第7期地球観測推進部会 GEO戦略計画推進作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成29年6月26日(月曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館 3F2特別会議室

3.議題

  1. 作業部会主査代理の選任及び作業部会の運営について
  2. GEOワークプログラムに関する各種活動の進捗報告について
  3. GEOに関する最近の動向について<非公開>
  4. 第15回本会合開催に向けた準備について<非公開>
  5. その他<非公開>

4.出席者

委員

小池主査、上田委員、三枝委員、柴崎委員、中島委員、福田委員、本郷委員、村岡委員、森田委員、吉高委員

文部科学省

大山大臣官房審議官、藤吉環境エネルギー課長、樋口環境科学技術推進官、森課長補佐、生駒学術調査官

5.議事録

【樋口環境科学技術推進官】  それでは、ただいまより、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会GEO戦略計画推進作業部会を開催いたします。
 本日は御多忙のところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本作業部会は、本日開催された地球観測推進部会におきまして、第15回GEO本会合の開催準備に関すること、それから、二つ目が、戦略計画の推進に関する我が国全体の取組方策に関すること、それから、三つ目が、我が国が関連するGEOのタスクの進捗状況把握に関すること、それから、GEOの各種会合への対応に関すること、この四つを調査事項といたしまして設置が決定されたものでございます。
 本作業部会の主査は、地球観測推進部会運営規則に基づきまして、地球観測推進部会長でございます大垣部会長より、小池俊雄委員が指名されております。以降の進行につきましては、小池先生にお願いいたしたいと思います。それでは、小池先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【小池主査】  ただいま紹介いただきました小池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、樋口さんから御紹介のあったこの作業部会のタスクの1番目に書いてあることですが、GEOの第15回プレナリーが来年秋に日本開催となります。GEOという枠組みができた背景と発展してきた経緯を考えますと、それは間違いなく日本の努力によるところが大きいと思います。
 いろいろな節目がありました。現在GEOは2期目の10年実施計画の2年目になるのですが、来年のこの第15回GEO本会合を、第2期GEO活動のシンボリックな機会にできるように企画していくのがこの作業部会でございますので、GEOを変えていくというような意気込みで、これから1年半余り、集中して皆様と一緒に議論させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、きょう御出席の皆様から、簡単に自己紹介をお願いいたします。GEOに参加されている方は、それについても御紹介いただければ幸いでございます。
 それでは、上田委員から、お願いできますか。
【上田委員】  京都大学の上田と申します。環境衛生学を担当しておりまして、大気環境の研究を行っております。よろしくお願いいたします。
【三枝委員】  国立環境研究所の三枝です。後で簡単に紹介させていただきますが、GEOの中では、GEO Carbon and GHG Initiativeというのに参加しています。よろしくお願いいたします。
【柴崎委員】  東京大学の空間情報科学研究センターの柴崎です。私はインフラ関係に結構長い間、ずっと関与していて、最近ちょっと出席状況がいまいちです。以上です。
【中島委員】  JAXAの地球観測研究センター長の中島と申します。JAXAとしてもGEOを重要な活動として位置付けて頑張っています。よろしくお願いします。
【小池主査】  ちょっと私も御紹介させていただきますと、GEOでは、今の土木研究所の水災害・リスクマネジメント国際センター、ICHARMといいますが、そこのセンター長を務めておりますが、GEOの枠組みでは、水循環の話をずっと長くさせていただいていて、アジアでは、アジア水循環イニシアチブ、それから、GEO全体の中では、今、GEOグロースという、ウオーターとサステナビリティの両方を進めていくイニシアチブのメンバーとなっております。よろしくお願いします。
【村岡委員】  村岡裕由と申します。岐阜大学に務めております。GEOの枠組みで、昨年よりGEOのプログラムボードが設置されまして、それの日本代理委員を去年、今年と務めさせていただいております。ほかの活動としては、GEO Carbon and GHG Initiativeと、あと、GEOの基盤タスクの一つであるIn-situ observation resourcesに参加しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【福田委員】  一般財団法人リモート・センシング技術センターの福田でございます。
 実は、私、このGEOの作業部会に呼んでいただいたのはこれで2度目でございますけれども、前回はJAXAの立場で出させていただきました。それ以降、ちょっとGEOと直接の関係は少し離れたようになっておりますが、今回はリモート・センシング技術センター、民間の立場から、特に地球観測とビジネスの関係等に興味を持っておりますので、そういうところで貢献させていただければと思っています。
【本郷委員】  千葉大学の環境リモートセンシング研究センターの本郷と申します。よろしくお願いします。専門は農業リモートセンシングで、特に空間情報を社会実装するという取組を進めております。よろしくお願いします。
【森田委員】  JICA地球環境部の森田と申します。私のフロントの方では、森林・自然環境のところがメーンなんですが、広く政府開発援助に関しまして、何か貢献できるところがあればというふうに期待していますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【吉高委員】  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の吉高と申します。あと、同時に、慶応大学の環境ビジネスで特任教授もしておりますけれども、昨今は、私どもの方では適応ビジネスということで、正に衛星を使った企業の適応ビジネスの活性化を今、経済産業省とやっておりまして、先月もボンに行ってきまして、そういった動きも入れていますので、何かお役に立てればと思っています。よろしくお願いいたします。
【小池主査】  どうもありがとうございます。
 GEOには、各国にプリンシパルという各国を代表する方がいらっしゃいますが、我が国の場合は、大山審議官がそのプリンシパルをされておられます。一言御挨拶いただければ幸いです。
【大山大臣官房審議官】  ありがとうございます。
 まず、本日は、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。大臣官房審議官の大山でございます。本年4月より、前任の白間審議官の後任で着任いたしまして、地球観測に関する政府間会合、GEOの日本代表、プリンシパルを務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、このたびは、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の第7期地球観測推進部会の下に置かれました本GEO戦略計画推進作業部会の委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。厚く御礼(おんれい)申し上げたいと存じます。
 さて、昨今でございますが、地球規模課題の解決に向けまして、持続可能な開発目標SDGsや、トランプ政権誕生によりまして、その動向が注目をされておりますパリ協定、そして、2030年までの国際的な防災の取組指針でございます仙台防災枠組など、多くの国際約束が取りまとまっているところでございます。こういった状況の中で、地球規模課題解決における地球観測データの果たす役割は大変大きなものになりつつあると考えております。
 GEOにおきましても、今後3年間、優先的に注力する分野といたしまして、大きく三つ、SDGs、そして、気候変動・温室効果ガスの監視、そして、防災と、この三つを掲げてございます。また、昨年のGEO本会合におきまして、平成30年の、冒頭でも小池先生からも御紹介がございましたとおり、来年、第15回のGEO本会合をGEO発足後、初めて日本で開催するということが決定してございます。
 今期の作業部会におきましては、こうしたGEOの動向も踏まえながら、GEO戦略計画の推進に関する我が国全体の取組方策やGEOのタスクの進捗状況把握、そして、各種会合への対応方針の検討に加えまして、この平成30年の第15回GEO本会合日本開催を成功させまして、これを機会に、我が国が地球観測分野で世界を牽引(けんいん)していくために必要となります戦略的な対応につきましても御議論をお願いしたいというふうに考えてございます。
 私ども文部科学省といたしましては、このGEOの戦略計画をより強力に推進するために、委員の皆様方から、大所高所の忌憚(きたん)のない御意見を賜りたいと考えてございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【小池主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、きょうの会議に配付されています資料を確認、資料の確認を事務局の方からお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  事務局より、資料の確認をさせていただきます。議事次第が最初にございまして、その後、資料が1-1、それから、1-2、1-3、資料2-1、2-2、3-1、3-2でございます。
 これらの資料につきまして、過不足等ございましたら、お知らせいただければと思います。


議題(1)作業部会主査代理の選任及び作業部会の運営について
【小池主査】  それでは、議事次第に沿って進めたいと思いますが、議題の(1)は、主査代理の指名及び作業部会の運営についてということで、地球観測推進部会の運営規則に基づいて、主査代理は、主査が指名することになっております。それで、ということで、先ほどお話がありましたプログラムボード委員を務めていただいています村岡委員に主査代理をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【村岡主査代理】  はい。ありがとうございます。
【小池主査】  よろしいでしょうか。
 それでは、作業部会の運営について、事務局の方から説明をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  資料1-3の運営規則案の御説明をさせていただきます。
 第1条につきましては、この運営規則案は、ほかの上位の規則に加えて定めるということを書いてあります。
 第2条につきましては、作業部会の会議、会議資料を公開とするとしております。ただし、個別利害に直結する事項に係る案件、又は、審議の円滑な実施に影響が生ずるものとして作業部会において非公開にすることが適当だといっている案件の場合にはこの限りでないというような例外も書いてございます。
 第3条でございます。主査は、作業部会の会議の議事録を作成し、所属の委員等に諮った上でこれを公表すると。ただし、作業部会が前条ただし書に掲げる事項について調査審議を行った場合、これは非公開の場合でございますけれども、この場合、主査は議事録に代えて議事要旨を作成し、これを公表するとしております。
 第4条、この規則以外のことにつきまして、主査が作業部会に諮って定めるとしております。
 以上でございます。
【小池主査】  今、この運営に関する説明がございましたが、御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。よろしいでしょうか。
 恐らく、この第2条の個別利害、これはプライベートなことが主だと思うんですが、審議の円滑な実施に影響が生ずるというような場合は非公開であるというようなことが書かれておりますので、そういうことがきょう発生する予定でありますので、この文言はちょっと気を付けておいてください。
 それでは、運営規則を、資料1-3ですよね、1-3のとおり、決定したいと思います。
 事務局から、運営規則に、きょう、その運営規則に、今の、基づいて、先ほど言いました公開、非公開の案件がきょうありますので、その説明を、議事の説明をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  本日の議題でございますが、議事次第の方に書かせていただいておりますが、議題(1)、(2)につきましては公開としまして、後日、会議資料、それから、議事録を文科省のホームページに掲載をしたいと思います。
 議題(3)、(4)、(5)につきましては、審議の円滑な実施に影響が生ずるということで、資料につきましても、一部、国際機関でまだ公表されてない機関の資料を使用した議論もございますので、こういったことも踏まえて非公開とし、後日、議事概要を文科省でホームページに公表することとしたいと考えております。
 以上でございます。


議題(2)GEOワークプログラムに関する各種活動の進捗報告について
【小池主査】  基本的には、きょう、この議題の(3)、(4)で議論する資料がまだちゃんと公表されていないものが多く、それに基づく議論は公開できないようなものも出てくるだろうというわけで、非公開にしようということですが、よろしいでしょうか。
 それでは、きょうの議題の(3)、(4)、(5)がその他となっておりますが、運営規則に基づいて、非公開で議論を行った上で、その内容を後日、議事要旨、議事要旨の要旨として文科省のホームページで公開することとしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題の(2)に移らせていただきますが、議題の(2)は、先ほどもちょっと御紹介いただきましたが、GEOワークプログラムに関する各種活動の進捗報告についてで、これは三枝委員にまずお願いして、その次に中島委員にお願いしたいと思います。
 それでは、まず、三枝委員の方から、お願いいたします。
【三枝委員】  それでは、GEO Carbon and GHG Initiativeの現状について紹介いたします。資料2-1、1枚めくっていただきまして、2ページ目からごらんください。
 まず、左半分、これまでの経緯・背景を一言説明いたします。
 このGEO Carbon and GHG Initiativeに現在参加している多くの機関は、これ、2015年より前は、GEOのtask CL-02というものに参加していたところが多かったという状況です。そして、2015年以降、GEOの戦略計画2016年以降のものが承認され、それとほぼ同時に、2015年12月にCOP21にて「パリ協定」が採択、翌年の2016年には「パリ協定」の発効というものが予想以上に早く進んだことから、全球規模の炭素循環観測を担う研究コミュニティはこれにどのように対応し、貢献するかといったところの議論が高まりました。
 そして、2016年11月には、GEO本会議にて、温室効果ガス観測がGEOの優先連携分野として承認されるなど、また、同時に、GEO Carbon and GHG Initiativeの承認があるなど、この活動が始まりました。
 そして、2017年の活動を一言だけ紹介しますと、まず、1月に東京で行われましたGEOSS APシンポジウムにおいて、これ、世界の取組よりも少し早く、アジア・太平洋において「GEO炭素・温室効果ガスイニシアティブ」の分科会というのを東京で開催しました。
 続いて、これは後で少し説明いたしますが、このイニシアチブと深い関係のあるIPCC側の取組があります。2017年6月から、各国の温室効果ガス排出インベントリのためのIPCCガイドライン報告書改訂という作業が始まりました。これは何かと申しますと、各国は、IPCCが定めるガイドラインに従って、国の公式の排出量報告というものを今行っているのですけれども、「パリ協定」に至りますと、これが世界各国に影響が及ぶことになるのですが、このガイドラインの改訂が始まりました。
 ここに6月第1回Lead Author会合が始まりまして、ここに日本からは、国立環境研究所の室長などが参加し、地球観測のデータをこうしたガイドラインにどのように取り組むか、そういう情報を是非入れていこうと。そういった取組が同時に走っております。
 続いて、2017年6月には、国内のGEO Carbon and GHGイニシアチブに関する国内の準備会合、7月には、国際会合の開催が予定されており、そして、9月には、第10回GEOSSアジア・パシフィックシンポジウムにおいても、分科会の開催を予定しております。
 これが大体の予定です。
 続いて、そのページの右側、現時点での参画機関を簡単に書いてみました。国内の機関が下線に入っております。アルファベット順です。国内の機関といいますと、岐阜大学、JAMSTEC、JAXA、JMAは気象庁、そして、右側に入りますけど、NIES、国立環境研究所などです。ただし、これは2016年9月の時点ですので、今後増える可能性もあります。
 世界の大きなコミュニティといいますと、IPCCに非常に強く貢献しておりますGlobal Carbon Projectというところがプロジェクトとして入ると同時に、オーストラリアのCSIROという機関が入っております。また、ヨーロッパでは欧州統合炭素循環観測システム、ここが非常に系統的に観測、統合的に観測をしようというプログラムですが、ここですとか、それから、WMOの下にありますIG3ISというつづりの取組、それから、右段の方に行きますと、アメリカのNASA、NOAAという大きな機関が入っております。
 続いて、次の3ページ目のところをごらんいただきますと、このイニシアチブが行う観測、あるいは、評価の概要と目標をさっと絵で描いてありますが、主に温室効果ガスに関わる衛星観測、航空機観測、船舶を用いた観測、陸域の観測などを統合的に用い、各国の温室効果ガス吸収源・排出源の精密な見積り、そして、国家排出インベントリデータと独立の方法で求める国別の排出量の評価といったものを目指しています。
 右側の段のところに、特にパリ協定にどういった方法で貢献しようかというものが書いてありますが、パリ協定は、これ、例えば日本であれば、2030年度に、2013年比で26%の排出削減をするといった具体的な目標が定められ、それに対する取組も進められているところですが、もう少し大きな目標としまして、右段の上から2番目のポツのところに書いてありますが、今世紀後半に、温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を達成すること、これはとても大きな目標ということになります。人間の排出する温室効果ガスの排出量はどんどん増えているのですが、これを人為起源の吸収源、これの和と等しくすることにより、気候を安定化させる必要がある。ここに向かっていかなければなりません。
 こういったものを実現するには、ただ国別の統計データにも、エネルギー消費量等の統計データに基づく排出インベントリデータだけでは不足です。地球規模の大気観測、海洋観測、陸域観測など全て用いまして、吸収源と排出源が将来にわたり近付いていくかを確認しなければならない、そういう役割を持っていると考えています。
 では、次に、4ページ目、ごらんいただきますと、具体的な実施内容としては、大きくタスク1、2、3、4とありまして、1のところでは、これまで以上に利用者ニーズ、あるいは、ステークホルダーとの関与を強化すること。タスク2のところは、これまでも実施してきましたが、様々なドメイン全体を包括する観測を行うこと。タスク3では、観測ネットワークの最適化を議論すること。タスク4、ここが過去の10年間やってきました活動と一歩進むところですが、タスク4、収支計算、ここでは、大気・海洋・陸域観測、排出インベントリデータ、それから、モデル、ここでは大気輸送モデルやプロセスモデルに加え、新しいインバージョン解析、これは大気中の温室効果ガスの3次元的な分布から、地球表面における二酸化炭素等の吸収・排出源を逆推定する方法でありますけれども、これを新しいデータで同化技術などと組み合わせた方法によりまして、全球・国・地域・都市といったこれまで以上に高い、高解像度で温室効果ガスの一貫した収支算出を行うと。こういう方法を開発するということはタスクの重要な点だと思っております。
 最後に、5ページ目のところをごらんいただきますと、こういうところを担う既存の取組としまして、左側のところにありますとおり、衛星観測、航空機観測、船舶による観測、陸域の観測を統合的に行うとともに、これから特に連携を深めていく必要があるのは、これ、欧州などではICOSといった名前で統合的な観測システムができておりますが、これをアジア・太平洋、あるいは、地球規模で進めていく必要がある。
 また、WMOなどの気象機関が目標をかなり類似とする取組を行っていますので、そういうところと連携していく。さらに、グローバル・カーボン・プロジェクトといったものを介して、IPCCに重要な知見を入れていくと、こういったところです。
 右側のところは、先ほどの時間まで行われていました地球観測推進部会でもお話がありましたが、環境省、及び、国立環境研究所に事務局があります地球観測連携拠点(温暖化分野)においても、こうした国際イニシアチブ、特にGEOカーボンに関するイニシアチブ、それから、WMOの推進する取組などとの連携を図るという目標が定められ、こうした検討チームの活動を今年度から開始する予定です。
 以上です。
【小池主査】  どうもありがとうございました。
 今、三枝委員から膨大な内容をコンパクトにまとめていただきました。御発表に対しまして、何か皆様の方から御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、次に、中島委員から御発表をお願いいたします。
【中島委員】  よろしくお願いします。お手元の資料の2-2になります。
 JAXAは、CEOS等を通して、GEOの活動のうちの衛星地球観測の分野について担っております。ここでは、2017から2019年におけるこれまでの活動と今後の予定についてお話しさせていただきます。
 1枚めくって、まずは、三つ、活動報告をさせていただきますが、そのうちの全球森林観測イニシアチブ、これはGFOIについてですが、これはリードしているのは豪州等を書いておりますし、JAXAも入っております。オフィスはイタリア、ローマ、FAOにあります。
 このうちの宇宙データの調整に関しては、CEOSが全体を取りまとめておりまして、衛星及び地上のデータを用いた森林からの温室効果ガス排出・吸収算定手法の研究開発を行っております。これは算定方法についてのガイドラインをまとめてあります。これには、MGDというものがありまして、これを発展途上国の能力開発国を含めて推し進めていくというような形になっております。
 次のスライドをお願いします。JAXAの貢献は、特にL-band SARを使って、JERSから始まって現在のALOS-2まで、約25年間のデータがあって、森林データを蓄積しています。特に25メートルの分解能について、モザイクデータと森林・非森林に特化したマップを用意しております。
 次のスライドを見て下さい。特にREDD+を実際に実施してモニタリングしていくために、GFOIのMGDは2019年に改訂が予定されておりますので、ここに向けて、衛星観測からの定量的な算定手法の研究開発を進めて、提案していくことが必要で、そういった活動を行っています。特に、先ほど言いましたような長いL-band SARのデータを十分に見て、特にGFOIに貢献できるようなことを考えております。
 では、次のスライドを。次は、GEOGLAMといいまして、これは全球農業監視イニシアチブになりますが、これは昔、2002年から2008年にかけて、穀物市場が非常に大きな高騰だとか乱高下があって、それの反省の下に、全球を監視して、ある程度の予測をやっていくために設けられました。そのために農業市場の情報システムとして、これはAMISといいますが、それを確立したのがスタートです。その中の農業気象情報を提供する目的に合致したものがこのGEOGLAMというイニシアチブになります。
 これからは、G20のカンヌ・サミットの最終宣言で言ったことを実現していくということになりますけれども、そのために先ほど言いましたように、農業市場の情報システムを確立して、小麦、トウモロコシ、米、大豆等の作況予測、作況現状把握と予測、これをG20諸国、及び、エジプト、ベトナム、タイ、フィリピン、ナイジェリア等に供給していくと。特に、FAOと連携して、共同事務局を使って管理するシステムを作っております。
 次のスライドで、どういう状況になっているかを示します。日本は、このうちのAsia-RiCEというプロジェクトを行っていますが、特に水稲の状況調査を毎月出しております。それから、それに付随する気象データ等を集めて供給しているというようなことをやっておりまして、この中には、土壌水分と降水量、日射量、表面温度、それから、植生指標が含まれております。これは国内では農林水産省が所轄しておりますので、そこの「海外食料需給レポート」等にも掲載されているような状況です。そこに絵が描いてありまして、世界的にこういった役割を分担しながら、この活動を行っているという状況であります。
 JAXAの取組ですが、次、めくっていただきたい。GEOGLAMにおけるJAXAの取組状況です。先ほど言いましたように、稲作の監視ですが、特に東南アジア、当該諸国について、そこに描いてあるようにウエブシステムで見られると同時に、詳細なデータを供給するJASMINというシステムを作っております。特にアジア諸国ですね。イタリア、ベトナム、タイ、ラオス、フィリピン、ミャンマー、カンボジア等では、更に外部資金等も使いまして、技術移転を行っております。
 最後の取組として、これ、Earth Observation 4SDG、EO4SDGのイニシアチブについて、JAXAの、これはどちらかというと、意気込みを語らせていただきたいと思います。
 これは11ページになります。GEOの閣僚級サミットで、GEOからも積極的にSDGsに貢献するということでEO4SDGが作られたわけですけれども、ここで各国のパイロットプロジェクトを立ち上げていくということと、データの情報プロダクトを作って提供します。それから、キャパシティ・ビルディングと普及、アウトリーチにJAXAも貢献していくというふうに考えております。
 この中で、一番下に、GEOは、IAEG、これはインターガバメンタルなエキスパートグループになりますけれども、その中でのワーキンググループ1のメンバーですが、NASA、JAXA、GEO事務局等がそれに関与しておりまして、主要なインジケータの検討等を行っているということになります。
 次のスライドで、先ほど言いました四つのメカニズムについて、まとめました。
 最後から2番目のスライドを見ていただくと、特に各国のパイロットプロジェクトの立ち上げが非常に重要で、NASA、JAXA、UAE、ESAのものがポイントにまとめられております。JAXAのところを見ていただくと、そこにSDGのターゲットナンバーが描いてありますけれども、森林変化、それから、全球降水マップ、これはGSMaPといいますが、それを利用した洪水予報システム、それから、ひまわり8号を用いた大気汚染モニタリング等について、今、それぞれの現業官庁と協力しながら、その衛星プロダクトを生成している状況であります。
 以上です。その最後に、頑張りますというのも書いてありますけど、よろしくお願いします。
【小池主査】  どうもありがとうございます。
 中島委員からのJAXAの活動について、御質問等はいかが、御紹介について、御質問等ございましたら、どうぞお願いいたします。どうぞ、吉高委員。
【吉高委員】  さっきも申し上げたように、私、適応ビジネスということで、NECさんの農業に関する気象観測とか、あとは、損保ジャパンの農業保険なんかを今取り上げてやっているんですけど、こういった企業に対して、こういった、私ども、済みません、技術系のことは分からないんですが、使えるような感じの、何でしょう、もうちょっとナショナルなのか、それとも、もうちょっと狭い範囲でのデータが出てくるのか、そこら辺をお聞きしたいんですが。
【中島委員】  現在、ひまわりモニターをJAXAのウエブページから公開しておりまして、そこにいろんな例が出ています。現在、1000グループぐらいがそこに参加していただいて、企業も含めてやり取りをしております。
 それから、アジアに関しては、アジア開発銀行等を通して、発展途上国の中に特に気象災害等に関する保険関係ですね。その辺の企業の方などとも一緒に検討しております。
【吉高委員】  ありがとうございます。
【小池主査】  福田委員もRESTECでもやっておられますよね。
【福田委員】  じゃあ、ちょっと補足させていただきます。
 今、御質問の中にもあった天候インデックス保険関係でございますが、今は、中島先生の資料の中にもありましたGSMaPという世界の雨分布の速報とも言われておりますけれども、それは人工衛星のデータから、世界でどれだけ雨が降っているかというのを出しているデータですが、それ自体は公開になっております。
 ただし、今は、私どもRESTECと損保ジャパンでその天候インデックス保険を作っておりますが、その保険設計自体に関しましては、やはり個別企業のかなり企業秘密も入っておりまして、いわゆるデータは公開、ただし、それをどういうふうに保険設計に持ち込むかということについてはまた企業間の守秘義務の中でやっていると、そういう展開です。
【小池主査】  よろしいですか。
 三枝委員。
【三枝委員】  JAXAの森林観測のところと、それから、国別パイロットプロジェクトの60か国に及ぶ森林変化の観測のところについて質問したいんですけれども。
 Carbon and GHG Initiativeとの目標とも重なるところとしまして、温室効果ガス、特に二酸化炭素の吸収量の検証をするときに、大気からの観測というのもありますけれども、森林観測による陸域の炭素の変化量というのが出てきますと、非常に大きな検証材料となりますし、現在のところ、IPCCのガイドラインに定める森林吸収源というのは、森林面積の変化に非常に大ざっぱなルックアップテーブルのような吸収量を掛けて出しているという状況ですから、これの精度が大きく上がると、非常に意味が大きいと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
【中島委員】  実は私はJAXAのALOS-2の担当の人にも聞いていますが、この研究はまだ発展途上であると思います。膨大なデータがあるんですよ。それについて観測して、現地、これ、リモートセンシングですから、現地が何が起こっているかとか、検証も含めて、やり取りをすると膨大な作業が発生します。そこのところは鋭意努力しています。JAXAはALOS-2でL-band SARも持っておりまして、これはほかの高周波のSARに比べると、森林の中まで結構電波が届くので、ある程度の植生が厚い森林に関しては、良い結果が出ていますので、全球のマップに関しては、JAXA発のそういった森林の指標算定をやっぱりMGDの中のやっぱりガイドラインの基本に入れてもらうような、そういうような必要で、環境省さんと一緒にやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【小池主査】  どうもありがとうございます。
 ほかに御質問等ございませんか。私から1件質問ですが、合成開口レーダーのデータの利用ポリシーを確認させて下さい。コストの負担の問題があって、それをどうするかって一時大分議論になったように思いましたが。
【中島委員】  少し前の国の主導は、データを売りなさいだったはずです。ところが、欧州のセンチネルシリーズに関してはもう無料になっておりまして、世界的な戦略はそういうふうになって来ています。
 ともかく大量に配るようなシステムですが、現在はそのお金を取っておりまして、やはりJICAさんらと一緒に、そのお金も含めて提案していくというような格好を取らないと、ヨーロッパのセンチネルに比べて、JAXAのデータが使われにくいので、仕組みを作るのは若干工夫が要るかなと思います。
 これはJAXAの方で、どなたか補足していただけます? 重要な問題で、私の認識が間違っていると困るので。
 あと、衛星リモートセンシング法等との絡みで、合成開口レーダデータは3メートル以下の生データは出してはいけないというような案件もありますので、次期の先進レーダ・光学衛星に関しても、実はここでの少し検討案件になるかもしれません。
【JAXA】  
ALOS-2プロジェクトのデータの配布状況は、一般ユーザは商業価格で配布しています。一方、森林観測のために全球データについては25メートル分解能で処理した研究プロダクト無償公開しております。
 将来は無償にすべきではという関係省庁での議論があり、今JAXAの中でも検討中です。無償にするために、誰か処理費用を負担するのかという問題が片付いておりません。ただし、(森林観測の研究プロダクトのように)処理したものは順次無償にしてはという方向で検討しております。
【小池主査】  どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ、上田委員。
【上田委員】  国別パイロットプロジェクト例の中で、JAXAでは、ひまわり8号による大気汚染モニタリングということを気象庁が環境省と進めているとお話があったんが、今どのような状況か。
 というのは、環境省等では、地上観測が結構日本では充実しており、その辺りとの折り合い、使い分け、すみ分け、あるいは、どういうふうに統合していくのかということも含めて、お聞きしたい。
【中島委員】  エアロゾル、大気汚染、特に健康被害、ぜんそく等に係るものに関しては、PM2.5、全エアロゾルの光学的厚さなどのバージョン1成果物を、ひまわりモニターから現在オープンに公開しておりますので、皆さんに見ていただけます。
 これから精度を上げていくというようなバージョン2に関しても、今、鋭意進めております。ひまわり8号では10分間隔でデータが出てきますが、1時間ぐらいのデータを使うと雲域がかなり除去できるのでアジア付近は1キロから2キロの分解能でデータを出すことができます。
 それを、今度は予測モードに入れる、計算に入れるために、JAXA、国立環境研究所、九州大学、気象研究所、4機関が共同してデータ同化のプロジェクトを立ち上げておりますので、そういった同化システムを使った予報計算等もこれから出てくるようになると思います。環境研さんにも随分お世話になります。よろしくお願いします。
【上田委員】  ありがとうございます。
【小池主査】  よろしいでしょうか。
 そうしますと、三枝委員、中島委員、どうもありがとうございました。
 それでは、先ほど議論になりましたように、次の議題からは非公開となりますので、大変恐縮ですけど、一般傍聴の皆様は御退室をお願いいたします。
(傍聴者退室)


非公開部分についての概要は以下の通り。


議題(3)「GEOに関する最近の動向について」は、まず事務局より、資料3-1、3-2、及び机上資料1-1を用いて、平成28年11月以降のGEO関係会議開催結果について報告があった。続いて村岡委員より、机上資料1-2を用いて、平成29年5月に行われたGEOワークプログラムシンポジウム及びGEOプログラム委員会の開催結果について報告があった。その後、事務局より、机上資料1-4及び1-5を用いて、平成29年9月にベトナムにて開催される第10回GEOSSアジア太平洋シンポジウムの準備状況、及び10月に米国にて開催される第14回GEO本会合の準備状況について報告があった。


議題(4)「第15回本会合開催に向けた準備について」は、まず事務局より、机上資料2を用いて、2018年に日本で開催予定の第15回GEO本会合に向けた論点について説明があった。続いて各委員より、論点に対する意見提示が行われた。


お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)