,このあたりに関してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  付加価値部分は基本的には民間の競争領域だとは考えておりまして,我々データ連携基盤はあくまでも社会インフラということで整備を進めますので,今,民間企業でもいろいろなプラットフォーム事業などをやられていますが,そのプラットフォーム事業の方がここのデータを使いながらいろいろな付加価値を生むということがあると考えております。
【赤松委員】  なるほど。分かりました。実は,いろいろそういうプラットフォームが出来上がってきて,民間利用を進めようということが始まるときに,そこの相互接続のところが十分に当初から設計されていないことにより,うまく進まないということが民間の立場としては結構あります。ですから,できれば,こういう連携基盤を作るときは,利用へのインターフェースとなる民間を早い段階から参画させて,そのニーズを,先ほどの高村委員のお話にもつながるのかもしれませんけれども,社会ニーズをいかにデータの設計の中に組み込んでいくかを考えていく必要があると思います。
【内閣府(福島参事官補佐)】  そうですね。ありがとうございます。
【赤松委員】  そういう意味で,今,タスクフォースや,それから先ほど官民のラウンドテーブルなどをされているという話がありましたが,もし差し支えなければ,民間が今そこに参画する上でどんな枠組みを用意されているのかを御紹介いただければと思います。
【内閣府(福島参事官補佐)】  今,実はタスクフォースとワーキンググループを,2つのたてつけでやっておりまして,ワーキンググループの中に多くの民間企業の方に入っていただき,その中でどういうことが官として国側としてやるべきかを議論いただいています。ルール設計や,先ほどの語彙など,かなり基本的なところを特にしっかりやっていくことにより,ITベンダー企業など,そこの接続もやりやすくなるなど,そういった議論も致しております。
【赤松委員】  すいません,突っ込んで申し訳ないんですけれども,そこには利用サイドの民間というのは参画しているのでしょうか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  そういう意味では,利用サイドと言われると若干弱いかもしれませんが,各ワーキングの中には,先ほどの円のようになっている自動走行,インフラ・防災,農業データのような基盤を今構築されている方に入っておりまして,その方々も基盤を作るときにいろいろなニーズを承知されていますので,そういった方からの意見を通じて,いろいろ把握をしている,そういったたてつけにしております。
【赤松委員】  できるだけ利用サイド,要するに出口に近い民間の方の参画をもう少し考えていただけると,より利活用が進むデータベースになるかと思いますので,そこら辺り御配慮いただければと思います。
【内閣府(福島参事官補佐)】  ありがとうございます。
【赤松委員】  ありがとうございます。
【大垣部会長】  ほかにはいかがですか。どうぞ。
【春日部会長代理】  私も話を伺っている間に赤松委員がおっしゃったことがだんだん気になり始めまして,3ページに図示していただきましたSociety5.0の最終的な形が出来上がるためには,今,特に重点的に議論されているデータ連携基盤のところ,この整備は物すごく難しいですし,大変だということはよく分かるのですが,その上に,Society5.0が実現するために更にかなり大きなステップが必要になってくると思います。そこのステップが余り今回の御説明では見えなかったような気がしまして,ユーザーの意見を反映させることはもちろんですが,国として大きなステップの方向付けを早い段階から示していただくことも必要かと思います。コメントになりますけれども,よろしくお願いいたします。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。よろしいですか。
 すいませんが,私からも1つだけ。9ページにありますIMIの説明の右側に国内の実装状況というのがあり,その中にありますが,公共インフラなどの場合は自治体との協力の整備が十分進まないといけないのですが,例えば,そこに「埼玉県では」という説明が入っていますが,県あるいは都市レベルの参画のやり方,進め方というのはどのようになっていますか。県等の自治体の自主的なものに任せる形なのでしょうか。
【内閣府(福島参事官補佐)】  ちょっと詳細に存じていないのですが,実はまだそれほど利用は進んでいないと理解しておりまして,恐らく自主的な取組に任されている状況かと思います。そういう意味では,今後,このデータ連携基盤を構築して,語彙を整備していく上で,何らかの参画せざるを得ない,参画したくなる仕組み,そういったこともきっと検討が必要だと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかになければ,よろしいでしょうか。
 それでは,どうも熱心な議論ありがとうございました。詳しい説明ありがとうございました。
 それでは,議題の2に移ります。「地球観測データの産業利用促進方策について」であります。事務局から資料の説明をお願いします。
【川上地球観測推進専門官】  資料2になります。これまで委員の皆様に御意見を頂いて,それをまとめた素案をまずは事務局で作成をし,それを基に,これまで2回にわたって,前回,前々回と観測部会で皆様からいろいろ御意見を頂きました。この頂いた御意見をできるだけこの報告書の中に盛り込む形で作成を事務局でいたしまして,また,作ったものを一度メールベースで事前に皆様にお送りをし,見ていただくようお願いいたしております。そして,その後に頂いたコメントも更にこの中で反映いたしております。
 どのような形で反映して変わったかにつきまして,少しお時間を頂いて御説明をいたします。
 まず,1ページ目の「背景」ですが,これは最初の骨子のときと余り内容は変わっておりません。産業利用がまだまだ限定的な状況であるということと,さらなる利用の促進のために取りまとめを行うという内容ですが,こちらは余り御指摘がございませんので,既にできているという理解で,余り変更はされておりません。
 次,2.の「地球観測データの利用促進に向けた取組」「産学官の連携の在り方」ですけれども,こちらは2ページ目の2つ目の段落ですが,産学官が連携して,また,その産学官の各セクター間に適切なブリッジ機能を持たせた連携を図るものを構築し,それが国や公共機関が強く意識するというところを変更いたしております。
 続きまして,(2)地球観測データの提供の在り方ですが,最初の段落を「国が責任をもってデータの蓄積と品質管理,継続的な提供を行っていくべき」と修正いたしております。
 また,その後に「適切にコントロールされたデータポリシーを設定する」という部分も変更いたしております。
 また,次の段落ですが,民間がデータを利用してビジネス展開をするという表現,あと,そうすることに対して「データの信頼性と継続性が重要になる」ということも加筆いたしております。
 次の段落になりますが,「これらの取組を進めつつ,地球観測データの利用を一層促進していくためには,汎用的なフォーマット形式」ということが必要であるということ,利用者側に配慮した提供が重要であるということも明記いたしました。
 それから2ページ最後から3ページに渡ってですが,新たな価値を地球観測データから引き出すために,データ解析の専門家に加えて,IT専門家,またその他の様々な分野の専門家が一緒に取り組んでいただくということが重要であるということを加筆いたしております。
 続きまして,(3)普及啓発の必要性です。まず,データ提供元の想定を超えて大きく,地球観測データの利用が拡大していく可能性という言葉を加筆いたしました。
 また,国や公共機関がデータ利用の積極的なプロモーション,また解析事例の紹介などを行っていくべきであるということも明記いたしました。
 続きまして,(4)国などの役割です。最初の段で「ユーザーのニーズと地球観測が循環しつつ発展していくビジネスエコシステム」という言葉を入れました。要するに地球観測データを一方的にデータを取った側(がわ)からユーザーへ発信していくだけではなく,ユーザーのニーズも取り入れて,それを踏まえて,また観測やデータを出すことを想定して,このような表現を入れてあります。
 続きまして,その後になりますが,本格的な産業化が軌道に乗るまでの間,国や公共機関によるアンカーテナンシー若しくはシードマネーなどを行うことによって,産業の維持や活性化を行うということも明記いたしました。
 次の段落になりますが,データ利用というものが現状に今までの形としては合わなくなっている場合には,規制緩和というものを含めた法的課題の検討というのも必要ということも記載いたしております。
 次の段落ですが,欧州の「コペルニクス」というプロジェクトに関しても明記をいたしておりまして,地球観測データの利用に向けた政府による投資と戦略的施策というもの,こういうのを見習って,我が国においても産学官が一体となって地球観測データの利用を拡大するということが重要というものを入れました。
 3ページの最後から4ページ,最後の文章になりますけれども,ここは今回の方策の提言に関して,もっと積極的な姿勢を,特に国の姿勢をということだと思いますが,見せるという必要があるということと,今,一つ前の議題で御説明いただきました,Society5.0に向けたデータ連携基盤の取組も含めて入っておりまして,4ページになりますけれども,Society5.0の実現と,データ連携基盤の整備,オープンデータを推進するということもここでは記載をいたしました。
 また,SDGs(持続可能な開発目標)の貢献・達成にも向けて,「より積極的に取り組んでいく」という文言を加筆いたしております。
 以上が,皆様から頂いたコメントを受けて改訂したものの主な部分でございます。
【大垣部会長】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの報告について御質問あるいは御意見ありましたら,お願いしたいと思います。いかがでしょうか。この提言については,ここで議論した上でホームページに載せるということになっております。いかがですか。どうぞ。
【河野委員】  私,期限までにコメントを出していないので,御参考ということで申し上げますけれども,これ,推進方策についての提言で,どういう方策を取るべきだという姿勢が非常に実は少なくて,最初と最後を見ると,データの産業利用の推進方策で,最後の文は「より積極的に推進に取り組んでいくべきである」,これは自明のことを「べきだ」と言っているだけなんですね。
 大幅に変えるべきだということではなくて,例えばですけど,典型的な例で書きづらいのも分かっているという意味で典型的な例なんですけど,3ページ目の「安定的な需要の形成や,シードマネー等の支援により,産業の維持・活性化を行っていくことも有効な手段となる」という書き方なんですけど,恐らく,提言だとするならば,「産業の維持・活性化を行っていくために,国や公共機関によるアンカーテナンシー等を用いた安定的な需要の形成やシードマネー等の支援をするべきである」というふうに書くと,全部提言っぽくなるような気がします。
 ほかにも,3ページの一番上で「データ統合・解析システムなどのシステムを活用することも有効である」ではなく,「活用するべきである」,そういうふうに直していくと,方策として何をしなければいけないのかが浮き彫りになるような気がいたします。
 修正全体を読んで,じゃ,これで私が自分の立場で予算要求をするときに,何が要求できるんだろうと思うと,国としては何をすべきだと書いていないので,「重要なのは重要ですよね」と言われて終わるような気がしますので,あえて申し上げました。御参考です。
【大垣部会長】  ありがとうございました。何か。
【川上地球観測推進専門官】  若干表現の仕方が弱い部分という御指摘,ごもっともですので,今頂いた部分に関しては修正をいたしたいと思います。
【大垣部会長】  修正する方向でということでよろしいでしょうか。
 では,ほかには御意見いかがでしょうか。どうぞ。
【赤松委員】  いろいろと反映いただきまして,ありがとうございました。実は3月の意見照会のときに海外に行っていて返事を出せなかったものですから,細かいところですが,幾つか御意見を申し上げたいと思います。
 最初に2ページ目の一番上の行ですが,今,CSVというのを書かれておりますけれども,実は民間の立場からすると,CSVはちょっと古い感じがします。CSVはそのまま書いておいてもいいと思いますが,ここに「CSVの創造」の後に「ESG」と入れていただきたいと思います。今,気候変動やSDGsの話をするときに必ずESGというキーワードが出てきますので,この提言が最新であるということを示すためにも入れていただければなと思います。
 それから,少し進みまして,その下のパラグラフの下から3行目,「各セクター間の協働の仕組みが不可欠である」と書かれているところがあるんですが,ここは先ほどの河野委員からの意見にも関係するんですけれども,単に「仕組みが不可欠である」ではなくて,この仕組み構築を推進する施策展開をするというふうに,具体的に何をするかということを明記されてはどうかなと思いました。
 それからもう1ページ進みまして,3ページの(4)の第2パラグラフのところですね。「地球観測データの産業利用において,利用に関する規制等がデータ利用の現状に合わなくなっている場合には」という記載があるんですけれども,これが読み方によると,地球観測データの方に何か制約が掛かっているかのように読める部分があります。ですが,実は,ここで示したいのは利用サイド,各利用省庁などの既存の方法やデータに関する制約があって,その方法が変えられないがために新しいデータである地球観測データが入れられないことが今の課題となっていることです。衛星データは割と使おうと思えば使えるんですが,利用側の仕組みが障害になっているということを,ちょっとうまい言葉が今,頭の中にないのですけれども,そういう趣旨が分かるようにここは言葉を補っていただければなと思います。
 それから,その次のパラグラフで「コペルニクス」を記載していただいたんですが,その次の文と「コペルニクス」の話がなかなかうまくつながらないところもありますので,そこをつなげるために,「我が国においても」の後に「同様の施策を導入すること等により」という言葉を一言補うと,「コペルニクス」とその次の文の言わんとしていることがうまくつながってくると思っております。
 それから最後,非常にマイナーなことで申し訳ないんですけれども,最後の行から1行上のところの「SDGsの貢献・達成に向け」と書かれているところは,「SDGsへの貢献・達成」だと思いますので,言葉を御検討いただければと思います。
 以上でございます。
【大垣部会長】  ありがとうございました。5点ありますけれども,御指摘のとおりかと思いますが,どうですか。
【川上地球観測推進専門官】  はい。頂いた御指摘を踏まえて,この後,修正をいたしたいと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
【箕輪委員】  3月に御照会を頂いた際に私の方からも幾つかコメントさせていただきましたが,同内容をご反映いただきありがとうございました。我々,特に私は民間のユーザー側という視点になるのですが,データの信頼性,継続性,中立性,あと公正性など,非常に重要なトピックがこちらの方針の中に盛り込まれており,民間サイドとしては今後の利活用を促す,若しくは後押しするような内容になっていると思います。
 ここからは質問になりますが,非常に重要なキーワードが入っているこちらの方針を今後どのように運用されていくのか,また,実際に活用されている事例のフィードバックといったことが,今後本部会で行われる予定があるかについて,お伺いしたいと思っております。
【大垣部会長】  お願いします。
【川上地球観測推進専門官】  今回作成いただいております提案書でございますが,今,内閣府でも御紹介のとおり行っているデータを,一般の方々を含めて様々なところに利用いただく,特に産業に利用いただくということを国を挙げて推進をしておりますので,それに対してのある意味応援と,あとは方向性というものを付けていただくという部分で活用していきたいと思います。
 あと,我々の文部科学省にはDIASがございまして,DIASでも地球観測データを民間に利用いただきたいということを考えておりますが,ここの文章の中にも入っていますが,すぐ民間に利用いただけるような形にするのには難しい部分があるので,それをできるだけ乗り越えて進めていきたいと考えておりますが,そういうような作業の際に活用いたしたいと考えております。
【大垣部会長】  よろしいですか。
【箕輪委員】  ありがとうございました。
【大垣部会長】  ほかには。どうぞ。
【上田委員】  この促進方策に関して,先ほど赤松委員から,3ページ目の(4)の国等の役割についての第2段落で「規制緩和も含めた法的な課題の検討も必要である」ということに関してコメントがありましたけれども,本日,資料1の方のSociety5.0を進めるに当たってという資料を見ましたときに,私としてはこれは付け加えた方がいいなと思ったことがあります。7ページ目のルール・制度課題のところの2つ目なんですけれども,「2次利用に対する責任問題の整理が必要」ということで,データ利用によって問題が生じた場合の課題があるということであります。地球観測データについては,これまでのところ,どんどん促進していきましょう,産業として利用していきましょうという方向ではあると思うんです。
 ただ,私たち公衆衛生の分野など健康の分野では,データを用いることで問題が生じる場合,特に個人情報を扱う場合,問題が生じる場合がある。あるいはそういう心配があるためにデータの促進,使うこと,利用がうまくはかどらないという場合も想定されます。
 地球観測のデータに関してはそういったことは少ないと思われますが,場合によっては,これまで想定し得なかった問題が出てくる可能性がある。国の役割として,新たに発生が予測される問題や,あるいは課題が生じた場合の検討も必要になるといった,そういった文面ですか,そういったことも含めた対応が必要になるといったことを加えていただくといいのではないかと思いました。
 以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございます。(4)の2つ目のパラグラフの,3行ありますが,そこのところに責任に関することを加えた方がいいという理解でよろしいですか。
【上田委員】  責任という具体的なものではないですけれども,今後新たに生じた課題に対しての対応という意味ですね。
【大垣部会長】  いろんな可能性があるということですね,まだこれから。
【上田委員】  そうです。
【大垣部会長】  よろしいですか。
【川上地球観測推進専門官】  はい,ありがとうございます。
【大垣部会長】  ほかにはいかがでしょうか。大勢挙げているので,じゃ,右の方から。
【渡邉委員】  今の上田委員の御発言とも関わりますし,それから少し私自身レスポンスできていなかったこともあるので,コメントになるかもしれません。
 申し上げたいことは,3ページの一番下からの段落で読み込めるかなというのが結論です。ここでは基本的には産業利用促進ですが,これに関連して,それに付随して,例えば,国土や環境保全,あるいはそれに対する弊害についてもちゃんとケアしている,またそういう使い方が重要だということを付記してもいいかと,そういう背景もあってもいいかと考える次第です。それは最後の段落で読み込めると思います。
 例えば,先ほどのSociety5.0の話とも関わりますが,私の専門に近い農業であれば,国の食料・農業・農村基本計画にもあるように,産業政策としての農業政策と地域政策としての農村政策は一体としてやるということになっていますので,農業であれば農村もセットでということになります。農村を対象に入れたとたんに,防災,生態系,エネルギーなどみんな入ってきてしまうわけですね。
 ですから,さっきのSociety5.0に向けてはそこの整備も必要だと思いますが,そういう狭義での農業への利用をするときに,そこに関わるところもちゃんとケアすることを,また背景にあることを明記してもいいというのが私のコメントです。繰り返しますが,最後の段落でSociety5.0とSDGsを挙げてありますから,ここで読めるというのが結論です。
 以上です。
【大垣部会長】  そうですね。先ほどの分野間のという議論の続きで,それを全部書き込もうとすると,結構長くなる。
【渡邉委員】  そうですね。ですから,そういうこともここに含まれているという理解をしておく必要があるということを提案いたします。
【大垣部会長】  分かりました。もしも可能なら少し入れるかも分かりませんし,検討させていただくということでよろしいですか。
【川上地球観測推進専門官】  はい,ありがとうございます。
【大垣部会長】  村岡委員。
【村岡委員】  ありがとうございます。ちょっとエディトリアルな話かもしれません。2ページ目の上から2段目,第2段落の最初の3行なんですけれども,「地球観測データの産業利用を促進するためには」という,「国や公的機関が強く意識する必要がある」。この文章を読んで,2つ分かりにくいということに今気付きました。1行目に「産学官が連携し」という言葉がありますが,これが浮いているような気がして,最後の「国や公的機関が強く意識する必要がある」につながっていないんじゃないかと読めました。私がもしこれをウエブサイトで読んだときに,これは何を意味しているんだろうということがすっと入ってこないような感じがあります。
 もう1つ,この段落の2行目に「各セクター間に適切なブリッジ機能を持たせた連携」という言葉がありますけれども,質問なんですけれども,ブリッジ機能といった場合に,どのようなことを想定なさっているか,教えていただければと思います。これをもし部会外の方が読んだ場合に,じゃ,これを読んだときに,どういうふうなことを考えていこうかという立場に立った場合,ここは分かりやすい表現になっているとよろしいんじゃないかと思いました。
 以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございます。今の2番目の方はいかがですか。
【石橋課長補佐】  具体的に「ブリッジ機能」というのが何を意味するかというお問合せですが,なかなかそこは難しいと思います。具体的なところはなかなか説明しきれないと思っています。
 こういう機能が必要なのだけれど,具体的にこうすれば十分だというところがなく,実際にどのような分野でどのような人たちを集め,どのような組織が参画しているかで,それは変わってくるものだと思っており,一応このような表現に留(とど)めていると御理解いただけると有り難く,むしろ,特に具体的にこういうところに関してはこういうブリッジ機能を設ければすごくうまく行くというものがあれば,是非御意見を賜りたいというのが本音でございまして,お願いいたします。
【大垣部会長】  よろしいですか。説明し出すと長くなってしまう,言いたいことが。
【村岡委員】  プラットフォームや,いろいろなインフラを含めて,データ交換もあるのでしょうけど。ありがとうございます。
【大垣部会長】  もう1人。どうぞ。
【寶委員】  その次の段落なんですけれども,(2)の1つ目の段落の4行目,「適切にコントロールされたデータポリシーを設定する」というところですが,この「適切にコントロールされた」というところの意味ですけれども,コントロールするのは誰がするのでしょうかということと,それから「データポリシーを設定する」,この設定するのは国の役割なんですか。その辺をお教えいただけますでしょうか。
【石橋課長補佐】  ありがとうございます。基本的には,堅い話からすると,データポリシーを設定できるのはデータ自体の作成者ということになります。
 ただし,そこはどういう戦略を取るのか。例えば,先ほどから若干議論になった,全てクローズなのか,全てオープンなのか,そういう感じのものではなく,ものによってはオープンにするなど,そういうアプローチがあるかと思います。なので,そういう意味で,隠すものは隠す,出すものは出すという意味で「適切にコントロールされた」というべきで,そういう形を国としては促進していく,そういう意味,趣旨でございます。
【寶委員】  コントロールされたという意味は,民間がコントロールするということですか。
【石橋課長補佐】  必ずしも,どちらでも構わないんですが,どのような形で適切にコントロールされるかというのは,それぞれのデータにもよりますので,なかなかこれが一番適切であるかというのはちょっと言いづらいです。なので,今,オープン&フリーと言われていますが,そこではDIASでも結構議論になっていますけれど,何を出すのか,何を隠すのかという考え方がまずその根底にあるのが適切だと思います。
【寶委員】  そうすると,「設定する」も民間でやったり,国でやったりするわけですね。
【石橋課長補佐】  はい。実態としては両方あります。
【寶委員】  そうすると,「データポリシーを国及び民間それぞれが設定すること」などの表現の方が分かりやすいような気がしました。ありがとうございます。
【大垣部会長】  今,伺っていて,「コントロールされた」と「設定」が同じ意味合いで使われているから,誰がコントロールして,誰が設定するかというような質問が出かねないということですね。もう少し検討して整理するということでよろしいでしょうか。
【石橋課長補佐】  はい。
【大垣部会長】  どうぞ。
【佐藤委員】  前回か前々回のこの部会で発言させていただいたことに関連するのですが,きょう改めて拝見して,気になりますのでコメントさせていただきたいと思います。
 2ページ目の(2)の「地球観測データの提供の在り方」の第1文は,地球観測データありきとして,その提供の在り方について述べています。ですから,ちょっと趣旨からずれるかもしれないのですが,2行目の「継続的な提供」の「継続」が,地球観測データの取得のところにも入れた方がいいと思います。
 産業利用を促進するためには,連続的にデータが提供される状況にする必要がありますが,それは困難なことが多いようです。データ取得に関する継続性も大事だということを記述するような形に文章を変えていただくよう,御検討いただければと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。具体的に言うと,「公的機関が継続的に取得した」というような表現ではちょっと表現が弱い?
【佐藤委員】  現実には,継続性が危ぶまれる事態も生じておりますので,継続的な取得の必要性を明確化していただければと思っています。フレーズをちょっと前後させて文を整えればよいと思います。
【川上地球観測推進専門官】  今のところ「継続的」が「提供」だけに掛かっていますので,データの蓄積という部分に関しても「継続的」という言葉が掛かるように文章を整えたいと思います。
【佐藤委員】  ありがとうございます。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 ないようでしたら,大変熱心な御議論ありがとうございます。大変いいものに修正できるのではないかと思います。
 それでは,この提言につきましては,先ほどちょっと申し上げましたが,本日の御意見を踏まえて修正の上,文部科学省のホームページで公開するとともに,今後必要に応じてCSTI等に報告したいと思います。
 修正の内容については,実は今回が今年度の部会の最後でございますので,恐縮ですが,部会長である私に今日の御意見の修正を御一任いただくことでよろしいでしょうか。
                            (「異議なし」の声あり)
【大垣部会長】  どうもありがとうございました。それでは,そのようにさせていただきます。
 それでは,議題の3でございますが,本日の議題は以上ですが,その他の議題としてありますので,御意見のある委員,お願いいたしたいと思います。佐藤委員から。
【佐藤委員】  情報共有ということで発言をさせていただきます。今,資料を配っていただいております。
 それでは,説明をさせていただきます。これは地球衛星観測に関する話です。日本学術会議の地球惑星科学委員会地球・惑星圏分科会から,昨年の7月14日に「我が国の地球衛星観測の在り方について」という提言が出されました。これは,社会基盤として既に不可欠となっている地球衛星観測の仕組みが日本において余りうまく行っていない現状があり,それを解決する必要があるという内容の提言です。
 具体的には,地球衛星観測というのは実は2つの側面があります。1つは,いわゆるトップダウンの側面であり,国際的な役割の中での日本の分担という見方があります。言うまでもなく,地球衛星観測はグローバルにデータが取得できますので,国際的な連携をしていく必要があるわけなのですが,日本ではこの十数年ぐらいの間にそれをうまく分担し進めることができていなかったという現実があります。
 もう1つは,ボトムアップの側面です。未来型技術の開発を進めるためには,研究者からのボトムアップによる提案が重要であり,それを吸い上げて衛星を打ち上げることが必要ですが,それも全くできていなかったという現実があります。研究者は,実はトップダウンとして行うべき国際的な役割分担に関しても,把握しています。
 この提言の内容は,アブストラクトとしてこの3ページの中にまとめてあります。地球衛星観測の戦略的研究推進の必要性,人材育成の体制強化,地球観測リテラシー強化というのが挙げられます。そして,この提言を受けまして,7月18日に我が国の衛星地球観測計画公開シンポジウムが学術会議で行われました。200名以上と多くの方の参加を頂き,関係する省庁の方にもご参加いただいて,活発な議論がなされ,地球観測継続の重要性が確認されました。
 地球衛星観測に関わる方々は,非常に大きな集団です。ですから,衛星観測の中長期計画の立案をする上で,その交通整理が非常に難しい分野でもありました。しかしながら,それをまとめるという大きな力が,今働いていて,それが進みつつあります。
 主導は,「今後の宇宙開発体制の在り方に関するタスクフォース会合・リモートセンシング分科会」によりなされています。この分科会には,地球衛星観測に関わる23の学術団体が参加しています。そこでシビアに議論がなされ,ヒアリングもなされて,中長期的及び短期的な視点に基づく地球観測衛星計画グランドデザインの案が作られました。そして,23の加盟学術団体へフィードバックを掛け,現在案が固まりつつあるところです。
 つまり,どの順番でこの衛星を上げるのが日本としてよいのかということをアカデミアから政府に対して提案する,そういうところまで行っておりまして,かなりドラスティックな動きがありました。
 この部分,情報共有させていただきます。どうもありがとうございました。
【大垣部会長】  情報をどうもありがとうございます。何かこれに関しまして御質問,もしもあれば,いかがですか。
【河野委員】  テクニカルな質問なんですけど,文部科学省に委員会が設置されたのですか。位置付けの中ではどういうふうになっているのか。それと,内閣府の中にも。なぜそう思ったかというと,日本学術会議が文科省内に委員会を設置することができるのかというのがちょっと。
【佐藤委員】  それに関しては,地球衛星観測の特殊性が関係しています。先ほど申し上げましたように,地球衛星観測というのは,国際協力の中で日本が果たすべき役割を果たすというトップダウン的に行う部分と,学術的重要性からボトムアップで行うものとの両方の側面があり,かつ,それを分けて議論できないところがあります。
 つまり,1足す1が2以上になるというのが地球衛星観測でして,ボトムアップの測器とトップダウンの測器が1つの衛星に搭載されることにより,相乗効果が高まることが多いので,分けて議論することができないのです。
 つまり,学術会議のようなアカデミアの中で議論すべきなのか,政府の中で議論されるべきものなのか,ということではなく,どちらかで両方併せて議論する必要のあるものです。そこで提言をまとめた学術会議の地球・惑星圏分科会の小委員会の中で議論を進め,1つ理想形として提案されたものです。
【河野委員】  分かりました。「設置することとしました」と書いてありますけど,設置するべきであるという提言をしているということですね。
【佐藤委員】  これは,べきであるという提言です。
【河野委員】  それなら理解できます。ありがとうございます。
【佐藤委員】  実は,これを受けて,政府の方でも既に対応が進められています。例えば,3ページ目の図を見ていただきますと,地球観測推進部会の隣に宇宙開発利用部会というのがあります。これは宇宙政策委員会とつながりが深い部会であり,この中に地球衛星観測関係の委員を増員していただきました。
 それから,宇宙政策委員会の中にも地球観測小委員会(仮)を作っていただきたいと書いていますが,宇宙政策委員会の中の部会にも地球衛星観測関係の委員を増やしていただいています。このように,政府にもきちんと対応していただいております。
【大垣部会長】  確認ですが,これは学術会議の提言等の内容に関して説明の文章なので,1ページから2ページにかけて丸1,丸2,丸3までですか,今,御質問のあった小委員会を作ったり,委員会を作ったりして,そこで検討することにしましたという表現は,そういう提言を作ったという理解ですか。そうじゃなくて,この「しました」ということは出来上がったものなんですか。
【佐藤委員】  これは平仮名なので分かりにくいかと思いますが,「審議することとしました」です。ですから,「審議することにしました」ではなくて,「審議することとしました」。ですから,これは提言です。
【大垣部会長】  丸3の最後も,「ここでは「地球観測小委員会(仮称)」としました」というのは,名前をそうしましたと,そういう意味合いですか。
【佐藤委員】  そうですね。ですから,このように決定しましたという意味ではなくて,こういうふうにすべきであるとしましたという意味です。
【大垣部会長】  河野委員の御質問も同じだと思います。
【河野委員】  今,分かりました。どうしてこう書いてあるのかの意味が分かりました。
【佐藤委員】  これは,ボトムアップ的に政府にこういう委員会を作ってくださいという非常に大胆な提案でもあるので,作文は大分苦労いたしましたが,これと並列に宇宙政策委員会の先生方と,また,文科省の宇宙開発利用課においても,時間をかけて議論させていただき,こういう形でまとまったということでございます。
【大垣部会長】  よろしいですか。
【赤松委員】  こういうグランドデザインを描くという機能は,もちろん科学技術の側面からも大事だと思うのですが,利用の側面からも非常に大事なことだと思います。民間の委員としましても,こういうことは是非推進していただきたいと思います。
 去年,アメリカのディケーダル・サーベイ2017が出されました。あの仕組みというのがこれを作っていくときのひな型になるのだと思っています。もちろんサイエンスが中心になるのですが,民間も関与しながら作っていく仕組みですし,単に衛星の計画を書くだけではなく,例えば予算処置が経年的にどうなるかというところまでデザインしていたりします。ですから,その計画を具体的に提案し,なおかつ実現していくという意味では,ああいう制度をもう少し参考にしながら,グランドデザインを進めていく制度設計につなげていければと思っておりますので,是非御参考いただければと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。どうぞ。
【寶委員】  3ページ目の図なんですけれども,これは組織の図ですね。組織というのもいろいろな意味があるかもしれませんが,政府の中の組織と,それからいろいろな学会や海外の組織が書いてありますが,JAXAが抜けていると思います。JAXAを意図的に外しているわけではないのですよね。JAXAを書くとしたらどこに書くことになるのかということと,あと,民間で衛星を打ち上げている組織もあるので,先ほど産業利用という話もありましたけれども,民間の衛星をどう位置付けるのかということですね。
 それから,以前JAXA,20年ぐらい前の宇宙開発事業団(NASDA)の時代に,地球観測委員会というものがありまして,その下でハードの方の委員会もあるし,サイエンスを検討する委員会もたくさんありました。それが十数年前になくなってしまったのですが,NASDAがそういう委員会を組織して,それでRESTECが事務局をやるということがあったのですが,そういうものもまた復活していただけると有り難いと思っています。
 以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございます。コメントありますか。
【佐藤委員】  それに関して,私の分かる範囲でお答えしたいと思いますが,先生のおっしゃるように,地球観測委員会というのが旧NASDAにあり,そこで200人ぐらいの委員が参加し,熱心に議論したという時代がありました。
 そして,その中で,この順番で観測したら良いということも自然に決まっていたところがありましたが,それが日本の宇宙政策が変わったときに,全部消えてしまったようです。その後が地球衛星観測に関しては暗黒の時代になったと言われています。それぞれの省庁でこれをやります,例えば,気象庁で「ひまわり」を上げます,環境省でGOSATを上げます,そういう分担がはっきりしていることは比較的うまく行っていました。しかし,GCOMシリーズのように担当省庁がはっきりしていない衛星については,その日本の高い技術に支えられた観測データが国際的にも多く利用されていて,当然後継機も日本が打ち上げるだろうと思われていたものが,うまく行かず,危うく打ち上げ損ねるところだった,そういう出来事がありました。そこで,これではまずいということが学術会議でも議論がなされ,動いたということです。
 では,前の地球観測委員会に戻れるかというと,それからかなり時間がたっていることもあり,コミュニティーの大きさも変わってきていますので,提言で書かれた形にするのが今の日本にとってはベストということになりました。
 あと,ディケイダルサーベイ(長期的通観)の話もありましたが,そういう仕組みをアメリカでは取っているということも知られており,アメリカでは,それがうまく機能していることも認識されております。しかし,検討しているものの,現在の日本では,今の段階でそこに行くのは難しいようで,タスクフォースコミュニティーの中で,活発な議論がなされ,今のスタイルに至っている経緯があります。
 あと,民生利用に関しても,図の真ん中に青で記されている地球衛星観測コミュニティーが中心となってグランドデザインを作っていますが,民間のグループとも議論しながら進めているところです。特に小型衛星の利用が最近はホットな話題となっており,その利活用に関しても議論を進めつつあるところです。
【寶委員】  JAXAを取り込んでいく必要はありますか。
【佐藤委員】  JAXAを図にどう入れるかについては,かなり議論したのですが,全てにわたってしまうため,書いていないということです。
【寶委員】  NASA,ESAがそこに書いてあるぐらいだから,JAXAはどこかに書くべきだと思います。
【佐藤委員】  そうですね。JAXAは地球衛星観測コミュニティーの中のドライビングフォースとして動いてくださっています。例えば事務局はJAXAがしてくださっています。
 舘委員,補足をお願いします。
【舘委員】  JAXAということでお話しいたします。20年ぐらい前は200人あるいは300人という委員会の中で議論して,プライオリティーを付けるということをやってまいりました。最近なかったのはそのとおりでございますが,利用が広がっているということもあり,JAXAだけで集めているよりは,もう少し違う視点が良いと思っています。
 今回は多くの学会の方が集まって,1つの目的に向かい,いろいろ議論されていると思いますが,そういう議論が良いと思っています。もちろんJAXAは,先ほど先生がおっしゃったように,事務局として活動支援しておりますし,学会の中で1人の委員としても参加しております。したがって,JAXAがここを支えていないわけではなく,事務局として働いているということは事実だと思います。
 一方で,先ほど赤松委員からありましたように,ディケーダル・サーベイ2017があります。もともとディケーダル・サーベイ自身は,予算を作る議会からの提言などを受けてやっています。その中で予算の議論も実はきちんとやっております。あれはNASAやNOAAから独立でやっているので,あれはああいう形で提言を頂いて,宇宙機関が実施する,そういう議論になると思っています。こういう提言が来て,それを我々が実施する立場になったときに,今度はこのコミュニティーの皆さんとどうするかの議論を更に進めるという,ディケーダル・サーベイのようなやり方を取るのが一番良いと思っています。
【赤松委員】  ありがとうございました。ディケーダル・サーベイそのものを今すぐにやるというのは,私も現実的ではないと思っているのですが,今,舘委員もおっしゃったように,何を最終的な出口として求めていくのかなど,そういうことを組み込んでいくということも大事だろうと思います。
 ですから,あの規模であの仕組みを回すというよりは,あそこの中に盛り込まれているエッセンスをうまく活用していくことが必要であろうと思っております。それが今の段階でやれることと考えておりますので,そういう意味の参考とできればいいと思っています。
 以上です。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかになければ,そろそろよろしいでしょうか。どうも大変ありがとうございました。情報提供ありがとうございます。
 それでは,ほかになければ,事務局より連絡事項をお願いしたいと思いますが,いかがですか。よろしくお願いします。
【川上地球観測推進専門官】  事務局から事務連絡をいたします。
 本日の議事録は,後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りいたします。各委員の皆様に御確認いただいた後,文部科学省のホームページで公表させていただきます。
 また,本日の配付資料の郵送を御希望される方は,机の上にあります封筒に入れて,そのまま机上にお残しください。また,旅費の書類をお配りしている方は,内容を御確認いただき,そのまま机上にお残しください。
 また,来年度の観測部会につきましては,7月,8月頃の開催を考えておりますが,改めて日程調整をさせていただいた上,御案内いたします。
 以上です。
【大垣部会長】  よろしいでしょうか。それでは,以上をもちまして,地球観測推進部会の第4回会合を閉会いたします。大変御熱心な御議論ありがとうございました。本日はどうもありがとうございました。

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(研究開発局環境エネルギー課)