第6期地球観測推進部会(第6回) 議事録

1.日時

平成28年8月25日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成28年度の我が国における地球観測の実施計画
  2. 関係府省における地球観測に関する取組について
  3. GEOの最近の状況報告
  4. 今後の地球観測の推進に関する意見交換
  5. その他

4.出席者

委員

大垣部会長、春日部会長代理、赤松委員、岩谷委員、上田委員、甲斐沼委員、河野委員、佐藤委員、佃委員、中田委員、箕輪委員、村岡委員、六川委員

文部科学省

藤吉環境エネルギー課長、樋口環境科学技術推進官、石橋課長補佐、直井地球観測推進専門官

5.議事録

出席者

【関係省庁】中島内閣府参事官



【大垣部会長】  ただいまより科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の第6回会合を開催いたします。
本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
初めに事務局から出席者の確認と資料の確認をお願いいたします。
【直井地球観測推進専門官】  初めに環境エネルギー課に人事異動がございましたので御報告させていただきます。4月1日付けで環境エネルギー課長の長野が異動となり、藤吉が着任しております。また,課長補佐として石橋が着任しております。
本日は13名の委員に出席いただいており,過半数に達しておりますので、部会は成立となります。また,本部会は、部会の運営規則によりまして公開となります。
配付資料は議事次第に記載しているとおりで、資料1から資料4と,メインテーブルには机上資料を配付してございます。以上になりますが、よろしいでしょうか。
【大垣部会長】  よろしいですか。それでは、資料を御確認いただき、もし不足がありましたら事務局までお申し出ください。
本日は、お手元の議事次第にあるとおり、平成28年度の我が国における地球観測の実施計画を中心に議論をしていただく予定になっております。
それでは早速、議題に入りますが、議題1は平成28年度の我が国における地球観測の実施計画についてであります。これは昨年8月の本部会において策定した、今後10年の我が国の地球観測の実施方針に基づき、平成28年度に関係省庁、関係機関において実施している地球観測の取組をまとめたものであります。事務局から報告をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  地球観測部会では関係府省庁の協力を得て、昨年の8月に実施方針をまとめていただき,総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)に報告をいたしました。実施計画は、実施方針に基づいて、各府省機関が引き続き、毎年策定することとされているものです。今回の実施計画の策定に当たりましては、課題解決型の地球観測を我が国全体で効率的かつ効果的に推進していくことを目指しまして、地球観測の内容を俯瞰できる形で実施方針の項目ごとに取りまとめを行っています。フォーマットにつきましては、2月の部会でも御審議を頂いたところでございます。
では、資料1の実施計画を御覧ください。非常に大部の資料になっており,全体の項目としては457項目の取組が書かれておりますが、実施方針の項目ごとにまとめておりますので、一つの観測活動が複数の項目に対応する場合には再掲という形になります。再掲を除きますと、200ぐらいの項目が挙げられております。
簡単に御紹介させていただきますと、課題解決型の地球観測の1番、「気候変動に伴う悪影響の探知・原因の特定への貢献」でございますけれども、一つ目の「人為的な地球環境の変動の把握への貢献」は,1から27ですけれども、衛星でありますとか、現場観測で観測されているということが、分かるかと思います。
あとは丸2の「気候変動に伴う海面上昇の監視」、これは海洋観測関係が多くなっています。
「気候変動が大気圏、地球表層圏、生物圏に与える影響の把握、及び地球環境変動と人為的な関与の観測に基づく実証的・定量的な解明」、これはデータ利用研究、衛星や海洋による観測などで取組がされています。
次の「気候変動対策の効果把握への貢献」の「温室効果ガス等の継続的な観測、両極域を含むグローバルかつ高解像度の観測体制の構築」に関しましては、これも海洋観測、衛星観測など幅広く取組がされております。
次が7ページ目の「温室効果ガス、短寿命気候汚染物質、エアロゾルの北極域を含む地球規模の三次元大気観測及び地表での吸放出量の観測」でございますけれども、これも衛星、船舶、地上観測といったものが組み合わされて、取組が各省でなされています。
丸3の「衛星観測等における森林火災の監視、全球植生のバイオマスや一次生産力の監視」ですけれども、これも衛星、現場観測などが組み合わされて実施されております。
「気候変動の予測精度の向上への貢献」でございますけれども、これにつきましては「開発途上国を中心とした国々の過去の観測記録のデジタル化、古気候プロキシデータの体系的な収集、永続的・堅ろう性のあるアーカイブシステムの構築等」がデータ利用研究という形で取組が行われております。
あと「気候モデルのシミュレーション精度の向上とアンサンブル数の増大」、これはデータ利用研究になりますけれども、文科省を中心に実施しているということになります。
10ページ目の「地球環境の保全と利活用の両立への貢献」、これは「持続的な海洋の利活用の貢献」ですが、「海洋内部の自動計測技術、生態系変動や生物多様性の指標の計測技術、極域海や深海域等における観測技術の開発」が海洋観測を中心にされております。
丸2の「船舶、ブイなどによる全球海洋観測の整理と維持、生物化学環境観測への拡張及び北極海や深海域等での観測網の充実と国際協力の推進」、これも海洋を中心に取り組まれています。
「雪氷・海氷分布の常時把握や将来予測」でございますけれども、これも海洋観測と衛星観測で実施されております。
次は「生態系・生物多様性の現状把握と保全への貢献」でございますけれども、「各種生態系の機能や動態、絶滅危惧種や生物間相互作用などの状況、生態系の成長と攪乱からの回復過程等の解明・予測。沿岸域生態系のモニタリング」は,海洋の生態系に関しては海系の観測で、地上や森林など環境省さんがやっているようなものが中心に対応がされております。
それから「研究機関や大学、観測ネットワークによる現地調査と、航空機や衛星によるリモート・センシングの分野横断的な観測の推進、データと知見の共有促進の強化」でございますけれども、これは海洋観測、衛星観測、農水省さんなどで実施されております。
「森林の現状把握及び変化予測精度の向上への貢献」でございますけれども、「森林分布、樹種構成、森林構造、温室効果ガスの吸収と放出、炭素蓄積、水土保全機能等の観測、及びREDD+2等を通じた対策への活用」でございますが、これにつきましては海洋、衛星の観測の取組があり,林野庁さんや環境省さんも取り組んでいらっしゃいます。
「森林機能に関する定点観測、航空機や衛星による広域・長期反復観測、環境変動に対する森林機能の応答及び地球観測にもたらすフィードバック機構の解明」でございますけれども、これも衛星観測、それから農水省さんや環境省さんの観測で対応されております。
それから「観測ネットワークや研究機関、大学による分野・スケール横断的な観測・データ共有・知見創出の促進」、こちらは衛星が中心ですが、環境省さんの取組などもあります。
「災害への備えと対応への貢献」の「災害発生の予測・予知への貢献」、「地震、地殻変動、地形変化、火山活動、気象、海象等の観測」ですけれども、これは衛星観測もございますが、それ以外に掘削を使った観測ですとか、津波や地震の観測網の観測とか、火山関係の観測があり、これは文科省、経産省さん、気象庁さんや保安庁さんで取り組んでいることも入っております。
次、19ページ下の「被災地域及び今後被災する可能性の高い地域の抽出、並びに予防段階及び発災後の地球観測による監視」でございますけれども、これも衛星観測、それから海底地震とか津波観測網が入っています。
「災害に関わる自然現象や災害そのもののシミュレーションモデルの構築及び観測データのアーカイブ」ですけれども、これも地震、津波の観測がかなり多くなっております。それから大気汚染物質の観測なども入っています。
次の「地球観測と災害予測モデルとの効果的な連動、早期警戒システムの実現」、これも防災関係の観測が中心となります。
「気象衛星「ひまわり」やXバンドマルチパラメータレーダ「XRAIN」等による観測データの防災・減災研究への活用」でございますけれども、これも気象観測の関係の研究です。あと国交省さんの「XRAIN」の観測、それから気象庁さんの観測、それから静止気象衛星の関係の観測が入っております。
丸6の「高分解能のマイクロ波放射計による積雪量・降雪量観測、全球降水マップ(GSMaP)、衛星データ等同化による予報モデルの高度化を利用機関との連携を通じて強化」するという話、これはGCOM-W(水循環変動観測衛星「しずく」)、気象災害の経緯に関する研究、それからGSMaPの研究が入ってございます。
「地球観測の成果を,国・地方自治体・個人が災害時に的確に行動するための判断材料として社会に提供」するというところ、これも各種観測、衛星観測、それから災害関係、地震、津波、火山、気象災害の観測等が入っております。
「発生時の緊急対応と復旧・復興への貢献」でございますけれども、「広範囲の情報を観測可能な衛星観測や、狭範囲であるが高解像度の機動的な観測等の観測体制の充実と、予測モデルの構築・高度化」、これにつきましてはリモセンを使った研究開発ですとか衛星観測そのもの、それから津波、地震、火山の観測・予測の研究、気象災害等が入っています。
「復旧・復興段階における「より良く再建すること」の典型的な実例の提示や判定基準策定への地球観測活用方策の検討」、これは利用研究が中心になっています。
「食料及び農林水産物の安定的な確保への貢献」の「農業への地球観測の活用(農地やその周辺における土地利用・作付け体系、農作物の生産量、有害動植物や病害虫による被害の実態及びその推移、農業生産を支える環境の実態及びその推移に関する高頻度、短周期の観測)」でございますが、ここは農水省さん中心とした観測、それから関係の研究がされております。
「林業への地球観測の活用(森林の分布,樹種,森林蓄積量と成長量)」はリモセンを使っている部分もございますし、農水省さんの森林関係の研究もございます。
あと「水産業への地球観測の活用(水産資源の量や分布,漁場環境,有害生物などの把握のための地球観測)」は海の関係の観測ですや農水省さん水産庁さんの研究、それから衛星関係がございます。
「林業、水産業に貢献する衛星データの活用、温室効果ガスフラックス等に関する既存の観測ネットワークの維持とデータ活用、自動計測技術及びデータ同化技術の開発・高度化」は衛星関係が書かれております。
また、「農業に貢献する地球観測・予測データに基づいた農地や家畜・家畜排せつ物から発生する温室効果ガスの排出抑制策の評価」、これは衛星と現場観測の組合せの観測利用研究が入っております。
あと「総合的な水資源管理の実現への貢献」でございますけれども、「治水・利水施設の操作・管理に利用するための地球観測の実施(降水量や河川流量,地下水位,揚水量,土壌水分量,水質などを地上観測ネットワーク,衛星観測,数値モデルの統合利用によって把握)」には衛星観測、それから国環研さんの研究が入っています。
「食料、エネルギー、健康、生物多様性などとの統合的な地球観測の実施とデータの統合的利用手法の開発」は文科省の実施しているDIAS(データ統合・解析システム)の取組を載せてございます。
あと「エネルギー及び鉱物資源の安定的な確保への貢献」でございますけれども、これは「再生可能エネルギーの利活用に資する風況、日射量、海況等の観測や、海底資源等の確保に資する資源の賦存量、海底下の地質などを把握する観測」ということで、これは海洋研究開発機構(JAMSTEC)の観測が中心に入ってございます。
「資源の安定的確保を目的とした衛星観測情報や地質情報の整備、環境・災害リスクを考慮した資源開発を目的とした地球観測の推進」はエネ庁さんの取組、それから衛星観測が入っています。
「アジア及びアフリカ地域における小規模鉱山開発等による環境・災害リスクや健康リスクの衛星観測による監視」は衛星関係が登録されております。
あと「健康に暮らせる社会の実現への貢献」でございますけれども、「大気汚染物質の濃度やヒートアイランドの実態の把握、感染症の発生状況、媒介生物の出現状況などの把握のための地球観測(特に,大気汚染状況の把握等を目的とした地上観測網の整備や大気汚染物質の鉛直方向の分布の解明)」でございますが、これも衛星観測、それから気象庁さんや国環研さんの観測が入っております。
「感染症の発生や媒介生物の出現が見込まれる場所の予測・同定に資する地形、土地利用、土地被覆、水質等の環境因子の観測」、これは衛星観測です。
「データ利用者となる疫学者や現場の公衆衛生担当者との連携による、利用者が必要とする環境因子に関する情報の共有、適切な空間・時間分解能での観測・予測データの提供」、これは衛星のセンサー開発や利用研究といったものが登録されています。
「科学の発展への貢献」、「地球システムの包括的理解に必要な基礎的知見を蓄積するための地球観測(エアロゾル・雲・降水相互作用等をはじめとする気候変動のメカニズムや,地球システムを構成する固体地球,陸面,海洋,大気,電離圏・磁気圏の相互作用及びフィードバック,太陽地球系の結合過程等の理解の深化)」という点では衛星観測、海洋観測、などが幅広く入っております。
それから丸2の「広範囲の情報を正確に把握するための衛星の活用、海洋内部の観測を可能とする観測機器や観測網の構築と維持等」、これも衛星、海洋観測など様々入っております。
「地球システムの包括的理解を目的とした,科学観測の提案から、審査、策定、実行、評価まで,一貫して推進する機能の確立(取得されたデータや創出された知見の社会での活用を考慮)」には総務省さん取組が入っています。
「人類共通の科学的知見の蓄積・深化のため,科学的理解に至っていない現象の科学過程の解明を目的とした観測研究の実施とモニタリングとの連携を通じた観測研究の強化」については経産省さん、環境省さんの取組が入っております。
「安定・継続した観測体制の確立、新たな観測技術の研究開発の強化・推進及び観測・予測データの適切な管理」でございますけれども、これは衛星観測、経産省さん、気象庁さん等の取組が入っております。
「共通的・基盤的な取組」の「観測データのアーカイブとデータの統合化・利活用の促進」ですけれども、これにつきましては総務省さん,JAMSTECさん、それから文科省で実施しているDIASなどが入っております。あと気象庁さん、環境省さんの様々な取組がここに入っております。
あと「分野間の連携、多様なステークホルダーの関与及び人材育成」のところでございますが、ここにつきましても文科省の研究でありますとか、気象庁さん、環境省さんの取組が入っています。
「長期継続的な地球観測の実施」には総務省さん、経産省さん、地理院さん、気象庁さん、保安庁さん、環境省さんといった取組が入っています。
「地球観測による科学技術イノベーションの推進」でございますけれども、ここは技術開発の関係でJAMSTECさんの取組ですとか、宇宙関係の宇宙航空研究開発機構(JAXA)さんの取組、文科省でやっております気候変動関係の研究やDIASが入っています。
あと「科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献」でございますけれども、これもJAMSTECさん、JAXAさん、国環研さんの取組、それから経産省さん、地理院さん、気象庁さん、環境省さんの取組が入っています。
ざっと概観をした程度という形になって大変恐縮ですけれども、全体としましても実施方針に対応、項目に対して全く取組がないというところは無かったというのが俯瞰しての印象でございます。専門的な知見から見て濃淡はあるのかもしれませんが、全体としてはそのような印象かと思います。
この実施計画につきましては、部会の資料として、文科省のホームページで公開したいと思います。実施方針とそれに基づく事業の進捗状況につきましては、この部会で検討するとともに結果についてはCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)に報告するという形になっていますので、この計画につきましてもCSTIと相談をさせていただいて、報告について検討したいと思っています。
以上でございます。
【大垣部会長】  大部の内容の御報告、御苦労さまでした。
それでは今の御報告に関しまして、質問あるいは質疑、意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
私からちょっとよろしいですかね。再掲というのがありますね。例えば38分の29ページの科学の発展への貢献というところの、例えば、336番などを見ますと、再掲になっていないというのは、ここに初めて出てきたということですね。そうすると、この内容を見ますと、科学の発展への貢献以外の非常に実務的なといいますか、社会への貢献が直接あるような内容も含まれるんじゃないかと思うのですが、そういう意味の再掲、前の方に出てくるということはないわけですか。
【樋口環境科学技術推進官】  再掲は基本的に、前の方に出したものは基本的に出さないということですが、大垣部会長からの御指摘の336番につきましては、3番と同じ取組ということになろうかと思います。もう一度事務局でチェックをして、再掲のところは確認をした上で公表するようにしたいと思います。申し訳ございません。
【大垣部会長】  要は科学の発展への貢献というのはもう当然、地球観測の重要な機能なのですが、それと同時に今求められているのは社会貢献ということで前の方にいろいろとやって、そうすると科学の発展への貢献の方は大体が両方に掛かってくるのではないかなと思って、そこで再掲が空白のものが結構あったので、ちょっと念のため確認した次第です。
【村岡委員】  この非常に多数の観測の情報がこうやって集まって、大変今後のステップに重要かと思いますが、一つ皆さんに御相談というか御検討いただきたいのは、例えば私は生態系生物多様性分野ですけれども、これらの研究の多くが大学の教員が科研費を獲得して研究を進めています。この資料でも観測ネットワークを利用するということも触れていますが、生態系生物多様性分野でもボランタリーな研究ネットワーク、観測ネットワークを立ち上げて、データの共有と知見の供出を進めております。例えば地球観測に関する政府間会合(GEO)にも関わっている生物多様性観測ネットワークが日本にも立ち上がっていますし、これはアジア・パシフィック地域のリーディンググループにもなっています。またこの資料では、長期生態学研究ネットワーク、JaLTERという言葉が出てきていますけれども、こういったボランタリーな観測ネットワークそのものにアクセスをして、観測状況をこういったリストに入れていくことで、ボランタリーな研究、地球観測もエンカレッジしつつ、今後こういった大きな目的のために利用できるようにしておくということは重要じゃないかという気がいたしました。以上です。
【大垣部会長】  それは事務局から見るとどうなのでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  この計画に入っておりますのは各省が関わっているものという形になっておりますので、研究者の方がボランタリーでやっているものはどこまでフォローできているかというと、欠けている部分があると思います。
【河野委員】  村岡委員がおっしゃることは全く同感なんですけれども、それで度々大学の観測ネットワークとか、大学からの貢献がこういう表に現れないということは結構前から言われていることなんですが、現在の調査の仕方だと、かなり難しくて、なぜかというとここにあるような地球温暖化連携拠点みたいな拠点があれば、そこに問い合わせれば統括した資料を出してくれるわけですけれども、大学のボランタリーな研究を統括している部署がないので、何かいいアイデアはありませんか。
【村岡委員】  実は昨年、10年の実施方針を取りまとめているときに大学等の観測ネットワークを利用すると一言入れさせていただいたんですけれども、取りまとめる過程でたくさんの委員がいらっしゃいますので、それこそこのネットワークを使って、そういった各分野のまず情報を集めるというところが一歩ではないかと思います。あとは連携拠点のようなところにも、様々なボランタリーな観測サイトも含めて、知見や人脈を持っているはずですので、そこに問い合わせてはいかがかと思います。
【春日部会長代理】  関連してですけれども、大学の個々のプロジェクトも、自発的なプロジェクトも、それから今回この実施計画に出ている観測、調査案件も、実際に世の中で使っていただかなくては意味がないので、これをどうやってオープンにしていって、また同様の意図を持って、あるいは関心を持って調査している研究者をいかにオープンに巻き込んでいくかということが非常に重要だと思います。そのシステムがないと、これは国の予算を有効に活用したとは言えないと思うんですね。そのためにこの部会もあるんだと思うんですけれども、そこをどうやって一歩進めていくべきかという、そのプロセスについて是非議論していきたい、あるいはそういう場を作っていただきたいと思います。
それから、私も今の御説明を、ページをめくって追い掛けていくので精いっぱいだったんですけれども、この部会で策定した机上資料7の、この実施方針の項目に沿って資料1は並んでいるわけですよね。ですので、これと対応できるような実施方針の4章、それからこの資料1については、それを更にかみ砕いた(1)とか丸1とか、その対応表が1枚あると見やすいと思いました。
その上で、ここに少しでも追い付いていこうとしたときに、幾つかちょっとやっぱり理解が及ばないところもありまして、例えば先ほど大垣部会長が指摘された、この課題については8番の科学の発展の貢献の中で丸4という細項目がありますけれども、ちょっと理解しにくい内容です。
【大垣部会長】  31ページの下ですか。
【春日部会長代理】  はい、そうです。「科学的理解に至っていない現象の科学過程の解明を目的にした」、ちょっと日本語で聞いて分かりにくいと思ったんですね。実際、この中に含まれる項目がどういうことで、分かりにくい内容に貢献するのかがちょっと分からないとか、観測対象に何も書いていないものが幾つかあるとか、ざっとお聞きしただけではよく分からないところがありました。もう一言この前に何かイントロの説明を加えていただけたらもう少し分かりやすかったと思います。それは今後ちょっと見直していただければいいことなんですが、一番大事なことは一番最初に申し上げた、全体をいかにオープンにしていって、いかにそのほかの研究者あるいは利用者に関わっていただく体制を作るかというところ、是非御検討いただければと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。
【甲斐沼委員】  資料の説明をありがとうございました。私も以前にお聞きしていたかと思いますが、今これを見て、やはり再掲のものがいろいろある中で、例えば(1)の地球観測の丸1の温室効果ガスの測定と、あとその次に(2)の丸1の方で、やはりグローバルな温室効果ガスの観測体制、その中には、例えば「みらい」で北極海の測定をするというようなことが書いてあるのもあり、また「みらい」の方はほかのところにもいろいろ出てきますが、それが同じ観測で、観測項目がただ違っているのか、目的が違っているのか、その辺の違いが一見したところ解り難かったです。あとこれを利用するときに、どういうふうにして利用者側がこれにアクセスして使えるのか示してあると良いと思います。例えば観測データだったら観測データをどこでダウンロードできるのか、DIASがそういう使命を負っているのでしょうが、ここにあるから自由にダウンロードして使ってくださいというような形で利用できるのか、例えばデータ利用研究というところで目的を限定して申請してデータが使えるのか。また分析の結果は、別の人が利用できるのか。といったことが説明されていると分かりやすいと思いました。
【大垣部会長】  それはそういう項目を縦の、列の項目を作った方がいいという感じなんですか。
【甲斐沼委員】  例えばそのデータ利用研究だったら、そのデータ利用研究をやっている人に直接問い合わせてデータをもらうのか。この表をオープンにしたときに、研究者や、一般の利用者の方が、このデータにどのようにしてアクセスして使うことができるのかということを教えて頂ければありがたいです。
【樋口環境科学技術推進官】  独立行政法人などでやっているものにつきましては組織名が書いてありますので、そこに問い合わせいただくというのが一つの方法かと思います。各研究プロジェクトでやっているものは、各省は様々なところに委託なり補助なりをしてやっていると思いますけれども、一つにはまずその省庁さんの方に問い合わせいただいて、そこからたどっていくという、ちょっとひと手間掛かりますが、そういう方法はアクセスとしてあると思います。
【箕輪委員】  御説明ありがとうございました。我々民間会社の立場としては、こうした観測データ、予測データが、例えば保険ですとか、いろいろなところのビジネスに利用されているということを御説明いたしまして、実施方針にも含めていただいたかなと思っております。その観点で見ておりましたところ、例えば資料の35ページで、4番の地球観測によるイノベーションの推進というところに大体私どもが申し上げていたことは入れていただいたはずなんですけれども、実際に項目を見ていますと、どのようにして民間会社が意見を言っていけばいいのか、関わっていけばいいのかがちょっと分からなかったところがございました。もちろん一つ一つのプロジェクトを進めていく上では、そういう民間が関与する余地はあると思うんですけれども、是非この実施方針を実現させる形でプロジェクトは進めてほしいという希望をお伝えしておこうと思いました。
【中田委員】  多分多くが様々な省庁の委託研究みたいな形で行われていると思うんですね。委託という場合には、データを出しなさいとかそういう形ではなくて、ここに書かれている目的のために観測をして、その報告書が出てくるという形のものが大部分だと思います。ですので、まずこういう調査をするときに、その報告書は、各省庁が一般に公表できるのか、しないのかとか、そういうことも併せて、データとして出さないとアプローチのしようがないという気がするので、その辺を御検討いただければと思います。
【赤松委員】  先ほどの箕輪委員の意見とも関係するんですけれども、私も民間の立場でここに参画させていただいております。昨年策定した今後10年の実施方針の中で、一つポイントになっているのは、いかに民間とか多様なステークホルダーを、衛星利用の中に取り込んでいくかということだと理解しているんですけれども、この実施計画の中で、民間の参画ないしは民間の参画を推進することを期待されているような項目がどこになるかというのは、特定することがある程度できるものなんでしょうか。説明いただいた表の中で、34ページの分野間の連携というのが直接的にそういうものだというふうに読み取れるんですけれども、例えばほかの項目は、ほぼ国の機関ですとか、それから研究機関がやるものであって、特に民間が参画することを想定はしていないとか期待されてはいないと理解すべきものなんでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  この取組自体は各省さんから出してもらったものなので、そういう意味で言うと国若しくは国の事業の一環としてやっているものがリストアップされていて、資料としてはそういう形式のものになっているとは思います。
他方でそれをどういうふうにデータを利用するという部分もあるかもしれませんけれども、そういった点では民間企業の方とか、こういったデータを使っていただくというのはあるとは思うんですが、それがどう見えるかというと、うまく見えるようになっていないかもしれません。
【赤松委員】  分かりました。もしこの中に、例えばこの項目に関しては民間の参加を期待しているとか、それから民間の参加を促すということを考えているというものが見えてきますと、これを見たときに民間のステークホルダーが、それではそこに向かっていこうという一つのモチベーションにつながっていくと思うんですね。ですので、もし可能なようでしたら、そういったものを例えば備考欄のところに書いていただくということができましたら、我々としてはそこに向かう原動力になると思いますので、御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【大垣部会長】  ありがとうございました。ほかにはよろしいですか。
【佐藤委員】  詳細な御説明、どうもありがとうございます。このお話に関係するのかどうかよく分からないんですけれども、一般的に言って地球観測というのはグローバルに行われるものなので、他国との協力というのが非常に重要だと思うんですね。それで、例えば衛星観測などにつきましても、国際社会の中で日本はこの技術が非常に強いので、ここは日本が是非担ってほしいというような期待があるわけで、逆に日本ではこの技術で観測するけれども、別のパラメータに関してはよその国で強い部分があるのでそちらでやって、データを交換するという在り方になっているかと思うんですが、この資料を拝見すると、国際社会の中で日本が行っているこれらの観測がどういう位置付けにあるのかというのがちょっとよく見えていないような気がするんですね。それで民間の方の利用についても、日本でとられているデータだけじゃなくて他国でとっているようなデータについても、国際協力の中で利用可能なものもあるかもしれませんので、そういう視点でのまとめというのもあってもよろしいのかなと思いました。
【大垣部会長】  ありがとうございます。
【春日部会長代理】  今の御質問と関連するんですけれども、国際的に貢献するとか国際的に利用していただくだけではなくて、今ここに挙がっている実施計画の各事業の中で、ほかの国の事業と協働で動かしているものというのはあるんでしょうか。
【大垣部会長】  国際的な協働の形のプロジェクトがあるか。その表示はないですね。
【樋口環境科学技術推進官】  そういうふうに技術的にされているものはないですけれども、例えば衛星センサー開発などは協働でやっているものもあります。海洋観測も多分、そういうものもあるかと思いますが、どの部分を国際協働でやっているかというのは現時点で資料には書かれていないと思います。
【大垣部会長】  先々そういう国際協働、それこそだけれども備考に出てくるとか何か、大きな国際プロジェクトと一緒にやっているようなものは表示があるとかいうことも一つの情報としてはいいかもしれません。
最初にあった村岡委員からの質問の、大学のボランティア的というか草の根的にやっているというのは、大学に機関としての問い合わせをするようなことは可能なんですか。
【村岡委員】  大学の教員が個人の研究プロジェクトと、あと共同研究者の活動としてやっていることなので、恐らく大学のどこかの窓口に、こういうことをやっているかと聞いても回答は得られにくいと思います。やはり研究者コミュニティにいろいろなネットワーク、人のつながりを使って情報を集めていくということがよろしいかと思います。
【佃委員】  競争的資金といえどもやっぱり公的資金なので、それは公開される、いろいろなものが基本的には公開されるという前提でいきますと、以前、議論があったような気もするんですけれども、基になったデータについては、予算の申請のときに、ちゃんとデータ公開を義務付けるとかですね、それに対してお金を掛けてやるというシステムがあってもいいような気もする、何かそういう議論もあったような気もするんですが、つまりデータの公開はかなりエネルギーを使ってフォーマットを決めたりとか、あるいは維持管理、あるいは受け入れ先を探すとか、基本的に科学の研究にしてもトレーサブルにしなきゃいけないだろうということで、やはりデータの信頼性を含めて最終的にモデルとして使われたデータの基礎になったデータというのは保存されるべきだとは思うんですけれども、その辺の現状での競争的資金の扱い、どういう位置付けになっているのか、ちょっと私はよく知らないんで教えていただければと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  私も競争的資金全般を把握しているわけではないんですけれども、データも多分様々な、本当に研究者の方がとられた、かなり粗いものから論文に使われるような、ある程度、整理されたデータもあると思います。どこまでデータを出すのかというのは、そこまでまだしっかりした決まりはないのではないかと思います。他方でオープンサイエンスの議論というのは世界的には進んでいて、そのような検討というのは少しずつ日本でも行われてきている、そういう場はあると思います。
【大垣部会長】  ほかにはよろしいですか。
【上田委員】  すぐにできるかどうかということはあるんですけれども、この実施計画については、英語化にする計画はあるんですか。というのは、利活用は、恐らくこれは日本人が利活用するということを考えていると思うんですけれども、実際には研究者、海外の研究者だけでなくて、国内に在留する、留学されている研究者等もおります。将来的にはそういった人たちも活用できるような、そういったことも考える上では情報についての英語化も重要じゃないかと思うんですけれども、そういった御予定はないでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  これ自体は英語化するのはなかなか厳しいという気はしております。実施方針は、概要の英語版をホームページで掲載しておりますけれども、この実施計画は各省にまとめてもらっており、作業量との関係で今のところは日本語でまずはお出しをしているのが現状でございます。
【大垣部会長】  こういうデータ自体を英語にするというのはなかなか、これからの作業でしょうね。いろいろな趣旨だとか方針は英文化が進んでいますけれども。
ほかはよろしいでしょうか。
【佃委員】  この地球観測に関する、先ほど民間の活用という話もあったので、国の政策としてはいろいろな形の今オープンデータだとか、いろいろな施策が別途並行して動いていると思うんですけれども、そういったところではやはりデータの二次利用を促進して、むしろ民間がそれを活用して、よりレジリエントな社会を構築するとか、あるいはより社会に実装されて、よりよいサービスが受けられるようにとか、そんな議論がされているので、是非、ほかの施策とどのようなこれが連携するのかとかが分かると、先ほど言ったこの地球観測データもそれとは別のものではなくて、オープンデータの中の重要なコンテンツであって、それをやはり二次利用、三次利用、どんどん皆さんが安心して使えるようにする施策とも連携するべきなのだと思うので、是非ともそれとの関係みたいなものを整理していただけるとありがたいと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございました。本取組につきましては、議題の4においてさらに議論を深めることとし、その結果を反映した形で来年のCSTI、環境ワーキンググループに報告することといたします。
それでは、議題の2に移ります。関係府省における地球観測に関する取組についてであります。前回の地球観測推進部会では海洋研究開発機構、宇宙航空研究開発機構、文部科学省、地球観測連携拠点(温暖化分野)の事務局、それから環境省からそれぞれの実施方針に基づく取組について御説明を頂きました。今回はDIASの現況について文部科学省から説明をお願いいたします。
【直井地球観測推進専門官】  それでは、資料2に基づきまして説明をさせていただきます。このデータ統合・解析システムについては、前回、第5回の部会のときにも御紹介させていただきましたが、その後の状況について今回、御報告させていただきます。
ページをめくっていただきまして2ページ目でございます。DIASはこれまでの10年間の成果を受けて、平成28年から32年までの5年間で地球観測情報プラットフォーム構築推進プログラムとして新たなフェーズに入ってございます。このポンチ絵の左側、概要のところにございますように、これまではシステムの開発とシステムの高度化を行って、システムの整備を行ってきたところでございます。丸1-1にあるように、約27ペタバイトのストレージに地球観測情報・予測情報、社会経済データなど約700種類のデータを格納してまいりました。これまでは研究利用が中心ですが、利用も着実に増えてきておりまして、国内外の約540機関、1,800人のユーザーに利用されてきているものです。アプリケーションについては丸2にあるとおり、気候変動・水課題を中心に、洪水や内水氾濫等をリアルタイムで予測可能なシステムを開発してきております。また独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じてDIASで得られた予測情報をアジアやアフリカの水資源管理などにも活用してまいったところです。
これらの実績を踏まえて、平成28年度からは新たな方向性として、これまでの研究利用だけではなく民間企業も含めてより広いユーザーに利用してもらえるように、社会基盤としてのプラットフォーム構築とアプリケーションの開発を目指すということをやってまいります。プラットフォームとしては、図の真ん中の丸1にあるように、セキュリティやユーザーサポート、データポリシーの整備や利用料金制度の検討など、商業利用も含めた利用の拡大に向けた運用体制の構築を行うこととしております。もう一つが丸2で、DIASで活用できるアプリケーションについても、これまでの水課題アプリケーションの高度化と、それ以外の利用の拡大も含めた共通基盤技術としての利用を拡大していくということを目指しております。これによって図の右側にありますように、丸1として多くのユーザーが長期的にプラットフォームを有効に活用できるようにすること、丸2のように産学官による自由な発想によって様々な社会課題解決に貢献できる成果を創出していくというものです。これによってユーザーの増加と国費のみに依存しない運営体制を確立していくというのが本プログラムの目的になってございます。
ページをめくっていただきまして3ページ目にございますように、地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラムでは、今年度、平成28年度に公募を行いまして、これを実施する機関を2機関決めてございます。左側がプラットフォーム構築機関で、主管機関がリモート・センシング技術センター(RESTEC)、このRESTECの下にDIASの維持管理とアプリケーションの開発、実装支援などを行うということで、東京大学、京都大学、名古屋大学、国立情報学研究所、そしてリモート・センシング技術センターが協力して行う体制にしてございます。
右側の枠にありますのが、水課題アプリケーションの開発機関で、ここでは東京大学の小池先生が主管機関となっておりまして、土木研究所、日本工営と協力して開発を行う体制となっております。また、実際に利用していただくということも考えまして、東京電力と中部電力とも協力を行う体制ができております。また,水課題アプリケーション以外にもアプリケーションを増やしていくように考えてございまして、公募によってDIAS上で動かすアプリケーションを増やしていく予定にしてございます。
4ページ目は参考になりますが、現在DIASに登録されているデータで、衛星観測データや現場観測データ、再解析、予測データ、ダウンスケーリング、その他のデータが登録されております。
次のページ、5ページ目になりますけれども、これは今月8月1日に開催したDIASのシンポジウムの開催報告になってございます。開催場所は東京大学の弥生講堂で開催しまして、参加者が234名、今回は半分以上が企業の方に来ていただきまして、DIASに対する民間企業の期待、そして今後の新たなユーザー層の開拓につなげていくよい機会になったと思っています。プログラムは別紙にございますけれども、今回は第2部のところで、民間の企業の方にも講演をしていただいておりまして、DIASやDIASに入っているデータを今後どのようにビジネスに結び付けていくかというような議論をシンポジウムの中でさせていただいております。
以上、簡単ではございますがDIASの現状の報告をさせていただきました。
【大垣部会長】  ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
【赤松委員】  この資料の利用・アプリケーションのモデルなんですけれども、まず水課題から行くという形にされていますが、例えば水課題以外の分野への今後の展開というのはどういうふうにお考えになられているかということと、それからこの資料の2ページの一番右の下のところに利用料金制度の整備という形が出てきておりますけれども、この辺はまだ十分固まっていないのか、またはどのぐらいの利用料金で使えるような形になるかというのがもし分かっていましたら教えていただけると有り難いなと思います。
【直井地球観測推進専門官】  まず、水課題以外のアプリケーションですけれども、現在プラットフォーム構築機関であるリモート・センシング技術センターにおいて、市場の調査をしていただいておりまして、どのような分野だとDIASが使っていただけるかを検討していただいております。その結果を受けて、今年度後半に公募していきたいと考えております。
利用料金については、まだ検討している段階でございまして、データでお金を頂くのか、アプリケーションの利用料で取るのか、ソリューションの提供で取るのか、どういうところで料金を取っていくのがDIASとしていいのかということを検討している段階でございます。
【赤松委員】  分かりました。そうしますと、今年度の後半から終わり頃になりますと、アプリケーションで、どんなところに取り組んでいくかというのは見えてくるということで理解してよろしいですかね。
【直井地球観測推進専門官】  はい。
【赤松委員】  ありがとうございます。
あと利用料金に関しましては、民間の立場としてはできるだけ低廉なものを期待したいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
【大垣部会長】  ほかにはよろしいですか。
【春日部会長代理】  前の議題でのコメントと関係するんですけれども、資料1で御紹介いただきました各地球観測事業、この中で既にDIASに参加しているような事業はどのぐらいの割合であるんでしょうか。また将来、できれば全ての事業がDIASに何か貢献できるような、そういう方針といいますか展望はあるんでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  そういう点でいきますと、例えば過去の観測の主体とデータということで幾つか入っているもの、これは資料の2の4ページに一応データセットが入っております。ここでは例えば、計画に入っておりましたXバンドMPレーダー「XRAIN」の情報とか、こういったものがDIASには入ってきております。全部ではないんですけれども、少しずつ入ってきているもの、それから予測データだと、この計画には載っていませんが、それより前に実施したデータセットはDIASに入っていて、そういう点での連携は幾つかございます。
【春日部会長代理】  今後の展望はどうなんでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  今後の展望としては、DIASをしっかり使っていただくという点ではいろいろなデータを入れていくことが大事だと思いますので、その中でどういうふうに使えるかを考えながらDIASのデータはどんどん増やしていきたいと思っています。
【大垣部会長】  よろしいでしょうか。
【佐藤委員】  先ほど研究者がボランタリーに行っている観測というのが出てきましたけれども、そういうデータも、実はDIASのようなところで統一してアーカイブしていただけると、研究者としては非常にやりやすいんじゃないかなと思うんですね。論文などを投稿するときにも、必ずこれはどこで使えるデータなのかという公開の方法、どんなふうに公開されているかという情報も同時に載せないとアクセプトされないというような時代になりつつあります。ですから、個人の研究者にアクセスしてくださいというと、その方の負担はかなり大きくなってしまうので、繰り返しますけれども、DIASでそういうものも含めてハンドリングしていただけると、そういう道を開いていただけると大変有り難いし、データも非常に生かされると思います。
【直井地球観測推進専門官】  御意見ありがとうございます。いわゆる商業利用だけではなくて、研究者の方が、自分が持っているデータをどんどん公開していくためのプラットフォームとしても使っていただきたいと思っております。データを研究者の方が自分で管理していく、そして継続して公開していくというのは非常に大変な作業だと理解しておりますので、その部分をサポートできればいいと考えてございます。
【大垣部会長】  ありがとうございました。
それでは、議題の3に移ります。議題の3はGEOの最近の状況報告であります。事務局からお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  資料3に基づきまして、最近のGEOの動向を報告させていただきます。
2ページ目ですが、前回の2月の観測部会以降、執行委員会は2回開催されてございます。第36回が3月4日から9日、第37回の執行委員会が7月6日から7日でございます。
次のページ、3ページ目でございますけれども、参加国・参加機関の現状でGEOでございますが、ウルグアイ、UAE、それからモンゴルが参加を表明して、参加している国は103か国になりました。あとは参加機関、国際機関とか国際枠組み、こういったものが含まれますけれども、103機関となっております。
次が実際に執行委員会で議論をされたことですが,2回の執行委員会で連続で議論をしており、特に視点が変わっているわけではないのでまとめて御説明させていただきたいと思います。一つはエンゲージメント戦略実施計画でございます。このエンゲージメント戦略の実施計画というのは、GEOのビジョンを達成するために最優先すべき連携目標、それから取組方法、手法を概説する文書ということで議論が進んでおります。
議論の概要としては、まず三つの目標というものを設定するという提案がございました。GEOの戦略計画、それから11月の閣僚級会合で採択をされました「メキシコシティ宣言」といったガイダンスに基づいて三つの目標を設定する。一つは、広範なオープンデータポリシー、それからその実施を提唱する。二つ目が、地球観測が環境に関する世界的な政策決定の土台になる。三つ目が、GEO共通基盤(GCI)がよりよい情報に基づき意思決定をするための地球観測データ・情報の主要な世界的情報源となる。この三つの目標でございます。
これに関して我が国の対応でございますけれども、データ共有というのが課題解決の貢献が目的でありまして、単なるオープンデータの推進ではないといったことを強調してございます。議論の結果でございますけれども、三つの目標自体は了承されてございます。あとECを議長とする臨時の作業グループの設置がされまして、三つの目標に基づいたこの実施計画の第3案、より詳細にどうしていくかということですけれども、これを作成するということになってございます。
次は5ページ目、商業セクターとの連携でございます。戦略計画、それから「メキシコシティ宣言」のとおりGEOは商業セクターとの連携を模索する方向にございます。米国のリードにより、この執行委員会におきまして商業セクターとの連携方策についての検討が進められています。商業セクターというのは民間企業が想定されております。
議論の概要でございますけれども、今後の検討すべき事項として3点、米国から説明がありまして議論が行われました。一つ目が、GEOと商業セクター間の連携の種類を四つ、米国から提案があったということでございます。一つ目はコーポレートアソシエートという、今、参加国と参加機関というカテゴリーがあるわけですけれども、ここに新たにコーポレートアソシエートというカテゴリを設けると。そこから拠出金の支出を求めるというのが一つ目。二つ目はコーポレートアソシエートを設けるけれども、拠出金の支出は求めないというもの。三つ目は臨時参加。ケース・バイ・ケースでゲストとして対話に招待をするというもの。四つ目として本会合への個別の企業の参加は認めない。GEOの参加機関となっている産業協会、これは業界団体みたいなものですね、に産業界の興味とか視点を代表してもらう。この四つの選択肢について説明がありました。
二つ目が、商業セクターフォーラムというものを本会合で併せて開催しましょうと。それを本会合のサイドイベントとするのか、本体の意見交換のセッションにするかというような議論です。
三つ目は、民間企業を対象としたオンラインアンケートの実施でございました。
我が国の対応としましては、企業に拠出金の出資を求めるという提案につきましては反対の意を示しております。次の本会合は11月にロシアのサンクトペテルブルクで開催されますけれども、ここに商業セクターとの意見交換のセッションを設けるということ。それから臨時参加の一環としてゲストとして招待をする。その結果を踏まえて企業との連携方策についてさらに議論してはどうかという提案をいたしました。議論の結果につきましてですけれども、本会合の本体に商業セクターをゲストとして招きセッションを設けるというふうになりました。アジア、アフリカ、その他地域からの代表を加えて当該セッションの準備を行うサブグループを設置するようになっておりまして、日本もこの議論に参加をすることにしております。
次ですけれども、プログラム委員会の開催結果について執行委員会で報告がございました。5月5日、6日にプログラム委員会が開催されていますけれども、ここでされたことの一つとして基盤的タスクの優先付けがありまして、基盤的タスクの内、優先度が高いと判断をする条件を定めたという報告がございました。
次にGEOのブランドガイドラインの策定についての報告がありました。GEOそれから全球地球観測システム(GEOSS)のロゴ、タグラインの使用についてガイドラインを定めてはどうかということでございます。その中身としてはイベント、出版物、報告書、ウエブサイト、それからGEOが資金提供したもの、GEO事務局によって承認されたものにGEOのロゴを使用することができるということで、ロゴ自体は今、実際に使われているものがそのまま載っています。あとはウエブサイトの下部とか関連報告書、出版物において、GEOのタグラインの使用を推奨するというもの。それからGEOのタスク活動の内、フラッグシップというカテゴリーのタスク活用につきましては、このガイドラインに従う。それからイニシアチブというカテゴリーの活動につきましては、このガイドラインに従うことを推奨するというふうになっています。それからフラッグシップやイニシアチブの名称に「GEO」を含む場合にはGEOのロゴを含む形で使うということになっています。あとは国別のロゴでございますけれども、国別のGEOロゴについては、GEOロゴを含めることとするというのが今プログラム委員会から上がってきているガイドラインの状況です。
プログラム委員会では来年から3年間のワークプログラムの第1次案の準備状況について説明がありまして、そこでイニシアチブ・フラッグシップ候補となっているものをここに記載しております。このイニシアチブのフラッグシップの条件に照らしまして、プログラム委員会でこれを評価しております。9月に評価結果が上がってきて、最終的に認められたものについては、このワークプログラムの中に入ってくるという形になります。
あとは三つ目、プログラム委員会の付託事項の改正案についての提案がございました。主な改正事項としては以下のとおりでございまして、一つはGEOの参加国、参加機関の代表は1名の委員、それから最大2名の委員代理を追加することができるというような、今も委員代理、2名まで実行上は認められていますけれども、それを規定上も明確にするというもの。それから任期につきまして、委員と委員代理を代表が再指名することができるというものです。途中でその委員とか委員代理が務めることができなかった場合の対策をとるということになります。5.4.3のように、プログラム委員会の知識の維持、継続のため、毎年全体の3分の1の人数を改選するというのを入れてはどうかと。それから5.4.3に定められたプロセスを開始するため、2017年の初めに共同議長を含むプログラム委員会の委員はくじによって2017年と2018年と2019年のいずれかの任期を決める。もし委員がプログラム委員会の会合を2回連続で欠席をして、そしてサブグループでも積極的な活動がない場合には、共同議長からの進言に基づいて執行委員会によって任期が終了される。それから決定について、プログラム委員会は総意によって決定をするというのが原則なんですけれども、強い反対があって、最善の努力をもってしてもその解決ができなかった場合、75%の多数決をもって決定する。これがプログラム委員会から出てきた案という形になります。
これに対して執行委員会で決まった事項ですけれども、最初の方にまた戻ってしまいますが、基盤的タスクにつきましては、GEO事務局が実施内容等の見直しを引き続き行うとなっています。この付託事項の改正案についてですけれども、5.4.5の委員資格喪失事由を連続2回となっていますが、これは連続3回の欠席にして、5.6のところですけれども、この75%の多数決をもって決定するというのは、これは執行委員会では否定をされまして、合意によって運営をされ、万が一合意に至らない場合には、執行委員会にすると。合意がなかった場合は合意に至っていないということで執行委員会に報告してもらうというようなことで、この改正案というのは承認されたということでございます。
次に本会合ですけれども、先ほど少しだけ申し上げましたけれども、11月の9日から10日にサンクトペテルブルクでございます。その前に執行委員会があって、サイドイベントにつきましては11月7日から8日に様々なものが開催される。展示は11月8日の3時から6時までの期間を区切ってやる。開催国はロシア、場所としてはサンクトペテルブルクのパークインホテルというところになっております。
以上でございます。
【大垣部会長】  御苦労様でした。
ただいまの説明に関しまして御質問、御意見ありましたらお願いします。
【河野委員】  ちょっとテクニカルな質問なんですけれども、プログラム委員会の役割ですが、例えば8と振ってあるプログラム委員会開催概要3/3の5.6決定の「強い反対があり、最善の努力をもって云々」というところですけれども、これは1か国でも反対して合意に至らなければ、承認行為は行われないということですよね。承認できなかったということを執行委員会に報告しますよね。記憶が確かだと、承認行為はプログラムボードでしか行われないような気がするので、もし執行委員会にそのまま出て、プログラムボードで決められなかったことを執行委員会で決めるというプロセスになるのですか。
【樋口環境科学技術推進官】  基本的には決定事項は全て本会合で決めるというふうに、それもコンセンサスで決めることになります。そこに上がるものについては事前に執行委員会でもんだ上で上がるという形になっていますので、そのプログラム委員会で議論の結果を見て執行委員会はどうするのかというのを執行委員会での議論するということになるかと思います。
【河野委員】  執行委員会は多数決で決めるんでしたっけ?
【樋口環境科学技術推進官】  いや、それはコンセンサスになります。本会合もコンセンサスになります。
【河野委員】  そうするとプログラムボードのメンバーがある国を代表した意見を実は言ってしまったような場合というのは、1国でも反対するとだめかもしれないということを意味しますかね。
【樋口環境科学技術推進官】  その可能性は高いと思います。
【河野委員】  分かりました。
【大垣部会長】  ほかにはいかがですか。
【村岡委員】  7ページに現在、評価中の様々な提案のリストがあり、GI-15、これは山岳環境に関するものですけれども、星印は日本が参画するタスクとなっています。これについては、日本も関わっておりますので、星印を付けていただければと思います。
【大垣部会長】  過去のを修正することになるんですか。
【樋口環境科学技術推進官】  修正した上でホームページに載せさせていただいてよろしいでしょうか。
【大垣部会長】  はい。ほかにはいかがですか。よろしいですか。
【赤松委員】  5ページの商業セクターとの連携のところですけれども、このようにGEOの世界でも商業セクターとの連携が進んでいるということは我々としても非常に驚きもありますし、民間としてはこういったものをしっかり見ていきたいなと改めて考えたところです。ここの2)の丸1の4ポツ目ですね。「個別の企業の参加は許可せず、GEOの参加機関となっている産業協会に産業界の興味や視点を代表してもらう」となっていますけれども、この産業協会というのは、具体的にどこを指しているかというのはお分かりになりますでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  この産業協会ですけれども、日本では入っているところが今のところありませんが、ヨーロッパとかでは入っているところがあります。GEOのホームページを見ると見られます。それは公表情報になっておりますので。
【赤松委員】  分かりました。日本としては、まだ参加することを検討はしていないということですね。
【樋口環境科学技術推進官】  あとは協会としてもこういうところに入るところとしてどういうところがあるかという問題もあると思いますが。
【赤松委員】  なるほど。日本ではリモート・センシングの関係ですとBizEarthという協会があるんですけれども、まだちょっとこのGEOに出られるだけの体制があるのかということも考えなければいけないと思いますが、やはり日本も参画できれば、こういったところで意見を述べたりとか、国際連携の話も進められればなと思いますので、一応課題としてはお考えいただければなと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  その関係で申し上げますと、今オンラインアンケートをGEOの方で実施をするように案内が来ていまして、これにつきましてはRESTECさんを通じて賛助会員の皆さんに協力をお願いするようなルートでお願いをしている状況です。
【赤松委員】  分かりました。それでは我々のところにも来るかと思いますので、対応したいと思います。ありがとうございます。
【大垣部会長】  ほかにはよろしいですか。
どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に移ります。今後の地球観測の推進に関する意見交換になります。平成28年度の我が国の地球観測の実施計画は、本日の議題1として取りまとめた結果を事務局より報告したところであります。部会では今後、地球観測において取り組むべき事項を検討し、CSTIに報告することとしておりますので、各委員の御意見を伺いたいと思います。これに際し、関係府省、関係機関からヒアリングすべき事項がありましたら御意見を頂き、次回以降の部会においてヒアリングを実施することを検討したいと思います。事務局から資料4について説明をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  資料4の説明をさせていただきます。1枚めくっていただいて、今後のスケジュールとしましては、10月と12月に2回観測部会を開催させていただきまして、来年のCSTI環境ワーキンググループに「今後の地球観測において取り組むべき事項」、短いものがよろしいかと思いますけれども、こういったものをまとめていただいて、報告をしたいというのが今後の予定でございます。
この論点案でございますけれども、前回の2月の観測部会で問題提起を頂いたことなどを書いてございます。これでも構いませんし、これ以外でも構わないと思いますけれども、今後のインプットに向けて議論していただけるとありがたいと事務局としては考えています。
一つ目は地球観測の重要性でございまして、我が国において様々な課題解決に貢献する地球観測を今後も着実に実施していくためには、現状に加えてどういう方策が必要か。それから地球観測に関するユーザーの声を拾い上げて、広く支援を得ていくにはどのようにすべきか。三つ目が国民に対して地球観測の重要性、それから価値をどのようにアピールをし、理解を深めていただくのかというものでございます。
二つ目がデータ利用の枠組みでございます。地球観測データの利用の枠組みをどのように構築していくか。ここには民間企業等による利用、それからデータ提供のインセンティブ、データ公開のモラトリアム、オープンサイエンスの流れといったものがあるかと思います。
三つ目は民間企業等との連携です。地球観測データをより広く社会に活用してもらうためには、どのような民間企業等の関与が必要なのか。それから課題解決型の地球観測、これは今回の実施方針で打ち出しておりますけれども、これは民間企業の方々にどういった便益、それから機会をもたらすのか。それからまたその可能性をどういうふうに示していくのかということでございます。
四つ目は国際的な視点でございまして、GEOSSの構築・実施がございまして、あとは持続可能な開発目標(SDGs)が昨年、国連総会で採択されておりますけれども、この実施に我が国が取り組むにあたり、地球観測はどのような役割を果たしていくべきかを国際的な視点ということで書かせていただいています。
簡単ではございますが以上です。
【大垣部会長】  それでは、各論点について、あるいはまたそれ以外でも構いませんけれども、自由に各委員の御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。議題1で随分いろいろな御意見が出ておりましたので、逆に発言しにくいかもしれませんが,どうぞ御自由に。
【中田委員】  議題1のところで佃委員がおっしゃいましたけれども、いろいろなプロジェクトを省庁が募集するときに、やはりデータをきっちりと整えて公表するというところまで入れたような募集はかなり有効ではないかと思っています。現実に環境省でやられた多様性のプロジェクトでは、JAMSTECのOBISデータベースにみんなが格納することになっていて、公表は別にいろいろな条件がありましたけれども、そういうところに格納するというのは進んだという実績があります。
それからあともう一つは、いろいろな競争的資金を募集するときに、いろいろなポリシーが整っているかどうかを書き込むようになっていると思いますけれども、様々な機関でデータポリシーが整っているかどうかとかそういうことも書き込むようなやり方というのをある程度国の競争的資金を募集するときにはそういうものを入れていくという工夫をしておくことがいいかなと思っております。
【大垣部会長】  ありがとうございます。
資料4は、きょうは論点が書いてあるので、なかなか意見は言いにくいですね。
【樋口環境科学技術推進官】  そういう意味で、これに沿っても構いませんし、それ以外でも御意見を頂いて構いませんけれども。今後まとめていくにあたり、視点であったりコンテンツの部分を頂けるとありがたいと思っております。
【村岡委員】  先ほど、大学等で行われている観測等の情報をどう拾い上げるかという話、なかなかいい案が出ませんでしたけれども、例えば日本地球惑星科学連合に参画している学会やJpGUの大会などは、日本での地球観測に関してもっと情報提供、意見交換をする場、ユーザーエンゲージメントの機会にもなるかと思います。JpGUの大会の場を積極的に利用してはいかがかと思います。アメリカのAGUではGEOに関連したセッションがよく企画されていますけれども、そういったものがあるとよろしいかと思います。
【大垣部会長】  学会連合も使ってということですね。
【赤松委員】  論点の中に民間のキーワードをたくさん入れていただきましてありがとうございます。こうした論点をこれから議論できるということは、民間の立場としても非常に有り難いことだと考えております。
この民間企業等との連携の枠組みというところなんですけれども、例えば民間が民間だけでやるという世界も当然あるとは思うんですが、官民連携で衛星データですとか地球観測データをいわゆる地球・社会課題解決型の世界に使っていく枠組みをどう作るのか、あるいはそこに向かう活動をブーストアップする枠組みを作れないかということも議論をしていただければと考えております。何回も申し上げていますが、例えば欧州のコペルニクスのような、官民連携でまず最初の仕組みを作るところで、提供側だけではなくてユーザーを巻き込んだ形で作り上げて、それがあるレベルになったときに離陸させるという仕組みができないかということを議論いただきたいなと考えております。
そういう意味では先ほどDIASの中で水課題のところに、ユーザーとして電力会社さんが入って、大学側がその仕組みを作るという形がありましたけれども、ああいったものをほかのカテゴリーのところでも作れないか検討いただきたいと思っております。特別に何かに限るということはないんですけれども、そういった仕組みを包括的に御検討いただければなと考えています。
あともう一つ、是非データのオープンポリシーのところを議論できればと思っております。特に民間ですとか、いわゆる市民が使うということになりますと、データがオープンな形になっているかどうかということが非常に重要なポイントになってくるかと思いますので、もし多様なステークホルダーによる利用を推進するのであれば、そこのところを考えていただきたいと思っています。今、先ほど挙げた欧州のコペルニクスの衛星データは、基本的に世界に向けて無償で提供するという形になっておりますし、それと同じことが我が国でできるかどうかは分かりませんけれども、少なくとも利用推進のためにどうオープンポリシーを作り上げていった方がいいかということを議論いただければと思います。ここは宇宙基本計画等との絡みもありますので、なかなか簡単ではないかと思いますけれども、できるところを検討いただければなと考えております。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
【河野委員】  幾つか申し上げようと思いますけれども、まず、この取組をまとめたときと今との大きな違いはG7が日本で開催されたということで、この中で少なくとも海洋については地球観測の構築が重要であって、その取組を推進することを支持するというのが首脳宣言にも取り上げられておりますので、次の取りまとめあるいは報告に関しては、こういった大きなイベントがあったことに注視して書き加えるといいような気がいたします。
それからデータのオープンですけれども、例えばアメリカとかのNSFの申請書はデータオープンすることを書かないと通らないというような状況になっていると聞いておりますので、日本においても、何かそういった足かせを付けるようなことが重要かと思います。実際私が関わっている分野ですと、データを公開する意思はあるけれども、何となく広まっていかない。あるところにはあるけれども、もうちょっと大きなデータベースには登録されていなくてみたいなことがまま起こるんですね。日本で言えばDIASもそうですし、海洋で言えば日本海洋データセンター(JODC)のナショナルデータセンターみたいなところはそうですけれども、国際的にもここにデータを集めるんだというような、なるべく多くない限られた数のプラットフォームを強く推進する。次から次へとプラットフォームを作らないで大きなところに集めていくというようなことを我が国としては主張していくのがいいのかなと思っています。その中ではGEOSSは一つの非常にいいプラットフォームだと思います。
それから国際的プレゼンスを上げることが今非常に重要な気がいたします。直近ですと中国の台頭がすごいのですが、中国がちゃんとした活動を必ずしもまだできていない部分というのもありますので、役割分担といいますか我が国が強いところでは積極的にリーダーシップをとっていくというようなことが重要で、そのためには国際的なルールを決める場に出ていく。顔が売れている日本人を作るということが重要ですので、なるべく継続的に同じ人が同じ会合に出ていくような活動を支援していくということが重要と思います。
それからデータ公開に関しては、私どものところは何でも出すような方向でやっておりますけれども、研究組織だとすると、データを出しているだけではやはり現状では評価されない。それが例えば論文なり、特許なりの世界に結び付いていないと評価されないということがあります。そうするとモラトリアムで持っていたいという期間がどんどん延びていく。そこは何かトレードオフのような気がしますので、データを作って公表したことに対する評価というものについてちゃんと考えていく必要があると思います。
それから先ほど事情聴取した方がいいような機関がないかというのが入っていたような気がするんですけれども、全体を読んで、今大変大きな注目を集めている北極についての記述が薄いですね。多分、極地研に問い合わせをしていないのではないかという気がいたしますので、ひょっとすると国立極地研究所から南極ばかりではなく北極も含めた事情をお伺いするとよいかもしれません。
【大垣部会長】  ありがとうございました。北極は前のレポートには書き込んでありましたよね。
【河野委員】  うちが書き込みました。
【樋口環境科学技術推進官】  実施方針には北極はちゃんと書いてあります。
【大垣部会長】  ありがとうございます。多くのいろいろな点を挙げていただきました。
例えば、データのプラットフォームというのは海洋機構はどうですか。
【河野委員】  海洋機構はもちろん自分でとったデータは自分で公表しておりますし、それから参加している国際プロジェクトに大概海洋の場合、データセンターができますので、そこにも登録しておりますし、それからもちろん日本のJODCですね。日本のナショナルデータセンターにも登録しておりますし、先ほど中田委員から御紹介いただきましたけれども、生態系のデータについてはOBISという国際的なプラットフォームの支部、アディショナルデータユニットというのをやっております。もちろんいろいろなところを通じてGEOにデータが出ていく、それからDIASにも多分、名前は登録されています。そういう、いろいろあるんですけれども、結局、日本を代表するとJODCとDIASに登録してあると、大概世界に出ていく。ところが北極のデータとかだとそういうデータセンターがないので、北極だけでデータを集めようとするといろいろなところから集めてこなきゃいけないという現状なんですね。そういうのももしGEOSSのデータセンターから集められるようになると少し楽になるかもしれませんし、そういう大きな枠組みをもう一つ作って、傘下にきちんと作業する部隊を作って、そういうデータセンターに登録していくというようなことをやっていただけるといいかもしれません。ただ、データセンターを幾つも作るのはよくないですね。
【大垣部会長】  ありがとうございます。
【岩谷委員】  私の方からは国民に対して地球観測の重要性や価値をどのように理解を深めていただくのか、このあたりについて一言。きょうも一覧を見ていて、非常にたくさんの観測をしていて、こんなにいろいろな観測をしているなと思いつつも、余り知られていないというか、私も知らない観測がたくさんありました。多分、国民はもっと知らないので、地球観測は非常に重要だということは分かったとしても、どのぐらい重要なのかやっぱりなかなか理解をしてもらうのが難しい。理解をしてもらわないとなかなか予算が多分付きにくいんだろうと思います。そういう意味では、例えば先日も台風がたくさん出てきたというところで、海洋研究開発機構の方で、すぐにそれについての理由をプレスというかホームページに掲載して、すぐマスコミが取り上げてくるようなタイミングで情報を出されていました。これはもちろん観測に基づいて分析をしてすぐ出してくるんですが、論文までは行かないにしても、割と頻繁にプレスを出していくということは非常に効果的で、なおかつタイムリーなものがあると、そのときに非常に関心が高まっているので、そういうところで常に細かく、出せる範囲で、もちろんできる範囲になりますが、そういったものをどんどん出していくと。例えば大雨の推移の予測であるとか、こういったものもデータベースで観測としては非常に重要なところで、予測に使われているということなので、こういうところは災害が発生したときには非常に関心が高いと思いますし、国民の意識が高い内に何かプレスを出していくということは重要と思います。同時にそういう機関が発表する際に、こういう観測データを使っているというものをなるべく掲載してもらえるような、DIASならDIASのデータを使っているとか、そういうものを併せて公表してもらうということで、この地球観測によって得られた情報が役に立っているということをもっとアピールできるような形になるといいと思います。
それから文科省さんなので、教育機関を、学校関係を抱えていると思いますので、例えば今水課題アプリケーションを開発中ということなんですが、サンプルでもいいので、事例集みたいなものを、サイトを作ってもらって、中学校・高校の先生に、こういったものがあるというのをアピールして教育機関で広めたりとか、そういうこともできるんじゃないかと思いますので、いろいろなアピールを進めていただければと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございました。
文科省は教育機関には関係が深いので是非。ほかにはいかがでしょうか。
【六川委員】  この論点の2と3に関係するんですが、特に民間の企業の活用ということなんですけれども、少し考えていただきたいと思うのは、当然、民間企業を活用しますと、それで民間企業が最終のユーザーということであれば多分それで終わりですが、その下の連携ということになると、多分新たなものを作って、そこへまた戻してもらうとかそういう枠組みになったときに、やはり民間企業ですから当然出せるものと出せないもの、データポリシーですとか、それがどういうふうにどの範囲で活用していいのか。簡単に言うと商売でどれだけ使っていいのかということすら分からないデータが多いので、その辺の整理をするということと、民間企業にきちっとヒアリング等をしていただいて、本当の意味での、DIASも含めてですけれども、データを活用する制約になっていることの本質が何なのかということをもう少し精査していただきたいと個人的には思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。場合によってはヒアリングするべき事項の一つかも分からないですね。ほかにはいかがでしょうか。
【六川委員】  特にそれを戻したりというようなことを考えたときには、やっぱり企業の知財の問題も発生しますし、そうなってくると、国の国力の問題になってくるとしますと、得られた成果というのは本当に公開をオープンにすることが国益にとっていいかどうかという話も出てくるともいますので、かなり本質的な問題かなと思いますので、少しそういう、サイエンスとしてはオープンにした方がいいですけども、もう少し国益とかそういう観点からすると、かなり抵触する部分も出てきますので、そういう広い意味で、特に佃さんがおられますが、経産省関係のところですとその辺をよく見ておられると思いますので、そういうこととも関連して御検討いただければと思います。
【大垣部会長】  ほかにはいかがですか。
【春日部会長代理】  論点の中で地球観測の重要性から少し発展させて、地球観測の目的を改めて考え直すべきではないかと思います。本日の議題1のところにもう一度戻りますけれど、これは、この部会が多くの委員の先生方の非常に大変な御尽力のもとにまとめた実施方針に関して、現在、日本で行われている事業が、この実施方針とどういうふうに関係しているかをまとめていただいたものと理解しております。ですけれども、それをもう一歩踏み込んで、せっかくこの調査をされたわけですので、それぞれ今動いている地球観測事業が、どういうふうに国の予算を使っただけ国民にとって利益があるように活用されるか、さらには地球観測ですので、国境を越えているわけです。地球全体の地球規模課題を解決するためにどう役に立つのかというところまで踏み込んだ形で調査を拡大していただくか、あるいは今ある情報をもう一度精査していただいて、それをこの部会での議論にも、またホームページでの公表にも役立てていただけたらと思います。
この実施方針の大きな柱の中に、ステークホルダーとの連携の促進、それから先ほど言ったことにも共通しますけれども、地球規模課題解決への貢献、さらにSDGsだけではなくて例えば気候変動に関する政府間パネル(IPCC)とか生物多様性及び生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(IPBES)とか、そういう国際的な動きへの貢献、こういうものが実施方針の中に盛り込まれています。そういうことが地球観測の目的、最終的には役立つ先の大きな方向性の中に見えてくるものだと思います。そうしますと、現在行われている地球観測の情報をどうやって統合していくかということと、統合した先にどうやって国際的な枠組みあるいは地球規模課題へつなげていくかという、その2段階のプロセスを考えなければいけないと思います。
最初のプロセスにつきましては、きょう丁寧に御説明がありましたDIAS、これをより一層推進して活用していくことを日本国内の関係府省それから研究者、そして産業界、民間セクターにより一層強く呼び掛けていくことが必要と思います。
次の段階として、そこでよりよい形で利用ができるようになったデータを基にどうやって地球規模課題を解決していくかという、そこのプロセスについては、是非フューチャーアースを利用していただきたいと思います。フューチャーアースについては環境エネルギー課が中心となって文科省の中で推進していただいていますが、例えばこれは水プロジェクトに次ぐアプリケーションのテーマを考える上でも役に立つようなテーマを既に用意しています。例えば水・食料・エネルギーのネクサスですとか、海洋、都市、健康、社会の変革、SDGs、経済・経営、そして自然資源等々ですね。次の議論に役に立つようなプラットフォームとしてのKnowledge Action Networksというものを用意しているところです。そういう場面を活用していただいて、地球観測で得られたデータをいかに社会の問題解決につなげていくかというところに役に立ちたいというのがフューチャーアースですので、そこの利用、巻き込みも、この地球観測部会の次のステップとして考えていただければと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。
【佃委員】  1ポツの三つ目の丸、先ほど重要性や価値をアピールするということで、一般の市民レベルだったりとか一般社会にアピールしていくという話があったんですけれども、別な視点で、やはり国のトップに向けてとか政治レベルに向けて、分かりやすくこの価値が分かるように、もちろん地球規模の課題解決というのは非常に重要ですが、我が国にとってどれだけメリットがあるのかというのが議論になるんだと思うんです。そういうところも、先ほど出ました国際的プレゼンスを向上するときにこれを使っていくんですとか。以前も小池先生が言われたと思うんですけれども、総合的なという、ナショナルセキュリティーといいますか、そういったキーワードだとか、もうちょっと幅広いナショナルセキュリティーに貢献するんだとか、あるいは国家間の利害の対立に解決するというわけにはいかないと思いますけれども、バーゲニングパワーを含めて、国家間の交渉ごとには、ある程度こういう地球観測情報というのは役立つんではないかとか、海にしても森林にしてもそれぞれの国の状況をモニターして、国際スタンダードで比較するとか、そういう国としてのメリットは日本としてこれを推進すべきものなんだというようなところも議論の対象にして、少し整理していただくといいと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。科学技術外交というような概念で科学技術と外交で扱って、文科省の中でもやっていますけれども、そういうのも今の御発言、少し関係するかも分かりませんね。ほかはよろしいですか。
【甲斐沼委員】  ここの「ユーザーの声を拾い上げ、広く支援を得ていくにはどのようにすべきか」というところですけれども、今回いろいろ調査していただいた項目の種類のところで、観測はここのメインのところですが、その他にデータ利用研究があって、そのデータ利用研究で、じゃあ具体的にどのような影響が出ているとかというのは、やはり観測データを使って、いろいろなモデルを使って、その影響を出していくという、リンクが示されていないと一般の方々には必要性が解りにくいのではないかと思います。既に幾つかデータと影響研究をリンクされている事例があるかと思いますが、そういった例を分かりやすく示して、観測とデータ利用研究のつながりを示して頂くのが良いかと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。ほかにいかがですか。
【赤松委員】  4番の国際的な視点の中でSDGsが出てきております。SDGsは、地球観測が非常に大きな貢献を担保できる分野だと考えております。先週、環境省主催と地球環境戦略研究機関(IGES)共催でSDGsのステークホルダーズ・ミーティングという集まりがあったんですね。そこで現在いろいろと行われているSDGs関係の取組が紹介されたんですけれども、意外と地球観測の影が薄かったんですね。そういう意味で、SDGs一つをとってもまだアピールが弱いのかなということが感じられました。環境省も地球観測部会の枠に関与されているかと思いますので、もう少しそういった世界の中に地球観測をアピールする必要があると思います。
それとSDGsというと省庁の取組というふうに感じられるかもしれませんけれども、そのミーティングは民間企業も含めて参画しておりまして、合計200名くらい、結構、民間の人間が多く集まっていました。ですからこういう国際的な枠組みの活動にも、これから民間企業が参画していくということもありますので、このSDGsと地球観測と民間という一つの枠組みも考えてみてもいいかなと思っております。そういった視点も入れながら議論を展開できればと思っております。
【大垣部会長】  ありがとうございます。
それでは、貴重な御意見を多く頂きましてありがとうございました。ただいまの意見は今後の部会の検討で考えていきたいと思います。その他の議題について、あるいは全体を通して何か御意見ございますでしょうか。
それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【直井地球観測推進専門官】  それでは、事務連絡をさせていただきます。本日の議事録は、後日、事務局よりメールで皆さんにお送りいたしますので、御確認をお願いいたします。その後、文部科学省のホームページで公表をさせていただきます。
次回以降の部会の開催についてですが、既に皆様に日程調整をさせていただいておりますが、次回第7回は10月の18日火曜日、第8回は12月の16日金曜日を予定してございます。開催案内につきましては、改めて御案内させていただきますのでよろしくお願いいたします。以上です。
【大垣部会長】  以上をもちまして地球観測推進部会の第6回会合を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。


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