第5期地球観測推進部会(第6回) 議事録

1.日時

平成26年9月3日水曜日16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 地球観測に係る最近の動向と今後の予定について
  2. 今後10年の我が国の地球観測の基本的な考え方について
  3. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、大垣部会長代理、東委員、甲斐沼委員、小池(俊)委員、杉本委員、瀧澤委員、佃委員、中澤委員、深澤委員、藤谷委員、堀川委員、和気委員、渡邉委員

文部科学省

田中研究開発局長、磯谷大臣官房審議官、松尾環境エネルギー課長、木下環境科学技術推進官、西川地球観測推進専門官、丸山地震・防災研究課防災科学技術推進室長、清浦海洋地球課長、国分宇宙開発利用課長補佐

5.議事録

出席者

【関係省庁】
岩崎内閣府参事官、永山国土地理院研究企画官、河里気象庁環境企画係長、竹本環境省研究調査室長

【小池(勲)部会長】
それでは、ただ今より、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会第5期の6回目の会合を開催いたします。
前回の5回目から1年ぶりの開催となりますが、本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
まず、事務局より、出席者の確認をお願いいたします。
 
【木下環境科学技術推進専門官】
本日は、御出席の委員の数が14名ということでございまして過半数に達しておりますので、部会は成立となります。
なお、本部会は、部会運営規則により公開とさせていただきます。
 
【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
 
(配布資料の確認)
 
【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。
本日は、お手元の議事次第にありますように3件の議題を予定しております。また、会議の終了時刻は18時を予定しております。

議題(1)地球観測に係る最近の動向と今後の予定について

 
【小池(勲)部会長】
議題1に移りたいと思います。議題1は、「地球観測に係る最近の動向と今後の予定について」です。
昨年の第5回以降、1年が経過しておりますので、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)や、全球地球観測システム(GEOSS)などの動向や、それを踏まえた今後の検討課題を中心に御説明を頂きたいと思います。事務局から、よろしくお願いします。
 
【木下環境科学技術推進官】
はい。ありがとうございます。
それでは、資料の1-1、1-2、資料2を続けて3件、かいつまんで御説明をさせていただきます。
まず、資料1-1を御覧ください。めくっていただきまして、「『地球観測の推進戦略』を取り巻く状況」ということで、昨年度、御議論いただいたところからの一連の経緯を簡単にポイントだけまとめさせていただいております。
「推進戦略」の策定後8年が経過し、「『地球観測の推進戦略』の実施状況のレビューについて」(平成24年12月科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合)により、これまでの取組及び成果についての報告書作成を文部科学省に指示いただきまして、昨年度、皆様方に御議論を頂いたところです。
その結果は、平成25年8月、「地球観測の推進戦略の見直しに向けた我が国の地球観測の取組状況についての報告」ということを取りまとめさせていただきました。その中では、例えば、これまでの毎年のPDCAサイクルよりも、比較的長期を見据えた実施方針の下で、より実効的なPDCAサイクルを回していくことが適切という御指摘も頂いたことになっております。
これを受けまして、内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)と、その後の対応ぶりについて、調整をしてまいりました。この8月に内閣府より、「GEOSSの新10年実施計画の検討に向けた我が国の地球観測の方針の策定について」という文書を頂いております。それが資料1-2でございます。
「我が国における地球観測のこれまでの取組」、「地球観測の位置づけ」、「地球観測の国際動向」、そして「今後の対応」という章立てになっておりますけれども、国際的なGEOSSの新10年実施計画の検討において、我が国が主導的な立場を取るためには、GEOSSの動きに対応した新たな我が国の今後10年間の地球観測実施方針の策定が急がれる。そのためには、GEOSSをはじめとする地球観測に関する我が国の国際的な対応を検討する上で、中心的な役割を果たしている文部科学省が中心となり、関係各省と連携して長期的な実施方針を策定することとしたいという所感を頂いているというのが現状でございます。
それを受けまして、本日、地球観測部会を開催させていただいているという状況になってございます。
これが、最近の動向でございます。
3ページ目でございますけれども、こちらは昨年度、御議論いただきました、「地球観測の推進戦略の見直しに向けた我が国の地球観測の取組状況についての報告」の概要でございます。いま一度御確認ください。
昨年度、御議論いただきまして、これまでの取組成果といたしましては、データ提供が定常的に行われるようになって、各分野でデータの利用が進んできました。
それから、観測情報ネットワークが構築され、データの相互利用も進んでいるという成果を述べていただきました。
また、10年前からの状況変化ということですと、グローバル化の進展であるとか、気候変動の顕在化、情報技術の高度化、観測技術の向上、それから、GEOSSの10年延長であるとか、持続可能な開発目標、防災の在り方、フューチャー・アース、オープンデータといった国際動向などがありますという御指摘を頂いております。
そして、最後に今後の取組を検討するに当たって、重要な観点といたしましては、未知の現象の解明であるとか、科学的知見の創出を目指した観測と、それから、出口を見据えて課題解決を目指した観測の戦略的な推進が重要であろうという御指摘を、まず頂いております。その上で、データの利活用の推進、それから、長期継続的観測の実現、それを踏まえての科学的なブレークスルーの実現であるとか、課題解決への貢献。そして、国際的な動向を踏まえて、戦略的な観測の実施というのが重要であろうという御指摘を頂いたところでございます。
これが、去年の検討の状況です。
めくっていただきますと、今度は、その後、皆様に御議論いただいた後、GEOSSの場でどのような議論が進んできたかというのを4ページ目にまとめさせていただいております。
まず、今年の1月に、地球観測に関する政府間会合(GEO)の閣僚級会合が開催されました。GEOSS構築のための取組を2025年まで延長することが承認されました。この閣僚級会合では、日本政府ステートメントとして、櫻田副大臣より、次の10年というのは、これまで以上に国際社会や様々な関係者との連携を深め、データ利用者の意見を反映させた計画の策定であるとか、システムの構築、これらを通じて、地球観測の成果を広く社会に役立てる、そのようなGEOSS構築に取り組むことが持続可能な社会の構築に欠かせないという発言、ステートメントをしております。
その後、それに基づきまして、GEOの中に、2025年までの「新10年実施計画検討作業部会」というのが設置されました。略称としては、IPWGと呼んでおりますけれども、これが設置されて、既に4月、6月、9月に対面の会合を実施しているというところでございます。ここには、我が国から2名の専門家にご参加いただいておりまして、こちらの観測部会の構成員でいらっしゃいます小池俊雄先生、それから、岐阜大学の村岡先生に専門家として加わっていただいております。
また、この議論に対応するように、研究開発局内に「全球地球観測システム新10年実施計画に係る検討会」というのを設置いたしまして、今後、国際的な議論を進めていく上で必要な方針や施策について、有識者等と意見交換をして、小池教授、村岡教授を通じて、IPWGの議論に反映という活動も進めているところでございます。
このような中、本年7月には、GEOの第31回執行委員会がありまして、IPWGの中間報告がありました。この後、11月にGEOの本会合がありまして、そこで次の10年実施計画のファーストドラフトが提出される予定になっております。そして、1年後の平成27年の末頃を予定しておりますけれども、新しい2016年以降の10年実施計画が策定されるということになっております。
最後、5ページ目ですけれども、「今後の地球観測の方針の検討」ということで、ここは、これから皆様に御議論いただくポイントを書かせていただいております。「GEOSS新10年実施計画」に対する我が国の貢献の在り方を踏まえて、GEOSSをはじめとする地球観測に関する我が国の国際的な対応を検討する上で中心的な役割となっている文部科学省を中心として、関係各省と連携して、長期的な実施方針を策定する。先ほど、内閣府からの文書の方で御説明いたしましたが、それに基づきまして、議論を進めてまいりたいと思っております。
検討のスケジュールといたしましては、めくっていただきまして、スケジュール表を見ていただいた方が分かりやすいかと思いますので、このスケジュール表に基づきまして、今後議論を進めさせていただければと思っております。この表の真ん中にあります、オレンジで塗ってあります、右向きの矢印の横棒ですけれども、「「我が国における地球観測の実施方針」の検討」。ここで、地球観測推進部会で、これから来年1月をめどにして、中間取りまとめまで議論をさせていただきたいと思っております。
それから、第7回、次回は10月31日の予定でございますけれども、そこまでの議論の結果は、11月に開催されるGEOの本会合にも反映させていただいて、またそのフィードバックを第8回のこの部会で報告をして、更に議論を深めていただければと考えております。
そして、実施方針の検討につきましては、来年度も引き続き行いまして、夏頃に最終報告を取りまとめ、その結果はCSTIに報告をするとともに、GEOの閣僚級会合の前に、最終案の方に反映したいと考えております。
1点訂正がございます。ページ戻っていただきまして、5ページ目の下の方で検討スケジュール、平成26年10月頃のところ、「GEO本会合12月」と書いてございますが、「11月」の間違いでございますので、訂正をさせていただきます。失礼いたしました。
そして、続けて、資料1-2は今御紹介させていただきましたので割愛し、資料2につきまして、簡単に御報告させていただきます。
めくっていただきまして、GEOSSについては御紹介させていただいたとおりで、左下のGEOSS閣僚級会合で、更に10年延長することが決まりました。
そして、3ページ、IPWGを設置するというのは、先ほど御紹介をさせていただいたところですが、役割としては、ここのIPWGで新10年計画案を準備いたします。そこには、世界各国から25名の専門家が参集いたしまして、この案作りに取り組むということになっております。
この検討の進め方としては、3ページの下ですけれども、第1フェーズと第2フェーズに分かれておりまして、第1フェーズは今年の6月中旬までということで、もう既に終わっておりますけれども、ここはブレインストーミング。そして、第2フェーズとして、具体的な執筆活動に、今現在、着手を始めたというところでございます。
めくっていただきまして、ページ4でございます。第1フェーズでどのような議論があったかということですけれども、GEO執行委員会の主要なメッセージということで、今後の10年間の新しい計画の起草に当たって、今のGEOSSで改善すべき点、新たな視点、維持・強化すべき点というのをリストアップして、今後の議論を進めていくということになってございます。1つ1つの説明は割愛させていただきます。
5ページ目は、今後、執筆に当たってどのような点が議論されているかということの御紹介です。今、議論の中心になっておりますのは、定義及び範囲に関する課題と、戦略に関する課題ということで、定義、範囲に関する課題は、例えばGEOとGEOSSをどう区別するんだとか、ナレッジとかインフォメーションをどう区別していくのかと。適切な定義を置いて、具体的にこの計画を策定できるようにということで、概念の整理を行っているというところでございます。
そして、より重要になるのが、戦略に関する課題ということで、GEOを今後どのような形で発展させていくのかという点で、いろいろな論点が上がっております。
1つ目が、「broad and deep」と呼ばれているんですけれども、どういう形で活動範囲を広げるとともに、より深く活動を進化させていくのかという観点。それから、今は9分野で社会に貢献するということで、社会利益分野、SBAというのを定義しておりますけれども、これを見直す必要があるのか。それから、GEOのPDCAサイクル、業績評価をどのように回していくのか。それから、GEOSSへ単に観測データだけではなくて、そこに気候変動モデルであるとか、社会経済データをどうやって取り込めば良いのか。そして、ユーザーとの関係、データの利用者との関係をどう改善していくのか。そして、GEOの組織のガバナンスはどうあるべきかという点が論点になっております。
一例を御紹介いたしますと、例えば「broad and deep」ということについては、幅を広げる(「broad」の)ためには、シーズベースのボトムアップ的な活動を奨励するであるとか、「deep」という意味ですと、例えばユーザー機関と連携を深めていくといった議論がされていると聞いております。
それから、社会利益分野、SBAの見直しということですと、今の9分野、災害ほか、ここに掲げてございますけれども、これを微修正する案であるとか、先ほどの取組に合わせた形で区分を変更する案という第2案、若しくは、このほかの案も含めた第3案、第4案というのが出ているというところでございます。
そして、現時点での新しい10年実施計画の章立てということですと、この5ページ目の下に書かれているようなことを、この10年実施計画に盛り込もうということで議論が進んでおります。10年実施計画の目的、GEOの範囲、協力関係、活動範囲、中核機能、そしてGEOSSが狙う目標到達点、GEOの運営に当たってのガバナンス、それから、運営に必要なリソースの確保、実施スケジュール、こういった内容で構築しようという議論がされているところでございます。
最後、6ページ目ですけれども、このGEOSSの検討に対応いたしまして、先ほど局内に「GEOSS新10年実施計画に関する検討会」を設置していると申し上げましたけれども、どのような議論をしているかというのを御紹介させていただきます。
これまで3回開催させていただいております。1回目は4月ですけれども、どういった点を重点事項として、新10年実施計画の議論、IPWGの議論に反映するかという点を御議論いただきました。
例えば、ここで出た意見としては、データ提供からユーザー利用までの仕組み作りであるとか、ユーザーの拡大とリンクしたイノベーションの促進であるとか、ユーザーとしての途上国への対応という御指摘がありました。
それから、第2回、6月につきましては、更にそれを深めて、ユーザーまでの仕組み作りという意味ですと、国際協調プロセスの強化であるとか、分野間のリンケージを強化するための場を設定する必要がある。それから、政策決定と観測の間をつなぐ仲介役の必要性といったものが、ユーザー利用を深めていくという意味でも必要であろうと。それから、GEOSSの活動拡大に当たっては、オーナーシップの重要性であるとか、また、これらの活動を支えるための地道な観測の継続と、その拡大の重要性というのも御指摘を頂いたところです。
また、第3回としては、先月8月に開催させていただきました。ここでは、更に国際協調プロセスであるとか、リンケージの場というのは、一体どういう形かということで、議論を深めたわけですけれども、例えば社会経済データと地球観測データを組み合わせた分析であるとか、これらの活動を支えてくれるようなところとして、課題解決を支援する世界銀行等の開発機関との連携の必要性であるとか、政策決定側のニーズを知って、GEOSSが提供できることを具体的に示していくといったプレゼンスを上げていく活動も必要ではないかという指摘を頂いたところです。
また、これに対して、我が国としては、以下の2点のような形でGEOSSを盛り立てていくのが、これまで掲げられた論点にも対応できるのではないかということで、議論をさせていただきました。
1つ目は、課題対応型の取組としては、利用者との連携で進めているようなセンチネルアジアのようなグッドプラクティスを示しつつ、このような活動をきちんと後押しできるような形でGEOSSを構築していくことが大事ではないか。
それから、サイエンス的な観測取組については、国際社会が協調して、世界的な課題に貢献することを示しつつ、リード国との間の科学技術外交の側面を意識しながら取り組むのがよいのではないかという御指摘を頂いたところです。
7ページ目は、先ほどとかぶりますので、割愛させていただきます。
駆け足になりましたが、資料1-1から資料2までの説明は以上です。
 
【小池(勲)部会長】
はい。ありがとうございました。
今、田中局長が見えましたので、一言、御挨拶をお願いできますか。
 
【田中研究開発局長】
研究開発局長、田中でございます。すみません。遅れてまいりまして、大変恐縮でございます。
それでは、一言、御挨拶を申し上げたいと思います。
まず、本日、大変お忙しいところ、御出席を頂きまして、本当にありがとうございます。
平成26年度になりまして、半分ぐらい過ぎてしまっているんですけれども、最初の地球観測推進部会ということでございます。皆さん、既に御存じだと思いますけれども、GEOSSの中では、次の10年をどうやって実施していくのかということについて、いろいろなところ、国際的な観点も含めて、議論が行われているという状況でございます。
特に、今年1月、GEOの閣僚級会合が開催されて、当方の櫻田副大臣が、地球観測データ、あるいは情報の共有はもちろんのことながら、データ利用の政策決定者、あるいはステークホルダーの利用者の方々の意見を十分反映をして、そして具体的な課題に対応するということを強調され、その旨、宣言にも盛り込まれたと承知してございます。
日本では、今、報告があったと思いますけれども、センチネル・アジアでありますとか、いろいろなところで世界との関係で我が国がGEOSSを主導し、そして世界に貢献するということを目指して、これからも考えていく必要があるだろうなと思っております。
GEOSSの重要性については、やっておられる先生方は十分御理解されていると思いますけれども、私ども、最近特に思うのは、やはり何に使うのか、どういう使われ方をするのかという観点からのGEOSSの捉え方が大事だろうと思ってございます。
具体的には、農業生産性を向上させるような情報をどう提供していくのか、あるいは水資源管理のことについて、どういう情報が、どういうタイミングで出されていくのが必要なのか等々、観測についての意義付けが、どういう使われ方、どういう意義付けという中で、やはり観測ということも考えていく必要があるんだろうと思っております。
こういう状況の下で、この部会におきまして、GEOSSの新しい10年実施計画についての方針の策定をしていただきたいと思っております。
地球観測については、関係府省、いろいろなところでいろいろな取組が行われておりますけれども、観測の方針につきましては、この場できちんとした方向性を出していくことが政府全体としての共通認識になってございます。
ますます地球観測についての、観測そのものではなくて、そのものも当然そうなんですけれども、使われ方、社会の位置付けの重要性が増してくるということから、委員の先生方におかれましては、様々な立場、あらゆる御意見を是非賜りたいと思っているところでございます。
これから、少し集中的に御議論を頂くことになると思いますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
【小池(勲)部会長】
どうも、田中局長、ありがとうございました。
それでは、今、事務局の方からありました、これまでの経緯と、この部会としてのこれからのタスクについて、御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。
いかがでしょうか。どうぞ。
 
【甲斐沼委員】
ここの資料2の方は、「GEOSSの新10年実施計画」ということで、その中で、2ページでGEOが「地球観測に関する政府間会合」を設立して、3ページ目以降は、「GEO新10年実施計画」というので、1、2、3と書いてあって、その中で、GEOSSで何をするかという役割が書いてあって、6ページのところでは、「GEOSS新10年実施計画に関する検討会」で、GEOSSについて、またこういった別途検討会ができるわけですか。最後の7ページのところは、「GEOの新10年実施計画の今後の検討予定」で、GEOSSというのは、この中で検討されるから、GEOSSの新10年実施計画というのは、ここはただ「新10年」と書いてあるんですけれども、これはGEOSSの新10年なんですか。これというのは、7ページ目のところの、最後のものとか、この中に書いてあることで、すみません、ちょっとその辺のところを教えていただければ。
 
【木下環境科学技術推進専門官】
はい。大変失礼いたしました。
資料の7ページの「GEO新10年実施計画」、正確には「GEOSS」の間違いです。ここは紛らわしいんですけれども、世界の地球観測システムをつないだシステムのことをGEOSSと呼んでおりまして、それを引っ張る組織体、各国から集まった組織体のことをGEOと呼んでございます。
 
【小池(勲)部会長】
よろしいですか。それでは、はい。
 
【小池(俊)委員】
資料2の5ページ目の「第2フェーズ」と書いてある上の黄色い箱のところを御覧ください。その一番初めに、GEOとGEOSSの区別というのがあります。これも、IPWGで議論している内容でございまして、今のような混乱があります。GEOSSの構築を計画するというのは間違いないんですが、実はこの計画ではGEOのガバナンスも議論しており、これも現在作成中の10年実施計画の中に記載する予定でして、GEOの10年実施計画でもあるんです。GEOを今後どうするかという意味も含まれています。ですから、今のような混乱が起きないように、GEOとGEOSSの区別をしっかりするということもタスクの1つになっております。今のような御質問が出るのは当然という状況でございます。
 
【小池(勲)部会長】
これは、国内のものと国際のものが、今同時並行で動いていますので、確かに分かりにくいところがあると思いますけれども、この部会で議論するのは、日本の国内、日本の中としてGEOSS対応でどういうことをやるかに関するまとめをしていただくということになると思います。
ほかにございますでしょうか。
 
【深澤委員】
細かい話になるかもしれないですけれども、これは小池先生にお聞きした方がいいのかな。自分が関わっているGEOSS内での仕事は、GEOSSの実施の管理というところ、今のM&E(監視と評価)です。それが、次の10年の中でどのような扱われ方をされようとしているか。大体の見込みというのはありますか。
 
【小池(俊)委員】
はい。これも重要なタスクになっておりまして、現在、今挙がったような定義の問題、それから、M&Eの問題も含めて、7つの主要なタスクを用意しております。今のM&Eに関しては、第1回のIPWGの会議から盛んに議論してきました。というのは、今までの10年を踏まえ、これからの10年の計画を立てようとすると、これまで何をしてきて、それがどう評価されていて、そして新たにとか、これは変えてということを議論するというのが妥当な道筋でありますので、M&Eの議論を最初にいたしました。
その中で、M&Eから出てくる評価結果が、本当にGEOSS構築の活動をうまく表現できているのかという疑問が出されておりまして、このM&Eを基本的に根本から見直す必要があり、それをこれからの10年実施計画の中に、どのように含めるべきかという議論が、今行われております。
11月にあるGEOの総会のときには、このM&Eの議論はまだ成熟しておりませんので、そこまで至らず、先ほど御議論があった定義の問題であるとか、「broad and deep」の問題であるとか、あとガバナンスの問題、こういうものを比較的クリアにして出す予定にしております。今お話があったM&Eの問題は、どういうふうに、これからの10年実施計画の中に設計するのが妥当な評価とか、あるいは評価に基づく修正がちゃんと行われるような仕組みが作られるのかというのが議論の中心になっております。ですから、現在、M&Eの体制を基本から考え直すという段階にあるとお答えするのがよろしいかと思います。
 
【小池(勲)部会長】
よろしいですか。
 
【深澤委員】
細かいところに入るわけではないんですけれども、その議論の中では、例えば日本でよく言われているPDCAサイクルといった概念は出てきますか。というのは、2009年GEOSS本会議の中でのM&Eのポジションペーパーというのは、PDCAサイクルではないんですが、それに非常に近いものを3年、若しくは4年で回すというのがありましたよね。
そういう意味で言うと、今、GEOSSそのものは、基本的には国のボランティアであるというベースから考えたときに、一応、IPWGでは、GEOSS実施の管理として、M&Eが中身をきちんと表したものにするという方向に動かそうという形になっていると思えばいいんですか。

【小池(俊)委員】
あらゆる面から、基本から洗い直そうというスタンスにあります。もちろん、これまでの成果文書というのはフォローいたしまして、M&Eや、先ほど言いましたように、今のPDCAサイクルも1つの課題でございますし、あと、GEOSSの実施が各国の関係と国際的な活動としての成果と、どうリンクしているかというところも不十分な関係になっているということもあって、どのような価値観を評価の中に入れたらいいかということそのものが、まだはっきりしておりません。この部分を明らかにしないと評価もできない、モニタリングもできないということです。議論をこの部分からもう一度始めようということになっております。現状、そういう状況でございます。
 
【深澤委員】
どうもありがとうございます。
 
【小池(勲)部会長】
はい。他になければ、次の議題に移りたいと思います。

議題(2)今後10年の我が国の地球観測の基本的な考え方について

【小池(勲)部会長】
次は、「今後10年の我が国の地球観測の基本的な考え方について」です。
本日は、まず、関係省庁や文部科学省の関係課から、地球観測に関して特にGEOSS対応を中心とした現在の取組、今後重視する取組、取組を通じて解決すべき課題などについての御説明を頂くことになっております。御説明は、各5分でお願いしております。時間は限られていますので、よろしくお願いします。
それでは、国土地理院の方から、よろしくお願いいたします。
 
【永山研究企画官】
はい。国土地理院の永山と申します。よろしくお願いします。
資料3-1に基づきまして説明いたします。資料をめくっていただきまして、まず国土地理院の役割について、簡単ですが、再確認しますと、土地の測量、地図の調製に関する施策を通じて、地理空間情報を整備、それから、活用を推進して、国民生活向上、国民経済の健全な発展に貢献するというのが基本的な役割です。
柱としまして、そういった地理空間情報がテーマですけれども、それを整備・更新・提供するのが1つ。それらを誰でも容易に入手・活用できる環境を作るというのがもう一つ。それから、幅広い連携でそういった情報の活用を推進するという3つです。
実際、事業なんですけれども、測量法の第12条というのがございまして、これは国土交通大臣が国土地理院自ら実施する測量である基本測量の長期計画を策定することになっております。最近、平成26年4月に改訂され、新しい計画に基づいて、現在、事業を実施しているということです。
2ページに移りまして、その長期計画を昨年度、策定する作業の中で、地理空間情報の分野ということで見いだされた政策課題です。青の枠と赤の枠、2つございまして、赤の枠から申し上げますと、国民、あるいは行政機関において、地理空間情報の整備、あるいは活用する力の向上とか、優良経験の共有などが課題として挙げられるかなということで認識されました。青の方は、誰でも情報を手に入れて使える環境、先ほどもワードで出ておりますオープンデータ化というのが課題として挙げられています。
これらの課題に基づきまして、重点戦略を2つ掲げておりまして、地理空間情報の整備力・活用力の向上を進める戦略。重点戦略2は、地理空間情報の流通や活用を促進する戦略ということでやっております。
地球観測といいますと、そういった地理空間情報の整備をするための重要な手段の1つとして認識しておりまして、数字で言うところの3ページ目の下に、地球観測の実施計画における登録事業、11の事業を登録しているということです。全て話す時間はございませんので、4ページに移りまして、主要な取組について、絵も交えて説明します。
1つは合成開口レーダー(SAR)を使って、2時期で異なる時期の写真を撮って、地殻変動や地盤変動を捉えるということを地球観測衛星「だいち」、あるいは5月に打ち上げられた後継機等を用いて、実施していくというのが1つです。
2点目は、電子基準点というもので、測位衛星、GPSに代表される衛星のデータを連続観測して、中央局で集めて整理したデータをインターネットで配信して、地殻変動の観測、また公共測量、地理空間サービス情報産業に貢献するというものです。
絵の左下に移りまして、3番目、地球地図でございます。これは、基盤的な地理空間情報を世界各国の国土地理院に相当する部局と協力して作成・更新して、環境や災害対応などの問題解決に役立ててもらうという取組です。
4番なんですけれども、紙の時代では地形図と言っていまして、今は電子国土基本図という、国の基本的な地図の整備です。これは択捉島の地図の一部ですけれども、この地域については、我が国の領土でありながら、立入りができないところがございます。その際に衛星の画像等を使いまして、地図を作成し、国土管理、領土の明示、防災対策に使っているということです。
それから、地球観測そのものではないんですが、オープンデータ対応ということで、世界最先端IT国家宣言等を踏まえて、地理院としても積極的なデータ提供に努めているところです。
5ページですけれども、関連する国際動向で、社会実装している例としまして、今お話ししました干渉SAR、それから様々な測量につきましては、いわゆる研究方面での寄与もしておりますし、防災・災害対応の意思決定の支援に用いられています。
それから、電子基準点測量ですけれども、ポンチ絵を御覧いただければいいかと思いますけれども、電子基準点で得られたリアルタイムの測位のデータを国土地理院で集約した後、民間事業者を経由しまして、補正されたデータを配信することで、測量業者さんとか、工事現場とかで、即座に手軽に正確な位置を測量できるということで使われております。
また、参考となる海外の動向ですけれども、地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会、略称でUNCE-GGIMと言っておりますけれども、2011年から立ち上がっております。国土地理院も参加しておりまして、この委員会で1つのトピックとして、地球規模で統一した測地の基準系、GGRFと呼んでおりますけれども、それを各国が協力してしっかりした、安定したものを構築するということで、国連総会決議に向けた取組が進んでいるということです。
あと、資料にはない要望なんですけれども、私ども事業として行うには、合成開口レーダーのデータ、また光学衛星のセンサー等、安定して、そのデータが供給されるということが非常に重要かと思っていまして、そういった継続性が確保されることができればいいのではないかと思っています。
以上です。
 
【小池(勲)部会長】
続けてお願いいたします。気象庁。
 
【河里環境企画係長】
気象庁の河里と申します。当課の横井が出席予定でしたが、急用のため、私が代理で御説明させていただきます。
気象庁の取組ですが、業務の中で様々な地球観測に取り組んでいます。2ページ目に写真を幾つか並べさせていただいておりますが、地上気象観測、気象レーダー、気象衛星、その他にも海洋観測、ゾンデによる高層観測などを実施しています。ここには書いていませんが、地震、潮位、津波、温室効果ガス、オゾン、その他もろもろ、当庁がやっている観測というのは、総じて地球観測に該当するものと考えております。
こういった観測情報を基に、予報や注意報、警報をはじめとする各種気象情報を作成しており、言うなれば当庁の業務そのものが社会実装になろうかと思います。様々な観測をやっておりますが、それぞれが業務のための観測でありつつ、一方で国際的な観測網の一翼も担っているという一面がございます。
ここから幾つか、網羅的ではないのですが、主要なトピックを紹介させていただきます。
まず、4ページ目、「定常的な海洋観測」と題しておりますが、各種海洋観測を国際的な協力の下、実施しております。2段目に幾つか列挙しております。観測船による海洋観測は、世界各国があらかじめ割り振られた観測経路を毎年観測して、長期的に監視を行うプログラムに参加をしているものであります。
また、2つ目、地図に青い点がばらばらとありますが、アルゴ計画、中層フロートというものを世界で約3,000個流しておりますが、そのうちの幾つかは気象庁が分担をしているというものです。
その他衛星、これは外国の衛星も含めてですが、データを取って解析をしているものを、モデルや解析技術と組み合わせて、各種海洋の監視や予測に役立てています。
これらのものを、「海洋の健康診断表」という名前を付けておりますが、ホームページで各種情報を列挙して公開をし、関係省庁や自治体の方、主に港湾関係者や漁業関係者が想定されると思いますが、そういった政策に役立てていただいています。最近では、地球温暖化の観点でも、海洋に対する関心が上がってきていまして、そういったところでも利用していただきたいと思っています。
次のページになりますが、地球温暖化です。地球観測というと、一番イメージが近いのかなと思っておりますが、IPCCでも相当温暖化の進行が深刻だと言われているところです。気象庁でも、そういった方面の観測に各種取り組んでおります。
まず、下に図を付けておりますが、海洋観測では海水の中のCO2濃度を観測しております。
また、陸上でも日射・放射であったり、温室効果ガスの観測を国内の数地点で、観測をしています。
最近では、平成23年から自衛隊さんの協力を得て、南鳥島への定期便において、上空のCO2観測も始めています。これらを使って温室効果ガスの監視情報を出したり、地球温暖化予測情報という将来予測の方も行っています。
次のページですが、静止気象衛星。ちょうど今年、次の「ひまわり8号」が打ち上げになります。先日、打ち上げ予定日が決まりまして、10月7日に打ち上げということになりました。「ひまわり」は代々2機体制でやっておりますので、9号は平成28年に打ち上げ予定となっています。今回、解像度も相当強化しておりますし、観測間隔も30分から10分になるので、かなりいい観測ができるのではないかと考えております。例えば、積乱雲の発達などが、よく見えるのではないかということで、我々としても、そのデータをいかにうまく使っていくかというところを課題に頑張っているところです。
次のページですが、今後、解決すべき課題としましては、これはどこも同じだと思いますが、まず、観測を続けていくこと自体が大変だという状況があります。よって、世間のニーズを踏まえて、限られた予算の中で高度化と効率化を図っていく必要があり、毎年取り組んでおります。
一方で、観測データを使ってもらうという観点から、効果的な収集・提供・共有と題させていただきましたが、機関間でもデータを共有して、協力関係を構築して、効果的な観測網を築くということが、地球観測連携拠点の方でも取り組んでおられると思いますが、そういった取り組みが今後ますます重要になるのではないかと考えています。
あと、「速やかなデータ提供の促進」と書きましたが、研究者の方などは、なるべく早くデータが欲しいとよく言われています。特に気象では、観測に限った話ではなく、予測モデルのデータでありますが、なるべく早く提供するようにしてほしいという方もたくさんいらっしゃいます。
また、観測してデータを公開するだけでは十分ではないと思っています。利用者ニーズを把握して、どういう見せ方、出し方をしていくかといった取組が、今後、更に求められていくと考えています。
もう一つ、「データアーカイブ」と書きましたが、次期静止気象衛星のデータが右上の図で、現行の衛星に比べて約50倍になるということで、大変な容量になっております。その他、気象庁では、過去の気候の再現、JRA-55長期再解析というものをやっておりますが、これも相当な容量のデータになっております。頑張ってデータを作っているのですが、自らアーカイブする環境が十分でない現状がありまして、こういったデータを今後どうやってアーカイブし、提供していくかということが、課題になっています。
その他は、先ほどから何回か申し上げておりますが、そういったデータをいかに流通させていくかということと、あと、なるべく利用者に優しいといいますか、なるべくとっつきやすいような提供の仕方。例えば、バイナリー形式で与えられてもなかなか一般の方は使いにくいというところがありますので、なるべくテキストで提供するとか、そういった取り組みが今後重要だと考えているところであります。
次のページ、今後重視する取組、これは重複しますが、引き続き各種観測を継続してやっていく必要があろうと思っています。
2点目の「地球環境データの提供」と書いていますが、これも幾つか述べましたが、データの見せ方、使いやすさ、どういうふうに使ってもらうのか、どういった目的で使ってもらうのかというところを念頭に置きながら、我々もデータを作っていく必要があると思っております。
関係機関との連携強化という観点では、観測網を構築する上での連携もそうですが、観測したデータの品質管理をどうするのかとか、利用者目線の活動がこれから重要ではないかと考えています。先ほども申しましたけれども、今後、アーカイブをどうするかということも重要な課題になっております。
次のページにまいります。国際動向としましては、GCOSというものを紹介いたします。これは第2回世界気候会議、これはWMOが中心となって開催している幾つかの国連機関が参加して気候に関する大きな意思決定を行う会議になりますが、その会議でGCOSというものが1990年に設立が決定されております。この機関の役割として、各国の気象機関が行っている観測の調整、どういった観測が気候の監視に有効かということ等を検討などがございます。このGCOSは、GEOSSの気候観測のコンポーネントを担っています。
あと、図の中にもありますが、GFCSという取組が、第3回世界気候会議で承認されております。これは、利用者ニーズを踏まえたデータを流通させていこうという、少し概念的な面はありますが、取組です。国内のみならず国際的にもそういう機運が高まっておりますのでここで御紹介しておきます。
最後ですが、「その他」ということで、これもくどいようですが、厳しい予算事情の中で、どうやって協力してやっていくかということは、これまで何回か述べさせていただきました。あくまで一例ですが、各国の協力により成り立っている赤道域の海洋ブイ観測が、各国の機関の予算が非常に厳しいこともあり、継続が厳しくなっております。赤道域の海洋観測というのは、気候への影響が大きく、重要でありますので、こういったものを国際的な連携の下に継続していく活動が今後必要ではないか考えております。
最後にも書きましたが、「アーカイブ環境の構築」です。なかなか単独主体で解決しづらい問題でもありますが、オープンデータの流れもありますし、何らかの動きがあればと思っています。既に文部科学省の方では、DIAS(データ統合・解析システム)に取り組んでおられますので、例えば、そういった動きを更に推進するといったことも一案かなと思っております。
以上です。
 
【小池(勲)部会長】
それでは、次、環境省の方から、お願いいたします。
 
【竹本研究調査室長】
環境省研究調査室長の竹本と申します。
資料の3-3でございます。1枚めくっていただきまして、まず、環境省における地球観測に関する主な取組でございます。
初めは、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」による取組でございまして、これは平成16年度以降、文部科学省と連携をして、いわゆるGOSATの観測データの解析を行うとともに、後継機の開発に取り組んでいるところでございます。
続きまして、地球環境保全試験研究費、地球一括計上と呼ばれているものでございますが、こちらは平成13年度に設立されました。国の研究機関を対象に温暖化問題の解決に資する科学的知見の集積を通じて、行政課題の解決を科学的側面から支援するものでございまして、多くの地球観測に関する研究が行われております。
3番目は、環境研究総合推進費でございまして、平成2年度以降、これは観測以外のものも含めた環境研究を総合的に推進しているものでございます。
続きまして、地球規模生物多様性モニタリング推進事業でございます。これは、平成15年度から始まっております。例えば、国内の様々な生態系の調査サイト、約1,000か所で継続的に動植物やその生育環境のモニタリング調査を実施し、かつアジアでも生物多様性情報の収集・整備・提供を行っているものでございます。
最後は、国際的な枠組みでございますけれども、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク、APN、こちらについては平成8年度に設立されましたが、環境省は継続して拠出金等による支援を行っているところでございます。
続きまして、これはその取組の一例でございますが、国立環境研究所における地球環境モニタリング事業でございます。御覧のとおり、温室効果ガスの航空機、船舶、陸上でのモニタリングに加えまして、温暖化の影響のモニタリング、あるいは有害紫外線のモニタリングなどを行い、また標準ガスの管理開発なども実施しているところでございます。
次のページでございます。「今後解決すべき課題」としては、主として3点挙げられます。まず、「国内外の環境政策の立案・実施に資する科学的知見の提供」でございます。これは、これまでも環境省の施策として地球観測を実施してきたところでございますので、これからもこのような視点で地球観測を行っていく必要があると考えております。
2番目は、「長期的な観測の継続的な実施」ということで、これは、どの省庁においても重要な課題かと思いますが、長期的、継続的な実施が必要であると。
3番目といたしましては、主として「途上国の科学者や研究機関に対する能力開発」。地球規模で行う観測につきましては、やはり途上国の能力の向上が重要であろうと考えております。
具体的な事例でございますけれども、気候変動政策に関しては、温室効果ガスのインベントリ、それから、地域気候モデル、JCM、森林吸収源対策、あるいは気候変動の影響のモニタリングなどが挙げられますし、目新しいところでは、水俣条約に基づく水銀対策における国際及び国内戦略の貢献といったものが挙げられます。
続きまして、「今後重視する取組」でございますけれども、今申し上げたような課題を踏まえまして、まず衛星観測と地上観測を統合した長期的な温室効果ガスモニタリングの推進が挙げられます。これは、先ほど申し上げた温室効果ガス観測衛星のデータ利用の促進、後継機開発とともに、地上観測、船舶、航空機、衛星を用いた時系列変動の観測。さらには、統合的観測解析システムの構築による全球・アジア太平洋の炭素循環変化の早期検出を行ってまいります。
また、温暖化の影響監視のための地球観測としては、各種温暖化影響、特にサンゴ、高山植物など、生態系のモニタリングというものを環境省としては重視しております。
その関連で、地球規模生物多様性モニタリングも引き続き実施していくとともに、水銀測定濃度の濃度予測の推進。
さらには、こういった継続的な監視をサポートする試験研究費の強化、それから、国際的な取組の強化といったものが挙げられます。
以降は事例でございますので、簡単に御紹介いたしますが、いわゆるGOSATにつきましては、文部科学省と連携し、実行はJAXA、国立環境研究所と共同で開発を行い、現行機につきましては、現在データの収集を行い、解析を進めているところでございます。また、後継機につきましては、平成29年度の打ち上げを目指して、開発に着手したところでございます。
ちなみに、後継機につきましては、二酸化炭素の温室効果ガスの観測に加えまして、ブラックカーボンの観測も行い、気候変動対策のみならず、いわゆる大気汚染の問題についても貢献していきたいと考えているところでございます。
次のページでございますが、統合的観測解析システムの構築に関しましては、御覧のとおり衛星の観測、航空機、船舶の観測、地上観測、こういったデータを用いて、インバージョン・データ同化手法による全球の炭素収支の高精度評価を行いまして、温暖化の進行に伴う炭素循環の変化、ホットスポットの早期検出、さらには、環境・社会・経済の適応可能性を向上させるということを目指していきたいと考えております。
次は、生物多様性のモニタリングでございますけれども、この写真にございますように、国内では1,000か所で様々な機関の協力を得ながら、生物種生態系のモニタリングを行っております。こういったノウハウを、今後途上国にも拡大していきたいと考えております。特にIPBES――生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォームへの貢献ですとか、もちろんGEOSSへの貢献もございますし、さらには、東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブ、ESABIIと呼んでおりますが、こちらの分類学データの収集、国際ネットワークもできておりますので、こちらについても貢献をしていきたいと考えております。
次のページでございますが、水銀に関する水俣条約の実施推進事業ということで、御案内のとおり、「水銀に関する水俣条約」が採択・署名されまして、我が国は水俣(みなまた)病の経験国として、特に途上国の水銀の測定、あるいは濃度予測の向上に積極的に貢献していく必要があると考えておりますので、モニタリングのネットワークの構築強化を図っていきたいと考えております。
その次、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク、APNでございますけれども、こちらは、地球変動研究推進のためのアジア太平洋22か国の政府間組織でございまして、ミッションは国際共同研究に対する資金の支援、それから、途上国科学者の人材育成でございまして、これまで様々な地球観測を後押しするような活動を行ってきたところでございます。
また、最近は「適応・減災・ロス&ダメージ」に関する特別のプログラムを立ち上げるなど、一層その環境政策のニーズに合わせた資金支援を行っているということであります。
次のページでございますが、「関連する国際動向等」でございますけれども、今申し上げたような取組を、かなり環境省は国際関係の地球観測活動を数多く実施しておりますので、これらを実施していくというものでございます。
あとは、御参考として、国際的なGEOSSの活動といたしましては、今申し上げたAPNでは、アジア水循環イニシアティブについて、数多くのプロジェクトを支援しております。
また、モンスーンアジア地域気候モデル、CORDEXの開発にも多く関与しておりますし、モンスーンアジア統合地域研究、MAIRSについても推進しているところでございます。
最後に「その他」でございます。ほかの省庁からも出ておりますけれども、やはり長期的・継続的な地球観測が極めて重要でありますので、関係機関の理解の促進を図っていただきたいということと、国際共同研究について、日本人研究者がもっと参加できるような仕組み作りが必要ではないかと考えております。
以上です。
 
【小池(勲)部会長】
はい。ありがとうございました。
次は、文部科学省の地震・防災研究課からお願いいたします。
 
【丸山地震・防災研究課防災科学技術推進室長】
それでは、文部科学省地震・防災研究課から資料3-4について御説明申し上げます。
2ページでございます。「地球観測に関する取組状況」でございますが、基本的には地震・津波観測のシステムでございまして、1つがDONETという海洋研究開発機構が進めているものでございますが、東南海・南海地震の想定地震域をカバーしているリアルタイムの観測ネットワークでございます。
それから、もう一つ、防災科学技術研究所が進めております、日本海溝の海底地震・津波観測網、S-netでございます。
1つは、DONETにつきましては、現在、熊野灘で整備が進められて、運用を開始しており、今は潮岬から室戸岬のところを整備しているところでございます。それから、S-netでございますけれども、現在整備中でございまして、27年度には本格運用を開始する予定でございます。いずれにしても、これもリアルタイムでデータを取って、データは気象庁等の関係機関に送られる予定でございます。
それから、地震・火山観測網でございますが、防災科学技術研究所が進めているものでございまして、強震動に至る様々な地震動や火山活動を観測しているものでございまして、これらデータにつきましても、リアルタイムで気象庁等の研究機関に伝送されているところでございます。
それから、気象でございますが、これも防災科学技術研究所で開発されたXバンドMPレーダーがございますが、これにつきましては、その成果が国交省のXRAINというシステムで全国展開されていて、河川管理や水防、自治体等への情報発信に活用されているところでございます。
次のページでございますが、「今後解決すべき課題」でございますけれども、地震・津波観測のシステムでございますが、いわゆる津波警報や緊急地震速報への活用について取り組む予定でございます。
それから、DONETにつきましては、整備が終了後においては、防災科学技術研究所に移管されて、S-netとともに一体的な運用を行うこととしてございます。
それから、地震観測網でございますが、こういうシステムでございますけれども、老朽化及び故障した地震観測網についても、計画的に更新する必要があるというのが課題でございます。
それから、気象でございますけれども、気象システムについても、最近局地的な災害が多くございますので、新たな早期予測技術の社会実装等の開発を進める必要があるということでございます。
続きまして、4ページでございます。「今後重視する取組」でございますが、いわゆる地震・津波観測のシステムでございますけれども、観測網の整備を着実に進めて、安定的な運用を図る必要がございます。海域、陸域については、一体的に運用し、研究開発を進める必要があるということでございます。
それから、地震・火山観測網でございますが、課題でも述べたように、いわゆる計画的な更新というのが必要で、重要であるということ。
それから、気象でございますけれども、異常気象による突発的・局所的な自然災害に関する早期予測システムの確立ということで、例えば雨が降る前に1時間先のゲリラ豪雨の予測とか、竜巻についての局所的な市町村単位での予測等々のシステム確立というのを考えられているところでございます。
続きまして、5ページでございますが、「関連する国際動向」でございます。いわゆる地震・津波観測システムでございますけれども、現在、大規模な海底ケーブル観測システムがございまして、国際協力の観点から、ニーズがあれば、システムの海外展開を推進していくということ。
それから、地震・火山観測網でございますけれども、フィリピンやインドネシア等のアジア・環太平洋地域を主たる対象として、緊急地震・津波警報システムの開発や住宅の人的安全性に関する研究等を支援していくということを考えてございます。
それから、気象でございますが、現在、「気象変動に伴う極端気象に強い都市創り」というプロジェクトにつきましては、WMOによる国際研究開発プロジェクトで認証されて進めているところでございます。
簡単ではございますが、以上でございます。
 
【小池(勲)部会長】
はい。ありがとうございました。
それでは、次は海洋地球課からお願いします。
 
【清浦海洋地球課長】
はい。それでは、海洋地球課でございます。
海洋及び極域に関する取組につきまして、ポイントのみ御説明したいと思います。資料は資料3-5でございます。
3ページ目でございますが、まず、海洋についてでございます。海洋につきましては、特に海洋研究開発機構(JAMSTEC)を中心に気候変動、物質循環、生物多様性と幅広い観測を行っております。
4ページ目、5ページ目につきましては、具体的な個々の取組ですので、説明は割愛させていただきます。
6ページ目に、「今後解決すべき課題」といたしまして、海洋観測の中でも不足・欠落があるところについての対応をマトリックスでまとめております。こちらにつきましては、この中から少しポイントを絞ったものを7ページに書いておりますので、見ていただければと思います。
今後重視する取組の方向性といたしまして、新たなチャレンジが求められる重要な分野というところで、国際協力しながら、しかも新しい観測システムというのを開発していくところにチャレンジしていくことかと思っております。
1点目で、北極域の観測というのがございます。北極に関しましては、今、国際的にも航路、それから、資源の問題で注目されておりますけれども、非常に脆弱(ぜいじゃく)な環境をどう保全するか。あるいは、その北極の環境変化というのが全球的にどう影響するかというのが未解明でございます。一方で、科学データが非常に不足しているということでございまして、科学データが不足している中で、しかしながら、その開発も含めてガバナンスの在り方について国際的な議論が活発化しておりますので、ここの部分の観測は強化していきたいと考えております。
それから、海洋生態系、海洋環境評価の点につきましては、こちらは物理的なデータに比べまして、生態系のデータについては不足しておりまして、この観測手法、データ共有化の議論についても発展途上と考えております。例えば、今あるArgoは物理データですけれども、これを、いわゆるBio-Argoにするという国際的な議論にも積極的に参加していくということかと思います。それから、例えば海洋資源開発などにおいては、海洋の環境評価というのは必須でございますので、こういったところに手当てをしていく。
それから、3番目で、海洋深層の高精度把握と書いておりますけれども、気候変動の関係におきますと、海洋の深層の熱バランスを把握するのは非常に重要だと言われておりますけれども、特に今のArgo計画は2,000メートルまでということで、それより深いところの状況、あるいはその海域によっては観測が十分でないところがございまして、この辺りの取組を強化していきたい。
それから、沿岸域に関しましては、各国でデータはあるものの、共有化がされていないという問題もございまして、特にGEOSS/Blue Planetなどを通じて貢献していきたいと考えております。
それから、次のページでございますが、これらの取組を支える観測技術、あるいは機器開発の点で、例えばセンサー、特にCO2、PHといったセンサー類、それから、観測するプラットフォーム、それから、様々な高精度、高密度観測によってデータが爆発的に増えております。これを統合的な解析を支えるインフラについても整備をしていくということを考えております。
それから、その次の9ページでございます。こちらは、ひとつの事例でございますが、注目すべき事例だと思いまして、是非御紹介したいと思っております。
これは、WOCという欧米を中心にした海に関する民間協力の集まりでございますけれども、海運会社、エネルギー関係、水産関係といった様々な団体が集まっているところでございますが、こちらの団体が主催しまして、海洋をテーマにする国際会議、今後の海洋政策等計画を産業界とポリシーメーカーがどう関係すべきかというところでございまして、テーマとして、「Sustainable development goals」(SDGs)のうち、Ocean(海洋)の部分について、産業界はどう取り組んでいくかという議論をしているというところでございます。
SDGsのターゲットの例を幾つか挙げておりますけれども、こちらのアクションにつきましては、必ずSDGsの考え方として、それをどう評価し、モニタリングしていくかという観点がございますので、こういう国際的な動きについてもフォローアップをしていきたいと考えております。
それから、その次につきましては、北極と南極でございます。北極につきましては、先ほども少し述べましたけれども、短期的に激しく変動している北極域、それから、南極につきましては、今現在、全体で見ると気温についても安定しているものの、その変動があった場合は、全球に与える影響が非常に大きいというところを長期的に観測する仕組みを維持していくということが重要かと思っております。
12ページ目を飛ばしまして、13ページ目でございますが、北極に関しましては、27年度概算要求におきましても、これまでの取組を重視する、拡充する取組について概算要求していきたいと思っております。特にブラックカーボンや海洋酸性化といった、科学的にも未解明である部分、国際的にも注目が集まっている部分、それから、データの空白域のところ、それから、人材の育成といったところに力を入れていきたいと考えております。
それから、14ページ目でございますけれども、特に北極域を中心にした問題につきまして、非北極圏である我が国の立場といたしましては、極域の問題をグローバルイシューとして取り扱っているような多国間の場を積極的に活用して参画していきたいと考えてございます。
例えば、ダボス会議では、今年1月に、初めて北極に関するレポートが出て、議論が始まるところでございます。
SAONといいますのは、北極圏国の集まりであるACというところと、非北極圏も合わせたところで、観測のネットワーキングをどうしていこうか、データの取扱いをどうしようかということを議論しているところでございます。こちらについては、GEOの事務局も参画いたしておりまして、GEOの事務局は「コールドリージョン」、これは北極、南極、それに加えて高山地域を含めた観測を強化するプログラムでございますが、こちらを呼び掛けているという状況です。
それから、WMOにつきましては、IPPIという、これも両極に加え高山地域を合わせたイニシアティブというものを提唱しているところでありますし、あるいは今、ベルモントフォーラムの枠組みで北極について募集中でございます。今選考中でございまして、こちらの動きというのが、観測研究、あるいはデータ共有化の国際協働を促進していくものと考えておりまして、日本としても積極的に取り組んでいきたいと思っております。
以上でございます。
 
【小池(勲)部会長】
はい。ありがとうございました。
それでは、宇宙開発利用課の方からお願いします。
 
【国分宇宙開発利用課課長補佐】
はい。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の所管課であります文部科学省宇宙開発利用課でございます。我々の方は、ユーザーというよりは、ユーザーニーズに基づいた人工衛星の開発をする立場としてのプレゼンをさせていただきたいと思います。
1枚おめくりください。御承知置きかもしれませんが、JAXAでの人工衛星の開発というのは、GEOSSの10年計画に沿った形でやっておりまして、ここの中で分けられている9つの社会利益分野、それぞれにJAXAの衛星を当てはめるような形で認識しております。
例えば、一番左の「災害の防止・軽減」という欄でございますけれども、災害の防止という観点からは、ALOSシリーズというものをこれまで打ち上げてきておりまして、東日本大震災の後に運用を終了したALOS、このアーカイブデータは、今でも使われております。それから、本年5月にまさに打ち上げましたレーダー衛星の「だいち2号」、それから、一番下に「計画中」とありますが、来年度の概算要求で計上しております先進光学衛星というものを検討しております。
それから、「気候変動」というピンクの欄ですけれども、このカテゴリーに貢献するものとしては、先ほど環境省さんからも御紹介がありましたけれども、GOSATシリーズを開発し、運用しているところでございます。
また、一番右の「水資源管理の向上」という分野におきましては、降水量ですとか、水蒸気量とか、水循環に関して観測するGCOM-W、こちらは平成24年から運用しております。それから、GCOM-Cという雲やエアロゾルの面的分布を見るような衛星、それから、日米の合同プロジェクトであるGPM/DPR、GPMという衛星の主衛星にDPRという二周波降水レーダーという降水の三次元分布を見るようなレーダーを開発し、搭載して、本年2月に打ち上げたところでございます。
それから、一番右下のEarthCAREというプロジェクトも、今度は日本と欧州、ESAとの共同ミッションでございまして、雲やエアロゾルの垂直分布を見る雲プロファイリングレーダー、CPRを搭載し、平成28年度に打ち上げられる予定で開発しているところでございます。
これら衛星がどのように使われているかということを3ページ目以降に書いておりますが、時間もありますので、簡単に使われ方だけ一部御紹介しようと思います。
3ページ目ですと、真ん中の「想定している利用者」というところの最初の丸ですけれども、国内及びアジア地域等の大規模災害発生状況の迅速な俯瞰(ふかん)をするために、「関係機関」とありますが、内閣府防災担当さんをはじめとした関係機関のネットワークがございまして、こちらに書かせていただいているような内閣官房、警察庁、消防庁、防衛省、国交省、地方自治体、センチネル・アジア、国際災害チャータなど、それぞれの防災活動に貢献しているところでございます。
それから、もう一枚おめくりいただきまして、4ページでございます。こちらは先ほど環境省さんからも御説明がありましたので割愛しますが、環境省さん、また国立環境研さんと協力して、温室効果ガス排出量等のモニタリングを行っているところでございます。
それから、5ページでございます。5ページはGCOMという、先ほど御紹介しましたGCOM-Wという水循環に関する観測衛星ですけれども、こちらも真ん中にありますように、もう既に気象庁等にデータは提供しておりまして、天気予報の精度向上ですとか、魚海況情報発信等による漁業分野での現業でも活用されているところでございます。
それから、6ページ目、GCOM-Cでございます。こちらはまだ開発中のものではございますが、「想定している利用者/期待される成果」ということで、真ん中に書かせていただいているのは、大気、陸域、海洋、雪氷等の幅広いプロダクトの提供によって、気候変動予測研究に活用していただこうと考えており、またGCOM-Wと同じように、漁業の現業にも活用していただけるものではないかと考えているところでございます。
それから、7ページ目、GPM/DPRですけれども、こちらも数値天気予報の精度向上ですとか、こういった台風予測精度向上等に活用されてきておりまして、気象庁さんや国内外の海外気象機関にデータを提供しているところでございます。
また、8ページ目、EarthCARE/CPRでございますが、こちらも開発中ではございますが、今後は真ん中にございますように、IPCCの第6次報告書に反映をしていかれるように頑張っているところでございます。
また、9ページ目以降は、平成27年度概算要求で行っているものでございますが、先ほど国土地理院さんからも御紹介がありましたとおり、データの切れ目ない提供というのが、我々、とても必要なことだと思っておりまして、少し間が空(あ)いてしまいましたが、ALOSのときに搭載されていた光学衛星の技術的蓄積を活用して、更に発展させるような形で光学衛星をより使いやすい形で提供していきたいと考えているところでございます。
それから、10ページ目は、こういった光学衛星等のデータの増大化に伴って、送信されるデータ量が大分大きくなっております。こういったデータの大容量化に伴って、光通信によってデータを中継するような形で地上にダウンリンクするといった機能が必要になってきておりますので、この光データ中継衛星というものを併せて開発するということを、今、平成27年度概算要求で計上しているところでございます。
また、最後に参考でございますが、11ページでございます。最初のGEOSS検討会のところで少し言及がございましたが、こういったJAXAの衛星等々は、アジアの中で衛星の災害関連情報の共有をなされる枠組みがありまして、我が国主導の国際協力プロジェクトとしてセンチネル・アジアというものが運用されております。この中で、「だいち」、ALOSなどの地球観測データを、開発途上国を中心とした諸外国の関係機関に、災害があるたびに提供するような枠組みがありますので、こういった活動も御紹介させていただきたいと思いました。
以上でございます。
 
【小池(勲)部会長】
はい。ありがとうございました。
それでは、最後に、平成17年度に当部会が設置を承認いたしました地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点が3月に開催しましたワークショップの概要について、今後のGEOSSに望むこと、提案なども含めて御報告いただけたらと思います。
また、この拠点は、地球温暖化に関するモニタリングや研究活動に対するニーズを集約し、地球観測推進部会における検討にインプットすることがミッションのひとつになっておりますので、今回の検討にも資する御報告を頂きたいと思います。
この推進事務局の事務局長である藤谷委員の方から、よろしくお願いいたします。
 
【藤谷委員】
それでは、私の方から御報告いたします。今、主査から御案内がありましたように、現行の推進戦略に基づき、連携拠点が設置されまして、約8年経過しております。実は昨年、どういうことを行ってきたかということに関する自己評価資料をこの部会で御報告したところでございますけれども、今回、今後の実施方針の策定に参考になるのではないかということで、少し御報告させていただきます。
お手元の資料4-1でございますけれども、連携拠点では毎年観測の視点からワークショップを行っております。ワークショップでは総合討論を行いまして、その中でどのようにすれば連携施策に資することができるかという視点から取組を取りまとめております。それを本部会に報告し、毎年取りまとめられております観測の実施方針に幾つか引用されているところでございます。
1ページ目の下側にございますように、平成25年度には「陸域における炭素循環及び生態系・生物多様性観測の最近の動向」というタイトルでワークショップを開催いたしました。平成21年度まで実施しておりました、「陸域観測のJaLTER、JapanFLUX、モニタリングサイト1000の連携の推進」という連携施策のフォローアップということで計画いたしました。ワークショップの総合討論で今後の方向性等について議論を行いました。その結果を取りまとめましたので、本日、御報告するということです。
詳しい取りまとめ資料は、資料4-2にございますが、本日はこの資料4-1のレジュメで御説明いたします。
1枚めくっていただきまして、上の方でございますが、平成21年まで行いました連携施策では、平成20年度に「陸域炭素循環観測と生態系の連携」というタイトルでワークショップをやっています。そこで、「陸幾炭素循環観測と生態系観測の連携に関する取組について」を取りまとめました。
そこに取りまとめられた項目がございますが、前半の3つは陸域全体の話、後半の3つは森林の話でございます。このような取組が重要であるということを、この部会で御報告させていただきました。
その結果、「平成22年度の我が国における地球観測の実施方針」にそのうちの3項目が取り上げられました。そこにございますように、「炭素循環、水循環、生態系、衛星観測を長期的に行うプラットフォームの共同利用」でございますとか、「衛星観測との直接的な対比を行うために十分な空間代表性を持つ地上観測網の共同利用」、さらには「地上・衛星観測データの品質管理と統合解析を総合的かつ長期的に行う体制の確立」、そういうところが実施方針に明記されたところでございます。
次のページに移っていただきまして、平成20年度にワークショップを行ったわけでございますが、御案内のように、その後、多くの分野でいろいろな連携が進んでございます。そこにございますように、分野連携としましては、衛星-生理生態学、J連携、あるいはアメリカではU.S.Carbon Cycle Science Planが策定され、GEOではCarbon Strategyというのが2010年に策定されてございます。
それから、観測ネットワークの進展ということでは、AsiaFlux/JapanFluxが進みましたし、JaLTER、モニタリング1000、FLUXNET、ILTER、NEON、それからGEO-BONというように、国際的にも国内的にもいろいろな進展がございます。
は、DIAS、さらにはグリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス事業の環境情報分野でいろいろな情報基盤が進んでおります。このように平成20年以降、相当いろいろなことが進んでいる状況でございます。それで、このような活動を総括して、今後の方向性を見てみようことで、総合討論を行いました。今後の方向性として、「長期・統合的観測による陸域観測研究の推進並びに予測研究との連携」ということで、総合討論を行いまし。その結果、そこにございますように、地上・衛星・モデルの統合ということで4つ、長期観測の継続ということで3つ、重要な項目として取りあげて議論を行っております。
詳しいことは資料4-2にございますけれども、まず地上・衛星・モデルの統合、情報の統融合でございますけれども、重要な項目として、統合的陸域観測、観測ネットワーク、情報基盤の整備、モデルとの連携、を上げさせていただいております。
長期観測の継続ということでは、研究を推進するための基盤的なことになるわけですけれども、人材育成、予算の確保、国内・国際連携の推進ということが重要であるということで議論をしたわけでございます。
その結果としまして、次のページ、総合討論のまとめということで、統合的陸域観測を推進するためには、以下の取組を推進する必要があるということで、4つほど挙げさせていただいております。具体的には、種々の取組全体を包括し、長期的に持続可能な組織、例えばコンソーシアシム等の構築。組織を超えた陸域観測データの相互利用等の推進。観測とモデルの連携の観点からの陸域における長期継続観測の重要性の広報。陸域関係研究コミュニティ間並びに政策決定者との対話。このような4項目の取組が今後必要だろうということを総合討論で取りまとめてございます。
そういう観点から見ますと、今、次期GEOSSの取組がいろいろ検討されているところでございますけれども、その中で是非とも以下のような項目についていろいろ御検討いただきたいということで、まとめさせていただきました。
1つは長期的に持続可能な組織の構築でございます。それから、観測データの相互利用の推進。3番目は、長期継続観測の重要性の広報で、これが非常に重要だと思っています。最後、4番目は政策決定者との対話の実施でございます。この最後2項目が、今後いろいろな施策を進めていく上で、非常に重要になってくるのではないかと考えてございます。
次に、資料4-3でございます。部会事務局からデータの利活用について、何か話題がないかというリクエストがございました。データの利活用につきましては詳しくございませんのでお断りしたのですが、資料の1ページ目の下にございますように、連携拠点として、平成23年12月にワークショップ「長期観測データの取得・発掘・保存」というのを開催しております。そこでの総合討論の取りまとめとして、2つの項目、長期継続観測の実現という部分と、データの共有と利用促進とを本部会で御報告しておりますので、その観点から御報告させていただきます。
資料では、長期継続観測の部分は省略してございますけれども、データの共有の利用促進というところで、5項目ほど、あげさせていただいております。具体的には、「多くの分野におけるDIASの利用の一層の推進と、これによる国際プログラム、地域的施策等への直接的な貢献の推進」、「国際的なデータ共有の枠組みへの積極的かつタイムリーな参画とその支援」、「歴史的観測データに関する情報の集約・共有化とデータレスキューの実施」、「雪氷分野のデータアーカイブを担う中核的な組織の明確化」、「長期保存等に関する専門性を持った人材、データマネジャーの育成と、データアーカイブ業務の適切な評価の実施」でございます。
その中で、特に雪氷分野というのがありますが、実はこのとき、北極環境研究というのが議論されておりましたので、特に雪氷分野を特出ししたわけでございます。
次のページにいっていただきまして、そういう取組を御報告したところでございますけれども、平成25年度の実際方針におきまして、4項目取り上げていただきました。そのうちの(略)と書いてございますのは、長期継続観測関係でございます。データの共有と利用促進の部分につきましては、「国際的なデータ共有の枠組みへの積極的かつタイムリーな参画とその支援」、それから、「長期保存等に関する専門性を持った人材、データマネジャーの育成と、データアーカイブ業務の適切な評価の実施」が実施方針に明記されたところでございます。
そこから、少し気象に特化いたしますけれども、気象庁におけるデータの取扱いの状況について、簡単に書かせていただきました。
1つは、気象庁ホームページを通じた提供でございます。これには、リアルタイムデータと過去データを公開してございます。それから、民間気象業務支援センター経由ということで、気象業務支援センターを通じて、データの提供をやっています。これ以外にも、研究者へのデータ提供については、別途、気象学会と気象庁との間で、気象研究コンソーシアムというのを作って実施しているところでございます。
気象データの取扱いに関しましては、WMOに決議がございます。そこにございますように、Resolution40という決議で、これは1999年の第12回のコングレスで決められたところです。ここでベーシックなデータは無償、無制限に提供すると書かれております。それから、コマーシャルベースの提供についても条件を付けているわけでございます。その辺りのことがこの決議で示されてございます。気象関係は、このResolution40の原則に従ってデータ交換というのをやっているわけでございます。
今後、オープンデータに関する議論が進むわけでございますけれども、私の個人的な意見ということでまとめさせていただきました。1つは業務機関については、業務機関としてデータを公開することは、どの機関もそうですが、全く問題はありません。それはどの機関も認識しています。しかし、データを公開しますと、ユーザーがいろいろ利用を行う際に、いろいろ質問とかリクエストが来ます。単に公開しただけでは、なかなか済まない。業務の仕組みの中で外部からの問合せ等に対応する必要がありますが、そこがなかなか今の状況では難しいところがあります。組織・人・予算等の問題がございます。その辺りが非常に難しいのではないかと思います。したがって、そこにございますように、業務機関とユーザーをつなぐ仕組み、組織が必要だろうと考えられます。
先ほど言いましたように、気象関係ですと、気象業務支援センターがございますし、河川関係では、例えば河川情報センターというのがあります。そういう中間的な仕組みを作らないと、業務機関と一般ユーザーにつなぐというのは難しいのではないかと思われます。
一方、研究機関でオープンデータを進めることについては、業務として位置付けるというのはなかなか難しいのではないかと思います。専門性を持った人材の育成・確保というのも、なかなか難しいのではないか。さらに、その下にございますように、データアーカイブ・データ提供業務を行う人に対する適切な評価をする必要がある。適切な評価をしないと、なかなか人材が集まらない。研究機関についてはオープンデータというのは、いろいろ問題があるのではないかと、これは個人的な考えでございます。
次のページは、GEOSSの取組のことを参考に書いたところでございます。
以上でございます。
 
【小池(勲)部会長】
はい。どうもありがとうございました。
全部で7件の発表をしていただきましたけれども、来年の1月までに中間取りまとめをするということになっていますので、質問も含めて、中間評価の骨子をどう考えるかということについて、これから御議論いただきたいと思います。
議論のポイントとしては3つあると思っております。
地球観測が今後10年で取り組むべき社会的な課題は何か。また、そこで果たすべき観測の役割とは何かということが1つです。
それから、もうひとつは、先ほどから紹介がありましたGEOSSの新10年実施計画との関係、国際対応との関係で留意すべき事項は何かということがあります。
それから、今の二つ以外に、部会の中間取りまとめとして、是非入れなければいけないようなことがどういうことがあるかということについて、是非御議論いただきたいと思います。
今発表いただいたことに対する質問も含めて結構ですので、以上の3つのポイントについて、自由に御意見を伺えたらと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
今、各省から日本としての様々な活動、既にやられていること、それから、今後のやりたいこと、課題等の紹介がございましたけれども、今言われた社会的な課題はどういうことであるかということとか、それから、国際的な取組についてもいろいろ触れられていたと思います。
何か。はい、どうぞ。
 
【小池(俊)委員】
資料2の4ページを御覧いただきながら、今後の視点について、ちょっと意見を述べたいと思います。と同時に、先ほど御発表のあったいろいろな活動に対して、ちょっとコメントを差し上げたいと思います。これは、10年実施計画の新しい中で、このページの左と右に「改善すべき点」と「新たな視点」というのがありますが、この中で、右の「新たな視点」の中に、「地球観測と環境情報間の橋渡し役(ナレッジブローカー)としてのGEOSSの構築」というのがあります。ナレッジブローカーそのものの定義も、もう少し明確にしないといけないのですが、データとか情報だけではなくて、それが社会の知識になり、それを基に、私たちが行動できる情報の提供までが必要だと言っています。それは、「改善すべき点」のところの黒ポツの4番目にありますが、よく見てみると、いろいろな取組が行われているけれども、本当に国の意思決定にどこまで使われているかということが疑問であるということがあって、そのためには、橋渡し役というものが必要だという議論がございました。
それと同時に、「新たな視点」のところのポツの2つ目、3つ目ですが、社会経済データとの統合とか、モデル統合の強化というのが初めて入りました。これまでは、地球観測というのは観測だけだったのですが、ナレッジブローカーとしての役割をしようとすると、社会経済データとか、モデルとの統合が必要だということになります。そうしたときに、何が地球観測に求められるかというと、今、各省庁、あるいは課の中で御紹介がありました、いろいろな観測が行われているということですが、それが最終的にこういう社会経済データとか、いろいろなモデルと統合されていくような環境の場を作る必要があります。
それが、いわゆるデータ統合という役割になるわけです。この部会で推進していただいて、地球観測の実施計画に登録されている155の事業について、このメタデータ(データの目録)を作るというアクションがあり、さらには、そのメタデータからデータに直接アクセスできるようにするというアクションがございます。それに関連して、今申し上げたような視点で、各省庁、機関が、私たちの進めているDIASとどういう関係にあるかということを簡単に申し上げて、幾つかお願いしたいこともありますので、それを簡単に申し上げていきたいと思います。
国土地理院は、大変データベースを非常にしっかり作っておられて、国の中で大変使いやすいようになっております。ただ、このメタデータは日本国内だけで使えるメタデータでございまして、国際的に通用しないということになっております。
それで、私どもはGICATというソフトウエアを使って、これを国際的に通用できるパターンに変更してDIASの中に載せる努力をしております。そうしますと、DIASから国土地理院がどういうデータを使っていて、どういうものが使えるという検索情報が国際的に使えるようになります。その作業を進めておりまして、是非地理院のデータ担当の方と一層協力を進めていくことによって、先ほどのような社会経済データ、特に地理情報というのは非常に重要ですので、ほかの地球観測と組み合わせてやると非常に重要ですので、モデルにも必要ですから、是非お願いしたいと思います。
気象庁からは、特にビッグデータということで、「ひまわり8号」、「9号」とJRA-55というお話がありましたが、温暖化解析のデータセットも出来上がっておりまして、このJRA-55と温暖化解析第8巻は全てDIASにアーカイブされ、国際的にもDIASを通して海外の拠点に配付されております。ひまわり8号のデータも、リアルタイムでDIASでアーカイブするということを気象庁とDIASで協力して進めておりまして、非常に広いユーザーに使われるようなシステムの開発に取り組んでいるところです。10月7日の打ち上げ以降、具体的な作業を続け、1月半ばぐらいからデータが利用できる環境を御提供する予定です。こういうものが進み始めたというのは、気象庁と密接な協力関係ができたお陰です。
環境省におかれては、これは非常に進んでおりまして、特に国環研と協力させていただいて、JaLTERと温暖化データの連携利用が進んでおります。JaLTERについては、国環研でホームページをきちんと持って、データアーカイブがあるわけですが、DIASからオンラインで検索でき、かつデータが利用できるという環境ができていて、これも非常に広くデータが使われる環境ができております。
国環研でおまとめになっている温室効果ガスのデータについても、そのような状況になっています。環境省には生物多様性に関する多様なデータがありますので、これが国として、あるいは国際的にいろいろ利用できるようになっていくことを考えております。
地震・防災研究課の所管は、是非、今後連携していきたいと思います。
海洋地球課は、JAMSTECはDIASのコアメンバーでもありまして、密接にリンクしておりまして、JAMSTECの地球観測のデータセンターとダイナミックにリンクしているということで、データ利用が進んでおります。
JAXAについても同様でございまして、DIASで必要とする衛星データをDIASにアーカイブしております。さらに、JAXAのデータだけではなくて、NASAとかESA、NOAHと連携していただいて、必要となる衛星データを宇宙のいろいろな枠組みを通して、データを提供していただいたり、あるいは様々な機関とDIASをオンラインで結び、データが利用できるシステムをCEOSの枠組みを使って構築していただいています。
そういう形で、各省庁と具体的なものが動きつつありますので、それを強化させて、先ほど申し上げましたように、それぞれの所管がお持ちのミッションだけでなく、社会経済データの統合とか、モデルの統合、もちろんほかのデータとの統合も通して、ナレッジブローカー、要するにナレッジを提供できるような我が国の地球観測体制を是非作っていくべきだと思います。
以上です。
 
【小池(勲)部会長】
ほかにありますでしょうか。
はい、どうぞ。
 
【渡邉委員】
少し質問も兼ねて、コメントします。課題解決、あるいは政策決定に資する観測というところが1つのポイントと思います。質問は、資料で言いますと、先ほど文部科学省の方が御説明になった資料2の5ページ目の、SBA、9分野の見直しについてです。詳細は触れられなかったので、どのようなことが議論になっているかを教えていただきたいのが1つです。
そのときに、こういう利益分野のような切り口もあると思うのですけれども、具体的な課題解決とか政策決定に資するとすると、対象を空間にした切り口で、どこにフォーカスを当てた観測が必要かということも求められると思うのです。例えば、沿岸域とか、流域とか、農業ではなくて農村とか。また、先ほど御説明がありましたけれども、海洋だったらどこの深度レベルをやるのか分かりませんけれども、そんな空間範囲にフォーカスを当てた議論はないのかというのが質問です。そういう視点も取り入れたらいいというのが、私の意見です。
以上です。
 
【小池(勲)部会長】
これに関して、どちらがお答えになりますか。今の社会利益分野の見直しは。
 
【小池(俊)委員】
その議論は、先ほど木下さんから御紹介のあった「broad and deep」の枠組みで、非常に積極的に議論されております。
9つの利益分野は、コミュニティ・オブ・プラクティスという、観測から、それを利用するまでのコミュニティが出来上がっておりまして、これはGEOSSの第1期の大きな成果だと思います。この枠組みを壊すことはないというのが1つの大きな柱です。ですから、そういう若干の見直しというもの、海洋を強化するとか、そういうものは議論されているのですが、コミュニティ・オブ・プラクティスの枠組みは是非発展させていこうとしております。
それから、今、渡邉先生がおっしゃったとおりでございまして、場の議論というのがございまして、今は農村とか、流域とかいうより、もう少し広い形で、国際協力による地域の監視、あるいは地域における施策というように、地域を対象とした科学知の創成と共有、つまりナレッジブローカーの役割の構築を目指すことが考えられています。
また別の取組として、今議論が進行中で、来年の9月にまとめられる予定のSDGsで定義されているゴールのターゲットに対して、GEOSSと関連するものを集め、それを集約した形でグループを作っていこうという案もあります。
そういうものをいろいろ議論しながら、どれか1つに収れんさせるというのではなくて、幾つかの軸でGEOSSを設計していこうという議論が進んでおります。
以上です。
 
【小池(勲)部会長】
よろしいですか。
 
【渡邉委員】
はい。ありがとうございます。
 
【小池(勲)部会長】
はい。ほかに何かございますでしょうか。
できたら、先ほど私が申し上げました2点で、その下にどういうことを骨子としてまとめていくかということを、10月の次回までには、たたき台のようなものを作りたいと思っておりますので、御提案がありましたら、お願いしたいと思います。
今、小池俊雄委員の方から言われたナレッジブローカーという考え方は、どちらかというと、いわゆるデータを集めている人から、それをデータベースとして統合するルートをきちんとしたいという話で、そこから先の話というのが余りなかったように思うんですけれども、いわゆる出口はどういうふうにするか、先ほどの利益分野の話もそうですし、地域別の考え方もそうですけれども、それは実際、どういうターゲットにつなげていくのか。
 
【小池(俊)委員】
はい。それも重要な視点となっていまして、先ほどの資料2の5ページの黄色い四角が2つあります。その下の方の黄色い四角、「Tactical Issues」の中にございますが、黒ポツの下の方ですが、「ユーザーエンゲージメントの改善」というのがございます。
それで、出口として、大きく2つ切り口を持っていまして、1つは国際機関、あるいは国際イニシアティブとの連携、この部分のエンゲージメントをやるということで、先ほどの「SDGs」、あるいは、来年の3月に仙台で開かれます「第3回世界防災会議」で集約する予定の「Hyogo Framework for Action2」、これらの人類が目指すべき目標中に、例えばJAXAで主に進め、先ほども御紹介のありましたセンチネル・アジアのような活動をきちんと盛り込もうという提案などが、まとめられている最中です。その中に、地球観測というのをきちんと入れて、そしてセンチネル・アジアのような役割を強化するんだという文言を入れようとしております。
このように国際的に合意される人類の目標という最も高いレベルで、地球観測の役割を明確にし、その結果を人類で共有するということが、1つのユーザーの出口として取り組んでいます。
もう一つは、民間組織として世界銀行、地域開発銀行(アジア、アフリカ、アメリカ)だとか、あるいは政府開発援助(ODA)機関(JICAなど)などとの協力、また産業の活性化を目指し、民間企業と積極的に協力していくという方針です。
GEOの組織は、メンバー国と、参加機関(Participating Organization)から成り立っていますが、後者の取り組みについてはParticipating OrganizationとしてGEOに参加いただき、「ユーザーエンゲージメントの改善」進めようとしております。
民間組織は主にアメリカの担当者との協力が中心で、前者の国連の方は、私がまとめ役を仰せつかっております。
それから、もう一つ、資料2の4ページの左側の「国レベルのGEOの取組の推進」というのがありますが、これに関しては、国内のGEOSSの第2回検討会(6月4日)で議論していただき、同じ資料の6ページにまとめていただいておりますが、赤い字で示されている3つ目のポツにあるように、政策決定と観測の間を橋渡しする仲介役の必要性が強調されています。これは各国、各部局の局長レベルの方々になると考えておりますが、こういう方々に、地球観測のメリットなり、それから生まれてくるナレッジをちゃんとお伝えするということを進めていく必要があるのではないかという意見を出していただいております。これが、先ほど御紹介した4ページの「国レベルのGEOの取組の推進」と言う表現に色濃く出てきているということでございます。
 
【小池(勲)部会長】
いかがでしょうか。
私も、もう一つ、それに関して質問があるんですけれども、先ほど、いわゆるプライベートセクターとのつながりで、アメリカが中心になっているという話をされましたけれども、日本の場合、プライベートセクターとの接点、どちらかというと、日本の場合は政策決定者に対する情報提供という色彩が非常に強く打ち出されているような認識があるんですけれども、日本の場合はプライベートセクターへの情報、エンドユーザーというのは、どういうふうに考えられているんでしょうか。
 
【小池(俊)委員】
2つございます。一つは、現在電力会社が水力発電にDIASのシステムを具体的に使って、それを実運用にも持っていきたいという御提案がDIASに対して寄せられ、今、共同開発に取り組み始めたところです。そういうふうにダイレクトに公共で開発するものが民間に使われていくという事例がございます。
それから、もう一つ、今、文部科学省でDIASの今後の運用形態を御議論いただいている中で、利用分野の企業ではなく、いわゆる情報を生み出す企業からDIAS上地球観測データを使いながら、結果をエンドユーザーに提供する産業を活性化させたいという提案がございます。国(例えば、気象庁、国土交通省、環境省)、あるいは地方自治体(例えば長野県と共同でDIASを使った気候変動適応の情報共有システム開発)等の公共と直接協力するだけでなく、民間企業がエンドユーザーを想定して企画をDIASに提案するというものが進みつつあります。
 
【小池(勲)部会長】
ほかにいかがでしょうか。
 
【深澤委員】
これは、単に感想なんですが、いろいろな省庁、それから部局の現状、またGEOSSの方の状況も見て、2015年から進んでいく際に、DIASとかいろいろ動きがあるんですが、データを作っている人にまで、その思想が行き渡っているのかというのを、非常に危惧するんですね。
例えば、だんだん世代も変わってきて、要は地球観測サミットが行われて、地球観測の戦略が決められて、それがGEO、GEOSSにつながっていたという時代の意識と、その後にデータを作っている人たちの意識の間に、僕から見ると明らかにギャップがあると思うんですけれども、今そういった動きというのを、データを作っているところがどのくらい認識するように宣伝するのかというのは、それをやるのがこの場の役割なのかどうか、そこのところを何かしないといけないのかな。連携拠点というのが、その役に立つのかもしれないけれども、本当にデータを作っているところに、今の話が行っているのかというのを、ちょっと危惧しました。
それは、僕が、例えばGCOSのレビューをやっているんですけれども、そのときにGCOSのデータを作っている各国の現業機関が考えていることと、GCOSの考えていることに実はずれがあるのではないかとか、そういうことを非常に思うので、特にGEOSSという形で強力に動ける国際的な枠組みの場合には、その発想がきちんと末端まで、何らかの形で宣伝されて、認識されるような方法をうまく取れたらいいなという気は持ちます。そういう感じがありました。
 
【小池(勲)部会長】
はい。ありがとうございます。
今のも大事な視点だと思います。恐らく、始まったときは、かなり実際のデータを作っている人たちが中心になって、これをやり始めたところがあると思いますけれども、いわゆるエンドユーザーの方から見てくると、データを作っているまでには何層かあるわけですね。その何層かがうまくつながっていないと、話が途中で少しずれてしまうということがあると思いますので、それも含めて、きちんと次の10年間を考えたいと思います。
今日、もう少し委員の方の御意見を頂きたかったんですけれども、時間になりましたので、できましたら、事務局の方に、それぞれの省から御紹介いただいた報告に対する質問、コメントでも構いませんので、お寄せいただければ有り難いと思います。
事務局の方、いかがでしょうか。今の議論で、何らかの取っ掛かりはできますね。少し具体的なものにしてみないと話が先へ進みませんので、できたら、皆さんの意見を今後も頂きながら骨子案を作っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

議題(3)その他

【小池(勲)部会長】
その他、事務局から何かございますでしょうか。
 
【木下環境科学技術推進専門官】
それでは、参考資料5を御確認ください。
今年度は、もろもろの事情で遅くなりましたが、「平成26年度の我が国における地球観測の実施計画」というのを、各省の御協力を頂きまして取りまとめましたので、この場で配付させていただきます。時間がございませんので、説明は割愛いたします。
それから、次に、今後の日程の御紹介です。第7回は、既に委員の先生方にはメールでも御案内しているところですが、10月31日、金曜日の午後3時半から午後5時半、本日と同じこの会議室で開催をいたします。
その後の予定といたしましては、第8回は12月上旬、第9回は1月中旬を予定しております。詳細につきましては、事務局より追って御案内させていただきます。
今、小池部会長から御指摘のありましたように、御意見の取りまとめの締切り等も、併せて御連絡を改めてさせていただきます。
本日の議事録は、後日メールで委員の皆様にお送りさせていただきます。修正等あれば、御指摘いただきますよう、お願いいたします。
最終的には文部科学省ホームページに掲載いたします。
 
【小池(勲)部会長】
はい。それでは、これをもちまして、地球観測推進部会の第6回の会合を閉会したいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)