第5期地球観測推進部会(第8回) 議事録

1.日時

平成26年12月10日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1 特別会議室

3.議題

  1. GEOSS新10年実施計画の策定に向けた検討状況について
  2. 中間取りまとめに向けた検討について
  3. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、大垣部会長代理、甲斐沼委員、杉本委員、寶委員、瀧澤委員、佃委員、藤谷委員、堀川委員、安岡委員、和気委員、渡邉委員

文部科学省

田中研究開発局長(途中退席)、原環境エネルギー課長、木下環境科学技術推進官、西川地球観測推進専門官

5.議事録

【関係省庁】 岩崎内閣府参事官

 

【小池(勲)部会長】
 少し早いですけれども、皆さんおそろいになりましたので、ただいまより、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の第5期地球観測推進部会の第8回会合を開催したいと思います。本日は、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 事務局から、出席者の確認をお願いいたします。

【西川地球観測推進専門官】
 はい。本日御出席の委員の数が12名と過半数11名に達しておりますので、部会は成立となります。なお、本部会は部会運営規則により公開とさせていただきます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、事務局の文部科学省環境エネルギー課に人事異動があり、課長が交代されたとのことですので、新たに着任された原課長より一言御挨拶をよろしくお願いいたします。

【原環境エネルギー課長】
 先月の25日付けで前任の松尾から交代いたしまして、新しく環境エネルギー課長を拝命いたしました原でございます。本部会におきましては、お忙しい中、委員の先生方におかれましては審議に御参画いただきまして、どうもありがとうございます。
 私は前職では名古屋大学に1年4か月ほど出向してございまして、大学の現場の方から、この科学技術行政について勉強させていただく機会を得たところでございます。
 この環境エネルギー分野に携わるのは今回初めての仕事でございますので、委員の先生方からの御指導を頂きながら、この新しいGEOSSの計画を受けた我が国の戦略が有効に機能するよう積極的に努めていきたいと考えてございます。
 いろいろな面で御指導いただきたいと考えてございますので、是非よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。本日、お手元に議事次第にありますように3件の議題を予定しております。また、終了時刻は17時を予定しております。
 初めの議題に入ります。議題1は地球観測における政府間会合(GEO)本会合(11月開催)の結果についてです。先月の11月にジュネーブで開催されましたGEOの本会合に文部科学省から参加されたということですので、その結果の報告を事務局からお願いいたします。

【木下環境科学技術推進官】
 それでは資料1に基づきまして、今のGEOSSの検討状況につきまして、まず御報告をさせていただきたいと思います。パワーポイントの資料、横の表を御覧ください。第11回の本会合の結果と、その後の検討会の検討状況報告とさせていただいております。
 まずおめくりいただきまして、最初にGEOの本会合の結果でございます。3ページ目でございますけれども、先月、11月13日と14日の2日間、ジュネーブで開催をいたしました。参加国は45か国、そのほか国際機関というのが出席者でございます。
 どのような議論があったかと申し上げますと、それが4ページ目以降です。幾つか中心的な議題がございましたけれども、まず中心になりましたのが次の新10年実施計画の骨子について、有識者による作業部会、IPWGというところがまとめてきた報告書案に対して各国の見解を述べたというのが、まず1点目、大きな主要論点の1つです。
 この各国から2件、どのようなものがあったか。全般的に申し上げますと、やはり次回閣僚級会合というのは大臣から承認を受ける場になりますので、この新しい10年計画は、より戦略的な文書にすべきであるという指摘が各国から多くございました。
 我が国からは以下の点を中心に発言をしておりまして、大臣の採択にふさわしい高い理念を打ち出すべきと。そのためにも、またステークホルダーの要請をきちっと考慮した計画とすべきという発言をいたしました。また、2つ目の横棒ですけれども、災害リスク削減における地球観測技術の有効性について世界的な認識を高めてまいりたいという発言もしております。
 そのほかの点といたしましては、IPWGから報告がありましたのは、例えばGEOが持つべき機能を幾つかアットランダムに紹介がありました。そこで、そのAdvocate、Engage、Deliverという観点でGEOをどう今後盛り立てていくかと。地球観測の価値を紹介する、これがAdvocate。それからステークホルダーとの連携をする、それがEngage。そしてベストプラクティスを共有した新しい技術を取り込んでいくのがDeliverという観点で紹介があったわけですけれども、全体では30ぐらいの項目が紹介されていたこともありますので、優先付けが必要ですねという指摘が多く出たところです。
 それから、社会利益分野という点。GEOは、水とか、気候とか、農業といった9つの分野を特定して観測データを提供していこうという取り組みを10年続けておりましたけれども、今後は、例えばそういった分野間の横断的アプローチであるとか、外部からの要請だとか、それから2015年以降の開発アジェンダ、SDGと呼ばれたようなものの社会的課題を考慮して改革すべきではないかという指摘がありました。
 また、ガバナンスの点では参加機関、先ほど御紹介した国際機関のようなところの参画をどう促していくのかというのも大きな論点となりました。議決権は与えないものの、どう、そういった国際機関に、GEOの枠組みの中で活躍をしてもらうかというのが今後議論になりそうです。これが、まず10年実施計画についての簡単な御報告です。
 それからページをめくっていただきまして6ページ目、7ページ目につきましては、GEOがこの10年で掲げておりましたデータ共有について、それを促進すべきだということでGEOは取り組んでまいりましたけれども、それを更に一歩進めていくために、どういう議論ができるのかという検討状況の報告がありました。
 まず1つ目が、6ページ目のデータ共有原則ということです。これは既に、この6ページ目の下にありますように大きな原則、3点ほどございます。データ共有原則としてあるわけですけれども、これを更に一歩進めたいと。この10年間でオープンガバメントという動きが非常に進んでまいりましたし、インターネット等の発展もすさまじいものがあります。こういった状況を勘案して、更にデータの公開を進めるべきだということで提案がありました。
 作業部会、DSWGというところが検討しているのですけれども、そこからの報告としては、このGEOSSで共有するデータをオープンデータとして、無償かつ無制限に共有することをデフォルトにして。もちろん例外はあるわけなので、それができない場合は、実費を超えない費用負担で提供するのを原則として新たに取り入れてはどうかという提案がありました。これにつきましては今後、次回の本会合、来年の11月を予定しておりますけれども、それを目指して検討を深めていくということになっております。
 また、データ共有原則をより実効的なものにするために、データ管理原則という新しい原則についても提案がありました。それが7ページ目でございます。
 そのデータの保管の仕方を、フォーマットをそろえていくことによって、よりデータの共有が進むのではないかということで提案があったものです。
 データのアクセスというのは、例えば検索機能が付けてインターネットで検索できるようにすることとか、アクセスのしやすさ、それもインターネットですね。それからフォーマットは、特定のソフトでないと解析できないということではなく、なるべく汎用性のあるフォーマットにするとか、品質管理ということで、きちっと、これがバージョン幾つで、いつ検証されたものであると、そういった情報を付加するとか、保全という場合ですと、万が一のためのときにバックアップをとっておくとか、そういった形で運用することで、このデータ共有が進むのではないかということで提案がありました。
 これにつきましても今後議論を進めて、次回の閣僚級会合に向けて検討を継続するとなっております。
 ページをおめくりいただきまして8ページ目ですけれども、こういった議論を踏まえまして、今後検討すべき課題として5つの課題が挙げられました。GEOの主要な意義とあるべき姿というのを、これまでの議論を踏まえて、もう一度整理すべきではないかと。それから参加機関、先ほど在り方を紹介させていただきましたけどメンバーシップの在り方、それからGEOの監督原則。これは本会合があって執行委員会があるという今の階層をどう機能的にしていくかという話。そして社会利益分野の再検討の話。そして目的主導のアプローチの導入ということで、これらを勘案して検討を具体化すべきということで会議は終了しております。
 9ページ目は、その他御報告ということです。
 ページをめくっていただきまして、じゃあ11ページ目以降は、その後、日本国内どういう検討をさせていただいたかという議論の御紹介です。今週、12月9日から3日間、ワシントンにおいて、この新10年実施計画を検討する作業グループの会合が開かれております。この作業グループの検討に資するためにGEOSS検討会というのを別途設けておりますけれども、そこでの議論の状況について簡単に御紹介をさせていただきます。
 12月4日にGEOSS検討会を開催いたしました。そこでは、先ほどGEOの本会合で5つの課題と挙げられたうちの2点について特に議論をいたしました。1つ目はGEOの主要な意義とあるべき姿、これなのだというところで議論をいたしました。議論の結果4点、GEOの主要な意義としてあるのではないかと指摘を頂いています。
 1つは人類の共通課題。すいません、「化」が要りません。共通課題に対する意思決定支援。次がユーザーの意思決定に必要な情報を創出する。それからコミュニティを横断した情報共有、共同活動ができる場であるとか機能の提供。そしてデータの公開・共有を促す原動力と。これがGEOの意義ではないかということでリストアップされております。
 それからGEOのあるべき姿といたしましては、今後のGEOは課題解決に向けた取組をどう生み育てていくかということで、インキュベータという役目を果たすのではないかと。今までGEOがシステム・オブ・システムズということで、地球観測のシステムを相互につなげてデータを共有していくことを旗印に掲げておったわけですけれども、更に一歩進んで課題解決にどう貢献していくのか、それがGEOの役目ではないのかという指摘を頂いたところです。
 それから、めくっていただきまして12ページ目でございますけれども、社会利益分野。ここに、このページの真ん中、下のところに9分野挙げてございますけれども、これの再検討に対してどう考えるべきかを議論いたしました。大きく分けますと2点、御指摘を頂いています。
 1つ目は、先ほどの本会合の指摘でもありましたとおり、GEOの役割というのは関連コミュニティの横通しを図るところ、そこがGEOの役割ではないかと。この9分野ですと、例えば災害であるとか、健康であるとか、農業、気候というのは、それぞれの国際機関が既にある中で、そこを横通しして、その単独の国際機関ではできないような解決策を提示していくのがGEOの役割であるのではないかという指摘がありました。
 例示としては、例えば海洋という問題を取り組んで、分野横断的に取り組む。ここでは農業、気候、生態系、生物多様性という話ですけれども。それから、水に関連してエネルギーとか農業。例えば水力発電に使うのか、農業用水として使うのか、工業用水として使うのかというトータルパッケージで水の問題を解決しようという、Water-Food-Energy Nexusとい動きもあると聞いておりますので、まさにそういったところにGEOはフォーカスをすべきではないのかという指摘を頂きました。
 そして2点目としては、更に一歩進んで、この9分野ではなく、解決すべき社会課題別に、この9分野を再編集約することも一案ではないかという提案もありました。ただ、ここにつきましては9分野、既にあると。これも随分、10年前、難産の交渉の結果合意をされた9分野ということでしたので、9分野は変えずに新たな対応すべき課題をセットするのも一案ではないかという御意見もありました。
 駆け足でしたが、前回からこれまでの、今日までの間のGEOSSの検討につきましては以上です。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、ここから少し時間をとって、今御報告いただいたことについて質疑があれば受けたいと思いますけれども、いかがでしょうか。この中でデータ公開の原則その他、これを国内でやる場合に、これが本当にスムーズにいくかどうか、いろいろ問題があると思いますけれども、コメント、御意見をよろしくお願いいたします。
 はい、どうぞ。

【堀川委員】
 GEOの方でこういう会議が行われたことに関して、情報を頂きありがとうございました。1つ教えていただきたいのは、二、三年前ですか、リオ+20があって、グリーン経済と貧困撲滅の話があったと思うのですが、その後、オープン・ワーキング・グループがニューヨークの方で開催され、地球社会の抱える問題の解決に向けたテーマが議論されていて、宇宙からの地球観測もいろいろ影響するだろうと思うのですけれども、今回のGEOの会議で、それに対してどうするかという議論はなかったのでしょうかというのが1点。
 それから今、小池部会長からお話があったデータ公開の話については、私も地球観測衛星の関連で世界各国の地球観測衛星を取り扱っているいろいろな機関の話を過去よく聞いているのですが、基本的に、各国の政府が作っているような衛星に関して、商業目的の衛星は、それは商業機関が決める話だと思うのですけれども、国が持っている衛星に関しては、基本的にデータはオープンで、無償で公開できるようにするべきだと思います。私は以前からそう思っているのですけれども、日本の国内的ないろいろな事情があって、これまでそういうふうになっていないと思うのですけれども、やはり世界からかなり、その点については、日本が特異な立場に立っているような話を非常によく聞きます。したがってやはりデータの公開は、特にこういう地球社会の我々の生活に密着した、様々な研究に対しては、当然そういう研究者に対して、あるいは実際にそれが実用的に使われている分野であっても、やっぱり国がそういう主体を持っている衛星に関しては、社会貢献できるようにオープンであるべきじゃないかと思います。是非この地球観測部会でも、そういう方向で考えていただければと思います。

【小池(勲)部会長】
 事務局から何かコメントありますか。

【木下環境科学技術推進官】
 今御指摘いただきました2点について若干、事務局の方から御報告させていただきます。
 最初のSDG、持続可能な開発に関する点につきましては、資料2-1を少しごらんいただけますでしょうか。これの5ページ目なのですけれども、ここに今御指摘のあった点を反映させていただいております。
 今後、地球観測の議論をする上で考慮に入れなければいけないという観点として、やはり、この持続可能な開発目標は欠かせないだろうと理解をしております。この1年、日本を中心に、こういった国際的な課題に対応することがGEOの役割ではないかというのを繰り返し言っていたこともありまして、今はそれがGEOの中でも随分定着してまいりました。そういうことで、先ほど御紹介したように指摘も上がっているというところです。ただ、具体的にどう貢献できるかというのは、まだはっきりしていなくて、まさにこれから議論しなければいけないのだろうと考えております。これが1点目です。

【堀川委員】
 追加で、ちょっといいですか。今のこのオープン・ワーキング・グループのレポートで17目標というのが書いてありますけれども、たしかに17項目あったと思うのですが、それぞれに関して地球観測の、科学技術によって、それがどの程度解決できるか、評価するとともに、少し具体的にチェックをしていく作業を、どこの場でどういうふうにやっていくのが一番適切か、当然いろいろな組織でやられるのだろうと思うのですけれども、それを検討、確認して、集約していくというのはすごく大事かなと思うのです。

【木下環境科学技術推進官】
 2つ目のコメントにつきましては、そのデータの公開の重要性、それから社会に貢献できる点ということで、我が国をはじめとして各国から非常に、それは望ましいことではないかという指摘が上がりました。ただ、クロアチアと日本だけは、それにプラスして、少し慎重であるべきという点も付け加えております。
 それは、やはり地球観測が対象にするのは人工衛星のデータだけではなくて、地道にローカルに集めてきた地域の情報もあると。それが仮に途上国支援とか、途上国との協力でやられていたような場合は、相手国のデータになるので非常に扱いがセンシティブで注意が必要であろうということ。それから、例えば生物多様性の情報のようにレッド、赤い絶滅危惧種とされているような生物に対する情報なども、やはり、これはオープンにできないものもあるので、そのメリハリをどう付けていくのかを、この1年考えるべきではないかというのを、これは議場外ですけれども、この検討している関係者に対して、慎重であるべきと主張した背景として伝えたところです。

【安岡委員】
 2点質問があります。
 1点は、社会的な課題別に再編集するというのが最後に載っているのですが、もともとSBAというのはソシエタル・ベネフィット・エリアと定義されていて、そのソシエタル・ベネフィット、これ、社会的な利益だと思います。その社会的利益と社会的課題の関係について、ある種の定義が行われた上で課題別に再編集するということになったのか。かなりオーバーラップしているような気がしています。もともとこのSBAを決めたときというのは、ある種、世界が持っている課題を念頭に置いて、このSBAを決めてきたような気がするのですけど。これは私の勘違いかもしれませんが。その定義の違いというのか、具体的には何をするのかというのを教えていただきたいのが1点目です。
 それからもう1点は、分野間連携に力に入れるべしということで議論がされたと伺っています。国内の委員会でもそうですし、国際的な議論でもそうだと伺っているのですが、その分野間連携の前に個別の課題、例えば、9つのSBAの領域で、これという出力が既に出ていた上で、これを更に連携させましょうという議論になっているのか。要するに、その9つの分野はもう完成したと。完成したというのかな。ある程度データの公開が、もうきちっと国際的になされているという前提の下で、その分野間連携が議論されているのか。そこをお伺いしたいと思います。

【木下環境科学技術推進官】
 まず1点目につきましては、具体的なところまでは詰まっていないと。当然、これは念頭に置いていたのが、先生がおっしゃったように、この9分野で社会に貢献するというのを念頭に9分野が設定されたわけですけれども、それを、じゃあ再編して課題別にアレンジすることがどういう意味を持っているのかというところ、深くまでは実は議論がなされておりません。あくまでも、国際的な課題がこの10年で変わってきたのではないか、それに対応する動きが必要なのではないかという観点での指摘だったかと理解をしています。
 それから2点目につきましては、こちらにつきましても、個別の分野の取組はこれで完成したとは誰も思っていないというのが現状です。ただ、次のステップとして、当然個別の中の、例えばこの水のコミュニティの中で、衛星のコミュニティと地上観測のコミュニティとか、関連する分野の気候コミュニティの人とかが一緒になって議論ができるような場にはなってきたけど、まだ十分ではないよねというのが前回の国内でやった検討会での御意見でした。それを、ただ、そこでクローズをしてしまうと、GEOの中でも縦割りの分野が出てきてしまって、その課題対応別に取り組んでいこうと言っていたことの理念が失われかねないのではないのかという問題意識があって、課題は常に変遷をしているので、適宜そういう分野横断型の取組も取り組むべきではないかという指摘があったと理解をしております。

【佃委員】
 先ほど地球観測衛星に関しては、やはり日本の立場が不鮮明なような気がしていてですね。地球観測衛星というのは、やっぱり、いろいろな目的に、いろいろな分野に利用できる基盤的情報だと思うのですね。それに日本が提供できる立場にあったりするので、それを本当に共有化、あるいはアーカイブされたものをフリーで使える環境、検索システムも含めて使える環境を作ってあげて世界に供給するということをするために、やっぱりお金が掛かる、費用を発生させるのか、フリーなのか、フリー・オープンでするのかというところは、その辺のポリシーが必ずしも明確じゃないような気がするのですね。
 我々のサイエンスのコミュニティは皆さん、多分フリー・アンド・オープンでした方が、より利用者も増えるし、いろいろなレベル、発展途上国も含めて利用してもらえるのではないかというところがあって、我々の経済省関係のアスター衛星も含めて、フリーでできる環境をしてくれないかというのは常々言っているのですけれども、作るときの事情なり、やっぱり対価をもらうべきだという考え方があったりして、それが必ずしもうまくいっていないと思うのですけど。それは、やっぱり、こういう地球観測のコミュニティ、この委員会も含めて、その目的のために非常に重要なので、そうすべきではないかというぐらいの提言はしてもいいのではないかとは思っています。それは私の個人的な意見。
 それともう1点は、ちょっと今と違いますけれども、そういったデータを使って、いろいろな社会的判断につなげていこうとすると、やはり、発展途上国を含め、そのデシジョン・メーキングにつなげるプロセス。それがサイエンティストであったり、あるいは政策決定者であったりという人材育成は非常に重要だと思うのですね。その人材育成の議論は、ここでは特に、ここで扱うことではなくてということだったのでしょうかということ。

【木下環境科学技術推進官】
 2点目につきまして御質問、回答させていただきます。
 ちょっと定かではないのですけど、GEOの中では10年実施計画の中に人材育成って入っていなかったです。まだ、この10年何を、大目標を議論しているところでございましたので、なかなか人材育成について議論がなされていなかったのだと思いますけれども、当然このデータを社会的に有効活用していくためには、それを担う人材の育成は必要だろうと事務局としては理解をしているところです。

【甲斐沼委員】
 先ほどの御意見と重複しますが、この無償かつ無制限に共有するというデータの共有のことについて教えてください。これまで、もちろんいろいろなデータで、GOSATのデータとか、先ほどのローカルなデータとかを取り扱ってこられましたが、どの程度、これまで無償で無制限に提供してこられたのか、その点について教えてください。これまでもいろいろなデータのリストを見せていただいたのですが、その中で、無償で無制限に提供するというのが難しかった事例があるのでしょうか。その場合、どういうところがネックになっていて、もし提供するのであれば、どのぐらいの費用が掛かるのかとことは検討されているのかどうか教えてください。
 具体的には、GOSATのデータは、かなり一般的に誰でも使えるように、提供できるようになっているのかということを教えていただきたいのと、もう1点、最後のページなのですけれども。これも先ほど議論にはのっていたことなのですが、この9つの分野で、その中でWater-Food-Energy Nexusと、もう1個、Blue Planet Initiativeというのが黄色とブルーのところで連携されているのですけれども、例えば気候変動の分野では、今一番問題というか、中心的な課題となっているのが、このエネルギーとウォーターとフードのネクサスの話です。この気候変動のBlue Planet Initiativeの中には、水とかエネルギーとかいうのは横につながっていないのですけど、なぜつながっていないのか、この点について教えてください。あるいは気候変動課題の中で、気候とエネルギー、水、農業を一緒に取り扱うのか、又は別の課題の検討するグループができるのか。分野横断的なところを検討するときには、どういうステップでされているのか、教えていただければ有り難いです。

【木下環境科学技術推進官】
 それでは1点目、データにつきまして、GOSAT衛星の個別の話、基本的にはオープンになっていると理解はしているのですが、確実ではないので、追って確認をして御連絡をさせていただきたいと思います。基本的には今、政府もオープンガバメント・ポリシーというのをとっていますので、そういう方向で各機関とも進められているとは理解をしているところです。
 それから2点目御指摘いただきました、この分野間連携につきましては、例えばこの分野一つ一つかな、ある意味、ある種のプロジェクトのようなものをGEOの中で構成しまして、国際機関や各国の政府機関、例えばブループラネットですとJAMSTECさんとかJAXAさんみたいなのが日本からは参加をして、各国のそういった機関と連携をして、1つのまとまった形のデータを出すとか、解決方法を提案する、それから、それが定常的に回るための仕組みづくりをするという取組になるかと思っています。
 答えになっていましたでしょうか。

【甲斐沼委員】
 例えば気候のところに、なぜエネルギーのところまで一緒にならないのかなというのが、この図を見たときに感じた違和感です。

【木下環境科学技術推進官】
 すいません。その点につきましては、ここはあくまでも議論として出たものの御紹介ということで、まだこの、例えばWater-Food-Energyで決定ということではなくて、これはあくまでも提案のあった一例という、分野間連携のイメージを持っていただきたいという趣旨で御提示をさせていただきました。

【小池(勲)部会長】
 私の方から1つ。先ほどから出ていますデータの共有、無償で提供するという話ですけど、この新しい提案では、法令等によりオープンデータとして共有できない場合と書いてありますね。それで、例えば日本の場合は、オープンできない理由が、いわゆる配布の価格の問題があるのか、あるいは別の理由で公開できないのか。両方あると思うのですけれども、どういうふうに読めばいいのでしょうか。

【木下環境科学技術推進官】
 法令等の趣旨ということですね。法令等の中には、いわゆる法律で定められた、例えば、又聞きですので、詳細理解していないで申し上げて大変恐縮なのですけれども、生物多様性の関係ですと条約である程度ルール決めがされていると聞いております。ですので、それに反したような形の提供はしないというのが、まず1つかと思います。
 それからもう一つは、法令の下には各機関の規則とかルールというのがありまして、ここは実務上一番大きな点になるかと思います。文科省でどういう方針でデータを提供するかという、そのルールに従って提供すると。今は基本的に日本の国内ですと各機関、データを取得した機関、データを提供する機関が、その配布ルールを決めているかと思いますけれども、そのルールに従ってということになろうかと思っています。

【小池(勲)部会長】
 そうしますと、もし、この今の提案の案が、これが国際的に認められた場合は、国内的には、法令等によってオープンにするかどうか、いろいろなことをコントロールしていくということになるわけですか。

【木下環境科学技術推進官】
 はい。法令であるとか、各機関の運営規則であるとか、決めていくということになろうかと思います。

【藤谷委員】
 話題が戻りますけれども。先ほど頂いた資料の最終ページの分野連携なのですけれども、最初にGEOSSの10年実施計画が決められたときは、確かに課題別に9分野が決まったと記憶しております。これを見られて分かりますように、例えば災害・健康・エネルギーというのは非常に広い分野を対象にしています。一方、生態系・生物多様性などは、比較的と限られた分野を対象にしています。したがって、単純にこのまま、これを分野連携という形で行うのは少し無理があるのではないかと思います。もしも、下に書いていますように課題別にする場合にも、同じような大きさの分野に分けないと、非常に大きな分野と小さい分野が並んでいるというのは、ちょっとバランスを欠くように思います。どういう形がいいか分かりませんけれども、そのあたりの検討が必要と思います。

【杉本委員】
 今のことにも少し関係があるのですけれども。このクロスカッティングやインターリンケージというのはまさしく、データを使うという観点から見れば、すごく重要なので、今後こういう取組が増えてくるべきだと思うのですけれども。そのときに、このデータの提供の側(がわ)から、各国でこういう取組が必要ですよというような提案をしていくのと同時に何か、例えばデータのユーザーの方からこういう提案を受け付けて、こういう活動してくださいと、そういう仕組みを作ることはすごく重要だと思うのですけれども、そのあたりはどういうふうになっているのでしょうか。

【木下環境科学技術推進官】
 今、杉本先生にも御指摘いただいた点は、GEOSSが取り組まなければいけない点ということで、ここには書きませんでしたけれども、小池俊雄先生と村岡先生、今会議に参加しているお二人の先生には、どうユーザーの議論を吸い上げてGEOの活動にしていくのかが重要であろうということを各国とちゃんとシェアをしてきてくださいということのお願いをしているところです。ですので、まだそれについては、これが正解という解が見いだせてはいないのですけれども、その認識を深めて取り組んでいきたいと思っております。

【小池(勲)部会長】
 それでは、ありがとうございました。GEOSSの新10年計画は来年の11月に次回の閣僚会議で採択されるということになっているそうですので、それに向けて、事務局で今お話にありましたように、IPWGの委員であります小池教授や村岡教授と連携して対応していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題の2に移りたいと思います。これが今日の一番大きな議題ですけれども、中間取りまとめに向けた検討についてです。本日、前回までに御説明いただきました内容や、当委員会の御意見を踏まえて、事務局が中間取りまとめの骨子案を作成しておりますので、事務局より、それの御説明をよろしくお願いいたします。

【木下環境科学技術推進官】
 それでは、資料2-1と2-2を御覧ください。まず説明は資料2-2に基づいて行います。適宜、必要なところで資料2-1を呼び出すようにしたいと思っております。
 まずローマ数字の1、それからローマ数字の2につきましては、前回の当部会の方で御提出をさせていただきました。そこで、余りそこからは大きくは変更していません。ですので、若干御指摘を頂いて追加したところだけ御紹介をさせていただきます。
 1つ目、1ページ目ですと、ローマ数字の2のちょっと上に「なお」から始まる、「なお、地球観測は、地球の現状や将来」というところに、「理解のため」というところに追加して「理解の対応のための」と「対応」が入っています。
 それから2ページ目です。上から3つ目の丸のところですけれども、ここ、文章、2行目の「今後は」以降が、御指摘を踏まえて追加をしたところです。強みを明示して、観測から課題解決に至る道筋を明確に描いていくべきと。こういった方針にすべきという御指摘を頂いております。
 それから3ページ目ですけれども、1つ目の丸、「国内においては」から始まるところです。前回では「宇宙基本計画」と「海洋基本計画」を中心に列挙していたのですが、政府の地球観測に関連しそうな計画はそのほかにもいろいろありますよ、確認してくださいという御指摘を頂きましたので、地理空間情報活用推進基本計画ほかを挙げております。その詳細は資料2-1にまとめさせていただきましたので、簡単に御紹介をさせていただこうかと思います。
 事務局の方でピックアップをさせていただきましたのは、資料2-1をあけていただきまして、地理空間情報活用推進基本計画、環境基本計画、宇宙基本計画、海洋基本計画、それから更にページをめくっていただきまして、防災基本計画、国土強靱(きょうじん)化基本計画、それから今後の予定されているものとしては水循環基本計画、それから適応計画、こういったものが国内の関連の計画としてあるだろうとピックアップさせていただきました。また国際的には、先ほど堀川委員より御指摘のありました持続可能な開発目標であるとか、ページをめくっていただきまして、兵庫行動枠組み。防災の観点ですが、これは3月に新しいのができる予定ですけれども、こちらの話。それから、その翌月、4月には世界水フォーラムということで、水についても議論があるということです。こういったものを参照しつつ議論を進めるべきということで、資料2-1としてまとめさせていただきました。
 そして資料2-2に戻っていただきますと、追加いたしましたのは2つ目の丸のところで、GEOではどういう議論になっているのかをきちっと明記してくださいということで丸、この「国際社会においては」というところで加筆をしております。
 ここまでは大きな変更はなく、追加をさせていただいたことの紹介です。
 ローマ数字の3、今後の地球観測の取組に当たっての基本的考え方以降が前回の御議論を踏まえて大幅に加筆した点ですので、もう少し丁寧に御紹介をさせていただきます。
 この点で追加をいたしましたのは、3ページ目の一番下の丸です。課題解決のニーズを有する者が具体的な観測項目を認知していない場合がある。それから異なる目的で取得した観測データが集まることで新しいニーズが生み出され課題解決につながることもあることを踏まえて、ニーズに基づく観測といっても、「観測データの収集に対するニーズ」と「情報提供・解析に対するニーズ」をきちっと識別して検討すべきではないかという御指摘を反映させていただいております。
 それから追加したのは次の丸のところで、GEOSSやフューチャー・アースという、フューチャー・アースの具体的な指摘を反映しております。
 それから2ポツ、地球観測の実施というところですと、全部で9つほど挙げていますけれども、4つ追加があります。
 1つ目は上から2つ目の丸ですけれども、多種多様な地球観測システムを連携して、効率的・多面的に地球を理解するという観点が地球観測であろう。
 それから3つ目の丸として、必要な観測データの精度やデータ取得の頻度等の仕様を明確にして効率的な観測を実施すべきであるという御指摘も頂きましたので、追加いたしました。
 また、地球観測の実施に当たって留意すべき点としては、この下の2つですね。「なお」以下で書いた2つについても前回御指摘を頂いた点です。地球の現状や将来予測に対する包括的な理解のためには、観測基盤の維持と長期継続的観測の実現も必要である。国として推進すべき地球観測は、課題解決の要請に基づくべきものであり、そのために必要な観測イノベーションを推進すべきであるという御指摘を追加させていただきました。
 それから3ポツになりますけれども、ここでも重要な御指摘を2つほど頂いております。
 1つ目の丸で、科学技術イノベーション総合戦略の中で具体的にどう地球観測が扱われているのかという御示唆を頂きまして、そこでは「持続可能な社会の実現に寄与するためのモニタリングとその利活用」は、これを通じて世界的にも我が国の有する先進的な地球観測研究等を加速することで、将来にわたって持続可能な社会を実現するとともに、我が国の産業競争力の強化に貢献するものであるとした。この視点を注意すべきではないかという御指摘を前回頂いたところです。
 それから5ページ目の1つ目の丸、次のパラグラフですけれども、先ほど御議論のありましたデータの扱いです。政府が推進するオープンデータの取組とか、過去の観測データの活用にも配慮しつつ、データを加工することで新たな付加価値を創造することで産業の芽を育てることも重要視すべきという御指摘も頂いて追加をしております。
 それから3つ目の丸。推進戦略の下、府省連携といったところも前回の御指摘を踏まえて、課題を有するものと観測主体との連携であるとか、分野横断的な取組が一層求められるというのを追加しております。
 それから地球観測部会の役割ということでは今3つ書かせていただいておりますけど、2つ目の丸につきまして、前回の御指摘を踏まえて追加をさせていただいております。地球観測データの収集から情報提供に当たってはニーズの集約、施設設備の相互利用、共同運用、民間活力の活用、人材育成なども連携して推進してきたけれども、今後は、潜在的な観測ニーズの掘り起こしや、具体的な要請があった際にニーズ側と観測主体を橋渡しする機能の強化とか、技術シーズと社会ニーズをマッチングさせるような場が必要であるという御指摘を頂きましたので、この記述を追加しております。
 以上がローマ数字の3ということで、地球観測をするに当たって基本的に理解しておくべき重要なポイントを以上のようにまとめさせていただきました。
 そしてローマ数字の4、6ページ目ですけれども、今後10年間の具体的な実施方針につきまして、こちらも前回頂きました御議論を踏まえまして整理をしています。今回は大きく分けて3点に整理をしておりますけれども、我々が取り組むべき課題がこの3点で良いのかどうか、どうあるべきなのかというのは、まさに本日御議論を頂きたいポイントでございます。
 前回の議論を踏まえまして、その3点、どう整理しましたかと申し上げますと、(1)ですけれども、国民経済活動の健全な発展への貢献がまず1つあるであろうということを書きました。それから2つ目のポイントとしましては、防災・減災への貢献というのが2つ目の取り組むべき課題として挙げております。そして7ページ目ですけれども、3つ目のポイントとしては、環境問題への対応(持続可能な社会の実現)が取り組むべき課題の3点目であろうということを書かせていただきました。前回の指摘を踏まえて事務局としてはこのように整理をさせていただきましたけれども、これでよろしいか、そのほかにどういう点があるのかと、順序も含めて御議論いただければと思っております。
 この点に関しましては机上配付資料が参考になりますので、ごらんいただけますでしょうか。こちらは参考資料で添付をいたしました「地球観測の推進戦略」、10年前に総合科学技術会議で策定いたしました推進戦略のうちの「分野別の推進戦略」で掲げた各項目だけピックアップしたものです。皆様の議論の参照用としてピックアップしたものです。具体的には課題があって、それを解決するためにどういう観測をすればいいかということで、10年前はこういった項目が取り組むべきだということで整理をいたしました。本日は課題を議論していただくわけですけれども、この課題の整理が終わりますと、今度は、じゃあ具体的にどういう観測が必要なのかという議論に移っていきますので、少し10年前のも振り返っていただきながら、今取り組むべき課題は何かというのを是非御議論いただければと思っております。
 そして最後になりますけれども、7ページ目の真ん中以降です。そのほか御議論いただきたいと思っておりますのは、地球観測を長期にわたり安定的に実施するとともに、今後新たに発生する課題解決にも対応し得る質の高いデータを提供していくためには、以下の取組も重要だろうということで幾つか御指摘を頂きましたので、それを3点リストアップしております。
 1つ目が観測基盤の維持及び長期継続的観測の実現、それから「観測イノベーション」の推進、3つ目がデータ共有と利用の促進ということで書かせていただいております。
 そして7ページ目、最後の丸のところですけれども、GEOSSへの取組につきましては、8ページ目に(1)、(2)、課題対応型の取組とサイエンス的な取組ということを御紹介していますが、これは前回御議論いただいたものを、そのまま変更せずに載せております。また、この総合科学技術会議の「地球観測の推進戦略」、10年前に策定したものの包括的なレビューを、CSTIの方で今月末、26日に環境ワーキングが開催されます。皆様には参考資料3として机上に置かせていただいておりますが、昨年度御議論いただきました報告書を基に報告をさせていただきまして、10年間の取組のレビューを受けるということになっております。こういった議論も踏まえながら今後、この新しい方針の議論を進めてまいりたいと考えております。以上です。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、これから今の御説明いただきましたことを踏まえた議論を行いたいと思います。これ、あれですね。あと1回、1月にもう一度部会を開かせていただきますけど、そのときには中間取りまとめを作るというところまで行かなければいきませんので、なるべく今日、この骨子をきちんとまとめていただいて、あとこれに肉付けすればできるというところまで是非御議論を深めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。どなたからでも結構です。よろしくお願いします。
 初めに私の方から。昨年これを取りまとめるときに、課題解決型の地球観測というのと、それから、ここにも幾つか取り上げられている、最後にも取り上げていますが、いわゆる課題を解決するための基盤となる地球の理解とか、そういうことも非常に大事だという話があって、そのバランスをどうするかということの議論があったと思うのですけれども、これを拝見していますと、ぱらぱらとは出てくるのですけど、どうもその辺がはっきりしない。方向とすると、課題解決の要請に基づいた観測にすべきであるということが非常に強調されているように思うのですけれども、その点はいかがなのでしょうか。

【木下環境科学技術推進官】
 今回報告をまとめさせていただく中で、課題解決型の取組というのを1つの柱としております。ただ一方で、今の部会長御指摘の点につきましては、新たに7ページ目の真ん中の丸ですね。それをきちっと起こすことで、この視点、両立をさせるという観点に配慮して、1つ丸を置くということでバランスをとろうと考えて記述をしております。

【小池(勲)部会長】
 例えば1ページ目の一番後のところに、また、今後の地球観測は、社会からの具体的な課題解決の要請に基づいた観測を行うものとするべきであるという非常に強い表現になっていて、これが全体を象徴しているような話になっているのですけれども。じゃあ、それ以外のあれは課題解決ではないかというと、やはり課題解決のための観測だけれども、直接具体的な課題に対応しているどうか分からない。だから、その課題解決するための基盤は作っているわけですね。ですから、その辺の扱い方を少し。
 例えば最後の8ページ目の、いわゆるサイエンス的な取組という書き方があるのですけれども、ちょっとこの書き方は、サイエンス的な取組と課題解決を対照的に書いてしまっているので、できたら課題解決には含まれるけれども、そこへの具体的な道筋ですかね、それの距離として扱ったらいかがと思いますけれども。
 どなたか御意見、コメントをお願いいたします。
 先ほどの9つの分野と、それから今回提案されています、我が国としては3つの分野を考えて、これを中心にということですけれども、これに関してはいかがでしょうか。

【木下環境科学技術推進官】
 すいません、1点、事務局から、今の点につきまして補足をさせてください。
 10年前に9分野、それから机上配付資料として配付させていただいたのには15の分野が掲げられておりますけれども、その10年前は一応これを、レベル感として9分野と15分野とある。同じレベルの、データとして地球観測がどう社会に貢献するかという議論を頂いた結果、国内では15分野、GEOの分野では9分野ということでまとめられたと聞いております。そういった横並びの観点も踏まえながら、新たにその3課題というのでしょうか、目指すべき課題がどうあるべきかを御検討いただければ幸いに思います。

【小池(勲)部会長】
 この部会での議論で、初めは15分野あったのですけど、それを推進戦略の中で、いわゆる戦略的に重点化しようということで、途中で5分野に絞った経緯がありますので、それがずっと今までは続いてきたわけです。その6ページの上の方に書かれています5つの分野があったわけですね。それを見直して3つにまとめたというのが今回の提案ですけど。いかがでしょうか。

【安岡委員】
 今から10年ぐらい前に総合科学技術会議でも議論したときと、それから今これから取りまとめようとしている10年の実施計画を読むと、若干、この新しい方が理念的に読めるのです。前、10年前に総合科学技術会議とか、更に文科省でこれを実施するときに検討したときには、もう少し何か具体的なイメージがあったと思います。今それの何が足りないのかなと思ったときに、今回の資料2-2を読ませていただくと、地球観測は、例えば衛星観測があり、地上の観測があり、更にもうちょっと基礎的な観測があり、実験観測って、研究観測みたいなものがあり、そういうものを踏まえて、それを統合して、衛星観測は何が得意なのか、地上観測は何が得意なのかということを、前は議論していたのですけど。文章に入れたかどうかは私もちょっと記憶にないのですけど。その辺がないと、何かちょっと空中戦というのかな、理念先行型の文章になるような気がするのですね。
 ですから、この資料2-2のところにも統合という言葉が書いてあるのですが、これはどちらかというと省庁のデータを統合しようというような話になっていて、様々な観測手法、プラットフォームから上がってきたデータを統合するという、かなり具体的な概念がちょっと消えているような気がするのです。
 ですから、地球観測は一番ベースにどんなものがあってという記述をどこかに入れておいて、それを積み上げていって、全体の課題解決なり目的に向かったものに結び付くのだという記述をした方が、より具体的になってくるような気がいたします。
 もうちょっと具体的にこの文章を直すとすると、この3ポツ、今後の地球観測の取組に当たっての基本的な考え方のところの、どこになりますか。例えば2ポツの地球観測の実施とかデータ提供利活用の在り方というところに、今言ったような話を、少し具体的な、何を地球観測はやるのかというところを書き込んだ方が、更にそれを統合していくのだということを書き込んだ方が良いのではないかと感じました。

【小池(勲)部会長】
 はい。今の御指摘は、4ページ目の2ポツ、地球観測の実施のところに、今の衛星から地上観測。ただ、ここにも「多種多様な地球観測システムを連携して」と書いてありますね。だから、これは省庁連携であると同時に、いろいろな観測のシステムの連携なので、もう少し具体的にこれの中身を書けば。

【安岡委員】
 はい。特に下から3つ目のところに、例えば「特に、我が国の衛星や船舶等による」というのが書いてあるのですが、その上のところ、「特に」の前に、一般的にこういう方法論があって、その中の特に衛星観測とか船舶について我が国はすぐれているということにしないと、何か文章がもったいない。もったいないというのか、もっときつく言うと、浮いちゃうような感じがするものですから、というコメントです。

【小池(勲)部会長】
 はい。これは多分、全体のアレンジを変えれば、今言われたことは、きちんと入ってくると思いますけれども。

【寶委員】
 10年前の机上配付資料と、それから先ほどの参考資料3を参照しながら、今のこの資料2-2の6ページ、7ページの3項目のところで考えますと、机上配付資料の8のところにエネルギー・鉱物資源というのがあるのですね。10年前からこっちを考えますと、やはりエネルギー問題は大分出てきたと思うのですね。社会的な重要課題として。10年前は鉱物資源のような観点の方のエネルギーという感じでしたけど、今はそうではなくて、原子エネルギーに代わるものとか、太陽光とかいろいろ、地熱とか、太陽のエネルギーとか、風とかあると思うのですけれども。
 したがいまして、例えば6ページのローマ数字4の(1)のところにはエネルギーという言葉は全然ないのですね。だから、(1)のところでエネルギーを何か入れて。そうすると、これはWater-Food-Energyとも対応するようなことになりますので、そういうことを考える必要があるのではないかなと。あるいは7ページの(3)のところでエネルギーを取り扱うことも可能かと思うのですけど。
 それから、10年前から考えますと、アフリカとかラテンアメリカの重要性というのは結構出てきていると思うのですね。数年前から、例えばグローバルCOEの申請するときも、アフリカのことを入れられないかとかですね。ここ一、二年はABEイニシアチブでアフリカの人材育成とか言っていますので。
 この机上配付資料を見ると、アジア・オセアニアというのは幾つか出てくるのですけど、当時はアフリカというのは余り視野になかったのですね。この参考資料3を拝見すると、ところどころアフリカというのが出てきたりして。例えば参考資料3の一番下のところにアフリカ水循環調整イニシアチブとか、それから19ページですと、4.5の1つ目の丸、6行目ぐらいに「アフリカ等への対象地域拡大や」という言葉も出てきております。この参考資料3の内容を対象反映して、アジア・オセアニア、プラス、アフリカとか中南米の、これ、国策として世界各国の支持を得るということでやっていると思いますから、この資料2-2でいうと4ページですか。4ページの2ポツの丸、5つ目、「アジアをはじめとした」、それから6つ目に「アジア・オセアニア地域等との連携」というところにアフリカとか中南米をうまいこと入れていく必要があるのではないかなと思いました。
 以上です。

【小池(勲)部会長】
 ほかにございますか。
 今御提案のあったエネルギーというのは、(1)の資源の中に入る言葉なのですね。これ、多分。「水循環の総合的管理や資源の確保・利用等に関する」の資源に含まれるので、この資源というのが多分、10年前の15課題の中では資源と書いてあるのが4つあって、エネルギー・鉱物資源、森林資源、農業資源、海洋生物資源とあるのが、これが全部1つ資源という形でここにまとめられて入れているので、もう少しこれを膨らませれば、今言われたことが多分入ってくると思うのですけど、ちょっと省略し過ぎで、何を言っているのか、ちょっと分かりにくいところがある。
 はい、どうぞ。

【堀川委員】
 全体、中身は充実した内容になっているかと思うのですけれども、1点コメントさせていただきます。これはもちろん地球観測の方針ではあるのですけれども、4項に書いてあるような、こういう課題に対して対応していくときに、単に地球観測だけではなくて、地理空間情報というか、測位情報、PNT(ポジショニング、ナビゲーション、タイミング)等のデータを使って、地球観測データと連係させた相互的なデータ利用に基づいて、こういう課題に対応していくことが重要であるということも少し表に出した方がいいのかなと思います。ちょっと地球観測と測位衛星というのは、何か予算的に対抗したような形になっていますけれども、そこは、やっぱり総合的に、測位と地球観測というのは切り離せない利用の応用の仕方が今や要求されていると思いますので、そういうことを少し表現したらどうかと思いました。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございました。ほかにございますか。

【安岡委員】
 もう1点。表現の仕方がちょっと難しいところです。7ページの下から3分の1ぐらいのところに「観測イノベーション」の推進というのがあって、私は非常にいいことだと思うのですが、斬新な着想に基づく新たな観測手法の開発とか、新たな云々(うんぬん)と書いてあって、ここの部分は非常にいいのですが、私は、前にもいろいろ議論が出た、やっぱり、ここで日本の強みというのを生かすような表現を是非入れていただきたい。入れた方がいいのではないかなという気がします。やっぱり、これだけ予算が窮迫した状況になると、日本の強みの部分に特に注力するようなことをしていかないとまずいだろう。そこを明確にした上で観測イノベーションを推進していきましょうと。そうすると、それが4ページ目にある「特に、我が国の衛星や船舶に」というところにつながるような気がしますので。余り日本のというのを強調するのは、妙に国粋主義とかいっても困るので気を付けなきゃいけないのですが、やっぱり日本の強みという部分は、品良く表現して入れた方がいいのではないかという気がしました。以上です。

【佃委員】
 6ページの3つの観点というところで、最初の1と2番目のところで、ちょっと私の個人的な印象なのかもしれないですけど、例えば(1)の国民経済活動という「国民」という言葉と、2行目の「国土の利活用や保全」という言葉を、かなり印象としてドメスティックな印象があって、防災の方も「国民の安心・安全」と。多分、地球観測でグローバルな視点でいろいろなことを、これから日本がイニシアチブをとってやるという、そういう言葉がもうちょっと入った方がですね。何か国土の利活用や保全というと、もうそういう。日本国内においては大体やるところがあったりして、余り、むしろ地球観測でとりたてて言うことなのかなというところもあったりする。むしろグローバルな視点で、どういうことをやるのかということがある。あと防災についても、センチネル・アジアの例もありますけど、恐らくアジアを中心にいろいろな展開をしていくというようなメッセージがあった方がいいのではないかと思いました。
 それと7ページ目の(3)のところですけれども、環境問題への対応というところで、最初のパラグラフ、1行目のところに地球温暖化や云々(うんぬん)あって、基礎的な情報を収集・提供するというところで、余りにもさっと書かれてしまっているので、やっぱり、もう少し事例を書いていただく方が。例えばいろいろな、15課題にあった森林だとか、農業だとか、あるいは土地利用だとか、地理空間情報だとか、そういった土地利用がどういうふうに具体的に現状あるのか、それはどう変化するのかとか、あるいはそれをどうモデル化して。そういうモデル化した情報が最終的に判断に役立つと思いますので、単にデータだけじゃなくて、それをモデル化していくというか、そういったものが何か書けないでしょうかというような。ちょっと「基礎的な情報の収集・提供する」だけだと、何か余りにもざっくりし過ぎているかなと思って。印象です。

【大垣部会長代理】
 内容というよりも整理の仕方なのですが、6ページのローマ数字4の今後10年間の具体的な実施方針という重要な項目は立てているのですが、その中が非常に分かりにくいかなと思いまして。白丸で3つあるのですね。最初の白丸、「推進戦略においては」というのは、これ、見出しとして1、課題解決への貢献という形にすると、(1)、(2)、(3)と7ページにつながって、7ページの真ん中にある白丸、「地球観測を長期にわたり」というのは、観測基盤の強化と革新とかいう見出しを付けて、(1)、(2)、(3)となって、最後の7ページの一番下、「GEOSSにおいては」というのは、これは3として、GEOSS新10年計画との連携とか何とか、何かそういう明快な見出しを打ち出すと、このレポートの骨子の構造が分かって、読みやすくなって、前後の関係が分かりやすくなるのではないかなと思います。ちょっと御提案まで。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございます。ほかに。はい、どうぞ。

【甲斐沼委員】
 細かいことで恐縮ですが。6ページ目のローマ数字4のすぐ下の2行目のところの「抑制適応」という言葉ですが、これはもう10年前にこの言葉を使われたので、ここで変えられない、ということでしょうか。この抑制適応という言葉は分かりにくいというか、余り聞きなれない言葉なので。参考資料3の4ページ目、2.1のこれまでの成果についてと、(1)の戦略的な重点化の成果というところの、4ページ目の下から三、四行目のところで、地球温暖化に関わる現象解明・影響予測・抑制適応という言葉が出ていて、それで5ページ目の真ん中あたり、「国民の安全・安心の確保」のポツのところ、4ポツ目で出てきます。この抑制適応というのは、適応だけなのか、それとも緩和策と適応策なのか。その点が分かりませんでした。ここの4ポツ目のところで、将来のより効果的な地球温暖化対策の政策立案への貢献が期待されると書かれているので、ここの中には政策的な緩和策も入っているのかなと理解したのですけれども、それでよろしいのかどうかということをお聞きしたいのと、さらに、2つ下のポツのところ。このオールジャパンによる観測が本格的になって、地球温暖化の把握や北極海航路の利用可能性評価に貢献しているという文章があるのですけれども、ここの立ち位置というか。北極海航路が利用されるということは、非常に温暖化が進んで、温暖化の政策が進まなかった結果と理解しているのですが、ここの文章だと、北極海航路が利用できて、よいというか、利用できる方がいいという御意見に聞こえるので、これを読んだときに少し違和感がありました。

【木下環境科学技術推進官】
 事務局からですけど、抑制適応は、先生御指摘のとおり、いわゆる緩和と適応というふうに読み替えていただくとよろしいかと思います。そういう趣旨で、文章としては書いております。たまたま10年前がそういう表現だったので、それを使っているまでですので、今回変えるので問題ございません。
 また2点目の北極海航路につきましては、温暖化というのは悪い面といい面の両方があると理解しておりまして、いい面というか、経済活動に貢献する面の一例としては、よく北極海航路があって、ヨーロッパと日本の航路の短縮というのがあった。それは宇宙からの観測データ、もう氷が溶けている、通航できるねとなったら、ワッと船が行くということで、それは、そういういい、温暖化が経済活動に貢献している例としての例示とお考えいただければと思います。

【杉本委員】
 今のようなことにも少し関連しているのですけれども、地球観測の取組状況報告の方には、その取組に当たっての重要な観点ということで、国際的な取組の戦略とか、科学技術外交とかということが項目として述べられているのですけれども、今日配っていただいた資料2-2を読んだ印象でいうと、地球観測なのだから日本に閉じたことではないはずなのですけれども。最初のところはいいのですけれども、じゃあ実際に何をするのというところになると、何だか国内志向がすごく強いような印象を受けました。
 ですから、もう少し具体的に、国内のこと。もちろん重要で、それは日本の国益最優先に考えるべきだとは思うのですけれども、科学技術外交で重要な、例えば北極であるとか、それこそアフリカもそうですし、そういう少し具体的に国際戦略というものに触れられていてもいいのではないかと思います。

【渡邉委員】
 多くの部分は既に各委員がおっしゃったので、少し抽象的になるかもしれませんが感想も含めて申し上げます。一部は、議論を蒸し返してしまうかもしれません。
 中心になるのは、6ページのIVと思うのです。私の理解では、前の推進戦略には重点化の3つの観点があって、その上で5つの重点的取組が出ています。今日の案では、観点としては整理されているけど、この5つに対応するところは少し弱くなって抜けている部分があると思います。前の3つの観点は、安全・安心と経済、そして国際貢献と思います。今度は安心・安全は防災と環境のところへ移りました。出口としての経済はありますけど、先ほど意見がでた、日本の強み、国際貢献、リーダーシップ、のトーンが少し弱いので、どこかできちんと書き込むべきと思います。
 それからもう一つは、細かくなりますが、7ページの丸印から括弧が3つありますが、これはデータを具体的にどう整備しているかを書いてあるところですが、3番目のデータ共有と利用の促進のところで、GEOSSでデータ共有化の議論が進んでいることから、共有化のところをもう少し書いてもいいと思います。仕組みの方で読めなくはないですけど、もう少し共有をキーワードにして書いたらいいと思います。
 更に細かくなりますが、状況の変化、3ページの2の最後ですね。3の上で、「フューチャー・アース」のような新しい国際的なイニシアチブも具体化に向け検討が行われていることが書かれています。それはいいと思うのですけど、フューチャー・アースのことをよく知っている人は分かると思うのですが、フューチャー・アースとGEOSSやデータとの関係を書き込まない限り意味がないと思います。細かいですが注意されたらいいと思います。

【藤谷委員】
 今、杉本先生が言われたのとほとんど同じことを言おうと思っていたのですが、前回の推進戦略では、今言われましたように、安心・安全の確保、経済社会、国際社会があり、その安心・安全の確保の中に地球環境の保全とかも入っています。今回も、やはり3つに整理する必要があるという考えかもしれませんが、国民経済、防災・減災、環境問題になっており、今言われたように国際のところが抜け落ちてしまっています。これまで毎年の実施方針のところでも科学技術外交とか国際貢献とか言っているわけで、3つに絞る必要がなければ、もう一つ柱を立てて、国際貢献を入れた方がいいのかなという気がします。

【小池(勲)部会長】
 はい。今、最後の方の議論で、国際の取扱いをどうするかということも出ましたが、それは先ほど出ました、いわゆる観測イノベーションで日本の強みとかそういうことは、日本の強みを書いていくのはいいと思うのですけれども。国際的な連携とか、国際的にデータをとっていくことで、それが回り回って日本にフィードバックしてくるというルートは非常に地球観測の場合大きいと思うのですけれども、いかがでしょうかね。これ、今の藤谷委員の御提案は4つ目を作るということでしょうか。

【木下環境科学技術推進官】
 事務局としては、一般的な、いわゆる国際貢献という意味だと、それは、この7ページ目の(3)の、やはり地球環境等の保全に関する課題解決。地球規模課題という観点で、当然にそれはもう含まれるものだという理解でおりました。一方で国際協力を通じて、どういった形で、よりメリットを出していくのか。戦略的な取組については、観測イノベーションの推進のところでの御指摘とか、また別の具体的な観測のやり方ということで反映をするのがいいかなとは思って聞いておりました。

【堀川委員】
 今のことにも関係するかと思うのですが、1項が国民経済活動の健全な発展という書き方であるべきで、「我が国の」が表にちょっと出過ぎているような気がします。世界の人類社会の社会経済活動、前のテーマのときには経済社会という言葉が使われていたと思うのですけれども、ソシオ・エコノミックという言い方で、社会経済の活動の健全な発展で、その中で我が国も国民の安全・安心を確保していくというまとめ方をするといいと思います。一方、1項も2項も3項も国際社会と連携したような貢献が、みんなそれぞれできる話だと思います。それぞれに国際協力の話を入れ込んでいくことによって、こういう課題解決に向けて、国際協力で貢献していくということをまとめていくのがいいのかなと私は思います。

【小池(勲)部会長】
 はい。今御指摘ありましたように、(1)は国民経済の健全な発展への貢献となっていて、文章も国土の利活用、それから国民生活の向上という、読むと完全に国内の話だけに限られているように見えますので、これを少し。国民ということを取ってしまうのですかね。そうすれば全部に国際的な意味も入ってくると。

【瀧澤委員】
 今更なんですけれども、1番の国民を取ったとしても、経済活動の健全な発展への貢献というのは、実は、ほかの防災・減災とか、環境問題とか、すごくオーバーラップしていると思うのですね。なので、こういう分類の仕方で、そもそも項目として立てられるのかなというのが、どうもすっきりしないなと。何回読んでみても分からないのですが。
 もう一つ御質問したいのは、前書きのところで、マル1からマル5までの推進戦略における戦略的な重点化の過去のことですね。それから15分野の分野別戦略が整理されていたとして、過去のこととして書いてありますけれども、この扱いについて今後どうするかというのを触れられていないのですが、その点についてはどうなのですか。

【木下環境科学技術推進官】
 最後につきまして、推進戦略自身は今後も生きていきますので、その推進戦略のもともとの考え方を今風にどうアレンジを、解釈をし直すかという観点で今回取りまとめようと考えております。ですので、その対応関係をきちっと意識して記述しているということを読者の方に分かっていただきたいと思いまして、今、推進戦略ではこう書いてあります。それは、今の社会の文脈から考えるとこういう意味だろうと説明をさせていただきたく、こういう文章、導入部分を設けさせていただきました。

【瀧澤委員】
 そういうことなのですね。再整理というのが、何か統廃合的な意味なのかなと思って。そうではなくて、これを踏まえてということなのですね。それでしたら、どういう項目立てにするかは別として、それが読めるように中にも具体的な例を書き込まれた方が分かるのかなと思いました。

【藤谷委員】
 取組状況の報告を見ていたのですが、未知の現象解明のところに科学技術基本計画を引用しています。今回も、いろいろな基本計画を引用しているのですが、科学技術基本計画、これから改訂になるのですけれども、そのあたりの引用はどうなるのでしょうか。

【木下環境科学技術推進官】
 適切にその辺タイミング合わせて反映すべき点、反映できるところは対応してまいりたいと思います。

【小池(勲)部会長】
 依然として4のところ、1、2、3の、少なくともタイトルぐらいは今日決めておかないとなかなか大変なので、何かいいアイデアがありましたらお願いいたします。
 これは恐らく国際ということを別に立てるよりは、この中でそれぞれ国際も読めると考える方がいいと思いますので。そうすると。はい。

【和気委員】
 すみません。今の6ページの(1)から(3)の3つの観点ですが、国民経済活動と地球観測との関係において、ここでの目的がやや狭隘(きょうあい)化し過ぎているという印象をもたれるかと、やはり懸念いたします。
 経済分野から申しますと、地球環境とか地球システム、特に自然資源・自然環境と経済問題を議論する場合には、よく言われるような持続可能な経済・社会というコンセプトで理解されるのが標準的です。したがって、1番目は持続可能な経済・社会への構築の貢献というタイトルの方がすっきりするように思われます。まとめられている内容を見ると、自然価値をどう評価するかとか、資源管理の問題とか、あるいは資源生産性とかですので、これらは持続可能な経済・社会に関する指標として使われているものですので、内容との整合性からすれば、(1)のタイトルは、持続可能な経済・社会構築への貢献というのは何か自然な気がします。
 もし、そのように考えますと、(3)のタイトルは内容からすると、例えば地球環境変動リスクへの対応に変えてもよいのではないかと思います。常に地球環境の変動リスクにさらされている状況をふまえ、そうしたリスクをどう評価し、それらにどう対応するかという観点で地球観測の貢献が期待できるということになるのでしょうか。私は経済が専門なので、このようなタイトルが相応(ふさわ)しいかどうかについては、もし御議論いただければと思います。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございます。非常に有り難い御提案のような気がしますけれども。(1)に持続可能という言葉を使って、2の方が地球環境変動に対するリスクへの対応という言葉にタイトルを変えて、中身もある程度それに合わせて書くという御提案ですけれども、皆さん、いかがでしょうか。じゃあ、ちょっと。

【佃委員】
 よろしいですか。簡単に。特にタイトルについて意見なのですけれども、私が理解したことは、やはり日本の国民としては鉱物資源も含め、農産物、水産資源も含め、全部海外に頼っている部分もあって、しっかりとした海外、こういう地球観測情報を含めた情報をちゃんととっておく。それをバランスよく持続可能な状態にしておくという責任があるのでは。それはひいては国民の利益につながるみたいなトーンで書いていただけると、何か地球観測の意味が出てくるような気がしますね。

【渡邉委員】
 今の和気先生の御意見、よく理解できるところで。理解だけ申し上げて、提案がきちんとできないので、少し躊躇(ちゅうちょ)しながら申し上げますけど、前のときは、そもそも考え、外側のところだけ観測していたと思うのですね。私の理解は、当時は総合科学技術会議も含めて、小泉内閣が「全ての出口は環境と経済だ」と強く主張されたときの観点が強かったと思うのです。それに基づいて、今の観点できていると思うのですが、当時は観点のほかに5つの重点的取り組みがまとめられていたので、観測はそこで具体的に議論できていたのですけど、今度はそれがないので、観点に具体的な方向性を入れないといけなくなってきたのに、そこが中途半端になっていると思います。
 今の材料を整理されているなら、和気先生もおっしゃったように、両方のバランスを取るように頭出ししたなら、そのように整理できると思います。結論としては和気先生がおっしゃったようにしたらいいと思います。私の申し上げたいのは、5つのところが失われているからそういうことになっているということです。

【安岡委員】
 先ほど小池主査が言われていた国際の扱いをどこに入れ込むかということです。1つの案は、1ポツの「はじめに」の一番後ろ側の丸の後に、また地球観測は社会からの具体的な課題解決の要請に応じた観測を行うべきであるというのがあって、同時にという言葉がいいのか、もうちょっと強くパラグラフ変えるような表現がいいのか。ここに、やっぱり日本が国際的な一員として、国際的に貢献すべきものとして地球観測を位置付けるというような表現があれば、全体に係りますので、その方がある意味で強く伝わるかもしれないですよね。
 だから、国際というキーワード、ここの一番後ろに入れる方がいいのではないかなという印象を受けました。

【小池(勲)部会長】
 ありがとうございます。ほかにございますか。
 かなり議論としては煮詰まってきたと思いますけれども。

【木下環境科学技術推進官】
 先生、事務局から1点御質問させていただいてもよろしいでしょうか。すいません。今の和気先生の点で、是非良い表現を御助言いただければと思っているのですという点が1点あります。中で議論していたときに、リスクへの対応とか環境問題への対応というと、何か受け身のような気がするのではないかと。でも、我々がやるのは、何か受け身でやるのではなくて、もっと積極的に社会に貢献していくべきことではないのではないかという意見も事務局の中でしておったのですが、なかなか良い表現とか、良い関わりの在り方というのが説明できることができませんで、今まだ、これまでも議論してきたような対応という言い方にしておるんですけれども、どう我々が積極的に取り組めばいいのかを表現できるようなキーワードみたいなものとか、それがほかの分野ではどういう議論になっているのかというのを御指摘いただけますと、今日頂いた議論を踏まえて、また修正をさせていただく際の参考になりますので、もう少し何か御示唆がありましたらお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

【小池(勲)部会長】
 和気先生、いかがでしょうか。

【和気委員】
 今、この場で適切な言葉が浮かびませんが、漠然たる不確実性要素も含まれるでしょうから、リスクという表現は使わない方がよいかもしれませんね。そうすると地球環境変動への対応ということになるのですけれども。ただ、たしかに対応には消極的なニュアンスがあるので、工夫が要りますね。他の委員の先生方のお知恵を拝借した方がよろしいのではないかと思います。

【寶委員】
 ディザスター・リスク・リダクションなんて言うのですね。ですから、地球環境変動リスク軽減への貢献と、そういうのだったらいいのではないですか。リスクへの対応というと受け身に思われるとおっしゃったので、リスク軽減への貢献とかですね。
 それから、ついでに先ほどの6ページの(2)ですけれど、6ページの(2)の2行目の基礎的な情報を収集・提供するというところ。これ、ちょっとリアルタイム性、準リアルタイム性の即時的なところの表現をこうやってください。その下の破線の中では、迅速な把握とかいうのは7ページの一番上に書いてはあるのですけどね。
 それから、その次の行の「恒常的な監視等」というところを恒常的な地球観測・監視。ここに地球観測を入れておいた方がいいと思いますね。
 それと、その後の「国民の安心・安全」というのは、国民及び国際社会のとか、付け加えていただいたらどうでしょうか。
 それから安心・安全というのは、我々は常に安全・安心と言うようにしているのですけど、文科省さん的にどうですかね。これ、省庁によって違うのですけどね。安心・安全と言っているところと安全・安心と言っているところと。文科省は大体、安全・安心と言っているのではないかと思うのですけど。安全あってこその安心ということで、我々は安全・安心と呼んでいるのですけれども。

【大垣部会長代理】
 先ほどの環境問題への対応、7ページの(3)のところですけれども、言葉としては未来の、将来の環境への貢献になるわけですので、環境創造への貢献とかね。いや、よく使う言葉では、そんなのを使いますので、参考までに。

【小池(勲)部会長】
 環境創造?

【大垣部会長代理】
 創造。社会を創造、世界を創造するの創造です。というような、がありますので、適当かどうか、ちょっと分かりませんけど、御参考までに。

【小池(勲)部会長】
 事務局はなるべく前向きのポジティブな言葉を使いたいわけですね。タイトルにはね。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。今日頂いた御意見を反映させて、これの改訂を行うことになりますけれども。多分、中間取りまとめの全体のページ数はどれぐらいになるのでしょうか。

【木下環境科学技術推進官】
 今、事務局で想定しておりますのは、この倍ぐらいがマックスではないかと考えています。今が7ページ半ですので、15ページ前後に収めるべきではないかなと。そうでないと、読んでいただく方に対しても、結局何がメッセージなのかというのが伝わりにくいかと思っておりますので、それを意識しながら、今日頂いた指摘を反映していきたいと考えております。

【小池(勲)部会長】
 そうしますと、今日のこの骨子案では、かなり説明が舌足らずのところが幾つかありますので、それに対してはきちんと意味は伝わるように補強していくということで、恐らく15ページぐらいにはなってしまいますね。ですから、先ほどいろいろ御指摘がありました、いろいろな順序の関係ですとか、言葉の使い方その他に関しては訂正いただくことにして、基本的にこういう形で進めていいかどうか。よろしいでしょうか。これに対するコメントは、何かこの後もしあれば書面で頂くことにしますか。

【木下環境科学技術推進官】
 はい。事務局から、追加のコメントがありましたらお願いしますというのは別途メールをさせていただきますので、そちらの方に御連絡を頂けましたらと思います。

【小池(勲)部会長】
 今日欠席されている委員の方もいらっしゃいますので、その委員の方々のコメントも頂きたいと思います。もう一度これを、できましたら添付して、委員の方にお送りして、今年いっぱいぐらいですかね。

【木下環境科学技術推進官】
 すいません、切りのいいところで1週間、10日ぐらいと思っております。そうしますと、準備して、また事前にお送りすることも可能になるのかなと思っています。

【小池(勲)部会長】
 はい。今の予定では、次の会合のとき、次の部会で大体この中間取りまとめをまとめてしまうということになると思いますので、なるべくそれまでに委員の方々の御意見が反映できるようにフィードバックをうまく掛けたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そうしますと、どうしましょうか。できましたら次の部会の前に、一応できた案を委員の方に送っていただくことでよろしいですか。

【木下環境科学技術推進官】
 はい。次回は1月14日でございますけれども、事前に関係の委員の皆様にもお送りしたいと思います。また、関係の各省さんにも確認を次のときは頂こうと思っておりますので、そのスケジュールも含めまして御連絡をこの後させていただきたいと思いますので、どうぞ御協力のほどお願いいたします。

【小池(勲)部会長】
 それでは、ほかに何か、この中間取りまとめの骨子について御意見ございますか。なければ、少し早いですけれども、今日一応用意した議題はこれだけですので、事務局からその他のことについてお願いします。

【西川地球観測推進専門官】
 はい。本日の議事録は後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。また、先ほどございましたとおり、資料2-2の現状版、それから今後のスケジュールにつきましては後ほどメールで御連絡させていただきます。
 本日の議事録でございますが、最終的には文部科学省のウエブページに掲載することで公表させていただきたいと思いますので、よろしく御承知おきください。
 次回は、来年に入りまして1月14日水曜日、時間帯は同じく15時から17時で、会議室は変わりますが、文部科学省の中で行う予定でございます。これにつきましても追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上です。

【小池(勲)部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、地球観測推進部会の第8回の会合を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

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