第3期地球観測推進部会(第6回) 議事録

1.日時

平成22年6月11日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成23年度の我が国における地球観測の実施方針案について
  2. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、小池(俊)委員、沢田委員、杉本委員、瀧澤委員、藤谷委員、本蔵委員、安岡委員、和気委員、渡邉委員

文部科学省

田口環境エネルギー課長、谷環境エネルギー課環境科学技術推進官、湯本環境エネルギー課地球観測推進専門官、中尾環境エネルギー課係長

5.議事録

【小池(勲)部会長】  
 それでは、時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の第6回の会合を開催したいと思います。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日の出席者の確認をお願いいたします。

【谷推進官】 
 現在ご出席いただいております委員の先生方、10名で過半数に達しておりますので部会は成立ということをご報告をさせていただきます。。本日は青木先生、井上先生、大垣先生、高薮先生、寶先生、中静先生、深澤先生、堀川先生がご欠席でございます。
 また、本部会は運営規則によりまして公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、議事に入る前に事務局より資料の確認のほうをお願いいたします。

【中尾係長】 
 資料の確認をさせていただきます。まず、お手元に座席表をお配りしております。次に議事次第がございます。配付資料といたしまして、資料1-1としまして、平成23年度の我が国における地球観測の実施方針(案)がございます。その後、資料1-2としまして、1枚紙で国内の地球観測システムの統合に向けた具体的な進め方(案)がございます。さらに資料2としまして、地球観測連携拠点(水分野、生態系・生物多様性分野)検討作業部会の開催についてがございます。資料3としまして、地球観測衛星委員会(CEOS)の活動状況の報告資料がございます。抜けなどがございましたら、事務局までお伝え願えればと思います。以上です。

【小池(勲)部会長】 
 本日はお手元の議事次第にありますように、主な課題が23年度我が国における地球観測の実施方針(案)で、その他で幾つか議題がございます。
 それでは、議事を進めさせていただきます。議題1は、平成23年度の我が国における地球観測の実施方針についてでございます。これは前回資料の骨子案を文章化したものがお手元の資料1-1についてございます。委員の先生方はこれを初めて目にされると思いますので、少し丁寧にご説明をお願いできますでしょうか。

【谷推進官】  
 資料1-1、23年度の地球観測の実施方針(案)につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。目次で全体の構造を、22年度の実施方針から構造として変えたところがございますので、その点についてまずご説明をさせていただきます。22年度の実施方針につきましては、大きく3つの構造になっておりました。1つ目が、気候変動への対応のために必要な地球観測のあり方。これは実施方針につきまして、ここ2年ぐらいの間に従来のやり方から相当改善するというつもりで、いろいろ先生方の意見をちょうだいしながら進めてきたところでございますが、特に22年度から気候変動への対応ということを少し大きく出して、これを重点化するということで図ったところでございます。それが第1章として、気候変動への対応のために必要な地球観測の在り方という章立てになってございました。
 その中に、まず第1節、気候変動のプロセス・メカニズム理解のための地球観測というものがありまして、今回は気候変動メカニズムの理解とより精度の高い予測のための地球観測というのが第2節にございますが、第1節と第2節が入れかわった形になっております。22年度の実施方針では、第2節に気候変動への適応のための地球観測というものがございましたが、これは前に持ってきております。今お配りしておりますところの第1節に相当する部分でございます。
 この入れかえた趣旨でございますが、タイトル、今第1章になっておりますところに、新たに「課題解決型の」というキーワードが入っております。これは現在、第4期の科学技術基本計画の策定に向けて議論がされている途中でございますけれども、既に今の重点分野という形ではなくて、こういった課題解決ということで、まず課題を設定し、その解決のために科学技術が貢献していくという方向性が強く打ち出されております。その流れに沿いまして、特に23年度は科学技術基本計画第4期の初年度に相当するということがございまして、そういう課題解決という方向性を明確化したいということで、全体の構造も少し変えているということでございます。
 22年度の第1章の中に第3節として、分野横断的なデータの共有・統融合というものが入っておりましたけれども、これが第2章に国際的な取り組みというものを書いておりました中に、利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築というものが入っておりました。これを第1章の分野横断のデータ共有・統融合と一緒にして、第2章として、地球観測システムの統合によるデータの共有・統融合という形に整理をし直したということでございます。
 国際部分につきましては、改めて第3章として、国際的な地球観測システムの統合化に向けたリーダーシップの発揮とアジア・オセアニア・アフリカ地域との連携の強化ということをうたっております。特に国際部分で変えておりますのは、第3章のタイトルの中にアフリカということを書き込んだということでございます。22年度は、特に地球観測の推進戦略に基づいて全体の構造等を規定しておりましたけれども、昨今の状況、第4期の基本計画との関係から、必ずしも推進戦略にとらわれ過ぎることのないようにということから、こういった章立てでいかがでしょうかというご提案をさせていただきたいということでございます。その中で、推進戦略ではアジア・オセアニア地域とだけ書いてあるわけですけれども、昨今の重要性、研究、観測活動等の進展に応じましてアフリカということも明記したらどうかということでございます。
 22年度では、第3章で分野別の推進戦略、全体でいうところの15の分野については第3章でまとめて整理をするというふうにしておりましたけれども、これが実質的に第4章になったということでございます。分野別の推進戦略に基づく地球観測の推進と、基盤の構築ということ、これも明示的に構造の中に出すということにして、第4章の中で整理をしているということでございます。これが大きな構造のところで変わっている部分でございます。
 それでは、以下、個別の章の中身に入ってご説明をさせていただきたいと思います。資料のつくり方といたしましては、22年度の実施方針で、そこから大きく変えたところを見え消しの形でお示しさせていただいております。ただ、先ほど申し上げたとおり、構造的に章をまたいだとか、章が大きく統合されたとか、そういったものについては見えにくくなるということがありまして、そういう意味では、従来の記述との関係というところを中心に見え消しになっております。
 全体の構造の部分で変わったところというのは、先ほど申し上げたとおりというふうにご理解をいただきまして、あと書きぶりのところで変わっているところを中心に、この後ご説明をさせていただきたいと思っております。
 まずページ1の「はじめに」の部分でございます。前書きといいますか、前提部分については特に大きく変えてございません。経緯等が中心になっておりますので、その部分は特にさわっていないということでございます。その上で、平成23年度の我が国における地球観測の実施方針においてはというところを、基本的な考え方として新たに書かせていただいております。地球規模課題である気候変動問題の解決に向けて地球観測の果たすべき役割、これは引き続き極めて重要ということをまず言っておりますが、加えて、先ほどから申し上げておりますとおり、23年度、第4期の基本計画の初年度ということがございます。その中で課題解決ということが大きな方向性として出されておりますので、気候変動問題に対応するための課題解決型の地球観測の推進、これを重点事項として提示をするというふうに記載をしてございます。
 また、GEOSSの10年実施計画が折り返し点を過ぎて、ちょうど平成23年度、その後半部分に入っていくということでございます。観測システムの統合に向けた取り組みが本格化するというフェーズに入っていくということを踏まえまして、国内の観測活動についても統合を具体的に加速していく必要があるだろうということでございます。そのため、地球観測システムの統合による観測データの共有・統融合、これについては同じく重点事項という形で提示をするということでございます。ですから、それぞれ第1章、第2章という形で重点化して前のほうの整理をするということでございます。
 2ページ目になりますが、タイトルのところに課題解決型のということを入れたのが大きなポイントだということでございます。それから、前書きのところは、気候変動への適切な対応ということだけ書いておりましたけれども、緩和と適応と両面あるということをつけ加えてあるとか、予測を加えた、あるいは対策の検証ということで、地球観測の重要性ということを書いております。
 気候変動が水循環、生態系、生物多様性などに影響を与える、さらに国民生活に大きな影響を及ぼすということについて。これは、書きぶり自身は平成22年度の実施方針の中にもございました。
 そういった基本的な考え方を踏まえて、本章では、気候変動に伴う国民生活への負の影響を抑制する。すなわち気候変動への適応のための地球観測と、地域的な適応策立案の前提となる気候変動メカニズムに理解と、より精度の高い予測のための地球観測についてまとめたということでございます。これは第1節、第2節というまとめ方の基本的な考え方を書いたところでございます。
 第1節、気候変動への適応のための地球観測の部分でございます。AR4の話については特段書きぶりは変更する必要はないであろうということでございます。他方、総合科学技術会議のほうで適応の技術開発の方向性につきましては前回中間取りまとめということでしたけれども、その後最終取りまとめが出ておりますので、それに合わせた書きぶりにしております。
 特に適応の関係では受け身の考え方ということではなくて、科学技術の飛躍に新たな社会と価値をつくり出す絶好の機会ととらえていくという前向きな姿勢で臨むという話が書いてあることと、必須の基盤技術として気候変動モニタリング、気候変動予測技術、またデータ管理統合化技術というものが挙げられているということを明記しているところでございます。後半部分につきましては特段大きく変更する必要はないだろうということで、特に修正は加えておりません。
 第1節の中の水循環・風水害の部分につきましては、これは若干の修正ということでございます。水災害について具体的な中身を詳細に出したということでございます。また、影響低減というのは、そもそも回避するということもあるであろうということから削除しておりますけれども、そういった微修正を加えてございます。
 4ページ目に入りますけれども、気候変動による水循環の変化の中で考慮すべき視点ということで、水文学的視点というものを新たに加えております。
 5ページ目、生態系・生物多様性の部分になりますが、本年10月、名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会合、いわゆるCOP10が開かれるというところを具体的に書いているということがございます。項目といたしまして、生態系・生物多様性の中では、従来は温暖化に伴う生態系・生物多様性の変化のモニタリングというものと、海洋酸性化を特出しをしておりましたけれども、昨今の非常に大きな動きになっております森林の関係について、これを特出しをしたらどうかということを提案させていただきたいということでございます。
 具体的には5ページの下のところからでございますが、森林保全・森林炭素評価という項目にしております。これはご承知のとおり、森林減少等に由来するCO2等の排出は、世界の温室効果ガス排出量の約2割ということで非常に大きな量に当たっているというのが見込みでございます。そのため、特に今途上国を中心にいたしまして、森林減少・劣化に由来する排出の削減、いわゆるREDDでございますが、これが非常に重要な課題となっているということがございます。
 このため排出量等の計測、報告の観点から、森林モニタリングシステムの構築に向けた取り組みが求められているという状況を書いております。森林モニタリングシステムの構築については、衛星観測データの取得、バイオマス量推定アルゴリズムの開発、現地取得データとの連携など、多くの取り組みが必要となり、また関係者も多数にわたるということから、効率的・効果的な連携を確保しつつ推進していくことが重要であるとしております。
 第2節でございます。気候変動のプロセス・メカニズムの理解のための地球観測としておりましたが、これはプロセス・メカニズムというのが何度も出てくるということがありまして、メカニズムの理解というふうに一本化したということと、より精度の高い予測ということを加えております。
 内容的には項目としてつけ加えた点がございますけれども、考え方としては大きく変わっているところはございません。項目として追加しているところは7ページの上の部分になります。22年度の実施方針では、炭素循環の解明と、雲物理・降水過程の解明、対流圏大気変化の把握と海洋変動の把握ということを挙げておりましたけれども、これに加えまして、北極における変化の観測・監視というものを追加してございます。これも最近、北極振動等、我が国の国民生活への影響といったものもありまして、非常に関心も高まっているということでございます。今年は特出しをしたいということで、ご提案をさせていただいております。
 1点目の炭素循環の解明につきましては、若干の書きぶりの修正ということでございます。REDDのところ、それからGOSATの書きぶりにつきましては、その研究の進展に応じた書きぶりというふうにしております。
 8ページ目、項目として挙げられております雲物理・降水過程の解明につきましては、その書きぶりの一番最後のところに、これは衛星の観測をしっかりやるということを書いておりましたけれども、あわせて検証となる現場観測についても充実させる必要があるのではないかということで、追記をしてございます。
 また、海洋変動の把握の部分につきましては、9ページに若干の修正を加えております。まず、インド洋での観測、ブイ、フロート、あるいは船舶観測といったものを加速させるということを書いておりましたけれども、このインド洋海域だけに限る話ではないということで、それを広げて全国規模というふうにしたということでございます。また、長期継続的に維持をするということについても追記をしているところでございます。
 新しい項目として挙げておりますのが、北極における変化の観測・監視ということでございます。これは、この書きぶりの下半分にございます「なお書き」とさせていただいておりますけれども、温暖化分野の地球観測連携拠点のほうで雪氷圏という呼び方になりますけれども、雪氷圏における観測の研究についての提言が出されております。これは、温暖化連携拠点の活動の一環としてワークショップ等を開催しております中から出てまいりました提言でございます。前回の観測部会で事務局長の藤谷委員のほうからご報告をいただいた内容を、ここに整理をしているということでございます。
 第2章のほうに進めさせていただきたいと思いますが、10ページになります。地球観測システムの統合によるデータの共有・統融合というところになります。前段といいますか、一番最初の基本的な考え方のところになりますが、「推進戦略」で、地球観測の基本戦略として「利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築」が挙げられているということ、この重要性について書いております。あとは、22年度の実施方針の書きぶりを踏襲しております。
 連携拠点の話、10ページの下のほうに後半部分、下半分に書いております。その中で、特に現在推進部会のもとに設置をした作業舞台において、水分野、生態系・生物多様性分野について具体的な連携拠点設置に向けた検討が行われているということを追記してございます。きょう、後ほどその検討状況についてはご報告させていただきたいと思っております。
 11ページ目、これもこの後具体的にご説明させていただき、またご議論をいただきたいと思っておりますけれども、新たな取り組みということでご提案させていただきたいと思っております。GEOSS10年実施計画の後半においては、地球観測システムの統合に向けた取り組みが本格化することから──これは国際的にという趣旨でございます。国際的にGEOSSの具体的な各国、あるいはいろいろなところでなされております地球観測システムの活動の統合が本格化するということが見込まれるわけでございますけれども、また我が国としてそれをリードしていくという状況にあるわけでございますが、それにあわせて、国内の観測活動についてもその統合を加速していく必要があるであろうということでございます。
 このため、特に23年度におきましては、実施計画の取りまとめを通じて、そのプロセスの中で観測データの公開、共有を進めるとともに、国内の観測システムの統合化に取り組むものとする。その際、地球観測データの統合・解析システムの活用を図るものとするということでございます。
 具体的な細かな手順、その他につきましては、この後別途資料1-2を用意しておりますので、そこでご議論いただきたいと思います。
 12ページに参りまして、第3章の国際的な取り組みの部分でございます。タイトルは国際的な地球観測システムの統合化に向けたリーダーシップの発揮、それからアジア・オセアニア・アフリカ地域との連携の強化でございます。推進戦略における重要性ということで、我が国のリーダーシップの発揮、アジア・オセアニア地域の連携強化ということを記載してございます。
 続いてのパラグラフのところに、「科学技術創造立国」を国家戦略としてと書いてあること、さらにその次のパラグラフはG8の洞爺湖サミットの話、またラクイラのサミットの話、この辺をリファーしておりますけれども、現在新成長戦略、間もなく行われるサミット等の動きがございますので、この辺はそれらの進展を踏まえて適宜修正を加えるというふうにさせていただきたいと思っております。
 12ページの下の部分、修正を加えておりますところは、本年の地球観測サミットの開催に関係する記載の部分について修正を加えているところでございます。
 13ページも若干の修正ですが、基本的なところは変わっておりません。
 14ページ、一番最後になりますが、第4章、分野別の推進戦略に基づく地球観測の推進と基盤の構築というところでございます。推進戦略に示されております15分野につきましては、従来、最終章で各機関においてそれぞれの分野の取り組みを推進することが期待されるという書きぶりでございます。これは特に変えてございません。
 それから、一番最後のパラグラフでございますが、ここは特に基盤の構築ということで、従来類似のご議論の中で常に指摘されております基盤的な構築、長期観測でありますとか、継続的な観測、こういったものをしっかりやっていく必要があるのではないかというご指摘を節目、節目でいただいておりますけれども、これを改めて基盤の構築ということで整理をさせていただいております。特に赤字のところにつきましては、新たに書き起こしております。
 地球システムにおける重要な変化の多くには、短期間の観測では明らかにすることができない事象があり、的確な把握のためには長期継続した観測が必要ということ、そのため、地球観測事業の長期継続的な実施に必要な観測基盤の構築が重要であるとしております。さらに、そのため統合された地球観測システムにおいては長期継続観測を実施する関係府省・機関、研究開発機関・大学との連携を可能とする仕組みを備え、関係府省・機関の有する観測施設等、人材、研究開発機関・大学の技術等を活用することで、長期継続的な研究観測を支援する体制を整えることが重要であるということをうたっております。また、長期継続観測を可能とする新たな観測手法や観測機器の開発を促進するために、競争的研究資金の活用を図ることを検討する必要があるということを書いてございます。
 以上、全体、資料1-1の実施方針の案についてのご説明でございます。

【小池(勲)部会長】 
 ただいまご説明いただきました平成23年度の我が国における地球観測の実施方針ですけれども、初めに目次で今年特に変わったところのご説明をいただいて、その後、各章、節の説明をいただきました。全体でこういう形でいいかどうか。多分細かい書きぶりとかいう点はまだ修正の必要があるところもあるとは思いますけれども、全体の流れとしてこういう形でいいかどうかについてご議論いただければと思います。どなたか、まずご質問、ご意見あれば、どうぞお願いいたします。

【安岡委員】 
 第1章のところで、課題解決型の地球観測ということを強調されているのは、非常にいいと思います。次期の科学技術基本計画もそういう方向でいきますので、これは非常に重要だと思います。ただ、1点、課題解決型の観測というのが従来の観測とどこが違うかということを明確に書かないといけないだろうと思いまして、そのトーンを全編に散りばめるといいますか、入れる必要があるのではないかと。
 第1章のパラグラフの2つ目に緩和と適応というキーワード、それから予測、対策の検証というのが、2ページの上から第2パラグラフのところに予測と検証というのが、1つ、キーワードとして出てきて、課題解決型の観測というのは、ここが重要ですよということを出されている。これはこれでいいと思いますが、これだけなのかなというのはよくわからなくて、多分予測の向上と効果検証というほかに、もう少し行動につながる何かのキーワードがあるような気がしています。今時点ではわかりませんけれども。
 そういうことを後段にある水循環・風水害、生態系・生物多様性のところで、少しそこの問題解決型というのを意識したような形で、強調して書いたほうが多分わかりやすいのではないかという気がしました。以上です。

【小池(勲)部会長】 
 私も表題のところに課題解決型を入れているんですけれども、その後の書きぶりが、昨年のところをそのまま踏襲しているところが多いので、そのニュアンスが薄れてしまっているところがそれぞれのところで出てきますので、やはり一つ一つそこを強調していかないと、全体に課題解決とはどういうことなのかということが伝わってこないと思いますので、ぜひそれは文章をもう少し変えていただきたいと思います。

 【小池(俊)委員】 
 私もそこを申し上げようと思っていたんですが、課題解決型の地球観測とは何かということで、これは私もデータ等解析システムをやってきて、大きく2つ出しているということと、もう一つ加えることがあるのかなと思っています。1つは、この中で一つ一つの観測をうたわれていますけれども、統合化することによって世界で共有できる知が創造できると。だれもがうんとうなずける、そういうところまで持っていくということが1つ目です。
 2つ目は、課題解決ですから、解決する主体がそのデータや情報が使えないといけないので、私どものキャッチフレーズは「体感できる情報を提供する」。要するに観測されているものから、体感できる情報まで変換していくというか、そういうようなことが2つ目にあるのではと。これは私どもの宣伝かもしれませんが。
 もう一つは、課題解決ということで、地球観測と課題解決ということを考えますと、ダウンスケーリングといいますか、グローバルなスケールからローカルなスケールにダウンスケーリングする、こういう手法と組み合わせたデータ情報の使い方というのが、具体的な課題解決型の地球観測のあり方になるのではないかと思います。

【瀧澤委員】 
 私も同じ、課題解決型のというところの言葉の定義が少しあいまいではないかなと感じたんです。今ほど安岡先生と小池先生がご指摘された、この課題解決型のという言葉が、観測し放しではなくて、実際に使えるものにしていこうという、すごく肯定的な意味でとらえられているというのは非常に好ましいことだとは思うんですが、逆に課題解決型の地球観測ということで限定してしまったことで、従来目的が見えていなくても地道に観測していたようなものの芽が絶たれるようなことがあってはいけないと思いますので、課題解決型のといったときの概念が広がる方向にあるのか、狭まる方向にあるのか、目的指向なのか、もう少し明確にこの中の文章のほうで定義していただければいいと思うんですけれども、そういうことが必要ではないかなと思いました。

【小池(勲)部会長】 
 事務局のほうからコメントはございますか。

【田口課長】 
 まず課題解決型という言葉なんですけれども、これは必ずしもこの方針に使うのが適当かどうかという話はもちろんあると思いつつ、しかし、第4期の基本計画のある意味では共通理念のようなものになっていますから、実際に課題解決型という4期の基本計画で予定されている言葉をこの観測の基本方針に落とすとどういうことになるのかというのは、今ご指摘があったとおり、少し中身を内容で説明しなければいけないと思ってございます。
 それに際しまして若干ヒントになるかなと思うのが、例えば3月にこの気候変動への適応に対して全国知事会から報告書が出ています。その要点を簡単に述べますと、今まで緩和はやってきたけれども、適応は全然やってこなかった。だから、これからやらなければいけない。だけれども、やるためには観測データとそれに対する評価が必要だと書いてあって、ここは先ほどの安岡先生の、予測、検証に加えた何かというのは、1つ、評価というのがあるのではないかと思ってございます。
 あと、この方針自体をだれに向けて書くかという話が若干ございます。ただ、行政としてつくる限りはタックスペイヤー、もちろん研究者に向けてというのもありますが、そこがございますので、そういう意味では課題解決型というのもおのずと社会との関係において定義される。むしろ研究課題というよりは、社会との関係において課題というのが設定されるのではないかと思っています。いずれにせよ、ここはきちんと丁寧に書き起こす必要があるというのは、おっしゃるとおりだと考えております。

【本藏委員】 
 似たような意見なんですけれども、この課題解決型をエクスプリットに使うと、今ほかのところでもこういう形で使われているところはありますけれども、そうすると、今皆さんがお話しになりましたように、ただ単に観測をして、予測をして、予測までいければまだいいんですけれども、観測して、データを集めて、これからの予測技術の開発に資するものだとか、あるいはそれをさらにどんなふうに使っていくのかということを超えて、もうちょっと成果が直接的に求められると思うんです。
 具体的にどんな形を求められるかというと、行政でも使えるようなものにつながるような情報とならなければならないというところの視点が今後色濃く出てくると思います。それは必要なことなんです。ただし、それをこの中間層の枠でそこまで全部広げるのかというと、それはむしろ私は現時点では不適切だと思うんです。ですから、こういうものを使うのはよろしいんですけれども、これを使うとなると、例えば新たな技術開発が必要になって、それが例えばグリーンイノベーションなんて今言われていますけれども、イノベーションにつながるなんていう大きな構想でこういう課題解決型という言葉が現在よく使われているんです。だから奥は非常に深い。
 ですから、そこまでを取り込むことは不適切だと、私は現時点では思うので、そういう道筋にあるということは当然我々はいつも考えていなければいけないんですけれども、この地球観測というのは名がついているとおり、基本的にはグローバルなものです。先ほど小池さんのときに言われましたけれども、適応策という具体的なものになってくると、当然ローカルな問題に入ってくるんです。その必要性は十分あるんだけれども、グローバル観測が必要だという視点は最終的にグローバルなものが何もわからないのは、ローカルの問題だけで取り扱ったってほんとうの解決にならないという視点だと思うんです。
 だから、グローバル観測というものがやっぱり重要であるという視点は、課題解決型とうたったところでやっぱり必要である、基本的にはそれがベースであると。そこからいろいろな、最終的にはローカルな問題へとつながっていって、最終的に具体的な適応策につながるという流れだと思うんです。その流れの中で、この地球観測は基本的にはどの部分を担うのかと、全部ではないという形で整理をしておいたほうが、私は現時点では誤解を生まないというのでいいのではないかと思います。

【小池(俊)委員】 
 本藏先生がおっしゃるように、地球観測はグローバルなものを対象とするというのは確かだと思うのですが、地球観測のGEOSS10年実施計画を書いたときに、Global Earth Observationというのを3つの形態で定義しました。実施計画文書の最初に書いてあるんですけれども、1つは今本藏先生がおっしゃったように、グローバルなものはグローバル観測でないとできない。それは確かなんですが、あと2つございまして、例えば災害のようにグローバルな観測ネットワークを持っていると、そういうものが起こったときに常に情報が出せるという、これは極めてローカルな話なんです。
 そういうことが1つと、例えば生物多様性のように、逆にいろいろなところで起こっているのをグローバルにかき集めてくると、全体の地球像が見えてくるというものも、このGlobal Earth Observationの対象としようとしたんです。ですから、言葉じりをとらえるわけではないんですが、地球規模のものだけが地球観測のターゲットでは必ずしもないというふうに思います。

【本藏委員】 
 私はそういう意味で使ったのでは毛頭ありません。私は地震をやっていますけれども、基本的にはローカルなものなんです。しかし、視点としてグローバルでなくてはならんと、そういう意味なんです。

【藤谷委員】 
 今回の案を読ませていただいて、問題解決というのは非常にいい切り口と思うのですが、今もいろいろな先生方からご議論がありましたように、そうしますと、これまで地球観測の非常に重要なコンセプトであります長期継続的に淡々と観測を行う部分がちょっと薄れる感じがします。これを読ませていただきますと、淡々と観測を行いましょうという話が実は最後の14ページに出て参りますので、この部分を最初のところに出しておく必要があるのではないかと思います。

【小池(勲)部会長】 
 ほかにありますでしょうか。今問題解決型というものの定義づけの問題をめぐっていろいろな議論がありましたけれども、もともとGEOSSの場合は利用ニーズという言い方をしていて、利用ニーズと問題解決の2つの言葉を比べると、問題解決のほうがかなりとがった感じがする言葉ということは間違いないんですけれども。
 ここは毎年、毎年、どこに方針として重点的に物事を考えるかというところなので、表題に問題解決型というのを使うこと自身は、私はいいのではないかと。ただ、今幾つかご議論が出ましたように、その問題解決型というのは非常に狭い意味でとってしまうと、いろいろな面でむしろ観測の幅を狭めてしまうということがあります。ですので、この一番最初に書かれている1ページ目、気候変動問題に対応するための問題解決型というのは非常に広い意味で使っているわけです。ですから、多分こういう前提で問題解決型を使うということならいいのではないかと。それを、それぞれのところに落とし込んでぎちぎちとやると、なかなかうまくいかないところもたくさん出てくると私は感じましたけれども。

【安岡委員】 
 今のポイントについての非常に具体的な提案になります。あくまでも次期の科学技術基本計画に向けての初年度で、今後の地球観測のあり方を、これから新しい側面を考えるということが23年度の役割だと私は思います。その流れの中で課題解決に向けてどうあるべきかというのを検討するというのは非常に重要で、多分そこは皆さん一致しているんだろうと思うんです。
 ただ、23年度に具体的にそこができるかというと、我々まだ方法論を持ち合わせていない部分もあるので、いきなりはできないでしょう。自分たちのというか、地球観測コミュニティーの首を絞めるようなことをもちろんしてはなりませんし、ほらを吹いてもいけないので、今後向けての方向性を示すという意味で、僕は非常に重要だろうという気がしています。

【渡邉委員】 
 今の議論の繰り返しになるかもしれません。去年も少し議論したと思うのですけれども、集中化することと地道にやっていくことのバランスで、皆さんがおっしゃっているのは、後者を全体として整理する必要があるということと思ういます。課題解決型に重点化する議論をしたときに、もう一つのポイントと思っているのは、このデータがあれば、日本の国内でそれを利用していろいろなことが進んで、非常に国際的に貢献するという部分の重点化もあるということです。課題重点化というのと、今いった部分の重点化とクロスしているところとして、温暖化関係があると思うんです。だから、この重点化の二重構造が少し整理されて書けたらいいのかなと思います。
 それから、具体的にどういうふうに活用されるかというのが成果として問われるところの検討は、連携拠点等の課題ともかかわってきます。連携拠点は2行ぐらい書いてあるだけでしたけれども、そこの位置づけを整理しておく必要があり、拠点ではそういうことをやっていくことになると思います。それをこの実施方針に入れるかどうかはまた別問題でしょうが、そういう議論をしていかなくてはいけないと思います。以上です。

【杉本委員】 
 課題解決型のことに戻るんですけれども、地球観測自身に課題解決型という網を完全に張ってしまうのは、私も反対です。それは、例えば今目の前に迫っていない課題でも、グローバルな視点で、あるいは、もちろんローカルなほうからでもいいんですけれども、観測を続けることによって将来問題になってくる課題を見つけるという点もありますので、そういう意味で課題解決型というのに網を張ってしまうのは反対です。
 むしろ、それよりも、これから2章のほうの議論も出てくるのかもしれませんけれども、出てきたデータをいかにタックスペイヤー、あるいはほかの分野の研究者の人たちに渡して、そこから実際にそれぞれの地域で課題を解決するためにデータをどういうふうに加工して提供していけるのかというところが、むしろ課題解決型として考えてしっかり議論すべきところではないかなと思います。

【小池(勲)部会長】 
 この第2章に関しては、すぐに少し具体的な提案を事務局のほうからなさるということなので、そこで議論したいと思います。今この23年度の地球観測の実施方針の課題解決というところ、2つ、今回重点項目として挙げる中の一番最初のほうですけれども、これに関しては今委員の方からいただいたご意見を反映して、少し書き方を改めたということでお願いします。
 2つ目のほうの話に移らせていただきたいと思います。今の第2章にかなり密接にかかわることで、データをどういうふうに統合して見せる形にしていくかということですけれども、これに関する事務局側のご提案を初めに聞かせていただいて、それについて議論したいと思います。

【谷推進官】 
 それでは、資料1-2を見ていただければと思います。先ほど資料1-1の実施方針の案の中でデータの共有・統融合という話を盛り込んで基本的な考え方のご説明をさせていただきましたけれども、それを具体的に、特に国内の地球観測システムをどう統合させていくのかということについて、一歩進めたいということでご提案をさせていただくものでございます。
 背景といいますか、問題意識を1.で書いておりますが、これは既にご案内のとおりかと思います。推進戦略では、データ収集から情報提供に至る段階が適切に統合された地球観測システムの構築に向けて、連携・協調する必要があるということをうたっております。これからGEOSSの10年実施計画後半に入っていくということでございますが、地球観測システムの統合に向けた取り組みが本格化するという状況がございますので、国内の観測活動の統合加速の必要があるのではないかということでございます。
 統合ということを言うことは簡単なのですが、具体的にどうすれば統合できるのかということであります。2.に具体的な方策として書かせていただいております。まず、我が国において実施する地球観測事業については、観測データの公開・共有ということを図るために、文部科学省のほうで現在ジャパンGEOSSといいますか、地球観測推進部会のホームページをつくっておりますけれども、そこは一種のポータルサイトという形にいたしまして、そこに一元的に登録をしていただきます。
 つまり今実施方針をご議論いただいておりますが、これに基づいて実施計画をつくってまいります。そこに盛り込まれるような地球観測のアクティビティーについては、地球観測推進部会のホームページと申し上げたほうがいいかもしれませんが、そのポータルサイトに一元的に登録をしていただくということでございます。
 具体的に何を登録するかということですが、まず既に各研究機関等でいろいろなホームページをつくって、そこでデータ公開しているという状況があるわけですけれども、そのデータを公開しているURL、それから、どういった観測項目を含んでいるのかという情報を含んだメタデータをあわせて登録していただくということであります。したがって、どこにどういう情報があるか、どういう観測データがあるのかということが一元的にこのポータルサイトで把握できるということでございます。
 ただ、メタデータにつきましては、これはいろいろなつくり方がありまして、かつ、つくりようによっては相当大変な作業になるということもございます。統合、あるいは具体的に統合的に解析をするといったことまで考えますと、ある程度の共通性といったものが当然保証される必要があります。現在データ統合解析システム、東京大学の小池先生を中心に開発を進めていただいておりますけれども、そのシステムの中にまさにデータの統融合ということをするための仕掛けとして、こういったメタデータの作成支援ツールといったものを整備がされておりますので、こういったものを活用すると。
 もちろん、メタデータは既におつくりになっている機関等もございますので、それをそのまま使っていただくということもあり得るかと思いますけれども、このメタデータの作成が非常に大変だということでありましたら、こういったツールも活用できるとしております。
 (3)につきましては、具体的に実施計画の取りまとめに当たって、これを具体的に実施計画の中に盛り込むものについては、この登録を一緒にやってくださいということであります。登録を前提とすると書いておりますので、登録していただいたものを基本的には実施計画にのせますと。少し言い方を変えますと、登録していただかないと実施計画になかなかのらないかもしれませんということを申し上げているということになります。そういう意味では、実施計画をつくるに当たっては関係府省、また機関のほうにはいろいろな作業を従来、毎回お願いしているんですけれども、その中でこういった仕掛けをしていってはどうかということでございます。
 将来的には、まずこういったポータルサイトにデータが登録されて一覧ができるということになり、またそれが例えばデータ統合解析システムの中にも同じものが整備をされるということになりますと、データの統合解析システムの本来の目的でありますところのデータの統融合といったものをさらに具体的に進めていくというところにもつながっていくのかなと期待をいたします。
 資料の説明につきましては以上でございます。

【小池(勲)部会長】 
 この部会としては、連携拠点の設置に続きますかなり具体的な事業というか、取り組みの提案ですけれども、まず、これに関してご質問があれば。

【沢田委員】 
 これ、かなり重要な取り組みだと思いますので評価したいと思うんですけれども、この中にはデータという形しか書いていないんですが、例えば先ほどの議論にもありましたが、だれがユーザーなのか、目的はというと、必ずしもダイレクトに専門家でない人も使うとなると、データ・オンリーよりも、そこから出てくる、派生されたプロダクツといいますか、そういったものも含めてデータシステムの中に統合化されているとことを考えてよろしいんでしょうか。また、そのときのデータの評価というか、プロダクトのクオリティーの評価というのを、どんなふうにこの中に入れるかというのが非常にポイントになるかと思っております。

【谷推進官】 
 ご指摘、そのとおりだと思います。一足飛びにそこまでかちっとしたものができるかどうかということについて、ちょっと自信がないところでありますが、まずはどこにどういったデータがあるのかということ、これは時間的なもの、空間的なもの、それからインベントリーといいますか観測項目、こういったものは少なくともきちっと一元的に登録・管理をするシステムをまずつくりたいということでございます。その上で、個々のデータの、例えば信頼性でありますとか、そういったものについては各機関が既にご努力いただいているところがあるかと思いますが、その評価というのはさらにその先に出てくる仕事かなと思います。
 また、既に使える形、プロダクトの形になっているようなものも、データだけではなくてあるということでありますが、メタデータの書き方といいますか、登録する情報については具体的に考えまして、その中に取り込むようにいたしたいと思います。

【藤谷委員】 
 非常にいい考えだと思うのですけれども、具体的にやる場合にはいろいろ課題があると思います。例えば、どういう人を対象にするかという点に関しては、普通は一般の人と専門家に分けるのですが、いろいろな方にお話を聞きますと、専門家でも、その分野の専門家は当然プロですからいろいろなデータを持っている。しかし、隣接分野の人はちょっとこちらの分野を知りたいときは、専門家と言っても少し違って参ります。専門家と言っても、相手によって、データをどういうふうに集めるか、どういう形でメタデータを集めるかというのは相当変わってくると思います。
 したがいまして、多分最初にだれをターゲットにするかというのを相当決めておかないと、少し考え方が拡散してしまうという気がいたします。

【杉本委員】 
 このデータを提供する側の規模というのはどの程度なんでしょうか。もしほんとうに大学の個人レベルでやっているようなデータまでとなると、ポータルサイトであれば入力していくことは可能なのかなと思うんですけれども、そこまでもし集められるのであればかなりのデータが集められるので、すばらしいかなと思います。
 そのときに、先ほど藤谷先生が言われたように、ほんとうに雑多なプロダクトから生データに近いような形のものまで集まってしまうと思うんですけれども、それを衛星のデータを利用するときにレベル1、2、3、4というふうに加工をしていくに従ってレベルづけをして、レベルを上げていくというような何かやり方を考えて、ほんとうにその分野の人が生データを交換したいというような使い方から、行政の方がプロダクトとして市民に示されるようなデータまで加工されたものというふうに、幾つかの段階を想定したポータルサイトが必要なのではないかなと思いました。

【谷推進官】 
 補足といいますか、誤解されていないかと思って申し上げますけれども、データそのものを持ってきてくださいということを申し上げているわけではありません。まずはリンクでどこにどういう情報があるのかということを教えてくださいというのと、それから、その中に一体どういうデータが入っているんですかということを教えてくださいということです。
 ですから、メタデータ自身はそんなに巨大なものになるとは思っておりません。もし、さらにこういった取り組みの先に、例えばデータ統合解析システムの中でデータ統融合をしたい、その研究をしたいということであれば、場合によってはデータ統合解析システムのほうへ持ってきて統合解析をするというようなアクティビティーというのがもちろん考えられますし、そういうものが進んでいくということが期待されるわけですけれども、ここで考えておりますのは、別の言い方で申し上げれば、リンク集プラス観測データの項目の一覧というものがあって、どこにどんなデータがあるのかなということを探すときには、まずここに来れば相当程度のことがわかるでしょうということを期待しております。
 現在は実施計画の事業とセットといいますか、実施計画をつくるときに必要なデータというのを出してくださいということを、まずはとっかかりにしたいと思っておりますけれども、将来的にはこれが、まずはあそこに行っていろいろ探しましょうということになれば、必ずしも実施計画にのっていないようなアクティビティーについても登録したいというようなお話が出てきて、より充実したポータルになるということを期待するということでございます。

【杉本委員】 
 そうしますと、規模からいいますと、府省レベルである程度大規模な観測が行われているものだけということなんでしょうか。

【谷推進官】 
 例年実施計画をつくっておりますので、これは関係府省、関係の機関で行っている活動を網羅的に、結構細かいところまで入っていると思いますけれども、大学の観測活動についても実施計画の中に入っておりますので、これは全部入ると相当充実した内容になって、かえって逆に結構大変な仕事だなと思っております。
 基本的には、この実施計画をまとめておりますけれども、この実施計画に書かれているものについては、全部リンクの中でどういう観測項目、時間、空間、インベントリーというものが書かれたメタデータファイルが一緒に入っていると、そういうイメージを持っております。

【安岡委員】 
 今、昨年の実施方針と見比べていて気がついたんですが、今回の文書を章だけを読むと、第1章に課題解決型の地球観測というのが特出しになりますね。それで、前回の去年の文書の1章の第3節の分野横断的なデータ統融合というのが2章として特出しになりますね。そうすると、並びが、章だけを読むとつながらないような感じになってしまうのではないかという気がしますが。
 むしろ、1章はこのままで構わないと思いますけれども、今回配っていただいた文書の1章の第2節、ここは先ほどお話があったベースライン的なことを書かれている話ですね。これをむしろ第2章に、外へ出してしまって、今のデータ統融合を3章にしてしまったほうが、章だけを読むとつながるような気がしないでもないんですが。まだ精査していませんが。

【和気委員】 
 済みません、今のご議論と関係するかと思うんですが、私は観測コミュニティーに所属しておりませんので、距離を置いて見ている限りにおいては、国際的な統合化が促進されるという、そういう大きな国際的な立ち位置の中で日本がどうリーダーシップをとるかという戦略の中で、多分国内のデータの共有や統融合をどんな形で、これは統合というのかわかりませんけれども、効率的なもの、効果的なものにしていくかというところで落とし込んでいくという姿を素直に読み取ると、やはり今3章のところが前に来て、2章のところの国内の統合化がそれを踏まえてどうするかという議論のほうが、すんなに国民としてはわかりやすいんです。
 つまり、統合、統合というのは、国内で統合したことによってどれだけ国際的なリーダーシップが図れるのかどうかが、統合化という意味はやっぱり大きいのだろうと。したがって、ちょっと順番を逆のほうが読みやすいという印象を持ちました。

【小池(勲)部会長】 
 章の配列の仕方ですね。これ、なかなか難しいと思いますけれども、今おっしゃったように国際的ないろいろな統合の必要性から、具体的な国内をどうするかというところへ導くのか。これは観測があって、国際的なニーズがあって、それで統合という話に持っていくのかというのが、読んだときの受け方ですね。

【谷推進官】 
 今安岡委員と和気委員からちょうだいした意見の関係で、今お示しさせていただいております案をつくったときの考え方を申し上げますと、まず第1章で課題解決型といって、しかもその中に例えばプロセス、メカニズムの理解という取り組み、ある種のベースラインというお話がありましたけれども、そういったものも入っているということで違和感ということかもしれませんけれども。
 問題意識は、プロセス、メカニズムの理解であっても、何を理解しなければいけないのかというところは、やはりある種の問題意識があるわけです。単純なるボトムアップということではなくて、やはりより大きな課題解決をしようというふうに思ったら、こういうメカニズムの理解がどうしても必要ですねと、そういう順番になるのかなと思っております。具体的な適応ということをにらんで、水、あるいは生態系・生物多様性ということで地球観測で、具体的にわりと分野オリエンテッドに地球観測をするというのを第1節にして、確かにややボトムアップではありますけれども、問題意識としては問題解決ということをにらんでのより基礎的なところに立ち返ってというところが第2節と、そういう考え方でありました。
 ただ、今和気先生からお話がありました第2章、第3章との関係は、より大きな国際的な統合というものと、それから国内での取り組みというところでいうと、確かに順番が反対になっているのではないかなという感じもいたします。他方、地球観測システムの統合、あるいはデータの共有・統融合というのも、これは何のために統融合するかというと、やはり課題解決のためということになるわけであります。したがって、今第1章のタイトルの中に課題解決とだけ書いてあるというのが違和感を結局もたらしているということかなと思っております。
 きょう既にご指摘をいただきました課題解決というのが、少しタイトルだけというか、中身に十分溶け込んでいないのではないかというところがありましたので、章立てにつきましては、きょうのご意見を踏まえて事務局のほうで再度少し検討させていただきまして、改めてご提案をさせていただきたいと思います。

【小池(勲)部会長】 
 先ほどの資料1-2に戻りたいと思います。今いただいたご意見では、結局1つ、だれをターゲットにこれを出すかということと、一体どこまでこれを含めるのかということに関して、ある程度見通しがないとなかなか難しいだろうということ。
 あと、私はこれ、GEOSSは5年あるわけですけれども、5年後に日本としてどういう形でこのデータの統合というのをやるのかと。多分これは1年ではなかなか難しいとは思うんですけれども、5年かかってここまではやりたい、やりますという、ある程度の具体的な工程表みたいなのがあるとわかりやすいんですけれども。今これをぽんと出されて、何となくGEOSSの場合データ統合というのは非常に大事なのでやり始めなければいけないということはわかるんですけれども、もう少し全体をにらんだ中でこれがどういうふうになるかという形で出されると、非常にわかりやすいというのが私の印象です。
 ターゲットをどこにするか。とりあえずこれだと、それぞれの観測をみんなそこに行けば、どこでやっているかわかるというのだと、どちらかというとセミプロが使うためのポータルサイトのような印象を受けるんですけれども。最終的にはエンドユーザー、より統合されて、うまくそれがクックされた形でのものも出てこないと、何となくこれでは中途半端ということになりますので、その辺はここで議論するんですか。どういうふうに考えるんでしょうか。

【本藏委員】 
 事務局の取り組みは非常に評価したいと思うんですけれども、現時点でばらばらになっているものはかなりあると思うんです。国際的にデータ統合に向けたデータのあり方については、しっかりしたところは既にしっかりできているわけです。だから、混在しているわけで、その混在している部分であっても、抜けているものはこれを実施計画に登録する以上は、どういうデータがどこにあるかぐらいはわからせようというのが、この資料1-2の趣旨だと思うんです。それは大いに結構。
 そこにいきなり今議論があったようなものを入れ込もうとすると、大きな飛躍で結構大変だと。私の具体的な提案はそれを事務局が全部やるというのは多分無理なので、まさにこれそこ連携拠点、あるいは作業部会が仕分けをして整理をした上で、この部分についてはもう連携拠点で整理済みで、これはもうちょっと整理すると、今入っていないものがちゃんと国際的な、GEOSSのほうにもしっかりと入っていけるような形になると。
 そうでないものはまだいっぱいあって、整理されたもの、例えばさっき大学のデータ云々なんてありましたけれども、大学の人に言わせると、そんなのやっている暇はないというのが多くの答えなので、私も大学の人間でそういうことを言いますので、そういうところまでいきなり統合された形になるようなデータの提供を依頼するのはちょっと酷だと思うので、その辺整理されていくべきだと思うんです。
 例えば具体的な例は、我々地震分野で昔からばらばらだったのを整理したんですけれども、それは地震本部というのもありますけれども、そこの中でデータ流通ワーキンググループをつくってものすごい議論をして、まとめ上げたんです。結果としてどこから出るかというと、地震本部から出ると。各大学から出るわけではないんです。地震本部にまとまった、あるいは具体的には防災科学技術研究所にデータセンターというのを新しくつくって、そこに全部集約して、そこから出る形にまとめ上げているんです。国際的にもそれで十分対応できて、今世界にももちろんオープンになっていますけれども。
 そういう形をつくり上げたのを、それを事務局で全部、個々に実施機関と連携しながらやってくれというのはかなり大変だろうと思うので、私的には連携拠点がここで頑張るべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう。

【小池(俊)委員】 
 きょうちょっと本藏先生と意見を異にすることが多くて大変恐縮なんですけれども。このデータの統合について、例えば世界気象機関であるとか、今本藏先生がおっしゃったように地震とかは大変よくやっておられるわけです。その中で、何でGEOが必要だったのかということを考えると、僕はWMOの方にはよく言うんですけれども、WMOの気象機関のデータだけで話が済むのであればGEOは要らないでしょうと。
 だけれども、そこに水の話も、農業の話も、健康の話もつなげていこうとすると、そこの分野を超えてデータがどこにあり、どんなデータがあるのかということを情報が共有できないと、そういう公共的利益は生み出せないのではないかと言います。今回のこの事務局のご提案は、少なくともこの実施計画にのる課題については、これは藤谷先生がおっしゃったように、どのレベルまでの情報を載せるかというのは議論しないといけませんけれども、その上で情報がシェアできるようにしましょうと。これも大切で、それがだれに対応してつくるのか、これも議論が要ります。おっしゃるとおりです。
 私ども、ここにデータ統合・解析システムの名前が出てきましたので、私どもが何をやってきたかといいますと、データ統合・解析システムにはいろいろな分野の応用機能開発の課題がございます。例えば1つは、市民を取り込んで、市民にも情報がちゃんと提供できるような分野もあります。ですから、いわゆるプロからセミプロから市民までというようなレンジを対象として、かつ分野を超えてというところは、オントロジーシステムを組み込んであって、分野を超えてターミノロジーが一致しているのか、違っているのかということが見られるような形のものをつくっていきました。
 先ほどのどのレベルまでということなんですけれども、これはさんざん議論しまして、深いもの、詳しいものをつくるとものすごく大変なんです。それはなかなか、我々のデータそのものも結構大変。そうすると、どのレベルの情報があると分野を超えて何かやろうというインセンティブが起きるかということをさんざん議論して、ドキュメント・メタデータという1つのレベルをつくりました。それにあわせて、それを入力するシステムを開発して、今ちょうどきょうはアジアの研究者が20人ぐらい来ていますが、彼らが自分たちでドキュメント・メタデータをつくる講習会をやって、そういうことをつくり始めています。そういうことを通してできていくんだと。
 私、ここにそういうシステムを使ってと書いてあるんですけれども、確かに今議論がありましたように、じゃ、この推進部会としてターゲットがどこで、何のためにということは定義されないと、それがほんとうに使えるのか、あるいは、さらにワイドレンジにしないといけないのかということはタスクとして発生してくると思います。以上です。

【小池(勲)部会長】 
 ここに書かれていますように、とりあえず今ねらっているのは、実施計画に登録されている課題に関してはのせていきましょうと、それがスタートラインですね。スタートラインでずっとそこに行くのか、あるいは、それがさらにより拡張されていくのかは今後の議論だと。
 ですから、きょうお諮りしたいのは、スタートラインとしてこういう取り組みをするということに関して部会の委員の先生方のご了承を得たいということだと思いますけれども、それに関してはよろしいでしょうか。
 これはどうされるんですか、全部文科省のほうで面倒を見られるんですか。

【谷推進官】 
 きょう相当クリティカルなところに話が来ていると思いますが、これのポイントは、URLとメタデータのファイルを調査票を出していただくときに一緒に出してくださいということですので、そのデータをもとにホームページに載せる作業は事務局のほうでやりますが、そのメタデータファイルをつくる作業自身は各機関にお願いすることになります。

【小池(俊)委員】 
 それはやめたほうがよくて、最終的にはXMLでちゃんと検索できるようなシステムになったほうがいいので、それはDIASのシステムを使うと、手軽に入力しながら記述部分は記述部分で残って入ってきますし、それはISO19115に準拠していますから、いろいろなソフトウエアでそれが検索できますので、どうせつくるならばそういうふうにしたほうが圧倒的にいいです。
 そういうスタイルをやるということを前提にしないと、情報はあるけれども、それはGEOのポータルにもリファーできないし、ポータルからリファーもできないし、いろいろな形で検索のツールに引っかからないということになってしまいますので、そこはつくり方としてはそうしたほうがいいと思います。

【谷推進官】 
 若干整理をさせていただきます。何が起こるかといいますと、こういう方向でいいということになりますと、文部科学省の事務局のほうで実施計画をつくりますと。実施計画のときにどういうアクティビティーをされているかというのを出してくださいと調査票を配ります。その際にURLの情報とメタデータのファイルを一緒に送ってくださいということをお願いすることになります。
 各機関においては、先ほど言われたように、小池先生のところでつくられているデータ統合解析システムに。これは若干手続は必要ですが、共通のIDとかパスワードみたいなものを発行して使える状態にして、各機関はそのシステムを使って、そこでメタデータのファイルをつくって、これである程度の相互流通とか、検索とか、そういうことができるようになりますけれども、その結果のファイルを調査票をいろいろ書き込んだものと一緒に、URL情報と一緒に送り返していただくと。文部科学省のほうではホームページにそういう情報を書きます。
 そこ自体は多分ポータルのリンク集のようにしか見えないと思うんです。そこで統融合しようというのは難しくて、ただ、同じ情報をDIASの中に持っておくということになりますので、そうすると、これはそういうことを期待するということなんですけれども、そのデータでそこで検索して統融合しようと。場合によっては、必要であればデータを持ち込んでDIASの解析空間で統融合・解析をするというところに発展すると。全体としてそういう流れになるかなということです。
 ですので、事務局としてはそういう負担を各機関にお願いするというか、手間をお願いするということになりますので、その部分については思い切って、そういうことをやらないと、具体的な統合、統合といっても、ほんとうに使える統合にならないのではないかということで提案をさせていただいたということでございます。

【小池(勲)部会長】 
 そうしますと、今進んでいますデータ統合解析システムの全面的なサポートで文部科学省がやられるというふうに理解してよろしいですね。小池俊雄さんのほうもそれでよろしいね。

【小池(俊)委員】 
 さっき言いましたが、かなりタスクが発生することは間違いないですけれども、ただ、これは1つのすごい大きなステップになると思います。もちろん、最初はこの実施計画にのっているものだけになりますが、こういうものが広がっていくと、我が国のデータのある意味のインベントリーみたいなものが手軽にできると。
 先ほど推進官のほうはデータ統合解析システムを持ってきてというお話がありましたが、それがありますと検索にかかって、このデータとこのデータ、例えば国土交通省のデータと農林水産省のデータを組み合わせて何かやりたいということは、データそのものはそれぞれ各省にあるんですけれども、そういうところにアクセスして、そういうデータを使って何かやる。大学の研究者がやる場合は自分のところにデータがありますから、そういうものと手軽にリンクできるようになってくるというメリットまで生まれてくるのではないかなと思います。

【小池(勲)部会長】 
 ありがとうございました。せっかく5年間データ統合解析システムの運用をやってここまで来ましたので、ぜひお願いします。

【渡邉委員】 
 言葉の問題ですけれども、今の資料1-2は観測システムの統合ですが、先ほどの実施方針でも統合と統合化が出てきますし、データ統合と統融合が出てきますね。これらは、大事なキーワードだと思うので、違うのだったら違いをはっきりとさせ、同じだったら統一したらいいと思うので、実施方針を修正するときにはご配慮いただけたら思います。

【小池(勲)部会長】 
 これは言葉の問題、いろいろなかなか難しいところがありますね。

【小池(俊)委員】 
 私どもはデータに関しては統合という言葉を使っていて、情報に関しては融合という言葉を使っております。

【小池(勲)部会長】 
 データは融合で?

【小池(俊)委員】 
 情報は融合できるんですけれども、データは融合できないので、データは統合で、情報は融合という言葉を使っております。

【杉本委員】 
 最初このステップで始められるということですけれども、大学で個別にやっている観測、膨大なデータがあるんですけれども、それが現時点ではすべて落ちてしまっているということをぜひ認識していただければと思います。すぐには、こういうややこしいデータを全部まとめるというのは当然無理でしょうけれども、とても大事なことではないかなと思います。
 それから、先ほど言葉の問題解決型ということなんですけれども、問題解決という言葉を2章にもっと配置するべきではないかなと感じました。

【小池(勲)部会長】 
 2章にですか。

【杉本委員】 
 はい。2章のデータの融合、統合をなぜ進めるかというと、問題解決するためであるということがもちろん書かれてはいるんですけれども。

【安岡委員】 
 私はさっきちょっとおくれたような質問をしたのはまさにその点です。第1章で問題解決とバーンと出てきて、ぽっと第2章でデータの統融合が出てきたときに、問題解決とのつながりが全く見えなくて。それをワンクッション置くためにさっきのベースラインの文書を間に章を入れたほうがいいのではないでしょうかと。さらに、それにさっきワーキングで言われた3章を前に持ってくれば、もう少しデータ統融合という印象を持ったものですから申し上げました。
 ただ、第2章のデータ統融合のところに問題解決という概念をバーンとぶつけるということであれば、それは第1章と第2章がつながっていてもいいような気がいたします。

【小池(勲)部会長】 
 これは問題解決という言葉が入ったことによる全体のアレンジメントがまだここでなされていないということで、それをやった上で全体の章の順番を考えるということで、事務局のほうで少し検討をいただきたいと思います。

【小池(俊)委員】 
 済みません、ちょっと細かいことですけれども。1章1節1の水循環・風水害の集中豪雨などの極端降水現象というところがありますが、その2行目に高精度レーダー観測技術の開発等とございますが、ご存じのようにXバンドマルチパラメーターレーダーが3大都市圏と石川県に設置が済みまして、今もテスト運用しておりまして、今調整中ですけれども、多分今月末にはテスト運用と。要するに情報を公開しながらテスト運用という段階になると思いますので、そこはアップデートしていただいたほうがよろしいかと思います。

【小池(勲)部会長】 
 では、お手元にあります案をもう一度よくごらんいただいて、事務局のほうに気がついたところがありましたらお伝えいただいて、次回のときまでに、今言った全部を含めてもう一度成案を出すということでよろしいですね。

【谷推進官】 
 はい。きょう全体で構造でありますとか、考え方のところを中心にご議論いただきましたけれども、細かい書きぶりのところでお気づきの点がありましたら事務局のほうへお送りいただければと思います。特に森林と北極について新しい項目として挙げておりまして、そこの書きぶりのところ、十分こなれているかどうかということもございますので、少し見ていただければ大変ありがたいと思います。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、次のその他の議題に移らせていただきます。その他の議題としては報告の案件が2件ございます。1件目は、資料2としてつけておりますけれども、地球観測連携拠点(水分野、生態系・生物多様性分野)の検討作業部会というのが開催されておりますので、事務局のほうからこれに関するご報告をまずお願いします。

【谷推進官】 
 資料2をごらんいただければと思います。地球観測連携拠点につきましては、水分野と生態系・生物多様性分野の2つについて検討の作業部会を立ち上げたところでございます。立ち上げたところと申し上げますのは、実際には昨年の11月にこの部会のほうで設置をお決めいただいたところでございますが、まだそれぞれ1回、つい今週両方開いたばかりということで、昨年の8月以降いろいろ政治的な情勢の変化等もありまして、ちょっとおくれてしまっておりますけれども、現在作業部会を開催して精力的にご議論をいただいているという状況でございます。
 水のほうでございますけれども、今週の月曜日に第1回の会議をやりました。概要のところでございますが、現在政策、社会におけるニーズ、関係省庁・機関の連携の必要性、具体的な連携方法について、初回ブレーンストーミングということで議論をいただいたところでございます。次回会合では、各関係の府省・機関から具体的に水関係の観測の取り組みについて聴取をするということで、さらに議論を進めるということにしたところでございます。
 また、生態系・生物多様性のほうにつきましては、昨日第1回を開催いたしましたところでございます。この分野ではデータが散在しているということが非常に特徴的な問題としてあるということが指摘されました。また、関係府省・機関において実施しているデータの掘り起こしが必要ではないかと。それから、観測項目のマッピングということについても重要だというご指摘があったところでございます。
 また、検討へのインプットとしてJ-BONの活動についても報告がされまして、さらに議論を進めていくということにしたところでございます。
 作業部会の検討状況については以上でございます。それぞれ作業部会の主査の先生方にもおいでいただいておりますので、補足等がありましたら、お願いしたいと思います。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、水分野の今主査をやられている小池委員のほうから、何か追加のコメントはございますか。

【小池(俊)委員】 
 いえ、まずはブレーンストーミングからということで、水分野関連の府省はいろいろな歴史的な経緯がありましてなかなか難しい面があるんですが、ただ、こういう水の関係で連携しようというインセンティブは特に気候変動の関係で強くなってきております。そういう形で、ある一定の議論の進捗はあるのではないかという期待を、1回目で持ちました。
 どういう形態にするかというのは、先ほど言いましたように歴史的な経緯もございますので難しいところですが、さまざまな形態を考え、ステップ・バイ・ステップで上げていくということがいいのではないかと思っています。先ほどご紹介がありましたように、次回は各府省・機関の取り組みについてお話を伺うことにしております。以上です。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、生態系のほうで安岡委員のほうからお願いします。

【安岡委員】 
 生態系・生物多様性の分野で、今なぜ連携拠点を立ち上げないかという背景に4つぐらいあると思います。1つは、GEOSSのソシエタリーベネフィットと言われている社会利益の分野で、生態系ということと、多様性ということが2つのキーワードとして挙げられているということです。
 それから、今年はCOP10があって、日本の中ではそれに対応するということでは決してないかもしれませんが、J-BONという動きが、Biodiversity Observation Networkというのが立ち上がりました。いろいろな形での観測が進むと思います。
 もう一つは、先ほど来話があります次期の科学技術基本計画で課題解決ということが挙げられていますが、課題解決の1つの道は連携をするということだと思います。ばらばらではやっぱりだめで、課題解決できませんので、それに向けてどうしても連携拠点が要るだろうということです。
 もう一つは、ここにも書かれておりますが、生態系はほかの分野に比べてもデータが個別分散化しやすいということがあって、これをまとめる必要があると。こういう4つぐらいの背景で今立ち上げたほうがいいのではないかと。今温暖化とか、災害に関して立ち上がっているわけですが、そういうものとの連携をとるということも非常に重要ですので、連携拠点があれば、連携拠点の間の連携がまたしやすくなるということで、分野連携が成り立つだろうと。そういう幾つかの理由で、今立ち上げてはいかがかという検討をしたいと思っています。以上です。

【小池(勲)部会長】  
 きょうの話にもずっとありましたけれども、連携拠点というのは、地球観測というものを非常にしっかり、長期的に続けるためには非常に大事な組織になると思いますので、ぜひ前向きに、2つの作業部会で1年ぐらいの間には何らかの成案を得ていただけるように期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、2件目といたしまして、地球観測衛星委員会の活動状況について、JAXAの梶井執行役からご説明をいただけるということで、お願いいたします。

【JAXA(梶井)】 
 ただいまご紹介いただいたJAXAの執行役をしています梶井と申します。きょうは堀川委員があいにく海外出張になってしまいましたので、本来堀川委員から説明してもらうような趣旨の内容を参考にご紹介させていただければと思って、説明させていただきます。
 タイトルにあります地球観測衛星委員会(CEOS)、これは先ほどご議論いただいていた方針案の中にも名前がありますので、名前としては皆さんご存じだとは思うんですが、内容がどんなものかというのを概略ご説明させていただくことで説明を始めたいと思います。
 CEOSというのは地球観測ですとか研究を目的とする、宇宙からの観測ミッションを国際的に調整していこうということで、84年ですけれども、そのときはG7サミットのもとにつくられております。また、CEOSは、小池先生、作業部会の座長をされていますけれども、GEOSSの設立に科学界と連携してかなり主導的に貢献してきたという経緯がございます。現在はGEOSSの宇宙部分の構築というのを担っているというふうに、CEOSとしては考えているわけです。参加機関は世界28の宇宙機関、20の関連機関が参加しておりまして、実質的にはNASA、NOAA、あるいはヨーロッパのESA、EUMETSAT、それからアジアが事務局機関ということで活動しております。
 次の3ページに移ります。CEOSでどんなことをしているかということなんですけれども、もともと設立の趣旨からいってCEOSは宇宙機関間の情報交換ですとか、観測計画の調整、あるいは観測データの共有化などの活動をしているんですけれども、ここ5年GEOSSが立ち上がってからは、GEOの17のタスクを複数機関が共同してCEOSの名のもとにリードしてございます。
 また、その中でも気候変動の重要性にかんがみまして、そこの下に書いてあります4つの重点タスクを重点ということで進めておりまして、観測計画とか、データ提供について調整を進めています。その4つというのは、宇宙からの温室効果ガス観測、森林炭素監視、気候変動対応、データデモクラシーといったものです。これについては、4番目を除きまして後ほど紹介させていただきたいと思います。
 4番目のデータデモクラシーというのは、途上国の観測データ提供ですとか、キャパシティービルディングを活動内容としているんですけれども、気候変動では途上国の参加が重要だということで、そういった活動も重要性があると認識しております。最近の主要なイベントですけれども、この4月にCEOSのSIT会合──SITというのはストラテジック・イニシアティブ・チーム、戦略チームと呼んでおりますけれども、その会合が東京で開かれております。現在SITの議長機関はJAXAになっておりまして、私がその議長を務めております。
 今後は10月にCEOSの本会合、これは、今ブラジル側の議長機関、CEOSの議長機関ですのでリオデジャネイロで開催されます。そして、11月にはGEO7と大臣級会合が北京で予定されているということで、そこに我々CEOSの活動内容、成果等をアピールしていくと。また、11月から12月にかけてありますUNFCCC/COP16、これはメキシコのカンクンで開かれるといったところにも成果をアピールしていこうと考えております。
 次に、具体的な3つの、宇宙からの温室効果ガス、森林炭素、気候変動の内容ですけれども、一番目の宇宙からの温室効果ガス観測。これはどういうことかといいますと、背景としましては、地球温暖化の対策として十分皆さんご認識のように、CO2のグローバルなモニターというのが非常に重要になってきているということがございまして、それに対してCEOSはどういうことをしているかといいますと、宇宙から炭酸ガスのモニター、これはサブコンチネンタルレベルの実証というのをやっていこうということで、大気観測センサーの比較検証などによって、現在GOSATのデータですとか、EnviSatに積まれているいろいろな大気観測関係のセンサーの検証計画ですとか、観測計画のコーディネーションをしております。
 もう一つは、GOSATなどの観測成果を継承するというのが重要だろうと考えておりまして、そのfollow-on、あるいは次世代ミッションの国際協力計画といったものを調整していこうということで、そういう調整内容は、下に絵が出ておりますけれども、ハイレベルなレポートということで、今まとめられております。これはGEOなどにも提出されていくものと理解しています。
 それから、特にGOSATの成果などは非常に関心を集めているものですから、GEOの閣僚級会合ですとか、UNFCCCなどで、その実証の成果というのを紹介していくといったことを主な活動内容としております。
 そういうことで考慮事項として書かせていただいていますけれども、GOSATの観測成果というのは、まだ検証途中ではあるんですけれども非常に高い関心を呼んでおりまして、こういったGOSATのfollow-on、あるいはNASAのOCO2──類似の観測ミッションですけれども、あるいは、独仏の大気観測の計画といった次世代システムの調整が始まってきているという状況にございます。
 次の森林炭素監視ですけれども、これは十分報告書の中にもかなりきちんとしたパラグラフの中で記述されているのでご案内と思いますが、人為排出と書いていますけれども、全世界の炭酸ガスの20%が森林の劣化・消失で発生しているという事実がございまして、その監視が世界的な課題になっているということ。これは、COPなんかでも対策が議論されて、REDDといったような方向が出されている状況にございます。
 それに対して、今CEOSは何をするかということですが、これは下にありますようなナショナル・デモンストレーター、NDサイトと呼ばれるものが、現在今世界で7ヶ所、これをもっと増やしていこうという動きがあるんですが、そういうものに対して衛星による光学、あるいは合成開口レーダーによるデータを用いて森林の監視ができるという有効性を実証していこうということで、2009年からですけれども、毎年観測計画を立てて調整をしてございます。
 もう一つは、当面は森林の消失がどうなっているかというのを光学センサーデータなどを主にやっているんですけれども、だんだん森林が持っているバイオマスの関心というものの実証というものへも、だんだん議論が発展しているところです。これはJAXAなどもALOSのパルサーデータを用いてそういった研究をかなり長期間にわたって行ってきておりますけれども、そういうものにだんだん目が向いてきているのが現状です。
 それから、グローバルな森林監視システム、これはREDDのような国際的な施策が始まると、そういう森林をモニターし、評価していくといったものが必要になりますので、そういうものについての議論が始まっているということです。
 そういう議論の中で考慮すべき事項ということで挙げさせていただいておりますけれども、ALOSの観測能力、これは主要な観測衛星の中ではほぼ専属のデータ中継衛星を使って取得しているものですから、非常にグローバルなデータを効率よくとれるといった観測能力の高さというものがございますし、もう一つはLバンドの合成開口レーダーということで、現在世界で唯一なんですけれども、そのLバンドSARが非常にバイオマス監視に適しているといった特徴がございまして、そういうものが各機関から非常に注目を集めているところです。そういうことで、ALOSデータに対しては非常に強いニーズがあるという状況にございます。
 一方で、REDDという非常に外交的な、背景にファンドもあるような世界があるものですから、外交的な動きも出ているということで、注に書かせていただいておりますけれども、GEOそのものでもグローバルな森林監視システム、MRVシステムというものの検討が始まっております。その中でも、我々の理解では欧州ですとかブラジル、あるいは豪州、ノルウェーといったところが積極的に動いていると。
 フランス政府なんかは、この辺を外交的に使おうということで、まだNDサイトにはなっていませんけれども、コンゴの森林に対してSPOTデータを、REDD関係に対しては5年間無償で提供していこうという考え方をアナウンスしております。
 3番目は、ご存じのようにUNFCCC/COPでもREDDを推進するということで、日本も拠出を表明したりもしております。
 また、そういう内容はG8サミットの共同声明にも載っているといったような状況にございます。
 6ページ目ですけれども、気候変動対応。これはどういうことかといいますと、背景に書いてありますけれども、GCOS。GCOSについては下のオレンジ色の枠の中に書いてありますが、全球気候観測システムといいまして、これはWMO、UNESCOなどの国連関係機関がスポンサーになって、世界の気候関連問題の対処をするためということで1992年に設立されて、事務局は今WMOの中にあるんですけれども、そういった一種の国連のプロジェクトといったものです。そのうちECOSがUNFCCCに対応するために宇宙からの観測に対して約50の必須気候変数、ECVと呼んでいますけれども、それの継続的な観測を求めるGCOS要求というものを2004年に作成しております。このGCOS要求への対応というのはGEOの気候分野のタスクの実質的な内容にもなっているといったような背景がございます。
 これに対してCEOSは、毎年GCOS要求への対応状況をレポートするといった内容をGCOSに提出しておりまして、これはGCOSからUNFCCCのもとのSBSTA、これは技術的助言に関する補助機関ということで、IPCCとはちょっと別なんですけれども、そういう機関に報告されて、GCOSとCEOSの名前がCOPの文書に反映されているといったような状況にございます。現在はGCOS要求に対してそういった地球対応状況をレポートしている程度だったんですけれども、50ぐらいあるECVに対してどうやってシステマチックに観測できるかというのが課題になっておりまして、CEOS参加機関でECVごとの観測計画とデータセットの状況をまず調査し、必要であれば観測計画を調整していこうといったようなことが、現在始まっております。
 考慮していただきたいのはJAXAのGCOMシリーズ、あるいはTRMM、GPMと続いています降雨観測、それからGOSAT、GOSAT follow-onといくような継続観測といったものが非常に貢献できるものであるということ。また、CEOSの中の議論ではR&D機関、JAXAなどは典型的なR&D機関なんですが、そういうR&D機関による継続観測の重要性というのが、特にNASAなどから提唱されて認識されつつあるといったことでございます。
 最後にまとめということで書かせていただいておりますけれども、1つは、気候変動に対して欧米の宇宙機関は観測計画、あるいは組織において非常に迅速に進めていると。これは堀川委員からも強調しておいてほしいと言われているんですけれども、NASAの宇宙科学予算、これはオバマのグリーン政策に対応して即増額されるとか、ESAのGMES計画、こういうものが積極的にいく。それから、気象機関のEUMETSAT、NOAAなんかはプライベートオフィスといったものをつくって組織的にすぐ動いていくといったような迅速な対応がとられています。
 それから、GOSATの成果で宇宙からの温室効果ガスの観測の可能性というのが非常によく理解されてきて、次世代の温室効果ガス観測の計画の調整といったものも、国際的に始まってきていると。
 森林炭素監視の実証というのが進められておりまして、その中でALOSとそのPALSARデータというのは、先ほど申し上げたように観測能力が非常に高いということと、この先森林バイオマスの把握の可能性もあるということから、非常に関係機関がそれに注目しているということで、ALOSシリーズのデータは非常に今後は外交的な価値も有してくるだろうというふうに認識しています。
 気候変動監視については、ECVの継続的観測というものが必要で、R&Dを主とするような宇宙機関にも継続観測が求められていると。
 さらに、最後ですけれども、今後GEOの閣僚級会合ですとか、UNFCC/COP、あるいはG8サミット、G20サミットといったところで、CEOSの気候変動問題への貢献ですとか成果について、メッセージを発進していきたいとCEOSとしては考えているので、関係国・機関等の支援とか協力を必要としているといった状況ということをご理解いただければと思います。説明は以上です。

【小池(勲)部会長】 
 CEOSについてのわかりやすいご説明、ありがとうございました。あまり時間はございませんけれども、何か今のご説明に関してご質問等がございましたら、よろしいでしょうか。どうぞ。

【小池(俊)委員】 
 「いぶき」「だいち」等の国際センターの衛星で、しかもそれがCEOS、あるいはGEOSSの中で非常に高く評価されていて、また、そういうのだけではなくて能力開発等とか、実利用についてもアジア等で展開されて、大変すばらしいと思うんですけれども、きょう2つお聞きしたいんです。
 きょうの話はJAXAの話というよりは、CEOSの話ということなので、それに限って話をお聞きしたいことが2つあります。1つは、JAXAの話になってしまうかもしれませんが、これだけ外交的価値を有しているALOS PALSAR、このデータについてCEOS、あるいはJAXAとしては今後どういうふうにデータを効果的に使うような方針をお考えになっているのか。方針の展開といいますか、そういうことをお考えになっているのかということが1つ。
 それから、さまざまな衛星があるんですけれども、きょうの議論はまさにそうでしたように、情報交換だけではなくて、これを具体的に統融合していくと非常に高い価値が生まれると思うんですが、そういうことに関して、分散型システム、いろいろなことを考えて、水の分野だとか気候の分野で衛星データの統融合ということは、CEOSの中ではあまりお考えになっていないのかどうか。そういうこと、2つお聞きしたいと思います。

【JAXA(梶井)】 
 1番目のは、まさしくJAXAのデータポリシーに関するあれなんでしょうけれども、正直申し上げてなかなか難しいところがございます。JAXAもGEOSに貢献するということから、基本的にはGEOSのデータポリシーを尊重していきたいというスタンスでいると我々は考えております。
 ただ、一方で、これはCEOSの中でも、いわゆるNOAAとか、オペレーショナルな機関、あるいはNASAとか、特に最近はLANDSATを運用しているUSGSがほとんどフリーで使わせていこうというような強いポリシーを持っていまして、ヨーロッパもそっち寄りなんですけれども、そういう機関と。
 それから、ヨーロッパでも、例えばドイツですとかイタリアのような、いわゆる官民が共同して開発しているような衛星を運用しているようなところは、またちょっとそれぞれ事情が異なっております。JAXAも衛星ごとによって、特にALOSなんかはかなりヨーロッパのドイツ、フランスに近いようなデータ配付機関も有しているといった状況もございまして、そこら辺に対して今後どうやってデータを提供していくかというのを非常に悩んでいるというのが現状です。
 REDDに関して言うと、先ほどちょっとご紹介したみたいに、フランスなんかはSPOTデータはほんとうにコマーシャルデータなんですけれども、そういうものを政府を買い上げて、それで提供していくと。外交的に使っていくといった形態があるものですから、そんなものも今後の方策のオプションの1つなのかなという議論があるくらいのところでございます。
 もう一つ、データの統合とか、そこら辺については、CEOSの中ではワーキンググループが3つあります。1つは、我々はWGISSと呼んでいますけれども、そういうデータを取り扱うワーキンググループがございまして、そういうところで系統的に議論はしてきていると思うんです。また、それもまだGEOに対して実質的な活動としては5年ぐらいの歴史しかございませんけれども、イメージとしてはGEOのコモン・インフラストラクチャー、GCIですか、そういうところに登録していくというのが当面のやり方なのかなというふうに、大体の機関は考えているのではないかと思います。

【小池(俊)委員】 
 後者につきましては、ぜひWGISSのファンクションを使いながら、要するに分散型でも結構だと思うんですけれども、衛星データを統合的に利用するシステム開発をCEOSの中で強化していただきたいなというのが希望でございます。

【JAXA(梶井)】 
 CEOSはある意味でGEOSSの生みの親とかなりの人が認識しているものですから、その思想というのは脈々と抜いていると思いますので、現在JAXAはSITをちょっと預かっていますけれども、そういう方針で対処しております。

【小池(勲)部会長】 
 どうもありがとうございました。それでは、最後に事務局から何かご発言ございますでしょうか。

【谷推進官】 
 本日は精力的なご議論を大変ありがとうございました。次回につきましては7月をめどに開催したいと思っておりますので、また日程調整をさせていただきまして、追ってご連絡をさせていただきます。本日の議事録は後日事務局のほうからメールで先生方にお送りさせていただきますので、修正等がございましたらご指摘いただければと思います。セットした上で、文部科学省のホームページに掲載をいたします。
 それから、きょうのご議論を踏まえて実施方針の案につきましては、さらにリバイスしたものを事前にお送りさせていただきますので、並行してきょうのベースでコメントがございましたら、早目にいただければありがたいと思います。
 最後に旅費手当等、確認の1枚紙をお配りしておりますので、ご確認いただき、お帰りの際にご提出いただければと思います。以上でございます。

【小池(勲)部会長】 
 お願いですけれども、実施方針、できましたら次回の開会の1週間とは言いませんけれども、四、五日前に各委員にお送りいただければごらんいただけると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、これで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

 

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