第3期地球観測推進部会(第5回) 議事録

1.日時

平成22年5月10日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成22年度の我が国における地球観測の実施計画について(報告)
  2. 地球温暖化分野に係る地球観測連携拠点からの報告
  3. 北極研究検討作業部会の設置について
  4. 平成23年度の我が国における地球観測の実施方針の検討の進め方について
  5. その他

4.出席者

委員

小池(勲)部会長、青木委員、井上委員、沢田委員、杉本委員、寶委員、瀧澤委員、深澤委員、藤谷委員、堀川委員、本蔵委員、渡邉委員

文部科学省

田口 環境エネルギー課長、谷環境エネルギー課環境科学技術推進官、中尾環境エネルギー課係長

5.議事録

【小池(勲)部会長】
 それでは、時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会の第5回の会合を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の出席者の確認をお願いいたします。

【谷推進官】 
 本日は、本蔵先生がおくれてご到着ということでございますけれども、本蔵先生を含めて12名、今現在11名既においでいただいておりますので、過半数に達しておりますので、部会成立ということでご報告をさせていただきます。また、本部会は部会の運営規則により公開とさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【小池(勲)部会長】  
 それでは、議事に入る前に事務局より資料の確認をお願いいたします。

【谷推進官】  
 お手元に本日の議事次第をお配りしておるかと思いますが、本日の資料といたしましては、資料1から7までと参考資料をお配りしております。座席表の後、資料1といたしまして、平成22年度の我が国における地球観測の実施計画。資料2といたしまして、機関間連携施策に関する調査について報告。資料3といたしまして、北極研究検討作業部会の設置について(案)。資料4といたしまして、平成23年度の我が国における地球観測の実施方針の検討の進め方について(案)でございます。A4、1枚横紙になっておりますが、資料5、平成22年度の我が国における地球観測の実施方針(概要)でございます。資料6、GOSATデータの紹介。資料7としまして、1枚紙ですが、第5回地球観測サミットに向けた今後の主なスケジュールをお配りしております。また、参考資料1といたしまして、平成22年度の我が国における地球観測の実施方針を参考としてお配りしてございます。
 それから、お手元に、地球温暖化観測推進事務局、連携拠点から、平成22年度3月にワーキンググループで取りまとめられました地球温暖化観測における連携の促進を目指してのワーキンググループ報告書第2号、冊子をお配りしておるかと思いますので、ご確認いただければと思います。不足等ございましたら、ご指摘をいただければと思います。資料については以上でございます。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。本日は、お手元の議事次第にございますように、5件の議題を用意しております。終了時刻、一応17時を予定しております。本年4月に組織改変が行われまして、環境エネルギー課が新設され、事務局を務めていただくことになっております。新しく課長になられた田口課長からごあいさつを一言お願いいたします。

【田口課長】  
 今、座長からご紹介がありましたように、4月1日付で文部科学省のほう組織改正をいたしまして、環境エネルギー課という課ができまして、従来の地球・環境科学技術推進室の業務をそのまま引き継いで、かつ拡大させて新しく環境エネルギー課ということで、本部会の事務局も環境エネルギー課で務めさせていただくことになりました。
 本部会でございますが、他の科学技術・学術審議会の部会、あるいはその分科会と比べて違う点、あるいはこの部会の重要な点は、総合科学技術会議との関係でオールジャパンの、文部科学省のみならず、他府省の地球観測に関する計画も含めてこの部会で議論していただくという、ある意味では科学技術・学術審議会の中の部会でもかなり特殊というか特別な部会だと認識してございます。もちろん、総合科学技術会議で、平成16年になりますが、まとめた推進戦略に従ってということでございますが、今後、推進戦略そのものの見直しとか、そういったものも基本的には多分この部会からスタートしなければ、おそらく何も日本全体の地球観測の物事は動かないという位置づけの部会であろうと思ってございます。
 そういう意味では、事務局を務めます私どももそこの重要性をきちんと認識して、今日、内閣府からも参事官に来ていただいていますが、文部科学省というよりは、オールジャパンの地球観測のためにこの部会の運営をさせていただきたいと思ってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 個人的には、この地球観測の分野、非常に重要だと思っております。ただ一方で、昨今の社会情勢、政治情勢の中で、きちんと今までどおりデータをとっていく、あるいはそれを成果につなげていく、そういうことが地道な分野だけに難しくなっているんじゃないかという思いが私の中にございます。そういう意味では、特に最近は経済とか費用対効果とか競争力とか、そういうことがないとなかなか税金が投入できないという雰囲気になっているという状況があると思いますので、ただ一方でこういった基盤的なサイエンスの分野、あるいはきちんとデータをとっていくということの重要性をきちんとこの部会から発信していけるようにしていただければと思う次第でございます。
 本年は11月にGEOSS、地球観測サミットも北京で開催されます。それに向けて単に日本のことだけじゃなくて、全地球的、世界的な視野を持って日本がしっかりとこの分野で貢献する、あるいは日本にとって必要なデータをとっていく。そのために、ぜひ皆様のお知恵あるいはご指導をいただきたいと思ってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【小池(勲)部会長】  
 どうもありがとうございました。それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。議題の1は、平成22年度の我が国における地球観測の実施計画についてです。事務局からご説明をお願いいたします。

【谷推進官】  
 それでは、資料1、平成22年度の我が国における地球観測の実施計画に基づきまして説明をさせていただきます。 なお、本日お配りをしております資料として資料5に実施方針。この実施計画を策定する前提となっております実施方針については、資料5として概略。それから、参考資料1として実施方針そのものをお配りしておりますので、既にご案内とは思いますけれども、ご紹介をさせていただきます。適宜ご参照いただければと思います。
 資料1になります。まず、おめくりいただきますと目次でございますが、これは全体の構成といたしましては、実施方針、先生方、ご議論いただきましてお決めいただきました22年度の実施方針の構成に沿った形にしてございます。第1章が気候変動への対応に必要な地球観測の在り方。第2章として、地球観測の基本戦略に基づく地球観測等事業の推進。これは国際的な観点からというのが第2章でございます。第3章が分野別の推進戦略に基づく地球観測等事業の推進ということで、これは全体で15分野、非常に幅広くございますけれども、各分野ごとに各府省また各関係機関の取り組みの事業を整理してございます。
 はじめににつきましては、先ほど申し上げたような22年度の実施方針に基づいてつくっておりますということを書いておりますので、詳細は割愛をさせていただきます。
 具体的に2ページ以降、特に第1章を中心にご紹介をさせていただきます。第1章、まず気候変動への対応に必要な地球観測の在り方でございますけれども、特に平成22年度から、これは先生方にご議論いただきまして、それまで毎年実施方針を取りまとめ、それに基づいて実施計画をつくるという作業をやってまいりましたけれども、やや総花的という反省がありまして、重点化、あるいは優先課題をはっきりさせるべきだというご議論がございまして、それに基づきまして、特に平成22年度の実施方針では優先的な課題、重点化ということをしたところでございます。この第1章で気候変動ということが現在の国内外の諸情勢を踏まえて、喫緊の最重要政策課題の1つということであろうということで、気候変動に焦点を当てた形で重点化をしたところでございます。
 特に第1節、気候変動のプロセス・メカニズム理解のための地球観測というところでございます。まず、炭素循環の解明ということで、各関係府省、関係機関からのアクティビティーを列挙しているところでございます。
 内容、個々には、詳細になりますので、主なものというところでトピック的に申し上げますが、最近いろいろな成果が出ております。今日も堀川委員からご紹介をいただくことにしておりますが、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)でございますけれども、これがデータ提供を継続、また研究開発の実施を継続するというものが載ってございます。
 また、炭素循環の関係では、その循環を見ていくという意味で、例えば森林、植生といったところで非常に重要になってくる陸域観測技術衛星「だいち」、いわゆるALOSでございますけれども、これについてデータ提供を継続するということ。それから、後継機の研究開発を行うということを掲載してございます。
 また、衛星のみならず、陸域現地観測という意味では、陸域プラットフォーム(タワー)による観測ということで、農林水産省、林野庁、経済産業省、環境省等の活動になりますけれども、2ページの一番下には陸域現地観測ということで整理をしてございます。
 また、特に最近、3ページになりますが、2つ目の小さい丸になります。森林減少・劣化等による森林生態系の炭素動態に関する観測、いわゆるREDDの関係で非常に関心が高まっておりますけれども、世界各地での具体的な活動も含めて、やや詳細になりますけれども、林野庁からインプットされたものを整理してございます。
 3ページの下のほうになりますが、雲物理・降水過程の解明というものを炭素循環の解明の次のアイテムとして掲げてございます。これはIPCCの第4次評価報告書でも雲はまだ最大の不確定要因とされておりまして、その重要性をかんがみてここに2つ目の四角として整理をしておるものでございますが、関係のアクティビティーといたしまして、オゾン及び微量ガス濃度の全球観測、あるいは雲・エアロゾルの地上検証といった取り組みを書いております。1つ目のオゾン及び微量ガス濃度の全球観測は、SMILES、「きぼう」に設置されております観測機器でございます。今ちょっと不調で中断しておりますけれども、そういった取り組みについても書いてございます。
 それから、4ページ目になりますけれども、これから打ち上げを予定されておるものになりますが、気候変動観測衛星(GCOM-C)、あるいは特に期待されております雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE)、あるいは雲プロファイリングレーダ(CPR)、こういったものの開発が記載をされてございます。ほかに各種の衛星についても計画、あるいは既に行っているデータ提供を継続ということを書いてございます。
 次のアイテムといたしましては、対流圏大気変化の把握、4ページ目中段でございます。対流圏大気変化ということで、都市環境のリモートセンシング、あるいは大気環境観測シミュレーション、また東アジアにおける汚染物資観測と影響把握といったアイテムを整理してございます。
 また、22年度から新たな取り組みとして経済産業省からインプットがございました父島における粒子状物質の地上観測点整備というものについても加えてございます。
 それから、5ページ一番上になりますが、辺戸岬のスーパーサイトの共同運用。これについては継続的な取り組みとして行うということでございます。
 また、次のアイテムといたしまして、気候変動に直結する海洋変動の把握。これは第1節の4つの玉の一番最後のアイテムになりますが、気候変動に直結する海洋変動の把握として、海洋関係の取り組みをまとめてございます。
 1点目が船舶等による全球海洋観測。2点目がブイのネットワークの観測でございます。また、水循環の衛星観測ということでGCOM-W等、再掲でございますけれども、掲げてございます。全世界の海洋に展開しておりますアルゴについても、リアルタイムデータベースの運営ということで、引き続き行うということにしてございます。
 5ページ中段、第2節に入りますが、気候変動への適応のための地球観測ということで、これは全体で、水循環、生態系・生物多様性の2つに分かれておりますけれども、整理をしてございます。
 水循環・風水害のところでは3つのアイテムがございます。1点目が、水災害の軽減に資する水循環・気候変動・気象の統合衛星観測でございます。衛星の関係は既に第1節でも掲載しておりますので再掲が多くなっておりますけれども、EarthCARE、CPR、あるいはTRMM、AMSR-E、GCOM-W、GPM、DPR、こういった衛星観測を列挙しているところでございます。
 また、衛星の観測との連携という意味で、地上でのいろいろなアクティビティーについてもあわせて記載をしているところでございます。例えば農林水産省から、農業用水利用という観点からの温暖化影響評価、あるいは作物の栽培適地の変化推定といったような、少し影響評価のところへ踏み込んだアクティビティーについても掲げているところでございます。
 それから、2つ目のアイテムは6ページになりますが、集中豪雨などの極端降水現象の監視と発現メカニズムの解明でございます。これも一部再掲が多くなっておりますけれども、いろいろな衛星の関係のアクティビティーが載っているところでございます。
 最初のところ、次世代ドップラーレーダ技術の研究開発、あるいは中段ぐらいになりますが、MPレーダを用いた土砂・風水害の発生予測に関する研究。これは土木研究所ですね。ちょっと抜けておりますけれども、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)の取り組み。基盤的なものとして、地球地図の整備といったものを掲載してございます。
 それから、総合的水管理システムの構築がこの節、1.水循環の関係では最後のアイテムになりますけれども、ALOS、GCOM-C、地球地図、いずれも再掲でございますけれども、掲載しているところでございます。
 2.生態系・生物多様性のところは、アイテムとして、まず温暖化に伴う生態系・生物多様性の変化のモニタリングがございます。
 まず、生態系・生物多様性の変化のモニタリングにつきましては、海洋生物、その生態系、物質循環変動と気候変動との関係解明、あるいは植生の物理量の地上検証といったアクティビティーを挙げているところでございます。
 衛星の関係についても再掲が多くて恐縮ですが、ここにも幾つか再掲をしているところでございます。中ほど、日本長期生態観測研究ネットワーク(JaLTER)の取り組みが載ってございます。また、陸域観測データの標準化、林野庁からJaLTERを含め、環境省のモニタリング1000、あるいは森林動態データベース等の取り組みのデータ統合、標準化、公開といったアクティビティーを整理してございます。
 また、森林資源情報についても体系的な管理を行うということで、林野庁からインプットされているものを掲載してございます。
 また、環境省から、7ページ一番下になりますが、地球規模の生物多様性モニタリング推進事業ということで、アジア太平洋の生物多様性観測ネットワーク、いわゆるAP-BONの支援等の取り組みが掲げられております。
 それから、第2節、2番目のアイテムの一番最後になります。海洋酸性化のメカニズムの理解と生態系への影響評価ということで、8ページの一番上になりますけれども、船舶等による全球海洋観測と生態系、物質循環変動と気候変動の関係性解明、いずれも再掲でございますけれども、ここに整理をしているところでございます。
 また、気象庁から、海洋中の炭素循環変動の実態変化とメカニズム解明に関する研究ということで、気象研究所の取り組みを掲載してございます。
 それから、第1章の最後になりますが、第3節として分野横断的なデータの共有・統融合の節でございます。
 まず、第1節が気候変動のプロセス・メカニズムの理解のための地球観測ということ。また、第2節が具体的な適用のための地球観測となっております。第3節は、その横断的な観点ということで、データの共有・統融合という観点で整理をしているところでございます。
 1点目は、データ統合・解析システムでございます。それから、農林水産省のほうで農業支援サービスといった取り組みを試験運用するというところが記載してございます。また、地球地図、あるいはGEO Gridの取り組みについてもここに整理をしているところでございます。
 以上が第1章の気候変動に特化した、重点化をした分野での取り組みでございます。
 9ページになりますが、第2章の地球観測の基本戦略に基づく地球観測等事業の推進。冒頭申し上げたとおり、れは国際的な観点からということで、我が国のリーダーシップをどう発揮していくかということを含めて書いているところでございます。既に第1章でいろいろな取り組みを書いておりますので、ここからもまた再掲というのが何度も出てまいります。若干見苦しいところでありますけれども、ご容赦いただければと思います。
 まず、第1節、利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築ということでございます。これは当部会でもご議論いただいてきておりますけれども、GEOSSというものが最終的な姿になろうかと思いますけれども、統合された地球観測システムの構築に向けた取り組みということで、各府省のアクティビティーを列挙しているところでございます。
 個々には、詳細になりますので、少し割愛させていただきまして、第2節に国際的な地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮というところで、例えばということですが、少しまとめてGEOSSへの貢献ということで当部会、またGEOSSの作業部会でいろいろな取り組みをしておりますけれども、そういったものを整理してございます。
 また、既にこの前には出てきておりますけれども、衛星による地球観測に関する国際協力ということで少し編集し直したような形で取り組みをまとめているところでございます。
 それから、第3節、アジア・オセアニア地域との連携の強化による地球観測体制の確立というところでございますけれども、特にアジア・オセアニア地域での取り組みということで、例えばインドネシアにおける降雨予測の高度化、あるいはセンチネルアジアプロジェクトといったアジア・オセアニアでの活動を整理しているところでございます。
 12ページ以降は第3章、分野別の推進戦略に基づく地球観測等事業の推進ということで、推進戦略に掲げられております15分野について、各分野ごとに書いてございます。第1節、地球温暖化、以下、これは新たに開始する事業がある場合は、その冒頭に新規の事業を書いてございます。そのほか継続的に行うものについては、各府省庁において引き続き取り組みを推進するという形で整理をしてございます。これは、省庁別になりますけれども、項目のみでございますけれども、整理をしてございます。
 第1節、地球温暖化が12ページ、第2節、地球規模の水循環が14ページ、また14ページ一番下、第3節、地球環境、16ページ、第4節の生態系、17に風水害、18ページになりますと、大規模火災、地震・津波、火山と整理をしてございまして、エネルギー・鉱物資源、森林資源、農業資源、海洋生物資源、空間情報基盤、各分野ごとに書いておりまして、15節、地球科学が25ページという形になってございます。
 以上、実施計画を、特に後半駆け足になりましたけれども、ご紹介をさせていただきました。本実施計画につきましては、当部会でご議論いただきました実施方針に基づきまして、各府省庁に該当するアクティビティーについて登録を依頼するという形で取りまとめをさせていただいておりまして、この後、意見等をいただきまして、23年度以降の実施計画の作業の中へ反映すべきものは反映していきたいと考えております。
 以上でございます。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございました。この実施計画は昨年の8月に決められました実施方針の目次をなぞって実施計画が書かれておりますので、ここでは報告という形にさせていただきますけれども、何かご意見、ご質問がありましたら、お受けいたします。いかがでしょうか。

【寶委員】                                                               
 2ページ目の一番下に陸域プラットフォーム(タワー)による観測とあるんですけれども、地上における現象のground truthといいますか、検証というのは大変大事で、こういうことは大変大事なんですけれども、これは国内のみなのか、あるいは海外機関と連携してやったりすることも含まれているのか。それから、新規のタワーのような計画が含まれているのかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。
 それから、4ページのTRMMなんですけれども、これはもう寿命が切れかかっているTRMMということでよろしいでしょうか。以前、燃料の寿命が切れるということで、アメリカのほうも世話しないというお話がありまして、ただ日本の学会からぜひこの観測データについては引き続き取得するように要請したところで、それを続けていただいていると思うんですけれども、これはそういうことでいいのかどうか、これを確認させていただきたいと思います。
 以上2点です。

【小池(勲)部会長】  
 そちらからお答えいただけますか。

【谷推進官】  
 わかります範囲でご紹介をさせていただきたいと思います。まず、陸域プラットフォームのタワー観測につきましては、専ら国内のタワーの活動が中心ではないかと思いますが、幾つかおそらく国際的な、アジアに展開しているものが含まれていたと理解をしております。
 それから、新規のものという意味では、基幹サイトで新たに窒素循環にかかわる要素についても測定を開始するということですので、従来にまして観測の内容を充実させるということについては把握をしております。新たな観測タワーを建てるかどうかということについては、把握をしておりません。恐縮でございます。
 TRMMについては、とにかく燃料といいますか、可能な限り観測については継続をすると理解をしておりますけれども、堀川委員からインプットがございましたら。

【堀川委員】  
 先ほどご指摘のとおり、一時TRMMの運用は、アメリカが運用経費がないのでターミネーションという話がありましたけれども、私のときに継続的にTRMMを運用しようということで、今運用経費、私の知っている範囲では、11年までは少なくとも確保されていますけれども、次のGPMが13年の半ばに打ち上がりますので、そこまでは継続運用を少なくともしてくれると認識しております。

【小池(勲)部会長】  
 よろしいでしょうか。

【寶委員】  
 はい。ありがとうございます。

【小池(勲)部会長】  
 ほかにございますでしょうか。

【井上委員】  
 この項目が立てられたこと、ワーキンググループの温暖化の観測についての提案とタイムラグがあるので違っているのかもしれませんが、例えば温暖化観測推進WG報告第2号では雪氷圏に30ページぐらい割いてある程度重視しています。こちらの整理された中には、極地研の話がちらっとは出ていますけれども、エクスプリシットな項目立てがないとか、あるいはかなり観測活動があるのではないかと思うけれども、それが入っていないと見えるんですね。温暖化の問題というのは非常に多岐にわたっていますので、そこに全部書き込むというのも難しいし、各省庁から出なかったらしようがないという面もあるのかもしれませんが、やっぱりある程度の整合性を持たせて、各省庁からの報告がないなら問い合わせてでも、重要だと指摘されている事項について、今年度どういうふうなことをやられているか明らかになるようにしていただいたほうがよかったかと思います。

【小池(勲)部会長】  
 どうしましょうか。

【谷推進官】  
 ご指摘のとおりかと思います。22年度の実施方針については、それまでの取り組みが、繰り返しになりますが、総花的だったということで、重点化をしようということで、ある意味では試行錯誤の第一歩という形で重点化を図ったつもりであります。今ご指摘のように、その取り組みは必ずしも十分でなかったという面もあろうかと思います。この後、今日、議題のほうで3番目に議論をしていただきたいと思っておりますけれども、北極という書き方にしておりますが、北極を含め雪氷圏の観測、研究というものを強化していく必要があるのではないかという問題意識を持っておりまして、23年度の実施方針についてもこれからご議論いただくわけですけれども、こういった状況を踏まえてさらに改善をしていく、具体的に反映をしていくということになろうかと思っております。

【小池(勲)部会長】  
 雪氷圏に関しましては、昨年の8月にこの実施方針はまとめましたけれどその後でいろいろ議論が進んで、1年おくれでこの部会でそのための作業ワーキングをつくって、今年の実施方針にはできたらそれを入れたいということで話は進んでいるとご理解いただきたいと思います。ほかにございますか。
 私のほうでちょっと聞きたいのですが、これの後のほうの十幾つかの項目を見ますと、ほとんどが継続で新規が非常に少ないことになっています。これはほんとうにほとんど新規はないのでしょうか。

【谷推進官】  
 これは各省、研究機関に作業を依頼して調査をした結果でございますので、ほんとうに新規がこれだけしかないのかと言われるとちょっと悩ましいところがありますけれども、基本的に調査の範囲内で我々事務局で承知しているのはこの範囲だと認識しております。
 前のほうに、第1章、第2章で書いてあって、第3章にあらわれていないというものがあろうかとは思いますけれども、何か具体的に抜けているのではないかということがもしありましたら、ご指摘をいただければと思います。

【小池(勲)部会長】  
 抜けているとかどうかは別にして、全体の項目に対して新規のものが非常に少ないという印象を受けたものですから。例えば3年とか5年で新しくしているのも継続扱いになっているのか、それともそこから新規にもう一度書いているのかで多分新規の数は変わってくると思います。しかしもちろん観測ですから、かなり長期的にやらなければいけないということで、新規のほうが少ないというのはわかるのですが、ただこれを見ている限りは、温暖化のところで新規があるだけで、ほかには全然新規がないことになっていて、みんな引き続き、引き続きになっていますよね。ですから、これが今の日本の観測の実情なのかなと思いました。

【寶委員】  
 当初、入れ込もうとしたけれども、政変で、事業仕分けで大分減らされたというのがあるんでしょうか。かなりやりたかったけれどもやれないとか、そういう事情がひょっとしたらあるのかなとも思うんですけれども。

【谷推進官】  
 今のお話は、プロセスのところまでは承知をしておりませんので、結果、政府原案の中にきちっと盛り込まれて認められたものというベースで調査をしております。

【杉本委員】  
 それぞれの観測は、それぞれの省庁にとって重要な、地球観測にとっても重要なことだと思うんですけれども、この推進部会の大きな目的の1つが、分野を横断したり、あるいは省庁を横断して統合して、よりよい情報やデータを必要な人に渡すような仕組みを考えるということだったと思うんですけれども、これを見ますと、そういうものがあまり伝わってこないのがちょっと残念かなと思います。例えば各省庁の中でそれぞれの計画を実施されるときに、そういうことに十分留意していただけるということを最低でも担保していただかないと、せっかくこういう集まりをもってやっているのに、ただ並べて見ているだけで、意見の言いようがないなというのが正直な感想です。

【谷推進官】 
 ご指摘、非常に重たいものだと思います。まず、この実施方針をつくり、また実施方針に基づいて実施計画をつくって実施をし、その結果どうであったかというフォローアップをする。その結果、さらにその結果を踏まえて実施方針をつくるという大きなPDCAのサイクルが一応ございます。それを確立させるということを重点的にといいますか、それをまず優先して、ここ1年、2年、仕事をしてきたつもりであります。
 ただ、先ほどご指摘のように、オールジャパンで見ていて、連携であるとか、まさに効果的な推進といったところで取り組みが十分ではないのではないかということについては、非常に改善すべき点があろうかと思っております。今回も確かに実施計画をまとめて、これからこの実施計画に基づいて各機関に進めていただいてということではあるんですが、これを、少なくともまずは優先的にやるといったところ、気候変動の分野ですね。ここは少しコンパクトにまとまっておりますので、こういった中でお互いに情報の共有あるいは連携、データの統合といった取り組みというものを進めていく工夫をできるのではないかとも見えます。これから23年度の実施方針のご議論をいただく、フォローアップについても総合科学技術会議からインプットがございます。そういった作業の中で、いかに横の連携、あるいは統合といったものを進めていくべきか、引き続きご議論をいただきたいと思います。
 事務局でも、まさにそれが求められていると思っておりまして、国際的にもGEOSSが10年の実施計画ということで、ちょうど5年の折り返し地点を迎えて、今年、地球観測サミットをやるわけですけれども、具体的にデータの統合とか観測システムの統合ということをやっていくわけですけれども、それをいかに、一般的に統合するというのは、言うのは簡単なんですけれども、ほんとうに成果として効果的に統合していく、連携していくということは、きちっと問題意識を持って具体的にやっていかないといけないと思っておりまして、そういう面でも、事務局も努力をいたしますけれども、先生方からもぜひこの取り組みとこの取り組みについては連携をすべきだ、あるいはもっと効果的なやり方があるというインプットを積極的にちょうだいできればと思っております。

【小池(勲)部会長】  
 ありがとうございます。次の議題が地球温暖化分野に関する連携拠点のお話ですので、それとあと来年度の実施方針をどうするかというところでまたその議論をしていただくことにして、次の議題に移らせていただきます。
 それでは、地球温暖化観測推進事務局長の藤谷委員からご説明をお願いします。

【藤谷委員】 
 今回、連携拠点のほうから2件ご報告いたします。まず1件目は、資料2、機関間連携施策に関する調査についてでございます。連携拠点の機能の1つとしまして、温暖化分野のいろいろな観測のニーズ、あるいは連携施策等を促進するための取り組み、そういう情報を集めて分析し、部会に報告するという機能がございます。平成20年度には陸域炭素循環観測と生態系観測の連携に関する取り組みについて取りまとめましてこの部会にご報告させていただきました。ご報告いたしましたものは平成20年の実施方針に引用されております。
 今回は雪氷分野につきまして調査をいたしました。ご案内のように、気候変動に脆弱な地域での温暖化影響観測というのは非常に重要でございますけれども、これまで重要だと言われていながら、なかなか十分でなかった。脆弱な地域のひとつである極域及び雪氷圏、ここで長期継続観測を実現するため、機関間連携を行うのは重要であるということから、調査を行いました。関係者へのヒアリング、後でご説明しますワーキンググループの報告書、それから今年の1月に雪氷圏関係のワークショップを行いましたが、その際に総合討論等を行い、その結果を取りまとめております。これについて簡単にご報告いたします。
 ご案内のように、平成21年の実施方針には、広範囲にわたる雪氷や氷河、氷床の融解状況の把握というのが具体的な観測項目に挙げられてございます。国際的にも新たな取り組みが行われているわけでございます。そこにございますように、雪氷圏における研究を推進するためには、積雪・凍土・氷河・氷床・海氷等の雪氷因子の持続的観測、それから雪氷圏に関連する陸域・海洋の観測データとの統合解析、観測データのアーカイブ、こういうことを実現する体制の整備が必要である。そのためには、そこの下に(1)から(3)までございますような連携の取り組みが重要ではないかと考えております。
 まず1番目が、雪氷圏変動観測ネットワークを整備し、持続的観測体制の構築を図る、でございます。2番目が、雪氷圏観測データの品質管理・アーカイブを行う体制の構築を図る、でございます。3つ目が、雪氷圏データと、大気・海洋・陸域等の観測データとの統合解析を実施する体制の構築を図る、でございます。こういう3つのことが非常に重要ではないかということでございます。
 具体的にどういう地域をターゲットにするかにつきましては、右側のページの下に地図がございますが、そこに黒丸が打ってございます。そのあたりをターゲットにしようと考えております。これらの地域につきましては、そのページの上のほうに、具体的にこれまでの日本の取り組みが記載されてございます。このあたりについては日本がこれまで非常にいろいろな取り組みを行ってきているという歴史的経緯もございます。さらにいろいろなデータも集まっております。そういうことで、これらの地域をターゲットに持続的な観測をやるのがいいのではないかと考えております。
 ここで示しました体制ができれば、3.にございますように、いろいろな成果が得られるだろうと想定しております。1つは、雪氷圏の現状及び変動に関する定量的把握の精度が向上し、IPCCで指摘されている雪氷因子に関する不確実性が低減される。
 2つ目は、雪氷圏に関する長期かつ広域の把握手段として有効な衛星観測に関し、データ解析アルゴリズムの開発・改良が推進される。
 3つ目は、雪氷圏に関するデータアーカイブ体制が構築され、雪氷分野のみならず、関係する多くの分野における雪氷圏観測データの利活用が促進される。
 そして、4つ目といたしまして、分野間連携による各種データの統合的解析を通じて、雪氷フィードバック過程や雪氷圏と大気・海洋・陸域等との相互作用に関する理解が進み、気候モデルによる温暖化影響予測の精度が向上する。こういうことが将来的には成果として得られるだろうということでございます。これに関しましては、これを具体化するのはなかなか困難でございますので、我々としましては、今年度にもう一度関係者が集まりまして、いろいろ具体化のための議論をやりたいと思っております。
 それから、もう1件ご報告いたしますのは、お手元にございますこの厚い資料でございます。これは、地球温暖化観測推進ワーキンググループの報告書、第2号でございます。第1号をちょうど2年前ぐらいに刊行いたしました。第1号では、炭素循環、陸域、海洋、大気の炭素循環と影響評価につきまして、データ標準化の促進、データ流通の促進、観測施設等の相互利用の促進、並びに時空間的観測空白の改善及び観測項目の充実の4つの観点から検討を行い、その結果を取りまとめてございます。前回の報告書第1号につきましては本部会に提出し、、各種の検討に際して、基礎的な資料として活用されていると聞いております。また、事務局といたしましては、報告書に述べられております連携に関する要望等に基づきまして、平成20年度より連携施策について検討を開始し、いろいろ具体的な連携施策の構築を進めているところでございます。
 今回刊行いたしました第2号は、第1号では割愛いたしました雲・エアロゾル放射、それから対流圏オゾンに関する観測、それから、温暖化影響評価に係る観測というのを扱っております。
 目次のところを見ていただきますと、そこにございますように、全部で5部構成になってございます。第1部ははじめにで、この報告書の経緯目的等を書いてございます。第2部が地球温暖化に関する観測ということで、第1章が雲・エアロゾル・放射に関する観測、第2章が対流圏オゾンに関する観測となってございます。それから第3部は温暖化影響評価に関する観測ということで、それぞれ重要な分野でございます、水循環分野、、雪氷分野、生態系分野、社会経済データ分野につきまして、それぞれ観測的なニーズ等を分析してございます。
 今回はその分析の視点といたしまして、先ほど申し上げました4つの視点に加えまして、地球システムモデル開発の視点から見た観測ニーズというモデル開発の視点からの分析も加えてございます。
 第4部は、これも新たな切り口でございますけれども、地球温暖化観測に関する横断的課題ということで、基本的には地上観測と衛星観測の統合に関する課題を扱っております。そこにございますように、衛星観測と地上観測をどう統合するか。そのためにはどういうことが必要か、技術的な側面だけに限定せずに、7.4にございますように、人材の育成の面からの分析結果についてもご報告してございます。
 第Ⅴ部がまとめということで、課題と展望について記述してございます。課題と展望については、各分野のそれぞれ重要なことが列挙してございますけれども、その中でも特に優先的に取り組むべき課題とにつきまして、第9章に、抽出して取りまとめてございます。前回に比べまして非常に多岐に分野がわたってございます。後ろのほうを見ていただきますと、名簿がございますが、気象研究所の鬼頭先生を主査にいたしまして、雲・エアロゾル・放射サブワーキンググループと、影響評価サブワーキンググループの2つのサブワーキンググループを設置し、多くの先生方にご参加いただきました。さらに、次のページにございますように、多くの執筆協力者にもご参加いただきましてこの報告書をつくってございます。小池先生をはじめ、推進委員会の先生方にも適宜合同で会議を開いていただきまして、適切なコメントをいただいて報告書をつくらせていただきました。
 なお、この報告書でございますが、前回の第1号と同様、今年度中に概要版を作成する予定にしてございます。

【小池(勲)部会長】 
 ありがとうございました。ただいまのご説明に何かご質問、コメントがございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

【沢田委員】 
 大変充実した仕事をされていると思うんですけれども、先ほどの温暖化とか、この温暖化の問題だけではないのかもしれないんですけれども、例えば雪氷圏等に関しましては、日本というよりほかの国が場所として重要な位置を占めている。そういったときに、そういった海外との対応というのがあまり明確でない。日本から発信するベクトルとして書かれておられるんですけれども、現場とされている海外との共同といったところはあまり見えていない気がするんですけれども、できたら、委員会の中に日本人しかいないというのもあるのかもしれないんですけれども、場としての、雪氷圏を含めたことであれば、特に地球温暖化のことであれば海外との対応というのは非常に重要だと思うので、そういった面がもっと入ってくださればもっといいんじゃないかなという、これはコメントですけれども、そう思うんですが。

【藤谷委員】 
 ご指摘のとおりでございまして、そのあたりはワーキンググループの会議でもいろいろな意見が出ております。雪氷圏をやっているそれぞれの観測者の方は当然フィールドが外国でございますので、それぞれ対応する組織と共同でやっておられるわけです。最初に言いましたように、WCRPでも新たな取り組みが始まるわけですけれども、それに対する日本国内として統一的な対応組織がないわけでございます。そういう意味で、今回の機関間連携が進めば、そういう国際的なプロジェクトに対して、オールジャパンとして対応するような枠組みができるのではないかという期待を持ってございます。

【小池(勲)部会長】 
 よろしいですか。今の雪氷圏の問題は、次の議題の北極研究検討作業部会と関連していますので、先にその説明を事務局からお願いして、それで今に関連する議論があればまた取り上げたいと思いますので、先に議題3の北極研究検討作業部会の設置というところに移らせていただきたいと思います。
 本部会の下に、我が国における北極研究に関する検討を行う場として、北極研究検討作業部会というのを設置したいというのがこのご提案です。初めに事務局からご説明をお願いします。

【谷推進官】
 それでは、資料3に基づきまして、北極研究検討作業部会の設置についてご議論をお願いしたいと思います。資料についてのご説明を申し上げます。
 まず、設置の趣旨でございますが、もうご承知のとおり、北極、気候変動の影響が非常に大きいと見込まれておりますということでございます。また、最近は北極振動という話が、非常に寒い日があったわけですけれども、北極振動というのが広く知られることになりました。北極における変化というのは、南極よりも我が国に対する影響というのは実は大きいということもあるわけでございます。したがいまして、気候変動のメカニズムの解明ということからも、北極における継続的な地球観測というのは非常に重要だろうということでございます。繰り返しになりますが、推進戦略でも重点的に実施すべき取り組みと雪氷圏については指摘をされているところでございます。これらを踏まえまして、北極における組織的かつ継続的な観測研究体制を整備するということが重要ではないか。また、北極研究に関して、関係府省庁、機関間の連携をより一層強化していく必要があるのではないかということでございまして、そのために我が国の北極研究に関する検討を行う場ということで、当部会のもとに北極研究検討作業部会を設置してはいかがでしょうかということでございます。
 なお、作業部会のタイトルに北極と冠しておるわけでございますが、検討に当たっては、狭く北極ということに限るのではなくて、今回、雪氷圏ということで先ほどご報告もいただいたところでございますが、広く雪氷圏を視野に入れるということでいかがかと考えてございます。これが設置の趣旨でございます。
 2点目に調査事項として4点まとめてございます。まず、北極研究における重要課題ということで、観測すべき対象は何か、そこでどのような課題を解決しないといけないのかという課題をきちっと明らかにするというのが1点目でございます。
 そのために北極研究を推進していく必要があって、まず国内の中核拠点についてどのように考えるべきかということをご議論いただきたいと思っております。
 また、中核拠点のあり方もさることながら、非常に多くの機関、大学も含めて関係機関がたくさん研究の推進にかかわっておるところでございまして、全体の推進体制についてどう考えたらよいかというのが3点目。
 それから、先ほども国際的な観点というもの。もちろん我が国だけで観測をやるということではありませんので、国際的な観測計画、また研究計画、あるいは国際的な機関との連携ということも考えるべきだろうということで、4点目に国際連携協力の在り方ということで整理をしてございます。
 5点目はその他重要事項ということで、バスケットクローズ的に整理をしてございます。
 設置の期間は、当部会の委員の任期ということで形式的ではありますが、23年1月31日までとしてございます。この作業部会での検討結果というのは23年度の概算要求の中にインプットしていく必要があるだろうと考えておりますので、実際には設置の期間にかかわらず、まずは当面、夏ぐらいまでに中間的な取りまとめ、少なくとも中間的な取りまとめを夏ぐらいまでに行うというスケジュール感でご議論をいただきたいと考えているところでございます。
 4.その他につきましては、環境エネルギー課が事務局を務めますということを書いてございます。
 資料については以上でございます。

【小池(勲)部会長】 
 ありがとうございました。それでは、このご提案に関してご質問、コメントがございましたら、よろしくお願いします。
 初め、私のほうからちょっと聞きたいのですが、北極圏を研究している研究者と、雪氷圏を研究している研究者のオーバーラップのぐあいというのはどうなんでしょうか。それに関しては何かご存じですか。

【谷推進官】 
 オーバーラップの部分を含めて北極、雪氷圏を広くカバーして議論していただくということですので、まさにオーバーラップというのはあまり気にしないといいますか、それも含めて全体を議論していただきたいと思っております。
 北極というと非常にローカルに聞こえますけれども、その影響というのは、我が国への影響も含めて非常に広範囲にわたるということでございます。今回、先ほど藤谷委員からインプットいただきました温暖化の連携拠点での調査の紙でもそうですが、資料2の3ページ目、雪氷圏の観測地域ということで、これは南極まで含めて書かれておりまして、南極の観測については非常にしっかりした体制が整えられているところでございますので、専ら北極及びその他の雪氷圏というものが中心になろうかと思いますが、それをスコープに入れてご議論いただきたいと考えております。

【小池(勲)部会長】 
 そうしますと、先ほど藤谷委員のご説明のあった図の1の中から、南極圏だけを除いて、残りの部分を北極研究の検討範囲として広義に含めていると。

【谷推進官】 
 はい。そのように考えてございます。

【小池(勲)部会長】 
 どなたかご意見はございますでしょうか。

【井上委員】 
 まず、「北極」は点をさすので、「北極圏」とした方が良いのではないでしょうか。言葉の問題だけです。もう一つは、北極圏としたとして、これは自然のプロセスだけなのでしょうか。それとも、そこでの開発であるとか、あるいはそこに住む人へのインパクトであるとか、そういうふうなことも含めて考えていらっしゃるんでしょうか。
 3番目は、北極圏と氷河とは私は随分違うと思います。特にヒマラヤについてはIPCCなどでも問題になっていますが、北極圏よりはずっと気候変動の影響が早くあらわれる。特に、夏季の降雪がなくなると一気に融けるという可能性もあるわけで、実際の重要性、緊急性でいうと、北極圏よりも重要であるという気もしますがいかがでしょうか。

【小池(勲)部会長】 
 先ほど私がオーバーラップと聞いたのも、雪氷といっても氷河をやっている人たちと、それからあと北極圏をやっている人たちというのは、おそらく研究グループはかなり違っていて、それぞれの研究のターゲットはかなり違うと思います。ですから、それを全部含めて議論すると、北極圏そのものはかなり弱まってしまうんではないかという心配があります。これ、もし北極圏のほうにかなりウエートを置いてやるんだったら、あまり広げないほうがむしろわかりやすいような気もいたします。

【谷推進官】 
 まず1点目については、例えば人間活動みたいなものを視野に入れるのかということについては、気候変動のメカニズム解明、あるいは影響評価といったところまでが範囲かと思っております。それが1点目。
 それから、北極圏、あるいは3つ目の雪氷圏といったときと北極圏とのバランスをどう考えるかということでございますが、そこは今、現時点でどちらかに絞るということは、事務局として考えておりません。繰り返しになりますが、両方、ローカルではあるかもしれないけれども、ヒマラヤといった雪氷圏で非常に影響が大きいと見込まれるというところについても含めて、議論をしていただくということだと思います。
 それは、まさにこの温暖化連携拠点のほうで報告がありましたワークショップ等で、雪氷圏と銘打って、非常に広い参加者の方々が非常に活発な議論をされたというのは、北極圏に限定しないで、広く雪氷圏の方々もその重要性、あるいは緊急性にかんがみて、非常にそういう機運が高まってきている。外部からの要請もあるんだけれども、コミュニティーとしての機運も高まってきていると考えておりまして、最終的にどちらに軸足を置くというか、どちらを重視していくのかというのは、まさに作業部会の議論の結論を待ちたいと思いますけれども、いずれにしても、検討のスコープとしては北極圏と、それから、いわゆる雪氷圏についても検討して、全体について、できれば優先順位等も明らかにしてということになろうかと思いますけれども、ご議論をいただきたいと思っております。

【田口課長】 
 今の井上委員からのお話。1点目がおそらく言葉の定義だったと思いますが、そこについては、南極のときにも、南極圏研究とは言わないで、一般に南極研究と言っておりますので、そこは一般名詞としての北極研究ということで、この名前にさせていただければと思ってございます。
 さらに、雪氷圏をどうするかについては、先ほど座長からもご意見いただきましたが、この場のご意見なんかも踏まえながら、実際の作業部会の検討の中で、そこも含めて少し検討していただきたいと考えております。

【小池(勲)部会長】 
 おそらくメンバーとして、氷河をやられている方、それから北極をやられている方を含めば、両方の議論ができると思います。それを外してしまえば、多分議論は1つに集中してしまいますので、その辺のメンバーの選び方も結構大事だと思います。

【深澤委員】 
 要は、2の調査事項のところが少し気になるんですけれども、北極研究におけるというのが初めに2つありますね。多分、研究推進体制、国際連携協力の在り方というのは、いわゆる北極とCliCという、寒冷圏、雪氷圏ですね。雪氷圏でいえば、多分システムから全部違うはずなんです。ですから、もしもそれをフェアにやるのでしたら、北極研究におけるとか書かずに、きちんと北極寒冷圏、雪氷圏とか、そういう言い方をつけるべきでしょうね。ただ、そうやった場合には、研究推進の体制のあり方とか、国際連携協力のあり方は非常に難しくはなるとは思います。

【谷推進官】
 調査事項のところで、まず1つ目と2つ目について、北極研究におけるというふうに言っておりますが、まさに先ほどからご議論がありますとおり、北極圏ということなのか、あるいは広く雪氷圏を含むのかということについて、検討に当たっては、広く雪氷圏も視野に入れるということでご議論いただいているとおり、ちょっとそこで議論をいただきたいと思っています。
 いずれにしても、申し上げたいのは、(1)のところで、まず重要課題ということで、重要課題の中に、例えばヒマラヤの氷河湖の決壊とか、そういう話も含めて、そういうものが重要課題であって、それをきっちりやるべきだという整理がされれば、その後、研究推進体制、それから国際連携協力のあり方についても、そういうものを含めてご議論、整理をしていただくということになるんだろうと思っております。

【杉本委員】 
 2点ほどございまして、先ほどの雪氷圏、例えば氷河を入れるべきかどうかということなんですけれども、寒冷圏と考えると全部が入るかもしれないんですけれども、言葉としては、「北極」と言うほうが、多分一般的にはなじみがあるというか、わかりやすいのではないかと思います。
 それで、じゃあ、すごくローカルなので、ヒマラヤなんかを入れるかどうかという議論になるかと思うんですけれども、寒冷圏全体をもし考えるとしたら、小さな山岳氷河はものすごく環境にセンシティブに働くセンサーのような役割をしていると、おそらく研究者はほぼ考えていると思いますので、それを外して寒冷圏と言うのは、ちょっと、優先順位を先に置くかどうかということは別として、ないんじゃないかと感じました。
 それから、おそらく、水の資源、あるいは、雪があることによって気候にどう働くかということが中心的な内容になってくるのかと思うんですけれども、北極域に残されている炭素の問題というのが、炭素循環を考える上で、ものすごく不確実な要素として残ってきていますので、水の問題だけではなくて、炭素循環ということもぜひ一緒に考えていただくということをお願いしたいと思います。
 以上です。

【小池(勲)部会長】 
 この2番目の国内の中核的な拠点――拠点というのは、これはどういうふうに考えればいいんでしょうか。例えば、今、いわゆる研究者のほうではICSUの下に国際北極科学委員会とか、そういうのがあると思うんです。それは、国際的な組織ですが南極と同じように北極もありますから。日本も多分、メンバーか何かでたしかそれに入っていると思います。
 そういうのが1つ国際的なものとしてあって、それではそれに対応する国内組織というものを考えるのか、それとは独立に、いろいろな予算の要求ですとか、それもかなり取りまとめて、日本の中で代表してそういうところが行うとか、中核拠点というもののイメージが、いろいろな考え方があると思うんですけれども、今、事務局で考えられているのはどういうものなのか、教えていただければと思うんですが。

【谷推進官】 
 2つ申し上げたいと思います。1つは、まず国際的ないろいろな、北極あるいは雪氷圏の国際共同研究、あるいは国際観測計画、これについては、日本は相当の影響力を持って国際的な活動に貢献していると認識しております。これは、改めて作業部会でもレビューをしていただく必要があろうかとは思いますけれども、国際的なアクティビティーという意味では、相当の活動がされているのではないかと見ております。
 他方、国内で、では北極研究についてどこか中核的な拠点があるのか、あるいは組織があるのかといったところでは、必ずしもそういう、国内での連携といいますか、国内で求心力を持った場というのがないのではないかというのが今回の問題意識でして、そういう意味で、国内で中核拠点ということを明示的にご議論いただきたいと思っております。
 それで2点目は、国内中核拠点という意味では、国立極地研究所が大学共同利用機関ですが、まさに極地研究をする場、組織として国立極地研究所があるわけでございます。北極観測センターというのも組織としてはあるわけでございまして、1つは極地研究所の位置づけというものをきちっとここではご議論いただく必要があろうかと思います。それは、国として既に極地研究所というものを設けておりますので、それを前提にご議論していただくということかと思っております。
 他方で、そういう中核的な組織というものを、求心力のある組織をきちっと位置づけをした上で、それは改めてということかもしれませんし、新たにということかもしれませんが、中核拠点、中核的な組織というものをきちっと位置づけた上で、他方で例えば関係機関によるコンソーシアムみたいなものをつくるとか、そういった場としてのコンソーシアムみたいなものが考えられるわけで、そういったものは、例えば3番の推進体制の中等に位置づけてご議論いただく、また結論を出していただくということかと思います。

【藤谷委員】 
 実は取りまとめのときにいろいろこういう議論をしていましたけれども、ここで3つの項目を挙げましたけれども、研究者の方の問題意識としては、データのアーカイブが日本は大変弱いところがございます。南極に関しましては統合推進本部があって、いろいろな連携をしてやっているわけですけれども、そこで得られた膨大なデータが散逸する可能性もある。非常にアーカイブ体制が弱いということでございます、
 それからもう一つは、統合的な解析、関係する雪氷圏以外の大気とか海洋とか、そういう分野のデータも統合して解析する体制が弱いことがあります。このあたりは、やはり今回、我々が取り組み案を取りまとめたときの問題意識として非常にありました。したがいまして、先ほど示しました観測の地域に南極もターゲットに挙げているわけですが、南極については、むしろ得られたデータをアーカイブする、統合解析する、そういうところをもっと強化しないといけないという問題意識がございました。

【沢田委員】 
 ちょっと確認でお聞きしたいんですけれども、この作業部会をつくって、北極研究を強化する、こういう委員会をつくっていった中で、先ほどのお話ですと、任期は23年の1月。そうすると、この委員会の結論等の反映する具体的な予算化だとか、事業化だとかということは、23年度あるいは24年度に強化するという方針でよろしいんですか。

【谷推進官】 
 そのとおりでございます。ここの設置期間は、極めて形式的に先生方の任期と合わせて書いてあるだけですので、これは必要に応じて、もっと腰を据えて長くやるべきだということであれば、継続的に作業部会で検討していただくというのは十分考えておりますけれども、まず当面、視野に入ってきます23年度の概算要求の中にどう反映するかというものがありますので、夏までに、1つはこの作業部会で中間的な取りまとめという形になるのではないかと見ておるということでございます。

【深澤委員】 
 少し外れた話になりますけれども、先ほど沢田委員のほうから、温暖化推進ワーキンググループのこの中で、国際的な連携の話が出ていましたけれども、今、藤谷委員のほうからもデータのアーカイブが弱いというお話が出てきました。私のいるところにそういう部分がありますので、要は例えばロシアの中でステーションをつくったときに、どこまでを我々の一存で、あるいはこういったようなコンソーシアムでオープンにできるかというのは、我々だけでは片づかない部分がある。というのが、実はデータのアーカイブというよりも、むしろアーカイブはあっても、それの配布・普及が非常に大きな部分になるんですね。大きなかせになる。
 ですから、こういうものを始めたときに、もしも雪氷圏、あるいは、特に寒冷圏の中でもロシアその他の、そういった国との関係を考えるとすると、何らかのそういった方策というのが方針として盛り込まれていないと、要は1つの研究者がお互いに共同研究でやって、自分の研究のためのデータをとるというのに、それでも科学が進めばいいのかもしれませんけれども、少し困った部分が出てくるのはそういうところが実はあるんですね。ですから、どうしてもそこのところは避けては通れない。
 それから、特にこのあたり、北極になりますと、北極というのはほんとうに領海の固まりのようなところですから、実はそこで溶存酸素をはかることですら大変なのが現実です。アルゴなんていうのもあるわけですけれども。ですから、研究推進体制とか国際連携よりも、先ほど申し上げたみたいに、多分、北極圏というか、北極を中心に考えておかないと、それから要するにアジアCliCのような寒冷圏を考えたときには、どういう方法が一番よいのかというのは、また何度も申し上げるようですけれども、多分1つではいかないような気がします。以上です。

【小池(勲)部会長】 
 いろいろご意見をいただきましたので、今、委員からいただいた意見を参考にして作業部会を進めるということで、設置に関してはお認めいただきたいと思いますけれども、それに関してはよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【小池(勲)部会長】 
 ありがとうございます。それでは、一応今日の部会で設置をお認めいただいたということで、そのメンバーに関しては、部会長であります私からの指名という形をとらせていただきます。また、メンバーになられる委員の方には、後日ご連絡を差し上げることがございますので、よろしくお願いしたいということでございます。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。議題4は、平成23年度の実施方針の策定に向けた今後の検討の進め方です。まず初めに、事務局のほうからご説明を簡単にお願いいたします。

【谷推進官】 
 それでは、資料4に基づきまして、23年度の地球観測の実施方針の検討の進め方についてご説明を申し上げます。まず、1枚おめくりいただきまして、資料4の2枚目、横の流れ図になりますけれども、実施方針の策定スケジュールというのをごらんいただければと思います。これはCSTP、それから当部会、関係府省庁・機関の全体の取り組みの流れを書いてございます。
 まず真ん中、本日の第5回地球観測推進部会がございます。そこで実施計画を報告ということでございますけれども、実施方針についても、まず非常に大きな方向性についてご議論をいただくということでございます。現在、左側になりますが、CSTPのほうで平成21年度の実施計画を踏まえたフォローアップについてまとめていただいておりますので、これから当部会のほうへそのインプットをしていただくという形になります。
 6月から7月にかけて、23年度の実施方針を検討するということでございます。それに対しまして、各府省庁からもインプットとして、ニーズあるいは関係の情報についてインプットをしていただくということでございます。それから、7月から8月にかけて、実施方針を検討するということでございますが、各府省庁がこれを踏まえて概算要求事項について検討するということでございます。8月の末には概算要求が出そろう、これは通常、例年によればということでございますが、概算要求が出そろいますが、それをまた当部会で実施方針に沿った内容になっているということをご確認いただくという形になろうかと思います。その実施方針に基づいて、各府省庁は具体の概算要求、それからさらに実施計画へとつながっていくわけでございます。
 特に、夏の段階では、CSTPのほうで資源配分方針に反映されるように調整をしていただくということで、実施方針については全体のPDCAのサイクルをつくったところでございます。大きな流れはこのようになってございます。
 もとに戻っていただきまして、資料4の1枚目でございますが、それぞれ、まず本部会におけるこれまでの検討についてというところをご説明いたします。
 これは、既に議論が出ていますが、優先的に取り組む課題への重点化ということで、実施方針については大幅な改訂をしてきたところでございます。特に、22年度につきましては、気候変動、それからその影響の監視・予測といったところで、重点事項として再整理をしたところでございます。
 23年度の実施方針の検討に当たりましては、2つ目に書いております検討のポイントというところをごらんいただければと思います。22年度の実施方針と同様に、優先的に取り組むべき課題を明示するということで、重点化を図るという方針は、引き続きそういう姿勢で臨みたいと考えております。
 それから、気候変動への対応につきましては、引き続き継続的に実施していく必要があるであろう、また社会からの要請も依然として高いということであろうと考えられますので、引き続き重点事項として提示するということであろうと考えてございます。
 それから、23年度は例年と違う点があるかということを考えますと、第4期の科学技術基本計画の初年度に当たるということが1つ挙げられようかと思います。地球観測の推進戦略、本部会の活動の大もとになっております推進戦略でございますが、基本計画との関係もございますし、場合によっては改訂という話も従来から出ておりますけれども、そういった動きがもしあればということですが、そういったものも横に見ながら検討を行う必要があるであろうということを書いてございます。
 また、23年度ということで十分に留意すべき点ということを最後に書いておりますが、生物多様性条約の第10回締約国会議、これは10月に名古屋で開催されます。また、11月には北京で第5回の地球観測サミットが開催されるということで、地球観測の推進に向けていろいろな機運が高まっていくということが考えられます。GEOSSの10年実施計画につきましても、後半5年が始まるということでございますので、全球、とりわけアジア太平洋地域における観測の統合に向けた取り組みといったものが非常に重要になってくるであろうということがございます。ですから、こういったものを念頭に置きながら、23年度の実施方針については検討を進めていく必要があるのではないでしょうかということでございます。
 具体的な検討の進め方につきましては、今日含めていろいろなご議論をいただきたいと思いますが、従来の実施方針における改善すべき点、新たに盛り込むべき内容等についてご議論いただきたいと思っております。今日も既に雪氷圏のお話等が出ておりますので、引き続きご検討いただければということでございます。
 また、関係府省庁・機関、連携拠点からのインプットということをこの検討の中で行いたいというものが2つ目の●でございます。さらに、総合科学技術会議が平成21年度の進捗評価、フォローアップを行うということでございますので、そういったもののインプットもあわせまして、全体として今後の課題、優先的に行うべき事項の洗い出しというものを行っていくというふうにしてはいかがかということでございます。
 それから、実施方針の取り扱いにつきましては、各府省庁はそれを踏まえて概算要求事項を検討する。また、総合科学技術会議においては、資源配分方針に反映されるように調整するということでございます。ここは、従来と特に変わってございません。
 実施計画につきましても従来どおりでございますが、22年度末に実施方針、それから推進戦略に該当する23年度の実施計画を取りまとめるということでございます。それから、23年度末には進捗状況を取りまとめて、総合科学技術会議に報告をし、フォローアップを行うということでございます。
 資料につきましては以上でございます。

【小池(勲)部会長】  
 今日、総合科学技術会議の原沢参事官が来ておりますので、今のお話の中で総合科学技術会議の関係するところについてちょっとご説明いただくのと、あと来年から始まる第4期の科学技術基本計画がどういうふうになっているのか、幾つかの情報がもしありましたらご説明をお願いいたします。

【原沢参事官】
 まず1点目は、先ほどご紹介がありましたように、今、平成21年度の地球観測の進捗状況の評価ということで、こちらにつきましては、6月14日に予定しております環境PTのほうでご審議いただいて承認という形になるかと思いますので、こちらにはまたその後、ご報告ということになるかと思います。
 PDCAサイクルのCの部分につきまして、進捗評価ということなんですけれども、いろいろ問題もあるかなというのは、事務局レベルでの判断ですので、また報告時にそういった点も挙げたいと思います。
 あともう一つは、地球観測の推進戦略、これは平成16年にできておりますので、かなりまた総合的かつ網羅的にしっかり書いてありますので、これまでは運用という形で推進戦略を使ってきたということであるんですが、内外の状況がかなりまた変わってきたということもあるので、もし改訂ということになりますれば、こちらの推進部会のほうで発議していただければ、総合科学技術会議のほうで取り上げていくということになるのがこれまでの流れだったんですけれども、ご存じのように、昨年の9月から政権がかわりまして、かなりいろいろなものが変わり始めているという中で、これまでと同じようなことができるかどうかというのが、ちょっと今の段階でははっきり言えないということがございます。
 1つは、第4期ともかかわるんですけれども、今、総合科学技術会議の改組の話がございまして、当初はこの秋ぐらいの臨時国会のときに科学技術戦略本部というのを立ち上げたらということで、たまたま政務官のほうからお話があったんですが、最近の発言ですと、半年から1年先ということで、少しそういった改組の話は延びるのかと。そうしますと、今まさに第4期の計画づくりをやっているわけなんですけれども、そちらのほうがどうなるかというのが、ちょっと今の段階でははっきりわからないところがございます。とはいっても、淡々と進めている部分もございまして、私どものほうでは、専調と呼んでおりますところで計画づくりをしてございます。今まさに半分程度まで来ておりまして、今後、分野別の議論が始まるのかと思っております。
 そういう中で、地球観測につきましては、環境分野、あとは社会インフラのほうの分野で扱ったりしますので、そういった分野との関連で議論がどうなっているかということなんですが、さっきご紹介しましたような検討状況の話と、総合科学技術会議がどうなるかという話とか、幾つかそういった懸案事項が同時にありますものですから、ちょっと今の段階では、第4期の検討の中でこの地球観測関係をどういう形で扱うかというのは、ちょっとまだはっきり言えないという状況であります。
 また、さっきご紹介したフォローアップにつきまして、報告時点でまたさらに情報があればお話ししたいと思います。ちょっと不十分な情報ですが以上です。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、資料4で今ご説明いただきました実施方針の今後の検討の進め方について、ご意見をいただきたいと思います。はい、どうぞ。井上委員。

【井上委員】 
 CSTPの改組も含めて、いろいろと変わっていく可能性があると思いますけれども、皆さんもごらんになった例の仕分けの話とか、そういうのを見てみますと、やはり地球観測というのは、総合的に継続的にやらなきゃいけないということをいくら主張しても、どういうアウトプットがあったのかとか、そういうことを責められていくと非常に弱いところもあるのではないかという気がします。
 その点で、例えば北極圏というのにフォーカスしてとか、幾つかフォーカスしたものをつくって、そしてそれが着実に何らかの成果を上げて、例えばこんなことをやっていますと答えられるような状況をつくるというのも、地球観測全体の重要性をアピールすることになる。結果的に、地球観測を総合的に、長期的に、継続的にやっていくためにも必要ではないかという気がします。
 例えば、インドネシアでの森林火災からの二酸化炭素排出は、日本の総排出量と同じぐらいか、半分ぐらいと言われています。そこで、このような重要な課題に、例えば、現在いろいろな機関がやっている観測努力を割いてもらって、省庁連携を総合的にやるということを検討してはどうでしょうか。省庁をまたがるアンブレラをつくって観測活動を集中し、1年か2年後にはある程度の成果が見えるようにして、「地球観測というのはこういう重大な問題について、きちんとした答えを出して、こういう対策を打てばそれを防止できるんだということを示す、示せるんだ」とアピールする。そういうストーリー性を持った戦略的な構造を考えたほうがいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【小池(勲)部会長】 
 今のはかなり具体的なご提案ですけれども。

【深澤委員】 
 今の井上委員の考え方、僕すごく好きなんですけれども、ただそれと同時に絶対やらなきゃいけないのは、どういうぐあいにするとそういう傘のような戦略が立てられるかという具体的な話なんですけれども、それでなおかつ長期に続けていくと。先ほど、杉本委員かな、ここは省庁を超えたそういうところで、それがどういうところに出てくるのか。この戦略、今日はもう案ではないという話を聞いたんですけれども、この中で、例えばほんとに今、井上さんがおっしゃったようなことをやっていくとすると、多分第3節にある分野横断的なデータの共有・統融合というの、これが多分基本的にエンジンになる部分だと僕は思うんです。
 ただ、これが今までのところ、その舞台はいろいろなところに移ったとしても、データ統合と解析のシステムの開発が行われているというのが実際は現状であって、それで実際それが、今度は各省庁が集まって、実は寄ってたかってやっているところはたくさんあるわけですけれども、その際にこういうシステムがきちんと動いて、アウトプットが出てきて、それに基づいて対策が打てるようなモデルがつくれるかというと、それが実際はできていない。
 だから、要は、そういうシステムはかなりいいものができ上がっているんだけれども、一体データが集まるのかという、そこが僕は今一番問題が大きいんではないかと思うんです。つまり、そういうものがきちんと気候データとしてアーカイブされていくところがすべてのところでそろえば、多分5年、10年やるということが可能になるでしょうし、それからさらに、次に、地球観測の実施計画というこの部会そのものは、GEOSSの始まりと切っても切れない関係にあると思うんですけれども、GEOSSというのはもともとそんな気候変動を一生はかり続けましょうなんてのんきなものではなくて、要はほんとにミティゲーション、アダプテーションなんですね。それを考えたときに、例えば気候変動への対応とか、社会的な要請といったときには、何が必要かというと、インサイチューなオンラインデータの集積と分配のシステムがいつつくれるかというのが勝負ですよね。そこの中にすべての計画が散りばめられれば問題ないんですけれども、今のところ、そういったようなシステムは気象庁のアメダスしかあまりなくて、あとは衛星のデータはそのままいくんですけれども、要はそういった部分で、つまりデータの集積のシステムとか、データの分配のシステム、つまり統合解析のシステム以前の部分が実は日本にはほとんどないんではないかというのが一番気になるんです。

【小池(勲)部会長】 
 これに関しては、文科省のほうでデータ統合システムが動いて、もう5年になりますね。そこでシステムを開発して、それを運営していこうという方向で今進められているんですけれども、今の深澤委員は、とてもそんなもんじゃ間に合わないと。

【深澤委員】 
 そうですね。

【小池(勲)部会長】 
 間に合わないか、あるいはどこかに問題があって、なかなかデータの集積がされてこないということでしょうか。

【深澤委員】 
 そうですね、ピストルはあるんですけれども、そのピストルに弾が入るかどうかという、そこのところは多分、省庁全部通してやらないとできないでしょうけれども、それぞれにまた持っているからということかと思います。

【本蔵委員】 
 今のに関係しますけれども、以前から地球観測の推進戦略とGEOSSの関係のところが全然整理されないまま動いてきているという印象は私も持っていて、多くの方が持っておられると思うんですが、それをいつまでも続けるべきではないと思うんです。そろそろそこのところも含めて、地球観測の推進戦略は見直す時期に来ているのではないか。その際に、大きなポイントとしたら、今ご指摘ありましたデータのアーカイブ、形式的にデータセットをどうかするかとか、アーカイブをどうするというのは進んでいるけれども、具体的にいろいろなプロジェクトが各省庁があちこちが動いているけれども、それが全く統一がとれていなくて、組織的にデータが集積するような形になっていないと思うんですね。
 ある意味ではしようがないのもあるんですね。いろいろなプロジェクトで研究オリエンテッドのプロジェクトも動いているわけですけれども、でもそういうものも極めて重要なデータソースになっているわけです。そういうものをやはり集積しなければいけない、そのメカニズムが私から見ると強力なものがない。そういうものをつくり出していくのがこの部会の1つの役割だと私は思うんです。
 ですから、そういう意味では、CSTPの将来がどうなるのかということでとまっているということではあるけれども、それと同時にこれをまとめて様子を見ましょうじゃなくて、むしろCSTPの形がどうなろうとも、基本的な構造というのはつくっていくべきなんだから、この部会でそこのところの作業を始めて、推進戦略も含めて見直して、重点はどこにあるのだと。今の推進戦略の15分野なんていうのは、あの分類は意味がほとんどないので、そういうものをいつまでも続けるべきじゃない。
 と同時に、今ご指摘のあったような、極めて重要な分野横断的なもので、極めて重要なポイントが入っているので、ここはやはりGEOSSの10年計画の後半が始まる時期でもあるし、やはり大きく見直してはどうかと思うんですが、いかがですか。

【小池(勲)部会長】
 事務局のほうから最初にコメントをもらえますか。

【谷推進官】 
 幾つか論点がありましたので、全部お答えできるかどうかわかりませんが、まず最初、井上先生から森林のお話がありましたけれども、これからまさに23年度の実施方針の検討の中で、検討のポイントの一番最後にGEOSSの話も含めて書いてありますが、今、地球観測サミットに向けての検討の中で、その成果をきちっと閣僚レベルでシェアをして、それから今後の活動の加速をさせる重要な取り組みというのを、代表事例をショーケースと言っておりますけれども、それはそのサミットの中できちっと取り上げようではないかという話が全体の議論の中で今進んでおります。
 その中では、例えば水循環であるとか、それから炭素循環、その炭素循環の中には森林の、これは森林火災ということではないのですが、森林の炭素のトラッキング、あるいはモニタリングというものを取り上げることにしております。また、生物多様性の観測ネットワークについても取り上げるという方向になっております。それらに対して、我が国もそれぞれ水循環、森林、それから生物多様性と、それぞれ各取り組みがございます。
 これらについては、今、いろいろなデータを統合していく、あるいは観測システムを統合していくというのは、聞こえとしてはボトムアップでいろいろなものが統合されるというイメージになるわけですけれども、なかなか単純に統合すること自体、総論としては賛成だけれども、個別に見ると統合するメリットというのはよく見えない、あるいはその必要性というのがよく見えないということがままあるわけでして、それが実際にシステムの統合、あるいはデータの統合、共有というところで問題になっているということが現実の問題なのではないかと思っております。
 ちょっとまどろっこしい説明ですが、先ほどの、例えば水循環であるとか、生物多様性であるとか、森林含めて炭素循環というのは、非常にある種の問題意識を持って、こういうデータを統合して、それを意思決定につなげるんだという、ある種のトップダウンの仕組みができる世界であります。したがって、GEOSSも含めてそうですが、観測の統合、あるいはこれから世の中どうなっていくのか、地球観測の世界がどうなっていくのかということを考えたときには、単にボトムアップの活動を慫慂するということだけではなくて、そういうトップダウンで実際の課題解決、あるいは意思決定につながるようなメカニズムをつくって、きちっとそれがワークするということを見せていくことが必要であろうと思います。これは、事業仕分けという非常に具体的な話に対しても効果的であろうと思いますし、本来そうあるべきではないかと思われます。
 そういう意味では、例えば森林については、まだ観測部会でご報告できるようなレベルになっておりませんが、文部科学省が各府省庁・関係機関に声をかけて今、勉強会をやっているところです。北極についてもこういった形で新たにまた始まってきて、水循環については、今日おいでになっていませんが、データ統合・解析システムを活用して、東大の小池先生が中心に、非常に野心的なプログラムを今進めているところでありますので、そういった具体の取り組みの中で、まさに統合のモデルケースといいますか、先行事例といいますか、成功例というものをしっかり出していくということが、まず当面の目標なんだろうなと思っております。
 ちょっと、十分なご解答になったかどうかわかりませんが、そのように考えております。

【田口課長】  
 最後に本蔵先生がおっしゃったお話に対する回答としては、私自身、本蔵先生のおっしゃるとおりだと思っていますが、ただ1つだけ、ちょっと訂正させていただきたいのは、やはり今ある戦略自体はCSTPのほうでつくった戦略でございますので、フレームワーク上、それをこの部会で見直すというのはできないということでございます。ただし、この部会が何のためにあるのかというのを、もう少し事業仕分け的に、一国民の立場から立つと、これだけ専門家の皆さんに集まっていただいて、これは政権がどうなろうとも、CSTPがどうなろうとも、あるいは文科省がどうなろうとも、オールジャパンで専門家の立場からやらなきゃいけないことをここで議論して形にしていただくということではないかと思ってございます。
 そういう意味では、フレームワークはフレームワークとして、今後、例えば事業仕分けの問題でも、先ほど井上委員からストラテジーというか、タクティックスなのかもしれませんけれども、より国民にわかりやすくという視点もぜひやっていかなきゃいけませんし、ただ一方では、途中で藤谷委員からご指摘あったように、観測してもアーカイブがきちんとできていないじゃないかと。これは、事業仕分け的な観点からいくと、ちゃんとアーカイブもできてないのに観測してどうするんですかという話なんですね。観測が無駄だという話になるわけで、そういうところをきちんと整合をとったオールジャパンの計画にしていくということが、おそらく一番大切な話だと思っていまして、それをぜひ全府省横断的な立場から、当省も事務局として、ここで議論があったことをきちんと具現化できるように努力をしたいと考えております。

【小池(勲)部会長】 
 推進戦略は確かにCSTPのほうでつくって、こちらの部会に投げかけたのですけれども、それをこういうふうに変えてほしいというたたき台をこちらでつくってCSTPのほうに戻すということは、ここでできると思います。おそらく今のパワーから見ていると、なかなかCSTPのほうも大変なんですね。できたら、ここでやったほうが私もやりやすいような気がしますので、ぜひここで少し具体的に、どういうふうに見直していくかを議論して、考えていければと思います。
 それで、今日幾つか問題点が出て、先ほど井上委員の言われたのは、かなり短期の、2年、3年ぐらいでフィールドキャンペーンをやって、非常にいい結果を出す。それは、オールジャパンでやりましょうというご提案だと思いますので、先ほど谷推進官の言われたショーケースというものとしては、おもしろい取り組みじゃないかと思うんです。
 ただ、これを実際に、実施方針にどうやってそういうのを入れていくかどうか。ある程度、そういうのというのは下準備ができていないと、いきなりぽんと書かれても、そんなものは知りませんよという話になってしまいます。ですから、やはりやるのであれば、1年ぐらいちゃんとした準備をして、これでいけそうだということで出していかないと空中分解してしまうと思います。
 どういたしましょうか。今日いろいろご意見いただいて、これ、もう次が6月ですね。6月に素案のようなものがある程度出てくれば、各府省はそれに基づいて概算要求を少し考えることができると思います。今だとまだちょっと漠としていてなかなか難しいんですけれども、ただ8月というのはもう概算要求としては、私もいつも思うんですけれども、大体どこもおしまいなんですね。皆さん、もうかなり完全に固めてしまった段階になってしまうので、ちょっと時期的には、なるべく早くこちらとして方向性は出せるほうがいいと思いますので、できたら6月にある程度の方向性が出せればいいと思います。ちょっと事務局としては忙しいとは思いますけれども、それを少し考えていただければと思います。これ、従来どおりやっていると、やはり何となく形式的になってしまいます。

【谷推進官】 
 ご指摘のとおり、いきなり実施方針を8月にまとめるということでは、各府省の概算要求に反映するということがそもそも間に合わないということはそのとおりであります。したがいまして、6月なり、次回以降、具体的に素案を準備させていただきたいと思っておりますけれども、それをつくる作業の中でも、各府省庁ともよく連携をして、きちんと各府省庁の動向なり意向なりが酌み取られた形で実施方針の検討がされるように、各府省からのインプットを事務局のほうで収集をしっかりしたいと思っております。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、次回に素案の素案でも結構ですけれども、ある程度のものは出していただければ、それに基づいて議論ができるということですので、あと1カ月ぐらいありますので、各委員の方でこういうふうなものを入れたらいいというコメントがありましたら、ぜひ事務局のほうまでよろしくお願いいたします。

【本蔵委員】 
 今の各省庁の取りまとめをやる際に、ただ単に取りまとめるんじゃなくて、例えばさっきインドネシアのどこかでいろいろなのが集中したプロジェクトをつくろうなんていうものが、各省庁単独だったらそういう発想はあんまり出てこないと思うんです。それを予算が決まる前の段階で、それが出てきたら事務局に集まるわけですね。それを事務局で見て、こういう幾つか出てきてこれを束ねると、こんないい計画になりそうだというものが必ずあるだろうと思うんです。それは事務局の力量だと僕は思うんですけれども、そういうものを、むしろ、単に受動的に集めるんじゃなくて、そこに何か働きかけを事務局からやるというふうにすることはできませんか。

【谷推進官】 
 そのようにしたいと思います。先ほども少し申し上げましたけれども、GEOSS、地球観測サミットに向けた取り組み等と連動して、これから、例えば水循環であるとか森林であるとか生物多様性であるとか、そういった、特に集中してやるべき、かつ各府省連携でやらなければできない課題というのがあると思っておりまして、そういうものについては積極的に事務局のほうから投げかけて、そういうプロジェクトメークにつながるような素案づくりに取り組みたいと思っております。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、議題のその他ですけれども、その他の議題をお持ちの方、いらっしゃいますか。

【堀川委員】 
 お時間いただきましてありがとうございます。「GOSATデータの紹介」という資料6でございます。ご案内のとおり、昨年1月に環境省さん、環境研さん、それとJAXAでGOSATを打ち上げたわけですけれども、その後、運用を順調に進めまして、特に環境研さんのご努力によって、昨年の4月以降、4月、7月等、GOSATの関連研究者の方々、あるいは共同研究をやっている方々にレベル1データの公開、それから夏以降はレベル2のデータも公開させていただいております。また、この2月に一般の方にもレベル2のデータを公開させていただける段階に来ております。環境研さんのご努力が非常に大きいと思います。
 その結果、JAXAも含めて校正検証を進めてきておりまして、得られたデータの精度が二酸化炭素につきましては約1%、4ppmですけれども、それからメタンに関して2%という精度が得られております。1%といいますのは、当初、これはポイントデータとしての分散値が1%ということで、実際、データの活用に当たっては、ある時間、あるいはある領域で平均化しますので、当初の仕様であります1,000キロメートル、3カ月間の平均というレベルでこのデータを評価しますと、コンマ数%という非常に高い精度のデータになっているということを、この部会の皆さんにご承知いただきたいということでご報告させていただきます。
 今、いろいろなデータがそれぞれの機関から、あるいは環境研さんも含めて出されているんですが、参考に3ページ、4ページに昨年の4月、それから7月のCO2のカラム濃度の分布をお示ししております。これは陸域だけですが、ある程度検証は進んでおりまして、このデータはカラーバーに対して幾らのppmかという数字、情報を入れるのを忘れたんですけれども、真っ赤が約410ppmで青が360ppm、それから黄色が大体380ppmぐらいなんですけれども、世界的な分布として、かなり精度をよく評価されております。実質的には約8ppmぐらいのバイアスデータが入っていますので、少し青みのほうに強くデータが出ていますが、世界的な分布として、こういったデータがとられているということでございます。
 そういうことで、地球温暖化の連携拠点であります藤谷先生のところを含めて、このGOSATのデータと、それから地上のデータ、あるいはその他の観測システムを使ってとられたデータとの今、いろいろご議論のありましたデータの統合化といったようなことで、このデータをよりよく活用していただけるための推進計画を連携拠点のほうでもいろいろな施策を立てていただいているかと思いますけれども、より一層、こういったデータが実際に出ているんだということをご承知いただいて、より利用の推進を進めていきたいと、そういう形で進められればいいなと思っております。
 中心としては、連携拠点を中心にやっていければと思うんですが、その連携拠点にJAXAのほうでもデータの利用推進を、6ページのほうに書いてありますように、データのアーカイブ、データの統合、モデルの作成、それから最終的な国別レベルでの吸排出量の推定に向けて作業が進められればと思っております。
 現状のご報告ということで、お話しさせていただきました。

【小池(勲)部会長】 
 ありがとうございました。非常にいいデータが出ているような気がいたします。

【井上委員】 
 堀川委員は謙遜しておっしゃらなかった点をコメントさせてください。このセンサーは非常に技術的に難しい、高い精度を発揮しなくてはならないセンサーであるということと、もう一つ、地球観測衛星は、これまで1年ぐらいで停止してしまうようなことが非常に多くて、環境省などもかなり不信感を持っていた時期もあるんですけれども、今回、その両者において、非常にすぐれた衛星を打ち上げて運用していただきました。ここにはJAXAの方々の大きな努力があったということをコメントしておきます。

【藤谷委員】 
 今、堀川委員のほうから連携拠点の話がちょっと出たのですけれども、我々としては、これはまず環境省、環境研、それからJAXA、三者でやられるのが筋じゃないかと思っております。ワーキンググループ報告書第1号にも書いてございますけれども、連携拠点としては、より高度な、高次利用については我々もコミットしますと書いてございますので、まずは三者でやっていただくのが良いと思っています。

【堀川委員】 
 もちろんレベル1、レベル2のデータのアウトプットは今お話のありました三者でやっていくわけですけれども、レベル3、レベル4の高次処理については連携拠点を通じてやらないと、衛星のデータだけじゃなくて、地上とか、いろいろなほかのデータと統合したアウトプットを出すわけですから、それは連携拠点を最大限に活用していくということではないかと思います。

【小池(勲)部会長】 
 連携拠点のほうにもよろしくお願いしますということですので、よろしくお願いします。それでは、用意しました議題は以上ですけれども、事務局のほうから何かございますでしょうか。

【谷推進官】 
 はい。資料7として、第5回の地球観測サミットに向けた今後の主なスケジュールというのをお配りしておりますので、一言だけ申し上げます。
 第5回の地球観測サミットは11月5日、中国・北京で開催されます。バック・ツー・バックというんでしょうか、11月3から4日にかけて、定例のGEOの執行委員会、それからGEOの本会合、プレナリーが開催されて、その後、閣僚級の会合という形で準備がされているということでございます。
 これに向けては、GEOのサミットタスクフォース会合、私がメンバーになっておりますけれども、こういったところでの具体的な議論、それからGEOの執行委員会での具体的な方向づけ、こういったものが行われていくということでございます。
 なお、当部会においても適宜必要なインプット、これはGEOSSの作業部会でも議論をいただいておりますので、当部会にも適宜報告をいただいて、部会としての方向性、方向づけをいただければと思っておりますので、ご承知おきいただければということでございます。ご紹介のみですが、以上でございます。

【小池(勲)部会長】 
 それでは、ほかになければ、最後に事務局のほうから今後の予定をお願いします。

【谷推進官】 
 次回につきましては、6月中に開催をしたいと考えておりますけれども、追って日程調整等、連絡をさせていただきたいと思います。
 本日の議事録は、後日、事務局のほうからメールで先生方にお送りいたします。修正等があればご指摘いただきたいと思いますが、最終的には文部科学省のホームページに掲載するということで、公表というふうに運びたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、最後に、旅費、手当等、確認についての一枚紙をお配りしておりますので、ご確認いただき、お帰りの際に事務局にご提出いただければと思います。以上でございます。

【小池(勲)部会長】 
 ありがとうございました。ほかになければ、これをもちまして、地球観測推進部会の第5回会合を終わりたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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