第6期地球観測推進部会(第4回) 議事録

1.日時

平成27年8月25日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」について
  2. その他

4.出席者

委員

大垣部会長、春日部会長代理、赤松委員、上田委員、甲斐沼委員、河野委員、小池委員、佐藤委員、高村委員、寶委員、佃委員、浜崎委員、箕輪委員、村岡委員、若松委員

文部科学省

森大臣官房審議官(研究開発局担当)、長野環境エネルギー課長、樋口環境科学技術推進官、西川地球観測推進専門官

5.議事録

【関係省庁】
中島内閣府参事官


【大垣部会長】  ただいまより、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の第6期の第4回会合を開催いたします。
本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。初めに、事務局から出席者の確認をお願いいたします。
【西川地球観測推進専門官】  初めに環境エネルギー課に人事異動がございましたので、御報告いたします。環境エネルギー課長が原から長野に交代しております。
【長野環境エネルギー課長】  8月4日付で着任いたしました長野裕子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西川地球観測推進専門官】  本日御出席の委員が15名と過半数の11名を超えておりますので、部会は成立となります。なお、本部会は部会運営規則により公開とさせていただきます。
【大垣部会長】  本日はお手元の議事次第にあるとおり、「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」についての審議を予定しております。
それでは、早速議事に入ります。議題1は「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」についてです。今回は、前回骨子を検討いただいた実施方針の最終取りまとめについて御審議をいただきます。実施方針の6つの章ごとに内容を確認し、御意見を頂いていきたいと思います。
まず初めに、全体構成と第1章について、事務局から説明をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  事務局の樋口でございます。よろしくお願いいたします。
資料1-1を基に御説明いたします。全体の構成につきましては資料1-2に簡単にまとめておりますので、併せて御確認ください。第1章「はじめに」と第2章「基本認識」のまとめ方は、前回御議論いただいた骨子と変わりませんが、「課題解決型の地球観測」に入る前につなぎの記述があった方がいいということで、第3章として我が国の地球観測の実施方針の具体化に向けてという章を入れております。
課題解決型の地球観測の部分ですが、もともとはこれまで議論いただきました活力のある社会の実現、防災・減災への貢献、将来の環境創造への貢献という3つの観点で議論いただいておりますので、それを項目として立てて、それぞれ更にブレークダウンした形にしたものが骨子案でございました。これについては、3つの観点を第3章に記載し、それぞれの観点から抽出された課題を第4章の柱として立てるというような記述の仕方に変更しています。第5章には、共通的・基盤的な取組という形でまとめています。第6章は統合された地球観測の推進体制・組織で、このあたりは大きな構成としては変わっておりません。
続きまして、第1章です。第1章は、基本的には骨子案から変えておりません。これまで我が国では平成16年度に策定された推進戦略に基づいて地球観測事業を実施してきました。この戦略が策定後10年を迎え、CSTIで進捗状況のレビューが実施され、これを受けて本部会においても今後10年程度を目途とした我が国の地球観測の実施方針を作成することとなりました。国際的な動向としては、GEOSS10年実施計画の後継となるGEO戦略計画の検討を進めており、地球観測の充実を図るとともに、地球観測を通じた国際協力についてもこれまで以上に強力に推進していく必要があることを書いております。
続きまして、本実施方針の6章の構成について書いています。この部会ではCSTIのレビューと並行して我が国の地球観測の取組に当たっての基本的考え方を明確化するとともに、今後10年の中長期を見据えた実施方針の策定に向けた中間取りまとめを行いました。この中間取りまとめについても言及し、この実施方針の背景となる現状認識と今後の地球観測の取組に当たっての基本的考え方については、この中間取りまとめも参照してほしいという形で「はじめに」をまとめております。
【大垣部会長】  目次と、第1章、「はじめに」について説明がありましたが、何か特に御意見はございませんか。
それでは、ないようですから、次の第2章について説明をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  第2章基本認識です。骨子案では1に相当するような部分はなくて、2の地球観測を取り巻く現状と、3の地球観測実施に当たっての基本的な考え方の2つで構成していましたが、最初に地球観測10年間の成果についても触れるべきということで、これを1として追加しています。これはCSTIのレビューを参考に記述しており、10年間の地球観測の成果を振り返ると、単なる地球環境の状況把握にとどまらず、様々な分野に活用可能なツールとして進化してきていることなどを例示して、地球観測の進展に伴って政府・地方自治体、国際機関、産業界等のステークホルダーの協働により、地球観測データを基礎情報として分野間連携を進め、地球全体の環境保全と持続可能性を追求していく取組が進んできているといった成果をまとめております。
次は地球観測を取り巻く現状です。これは基本的には骨子案から大きな変更はないと思いますが、はじめにIPCCの報告書を引用しまして、気候・気象の変化、それから海面の上昇、海洋の酸性化といった現象が我が国においても起こってくると国民生活に影響が生じることが予想されていることや、精緻かつ継続的な地球観測情報に基づいて気候変動への対策を講じていくことが必要であることを記載しています。
2つ目は、豊かで質の高い生活を確保することから、自然災害のリスクから命を守るために気象観測、地殻変動監視などの様々な地球観測の知見に立脚して、安全・安心な社会を継続的に実現していくことが重要であることを記載しています。
3つ目は、科学技術の飛躍的な発展により、グローバルな環境において様々なものが瞬時に結び付いて、相互に影響を与え合う時代に突入していると記載しています。地球観測もその例外ではなく、情報化の進展、それからオープンサイエンスの動向に合わせて情報をあらゆるユーザーが利活用できる時代が来ていることを述べています。こういった中で、多様なユーザーの要望に応える新しい価値やサービスを創出していかなければならないことを記載しています。
次のパラグラフには国際社会のことを書いております。ここは骨子案の内容に加え、SDGsやGEOの話を書き込んでおります。国連ではSDGsが提案されており、今後SDGsの達成に向けた取組に当たっては、地球観測の役割が重要となることを記載しています。また、GEOでは現行の社会利益分野(SBA)を時代的背景や社会的背景の変化に即して再構築し、SDGsの実現等も支援し、ステークホルダーとの連携を一層強め要としているということを記載しています。そして、我が国は、国際社会の平和と安定のための積極的に関与するとともに、地球規模の課題に対しても我が国の強みを生かしながら国際社会と協調していくということが求められており、地球観測もそれに貢献しなければいけないということを書いております。
次のパラグラフはCSTIのレビューに言及しております。レビューでは新たな10年に向けた我が国の国民の安全・安心、経済社会の発展、人類の持続可能性と福祉の確保のための克服すべき課題を踏まえて、本実施方針を策定するとされていることを記載しました。
その次に、イノベーション総合戦略の記述を引用してあります。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の機会を活用し、オールジャパンで科学技術イノベーションを推進していくといったこともここに追加しております。
3は地球観測実施に当たっての基本的な考え方です。最初の部分で推進戦略における地球観測の定義を引用しております。それに即しつつ、基本認識のところで述べた現状を踏まえて、今後はどういう考え方で地球観測を実施すべきかについて、まとめております。この4つをまとめ、今後10年間の地球観測は、これまでの各種観測を基本としつつも、地球及び人間社会の現状や将来の予測に対する包括的な理解と対応のための基礎データを得るものとなるべきであり、より目的意識を明確化し、必要に応じ観測体制や観測項目等の見直し・強化を図ることで、様々な社会課題の解決に貢献することを強く意識した、課題解決型の地球観測を志向していくべきであると記載しています。そして、特に、観測データを課題解決に結び付ける仕組みを構築し、地球観測の成果を社会実装につなげることを検討する必要があること、また、データの利活用の推進方策の検討や多様なステークホルダーの関与の促進と人材育成、国際協力の推進等、課題解決型の地球観測を支える共通的・基盤的な取組を推進すべきであるとまとめております。
【大垣部会長】  それでは、この第2章について、何か御意見等がございましたらお願いしたいと思います。
【寶委員】  まず、地殻変動監視ですが、土地利用変化や開発、砂漠化といった地表の変動も監視するということで、地殻変動を地表変動などに直してはどうかと思います。
それから、SDGsの目標案が「平成26年に提案されており」のところは、もう間もなく国連で採択されると思いますので、「平成27年に取りまとめられており」という表現でいかがでしょうか。
それから、「国際社会に目を向ければ」というパラグラフですが、ここは国連防災世界会議を日本が主催して仙台で開催しましたので、そのことについても1文入れてはどうかと思います。
【大垣部会長】  ありがとうございます。
そのように修正することでよろしいですね。
【樋口環境科学技術推進官】  対応させていただきます。
【浜崎委員】  コメントと質問です。参考資料1の地球観測の推進戦略の3ページで基本戦略が書かれており、利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築、国際的な地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮、アジア・オセアニア地域との連携の強化による地球観測体制の確立の3点が非常に強くうたわれています。また、参考資料3の本年1月の中間取りまとめでも、7ページの国際的な地球観測というところで、アジア、オセアニア、アフリカ、中南米等を含めて、国際協調を積極的に推進すべきということが明示してあります。今回の実施方針案の第2章を見ても、アジア、アフリカが一切出てこないのですが、特に理由がなければ、我が国の全体としての東アジアやASEANを重視する動きもあるので、地球観測においても何がしか表明した方がよろしいのではないかと思います。また、第5章では、アジアに加えてということで、むしろアフリカ、中南米を重視する表現になっていて、余りアジア重視の路線が打ち出されていないのですが、何か理由があれば教えていただきたいと思います。
【中島参事官】  内閣府です。参考資料4の24ページのマル6に書いてありますが、これまではアジア中心に特化して戦略的に進めてきたのですが、最近は、中国やインドが自前の衛星を持ち始めるなど、アジアの中でも地球観測の取組が進んできたと思います。一方、アフリカや中南米に関しては、今まで余り取り上げてきていなかったということで、よりグローバルな観点でレビューさせていただいたという経緯がございます。
【浜崎委員】  従来はアジアに偏っていたものをもう少し広げて、中南米などにも広げるということでしょうか。
【中島参事官】  アジアを軽視しているわけではなくて、もっとグローバルに国際貢献すべきという視点での取りまとめになっております。
【浜崎委員】  今おっしゃった視点で、アジアに加えて中南米やアフリカにも対象を広げるという観点を、第2章の基本的な考え方のどこかに表現する必要があると思います。
【中島参事官】  そのような記述を事務局の方で加えていただければ、こちらとしても有り難いです。
【浜崎委員】  ありがとうございました。
【樋口環境科学技術推進官】  そのように基本認識のところに付け加えさせていただきます。
【高村委員】  既に寶先生がおっしゃっていただいた点でもありますが、SDGsの目標案については、既に実質的に合意していて9月に正式に採択される段階ですので、そのような趣旨の文言にしていただくのがよいのではないかと思います。
2つ目は、極地域、特に北極に関しての国際的な取組に関心が高まっているという現況を基本的な認識のところに書くのがよいのではないかと思います。
【大垣部会長】  海洋の利活用のところに北極海航路の話が出てきますが、ちょっと趣旨と違うかもしれません。
【高村委員】  恐らく海洋の利活用だけではなくて、例えば北極域の大気観測もありますし、海氷や、気候変動の影響に関わるところもあると思いまして、基本認識の中に何らかの形で反映していただくのがよいのではないかと思いました。
【中島参事官】  現在策定中の第5期科学技術基本計画の中で北極に関しましては、気候変動に伴う北極の脆弱(ぜいじゃく)化や氷の状況などと、北極航路の可能性という両面で、自然環境を保持しながら、しかも観測も重視していかなければいけないということを書かせていただく予定ですので、基本認識で書くのがいいのかなと私も思います。
【樋口環境科学技術推進官】  北極については、基本認識のところに何らかの記述を追加するということで対応したいと思います。
【春日部会長代理】  今の点、私も賛成です。気候変動の観点だけではなくて、生物、生態系への影響も含めて北極は今後本当に注視していかなければいけないと思います。日本以外にはそういう両方の面に十分配慮している国が余りありません。そういう意味では、日本が先導できる分野だと思いますので、基本認識に是非含めていただければと思います。
【小池委員】  地球観測を取り巻く現状のところに、「また、GEOは、『GEO戦略計画』において」と書いてあり、SBAが8つ挙げられています。「GEO戦略計画」の現状案では、このSBAが登場する前のパラグラフでSustainable DevelopmentとClimate Changeはコインの表裏の関係にあり重要なものであるから進めなくてはいけないということを書いてあります。ですので、実施方針でも、GEOは戦略計画においてというあとにSDGsへの貢献と気候変動への貢献について書き足していただいた方がよいと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  御指摘のとおりと思いますので、それを反映したいと思います。
【河野委員】  以前に比べますと確かに地球観測が重要であることや、ステークホルダーなどいろいろな人と関わり合うための重要なツールであるということが強調されていて大変よくなったと思います。その面を更に強調するために、「今後SDGsの達成に向けて取組に当たっては、地球観測の役割が重要になる」と言う一文を、例えば、「今後SDGsの達成に向けた取組に当たっては、科学的な根拠に基づくガバナンスの構築が求められる。このことから、モニタリング、評価、データ共有が必須であり、このため地球観測の役割が今までにもまして重要となる」というような文章にするとよいのではないかと思います。
また、国際社会との協調については、少し受け身な感じがするので、「国際社会と協調しつつ対応していくことが求められており」の後を、「そのために不可欠な地球観測を充実させ、より一層活用していかなければならない」というような文章に変えると、この推進戦略によって何をどうしなければいけないのかということが強調されるように思います。
【樋口環境科学技術推進官】  SDGsについて地球観測の役割をもう少し具体化するということと思いますが、御指摘のように基本認識のところを膨らませるほか、第5章の地球規模課題の解決への貢献のところに具体的に書いていくということも一案と思います。
【河野委員】  実施方針のような文書では、冒頭の背景説明というのが非常に重いものだと私は思っています。はじめに書かれている姿勢がその後ブレークダウンされて詳しく書いてあると理解していますので、短くてもいいので、先ほど申し上げたような科学的な根拠に基づくガバナンスというようなキーワードが最初に書いてある方が、実施方針としてのスタンスが明らかになるのではないかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  そういう御趣旨であれば、ここの基本認識の部分をもう少し膨らませたいと思います。
【甲斐沼委員】  既に高村先生から御指摘のあったところです。北極の話は第4章や第5章に既に記述されているということですが、どちらの表現も割とプラスの方向に書かれているような印象を受けます。北極海航路が利用可能になるほどの状況になると、融解でそのほかの地域の影響というのが非常に大きくなると言われております。北極海航路の利用可能性だけではなくて、最近懸念されているシベリアの凍土が薄くなってメタンガスが放出されることを防止しなければいけないというような観点も踏まえた記述をしていただきたいと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  基本認識のところで北極の記述を入れるときに、そういった観点も踏まえるということで検討したいと思います。
【赤松委員】  私は民間ですので、社会実装や、社会に対する便益の獲得、国民の理解という部分を、もう少し背景のところに書き込んでいただきたいなと思いました。地球観測に当たっての基本的な考え方では書いてありますが、現実に社会からそういうことが求められているということを背景の中に書き込んでいただければと思います。また、社会の便益や社会実装の中にはビジネスや経済的な便益というものも含まれてきますので、この点も前提のところに書き込んでいただければと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  そのようにさせていただきたいと思います。
【佐藤委員】  最初のグループ討論の報告から比べるとかなり練られたいいものになっていると思います。全体を見て感じましたのは、地球観測は監視が中心であるというような印象を受ける書きぶりになっていますが、短期間に起こる突発的な災害に対しては、それにフォーカスした機動的な観測があるべきなのではないかということです。例えば3・11の原発事故のときの放射線拡散ですとか、火山噴火の噴煙の流れなどに関しては機動的な観測が必要になってくると思いますので、機動的というようなキーワードがどこかにあった方がいいのではないかと感じました。例えば、地球観測を取り巻く現状の「我が国が持続的な成長と社会の発展を目指すため、豊かで質の高い生活を確保することが求められる。また、台風や豪雨、大規模地震、火山噴火などの自然災害のリスクから命を守るためには」のあとあたりに「継続的及び機動的観測」というような文言が入ると、よりよろしいのではないかと思いました。
【樋口環境科学技術推進官】  機動的な観測も大事だということを追記したいと思います。
【大垣部会長】  ほかになければ、次の第3章について、事務局から説明をお願いします。
【樋口環境科学技術推進官】  第3章は、骨子案にはなかったものですが、基本認識と課題解決型の地球観測をつなぐものとして入れた章です。まず、「地球観測がいかに国民生活に利益をもたらすかの視点に立ち、課題解決型の地球観測を実施するに当たっては、観測体制や観測項目等の見直し、強化を図り、観測データの取得から、観測・予測データに基づく知見の創出、情報の発信、人々の行動判断や課題解決に至る一連の道筋を明確にすべきである。
課題解決に向けて必要な地球観測に関しては、以下の検討を行った。
課題解決型の地球観測を推進するためには、理想とする将来像の実現に向けてどのような地球観測に取り組むべきかを考える、いわゆる『バックキャスト型』の推進が求められる。そこで、本部会では、上記第2章の基本認識を踏まえて、『バックキャスト型』の方法により、実施すべき課題解決型の地球観測の内容について検討することとした。
そこでは、『GEOSS新10年実施計画の検討に向けた我が国の地球観測の方針(中間取りまとめ)』を踏まえ、地球観測の課題解決への貢献や我が国が強みを持つ観測分野への更なる強化を念頭に、『活力のある社会の実現』、『防災・減災への貢献』、『将来の環境創造への貢献』の3つの観点から、10年程度先を見据えた理想とする地球観測の将来像を想定した。その上で、これを実現するために、どのような地球観測を行う必要があるか、どのような革新的な観測技術が必要か、長期的な継続が必要な観測は何か等について検討した。その結果章となった今後10年間の地球観測が貢献すべき課題及びその解決に必要な地球観測の内容は、第4章に述べる」といった文章にしております。
その次に、「また、CSTIのレビューが、今度新たな10年に向けた我が国の国民の安全・安心、経済社会の発展、人類の持続可能性と福祉の確保のために克服すべき課題として挙げている、1)喫緊の社会的ニーズへの対応、2)政策課題の解決に向けた地球観測の貢献、3)データ活用の促進とそのための人材育成、4)長期継続的な地球観測の実施、5)分野間の連携及び多様なステークホルダーの関与の促進とそれを担う人材育成、6)科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献、7)地球観測による科学技術イノベーションの推進の7つの課題への対応について、7つの課題のうち、1)及び2)への対応については『第4章課題解決型の地球観測』に、3)~7)の課題への対応については『第5章共通的・基盤的は取組』に反映させた」ということで、CSTIのレビューをどのような形で反映させているかということを書いております。
【大垣部会長】  何か御意見、御質問等はございますか。
【赤松委員】  「理想とする地球観測の将来像」と書かれておりますが、ここはバックキャストの考え方からすると、理想とする社会像ないしは社会像を踏まえた地球観測の在り方といった記述になるのではないかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  ここは防災・減災への貢献とか将来の環境創造への貢献など、地球観測自体が主語になっているようなところもありましたので、このような書き方にしてありましたが、先生がおっしゃったような将来像を踏まえた地球観測の在り方を想定したというような形で書くのがいいと思いました。
【赤松委員】  そうですね。そうしないと後ろに地球観測が続けて出てくるのでまた書きような形になってしまいます。もともとこの議論をするときに社会の将来像を設定して、そこに対応する地球観測を考えるという形だったかと思いますので、そのようにしていただければと思います。
【寶委員】  この章の表題が「実施方針の具体化に向けて」ということですが、内容にふさわしいタイトルになっていないのではないかと思います。これはどういう考え方で以下の整理をしているかというところを述べていて、1)2)は第4章で、3)~7)は第5章で書きますということを書いてあるだけのような気がします。
【樋口環境科学技術推進官】  この章は前回、基本認識と課題解決型の地球観測というのをつなぐ記述が必要だと御指摘をいただいたことを受けて追加したものです。もしタイトルがふさわしくないということであれば、工夫することは可能と思います。
【大垣部会長】  何かタイトルで御提案はありますか。
【寶委員】  特に具体的にアイデアはないのですが、少し工夫していただけたらと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  工夫するということで考えてみたいと思います。
【小池委員】  10年前を思い返して推進戦略を見ていたのですが、当時かなり重点を置いたのは統合化ということでした。今回も第6章で統合された地球観測の推進体制・組織ということは書かれているのですが、第3章にも、統合的なものが大事だからそれを第6章で書いているという記述が1文あった方がいいのではないかと思いました。
【大垣部会長】  ここで第6章にも触れるということの趣旨でよろしいですか。
【小池委員】  はい。
【樋口環境科学技術推進官】  そのように対応します。
【大垣部会長】  ほかにはよろしいですか。
それでは、次に第4章について説明をお願いいたします。
【樋口環境科学技術推進官】  第4章課題解決型の地球観測です。まず、これまでの柱にしていました活力のある社会の実現、防災・減災への貢献、将来の環境創造の3つの観点を書きまして、それを受け、地球観測が貢献すべき課題ごとにまとめているという構成にしております。
1つ目が気候変動に伴う悪影響の探知・原因の特定への貢献で、(1)が人為的な地球環境の変動の把握への貢献になります。また、(2)が気候変動対策の効果把握への貢献で、今後の地球観測はその結果をよりよい環境の創造に活用すべきであることなどを記載しています。そして、(1)で述べた人為的な地球環境の変動の把握に関する知見も踏まえ、衛星、航空機、船舶、地上における温室効果ガス観測にも引き続き取り組むことも記載しています。
(3)が気候変動の予測精度の向上への貢献で、(1)と(2)で挙げた観測データをはじめとする知見の蓄積を行うとともに、気候変動の予測精度を向上させることが必要であることを述べています。そのため、開発途上国を中心とした国々の過去の観測記録のデジタル化、古気候プロキシデータの体系的な収集、永続性・堅牢(けんろう)性のあるアーカイブシステムの構築等を今後強化していく必要があることも記載しています。あわせて、気候モデルのシミュレーション精度の向上とアンサンブル数の増大も必要であると述べています。
2つ目は地球環境の保全と利活用の両立への貢献です。(1)として持続的な海洋の利活用への貢献(2)として生態系の現状把握への貢献、(3)として森林の現状把握への貢献について記載しています。
3つ目は災害への備えと対応への貢献です。国民及び国際社会を災害から守るためには、地球観測と災害モデルの効果的連動、災害データと関連観測・予測データのアーカイブ、復旧・復興の監視等を重視すべきであると記載しています。その取組に当たっては、第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」を踏まえたものとすべきであるということも書いており、(1)が災害発生の予測・予知への貢献、(2)が発生時の緊急対応と復旧・復興への貢献をまとめています。
4つ目が食料及び農林水産物の安定的な確保への貢献です。農林水産業の実態、変化の把握、衛星データ等によります観測空白域の減少といったことを書いています。
5つ目が総合的な水資源管理の実現への貢献、6つ目がエネルギー及び鉱物資源の安定的な確保への貢献、7つ目が健康に暮らせる社会の実現への貢献、8つ目が科学の発展への貢献として、それぞれまとめています。
ここで事務局からの提案ですが、全体を見たときに5つ目の総合的な水資源管理の実現への貢献と、6つ目のエネルギー及び鉱物資源の安定的な確保への貢献については、まだ記述が薄いと思っています。この点も踏まえて御議論いただいて、その結果を加えた上でまとめられればと思っています。
【大垣部会長】  第4章についての説明がありましたが、更に加えて5の水資源、6のエネルギー及び鉱物資源について、追記すべき点があれば是非御意見を頂きたいということでありました。
【小池委員】  御指摘のとおりでして、5の水資源のところですが、はじめに「世界の水資源が安定的に供給され」とありますが、恐らくその前に洪水、渇水被害を軽減するということがあるのだと思います。それから、ここの中に水質や水環境の話が全く含まれておりませんので、これらを記述する必要があると思います。また、必要な地球観測ですが、治水・利水施設の管理から始まっていますが、恐らくやはり降水量から始まって流量、地下水位、土壌水分となって、それによる治水・利水施設の適切な管理というところへつなげるようした方がいいと思います。
【村岡委員】  地球環境の保全と利活用の両立への貢献について2つあります。まず(2)生態系の現状把握への貢献では、そもそもなぜ生態系及び生物多様性に関する観測が重要であるのかということを簡潔に記載すべきだと思います。その次に地球観測を実施する必要があるという文がありますが、そこで地球観測をフィールド調査や航空機、衛星など多様な観測を相互に連携させて実施する必要があることを強調する一文を入れられたらと思います。 次に、(3)森林の現状把握への貢献ですが、現状把握に加えて今後の変化の予測の精度向上に資する観測という趣旨の言葉もタイトルに加えるとともに、本文でもそのような文章を入れたらいいのではないかと考えています。具体的には、冒頭は「地球温暖化の進行を抑制するため、森林の現状を精緻(せいち)に把握するとともに、今後の気候変動や人間活動による森林機能の変化の予測の精度向上に資する観測を行うことが重要である」という文章にして、現在のモニタリングから将来何が起きるのかという知見を創出するという一連の流れを入れたらよろしいと思います。そのための具体的な観測として、例えば森林については二酸化炭素の吸収機能が非常に重要視されていますので、森林の二酸化炭素吸収機能の環境応答をきちんと調べるとともに、そこから地球システム、大気環境へのフィードバック機構の解明等に進めるための観測が必要であるということを強調したらいかがかと思います。さらに、そういった複合的な観測をローカルからグローバルまで広範囲に推進することが必要であるということも簡潔に加えたらいかがかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  御趣旨を踏まえて修正したいと思います。
【河野委員】  気候変動の予測精度の向上への貢献ですが、第3章の冒頭に観測体制や観測項目等の見直し、強化がうたわれておりますので、ここでも必要な地球観測網を維持するということを書かれるとよろしいかと思います。これだけ読みますと、アジア地区のデータのデジタル化、あるいはアーカイブシステムの構築などが今後大事になるというと取れますが、恐らく皆さん必要なものは維持していくということがまず基本だとお考えだと思いますので、そのように変えるとよいかと思います。
もう一つは更に細かいのですが、持続的な海洋の利活用への貢献についてです。「そのための国際協力の推進」と書いてありますがちょっと漠然としていますので、具体的な名前を入れるとよいかと思いす。例えば、「そのため、引き続きIOC、GEO、WCRPなどの場を通じた国際協力の推進が必要である」というように直してはどうでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  そのように修正させていただきたいと思います。
【佃委員】  総合的な水資源管理の実現への貢献ですが、私の意見としては、日本はある程度は進んでいるので、ターゲットとしては東南アジアなど今現在発展が急速に進んでいるところではないかと思います。東南アジア等では、水資源の不安定さを増長させるものとして、都市に人口が集中することや、過剰な地下水の揚水に伴う地盤沈下や海水・塩水の流入により農業用水が使えなくなることなどの課題がありますので、そのあたりを書いていただいた方が、水資源の管理が本当に必要で喫緊の課題であるというところがもう少し見えてくると思います。
もう一つは、エネルギー及び鉱物資源の安定的な確保への貢献についてです。今後は再生可能エネルギーの利用が進んで、化石燃料への依存度が低下すると書いてある文章についてはそのとおりですが、一方で、インド、中国等の新興国の既存のエネルギー需要も更に拡大していくであろうという見込みや、シェールガスを含めた非在来型の資源の開発も進んでいく見込み、既存のエネルギーと資源の枯渇に対応する形でCO2を地中に取り入れてそれを更に活用させる事業が今後10年で進んでいくと言う見込みを踏まえ、環境リスクを低減させるための地球観測が必要であるという内容があってもいいのではないかと思います。
そして、海底資源に加え、陸域において東南アジアを意識していくと、地熱ポテンシャルの評価や、我が国として特に重要なレアメタル、レアアースの資源開発も必要です。それらに当たっては環境、災害リスクの低減に資する地球観測も当然のように必要であるということを言及するといいと思います。
さらに、特にアジア地域では、今、国境付近で非常に小規模な資源開発が非合法に進められていたり、管理されていない資源開発が進んでいて、それに伴って、土砂が流れて洪水リスクの増加や、水銀等による健康リスクが生じたりしていますので、これらの監視が難しいところを、地球観測衛星によって監視することも重要ではないかと思います。これも国際貢献ということだと思いますので、そこを言及してはどうかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  御趣旨を踏まえここを膨らませるような記述にしたいと思います。
【寶委員】  第4章の冒頭に、「『8.科学の発展』が挙げられた」とありますが、この「挙げられた」の主語は誰でしょうか。これはこのレポートの中で挙げられたのでしょうか、あるいはどこかの組織が挙げたのでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  この部会の議論で挙げられたということです。
【寶委員】  そうすると、「挙げられた」というのは少し違和感がありますので、「抽出した」にするなど、表現を工夫してください。また、ここの1.~8.と、第3章の最後にある1)~7)が表現上見づらいと思います。
さらに、災害への備えと対応への貢献については分量的にもしっかり書いていただいて結構かと思いますが、災害モデルという言い方が読んでいる人にとって分かりづらいかもしれません。ここの災害モデルは、災害を解析・予測・報知するシステムなどと言い換えてはどうでしょうか。後ろの方で早期警戒システムなどが出ていますので、モデルだけではなくて、予測や報知をするシステムも含めておくという整理でいかがでしょうか。
自然現象や災害そのもののモデルについては、モデルの前にシミュレーションを付けたらどうかと思います。シミュレーションで解析したり予測したりしますが、自然現象や災害そのもののモデルという言葉が分かりにくいのではないかと思います。
発生時の緊急対応と復旧・復興への貢献では、被災者に対し情報提供することの重要性とありますが、復旧・復興に携わっている行政にも情報が提供されるといいと思いますので、「災害後の復旧・復興の状況などを行政や被災者に対し情報提供する」ということでいかがでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  防災のところの修正につきましては、そのように修正させていただきたいと思います。
第4章冒頭の「挙げられた」の部分ですが、ここは挙げたのはこの部会が主語ということですので、それがわかるように「抽出した」に修正したいと思います。
また、第4章冒頭の1.~8.と第3章最後の1)~7)の整理については検討します。
【大垣部会長】  今の1.~8.というのは、同じような記号を使っているので少し混乱がありますが、構造的には違うものだと思いますので、表現を少し変えた方がいいようですね。
【寶委員】  部会長がおっしゃるとおりだと思いますが、もし、第3章の最後と第4章の冒頭が関連するようであれば、それがわかるようにしてみるのも1つの方策かなと思います。
【佐藤委員】  3点あります。1つは人為的な地球環境の変動の把握への貢献のところに対流圏オゾンについては書いてありますが成層圏オゾンの記述がないので、是非これは加えていただきたいと思います。といいますのは、フロンの影響がなくなるのは2060年頃と言われていて、それまでは継続しているわけです。南極のオゾンホールは引き続き発生しておりますし、北極でも時に南極並みのオゾン層破壊が起こることが観測されています。ですので、その監視は引き続き必要であると思います。また、N20など注目されている新たなオゾン破壊物質もありますので、成層圏オゾンの監視に関しては入れていただきたいと思います。
2つ目に、人為的な地球環境の変動の把握への貢献に関して、地球温暖化に伴い雪氷圏の氷が溶けて海に流れ込むことで海面が上昇する問題がありますが、これが抜けていますので、入れた方がよろしいと思います。例えばグリーンランドの氷床が全部解けますと、地球上の海面が6メートル上昇すると言われていますし、南極の氷床が全部解けると60メートル上がると言われていて、国土が減るわけですので、その監視は非常に大事なのではないかと思います。
3つ目として、先ほど発言させていただいた機動的観測に関しては、災害への備えと対応への貢献の発生時の緊急対応と復旧・復興への貢献のところでも言及し、「今後は、広範囲の情報を同時に観測可能な衛星観測や、狭範囲であるが高解像度の機動的な観測等の観測体制の充実」という文言にしていただければよろしいのではないかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  そのように修正させていただきたいと思います。
【中島参事官】  大気研究者としてちょっと誤りがあるかなと思いました。短寿命気候汚染物質の中に黒色炭素とかメタンとか入っていますが、これは短寿命とは呼べませんので、先ほど佐藤委員から指摘があった成層圏オゾンを入れ、次に地球温暖化に関連する温室効果ガス(CO2、メタン、代替フロン等)、短寿命気候汚染物質(対流圏オゾン、NOx、SOx等)及びエアロゾル(黒色炭素、PM2.5等)とするとまとまるのではないかと思います。【大垣部会長】  ありがとうございます。
水資源のところで、たしか前の方で寶委員が御指摘になった地表面の観測というのも、この水資源で結構重要なのではないかと思いますので、発言を加えておきます。
ほかによろしいでしょうか。
【春日部会長代理】  健康に暮らせる社会の実現への貢献について、「公衆衛生分野では地表付近の状態の把握が必要であることから」に続く「地上観測網の整備や鉛直方向の分布」というのが、鉛直方向がどのくらいの高さまでを地表付近の状態として意味しているのか、また何の分布なのかが分かりにくい表現だと思います。
【西川地球観測推進専門官】  こちらの文章は、第2回の上田先生のプレゼンテーションを参考に事務局で作文させていただいたところです。上田先生、もしよろしければこの鉛直方向のイメージを教えていただければと思います。
【上田委員】  鉛直方向の分布について、私のプレゼンテーションでは大気汚染物質の分布について申し上げました。というのは、地球観測の視点から見ますと大気汚染物質の濃度というのは何キロも上空のものを指していたりすることもありますが、健康影響を見るときには地上レベル、せいぜい地上数10メートルぐらいまでの大気汚染物質の分布が必要ということで、大気汚染物質の鉛直分布の情報が必要になってきます。ここではやはり鉛直方向の分布ということだけでは分からないので、例えば大気汚染物質といった文言を加えてはどうかと思います。
【西川地球観測推進専門官】  ありがとうございました。
【上田委員】  同じく健康に暮らせる社会の実現への貢献です。第1段落ではいきなり大気汚染の把握や感染症の発生・伝播(でんぱ)過程の予測について書かれていますが、実際にはそういった具体的なものというよりは、少し広い範囲にした方がいいのではないかと思います。例えば、環境由来の健康リスクを低減するためにといった文言、そしてそのために健康に影響を与える環境因子、例えば大気質や水質の状況を把握する、それに基づいて対策を推進するといった表現が、第1段落に書かれているといいのではないかと思います。
【高村委員】  生態系に関しては、先ほど村岡委員が指摘された点に加えて、SDGsで生物多様性の損失を半分にするということが1つの目標になっていることをリファーしていただくのがよいのではないかと思います。
それから、先ほど内閣府の中島参事官から指摘がありました、短寿命気候汚染物質はこの3つではないという御趣旨の御発言……。
【中島参事官】  そうです。黒色炭素やPM2.5はエアロゾルに入るのではないかという趣旨です。
【高村委員】  実は私はここの文章に違和感を覚えませんでした。というのは、政策分野では、例えばUNEPを中心とした取組ではこの3つを特に主要な短寿命気候汚染物質として対策をとっています。ここの趣旨は、これらの物質を重視するということだと思いますので、その趣旨でいい文言の解決を見いだしていただければと思います。ただし、黒色炭素、メタン、対流圏オゾンの3つは外さないでください。
【中島参事官】  メタンはそういう意味で温室効果ガスの中に入れた方がよろしいのではないかという提案ですが。
【高村委員】  恐らくサイエンスとしては正しいと思うのですが、政策の重点としてはこの3つを短寿命気候汚染物質と分類して対策の重視をしているという側面もありまして、そこの折り合いをつけていただければと思います。
【大垣部会長】  そこは少し政策の方の使い方と整理して、分かるようにしておけばよろしいですね。それでよろしいですか。
【中島参事官】  はい。
【大垣部会長】  どうもありがとうございました。大変熱心な討論をいただき、ありがとうございました。
それでは、第5章に移りたいと思います。説明をお願いします。
【樋口環境科学技術推進官】  第5章は、共通的・基盤的な取組です。1つ目は観測データのアーカイブとデータの統合化・利活用の促進ということで、この下に(1)プラットフォームの構築、(2)オープンデータ化の推進、(3)データの利活用の促進、(4)過去の地球観測データの活用についてまとめています。
2つ目は分野間の連携、多様なステークホルダーの関与及び人材育成ということで、(1)社会と研究開発をつなぐ地球観測、(2)官民一体となった地球観測、(3)国民の理解増進、(4)市民参加型の地球観測の推進、(5)地球観測を担う人材の継続的な育成ということでまとめています。
3つ目は長期継続的な地球観測の実施で、(1)恒常的な地球観測体制の確立、(2)必要な観測項目の特定、(3)地理空間情報の整備ということでまとめています。
4つ目が地球観測による科学技術イノベーションの推進ということで、(1)地球観測・予測技術の高度化、(2)観測・予測データを活用した新産業等の創出への貢献、(3)データの公正性・透明性の確保、(4)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への貢献ということでまとめています。
5つ目が科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献ということで、(1)国際的な貢献の在り方の明確化、(2)地球規模課題の解決への貢献、(3)地域的な課題解決への貢献、(4)「GEO戦略計画」への対応及びGEOSSの発展への貢献ということでまとめております。
【大垣部会長】  ありがとうございました。
それでは、第5章に関しまして御意見がありましたらお願いしたいと思います。
【河野委員】  「GEO戦略計画」への対応ですが、こちらに書いてあるセンチネル・アジア、アジア水循環イニシアチブ、アジア太平洋地域生物多様性ネットワークは、全てアジアのことを記載しています。先ほどのお話では、アジアのみでなく、よりグローバルなことにも力を入れていくというのが方針だということでしたので、「このような活動を後押しするとともに、ブループラネットイニシアチブのような全球的な社会利益分野横断型の活動に積極的に参画し」というような文章を入れると、GEOSSの発展を目指していくということに、ローカルなものとグローバルなものの両面からつながっていくのではないかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  御指摘のとおりとさせていただきたいと思います。
【赤松委員】  官民一体となった地球観測に欧州のコペルニクス計画を書き込んでいただいたのは大変よろしいかと思いますが、恐らくコペルニクス計画と書いただけだとなかなか分からないと思いますので、少しこれに関する補足を書き込んだ方がよろしいかと思います。コペルニクス計画がなぜ進んでいるかというと、政策誘導と予算措置というものがしっかりとなされているというところだと思いますので、そのあたりがわかる文言を加えてはどうでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  そのような修正を試みたいと思います。
【赤松委員】  続けて、科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献のところです。いろいろな政府機関間の話はこの中に書き込まれているようですが、例えばファンドを活用した我が国のシステムのパッケージ輸出も書き込んでいく必要があるのではないでしょうか。これは参考資料3の中間取りまとめの中にも記載されております。具体的にはJICAや、世銀、アジア開銀などのファンドも活用しながら、我が国のシステムの海外への展開を戦略的に図っていく必要があるということも書き込む必要があると思います。
【樋口環境科学技術推進官】  その点につきましても、反映させたいと思います。
【小池委員】  データのアーカイブや統合化・利活用について非常によく書いていただきまして、ありがとうございます。10年前の推進戦略策定のとき、私はデータを担当していましたが、データのアーカイブや統合化・利活用をどのように盛り込むかで苦労して、ようやく3パラグラフを入れていただいたということがありました。そのときと比べると、随分隔世の感があります。
オープンデータ化の推進に関し、戦略的に非公開にするということは、私は非常に重要なテーマだと思っています。いかに公開しないデータというのを定義するかということが、データを公開し、オープン化していく上で極めて重要なところだと思いますが、現在の文案は書き方がストレート過ぎるような気がします。精神はこのとおりだと思いますが、非公開の戦略も考える必要があるとか、非公開を定義することによって公開をより促進するとか、ポジティブに受けとられる書き方の方がいいように思います。
もう一つ、科学技術外交のところにSATREPSがないのが残念です。我が国の科学技術外交の中で鍵となる戦略プログラムであり、今非常に伸びていると思います。そういうものに地球観測がどうコミットするかということも議論されておりますので、どこかにSATREPSに関わる記述が入るといいのではないでしょうか。
【大垣部会長】  事務局、よろしいですね。
【樋口環境科学技術推進官】  はい。
【若松委員】  プラットフォームの構築のところで、用語の確認をさせてください。地球環境情報プラットフォームを2020年度までに構築し、運用することとされていますとあるのと、そのあとに情報プラットフォームを国として整備しとある、この2つのプラットフォームは同じものですか、違うものですか。
【樋口環境科学技術推進官】  これは同じものを指しておりますので、あとに出る情報プラットフォームというのは地球環境情報プラットフォームと書いた方が明確だろうと思います。
【若松委員】  それで分かりました。結構です。ありがとうございます。
【大垣部会長】  では、そのように書き直すということで。
【寶委員】  過去の地球観測データの活用のところで、データソースがどこなのかということがよく分かりません。過去の観測データの蓄積が有効だと言うことですが、どういうところが持っている観測データのことを言っているのか明確化するために、国内外の観測機関、研究機関、研究グループ等からのデータ提供を促進する取組も必要であるといった文章にしてはどうでしょうか。国内の研究グループや研究機関、観測機関から文書になっているデータ等を吸い上げるとことも当然ですが、海外の機関やグループからも、提供できるのであれば提供してもらうとよいと思います。途上国では、データはあるがそれをアーカイブする力がないとか、デジタル化する予算がないとかいった課題もあるかと思いますので、そういうデータを取り寄せて、我が国がアーカイブしていくことも必要になるのではないかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  その点につきましても対応させていただきます。
【春日部会長代理】  これは小池先生にお尋ねした方がいいかと思います。どこに入れるべきかどうかも含めてお尋ねしたいのですが、これまでのこの部会の議論の中で挙がっていたWDSやCODATAとの連携のことが触れられていません。この実施方針の中で触れる必要があるかどうか、御専門の委員の御意見を頂ければと思います。
【小池委員】  是非含めた方がいいと思います。科学技術分野の地球観測に関するデータとして、WDSは非常に大きなソースになっておりますし、それをドライブする枠組みとしてCODATAがありますので、その連携について書き込むといいと思います。恐らく(3)のところかなと思います。
【春日部会長代理】  特にオープンデータと結び付けるということを特定して申し上げたわけではなのですが、国際的な連携などにつながっていくと思うので、入れるとすると(1)か(3)でしょうか。
【大垣部会長】  それでは、次の第6章に移ります。
【樋口環境科学技術推進官】  第6章は、統合された地球観測の推進体制・組織ということで、従来の推進戦略や、CSTIのレビューとかを踏まえて書いています。(1)は実施方針と実施計画ということで、この実施方針はこれまで推進戦略の下で策定してきた「実施方針」に代わるものとし、国内外の地球観測の動向や社会情勢の変化に対応して、概(おおむ)ね3年~5年程度を目安に、本部会が中心となって見直しを行うこと、推進戦略の下で毎年策定してきた「実施計画」については、本実施方針の下で、関係各府省・機関が引き続き毎年策定することを記載しています。そして、本部会は、必要に応じ、本実施方針とそれに基づく事業の進捗状況についてCSTIに報告を行うことを記載しています。
(2)は本部会を中心とした地球観測の推進体制です。本部会は、推進戦略に基づき、今後も地球観測の総合的な推進組織としての役割を担っていきます。そのため、本部会は、本実施方針に基づき、観測から課題解決に至る取組を総合的に俯瞰(ふかん)しその道筋を明示しつつ、CSTI及び関係府省庁との連携を強化するとともに、産業・市民生活への貢献、観測データの公開の在り方などを議論していくこととしています。その際、後述する関係府省庁連絡会等も積極的に活用するなど、適切な枠組みの構築と役割分担を検討することが必要であると記述しています。
(3)は関係府省庁・組織の連携です。関係府省庁において取り組まれている地球観測関連施策の現状や今後の施策の展望等について情報を共有し、意見を交換することで、より効果的・効率的な計画の策定や施策の展開ができると考えられます。そのために、CSTI事務局と本部会事務局が共同で地球観測の推進及び利用に関する関係府省庁連絡会を設置し、関係府省庁のニーズに応じた計画等の策定を行うことで、本実施方針の目的達成のために必要な連携を図ることとしています。
また、地球温暖化分野に関しては、既に推進戦略の下に地球観測連携拠点を設置していますが、他の分野に関しても必要に応じ推進組織を設置し、関係省庁、関係機関による国内外の連携を一層強化するということを書いています。
そして、申し訳ありません、最初に説明をすべきことが1点ありました。本実施方針のタイトルですが、骨子案には「GEO戦略計画の実施に向けた我が国の地球観測の実施方針」と書いていました。これを実施方針案にまとめていく中で改めて検討したところ、この実施方針は必ずしもGEO戦略計画の実施だけを目的としていることにはなっていないのではないかと考えました。一方で、推進戦略に基づいて地球観測の実施方針を作ることが明確に決められており、地球観測の実施方針という名前自体は変えられないと思いますが、これまで毎年度作ってきた地球観測の実施方針との差別化を図るということも意識して、本実施方針の名前としては「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」というタイトルにしてはどうかということを事務局から提案させていただきます。
【大垣部会長】  第6章と、それから、改めて本実施方針のタイトルの説明がありました。何か御質問、御意見はございますか。
【小池委員】  この部会の位置付けに関し、推進戦略ではこの部会を府省連携で設置するということが書かれていたと思いますが、それを踏襲するということは特に記述しなくてよろしいのかというのが1点目です。
2点目は、「CSTI及び関係府省との連携を強化するとともに、産業・市民生活への貢献、観測データの公開の在り方などを議論し」の部分です。これは先ほど出たオープンデータ化のところの議論だと思います。この10年の大きなアクティビティーとして、各府省の地球観測をできるだけリスト化して統合化すること、また、各府省の地球観測データのメタデータを相互に見られるようにすることがあり、この部会が中心になってそのアクティビティーを進め、それをDIASが担ってきました。その観点は具体的に書いた方がよろしいのではないかと思います。そこで、「CSTI及び関係府省との連携を強化して、地球観測とそのデータの統合的利用を推進するとともに」と、具体的に入れてはいかがかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  この部会の位置付けを改めて書く必要があるかどうかということにつきましては、推進戦略自体はこれからも有効であり、推進戦略の下でこの実施方針があるという位置付けになっていますので、今後もそういう役割を担っていくということを書いているというのがここのまとめ方でます。
もう一点の地球観測のデータ統合のところにつきましては、記述を追加するということで考えたいと思います。
【赤松委員】  質問です。関係府省庁の連絡会議とこの部会の関係というはどうなるのでしょうか。
【西川地球観測推進専門官】  まず、地球温暖化分野に関する地球観測連携拠点の設置は、推進戦略に基づいて本部会が認めているところであります。一方で、関係府省庁の連絡会は、本部会で承認いただいたものではありませんが、本部会の第1回以降の議論の中で関係府省庁の連絡会が必要だという御指摘を頂いていますので、その御意見を踏まえる形で文科省と内閣府とが相談の上、設置させていただきました。
【赤松委員】  その連絡会に、この部会の委員が同席しながら議論を進めるということは可能でしょうか。
【西川地球観測推進専門官】  地球観測を我が国で一体的にやっていくという趣旨としては十分可能性があると思いますし、是非そういうことがあれば御協力いただきたいと思います。
【赤松委員】  分かりました。今回のこの議論の中で社会実装について議論してきていますが、ユーザーサイドと地球観測サイドのメンバー、多様なステークホルダーが一堂に会する機会が社会実装を進めていく上で非常に重要だと思いますので、そういった機会を是非設けていただければと思います。
【西川地球観測推進専門官】  ありがとうございます。
【佃委員】  今の関係府省庁との連携というのは、言えば簡単のようですけれども、通常は非常に難しいと思います。私の経験でも、関係省庁はそれぞれの地球観測という立場で、各省庁の目的のためにいろいろなアクティビティーをやられています。そういった活動を地球観測という立場で統合化、あるいは把握できる体制があってしかるべきだと思います。この文章の中でそういうことを推進すると言っていただけると、我々自身もやりやすいのではないでしょうか。それぞれの省庁はそれぞれの目的のためにやられているところですが、地球観測という軸の中では情報を統合化できるようにすべきという趣旨で一言書かれると、いいのではないでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  現在それぞれの省庁でそれぞれの目的でやっているものを、地球観測ということで統一的に見ていくということで設置するのが関係府省庁連絡会だと思いますので、そこでの連携のところについてはもう少し記述を見直したいと思います。
【寶委員】  「観測データの公開のあり方などを議論していく」という終わり方ですが、議論していくだけでは何かちょっと物足りないような気がしますので、議論し、その結果を適時提言していくといった言葉を入れてはどうでしょうか。
また、「役割分担を検討することが必要である」というところも、役割分担を明確にすることが必要であるとか、役割分担を明らかにするとか、何か検討することが必要というよりはもう少し進んだ段階を書いてはどうかと思います。
【樋口環境科学技術推進官】  御指摘の点、修正したいと思います。
【大垣部会長】  ほかにはいかがでしょうか。
最後ですから全体を通じて特に御発言があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
本日の議論を踏まえ、事務局において本文の修正をお願いします。最終的な決定に関しましては、部会長である私と事務局と相談しながら決めさせていただくということでよろしいでしょうか。
(特段異議ありの発言なし。)
それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、その他として、事務局から何かありますか。
【西川地球観測推進専門官】  本日は御議論、ありがとうございました。
本日の議事録は、後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りいたします。修正等がありましたらその際に御指摘ください。最終的には文部科学省のウェブページに掲載することで公表させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次回、第5回の部会の日程につきましては今後調整させていただきます。現在のところ、GEOの本会合が終わりました後、年末から年明け頃の開催を予定しております。
【河野委員】  最後に質問ですが、よろしいですか。
【大垣部会長】  どうぞ。
【河野委員】  今のお話ですと次の開催は、GEOの閣僚級会合の後とのことですが、GEOに、特に閣僚級会合に何をどのようにインプットするのか、日本としてはどういうプレゼンスを示すのかについて議論する場が全くないように思います。推進戦略でGEOとGEOSSというのが我が国地球観測の推進戦略の要と考えられているのであれば、GEOで我が国が何をインプットしてどういう立場をとり、各国とどういう情報を交換・共有するか、という類いの話を議論しないと、この部会の委員は閣僚級会合がありましたという報告を次回の部会で受けるだけで、こちらからインプットする場がないということになります。我が国の地球観測の実施方針は決めたけれども、その後の実施は余り考えられていないような気がしますが、いかがでしょうか。
【樋口環境科学技術推進官】  GEOの戦略計画の作成に当たっては、有識者の先生方の意見も聞きながら関係省庁と相談して文科省が対応しています。地球観測推進部会に対しては、次回、閣僚級会合が終わったところでその御報告をさせてもらおうと思っていたところです。
【河野委員】  閣僚級の会合であるならば、議題に対する我が国の対処方針が決められているのではないかと想像しますが、その対処方針については、部会の知らない有識者の方が決めておられて、それなりにオーサライゼーションを受けて、その結果だけがここで報告されるということですか。
【樋口環境科学技術推進官】  基本的には対処方針は関係機関や有識者の先生方の意見を聞いて決めるということだと思います。例えばこの地球観測の実施方針でも様々な議論を頂いたと思います。日本としてはどういうことをやっていくべきか、この御議論も是非とも生かしていきたいと思っております。
【河野委員】  しつこいですが、我が国の地球観測の実施方針は地球観測推進部会のクレジットで出ていますので、この部会で議論された上でそれなりに合意されたものが出ていったものだと思います。今回のこの実施方針も同じプロセスを経ていますけれども、これをもってGEOの閣僚級会合で一体何をするのかは、環境エネルギー課の方で有識者の先生方を選んで、その方々に聞いて対応をとっていらっしゃるということですね。それはこの部会を踏まえているけれどもその確認行為はなくて、信じてくださいということですね。
【樋口環境科学技術推進官】  これまでのGEOへの対応においても、この部会で全てを議論していたということではなかったと思います。
【河野委員】  この部会の下にGEOへの対応を包括的に議論するGEOSS作業部会を設けて、そこで議論していたはずです。今の有識者からの意見聴取では、10年実施計画に何をインプットするかに限定しているので、確かに小池先生からGEOへのインプットがあるように見えますが、GEOが今どうなっていて、何がどう変わりつつあって、それに対して我が国はどういう態度をとって、これからどういうプレンゼンスを示していくかというような包括的な話は一切ないですよね。
【樋口環境科学技術推進官】  GEOに今度対応していくに当たって、どういう形でその意見をまとめて対応していくかということについては、こちらの方で少し検討させていただきたいと思います。
【甲斐沼委員】  それに関してちょっと、よろしいですか。今の御発言と関連するかと思うのですが、今こうやって今後10年の我が国の地球観測の実施方針ができたわけですが、これについて、日本の方針としてどうなのかというものを、文部科学省のホームページなどに英文で公表される予定はあるのでしょうか。というのは、他の国を見ると結構英語で発信されているので、アジアのほかの国々の方も割と受け入れられやすいらしいのですが、日本の場合はほとんどが日本語でなかなか情報が伝わらないと思います。今回、アジアに加えてアフリカや南米も加え、いろいろな支援策も考えていくというような文章があります。私どもは今まで温暖化対策計画の立案の手法を各国の方が使えるような支援をアジアで行ってきました。最近アメリカやヨーロッパが非常に頑張ってアジアの支援を始めている中で、我々の成果をアピールする力の不足を感じているところで、非常にいい内容の文書ができたと思っていますので、これを是非国際的にホームページ等で発信していけたらと思いました。
【樋口環境科学技術推進官】  ちょっと時間は掛かるかもしれませんけれども、そういう国際的な発信の工夫をしていきたいと思います。
【大垣部会長】  英文化は、時間は掛かるかも分からないけれどもしようと努力するということですね。
【樋口環境科学技術推進官】  全文になるか、概要になるかはわかりませんが。
【甲斐沼委員】  多分概要を英語で書いていただくと、重要な部分がここだというのが分かるかと思います。
【大垣部会長】  英文のオフィシャルのものを出すのは時間が掛かるから仮訳というのでよく出しますけれども、そういうような取扱いでも出ていった方がいいだろうということかと思いますが。
それから、河野委員からのGEOへのインプットというのは、要するに文科省が事務局として受けて、それを行政機関としてGEOへの対処方針に反映するという理解ですか。
【樋口環境科学技術推進官】  基本的な構造としては政府間会合なので政府で対応することになっていまして、その取りまとめが文科省になっています。これについては関係省庁と、関係する専門家の意見も聞きながら、それをまとめてGEOに対して意見を申し上げてきているというのがこれまでの対応です。
【大垣部会長】  河野委員、よろしいでしょうか。
【河野委員】  そこは理解しているつもりですけれども、今まで議論していた場がなくなり、我々はただ文科省から案内が来なければそれまでで、インプットのしようもないという状況が続いていくのではないかということを強く懸念しております。私が出ているほかの政府系の会議では、必ず国内の意見を集約するためのプロセスが存在して、それを踏まえて担当の課なりが対処方針を作っているのですが、この地球観測部会の位置づけが高い割に、対処方針についての国内のインプットの集約がなされる仕組みがなくなってしまったということを心配しているところです。もしそういうものがなければおっしゃっている構造になるということは当然のことだと思いますが、それでいいのですかというのが、ここにいらっしゃる皆さんと担当課への質問の趣旨です。
【大垣部会長】  では、そういう質問が出たということを少し検討していただくということでよろしいですか。
【樋口環境科学技術推進官】  今度どのように進めていくかについては考えてみたいと思います。
【大垣部会長】  それでは、これをもちまして地球観測推進部会の第4回会合を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

── 了 ──

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