第5期地球観測推進部会(第2回) 議事録

1.日時

平成25年6月17日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点からの報告
  2. DIASによる地球観測データ及びメタデータのアーカイブについて
  3. 平成26年度の我が国における地球観測の実施方針について
  4. 地球観測の推進戦略の見直しについて
  5. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、大垣部会長代理、沖委員、甲斐沼委員、河宮委員、小池(俊)委員、杉本委員、寶委員、瀧澤委員、中澤委員、深澤委員、藤谷委員、安岡委員、和気委員、渡邉委員

文部科学省

清浦 環境科学技術推進官、畑山 地球観測推進専門官 他

5.議事録

【小池(勲)部会長】
それでは、時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の第5期の第2回会合を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
まず、事務局より出席者の確認をお願いいたします。

【清浦推進官】
本日御出席の委員数が15名、過半数に達しましたので部会は成立となります。また、本部会は、部会運営規則により公開とさせていただきます。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【清浦推進官】
それでは、議事に入る前に本日の資料を確認させていただきます。次第に配付資料の一覧を記載しております。資料の1から7、参考資料の1から3でございます。御確認いただきまして、資料に不足がございましたら、事務局までお申し付けいただきますようお願いいたします。
本日は、お手元の議事次第にありますとおり、5件の議題を予定しております。また、会議終了時刻は15時を予定しております。

議題(1)地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点からの報告

【小池(勲)部会長】
それでは、早速第1の議題に入りたいと思います。第1の議題は、地球観測連携拠点、温暖化分野からの報告についてです。地球温暖化観測推進事務局、事務局長の藤谷委員から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【藤谷委員】
それでは、お手元の資料1に基づきまして御説明いたします。
今日、御説明することはこの部会の委員の方は既に御存じのことが非常に多うございますけれども、初めて部会に参加された方もおられますので、多少煩雑になりますけれども、地球観測連携拠点のこれまでの活動の経緯等について簡単に御説明いたします。
御案内のように、連携拠点が設置されまして丸7年となります。これまでの活動の概要につきましては、資料1の2枚のペーパーに取りまとめてございます。後で読んでいただければと思っております。本日は簡単のために、パワーポイントの資料で御説明いたします。活動の報告につきましては、既に平成23年2月にも一度御説明しておりますけれども、設置以来の活動につきまして説明させていただきます。
まず、1枚目の右上の図でございます。地球観測に関する国際及び国内の動向がまとめてございます。御案内のように、国際的にはGEOの活動がエビアン・サミット以来始まりまして、2005年にはGEOSS10年実施計画ができ、具体的なGEOの活動が始まっております。このような国際的な動きに対応して、国内の地球観測の推進戦略を作るということで、総合科学技術会議(CSTP)にそのためのワーキンググループが設置されました。ここにおられる先生方、私も含めて何人かはそのワーキンググループに参画いたしまして、今般見直しということが言われております「地球観測の推進戦略」を作ったわけでございます。左下の図にございますが、推進戦略の重要なポイントとして、まず科学技術・学術審議会に推進組織を整備する必要があるということ、さらに、一番左の欄の真ん中のちょっと下ぐらいのところにございます重要な5分野について具体的に連携の組織を作るということが謳われております。次のページの左上に縦長の資料がございますが、これが地球温暖化分野の連携拠点を設置した根拠の文書でございます。資料1の3枚目にコピーをつけております。平成17年8月24日に環境省、気象庁、文科省、連名でこの推進部会に地球温暖化分野に関わる地球観測連携拠点の設置についてということで提出しております。この部会で了承されて具体的な連携拠点ができたというところでございます。
同じ紙の、右上の図に、地球観測連携拠点の具体的な仕組みを示してあります。ちょっとモノクロで見にくくて申し訳ございませんが、地球観測連携拠点(温暖化分野)という枠で囲ってあるところが、バーチャルな組織ございますけれども、連携拠点の組織を示しております。左側にございます関係府省機関連絡会議、ここが最高意思決定機関でございまして、基本的にここでいろいろな方針を決めております。一方、連携拠点活動に対して科学的なアドバイスをする組織といたしまして、右側の地球観測推進委員会(温暖化分野)というのがございます。本部会の主査の小池勲夫先生に委員長にお願いしており、適宜アドバイスを頂いております。その下に我々が活動しております地球観測推進事務局がございます。その下にワーキンググループでございまして、その時々に応じてワーキンググループを設置して個別の問題について検討するというようなことを行っております。この活動につきましては、後程具体的にご説明いたします。
我々は連携拠点ですから具体的に連携に関する活動を行う必要があります。左下の図にございますように、具体的な連携の形については、我々の考えでは2種類あると考えております。1つは機関間連携、もう1つは分野連携でございます。
機関間連携は何を目指すかといいますと、例えば長期継続観測を実現をするのがこの連携の目的であると考えております。具体的には、そこにお示ししておりますように、例えばArgo、GOSAT等の大きいプロジェクトが該当すると考えております。具体的な連携に関しましては、ここにございますように、例えばJAMSTECと気象庁・水産庁が協力してArgo計画を進めております。GOSATにつきましては環境省・環境研・JAXAが連携を進めております。この関連で、地球観測推進戦略・研究開発能力強化法なども参考になるだろうということでちょっと挙げてございます。
それから、もう1つの連携の形である分野連携でございますけれども、この連携の目的としましては、研究のブレークスルー、新たな研究成果・研究分野の創出等に非常に効果があるのではないかと考えております。具体的には、例えばJapanFluxでございますが、この場合は、例えば生態学・気象学が連携していると考えられます。それから、JCAR、一昨年から始まりました北極環境研究でございますが、これなどは、雪氷学・気象学・海洋学等が連携して研究を進めている状況であると考えております。
具体的に我々は連携を進めるためにどのような活動を行っているかということを示したのが、右下の図でございます。大きく分けて5つぐらいの活動がございます。地球観測の現状とニーズの調査、専門家会合の開催やワーキンググループの設置による専門的事項の検討、ワークショップの開催、連携施策の具体的な実施、それに啓発・広報活動でございます。
以下、それぞれの活動について具体的に御説明いたします。まず地球観測の現状とニーズ調査でございますが、具体的な活動といたしましては、1つはワーキンググループを設置いたしまして、そこで地球温暖化に関連するいろいろな分野について、観測の現状とニーズについて具体的に調査を行い、連携の視点から、どういう連携がなされているのかと、どういうところが不足しているのかということを調査いたしました。調査結果につきましては、報告書を2冊、ワーキンググループ報告書第1号ならびに第2号として、平成20年と22年に刊行しております。それからもう1つの活動として、観測施設等の現地調査、観測施設の現状とか外部利用状況等の調査を実施しております。後で少し申し上げますけれども、調査結果につきましては事務局のホームページで紹介しております。
このような調査を受けて、具体的な連携策の検討をどのように進めてきたかということに関しまして、我々としては3つの検討の道筋を想定しております。1つはワーキンググループ報告書で指摘された課題についてワークショップを開催し、そこで、後でも説明いたしますけれども、具体的な取組を取りまとめてこの部会に提出し、毎年策定されます地球観測の実施方針の検討作業にインプットする。また、インプットされた取組については、その後の状況についてフォローアップをするということをやっております。そこに示しましたように、これまでに4つの取組を提出しています。具体的には、陸域炭素循環観測と生態系観測の連携に関する取組、雪氷圏観測の機関間連携に関する取組、森林観測の連携に関する取組、長期観測の維持・継続と観測データの取得・発掘・保存に関する取組というのを提出しております。昨年度は太陽放射エネルギーの観測と利用における連携の取組をまとめまして、現在これは本部会事務局に提出してあります。後程、資料2で簡単に御説明いたします。こういう検討の流れがございます。
次は、ワーキンググループ報告書で抽出された課題につきまして専門家会合を開催し、専門家からこういう課題についてワーキンググループを作って検討する必要があるというご指摘を頂きまして、それを受けて具体的にワーキンググループを設置して検討を行い、連携策の提案と実施をするという道筋でございます。これまでに温室効果ガスの標準化に関するワーキンググループ、放射観測機器の較正に関するワーキンググループを設置して、具体的な連携策を検討しております。
第3の道筋といたしましては、ワーキンググループ報告書で、例えば社会経済データの充実が非常に重要だと言われているわけですが、これにつきましては、ちょうど国として統計の基本計画が策定されまして、その関連で気候変動影響統計の整備というのを環境省の施策として実施する必要があると指摘されております。従いまして、それと連携する形で気候変動影響統計に関するワーキンググループを設置いたしまして、そのワーキンググループで統計整備に関する基本方針を策定いただきました。その基本方針を受けて、具体的な連携活動として気候変動影響に関するポータルサイトを作っております。
それぞれの道筋について簡単にご説明しますと、まず左下にございますように、専門家会合、ならびにワーキンググループによる検討の道筋でございますが、専門家会合といたしまして、温室効果ガスの標準ガス体系、雪氷圏機関間連携ならびに北極環境研究コンソーシアム体制、放射観測機器の較正、以上3つの専門家会合を開催いたしました。そのうち温室効果ガスの標準ガス体系、ならびに放射観測機器の較正についてはワーキンググループを設置しております。雪氷圏機関間連携につきましては、たまたま北極環境研究コンソーシアムが発足いたしましたので、そちらにお任せするような形になっております。それぞれのワーキンググループで連携策等について検討を行い、報告書を作っております。報告書において、具体的な連携策の提案がなされております。現在はこのようなご報告を頂いて、具体的にどうするかということを検討したり、一部では具体的な連携活動を実施しております。後程、少し具体的な内容につきまして御説明いたします。
次にワークショップの開催という道筋がございます。平成19年度から毎年、地球温暖化を中心とした地球観測に関する重要な課題につきまして、ワークショップを開催しております。そこで取組案を取りまとめて、先ほど言いましたようにこの部会に提出して実施方針に反映していただくように、活動しております。
それでは、そういう連携策をいろいろ検討して、具体的に何を実施しているのかというのをお示ししたのが、右上の図、4.の連携施策の実施でございます。まず、温室効果ガス観測データの標準化についてですが、ワーキンググループでは最終的には観測機関同士連携して標準ガスを相互比較するための組織を立ち上げる必要があるとの結論になっております。しかし、具体的な組織の設置は当分可能性が低いことから、具体的な連携の成果を示すために、ワーキンググループとして、観測機関同士さらには標準機関とも連携して温室効果ガスの標準ガスの比較実験をやろうということが提案されました。このため、昨年度から、そこにございますようにiceGGOという名称で、温室効果ガスの標準ガスの相互比較を実施しております。昨年はメタンと二酸化炭素の標準ガスの相互比較を、主要な観測機関、それに産総研等の標準機関も参加して実施しております。その結果、例えば同位体の効果でございますとか、いろいろ新しいことが分かってきております。今年度も引き続き実施しようということで、今年度は二酸化炭素以外に一酸化炭素も加えて、今準備をしているところでございます。
それから、放射観測機器の較正に関してでございますけれども、放射観測というのは先ほど言いました温室効果ガスに比べまして非常に一般的な観測で、関係している分野や組織が非常に多いということもございますので、国内でどういう組織・機関がどのような放射観測を実施しているか実態がなかなか分からないという状況がございます。まずその実態を把握しようということで、昨年度百数十機関に対してアンケートを行い、多くの機関から回答を頂きまして、現在、その結果を取りまとめているところでございます。その他、先ほどワークショップのところで申しましたように、太陽放射エネルギー観測に関するワークショップを開催いたしました。連携の具体的な取組につきましては、後程、御提案いたします。今年度は、放射観測機器の較正に関する技術的な課題について、具体的な検討を、観測機関・標準機関、さらにはメーカーさんにもご協力いただきながら、行っていきたいと考えております。
次に、社会経済データの整備でございますけれども、左下の図にございますように、平成24年度から気候変動影響統計の整備に関する基本方針にのっとりまして、事務局ホームページに気候変動影響統計に関するポータルサイトを設置いたしまして、具体的には環境研のサーバーを使っておりますが、そこでいろいろな組織の気候変動影響統計のデータを御紹介する活動をしております。右下の図にそのポータルサイトの様子を示してございます。今後これをもう少し充実していこうと考えております。
次のページには、先ほどちょっと述べました観測施設の相互利用に関する現地調査の結果ついてお示ししております。陸域の観測についてはそれぞれの分野がそれぞれの観測を行っている状況がある。JapanFluxでございますとかJaLTERとか最近いろいろ連携が進んでおりますが、関係者以外にはなかなか情報が流通してない状況も見られます。ということで、我々としてはそういう情報のワンストップサービスを行う必要があるだろうということで、陸域の観測施設に関するホームページを作っております。ここに御了解いただきました観測施設、特に陸域の炭素循環の施設の紹介のページを作りまして、そこをクリックするといろいろな情報、施設の詳細、共同利用の状況、手続き等の情報を、ワンストップで手に入れることが出来るという情報提供活動を行っております。今後、これをますます充実するようにしたいと考えております。
それ以外の連携策でございますが、左下の図にございます5と6の施策でございますけれども、5に関しましては、昨年部会に提出いたしました長期観測の継続やデータのアーカイブの取組に関する施策でございます。これにつきましては実施方針に反映されましたので、それを受けて我々として具体的に何をするかということを検討し、それに関係するいろいろな調査活動を実施して、その結果をホームページ等で御紹介するということを検討しております。
それから、6でございますが、これは今年度の新たな連携策として計画しているものでございます。先ほど申しましたように平成22年に陸域における炭素循環観測の分野間連携、機関間連携に関する取組案を本部会に提出し、実施方針に記載されたところでございますけれども、それから数年経過いたしまして、いろいろなプロジェクトが進んでいる状況でございます。このような状況を受けて、今年は連携の取組のフォローアップを行うことを計画しております。まず、今年の秋に例年通りワークショップを開催しますが、具体的に連携がどう進んでいるのか、どういうところに課題があるのかということをテーマに関係者に御議論していただこうということを計画しております。現在、ワークショップの準備を進めているところでございます。
最後に、啓発・広報活動でございます。まず、HP活動でございますが、そこにございますように、我々が開催いたしました専門家会合、ワークショップ等で先生方にご発表いただきました講演資料等をホームページに掲載しております。是非一度クリックして見ていただきたいと思います。このほかパンフレット等も適宜配布しております。
最後、2枚ほどまとめの図がございます。事務局の活動といたしましては、短期的には今年度そこにございますような、連携策を実施したり、ポータルサイトを改善したりすることがございます。もう少し長い目で見ますと、その連携策につきまして、現状はアドホックにワーキンググループの活動として行っておりますが、このような連携活動をもう少しパーマネントな組織で進むようにしたいと思っております。
それから、最後のところに今後の課題ということで書いてございますけれども、各種連携策、分野連携・機関連携、いずれも進展しつつあります。しかし、推進戦略に重要事項として記述されております長期継続観測を実現するための研究機関と業務機関の連携については、先ほど申しましたように大型の研究プロジェクトについては実現しておりますが、前回の部会でも少し議論になりました地球観測における基盤的な観測に関しては、なかなか具体的な連携が進んでいないというのが実情でございます。このあたり、基盤的な観測について研究機関と業務機関の具体的な連携を図るということが、今後の我々の重要なミッションではないかと考えております。
以上が我々の活動の概要でございます。
資料2は、先ほど申しましたようにワークショップの取組案を毎年、本部会に提出しておりますが、これは昨年度の太陽放射エネルギーの観測と利用のワークショップを受けて取りまとめました取組案でございます。平成26年度の実施方針の検討の参考資料として提出させていただいております。時間も余りございませんので後でお目通しいただけばと思います。
以上でございます。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。推進戦略でも連携、特に観測の連携を推進していくということが非常に重要であると言われていまして、今藤谷委員から紹介ありましたように、この地球温暖化の分野では平成18年に環境省と気象庁が中心になって連携拠点が形成されています。それと、あと地震・火山分野に関しては、地震調査研究推進本部測地学分科会の事務局である文科省が連携拠点としての、機能的なものを果たしているということになりますけれども、実質的、実際にこの戦略の下に作られたものということではありませんので、今藤谷委員が紹介された温暖化分野が唯一の連携拠点ですけれども。
何か今の御説明について質問、コメントがございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【深澤委員】
パワーポイントの方で連携施策の実施というところでちょっと教えていただきたいのですが、連携をしてくる、特に観測の場合には、標準化というものがとても大事で、平成24年度にiceGGOをなさったのは大変いいことだと思うんですけれども、どのくらいの機関あるいは国から参加があったのかということと、あとそれからこういった形でいうと、IOCCPとかそういう国際とはどういう関係を持っているのか。今、IOCCPの日本代表はたしか石井雅男さんでしたよね。ですから、そういうところも含めて教えていただけると有り難いと思います。
それからもう1つ。丸3の社会経済データの整備も同じなんですけれども、気象庁さんですから特にWMOとは非常に関係が深いと思うんですが、この活動と、例えばGlobal Framework of Climate Servicesですか、WMOの下の、そういうのとはどういうぐあいに関係してるのかを少し教えていただくと有り難いと思います。

【小池(勲)部会長】
今の答えは。

【藤谷委員】
私の方から、お答えします。
まず最初の質問でございますが、iceGGOは、基本的には国内を対象にしておりまして、東北大学、環境研、気象研、気象庁、産総研、極地研等が参加しております。我々の方では、一応国内連携の視点で行っております。もちろん、気象庁の基準はWMOに準拠しておりますので、そういう意味では国際的にも関連がございます。このiceGGOは中澤先生が中心となって実施されておられますので、何か追加がございましたら、中澤先生よろしくお願いします。
2番目のご質問に関しては、社会経済データの整備とWMOのGFCSとは特に関連はございません。

【小池(勲)部会長】
じゃあ、お願いします。

【中澤委員】
はい。例えば二酸化炭素ですと、WMOは0.1 ppmの精度で測るようにということを言っています。今までの国際的な機関間の相互比較活動としては、適当な標準ガス、それも濃度レンジが非常に狭いものを配って、測定結果が合ってる、合ってないという、そういう議論で終わってしまっていました。日本は意外と技術レベルが高く、必ずしもWMOがやっていることが正しくはないんじゃないかということで、国内でこういう活動を進めてみました。そうしたところ、実際に0.1ppmをクリアするのはかなり難しいという結果が得られました。例えば、観測機関が多くなればなるほど差が大きくなるとか、また最近では、かつての伝統的な計測法に加え、新しいものがどんどん入ってきており、従来の手法によるものと新しいものの差が出てくるといったことがあり、その原因が何であるか、各機関間でなぜ違うのかということを検討しました。このことについては、先週北京で開かれました二酸化炭素などの温室効果気体の計測技術に関する国際会議において、気象庁が日本のアクティビティとして発表してくださっています。この発表によって、国際的に、日本での活動を通して明らかにされたいろいろな問題点が理解されたと思います。しかし、前回の結果について我々にも理解できない部分がかなりありましたので、先ほど藤谷先生から御説明がありましたように、もう少し詰めていきたいと思っています。

【小池(勲)部会長】
深澤委員、よろしいですか。

【深澤委員】
はい。

【小池(勲)部会長】
ほかに何かございますか。

【河宮委員】
JAMSTECの河宮です。最後の今後の展望というところでお伺いしたいんですけれども、長期観測を実現するための連携について基盤的な観測に関しては実現に至っていないというお話を伺ったんですけれども、2つ質問があって、1つは基本的なところで、基盤的な観測というのは具体的に何を指しているのか、1つ2つ例を示していただけると分かりやすいのと、あと、その基盤的な長期観測、モデル研究をやっている者からしても物すごく大事なことだと思うので、連携拠点としては今後必要なんだけれども現在やられてない観測というのを推進するような活動もしていくのか、それとも既存のものを連携を確立するというところを目標にするにとどめているのか、どちらなんでしょうか。この2点です。

【小池(勲)部会長】
藤谷委員、答えできますでしょうか。

【藤谷委員】
なかなか難しく、かつ答えにくいところがございますけれども、基盤的な観測といいましても、例えば気温などの気象データ等はそれぞれ関係省庁が業務としてやっておられます。ところが、先ほど言いましたように、例えば温室効果ガスなどは、各省庁の業務の中心的な部分からは少し外れております。このような関係の観測に関する経費をきちっと確保する必要がある。そういうところを我々としては温暖化に関する基盤的な観測と認識し、業務機関と研究機関が連携すればいいと思っております。今後どうするのかという点に関しましては、なかなかそこが難しいところでございます。この問題は推進委員会の委員長の小池先生が常々よく言われているところです。先生の方からお答えいただくのが良いのではないでしょうか。

【小池(勲)部会長】
今の御質問ですけれども、基本的に前からいわゆる業務機関で扱っている定常観測と、研究機関も結構プロジェクトで長期的に観測をたくさんやられているわけですね。環境研もやられているし、極地研とかいろいろなところで長期観測をやられているのですけれども、結局それがなかなか研究観測の場合というのは、基本的に研究費がかなり細切れでやられていて、なかなかそれが難しい。ただ、それを実際の業務観測の方に移すかというと、もう業務観測の方は、ある目的がかなり決まっていて、長期的にずっとやられていますね。それで温暖化の場合というのはどちらかというと新しく観測項目が広がった分野で、なかなか従来のものにはなじまないということで、今でもそのギャップがずっと継続されている状態ですね。ですから、なるべく今藤谷委員の言われた連携拠点でも、やはりいろいろな項目を整理してどれを是非業務観測の中に入れてほしいとかそういう観測のリストを挙げようという努力はしてるんですけれども、特に研究をやられている方はいろいろな項目を出してしまうので、なかなかそこの整理がつきにくいという問題があって、余りうまくいっていないような印象があります。
以上ですけれども、ほかに何かございますでしょうか。

【甲斐沼委員】
社会経済データの整備というところですが、実際には気候変動影響の統計整備に関する統計ポータルサイトということですが、社会経済データというイメージだともう少し、影響ではなくて緩和策というか社会経済自体のデータもイメージしますが、対象が影響だけであれば名前も影響というふうにされた方が分かりいいのかなと思います。あるいはもっと広く社会経済データの一般も集められるのか。先ほど海外のという話もありましたけれども、海外の影響についてもいろいろデータを今後整備されていかれるのか、その辺お聞かせ願えればと思います。

【小池(勲)部会長】
コメント、お願いします。

【藤谷委員】
ちょっと誤解を招いた表現かと思いますが、気候変動影響に関する統計ですから、例えば熱中症患者の発生数、いろいろな作物の収量等の統計を対象にしております。ここで社会経済データという用語を使用しましたのは、先程述べましたワーキンググループ報告書をまとめたときに社会経済データに関する取組として課題をまとめましたことから、このような用語を使用しております。ちょっと誤解を与えたかもしれません。
それと、国際的な統計につきましては、なかなかそこまで手が回っておりません。今のところは国内的な統計データをいろいろ集めているというところでございます。

【杉本委員】
ほとんど今のと同じなんですけれども、社会科学分野だけではなくて海外での観測に関してもたくさんのプロジェクトが走っていて、データがどんどんとられている状況になっていると思うんですけれども、それらの連携としての何か役割を果たすということをどのぐらい考えておられるのかということと、それからもう1つ重要なことは、多分そういうことをやっているということを国内の連携拠点として海外に示すということも重要な役割ではないかと思うんですけれども、それに関してどのような取組が行われているんでしょうか。

【小池(勲)部会長】
お願いします。

【藤谷委員】
いろいろな広報・啓発活動につきましては、国際的な会議、GEOの会議、GEOSS-APシンポジウム等々にポスターを出したりパンフレットを配布したりしております。それから、先ほど言いましたワーキンググループ報告書につきましても英文の概要版を作りまして配布しております。いろいろな海外の観測データですか。

【杉本委員】
はい、そうです。

【藤谷委員】
日本が行った海外での観測データということですか。

【杉本委員】
はい。

【藤谷委員】
それの統計という意味ですか。

【杉本委員】
はい。統計といいますか、どのぐらいいろいろな情報を把握して、それを取り込んでいくことになっているのか、あるいはなっていないのかということなんですけれども。

【藤谷委員】
我々としては、国内の機関が行われた海外の観測データまではまだカバーしておりません。

【杉本委員】
はい、分かりました。

【深澤委員】
ちょっといいですか。じゃあ、藤谷さんの補足。

【小池(勲)部会長】
じゃあ、この一点だけ。

【深澤委員】
今の杉本さんの話でいくと、例えばデータとかいろいろなプロジェクトに関するデータとかフレームワークというのは基本的にはGCPの下にいますから、IOCCPでデータセンター、それからプロジェクトをコンバインするセンターでCDIACがありますね。CDIACのところに日本の気象庁の炭素データが全部行っているし、我々の炭素データも行っています。ただ、その中に例えば大西洋のCARIOCAといったような形のプロジェクトの名前として日本は出てきていない。先ほど僕が申し上げたのも、もしもどうせやるのだったらIOCCPのようなところにこういう連携拠点というのが日本にあるんだよというのを示すといいなという感じです。なお、データそのものはCDIACの中に日本のデータ、特にカーボンに関するデータはほとんど全部入っていると思います。以上です。

議題(2)DIASによる地球観測データ及びメタデータのアーカイブについて

【小池(勲)部会長】
それでは、次の議題に移らせていただきます。
次の議題の2がDIASによる地球観測データ及びメタデータのアーカイブについてです。まずこれまでの経緯とDIASについて文部科学省の畑山専門官より御説明お願いします。どうぞ。

【畑山専門官】
それでは、資料3を御覧いただきたいと思います。資料3は、タイトル「地球観測データの統合化に向けて」と書いてございますが、本議題の趣旨は、現在我が国の地球観測の実施計画に記載されている事業で取得されたり作成されたりしておりますデータセットのメタデータをDIAS、データ統合・解析システムの方に集約しようという取組を昨年度以来続けておりまして、それの経緯と途中経過をDIASの研究代表者でございます小池俊雄先生より後で具体的に説明いただくということでございます。
まず、私からこの取組の背景を簡単に説明したいと考えております。
では、1枚めくっていただきまして2ページ目ですけれども、釈迦に説法ではございますが、地球観測の推進戦略にこれに関連した記載がございます。2つ目のポツですけれども、関係府省・機関の特徴や強みを生かしながらデータ収集から情報提供に至る段階が適切に統合された地球観測システムの構築に向けて連携・協調することが必要であるということで、地球観測データの統合化に向けた取組が行われているということでございます。
それで少し時間がたつんですけれども、平成22年の7月に、内閣府のCSTPの方で取りまとめられました平成23年度科学・技術重要施策のアクションプランというのがございます。この中に施策パッケージといたしまして、地球観測情報を活用した社会インフラのグリーン化というものがございます。そこで2020年までに地球観測データの統合化を進め、統合データが全体に占める割合を90%以上に引き上げるということが成果目標として記載されてございます。この文言そのものは言葉の定義とかこの文これだけしかございませんので解釈の仕方にはいろいろ議論があったということを聞いておりますが、これに対応いたしまして22年の8月、この翌月でございますけれども、本部会におきまして、これへの対応方針が議論されております。それが3番の23年度の我が国における地球観測の実施方針でございます。そこには観測データの公開、共有を進めるとともに、国内の観測システムの統合化に取り組むと、その際、地球観測データの統合・解析システムの活用を図るということが記載されてございます。
次のページに行きまして、更にこの統合に向けた取組を具体的にどう進めるかということもその同じ部会で議論されてございまして、そこで我が国において実施する地球観測事業、当面我が国における地球観測の実施計画を対象、について、観測データの公開・共有を進めますと。そのデータの公開URLと観測項目、インベントリーを含むメタデータファイルをデータ統合・解析システム、DIASに一元的に登録、記載するという方針が決まりました。そして、原則として、DIASのメタデータ作成ツールを利用するとか、23年度の実施計画から着手するですとか、必要に応じまして説明会等を開催することが決定いたしております。
そこから更に少し時間がたつんですけれども、昨年の5月に文部科学省とDIAS、地球環境情報統融合プログラムの合同でここに書いてございますような説明会が開催されました。その際、当部会の小池勲夫部会長にもお越しいただきまして御挨拶をしていただいております。それで、この説明会をもって関係府省・機関に具体的に協力を依頼して作業が開始されたわけでございます。説明会の出席者は、14の関係府省と16の機関、63名の方に参加いただいております。実際23年度の地球観測の実施計画には155の事業が記載されております。事業はいろいろな性格を持っておりまして、取得されるデータも様々な特徴がございます。ですので、この各事業が取得・作成されたデータセットの性質を考慮しながら幾つかグループ分けをして、労力が少ない形でどうメタデータを収集していくかということを議論しながらDIASプロジェクト代表の小池先生とも一緒になって進めてまいりました。
それから、これは資料には記載してございませんが、説明会の2か月後ぐらいに23年度の実施方針、実施計画に対する、これは資料には記載してございませんが、アクションプランというのがCSTPにより行われまして、このメタデータ収集の取組がその時点では余り進んでいないという御指摘も受けておりましたので、その後当方とDIASプロジェクトとでかなり連携・情報交換を密にしながら取り組んでまいりました。今日はそれから1年ぐらいたっておりますので、その途中経過、経緯、それから順調に進んでいるところ、なかなか難しいところいろいろございますが、そのあたりについて進捗状況の説明をしていただきたいと思っております。以上です。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。それでは、続けて小池俊雄委員から現在の進捗状況について御説明いただければと思います。それで、質疑はこの後まとめて受けたいと思いますのでよろしくお願いします。どうぞ。

【小池(俊)委員】
ただいま畑山さんから御紹介がありました資料の4を用いて説明させていただきたいと思います。
目標というのはもともとはメタデータを集めるということが先ほどのような経緯で目標になっているんですが、最終的にデータにきちっとアクセスできる、データを利用できる形にすべきというふうにいろいろ議論して提案をまとめました。目的は、2ページ目に書いておりますように、データへのアクセスビリティを高め、分野を超えた統合的利用を推進すると。まずは対象として、先ほど御紹介にありましたように、実施計画に登録されている155の事業を対象といたしました。目標は3段階でございまして、まずドキュメントメタデータの登録と検索サービスの提供を行う。第2段階として、データ及びデータプロダクツへのアクセスを実現する。第3段階として、そういうデータへのアクセスがあったらどのように組み合わせて、あるいはモデルを途中で挟むなどのこともしながらデータ統融合の機能を使って新たなプロダクトを作っていく。その3段階の目標を立てました。
ここでドキュメントメタデータというのがあるんですが、メタデータというのはその定義によっていろいろな深さといいますか詳しさというのがございます。非常に詳しいのがもちろんより有用になるわけですが、そういう詳しいのを作るのには大変労力が掛かるということもございます。そこでDIASではドキュメントメタデータ、要するにこれはどういうデータかということを、普通データセットを作るときに記述するわけで、その記述する内容を国際的にその情報が交換できる形に変換して、メタデータとするというシステムを開発しました。そのドキュメントメタデータ登録システムを使ってこの作業をしようということにいたしました。
めくっていただいて4ページ目になるんですけど、ページが書いてありませんが、ドキュメントメタデータというのは、今申しましたようにこういうところで記述された1つ1つの要望というものを用いて検索であるとかいろいろな連携的な利用というものが可能になります。一方、詳しいどの測器で、例えば気温でしたらどの高さで測ったとか、そういう詳しいデータはこのドキュメントメタデータには記されません。
5ページ目に書いてありますように、データ提供者がそういう情報を出すわけですが、これからお話ししますがデータ提供者は大きく2つの区分があって、データは作ったけどもまだそのデータを公開するとか、あるいはデータを誰かに渡すような準備をされていないグループと、それからデータセンター等を作ってデータを公開していこうと言っているグループと分かれます。そういうところの仕分けをしながら、このシステムを使って作業を進めました。
開発の方針ですが、6ページ目をごらんいただいて、これはこの部会、小池勲夫先生の部会のリーダーシップの下でDIASがその実施を支援するという形をとっております。各省庁、研究コミュニティー、DIASの協力によってデータの統融合機能を実現しようということなわけです。
7ページ目にグルーピングということで、先ほど申しましたAグループとBグループに分けました。Aグループはデータセンター機能がないグループで、Bはそれをお持ちのグループでございます。Bの場合も、これも2つに分かれて独自のやり方でデータを公開しておられるものはなかなか世界標準のツールで読みに行けないというところがあります。それができるグループとできないグループというふうに分けました。Aグループも大体10ぐらいのデータセットを作っているというグループもあれば、50とか100とかいうデータセットを作っているグループもあって、これも当初、これの非常に多いグループとせいぜい10ぐらいのグループに2つに分けたんですが、結果としてはAグループ1つにまとめて作業をしております。ですから、大きく言いますとAグループが1つ、Bグループがそういう共通的なツールで読める形になっているデータ、あるいはメタデータをお持ちのところと、独自のフォーマット等で記載されているというこの3つのグループに分かれます。
その次から細かな表になりますが、表が3枚続いております。最初がA1、A2グループでございまして、この表の事業番号というところが、先ほど申しました155の事業でそれぞれ番号が付いておりますので、その番号、事業名になります。例えば、このNo.というところの7番目を見ていただくと、7番目から17番目まで気候変動適応研究推進プログラム、RECCAが入ってますが、これは1つの事業とみなされます。ところが、そこには様々な事業者がいて、いろいろなデータを作っているというわけです。一方、その上の2番から5番を見ますと、4つの事業があるわけですが、TRMM、AMSRE、GCOM-W、ALOSとありますが、これは事業者はJAXAなわけですね。こういうように1つの事業者で複数の事業名を持っているところもございます。もう少し厄介なのが、例えばこのページの一番下に40と41番に事業番号150、南極地域観測事業とあって、ここでは海上保安庁が事業者ですが、次のページの例えば36番目に150という事業があって、これも南極地域観測事業ですが、事業者は国立極地研究所で、同じ事業番号でも異なる事業者がいて、異なる形の形態ですね、A1、A2というデータとB0というデータの異なる形態のデータを出しているというところで、こういうものを整理しながらどのようにこれをまとめていったらいいかを考えました。
それで、実はこの3枚に収まり切れないグループがありまして、1つは先ほど藤谷先生からお話ありましたが、連携拠点も1つの事業になっています。連携拠点はこれはさすがにデータを登録するのではないという御判断で対象外となっています。それから、必ずしも対象外でないんですが、昨年の5月に説明会を開いた後アンケートを実施したんですが、御回答いただけなかったところがございます。対象外と判断されたところが14事業、それから御回答いただけなかったのが24事業ございました。ですから、155からそれを引いた117がこの表に書いてあるわけでございます。
A1、A2につきましては、先ほど御紹介したDIASで開発したドキュメントメタデータ登録システムというのを使って、非常に簡単なシステムではございますが、これを使ってそれぞれで作ったメタデータを登録するということで、登録が完了したところがSTEP4まで行きます。ですから、このA1、A2というところで、STEP4のところまで緑色の色が書いてあるのが全部終わったところです。42、これは事業ではなく42データセットの固まりと言った方がよろしいんでしょうか、それのうちの16が終わって38%の達成率でございます。
次のページのB0というのは、データセンター機能をお持ちで、かつそこのメタデータは世界標準で書かれているというものです。これは非常に楽でして、クローリングというITの技術でそのデータをとってきてアップデートされるわけですが、それを常にアップデートしながらDIASの中でアーカイブしてユーザーが検索できるようにもうなっております。これはここに書いておりますように達成率は非常に高くて76%ということになっています。
次3枚目、1枚めくっていただきますと、今度はB2グループで、その形式がやや特殊な形式で記述されているものでございます。これは、DIASのメタデータ担当グループが1つ1つこのホームページなりデータセンター等に問い合わせながら、その翻訳機能をやるわけですね。ですから、これは大変な作業が掛かるわけですが、それを今もう開始しておりまして、現在のところ46のうち11についてはこれらのデータをDIASから検索することができるような状態になっております。
そういう状態になりますと、11ページを見ていただきますと、これがDIASデータ俯瞰(ふかん)・検索システムですが、ジオロケーティッドな選択、それから時間的な選択、それから幾つかの軸でこれは表がここに書いてございますが、横軸と縦軸の表形式で、要するに例えば観測プラットホームとサイエンスキーワードで分類したら、今登録されているデータがどういうふうに分類されているかというところからそこをクリックすると11ページの右にありますようなページに飛んで、更にそれをその中からデータを選びますと12ページの下のように、これはドキュメントメタデータの一番上のところですけれども、それがずらっと閲覧できるということになる。これは、XMNの形式で記述されておりますので、例えば13ページにありますように、データの公開状況、あるいは公開の予定だとか公開されているデータの種類だとか、あるいはセンター的な機能を持っているところはほとんどデータを公開しているわけですけれども、そのような集計とかモニターの機能ももう動いております。
そういうところまで来ておりまして、現在はもちろんこのA1、A2の各事業者に登録を依頼するということはしておりますが、昨年から大分しているんですけれども、この部会と関係のあるようなRECCAとかそういうようなところでもなかなか御協力が進まないようなところもございます。それからB2については先ほど言いましたように、1つ1つ各事業主体と連絡をとりながら今読めない状態のものを読めるようにしていく作業をしておるというところでございます。
最後のページに飛んでいただきますと、こういうふうにドキュメントメタデータがありますと、先ほどの検索とかモニター・集計機能がもう提供できているわけですが、その次はそのデータ及びデータプロダクツへのアクセスでして、DIASからユーザーが検索した結果に基づいて、それぞれのデータセンターのところへ行ってデータを取得する、あるいはA1、A2の場合はデータをDIASに登録していただく、アップロードするという作業をこれから進めていって、1年後ぐらいに、今ドキュメントメタデータ登録されているところについてはデータアクセスがかなりの部分できるようにしていきたいと思っています。以上です。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。ただいまの説明に対して何か御質問、コメントがございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
これ、今AとBの2つにグルーピングされてますが、データセンターを持っているところのデータ数の方が圧倒的に多いわけですか。

【小池(俊)委員】
もう圧倒的に多いです。

【小池(勲)部会長】
そうすると、Aのばらばらのデータをどうやってまとめていくかというところが一番難しい。

【小池(俊)委員】
そうですね、難しいです。これはある種の観測とデータをどういうふうに公のものとして共有するかという、ある種の文化ということがあって、そのためには1つやっぱりインセンティブが必要で、こういうことをすること、要するに観測データあるいは数値計算で非常に貴重なモデルの出力を出したという場合もそうですが、そういうことを共有することが、それぞれの研究主体にとってはプラスになるようなインセンティブは何かと。もう1つは、その労力を下げるということがあるんですね。この労力を下げることについては、私どもこれまでも随分やってきましたので、かなり労力は下がるという。あとはプラスの方ですね、これをやるとどんないいことがあるかということを出すというのは何かというと、やっぱりそういう統融合することによってこんな価値あるものが出ますというようなことをお示ししていくことが1つ。それからもう1つはサイテーション、こういうものがここに登録されていて価値のあるものだと認められるような枠組み作りということで、これについても案を考えております。

【小池(勲)部会長】
DIASにデータを提供しているところから、統合することによってこんなにいい結果が出たという成功例ですよね、そういうものっていうのは、DIASの方から働きかけて集めて、皆さんにこういうふうにやればこういういいデータになりますよというようなことはやってはどうでしょうか。

【小池(俊)委員】
実はもうそれ、やっておりまして、ポータルも作っていて、これは今現在はちょっと水分野だけに限ったものですけども、サクセスストーリーのポータルを作ってそれが広く多くの人に見られるような道具立ては作っております。

【小池(勲)部会長】
ほかに何かございますか。はい、どうぞ。

【寶委員】
海外機関の参画状況といったところになると、どういう状況でしょうかということと、A1、B0、B2の表で、事業名と事業者が同一であるにも関わらず複数行にわたっているのでありますが、それの御説明を頂きたい。

【小池(俊)委員】
最後の、さっき申し上げました、先ほどここにデータIDというのがございますが、要するに、それぞれの事業主体がデータセットID、これとこれは違う種類のデータだと。例えば、RECCAでもいいんですけれども、私どもでも数値モデルでダウンスケーリングしたアウトプットと、データ同化で作ったプロダクトは違うんで、その場合には2つにするんですね。そうすると、これはIDごとに決まるというような数になります。データセット数ではなくて、基本的に違うデータであるとデータ提供者が認識した数になるということです。
それから、これは今この取組は、先ほど畑山さんからお話がありましたように、総合科学技術会議のリーダーシップから始まって、ここの部会でこういう方向で進めようということで、まずは国内からということで進めました。ただ、国際的には今アジアで18か国の水あるいは気象のオペレーショナルな機関がそれぞれデータを提供していて、このシステムを使ってアップロードして品質管理をして、そしてドキュメントメタデータを付けて、更に詳しいメタデータも付けて、データがどんどんアーカイブされておりまして、これは目的にもよるんですけれども、先ほど言いましたインセンティブが、これをやることで自分たちがメリットをもらうと。これは一番大きいのは気候変動影響評価のシステムとこれがぱっとくっつくと、将来雨の降り方がどう変わるかとかいうようなのが自動的に出るようなシステムを作ってますので、それを使いたいという人がデータを登録して品質管理をしてという、いい意味でのビジネスモデルが動いておりまして、それはもう今アジアで多く使われております。アフリカも今3領域ぐらいで使われ始めております。そういう意味では、積極的なのはまだ国外の方が、分野にもよりますが、結構多くあります。

【寶委員】
はい、分かりました。

【小池(勲)部会長】
ほかに。はい、どうぞ。

【沖委員】
こういうDIASみたいなのができるとデータが散逸しないという、非常に大事かなと思うんですが、例えば今回のRECCAのようなのは、必ずしもずっとオペレーションをやるわけではないデータはRECCAの機関がとられた、集められた情報が収められるということだとすると、ちょっと済みません、質問がうまく切り分けられないんですが、それを将来どのぐらいにわたってずっと保持し続けるんだろうか。ITが今のままどんどん行くんだったらそんなのとっといても何の問題もないということであればそうなのかなという気がいたしますが。逆に申し上げますと、じゃあ昔アジア域でとったデータとかもう散逸しかかっているものがあったり、あるいは各機関、今回お示しいただいたリストの機関でも今積極的にとっているものに関してはこうやってやっているけれども、昔から実はとってきて下手すると紙媒体で残っているのが、それも貴重で、20世紀、地球環境どう変化したかを追っかけるのに非常に重要な情報だと思うんですが、それを今後何とかするという計画がないのかという2点目。
もう1つ済みません。やっぱり、じゃあDIASみたいなものが、1点目と同じになっちゃいますけれども、50年、100年、残していくような見通しを文科省としてどういうふうにお考えなのかという質問をさせてください。

【小池(勲)部会長】
お答えできるところから。途中から向こうへ渡しますから。

【小池(俊)委員】
じゃあ、後で。文科省の方針は是非私もお聞きしたいんで。
まず、データのアーカイブのプリンシプルは永遠に残すということです。これはもうDIASにアーカイブしたら永遠に残すと、そういう気持ちで私たちはアーカイブに取り組んでいます。基本は品質管理されたローデータ。何らかの形でリプロデュースできるものはプライオリティを下げて、リプロデュースできない、しかしそれは品質管理されているものというものにプライオリティを置いています。それから、先ほど沖先生がおっしゃった、非常にいい例があるんですが、APHRODITEという矢田貝さんという方が非常に熱心に作られたグリッディッドの長期の雨のデータがアジアであるわけですが、あのプロジェクトが終わってそれを永続的に管理できないということでDIASでお引受けしました。これは非常に価値のあるものというのは私どもももちろん理解しますし。ただ、現段階でその評価は実は非常にパーソナルに私とか非常に限られたところでやっているんですが、それをきちっと評価する仕組みというのをDIASは持つべきで、これはこれから運用のフェーズに入っていくとそういうものをきちっと確立してプロジェクトのデータというのは価値のあるものはきちっと残していくということを考えております。
先ほどデータ量についてございましたが、これはITの人に怒られるかもしれませんが、いわゆる通常のデータは余り量はもう気にしなくてもいいぐらいのスピードでいろいろな媒体は増えていると、効率は上がっていると思います。ただ、やはり今回のIPCCのCMIP5とか、これ、2.6ペタあるんですね。こういうようなものががんと大きいわけです。こういうものに対してどんなストラテジーできちっとアーカイブするのかということを広いコミュニティーで議論しながら戦略的にやっていくということが大事だと思います。

【小池(勲)部会長】
それでは、これがどこまで続くかという話をお願いします。

【畑山専門官】
このDIASのプロジェクトも、プロジェクトですのであと3年で今のところ一応一旦終了するということになっておりますので、やっぱりそういう意味でこういった形でアーカイブされたデータをいかに継続的に残していくかというのは非常に大事な問題だと認識しておりまして、現在その後の長期運用体制というものをどういった形で進めていくべきかというのを検討を始めているところでございます。

【小池(勲)部会長】
検討を始めて、積極的にやっていかれるということですね。

【畑山専門官】
そうですね。

【小池(勲)部会長】
はい、どうぞ。

【沖委員】
私が申し上げるまでもないですが、単にそれを大事だからとっておくというだけではなくて、どうやったら失われないかとかあるいはそのメタデータの情報も50年と100年大分違うと思いますけれども、ビッグデータほど派手ではないかもしれませんが、デジタルデータの同一性を保ちつつ記録する、維持していくというそのもの自体がエンジニアリング的には非常に私研究項目じゃないかと思っておりますので、そういうところで是非、単にやらされる仕事ではなくて、研究開発的な業務として推進していただければいいんじゃないかなと思います。

【小池(勲)部会長】
ほかに。はい、どうぞ。

【大垣部会長代理】
今のことと関連しますけれども、この25年度当初予算は4億ですけれども、これは現時点で十分なんですか。それとも予算がネックになっている問題ではないですか。ちょっと、念のため。

【小池(俊)委員】
まず、大変幸いなことに24年度補正予算で非常にハードウエアを整備していただきました。大変有り難いことで、当初27年度までに私どもが想定していたものの9割ぐらいは今年度中に整備できると思います。大変有り難いと思っております。

【中澤委員】
特に観測データのことですけれども、いろいろな機関をつないだ場合に、クオリティチェックがしてあるものとしてないものがあるんじゃないかと思います。ユーザー側としては、チェックがしてあるかしてないかというのは非常に重要ですけれども、それはメタデータ等を見たらすぐ分かるようになっているんでしょうか。

【小池(俊)委員】
はい。そこは非常に詳しくやっておりまして、クオリティチェックは2段階ございまして、特に先生御関心の高いCO2などは国環研がクオリティチェックをしたというデータセットと、それからそれぞれの観測者がクオリティチェックをしたというデータセットと、大きく言うと2種類あるわけですね。どこかの機関が責任を持ってクオリティチェックをしたというのと、個人がクオリティチェックをしたと。そういうクオリティチェックの内容についてもメタデータに記載され、1個1個のデータにそれがフラグが付くというような形になっています。

【中澤委員】
分かりました。特にそういうところは使う側にとって非常に重要なので。ありがとうございました。

【小池(勲)部会長】
よろしいでしょうか。

【深澤委員】
コメントです。最初のDIASの利点のところですけれども、情報系の方が書くとこういう形になるのかもしれないんですが、観測を実際にある意味で率いている方からしますと、DIASの一番大きな利点というのはインターオペラビリティーの促進になるんですね。つまりこれはデータ取得の手法とか、データの時空間分布の概要が分かるということで、つまりどこでどういう観測が行われているかということが、観測する方で分かる。ということは、次にどこに行けばいいのか、どこと連携すればいいのかというのがDIASを見たら全てのいわゆる現業官庁の人から大学の人まで分かるということから言うと、まさに必要な観測のインターオペラビリティーの促進には非常に役に立つということだけをちょっとコメントで付け加えていただくとよいかなと思いました。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございます。ほかになければ。よろしいですね。ありますか。

議題(3)平成26年度の我が国における地球観測の実施方針について

【小池(勲)部会長】
それでは、次の議題に移らせていただきます。次は「平成26年度の我が国における地球観測の実施方針について」です。事務局から説明をお願いします。

【清浦推進官】
資料の5でございます。前回の部会におきまして平成26年度の実施方針につきましては25年度の方針の時点修正を基本として事務局に案を提示することとなっておったところです。今お配りしているペーパーは25年度の方針に見え消しという格好で修正案を示させていただいております。
主な変更点でございますけれども、まず15ページ目を開いていただければと思います。この赤字の修正のところでございますが、アクションプランについての記述を更新しているものでございます。事実関係の更新でございます。それから次に18ページ目でございます。18ページ目の修正につきましては、前回少し御議論がありましたが、Future Earthという国際プロジェクトが立ち上げられている状況について追記させていただいているところでございます。以上が主なポイントでございまして、その他は時点修正、字句の修正等でございます。
今回の議論を踏まえまして修正し、その後に委員、関係省庁、各機関に照会したいということを考えております。以上です。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。この次の議題で出ますように、地球観測の推進戦略の見直しを今期に行うことになっておりますけれども、平成26年度の地球観測の実施方針に関しては、その前年度に出しました方針に沿って今回26年度までは書かせていただくということで、基本的には25年度のものの修正という形で扱わせていただきたいということです。それで、今は少し加筆、訂正を大きくしたところだけ紹介いただきましたけれども、何か大きく昨年、今年の分ですね、今年の分と違って大きく変わったところがほかにあるということが御指摘いただければ、それを含めた形で各府省に照会をかけたいというふうに思いますので、コメントをよろしくお願いいたします。
ちょっとこれ、短時間でページ数が長いので、昨年のことを思い浮かべていただければ良いですが。これは今日、今頂かなくても。委員の先生にも回しますね。今、ぱっと見て気が付くところがあればお願いいたします。

【藤谷委員】
先ほどの連携拠点の報告でもちょっと申しましたように、昨年度、太陽放射のワークショップを開催しております。このワークショップにおきまして取組案、先ほどの資料2で御説明したものでございますが、取組案をまとめておりますので、できればこの10ページのところの放射過程のところに少しそういう話を書き込んでいただければと思っております。

【小池(勲)部会長】
はい。分かりました。ほかにございますか。

【深澤委員】
いいですか。

【小池(勲)部会長】
はい。

【深澤委員】
極域における変化の観測・監視というところと、それからあと第2節ですね、気候変動メカニズムの解明、温室効果ガスに係る物質循環の解明、そのどちらに入るべきかちょっとよく分からないんですけれども、GRENEが始まってGRENEの中の1つで非常に重要なのは、カーボントラックをやっていることがもちろんある。それで、最初の方ですと、森林火災、インドネシア等で多発する泥炭火災でバイオマス喪失から推定されるというのがあるのと、それから今度は極域の方では特に森林変化というのが余りあらわには書かれてはいないんですけれども、どちらかにこれは入った方が実はいいんではないかという気がしました。例えば、10ページに森林火災やインドネシア等で多発する泥炭火災、あるいは極域の永久凍土崩壊による森林崩壊とか、それはかなり大きな現象だと思いますし、GRENEの中で扱わなければいけないことだと思いますので、入っていると新しい変化というか、去年と比べて新しい変化という気がします。

【小池(勲)部会長】
ほかに何かコメントございますか。はい、どうぞ。

【寶委員】
5ページの風水害の軽減のところの2つ目の段落の文章が、昨年これで通ってるんだろうと思うんですけれども、ちょっと文章が長すぎると思うので、もう少し2つ3つに分けていただきたいと思います。必要でしたら文案も用意したいと思いますが。
それから、5ページの下から4行目に宇宙と書いてあるのは、これは何なんでしょうか。青字になっているところですが。

【清浦推進官】
申し訳ございません。

【小池(勲)部会長】
これ、間違い?

【寶委員】
これ、もう削除したらいいんですか。

【小池(勲)部会長】
これはミスですね。済みません、これ、縮めたやつを作っていただきます。

【寶委員】
ええ。縮めたというか文章を分割したものがいい。

【小池(勲)部会長】
ああ、分割。そうですね、ちょっと長い。

【寶委員】
1段落1文でそれが10行ぐらいになっちゃっているので。

【小池(勲)部会長】
よろしければ、これから各府省に回すのと、あとは委員の方に見ていただいてコメントを頂くという形で実施方針の案を決めていきたいと思います。いずれにせよ、これはあと2回、本部会、7月の末までございますので、あと2回でこれに対しては決定するという形をとらせていただきます。まだちょっと時間がありますのでよろしくお願いしたいと思います。

議題(4)地球観測の推進戦略の見直しについて

【小池(勲)部会長】
それでは、今日の主な一番の議題ですけれども、議題の4の「地球観測の推進戦略の見直しについて」です。前回の本部会で委員の先生方の意見を事務局でまとめまして整理しておりますので、まずそれを事務局から御説明をお願いいたします。

【清浦推進官】
まず、資料6でございますけれども、前回の部会でコメントを頂きました御意見につきまして、事務局の方で少しソーティングをさせていただきまして、まとめております。
まず、1ポツ、状況の変化。これは元々この戦略の見直しのときに、CSTPから勘案すべき状況の変化ということで少し例示があったものに関連するところでございますが、まずFuture Earthに関することについてはかなり御議論いただいているところでございます。それから、ビッグデータ等は技術革新についてというところでございます。それから3番目に災害等、防災等とも連携を考えた取組というもの、それから4番目といたしまして、現在並行的に行われておりますGEOSSの次期10年計画等というところでございます。
それから、2ポツの方で書かせていただきましたが、これはこれまでの成果に関するところで頂いているコメントについて少し書いております。
それから3ポツ目でございますけれども、こちらにつきましては今後の課題解決に向けた取組、あるいはニーズに基づく観測という観点からコメントを頂いた点でございますけれども、分野間連携、あるいはトランス・ディシプリナリといった観点、それから課題解決型の観測という観点。それから3番目といたしまして、課題解決への具体的貢献の話という格好で分けさせていただいております。
それから4番目といたしまして、本日DIASの議論もありましたけれども、データ統融合・利活用に関するコメントをまとめさせていただいております。
次のページに行きまして、5番目でございますが、国際的な取組戦略との観点。
最後にその他ということで、御議論の参考になればということで御意見をまとめさせていただいております。
それから、続きまして、資料の7でございます。こちらの方は、事務局で前回は必ずしも御議論、コメント、多くの議論を、割いていただいていなかった部分と言いますか、その辺を少し挙げさせていただいておりまして、今日の議論の参考にさせていただければと思っております。1点目で、やはり現状の課題といいますか問題といいますか、もしそういう見直すべき点というのがありましたら、是非忌憚(きたん)のない御意見をという一般的な話でございます。
それから次に、2番目に書いてございますのは、一部御議論ありましたが、今GEOSSの方でも重点分野という考え方で9分野の考え方についてどのように見直そうかという議論がなされております。こういう重点分野の考え方については是非議論を更にしていただいたら有り難いかなと思ってございます。
それから、3番目といたしまして、今も少し同じような議論がありましたけれども、これまでの10年と今後の10年を考えたときに、よくビッグデータという言葉が出ますけれども、これがいかに考えていった方がいいのかと。何か具体的に変わったのかと、これをどういう新しい取り組み方が必要とされるか、こういった観点の御議論を更に頂ければ有り難いと思っております。
それから次に、データの利用者という観点から見たときに、これまでの10年で新しい利用者というのが発掘されているのかどうか。より狭い区域、例えば都道府県、市町村等の狭いレベルでの対応策等への応用といった観点、あるいはそういう技術の国際展開の可能性といった観点、こういうような観点での議論も更に深めていただければ有り難いということで書いております。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。前回議論いただいたことを2枚紙にまとめていただきましたけれども、資料の7で前回必ずしも余り議論の対象にならなかったことで今回の見直しの際にその中には是非書き込まなきゃいけないということを幾つか取り上げてございます。今日これからあと40分ほど時間がございますので、特に資料7に書かれました3つの項目ですね、4つありますけれども、それについて是非コメントを頂ければと思います。どの視点からでも結構ですのでよろしくお願いします。
上から2番目の重点分野の考え方については、今までここでは特に温暖化、水循環、対流圏大気変化、それからその後東日本大震災を受けて災害が入ってまいりましたけれども、こういう重点方式でやる方がいいのか、それとももう少し別の切り口があるのかというような御議論でもいいと思います。いかがでしょうか。
はい、お願いいたします。

【小池(俊)委員】
2つの点でちょっとお話したいと思います。
1つは今小池勲夫先生からお話がありました重点分野の考え方なんですが、これも以前からお話は出ていますけれども、温暖化と水循環と災害とか、環境の変化と例えば農業とか、インターリンケージな部分のあれはやっぱり力がまだ弱い。観測を統合化し、そしてそこから分野を超えたような知を導き出して社会に適用していこうとすると、そこのこの分野別方式ではなくて、重点分野連携というようなものを推進するようなマインドが私は必要ではないかなと思います。
GEOSSの次期、2015年以降を考えるGEOSSの次期についても、日本はかなりそれを主張いたしまして、そういう文言が入っております。私は国内でもそういう部分を明確にして進めるべきではないかと。これはFuture Earthの中で言われているインター・ディシプリナリティーということも非常につながるわけで、そこに力点を置いてはいかがかと思います。
2点目は、丸で言いますと3番目と4番目の両方に関わることなんですが、先ほどちょっと申しましたが具体的なことを言いますと、実は明日から、アジア17か国から23人の方が本学においでになって、DIASで開発した気候変動の予測モデルのバイアス補正と、ダウンスケーリングのシステムを使った能力開発の講習会を3日間やるんですが、そのときに、各国1河川ずつデモンストレーション流域って決めているんですけれども、今回は気候変動の予測モデルのバイアスコレクションをやるので、30年、短くとも20年のデータがあったら是非あらかじめ送っておくようにと。そうしたら、私どもの方でデータベースの中に入れておいてちゃんと使えるようにしとくからと言ったら、インドネシアのシタルム川っていう川なんですけれども、そんな大きい川ではないんですが、166か所、30年分のデータがどんと来ました。
何を言いたいかというと、グローバルな情報が非常にデータ量が多いわけですけれども、グローバルな情報とローカルな情報を結びつけることによって生まれるそれぞれの利益というのは非常に大きいと。かつそういうことを感じているのは国内の行政機関もそうですし、国際的にもそうで、そういう部分をエンカレッジできるような枠組みというのは是非持つべきではないか。私、アフリカもちょっとやっていますが、アフリカの人たちと話をしても、そんなのがあるんだったらデータはって、一度地下水で衛星のGRACEと一緒に組み合わせることをお見せしたら、ボルタ川っていう川ですけれども、一遍に100か所ぐらいの地下水データが送られてくるんです。それで検証してみてくださいって言うんですね。だから、そういうそれぞれの地域のニーズは非常に高いものがあって、地球観測を膨大なデータでなかなか自分たちでそういうシステムを持ってはできないかもしれないけれども、組み合わせるとそういう社会的利益が生まれるというようなものについては推進していくようなことを考えたらどうかと。ビッグデータの1つの考え方だと思います。

【小池(勲)部会長】
今の視点、特に後半の方は、いわゆるローカルな観測データとグローバルな観測データを合わせると非常に価値のあるものが出てくると。しかもそれはローカルにとって非常に役に立つものだということで、地球観測の場合どちらかというとグローバルな視点のデータということが非常に強調されていたので。ただ、データそのものというのはかなりローカルにたくさん集められていますので、それをいかに生かしていくかということだと思いますけれども。
ほかにいかがでしょうか。

【安岡委員】
平成16年に作られた地球観測の推進戦略の見直しということになると思うんですけれども、この間に随分いろいろ変わってきたと思うんですね。それで地球規模の問題がどういうふうに、更にこれから大きな問題を起こしていくかということをやっぱり手前から考える必要があると思うんですが。
そのときに、今私がぱっと頭に気がついたのが3つだけあって、世代間、つまり我々の時代に起こした問題が次世代にどういう影響を及ぼすかということ。それから、あるローカルな、若しくはある地域で出した問題がほかの地域に影響を及ぼすという空間的なミスマッチ、スケールミスマッチって生態系の方でよく言いますけれども、こういう問題。これも多分地球規模の課題で非常に大きいと思います。それから、あと、これはちょっと単純ですけれども、1つの国が出したものが他の国に影響を及ぼすっていう安全保障的な話ですよね。今3つだけ挙げましたけれども、そういう視点でっていうのがこの平成16年に書かれている地球観測の推進戦略というところではちょっと欠けていると。つまり、何が問題になるのかっていうことをちょっと先取りした上で観測も少し考えていかなきゃいけない。今までのベースとなる観測はずっと続けなきゃいけないっていうことはもう間違いないんですけれども、更に加えてどういう視点で地球観測を考えなきゃいけないかというときに、今みたいなものを幾つか挙げて、今3つだけ挙げましたけれども、ほかにもいっぱいあると思うんですが、そっちの視点から攻めていくというのも重要ではないかなという印象を持ちました。以上です。

【小池(勲)部会長】
ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【河宮委員】
JAMSTECの河宮です。ビッグデータについて現状の課題というところに関わるんだと思いますけれども、ビッグデータって最近よく聞くんですが、感じるのは人によって意味がまちまちだということで。
ここでお話ししているような場合でビッグデータというと、衛星観測やモデルで空間解像度や時間解像度がどんどん上がってきて非常に情報量は多いんだけれども扱いにくいデータというのをどうするかっていう話が多いような気がするんですが、世間一般でビッグデータというと、アマゾンのネットショップで売上げが少ないたくさんの本をどううまくさばくかとか、そういう話になってきて。ただ、そっちのアマゾン系の話も全く地球観測に役に立たないかというとそうではなくて、この間テレビで見て面白かったのは、携帯電話の位置データなんていうのをちゃんと集めると津波で避難するときに人はどう動くかということの解析に使えるというような例があって、それはむしろそっちのアマゾン系の話に近いと思うんですよね、感じ方、フィーリングですけど。そういう意味合いがあやふやなところがありますので、まずはビッグデータと一言言ったときにどういう種類のものが含まれるかという分類みたいなものはこれから議論をしていく上で非常に大事ではないかなと。それがないと何がパラダイムシフトなのかとか、取組がどういうものが必要なのかとか、そういう議論も進まないのかなと思って。
そう思っていたところ、この間ちょっとIT関係の人と話す機会があって、情報科学の研究者ですけれども、やっぱりそっちの分野でもそういうビッグデータと一言言ったときの類型、分類というのが大きな話題になっているんだそうで、そういう人たちとも情報交換しながら地球観測に関わりの深いビッグデータというのはどういう意味合いでのビッグデータなのかという定義をはっきりさせることが必要なんじゃないかなと感じました。以上です。

【小池(勲)部会長】
ほかにいかがでしょうか。

【杉本委員】
私もそのビッグデータに関してなんですけれども、何度ももう既に出ているかもしれませんけれども、ビッグデータを扱うということ自体に加えて、非常に小さなデータ、それを例えば観測側の立場から言うと、そういうものとビッグデータをいかにつなぐかというところが非常に重要です。そのときに、現場にいる人、現場に行って観測をする人間から言うと、現地の人たちのニーズも非常に吸い上げることができる立場にいると思いますので、そういう現場で観測する人たちがとるスモールデータをいかに社会科学的な視点と一緒に吸い上げていくかということを是非考えていくべきではないかなと思います。

【小池(勲)部会長】
今、杉本委員の研究は、例えばシベリアで観測しているときに、日本からシベリアに行ってやられているわけですね。そうすると、シベリアの実際の、向こうに住んでいる人たち、それとあと実際日本から行っている研究者とビッグデータと。その3者の関わり合いはどうなっているのですか。

【杉本委員】
非常に難しいと思うんですけれども、地球全体で見たときのデータの一部がシベリアになるわけですけれども、私たちが実際に現場でとっているデータというのは、本当にその場で起こっていることを見ているわけですから、その検証データやあるいはモデルやなんかのフォーシングのデータとして非常に重要ですし、それと同時に是非そういう現場で観測するようなグループ、日本にはたくさんいますので、その人たちというのは結構現地のニーズとかをある程度は考えていると思うんですね。そういう人たちは、例えば私なんかは社会科学の立場でほとんど仕事をしたことがないので、社会科学的に何しなさいって言うことはできないんですけれども、現地とのつなぎの役にはなると思いますので、そういう意味でデータだけを提供するのではなくて、何か人の心やニーズが吸い上げられるような、そういう立場で仕事を、恐らく多くの人はしてると思いますので、それが吸い上げられるような何か仕組みがあるととてもいいなと思いました。

【小池(勲)部会長】
はい。どうぞ。

【深澤委員】
現行の推進戦略の中で、特に観測ということに関して言うと、地球観測データを体系的に収集するということが不可欠である。その方法として、1つのやり方として重点化がなされていくんだと僕は思いますね。そうすると、今の重点化の中で地球温暖化、水循環、対流圏大気変化、災害(風水害、地震・津波)とやったときに、これがどうも僕から見ると横並びではないような感じがするんですね。それで、それはどうしてそうなのかというと、まだ出口とか、先ほどの小池先生がおっしゃったインターリンケージという問題がまだ不十分なのでこういう形になってるのかなと思うんですけれども、より横並びの形での地球観測、切り分け方としてグローバル、ローカル。で、それらをつなぐテレコネクションといったような形の、それが重点化になるかどうかは別として、そういう形で並べられるのかなという気がします。
インターリンケージというところ、その部分こそが実はビッグデータ。ビッグデータというのは前回、私ちょっと言いましたけれども、僕の知識ではもともと体系化されていない非常に大きなデータを1つの方向に向かって体系化する、あるいは幾つかの方向に向かって体系化するのがビッグデータという呼び方だと私は信じておりますので、DIASのような感じですね。そんなときにインターリンケージをビッグデータがきちんと受け持てる形にするということが重要なのかな、次のときにはその観点をうまく入れられるといいなと思います。
それからあともう1つ。前の我が国の推進戦略の中には余り明確には出てこないんですけれども、実はもちろんこれから先というのは我々税金使っての観測が多いわけですから、まず国民へのサービスというのがもちろんあることは確かなんですけれども、ただし、これから先の日本の将来、我々の次の世代のことを考えた場合に、世界の中、あるいはアジアの中でこの地球観測あるいはそれの出口として、日本はその中でどういうぐあいに尊敬されるべきなのか、どういうことをすれば日本はリードを取れてなおかつどこの国からも信頼できる国と思われるのかというようなニュアンスが少し入るような形があったらいいかなと思います。以上です。

【小池(勲)部会長】
どうぞ。

【甲斐沼委員】
特にではないですが、ビッグデータに関して、先ほどの河宮さんの話で、アマゾンとかのビッグデータの話を思い出しましたので。収集したデータで位置情報だけでなくて行動のパターンですか、そういう情報もわかってきて、この人は次にどういうものを買いたいのかが分かるという話です。きっと非常に大きな地球観測に関するビッグデータもそういう意味ではいろいろな新しい方向性というのが見えてくるんだと思うんです。それと同時に、やはり最終的には対策を考えることで、ただ、対策をしている人たちにとってはやっぱりテラとかペタとか非常に大きなデータというのはとてもじゃないけど扱えないということになるので、それをやっぱりビッグデータからやはりローカルなデータでローカルの人が扱いやすいデータに変換して使えるような形で提供していただけるというシステムも重要じゃないかなと思います。
それともう一点、先ほどCDIACの話が出てきましたが、CDIACには、社会経済データを含めて将来のシナリオの日本から発信した情報も入っていますが、やはり日本であそこのサイトに行けば情報が、日本に関しては全て分かるというような形で、世界に発信していただけたらというふうに思いました。

【小池(勲)部会長】
どうぞ。

【沖委員】
ありがとうございます。3つコメントと、1つだけ質問をさせてください。
1点目ですが、重点分野につきまして、国民の安心・安全の確保、経済社会の発展と国民生活の質の向上と書いてありますが、やはり東日本大震災以降、日本の普通の方々のリスク認識というのが少し変わってしまって、非常に地震に移っていて、あと21世紀に入ってから気温の上昇が少し足踏み状態だということも手伝ってか、あるいは原子力発電所の問題もあってか、非常に地球温暖化に対するリスク認識が下がっているという現状は否めないだろうと思います。しかもそれが市民の間だけではなくて、行政組織の中でもそういうことを認識を示される方もいるように思いますので、こういうことで今後の推進戦略を切り込んでいくためには、やはりきちんとした理論武装が僕は必要なんじゃないか、つまり、地球観測というのがそもそもなぜ重要で、その中でもこれがやはり研究コミュニティーとしては大事だと思うということを言わない限りは、向こうからいや、そういうのは大事ですねとはなかなか理解してもらえないし、支持を受けないんじゃないかという懸念を持ちます。
特に、水なんかは、私ももちろんこういうので重点分野に水循環を入れていただけるのはうれしいわけですが、大垣先生はどうか分からないですが、私いろいろなところで水の研究をしている人なんているんですねと言われることが時々あります。この前しずくという衛星が上がったときも、ちょっとウェブ記事か何かをお手伝いしたんですが、そうするとウエブの記事のコメントに水の研究をしている人がいると知って安心しましたというコメントが寄せられるわけですね。そのぐらい、少なくともGEOSS自体は国際的なので国際的には農業、水っていうのが非常に重要であるということは論を俟たない段だと思いますが、日本の中でこういうプロジェクトを立てるときに、あるいは計画を立てるときには水あるいは気候変動で地震以外の災害というものに対する認識がまだまだ余り…。というか、高いという研究者の概念で当たり前だと思っていくと、どこかで足をすくわれるんじゃないかなというふうに懸念いたします。ですから、これはこの重点分野が悪いということではなくて、我々がもう少し慎重に理論武装をやっていかなきゃいかんのではないかというふうな気持ちです。
2点目はビッグデータなんですが、科学はやはり数少ないデータから本質が何であるかを見つけるところに多分昔の学問の面白さが非常にあった。それが、今みたいに情報がありふれると、ある意味で言うとセンスがなくてももう見えちゃうわけですね、データを可視化すると。という話は、京大の廣田先生が昔ゾンデのデータしかないときに低気圧の三次元構造を想像したノルウェーの人たち偉いと。今みたいに再解析のデータがあったら誰でも分かるじゃないかという話をしたというのを思い出したわけですが、そういう限られた情報の中から非常に一所懸命考えた人が先端を切って何か新しいものを発見するというのが昔の科学のパラダイムだったのが、今は人間の頭では処理できなくて、計算機の力をかりないと我々が把握できるような情報に集約できなくなったというのが私は自然科学におけるビッグデータの問題なんではないかなと思います。既に、恐らく観測ということで言いますと、衛星観測による地球観測のデータはほとんど使われてないことの方が多くて、使われている情報というのは非常に限られているんじゃないかなというふうにも思います。これは安岡先生、違いましたらコメントいただきたいと思います。ですので、そういう意味では、やっぱり自然科学の中におけるビッグデータのパラダイムシフトというのはここ10年ぐらいで起きたんじゃないかなと思います。ただ、面白いことは、この前JAMSTECから『Nature』に出た論文もシンガポールのゾンデデータとCMIP5のデータであったということから、非常にシンプルなゾンデのデータの60年分とビッグデータの一部であるCMIP5のデータでそういう研究ができるというのはいいことかなと思います。
先ほど小池先生がアウトプットはローデータをとにかく長期保存ということをおっしゃったので、それから考えますと、例えばCMIP5が出るCMIP3のデータというのもほとんど使われないとなると、本当はモデルコードだけ置いておけば再現は理論的にはできるし、使われもしない古いモデルのアウトプットをとっておくというのは何かミュージアム的な価値しかないかなというような気も少しします。というのは、別にとっときゃいいじゃないかという話かもしれませんが、誰も使わなさそうだということがかなり見られる情報をアーカイブすることというのはやっぱり徒労な感が、IT側にあるんじゃないかなという気が少ししましたので、それは検討していただいたらと思います。
3点目は、前回の資料6というところにもつつ書いてありますが、科学的な目的のためというのもきちんと書かないと、その先ほどの課題解決のためだけに地球観測をやるわけじゃないというのは書かないとなかなか観測される方の支持が得られないんじゃないかと思います。
4点目、これは質問ですが、地球観測データのビッグデータに関する構造化というのは具体的にどういうことを意味するのかというのがもし、イメージが湧きませんものですから、教えていただければと思います。長々済みません。

【小池(勲)部会長】
今、最後の質問は、どなたが答えられる?ビッグデータの構造化。

【深澤委員】
ちょっといいですか。
私が思う地球観測データの構造化というのは、ある1つのデータの固まりがあったときにそれの手のつなぎ方に関して幾つかの触手を持っている、その触手の出し方ですね。例えば、気候変動とそれからある地域での疫病の発生率を見たいといったときに、今我々が持っているまさにそのビッグデータ、全然何もかも一緒くたになっているデータではそれを出すことは多分実際には不可能。どこをどういう必要があるかというと、そこのところで、例えば何年から何年までの間の1日の最大のいわゆる不快指数と、それの時系列を1つ出せるような、そういう横糸と縦糸がすぐ通るような形にデータを持っておくこと。それが僕は構造化というものだと思います。ですから、それはやはり経済のデータでも同じで、いろいろなところの物価だとか例えばこれから先10年後の穀物の価格、それからあと気候変動の予測値を見たい、あるいは逆に今度は気候変動の予測値から穀物の価格を見たいというときに、どこで何を見ればいいかというのをこちら側からパラメータを指定することによって、そういうアライメントが大きなデータの中からすっと作れるような、そういう形がいつでもとれるようにするというのが構造化だと私は思っています。

【小池(勲)部会長】
はい、じゃあ。

【小池(俊)委員】
沖さんがおっしゃったIT屋が徒労に感じるというところなんですけれども、ITの人はそういうことを徒労には普通は感じなくて、先ほどCMIP3とCMIP5の話がありましたけれども、2つの観点で、CMIP3って40テラバイトですね。CIMP5はさっき言いました2.6ペタバイトなんですよ。だから、科学が進歩していくと、基本的に同じようなものを表そうとしたときのデータ量は爆発的に増えるわけです。そのギャップ、増加量に対して以前持っていた能力で出したプロダクツというのは、もうごみみたいに小さいんです。それを捨てるか捨てないかなんてあんまり判断する必要もないぐらい小さいんですね。普通科学はそうやって発展していきますので。
じゃあ、本当に捨てていいのかというと、僕は違うと思ってまして、例えばCIMP3の世代であり、かつCMIP5の世代であり、依然として不確実性がある。どこにあるんだろうかというようなことを根本的に議論しようとすると、その2つの比較が必要になってくるだろうし。それは我々が作業仮説を持って、あることをこうだろうと思って、これが必要だからとりましょうというのを超えた世界にデータのアーカイブの価値というものはあるんだというふうに私は思っています。
ですから、2つの意味で、後半は積極的に科学的な意義なんですが、前半は今の技術的な意味合いから、そういうところに余り議論しなくて、これが必要と思ったデータはきちっと長期的にアーカイブして、後世の人がそれに対して非常にそれを使って新たな知識が生み出される可能性をちゃんと保全するということが私は大事だと思います。
先ほど数少ないデータからメカニズムを見るという、廣田先生のお話もありましたが、実は同じような議論をDIASのアドバイザリーボードの先生とこの3月にしたんですが、鈴木基之先生がビッグデータなんてほとんどごみの山じゃないかという話をされたわけですね。そうなんです、ごみなんですよ。ある1つのサイエンスの観点から、ほとんどが漠として使わないデータなんだけど、その中からほんの数十バイトか、もしかしたら数十キロバイトぐらいのデータが必要なんですね。そういう可能性をきちっと提供しようとするとビッグデータ、要するにごみ駄目をきちっと整理する能力がないと、そこからそういうデータを使った知が生まれないという状況に今なっているということで、随分ホットな議論で、僕も若者のように大先生に向かって議論したんですけれども、昔、ある限られたデータの中でこう科学を発展させてきた世代と、これほどたくさんある中からどうやって私たちが本当に有用な情報を探し出して、それと自分の考えを結びつけるかという作業の大変さということを少しでも軽減することが今の科学には必要ではないかなと思っています。以上です。

【小池(勲)部会長】
なかなか面白い議論ですけれども、これは。ほかに、どうぞ。

【安岡委員】
先ほどの沖先生の意見と今の小池先生の意見と非常に関係するあれなんですけれども、我々って計測するときに、若しくは観測するときにやっぱり頭の中にモデルを作っていたんですよね。ある種のモデルを説明するために観測をしていたっていうことが圧倒的に多くて、じゃあビッグデータって何かといったらモデルの、ある種メタモデルを作るような話で、例えば地球温暖化の研究をやられていた方々がそのモデルのためにとってきたデータを水循環の方がひょっとして全然違う視点から見たらモデルが更に広がるメタモデルができあがるかもしれないっていう。既にそれをやられている方がいらっしゃると思うんですね。ともかくそれを全部集めておくと、新しいメタなモデルを作ろうとしたときにきっともっといいモデルができるかもしれないという期待を込めて多分皆さん言ってるんだろうと思って、まさにごみなんだけれども、山のようなごみが多いんだけれども、別の視点のモデルを立てようとした人には宝の山に見えるかもしれない、そういう性格のものじゃないかと僕は思うんですね。ですから、結果的にはDIASがモデル統合とかそのためにデータ統合をしましょうと言っているその流れそのものとほとんど同じじゃないかと僕は思っています。これは山のようなデータから黙ってて何かが出てくることは決してなくて、メタなモデルを作ろうとした人がやっぱりそれを利用できるんじゃないかという気がしています。地球観測という視点も、多分そういうものじゃないかなと思っています。以上です。

【小池(勲)部会長】
はい、どうぞ。

【寶委員】
ありがとうございます。5つほど手短に話したいと思います。
まず最初、地球観測の継続性と一貫性、あるいは長期継続観測の実現。これは平成16年版にも書かれてるんですよね。ところが、ALOSの光学後継機が途絶えそうだとかそういう話が出てくるというところもありまして、途絶えてもまあ代替の別の後継機的なものがあればいいのかもしれませんけれども、そういう推進戦略として立てているものを、やはり強力に継続・維持していくことがやっぱり重要なので、次期推進戦略を書き込むときもそういったことをしっかり強調するということですね。
それから、2つ目ですけれども、重点分野連携が重要ということで、私もそう思いますけれども、そういうプロジェクトを立ち上げるような枠組みというか予算措置といいますか、そういったものがないと、やはり研究者にしても従来どおりの各自の分野に近いところで動くしかないということになりますから、重点分野連携のプロジェクトを立ち上げるような予算措置などを考えていくということも強調すべきだろうと思います。
それから3つ目ですけれども、国際展開の話で、東日本大震災の後も日本発の現象が、日本で起こって世界に波及している現象が、日本からというよりはドイツですとかニュージーランドの研究機関や研究者から先行的に情報提供をされたということがあるわけですけれども、日本発の現象でなくても海外発の現象であっても、日本発の情報発信がなされるような、そういう活動をエンカレッジする必要があると思いまして、これもまさに地球観測によってできる話だろうと思いますから、そういうことをエンカレッジすると。
それから4つ目は、ビッグデータの話に関係するんですけれども、グローバルモデルとかインターコンチネンタルないろいろなモデルがあると思うんですが、そういうモデルでやっぱり多種多様なデータをバランスよく使ったモデルというものもやっぱり必要だと思うんですけれども、今のところグローバルなモデルでもデータの質、ある部分では強力に展開しているデータがあっても一部の様子を表現するにはまだ不十分であるとかということもあるので、ビッグデータがどういうものかということは問題はあるんですけれども、そこからデータマイニングして活用できるデータを拾い出していって、出したようなデータをバランスを使ったモデルを構築して新しい科学的な知見を得るように持っていくということも必要ではないかと。
それから5つ目、最後ですが、次世代を担う人材育成をやるというふうに平成16年版も書いてあるんですけれども、そういう人材育成が進んでいるのかどうか。そういう人材を確保することが必要であると書いてあるんですけれども、確保できているのかどうか、そういう検証も必要ではないかなと思いまして、そういうエビデンスをちゃんとチェックすると。そして、そういう人材が実際に何人もいるというのであれば、そういう人たちを検証するような仕組み、検証することが実際にこの推進戦略の成果になるわけですから、そういったことも考えてもいいんじゃないかなと思いました。以上です。

【大垣部会長代理】
先ほどの沖さんのコメントの1つに、いわゆる科学と応用のところのつなぎで、出口だけが今強調されているんではないかということだと思うんですが、それはまさにその心配はあると思うんですね。自然の神秘を解明するための観測、その重要性は変わらないと思うんですが、多分出口が強調されるようになったのは個人的な興味本位で膨大なお金を使って測っているだけではないかというような誤解に対して、どう説明するかということからだんだん出口というものが表面に出てきた面もあるんだと思うんですが、多分、この状況の中でどう説明するかというと、やはり自然現象の解明も含めて両方説明しないといけないんではないか。その自然の神秘を解明するという部分が実はさっき安岡さんが世代間と言いましたが、後の世代にどれだけ役立つかということをやはり研究者も強調しないと理解を得られないんじゃないかという気がします。
これで重点化あるいは推進方策として出口だけという形で切っていくと、実は何もなくなってしまうという心配があるのです。一方、解像度がどんどん小さくなってきたために、実用化ができるということもありますので、そこの結び付きは非常に複雑だと思いますね。水の研究者は、私は水道とか下水道に近いところにいるので、それはいっぱいいるわけですね。だけども、それは自然の水の研究とはみなされていない。ところが、予測なり観測が非常に厳密にローカルになってくればくるほど応用性はどんどん高まって、自然の水の研究が出口的価値と使い道が出てくる。それが今の時代だと思うんです。だからそこの全体像をどうやって説明するかが地球観測全体の問題でもあるかなと思います。

【小池(勲)部会長】
ちょっと時間が押してきましたので、今日先ほどの資料7に基づいて貴重な意見を頂きましたので、事務局でこれをまとめていただいて、それでできたら次の7月ですね、あと1か月弱、1か月はないか、3週間ぐらいありますので、できたら簡単な素案の形にまとめていただいて、それを基に次回議論をしたらと思います。ある程度書いたものがないとなかなか議論がしづらいと思いますので、前回と今回頂いた議論をうまく併せて見直しの、こちらの部会としての視点をきちんとした形で表現できればと思います。
今日頂いた御意見、いずれもこれからまた次の10年の地球観測をやっていく上で非常に大事なコメントであったと思いますので、事務局の方で是非その辺の取りまとめをよろしくお願いしたいと思います。できれば、数日前にお送りいただければ皆さん長いものでなければ見ていただけるチャンスはあるかと思いますけれども、ただそうするとちょっと事務局にプレッシャーが掛かってしまいますので。でもやはり事前に送っていただいた方がいいな。是非よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から何かございますでしょうか。

【清浦推進官】
それでは、事務的な御連絡でございますが、本日の議事録につきましては後日メールで皆様にお送りさせていただきます。修正等あればその際御指摘いただければと思います。最終的には文科省ウェブページに掲載することで公表をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次回の第3回部会は7月8日月曜日13時からを予定しております。また御案内はいたしますのでよろしくお願いいたします。

【小池(勲)部会長】
ありがとうございました。それでは、ちょうど時間ですので、これで第2回目を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

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研究開発局環境エネルギー課

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